(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151555
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】気体燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20241018BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20241018BHJP
F02M 21/04 20060101ALI20241018BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20241018BHJP
F02D 19/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F02M21/02 301L
F02B43/00 A
F02M21/02 L
F02M21/02 301A
F02M21/02 301G
F02M21/04 A
F02M21/04 J
F02D19/02 Z
F02D19/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064998
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕也
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AB08
3G092AB12
3G092BB08
3G092DE09S
3G092FA41
3G092GA01
3G092HB03Z
3G092HE08Z
(57)【要約】
【課題】気体燃料インジェクタの噴射口の凍結を防止して、内燃機関の作動不良を解消することができる気体燃料供給システムを提供すること。
【解決手段】エンジン2のインテークマニホールド内にCNGを噴射する気体燃料インジェクタ3と、CNGを高圧の状態に圧縮して貯蔵している通常運転用気体燃料タンク7と、CNGをデリバリーパイプ4に供給するのに適した圧力でCNGを貯蔵している始動用気体燃料タンク9と、通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGの圧力を可変に減圧させる可変燃圧レギュレータ61と、エンジン2の始動時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給させ、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合に、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61により減圧されたCNGを供給させるECU10と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料を使用する内燃機関の気体燃料供給システムであって、
気体燃料を貯蔵する気体燃料タンクと、
前記気体燃料タンクから供給される気体燃料の圧力を減圧するレギュレータと、
前記レギュレータにより減圧された気体燃料を噴射する気体燃料インジェクタと、
前記内燃機関の始動時に、前記気体燃料タンクから供給される気体燃料を減圧しないまま前記気体燃料インジェクタに供給するように制御する制御部と、を備える気体燃料供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記内燃機関の温度が所定温度を超えた場合、前記気体燃料インジェクタに供給する気体燃料を前記レギュレータにより減圧させる請求項1に記載の気体燃料供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記内燃機関の始動時に、前記内燃機関の温度が所定温度以下である場合に、前記気体燃料タンクから供給される気体燃料を減圧しないまま前記気体燃料インジェクタに供給するように制御し、前記内燃機関の温度が所定温度より高い場合に、前記気体燃料インジェクタに供給する気体燃料を前記レギュレータにより減圧させる請求項2に記載の気体燃料供給システム。
【請求項4】
前記気体燃料タンクとして、始動用気体燃料タンクと、通常運転用気体燃料タンクと、を備え、
前記始動用気体燃料タンクには、前記レギュレータが接続されておらず、
前記通常運転用気体燃料タンクには、前記レギュレータが接続されており、
前記レギュレータは、気体燃料の圧力を可変調整する可変燃圧レギュレータであり、
前記制御部は、前記内燃機関の始動時に、前記始動用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ気体燃料を供給させ、前記内燃機関の温度が所定温度を超えた場合に、前記通常運転用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ前記可変燃圧レギュレータにより減圧された気体燃料を供給させる請求項1に記載の気体燃料供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記通常運転用気体燃料タンクから前記始動用気体燃料タンクに気体燃料を供給して、前記始動用気体燃料タンクに気体燃料を充填する請求項4に記載の気体燃料供給システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記内燃機関の温度が所定温度を超えたときに、前記通常運転用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ前記可変燃圧レギュレータにより減圧された気体燃料を供給させながら、前記始動用気体燃料タンクに前記減圧された気体燃料を供給して、前記始動用気体燃料タンクに気体燃料を充填する請求項5に記載の気体燃料供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記内燃機関の停止時に、前記始動用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ気体燃料を供給可能な状態とし、かつ前記通常運転用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ気体燃料を供給不可能な状態とする請求項6に記載の気体燃料供給システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記内燃機関の停止時に、前記通常運転用気体燃料タンクから供給される気体燃料を前記可変燃圧レギュレータにより減圧して、前記始動用気体燃料タンクに前記減圧された気体燃料を供給して、前記始動用気体燃料タンクに気体燃料を充填する請求項5に記載の気体燃料供給システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記始動用気体燃料タンクに気体燃料を充填した後に、前記始動用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ気体燃料を供給可能な状態とし、かつ前記通常運転用気体燃料タンクから前記気体燃料インジェクタへ気体燃料を供給不可能な状態とする請求項8に記載の気体燃料供給システム。
【請求項10】
前記通常運転用気体燃料タンクに接続された第1配管と、
前記始動用気体燃料タンクに接続された第2配管と、
前記第1配管と前記第2配管が合流接続されて前記気体燃料インジェクタに気体燃料を導く合流配管と、
前記第1配管に設けられて、気体燃料の流通を遮断する第1遮断弁と、
前記第2配管に設けられて、気体燃料の流通を遮断する第2遮断弁と、を備える請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の気体燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CNG(Compressed Natural Gas:圧縮天然ガス)等の気体燃料を使用する内燃機関において、低温状態で内燃機関を始動させる際に、気体燃料インジェクタの噴射口が凍結していて、内燃機関が始動できない場合がある。
【0003】
特許文献1には、始動装置の駆動と協働して気体燃料インジェクタを駆動して内燃機関を始動する前に、気体燃料インジェクタを一時的に駆動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、内燃機関の始動時に、レギュレータにて高圧から低圧に減圧されて低温になった気体燃料が気体燃料インジェクタの噴射口に供給されると、気体燃料インジェクタの噴射口が再凍結する可能性があるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、気体燃料インジェクタの噴射口の凍結を防止して、内燃機関の作動不良を解消することができる気体燃料供給システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、気体燃料を使用する内燃機関の気体燃料供給システムであって、気体燃料を貯蔵する気体燃料タンクと、前記気体燃料タンクから供給される気体燃料の圧力を減圧するレギュレータと、前記レギュレータにより減圧された気体燃料を噴射する気体燃料インジェクタと、前記内燃機関の始動時に、前記気体燃料タンクから供給される気体燃料を減圧しないまま前記気体燃料インジェクタに供給するように制御する制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、気体燃料インジェクタの噴射口の凍結を防止して、内燃機関の作動不良を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る気体燃料供給システムを搭載した車両の要部の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る気体燃料供給システムの停止時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理及び停止時気体燃料供給処理による各部の動作と各センサの検出値の変化を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例の第1の他の態様に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例の第1の他の態様に係る気体燃料供給システムの停止時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例の第1の他の態様に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理及び停止時気体燃料供給処理による各部の動作と各センサの検出値の変化を示すタイムチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例の第2の他の態様に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例の第2の他の態様に係る気体燃料供給システムの停止時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例の第3の他の態様に係る気体燃料供給システムの始動時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例の第3の他の態様に係る気体燃料供給システムの停止時気体燃料供給処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る気体燃料供給システムは、気体燃料を使用する内燃機関の気体燃料供給システムであって、気体燃料を貯蔵する気体燃料タンクと、気体燃料タンクから供給される気体燃料の圧力を減圧するレギュレータと、レギュレータにより減圧された気体燃料を噴射する気体燃料インジェクタと、内燃機関の始動時に、気体燃料タンクから供給される気体燃料を減圧しないまま気体燃料インジェクタに供給するように制御する制御部と、を備えるよう構成されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係る気体燃料供給システムは、気体燃料インジェクタの噴射口の凍結を防止して、内燃機関の作動不良を解消することができる。
【実施例0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る気体燃料供給システムについて詳細に説明する。
【0013】
図1において、本発明の一実施例に係る気体燃料供給システムを搭載した車両1は、内燃機関型のエンジン2と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)10とを含んで構成されている。
【0014】
エンジン2は、ピストンが気筒内を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行なう4サイクルのエンジンによって構成されている。
【0015】
エンジン2は、燃料供給系として、気体燃料インジェクタ3と、デリバリーパイプ4と、合流配管5と、第1配管6と、気体燃料タンクとしての通常運転用気体燃料タンク7と、第2配管8と、気体燃料タンクとしての始動用気体燃料タンク9と、を含んで構成される。
【0016】
第1配管6の一方端には通常運転用気体燃料タンク7が接続されており、第1配管6の他方端には合流配管5が接続されている。
【0017】
第2配管8の一方端には始動用気体燃料タンク9が接続されており、第2配管8の他方端には合流配管5が接続されている。
【0018】
合流配管5には、第1配管6と、第2配管8と、デリバリーパイプ4と、が接続され、第1配管6のCNGと第2配管8のCNGを合流させ、デリバリーパイプ4に供給する。
【0019】
通常運転用気体燃料タンク7は、CNGを高圧の状態に圧縮して貯蔵している。通常運転用気体燃料タンク7には、図示しないガス充填口が設けられ、ガス充填口を介して高圧のCNGが充填される。
【0020】
第1配管6には、CNGが供給される方向である供給方向の上流側から順に、レギュレータとしての可変燃圧レギュレータ61、第1遮断弁62が設けられている。
【0021】
可変燃圧レギュレータ61は、通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGの圧力、即ち燃圧を可変に減圧させ、CNGの供給方向の下流側へ供給するCNGの圧力を可変調整する。
【0022】
第1遮断弁62は、ECU10によって開閉が制御される。第1遮断弁62が開弁状態である場合には、通常運転用気体燃料タンク7内のCNGが合流配管5を介してデリバリーパイプ4に供給される。一方、第1遮断弁62が閉弁状態になった場合には、通常運転用気体燃料タンク7内のCNGが合流配管5に供給されなくなる。
【0023】
始動用気体燃料タンク9は、CNGをデリバリーパイプ4に供給するのに適した圧力でCNGを貯蔵している。すなわち、始動用気体燃料タンク9内の圧力は、通常運転用気体燃料タンク7内の圧力よりも低くされている。
【0024】
第2配管8には、始動用気体燃料タンク9からCNGが供給される方向である供給方向の上流側から順に、第2圧力センサ81、第2遮断弁82が設けられている。
【0025】
第2圧力センサ81は、第2配管8内の圧力を検出する。第2遮断弁82は、ECU10によって開閉が制御される。第2遮断弁82が開弁状態である場合には、第2配管8内の圧力と合流配管5内の圧力に応じて、CNGの流れが変わる。一方、第2遮断弁82が閉弁状態になった場合には、始動用気体燃料タンク9と合流配管5との間のCNGの流れは遮断される。
【0026】
合流配管5には、第1圧力センサ51が設けられている。第1圧力センサ51は、合流配管5内の圧力を検出する。
【0027】
デリバリーパイプ4は、合流配管5から供給されたCNGを、その圧力を保ちながら蓄える。
【0028】
デリバリーパイプ4には、エンジン2の各気筒に対応する複数の気体燃料インジェクタ3が連結されている。各気体燃料インジェクタ3は、エンジン2のインテークマニホールド内にCNGを噴射する。
【0029】
ECU10は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0030】
コンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU10として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例におけるECU10として機能する。
【0031】
ECU10の入力ポートには、前述の第1圧力センサ51、第2圧力センサ81に加えて、水温センサ21を含む各種センサ類が接続されている。
水温センサ21は、エンジン2の冷却水の温度、すなわちエンジン水温を検出する。
【0032】
ECU10の出力ポートには、前述の気体燃料インジェクタ3、可変燃圧レギュレータ61、第1遮断弁62、第2遮断弁82を含む各種制御対象類が接続されている。
【0033】
本実施例において、ECU10は、エンジン2の始動時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させる。
【0034】
ECU10は、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合には、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させる。
【0035】
ECU10は、エンジン2の始動時には、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。
【0036】
ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の冷却水の温度が所定温度を超えた場合には、第1遮断弁62を開弁状態とし、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0037】
このとき、ECU10は、第2遮断弁82を開弁状態としておき、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力よりも少し高く(+α)することで、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させる。なお、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時よりも高圧にするようになっても、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の変化や悪化のおそれが無い程度に高圧にする。
【0038】
ECU10は、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0039】
ECU10は、エンジン2の停止時に、例えば、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とする。
【0040】
以上のように構成された本実施例に係る気体燃料供給システムによる始動時気体燃料供給処理について、
図2を参照して説明する。なお、以下に説明する始動時気体燃料供給処理は、エンジン2の始動要求により開始される。
【0041】
ステップS1において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。ステップS1の処理を実行した後、ECU10は、ステップS2の処理を実行する。
【0042】
ステップS2において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度より高いか否かを判定する。
【0043】
エンジン2の温度が所定温度より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS3の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS2の処理を実行する。
【0044】
ステップS3において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された圧力+αとする。ステップS3の処理を実行した後、ECU10は、ステップS4の処理を実行する。
【0045】
ステップS4において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とする。ステップS4の処理を実行した後、ECU10は、ステップS5の処理を実行する。
【0046】
ステップS5において、ECU10は、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いか否かを判定する。
【0047】
第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS6の処理を実行する。第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS5の処理を実行する。
【0048】
ステップS6において、ECU10は、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS6の処理を実行した後、ECU10は、ステップS7の処理を実行する。
【0049】
ステップS7において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時のガス圧とする。ステップS7の処理を実行した後、ECU10は、始動時気体燃料供給処理を終了する。
【0050】
本実施例に係る気体燃料供給システムによる停止時気体燃料供給処理について、
図3を参照して説明する。なお、以下に説明する停止時気体燃料供給処理は、エンジン2の停止要求により開始される。
【0051】
ステップS11において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とする。ステップS11の処理を実行した後、ECU10は、停止時気体燃料供給処理を終了する。
【0052】
このような本実施例における始動時気体燃料供給処理及び停止時気体燃料供給処理による動作について
図4を参照して説明する。
【0053】
時刻t1において、エンジン2が始動されると、第1遮断弁62が閉弁状態とされ、第2遮断弁82が開弁状態とされ、始動用気体燃料タンク9からCNGが減圧されることなく気体燃料インジェクタ3へ供給される。
【0054】
時刻t2において、エンジン温度が所定温度より高くなると、第1遮断弁62が開弁状態とされ、可変燃圧レギュレータ61の目標圧が第2圧力センサ81により検出された圧力+αとされる。これにより、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給されるとともに、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGが供給され、第2圧力センサ81により検出された圧力は上昇し、それに伴い可変燃圧レギュレータ61の目標圧も上昇する。
【0055】
時刻t3において、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くなると、第2遮断弁82は閉弁状態とされ、可変燃圧レギュレータ61の目標圧は通常運転時のガス圧とされ、通常運転状態となる。
【0056】
時刻t4において、エンジン2が停止されると、第1遮断弁62が閉弁状態とされ、第2遮断弁82が開弁状態とされ、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態となる。
【0057】
このように、本実施例では、ECU10は、エンジン2の始動時に、始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGを減圧せずに気体燃料インジェクタ3へ供給させる。
【0058】
これにより、エンジン2の始動時に始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGが減圧されないまま気体燃料インジェクタ3に供給されるため、気体燃料インジェクタ3の噴射口の凍結を防止して、エンジン2の動作不良を解消することができる。
【0059】
また、ECU10は、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合には、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0060】
これにより、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合に、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給されるため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の悪化を回避することができる。
【0061】
また、ECU10は、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させ、始動用気体燃料タンク9にCNGを充填させる。
【0062】
これにより、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGが供給され、始動用気体燃料タンク9にCNGが充填されるため、CNGを充填する構造を簡素にすることができる。
【0063】
また、ECU10は、エンジン2の温度が所定温度を超えたときに、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させながら、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させ、始動用気体燃料タンク9にCNGを充填させる。
【0064】
これにより、エンジン2の温度が所定温度を超えたときに、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給されながら、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGが供給され、始動用気体燃料タンク9にCNGが充填されるため、始動用気体燃料タンク9へCNGを早期に充填することができる。このため、エンジン2が停止した後で直ぐにエンジン2が再始動されても、始動用気体燃料タンク9から十分なCNGを供給することができる。
【0065】
また、ECU10は、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0066】
これにより、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給可能な状態とされ、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給不可能な状態とされるため、エンジン2の次回始動時にエンジン2が低温かどうかを判定することなくエンジン2を始動させることができる。
【0067】
また、通常運転用気体燃料タンク7に接続された第1配管6と、始動用気体燃料タンク9に接続された第2配管8と、第1配管6と第2配管8が合流接続されて気体燃料インジェクタ3に気体燃料を導く合流配管5と、第1配管6に設けられて、気体燃料の流通を遮断する第1遮断弁62と、第2配管8に設けられて、気体燃料の流通を遮断する第2遮断弁82と、を備える。
【0068】
これにより、始動用気体燃料タンク9のみから気体燃料インジェクタ3へ燃料供給する状態、通常運転用気体燃料タンク7のみから気体燃料インジェクタ3へ燃料供給する状態、及び通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ燃料供給しながら始動用気体燃料タンク9に燃料を充填する状態の中から選択したいずれか一つの状態にすることができる。
【0069】
本実施例の第1の他の態様としては、
図1におけるECU10は、エンジン2の始動時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させ、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合には、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0070】
ECU10は、エンジン2の始動時には、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。
【0071】
ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の冷却水の温度が所定温度を超えた場合には、第1遮断弁62を開弁状態とし、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0072】
ECU10は、エンジン2の停止時に、可変燃圧レギュレータ61により通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGを減圧して、始動用気体燃料タンク9へCNGを供給して始動用気体燃料タンク9にCNGを充填する。
【0073】
ECU10は、エンジン2の停止時に、第1遮断弁62及び第2遮断弁82を開弁状態とし、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力よりも少し高く(+α)することで、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させる。
【0074】
ECU10は、第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力が所定圧を超えた場合、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へのCNGの供給を止めさせるため、第1遮断弁62を閉弁状態とする。
【0075】
ECU10は、第1遮断弁62のみを閉弁状態とすることで、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0076】
以上のように構成された本実施例の第1の他の態様に係る気体燃料供給システムによる始動時気体燃料供給処理について、
図5を参照して説明する。なお、以下に説明する始動時気体燃料供給処理は、エンジン2の始動要求により開始される。
【0077】
ステップS21において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。ステップS21の処理を実行した後、ECU10は、ステップS22の処理を実行する。
【0078】
ステップS22において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度より高いか否かを判定する。
【0079】
エンジン2の温度が所定温度より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS23の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS22の処理を実行する。
【0080】
ステップS23において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時のガス圧とする。ステップS23の処理を実行した後、ECU10は、ステップS24の処理を実行する。
【0081】
ステップS24において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS24の処理を実行した後、ECU10は、始動時気体燃料供給処理を終了する。
【0082】
本実施例の第1の他の態様に係る気体燃料供給システムによる停止時気体燃料供給処理について、
図6を参照して説明する。なお、以下に説明する停止時気体燃料供給処理は、エンジン2の停止要求により開始される。
【0083】
ステップS31において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された圧力+αとする。ステップS31の処理を実行した後、ECU10は、ステップS32の処理を実行する。
【0084】
ステップS32において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とする。ステップS32の処理を実行した後、ECU10は、ステップS33の処理を実行する。
【0085】
ステップS33において、ECU10は、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いか否かを判定する。
【0086】
第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS34の処理を実行する。第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS33の処理を実行する。
【0087】
ステップS34において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とする。ステップS34の処理を実行した後、ECU10は、停止時気体燃料供給処理を終了する。
【0088】
このような本実施例の第1の他の態様における始動時気体燃料供給処理及び停止時気体燃料供給処理による動作について
図7を参照して説明する。
【0089】
時刻t11において、エンジン2が始動されると、第1遮断弁62が閉弁状態とされ、第2遮断弁82が開弁状態とされ、始動用気体燃料タンク9からCNGが減圧されることなく気体燃料インジェクタ3へ供給される。
【0090】
時刻t12において、エンジン温度が所定温度より高くなると、第1遮断弁62が開弁状態とされ、第2遮断弁82が閉弁状態とされ、可変燃圧レギュレータ61の目標圧は通常運転時のガス圧とされ、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給される通常運転状態となる。
【0091】
時刻t13において、エンジン2が停止されると、第1遮断弁62が開弁状態のまま、第2遮断弁82が開弁状態とされ、可変燃圧レギュレータ61の目標圧が第2圧力センサ81により検出された圧力+αとされる。これにより、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGが供給され、第2圧力センサ81により検出された圧力は上昇し、それに伴い可変燃圧レギュレータ61の目標圧も上昇する。
【0092】
時刻t14において、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くなると、第1遮断弁62は閉弁状態とされ、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態となる。
【0093】
このように、本実施例の第1の他の態様では、ECU10は、エンジン2の始動時に、始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGを減圧せずに気体燃料インジェクタ3へ供給させる。
【0094】
これにより、エンジン2の始動時に始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGが減圧されないまま気体燃料インジェクタ3に供給されるため、気体燃料インジェクタ3の噴射口の凍結を防止して、エンジン2の動作不良を解消することができる。
【0095】
また、ECU10は、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合には、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0096】
これにより、エンジン2の温度が所定温度を超えた場合に、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給されるため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の悪化を回避することができる。
【0097】
また、ECU10は、エンジン2の停止時に、可変燃圧レギュレータ61によって通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGを減圧して、始動用気体燃料タンク9へ減圧されたCNGを供給させて、始動用気体燃料タンク9へCNGを充填する。
【0098】
これにより、エンジン2の停止時に通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9にCNGを供給して始動用気体燃料タンク9へCNGを充填するため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の変化や悪化を回避することができる。
【0099】
また、ECU10は、始動用気体燃料タンク9へCNGを充填後に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0100】
これにより、始動用気体燃料タンク9へCNGを充填後に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給可能な状態となり、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給不可能な状態となるため、エンジン2の次回始動時にエンジン2が低温かどうかを判定することなくエンジン2を始動させることができる。
【0101】
本実施例の第2の他の態様としては、
図1におけるECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させ、エンジン2の温度が所定温度より高い場合には、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させる。
【0102】
ECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。
【0103】
ECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度より高い場合には、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とし、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0104】
ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の冷却水の温度が所定温度を超えた場合には、第1遮断弁62を開弁状態とし、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0105】
このとき、ECU10は、第2遮断弁82を開弁状態としておき、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力よりも少し高く(+α)することで、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させる。なお、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時よりも高圧にするようになっても、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の変化や悪化のおそれが無い程度に高圧にする。
【0106】
ECU10は、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0107】
ECU10は、エンジン2の停止時に、例えば、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とする。
【0108】
以上のように構成された本実施例の第2の他の態様に係る気体燃料供給システムによる始動時気体燃料供給処理について、
図8を参照して説明する。なお、以下に説明する始動時気体燃料供給処理は、エンジン2の始動要求により開始される。
【0109】
ステップS41において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度以下であるか否かを判定する。
【0110】
エンジン2の温度が所定温度以下であると判定した場合には、ECU10は、ステップS42の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度以下でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS49の処理を実行する。
【0111】
ステップS42において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。ステップS42の処理を実行した後、ECU10は、ステップS43の処理を実行する。
【0112】
ステップS43において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度より高いか否かを判定する。
【0113】
エンジン2の温度が所定温度より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS44の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS43の処理を実行する。
【0114】
ステップS44において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された圧力+αとする。ステップS44の処理を実行した後、ECU10は、ステップS45の処理を実行する。
【0115】
ステップS45において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とする。ステップS45の処理を実行した後、ECU10は、ステップS46の処理を実行する。
【0116】
ステップS46において、ECU10は、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いか否かを判定する。
【0117】
第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS47の処理を実行する。第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS46の処理を実行する。
【0118】
ステップS47において、ECU10は、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS47の処理を実行した後、ECU10は、ステップS48の処理を実行する。
【0119】
ステップS48において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時のガス圧とする。ステップS48の処理を実行した後、ECU10は、始動時気体燃料供給処理を終了する。
【0120】
ステップS49において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時のガス圧とする。ステップS49の処理を実行した後、ECU10は、ステップS50の処理を実行する。
【0121】
ステップS50において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS50の処理を実行した後、ECU10は、始動時気体燃料供給処理を終了する。
【0122】
本実施例の第2の他の態様に係る気体燃料供給システムによる停止時気体燃料供給処理について、
図9を参照して説明する。なお、以下に説明する停止時気体燃料供給処理は、エンジン2の停止要求により開始される。
【0123】
ステップS51において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS51の処理を実行した後、ECU10は、停止時気体燃料供給処理を終了する。
【0124】
このように、本実施例の第2の他の態様では、ECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させ、エンジン2の温度が所定温度より高い場合には、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させる。
【0125】
これにより、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGが減圧されないまま気体燃料インジェクタ3に供給されるため、気体燃料インジェクタ3の噴射口の凍結を防止して、エンジン2の動作不良を解消することができる。
【0126】
また、これにより、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度より高い場合に、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させるため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の悪化を回避することができる。
【0127】
また、ECU10は、エンジン2の温度が所定温度を超えたときに、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させながら、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させ、始動用気体燃料タンク9にCNGを充填させる。
【0128】
これにより、エンジン2の温度が所定温度を超えたときに、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGが供給されながら、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGが供給され、始動用気体燃料タンク9にCNGが充填されるため、始動用気体燃料タンク9へCNGを早期に充填することができる。このため、エンジン2が停止した後で直ぐにエンジン2が再始動されても、始動用気体燃料タンク9から十分なCNGを供給することができる。
【0129】
また、ECU10は、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給可能な状態とし、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGを供給不可能な状態とする。
【0130】
これにより、エンジン2の停止時に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給可能な状態とされ、かつ通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へCNGが供給不可能な状態とされるため、エンジン2の次回始動時にエンジン2が低温かどうかを判定することなくエンジン2を始動させることができる。
【0131】
本実施例の第3の他の態様としては、
図1におけるECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させ、エンジン2の温度が所定温度より高い場合には、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させる。
【0132】
ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の冷却水の温度が所定温度を超えた場合には、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とし、通常運転用気体燃料タンク7から気体燃料インジェクタ3へ可変燃圧レギュレータ61によって減圧されたCNGを供給させる。
【0133】
ECU10は、エンジン2の停止時に、可変燃圧レギュレータ61により通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGを減圧して、始動用気体燃料タンク9へCNGを供給して始動用気体燃料タンク9にCNGを充填する。
【0134】
ECU10は、エンジン2の停止時に、第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力が所定圧以下の場合、第1遮断弁62及び第2遮断弁82を開弁状態とし、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力よりも少し高く(+α)することで、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へCNGを供給させる。
【0135】
ECU10は、第2圧力センサ81により検出された始動用気体燃料タンク9の現在の圧力が所定圧を超えた場合、通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9へのCNGの供給を止めさせるため、第1遮断弁62及び第2遮断弁82を閉弁状態とする。
【0136】
以上のように構成された本実施例の第3の他の態様に係る気体燃料供給システムによる始動時気体燃料供給処理について、
図10を参照して説明する。なお、以下に説明する始動時気体燃料供給処理は、エンジン2の始動要求により開始される。
【0137】
ステップS61において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度以下であるか否かを判定する。
【0138】
エンジン2の温度が所定温度以下であると判定した場合には、ECU10は、ステップS62の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度以下でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS64の処理を実行する。
【0139】
ステップS62において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とし、始動用気体燃料タンク9からCNGを減圧させることなく気体燃料インジェクタ3へ供給させる。ステップS62の処理を実行した後、ECU10は、ステップS63の処理を実行する。
【0140】
ステップS63において、ECU10は、水温センサ21により検出されたエンジン2の温度が所定温度より高いか否かを判定する。
【0141】
エンジン2の温度が所定温度より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS64の処理を実行する。エンジン2の温度が所定温度より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS63の処理を実行する。
【0142】
ステップS64において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を通常運転時のガス圧とする。ステップS64の処理を実行した後、ECU10は、ステップS65の処理を実行する。
【0143】
ステップS65において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS65の処理を実行した後、ECU10は、始動時気体燃料供給処理を終了する。
【0144】
本実施例の第3の他の態様に係る気体燃料供給システムによる停止時気体燃料供給処理について、
図11を参照して説明する。なお、以下に説明する停止時気体燃料供給処理は、エンジン2の停止要求により開始される。
【0145】
ステップS71において、ECU10は、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧以下であるか否かを判定する。
【0146】
第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧以下であると判定した場合には、ECU10は、ステップS72の処理を実行する。第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧以下でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS75の処理を実行する。
【0147】
ステップS72において、ECU10は、可変燃圧レギュレータ61の目標圧を第2圧力センサ81により検出された圧力+αとする。ステップS72の処理を実行した後、ECU10は、ステップS73の処理を実行する。
【0148】
ステップS73において、ECU10は、第1遮断弁62を開弁状態とし、第2遮断弁82を開弁状態とする。ステップS73の処理を実行した後、ECU10は、ステップS74の処理を実行する。
【0149】
ステップS74において、ECU10は、第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いか否かを判定する。
【0150】
第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高いと判定した場合には、ECU10は、ステップS75の処理を実行する。第2圧力センサ81により検出された圧力が所定圧より高くないと判定した場合には、ECU10は、ステップS74の処理を実行する。
【0151】
ステップS75において、ECU10は、第1遮断弁62を閉弁状態とし、第2遮断弁82を閉弁状態とする。ステップS75の処理を実行した後、ECU10は、停止時気体燃料供給処理を終了する。
【0152】
このように、本実施例の第3の他の態様では、ECU10は、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から気体燃料インジェクタ3へCNGを減圧させることなく供給させ、エンジン2の温度が所定温度より高い場合には、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGを可変燃圧レギュレータ61によって減圧させる。
【0153】
これにより、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度以下である場合に、始動用気体燃料タンク9から供給されるCNGが減圧されないまま気体燃料インジェクタ3に供給されるため、気体燃料インジェクタ3の噴射口の凍結を防止して、エンジン2の動作不良を解消することができる。
【0154】
また、これにより、エンジン2の始動時に、エンジン2の温度が所定温度より高い場合に、気体燃料インジェクタ3へ供給するCNGが可変燃圧レギュレータ61によって減圧されるため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の悪化を回避することができる。
【0155】
また、ECU10は、エンジン2の停止時に、可変燃圧レギュレータ61によって通常運転用気体燃料タンク7から供給されるCNGを減圧して、始動用気体燃料タンク9へ減圧されたCNGを供給させて、始動用気体燃料タンク9へCNGを充填する。
【0156】
これにより、エンジン2の停止時に通常運転用気体燃料タンク7から始動用気体燃料タンク9にCNGを供給して始動用気体燃料タンク9へCNGを充填するため、エンジン2の性能、機能性、振動、騒音等の変化や悪化を回避することができる。
【0157】
なお、本実施例においては、エンジン2の温度としてエンジン2の冷却水の温度を用いたが、エンジン温度を、外気温、ソーク時間、始動後の運転時間等から計算で算出するようにしてもよい。
【0158】
また、本実施例においては、目標圧を設定可能な単体の可変燃圧レギュレータ61を用いたが、一定圧に減圧可能で、減圧可能な圧力が異なる複数のレギュレータで構成してもよい。
【0159】
本実施例では、各種センサ情報に基づきECU10が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0160】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。