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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151562
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20241018BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20241018BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20241018BHJP
   H03F 3/21 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F1/32
H03F3/68 220
H03F3/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065008
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】芦田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】地頭所 浩平
(72)【発明者】
【氏名】小田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔平
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC81
5J500AF10
5J500AK68
5J500NG01
5J500RG09
(57)【要約】
【課題】高周波出力信号の品質劣化が抑制されたドハティ増幅回路を含む高周波モジュールを提供する。
【解決手段】高周波モジュール1は、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された90°ハイブリッド回路11と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された結合器20と、90°ハイブリッド回路11またはキャリアアンプに入力される高周波信号、および、キャリアアンプのドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、キャリアアンプおよびピークアンプは集積回路71に含まれ、制御回路は集積回路72に含まれ、集積回路72は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で集積回路71と隣接配置されている。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
前記分波回路または前記キャリアアンプに入力される高周波信号、および、前記キャリアアンプのドライブレベルを示す信号に基づいて、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、
高周波モジュール。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記キャリアアンプの出力端に接続され、前記キャリアアンプのドライブレベルを表す信号を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路と、
前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端と前記ドライブレベル検出回路とに接続され、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号を前記ピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路と、を備える、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記第1集積回路は、前記ピークアンプのバイアス回路に接続された第1外部接続端子を有し、
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路に接続された第2外部接続端子を有し、
前記第1集積回路および前記第2集積回路のそれぞれは、前記モジュール基板の平面視において矩形形状を有し、
前記モジュール基板の平面視において、前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とを結ぶ仮想直線は、最近接で対向している前記第1集積回路および前記第2集積回路の外辺と垂直である、
請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とを接続する第1配線は、直線形状であり、前記モジュール基板に形成されている、
請求項3に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記ドライブレベル検出回路と前記ピークバイアス制御回路とは、前記第2集積回路内で隣接配置される、
請求項3に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
さらに、
前記キャリアアンプの出力端に接続され、前記キャリアアンプのドライブレベルを表す信号を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路を備え、
前記制御回路は、
前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端と前記ドライブレベル検出回路とに接続され、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号を前記ピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路を備える、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路は、前記ドライブレベル検出回路を含み、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板の平面視において、前記ドライブレベル検出回路は、前記キャリアアンプと前記第2集積回路との間に配置される、
請求項6に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路に接続された第3外部接続端子を有し、
前記高周波モジュールに入力される高周波信号は、前記第3外部接続端子を経由して前記分波回路に入力される、
請求項2~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
さらに、
前記分波回路の入力端に接続された方向性結合器を備え、
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路および前記方向性結合器に接続された第3外部接続端子を有する、
請求項2~7のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、
前記制御回路の第1入力端は、前記キャリアアンプの入力端に接続され、
前記制御回路の第2入力端は、前記キャリアアンプのバイアス回路に接続され、
前記制御回路の出力端は、前記ピークアンプのバイアス回路に接続され、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、
高周波モジュール。
【請求項12】
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、
請求項11に記載の高周波モジュール。
【請求項13】
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
制御回路と、を備え、
前記制御回路の第1入力端は、前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端に接続され、
前記制御回路の第2入力端は、前記キャリアアンプの出力端に接続され、
前記制御回路の出力端は、前記ピークアンプに接続され、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、
高周波モジュール。
【請求項14】
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、
請求項13に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
高効率な電力増幅回路として、ドハティ(Doherty)増幅回路が知られている。ドハティ増幅回路は、一般的に、入力信号の電力レベルにかかわらず動作するキャリアアンプと、高周波入力信号の電力レベルが小さい場合はオフとなり、大きい場合にオンとなるピークアンプとが並列に接続された構成である。上記構成では、高周波入力信号の電力レベルが大きい場合、キャリアアンプが飽和出力電力レベルで飽和を維持しながら動作する。これにより、ドハティ増幅回路は、通常の電力増幅回路に比べて効率を向上させることができる。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、キャリアアンプの飽和をキャリアアンプのバイアス回路を介して検出し、検出信号に応じてピークアンプのバイアス回路を制御するものである。特許文献2に記載の技術は、キャリアアンプの飽和をキャリアアンプの出力信号によって検出し、検出信号に応じてピークアンプのバイアス回路を制御するものである。特許文献3に記載の技術は、ドハティ増幅回路に入力される高周波入力信号レベルまたはキャリアアンプに入力される高周波入力信号レベルに応じて、ピークアンプのバイアス回路を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0241209号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0028472号明細書
【特許文献3】特開2019-41277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載の技術では、負荷変動に応じてピークアンプのバイアス回路を制御できるが、バイアス信号に応じてピークアンプをオンオフさせるタイミングがずれ、ドハティ増幅回路の高周波出力信号の品質が劣化する場合がある。また、特許文献3記載の技術は、負荷変動に応じたピークアンプのバイアス回路の制御は困難であり、ドハティ増幅回路から出力される高周波出力信号の品質が劣化する場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高周波出力信号の品質劣化が抑制されたドハティ増幅回路を含む高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された分波回路と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された合成回路と、分波回路またはキャリアアンプに入力される高周波信号、および、キャリアアンプのドライブレベルを示す信号に基づいて、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、キャリアアンプおよびピークアンプは、第1集積回路に含まれ、制御回路は、第2集積回路に含まれ、第2集積回路は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で第1集積回路と隣接配置されている。
【0008】
また、本発明の一態様に係る高周波モジュールは、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された分波回路と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された合成回路と、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、制御回路の第1入力端は、キャリアアンプの入力端に接続され、制御回路の第2入力端は、キャリアアンプのバイアス回路に接続され、制御回路の出力端は、ピークアンプのバイアス回路に接続され、キャリアアンプおよびピークアンプは、第1集積回路に含まれ、制御回路は、第2集積回路に含まれ、第2集積回路は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で第1集積回路と隣接配置されている。
【0009】
また、本発明の一態様に係る高周波モジュールは、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された分波回路と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された合成回路と、制御回路と、を備え、制御回路の第1入力端は、分波回路の入力端またはキャリアアンプの入力端に接続され、制御回路の第2入力端は、キャリアアンプの出力端に接続され、制御回路の出力端は、ピークアンプに接続され、キャリアアンプおよびピークアンプは、第1集積回路に含まれ、制御回路は、第2集積回路に含まれ、第2集積回路は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で第1集積回路と隣接配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高周波出力信号の品質劣化が抑制されたドハティ増幅回路を含む高周波モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る高周波モジュールの回路構成図である。
図2】実施の形態に係る高周波モジュールの高周波入力信号とピークバイアス制御回路が出力する制御信号との関係の一例を示す模式図である。
図3】実施の形態に係るピークバイアス制御回路、ドライブレベル検出回路およびバイアス回路の回路構成図である。
図4A】実施の形態に係る高周波モジュールの平面図である。
図4B】実施の形態に係る高周波モジュールの断面図である。
図5】実施の形態の変形例1に係る高周波モジュールの回路構成図である。
図6】実施の形態の変形例1に係る高周波モジュールの平面図である。
図7】実施の形態の変形例2に係る高周波モジュールの平面図である。
図8】実施の形態の変形例3に係る高周波モジュールの回路構成図である。
図9】実施の形態の変形例3に係る高周波モジュールの平面図である。
図10】実施の形態の変形例4に係る高周波モジュールの平面図である。
図11】実施の形態の変形例5に係る高周波モジュールの回路構成図である。
図12】実施の形態の変形例6に係る高周波モジュールの回路構成図である。
図13】実施の形態の変形例6に係る高周波モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0013】
なお、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡素化される場合がある。
【0014】
以下の各図において、x軸およびy軸は、基板の主面と平行な平面上で互いに直交する軸である。具体的には、平面視において基板が矩形状を有する場合、x軸は、基板の第1辺に平行であり、y軸は、基板の第1辺と直交する第2辺に平行である。また、z軸は、基板の主面に垂直な軸であり、その正方向は上方向を示し、その負方向は下方向を示す。
【0015】
本発明の部品配置において、「基板の平面視」とは、z軸正側からxy平面に物体を正投影して見ることを意味する。「Aは平面視においてBと重なる」とは、xy平面に正投影されたAの領域の少なくとも一部が、xy平面に正投影されたBの領域の少なくとも一部と重なることを意味する。また、「AがBおよびCの間に配置される」とは、B内の任意の点とC内の任意の点とを結ぶ複数の線分のうちの少なくとも1つがAを通ることを意味する。
【0016】
本発明の部品配置において、「部品が基板に配置される」とは、部品が基板の主面上に配置されること、および、部品が基板内に配置されることを含む。「部品が基板の主面上に配置される」とは、部品が基板の主面に接触して配置されることに加えて、部品が主面と接触せずに当該主面の上方に配置されること(例えば、部品が主面と接触して配置された他の部品上に積層されること)を含む。また、「部品が基板の主面上に配置される」は、主面に形成された凹部に部品が配置されることを含んでもよい。「部品が基板内に配置される」とは、部品がモジュール基板内にカプセル化されることに加えて、部品の全部が基板の両主面の間に配置されているが部品の一部が基板に覆われていないこと、および、部品の一部のみが基板内に配置されていることを含む。
【0017】
本開示の回路構成において、「接続される」とは、接続端子および/または配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「AおよびBの間に接続される」とは、AおよびBの間でAおよびBの両方に接続されることを意味する。
【0018】
また、本開示において、「部品(素子)Aが経路Bに直列配置される」とは、部品(素子)Aの信号入力端および信号出力端の双方が、経路Bを構成する配線、電極、または端子に接続されていることを意味する。
【0019】
また、本発明の部品配置において、「AがBに隣接配置される」とは、AとBとが近接配置されていることを表し、具体的にはAがBと対面する空間に他の回路部品が存在しないことを意味する。言い換えると、「AがBに隣接配置される」とは、AのBに対面する表面上の任意の点から当該表面の法線方向に沿ってBに到達する複数の線分のいずれもが、AおよびB以外の回路部品を通らないことを意味する。ここで、回路部品とは、能動素子および/または受動素子を含む部品を意味する。つまり、回路部品には、トランジスタまたはダイオード等を含む能動部品、および、インダクタ、トランスフォーマ、キャパシタまたは抵抗等を含む受動部品が含まれ、端子、コネクタまたは配線等を含む電気機械部品が含まれない。
【0020】
本発明において、「端子」とは、要素内の導体が終了するポイントを意味する。なお、要素間の導体のインピーダンスが十分に低い場合には、端子は、単一のポイントだけでなく、要素間の導体上の任意のポイントまたは導体全体と解釈される。
【0021】
また、「平行」および「垂直」などの要素間の関係性を示す用語、および、「矩形」などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差をも含むことを意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1 高周波モジュール1の回路構成]
本実施の形態に係る高周波モジュール1の回路構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る高周波モジュール1の回路構成図である。
【0023】
なお、図1は、例示的な回路構成であり、高周波モジュール1は、多種多様な回路実装および回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール1の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0024】
図1に示すように、高周波モジュール1は、キャリアアンプ12および13と、ピークアンプ16および17と、90°ハイブリッド回路11と、結合器20と、ピークバイアス制御回路22と、ドライブレベル検出回路23と、バイアス回路14、15、18および19と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。上記構成により、高周波モジュール1は、ドハティ増幅回路を構成している。
【0025】
なお、ドハティ増幅回路とは、複数の増幅素子をキャリアアンプおよびピークアンプとして用いることで高効率を実現する増幅回路を意味する。キャリアアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波入力信号の電力が低くても高くても動作する増幅素子を意味する。ピークアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波入力信号の電力が高い場合に主として動作する増幅素子を意味する。したがって、高周波入力信号の電力が低い場合は、高周波入力信号は主としてキャリアアンプで増幅され、高周波入力信号の電力が高い場合には、高周波入力信号はキャリアアンプおよびピークアンプで増幅され合成される。このような動作により、ドハティ型の増幅回路では、低出力電力においてキャリアアンプからみた負荷インピーダンスが増大し、低出力電力における効率が向上する。
【0026】
キャリアアンプ12は、初段(ドライブ段)に配置されたキャリアアンプであり、キャリアアンプ12に入力される高周波入力信号を増幅する。キャリアアンプ13は、最終段(パワー段)に配置されたキャリアアンプであり、キャリアアンプ13に入力される高周波入力信号を増幅する。
【0027】
キャリアアンプ12および13は、高周波入力信号の全ての電力レベルに対して増幅動作可能なA級(またはAB級)増幅回路であり、特に、低出力領域および中出力領域において高効率な増幅動作が可能である。
【0028】
ピークアンプ16は、初段(ドライブ段)に配置されたピークアンプであり、ピークアンプ16に入力される高周波入力信号を増幅する。ピークアンプ17は、最終段(パワー段)に配置されたピークアンプであり、ピークアンプ17に入力される高周波入力信号を増幅する。
【0029】
ピークアンプ16および17は、高周波入力信号の電力レベルが高い領域で増幅動作可能なC級増幅回路である。本実施の形態では、ピークアンプ16および17には、高周波入力信号の電力レベルが低い領域では、バイアス電圧の供給はされず(オフ状態となり)、高周波入力信号の電力レベルが高い領域では、バイアス電圧が供給される(オン状態となる)。ピークアンプ16および17へのバイアス電圧のオンオフのタイミングは、ピークバイアス制御回路22から出力される制御信号S2により制御される。
【0030】
なお、ピークアンプ16および17が有する増幅トランジスタには、キャリアアンプ12および13が有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電流よりも小さいバイアス電圧が印加されていてもよい。これによれば、ピークアンプ16および17に入力される信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ16および17は、高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。
【0031】
なお、上記ドハティ増幅回路の段数は2段としたが、本開示はこれに限定されない。ドハティ増幅回路の段数は、1段であってもよいし、3段以上であってもよい。
【0032】
90°ハイブリッド回路11は、分波回路の一例であり、キャリアアンプ12の入力端およびピークアンプ16の入力端に接続される。90°ハイブリッド回路11は、高周波信号RF1を、互いに位相が略90°異なる高周波信号RF2およびRF5に分波し、高周波信号RF2をキャリアアンプ12に出力し、高周波信号RF5をピークアンプ16に出力する。なお、「略90°」とは、90°の位相のみではなく、90°±45°の位相をも含むものとする。
【0033】
なお、90°ハイブリッド回路11の入力側に、プリアンプが配置されていてもよい。
【0034】
高周波信号RF5の位相は、例えば高周波信号RF2より90°遅れる。また例えば、高周波信号RF2の電力と高周波信号RF5の電力とは等しい。
【0035】
バイアス回路14は、キャリアアンプ12にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路15は、キャリアアンプ13にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。キャリアアンプ12は、高周波信号RF2を増幅し、増幅された高周波信号RF3をキャリアアンプ13に出力する。キャリアアンプ13は、高周波信号RF3を増幅し、増幅された高周波信号RF4を結合器20に出力する。
【0036】
バイアス回路18は、ピークバイアス制御回路22から出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ16にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路19は、ピークバイアス制御回路22から出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ17にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。ピークアンプ16は、高周波信号RF5を増幅し、増幅された高周波信号RF6をピークアンプ17に出力する。ピークアンプ17は、高周波信号RF6を増幅し、増幅された高周波信号RF7を結合器20に出力する。
【0037】
結合器20は、合成回路の一例であり、キャリアアンプ13の出力端およびピークアンプ17の出力端に接続され、高周波信号RF4と高周波信号RF7とを合成する。高周波信号RF4と高周波信号RF7とを電流合成する場合には、結合器20は、例えば、キャリアアンプ13と高周波出力端子102との間に接続された位相シフタを有する。上記位相シフタは、キャリアアンプ13の高周波信号RF4を90°遅らせる。また、高周波信号RF4と高周波信号RF7とを電圧合成する場合には、結合器20は、例えば、ピークアンプ17と高周波出力端子102との間に接続された位相シフタと、当該位相シフタおよびキャリアアンプ13の出力端に接続されたトランスフォーマと、を有する。上記移シフタは、ピークアンプ17の高周波信号RF7を90°遅らせる。上記トランスフォーマは、例えば、一次側コイルの両端が上記位相シフタおよびキャリアアンプ13の出力端にそれぞれ接続され、二次側コイルの両端が高周波出力端子102およびグランドにそれぞれ接続される。
【0038】
ドライブレベル検出回路23は、キャリアアンプ13の出力端に接続され、キャリアアンプ13が出力する高周波信号RF4に基づいて、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1を、ピークバイアス制御回路22に出力するよう構成される。これにより、ドライブレベル検出回路23は、例えば、高周波信号RF4の電圧振幅(または電流振幅)の瞬時最小値を検出する。瞬時最小値が小さいほど、高周波信号RF4の電力(振幅)は大きいと判断される。
【0039】
なお、ドライブレベル検出回路23は、キャリアアンプ13の出力端に代えてバイアス回路15に接続され、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1を、ピークバイアス制御回路22に出力するよう構成されてもよい。
【0040】
また、信号S1は、キャリアアンプ13のドライブレベルに相補的に変化する信号(反転信号)であってもよい。
【0041】
ピークバイアス制御回路22は、制御回路に含まれ、キャリアアンプ12の入力端とドライブレベル検出回路23とに接続され、キャリアアンプ12に入力される高周波信号RF2、および、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18および19に出力するよう構成される。なお、バイアス電圧の閾値とは、ピークアンプ16および17が増幅動作を開始するときの高周波モジュール1への高周波入力信号RFinの電力値であり、例えば、ピークアンプ16および17へのバイアス電圧の供給を開始する(バイアス電圧を立ち上げる)ときの高周波入力信号RFinの電力値である。
【0042】
なお、ピークバイアス制御回路22は、キャリアアンプ12の入力端に代えて90°ハイブリッド回路11の入力端に接続されてもよい。この場合、ピークバイアス制御回路22は、高周波信号RF1および信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18および19に出力するよう構成される。
【0043】
また、制御信号S2は、バイアス回路18および19のうちのバイアス回路18のみに供給されてもよい。
【0044】
[2 ピークバイアス制御回路22のバイアス制御]
図2は、実施の形態に係る高周波モジュール1の高周波入力信号RFinとピークバイアス制御回路22が出力する制御信号S2との関係の一例を示す模式図である。同図において、横軸は高周波入力信号RFinの電力を表し、縦軸はピークバイアス制御回路22が出力する制御信号S2の強度(電圧)を表す。
【0045】
ピークバイアス制御回路22は、信号S1に応じて、制御信号S2の立ち上がり点を異ならせる。波形31は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に低い(瞬時最小値が相対的に大きい)場合の、高周波入力信号RFinの電力と制御信号S2の強度との関係を示す。波形32は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に中間の(瞬時最小値が相対的に中間の)場合の、高周波入力信号RFinの電力と制御信号S2の強度との関係を示す。波形33は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に高い(瞬時最小値が相対的に小さい)場合の、高周波入力信号RFinの電力と制御信号S2の強度との関係を示す。
【0046】
なお、本実施の形態では、制御信号S2の強度(電圧)が相対的に低い場合には、バイアス回路18および19から出力されるバイアス電圧は相対的に小さく、制御信号S2の強度(電圧)が相対的に高い場合には、バイアス回路18および19から出力されるバイアス電圧は相対的に大きいことを意味する。
【0047】
ピークバイアス制御回路22は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に低い(瞬時最小値が相対的に大きい)場合、波形31に示すように、高周波入力信号RFinの電力が閾値Aになると、制御信号S2を立ち上げる。これに対応させて、バイアス回路18および19は、例えば、高周波入力信号RFinの電力が閾値A以上の範囲では、高周波入力信号RFinの電力が大きいほどバイアス電圧を大きくする。
【0048】
また、ピークバイアス制御回路22は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に中間の(瞬時最小値が相対的に中間の)場合、波形32に示すように、高周波入力信号RFinの電力が閾値B(B<A)になると、制御信号S2を立ち上げる。これに対応させて、バイアス回路18および19は、例えば、高周波入力信号RFinの電力が閾値B以上の範囲では、高周波入力信号RFinの電力が大きいほどバイアス電圧を大きくする。
【0049】
また、ピークバイアス制御回路22は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に高い(瞬時最小値が相対的に小さい)場合、波形33に示すように、高周波入力信号RFinの電力が閾値C(C<B)になると、制御信号S2を立ち上げる。これに対応させて、バイアス回路18および19は、例えば、高周波入力信号RFinの電力が閾値C以上の範囲では、高周波入力信号RFinが大きいほどバイアス電圧を大きくする。
【0050】
つまり、ピークバイアス制御回路22は、高周波信号RF2(または高周波入力信号RFin)、および、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16および/またはピークアンプ17のバイアス電圧の閾値を可変するように構成されている。
【0051】
例えば、ピークバイアス制御回路22は、大きな電力の高周波入力信号RFinが入力された場合に、制御信号S2をバイアス回路18および19に出力することにより、バイアス回路18および19から所定のバイアス電圧を出力させることで、ピークアンプ16および17を起動させる。これにより、キャリアアンプ12および13が飽和することを抑制できる。
【0052】
本実施の形態に係るピークバイアス制御回路22は、高周波入力信号RFinを検知することでバイアス電圧をフィードフォワード制御するので、キャリアアンプの飽和を検知する従来の構成と比べて、格段に高速に応答できる。したがって、ピークバイアス制御回路22は、高周波入力信号RFinの電力が短時間で上昇した場合であっても、即座に応答して、バイアス回路18および19からバイアス電圧を供給することでピークアンプ16および17を高速に起動させることができ、また、キャリアアンプ12および13を瞬間的にも飽和させることを抑制できる。
【0053】
ただし、温度およびその他の周辺環境が変化した場合(例えば、負荷インピーダンスの変動、または、極低温でキャリアアンプ12および13の利得が上昇した場合等)では、キャリアアンプ12および13が、高周波入力信号RFinの電力が小さくても飽和してしまう場合があり得る。
【0054】
これに対して、本実施の形態に係るピークバイアス制御回路22は、上記のような場合にも対応できるように、キャリアアンプ12および13のドライブレベルを表す信号S1を検知することでバイアス電圧をフィードバック制御するので、キャリアアンプ12および13が飽和に近い場合には、高周波入力信号RFinの電力が小さくてもピークアンプ16および17を起動させることが可能である。
【0055】
つまり、ピークバイアス制御回路22は、高周波信号RF2(または高周波入力信号RFin)ならびに信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値(A、B、C)を可変するように構成される。
【0056】
これによれば、本実施の形態に係るピークバイアス制御回路22は、高周波信号RF2(または高周波入力信号RFin)を検知するので、キャリアアンプ12および13のドライブレベルを検知するのに時間を要したとしても、キャリアアンプ12および13を飽和させることなく、バイアス回路18および19から所定のバイアス電圧を供給することでピークアンプ16および17を起動させることができる。これにより、上記ドハティ増幅回路を含む高周波モジュール1では、高周波出力信号の品質劣化を抑制することが可能となる。
【0057】
[3 ピークバイアス制御回路、ドライブレベル検出回路およびバイアス回路の回路構成例]
次に、本実施の形態に係るピークバイアス制御回路22、ドライブレベル検出回路23、バイアス回路18および19の回路構成について説明する。図3は、実施の形態に係るピークバイアス制御回路22、ドライブレベル検出回路23、バイアス回路18および19の回路構成図である。同図には、ピークバイアス制御回路22、ドライブレベル検出回路23、バイアス回路18および19のほか、定電流回路41A、ローパスフィルタ42および43が示されている。なお、定電流回路41A、ローパスフィルタ42および43はなくてもよい。
【0058】
ピークバイアス制御回路22は、トランジスタQDE1及およびQDE2と、抵抗RDEE1およびRDEE2と、を含む。
【0059】
なお、本開示では、各トランジスタは、バイポーラトランジスタとするが、各トランジスタはこれに限定されない。バイポーラトランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:HBT)が例示されるが、本開示はこれに限定されない。トランジスタは、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)であってもよい。また、トランジスタは、複数の単位トランジスタを電気的に並列接続した、マルチフィンガートランジスタであってもよい。単位トランジスタとは、トランジスタが構成される最小限の構成を言う。
【0060】
トランジスタQDE1のコレクタは、電源(Vcc)に電気的に接続されている。トランジスタQDE1のエミッタは、抵抗RDEE1の一端に電気的に接続されている。トランジスタQDE1および抵抗RDEE1は、エミッタフォロワ回路22aを構成する。
【0061】
なお、ピークバイアス制御回路22は、エミッタフォロワ回路22aに代えて、ソースフォロワ回路を含んでもよい。
【0062】
トランジスタQDE2のコレクタは、電源(Vcc)に接続されている。トランジスタQDE2のエミッタは、抵抗RDEE2の一端に接続されている。トランジスタQDE2および抵抗RDEE2は、エミッタフォロワ回路22bを構成する。
【0063】
なお、ピークバイアス制御回路22は、エミッタフォロワ回路22bに代えて、ソースフォロワ回路を含んでもよい。
【0064】
抵抗RDEE1の他端と抵抗RDEE2の他端とは接続されている。エミッタフォロワ回路22aの出力電流とエミッタフォロワ回路22bの出力電流との和が、ピークバイアス制御回路22の出力電流I1となる。
【0065】
抵抗RDEBB、RDEB1およびRDEB2、ならびに、トランジスタQDE5、QDE6およびQDE7は、トランジスタQDE1およびQDE2のベースに、バイアス電圧を与える。
【0066】
抵抗RDEBBの一端と抵抗RDEB1の一端と抵抗RDEB2の一端とは接続されている。
【0067】
抵抗RDEBBの他端は、トランジスタQDE7のコレクタおよびベースに接続されている。つまり、トランジスタQDE7はダイオード接続されている。トランジスタQDE7のエミッタはトランジスタQDE6のコレクタおよびベースに接続されている。つまり、トランジスタQDE6はダイオード接続されている。トランジスタQDE6のエミッタはトランジスタQDE5のコレクタおよびベースに接続されている。つまり、トランジスタQDE5はダイオード接続されている。トランジスタQDE5のエミッタは基準電位に接続されている。基準電位は接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0068】
抵抗RDEBBの一端、抵抗RDEB1の一端および抵抗RDEB2の一端には、バイアス電流BIASが入力される。抵抗RDEBB、トランジスタQDE7、トランジスタQDE6およびトランジスタQDE5は、一定の電圧を生じる。この電圧が、抵抗RDEB1を介してトランジスタQDE1のベースに入力されると共に、抵抗RDEB2を介してトランジスタQDE2のベースに入力される。
【0069】
トランジスタQDE3およびQDE4の各々は、トランジスタQDE5とカレントミラー接続されている。トランジスタQDE3のコレクタはトランジスタQDE1のベースに接続されている。これにより、トランジスタQDE3は、トランジスタQDE1のベース電流を調整可能である。トランジスタQDE4のコレクタはトランジスタQDE2のベースに接続されている。これにより、トランジスタQDE4は、トランジスタQDE2のベース電流を調整可能である。
【0070】
なお、本回路構成例では、トランジスタQDE1のベースおよびトランジスタQDE2のベースには、高周波信号RF2を差動信号に変換した高周波信号INおよびINが、各々入力される。高周波信号IN及びINは、例えば、高周波信号RF2をバランに入力することにより得ることができる。
【0071】
抵抗RDEE1の他端および抵抗RDEE2の他端は、定電流回路41Aに接続されている。定電流回路41Aは、トランジスタQDE11を含む。定電流回路41Aは、ピークバイアス制御回路22の電流バイアス回路である。
【0072】
ドライブレベル検出回路23は、抵抗RMO4と、定電圧源VMO1、VMO2およびVMO3と、トランジスタQMO1およびQMO2と、コンデンサCMO1と、を含む。
【0073】
本回路構成例では、キャリアアンプ13(図1参照)は、差動増幅器であるものとし、一対の差動信号を構成する高周波信号RF41およびRF42を出力するものとする。
【0074】
トランジスタQMO1のエミッタには高周波信号RF41が入力される。トランジスタQMO1のエミッタは、キャリアアンプ13内の一方の増幅器の出力端子(出力トランジスタのコレクタまたはドレイン)に接続されることが例示される。
【0075】
トランジスタQMO2のエミッタには高周波信号RF42が入力される。トランジスタQMO2のエミッタは、キャリアアンプ13内の他方の増幅器の出力端子(出力トランジスタのコレクタまたはドレイン)に接続されることが例示される。
【0076】
トランジスタQMO1のベースおよびトランジスタQMO2のベースは、ノードN3に接続されている。トランジスタQMO1のコレクタおよびトランジスタQMO2のコレクタは、ノードN4に接続されている。
【0077】
定電圧源VMO1は、ノードN3に電圧を与える。つまり、定電圧源VMO1は、トランジスタQMO1のベースおよびトランジスタQMO2のベースにバイアスを供給する。
【0078】
抵抗RMO4および定電圧源VMO2は、ノードN4に電圧を与える。つまり、抵抗RMO4および定電圧源VMO2は、トランジスタQMO1のコレクタおよびトランジスタQMO2のコレクタにバイアスを供給する。
【0079】
定電圧源VMO3の一端はノードN4に接続され、定電圧源VMO3の他端はコンデンサCMO1の一端に接続されている。コンデンサCMO1の他端は基準電位に接続されている。
【0080】
定電圧源VMO3は、信号S1を他端から出力する。コンデンサCMO1は、信号S1の高周波成分をシャントし、平滑化させる。
【0081】
なお、定電圧源VMO1およびVMO2のそれぞれは、抵抗およびトランジスタで構成され、おおよそ一定の電圧を出力できればよい。また、定電圧源VMO3は、ダイオード接続されたトランジスタで構成され、おおよそ一定の電圧降下を生じればよい。
【0082】
定電流回路41Aは、トランジスタQDE11を含む。
【0083】
ローパスフィルタ43は、抵抗RLPFおよびコンデンサCLPFを含む。抵抗RLPFの一端は定電圧源VMO3の他端に接続されている。抵抗RLPFの他端はコンデンサCLPFの一端およびトランジスタQDE11のベースに接続されている。コンデンサCLPFの他端は基準電位に接続されている。ローパスフィルタ43は、信号S1を低域通過させて、トランジスタQDE11のベースに出力する。
【0084】
ローパスフィルタ42は、コンデンサCenvを含む。コンデンサCenvの一端は、抵抗RDEE1の他端、抵抗RDEE2の他端およびトランジスタQDE11のコレクタに電気的に接続されている。コンデンサCenvの他端は基準電位に接続されている。
【0085】
コンデンサCenvは、ピークバイアス制御回路22の出力電流I1と、トランジスタQDE11のコレクタ電流I2と、の差によって充電または放電される。コンデンサCenvの電圧が、制御信号S2(の電圧)である。コンデンサCenvは、制御信号S2の高周波成分(例えば、キャリア周波数信号成分)を基準電位に終端して除去し、低周波成分だけを通過させる。これにより、コンデンサCenvは、後段のバイアス回路18および19、ならびに、バイアス供給対象トランジスタ(増幅トランジスタ)に適切にバイアスが掛かるようにできる。
【0086】
バイアス回路18は、トランジスタQDE8、QDE9およびQDE10を含む。なお、バイアス回路19(図1参照)の回路構成は、バイアス回路18の回路構成と同様であるので、説明を省略する。
【0087】
トランジスタQDE9はダイオード接続されている。トランジスタQDE9のコレクタおよびベースは、コンデンサCenvの一端に電気的に接続されている。トランジスタQDE9のエミッタはトランジスタQDE8のコレクタおよびベースに接続されている。トランジスタQDE8はダイオード接続されている。トランジスタQDE8のエミッタは基準電位に接続されている。トランジスタQDE9およびQDE8には、コンデンサCenvの電圧に応じた電流が流れる。
【0088】
トランジスタQDE10のコレクタは、電源(Vcc)に接続されている。トランジスタQDE10のベースは、トランジスタQDE9のコレクタおよびベースに接続されている。トランジスタQDE10のエミッタ電圧が、バイアス電圧BIAS16(BIAS17)として、ピークアンプ16(17)に出力される。
【0089】
以下、ドライブレベル検出回路23およびピークバイアス制御回路22の動作について説明する。
【0090】
最終段のキャリアアンプ13の出力端電圧は、バイアス電圧を中心として高周波信号RF4の電圧振幅で振動している。キャリアアンプ13が飽和するとき、高周波信号RF4の電圧振幅が大きくなってバイアス電圧とほぼ同等となる状況が発生する。このとき、高周波信号RF4の瞬時最小値が0Vに近づく瞬間が発生する。この瞬間は、増幅作用が得られていない瞬間であり、増幅器の飽和という現象に結び付く。本回路構成例では、この飽和の原理を利用し、キャリアアンプ13のドライブレベルを検知している。
【0091】
具体的には、高周波信号RF41およびRF42の周期の内で、高周波信号RF41およびRF42の電圧が、定電圧源VMO1の電圧からトランジスタQMO1及びQMO2の閾値電圧分の電圧降下を差し引いた電圧よりも低くなった期間だけ、トランジスタQMO1およびQMO2がオン状態となる。
【0092】
キャリアアンプ13が飽和に対し十分余裕をもって動作しているとき、トランジスタQMO1およびQMO2はオン状態になる期間がないので、コレクタ電流が流れない。そのため、抵抗RMO4には電流が流れないので、電圧降下を生じない。したがって、信号S1は、定電圧源VMO2の電圧から定電圧源VMO3の電圧を差し引いた電圧となる。
【0093】
一方、高周波信号RF41およびRF42の振幅が大きくなると、トランジスタQMO1およびQMO2はオン状態になる期間が発生するので、コレクタ電流が流れる。そのため、抵抗RMO4には電流が流れるので、電圧降下を生じる。
【0094】
高周波信号RF41およびRF42の振幅が更に大きくなると、トランジスタQMO1およびQMO2はオン状態になる期間が長くなるので、より多くのコレクタ電流が流れる。そのため、抵抗RMO4には、より多くの電流が流れるので、より大きな電圧降下を生じる。
【0095】
したがって、信号S1は、キャリアアンプ13のドライブレベルが高くなるにつれて、高周波信号RF41およびRF42が小信号時の電圧から抵抗RMO4での電圧降下分だけ下がった電圧となる。この信号S1は、キャリアアンプ13のドライブレベルに相補的に変化する信号(反転信号)とみなすことができる。
【0096】
一方、ピークバイアス制御回路22において、トランジスタQDE1は、高周波信号INがトランジスタQDE1の閾値電圧以上の場合にオン状態になりエミッタ電流を出力する。トランジスタQDE2は、高周波信号INがトランジスタQDE2の閾値電圧以上の場合にオン状態になりエミッタ電流を出力する。つまり、高周波信号IN及びIN(高周波信号RF2)の振幅が大きいほど、ピークバイアス制御回路22の出力電流は大きくなる。また、高周波信号IN及びIN(高周波信号RF2)の振幅が小さいほど、ピークバイアス制御回路22の出力電流は小さくなる。
【0097】
また、ドライブレベル検出回路23の動作で説明したように、信号S1は、キャリアアンプ13のドライブレベルが高くなるにつれて小さくなり、キャリアアンプ13のドライブレベルが高くなるにつれて大きくなる。
【0098】
つまり、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に高い(飽和に近い)ほど、トランジスタQDE11のコレクタ電流I2が小さくなる。また、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に低い(増幅率が低減している)ほど、トランジスタQDE11のコレクタ電流I2が大きくなる。
【0099】
以上を総合すると、コンデンサCenvの電圧は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に高い(飽和に近い)ほど、高くなりやすくなる。また、コンデンサCenvの電圧は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に低い(増幅率が低減している)ほど、高くなりづらくなる。また、コンデンサCenvの電圧は、高周波信号RF2の電力が大きいほど、高くなりやすくなる。また、コンデンサCenvの電圧は、高周波信号RF2の電力が小さいほど、高くなりづらくなる。
【0100】
また、ピークバイアス制御回路22は、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に高い(瞬時最小値が相対的に小さい)場合、高周波入力信号RFinの電力が閾値Cになると、制御信号S2を立ち上げ、キャリアアンプ13のドライブレベルが相対的に低い(瞬時最小値が相対的に大きい)場合、高周波入力信号RFinの電力が閾値Cよりも大きい閾値Aになると、制御信号S2を立ち上げる。
【0101】
[4 実施の形態に係る高周波モジュール1の実装例]
次に、以上のように構成された高周波モジュール1の実装例を、図4Aおよび図4Bを参照しながら説明する。
【0102】
図4Aは、実施の形態に係る高周波モジュール1の平面図である。図4Bは、実施の形態に係る高周波モジュール1の断面図である。図4Aはz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。図4Bにおける高周波モジュール1の断面は、図4AのIVB-IVB線における断面である。
【0103】
なお、図4Aおよび図4Bにおいて、モジュール基板90に配置された複数の回路部品を接続する配線の一部の図示が省略されている。図4Aおよび図4Bにおいて、複数の回路部品を覆う樹脂部材、および当該樹脂部材の表面を覆うシールド電極層の図示が省略されている。なお、樹脂部材およびシールド電極層はなくてもよい。
【0104】
高周波モジュール1は、図4Aに示すように、モジュール基板90と、集積回路71および72と、結合器20と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。集積回路71および72は、モジュール基板90の主面に配置されている。
【0105】
モジュール基板90は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する。モジュール基板90内および主面上には、グランド電極層などが形成されている。なお、図4Aにおいて、モジュール基板90は、平面視において矩形状を有するが、モジュール基板90の形状は、これに限定されない。
【0106】
モジュール基板90としては、例えば、複数の誘電体層の積層構造を有する低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)基板もしくは高温同時焼成セラミックス(HTCC:High Temperature Co-fired Ceramics)基板、部品内蔵基板、再配線層(RDL:Redistribution Layer)を有する基板、または、プリント基板等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0107】
集積回路71は、第1集積回路の一例であり、キャリアアンプ12および13、ピークアンプ16および17、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含む。なお、集積回路71は、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含まなくてもよい。
【0108】
集積回路72は、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22と、ドライブレベル検出回路23と、を備える。
【0109】
なお、図4Aにおいて、集積回路71および72のそれぞれは、モジュール基板90の平面視において矩形状を有するが、集積回路71および72の形状は、これに限定されない。
【0110】
集積回路71は、例えば、GaAs、SiGeおよびGaNのうちの少なくとも1つで構成される。なお、集積回路71は、SiまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて構成され、具体的にはSOI(Silicon on Insulator)プロセスにより製造されてもよい。
【0111】
集積回路72は、例えば、SiまたはCMOSを用いて構成され、具体的にはSOIプロセスにより製造されてもよい。また、集積回路72は、集積回路71と同じ材料形で構成されてもよい。なお、集積回路71および72の構成材料は、上記に限定されない。
【0112】
なお、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17を含む集積回路71をGaAs、SiGeまたはGaNで構成し、ピークバイアス制御回路22およびドライブレベル検出回路23を含む集積回路72をSiまたはCMOSで構成してもよい。これによれば、集積回路71によりドハティ増幅回路の増幅性能を向上させ、集積回路72を低コストかつ汎用的に提供することが可能となる。
【0113】
ここで、図4Aに示すように、集積回路72は、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で集積回路71と隣接配置されている。
【0114】
言い換えると、集積回路72は、モジュール基板90の主面上で、集積回路71に隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0115】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22とを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22とを接続する配線131および132を短くでき、配線131および132の寄生容量を低減できる。これにより、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1から出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0116】
また、集積回路71は、集積回路71の外表面に露出した端子111および112を有する。端子111は、第1外部接続端子の一例であり、ピークアンプ16のバイアス回路18および端子121に接続される。端子112は、第1外部接続端子の一例であり、ピークアンプ17のバイアス回路19および端子122に接続される。本実施の形態では、端子111および112は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路71の裏面に配置されている。
【0117】
集積回路72は、集積回路72の外表面に露出した端子121および122を有する。端子121は、第2外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22および端子111に接続される。端子122は、第2外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22および端子112に接続される。本実施の形態では、端子121および122は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72の裏面に配置されている。
【0118】
集積回路71および72のそれぞれは、モジュール基板90の平面視において矩形形状を有し、モジュール基板90の平面視において、端子111と端子121とを結ぶ仮想直線、および、端子112と端子122とを結ぶ仮想直線は、それぞれ、最近接で対向している集積回路71および72の外辺と垂直となっている。
【0119】
これによれば、端子111と端子121との距離、および、端子112と端子122との距離を最短とすることが可能となる。
【0120】
さらに、図4Aおよび図4Bに示すように、端子111と端子121とを接続する配線131(第1配線)、および、端子112と端子122とを接続する配線132(第1配線)は、それぞれ直線形状であり、モジュール基板90に形成されている。
【0121】
これによれば、配線131および132のそれぞれを最短とすることが可能となり、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できる。
【0122】
また、図4Aに示すように、ドライブレベル検出回路23とピークバイアス制御回路22とは、集積回路72内で隣接配置されている。
【0123】
これによれば、ドライブレベル検出回路23とピークバイアス制御回路22とを接続する配線を短くできるので、信号S1を高速かつ低損失で伝送できる。
【0124】
[5 変形例1に係る高周波モジュール1Aの回路構成]
図5は、実施の形態の変形例1に係る高周波モジュール1Aの回路構成図である。本変形例に係る高周波モジュール1Aは、キャリアアンプ12、13aおよび13bと、ピークアンプ16、17aおよび17bと、90°ハイブリッド回路11と、結合器20Aと、ピークバイアス制御回路22Aと、ドライブレベル検出回路23Aと、バイアス回路14、15a、15b、18、19aおよび19bと、トランス51および52と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。上記構成により、高周波モジュール1Aは、ドハティ増幅回路を構成している。本変形例に係る高周波モジュール1Aは、実施の形態に係る高周波モジュール1と比較して、最終段(パワー段)のキャリアアンプおよびピークアンプが、それぞれ差動増幅器となっている点が構成として異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Aについて、実施の形態に係る高周波モジュール1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0125】
キャリアアンプ12は、初段(ドライブ段)に配置されたキャリアアンプであり、キャリアアンプ12に入力される高周波信号RF2を増幅する。キャリアアンプ13aは、第1増幅器の一例であり、最終段(パワー段)に配置されたキャリアアンプである。キャリアアンプ13bは、第2増幅器の一例であり、最終段(パワー段)に配置されたキャリアアンプである。キャリアアンプ13aおよび13bは、90°ハイブリッド回路11と結合器20Aとの間で並列接続され、差動増幅器を構成している。
【0126】
トランス51は、一次側コイルおよび二次側コイルを有し、一次側コイルの一端に入力された非平衡信号を平衡信号に変換して二次側コイルの両端から出力する。具体的には、一次側コイルの一端がキャリアアンプ12の出力端に接続され、一次側コイルの他端が基準電位に接続され、二次側コイルの一端がキャリアアンプ13aの入力端に接続され、二次側コイルの他端がキャリアアンプ13bの入力端に接続される。
【0127】
キャリアアンプ13aの出力端およびキャリアアンプ13bの出力端は結合器20Aに接続される。
【0128】
キャリアアンプ12、13aおよび13bは、高周波入力信号の全ての電力レベルに対して増幅動作可能なA級(またはAB級)増幅回路であり、特に、低出力領域および中出力領域において高効率な増幅動作が可能である。
【0129】
ピークアンプ16は、初段(ドライブ段)に配置されたピークアンプであり、ピークアンプ16に入力される高周波信号RF5を増幅する。ピークアンプ17aおよび17bは、最終段(パワー段)に配置されたピークアンプである。ピークアンプ17aおよび17bは、90°ハイブリッド回路11と結合器20Aとの間で並列接続され、差動増幅器を構成している。
【0130】
トランス52は、一次側コイルおよび二次側コイルを有し、一次側コイルの一端に入力された非平衡信号を平衡信号に変換して二次側コイルの両端から出力する。具体的には、一次側コイルの一端がピークアンプ16の出力端に接続され、一次側コイルの他端が基準電位に接続され、二次側コイルの一端がピークアンプ17aの入力端に接続され、二次側コイルの他端がピークアンプ17bの入力端に接続される。
【0131】
ピークアンプ17aの出力端およびピークアンプ17bの出力端は結合器20Aに接続される。
【0132】
ピークアンプ16、17aおよび17bは、高周波入力信号の電力レベルが高い領域で増幅動作可能なC級増幅回路である。本変形例では、ピークアンプ16、17aおよび17bには、高周波入力信号の電力レベルが低い領域では、バイアス電圧の供給はされず(オフ状態となり)、高周波入力信号の電力レベルが高い領域では、バイアス電圧が供給される(オン状態となる)。ピークアンプ16、17aおよび17bへのバイアス電圧のオンオフのタイミングは、ピークバイアス制御回路22Aから出力される制御信号S2により制御される。
【0133】
なお、ピークアンプ16、17aおよび17bが有する増幅トランジスタには、キャリアアンプ12、13aおよび13bが有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電流よりも小さいバイアス電圧が印加されていてもよい。これによれば、ピークアンプ16、17aおよび17bに入力される信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ16、17aおよび17bは、高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。
【0134】
なお、上記ドハティ増幅回路の段数は2段としたが、本開示はこれに限定されない。ドハティ増幅回路の段数は、1段であってもよいし、3段以上であってもよい。
【0135】
バイアス回路14は、キャリアアンプ12にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路15aは、キャリアアンプ13aにバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路15bは、キャリアアンプ13bにバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。
【0136】
キャリアアンプ12は、高周波信号RF2を増幅し、増幅された高周波信号RF3をトランス51に出力する。トランス51は、非平衡型の高周波信号RF3を平衡型の高周波信号に変換する。キャリアアンプ13aは、平衡型の高周波信号の一方を増幅し、増幅された高周波信号RF41を結合器20Aに出力する。キャリアアンプ13bは、平衡型の高周波信号の他方を増幅し、増幅された高周波信号RF42を結合器20Aに出力する。
【0137】
バイアス回路18は、ピークバイアス制御回路22Aから出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ16にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路19aは、ピークバイアス制御回路22Aから出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ17aにバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路19bは、ピークバイアス制御回路22Aから出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ17bにバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。
【0138】
ピークアンプ16は、高周波信号RF5を増幅し、増幅された高周波信号RF6をトランス52に出力する。トランス52は、非平衡型の高周波信号RF6を平衡型の高周波信号に変換する。ピークアンプ17aは、平衡型の高周波信号の一方を増幅し、増幅された高周波信号RF71を結合器20Aに出力する。ピークアンプ17bは、平衡型の高周波信号の他方を増幅し、増幅された高周波信号RF72を結合器20Aに出力する。
【0139】
結合器20Aは、合成回路の一例であり、キャリアアンプ13aの出力端、キャリアアンプ13bの出力端、ピークアンプ17aの出力端、およびピークアンプ17bの出力端に接続され、高周波信号RF41、RF42、RF71およびRF72を合成する。
【0140】
ドライブレベル検出回路23Aは、キャリアアンプ13aおよび13bの出力端に接続され、キャリアアンプ13aが出力する高周波信号RF41およびキャリアアンプ13bが出力する高周波信号RF42に基づいて、キャリアアンプ13aおよび13bのドライブレベルを示す信号S1を、ピークバイアス制御回路22Aに出力するよう構成される。これにより、ドライブレベル検出回路23Aは、例えば、高周波信号RF41およびRF42の電圧振幅(または電流振幅)の瞬時最小値を検出する。瞬時最小値が小さいほど、高周波信号RF41およびRF42の電力(振幅)は大きいと判断される。
【0141】
なお、ドライブレベル検出回路23Aは、キャリアアンプ13aの出力端に代えてバイアス回路15aに接続され、キャリアアンプ13bの出力端に代えてバイアス回路15bに接続され、キャリアアンプ13aおよび13bのドライブレベルを示す信号S1を、ピークバイアス制御回路22Aに出力するよう構成されてもよい。
【0142】
また、信号S1は、キャリアアンプ13aおよび13bのドライブレベルに相補的に変化する信号(反転信号)であってもよい。
【0143】
ピークバイアス制御回路22Aは、制御回路に含まれ、キャリアアンプ12の入力端とドライブレベル検出回路23Aとに接続され、キャリアアンプ12に入力される高周波信号RF2、および、キャリアアンプ13aおよび13bのドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16、17aおよび17bのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18、19aおよび19bに出力するよう構成される。
【0144】
なお、ピークバイアス制御回路22Aは、キャリアアンプ12の入力端に代えて90°ハイブリッド回路11の入力端に接続されてもよい。この場合、ピークバイアス制御回路22Aは、高周波信号RF1および信号S1に基づいて、ピークアンプ16、17aおよび17bのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18、19aおよび19bに出力するよう構成される。
【0145】
また、制御信号S2は、バイアス回路18、19aおよび19bのうちのバイアス回路18のみに供給されてもよい。
【0146】
ピークバイアス制御回路22Aは、図2に示された高周波入力信号RFinと制御信号S2との関係を示すグラフと同様に、信号S1に応じて、制御信号S2の立ち上がり点を異ならせる。つまり、ピークバイアス制御回路22Aは、高周波信号RF2(または高周波入力信号RFin)、および、キャリアアンプ13aおよび13bのドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16、17aおよび17bのバイアス電圧の閾値(A、B、C)を可変するように構成されている。
【0147】
これによれば、本変形例に係るピークバイアス制御回路22Aは、高周波信号RF2(または高周波入力信号RFin)を検知するので、キャリアアンプ12、13aおよび13bのドライブレベルを検知するのに時間を要したとしても、キャリアアンプ12、13aおよび13bを飽和させることなく、バイアス回路18、19aおよび19bから所定のバイアス電圧を供給することでピークアンプ16、17aおよび17bを起動させることができる。これにより、上記ドハティ増幅回路を含む高周波モジュール1Aでは、高周波出力信号の品質劣化を抑制することが可能となる。
【0148】
[6 変形例1に係る高周波モジュール1Aの実装例]
次に、以上のように構成された高周波モジュール1Aの実装例を、図6を参照しながら説明する。
【0149】
図6は、実施の形態の変形例1に係る高周波モジュール1Aの平面図である。図6はz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。
【0150】
なお、図6において、モジュール基板90に配置された複数の回路部品を接続する配線の一部の図示が省略されている。図6において、複数の回路部品を覆う樹脂部材、および当該樹脂部材の表面を覆うシールド電極層の図示が省略されている。なお、樹脂部材およびシールド電極層はなくてもよい。
【0151】
高周波モジュール1Aは、図6に示すように、モジュール基板90と、集積回路71Aおよび72Aと、結合器20Aと、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。
【0152】
モジュール基板90は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する。モジュール基板90内および主面上には、グランド電極層などが形成されている。なお、図6において、モジュール基板90は、平面視において矩形状を有するが、モジュール基板90の形状は、これに限定されない。
【0153】
集積回路71Aは、第1集積回路の一例であり、キャリアアンプ12、13aおよび13b、ピークアンプ16、17aおよび17b、バイアス回路14、15a、15b、18、19aおよび19b、ならびに90°ハイブリッド回路11を含む。なお、集積回路71Aは、バイアス回路14、15a、15b、18、19aおよび19b、ならびに90°ハイブリッド回路11を含まなくてもよい。
【0154】
集積回路72Aは、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22Aと、ドライブレベル検出回路23Aと、を備える。
【0155】
なお、図6において、集積回路71Aおよび72Aのそれぞれは、モジュール基板90の平面視において矩形状を有するが、集積回路71Aおよび72Aの形状は、これに限定されない。
【0156】
集積回路71Aは、例えば、GaAs、SiGeおよびGaNのうちの少なくとも1つで構成される。なお、集積回路71Aは、SiまたはCMOSを用いて構成され、具体的にはSOIプロセスにより製造されてもよい。
【0157】
集積回路72Aは、例えば、SiまたはCMOSを用いて構成され、具体的にはSOIプロセスにより製造されてもよい。また、集積回路72Aは、集積回路71Aと同じ材料形で構成されてもよい。なお、集積回路71Aおよび72Aの構成材料は、上記に限定されない。
【0158】
ここで、図6に示すように、集積回路72Aは、キャリアアンプ12、13aおよび13bならびにピークアンプ16、17aおよび17bのうちのピークアンプ16、17aおよび17b側で集積回路71Aと隣接配置されている。
【0159】
言い換えると、集積回路72Aは、モジュール基板90の主面上で、集積回路71Aに隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12、13aおよび13bよりもピークアンプ16、17aおよび17bに、より近く配置されている。
【0160】
上記構成によれば、ピークアンプ16、17aおよび17bとピークバイアス制御回路22Aとを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)、ピークアンプ17a(のバイアス回路19a)およびピークアンプ17b(のバイアス回路19b)とピークバイアス制御回路22Aとを接続する配線131および132を短くでき、配線131および132の寄生容量を低減できる。これにより、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16、17aおよび17bに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1Aから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0161】
また、集積回路71Aは、集積回路71Aの外表面に露出した端子111、112aおよび112bを有する。端子111は、第1外部接続端子の一例であり、ピークアンプ16のバイアス回路18および端子121に接続される。端子112aは、第1外部接続端子の一例であり、ピークアンプ17aのバイアス回路19aおよび端子122に接続される。端子112bは、第1外部接続端子の一例であり、ピークアンプ17bのバイアス回路19bおよび端子122に接続される。本実施の形態では、端子111、112aおよび112bは、モジュール基板90の主面と対面する集積回路71Aの裏面に配置されている。
【0162】
集積回路72Aは、集積回路72Aの外表面に露出した端子121および122を有する。端子121は、第2外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22Aおよび端子111に接続される。端子122は、第2外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22A、端子112aおよび112bに接続される。本実施の形態では、端子121および122は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72Aの裏面に配置されている。
【0163】
集積回路71Aおよび72Aのそれぞれは、モジュール基板90の平面視において矩形形状を有し、モジュール基板90の平面視において、端子111と端子121とを結ぶ仮想直線、および、端子112aおよび112bと端子122とを結ぶ仮想直線は、それぞれ、最近接で対向している集積回路71Aおよび72Aの外辺と垂直となっている。
【0164】
これによれば、端子111と端子121との距離、および、端子112aおよび112bと端子122との距離を最短とすることが可能となる。
【0165】
さらに、図6に示すように、端子111と端子121とを接続する配線131(第1配線)、および、端子112aおよび112bと端子122とを接続する配線132(第1配線)は、それぞれ直線形状であり、モジュール基板90に形成されている。
【0166】
これによれば、配線131および132のそれぞれを最短とすることが可能となり、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できる。
【0167】
また、図6に示すように、ドライブレベル検出回路23Aとピークバイアス制御回路22Aとは、集積回路72A内で隣接配置されている。
【0168】
これによれば、ドライブレベル検出回路23Aとピークバイアス制御回路22Aとを接続する配線を短くできるので、信号S1を高速かつ低損失で伝送できる。
【0169】
[7 変形例2に係る高周波モジュール1Bの実装例]
図7は、実施の形態の変形例2に係る高周波モジュール1Bの平面図である。図7はz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。
【0170】
本変形例に係る高周波モジュール1Bは、実施の形態に係る高周波モジュール1と回路構成は同じであり、実装構成のみが異なる。高周波モジュール1Bは、図7に示すように、モジュール基板90と、集積回路71Bおよび72Bと、結合器20と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る高周波モジュール1Bは、実施の形態に係る高周波モジュール1と比較して、ドライブレベル検出回路23Bが、集積回路71Bに含まれる点が異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Bについて、実施の形態に係る高周波モジュール1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0171】
集積回路71Bは、第1集積回路の一例であり、キャリアアンプ12および13、ピークアンプ16および17、ドライブレベル検出回路23B、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含む。なお、集積回路71Bは、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含まなくてもよい。
【0172】
集積回路72Bは、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22Bを備える。
【0173】
ここで、図7に示すように、集積回路72Bは、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で集積回路71Bと隣接配置されている。
【0174】
言い換えると、集積回路72Bは、モジュール基板90の主面上で、集積回路71Bに隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0175】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22Bとを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22Bとを接続する配線131および132を短くでき、配線131および132の寄生容量を低減できる。これにより、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1Bから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0176】
また、集積回路72Bは、集積回路72Bの外表面に露出した端子121および122を有する。端子121は、ピークバイアス制御回路22Bおよびピークアンプ16のバイアス回路18に接続される。端子122は、ピークバイアス制御回路22Bおよびピークアンプ17のバイアス回路19に接続される。本変形例では、端子121および122は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72Bの裏面に配置されている。
【0177】
ここで、モジュール基板90の平面視において、ドライブレベル検出回路23Bは、キャリアアンプ12および13と集積回路72Bとの間に配置されている。
【0178】
これによれば、キャリアアンプ12および13とドライブレベル検出回路23Bとを接続する配線を短くでき、キャリアアンプ12および13の入力側の寄生容量を低減できる。また、ドライブレベル検出回路23Bとピークバイアス制御回路22Bとを接続する配線を短くできるので、信号S1を高速かつ低損失で伝送できる。
【0179】
[8 変形例3に係る高周波モジュール1Cの回路構成]
図8は、実施の形態の変形例3に係る高周波モジュール1Cの回路構成図である。本変形例に係る高周波モジュール1Cは、キャリアアンプ12および13と、ピークアンプ16および17と、90°ハイブリッド回路11と、結合器20と、ピークバイアス制御回路22と、ドライブレベル検出回路23と、バイアス回路14、15、18および19と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。上記構成により、高周波モジュール1Cは、ドハティ増幅回路を構成している。本変形例に係る高周波モジュール1Cは、実施の形態に係る高周波モジュール1と比較して、高周波信号RF2に代えて高周波入力信号RFinがピークバイアス制御回路22に入力される点のみが構成として異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Cについて、実施の形態に係る高周波モジュール1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0180】
ピークバイアス制御回路22は、制御回路に含まれ、90°ハイブリッド回路11の入力端とドライブレベル検出回路23とに接続され、90°ハイブリッド回路11に入力される高周波入力信号RFin、および、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18および19に出力するよう構成される。
【0181】
[9 変形例3に係る高周波モジュール1Cの実装例]
図9は、実施の形態の変形例3に係る高周波モジュール1Cの平面図である。図9はz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。
【0182】
図9に示すように、高周波モジュール1Cは、モジュール基板90と、集積回路71Bおよび72Cと、結合器20と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る高周波モジュール1Cは、変形例2に係る高周波モジュール1Bと比較して、高周波入力端子101から90°ハイブリッド回路11までの配線レイアウトが異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Cについて、変形例2に係る高周波モジュール1Bと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0183】
集積回路71Bは、第1集積回路の一例であり、キャリアアンプ12および13、ピークアンプ16および17、ドライブレベル検出回路23、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含む。なお、集積回路71Bは、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含まなくてもよい。
【0184】
集積回路72Cは、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22を備える。
【0185】
ここで、図9に示すように、集積回路72Cは、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で集積回路71Bと隣接配置されている。
【0186】
言い換えると、集積回路72Cは、モジュール基板90の主面上で、集積回路71Bに隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0187】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22とを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22とを接続する配線131および132を短くでき、配線131および132の寄生容量を低減できる。これにより、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1Cから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0188】
また、集積回路72Cは、集積回路72Cの外表面に露出した端子121、122および123を有する。端子121は、ピークバイアス制御回路22およびピークアンプ16のバイアス回路18に接続される。端子122は、ピークバイアス制御回路22およびピークアンプ17のバイアス回路19に接続される。端子123は、第3外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22、高周波入力端子101、および90°ハイブリッド回路11の入力端に接続される。本変形例では、端子121、122および123は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72Cの裏面に配置されている。
【0189】
上記構成によれば、高周波モジュール1Cに入力される高周波入力信号RFinは、端子123を経由して90°ハイブリッド回路11に入力される。
【0190】
これによれば、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを接続する主信号配線とピークバイアス制御回路22とを接続する配線を短くできるので、当該配線および主信号配線の寄生容量を低減できる。よって、高周波モジュール1Cに入力される高周波信号および高周波モジュール1Cから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0191】
[10 変形例4に係る高周波モジュール1Dの実装例]
図10は、実施の形態の変形例4に係る高周波モジュール1Dの平面図である。図10はz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。
【0192】
図10に示すように、高周波モジュール1Dは、モジュール基板90と、集積回路71Bおよび72Dと、結合器20と、方向性結合器60と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る高周波モジュール1Dは、変形例3に係る高周波モジュール1Cと比較して、高周波入力端子101から90°ハイブリッド回路11までの配線レイアウトが異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Dについて、変形例3に係る高周波モジュール1Cと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0193】
集積回路72Dは、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22を備える。
【0194】
ここで、図10に示すように、集積回路72Dは、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で集積回路71Bと隣接配置されている。
【0195】
言い換えると、集積回路72Dは、モジュール基板90の主面上で、集積回路71Bに隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0196】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22とを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22とを接続する配線131および132を短くでき、配線131および132の寄生容量を低減できる。これにより、配線131および132を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1Dから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0197】
方向性結合器60は、カプラの一例であり、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを結ぶ主信号配線に接続され、当該主信号配線を伝送する高周波信号の電力情報を検出する。方向性結合器60は、例えば、互いに電磁界結合された主線路および副線路を有し、主線路が上記主信号配線の一部で構成される。
【0198】
また、集積回路72Dは、集積回路72Dの外表面に露出した端子121、122および124を有する。端子121は、ピークバイアス制御回路22およびピークアンプ16のバイアス回路18に接続される。端子122は、ピークバイアス制御回路22およびピークアンプ17のバイアス回路19に接続される。端子124は、第3外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22および方向性結合器60の副線路に接続される。本変形例では、端子121、122および124は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72Dの裏面に配置されている。
【0199】
上記構成によれば、高周波モジュール1Dに入力される高周波入力信号RFinは、端子124を経由して90°ハイブリッド回路11に入力される。
【0200】
これによれば、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを接続する主信号配線とピークバイアス制御回路22とは方向性結合器60で接続されるため、主信号配線を短くできる。このため、主信号配線の寄生容量を低減できるので、高周波モジュール1Dに入力される高周波信号および高周波モジュール1Dから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0201】
[11 変形例5に係る高周波モジュール1Eの回路構成および実装構成]
図11は、実施の形態の変形例5に係る高周波モジュール1Eの回路構成図である。本変形例に係る高周波モジュール1Eは、キャリアアンプ12および13と、ピークアンプ16および17と、90°ハイブリッド回路11と、結合器20と、ピークバイアス制御回路22Eと、ドライブレベル検出回路23Eと、バイアス回路14、15、18および19と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。上記構成により、高周波モジュール1Eは、ドハティ増幅回路を構成している。本変形例に係る高周波モジュール1Eは、実施の形態に係る高周波モジュール1と比較して、高周波信号RF4に代えてバイアス回路15の信号がドライブレベル検出回路23Eに入力される点のみが構成として異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Eについて、実施の形態に係る高周波モジュール1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0202】
バイアス回路18は、ピークバイアス制御回路22Eから出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ16にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路19は、ピークバイアス制御回路22Eから出力される制御信号S2に基づいて、ピークアンプ17にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。
【0203】
ドライブレベル検出回路23Eは、バイアス回路15に接続され、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1を、ピークバイアス制御回路22Eに出力するよう構成される。
【0204】
ピークバイアス制御回路22Eは、制御回路に含まれ、ピークバイアス制御回路22Eの第1入力端はキャリアアンプ12の入力端に接続され、ピークバイアス制御回路22Eの第2入力端はドライブレベル検出回路23Eを介してバイアス回路15に接続され、ピークバイアス制御回路22Eの出力端は、バイアス回路18および19に接続されている。つまり、ピークバイアス制御回路22Eは、キャリアアンプ12に入力される高周波信号RF2、および、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18および19に出力するよう構成される。
【0205】
なお、ピークバイアス制御回路22Eは、キャリアアンプ12の入力端に代えて90°ハイブリッド回路11の入力端に接続されてもよい。この場合、ピークバイアス制御回路22Eは、高周波信号RF1および信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をバイアス回路18および19に出力するよう構成される。
【0206】
また、制御信号S2は、バイアス回路18および19のうちのバイアス回路18のみに供給されてもよい。
【0207】
本変形例に係る高周波モジュール1Eにおいて、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17は、第1集積回路に含まれる。また、ピークバイアス制御回路22Eは、第2集積回路に含まれる。ここで、第2集積回路は、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で第1集積回路と隣接配置されている。
【0208】
言い換えると、第2集積回路は、第1集積回路に隣接配置され、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0209】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22Eとを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22Eとを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1Eから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0210】
[12 変形例6に係る高周波モジュール1Fの回路構成]
図12は、実施の形態の変形例6に係る高周波モジュール1Fの回路構成図である。本変形例に係る高周波モジュール1Fは、キャリアアンプ12および13と、ピークアンプ16および17と、90°ハイブリッド回路11と、結合器20と、ピークバイアス制御回路22Fと、ドライブレベル検出回路23Fと、バイアス回路14、15、18および19と、イネーブル端子161および171と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。上記構成により、高周波モジュール1Fは、ドハティ増幅回路を構成している。本変形例に係る高周波モジュール1Fは、実施の形態に係る高周波モジュール1と比較して、高周波信号RF2に代えて高周波入力信号RFinがピークバイアス制御回路22Fに入力される点、およびピークバイアス制御回路22Fからの制御信号S2がバイアス回路18および19ではなくイネーブル端子161および171に出力される点が構成として異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Fについて、実施の形態に係る高周波モジュール1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0211】
イネーブル端子161は、ピークアンプ16およびピークバイアス制御回路22Fに接続される。イネーブル端子171は、ピークアンプ17およびピークバイアス制御回路22Fに接続される。つまり、ピークバイアス制御回路22Fの出力端は、イネーブル端子161を介してピークアンプ16に接続され、また、イネーブル端子171を介してピークアンプ17に接続される。
【0212】
バイアス回路18は、ピークアンプ16にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。バイアス回路19は、ピークアンプ17にバイアス電圧(およびバイアス電流)を供給する。
【0213】
ピークバイアス制御回路22Fは、制御回路に含まれ、ピークバイアス制御回路22Fの第1入力端は90°ハイブリッド回路11の入力端に接続され、ピークバイアス制御回路22Fの第2入力端はドライブレベル検出回路23Fを介してキャリアアンプ13の出力端に接続される。つまり、ピークバイアス制御回路22Fは、90°ハイブリッド回路11に入力される高周波入力信号RFin、および、キャリアアンプ13のドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプ16および17のバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をイネーブル端子161および171に出力するよう構成される。上記構成より、例えば、ピークバイアス制御回路22Fは、制御信号S2をイネーブル端子161に出力することにより、ピークアンプ16へバイアス電圧を供給する/供給しないを制御し、制御信号S2をイネーブル端子171に出力することにより、ピークアンプ17へバイアス電圧を供給する/供給しないを制御する。
【0214】
なお、ピークバイアス制御回路22Fの第1入力端は、キャリアアンプ12の入力端に接続されてもよい。
【0215】
上記回路構成によれば、ピークバイアス制御回路22Fが高周波入力信号RFin(または高周波信号RF2)を検知するので、キャリアアンプ12および13のドライブレベルを検知するのに時間を要したとしても、キャリアアンプ12および13を飽和させることなく、バイアス回路18および19から所定のバイアス電圧を供給することでピークアンプ16および17を起動させることができる。これにより、上記ドハティ増幅回路を含む高周波モジュール1Fでは、高周波出力信号の品質劣化を抑制することが可能となる。
【0216】
[13 変形例6に係る高周波モジュール1Fの実装例]
図13は、実施の形態の変形例6に係る高周波モジュール1Fの平面図である。図13はz軸正側からモジュール基板90の主面を見た図である。
【0217】
図13に示すように、高周波モジュール1Fは、モジュール基板90と、集積回路71Fおよび72Fと、結合器20と、高周波入力端子101と、高周波出力端子102と、を備える。本変形例に係る高周波モジュール1Fは、変形例3に係る高周波モジュール1Cと比較して、集積回路71Fと集積回路72Fとの接続構成が異なる。以下、本変形例に係る高周波モジュール1Fについて、変形例3に係る高周波モジュール1Cと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0218】
集積回路71Fは、第1集積回路の一例であり、キャリアアンプ12および13、ピークアンプ16および17、ドライブレベル検出回路23F、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含む。なお、集積回路71Fは、バイアス回路14、15、18および19、ならびに90°ハイブリッド回路11を含まなくてもよい。
【0219】
集積回路72Fは、第2集積回路の一例であり、制御回路を含む。なお、本実装例では、制御回路は、ピークバイアス制御回路22Fを備える。
【0220】
ここで、図13に示すように、集積回路72Fは、キャリアアンプ12および13ならびにピークアンプ16および17のうちのピークアンプ16および17側で集積回路71Fと隣接配置されている。
【0221】
言い換えると、集積回路72Fは、モジュール基板90の主面上で、集積回路71Fに隣接配置され、モジュール基板90を平面視した場合、キャリアアンプ12および13よりもピークアンプ16および17に、より近く配置されている。
【0222】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22Fとを近接配置できるので、ピークアンプ16(のバイアス回路18)およびピークアンプ17(のバイアス回路19)とピークバイアス制御回路22Fとを接続する配線133および134を短くでき、配線133および134の寄生容量を低減できる。これにより、配線133および134を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できるため、高周波モジュール1Fから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0223】
また、集積回路71Fは、集積回路71Fの外表面に露出した端子113および114を有する。端子113は、イネーブル端子161の一例であり、端子125およびピークアンプ16に接続される。端子114は、イネーブル端子171の一例であり、端子126およびピークアンプ17に接続される。本実施の形態では、端子113および114は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路71Fの裏面に配置されている。
【0224】
集積回路72Fは、集積回路72Fの外表面に露出した端子123、125および126を有する。端子125は、ピークバイアス制御回路22Fおよび端子113に接続される。端子126は、ピークバイアス制御回路22Fおよび端子114に接続される。端子123は、第3外部接続端子の一例であり、ピークバイアス制御回路22F、高周波入力端子101、および90°ハイブリッド回路11の入力端に接続される。本変形例では、端子123、125および126は、モジュール基板90の主面と対面する集積回路72Fの裏面に配置されている。
【0225】
上記構成によれば、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22Fとを近接配置できるので、ピークアンプ16および17とピークバイアス制御回路22Fとを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプ16および17に供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1Fから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0226】
また、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを接続する主信号配線とピークバイアス制御回路22Fとを接続する配線を短くできるので、当該配線および主信号配線の寄生容量を低減できる。よって、高周波モジュール1Fに入力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0227】
[14 効果など]
以上のように、本実施の形態に係る高周波モジュール1は、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された90°ハイブリッド回路11と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された結合器20と、90°ハイブリッド回路11またはキャリアアンプに入力される高周波信号、および、キャリアアンプのドライブレベルを示す信号S1に基づいて、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、キャリアアンプおよびピークアンプは集積回路71に含まれ、制御回路は集積回路72に含まれ、集積回路72は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で集積回路71と隣接配置されている。
【0228】
これによれば、ピークアンプと制御回路とを近接配置できるので、ピークアンプ(のバイアス回路)と制御回路とを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1から出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0229】
また例えば、高周波モジュール1(および1A、1E)において、制御回路は、キャリアアンプの出力端に接続されキャリアアンプのドライブレベルを表す信号S1を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路23と、90°ハイブリッド回路11の入力端またはキャリアアンプの入力端とドライブレベル検出回路23とに接続され、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路22と、を備える。
【0230】
これによれば、ピークアンプとピークバイアス制御回路22とを近接配置できるので、ピークアンプ(のバイアス回路)とピークバイアス制御回路22とを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1から出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0231】
また例えば、高周波モジュール1は、さらに、モジュール基板90を備え、集積回路71および72はモジュール基板90の主面に配置され、集積回路71はピークアンプのバイアス回路に接続された端子111を有し、集積回路72はピークバイアス制御回路22に接続された端子121を有し、集積回路71および72のそれぞれは、モジュール基板90の平面視において矩形形状を有し、モジュール基板90の平面視において、端子111と端子121とを結ぶ仮想直線は、最近接で対向している集積回路71および72の外辺と垂直である。
【0232】
これによれば、端子111と端子121との距離を最短とすることが可能となる。
【0233】
また例えば、高周波モジュール1において、端子111と端子121とを接続する配線131は、直線形状であり、モジュール基板90に形成されている。
【0234】
これによれば、配線131を最短とすることが可能となり、配線131を流れる制御信号S2の劣化を抑制できる。
【0235】
また例えば、高周波モジュール1において、ドライブレベル検出回路23とピークバイアス制御回路22とは、集積回路72内で隣接配置される。
【0236】
これによれば、ドライブレベル検出回路23とピークバイアス制御回路22とを接続する配線を短くできるので、信号S1を高速かつ低損失で伝送できる。
【0237】
また例えば、高周波モジュール1B(および1C、1D、1F)は、さらに、キャリアアンプの出力端に接続されキャリアアンプのドライブレベルを表す信号S1を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路23Bを備え、制御回路は、90°ハイブリッド回路11の入力端またはキャリアアンプの入力端とドライブレベル検出回路23Bとに接続され、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号S2をピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路22Bを備える。
【0238】
これによれば、ピークアンプとピークバイアス制御回路22Bとを近接配置できるので、ピークアンプ(のバイアス回路)とピークバイアス制御回路22Bとを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1B(および1C、1D、1F)から出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0239】
また例えば、高周波モジュール1Bにおいて、集積回路71Bはドライブレベル検出回路23Bを含み、集積回路71Bおよび72Bはモジュール基板90の主面に配置され、モジュール基板90の平面視において、ドライブレベル検出回路23Bはキャリアアンプと集積回路72Bとの間に配置される。
【0240】
これによれば、キャリアアンプとドライブレベル検出回路23Bとを接続する配線を短くでき、キャリアアンプの入力側の寄生容量を低減できる。また、ドライブレベル検出回路23Bとピークバイアス制御回路22Bとを接続する配線を短くできるので、信号S1を高速かつ低損失で伝送できる。
【0241】
また例えば、高周波モジュール1Cにおいて、集積回路72Cは、ピークバイアス制御回路22に接続された端子123を有し、高周波モジュール1Cに入力される高周波信号は端子123を経由して90°ハイブリッド回路11に入力される。
【0242】
これによれば、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを接続する主信号配線とピークバイアス制御回路22とを接続する配線を短くできるので、当該配線および主信号配線の寄生容量を低減できる。よって、高周波モジュール1Cに入力される高周波信号および高周波モジュール1Cから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0243】
また例えば、高周波モジュール1Dは、さらに、90°ハイブリッド回路11の入力端に接続された方向性結合器60を備え、集積回路72Dは、ピークバイアス制御回路22および方向性結合器60に接続された端子124を有する。
【0244】
これによれば、高周波入力端子101と90°ハイブリッド回路11とを接続する主信号配線を短くできる。このため、主信号配線の寄生容量を低減できるので、高周波モジュール1Dに入力される高周波信号および高周波モジュール1Dから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0245】
また例えば、高周波モジュール1(および1A、1B、1C、1D、1E、1F)において、集積回路71および72はモジュール基板90の主面に配置され、モジュール基板90を平面視した場合、集積回路72はキャリアアンプよりもピークアンプにより近く配置されている。
【0246】
これによれば、ピークアンプと制御回路とを近接配置できるので、ピークアンプ(のバイアス回路)と制御回路とを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。
【0247】
また、変形例5に係る高周波モジュール1Eは、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された90°ハイブリッド回路11と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された結合器20と、ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、制御回路の第1入力端はキャリアアンプの入力端に接続され、制御回路の第2入力端はキャリアアンプのバイアス回路に接続され、制御回路の出力端はピークアンプのバイアス回路に接続され、キャリアアンプおよびピークアンプは第1集積回路に含まれ、制御回路は第2集積回路に含まれ、第2集積回路は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で第1集積回路と隣接配置されている。
【0248】
これによれば、ピークアンプと制御回路とを近接配置できるので、ピークアンプ(のバイアス回路)と制御回路とを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1Eから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0249】
また、変形例6に係る高周波モジュール1Fは、キャリアアンプおよびピークアンプと、キャリアアンプの入力端およびピークアンプの入力端に接続された90°ハイブリッド回路11と、キャリアアンプの出力端およびピークアンプの出力端に接続された結合器20と、制御回路と、を備え、制御回路の第1入力端は90°ハイブリッド回路11の入力端またはキャリアアンプの入力端に接続され、制御回路の第2入力端はキャリアアンプの出力端に接続され、制御回路の出力端はピークアンプに接続され、キャリアアンプおよびピークアンプは第1集積回路に含まれ、制御回路は第2集積回路に含まれ、第2集積回路は、キャリアアンプおよびピークアンプのうちのピークアンプ側で第1集積回路と隣接配置されている。
【0250】
これによれば、ピークアンプと制御回路とを近接配置できるので、ピークアンプと制御回路とを接続する配線を短くでき、当該配線の寄生容量を低減できる。これにより、上記配線を流れる制御信号S2の劣化を抑制できるので、ピークアンプに供給されるバイアス電圧の閾値を高精度に制御できる。よって、高周波モジュール1Fから出力される高周波信号の品質劣化を抑制できる。
【0251】
(その他の実施の形態など)
以上、本発明の実施の形態に係る高周波モジュールについて、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明に係る高周波モジュールは、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態および変形例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記高周波モジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0252】
例えば、上記実施の形態および変形例に係る高周波モジュールにおいて、図面に開示された各回路素子および信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子および配線などが挿入されていてもよい。
【0253】
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した高周波モジュールの特徴を示す。
【0254】
<1>
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
前記分波回路または前記キャリアアンプに入力される高周波信号、および、前記キャリアアンプのドライブレベルを示す信号に基づいて、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、高周波モジュール。
【0255】
<2>
前記制御回路は、
前記キャリアアンプの出力端に接続され、前記キャリアアンプのドライブレベルを表す信号を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路と、
前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端と前記ドライブレベル検出回路とに接続され、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号を前記ピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路と、を備える、<1>に記載の高周波モジュール。
【0256】
<3>
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記第1集積回路は、前記ピークアンプのバイアス回路に接続された第1外部接続端子を有し、
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路に接続された第2外部接続端子を有し、
前記第1集積回路および前記第2集積回路のそれぞれは、前記モジュール基板の平面視において矩形形状を有し、
前記モジュール基板の平面視において、前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とを結ぶ仮想直線は、最近接で対向している前記第1集積回路および前記第2集積回路の外辺と垂直である、<2>に記載の高周波モジュール。
【0257】
<4>
前記第1外部接続端子と前記第2外部接続端子とを接続する第1配線は、直線形状であり、前記モジュール基板に形成されている、<3>に記載の高周波モジュール。
【0258】
<5>
前記ドライブレベル検出回路と前記ピークバイアス制御回路とは、前記第2集積回路内で隣接配置される、<3>または<4>に記載の高周波モジュール。
【0259】
<6>
さらに、
前記キャリアアンプの出力端に接続され、前記キャリアアンプのドライブレベルを表す信号を出力するよう構成されたドライブレベル検出回路を備え、
前記制御回路は、
前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端と前記ドライブレベル検出回路とに接続され、前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変する制御信号を前記ピークアンプのバイアス回路に出力するよう構成されたピークバイアス制御回路を備える、<1>に記載の高周波モジュール。
【0260】
<7>
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路は、前記ドライブレベル検出回路を含み、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板の平面視において、前記ドライブレベル検出回路は、前記キャリアアンプと前記第2集積回路との間に配置される、<6>に記載の高周波モジュール。
【0261】
<8>
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路に接続された第3外部接続端子を有し、
前記高周波モジュールに入力される高周波信号は、前記第3外部接続端子を経由して前記分波回路に入力される、<2>~<7>のいずれかに記載の高周波モジュール。
【0262】
<9>
さらに、
前記分波回路の入力端に接続された方向性結合器を備え、
前記第2集積回路は、前記ピークバイアス制御回路および前記方向性結合器に接続された第3外部接続端子を有する、<2>~<7>のいずれかに記載の高周波モジュール。
【0263】
<10>
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、<1>~<9>のいずれかに記載の高周波モジュール。
【0264】
<11>
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
前記ピークアンプのバイアス電圧の閾値を可変するように構成された制御回路と、を備え、
前記制御回路の第1入力端は、前記キャリアアンプの入力端に接続され、
前記制御回路の第2入力端は、前記キャリアアンプのバイアス回路に接続され、
前記制御回路の出力端は、前記ピークアンプのバイアス回路に接続され、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、高周波モジュール。
【0265】
<12>
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、<11>に記載の高周波モジュール。
【0266】
<13>
キャリアアンプおよびピークアンプと、
前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端に接続された分波回路と、
前記キャリアアンプの出力端および前記ピークアンプの出力端に接続された合成回路と、
制御回路と、を備え、
前記制御回路の第1入力端は、前記分波回路の入力端または前記キャリアアンプの入力端に接続され、
前記制御回路の第2入力端は、前記キャリアアンプの出力端に接続され、
前記制御回路の出力端は、前記ピークアンプに接続され、
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプは、第1集積回路に含まれ、
前記制御回路は、第2集積回路に含まれ、
前記第2集積回路は、前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのうちの前記ピークアンプ側で前記第1集積回路と隣接配置されている、高周波モジュール。
【0267】
<14>
さらに、モジュール基板を備え、
前記第1集積回路および前記第2集積回路は、前記モジュール基板の主面に配置され、
前記モジュール基板を平面視した場合、前記第2集積回路は、前記キャリアアンプよりも前記ピークアンプにより近く配置されている、<13>に記載の高周波モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明は、マルチバンド対応のフロントエンド部に配置される高周波モジュールとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0269】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 高周波モジュール
11 90°ハイブリッド回路
12、13、13a、13b キャリアアンプ
14、15、15a、15b、18、19、19a、19b バイアス回路
16、17、17a、17b ピークアンプ
20、20A 結合器
22、22A、22B、22E、22F ピークバイアス制御回路
23、23A、23B、23E、23F ドライブレベル検出回路
31、32、33 波形
41A 定電流回路
42、43 ローパスフィルタ
51、52 トランス
60 方向性結合器
71、71A、71B、71F、72、72A、72B、72C、72D、72F 集積回路
90 モジュール基板
101 高周波入力端子
102 高周波出力端子
111、112、112a、112b、113、114、121、122、123、124、125、126 端子
131、132、133、134 配線
161、171 イネーブル端子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13