(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151567
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】変流器の健全性診断方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/00 20060101AFI20241018BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01F41/00 F
H01F27/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065019
(22)【出願日】2023-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼田 泰範
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059BB15
(57)【要約】
【課題】変流器の内部への水の浸入に起因した変流器の異常を予見することが可能な変流器の健全性診断方法を提供すること。
【解決手段】本発明の変流器の健全性診断方法は、中性子水分計によって測定された、第1の変流器の内部の水分量を示す第1の測定値と、第2の変流器の内部の水分量を示す第2の測定値と、第3の変流器の内部の水分量を示す第3の測定値とを、変流器のタンクの外側面と中性子水分計との間の距離に応じて予め設定された減衰率で補正し、補正後の第1の測定値と補正後の第2の測定値と補正後の第3の測定値とが、この順に水分量が少なくなることを示す値である場合に、補正後の第1の測定値と補正後の第2の測定値との平均値と、補正後の第3の測定値との差が、予め設定された閾値を超える場合に、補正後の第3の測定値に対応する変流器に少なくとも異常が発生している可能性があることを特定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と巻線とが絶縁油に浸漬されてタンクの内部に収納された変流器の健全性診断方法であって、
3相の配送電線にそれぞれ接続された第1の変流器と第2の変流器と第3の変流器とのそれぞれの前記タンクの外側面に対向させて設けられた第1の中性子水分計と第2の中性子水分計と第3の中性子水分計とによって、前記第1の変流器の内部の水分量と前記第2の変流器の内部の水分量と前記第3の変流器の内部の水分量とを測定し、
前記第1の変流器の内部の水分量を示す第1の測定値と、前記第2の変流器の内部の水分量を示す第2の測定値と、前記第3の変流器の内部の水分量を示す第3の測定値とを、各タンクの外側面と各中性子水分計との間の距離に応じて予め設定された減衰率で補正し、
補正後の前記第1の測定値と補正後の前記第2の測定値と補正後の前記第3の測定値とが、この順に水分量が少なくなることを示す値である場合に、
補正後の前記第1の測定値と補正後の前記第2の測定値との平均値と、補正後の前記第3の測定値との差が、予め設定された閾値を超える場合に、補正後の前記第3の測定値に対応する前記変流器に少なくとも異常が発生している可能性があることを特定することを特徴とする変流器の健全性診断方法。
【請求項2】
前記タンクには前記変流器の下部を構成する下部タンクが含まれており、
前記中性子水分計は前記下部タンクの外側面に対向させて設けられることを特徴とする請求項1に記載の変流器の健全性診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変流器の健全性診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電力会社等の電力系統から供給された交流電流の大きさを変換する変流器が開示されている。変流器は、鉄心及び巻線が絶縁油に浸漬されてタンクの内部に収納されており、鉄心及び巻線とタンクとの絶縁を絶縁油によって保っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経年劣化によって変流器に生じた隙間から雨水などが変流器の内部に浸入することによって、変流器のタンク内部の底に水が溜まり、鉄心及び巻線とタンクの底面と間の絶縁抵抗が下がることによって絶縁破壊が生じて地絡に至って変流器が故障するおそれがある。従来、変流器の絶縁破壊を検出する方法として、オーバーホールにより変流器を解体して内部の絶縁性を確認する方法や、変流器のタンク内から絶縁油を採取して分析する方法や、変流器のタンク内で生じる部分放電を測定する方法などがあった。しかしながら、オーバーホールにより変流器を解体して内部の絶縁性を確認する方法では、停電が必要であるとともに高コストとなる。また、変流器のタンク内から絶縁油を採取して分析する方法では、タンクの底などタンク内の局所に水が集中している場合には、分析による変流器の異常の検出が困難である。また、変流器のタンク内で生じる部分放電を測定する方法では、測定箇所で部分放電が発生していない場合に変流器の異常を検出することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、変流器の内部への水の浸入に起因した変流器の異常を予見することが可能な変流器の健全性診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る変流器の健全性診断方法は、鉄心と巻線とが絶縁油に浸漬されてタンクの内部に収納された変流器の健全性診断方法であって、3相の配送電線にそれぞれ接続された第1の変流器と第2の変流器と第3の変流器とのそれぞれの前記タンクの外側面に対向させて設けられた第1の中性子水分計と第2の中性子水分計と第3の中性子水分計とによって、前記第1の変流器の内部の水分量と前記第2の変流器の内部の水分量と前記第3の変流器の内部の水分量とを測定し、前記第1の変流器の内部の水分量を示す第1の測定値と、前記第2の変流器の内部の水分量を示す第2の測定値と、前記第3の変流器の内部の水分量を示す第3の測定値とを、各タンクの外側面と各中性子水分計との間の距離に応じて予め設定された減衰率で補正し、補正後の前記第1の測定値と補正後の前記第2の測定値と補正後の前記第3の測定値とが、この順に水分量が少なくなることを示す値である場合に、補正後の前記第1の測定値と補正後の前記第2の測定値との平均値と、補正後の前記第3の測定値との差が、予め設定された閾値を超える場合に、補正後の前記第3の測定値に対応する前記変流器に少なくとも異常が発生している可能性があることを特定することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る変流器の健全性診断方法は、上記の発明において、前記タンクには前記変流器の下部を構成する下部タンクが含まれており、前記中性子水分計は前記下部タンクの外側面に対向させて設けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る変流器の健全性診断方法は、変流器の内部への水の浸入に起因した変流器の異常を予見することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る変流器の健全性診断方法を適用する電力系統図である。
【
図2】
図2は、変流設備を構成する3相の変流器の模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る変流器の内部構造を示す図である。
【
図4】
図4は、変流器に浸入した水が下部タンクの底に溜まっている状態を示した図である。
【
図5】
図5は、中性子水分計による変流器内の水分量の測定方法を示した図である。
【
図6】
図6は、下部タンクの外側面から中性子水分計までの距離と測定差との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る変流器の健全性診断方法の一実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係る変流器1の健全性診断方法を適用する電力系統図である。なお、
図1中、符号100は電力会社、符号101は工場負荷、符号102は断路器、符号103は遮断器、符号104は変圧器、及び、符号105は変流設備を示している。
【0012】
電力会社100から2回線で供給された電力は、変流設備105などを経て2つの変圧器104をそれぞれ経由して各工場負荷101に供給される。
【0013】
図2は、変流設備105を構成する3相の変流器1R,1S,1Tの模式図である。
【0014】
変流設備105は、電気機器の保護リレー入力用や遠隔監視、電力量集計のために大電流(数百~数千[A])を小電流(数[A])に変換可能な、R相の変流器1RとS相の変流器1SとT相の変流器1Tとをそれぞれ台ずつ設置して構成される。変流器1R,1T,1Sは、それぞれ、上部タンク11R,11T,11S、下部タンク12R,12T,12S、及び、絶縁碍子管13R,13T,13Sを備えている。上部タンク11R,11T,11Sは、絶縁碍子管13R,13T,13Sの上部に固定されている。下部タンク12R,12T,12Sは、絶縁碍子管13R,13T,13Sの下部に固定されている。上部タンク11R,11T,11Sには、一次端子2R,2S,2Tが設けられている。また、変流器1R,1T,1Sの下部タンク12R,12T,12Sの外側面に対向させて、変流器1R,1T,1S内の水分量(水素原子数)を測定するための中性子水分計3R,3S,3Tが設けられている。なお、以下の説明において、変流器1R,1S,1Tを特に区別しない場合には単に変流器1と記す。
【0015】
図3は、実施形態に係る変流器1の内部構造を示す図である。
【0016】
実施形態に係る変流器1において下部タンク12内では、一次端子2に接続された一次巻線21が環状の鉄心22に巻回されている。さらに、鉄心22には、二次巻線23も巻回され、二次巻線23は下部タンク12の側壁に設けられた二次端子24に接続されている。そして、上部タンク11と下部タンク12と絶縁碍子管13との内部には、絶縁油14が充填されている。また、変流器1内には、地絡事故の際に感電しないようにアース25が取り付けられている。一次巻線21及びアース25は、絶縁紙15が巻きつけられた状態で絶縁油14に浸漬されている。
【0017】
下部タンク12の外側面に対向させて設けられた中性子水分計3には、下部タンク12に向けて高速中性子を放射するための線源31が設けられている。中性子水分計3は、診断装置4と通信可能に接続されている。中性子水分計3が測定した変流器1内の水分量を示す測定値に関する情報は、診断装置4に送信されて診断装置4での変流器1の健全性の診断に用いられる。
【0018】
ここで、本願発明者らは変流器1の故障による停電トラブルが発生した際に変流器1を解体調査したところ、
図4に示すように下部タンク12の底に水5が溜まるなどの変流器1の内部への水5の浸入が見られた。そこで、変流器1の内部への水5の浸入を変流器1の外部から検出する方法を検討する過程において、絶縁油14と水5とに含まれる水素原子数が、絶縁油14に比べて水5の方が少ない特性を利用することで、変流器1の健全性を診断可能であることを見出した。そして、本願発明者らは、中性子水分計3R,3S,3Tを用いて測定した変流器1R,1S,1Tの水分量(水素原子数)を比較することによって、変流器1R,1S,1Tの絶縁破壊を予見することが可能であることを見出した。そして、本願発明者らは、変流器1R,1S,1Tの絶縁破壊を予見することによって、その絶縁破壊に先んじて対策を講じることにより、変流器1R,1S,1Tでの絶縁破壊を抑制することができることが分かった。
【0019】
図5は、中性子水分計3による変流器1内の水分量の測定方法を示した図である。
【0020】
中性子水分計3の線源31からは、高速中性子61が下部タンク12に向けて放射される。そして、絶縁油14が充填されるとともに底に水5が溜まった下部タンク12内の水素原子62に高速中性子61が衝突することによって発生した熱中性子63を、中性子水分計3のセンサによって受信する。このようにして、中性子水分計3は下部タンク12内の水分量(水素原子数)を測定することが可能である。なお、実施形態に係る中性子水分計3としては、公知のものを用いることができる。
【0021】
実施形態に係る中性子水分計3は、変流器1の下部タンク12の外側面に対向させて設けられている。下部タンク12は円筒状であることと、中性子水分計3は外部環境から保護するための不図示の測定筐体内に配置されることとから、下部タンク12の外側面に対して隙間なく中性子水分計3を設けることは困難である。そのため、不可避的に所定の間隙をあけて下部タンク12の外側面に対して対向させて中性子水分計3が設けられる。なお、下部タンク12の外側面に対向させて中性子水分計3を設けるのは、絶縁油14よりも水5の比重が重く、変流器1の外部から浸入した水5は下部タンク12の下部に溜まるため、より高精度に中性子水分計3によって変流器1の健全性を診断するためである。
【0022】
そして、R相の変流器1Rの下部タンク12RとS相の変流器1Sの下部タンク12SとT相の変流器1Tの下部タンク12Tとのそれぞれの外側面に対向させて中性子水分計3R,3S,3Tを設けることによって、各相の下部タンク12R,12S,12T内の水分量(水素原子数)を計測することが可能である。なお、中性子水分計3による下部タンク12内の水分量(水素原子数)の測定時間は、特に限定されるものではないが、短時間(1分値)の測定だと測定値のばらつきが多く、3σ以上となり誤判定となる可能性が高い。そのため、中性子水分計3による下部タンク12内の水分量(水素原子数)の測定時間は、3σ以内のばらつきに抑えられる3分以上とするのが好ましい。
【0023】
次に、中性子水分計3を用いた変流器1の健全性の診断方法について説明する。変流器1Rの下部タンク12Rと変流器1Sの下部タンク12Sと変流器1Tの下部タンク12Tとのそれぞれの外側面に対向させて設けられた中性子水分計3R,3S,3Tによって、下部タンク12R,12S,12T内の水分量(水素原子数)を計測する。
【0024】
ところで、上述したように下部タンク12の外側面との間に間隙をあけて中性子水分計3が設けられている。中性子水分計3から放射される高速中性子61は、前記間隙によって減衰するため、前記間隙の大小によって下部タンク12内の水分量(水素原子数)の測定値に誤差が生ずる。また、前記間隙は各相間でも一致しておらず、中性子水分計3によって計測された下部タンク12内の水分量(水素原子数)の測定値を適切に補正しなければ、正確に変流器1の健全性を診断することができない。そして、本願発明者らは、下部タンク12の外側面と中性子水分計3との間の間隙に対する減衰率を調査したところ、前記間隙が広がるほど減衰率が高くなることを特定した。
【0025】
図6は、下部タンク12の外側面から中性子水分計3までの距離と測定差との関係を示す図である。なお、
図6では、変流器1の下部タンク12の厚みを5[mm]とし、下部タンク12の外側面と中性子水分計3(線源31)とを接触させた位置での測定値を基準に、下部タンク12の外側面から徐々に中性子水分計3を離した際の測定値との測定差を示している。
【0026】
本実施形態においては、下部タンク12R,12S,12Tの厚みは一定であり、中性子水分計3R,3S,3Tの線源31R,31S,31Tから放射される高速中性子61の減衰率も共通である。そのため、中性子水分計3R,3S,3Tによって測定された下部タンク12R,12S,12T内の水分量(水素原子数)の測定値の比較の際に与える影響はほぼない。このことから、下部タンク12の厚みを5[mm]としたとき、
図6に示すように、下部タンク12の厚みに相当する距離5[mm]の地点を原点とする線分の一次関数として、y=-1.4x+7が得られ、この式により減衰率を算出することができる。そして、この算出した減衰率を用いて診断装置4は、中性子水分計3R,3S,3Tによって測定された下部タンク12R,12S,12T内の水分量(水素原子数)の測定値を補正する。
【0027】
例えば、R相の下部タンク12Rと中性子水分計3Rとの間の間隙が1[mm]である場合、上記一次関数のxには、前記隙間の1[mm]と下部タンク12の厚みである5[mm]とを足した6[mm]を入れ、y=-1.4[%]の減衰率となる。なお、前記隙間としては、例えば、下部タンク12の外側面と中性子水分計3の線源31との間の最短距離としている。そのため、下部タンク12の外側面に対向させて中性子水分計3を設けた際に、下部タンク12の外側面と中性子水分計3との間の隙間を測定して診断装置4に入力しておき、診断装置4が前記隙間に応じた減衰率で中性子水分計3の測定値を補正する。次に、診断装置4は、補正後の中性子水分計3R,3S,3Tの測定値のうち、水分量(水素原子数)が多い上位2台の中性子水分計3の測定値の平均値と、最も水分量(水素原子数)が少ない中性子水分計3の測定値とを比較した測定差を求める。そして、診断装置4は、前記測定差に基づいて変流器1の健全性を診断する。
【0028】
上述したように、絶縁油14の水素原子数は水5の水素原子数より多く、水5が浸入している変流器1では、水5が浸入していない変流器1よりも中性子水分計3の測定値において水分量(水素原子数)が少なくなる。そこで、例えば、各相の中性子水分計3の測定値のうち、水分量(水素原子数)が最も多い測定値Aと、次に水分量(水素原子数)が多い測定値Bと、最も水分量(水素原子数)が少ない測定値Cとする。そして、測定値A,B,Cを比較するにあたり、((測定値A+測定値B)/2)/測定値C×100で算出される値が予め設定された閾値を超える場合には、少なくとも測定値Cに対応する変流器1の健全性を確認(設備更新)すべきであることが確認できる。
【0029】
なお、本願発明者らが多くの変流器1の健全性を検証した結果、測定値Aと測定値Bとの平均値と、測定値Cとの間に、1.7[%]以上の差が生じている場合には、測定値Cに対応する変流器1に少なくとも絶縁破壊が起こっていることが確認できている。そのため、前記閾値としては、絶縁破壊が生じる前に予見する観点から1.5[%]としている。
【0030】
なお、下部タンク12の材質や天候などの測定条件によって、中性子水分計3から放出される高速中性子や中性子水分計3で受信する熱中性子の動きが変わるため、前記測定条件に応じて前記減衰率を変更するのが好ましい。また、中性子水分計3を用いた変流器1の健全性を診断する手法は、電力用変圧器などの別設備への適用も可能である。
【0031】
以上より、実施形態に係る変流器1の健全性診断方法は、変流器1の内部への水の浸入に起因した変流器1の異常(絶縁破壊)を予見することが可能である。
【実施例0032】
以下、本発明の変流器の健全性診断方法の実施例について説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0033】
本実施例では、
図2に示したような3相の変流器1R,1S,1Tで構成される変流設備105と同様の3つの変流設備A,B,Cに対して、中性子水分計3R,3S,3Tによる変流器1R,1S,1T内の水分量を測定して健全性の診断を行った。表1は、3つの変流設備A,B,Cのそれぞれにおいて、R相とS相とT相との各相の中性子水分計3R,3S,3Tの測定値に対して上述した減衰率の補正を行わなかった場合の変流器1の健全性の診断結果を示したものである。表2は、3つの変流設備A,B,Cのそれぞれにおいて、R相とS相とT相との各相の中性子水分計3R,3S,3Tの測定値に対して上述した減衰率の補正を行った場合の変流器1の健全性の診断結果を示したものである。
【0034】
なお、表1及び表2中の隙間D1,D2,D3は、変流器1R,1S,1Tの下部タンク12R,12S、12Tの外側面と中性子水分計3R,3S,3Tとの間の隙間である。
【0035】
【0036】
【0037】
表1に示すように、3つの変流設備A,B,Cのいずれにおいても、中性子水分計3R,3S,3Tの測定値に対して減衰率を補正しない場合は、診断結果が健全であると判断されていても実際の変流器1の状態を確認すると異常リスクがあった。すなわち、診断結果が健全であっても変流器1内に水が浸入して絶縁破壊が起こる可能性があることがわかる。
【0038】
一方、表2に示すように、3つの変流設備A,B,Cのいずれにおいても、中性子水分計3R,3S,3Tの測定値に対して減衰率を補正した場合は、診断結果と実際の変流器1の状態とが一致し、変流器1を適切に診断できることがわかる。