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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151569
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】測量装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065023
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学系を小型化し、装置全体の小型化を図る測量装置を提供する。
【解決手段】測定対象物に測距光37を射出する発光素子32と、前記測定対象物からの反射測距光47を受光する受光素子42とを有する距離測定部19と、前記測距光を照射する回転部20と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部5と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記托架部に設けられ、所定の画角で画像を取得する少なくとも1つの撮像部21と、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し背景光を反射する可視光分離光学部材を有し、該可視光分離光学部材は前記回転部が所定の回転位置にある時に前記反射測距光と少なくとも平行に入射した背景光が前記撮像部に受光される様偏向する様構成された。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に測距光を射出する発光素子と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記托架部に設けられ、所定の画角で画像を取得する少なくとも1つの撮像部と、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し背景光を反射する可視光分離光学部材を有し、該可視光分離光学部材は前記回転部が所定の回転位置にある時に前記反射測距光と少なくとも平行に入射した背景光が前記撮像部に受光される様偏向する様構成された測量装置。
【請求項2】
前記回転部は走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部とを有し、前記可視光分離光学部材は前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する可視光反射ミラーとを有し、前記可視光分離光学部材は前記可視光反射ミラーに蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項4】
前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部と少なくとも1つの可視光反射ミラーであり、前記可視光分離光学部材は、前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項5】
前記回転部は、2つの三角プリズムを接合させた四角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記四角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタであり、前記射出面に隣接する少なくとも1面を可視光反射ミラーとした請求項1に記載の測量装置。
【請求項6】
前記回転部は、三角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記三角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項7】
前記回転部は、前記距離測定部が収納された測定部であり、前記可視光分離光学部材は、前記測定部の下面に設けられた可視光反射ミラーである請求項1に記載の測量装置。
【請求項8】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記撮像部は撮像光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項9】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記撮像部は撮像光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記回転部により水平に偏向された前記測距光の光軸と所定のオフセット量だけ離れて平行となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項10】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に掛渡って設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記撮像部とを有し、該撮像部は撮像光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記撮像光軸は前記回転部により水平に偏向された前記測距光の光軸と所定のオフセット量だけ離れて平行となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項11】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記撮像部とを有し、該撮像部は撮像光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項12】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられたミラーとを有し、前記撮像部は撮像光軸が前記ミラーと前記可視光分離光学部材により前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元座標を取得可能な測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナやトータルステーション等の測量装置は、測定対象物として再帰反射性を有するプリズムを用いたプリズム測距、反射プリズムを用いないノンプリズム測距により測定対象物迄の距離を検出する光波距離測定装置を有している。
【0003】
従来の測量装置では、測定対象物の視準の為、カメラを有しているものがある。光波距離測定装置とカメラの視差を小さくする為、光波距離測定装置の光学系にカメラの光学系を組込み、測距光の光軸とカメラの光軸とを同軸とするものもあるが、光学系が大型化し、装置全体が大型化する虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0211367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学系を小型化し、装置全体の小型化を図る測量装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測定対象物に測距光を射出する発光素子と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記托架部に設けられ、所定の画角で画像を取得する少なくとも1つの撮像部と、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し背景光を反射する可視光分離光学部材を有し、該可視光分離光学部材は前記回転部が所定の回転位置にある時に前記反射測距光と少なくとも平行に入射した背景光が前記撮像部に受光される様偏向する様構成された測量装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記回転部は走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部とを有し、前記可視光分離光学部材は前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する可視光反射ミラーとを有し、前記可視光分離光学部材は前記可視光反射ミラーに蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部と少なくとも1つの可視光反射ミラーであり、前記可視光分離光学部材は、前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記回転部は、2つの三角プリズムを接合させた四角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記四角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタであり、前記射出面に隣接する少なくとも1面を可視光反射ミラーとした測量装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記回転部は、三角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記三角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記回転部は、前記距離測定部が収納された測定部であり、前記可視光分離光学部材は、前記測定部の下面に設けられた可視光反射ミラーである測量装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記撮像部は撮像光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記撮像部は撮像光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記回転部により水平に偏向された前記測距光の光軸と所定のオフセット量だけ離れて平行となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に掛渡って設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記撮像部とを有し、該撮像部は撮像光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記撮像光軸は前記回転部により水平に偏向された前記測距光の光軸と所定のオフセット量だけ離れて平行となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記撮像部とを有し、該撮像部は撮像光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0017】
更に又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられたミラーとを有し、前記撮像部は撮像光軸が前記ミラーと前記可視光分離光学部材により前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様構成された測量装置に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定対象物に測距光を射出する発光素子と、前記測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記托架部に設けられ、所定の画角で画像を取得する少なくとも1つの撮像部と、前記受光素子に対する前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し背景光を反射する可視光分離光学部材を有し、該可視光分離光学部材は前記回転部が所定の回転位置にある時に前記反射測距光と少なくとも平行に入射した背景光が前記撮像部に受光される様偏向する様構成されたので、撮像光軸が前記測距光の光軸と同軸となる様前記撮像部を測距光受光部に組込む必要がなく、光学系の小型化及び装置全体の小型化を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施例に係る測量装置を示す正断面図である。
図2】第1の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図3】第1の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図4】第1の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図5】(A)(B)は前記測量装置の回転部を説明する説明図である。
図6】第2の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図7】第2の実施例の変形例に係る測量装置を示す側断面図である。
図8】第3の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図9】第4の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図10】第4の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図11】第5の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図12】第5の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図13】第5の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図14】第6の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図15】第7の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図16】(A)は前記測量装置の走査プリズムを示す斜視図であり、(B)は前記走査プリズムを示す平面図である。
図17】(A)(B)は、第7の実施例の変形例に係る測量装置の回転部を示す説明図である。
図18】第8の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図19】第9の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図20】(A)は前記測量装置の走査プリズムを示す斜視図であり、(B)は前記走査プリズムを示す平面図である。
図21】第10の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図22】第10の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
先ず、図1図3に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
【0022】
測量装置1は、例えばレーザスキャナであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。
【0023】
前記整準部2は整準ネジ10を有し、該整準ネジ10により前記測量装置本体3を水平に整準する。
【0024】
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、走査ミラー15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18と、距離測定部19と、撮像部21等を具備(収納)している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。
【0025】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0026】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0027】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0028】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
【0029】
前記托架部5には、凹部22が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部22内に延出し、前記一端部に前記走査ミラー15が固着され、該走査ミラー15は前記凹部22に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0030】
前記軸心6a上であり、前記走査ミラー15と対向する位置は、ガラス等の透明材料で形成され、該走査ミラー15と一体に回転する窓部23が設けられている。該窓部23は、前記軸心6aに対して所定角度傾斜すると共に、表面に近赤外光を透過し、可視光を反射する可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着され、可視光分離面24が形成される。ロングパスフィルタは、前記窓部23の裏面に蒸着されていてもよい。尚、前記走査ミラー15と前記窓部23と前記可視光分離面24とで、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を介して一体に鉛直方向に回転される回転部20を構成する。
【0031】
又、前記凹部22の下面(底面)は、中心部に形成された水平部22aと、該水平部22aの両端部から外側に向ってそれぞれ下り傾斜する傾斜部22b、22cとからなっている。尚、本実施例では、前記傾斜部22bが設けられる側を前記測量装置1の正面側、前記傾斜部22cが設けられる側を前記測量装置1の背面側としている。
【0032】
前記托架部5には、前記傾斜部22bに開口する撮像部21が設けられている。該撮像部21は、上方を撮像可能に構成され、背景光が撮像光軸25に沿って入射することで、該撮像光軸25を中心とした画像を取得できる。又、前記回転部20が所定の回転位置に位置する場合に、前記撮像光軸25は前記可視光分離面24で所定の方向に反射される様に構成されている。
【0033】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査ミラー15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0034】
前記走査ミラー15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記走査ミラー15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0035】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのメモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0036】
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算するプログラム、前記撮像部21を制御する為の撮像プログラム、該撮像部21で撮像された画像を合成し全周画像を作成する全周画像作成プログラム、演算された3次元座標と作成された全周画像に基づき3次元座標付きの全周画像を作成する為の座標付き画像作成プログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
【0037】
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔の変更等を行う操作部と、測距結果や画像等を表示する表示部とを兼用している。
【0038】
次に、図3を参照して、前記距離測定部19について説明する。尚、図2中では、前記距離測定部19は便宜上正面図として図示している。
【0039】
該距離測定部19は、測距光射出部26と測距光受光部27と追尾光射出部28と追尾光受光部29とを有している。尚、前記測距光射出部26と前記測距光受光部27とにより測距部が構成され、前記追尾光射出部28と前記追尾光受光部29とにより追尾部が構成される。
【0040】
前記測距光射出部26は、測距光軸31を有している。又、前記測距光射出部26は、発光側から順に、前記測距光軸31上に設けられた発光素子32、例えば所定の波長の近赤外光を測距光37として射出するレーザダイオード(LD)と、投光レンズ33と、ダイクロイックミラー34と、該ダイクロイックミラー34の透過光軸上に設けられたミラー35とを有している。又、該ミラー35の反射光軸上に反射プリズム36が設けられ、該反射プリズム36の反射光軸上に前記走査ミラー15が設けられている。更に、該走査ミラー15の反射光軸上に、前記窓部23が設けられている。
【0041】
尚、本実施例では、前記測距光軸31と、前記ミラー35で反射された前記測距光軸31と、前記反射プリズム36で反射された前記測距光軸31とを総称して、該測距光軸31としている。
【0042】
前記ダイクロイックミラー34は、前記測距光37を透過し、追尾光38(後述)を反射する光学特性を有している。又、前記ダイクロイックミラー34は、前記測距光37と前記追尾光38の共通光路上(前記測距光軸31と追尾光軸39(後述)の交差位置)に設けられ、前記追尾光軸39が前記測距光軸31と合致する様に前記追尾光軸39を偏向(反射)する。従って、前記測距光37と前記追尾光38とは同軸で測定対象物に向って照射される。
【0043】
前記反射プリズム36は、2つの台形状のプリズムを接合させて形成され、各プリズムの接合面41で前記測距光37と前記追尾光38を反射する様に構成されている。前記反射プリズム36の射出面は、前記接合面41で反射された前記測距光軸31が僅かに傾斜して入射する様構成されており、前記反射プリズム36の射出面で内部反射された前記測距光37が受光素子42(後述)に受光されるのを防止している。尚、前記接合面41の傾斜角は、前記測距光軸31が受光光軸43(後述)及び前記軸心11aと合致する様、前記測距光軸31を偏向(反射)させる角度となっている。又、前記受光素子42としては、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)、或は同等の光電変換素子が用いられる。
【0044】
前記測距光受光部27は、前記受光光軸43を有している。又、前記測距光受光部27は、受光側から順に、前記受光光軸43上に設けられた前記受光素子42と、受光プリズム44を有すると共に、該受光プリズム44で反射された前記受光光軸43上に設けられた所定のNA(Numerical Aperture)を有する受光レンズ45を有している。
【0045】
前記受光プリズム44は、分離面としてのダイクロイック膜46を有している。前記受光プリズム44は、測定対象物で反射された前記測距光37(反射測距光47)と、該反射測距光47と同軸で入射した前記追尾光38(反射追尾光48)とを少なくとも1回内部反射させる様構成されている。又、前記ダイクロイック膜46は、前記反射測距光47を反射し、前記反射追尾光48を透過する光学特性を有している。
【0046】
尚、本実施例では、前記受光光軸43と、前記受光プリズム44及び前記ダイクロイック膜46で反射された前記受光光軸43とを総称して、該受光光軸43としている。
【0047】
前記追尾光射出部28は、前記追尾光軸39を有している。又、前記追尾光射出部28は、発光側から順に、前記追尾光軸39上に設けられた追尾発光素子49、例えば前記測距光37とは波長の異なる近赤外光を前記追尾光38として射出するレーザダイオード(LD)、を追尾投光レンズ51、前記ダイクロイックミラー34を有すると共に、該ダイクロイックミラー34の反射光軸上に設けられた前記ミラー35と、該ミラー35の反射光軸上に設けられた前記反射プリズム36とを有している。
【0048】
前記追尾光受光部29は、追尾受光光軸52を有している。又、前記追尾光受光部29は、受光側から順に、前記追尾受光光軸52上に設けられた追尾受光素子53、受光プリズム44及び該受光プリズム44の反射光軸上に設けられた前記受光レンズ45を有している。尚、本実施例では、前記追尾受光光軸52と前記受光プリズム44で反射された前記追尾受光光軸52とを総称して、該追尾受光光軸52としている。
【0049】
前記追尾受光素子53は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記追尾受光素子53上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記追尾受光素子53の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記追尾受光素子53上での位置が特定される。
【0050】
前記距離測定部19は、前記演算制御部17により制御される。前記発光素子32から前記測距光軸31上にパルス状の前記測距光37が射出されると、前記投光レンズ33、前記ダイクロイックミラー34を透過し、前記ミラー35で反射される。前記測距光37は、前記反射プリズム36に入射し、前記接合面41で前記受光光軸43及び前記軸心11aと同軸になる様反射される。前記反射プリズム36から射出される前記測距光37は、前記走査ミラー15によって直角に偏向され、前記窓部23と前記可視光分離面24を透過して測定対象物に照射される。前記走査ミラー15が前記軸心11aを中心に回転することで、前記測距光37は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0051】
尚、前記窓部23は、前記測距光軸31に対して所定角度傾斜しているので、前記窓部23で反射された前記測距光37の前記受光素子42への入射が防止される。又、前記走査ミラー15の前記測距光37の反射位置、即ち該測距光37の反射位置は、前記測量装置1の機械中心54であり、該機械中心54は前記軸心6a上に位置している。
【0052】
測定対象物で反射された前記反射測距光47は、前記可視光分離面24及び前記窓部23を透過し、前記走査ミラー15で直角に反射され、前記受光レンズ45及び前記受光プリズム44を通過する過程で前記ダイクロイック膜46に反射され、前記受光素子42で受光される。
【0053】
前記演算制御部17は、前記発光素子32の発光タイミングと、前記受光素子42の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)と光速に基づき、前記測距光37の1パルス毎に測距を実行し(Time Of Flight)、測定対象物迄の距離を演算する。尚、前記発光素子32の発光のタイミング、即ちパルス間隔は、前記操作パネル16を介して変更可能となっている。又、測距結果と前記水平角エンコーダ9及び前記鉛直角エンコーダ14で得られた水平角データ及び鉛直角データに基づき、測定対象物の3次元座標を演算できる。
【0054】
又、前記測距光37を所定のパルス間隔で射出しつつ、前記托架部5と前記走査ミラー15とをそれぞれ定速で回転させることで、該走査ミラー15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回転との協動により、前記測距光37が2次元に走査される。又、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより、測定対象物の3次元座標及び測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0055】
又、測距作動と並行して、追尾発光素子49から発せられた前記測距光37とは異なる波長の前記追尾光38は、前記追尾投光レンズ51で僅かに発散された後、前記ダイクロイックミラー34により前記測距光37と同軸となる様に偏向される。
【0056】
前記測距光37と同軸で測定対象物に照射され、測定対象物で反射された前記反射追尾光48は、前記可視光分離面24及び前記窓部23を透過し、前記受光レンズ45及び前記受光プリズム44を通過する過程で、前記ダイクロイック膜46で前記反射測距光47と分離され、前記ダイクロイック膜46を透過して前記追尾受光素子53で受光される。又、該追尾受光素子53への前記反射追尾光48の受光により、追尾像(図示せず)を得ることができる。
【0057】
前記演算制御部17は、前記追尾受光素子53の中心と、該追尾受光素子53に対する前記反射追尾光48の受光位置との位置偏差を演算し、該位置偏差に基づき、前記水平回転モータ8と前記鉛直回転モータ13を駆動させ、測定対象物を追尾する様に構成される。
【0058】
次に図4図5(A)、図5(B)を参照して、前記撮像部21について説明する。該撮像部21の撮像処理は前記演算制御部17により制御される。
【0059】
前記撮像部21は、測定対象物側から順に、前記撮像光軸25上に設けられた保護ガラス55、反射ミラー56と、該反射ミラー56の反射光軸上に設けられたカメラレンズ群57と、撮像素子58とを有している。尚、本実施例では、前記撮像光軸25と、前記反射ミラー56で反射された前記撮像光軸25と、更に前記可視光分離面24で反射された前記撮像光軸25とを総称して、該撮像光軸25としている。
【0060】
前記反射ミラー56で反射された前記撮像光軸25は、下方から上方に向って図4中紙面に対して右側に所定角度傾斜している。即ち、前記撮像光軸25は、前記機械中心54から離反した位置から該機械中心54に向って所定角度傾斜している。又、前記反射ミラー56は、水平方向に延出する前記撮像光軸25を前記回転部20に向って延出する様に偏向する。尚、該撮像光軸25は、前記測距光軸31、前記追尾光軸39、前記受光光軸43、前記追尾受光光軸52と同一平面に位置している。
【0061】
前記カメラレンズ群57は、前記撮像光軸25に沿って移動可能となっており、前記カメラレンズ群57を移動させることで、該カメラレンズ群57の焦点距離を調整可能となっている。又、撮像素子58は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は画像素子上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像光軸25を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記撮像素子58上での位置が特定される。
【0062】
図4図5(A)、図5(B)中、31aは、前記機械中心54を通り、前記測距光37が前記走査ミラー15で水平方向、即ち前記測量装置1の正面に向って偏向(反射)された時の測距光軸を示している。前記撮像部21は、図4図5(A)、図5(B)に示される様に、前記回転部20の回転位置に対応して、前記撮像光軸25の入射方向が変化し、前記撮像部21で取得される画像の中心が変化する。従って、前記回転部20を回転させることで、前記撮像部21の画角以上の範囲の画像を取得することができる。
【0063】
又、前記回転部20が所定の回転位置に位置する場合に、前記撮像光軸25は前記可視光分離面24により水平方向に反射され、前記測距光軸31aと同軸又は平行で略同軸な撮像光軸25aとすることができる。この時、背景光が水平な前記撮像光軸25aに沿って入射するので、前記撮像部21は、水平な前記撮像光軸25aを中心とした前記距離測定部19との視差がない又は略ない画像を取得することができ、取得した画像を視準画像として用いることができる。作業者は、視準画像を参照し、前記測量装置1を測定対象物に向けることができる。ここで、略同軸とは、前記撮像光軸25aと前記測距光軸31aとの距離が5mm程度であることを示す。又、以下の説明に於いても、略同軸と記載した場合には、各光軸間の距離は5mm以内とする。
【0064】
前記撮像光軸25水平又は略水平である時、即ち該撮像光軸25aが前記測距光軸31aと同軸又は略同軸である時の前記回転部20の回転位置は、前記鉛直角エンコーダ14から得ることができ、既知となっている。又、この時の前記測距光軸31の方向も、前記鉛直角エンコーダ14の検出結果から既知であり、前記測距光軸31aと前記測距光軸31との角度差も既知となっている。
【0065】
従って、前記撮像光軸25aを中心とした画像を取得するタイミングと、前記測距光軸31aに沿って測距したタイミングとが異なるが、前記測距光軸31と前記測距光軸31aとの角度差に基づき、前記距離測定部19による測距結果と、前記撮像部21が取得した画像の画素位置とを対応付けることができる。即ち、前記測量装置1が取得した点群に色付けが行えると共に、各画素毎に3次元座標を有する座標付き画像が作成できる。
【0066】
上述の様に、第1の実施例では、前記撮像部21が前記距離測定部19とは異なる位置、即ち前記凹部22の傾斜部22bに開口する様に設けられている。又、前記走査ミラー15と一体に回転する前記窓部23の表面に、可視光を反射し、近赤外光を透過する可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着されて前記可視光分離面24が形成されており、前記反射測距光47と前記反射追尾光48のみが前記距離測定部19に入射し、可視光である背景光は前記可視光分離面24で反射され、前記撮像部21に入射する様に構成されている。
【0067】
従って、前記撮像光軸25が前記受光光軸43及び前記追尾受光光軸52と同軸となる様に、前記撮像部21を前記距離測定部19に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0068】
又、前記回転部20が所定の回転位置である場合に、前記撮像光軸25が水平な測距光軸31aと同軸又は略同軸な前記撮像光軸25aとなり、該撮像光軸25aを中心とした画像を取得することができる。
【0069】
従って、前記距離測定部19に対して視差がない又は視差が略ない状態で前記撮像部21が画像を取得することができるので、取得した画像を視準画像として、高精度な視準を行うことができる。
【0070】
又、前記撮像光軸25aと同軸又は略同軸となる時の前記測距光軸31aと前記測距光軸31との角度差が既知であり、該角度差に基づき測距結果と画像とを対応付けることができるので、前記測量装置1が取得した点群に対する色付けが可能であると共に、各画素毎に3次元座標が付与された3次元座標付きの画像を作成することができる。
【0071】
更に、前記撮像光軸25は前記回転部20の回転位置に応じて反射方向が変化し、背景光の入射方向が変化するので、前記撮像部21の画角以上の範囲の画像を取得することができる。
【0072】
次に、図6に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図6中、図4中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
第1の実施例では、回転部20(図4参照)が所定の回転位置に位置する時に、撮像光軸25が水平な撮像光軸25aとなり、水平に偏向された時の測距光軸31aと同軸又は略同軸となる場合について説明した。第2の実施例では、水平な撮像光軸62a(後述)が前記測距光軸31aに対して所定の距離、例えば10mm程度下方にオフセットされた状態で前記測距光軸31aと平行となる様に構成されている。
【0074】
前記托架部5には、凹部22の傾斜部22bに開口する撮像部61が設けられ、該撮像部61は、撮像光軸62が鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行な方向、即ち前記回転部20に向って延出する様に配置されている。
【0075】
前記撮像部61は前記撮像光軸62上に測定対象物側から順に設けられた、保護ガラス63、カメラレンズ群64、撮像素子65を有している。
【0076】
第2の実施例に於いても、前記走査ミラー15、窓部23、可視光分離面24により回転部66が構成され、該回転部66が所定の回転位置に位置する時に、前記撮像光軸62が前記測距光軸31aと平行な前記撮像光軸62aとすることができ、該撮像光軸62aを中心とした画像を取得することができる。
【0077】
第2の実施例に於いては、前記測距光軸31aに対して所定距離下方にオフセットされた状態で、前記撮像光軸62が前記測距光軸31aと平行な前記撮像光軸62aとなる様、前記回転部66を構成している。
【0078】
従って、前記撮像光軸62を反射させる為の前記可視光分離面24、該可視光分離面24(ロングパスフィルタ)が蒸着された前記窓部23の幅を短くすることができるので、前記回転部66を小型化することができ、測量装置全体の小型化を図ることができる。
【0079】
又、第2の実施例では、オフセット距離だけ距離測定部19(図2参照)と前記撮像部61に視差が生じているが、特許文献1に示される従来のカメラよりも視差が小さくなるので、視準精度や点群の色付け精度を向上させることができる。
【0080】
又、撮像光軸62が前記回転部66に向って鉛直上方に延出する様に前記撮像部21が配置されているので、前記撮像部61の画角を第1の実施例よりも大きくすることができ、1回当りの撮像範囲を大きくすることができる。又、全周画像を作成する為に必要な画像の枚数を低減することができ、撮影時間の短縮を図ることができる。
【0081】
図7は、第2の実施例の変形例を示している。該変形例では、撮像部61が第2の実施例よりも中心側に設けられており、凹部22の水平部22aに開口している。その他の構成については第2の実施例と同様である。
【0082】
第2の実施例の変形例に於いては、機械中心54を通る水平な測距光軸31aと、水平な撮像光軸62aとのオフセット距離が第2の実施例よりも大きくなっている。一方で、前記撮像部61の画角が第2の実施例に於ける撮像部61の画角よりも大きくなっている。
【0083】
従って、1回当りの撮像範囲を第2の実施例よりも大きくすることができるので、全周画像を作成する為に必要な画像の枚数を低減することができ、撮影時間を更に短縮することができる。
【0084】
次に、図8に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図8中、図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
第3の実施例では、走査ミラー15と、該走査ミラー15と一体に回転する可視光分離光学部材としての可視光反射ミラー67とにより回転部68が構成される。該可視光反射ミラー67は、例えば近赤外光を透過し、可視光を反射するロングパスフィルタが蒸着されたガラス板となっている。即ち、前記可視光反射ミラー67は、測距光37と前記反射測距光47を透過し、背景光を反射する。
【0086】
又、該回転部68の正面側には、傾斜部22bに垂直に立設されたガラス板69aが設けられ、前記回転部68の背面側には、傾斜部22cに垂直に立設されたガラス板69bが設けられると共に、前記回転部68の上側には前記ガラス板69aと前記ガラス板69bとに掛渡ってガラス板69cが設けられている。前記ガラス板69a,69b,69cは、それぞれ近赤外光、及び可視光を透過する光学特性を有しており、前記ガラス板69a,69b,69cにより窓部69が構成されている。
【0087】
従って、前記走査ミラー15で反射され、前記可視光反射ミラー67を透過した前記測距光37は、必ず前記窓部69を透過して測定対象物に照射され、測定対象物で反射された反射測距光47と背景光は、必ず前記窓部69を透過し、前記回転部68に入射する様に構成されている。
【0088】
第3の実施例に於いては、撮像部61が第2の実施例よりも中心側に設けられており、凹部22の水平部22aに開口している。従って、前記撮像部61の画角を第2の実施例よりも大きくし、1回当りの撮像範囲を第2の実施例よりも大きくすることができるので、全周画像を作成する為に必要な画像の枚数を低減することができ、撮影時間を更に短縮することができる。
【0089】
次に、図9図10に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図9図10中、図2図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
第4の実施例に於いては、凹部22に上方から掛渡る様に、上方に突出するコ字状のハンドル部71が着脱可能に設けられている。該ハンドル部71の水平方向に延出する長手部71aは、例えば軸心11a(図1参照)と平行となっている。
【0091】
又、托架部5には、前記凹部22の水平部22aには、上方に開口する第1撮像部72が設けられ、該第1撮像部72の撮像光軸73は鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行に上方に向って延出している。即ち前記回転部66に向って上方に延出している。前記ハンドル部71の前記長手部71aには、下方に開口する第2撮像部74が設けられ、該第2撮像部74の撮像光軸75は鉛直下方、即ち前記軸心6aと平行に下方に向って延出している。即ち前記回転部66に向って下方に延出している。更に、前記撮像光軸73と前記撮像光軸75とが合致する様に、前記第1撮像部72と前記第2撮像部74とが配置されている。その他の構成は、第2の実施例と同様である。又、前記第1撮像部72と前記第2撮像部74の構成は、第1の実施例に於ける撮像部61(図6参照)と同様となっている。
【0092】
第4の実施例に於いては、回転部66の上方と下方にそれぞれ前記第1撮像部72と前記第2撮像部74とを設け、各撮像光軸73,75が水平に偏向された時の各撮像光軸73a(図示せず),75aは水平に偏向された測距光軸31aと平行であり、該測距光軸31aに対するオフセット距離は既知となっている。
【0093】
従って、画像処理により測量装置1が取得した点群に対する色付けや、各画素毎に対する3次元座標の付与処理を実行する際の、距離測定部19(図2参照)に対する前記第1撮像部72と前記第2撮像部74の視差補正を容易且つ高精度に実行することができる。
【0094】
又、前記第1撮像部72と前記第2撮像部74とで同時に撮像を行うことで、撮像部を一つとした場合よりも1回当りの撮像の画角を大きくすることができるので、全周画像を作成する為に必要な画像の枚数を低減することができ、撮影時間を更に短縮することができる。
【0095】
次に、図11図13に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、図11図13中、図9図10中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
第5の実施例に於いては、托架部5の正面側であり、凹部22と隣接する位置に正面側に突出するコ字状のハンドル部76が設けられている。該ハンドル部76の上下方向に延出する長手部76aは、例えば軸心6a(図1参照)と平行となっている。
【0097】
撮像部77は、撮像光軸78が走査ミラー15に入射する測距光軸31と同一平面上に位置する様、前記ハンドル部76内に設けられ、前記撮像光軸78が前記回転部66に向って延出し、可視光分離面24で反射された可視光が入射する様に構成されている。
【0098】
又、前記撮像部77は、測距光軸31が前記走査ミラー15で水平に偏向された際に、前記撮像光軸78が前記可視光分離面24上で測距光軸31aと交差し、且つ前記可視光分離面24で偏向された撮像光軸78aが前記測距光軸31aと完全に同軸となる様に配置されている。即ち、反射測距光47と背景光とが同軸で入射する。その他の構成は、第4の実施例と同様である。尚、前記測距光軸31が水平以外に偏向される場合には、全周画像の為の軸外光線77a(背景光)が前記撮像部77に入射する。
【0099】
第5の実施例では、水平に偏向された前記測距光軸31aと前記撮像光軸78とが完全に同軸となる様、前記撮像部77が前記ハンドル部76に設けられている。従って、前記撮像光軸78が前記測距光軸31と同軸となる様に前記撮像部77を距離測定部19に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0100】
又、前記測距光軸31aと前記可視光分離面24で偏向された撮像光軸78aとが完全に同軸となるので、前記距離測定部19に対して視差がない状態で前記撮像部77が画像を取得することができるので、取得した画像を視準画像として、高精度な視準を行うことができる。
【0101】
次に、図14に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、図13中、図11中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
第6の実施例では、撮像部77が測量装置本体3内に設けられ、撮像光軸78は水平方向に偏向された測距光軸31aと平行に正面側に向って延出している。
【0103】
又、ハンドル部76には前記撮像光軸78を偏向するミラー79が設けられている。該ミラー79は可視光分離面24上で前記撮像光軸78が測距光軸31aと交差し、且つ前記可視光分離面24で偏向された撮像光軸78aが前記測距光軸31aと完全に同軸となる様に前記撮像光軸78を偏向する。即ち、反射測距光47と背景光とが同軸で入射する。その他の構成は第5の実施例と同様である。
【0104】
第6の実施例に於いても、前記撮像光軸78が前記測距光軸31と同軸となる様に前記撮像部77を距離測定部19に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0105】
又、前記撮像部77は、前記距離測定部19に対して完全に視差のない画像を取得できるので、取得した画像を視準画像として、高精度な視準を行うことができる。
【0106】
次に、図15図16に於いて、本発明の第7の実施例について説明する。尚、図15図16中、図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
第7の実施例では、測距光37を回転照射させる為の鉛直回転部として、走査ミラーに代えて走査プリズム81が用いられている。該走査プリズム81は2つの三角形のプリズムを接合させて形成された略立方体の四角プリズムであり、図16(A)に示される様に、各三角プリズムの接合面は近赤外光、即ち測距光37や追尾光38を反射する反射面82となっている。
【0108】
又、図16(B)に示される様に、前記走査プリズム81の面のうち、測距光の射出面である可視光反射面83aには可視光分離部材としてのロングパスフィルタが蒸着される。又、該可視光反射面83aと測距光37の入射面と鉛直回転軸11(図1参照)に固着された面以外の面、即ち軸心6a(図1参照)と交差する4つの面のうち、前記可視光反射面83aを除く3つの面には、それぞれ該可視光反射面83aと同様のロングパスフィルタ又は可視光反射膜が蒸着され、可視光反射ミラーとしての可視光反射面83b,83c,83dが形成される。前記可視光反射面83a~83dにより可視光反射面83が形成される。尚、図15(B)中では、4つの面に前記可視光反射面83が形成されているが、該可視光反射面83は、4つの面のうち前記走査プリズム81に入射した前記測距光37の射出面と該射出面に隣接する少なくとも1面即ち少なくとも2面であればよい。又、前記可視光反射面83のうち、前記測距光37の射出面は戻り光防止の為前記測距光軸31に対して僅かに傾斜させてもよい。尚、前記走査プリズム81が回転部を構成する。
【0109】
第7の実施例では、第1撮像部84と第2撮像部85がそれぞれ托架部5に設けられ、それぞれ凹部22の水平部22aに開口している。前記第1撮像部84の撮像光軸86と前記第2撮像部85の撮像光軸87は、それぞれ前記走査プリズム81に向って鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行な方向に延出し、前記撮像光軸86と機械中心54との距離と前記撮像光軸87と前記機械中心54との距離は一致している。
【0110】
従って、測距光軸31が水平に偏向された時の測距光軸31aと、前記撮像光軸86が前記可視光反射面83で水平に反射された時の撮像光軸86aとのオフセット距離と、前記測距光軸31aと前記撮像光軸87が前記可視光反射面83で水平に反射された時の撮像光軸87aとのオフセット距離が一致し、前記撮像光軸86a,87aは同軸となる。
【0111】
第7の実施例では、2つの撮像部84,85と2つの可視光反射面83とにより、180°異なる方向の画像を同時に取得することができるので、全周画像を作成する為に必要な撮影回数を低減でき、撮影時間の短縮を図ることができる。
【0112】
又、1回の撮影範囲を広くすることができるので、プリズム等のターゲットの検出時間及び視準時間の短縮を図ることができる。
【0113】
図17(A)、図17(B)は、第7の実施例の変形例を示している。該変形例では、鉛直回転部として走査ミラー15が用いられる。又、可視光分離面としては、ロングパスフィルタが蒸着された窓部23と、可視光反射ミラーとして可視光反射膜が蒸着された1枚~3枚のガラス板88とが用いられる。尚、図17(A)は該ガラス板88が1枚である場合を示し、図17(B)は該ガラス板88が3枚(図示では88a~88c)である場合を示している。該ガラス板88は可視光反射ミラーとして機能し、前記撮像光軸86,87と交差する位置に配置されることで、前記可視光反射面83と同等の効果を得ることができる。又、前記走査ミラー15と各ガラス板88とで回転部89が構成される。
【0114】
次に、図18に於いて、本発明の第8の実施例について説明する。尚、図17中、図14中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
第8の実施例に於いては、凹部22に上方から掛渡る様に、上方に突出するコ字状の2つのハンドル部91,92が着脱可能に設けられている。該ハンドル部91,92の水平方向に延出する長手部91a,92aは、例えば軸心11a(図1参照)と平行となっている。
【0116】
前記ハンドル部91の長手部91aには、下方に開口する第3撮像部93が設けられ、前記ハンドル部92の長手部92aには、下方に開口する第4撮像部94が設けられている。前記第3撮像部93の撮像光軸95は前記走査プリズム81に向って鉛直下方、即ち前記軸心6aと平行に下方に向って延出し、第1撮像部84の撮像光軸86と合致する。又、前記第4撮像部94の撮像光軸96は前記走査プリズム81に向って鉛直下方、即ち前記軸心6aと平行に下方に向って延出し、第2撮像部85の撮像光軸87と合致する。その他の構成は第7の実施例と同様である。
【0117】
従って、前記撮像光軸95と機械中心54との距離と前記撮像光軸96と前記機械中心54との距離が一致し、測距光軸31aに対する水平な撮像光軸95aのオフセット距離と、前記測距光軸31aに対する水平な撮像光軸96aのオフセット距離も一致し、前記撮像光軸95aと前記撮像光軸96aは同軸となる。
【0118】
第8の実施例に於いては、4つの撮像部84,85,93,94と4つの可視光反射面83(83a~83d)とにより中心の異なる4つの画像を同時に取得することができるので、全周画像を作成する為に必要な撮影回数を低減でき、撮影時間の短縮を図ることができる。
【0119】
又、1回の撮影範囲を広くすることができるので、プリズム等のターゲットの検出時間及び視準時間の短縮を図ることができる。
【0120】
次に、図19図20に於いて、本発明の第9の実施例について説明する。尚、図19図20中、図15図16中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
第9の実施例では、測距光37を回転照射させる為の鉛直回転部として、走査ミラーに代えて走査プリズム97が用いられている。又、托架部5には、凹部22の水平部22aに開口する1つの撮像部98が設けられている。該撮像部98は、図14の第7の実施例に於ける第1撮像部84と同様の構成となっている。
【0122】
前記走査プリズム97は三角プリズムであり、図20(A)、図20(B)に示される様に、近赤外光、即ち測距光37や追尾光38を反射する反射面99を有している。又、図20(A)、図20(B)に示される様に、測距光37の射出面には可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着され、可視光のみを反射する可視光反射面100を形成し、撮像光軸101が前記可視光反射面100で偏向される様構成されている。
【0123】
第9の実施例に於いても、前記反射面99で水平に偏向された測距光軸31aは前記可視光反射面100で水平に偏向された撮像光軸101aと平行であり、互いのオフセット距離は既知となっている。
【0124】
尚、前記測距光37の戻り光防止の為、該可視光反射面100を前記測距光軸31に対して傾けてもよい。又、前記走査プリズム97が回転部を構成する。
【0125】
次に、図21図22に於いて、本発明の第10の実施例について説明する。尚、図21図22中、図6中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
第10の実施例に於いては、測量装置1はトータルステーションとなっている。該測量装置1は、托架部5に凹部22が形成され、該凹部22に回転部としての測定部103が設けられている。
【0127】
該測定部103は、鉛直回転軸11(図1参照)を介して前記托架部5に回転可能に支持され、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13によって機械中心54を中心として鉛直方向に回転される。又、前記測定部103には、距離測定部19が収納され、前記測定部103の回転と対応して、測距光軸31の方向も鉛直方向に変化する。尚、前記測定部103の回転位置に拘らず、前記機械中心54は前記測距光軸31の延長線上に位置しており、前記測定部103の回転角と前記測距光軸31の回転角とは合致している。
【0128】
前記托架部5には、前記凹部22の傾斜部22bに開口する撮像部61が設けられ、該撮像部61は、撮像光軸62が鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行な方向、即ち前記測定部103に向って延出する様に配置されている。
【0129】
又、該測定部103の下面には、可視光(背景光)を反射する可視光分離光学部材としての可視光反射ミラー104が設けられている。該可視光反射ミラー104は、例えば可視光反射膜が蒸着されたガラス板となっている。前記可視光反射ミラー104で反射された背景光が前記撮像光軸62に沿って入射することで、前記撮像部61が前記撮像光軸62を中心とする画像を取得する。
【0130】
前記測定部103が所定の回転位置に位置する場合、例えば前記測距光軸31が水平に対して上方に45°傾斜していた場合、前記可視光反射ミラー104で偏向された前記撮像光軸62は、前記機械中心54を通る水平な測距光軸31aと平行で水平な撮像光軸62aとなる。又、前記測距光軸31aと前記撮像光軸62aとの間のオフセット距離は既知となっている。即ち、前記可視光反射ミラー104は、所定のオフセット距離で反射測距光47と平行に入射した背景光を、前記撮像部61に受光される様偏向する様構成される。
【0131】
第10の実施例に於いても、前記撮像部61が前記托架部5に設けられ、前記撮像光軸62が前記測距光軸31と同軸となる様に、前記撮像部61を前記距離測定部19に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0132】
尚、第10の実施例では、前記撮像光軸62が鉛直上方に延出する前記撮像部61を前記傾斜部22bに設けているが、反射ミラー56(図4参照)を用いて撮像光軸25(図4参照)を偏向する第1の実施例の撮像部21(図4参照)を用いてもよいのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0133】
1 測量装置
3 測量装置本体
5 托架部
15 走査ミラー
17 演算制御部
19 距離測定部
21 撮像部
23 窓部
24 可視光分離面
25 撮像光軸
26 測距光射出部
27 測距光受光部
31 測距光軸
37 測距光
47 反射測距光
54 機械中心
図1
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