(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151573
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】圃場作業機
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20241018BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20241018BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60K11/06
F01P5/06 502D
A01C11/02 314
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065031
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】北井 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】奥井 貴雅
【テーマコード(参考)】
2B062
3D038
【Fターム(参考)】
2B062AA20
2B062AB01
2B062BA01
2B062BA07
2B062BA80
3D038AB05
3D038AC01
3D038AC10
3D038AC14
3D038AC23
(57)【要約】
【課題】空冷エンジン、及び、空冷エンジンよりも車体横外側に位置して空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットとが備えられた圃場作業機において、エンジン冷却などによって発生した熱気をエンジン冷却に悪影響し難くする。
【解決手段】空冷エンジンユニット4に沿って車体横幅方向に延びる導風部材40が備えられている。導風部材40は、冷却ファン35から空冷エンジン24に供給された冷却風を冷却ファン35が位置する側とは反対側に向けて流れるように導く。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷エンジン、及び、前記空冷エンジンよりも車体横外側に位置して前記空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、
前記空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットと、
前記空冷エンジンユニットに沿って車体横幅方向に延びる状態で設けられ、前記冷却ファンから前記空冷エンジンに供給された冷却風を前記冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるように導く導風部材と、が備えられている圃場作業機。
【請求項2】
前記導風部材は、前記空冷エンジンユニットよりも車体後方側に設けられている請求項1に記載の圃場作業機。
【請求項3】
前記導風部材の前記冷却ファンが位置する側とは反対側の端部が、前記空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出している請求項2に記載の圃場作業機。
【請求項4】
前記導風部材の前記冷却ファンが位置する側とは反対側の端部に、平面視で車体横外側ほど車体前方側に位置する状態で傾斜し、当った冷却風を前記エンジンボンネットの排気口に向けて流れるように案内する傾斜案内部が備えられている請求項2または3に記載の圃場作業機。
【請求項5】
前記導風部材よりも車体後方側に静油圧式の無段変速装置が設けられている請求項2または3に記載の圃場作業機。
【請求項6】
前記無段変速装置に対して前記冷却ファンが位置する側とは反対側に設けられ、前記無段変速装置に向けて冷却風を供給する変速装置冷却ファンが備えられている請求項5に記載の圃場作業機。
【請求項7】
前記冷却ファンの吸気口の外側に設けられ、前記吸気口の外周囲からの前記冷却ファンによる吸気を抑制する吸気抑制部材が備えられている請求項2または3に記載の圃場作業機。
【請求項8】
前記吸気抑制部材は、前記吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、前記吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられ、前記吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、前記吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていない請求項7に記載の圃場作業機。
【請求項9】
空冷エンジン、及び、前記空冷エンジンよりも車体横外側に位置して前記空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、
前記空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットと、
前記冷却ファンの吸気口の外側に設けられ、前記吸気口の外周囲からの前記冷却ファンによる吸気を抑制する吸気抑制部材と、が備えられ、
前記吸気抑制部材は、前記吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、前記吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられ、前記吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、前記吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていない圃場作業機。
【請求項10】
前記空冷エンジンユニットよりも車体後方側に設けられ、前記冷却ファンから前記空冷エンジンに供給された冷却風を前記冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるように導く導風部材が備えられている請求項9に記載の圃場作業機。
【請求項11】
前記導風部材の前記吸気口が位置する側の端部が前記空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出している請求項10に記載の圃場作業機。
【請求項12】
前記吸気抑制部材の車体横外側の端部が前記導風部材よりも車体横外側に位置している請求項10または11に記載の圃場作業機。
【請求項13】
前記導風部材よりも車体後方側に、前記空冷エンジン用の燃料フィルターが設けられ、
前記導風部材の上部が前記空冷エンジンユニットの上端部よりも低い位置、かつ、前記燃料フィルターの上端部よりも高い位置に位置している請求項10または11に記載の圃場作業機。
【請求項14】
前記エンジンボンネットの左右の横ボンネット部のうち、前記吸気口が位置する側に位置する横ボンネット部に通気口が開口され、
前記通気口の車体前後方向での長さが前記吸気口の車体前後方向での長さよりも長く設定されている請求項9に記載の圃場作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、空冷エンジン、及び、空冷エンジンよりも車体横外側に位置して空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネット(ボンネット)と、が備えられた圃場作業機(田植機)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却ファンからの冷却風によってエンジンの冷却が行われるが、エンジンの冷却、エンジンから発生する輻射熱などによって発生した熱気がエンジン周辺において停滞あるいは回流した場合、熱気のためにエンジンの冷却が効率よく行われず、高性能で高価なオイルクーラが必要になる。また、圃場作業機では、エンジンの付近に走行装置などに動力伝達する動力伝達装置が設けられるが、動力伝達装置が熱気などによって温度上昇する場合も同様である。
【0005】
本発明は、エンジン周辺の熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる圃場作業機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による圃場作業機は、
空冷エンジン、及び、前記空冷エンジンよりも車体横外側に位置して前記空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、前記空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットと、前記空冷エンジンユニットに沿って車体横幅方向に延びる状態で設けられ、前記冷却ファンから前記空冷エンジンに供給された冷却風を前記冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるように導く導風部材と、が備えられている。
【0007】
本構成によると、エンジン冷却などによって発生した熱気が導風部材によって導かれて冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるので、熱気がエンジンの周辺から流出し易い。熱気がエンジンの周辺から流出し易いことにより、熱気の停滞あるいは回流を抑制でき、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0008】
本発明においては、
前記導風部材は、前記空冷エンジンユニットよりも車体後方側に設けられていると好適である。
【0009】
空冷エンジンユニットよりも車体後方側を流れる熱気が導風部材によって導かれて冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるので熱気がエンジンの周囲から流出し易い。熱気がエンジンの周囲から流出し易いことにより、熱気による悪響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0010】
本発明においては、
前記導風部材の前記冷却ファンが位置する側とは反対側の端部が、前記空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出していると好適である。
【0011】
導風部材の冷却ファンが位置する側とは反対側の端部が空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出するので、突出しない場合に比べ、導風部材の端部がエンジンボンネットに近づいて導風部材によって導かれる熱気がエンジンボンネットの排気口からエンジンボンネット外に流出し易い。熱気がエンジンボンネット外に流出し易いことにより、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0012】
本発明においては、
前記導風部材の前記冷却ファンが位置する側とは反対側の端部に、平面視で車体横外側ほど車体前方側に位置する状態で傾斜し、当った冷却風を前記エンジンボンネットの排気口に向けて流れるように案内する傾斜案内部が備えられていると好適である。
【0013】
本構成によると、導風部材によって導かれて冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れた熱気が傾斜案内部に当ると、傾斜案内部によって案内されてエンジンボンネットの排気口に向けて流れ易いので、熱気をエンジンボンネット外に流出し易くでき、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0014】
本発明においては、
前記導風部材よりも車体後方側に静油圧式の無段変速装置が設けられていると好適である。
【0015】
エンジンから無段変速装置への熱伝達が導風部材によって抑制されるので、導風部材を遮熱部材に活用して安価にエンジン放熱による無段変速装置の温度上昇を抑制することができる。
【0016】
本発明においては、
前記無段変速装置に対して前記冷却ファンが位置する側とは反対側に設けられ、前記無段変速装置に向けて冷却風を供給する変速装置冷却ファンが備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、変速装置冷却ファンによって無段変速装置に向けて供給され、無段変速装置を冷却して発生した温風が、変速装置冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるが、温風がエンジンに向かって流れることが導風部材によって抑制される。温風がエンジンに向かって流れることが抑制されることにより、導風部材を遮蔽部材に活用しつつ、温風による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0018】
本発明においては、
前記冷却ファンの吸気口の外側に設けられ、前記吸気口の外周囲からの前記冷却ファンによる吸気を抑制する吸気抑制部材が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によると、エンジン冷却などによって発生した熱気がエンジンの周辺を回流しても、吸気口から冷却ファンによって吸引されることが吸気抑制部材によって抑制されるので、熱気のエンジンへの供給が抑制される。熱気のエンジンへの供給が抑制されることにより、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0020】
本発明においては、
前記吸気抑制部材は、前記吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、前記吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられ、前記吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、前記吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていないと好適である。
【0021】
本構成によると、吸気抑制部材は、吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられているので、熱気が導風部材に対して空冷エンジンユニット側とは反対側を冷却ファン側に流れても、吸気口から冷却ファンによって吸気されることが吸気抑制部材によって抑制されるので、熱気のエンジンへの供給を抑制できる。吸気抑制部材は、吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていないので、吸気口の外周囲のうちの吸気抑制部材が無い部位からは冷却風が吸気ファンによってスムーズに吸気される。エンジンに冷却風をスムーズに供給しつつ、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0022】
別の本発明による圃場作業機は、
空冷エンジン、及び、前記空冷エンジンよりも車体横外側に位置して前記空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニットと、前記空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットと、前記冷却ファンの吸気口の外側に設けられ、前記吸気口の外周囲からの前記冷却ファンによる吸気を抑制する吸気抑制部材と、が備えられ、前記吸気抑制部材は、前記吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、前記吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられ、前記吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、前記吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていない。
【0023】
本構成によると、吸気抑制部材は、吸気口の後側半分における上端側の一部分の周りと、吸気口の前側半分における上端側の一部分の周りとに亘って設けられているので、エンジン冷却などによって発生した熱気が回流して空冷エンジンユニットよりも後側を冷却ファンが位置する側に流れても、吸気口から冷却ファンによって吸気されることが吸気抑制部材によって抑制されるので、熱気をエンジンに再び供給され難くできる。吸気抑制部材は、吸気口の後側半分における前記一部分を除く部分の周りと、吸気口の前側半分における前記一部分を除く部分の周りとに設けられていないので、吸気口の外周囲のうちの吸気抑制部材が無い部位からは冷却風が吸気ファンによってスムーズに吸気される。エンジンに冷却風をスムーズに供給しつつ、熱気による悪影響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0024】
本発明において、
前記空冷エンジンユニットよりも車体後方側に設けられ、前記冷却ファンから前記空冷エンジンに供給された冷却風を前記冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるように導く導風部材が備えられていると好適である。
【0025】
本構成によると、
空冷エンジンユニットよりも車体後方側を流れる熱気が導風部材によって導かれて冷却ファンが位置する側とは反対側に向けて流れるので熱気がエンジンの周囲から流出し易い。熱気がエンジンの周囲から流出し易いことにより、熱気による悪響を受け難くしつつエンジンを冷却することができる。
【0026】
本発明において、
前記導風部材の前記吸気口が位置する側の端部が前記空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出していると好適である。
【0027】
空冷エンジンユニットの周りの熱気が導風部材に対して空冷エンジンユニット側と反対側において吸気口が位置する側に向けて流れて導風部材から車体横外側に出ても、導風部材のうちの空冷エンジンユニットよりも車体横外側に突出した部位で出るので、熱気を吸気口に向い難くできる。熱気が吸気口に向かい難いことにより、熱気が空冷エンジンに吸引され難くできるので熱気による悪影響を受け難くしつつ空冷エンジンを冷却することができる。
【0028】
本発明において、
前記吸気抑制部材の車体横外側の端部が前記導風部材よりも車体横外側に位置していると好適である。
【0029】
空冷エンジンユニットの周りの熱気が導風部材に対して空冷エンジンユニット側と反対側において吸気口が位置する側に向けて流れて導風部材から車体横外側に出ても、導風部材から出た熱気が吸気抑制部材に当たる。熱気が吸気抑制部材に当たることにより、空冷エンジンによる熱気の吸引が吸気抑制部材によって抑制される。また、熱気が吸気抑制部材から車体横外側に向って流れて車外に流出するので、熱気による悪影響を受け難くしつつ空冷エンジンを冷却することができる。
【0030】
本発明において、
前記導風部材よりも車体後方側に、前記空冷エンジン用の燃料フィルターが設けられ、前記導風部材の上部が前記空冷エンジンユニットの上端部よりも低い位置、かつ、前記燃料フィルターの上端部よりも高い位置に位置していると好適である。
【0031】
本構成によると、燃料フィルターを空冷エンジンに接続する配管を導風部材の上方を通して空冷エンジンに接続することができて燃料フィルターを空冷エンジンに接続し易い。空冷エンジンの放熱が燃料フィルターに伝達され難いように導風部材によって防熱される。燃料フィルターを空冷エンジンに接続し易くしながら、燃料フィルターを空冷エンジンによって昇温され難くできる。
【0032】
本発明において、
前記エンジンボンネットの左右の横ボンネット部のうち、前記吸気口が位置する側に位置する横ボンネット部に通気口が開口され、
前記通気口の車体前後方向での長さが前記吸気口の車体前後方向での長さよりも長く設定されていると好適である。
【0033】
本構成によると、横ボンネット部の上下長さなどの都合によって吸気口の上下長さをあまり長くできない場合でも、空冷エンジンユニットの吸気、熱気の排出を考慮した広さの通気口を通気口の車体前後方向での長さによって確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】乗用型田植機を右側方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、乗用型田植機(「圃場作業機」の一例)の走行車体に関し、
図1,2などに示される矢印Fの方向を「車体前側」、矢印Bの方向を「車体後側」、矢印Uの方向を「車体上側」、矢印Dの方向を「車体下側」、
図1の紙面表側の方向を「車体右側」、紙面裏側の方向を「車体左側」とする。
図5に示される矢印Lの方向を「車体左側」、矢印Rの方向を「車体右側」とする。車体左右方向が車体横幅方向に対応する。
【0036】
〔乗用型田植機の全体〕
図1は、乗用型田植機を車体右側方から見た側面図である。乗用型田植機は、左右一対の操向可能かつ駆動可能な左右一対の前車輪1と、駆動可能な左右一対の後車輪2とによって支持される走行車体3を備えている。走行車体3の前部に、空冷エンジンユニット4(
図2,3参照)を備える原動部5が設けられている。走行車体3の後部に、運転者が搭乗して操縦する運転部6が設けられている。運転部6には、運転座席7、前車輪1を操向操作するステアリングホィール8などが備えられている。走行車体3の車体フレーム9の後部に苗植付装置10が連結されている。苗植付装置10の車体フレーム9への連結は、車体フレーム9の後部から車体後方向きに上下揺動可能に延びるリンク機構11を介して行われている。苗植付装置10は、リンク機構11が昇降シリンダ12の伸縮によって上下に揺動操作されることで走行車体3に対して昇降される。車体フレーム9は、ミッションケース13、ミッションケース13の後部から車体後方向きに延びて運転座席7などが取り付けられる後部フレーム14、および、ミッションケース13の前部から車体前方向きに延びて空冷エンジンユニット4などが取り付けられる前部フレーム15などによって構成されている。
【0037】
〔原動部〕
図1,2,3に示されるように、原動部5には、空冷エンジンユニット4、空冷エンジンユニット4を覆うエンジンボンネット16が備えられている。エンジンボンネット16の後上部に、計器パネル(図示せず)のベース部17が連結されている。エンジンボンネット16は、下部ボンネット部19、下部ボンネット部19よりも上側に位置して空冷エンジンユニット4を上方から覆う上ボンネット部20、下部ボンネット部19の後方に位置して空冷エンジンユニット4の上部を後方から覆う後ボンネット部21を備えている。下部ボンネット部19は、
図3に示されるように、空冷エンジンユニット4の上部を両横側方から覆う左右の横ボンネット部19a、左右の横ボンネット部19aの前部に連結されて空冷エンジンユニット4の上部を前方から覆う前ボンネット部19bを備えている。
図1に示されるように、上ボンネット部20の後部に、車体フレーム9のうちのボンネット支持部(図示せず)に上ボンネット部20を枢支する枢支軸芯Pが備えられている。上ボンネット部20は、枢支軸芯Pを揺動支点にして上下に揺動開閉可能な状態で車体フレーム9に保持されている。エンジンボンネット16は、樹脂製である。
【0038】
図2,3に示されるように、空冷エンジンユニット4は、空冷エンジン24、空冷エンジン24の車体右横側の側部に設けられた冷却風供給部26、空冷エンジン24の前部に取付けられたスタータモータ27、空冷エンジン24の後上部に接続された燃料フィルター25などを備えている。
【0039】
空冷エンジンユニット4は、空冷エンジン24のクランク軸(図示せず)が車体横幅方向に沿った方向に延びる状態で前部フレーム15に取付けられている。
図2に示されるように、前部フレーム15への空冷エンジンユニット4の取付けは、空冷エンジン24の前下部および後下部に連結部28が備えられ、前下部の連結部28を前部フレーム15の前部に備えられた前エンジン支持部29aにクッション材30を介して連結し、後下部の連結部28を前部フレーム15の後部に備えられた後エンジン支持部29bにクッション材30を介して連結することによって行われる。
【0040】
空冷エンジン24は、空冷ガソリンエンジンによって構成されている。空冷エンジン24は、上前部と上後部の2箇所に設けられたシリンダ部24aを備えている。前後のシリンダ部24aは、車体横幅方向に沿う方向視でV字状に配置されている。前のシリンダ部24aと後のシリンダ部24aとの間に吸気部24bが形成されている。吸気部24bは、吸気管31を介してエアクリーナ34(
図2参照)に接続される。本実施形態では、空冷エンジン24は、ガソリンエンジンによって構成されているが、ディーゼルエンジンによって構成されるものであってもよい。
【0041】
図2,3に示されるように、空冷エンジンユニット4よりも車体後側に、ミッションケース13、及び、ミッションケース13の車体左側の側部に取付けられた静油圧式の無段変速装置33が設けられている。空冷エンジン24に、空冷エンジン24の下部から車体左横外側に向けて突出する出力軸24cが備えられている。出力軸24cの動力がベルト伝動機構32を介して無段変速装置33に入力されて無段変速装置33の出力がミッションケース13に入力されるように構成されている。ミッションケース13に入力された動力がミッションケース13に収容されている走行ギヤミッション(図示せず)から前車輪1および後車輪2に伝達され、ミッションケース13に入力された動力がミッションケース13に収容された作業ギヤミッション(図示せず)から苗植付装置10に伝達されるように構成されている。空冷エンジン24による前車輪1、後車輪2および苗植付装置10の駆動が可能にされている。
【0042】
図2,3に示されるように、冷却風供給部26は、空冷エンジン24よりも車体右横外側に位置する冷却ファン35、および、冷却ファン35を覆うファンケース36を備えている。ファンケース36は、空冷エンジン24に保持されている。ファンケース36のうちの冷却ファン35に対向する部位に、冷却ファン35の吸気口37が開口されている。吸気口37には、防塵ネットが備えられている。
【0043】
冷却風供給部26においては、冷却ファン35が空冷エンジン24によって駆動され、冷却ファン35の送風作用により、右の横ボンネット部19aよりも下側から吸気口37に向けて吸気され、右の横ボンネット部19aに開口されている通気口39(
図1,3参照)を介してエンジンボンネット16の外部から内部に吸気される。横ボンネット部19aの通気口39からの吸気が横ボンネット部19aの下方において吸気口37の横外側方に位置する案内板18(
図5参照)によって吸気口37に向かうように案内され、通気口39からの吸気と、横ボンネット部19aよりも下側からの吸気とが合流して吸気口37を介してファンケース36の内部に導入されて冷却風が発生する。発生した冷却風が冷却ファン35によってファンケース36の空冷エンジン24に向っている開口36a(
図3参照)から空冷エンジン24に向けて供給されて空冷エンジン24の周りを冷却ファン35が位置する側とは反対側に向けて流れ、空冷エンジン24の冷却風による冷却が行われる。
図5に示されるように、案内板18は、上端側ほど吸気口37との間隔が広くなる傾斜姿勢で前部フレーム15に取付けられている。案内板18の前部フレーム15への取付けは、案内板18と前部フレーム15とを連結する連結部材18aを介して行われる。
【0044】
図1に示されるように、右の横ボンネット部19aの通気口39は、横ボンネット部19aの上下3箇所に設けられている。
図1,3に示されるように、3箇所それぞれの通気口39の車体前後方向での長さL1は、吸気口37の車体前後方向での長さL2よりも長く設定されている。本実施形態では、右の横ボンネット部19aの通気口39は、横ボンネット部19aの上下3箇所に設けられているが、2箇所以下、あるいは、4箇所以上に設けてもよい。また、通気口39としては、上下3箇所の通気口39のトータル面積に等しい面積を有する一つの通気口を採用することが可能である。
【0045】
図2,3に示されるように、空冷エンジンユニット4よりも車体後側に、導風部材40が設けられている。導風部材40は、空冷エンジン24に沿って車体横幅方向に延びる状態で前部フレーム15に保持されており、冷却ファン35からの冷却風を冷却ファン35が位置する側とは反対側に向けて流れるように導く。導風部材40の前部フレーム15による保持は、導風部材40の下端部を後エンジン支持部29bの上部に備えられた支持部41に連結ボルトによって連結することによって行われる。空冷エンジン24を冷却するなどによって発生した熱気が導風部材40によって導かれて冷却ファン35が位置する側とは反対側に流れ、熱気を左の横ボンネット部19aよりも下側を通して空冷エンジン24の周囲から外部に排出することができる。また、熱気を左の横ボンネット部19aに開口されている通気口42(
図3参照)を排気口としてエンジンボンネット16の外部に流出し易くできる。本実施形態では、導風部材40は、板金部材によって構成されている。
【0046】
左の横ボンネット部19aの通気口42は、右の通気口39と同様に横ボンネット部19aの上下3箇所に設けられている。3箇所の通気口42それぞれの車体前後方向での長さは、右の通気口39の車体前後方向での長さと同じ長さに設定されている。本実施形態では、通気口42は、上下3箇所に設けられているが、2箇所以下、あるいは、4箇所以上に設けてもよい。また、通気口42としては、上下3箇所の通気口42のトータル面積に等しい面積を有する一つの通気口を採用することが可能である。
【0047】
導風部材40の車体横幅方向での長さは、空冷エンジンユニット4の車体横幅方向での長さ、すなわちファンケース36の車体右横外側の端部から空冷エンジン24の車体左横外側の端部までの長さよりも長く設定されている。
図2,3に示されるように、空冷エンジン24のための燃料フィルター25が導風部材40よりも車体後方側に設けられている。燃料フィルター25は、導風部材40の横幅内に位置している。導風部材40は、
図2,4に示されるように、導風部材40の上部40tが、空冷エンジンユニット4の上端部4t(本実施例では、空冷エンジン24のシリンダ部24aの上端部)の位置よりも低い位置、かつ、燃料フィルター25の上端部25bよりも高い位置に位置するように構成されている。燃料フィルター25を空冷エンジン24に接続する配管25aを導風部材40の上方を通して空冷エンジン24に接続しながら、空冷エンジン24の放熱が燃料フィルター25に伝達され難いように導風部材40によって防熱される。本実施形態では、導風部材40の上部40tの位置が空冷エンジンユニット4の上端部4tの位置よりも低い位置に設定されているが、導風部材40の上部40tの位置は、空冷エンジンユニット4の上端部4tの位置よりも高い位置に設定してもよい。
【0048】
図3に示されるように、導風部材40は、冷却ファン35が位置する側とは反対側の端部40aが空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出するように構成されている。導風部材40の端部40aを、ベルト伝動機構32のベルトまで延ばすことはできないが、左の横ボンネット部19aに近づけることができ、導風部材40によって冷却ファン35が位置する側とは反対側に導かれた熱気を左の横ボンネット部19aよりも外側に流出し易くできる。
【0049】
図2,3に示されるように、導風部材40の冷却ファン35が位置する側とは反対側の端部40aに、平面視で車体横外側ほど車体前方側に位置する状態で傾斜する第1傾斜案内部43が備えられている。導風部材40によって導かれた熱気が第1傾斜案内部43に当り、第1傾斜案内部43によって左の横ボンネット部19aの通気口42に向けて流れるように案内される。導風部材40によって導かれた熱気をエンジンボンネット16の外部に流出し易くできる。
【0050】
本実施形態では、第1傾斜案内部43は、
図2に示されるように、導風部材40の冷却ファン35が位置する側とは反対側の端部40aにおける上部(端部40aのうち、エンジンボンネット16の内部に位置する部位)に設けられている。第1傾斜案内部43は、端部40aにおける下端から上端にわたる全体に設けてもよい。
【0051】
図2,3,5に示されるように、冷却ファン35の吸気口37の外側に、吸気口37の外周囲からの冷却ファン35による吸気を抑制する吸気抑制部材45が設けられている。吸気抑制部材45は、
図2,4に示されるように、吸気口37の後側半分37Rにおける上端側の一部分37R1の周りと、吸気口37の前側半分37Fにおける上端側の一部分37F1の周りとにわたって設けられている。吸気抑制部材45は、吸気口37の後側半分37Rにおける上端側の一部分37R1を除く周りと、吸気口37の前側半分37Fにおける上端側の一部分37F1を除く部分の周りとには設けられていない。吸気抑制部材45は、前部フレーム15に保持されている。吸気抑制部材45の前部フレーム15による保持は、
図2に示されるように、吸気抑制部材45の後側の端部に連結部46が備えられ、連結部46を前部フレーム15に取付けられたステー47に連結ボルトによって連結することによって行われる。
【0052】
吸気抑制部材45が無い場合、吸気口37の横外側における車体上下方向での範囲A(
図4参照)において、空冷エンジンユニット4よりも車体後側から車体前方に向かう熱風が吸気口37の横外側を流れる。吸気抑制部材45のうち、吸気口37の後側半分37Rにおける上端側の一部分37R1の周りに位置する後側部分45rが、空冷エンジンユニット4よりも車体後側から車体前方に向かう熱風が吸気口37に吸引されるのを抑制する。空冷エンジンユニット4よりも車体後側から車体前方に向かって流れ、吸気抑制部材45のうちの後側部分45rに当った熱風が後側部分45rよりも前側に反射する。吸気抑制部材45のうち、吸気口37の前側半分37Fの上端側の一部分37F1の周りに位置する前側部分45fが、後側部分45rから前側に反射した熱風が吸気口37に吸引されるのを抑制する。
【0053】
空冷エンジン24の冷却などによって発生して空冷エンジンユニット4の周囲を回流する熱気が導風部材40に対して空冷エンジンユニット4が位置する側とは反対側(導風部材40よりも車体後側)を冷却ファン35が位置する側に向けて流れても、吸気口37から冷却ファン35によって吸気されることが吸気抑制部材45によって抑制される。回流する熱気が空冷エンジン24に再び供給されることが吸気抑制部材45によって抑制される。吸気口37の外周囲のうちの吸気抑制部材45が無い部位からは冷却風が冷却ファン35にスムーズに吸引される。空冷エンジン24に冷却風がスムーズに供給されながら、熱気の空冷エンジン24への供給が抑制される。
【0054】
導風部材40は、
図3に示されるように、導風部材40の吸気口37が位置する側の端部40cが空冷エンジンユニット4(空冷エンジンユニット4の吸気口側の端部4a)よりも車体横外側に突出するように構成されている。吸気抑制部材45は、
図3に示されるように、吸気抑制部材45の車体横外側の端部45aが導風部材40(導風部材40の吸気口側の端部40c)よりも車体横外側に突出するように構成されている。空冷エンジンユニット4の周りの熱気が導風部材40に対して空冷エンジンユニット側と反対側において吸気口37が位置する側に向けて流れて導風部材40から車体横外側に出ても、導風部材40のうちの空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出した部位で外れるので熱気を吸気口37に向い難くできる。導風部材40から車体横外側に出た熱気が吸気口37に向っても、熱気が吸気抑制部材45に当り、空冷エンジン24による熱気の吸引が吸気抑制部材45によって抑制される。
【0055】
図2,3,5に示されるように、吸気抑制部材45の外周部および内周部にクッション部材48が接着されている。空冷エンジンユニット4の樹脂品などの吸気抑制部材45への接触がクッション部材48によって防止される。
【0056】
本実施形態では、吸気抑制部材45は、
図2,3に示される如く冷却ファン35の回転軸芯Xの方向に沿う方向に延びるように構成しているが、吸気抑制部材45としては、吸気口37から横外側に離れるほど回転軸芯Xとの間隔が広くなる先広がり状態(ラッパ状態)に構成されたものの採用が可能である。
【0057】
本実施形態では、吸気抑制部材45は、吸気口37の周囲のうちの一部分に存在し、吸気口37の周囲のうちの残りの部分には存在しないように構成しているが、吸気口37の全周にわたって存在する吸気抑制部材の採用が可能である。
【0058】
図2,3に示されるように、導風部材40よりも車体後方側に、ミッションケース13、およびミッションケース13の車体左側の側部に取付けた静油圧式の無段変速装置33が設けられている。無段変速装置33は、空冷エンジン24の出力軸24cの動力がベルト伝動機構32を介して入力され、入力された動力を無段階に変速してミッションケース13に入力するように構成されている。ミッションケース13には、入力された動力を前車輪1および後車輪2に伝達する走行ギヤミッション(図示せず)、入力された動力を苗植付装置10に伝達する作業ギヤミッション(図示せず)が収容されている。
【0059】
図3に示されるように、無段変速装置33に対して冷却ファン35が位置する側とは反対側に、無段変速装置33およびミッションケース13に向けて冷却風を供給する変速装置冷却ファン50が設けられている。具体的には、変速装置冷却ファン50は、無段変速装置33の入力軸33aに取付けられ、入力軸33aによって回転駆動されて無段変速装置33およびミッションケース13に向けて冷却風を供給する。無段変速装置33の作動油、および、ミッションケース内の潤滑油の冷却風よる冷却が行われる。
【0060】
導風部材40が空冷エンジンユニット4と無段変速装置33との間、および、空冷エンジンユニット4とミッションケース13との間に位置し、無段変速装置33およびミッションケース13への空冷エンジンユニット4からの熱伝達が導風部材40によって抑制される。
【0061】
変速装置冷却ファン50から無段変速装置33およびミッションケース13に向けて供給される冷却風が導風部材40に対して空冷エンジンユニット4が位置する側とは反対側を変速装置冷却ファン50が位置する側とは反対側に向けて流れるように導風部材40によって導かれる。無段変速装置33およびミッションケース13を冷却して発生した温風が、変速装置冷却ファン50が位置する側とは反対側に流れるように導風部材40によって導かれ、温風を右の横ボンネット部19aに位置する通気口39からエンジンボンネット16の外部に排出され易くできる。また、温風を導風部材40によって空冷エンジンユニット4に流れ難くできる。
【0062】
導風部材40の変速装置冷却ファン50が位置する側とは反対側の端部に第2傾斜案内部を設け、変速装置冷却ファン50からの冷却風が第2傾斜案内部によって右の横ボンネット部19aの通気口39に向って流れるように案内されるように構成することが可能である。
【0063】
無段変速装置33およびミッションケース13を冷却して発生して変速装置冷却ファン50が位置する側とは反対側に導風部材40によって導かれ、導風部材40から車体横外側に出た温風が冷却ファン35によって吸気口37から吸引されることが吸気抑制部材45によって抑制される。
【0064】
図2,3に示されるように、導風部材40の車体横幅方向での中間部に、車体前方側に向かう膨出部40bが形成されている。変速操作装置による無段変速装置33の変速操作が可能な速度を無段変速装置33に備えられた最高速度よりも低速に制限する変速制限機構(図示せず)が無段変速装置33に備えられている。膨出部40bは、変速制限機構を構成するリンク部材を導風部材40に当らないように入り込ませる空間を内部に形成している。
【0065】
図3に示されるように、空冷エンジン24に対して冷却ファン35が位置する側とは反対側に排気マフラー51が設けられている。排気マフラー51は、空冷エンジン24の2つの排気部のうちの一方の排気部に第1排気管52を介して接続され、空冷エンジン24の2つの排気部のうちの他方の排気部に第2排気管53を介して接続されている。排気マフラー51は、遮熱用のマフラーカバー54によって覆われている。第1排気管52および第2排気管53は、遮熱用の排気管カバー55によって覆われている。排気マフラー51、第1排気管52および第2排気管53からエンジンボンネット16への熱伝達がマフラーカバー54および排気管カバー55によって抑制される。
【0066】
〔別実施形態〕
(1)前車輪1の操舵を行う操舵用モータ、マイクロコンピュータを利用した制御装置を備えるに当り、導風部材40よりも車体後方側における導風部材40の車体横幅内に設けることにより、空冷エンジンユニット4の放熱、空冷エンジンユニット4のまわりの熱気による操舵用モータ、制御装置の温度上昇が導風部材40によって防止される。
【0067】
(2)上記実施形態では、冷却ファン35が空冷エンジン24よりも車体右横外側に位置する例を示したが、冷却ファン35が空冷エンジン24よりも車体左横外側に位置するものであってもよい。
【0068】
(3)上記した実施形態では、導風部材40および吸気抑制部材45を設けた例を示したが、導風部材40を設けず、吸気抑制部材45を設けて実施してもよい。空冷エンジン24の冷却などによって発生して空冷エンジンユニット4の後方を回流した熱気が冷却ファン35によって再度吸引されることが吸気抑制部材45によって抑制される。吸気口37の周りのうち、吸気抑制部材45が存在しない部位からは冷却風が冷却ファン35によってスムーズに吸引される。
【0069】
(4)上記した実施形態では、導風部材40および吸気抑制部材45を設けた例を示したが、導風部材40を設けたものにあっては、吸気抑制部材45を設けないものであってもよい。
【0070】
(5)上記した実施形態では、導風部材40を空冷エンジンユニット4よりも車体後側だけに設けた例を示したが、これに限らない。空冷エンジンユニット4よりも車体後側、車体前側、車体上側および車体下側のうち、少なくとも一箇所に導風部材40を設けるものであってもよい。
【0071】
(6)上記した実施形態では、導風部材40の冷却ファン35が位置する側とは反対側の端部40aが空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出する例を示したが、導風部材40の端部40aが空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出しないものであってもよい。
【0072】
(7)上記した実施形態では、導風部材40の冷却ファン35が位置する側とは反対側の端部40aに第1傾斜案内部43を設けた例を示したが、第1傾斜案内部43を設けないものであってもよい。
【0073】
(8)上記した実施形態では、導風部材40の吸気口37が位置する側の端部40cが空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出する例を示したが、導風部材40の端部40cが空冷エンジンユニット4よりも車体横外側に突出しないものであってもよい。
【0074】
(9)上記した実施形態では、吸気抑制部材45の車体横外側の端部45aが導風部材40よりも車体横外側に突出する例を示したが、吸気抑制部材45の車体横外側の端部45aが導風部材40よりも車体横外側に突出しないものであってもよい。
【0075】
(10)上記した実施形態では、燃料フィルター25が導風部材40よりも車体後方側に設けられた例を示したが、燃料フィルター25が空冷エンジン24よりも車体前側など、どのような位置にもうけられたものであってもよい。
【0076】
(11)上記した実施形態では、通気口39の長さL1が吸気口37の長さL2よりも長く設定された例を示したが、通気口39の長さL1が吸気口37の長さL2と同じ、あるいは、吸気口37の長さL2よりも短いものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、空冷エンジン、及び、空冷エンジンよりも車体横外側に位置して空冷エンジンに向けて冷却風を供給する冷却ファンを有する空冷エンジンユニット、空冷エンジンユニットを覆うエンジンボンネットが備えられた圃場作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
4 空冷エンジンユニット
4t 上端部
16 エンジンボンネット
19a 横ボンネット部
24 空冷エンジン
25 燃料フィルター
25b 上端部
33 無段変速装置
35 冷却ファン
37 吸気口
37F 前側半分
37F1 前側半分の一部分
37R 後側半分
37R1 後側半分の一部分
40 導風部材
40a 端部
40c 端部
42 通気口(排気口)
43 第1傾斜案内部(傾斜案内部)
45 吸気抑制部材
4a 端部
50 変速装置冷却ファン
L1 長さ
L2 長さ