(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151587
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/00 20060101AFI20241018BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20241018BHJP
F25D 17/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F25D13/00 A
F25D17/06 301
F25D17/02 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065049
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】507192781
【氏名又は名称】株式会社アライブテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 只康
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA01
3L045BA03
3L045BA04
3L045CA03
3L045DA02
3L045EA01
3L045FA02
3L045HA02
3L045HA07
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
3L345AA06
3L345AA16
3L345BB02
3L345CC01
3L345DD24
3L345DD34
3L345EE03
3L345EE33
3L345EE49
3L345EE53
3L345FF13
3L345FF14
3L345FF44
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】被冷凍物によって冷凍の方法をエアブラスト式とリキッド式とで使い分けたい場合にも、エアブラスト式の冷凍装置とリキッド式の冷凍装置との両方を設置することなく、エアブラスト式とリキッド式とを柔軟に使い分けて冷凍が可能な冷凍装置を提供する。
【解決手段】冷凍装置100は、被冷凍物Fが収容可能に構成された冷凍室1と、不凍液Rを収容する冷凍槽2と、冷却用熱交換器3と、を備える。冷却用熱交換器3は、冷凍槽外に配置されて周囲の空気を冷却する第1部分31と、冷凍槽内に配置されて不凍液を冷却する第2部分32と、を有する。冷凍装置は、第1部分によって冷却された冷気を冷凍室内に送風するように配置された送風ファン41,42をさらに備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷凍物が収容可能に構成された冷凍室と、
不凍液を収容する冷凍槽と、
冷却用熱交換器と、を備え、
前記冷却用熱交換器は、前記冷凍槽外に配置されて周囲の空気を冷却する第1部分と、前記冷凍槽内に配置されて前記不凍液を冷却する第2部分と、を有し、
前記第1部分によって冷却された冷気を前記冷凍室内に送風するように配置された送風ファンをさらに備える
冷凍装置。
【請求項2】
前記送風ファンは、前記第1部分を挟んで配置された上流側ファンと下流側ファンとを有し、
前記上流側ファンは、回転することで周辺空気を取り込んで前記第1部分に給気し、
前記下流側ファンは、回転することで前記第1部分によって冷却された冷気を前記冷凍室内に給気する
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記下流側ファンは複数のファンを含み、
前記複数のファンそれぞれの駆動を独立に制御する制御装置をさらに備える
請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記冷凍室に収容された前記被冷凍物の温度の測定結果に基づき、前記複数のファンそれぞれの駆動を制御する
請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記冷凍室内の冷気を取り込み、前記冷凍槽内に噴射するバブリング装置をさらに備える
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記冷凍槽内に収容された前記被冷凍物に対して振動を与えるための振動装置をさらに備える
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記冷凍室内の冷気を取り込み、前記冷凍槽内に噴射するバブリング装置と、
前記送風ファン及び前記バブリング装置の駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置での制御モードは、前記送風ファンを駆動させ、前記バブリング装置を駆動させない第1モードと、前記送風ファンを駆動させず、前記バブリング装置を駆動させる第2モードと、を有する
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記冷凍室、前記冷凍槽、及び、前記冷却用熱交換器を収容する、多面体の筐体をさらに備え、
前記筐体の外面の少なくとも2面は一体形成されている
請求項1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品などの被冷凍物を急速冷凍させるための冷凍装置として、例えば特開2019-2597号公報(以下、特許文献1)に開示されているような、被冷凍物に冷気を当てる、いわゆるエアブラスト式の冷凍装置が知られている。また、他の方式として、例えば特許第6854556号公報(以下、特許文献2)に開示されているような、被冷凍物を氷点下まで冷却した液体に対象物を浸けて冷凍させる、いわゆるリキッド式の冷凍装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-2597号公報
【特許文献2】特許第6854556号公報
【発明の概要】
【0004】
被冷凍物によっては、冷凍の方法をエアブラスト式とリキッド式とで使い分けたい場合もあり得る。そのような場合にも、エアブラスト式の冷凍装置とリキッド式の冷凍装置との両方を設置することなく、エアブラスト式とリキッド式とを柔軟に使い分けて冷凍が可能な冷凍装置が望まれる。
【0005】
ある実施の形態に従うと、冷凍装置は、被冷凍物が収容可能に構成された冷凍室と、不凍液を収容する冷凍槽と、冷却用熱交換器と、を備える。冷却用熱交換器は、冷凍槽外に配置されて周囲の空気を冷却する第1部分と、冷凍槽内に配置されて不凍液を冷却する第2部分と、を有する。冷凍装置は、第1部分によって冷却された冷気を冷凍室内に送風するように配置された送風ファンをさらに備える。
【0006】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る冷凍装置の概略外観斜視図である。
【
図3】
図3は、冷凍装置に含まれる冷却用熱交換器の概略図である。
【
図4】
図4は、冷凍装置に含まれる制御装置の概略構成図である。
【
図5】
図5は、制御装置でのエアブラスト凍結時の制御の流れの一例を表した図である。
【
図6】
図6は、制御装置でのリキッド凍結時の制御の流れの一例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1.冷凍装置の概要>
(1)実施の形態に係る冷凍装置は、被冷凍物が収容可能に構成された冷凍室と、不凍液を収容する冷凍槽と、冷却用熱交換器と、を備える。冷却用熱交換器は、冷凍槽外に配置されて周囲の空気を冷却する第1部分と、冷凍槽内に配置されて不凍液を冷却する第2部分と、を有する。冷凍装置は、第1部分によって冷却された冷気を冷凍室内に送風するように配置された送風ファンをさらに備える。
【0009】
ここでの冷凍物は、例えば食品である。冷凍装置100で冷凍する際の被冷凍物Fの温度は、通常の室温程度であってもよいし、高温であってもよい。冷却用熱交換器が第1部分を有し、第1部分によって冷却された冷気を冷凍室内に送風するように配置された送風ファンが備えられることで、冷凍室に収容された被冷凍物に対して冷気が吹き付けられ、エアブラスト凍結される。また、冷却用熱交換器が第2部分を有し、第2部分によって冷凍槽に収容された不凍液が氷点下に冷却されることで、不凍液に浸漬された被冷凍物はリキッド凍結される。これにより、実施の形態に係る冷凍装置では、被冷凍物をエアブラスト凍結することもリキッド凍結することも可能になる。そのため、実施の形態に係る冷凍装置を用いることで、エアブラスト式の冷凍装置とリキッド式の冷凍装置との両方を設置することなく、エアブラスト式とリキッド式とを柔軟に使い分けて冷凍が可能となる。
【0010】
(2)(1)に記載の冷凍装置であって、好ましくは、送風ファンは、第1部分を挟んで配置された上流側ファンと下流側ファンとを有する。上流側ファンは、回転することで周辺空気を取り込んで第1部分に給気する。下流側ファンは、回転することで第1部分によって冷却された冷気を冷凍室内に給気する。これにより、上流側ファンはプッシュ側のファン、下流側ファンはプル側のファンとして機能する。そのため、これら両ファンが用いられることで熱効率を高めることができる。
【0011】
(3)(2)に記載の冷凍装置であって、好ましくは、下流側ファンは複数のファンを含む。冷凍装置は、複数のファンそれぞれの駆動を独立に制御する制御装置をさらに備える。これにより、例えば、複数のファンの駆動のタイミングを異ならせることができる。そのように駆動が制御されることによって冷凍室内に乱気流を生じさせ、冷凍室に収容された被冷凍物の冷却の偏り(冷凍むら)を防ぐことが可能になる。
【0012】
(4)(3)に記載の冷凍装置であって、好ましくは、制御装置は、冷凍室に収容された被冷凍物の温度の測定結果に基づき、複数のファンそれぞれの駆動を制御する。これにより、過剰な凍結や凍結不足が防止することができる。また、安定した冷凍品質を維持することができる。
【0013】
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の冷凍装置であって、好ましくは、冷凍室内の冷気を取り込み、冷凍槽内に噴射するバブリング装置をさらに備える。これにより、冷凍槽に収容された不凍液を効率的に冷却できる。
【0014】
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の冷凍装置であって、好ましくは、冷凍槽内に収容された被冷凍物に対して振動を与えるための振動装置をさらに備える。振動装置によって、冷凍槽内に収容された被冷凍物に対して、被冷凍物内の水分子が動かない程度の微細な振動を与えることができる。これにより、被冷凍物が細胞膜などの膜に包まれた水分を含む場合に、水分を包む膜の損傷を防いで被冷凍物を凍結させることができる。その結果、冷凍品質を向上させることができる。
【0015】
(7)(1)~(6)のいずれかに記載の冷凍装置であって、好ましくは、冷凍室内の冷気を取り込み、冷凍槽内に噴射するバブリング装置と、送風ファン及びバブリング装置の駆動を制御する制御装置と、を備える。制御装置での制御モードは、送風ファンを駆動させ、バブリング装置を駆動させない第1モードと、送風ファンを駆動させず、バブリング装置を駆動させる第2モードと、を有する。第1モードは、エアブラスト冷凍を行わせる際の制御モードに相当し、第2モードはリキッド冷凍を行わせる際の制御モードに相当する。これにより、実施の形態に係る冷凍装置を用いることで、エアブラスト式とリキッド式とを柔軟に使い分けて冷凍が可能となる。
【0016】
(8)(1)~(7)のいずれかに記載の冷凍装置であって、好ましくは、冷凍室、冷凍槽、及び、冷却用熱交換器を収容する、多面体の筐体をさらに備える。筐体の外面の少なくとも2面は一体形成されている。これにより、一体形成された2面間の継ぎ目をなくすことができ、その間の熱伝導の高い素材の使用が抑えられる。その結果、放熱が抑えられるとともに、継ぎ目が減ることで気密性が増す。また、堅牢性も確保される。そのため、高い保冷性が実現され得る。
【0017】
<2.冷凍装置の例>
図1は、実施の形態に係る冷凍装置100の概略外観斜視図である。
図2は、
図1のAA断面概略図である。冷凍装置100は、冷凍室1と、冷凍槽2と、冷却用熱交換器3と、を備える。冷凍室1と冷凍槽2との配置は、特定の配置に限定されない。一例として、冷凍槽2は、冷凍室1の下方に配置される。他の例として、冷凍室1が冷凍槽2の下方に配置されてもよいし、冷凍室1と冷凍槽2とが左右又は前後に並んでもよい。
【0018】
冷凍装置100は、被冷凍物Fを冷凍する。被冷凍物Fは、例えば食品である。被冷凍物Fは、他の例として実験用の生体や移植手術用の皮膚又は臓器、及び血液などであってもよい。冷凍装置100で冷凍する際の被冷凍物Fの温度は、通常の室温程度であってもよい。又は、冷凍装置100で冷凍する際の被冷凍物Fの温度は、高温であってもよい。被冷凍物Fの温度は、例えば90℃程度であってもよく、一例として調理品などの加熱した食品などであってもよい。
【0019】
冷凍室1は、被冷凍物Fが収容可能に構成されている。冷凍室1が被冷凍物Fを収容可能であることは、例えば、被冷凍物F、又は、被冷凍物Fを収容した容器を載置可能な載置台11(
図2参照)が冷凍室1に設置されていること、などである。
【0020】
載置台11は、例えば棚形状であってもよい。好ましくは、載置台11は、冷凍室1に対して着脱可能である。これにより、被冷凍物Fを収容する際には載置台11を設置し、後述する蓋部22(
図2参照)の開閉の際には載置台11を取り外すことができる。
【0021】
図3は、冷却用熱交換器3の概略図である。冷却用熱交換器3は、冷凍室1内に配置される第1部分31と、冷凍槽2内に配置される第2部分32と、を有する。第1部分31及び第2部分32は、それぞれ、冷媒管314,321を含む。冷媒管314と冷媒管321とはジョイント33(
図3参照)で接続されている。又は、冷媒管314と冷媒管321とは一体成型であってもよい。冷媒管314と冷媒管321とは連通し、その内部に冷媒ガスが循環している。第1部分31は、さらにフィン315を有する。フィン315は、載置台11に近い側の面312に取り付けられている。
【0022】
冷凍装置100は送風ファン4を備える。送風ファン4は、上流側ファン41と下流側ファン42とを含む。上流側ファン41と下流側ファン42とは、第1部分31を挟んで配置されている。すなわち、下流側ファン42は面312に取り付けられ、上流側ファン41は面312の反対側の面311に取り付けられている。
【0023】
上流側ファン41は、2以上の複数のファンを含む。下流側ファン42も、2以上の複数のファンを含んでもよい。すなわち、上流側ファン41は、面311の上方の第1ファン41Aと下方の第2ファン41Bとを含む。下流側ファン42は、面312の上方の第1ファン42Aと下方の第2ファン42Bとを含む。
【0024】
送風ファン4は、いわゆるプッシュ・プル型のファンであって、上流側ファン41がプッシュ側、下流側ファン42がプル側のファンに相当する。上流側ファン41は、回転することによって周辺空気を取り込んで第1部分31に給気する。取り込まれた空気は、冷媒管314に接することで冷却される。下流側ファン42は、回転することによって、冷却された冷気を冷凍室1内に給気するとともに、冷凍室1内の冷気を撹拌し、循環させる。これにより、第1部分31は、冷凍室内の空気を冷却する。第1部分31は、冷凍室1近傍の空気を氷点下に冷却し、例えば、-40℃、又は-50℃程度に冷却する。
【0025】
冷凍装置100は、上流側ファン41及び下流側ファン42を有することで、熱効率を高めることができる。すなわち、上流側ファン41及び下流側ファン42が回転することによって、上流側ファン41の周辺空気が矢印B(
図3参照)に示されたように第1部分31を経て冷却されて冷凍室1の内部に送風される。上流側ファン41の周辺に外気が導入されることで、外気が第1部分31で冷却され、冷凍室1の内部に送風される。これにより、冷凍室1に収容された被冷凍物Fはエアブラスト凍結される。従って、少なくとも、冷凍室1と、冷却用熱交換器3の第1部分31と、上流側ファン41及び下流側ファン42とは、冷凍装置100のうちのエアブラスト凍結装置部分と言える。
【0026】
冷却用熱交換器3の第1部分31には、デフロスト用のヒータ313が配置されている(
図3参照)。好ましくは、ヒータ313は近赤外線の赤外線ヒータである。近赤外線は、氷・霜・結露水などデフロスト対象に到達し、水分子を振動させることによって摩擦熱を発生させる。すなわち、近赤外線は、水分子に振動を与えることで生じる摩擦熱により氷・霜などの個体を融解させる。また、近赤外線は、結露水などの液体を蒸発させる。これにより、第1部分31が効率的にデフロストされ、冷凍室1内を乾燥状態にできる。その結果、冷凍室1内の清潔が保たれる。また、近赤外線の赤外線ヒータは、同様に氷・霜などの個体を融解させ、結露水などの液体を蒸発させるヒータと比較して電力消費量が小さい。そのため、省エネルギーが実現される。
【0027】
冷凍槽2は、冷却媒体である不凍液Rを収容可能に構成されている。不凍液Rは、熱伝導率が高く、融点が高い液体が好ましい。不凍液Rは、例えば、アルコールである。アルコールは、たとえば、エタノール、エチルアルコール、エチレングリコール、などである。不凍液Rは、他の例として塩水、塩化カルシウムなどであってもよい。
【0028】
冷凍槽2が不凍液Rを収容可能に構成されていることは、一例として、冷凍槽2が槽形状を有することである。冷凍槽2は開口21を有し、好ましくは、開口21には開閉可能に蓋部22が取り付けられている(
図2参照)。これにより、開口21を経て内部に被冷凍物Fを収容可能となる(
図2参照)。
【0029】
冷凍槽2は、被冷凍物Fを収容可能に構成されている。冷凍槽2が被冷凍物Fを収容可能であることは、一例として、冷凍槽2内に、被冷凍物Fを収容可能な収容部23が設けられていることである。収容部23は、例えば、側面及び底面にパンチングで孔が形成された箱形状のステンレス製の容器である。又は、収容部23は、樹脂などの熱伝導率が低い素材で製造された容器であってもよい。これにより、収容部23に被冷凍物Fが収容されることで、被冷凍物Fが不凍液Rに浸漬される。なお、被冷凍物Fは、一例として、不凍液Rに直接触れないよう袋などに密封されて収容部23に収容される。また、被冷凍物Fが後述の冷却用熱交換器3の第2部分32に接触することによって第2部分32が破損することが防止される。なお、冷凍槽2が被冷凍物Fを収容可能であることは、他の例として、槽状の冷凍槽2に直接、被冷凍物Fが収容されることであってもよい。
【0030】
冷却用熱交換器3の第2部分32は、いわゆる投げ込み型とも呼ばれる浸漬型熱交換器である。第2部分32は冷凍槽2内に配置され、冷媒管321が不凍液Rに浸漬される。冷媒管321は、一例としてフィンチューブである。冷媒管321は第1部分31の冷媒管314と連通し、内部に冷媒ガスが循環している。これにより、冷凍槽2に収容された不凍液Rは冷媒管321に接することで冷却される。第2部分32は、不凍液Rを氷点下の温度に冷却する。一例として、第2部分32は、不凍液Rを-35℃程度に冷却する。
【0031】
好ましくは、第2部分32はU字形状の屈曲部分を有する(
図3参照)。これにより、伝熱面積が大きくなり、冷却効率を上げることができる。なお、屈曲部分の個数、及び直線部分の数は
図3に示されたものに限定されない。屈曲部分の個数、及び直線部分の数が多くなるほど、冷凍槽2内の冷媒管321の全長が長くなるため、伝熱面積が大きくなる。その結果、冷却効率が向上する。
【0032】
収容部23に被冷凍物Fが収容されていることで、被冷凍物Fが氷点下に冷却された不凍液Rに浸漬される。これにより、冷凍槽2に収容された被冷凍物Fはリキッド凍結される。従って、少なくとも、冷却用熱交換器3の第2部分32と冷凍槽2とは、冷凍装置100のうちのリキッド凍結装置部分と言える。
【0033】
好ましくは、冷凍装置100は、バブリング装置24を備える。バブリング装置24は、冷凍槽2に対する開口241を有するノズル242と、冷凍槽2に対する開口243を有するノズル244を有するノズル246と、を備える。ノズル242とノズル244とはポンプPを介して接続されている。ポンプPは、例えばマグネットポンプである。
【0034】
バブリング装置24では、ポンプPが駆動することで、冷凍槽2内の不凍液Rが開口241から吸水され、ノズル242及びノズル244を経て開口243から冷凍槽2に吸水される。これにより、不凍液Rが撹拌されて冷凍槽2内に不凍液Rの対流が生じる。その結果、第2部分32によって冷却された不凍液Rが循環し、全体として不凍液Rの温度が下がりやすくなる。そのため、被冷凍物Fのリキッド凍結が促進される。従って、この場合、冷却用熱交換器3の第2部分32と冷凍槽2とバブリング装置24とは、冷凍装置100のうちのリキッド凍結装置部分と言える。
【0035】
バブリング装置24は、さらに、冷凍室1に対する開口245を有するノズル246を備える。ノズル246はノズル244に接続されている。バブリング装置24では、ポンプPが駆動することでノズル244内に生じた陰圧によって冷凍室1内の冷気が開口245から吸気され、ノズル246及びノズル244を経て開口243から冷凍槽2に排気される。これにより、冷凍槽2内の不凍液Rが、冷却用熱交換器3の第2部分32に加えて、冷凍室1内の冷気によっても冷却される。そのため、被冷凍物Fのリキッド凍結がより促進される。従って、この場合、冷却用熱交換器3の第1部分31及び第2部分32と、冷凍槽2と、バブリング装置24とは、冷凍装置100のうちのリキッド凍結装置部分と言える。
【0036】
開口243には、バブリングジェットノズル247が取り付けられている。そのため、冷凍室1から取り込まれた冷気が冷凍槽2に微細な気泡としてジェット噴射される。これにより、冷凍槽2内の不凍液Rの対流が生じやすくなる。その結果、不凍液Rの温度が下がりやすくなり、被冷凍物Fのリキッド凍結がより促進される。
【0037】
冷凍装置100は、振動装置25(
図2参照)を備える。振動装置25は冷凍槽2に備えられ、冷凍槽2に収容された被冷凍物Fに微細な振動を与える。微細な振動は、被冷凍物F内の水分子が動かない程度の振動を指す。
【0038】
振動装置25は、一例として超音波発生装置であって、収容部23に取り付けられている。この場合、振動装置25が駆動することによって超音波が発生し、それにより収容部23が振動する。収容部23の振動は、収容部23に収容された被冷凍物Fに与えられる。
【0039】
振動装置25は、超音波発生装置に限定されない。振動装置25は、他の例として電磁波の発生装置であってもよい。また、バブリング装置24によって冷凍槽2内の不凍液Rの対流が生じることによってもと、冷凍槽2に収容された被冷凍物Fに微細な振動が与えられる。そのため、バブリング装置24も振動装置に含まれる。
【0040】
振動装置25は、さらに、冷凍室1に備えられていてもよい。また、冷凍室1の振動装置は、送風ファン4や載置台11を含んでもよい。この場合、送風ファン4は、被冷凍物Fの周囲の気流にカルマン渦を発生させる形状である。又は、載置台11は、送風ファン4から送風された気流にカルマン渦を発生させる形状である。これにより、送風ファン4が回転することで生じた気流のカルマン渦によって冷気に流体力学的な振動が発生し、その振動が被冷凍物Fに与えられる。
【0041】
被冷凍物Fに微細な振動を与えながら冷却することで被冷凍物Fは過冷却状態となり、小さな衝撃によって瞬時に凍結する。そのため、被冷凍物F内の水分は微小な氷となる。これにより、被冷凍物F内の水分が細胞膜などの膜に包まれている場合には、膜の損傷を防いで被冷凍物Fを凍結させることができる。その結果、冷凍品質を向上させることができる。
【0042】
冷凍装置100は筐体5を備える。筐体5は多面体であって、一例として、上面51、背面52、側面53,54、及び前面55を有する箱型形状である。上面51、背面52、側面53,54、及び前面55は断熱パネルを含む。断熱パネルは、一例として硬質発泡ウレタンパネルである。
【0043】
筐体5は、冷凍室1、冷凍槽2、及び、冷却用熱交換器3を収容する。前面55には開口が設けられ、扉56が取り付けられている。扉56を開閉することで、開口を介して冷凍室1又は冷凍槽2に被冷凍物Fを出し入れすることができる。
【0044】
筐体5の上面51、背面52、側面53,54、及び前面55のうちの少なくとも2面は、一体形成されている。一例として、筐体5は、モノコック工法によって上面51、背面52、及び側面53,54が一体成型され、前面55が取り付けられている。一体形成ではなく断熱パネルを接合すると、継ぎ目が生じる。継ぎ目から、放熱される。その点、少なくとも2面が一体形成されることで、その間の継ぎ目をなくすることができる。その結果、放熱が抑えられるとともに、継ぎ目が減ることで気密性が増す。また、堅牢性も確保される。そのため、高い保冷性が実現され得る。
【0045】
これにより、筐体5に用いる断熱パネルの厚みを薄くすることができる。例えば、冷凍室1内の温度を-45℃に維持する際、断熱パネルを接合した比較例に係る筐体の断熱パネルの厚みは、熱伝導率0.026w/mkの断熱パネルを用いると、通常、125mm~150mmである。これに対して、筐体5では熱伝導率0.018w/mkの断熱パネルを用いることで、その厚みを75mm程度とすることができる。これにより、冷凍装置100のサイズを小さくできる。又は、冷凍室1の容量を大きくできる。また、熱伝導率の低い断熱パネルを用いることができるため、コストダウンが図られる。
【0046】
筐体5の外側には操作部7が設けられている。操作部7は、一例としてタッチパネルである。この場合、操作部7は表示部も兼ねる。操作部7は、他の例としてボタンやレバーなどであってよい。
【0047】
冷凍装置100は制御装置6を有する。制御装置6は、一例として制御盤によって実現される。制御装置6は、他の例としてコンピュータによって実現されてもよいし、制御盤とコンピュータとの組み合わせで実現されてもよい。
図4は、制御装置6の概略構成図である。制御装置6は制御部61を有する。制御装置6が制御盤によって実現される場合、制御部61は電子回路、又は電子回路の組み合わせである。制御装置6がコンピュータによって実現される場合、制御部61は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。
【0048】
制御装置6は、送風ファン4の駆動を制御するための送風ファン駆動部62を有する。送風ファン駆動部62は、送風ファン4のオン・オフを制御する。送風ファン駆動部62は、送風ファン4の駆動量を制御してもよい。駆動量は、例えば、回転速度である。好ましくは、送風ファン駆動部62は、送風ファン4を冷却に適した回転速度で回転させるよう駆動量を制御する。冷却に適した回転速度は、冷気の被冷凍物Fに対する風速を冷却に適した風速とする回転速度を指し、例えば、冷気の風速を3m/s程度とする回転速度である。これにより、被冷凍物Fを、表面の乾燥を抑えつつエアブラスト凍結させることができる。
【0049】
送風ファン駆動部62は、下流側ファン42の第1ファン42A及び第2ファン42Bを独立に制御する。独立に制御することは、第1ファン42A及び第2ファン42Bをそれぞれ異なるタイミングで回転させることを含む。好ましくは、制御装置6は、上流側ファン41の第1ファン41A及び第2ファン41Bを独立に制御する。これにより、後述するように、冷凍室1内の冷気の気流を細やかに制御することができる。
【0050】
制御装置6は、ポンプPの駆動を制御するためのポンプ制御部63を有する。ポンプ制御部63の制御は、ポンプPのオン・オフの制御を含む。ポンプ制御部63は、ポンプPの駆動量を制御してもよい。駆動量は、例えば、回転速度である。これにより、バブリング装置24の駆動が制御装置6によって制御される。
【0051】
制御装置6は、振動装置25の駆動を制御するための振動制御部64を有する。振動制御部64の制御は、振動装置25のオン・オフの制御を含む。これにより、振動装置25での超音波の発生が制御され、収容部23に収容された被冷凍物Fへの振動の印加が制御される。
【0052】
制御装置6は、ヒータ313の駆動を制御するためのヒータ制御部65を有する。ヒータ制御部65の制御は、ヒータ313のオン・オフの制御を含む。これにより、ヒータ313からの近赤外線の発生が制御される。
【0053】
制御装置6は操作部インタフェース(I/F)66を有する。操作部I/F66は、操作部7からの操作信号の入力を受け付け、操作信号を制御部61に入力する。操作信号は、一例として、送風ファン4のオン・オフを指示する信号である。操作信号は、他の例として、第1ファン41A、第2ファン41B、第1ファン42A、及び第2ファン42Bそれぞれについてのオン・オフを指示する信号であってもよい。この場合、制御部61は送風ファン駆動部62に制御信号を出力する。送風ファン駆動部62は制御信号に従って送風ファン4のオン・オフを制御する。これにより、操作部7に対する操作に従って送風ファン4が駆動する。
【0054】
操作信号は、一例として、バブリング装置24のオン・オフを指示する信号である。この場合、制御部61はポンプ制御部63に制御信号を出力する。ポンプ制御部63は制御信号に従ってポンプPのオン・オフを制御する。これにより、操作部7に対する操作に従ってバブリング装置24が駆動する。
【0055】
操作信号は、一例として、振動装置25のオン・オフを指示する信号である。この場合、制御部61は振動制御部64に制御信号を出力する。振動制御部64は制御信号に従って振動装置25のオン・オフを制御する。これにより、操作部7に対する操作に従って振動装置25が駆動する。
【0056】
操作信号は、一例として、ヒータ313のオン・オフを指示する信号である。この場合、制御部61はヒータ制御部65に制御信号を出力する。ヒータ制御部65は制御信号に従ってヒータ313のオン・オフを制御する。これにより、操作部7に対する操作に従ってヒータ313が駆動する。
【0057】
制御部61は動作モードを有し、指定された動作モードに従って各部に制御信号を出力してもよい。動作モードの指定は、一例として、操作部7に表示された操作画面(図示せず)に対するユーザ操作によって行われてもよい。動作モードは、例えば、各部をユーザ操作に従って駆動させてエアブラスト凍結させる「エアブラスト(手動)」、各部を自動で駆動させてエアブラスト凍結させる「エアブラスト(自動)」、各部をユーザ操作に従って駆動させてリキッド凍結させる「リキッド(手動)」、各部を自動で駆動させてリキッド凍結させる「リキッド(自動)」、各部をユーザ操作に従って駆動させてエアブラスト凍結装とリキッド凍結との両方をさせる「エアブラスト+リキッド(手動)」、各部を自動で駆動させてエアブラスト凍結とリキッド凍結との両方をさせる「エアブラスト+リキッド(自動)」、などが挙げられる。操作画面で動作モードが選択されると、操作部7は、選択された動作モードに応じた操作信号を制御装置6に入力する。
【0058】
図5及び
図6は、制御装置6での制御の流れの一例を表した図である。
図5は、エアブラスト凍結時の制御の流れを表し、
図7は、リキッド凍結時の制御の流れを表している。
図5及び
図6において、縦方向は時間軸を表し、上から下に時間経過が示されている。すなわち、時間経過に沿って時刻t0,t1,t2、又は、時刻t0,t3,t4がある。また、
図5及び
図6において、各部から下に伸びる2本の直線の左側はオフ状態を表し、右側はオン状態を表している。
【0059】
操作部7において、上記の「エアブラスト(手動)」又は「エアブラスト(自動)」を指示するユーザ操作がなされた場合、操作部7はユーザ操作によって選択された動作モードを示す操作信号を制御装置6に入力する。時刻t0で操作信号が入力されると、制御装置6はエアブラスト凍結時の制御(
図5)を実行する。エアブラスト凍結時の制御は、時刻t0から時刻t1までの予冷期間H1の制御(第1モード)と、時刻t1から時刻t2までの凍結期間H2の制御と、を含む。
【0060】
時刻t1は、被冷凍物Fが冷凍室1に収容され、エアブラスト凍結を開始するタイミングを指す。一例として、「エアブラスト(自動)」が選択された場合、制御装置6は、駆動の開始が指示された時刻t0から予め規定された予冷期間H1が経過する時刻t1まで、予冷期間H1の制御を実行する。「エアブラスト(手動)」が選択された場合、制御装置6は、駆動の開始が指示された時刻t0から、予冷動作の終了を指示するユーザ操作がなされた時刻t1まで、予冷期間H1の制御を実行する。
【0061】
予冷期間H1の制御は、送風ファン4のすべてを回転させ、ポンプP及び振動装置25を駆動させないことを含む。これにより、予冷期間H1では、上流側ファン41の第1ファン41A及び第2ファン41B、並びに、下流側ファン42の第1ファン42A及び第2ファン42Bが回転する。また、バブリング装置24及び振動装置25は駆動しない。
【0062】
送風ファン4のすべてが回転することによって、予冷期間H1で冷凍室1内が急速に冷却される。また、リキッド凍結を行わないときにバブリング装置24及び振動装置25の駆動を停止することで、エネルギー消費が抑えられる。
【0063】
時刻t1では、ユーザが扉56を開けて冷凍室1に被冷凍物Fを収容することが想定される。「エアブラスト(自動)」が選択された場合、制御装置6は、一例として、時刻t1において扉56の開閉を検知するセンサ(図示せず)によって扉56の開閉が検知されると、凍結期間H2の制御に切り替える。制御装置6は、予め規定された凍結期間H2が経過する時刻t2まで凍結期間H2の制御を継続する。「エアブラスト(手動)」が選択された場合、制御装置6は、エアブラスト凍結の開始が指示された時刻t1で、凍結期間H2の制御に切り替える。制御装置6は、エアブラスト凍結の終了を指示するユーザ操作がなされた時刻t2まで凍結期間H2の制御を継続する。
【0064】
凍結期間H2の制御は、送風ファン4のうちの上流側ファン41の第1ファン41A及び第2ファン41Bを連続的に回転させるとともに下流側ファン42の第1ファン42A及び第2ファン42Bを交互に回転させ、ポンプP及び振動装置25を駆動させないことを含む。これにより、凍結期間H2では、上流側ファン41の第1ファン41A及び第2ファン41Bが回転するとともに、下流側ファン42の第1ファン42A及び第2ファン42Bが交互に回転する。また、バブリング装置24及び振動装置25は駆動しない。
【0065】
下流側ファン42の第1ファン42A及び第2ファン42Bが交互に回転することによって、凍結期間H2では冷凍室1内に乱気流が生じる。これにより、被冷凍物Fの冷却の偏り(冷凍むら)が防止される。また、リキッド凍結を行わないときにバブリング装置24及び振動装置25の駆動を停止することで、エネルギー消費が抑えられる。
【0066】
エアブラスト凍結時の制御は
図5の制御に限定されない。他の例として、凍結期間H2の制御は、被冷凍物Fの属性に応じて異なってもよい。被冷凍物Fの属性は、例えば、被冷凍物Fの種類や形状や大きさやそれらの組み合わせである。
【0067】
被冷凍物Fの属性は、一例として、操作部7に対するユーザ操作によって指定されてもよい。この場合、ユーザ操作は、被冷凍物Fの属性の指定を含む。被冷凍物Fの属性は、他の例として、被冷凍物Fの形状や重量を検知するセンサ(図示せず)などからのセンサ信号の入力によって指定されてもよい。
【0068】
これにより、被冷凍物Fの属性に応じて細やかな制御が行われるようになる。例えば、被冷凍物Fが水分の多いものであったり、大きいものであったりした場合、第1ファン42A及び第2ファン42Bの交互に回転させる期間を短くしたり、回転速度を速くしたりしてもよい。これにより、エアブラスト凍結がより促進される。
【0069】
エアブラスト凍結時の制御は、さらに他の例として、ポンプPを駆動させることを含んでもよい。例えば、予冷期間H1の制御及び凍結期間H2の制御の両方がポンプPを駆動させることを含んでもよい。この場合、予冷期間H1及び凍結期間H2においてバブリング装置24が駆動する。そのため、冷凍室1内の冷気が冷凍槽2内に取り込まれ、冷凍槽2内の不凍液Rの冷却が進む。不凍液Rが冷却されることで筐体5内部の温度が低下する。これにより、冷凍室1の冷却が促進される。
【0070】
ポンプPの駆動は、予冷期間H1及び凍結期間H2の少なくとも一方で行われてもよいし、必要なタイミングのみ行われてもよい。必要なタイミングは、例えば、冷凍室1内の不凍液Rの温度が規定温度より高くなったタイミングなどである。規定温度は、例えば、冷凍室1の冷却を促進するのに適した温度であって、例えば-35℃程度である。この場合、一例として、制御装置6は、冷凍槽2内に設置された温度計(図示せず)から測定温度を取得する。制御装置6は、測定温度が規定温度より高くなったと判定したタイミングでポンプPを駆動するようにしてもよい。これにより、冷凍槽2内の不凍液Rの温度が規定温度に維持され、冷凍室1の冷却が促進される。
【0071】
エアブラスト凍結時の制御は、さらに他の例として、冷凍室1に収容された被冷凍物Fの温度に応じた制御であってもよい。一例として、制御装置6は、温度センサ8からの測定温度の入力を受け付ける温度センサI/F67を有する(
図4参照)。温度センサ8は、一例として芯温計であって、被冷凍物Fの内部に設置される。
【0072】
この場合、制御装置6は、温度センサ8から入力された測定温度が規定温度より高い場合に凍結期間H2の制御を行い、測定温度が規定温度に達すると凍結期間H2の制御を終了してもよい。規定温度は被冷凍物Fの凍結が完了した温度に相当し、例えば-18℃である。さらに、制御装置6は、測定温度に規定温度からの乖離度合いに応じて第1ファン42A及び第2ファン42Bの交互に回転させる期間を変更したり、回転速度を変更したりしてもよい。
【0073】
冷凍室1に収容された被冷凍物Fの温度に応じた制御が行われることによって、過剰な凍結や凍結不足が防止され、適切な冷凍が実現される。また、被冷凍物Fの形状や水分量などの属性に関わらず、安定した冷凍品質が維持される。また、省エネルギーが実現される。また、凍結時間が短縮されるため、生産性の向上につながる。
【0074】
なお、制御装置6は、操作部7からの操作信号などに従って、メモリ(図示せず)に対してエアブラスト凍結時の制御のモデル(レシピ)の登録や、制御の履歴の登録、などを行ってもよい。登録は、被冷凍物Fごとであってもよいし、その他の条件ごとであってもよい。
【0075】
この場合、エアブラスト凍結時の制御は、さらに他の例として、登録された制御を呼び出して行うものであってもよい。一例として、操作部7は、操作画面(図示せず)において登録されたレシピや履歴の選択肢を提示し、レシピや履歴の選択を受け付けることで、選択されたレシピ又は履歴を示す操作信号を制御装置6に入力する。制御装置6は、操作信号に示されたレシピ又は履歴の制御をメモリから読み出して実行するようにしてもよい。これにより、登録された制御や制御の履歴から容易に制御を指定することができる。また、冷凍品質を一定に維持することができる。
【0076】
操作部7において、上記の「リキッド(手動)」又は「リキッド(自動)」が選択され、時刻t0で操作信号が制御装置6に入力されると、制御装置6はリキッド凍結時の制御(
図6)を実行する。リキッド凍結時の制御は、一例として、時刻t0から時刻t3までの予冷期間と時刻t3から時刻t4までの凍結期間とで、エアブラスト凍結時の制御(
図5)と同様の制御であってよい。
【0077】
リキッド凍結時の制御(第2モード)は、送風ファン4を回転させず、ポンプP及び振動装置25を駆動させることを含む。これにより、リキッド凍結時には、送風ファン4のすべてが回転を停止するとともに、バブリング装置24及び振動装置25が駆動する。このため、リキッド凍結時に冷凍槽2内の不凍液Rが氷点下の温度に維持されるとともに、エアブラスト凍結を行わないときに送風ファン4を停止することでエネルギー消費が抑えられる。
【0078】
リキッド凍結時の制御も
図6の制御に限定されない。リキッド凍結時の制御も、エアブラスト凍結時の制御と同様に、被冷凍物Fの属性に応じて異なってもよい。また、他の例として、リキッド凍結時の制御も、温度センサ8を用いて、冷凍槽2に収容された被冷凍物Fの温度に応じた制御であってもよい。また、制御装置6は、メモリ(図示せず)に登録されたレシピや履歴の登録の中から操作部7からの操作信号で指定された制御を行ってもよい。
【0079】
なお、エアブラスト凍結時の制御(
図5)とリキッド凍結時の制御(
図6)とは同時に行われてもよい。すなわち、冷凍室1と冷凍槽2との両方に被冷凍物Fが収容され、それぞれにおいてエアブラスト凍結とリキッド凍結とが行われてもよい。これにより、一度に多くの被冷凍物Fを処理することが可能になり、生産性の向上につながる。
【0080】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1:冷凍室、2:冷凍槽、3:冷却用熱交換器、4:送風ファン、5:筐体、6:制御装置、24:バブリング装置、25:振動装置、31:第1部分、32:第2部分、41:上流側ファン、42:下流側ファン、100:冷凍装置、F:被冷凍物、R:不凍液