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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151602
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】弾性波フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/145 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H03H9/145 Z
H03H9/145 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065070
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA15
5J097AA29
5J097BB14
5J097BB15
5J097CC05
5J097DD01
5J097DD12
5J097EE08
5J097FF04
5J097FF05
5J097GG03
5J097KK01
(57)【要約】
【課題】特性と小型化とを両立する。
【解決手段】複数の弾性波共振子14の各々は、圧電性基板2の厚さ方向からの平面視で、中央領域と、中央領域よりも弾性波の音速が遅い第1領域と、中央領域よりも弾性波の音速が遅い第2領域と、を有する。複数の弾性波共振子14は、第1弾性波共振子11と、第2弾性波共振子12と、を有する。第1弾性波共振子11は、所定方向において第1領域の外側に所定方向の長さが0.3λ以上のギャップ50を有し、中央領域よりも弾性波の音速が速い第3領域と、所定方向において第2領域の外側に所定方向の長さが0.3λ以上のギャップ40を有し、中央領域よりも弾性波の音速が速い第4領域と、を更に含む。第2弾性波共振子12は、第3領域及び第4領域を含まない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弾性波共振子を備え、
前記複数の弾性波共振子の各々は、
圧電性基板と、
前記圧電性基板上に設けられているIDT電極と、を含み、
前記IDT電極は、
第1バスバーと、
所定方向において前記第1バスバーに対向している第2バスバーと、
前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている複数の第1電極指と、
前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている複数の第2電極指と、を有し、
前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、
前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、
前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、
前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む中央領域と、
前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記中央領域よりも弾性波の音速が遅い第1領域と、
前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記中央領域よりも弾性波の音速が遅い第2領域と、を有し、
前記複数の弾性波共振子は、
第1弾性波共振子と、
第2弾性波共振子と、を有し、
前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通であり、
前記第1弾性波共振子は、
前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有し、前記中央領域よりも弾性波の音速が速い第3領域と、
前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有し、前記中央領域よりも弾性波の音速が速い第4領域と、を更に含み、
前記第2弾性波共振子は、
前記第3領域及び前記第4領域を含まない、
弾性波フィルタ装置。
【請求項2】
複数の弾性波共振子を備え、
前記複数の弾性波共振子の各々は、
圧電性基板と、
前記圧電性基板上に設けられているIDT電極と、を含み、
前記IDT電極は、
第1バスバーと、
所定方向において前記第1バスバーに対向している第2バスバーと、
前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている複数の第1電極指と、
前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている複数の第2電極指と、を有し、
前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、
前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、
前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、
前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む中央領域と、
前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜を含む第1領域と、
前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第2質量付加膜を含む第2領域と、を有し、
前記複数の第1電極指の前記先端部は、前記第1電極指の前記先端縁を含む部分であり、
前記複数の第2電極指の前記先端部は、前記第2電極指の前記先端縁を含む部分であり、
前記複数の弾性波共振子は、
第1弾性波共振子と、
第2弾性波共振子と、を有し、
前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通であり、
前記第1弾性波共振子は、
前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する第3領域と、
前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する第4領域と、を更に含み、
前記第2弾性波共振子は、
前記第3領域及び前記第4領域を含まない、
弾性波フィルタ装置。
【請求項3】
複数の弾性波共振子を備え、
前記複数の弾性波共振子の各々は、
圧電性基板と、
前記圧電性基板上に設けられているIDT電極と、を含み、
前記IDT電極は、
第1バスバーと、
所定方向において前記第1バスバーに対向している第2バスバーと、
前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている複数の第1電極指と、
前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている複数の第2電極指と、を有し、
前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、
前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、
前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、
前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む中央領域と、
前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部が第1太幅部を含む第1領域と、
前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部が第2太幅部を含む第2領域と、を有し、
前記第1太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第1電極指の中央部の幅よりも広く、
前記第2太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第2電極指の中央部の幅よりも広く、
前記複数の弾性波共振子は、
第1弾性波共振子と、
第2弾性波共振子と、を有し、
前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通であり、
前記第1弾性波共振子は、
前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する第3領域と、
前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する第4領域と、を更に含み、
前記第2弾性波共振子は、
前記第3領域及び前記第4領域を含まない、
弾性波フィルタ装置。
【請求項4】
第1入出力電極及び第2入出力電極を更に備え、
前記複数の弾性波共振子は、
前記第1入出力電極と前記第2入出力電極との間の信号経路に設けられている2以上の弾性波共振子と、
前記信号経路とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子と、を含み、
前記複数の弾性波共振子は
前記第1弾性波共振子を少なくとも2つ有し、
前記少なくとも2つの第1弾性波共振子は、
前記信号経路に設けられている前記2以上の弾性波共振子のうち前記電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子と、
前記信号経路とグランドとの間に接続されている前記2以上の弾性波共振子のうち前記電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子と、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項5】
第1入出力電極及び第2入出力電極を更に備え、
前記複数の弾性波共振子は、
前記第1入出力電極と前記第2入出力電極との間の信号経路に設けられている2以上の弾性波共振子と、
前記信号経路とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子と、を含み、
前記複数の弾性波共振子は、
前記第2弾性波共振子を少なくとも2つ有し、
前記少なくとも2つの第2弾性波共振子は、
前記信号経路に設けられている前記2以上の弾性波共振子のうち前記電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子と、
前記信号経路とグランドとの間に接続されている前記2以上の弾性波共振子のうち前記電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子と、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの第1弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数との間の周波数帯の少なくとも一部は、前記弾性波フィルタ装置の有する通過帯域に含まれる、
請求項4に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項7】
前記第1領域は、
前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜を含み、
前記第2領域は、
前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第2質量付加膜を含み、
前記複数の第1電極指の前記先端部は、前記第1電極指の前記先端縁を含む部分であり、
前記複数の第2電極指の前記先端部は、前記第2電極指の前記先端縁を含む部分である、
請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項8】
前記第1領域では、
前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部が、第1太幅部を含み、
前記第1太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第1電極指の中央部の幅よりも広く、
前記第2領域では、
前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部が、第2太幅部を含み、
前記第2太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第2電極指の中央部の幅よりも広い、
請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項9】
前記圧電性基板は、
支持基板と、
前記支持基板上に設けられている高音速膜と、
前記高音速膜に設けられている低音速膜と、
前記低音速膜上に設けられている圧電体層と、を含み、
前記高音速膜は、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも、前記高音速膜を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜であり、
前記低音速膜は、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも、前記低音速膜を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項10】
前記圧電性基板は、
シリコン基板と、
前記シリコン基板上に設けられている窒化ケイ素膜と、
前記窒化ケイ素膜上に設けられている酸化ケイ素膜と、
前記酸化ケイ素膜上に設けられている圧電体層と、を含み、
前記圧電体層の材料は、リチウムタンタレート又はリチウムニオベイトを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に弾性波フィルタ装置に関し、より詳細には、複数の弾性波共振子を備える弾性波フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の弾性波共振子を備える弾性波フィルタ装置を開示している。
【0003】
特許文献1に開示された弾性波フィルタ装置では、各弾性波共振子が、圧電基板と、圧電基板上に形成されたIDT電極とを有する。IDT電極は、第1のバスバーと、第1のバスバーと隔てられて配置された第2のバスバーと、第1のバスバーに基端が電気的に接続されており、第2のバスバーに向かって延びる複数本の第1の電極指と、第2のバスバーに基端が接続されており、第1のバスバーに向かって延びる複数本の第2の電極指と、を有する。
【0004】
IDT電極が、IDT電極の第1,第2の電極指の延びる方向をIDT電極における幅方向としたときに、幅方向中央に中央領域、その外側に低音速領域、さらに外側に高音速領域を有するように構成されている。
【0005】
特許文献1に開示された弾性波フィルタ装置は、横モードリップルを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/192755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
弾性波フィルタ装置では、小型化が望まれる場合がある。
【0008】
本発明の目的は、特性と小型化とを両立することが可能な弾性波フィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る弾性波フィルタ装置は、複数の弾性波共振子を備える。前記複数の弾性波共振子の各々は、圧電性基板と、IDT電極と、を含む。前記IDT電極は、前記圧電性基板上に設けられている。前記IDT電極は、第1バスバーと、第2バスバーと、複数の第1電極指と、複数の第2電極指と、を有する。前記第2バスバーは、所定方向において前記第1バスバーに対向している。前記複数の第1電極指は、前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている。前記複数の第2電極指は、前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている。前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、中央領域と、第1領域と、第2領域と、を有する。前記中央領域は、前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む。前記第1領域は、前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記中央領域よりも弾性波の音速が遅い。前記第2領域は、前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記中央領域よりも弾性波の音速が遅い。前記複数の弾性波共振子は、第1弾性波共振子と、第2弾性波共振子と、を有する。前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通である。前記第1弾性波共振子は、第3領域と、第4領域と、を更に含む。前記第3領域は、前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有し、前記中央領域よりも弾性波の音速が速い。前記第4領域は、前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有し、前記中央領域よりも弾性波の音速が速い。前記第2弾性波共振子は、前記第3領域及び前記第4領域を含まない。
【0010】
本発明の別の一態様に係る弾性波フィルタ装置は、複数の弾性波共振子を備える。前記複数の弾性波共振子の各々は、圧電性基板と、IDT電極と、を含む。前記IDT電極は、前記圧電性基板上に設けられている。前記IDT電極は、第1バスバーと、第2バスバーと、複数の第1電極指と、複数の第2電極指と、を有する。前記第2バスバーは、所定方向において前記第1バスバーに対向している。前記複数の第1電極指は、前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている。前記複数の第2電極指は、前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている。前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、中央領域と、第1領域と、第2領域と、を有する。前記中央領域は、前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む。前記中央領域は、前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む。前記第1領域は、前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜を含む。前記第2領域は、前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部の少なくとも一部に重なる第2質量付加膜を含む。前記複数の第1電極指の前記先端部は、前記第1電極指の先端縁を含む部分である。前記複数の第2電極指の前記先端部は、前記第2電極指の先端縁を含む部分である。前記複数の弾性波共振子は、第1弾性波共振子と、第2弾性波共振子と、を有する。前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通である。前記第1弾性波共振子は、第3領域と、第4領域と、を更に含む。前記第3領域は、前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する。前記第4領域は、前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する。前記第2弾性波共振子は、前記第3領域及び前記第4領域を含まない。
【0011】
本発明の更に別の一態様に係る弾性波フィルタ装置は、複数の弾性波共振子を備える。前記複数の弾性波共振子の各々は、圧電性基板と、IDT電極と、を含む。前記IDT電極は、前記圧電性基板上に設けられている。前記IDT電極は、第1バスバーと、第2バスバーと、複数の第1電極指と、複数の第2電極指と、を有する。前記第2バスバーは、所定方向において前記第1バスバーに対向している。前記複数の第1電極指は、前記所定方向において前記第1バスバーから前記第2バスバーに向かって延びている。前記複数の第2電極指は、前記所定方向において前記第2バスバーから前記第1バスバーに向かって延びている。前記複数の第1電極指の先端縁の包絡線と前記複数の第2電極指の先端縁の包絡線との間の領域を交差領域とし、前記IDT電極の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、前記複数の弾性波共振子の各々は、前記圧電性基板の厚さ方向からの平面視で、中央領域と、第1領域と、第2領域と、を有する。前記中央領域は、前記所定方向における前記IDT電極の前記交差領域の中央部を含む。前記第1領域は、前記複数の第1電極指の先端部を含み、前記複数の第1電極指のうち少なくとも1つの第1電極指の前記先端部が第1太幅部を含む。前記第2領域は、前記複数の第2電極指の先端部を含み、前記複数の第2電極指のうち少なくとも1つの第2電極指の前記先端部が第2太幅部を含む。前記第1太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第1電極指の中央部の幅よりも広い。前記第2太幅部の幅は、前記少なくとも1つの第2電極指の中央部の幅よりも広い。前記複数の弾性波共振子は、第1弾性波共振子と、第2弾性波共振子と、を有する。前記第1弾性波共振子の前記圧電性基板と前記第2弾性波共振子の前記圧電性基板とが共通である。前記第1弾性波共振子は、第3領域と、第4領域と、を更に含む。前記第3領域は、前記所定方向において前記第1領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する。前記第4領域は、前記所定方向において前記第2領域の外側に前記所定方向の長さが0.3λ以上のギャップを有する。前記第2弾性波共振子は、前記第3領域及び前記第4領域を含まない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様に係る弾性波フィルタ装置は、特性と小型化とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置を備える高周波モジュールの回路図である。
図2図2Aは、同上の弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。図2Bは、同上の弾性波装置の第2弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。
図3図3Aは、同上の弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子に関し、図2AのX1-X1線断面図である。図3Bは、同上の弾性波フィルタ装置の第2弾性波共振子に関し、図2BのX2-X2線断面図である。
図4図4は、同上の弾性波フィルタ装置の弾性波共振子に関し、IDT電極の交差領域の幅、第1電極指の中央部の幅及び第2電極指の中央部の幅を説明するための、一部破断した平面図である。
図5図5は、同上の弾性波フィルタ装置の弾性波装置におけるIDT電極の電極指ピッチを説明するための要部平面図である。
図6図6Aは、同上の弾性波フィルタ装置である第1弾性波フィルタ装置とは異なる第2弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。図6Bは、同上の第2弾性波フィルタ装置の第2弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。
図7図7Aは、同上の第2弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子に関し、図6AのX1-X1線断面図である。図7Bは、同上の第2弾性波フィルタ装置の第2弾性波共振子に関し、図6BのX2-X2線断面図である。
図8図8は、同上の第2弾性波フィルタ装置の縦結合型共振子の平面図である。
図9図9は、同上の第2弾性波フィルタ装置の変形例における縦結合型共振子の平面図である。
図10図10Aは、実施形態2に係る弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。図10Bは、同上の弾性波装置の第2弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。
図11図11Aは、実施形態3に係る弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。図11Bは、同上の弾性波装置の第2弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。
図12図12Aは、実施形態4に係る弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。図12Bは、同上の弾性波装置の第2弾性波共振子において弾性波伝搬方向に伝搬する弾性波の音速の、所定方向における速度分布の模式的な説明図である。
図13図13Aは、同上の弾性波フィルタ装置の第1弾性波共振子に関し、図12AのX1-X1線断面図である。図13Bは、同上の弾性波フィルタ装置の第2弾性波共振子に関し、図12BのX2-X2線断面図である。
図14図14は、実施形態5に係る弾性波フィルタ装置を備える高周波モジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態1~5について、図面を参照して説明する。以下の実施形態等において参照する図は、模式的な図であり、図中の構成要素の大きさ及び厚さは必ずしも実際の寸法を反映しているとは限らず、構成要素間における大きさの比及び厚さの比も、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(実施形態1)
(1)弾性波フィルタ装置及び高周波モジュール
実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100及び高周波モジュール500について、図面を参照して説明する。
【0016】
高周波モジュール500は、例えば、通信装置に用いられる。通信装置は、例えば、携帯電話(例えば、スマートフォン)であるが、これに限らず、例えば、ウェアラブル端末(例えば、スマートウォッチ)等であってもよい。高周波モジュール500は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格、5G(第5世代移動通信)規格等に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標、Third Generation Partnership Project) LTE(登録商標、Long Term Evolution)規格である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。
【0017】
実施形態1に係る高周波モジュール500は、図1に示すように、第1信号端子T1、第2信号端子T2と、弾性波フィルタ装置100と、を備える。弾性波フィルタ装置100は、複数(図1の例では9つ)の弾性波共振子14を備える。また、弾性波フィルタ装置100は、複数(図1の例では2つ)のキャパシタC12,C13と、複数(図1の例では3つ)のインダクタL11~L13と、を更に備える。
【0018】
高周波モジュール500では、弾性波フィルタ装置100は、第1信号端子T1と第2信号端子T2との間に接続されている。第1弾性波フィルタ装置100は、送信フィルタである。第1信号端子T1は、例えば、高周波モジュール500を備える通信装置のアンテナに接続される。第2信号端子T2は、例えば、通信装置の備えるパワーアンプに接続される。
【0019】
また、高周波モジュール500は、第3信号端子T3と、弾性波フィルタ装置100(以下、第1弾性波フィルタ装置100ともいう)とは異なる弾性波フィルタ装置200(以下、第2弾性波フィルタ装置200ともいう)と、を更に備える。第2弾性波フィルタ装置200は、複数(図1の例では7つ)の弾性波共振子24を備える。また、第2弾性波フィルタ装置200は、複数(図1の例では3つ)のキャパシタC21~C23と、1つのインダクタL21と、を更に備える。
【0020】
高周波モジュール500では、第2弾性波フィルタ装置200は、第1信号端子T1と第3信号端子T3との間に接続されている。第3信号端子T3は、例えば、通信装置の備えるローノイズアンプに接続される。第2弾性波フィルタ装置200は、受信フィルタである。
【0021】
また、高周波モジュール500は、第1信号端子T1と第1弾性波フィルタ装置100及び第2弾性波フィルタ装置200との間の共通経路とグランドとの間に接続されているインダクタL31を更に備える。インダクタL31は、第1弾性波フィルタ装置100及び第2弾性波フィルタ装置200と第1信号端子T1との間のインピーダンス整合をとる機能を有する。
【0022】
(2)第1弾性波フィルタ装置及び第2弾性波フィルタ装置の回路構成
以下、実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100及び第2弾性波フィルタ装置200の回路構成について、図面を参照して説明する。
【0023】
(2.1)第1弾性波フィルタ装置の回路構成
第1弾性波フィルタ装置100は、図1に示すように、ラダー型フィルタであり、複数(図1の例では9つ)の弾性波共振子14と、複数(図1の例では2つ)のキャパシタC12,C13と、複数(図1の例では3つ)のインダクタL11~L13と、を備える。第1弾性波フィルタ装置100は、第1通信バンドの送信帯域を含む通過帯域を有する。第1通信バンドは、例えば、3GPP LTE規格のBand8であるが、Band8以外であってもよい。
【0024】
複数の弾性波共振子14は、5つの直列腕共振子S1~S5と、4つの並列腕共振子P1~P4と、を含む。5つの直列腕共振子S1~S5は、信号経路(直列腕経路)156上に設けられている。信号経路156は、第1信号端子T1と第2信号端子T2との間の経路の一部である。5つの直列腕共振子S1~S5は、信号経路156上において、直列に接続されている。第1弾性波フィルタ装置100では、信号経路156上において、直列腕共振子S1、直列腕共振子S2、直列腕共振子S3、直列腕共振子S4及び直列腕共振子S5が、第2信号端子T2側から、直列腕共振子S1、直列腕共振子S2、直列腕共振子S3、直列腕共振子S4及び直列腕共振子S5の順に並んでいる。並列腕共振子P1は、信号経路156における直列腕共振子S1及び直列腕共振子S2間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)157上に設けられている。並列腕共振子P2は、信号経路156における直列腕共振子S2及び直列腕共振子S3間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)158上に設けられている。並列腕共振子P3は、信号経路156における直列腕共振子S3及び直列腕共振子S4間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)159上に設けられている。並列腕共振子P4は、信号経路156における直列腕共振子S4及び直列腕共振子S5間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)160上に設けられている。
【0025】
キャパシタC12は、直列腕共振子S2に並列接続されている。キャパシタC13は、直列腕共振子S3に並列接続されている。
【0026】
インダクタL11は、直列腕共振子S1と第2信号端子T2との間に接続されている。より具体的には、インダクタL11の一端が直列腕共振子S1に接続され、インダクタL11の他端が第2信号端子T2に接続されている。インダクタL12は、2つの並列腕共振子P1、P2同士の接続点とグランドとの間に接続されている。より具体的には、インダクタL12の一端が2つの並列腕共振子P1,P2同士の接続点に接続され、インダクタL12の他端がグランド(高周波モジュール500の有する第1グランド端子)に接続されている。インダクタL13は、2つの並列腕共振子P3、P4同士の接続点とグランドとの間に接続されている。より具体的には、インダクタL13の一端が2つの並列腕共振子P3、P4同士の接続点に接続され、インダクタL13の他端がグランド(高周波モジュール500の有する第2グランド端子)に接続されている。
【0027】
(2.2)第2弾性波フィルタ装置の回路構成
第2弾性波フィルタ装置200は、図1に示すように、ラダー型フィルタであり、複数(図1の例では7つ)の弾性波共振子24と、複数(図1の例では3つ)のキャパシタC21~C23と、インダクタL21と、を備える。第2弾性波フィルタ装置200は、第2通信バンドの受信帯域を含む通過帯域を有する。第2通信バンドは、例えば、3GPP LTE規格のBand8であるが、Band8以外であってもよい。
【0028】
複数の弾性波共振子24は、3つの直列腕共振子S11~S13と、縦結合共振子DMS1と、3つの並列腕共振子P11~P13と、を含む。3つの直列腕共振子S11~S13及び縦結合共振子DMS1は、信号経路(直列腕経路)256上に設けられている。信号経路256は、第1信号端子T1と第3信号端子T3との間の経路の一部である。3つの直列腕共振子S11~S13及び縦結合共振子DMS1は、信号経路256上において、直列に接続されている。第2弾性波フィルタ装置200では、信号経路256上において、直列腕共振子S11、直列腕共振子S12、縦結合共振子DMS1及び直列腕共振子S13が、第1信号端子T1側から、直列腕共振子S11、直列腕共振子S12、縦結合共振子DMS1及び直列腕共振子S13の順に並んでいる。並列腕共振子P11は、信号経路256における直列腕共振子S11及び直列腕共振子S12間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)257上に設けられている。並列腕共振子P12は、信号経路256における直列腕共振子S12及び縦結合共振子DMS1間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)258上に設けられている。並列腕共振子P13は、信号経路256における直列腕共振子S13及びインダクタL21間の経路と、グランドと、の間の経路(並列腕経路)259上に設けられている。
【0029】
キャパシタC21は、直列腕共振子S22に並列接続されている。キャパシタC22は、並列腕共振子P11に並列接続されている。キャパシタC23は、並列腕共振子P12に並列接続されている。
【0030】
インダクタL21は、直列腕共振子13及び並列腕共振子P13と第3信号端子T3との間に接続されている。より具体的には、インダクタL21の一端が直列腕共振子S13及び並列腕共振子P13に接続され、インダクタL21の他端が第3信号端子T3に接続されている。
【0031】
(3)第1弾性波フィルタ装置の構造
第1弾性波フィルタ装置100は、複数の弾性波共振子14(図1参照)を備える。複数の弾性波共振子14の各々は、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子である。複数の弾性波共振子14の各々は、図2A図2B図3A及び図3Bに示すように、圧電性基板2と、IDT(Interdigital Transducer)電極3と、を含む。IDT電極3は、圧電性基板2上に設けられている。「圧電性基板2上に設けられている」とは、圧電性基板2上に直接的に設けられている場合と、圧電性基板2上に間接的に設けられている場合と、を含む。弾性波フィルタ装置100は、複数のIDT電極3の各々に対してIDT電極3に隣り合うように配置されている2つの反射器を含む。各反射器は、例えば、短絡グレーティングである。なお、図2A及び図2Bでは、IDT電極3にドットのハッチングを付してあるが、これらのハッチングは、断面を表すものではなく、IDT電極3と圧電性基板2との関係を分かりやすくするために付してあるにすぎない。
【0032】
(3.1)圧電性基板
図3A及び図3Bに示すように、圧電性基板2は、圧電性基板2の厚さ方向D0において互いに対向する第1主面201及び第2主面202を有する。ここにおいて、「対向する」とは物理的ではなく幾何学的に対向することを意味する。圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、圧電性基板2の外縁は、例えば、矩形状である。
【0033】
圧電性基板2は、圧電性を有する。実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100では、圧電性基板2は、支持基板211と、高音速膜212と、低音速膜213と、圧電体層214と、を含む。圧電性基板2では、圧電体層214が圧電性を有する。高音速膜212は、支持基板211上に設けられている。低音速膜213は、高音速膜212上に設けられている。圧電体層214は、低音速膜213上に設けられている。高音速膜212は、圧電体層214を伝搬するバルク波の音速よりも、高音速膜212を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。低音速膜213は、圧電体層214を伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜213を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。
【0034】
圧電体層214は、例えば、35°YカットX伝搬リチウムタンタレート単結晶である。IDT電極3の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとすると、圧電体層214の厚さは、弾性波共振子14のQ値を向上させる観点から、3.5λ以下であるのが好ましい。この場合、支持基板211では、圧電体層214を伝搬する弾性波の音速よりも、支持基板211を伝搬するバルク波の音速が高速である。ここにおいて、支持基板211を伝搬するバルク波は、支持基板211を伝搬する複数のバルク波のうち最も低音速なバルク波である。圧電体層214の厚さは、例えば、900nmであるが、900nmに限定されない。圧電体層214がYカットX伝搬リチウムタンタレート結晶の場合、弾性波共振子14は、SH波を弾性波として利用することにより、SH波を主成分とするモードをメインモードとして使用することができる。弾性波の波長は、例えば、5.3μmである。カット角は、35°に限定されない。圧電体層214の材料は、リチウムタンタレートに限らず、例えば、リチウムニオベイトでもよい。また、圧電体層214は、圧電単結晶に限らず、圧電セラミックスでもよい。
【0035】
支持基板211は、例えば、シリコン基板である。シリコン基板の厚さは、例えば、10λ以上180μm以下が好適である。シリコン基板の有する主面の面方位は、例えば、(111)面であるが、これに限らず、例えば、(110)面、(111)面であってもよい。シリコン基板の抵抗率は、例えば1kΩcm以上であり、2kΩcm以上であるのが好ましく、4kΩcm以上であるのが更に好ましい。支持基板211の厚さは、例えば、120μmである。支持基板211の材料としては、例えば、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体、アルミナ、サファイア、マグネシア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等のセラミック、ダイヤモンド、ガラス等の誘電体、シリコン、窒化ガリウム等の半導体、もしくは樹脂、又は上記材料を主成分とする材料を用いることができる。
【0036】
高音速膜212は、例えば、窒化ケイ素膜である。高音速膜212の厚さに関しては、弾性波を圧電体層214及び低音速膜213に閉じ込める機能を高音速膜212が有するため、高音速膜212の厚さは厚いほど望ましい。高音速膜212の厚さは、0.5λ以上であるのが好ましく、1.5λ以上であるのが更に好ましい。高音速膜212の厚さは、例えば、300nmであるが、300nmに限定されない。高音速膜212の材料は、窒化ケイ素に限定されない。高音速膜212の材料としては、例えば、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶等の圧電体、アルミナ、サファイア、マグネシア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、スピネル、サイアロン等のセラミック、酸化アルミニウム、酸窒化ケイ素、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ダイヤモンド等の誘電体、もしくはシリコン等の半導体、又は上記材料を主成分とする材料を用いることもできる。なお、上記スピネルには、Mg、Fe、Zn、Mnなどから選ばれる1以上の元素と酸素とを含有するアルミニウム化合物が含まれる。上記スピネルの例としては、MgAl、FeAl、ZnAl、MnAlを挙げることができる。
【0037】
低音速膜213は、例えば、酸化ケイ素膜である。低音速膜213の厚さは、弾性波共振子14のQ値を向上させる観点から3.5λ以下であるのが好ましく、周波数温度係数の絶対値を小さくする観点から2.0λ以下であるのが更に好ましい。低音速膜213の厚さは、例えば、673nmであるが、673nmに限定されない。低音速膜213の材料は、酸化ケイ素に限定されない。低音速膜213の材料としては、例えば、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化リチウム、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素、炭素、若しくはホウ素を加えた化合物等の誘電体、又は、上記材料を主成分とする材料を用いることもできる。
【0038】
(3.2)IDT電極
IDT電極3は、導電性を有する。IDT電極3の材料は、例えば、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、マグネシウム、鉄又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等である。また、IDT電極3は、これらの金属又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有していてもよい。
【0039】
図2A及び図2Bに示すように、IDT電極3は、第1バスバー4と、第2バスバー5と、複数の第1電極指6と、複数の第2電極指7と、を有する。
【0040】
IDT電極3では、第1バスバー4と第2バスバー5とは、圧電性基板2の厚さ方向D0に直交する第1方向D1(以下、所定方向D1ともいう)において対向し合っている。つまり、第2バスバー5は、所定方向D1において第1バスバー4に対向している。
【0041】
第1バスバー4及び第2バスバー5は、所定方向D1に直交する第2方向D2を長手方向とする長尺状である。第2方向D2は、圧電性基板2の厚さ方向D0にも直交する。
【0042】
複数の第1電極指6は、第1バスバー4に接続されており、所定方向D1において第1バスバー4から第2バスバー5側に延びている。より詳細には、複数の第1電極指6は、第1バスバー4から第1バスバー4の長手方向に直交する方向に沿って延びている。図2A及び図2Bの例では、複数の第1電極指6は、互いの長さが同じである。IDT電極3では、複数の第1電極指6と第2バスバー5とは離れており、所定方向D1において対向する第1電極指6と第2バスバー5との間にギャップ31が形成されている。上述のメインモードの弾性波の波長をλとしたときに、本実施形態の弾性波共振子14では、所定方向D1におけるギャップ31の長さは、例えば、0.3λ未満である。
【0043】
複数の第2電極指7は、第2バスバー5に接続されており、第1方向D1において第2バスバー5から第1バスバー4側に延びている。より詳細には、複数の第2電極指7は、第2バスバー5から第2バスバー5の長手方向に直交する方向に沿って延びている。図2A及び図2Bの例では、複数の第2電極指7は、互いの長さが同じである。IDT電極3では、複数の第2電極指7と第1バスバー4とは離れており、所定方向D1において対向する第2電極指7と第1バスバー4との間にギャップ32が形成されている。本実施形態の弾性波共振子14では、所定方向D1におけるギャップ32の長さは、例えば、0.3λ未満である。
【0044】
IDT電極3では、複数の第1電極指6と複数の第2電極指7とが、第2方向D2において、1本ずつ交互に互いに離隔して並んでいる。したがって、第2方向D2において隣り合う第1電極指6と第2電極指7とは離れている。IDT電極3では、第1電極指6と第2電極指7との対数は、一例として88対である。つまり、IDT電極3は、一例として、88本の第1電極指6と、88本の第2電極指7と、を有している。IDT電極3は、交差領域30(図4及び図5参照)において、弾性波を励振する。交差領域30は、複数の第1電極指6の先端縁の包絡線36と複数の第2電極指7の先端縁の包絡線37との間の領域である。弾性波の伝搬方向は、第2方向D2に沿った方向である。
【0045】
弾性波共振子14の特性は、例えば、IDT電極3の電極指ピッチ、所定方向D1におけるIDT電極3の交差領域30の幅W30(以下、交差幅W30ともいう)、圧電性基板2の材料等を適宜変えることによって変えることができる。交差幅W30は、例えば、12λである。
【0046】
IDT電極3の電極指ピッチは、平均電極指ピッチであり、図5に示すように、第2方向D2における一端の第1電極指6の中心線と、他端の第2電極指7の中心線と、の間の距離をW3とし、第2方向D2において隣り合う電極指間のギャップの数をNとすると、(W3/N)×2の演算によって求められる値である。これにより、IDT電極3の電極指ピッチは、複数の第1電極指6のうち隣り合う2つの第1電極指6の中心線間の距離の平均値、又は、複数の第2電極指7のうち隣り合う2つの第2電極指7の中心線間の距離の平均値となる。
【0047】
実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100では、複数の弾性波共振子14の各々は、第1質量付加膜8と、第2質量付加膜9と、を含む。
【0048】
第1質量付加膜8は、複数の第1電極指6の各々の先端部61に重なっている。複数の第1電極指6の各々の先端部61は、第1電極指6の先端縁を含む部分である。第1質量付加膜8は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、第2方向D2を長手方向とする長尺状である。第1質量付加膜8は、圧電性基板2の第1主面201の一部と複数の第1電極指6の各々の先端部61の一部と複数の第2電極指7の各々の一部とを覆っている。第1質量付加膜8は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、複数の第1電極指6の先端縁と重ならずに複数の第1電極指6の先端縁よりも第1バスバー4側に位置しているが、複数の第1電極指6の先端縁を含む先端部61の全部を覆っていてもよい。第1質量付加膜8は、誘電体膜である。第1質量付加膜8の材料は、例えば、5酸化タンタルを含む。第1質量付加膜8の厚さは、例えば、35nmである。
【0049】
第2質量付加膜9は、複数の第2電極指7の各々の先端部71に重なっている。複数の第2電極指7の各々の先端部71は、第2電極指7の先端縁を含む部分である。第2質量付加膜9は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、第2方向D2を長手方向とする長尺状である。第2質量付加膜9は、圧電性基板2の第1主面201の一部と複数の第2電極指7の各々の先端部71の一部と複数の第2電極指7の各々の一部とを覆っている。第2質量付加膜9は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、複数の第2電極指7の先端縁と重ならずに複数の第2電極指7の先端縁よりも第2バスバー5側に位置しているが、複数の第2電極指7の先端縁を含む先端部71の全部を覆っていてもよい。第2質量付加膜9は、誘電体膜である。第2質量付加膜9の材料は、例えば、5酸化タンタルを含む。第2質量付加膜9の厚さは、例えば、35nmである。
【0050】
図4に示すように、所定方向D1における交差領域30の中央部300は、複数の第1電極指6の先端部61を含む第1端部301と、複数の第2電極指7の先端部71を含む第2端部302との間の部分である。本実施形態では、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、交差領域30の第1端部301は、第1質量付加膜8と同じ範囲である。本実施形態では、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、交差領域30の第2端部302は、第2質量付加膜9と同じ範囲である。
【0051】
複数の第1電極指6の各々は、基端部66、中央部60及び先端部61を有する。本実施形態では、複数の第1電極指6の各々の先端部61は、第1質量付加膜8が重なっている部分である。所定方向D1における第1質量付加膜8の幅は、例えば、0.8λである。複数の第1電極指6の各々では、基端部66、中央部60及び先端部61が、所定方向D1において、第1バスバー4側から、基端部66、中央部60及び先端部61の順に並んでいる。本実施形態では、複数の第1電極指6の各々の中央部60は、所定方向D1において交差領域30の中央部300に存在する部分である。複数の第1電極指6の各々の基端部66は、所定方向D1において中央部60と第1バスバー4との間の部分である。
【0052】
複数の第1電極指6は、互いの基端部66の幅W66が同じである。また、複数の第1電極指6は、互いの中央部60の幅W60が同じである。また、複数の第1電極指6は、互いの先端部61の幅W61が同じである。本実施形態では、幅W66と幅W60と幅W61とは同じである。
【0053】
複数の第2電極指7の各々は、基端部76、中央部70及び先端部71を有する。本実施形態では、複数の第2電極指7の各々の先端部71は、第2質量付加膜9が重なっている部分である。所定方向D1における第2質量付加膜9の幅は、例えば、0.8λである。複数の第2電極指7の各々では、基端部76、中央部70及び先端部71が、所定方向D1において、第2バスバー5側から、基端部76、中央部70及び先端部71の順に並んでいる。本実施形態では、複数の第2電極指7の各々の中央部70は、所定方向D1において交差領域30の中央部300に存在する部分である。複数の第2電極指7の各々の基端部76は、所定方向D1において中央部70と第2バスバー5との間の部分である。
【0054】
複数の第2電極指7は、互いの基端部76の幅W76が同じである。また、複数の第2電極指7は、互いの中央部70の幅W70が同じである。また、複数の第2電極指7は、互いの先端部71の幅W71が同じである。本実施形態では、幅W76と幅W70と幅W71とは同じである。
【0055】
複数の弾性波共振子14は、第1弾性波共振子11と、第2弾性波共振子12と、を有する。以下では、第1弾性波共振子11について図2Aを参照して説明し、第2弾性波共振子12について図2Bを参照して説明する。
【0056】
図2Aに示すように、第1弾性波共振子11では、第1バスバー4は、内側バスバー部41と、外側バスバー部42と、内側バスバー部41と外側バスバー部42との間の複数のギャップ40と、複数の繋ぎ部43と、含む。複数のギャップ40は、例えば、第2方向D2において等間隔で並んでいる。内側バスバー部41は、所定方向D1において複数のギャップ40よりも交差領域30側に位置している。外側バスバー部42は、所定方向D1において複数のギャップ40から見て内側バスバー部41とは反対側に位置している。複数の繋ぎ部43は、所定方向D1において内側バスバー部41と外側バスバー部42とを繋いでいる。複数の繋ぎ部43は、例えば、第2方向D2において等間隔で並んでいる。複数の繋ぎ部43のうち第2方向D2において隣り合う2つの繋ぎ部43の間には、複数のギャップ40のうち1つのギャップ40が位置している。要するに、第1バスバー4では、第2方向D2において複数の繋ぎ部43と複数のギャップ40とが1つずつ交互に並んでいる。図2Aの例では、複数の繋ぎ部43は、複数の第1電極指6に一対一に対応し、対応する第1電極指6と所定方向D1において並んでいるが、これに限らない。つまり、繋ぎ部43の数及び複数の繋ぎ部43の位置は、図2Aの例に限らない。
【0057】
また、複数のギャップ40の各々の開口形状は、矩形状であるが、これに限らない。上述の弾性波の波長をλとしたときに、所定方向D1における内側バスバー部41の幅は、例えば、0.5λ以下である。また、所定方向D1におけるギャップ40の長さは、0.3λ以上であり、一例として、1.0λである。
【0058】
また、第1弾性波共振子11では、第2バスバー5は、内側バスバー部51と、外側バスバー部52と、内側バスバー部51と外側バスバー部52との間の複数のギャップ50と、複数の繋ぎ部53と、含む。複数のギャップ50は、例えば、第2方向D2において等間隔で並んでいる。内側バスバー部51は、所定方向D1において複数のギャップ50よりも交差領域30側に位置している。外側バスバー部52は、所定方向D1において複数のギャップ50から見て内側バスバー部51とは反対側に位置している。複数の繋ぎ部53は、所定方向D1において内側バスバー部51と外側バスバー部52とを繋いでいる。複数の繋ぎ部53は、例えば、第2方向D2において等間隔で並んでいる。複数の繋ぎ部53のうち第2方向D2において隣り合う2つの繋ぎ部53の間には、複数のギャップ50のうち1つのギャップ50が位置している。要するに、第2バスバー5では、第2方向D2において複数の繋ぎ部53と複数のギャップ50とが1つずつ交互に並んでいる。図2Aの例では、複数の繋ぎ部53は、複数の第2電極指7に一対一に対応し、対応する第2電極指7と所定方向D1において並んでいるが、これに限らない。つまり、繋ぎ部53の数及び複数の繋ぎ部53の位置は、図2Aの例に限らない。
【0059】
また、複数のギャップ50の各々の開口形状は、矩形状であるが、これに限らない。所定方向D1における内側バスバー部51の幅は、例えば、0.5λ以下である。また、所定方向D1におけるギャップ50の長さは、0.3λ以上であり、一例として、1.0λである。
【0060】
実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100における第1弾性波共振子11は、IDT電極3において、ピストンモードを形成することにより横モードリップルを抑制する構造を有する。この点については、図2Aを参照して説明する。
【0061】
第1弾性波共振子11は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、図2Aの左側に示すように、所定方向D1に並んでいる複数(11個)の領域A0~A10を含んでいる。11個の領域A0~A10は、圧電性基板2及びIDT電極3それぞれにおいて互いに異なる部分を含んでいる。11個の領域A0~A10は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で第2方向D2に長い帯状の領域である。図2Aの右側には、11個の領域A0~A10を伝搬する弾性波の速度(音速)を模式的に示してある。
【0062】
各領域A0~A10それぞれの音速は、圧電性基板2のパラメータ(材料、オイラー角及び厚さ等)、IDT電極3のパラメータ(材料、厚さ及び電極指ピッチ等)を用いて、有限要素法によるシミュレーションを行うことにより、求めることができる。
【0063】
第1弾性波共振子11では、上述の11個の領域A0~A11の領域A0が、所定方向D1におけるIDT電極3の交差領域30の中央部300を含む中央領域を構成している。領域A0は、複数の第1電極指6の第1中央部60と複数の第2電極指7の第2中央部70とを含む。中央領域(領域A0)は、複数の第1電極指6の中央部60と複数の第2電極指7の中央部70とが第2方向D2において重なる領域である。領域A0では、電極指幅(第1電極指6の中央部60の幅W60又は第2電極指の中央部70の幅W70)を上記電極指ピッチの2分の1の値で除した値(デューティ比)は、例えば、0.6である。
【0064】
領域A1は、複数の第1電極指6の各々の先端部61及び複数の第2電極指7の各々の基端部76の一部を含む。本実施形態では、領域A1は、第1質量付加膜8を含む。領域A2は、複数の第2電極指7の各々の先端部71及び複数の第1電極指6の各々の基端部66の一部を含む。本実施形態では、領域A2は、第2質量付加膜9を含む。領域A3は、複数のギャップ31を含む。領域A4は、複数のギャップ32を含む。領域A5は、第2バスバー5の内側バスバー部51を含む。領域A6は、第1バスバー4の内側バスバー部41を含む。領域A7は、複数のギャップ50及び複数の繋ぎ部53を含む。領域A8は、複数のギャップ40及び複数の繋ぎ部43を含む。領域A9は、第2バスバー5の外側バスバー部52を含む。領域A10は、第1バスバー4の外側バスバー部42を含む。本実施形態では、領域A1が、複数の第1電極指6の先端部61を含む第1領域を構成している。また、本実施形態では、領域A2が、複数の第2電極指7の先端部71を含む第2領域を構成している。また、本実施形態では、領域A7が、所定方向D1において第1領域の外側に所定方向D1の長さが0.3λ以上のギャップ50を有する第3領域を構成している。また、本実施形態では、領域A8が、所定方向D1において第2領域の外側に所定方向D1の長さが0.3λ以上のギャップ40を有する第4領域を構成している。本実施形態では、第1弾性波共振子11は、中央領域、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有することにより、ピストンモードを形成することが可能となる。
【0065】
領域A1及び領域A2の各々では、領域A0よりも弾性波の音速が遅い。領域A3及び領域A4では、領域A0よりも弾性波の音速が速い。領域A5及び領域A6では、領域A0よりも弾性波の音速が遅い。領域A7及び領域A8では、領域A0よりも弾性波の音速が速い。領域A9及び領域A10では、領域A0よりも弾性波の音速が遅い。
【0066】
図2Bに示すように、第2弾性波共振子12は、第1弾性波共振子11と同様、領域A0~A6を含む。ただし、第2弾性波共振子12は、領域A7及び領域A8を含まない。すなわち、第2弾性波共振子12は、第3領域及び第4領域を含まない。また、第2弾性波共振子12は、領域A9及び領域A10を含まない。
【0067】
本実施形態では、第1弾性波フィルタ装置100では、複数の弾性波共振子14の圧電性基板2が共通である。したがって、第1弾性波共振子11の圧電性基板2と第2弾性波共振子12の圧電性基板2とが共通である。第1弾性波フィルタ装置100は、複数の弾性波共振子14を含む1チップの弾性波装置10を備えている。弾性波装置10は、複数の外部接続電極を有する。複数の外部接続電極は、図1に示すように、第2信号端子T2に接続される第1入出力電極15と、第1信号端子T1に接続される第2入出力電極16と、第1グランド電極17と、第2グランド電極18と、を含む。
【0068】
本実施形態では、図1に示すように、9つの弾性波共振子14が、8つの第1弾性波共振子11と、1つの第2弾性波共振子12と、を有する。8つの第1弾性波共振子11は、信号経路156に設けられている5つの直列腕共振子S1~S5のうち電極指ピッチが最も大きい直列腕共振子S4と、信号経路156とグランドとの間に接続されている4つの並列腕共振子P1~P4のうち電極指ピッチが最も小さい並列腕共振子P2と、を含む。第1弾性波共振子11の共振周波数と反共振周波数との間の周波数帯の少なくとも一部は、弾性波フィルタ装置100の有する通過帯域に含まれる。
【0069】
本実施形態では、図1に示すように、直列腕共振子S1が第2弾性波共振子12である。複数の弾性波共振子14は、直列腕共振子S4及び並列腕共振子P2の各々が第1弾性波共振子11であれば、直列腕共振子S1に限らず、直列腕共振子S2,S3,S5及び並列腕共振子P1,P3,P4のうち少なくとも1つが第2弾性波共振子12であってもよい。
【0070】
(3.3)反射器
各反射器は、隣り合うIDT電極3側からの弾性波を反射する。各反射器は、導電性を有する。各反射器の材料は、例えば、アルミニウム、銅、白金、金、銀、チタン、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、マグネシウム、鉄又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等である。また、各反射器は、これらの金属又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有していてもよい。各反射器の厚さは、例えば、300nmである。
【0071】
(4)第2弾性波フィルタ装置の構造
第2弾性波フィルタ装置200は、複数の弾性波共振子24(図1参照)を備える。複数の弾性波共振子24の各々は、SAW共振子である。複数の弾性波共振子24の各々は、図6A図6B図7A及び図7Bに示すように、圧電性基板2と、IDT電極3と、を含む。第2弾性波フィルタ装置200は、複数のIDT電極3の各々に対してIDT電極3に隣り合うように配置されている2つの反射器を含む。複数の弾性波共振子24に関し、第1弾性波フィルタ装置100の複数の弾性波共振子14と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。なお、図6A及び図6Bでは、IDT電極3にドットのハッチングを付してあるが、これらのハッチングは、断面を表すものではなく、IDT電極3と圧電性基板2との関係を分かりやすくするために付してあるにすぎない。
【0072】
複数の弾性波共振子24は、第1弾性波共振子21と、第2弾性波共振子22と、を有する。第1弾性波共振子21に関し、第1弾性波フィルタ装置100の第1弾性波共振子11と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
第1弾性波共振子21は、領域A0~A10を含む。第2弾性波共振子22は、領域A0~A6を含み、領域A7~A10を含まない。
【0074】
本実施形態では、図1に示すように、9つの弾性波共振子24が、5つの第1弾性波共振子21と、1つの第2弾性波共振子12と、1つの縦結合共振子DMS1と、を有する。5つの第1弾性波共振子21は、信号経路256に設けられている3つの直列腕共振子S11~S13のうち電極指ピッチが最も大きい直列腕共振子S12と、信号経路256とグランドとの間に接続されている3つの並列腕共振子P11~P13のうち電極指ピッチが最も小さい並列腕共振子P12と、を含む。
【0075】
本実施形態では、図1に示すように、直列腕共振子S13が第2弾性波共振子22である。複数の弾性波共振子24は、直列腕共振子S12及び並列腕共振子P12の各々が第1弾性波共振子21であれば、直列腕共振子S13に限らず、直列腕共振子S11及び並列腕共振子P11,P13のうち少なくとも1つが第2弾性波共振子22であってもよい。
【0076】
縦結合共振子DMS1は、図8に示すように、弾性波の伝搬方向に7つのIDT電極3を配置した7IDT型の縦結合共振子である。縦結合共振子DMS1は、7つのIDT電極3ごとに、領域A0~A10を有する。なお、7つのIDT電極3の各々の形状は、第1弾性波共振子21と同様である。また、図8では、第1質量付加膜8及び第2質量付加膜9の図示を省略してある。
【0077】
なお、縦結合共振子DMS1の有するIDT電極3の数は、7つに限らず、例えば、3つでもよいし、5つでもよい。
【0078】
(5)第1弾性波フィルタ装置の特性
第1弾性波共振子11及び第2弾性波共振子12の各々のインピーダンスの周波数特性において、共振点と反共振点との間に発生する不要波のリップル(横モードリップル)を抑制できる。
【0079】
第1弾性波共振子11のQ値は、第2弾性波共振子12のQ値よりも大きい。
【0080】
第1弾性波フィルタ装置100は、複数の弾性波共振子14の全てを第1弾性波共振子11とする場合と比べて、フィルタ特性(アッテネーション特性)のロスを抑制することができる。
【0081】
(6)第2弾性波フィルタ装置の特性
第1弾性波共振子21及び第2弾性波共振子22の各々のインピーダンスの周波数特性において、共振点と反共振点との間に発生する不要波のリップル(横モードリップル)を抑制できる。
【0082】
第1弾性波共振子21のQ値は、第2弾性波共振子22のQ値よりも大きい。
【0083】
第2弾性波フィルタ装置200は、複数の弾性波共振子24の全てを第1弾性波共振子21とする場合と比べて、フィルタ特性(アッテネーション特性)のロスを抑制することができる。
【0084】
(7)効果
実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100は、複数の弾性波共振子14を備える。複数の弾性波共振子14の各々は、圧電性基板2と、IDT電極3と、を含む。IDT電極3は、圧電性基板2上に設けられている。IDT電極3は、第1バスバー4と、第2バスバー5と、複数の第1電極指6と、複数の第2電極指7と、を有する。第2バスバー5は、所定方向D1において第1バスバー4に対向している。複数の第1電極指6は、第1方向D1において第1バスバー4から第2バスバー5に向かって延びている。複数の第2電極指7は、所定方向において第2バスバー5から第1バスバー4に向かって延びている。複数の第1電極指6の先端縁の包絡線36と複数の第2電極指7の先端縁の包絡線37との間の領域を交差領域30とし、IDT電極3の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、複数の弾性波共振子14の各々は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、中央領域(領域A0)と、第1領域(領域A1)と、第2領域(領域A2)と、を有する。中央領域(領域A0)は、所定方向におけるIDT電極3の交差領域30の中央部300を含む。第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指6の先端部61を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指7の先端部71を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。複数の弾性波共振子14は、第1弾性波共振子11と、第2弾性波共振子12と、を有する。第1弾性波共振子11の圧電性基板2と第2弾性波共振子12の圧電性基板2とが共通である。第1弾性波共振子11は、第3領域(領域A7)と、第4領域(領域A8)と、を更に含む。第3領域(領域A7)は、所定方向において第1領域(領域A1)の外側に所定方向の長さが0.3λ以上のギャップ50を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第4領域(領域A8)は、所定方向D1において第2領域(領域A2)の外側に所定方向D1の長さが0.3λ以上のギャップ40を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第2弾性波共振子12は、第3領域(領域A7)及び第4領域(領域A8)を含まない。
【0085】
上記の構成によれば、特性と小型化の両立を図ることが可能となる。
【0086】
また、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100は、第1入出力電極15及び第2入出力電極16を更に備える。複数の弾性波共振子14は、第1入出力電極15と第2入出力電極16との間の信号経路156に設けられている2以上の弾性波共振子14(直列腕共振子S1~S5)と、信号経路156とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子14(並列腕共振子P1~P4)と、を含む。複数の弾性波共振子14は、第1弾性波共振子11を少なくとも2つ有する。少なくとも2つの第1弾性波共振子11は、信号経路156に設けられている2以上の弾性波共振子14(直列腕共振子S1~S5)のうち電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子14(直列腕共振子S4)と、信号経路156とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子14(並列腕共振子P1~P4)のうち電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子14(並列腕共振子P2)と、を含む。
【0087】
上記の構成によれば、フィルタ特性のロスを抑制しつつ小型化を図ることが可能となる。
【0088】
実施形態1に係る第2弾性波フィルタ装置200は、複数の弾性波共振子24を備える。複数の弾性波共振子24の各々は、圧電性基板2と、IDT電極3と、を含む。IDT電極3は、圧電性基板2上に設けられている。IDT電極3は、第1バスバー4と、第2バスバー5と、複数の第1電極指6と、複数の第2電極指7と、を有する。第2バスバー5は、所定方向D1において第1バスバー4に対向している。複数の第1電極指6は、第1方向D1において第1バスバー4から第2バスバー5に向かって延びている。複数の第2電極指7は、所定方向において第2バスバー5から第1バスバー4に向かって延びている。複数の第1電極指6の先端縁の包絡線36と複数の第2電極指7の先端縁の包絡線37との間の領域を交差領域30とし、IDT電極3の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、複数の弾性波共振子24の各々は、圧電性基板2の厚さ方向D0からの平面視で、中央領域(領域A0)と、第1領域(領域A1)と、第2領域(領域A2)と、を有する。中央領域(領域A0)は、所定方向D1におけるIDT電極3の交差領域30の中央部300を含む。第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指6の先端部61を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指7の先端部71を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。複数の弾性波共振子24は、第1弾性波共振子21と、第2弾性波共振子22と、を有する。第1弾性波共振子21の圧電性基板2と第2弾性波共振子22の圧電性基板2とが共通である。第1弾性波共振子21は、第3領域(領域A7)と、第4領域(領域A8)と、を更に含む。第3領域(領域A7)は、所定方向D1において第1領域(領域A1)の外側に所定方向D1の長さが0.3λ以上のギャップ50を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第4領域(領域A8)は、所定方向D1において第2領域(領域A2)の外側に所定方向D1の長さが0.3λ以上のギャップ40を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第2弾性波共振子22は、第3領域(領域A7)及び第4領域(領域A8)を含まない。
【0089】
上記の構成によれば、特性と小型化の両立を図ることが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係る第2弾性波フィルタ装置200は、第1入出力電極25及び第2入出力電極26を更に備える。複数の弾性波共振子24は、第1入出力電極25と第2入出力電極26との間の信号経路256に設けられている2以上の弾性波共振子24(直列腕共振子S11~S13)と、信号経路256とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子14(並列腕共振子P11~P13)と、を含む。複数の弾性波共振子24は、第1弾性波共振子21を少なくとも2つ有する。少なくとも2つの第1弾性波共振子21は、信号経路256に設けられている2以上の弾性波共振子24(直列腕共振子S11~S13)のうち電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子24(直列腕共振子S12)と、信号経路256とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子24(並列腕共振子P11~P13)のうち電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子24(並列腕共振子P12)と、を含む。
【0091】
上記の構成によれば、フィルタ特性のロスを抑制しつつ小型化を図ることが可能となる。
【0092】
(8)変形例
変形例における縦結合共振子DMS1では、図9に示すように、7つのIDT電極3の各々の形状が、第2弾性波共振子22と同様である。なお、図9では、第1質量付加膜8及び第2質量付加膜9の図示を省略してある。
【0093】
(実施形態2)
実施形態2に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成は、図1に示した実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成と同じなので、図示及び説明を省略する。
【0094】
(1)第1弾性波フィルタ装置の構造
実施形態2に係る弾性波フィルタ装置100では、図10Aに示す第1弾性波共振子11の構造が、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100における第1弾性波共振子11の構造と相違する。
【0095】
本実施形態の第1弾性波共振子11は、内側バスバー部41が第2方向D2において離隔した複数の分離内側バスバー部41aを含んでいる点で、実施形態1の第1弾性波共振子11と相違する。本実施形態では、内側バスバー部41は、ギャップ32とギャップ40とを連通させるスリットを有しており、第2方向D2において不連続である。
【0096】
本実施形態の第1弾性波共振子11は、内側バスバー部51が第2方向D2において離隔した複数の分離内側バスバー部51aを含んでいる点で、実施形態1の第1弾性波共振子11と相違する。本実施形態では、内側バスバー部51は、ギャップ32とギャップ50とを連通させるスリットを有しており、第2方向D2において不連続である。
【0097】
図10Bに示す第2弾性波共振子12の構造は、実施形態1の第2弾性波共振子12と同じなので、説明を省略する。
【0098】
(2)効果
実施形態2に係る第1弾性波フィルタ装置100は、実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100と同様の効果を奏する。
【0099】
(実施形態3)
実施形態3に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成は、図1に示した実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成と同じなので、図示及び説明を省略する。
【0100】
(1)第1弾性波フィルタ装置の構造
実施形態3に係る弾性波フィルタ装置100では、図11Aに示す第1弾性波共振子11の構造が、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100における第1弾性波共振子11の構造と相違する。
【0101】
本実施形態の第1弾性波共振子11は、実施形態1の第1弾性波共振子11のように第2バスバー5が内側バスバー部51及び外側バスバー部52に分かれた構造を採用せずに、所定方向D1において第1領域(領域A1)の外側に所定方向の長さが0.3λ以上のギャップ50を有する第3領域(領域A7)を含む点で、実施形態1の第1弾性波共振子11と相違する。本実施形態では、ギャップ40は、第1方向D1における第1電極指6と第2バスバー5との間のギャップである。
【0102】
また、本実施形態の第1弾性波共振子11は、実施形態1の第1弾性波共振子11のように第1バスバー4が内側バスバー部41及び外側バスバー部42に分かれた構造を採用せずに、所定方向D1において第2領域(領域A2)の外側に所定方向の長さが0.3λ以上のギャップ40を有する第4領域(領域A8)を含む点で、実施形態1の第1弾性波共振子11と相違する。本実施形態では、ギャップ50は、第1方向D1における第2電極指7と第1バスバー4との間のギャップである。
【0103】
図11Bに示す第2弾性波共振子12の構造は、実施形態1の第2弾性波共振子12と同じなので、説明を省略する。
【0104】
(2)効果
実施形態3に係る第1弾性波フィルタ装置100は、実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100と同様の効果を奏する。
【0105】
(実施形態4)
実施形態4に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成は、図1に示した実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500それぞれの回路構成と同じなので、図示及び説明を省略する。
【0106】
(1)第1弾性波フィルタ装置の構造
実施形態4に係る第1弾性波フィルタ装置100では、複数の弾性波共振子14の代わりに、複数の弾性波共振子14Aを備える。弾性波共振子14Aに関し、弾性波共振子14と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。実施形態4に係る第1弾性波フィルタ装置100では、図12A及び図13Aに示すように第1弾性波共振子11Aの構造が、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100における第1弾性波共振子11の構造と相違する。また、実施形態4に係る第1弾性波フィルタ装置100では、図12B及び図13Bに示すように第2弾性波共振子12Aの構造が、実施形態1に係る弾性波フィルタ装置100における第2弾性波共振子12の構造と相違する。
【0107】
本実施形態の第1弾性波共振子11Aは、実施形態1の第1弾性波共振子11における第1質量付加膜8を設ける代わりに、複数の第1電極指6の先端部61が太幅部62(第1太幅部62)を含んでいる。また、本実施形態の第1弾性波共振子11Aは、実施形態1の第1弾性波共振子11における第2質量付加膜9を設ける代わりに、複数の第2電極指7の先端部71が太幅部72(第2太幅部)を含んでいる。複数の第1電極指6において、第2方向D2における太幅部62の幅は、第2方向D2における中央部60の幅W60よりも広い。所定方向D1において太幅部62の長さは、1.5λ未満であるのが好ましい。複数の第2電極指7において、第2方向D2における太幅部72の幅は、第2方向D2における中央部70の幅W70よりも広い。所定方向D1において太幅部72の長さは、1.5λ未満であるのが好ましい。
【0108】
本実施形態の第1弾性波共振子11Aは、実施形態1の第1弾性波共振子11における第1質量付加膜8を設けることなく、複数の第1電極指6の先端部61を含む第1領域(領域A1)を含んでいる。また、本実施形態の第1弾性波共振子11Aは、実施形態1の第1弾性波共振子11における第2質量付加膜9を設けることなく、複数の第2電極指7の先端部71を含む第2領域(領域A2)を含んでいる。
【0109】
本実施形態の第2弾性波共振子12Aは、実施形態1の第2弾性波共振子12における第1質量付加膜8を設けることなく、複数の第1電極指6の先端部61を含む第1領域(領域A1)を含んでいる。また、本実施形態の第2弾性波共振子12Aは、実施形態1の第2弾性波共振子12における第2質量付加膜9を設けることなく、複数の第2電極指7の先端部71を含む第2領域(領域A2)を含んでいる。
【0110】
(2)効果
実施形態4に係る第1弾性波フィルタ装置100は、実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100と同様の効果を奏する。
【0111】
(実施形態5)
実施形態5に係る第1弾性波フィルタ装置100B、第2弾性波フィルタ装置200B及び高周波モジュール500Bについて、図14を参照して説明する。実施形態5に係る第1弾性波フィルタ装置100B、第2弾性波フィルタ装置200B及び高周波モジュール500Bに関し、図1に示した実施形態1に係る第1弾性波フィルタ装置100、第2弾性波フィルタ装置200及び高周波モジュール500と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
(1)構成
第1弾性波フィルタ装置100Bは、直列腕共振子S4が、第2弾性波共振子12により構成され、直列腕共振子S1が第1弾性波共振子11により構成されている点で、第1弾性波フィルタ装置100と相違する。
【0113】
第2弾性波フィルタ装置200Bは、直列腕共振子S13が、第2弾性波共振子22により構成され、直列腕共振子S12が第1弾性波共振子21により構成されている点で、第2弾性波フィルタ装置200と相違する。
【0114】
高周波モジュール500Bは、実施形態1に係る高周波モジュール500の第1弾性波フィルタ装置100及び第2弾性波フィルタ装置200の代わりに、第1弾性波フィルタ装置100B及び第2弾性波フィルタ装置200Bを備える点で、高周波モジュール500と相違する。
【0115】
(2)効果
実施形態5に係る第1弾性波フィルタ装置100Bは、第1入出力電極15及び第2入出力電極16を更に備える。複数の弾性波共振子14は、第1入出力電極15と第2入出力電極16との間の信号経路156に設けられている2以上の弾性波共振子14(直列腕共振子S1~S5)と、信号経路156とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子14(並列腕共振子P1~P4)と、を含む。複数の弾性波共振子14は、第2弾性波共振子12は、信号経路156に設けられている2以上の弾性波共振子14(直列腕共振子S1~S5)のうち電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子14(直列腕共振子S4)、又は、信号経路156とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子14(並列腕共振子P1~P4)のうち電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子14(並列腕共振子P2)を含む。
【0116】
上記構成によれば、耐電力性を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
【0117】
上記の実施形態1~5等は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1~5等は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0118】
例えば、弾性波フィルタ装置100における複数の弾性波共振子14の各々では、第1質量付加膜8は、複数の第1電極指6のうち少なくとも1つの第1電極指6の先端部61の少なくとも一部に重なっていればよい。第2質量付加膜9は、複数の第2電極指7のうち少なくとも1つの第2電極指7の先端部71の少なくとも一部に重なっていればよい。
【0119】
また、弾性波共振子14Aの各々では、複数の第1電極指6のうち少なくとも1つの第1電極指6が、太幅部62を有していればよく、複数の第1電極指6の全部が太幅部62を有することは必須ではない。また、弾性波フィルタ装置100Bにおける複数の弾性波共振子14Aの各々では、複数の第2電極指7のうち少なくとも1つの第2電極指7が、太幅部72を有していればよく、複数の第2電極指7の全部が太幅部72を有することは必須ではない。
【0120】
また、弾性波フィルタ装置100Bでは、第1電極指6の先端部61に含まれる太幅部62は、第1電極指6の長手方向において第1電極指6の先端部61の少なくとも一部に形成されていればよい。第2電極指7の先端部71に含まれる太幅部72は、第2電極指7の長手方向において第2電極指7の先端部71の少なくとも一部に形成されていればよい。
【0121】
また、弾性波フィルタ装置100、100A、100Bでは、複数の弾性波共振子14の各々におけるIDT電極3は、複数の第1電極指6と複数の第2電極指7とが第2方向D2において離隔して並んでいる構成であればよく、複数の第1電極指6と複数の第2電極指7とが交互に互いに離隔して並んでいない構成であってもよい。例えば、IDT電極3は、第1電極指6と第2電極指7とが1本ずつ離隔して並んでいる領域と、第1電極指6又は第2電極指7が第2方向D2において2つ並んでいる領域と、が混在してもよい。
【0122】
また、IDT電極3は、正規型のIDT電極であるが、これに限らず、例えば、傾斜IDT電極であってもよい。したがって、第2方向D2は、第1方向D1に交差する方向であればよい。
【0123】
また、各反射器は、短絡グレーティングに限らず、例えば、開放グレーティング、正負反射型グレーティング等であってもよい。また、弾性波フィルタ装置100、100A、100Bにおいて、反射器は、必須の構成要素ではない。
【0124】
また、複数の弾性波共振子14の各々では、IDT電極3が、圧電性基板2上に直接的に設けられているが、これに限らず、IDT電極3が、圧電性基板2上に間接的に設けられていてもよい。例えば、複数の弾性波共振子14の各々では、IDT電極3が圧電性基板2上に誘電体膜を介して設けられていてもよい。
【0125】
圧電性基板2は、高音速膜212、低音速膜213及び圧電体層214以外の他の膜として密着層、誘電体膜等を有していてもよい。
【0126】
また、圧電性基板2は、圧電基板であってもよい。圧電基板の材料は、例えば、リチウムタンタレートであるが、これに限らず、例えば、リチウムニオベイト、酸化亜鉛又は窒化アルミニウムであってもよい。
【0127】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0128】
第1の態様に係る弾性波フィルタ装置(100;100B)は、複数の弾性波共振子(14)を備える。複数の弾性波共振子(14)の各々は、圧電性基板(2)と、IDT電極(3)と、を含む。IDT電極(3)は、圧電性基板(2)上に設けられている。IDT電極(3)は、第1バスバー(4)と、第2バスバー(5)と、複数の第1電極指(6)と、複数の第2電極指(7)と、を有する。第2バスバー(5)は、所定方向(D1)において第1バスバー(4)に対向している。複数の第1電極指(6)は、所定方向において第1バスバー(4)から第2バスバー(5)に向かって延びている。複数の第2電極指(7)は、所定方向において第2バスバー(5)から第1バスバー(4)に向かって延びている。複数の第1電極指(6)の先端縁の包絡線(36)と複数の第2電極指(7)の先端縁の包絡線(37)との間の領域を交差領域(30)とし、IDT電極(3)の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、複数の弾性波共振子(14)の各々は、圧電性基板(2)の厚さ方向(D0)からの平面視で、中央領域(領域A0)と、第1領域(領域A1)と、第2領域(領域A2)と、を有する。中央領域(領域A0)は、所定方向におけるIDT電極(3)の交差領域(30)の中央部(300)を含む。第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指(6)の先端部(61)を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指(7)の先端部(71)を含み、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が遅い。複数の弾性波共振子(14)は、第1弾性波共振子(11)と、第2弾性波共振子(12)と、を有する。第1弾性波共振子(11)の圧電性基板(2)と第2弾性波共振子(12)の圧電性基板(2)とが共通である。第1弾性波共振子(11)は、第3領域(領域A7)と、第4領域(領域A8)と、を更に含む。第3領域(領域A7)は、所定方向(D1)において第1領域(領域A1)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(50)を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第4領域(領域A8)は、所定方向(D1)において第2領域(領域A2)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(40)を有し、中央領域(領域A0)よりも弾性波の音速が速い。第2弾性波共振子(12)は、第3領域(領域A7)及び第4領域(領域A8)を含まない。
【0129】
この態様によれば、特性と小型化とを両立することが可能となる。
【0130】
第2の態様に係る弾性波フィルタ装置(100)は、複数の弾性波共振子(14)を備える。複数の弾性波共振子(14)の各々は、圧電性基板(2)と、IDT電極(3)と、を含む。IDT電極(3)は、圧電性基板上に設けられている。IDT電極(3)は、第1バスバー(4)と、第2バスバー(5)と、複数の第1電極指(6)と、複数の第2電極指(7)と、を有する。第2バスバー(5)は、所定方向(D1)において第1バスバー(4)に対向している。複数の第1電極指(6)は、所定方向において第1バスバー(4)から第2バスバー(5)に向かって延びている。複数の第2電極指(7)は、所定方向において第2バスバー(5)から第1バスバー(4)に向かって延びている。複数の第1電極指(6)の先端縁の包絡線(36)と複数の第2電極指(7)の先端縁の包絡線(37)との間の領域を交差領域(30)とし、IDT電極(3)の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、複数の弾性波共振子(14)の各々は、圧電性基板(2)の厚さ方向(D0)からの平面視で、中央領域(領域A0)と、第1領域(領域A1)と、第2領域(領域A2)と、を有する。中央領域(領域A0)は、所定方向(D1)におけるIDT電極(3)の交差領域(30)の中央部(300)を含む。第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指(6)の先端部(61)を含み、複数の第1電極指(6)のうち少なくとも1つの第1電極指(6)の先端部(61)の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜(8)を含む。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指(7)の先端部(71)を含み、複数の第2電極指(7)のうち少なくとも1つの第2電極指(7)の先端部(71)の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜(8)を含む。複数の第1電極指(6)の先端部(61)は、第1電極指(6)の先端縁を含む部分である。複数の第2電極指(7)の先端部(71)は、第2電極指(7)の先端縁を含む部分である。複数の弾性波共振子(14)は、第1弾性波共振子(11)と、第2弾性波共振子(12)と、を有する。第1弾性波共振子(11)の圧電性基板(2)と第2弾性波共振子(12)の圧電性基板(2)とが共通である。第1弾性波共振子(11)は、第3領域(領域A7)と、第4領域(領域A8)と、を更に含む。第3領域(領域A7)は、所定方向(D1)において第1領域(領域A1)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(50)を有する。第4領域(領域A8)は、所定方向(D1)において第2領域(領域A2)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(40)を有する。第2弾性波共振子(12)は、第3領域(領域A7)及び第4領域(領域A8)を含まない。
【0131】
この態様によれば、特性と小型化とを両立することが可能となる。
【0132】
第3の態様に係る弾性波フィルタ装置(100B)は、複数の弾性波共振子(14A)を備える。複数の弾性波共振子(14A)の各々は、圧電性基板(2)と、IDT電極(3)と、を含む。IDT電極(3)は、圧電性基板(2)上に設けられている。IDT電極(3)は、第1バスバー(4)と、第2バスバー(5)と、複数の第1電極指(6)と、複数の第2電極指(7)と、を有する。第2バスバー(5)は、所定方向(D1)において第1バスバー(4)に対向している。複数の第1電極指(6)は、所定方向(D1)において第1バスバー(4)から第2バスバー(5)に向かって延びている。複数の第2電極指(7)は、所定方向(D1)において第2バスバー(5)から第1バスバー(4)に向かって延びている。複数の第1電極指(6)の先端縁の包絡線(36)と複数の第2電極指(7)の先端縁の包絡線(37)との間の領域を交差領域(30)とし、IDT電極(3)の電極指ピッチで定まる弾性波の波長をλとし、複数の弾性波共振子(14A)の各々は、圧電性基板(2)の厚さ方向(D0)からの平面視で、中央領域(領域A0)と、第1領域(領域A1)と、第2領域(領域A2)と、を有する。中央領域(領域A0)は、所定方向(D1)におけるIDT電極(3)の交差領域(30)の中央部(300)を含む。第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指(6)の先端部(61)を含み、複数の第1電極指(6)のうち少なくとも1つの第1電極指(6)の先端部(61)が第1太幅部(62)を含む。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指(7)の先端部(71)を含み、複数の第2電極指(7)のうち少なくとも1つの第2電極指(7)の先端部(71)が第2太幅部(72)を含む。第1太幅部(62)の幅は、少なくとも1つの第1電極指(6)の中央部(60)の幅(W60)よりも広い。第2太幅部(72)の幅は、少なくとも1つの第2電極指(7)の中央部(70)の幅よりも広い。複数の弾性波共振子(14A)は、第1弾性波共振子(11A)と、第2弾性波共振子(12A)と、を有する。第1弾性波共振子(11A)の圧電性基板(2)と第2弾性波共振子(12A)の圧電性基板(2)とが共通である。第1弾性波共振子(11A)は、第3領域(領域A7)と、第4領域(領域A8)と、を更に含む。第3領域(領域A3)は、所定方向(D1)において第1領域(領域A1)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(50)を有する。第4領域(領域A8)は、所定方向(D1)において第2領域(領域A2)の外側に所定方向(D1)の長さが0.3λ以上のギャップ(40)を有する。第2弾性波共振子(12A)は、第3領域(領域A7)及び第4領域(領域A8)を含まない。
【0133】
この態様によれば、特性と小型化とを両立することが可能となる。
【0134】
第4の態様に係る弾性波フィルタ装置(100)は、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、第1入出力電極(15)及び第2入出力電極(16)を更に備える。複数の弾性波共振子(14;14A)は、第1入出力電極(15)と第2入出力電極(16)との間の信号経路(156)に設けられている2以上の弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S1~S5)と、信号経路(156)とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P1~P4)と、を含む。複数の弾性波共振子(14;14A)は、第1弾性波共振子(11;11A)を少なくとも2つ有する。少なくとも2つの第1弾性波共振子(11;11A)は、信号経路(156)に設けられている2以上の弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S1~S5)のうち電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S4)と、信号経路(156)とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P1~P4)のうち電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P2)と、を含む。
【0135】
この態様によれば、フィルタ特性のロスを抑制ししつ小型化を図ることが可能となる。
【0136】
第5の態様に係る弾性波フィルタ装置(100B)は、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、第1入出力電極(15)及び第2入出力電極(16)を更に備える。複数の弾性波共振子(14;14A)は、第1入出力電極(15)と第2入出力電極(16)との間の信号経路(156)に設けられている2以上の弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S1~S5)と、信号経路(156)とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P1~P4)と、を含む。複数の弾性波共振子(14;14A)は、第2弾性波共振子(12;12A)を少なくとも2つ有する。第2弾性波共振子(12;12A)は、信号経路(156)に設けられている2以上の弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S1~S5)のうち電極指ピッチが最も大きい弾性波共振子(14;14A、直列腕共振子S4)と、信号経路(156)とグランドとの間に接続されている2以上の弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P1~P4)のうち電極指ピッチが最も小さい弾性波共振子(14;14A、並列腕共振子P2)と、を含む。
【0137】
この態様によれば、耐電力性を向上させつつ小型化を図ることが可能となる。
【0138】
第6の態様に係る弾性波フィルタ装置(100B)は、第4又は5の態様において、少なくとも2つの第1弾性波共振子(11;11A)の共振周波数と反共振周波数との間の周波数帯の少なくとも一部は、弾性波フィルタ装置(100B)の有する通過帯域に含まれる。
【0139】
第7の態様に係る弾性波フィルタ装置(100)では、第1の態様において、第1領域(領域A1)は、複数の第1電極指(6)のうち少なくとも1つの第1電極指(6)の先端部(61)の少なくとも一部に重なる第1質量付加膜(8)を含む。第2領域(領域A2)は、複数の第2電極指(7)のうち少なくとも1つの第2電極指(7)の先端部(71)の少なくとも一部に重なる第2質量付加膜(9)を含む。複数の第1電極指(6)の先端部(61)は、第1電極指(6)の先端縁を含む部分である。複数の第2電極指(7)の先端部(71)は、第2電極指(7)の先端縁を含む部分である。
【0140】
この態様によれば、第1領域(領域A1)が第1質量付加膜(8)を含むことにより、第1領域(領域A1)の音速を中央領域(領域A0)の音速よりも遅くできる。また、この態様によれば、第2領域(領域A2)が第2質量付加膜(9)を含むことにより、第2領域(領域A2)の音速を中央領域(領域A0)の音速よりも遅くできる。
【0141】
この態様によれば、不要波のリップルを、抑制することが可能となる。
【0142】
第8の態様に係る弾性波フィルタ装置(100)は、第1の態様において、第1領域(領域A1)では、複数の第1電極指(6)のうち少なくとも1つの第1電極指(6)の先端部(61)が、第1太幅部(62)を含む。第1太幅部(62)の幅は、少なくとも1つの第1電極指(6)の中央部(60)の幅(W60)よりも広い。第2領域(領域A2)では、複数の第2電極指(7)のうち少なくとも1つの第2電極指(7)の先端部(71)が、第2太幅部(72)を含む。第2太幅部(72)の幅は、少なくとも1つの第2電極指(7)の中央部(70)の幅(W70)よりも広い。
【0143】
この態様によれば、複数の第1電極指(6)のうち少なくとも1つの第1電極指(6)の先端部(61)が第1太幅部(62)を含むことにより、第1領域(領域A1)の音速を中央領域(領域A0)の音速よりも遅くできる。また、この態様によれば、複数の第2電極指(7)のうち少なくとも1つの第2電極指(7)の先端部(71)が第2太幅部(72)を含むことにより、第2領域(領域A2)の音速を中央領域(領域A0)の音速よりも遅くできる。
【0144】
第9の態様に係る弾性波フィルタ装置(100;100B)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、圧電性基板(2)は、支持基板(211)と、高音速膜(212)と、低音速膜(213)と、圧電体層(214)と、を含む。高音速膜(212)は、支持基板(211)上に設けられている。低音速膜(213)は、高音速膜(212)に設けられている。圧電体層(214)は、低音速膜(213)上に設けられている。高音速膜(212)は、圧電体層(214)を伝搬するバルク波の音速よりも、高音速膜(212)を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。低音速膜(213)は、圧電体層(214)を伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜(213)を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。
【0145】
この態様によれば、良好なメインモードの特性が得られ、横モードに起因したリップルのレベルが相対的に小さくなる。
【0146】
第10の態様に係る弾性波フィルタ装置(100;100B)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、圧電性基板(2)は、シリコン基板と、窒化ケイ素膜と、酸化ケイ素膜と、圧電体層(214)と、を含む。窒化ケイ素膜は、シリコン基板上に設けられている。酸化ケイ素膜は、窒化ケイ素膜上に設けられている。圧電体層(214)は、酸化ケイ素膜上に設けられている。圧電体層(214)の材料は、リチウムタンタレート又はリチウムニオベイトを含む。
【0147】
この態様によれば、良好なメインモードの特性が得られ、横モードに起因したリップルのレベルが相対的に小さくなる。
【符号の説明】
【0148】
100、100B 弾性波フィルタ装置
10、10A、10B 弾性波装置
2 圧電性基板
201 第1主面
202 第2主面
211 支持基板
212 高音速膜
213 低音速膜
214 圧電体層
3 IDT電極
30 交差領域
300 中央部
301 第1端部
302 第2端部
31 ギャップ
32 ギャップ
36 包絡線
37 包絡線
4 第1バスバー
40 ギャップ
41 内側バスバー部
42 外側バスバー部
5 第2バスバー
50 ギャップ
51 内側バスバー部
52 外側バスバー部
6 第1電極指
60 中央部
61 先端部
62 太幅部(第1太幅部)
66 基端部
7 第2電極指
70 中央部
71 先端部
72 太幅部(第2太幅部)
73 中間部(第2中間部)
76 基端部(第2基端部)
8 第1質量付加膜
9 第2質量付加膜
10 弾性波装置
11、11A 第1弾性波共振子
12、12A 第2弾性波共振子
14、14A 弾性波共振子
15 第1入出力電極
16 第2入出力電極
17 第1グランド電極
18 第2グランド電極
156 信号経路
157 経路(並列腕経路)
158 経路(並列腕経路)
159 経路(並列腕経路)
160 経路(並列腕経路)
20 弾性波装置
21 第1弾性波共振子
22 第2弾性波共振子
24 弾性波共振子
25 第1入出力電極
26 第2入出力電極
256 信号経路
257 経路(並列腕経路)
258 経路(並列腕経路)
259 経路(並列腕経路)
500、500B 高周波モジュール
A0 領域(中央領域)
A1 領域(第1領域)
A2 領域(第2領域)
A3 領域
A4 領域
A5 領域
A6 領域
A7 領域(第3領域)
A8 領域(第4領域)
A9 領域
A10 領域
C12、C13 キャパシタ
C21、C22、C23 キャパシタ
D0 厚さ方向
D1 第1方向(所定方向)
D2 第2方向
DMS1 縦結合共振子
L11~L13 インダクタ
L21 インダクタ
P1~P4 並列腕共振子
P11~P13 並列腕共振子
S1~S5 直列腕共振子
S11~S13 直列腕共振子
T1 第1信号端子
T2 第2信号端子
T3 第3信号端子
W3 長さ
W30 交差幅
W60 幅
W62 幅
W70 幅
W72 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14