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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151605
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】溝蓋受枠用のパネル取付装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065076
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】豊田 悟志
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CA44
(57)【要約】
【課題】所定高さ位置に配置された溝蓋受枠に側板パネルを取り付けた状態で安定して保持し得る溝蓋受枠用のパネル取付装置を提案する。
【解決手段】溝蓋受枠1の内側部から下方へ垂設された内側支持片部26と、該内側支持片部26の外方で該溝蓋受枠1から下方へ突設された主片部33および該主片部33の下部から内方に向かって斜め上方へ延出された突片部35を具備する外側支持片部32とを備え、通水溝路の内壁面を構成する側板パネル2の上縁を、内側支持片部26と突片部35との間で挟持することにより、該側板パネル2を溝蓋受枠1に取り付ける。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さ位置に配置されて、通水溝路に被着される溝蓋の側縁を支持する溝蓋受枠に、該通水溝路の内壁面を構成する側板パネルの上縁を取り付けるための溝蓋受枠用のパネル取付装置において、
前記溝蓋受枠の内側部から下方へ垂設された内側支持片部と、
前記内側支持片部の外方に前記側板パネルを嵌入する間隙をおいて前記溝蓋受枠から下方へ突設された主片部と、該主片部の下部から内方に向かって斜め上方へ延出された突片部とを有する外側支持片部と
を備え、
前記内側支持片部と前記外側支持片部との前記間隙に嵌入された前記側板パネルの上縁を、該内側支持片部と該外側支持片部の突片部とで挟持することにより、前記溝蓋受枠に該側板パネルを取り付けるものであることを特徴とする溝蓋受枠用のパネル取付装置。
【請求項2】
外側支持片部の主片部が、溝蓋受枠から内方に向かって斜め下方へ突出されたものであることを特徴とする請求項1に記載の溝蓋受枠用のパネル取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通水溝路上に被着される排水ピット用溝蓋やグレーチング溝蓋等の溝蓋を支持する溝蓋受枠に、該通水溝路の内壁面を構成する側板パネルの上縁を取り付けるための溝蓋受枠用のパネル取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通水溝路の施工方法としては、近年、通水溝路の内壁面を構成する板状の側板パネルを対向配置して、該側板パネルの外側にコンクリートを打設することにより、該側板パネルを内壁面とする通水溝路を施工する方法が知られている(例えば、特許文献1)。かかる施工方法は、周囲の地面に合わせて定められた所定の高さ位置に、溝蓋を支持する溝蓋受枠を位置決めし、該溝蓋受枠に前記側板パネルの上縁が取り付けられる。そして、基盤上に配置された支持部材によって、前記側板パネルの下縁が支持される。この特許文献1の溝蓋受枠は、溝蓋の側縁が乗載される水平縁部と、該水平縁部の外縁から起立する垂直縁部とを備えており、該水平縁部に、前記側板パネルの上縁を取り付けるための手段(以下、取付手段という)が設けられている。この取付手段は、水平縁部の内縁から下方へ垂設された第一挟持片と、該第一挟持片に対向配設された側面視略く字形の第二挟持片とを備え、該第一挟持片と第二挟持片との間に側板パネルの上縁が嵌入されることによって、溝蓋受枠に該側板パネルの上縁が取り付けられる。かかる構成は、第二挟持片が略く字形であることから、該第二挟持片と第一挟持片との間隔が下方に向かって拡がっている。これにより、第二挟持片と第一挟持片との間に側板パネルを嵌入し易く、作業性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-118552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1の従来構成は、所定高さ位置に位置決めした溝蓋受枠と基盤上に配置した支持部材とによって側板パネルの上下両縁を支持する構成であることから、基盤が地面から比較的深い場合に適している一方、該基盤が浅い場合には、支持部材の存在によって通水溝路が浅くなることから不向きである。そのため、地面から浅い基盤上に通水溝路を施工する場合には、支持部材を使用せずに施工される。
このように支持部材を使用せずに施工する場合には、側板パネルを傾けた状態で前記第一挟持片と第二挟持片との間に嵌入させた後に、基盤上に起立させていた。ところで、一般的に、基盤の深さは施工現場で一定でないことから、前記取付手段に取り付けし易いように高さ寸法が若干短めの側板パネルを使用したり、施工現場で、該基盤の深さに応じて側板パネルを加工して高さ寸法を調整したりすることがあった。ここで、施工現場での加工では、側板パネルの高さ寸法が比較的短い寸法に加工される場合があり得た。このように高さ寸法の短い側板パネルを使用した場合に、第一挟持片と第二挟持片との間に嵌入された状態で基盤上に間隙を生ずると、該側板パネルが自重によって下方へずれて、該第一挟持片と第二挟持片とから外れてしまう虞があった。そして、側板パネルが外れた場合には、施工作業が繁雑化する等の問題が生じていた。
【0005】
本発明は、側板パネルの高さ寸法に関わらず、該側板パネルを溝蓋受枠に取り付けた状態で安定して保持し得る溝蓋受枠用のパネル取付装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の高さ位置に配置されて、通水溝路に被着される溝蓋の側縁を支持する溝蓋受枠に、該通水溝路の内壁面を構成する側板パネルの上縁を取り付けるための溝蓋受枠用のパネル取付装置において、前記溝蓋受枠の内側部から下方へ垂設された内側支持片部と、前記内側支持片部の外方に前記側板パネルを嵌入する間隙をおいて前記溝蓋受枠から下方へ突設された主片部と、該主片部の下部から内方に向かって斜め上方へ延出された突片部とを有する外側支持片部とを備え、前記内側支持片部と前記外側支持片部との前記間隙に嵌入された前記側板パネルの上縁を、該内側支持片部と該外側支持片部の突片部とで挟持することにより、前記溝蓋受枠に該側板パネルを取り付けるものであることを特徴とする溝蓋受枠用のパネル取付装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、外側支持片部の突片部が斜め上方へ延出されたものであるから、該突片部が側板パネルを斜め上向きに支えることになるため、該突片部と内側支持片部とで挟持した側板パネルが下方へずれ難くできる。これにより、内側支持片部と外側支持片部とで挟持された側板パネルが、基盤との間に空隙を生じていた場合にあっても、自重によって下方へずれてしまうことを抑制でき、該挟持された状態で安定して保持され得る。したがって、本発明の構成によれば、比較的短い高さ寸法の側板パネルを用いる場合にあっても、施工作業を安定して行うことができ、所望の通水溝路を比較的容易に施工することができる。
【0008】
尚、本発明の構成にあって、側板パネルは、外側支持片部に対向する面(以下、外側面という)が凹凸を有する粗面である構成が好適である。ここで、側板パネルの外側面が、前記粗面であることによって、コンクリート等との接着性が良くなるという利点があることに加えて、外側支持片部の突片部が該粗面の凹凸に引っ掛かり易いことから、前述した側板パネルが下方へずれることを抑制するという作用効果が一層向上する。
【0009】
前述した本発明にかかる溝蓋受枠用のパネル取付装置にあって、外側支持片部の主片部が、溝蓋受枠から内方に向かって斜め下方へ突出されたものである構成が提案される。
【0010】
かかる構成にあっては、外側支持片部と内側支持片部との間隙に嵌入された側板パネルを、該外側支持片部の主片部が突片部を介して該側板パネルを付勢することができ、該突片部が該側板パネルに弾接される。これにより、内側支持片部と外側支持片部の突片部とで側板パネルを一層安定して挟持でき、該側板パネルを下方へ一層ずれ難くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の溝蓋受枠用のパネル取付装置によれば、前述したように、側板パネルの上縁を挟持した状態で安定して保持できる。そのため、挟持した側板パネルが基盤との間に空隙を生じた場合にあっても、自重により下方へずれてしまうことを抑制でき、施工作業を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかるパネル取付装置21を用いた通水溝路51の施工状態を示す縦断面図である。
図2】パネル取付装置21を有する溝蓋受枠1を示す正面図である。
図3】溝蓋受枠1,1の斜視図である。
図4】パネル取付装置21を構成する外側取付部材23を示す、(A)側面図と、(B)正面図と、(C)斜視図である。
図5】通水溝路51の施工工程を示す説明図である。
図6図5から続く施工工程を示す説明図である。
図7図6から続く施工工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
本実施例の溝蓋受枠1,1と側板パネル2,2とによって構築された通水溝路51を、図1に示す。通水溝路51は、基盤52上に起立する左右の側板パネル2,2により内壁面53,53が構成されると共に、左右の側板パネル2,2間の下部を埋めたモルタルによって、長手方向に傾斜する勾配底部54が構成されている。そして、左右の側板パネル2,2の外方には、コンクリートが打設されており、該側板パネル2,2によって通水溝路51が区画されている。
【0014】
本実施例にあって、少なくとも左右一対の溝蓋受枠1,1と、左右の側板パネル2,2と、左右の溝蓋受枠1,1に夫々配設されたパネル取付装置21,21と、左右の溝蓋受枠1,1に夫々連結された複数の位置決め部材15とによって、前記した通水溝路51を施工するための溝路施工ユニット(図示せず)が構成されている。本実施例のパネル取付装置21が、本発明にかかる溝蓋受枠用のパネル取付装置に相当する。
【0015】
溝蓋受枠1,1は、基盤52上の所定高さ位置に夫々対向状に配置され、通水溝路51の開口部を塞ぐグレーチング55を支持する。左右の溝蓋受枠1,1は、通水溝路51の長手方向に沿う長尺状に設けられ(図3参照)、該通水溝路51の長さに応じて所定個数が長手方向に列設される。溝蓋受枠1は、図2,3に示すように、グレーチング55の側縁を乗載して支持する水平縁部11と、該水平縁部11の外縁に直交状に設けられた垂直縁部12とを備える。本実施例の溝蓋受枠1,1は、垂直縁部12が、正面視で略C字形状に形成されており、上下方向に対向する案内溝部13,13が長手方向に亘って設けられている。こうした構成は、例えば、一枚の鋼板を折曲げ加工して成形できる。さらに、本実施例の水平縁部11には、ポリ塩化ビニル製の薄板状座部14が配設されている。
【0016】
尚、本実施例にあっては、通水溝路51に沿う方向を長手方向とし、該通水溝路51の幅方向を左右方向とする。そして、左右方向における、通水溝路51内へ向かう方向を内方とし、逆向きを外方とする。また、本実施例のグレーチング55が、本発明の溝蓋に相当する。
【0017】
前述した溝蓋受枠1,1は、図1に示すように、長手方向に複数配設された位置決め部材15によって、基盤52上の所定高さ位置に配置される。位置決め部材15は、基盤52に起立される長尺状の寸切ボルト16と、溝蓋受枠1の垂直縁部12と該寸切ボルト16とを連結する連結部材17とを備える。連結部材17は、垂直縁部12の案内溝部13,13の間に長手方向へ摺動可能に嵌入される摺動部18と、該摺動部18から外方へ延出される延出部19とを備え、前記寸切ボルト16と螺合される螺子孔(図示せず)が該延出部19に設けられている。さらに、摺動部18には、図示しないボルトを螺合する螺子孔(図示せず)が設けられており、連結部材17が該ボルトの緊締作用を介して垂直縁部12に位置決めされる。
【0018】
本実施例にあっては、複数の連結部材17が長手方向に所定間隔をおいて垂直縁部12に配設され、各連結部材17が前記ボルトにより位置決め固定される。そして、各連結部材17の延出部19に、基盤52に起立された寸切ボルト16が夫々螺合される。各寸切ボルト16は、基盤52に速乾性モルタル等により鉛直方向に起立した状態で固定される。このように基盤52に起立される寸切ボルト16に対して、連結部材17の高さ位置を調整することにより、溝蓋受枠1を基盤52上の所望高さ位置に配置できる。
【0019】
本実施例の溝蓋受枠1には、前記した側板パネル2の上縁を取り付けるパネル取付装置21が配設されている。パネル取付装置21は、図1~3に示すように、溝蓋受枠1の長手方向に亘って設けられた略L字形の内側取付部材22と、該溝蓋受枠1の長手方向に所定間隔をおいて配設された複数の外側取付部材23とを備える。内側取付部材22は、前記水平縁部11の下面に固結された固結片部25と、該固結片部25の内側縁から下方へ垂設された内側支持片部26とを備える。この内側取付部材22は、一枚の鋼板を折曲げ加工することにより成形される。ここで、内側取付部材22は、内側支持片部26が水平縁部11の内側部から垂下されるように、該水平縁部11に固結されている。
【0020】
外側取付部材23は、図2,4に示すように、前記水平縁部11の下面に固結された固結片部31と、該固結片部31の内側縁から下方へ延出された外側支持片部32とを備え、該外側支持片部32が、該固結片部31の内側縁から内方に向けて斜め下方へ突出された主片部33と、該主片部33の下縁に連成された傾斜片部34とを備えている。傾斜片部34は、主片部33に交差する斜め方向に沿って設けられており、該主片部33の下縁から内方に向けて斜め上方へ突出された突片部35,35を備える。この外側取付部材23は、略矩形状の鋼板を折曲げ加工して成形される。ここで、傾斜片部34は、鋼板の下部側縁から略L字形に夫々切り込むことによって略U字形の下部を形成し、該下部を折り曲げることによって形成される。
【0021】
こうした外側取付部材23は、前記内側支持片部26の外方に、該内側支持片部26と主片部33との間に前記側板パネル2を嵌入可能な間隙をおいて前記水平縁部11の下面に固結される。本実施例の内側取付部材22と外側取付部材23とは、前述のように鋼板から形成されていることから、内側支持片部26と外側支持片部32とが内外方向へ弾性変形できる。これにより、後述するように、側板パネル2を傾けた状態で、内側支持片部26と傾斜片部34との間隙に嵌入することができると共に、嵌入した側板パネル2に傾斜片部34の突起部35,35が弾接される。
【0022】
次に、前述した溝路施工ユニットにより通水溝路51を施工する工程について説明する。
通水溝路51を構成する溝蓋受枠1の個数に応じて所定数個の前記位置決め部材15を準備する。施工現場では、受枠配置工程、パネル設置工程、埋設工程、仕上げ工程を順次実行して、通水溝路51を施工する。
【0023】
前記受枠配置工程では、各位置決め部材15の連結部材17を、該溝蓋受枠1の案内溝部13,13に嵌入して位置決めする。ここで、本実施例にあっては、溝蓋受枠1の外側取付部材23と同数の位置決め部材15が溝蓋受枠1に取り付けられ、各外側取付部材23の直外方に位置決め部材15が夫々固定される。
【0024】
位置決め部材15は、連結部材17の延出部19に螺合された寸切ボルト16を上下に螺進させることにより、該寸切ボルト16の、該延出部19から下方へ突出する長さを、該溝蓋受枠1を基盤52上に配置する所定高さ位置に応じて調整する。こうして寸切ボルト16を調整した溝蓋受枠1を、図5に示すように、基盤52上の所定高さ位置に、各寸切ボルト16を該基盤52に起立させて配置する。これにより、溝蓋受枠1が、周囲の地面に合わせた所定の高さ位置に配置される(図1参照)。ここで、基盤52には、少なくとも一対の溝蓋受枠1,1が左右方向に所定間隔をおいて対向状に設置される。左右一対の溝蓋受枠1,1には、前記間隔を保持する保持梁(図示せず)が差し渡されており、該間隔で容易に配置できるようになっている。尚、本実施例では、図示を省略するが、一対の溝蓋受枠1,1が複数列設されて、通水溝路51を構成している。
【0025】
前記受枠配置工程の後に、パネル設置工程を行う。パネル設置工程では、図6,7に示すように、各溝蓋受枠1のパネル取付装置21に側板パネル2を取り付ける。ここで、側板パネル2は、繊維強化セメント製の平板により形成され、一側面が比較的滑らかな平滑面であると共に他側面が凹凸を有する粗面である。この側板パネル2は、通水溝路51に沿って長尺な略長方形を成し、高さ方向となる短手方向の寸法が、基盤52から溝蓋受枠1の水平縁部11までの高さよりも短く且つ外側取付部材23の突片部35,35までの高さよりも長い所定寸法に設定されている。そして、長手方向の寸法は、通水溝路51の長さに応じて設定されており、溝蓋受枠1と略同じ又は該溝蓋受枠1よりも長い所定寸法としている。
【0026】
側板パネル2の取り付けは、該側板パネル2の粗面を外向きにして傾けて、該側板パネル2の上縁をパネル取付装置21の内側支持片部26と傾斜片部34との間隙に差し込み、この差し込んだ状態で当該側板パネル2を傾動させて基盤52に起立させる。これにより、側板パネル2は、内側支持片部26と傾斜片部34の突片部35,35とで挟持されて、基盤52に起立した状態で保持される。このように設置された側板パネル2は、内向きの平滑面が前記内壁面53となり、外向きの粗面が外側面56となる。そして、外側面56が前記外側取付部材23に対向する。
【0027】
ここで、突片部35,35は、側板パネル2の外側面(粗面)56に弾接すると共に該側板パネル2を斜め上向きに支えることによって、前記内側支持片部26との間で該側板パネル2を挟持する。これにより、仮に、短手方向寸法の短い側板パネル2を用いたために、当該側板パネルが、内側支持片部26と突片部35,35とで挟持された状態で当該側板パネルと基盤52との間に空隙を生じた場合にあっても、当該側板パネル2が自重で下方へずれることを抑制でき、該側板パネル2を安定して保持できる。これは、突片部35,35が、側板パネル2の自重による下向きの力に抗して、該側板パネル2の外側面56に食い込み、該側板パネル2が下方へずれ難くなることに因る。
【0028】
さらに、側板パネル2は、左右の溝蓋受枠1,1に順次取り付けられることから、左右一方に取り付けた後に他方に取り付ける作業の際に、左右一方の溝蓋受枠1や側板パネル2に接触する等してしまうことがあり得る。こうした接触を生じた場合であっても、本実施例のパネル取付装置21は、左右一方の側板パネル2を前記起立した状態で安定して保持できる。前述したように短手方向寸法の短い側板パネル2を取り付ける場合にあっても、前記接触により該側板パネル2が下方へずれてしまうことを抑制でき、該側板パネル2を安定して保持できる。
【0029】
こうしたパネル設置工程の後に、埋設工程を行う。埋設工程では、先ず、基盤52上に起立された各寸切ボルト16の下部を速効性モルタルで該基盤52に固定し(図7参照)、次に、左右の側板パネル2の間にモルタルを埋めて、前記勾配底部54を形成する(図1参照)。こうした各寸切ボルト16と左右の側板パネル2とを前記モルタルにより基盤52に位置決めした後に、左右の溝蓋受枠1,1および側板パネル2,2の夫々の外方にコンクリートを打設する。
【0030】
埋設工程を行って所定の養生期間が経過した後に、仕上げ工程を行う。仕上げ工程では、左右の溝蓋受枠1,1に差し渡された保持梁(図示せず)を取り外す作業、通水溝路51の内壁面53や勾配底部54を整える作業、および周囲の地面を整える作業等を行う。さらに、左右の溝蓋受枠1,1の水平縁部11,11にグレーチング55を乗載する。こうして図1に示す通水溝路51の施工が完了する。
【0031】
本実施例の溝路施工ユニットは、前述したように、左右の溝蓋受枠1,1に夫々設けたパネル取付装置21が、内側支持片部26と外側支持片部32の突片部35,35とで側板パネル2を挟持することによって、該側板パネル2を基盤52上に起立状に保持できるものである。そして、突片部35,35が、側板パネル2の外側面56に弾接すると共に該側板パネル2を斜め上向きに支えることから、該側板パネル2を安定して保持できる。これにより、例えば、パネル取付装置21に取り付けた側板パネル2が基盤52との間に空隙を生ずるものであった場合にも、当該側板パネルが自重により下方へずれることを抑制でき、当該側板パネルを基盤52上に起立させた状態で安定して保持できる。こうした本実施例の構成は、側板パネル2を基盤52上に直接的に配置する比較的浅い通水溝路51の施工に好適に用いることができ、前述した作用効果を奏する。
【0032】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、溝蓋受枠の寸法や側板パネルの寸法は、適宜変更して設定することができる。
実施例では、内側取付部材と外側取付部材とを溝蓋受枠の水平受縁に固結した構成としたが、これに限らず、内側取付部材と外側取付部材との一方または両方が水平受縁と一体的に成形される構成であっても良い。
実施例では、外側取付部材の主片部と傾斜片部(突片部)とを一枚の鋼板から成形した構成であるが、これに限らず、主片部と傾斜片部とを溶接等により接合してなる構成であっても良い。また、主片部と傾斜片部(突片部)の寸法形状は適宜変更することも可能である。
実施例では、溝蓋受枠の水平受縁と垂直受縁とを一枚の鋼板から成形した構成としたが、これに限らず、水平受縁と垂直受縁とを溶接等により接合してなる構成であっても良い。
実施例では、溝蓋受枠の外側取付部材と同数の位置決め部材を該溝蓋受枠に取り付けた構成としたが、これに限らず、外側取付部材と異なる個数の位置決め部材を取り付ける構成としても良い。
実施例では、パネル設置工程で側板パネルを基盤上に起立させるのみを示したが、これに限らず、この工程で、起立させた側板パネルの下端を速効性モルタルなどで位置決めするようにしても良い。
実施例では、側板パネルを基盤上に直接的に起立させる構成としたが、これに限らず、基盤上に配置された支持部材によって側板パネルの下縁を支持する構成にも、本実施例のパネル取付装置を適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 溝蓋受枠
2 側板パネル
11 水平縁部
12 垂直縁部
13 案内溝部
14 薄板状座部
15 位置決め部材
16 寸切ボルト
17 連結部材
18 摺動部
19 延出部
21 パネル取付装置
22 内側取付部材
23 外側取付部材
25 固結片部
26 内側支持片部
31 固結片部
32 外側支持片部
33 主片部
34 傾斜片部
35 突片部
51 通水溝路
52 基盤
53 内壁面
54 勾配底部
55 グレーチング(溝蓋)
56 外側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7