(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151611
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】フィルター装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/42 20060101AFI20241018BHJP
F24F 8/133 20210101ALI20241018BHJP
F24F 8/125 20210101ALI20241018BHJP
F24C 15/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01D46/42 A
F24F8/133
F24F8/125
F24C15/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065093
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 遼太
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058JB28
4D058PA01
4D058PA12
4D058SA02
4D058UA11
(57)【要約】
【課題】フィルター部の詰まりを容易かつ確実に把握することができるフィルター装置の提供。
【解決手段】
筒状フィルター10の上蓋12には、蒸気を供給する供給管が接続され、蒸気は笛筒14を通過して円筒空間11aに流入する。蒸気が笛筒14を通過するとき、笛筒14によって音が発生するようになっている。これに対して、フィルター面11に目詰まりが生じた場合、蒸気から生じたドレンは円筒空間11aの底部に滞留する。これによってドレン70の水面上部の空間域が縮小されるため、笛筒14が生成する音は所定の周波数の警報音として外部に漏出する。この警報音によって、オペレータは筒状フィルター10の目詰まりを認識する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相と液相とが混合する混相流を透過させ、当該混相流に混入している異物を捕捉するフィルター装置であって、
前記混相流が流入する流入口部、
前記流入口部に連通する内部空間を有し、前記混相流を外部に向けて透過させるフィルター部、
前記流入口部に配置されており、前記混相流の流入を受けて音を発生させる音発生手段、
を備えており、
前記フィルター部は、前記内部空間に前記液相が滞留したとき、前記音が外部に向けて警報音として漏出するように構成されている、
ことを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】
請求項1に係るフィルター装置において、
前記フィルター部は、焼結フィルターを含んで構成されている、
ことを特徴とするフィルター装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係るフィルター装置において、
前記警報音を検出し、検出した警報音を示す警報音データを出力する検出手段、
前記警報音データを取り込み、所定の報知処理を実行する報知手段、
を備えたことを特徴とするフィルター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係るフィルター装置は、蒸気等の混相流を透過させ、混相流に混入している異物を捕捉するフィルター装置についての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター装置を備えるシステムとしては、後記特許文献1に開示されているクリーンオーブンがある。このクリーンオーブン1は、外槽3と内槽2とからなる二槽構造になっており、内槽2と外槽3との間に通気路13が形成されている。この通気路13を通じて、空気や窒素などの不活性ガスを内槽2に循環させる。
【0003】
そして通気路13には、気体を循環させるためのファン5、循環する気体を加熱するためのヒータ4が設けられている。さらに、内槽2の気体流入側には、送り込まれる気体から塵埃を除去し、清浄化するためのフィルター6が取り付けられている。
【0004】
ヒータ4で加熱された空気は、ファン5により、フィルター6を通過する。フィルター6を通過することによって加熱空気は清浄化された上、内槽2の内側に送り込まれる。そして、加熱空気は内槽2内の被処理物の周囲を通過し、内槽2の他方側から通気路13に排出され、再度、ヒータ4で加熱されて、内槽2に送り込まれる。こうして、高温の空気が内槽2を循環することによって、被処理物を高温の環境下に置き、所定の熱処理加工を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の特許文献1に開示されたクリーンオーブン1のフィルター6については、塵埃が付着して目詰まりが生じた場合、この目詰まりの発生を容易に把握することができないという問題がある。特に微細な塵埃を捕捉するために、網目の小さなフィルターを用いている場合、目詰まりが生じ易く、容易かつ確実にフィルターの詰まりを把握することが求められる。
【0007】
そこで本願に係るフィルター装置は、これらの問題を解決するため、フィルター部の詰まりを容易かつ確実に把握することができるフィルター装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係るフィルター装置は、
気相と液相とが混合する混相流を透過させ、当該混相流に混入している異物を捕捉するフィルター装置であって、
前記混相流が流入する流入口部、
前記流入口部に連通する内部空間を有し、前記混相流を外部に向けて透過させるフィルター部、
前記流入口部に配置されており、前記混相流の流入を受けて音を発生させる音発生手段、
を備えており、
前記フィルター部は、前記内部空間に前記液相が滞留したとき、前記音が外部に向けて警報音として漏出するように構成されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願に係るフィルター装置においては、フィルター部は、内部空間に液相が滞留したとき、音発生手段によって発生した音が外部に向けて警報音として漏出するように構成されている。
【0010】
このため、フィルター部に異物による詰まりが生じ、混相流から分離した液相がフィルター部の内部空間に滞留したとき、警報音が外部に漏出する。したがって、フィルター部の詰まりを容易かつ確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願に係るフィルター装置の第1の実施形態である筒状フィルター10を有する蒸気オーブン50の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す筒状フィルター10の断面図であって、通常動作時の状態を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す筒状フィルター10の断面図であって、詰り発生時の状態を示す断面図である。
【
図5】本願に係るフィルター装置の第2の実施形態である筒状フィルター20の断面図であって、通常動作時の状態を示す断面図である。
【
図7】
図5に示す筒状フィルター20の断面図であって、詰り発生時の状態を示す断面図である。
【
図8】本願に係るフィルター装置の第3の実施形態である筒状フィルター30を有する蒸気オーブン50の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係るフィルター装置の下記の要素に対応している。
【0013】
筒状フィルター10、20・・・フィルター装置
フィルター面11、21・・・フィルター部
円筒空間11a、21a・・・内部空間
笛筒14、24・・・音発生手段
入口孔14a、貫通孔22a・・・流入口部
音響センサ31・・・検出手段
制御部32及び表示モニタ34・・・報知手段
検出データ・・・警報音データ
蒸気・・・気相
ドレン・・・液相
ドレンが混入した蒸気(二相流)・・・混相流
【0014】
[第1の実施形態]
本願に係るフィルター装置の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、蒸気オーブン50にフィルター装置としての円筒フィルター10を用いる例を掲げる。
【0015】
(蒸気オーブン50の全体構成の説明)
図1は蒸気オーブン50のシステムの全体構成を示すブロック図である。この蒸気オーブン50は、蒸気によって調理室56内の食材を加熱調理する装置である。蒸気オーブン50には、供給管52を通じて蒸気が供給される。供給管52の先端には、濾過手段としての筒状フィルター10が接続されている。筒状フィルター10は、蒸気オーブン50のケーシング51内に配置されており、供給管52を通じて供給された蒸気はこの筒状フィルター10を透過し、筒状フィルター10の外部に向けて噴射される。筒状フィルター10を透過する際、筒状フィルター10によって蒸気に混入している塵埃等の異物が捕捉される。
【0016】
ケーシング51内には、電気ヒータ等で構成される加熱器53、及びファン54が設けられている。筒状フィルター10から噴射された蒸気は加熱器53で加熱され、ファン54によって一定方向へ送り出される。ケーシング51内には、調理室56の入口56aに接続された循環路55が形成されており、ファン54によって送り出された蒸気は、この循環流55を通って入口56aから調理室56内に入り、食材に加熱処理が施される。
【0017】
調理室56内の蒸気は出口56bから流出して循環し、筒状フィルター10の配置箇所に到達する。そして、筒状フィルター10から新たに噴射された蒸気と合流し、再び加熱器53で加熱されファン54によって循環流となる。
【0018】
(筒状フィルター10の構成の説明)
前述のように、筒状フィルター10から噴射された蒸気は、食材の加熱処理に用いられるため、衛生管理上、高度に浄化されている必要がある。このため、筒状フィルター10には、高性能の濾過機能が求められる。
【0019】
図2は、筒状フィルター10の断面図である。筒状フィルター10は、円筒形状のフィルター面11を備えており、内部に円筒空間11aが形成されている。このフィルター面11は、網目の微細な焼結フィルター(積層焼結金属フィルター)によって構成されており、細かな異物を捕捉することが可能である。
【0020】
フィルター面11の下端には円盤形状の底蓋13が固定されており、下端は閉じられている。また、フィルター面11の上端には、円筒形状の上蓋12が嵌め込まれて固定されている。上蓋12には、フィルター面11の軸線である中心線L1方向に沿って上部貫通穴12a及び下部貫通穴12bが連続的に形成されている。上部貫通穴12a及び下部貫通穴12bの軸線は中心線L1に一致するように配置されている。そして、上部貫通穴12aの内径は下部貫通穴12bの内径よりもやや大きく、上部貫通穴12aと下部貫通穴12bとの接続部分には段部が形成される。
【0021】
上蓋12の上部貫通穴12aには、円柱形状の笛筒14が圧入されている。この笛筒14の底面が、上部貫通穴12aと下部貫通穴12bとの接続部分に形成されている段部に当接してて、笛筒14は上蓋12に固定されている。
【0022】
図3は、笛筒14の拡大断面図である。笛筒14の内部には円盤形状の中間室14bが形成されており、さらに上端に入口孔14aが形成され、下端に出口孔14cが形成されている。入口孔14a、中間室14b及び出口孔14cは上下方向(中心線L1方向)に並んで配置され、互いに連通している。そして、入口孔14aの内径と出口孔14cの内径とはほぼ同じであり、中間室14bの内径よりも十分小さく形成されている。なお、入口孔14a、中間室14b及び出口孔14cの軸線は中心線L1に一致している。
【0023】
また、笛筒14の外周面には、中心線L1に直交する水平方向に沿って環状凹部14dが形成されており、この環状凹部14dにOリング15が嵌め込まれている。このOリング15によって、笛筒14が上蓋12の上部貫通穴12aに圧入された状態で、笛筒14の外周と上部貫通穴12aの内周との隙間をシールする。なお、上蓋12には、
図1で示した供給管52が接続され、供給される蒸気は笛筒14の入口孔14aから中間室14b及び出口孔14cを通過し、円筒空間11aに流入する。
【0024】
(筒状フィルター10の機能の説明)
続いて、筒状フィルター10の機能を説明する。供給管52から供給された蒸気は笛筒14を通過して円筒空間11aに流入し、フィルター面11を透過して外側に噴出する。ここで、移送される蒸気は、温度低下等の要因によって一部が凝縮し、これによって蒸気からドレン(凝縮水)が生じる。通常時においては、このドレンは蒸気と共にフィルター面11を透過し、フィルター面11の外周面に付着してフィルター面11は湿り気を帯びるが、加熱器53による加熱を受けてドレンは再び蒸発し、噴出する蒸気と共に循環路55を循環する。
【0025】
供給管52から供給された蒸気は笛筒14を通過するとき、笛筒14によって音響が発生するようになっている。すなわち、供給された蒸気が小孔の入口孔14aから出口孔14cを通過する際、中間室14bにカルマン渦を連続して生じさせ、カルマン渦によって引き起こされた振動が音響として発生する。この音響の周波数は入口孔14a、中間室14b及び出口孔14cの大きさや形状等によって決定され、所定の周波数の音響が発生するよう予め設定されている。
【0026】
通常時においては、
図2に示すように、フィルター11内の円筒空間11aには空気や蒸気が充満しており、円筒空間11aの空間長さ81はフィルター11の全長とほぼ同じで大きく確保されている。このため、笛筒14が生成する音響は円筒空間11a内で拡散し底蓋13で反射することになる。
【0027】
本実施形態においては、例えば可聴音域である2000Hzに近い周波数を生じさせるよう、笛筒14の構成が調整されている。また、発生する音響は、フィルター面11の無数の小孔によって吸音されて音響の大きさは低滅する。したがって、通常時においては笛筒14が生成する音響はほぼ騒音にならない。なお、通常時においては、フィルター11の空間長さ81は、笛筒14から発生する音響が共鳴しない程度の長さに構成されている。
【0028】
これに対して、フィルター面11の内周面に補足した異物が付着し、目詰まりが発生した場合、蒸気から生じたドレンは外部に即時に流出せず、円筒空間11aの底部に所定時間滞留する。この詰り発生時の状態を示すものが
図4である。円筒空間11aの底部にドレン70が滞留することによってドレン70の水面上部の空間域が徐々に狭くなり、空間長さ82に縮小される。
【0029】
円筒空間11aの空間域が空間長さ82に縮小されたことによって、笛筒14が生成する音響が、円筒空間11aにおいて共鳴して増幅される。つまり、笛筒14が生成する音響の周波数と、円筒空間11aの空間域が空間長さ82によって生じる共鳴周波数とが合致する。これにより、笛筒14が生成する音響が共鳴して増幅されフィルター11の外部に漏出する。この場合、空間長さ82は、可聴音域である2000Hzに近い周波数が共鳴して増幅される長さとなる。このため、笛筒14が生成する音響を、筒状フィルター10に目詰まりが生じた警報音として外部から認識することができる。本実施形態における警報音とは、人が聞き取り可能な可聴周波数を有する音を意味する。
【0030】
この警報音によって、オペレータは筒状フィルター10の目詰まりを認識し、所定のメンテナンス作業としてフィルター面11のクリーニングを行い、フィルター面11に付着した異物を除去する。なお、その他の構成及び機能は、第1の実施形態において示したものと同様である。
【0031】
[第2の実施形態]
次に、本願に係るフィルター装置の第2の実施形態を説明する。
図5は、本実施形態に係る筒状フィルター20の断面図である。この筒状フィルター20も、第1の実施形態における筒状フィルター10と同様、蒸気オーブン50内に設けられ供給管52の先端に接続される(
図1参照)。
【0032】
(筒状フィルター20の構成の説明)
筒状フィルター20の基本的構成は、第1の実施形態における筒状フィルター10と同じである。すなわち、筒状フィルター20は、焼結フィルター(積層焼結金属フィルター)によって構成された円筒形状のフィルター面21を備えており、内部に円筒空間21aが形成されている。また、フィルター面21の下端には円盤形状の底蓋23が固定され、上端部分には円筒形状の上蓋22が嵌め込まれて固定されている。上蓋22には、フィルター面21の軸線である中心線L1方向に沿って貫通穴22aが形成されており、貫通穴22aの軸線は中心線L1に一致するように配置されている。
【0033】
本実施形態における上蓋22内の貫通穴22aには、円筒形状を有し内部に空間部24aが形成された笛筒24が配置されている。
図6は笛筒24の平面図である。上蓋22の貫通穴22aの内周面と、笛筒24の外周面との間には空間が確保されており、笛筒24の軸線は中心線L1に一致するように配置されている。
【0034】
笛筒24には、中心線L1に直交する直径方向に沿って取付穴24b、24c(
図5)が貫通して形成されている。そして、この取付穴24b、24cを貫通した状態で流入板25が取り付けられている。流入板25は長方形の平板形状を有している。一方の取付穴24cは、他方の取付穴24bよりも中心線L1方向の長さが十分に大きく形成されている。他方の取付穴24bの形状及び大きさは、貫通する流入板25に対応しており、流入板25が取付穴24bに圧入されることによって流入板25は笛筒24に固定されている。
【0035】
流入板25には、一方の取付穴24cに対応する箇所に流入窓25aが形成されている。この流入窓25aは、取付穴24cに対して交差するように形成されており、流入窓25aの内側の端部は笛筒24の空間部24a側に位置している。なお、取付穴24cの下面部分は傾斜面24dとして形成されており、取付穴24cは笛筒24の内側から外側に向けて漸次広がっている。
【0036】
また、本実施形態における上蓋22は、第1上蓋221と第2上蓋222との接続によって構成されており、接続部分には中心線L1に直交する直径方向に沿って支持穴22b、22cが形成されている。そして、この支持穴22b、22cで流入板25の両端を挟み込むことによって、笛筒24を上蓋22内の貫通穴22a内で支持している。
【0037】
(筒状フィルター20の機能の説明)
本実施形態における筒状フィルター20は以上のような構成を備えており、その機能は第1の実施形態に係る筒状フィルター10と同様である。すなわち、上蓋22に接続された供給管52(
図1)から蒸気が供給された場合、蒸気の通過に基づいて笛筒24によって音響が発生するようになっている。
【0038】
本実施形態における笛筒24はエアリード楽器と同様の作用によって音を発し、流入板25に形成された流入窓25aから流入した蒸気が、エッジに相当する傾斜面24d部分に流れることで渦が発生し流体音源となる。この流体音源は、特定の周波数をもった音を発生させる。つまり、この流体音源は、円筒空間21a内で共鳴して互に強め合って音響を発する。
【0039】
通常動作時には円筒空間21aの空間長さ85は長く確保されているため(
図5)、音響は周波数の低い低音として発生する。また、フィルター面21の無数の小孔によって吸音されて音響の大きさは低滅するため、通常時においては笛筒24が生成する音響はほぼ非可聴であり騒音にならない。
【0040】
これに対して、フィルター面21に目詰まりが生じた場合、円筒空間21aの底部にドレンが滞留することによって空間は空間長さ86に縮小される(
図7)。これによって、笛筒24が生成する音響は、円筒空間21a内でドレンの水面を節とする比較的短い波長となり、周波数の高い警報音として漏出することができる。この警報音によって、オペレータは筒状フィルター20の目詰まりを認識し、所定のメンテナンス作業としてフィルター面21のクリーニングを行い、フィルター面21に付着した異物を除去する。
【0041】
なお、本実施形態における筒状フィルター20では、前述のように上蓋22の貫通穴22aの内周面と、笛筒24の外周面との間に空間が確保されている。このため、第1の実施形態に係る筒状フィルター10とは異なり、供給された蒸気は笛筒24の外周の空間からも円筒空間21a内に流入することができ、蒸気の流入量をより多く確保することができる。
【0042】
[第3の実施形態]
次に、本願に係るフィルター装置の第3の実施形態を
図8に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における円筒フィルター30が設けられた蒸気オーブン50のシステムの全体構成を示すブロック図である。前述の第1の実施形態と同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。また、本実施形態における円筒フィルター30としては、第1の実施形態に係る円筒フィルター10又は第2の実施形態に係る円筒フィルター20を用いるため、円筒フィルター30の構成及び機能の説明は省略する。
【0043】
本実施形態においては、蒸気オーブン50のケーシング51に音響センサ31が取り付けられている。この音響センサ31は、円筒フィルター30の近傍に配置され、円筒フィルター30から発生する音響を検出して検出データを出力する。この検出データは有線又は無線を通じて制御部32に取り込まれる。
【0044】
制御部32には記憶部33が接続されており、この記憶部33には予め閾値データが記憶されている。閾値データは、円筒フィルター30に目詰まりが生じたと判断することができる音響の周波数に対応するデータとして設定されている。
【0045】
制御部32は、音響センサ31から取り込んだ検出データと、記憶部33から取り込んだ閾値データとを比較する。円筒フィルター30に目詰まりが生じていない通常動作時(
図2、
図5)は、発生する音響は比較的低音であり、検出データが示す音響の周波数は閾値データに対応する周波数を下回るため、制御部32は報知処理を実行しない。
【0046】
これに対して、円筒フィルター30に目詰まりが生じた詰まり発生時(
図4、
図7)においては、音響が比較的高音であり、検出データが示す音響の周波数が閾値データに対応する周波数以上になるため、制御部32は表示モニタ34に向けて報知信号を出力する。表示モニタ34は、与えられた報知信号に従って、円筒フィルター30に目詰まりが発生していることを表示する。この表示によって、オペレータは円筒フィルター30に目詰まりが生じたことをより確実に認識することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、音響センサ31が円筒フィルター30から漏出する音響を検出し、制御部32が閾値データと比較して円筒フィルター30の目詰まりを判別する。このため、漏出する警報音は必ずしも人が聞き分けることができる可聴音である必要はなく、非可聴音を警報音として採用することもできる。
【0048】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、フィルター装置、気相、液相、混相流、流入口部、内部空間、フィルター部、音発生手段、検出手段、警報音データ及び報知手段のそれぞれについて例を掲げたが、これらは単なる例示であり、各々について異なる構成を採用することもできる。
【0049】
すなわち、たとえば前述の実施形態においては、蒸気オーブン50に設けられる筒状フィルター10、20を例示したが、これに限定されるものではなく、気相と液相とが混合する混相流(蒸気等)を透過させ、当該混相流に混入している異物を捕捉するものであれば、他の装置又はシステムに設けられるフィルター機構に本願に係るフィルター装置を適用してもよい。
【0050】
また、前述の実施形態においては、混相流としてドレンが混入した蒸気を例示し、気相として蒸気、液相としてドレンを例示したが、これに限定されるものではなく、空気、水、油等を対象とすることもできる。
【0051】
さらに、前述の実施形態においては、フィルター部として円筒形状を有し焼結フィルター(積層焼結金属フィルター)によって構成されたフィルター面11、21を例示したが、内部空間を有しており、混相流(蒸気等)を外部に向けて透過させるものであれば、他の形状、構造を用いることができる。たとえば、メッシュフィルターをフィルター部として採用してもよい。
【0052】
また、前述の実施形態においては、音発生手段として笛筒14、24を例示したが、流入口部(入口孔14a、貫通孔22a等)に配置されており、混相流の流入を受けて所定の周波数の音を発生させることができるものであれば他の構成を採用することもできる。たとえば、流入口に振動板としてのリードを配置し、混相流の流入に従ってリードを振動させて所定の周波数の音響を発生させることもできる。
【0053】
また、前述の実施形態においては、検出手段として音響センサ31を例示したが、警報音響を検出し、警報音響データを出力するものであれば、他の機器を用いることもできる。また、報知手段として表示モニタ34を例示したが、警報音響データを取り込み、所定の報知処理を実行するものであれば、他の構成を用いることもできる。たとえば、報知信号に従って警報音を発するブザーや点灯する警報ランプ等を採用してもよい。さらに、上述の各実施形態を組み合わせて他のフィルター装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10、20:筒状フィルター 11、21:フィルター面 11a、21a:円筒空間
14、24:笛筒 14a:入口孔 22a:貫通孔 31:音響センサ
32:制御部 34:表示モニタ