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特開2024-151639医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151639
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B6/03 360E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065151
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】500109320
【氏名又は名称】ザイオソフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】茅野 秀介
(72)【発明者】
【氏名】那須 悠
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA35
4C093DA02
4C093FB12
4C093FF42
4C093FF46
4C093FG04
4C093FG13
(57)【要約】
【課題】CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くできる医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】医用画像処理装置は、ユーザインタフェースが、第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、プロセッサが、被検体のボリュームデータを取得し、ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得し、前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して第1の方向ベクトルに沿ってパスを投影することで得られる第1の投影パスが第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定し、パスと第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、パス上の各点を通過し第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、第1の曲面上のボリュームデータに基づいて、第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとユーザインタフェースとを備える医用画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースは、第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
被検体のボリュームデータを取得し、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得し、
前記第1の方向ベクトルを回転させうる範囲内で、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定し、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成する、
医用画像処理装置。
【請求項2】
プロセッサとユーザインタフェースとを備える医用画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースは、第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
被検体のボリュームデータを取得し、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得し、
前記第1の方向ベクトルを回転させうる範囲内で、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の基準方向ベクトルに垂直な第1の基準投影面に対して前記第1の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の基準投影パスが前記第1の基準投影面上で重複する度合いである第1の基準重複度合いよりも小さい、第1の推奨方向ベクトルを決定し、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成する、
医用画像処理装置。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースは、第2の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記第1の方向ベクトルに対して所定の角度を維持して第2の方向ベクトルを回転させ、
前記第1の方向ベクトル及び前記第2の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の重複度合いと、前記第2の方向ベクトルに垂直な第2の投影面に対して前記第2の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の投影パスが前記第2の投影面上で重複する第2の重複度合いと、を統合した統合重複度合いが、所定の第2の閾値以下である場合、前記第2の閾値以下の前記統合重複度合いが得られた前記第1の重複度合いが得られた前記第1の方向ベクトルを前記第1の推奨方向ベクトルに決定し、前記第2の閾値以下の前記統合重複度合いが得られた前記第2の重複度合いが得られた前記第2の方向ベクトルを第2の推奨方向ベクトルに決定し、
前記パスと前記第2の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第2の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第2の曲面を決定し、
前記第2の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第2の曲面を可視化した第2のCPR画像を生成し、
前記第1のCPR画像と前記第2のCPR画像とを同時に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースは、第2の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記第1の方向ベクトルに対して所定の角度を維持して第2の方向ベクトルを回転させ、
前記第1の方向ベクトル及び前記第2の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の重複度合いと、前記第2の方向ベクトルに垂直な第2の投影面に対して前記第2の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の投影パスが前記第2の投影面上で重複する第2の重複度合いと、を統合した統合重複度合いが、前記第1の基準重複度合いと、所定の第2の基準方向ベクトルに垂直な第2の基準投影面に対して前記第2の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の基準投影パスが前記第2の基準投影面上で重複する度合いである第2の基準重複度合いと、を統合した基準統合重複度合いよりも小さい場合、前記基準統合重複度合いよりも小さい前記統合重複度合いが得られた前記第1の重複度合いが得られた前記第1の方向ベクトルを前記第1の推奨方向ベクトルに決定し、前記基準統合重複度合いよりも小さい前記統合重複度合いが得られた前記第2の重複度合いが得られた前記第2の方向ベクトルを第2の推奨方向ベクトルに決定し、
前記パスと前記第2の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第2の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第2の曲面を決定し、
前記第2の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第2の曲面を可視化した第2のCPR画像を生成し、
前記第1のCPR画像と前記第2のCPR画像とを同時に表示させる、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の重複度合いは、前記第1の投影面上で前記第1の投影パスが交差又は所定距離以内に接近する度合いである、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記ユーザインタフェースは、前記第1の推奨方向ベクトルの決定のタイミングを指示する操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記ユーザインタフェースにより前記第1の推奨方向ベクトルの決定のタイミンングを指示する操作を受け付けた際、前記第1の推奨方向ベクトルを決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第1の推奨方向ベクトルを前記第1の方向ベクトルの初期値として決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記第1のCPR画像において、前記投影面上で前記投影パスが交差、重複又は接近していると判定された領域であり、前記ボリュームデータ内の同一の点が複数回描画される領域である二重描画領域を表示デバイスに表示させる、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記パスを複数のパス部分に分割し、
前記複数のパス部分のうちの第1のパス部分を指定し、
前記第1の重複度合いは、前記第1のパス部分を投影することで得られる第1の投影パス部分が前記第1の投影面上で重複する度合いである、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
被検体のボリュームデータを取得するステップと、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得するステップと、
第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付けるユーザインタフェースを介して前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定するステップと、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成するステップと、
を有する医用画像処理方法。
【請求項11】
被検体のボリュームデータを取得するステップと、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得するステップと、
第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付けるユーザインタフェースを介して前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の基準方向ベクトルに垂直な第1の基準投影面に対して前記第1の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の基準投影パスが前記第1の基準投影面上で重複する度合いよりも小さい、第1の推奨方向ベクトルを決定するステップと、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定するステップと、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成するステップと、
を有する医用画像処理方法。
【請求項12】
請求項10に記載の医用画像処理方法をコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の医用画像処理方法をコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像処理装置がCPR(CurvedPlanarReconstruction)画像を表示することが知られている。CPR画像は、CT装置やMR(MagneticResonance)装置での撮像により得られたボリュームデータにおける任意の曲線をCPR方向ベクトルの方向に平行移動させて得られる曲面(CPR面)上のボクセルで構成される画像である。従来、CPR面を規定するためのCPR方向ベクトルの方向をユーザ操作により指定する画像処理装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4341434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像処理装置では、ユーザ所望の方向にCPR方向ベクトルを指定可能である。しかし、パスとCPR方向ベクトルとの組み合わせによっては、CPR画像上でボリュームデータ内の同一の点が複数回描画されること(二重描画)が多くなり、ユーザがCPR面上の様子を把握し難くなることがあった。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてされたものであって、CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くできる医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、プロセッサを備える医用画像処理装置であって、前記プロセッサは、被検体のボリュームデータを取得し、前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得し、前記パス上の各点を通過する第1の方向ベクトルを複数仮定し、仮定された複数の第1の方向ベクトルのうち、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定し、前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成する、医用画像処理装置である。
【0007】
本開示の一態様は、被検体のボリュームデータを取得するステップと、前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得するステップと、前記パス上の各点を通過する第1の方向ベクトルを複数仮定するステップと、仮定された複数の第1の方向ベクトルのうち、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定するステップと、前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成するステップと、を有する医用画像処理方法である。
【0008】
本開示の一態様は、CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くなる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態における医用画像処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図
図2】医用画像処理装置の機能構成例を示すブロック図
図3】パスとCPR方向ベクトルとCPR面の関係を説明するための図
図4】CPR軸とCPR方向ベクトルの回転とを説明するための図
図5】基準方向ベクトルの一例を示す図
図6】任意の臓器に含まれる血管をパスとしたCPR面の一例を示す模式図
図7】血管をパスとしたCPR面の一例を示す画像例を示す図
図8A】拡張投影パスが重複領域を有しない場合の一例を示す図
図8B】投影パスが交差を有し、拡張投影パスが重複領域を有する場合の一例を示す図
図8C】投影パスPHPが交差を有さずに接近しており、拡張投影パスが重複領域を有する場合の一例を示す図
図9A】投影パスの一例を示す図(その1)
図9B】投影パスの一例を示す図(その2)
図10】医用画像処理装置の動作例を示すフローチャート
図11】CPR画像内での重複領域TRの表示例を示す図
図12】CPR画像内での二重描画領域の表示例を示す図
図13】パスと複数のCPR方向ベクトルと複数のCPR面の関係を説明するための図
図14A】2つの基準方向ベクトルに基づく2つのCPR画像の表示例を示す図
図14B】2つの推奨方向ベクトルに基づく2つのCPR画像の表示例を示す図
図15】パス部分や投影パス部分を説明するための図
図16】CPR方向ベクトルの投影面における投影パスの重複とCPR面との関係を説明するための図(その1)
図17】CPR方向ベクトルの投影面における投影パスの重複とCPR面との関係を説明するための図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
図16及び図17は、CPR画像において二重描画が発生する仕組みを、CPR方向ベクトルの投影面における投影パスの重複とCPR面との関係を用いて説明するための図である。
【0013】
図16では、ボリュームデータに含まれる所定の平面HMX上にU字型のパスPHXがあるとする。CPR方向ベクトルVTXの方向がこの平面HMXに対して垂直な方向である場合、パスPHXが投影される投影面SPXにおいて、投影されたパス(投影パスPHPX)は所定の平面HMX上と同様にU字型のパスとなる。このような場合、投影パスPHPXには重複箇所が無く、よって投影パスPHPX上の点に対応するCPR画像上の部位はそれぞれ一度ずつしか描画されないので、二重描画の無い良好なCPR画像が得られる。
【0014】
図17では、ボリュームデータに含まれる所定の平面HMX上にU字型のパスPHXがあるとする。CPR方向ベクトルVTXの方向がこの平面HMXに対して平行な方向である場合、パスPHXが投影される投影面SPXにおいて、投影パスPHPXは、一方向に進んだ後、その逆方向に進む二重線となる。このような場合、投影パスPHPXは重複し、よって投影パスPHPX上の点に対応するCPR画像上の部位はそれぞれ2回描画される。このように、パスPHXとCPR方向ベクトルVTXとの組み合わせによっては、CPR画像上でパスPHX上の同一の点に対応するCPR面上の線が複数回描画され、CPR画像に二重描画が発生し、ユーザがCPR面SC上の様子を把握し難くなることがあった。
【0015】
以下の実施形態では、CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くできる医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムについて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における医用画像処理装置100の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、ポート110、UI120、ディスプレイ130、プロセッサ140、及びメモリ150を備える。
【0017】
医用画像処理装置100には、CT装置200が接続される。医用画像処理装置100は、CT装置200からボリュームデータを取得し、取得されたボリュームデータに対して処理を行う。医用画像処理装置100は、PCとPCに搭載されたソフトウェアにより構成されてもよい。
【0018】
CT装置200は、被検体へX線を照射し、体内の組織によるX線の吸収の違いを利用して、画像(CT画像)を撮像する。被検体は、生体、人体、又は動物等を含んでよい。CT装置200は、X線検出器からシノグラムを取得し、シノグラムに基づいて、画像再構成によって被検体の断層画像(スライス画像、スライスデータともいう)を生成する。CT装置200は、スライスデータに基づいて、例えばスライスデータを積層して、ボリュームデータを生成する。スライスデータ及びボリュームデータは、被検体内部の任意の箇所の情報を含む。CT装置200は、CT画像としてのボリュームデータを医用画像処理装置100へ、有線回線又は無線回線を介して送信する。CT画像の撮像には、CT撮像に関する撮像条件や造影剤の投与に関する造影条件が考慮されてよい。なお、造影は、血管の他、消化器官、胆管等に対して行われてよい。造影は、臓器の特性に応じて異なるタイミングで複数回実施されてよい。
【0019】
医用画像処理装置100内のポート110は、通信ポート、外部装置接続ポート、又は組み込みデバイスへの接続ポート等を含み、CT画像から得られたボリュームデータを取得する。取得されたボリュームデータは、直ぐにプロセッサ140に送られて各種処理されてもよいし、メモリ150において保管された後、必要時にプロセッサ140へ送られて各種処理されてもよい。また、ボリュームデータは、記録媒体や記録メディアを介して取得されてもよい。また、ボリュームデータは中間データ、圧縮データ、シノグラム、又はスライスデータ等の形で取得されてもよい。また、ボリュームデータは医用画像処理装置100に取り付けられたセンサデバイスからの情報から取得されてもよい。
【0020】
UI120は、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード、又はマイクロホンを含んでよい。UI120は、医用画像処理装置100のユーザから、任意の入力操作を受け付ける。ユーザは、医師、放射線技師、学生、又はその他医療従事者(Paramedic Staff)を含んでよい。
【0021】
UI120は、各種操作を受け付ける。例えば、ボリュームデータやボリュームデータに基づく画像(例えば後述する3次元画像、2次元画像)における、関心領域(ROI)の指定や輝度条件(例えばウィンドウ情報)の設定等の操作を受け付ける。関心領域は、各種組織(例えば、血管、気管支、臓器、器官、骨、脳)の領域を含んでよい。組織は、病変組織、正常組織、又は腫瘍組織等を含んでよい。ウィンドウ情報は、ウィンドウ幅(WW:Window Width)及びウィンドウレベル(WL:Window Level)の少なくとも一方を含み、「WW/WL」とも記載する。ウィンドウ情報は、表示される画像の輝度を調整する情報である。また、UI120は、後述するCPR方向ベクトルを回転させる操作、つまりCPR面及びCPR画像を回転させる操作を受け付け可能である。
【0022】
ディスプレイ130は、例えばLCDを含んでよく、各種情報を表示する。各種情報は、ボリュームデータから得られる3次元画像や2次元画像を含んでよい。3次元画像は、ボリュームレンダリング画像、サーフェスレンダリング画像、仮想内視鏡画像、仮想超音波画像、又はCPR画像等を含んでもよい。ボリュームレンダリング画像は、レイサム(RaySum)画像、MIP画像、MinIP画像、平均値画像、又はレイキャスト画像等を含んでもよい。2次元画像は、アキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像、MP画像、又はCPR画像等を含んでよい。
【0023】
メモリ150は、各種ROMやRAMの一次記憶装置を含む。メモリ150は、HDDやSSDの二次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、USBメモリやSDカードの三次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、各種情報やプログラムを記憶する。各種情報は、ポート110により取得されたボリュームデータ、プロセッサ140により生成された画像、プロセッサ140により設定された設定情報、各種プログラムを含んでもよい。メモリ150は、プログラムが記録される非一過性の記録媒体の一例である。
【0024】
プロセッサ140は、CPU、DSP、又はGPU等を含んでもよい。プロセッサ140は、各種集積回路(例えばLSI又はFPGA)により構成されてもよい。プロセッサ140は、メモリ150に記憶された医用画像処理プログラムを実行することにより、各種処理や制御を行う処理部160として機能する。
【0025】
図2は、処理部160の機能構成例を示すブロック図である。
【0026】
処理部160は、領域処理部161、パス取得部162、CPR処理部163、画像生成部164、及び表示制御部165を備える。処理部160は、医用画像処理装置100の各部を統括する。処理部160は、例えば、CPRを用いたボリュームデータの少なくとも一部の可視化に関する処理を行う。なお、処理部160に含まれる各部は、1つのハードウェアにより異なる機能として実現されてもよいし、複数のハードウェアにより異なる機能として実現されてもよい。また、処理部160に含まれる各部は、専用のハードウェア部品により実現されてもよい。
【0027】
領域処理部161は、例えばポート110を介して、被検体のボリュームデータを取得する。領域処理部161は、ボリュームデータに含まれる任意の領域を抽出する。領域処理部161は、例えばボリュームデータのボクセル値に基づいて、自動で関心領域を指定し、関心領域を抽出してよい。領域処理部161は、例えばUI120を介して、手動で関心領域を指定し、関心領域を抽出してよい。本実施形態では、関心領域は、例えば管状組織(例えば血管、腸、又は気管支)を含む。
【0028】
パス取得部162は、ボリュームデータに含まれる3次元空間上のパスPH、つまり3次元のパスPHの走行に関する情報を取得する。パスPHは、被検体における管状組織(例えば血管、腸、又は気管支)の中心線であってよい。パスPHは、被検体の脊椎や大腿骨に沿った線であってよい。パスPHは、例えばUI120を介してユーザが任意に設定した線であってよい。パスPHは、ボリュームデータ内で様々な方向に延びていることがあり、様々な方向に曲がっていることがある。パスPHに沿うように、CPR面が決定される。したがって、CPR面には、パスPHにおける各点が含まれる。CPR面は、曲面であり、パスPHと、後述するCPR方向ベクトルVTによって一意に定まる。CPR面は、パスPH上の各点を通過し任意のCPR方向ベクトルVTと平行な直線の集合によって定義される曲面である。パスPH上の各点を通過する各CPR方向ベクトルVTの方向は同一である。各CPR方向ベクトルVTの方向が変化すると、異なるCPR面が得られる。よって、各CPR方向ベクトルVTの方向が回転すると、得られるCPR面が回転する。
【0029】
CPR処理部163は、パスPHとともにCPR面を規定するCPR方向ベクトルVTを複数仮定する。この場合、CPR処理部163は、UI120を介して手動で複数の任意の方向のCPR方向ベクトルVTを仮定してもよいし、演算により自動的に複数の任意の方向のCPR方向ベクトルVTを仮定してもよい。また、CPR処理部163は、UI120を介してCPR方向ベクトルVTを回転されることによって複数の任意の方向のCPR方向ベクトルVTを仮定してもよい。また、複数の任意のCPR方向ベクトルVTは、仮定できれば十分であり、実際に作成される必要は無い。CPR処理部163は、仮定された複数のCPR方向ベクトルVTのうち、このCPR方向ベクトルVTにより規定されるCPR面を可視化したCPR画像において二重描画がされることを極力抑制した1つのCPR方向ベクトルVTを、推奨方向ベクトルRVとして決定する。なお、推奨方向ベクトルRVの候補として該当する候補が複数存在する場合、複数のうちいずれか1つの推奨方向ベクトルが決定されてよい。
【0030】
ここで、CPR画像において二重描画が生じることは、CPR面上に3次元上の同一の点が生じることを示す。また、3次元上の同一の点は、CPR面上に直線として生じるので、CPR画像においての二重描画は、折り返しが発生したかのようにみえる。つまり、CPR処理部163は、仮定された複数のCPR方向ベクトルVTのうち、CPR面上に3次元上の同一の点が生じることを極力抑制した1つのCPR方向ベクトルVTを、推奨方向ベクトルRVとして決定する。なお、推奨方向ベクトルRVの決定例の詳細については後述する。CPR処理部163は、パスPHと推奨方向ベクトルRVとに基づいて、CPR面を決定し、CPR面を生成する。また、CPR面を生成する前にCPR面上に3次元上の同一の点が生じることの判定方法についても後述する。
【0031】
画像生成部164は、各種画像を生成する。画像生成部164は、取得されたボリュームデータの少なくとも一部(例えば抽出された領域のボリュームデータ)に基づいて、3次元画像や2次元画像や断層画像を生成する。画像生成部164は、各種レンダリング(例えばボリュームレンダリング又はサーフィスレンダリング)を行って、画像を生成してよい。画像生成部164は、例えば、CPR面上に位置するボリュームデータ(ボクセル)に基づいて、決定されたCPR面を可視化したCPR画像を生成する。
【0032】
表示制御部165は、各種データ、情報、又は画像をディスプレイ130に表示させる。画像は、被検体内の組織の一部を表現した画像であり、例えば、画像生成部164で生成された画像、所定の断面(例えばCPR面又はMPR面)の断面画像(例えばCPR画像又はMPR画像)、所定の断層の断層画像を含んでよい。
【0033】
次に、パスPHとCPR方向ベクトルVTとCPR面SCの関係について説明する。
図3は、パスPHとCPR方向ベクトルVTとCPR面SCの関係を説明するための図である。
【0034】
CPR処理部163は、ボリュームデータVDにパスPHが含まれており、取得(抽出)されたパスに対して、複数の任意の方向のCPR方向ベクトルVTを仮定する。CPR処理部163は、仮定されたCPR方向ベクトルVTに垂直な投影面SPを仮定する。仮定されたCPR方向ベクトルVTは複数存在するので、CPR方向ベクトルVT毎に投影面SPが存在し、つまり投影面SPが複数存在する。CPR処理部163は、仮定された投影面SP毎に、3次元のパスPHを投影することで投影パスPHPを生成する。よって、投影パスPHPは二次元平面上のパスである。この投影パスPHPはCPR方向ベクトルVTによって形状が異なる。CPR処理部163は、投影パスPHPが交差ないし二重線となるような重複の度合い(重複度合い)に基づいて、投影パスPHPの重複度合いが比較的小さくなるCPR方向ベクトルVTを、推奨方向ベクトルRVとして決定する。画像生成部164は、パスPHと推奨方向ベクトルRVとにより定まるCPR面SC上にパスPHを描画し、CPR画像GCを生成する。図3では、図3のように仮定されたCPR方向ベクトルVTが推奨方向ベクトルRVであったことを例示している。投影パスPHPに重複があるとCPR画像において二重描画が生じるからである。
【0035】
次に、CPR軸ACとCPR方向ベクトルVTの回転とについて説明する。
図4は、CPR軸ACとCPR方向ベクトルVTの回転とを説明するための図である。CPR軸ACは、CPR方向ベクトルVTの回転中心となる軸である。
【0036】
CPR方向ベクトルVTの回転の自由度は、2自由度である。具体的には、図4では、CPR方向ベクトルVTの方向を規定するためのθ及びφの角度が、任意に調整可能である。CPR方向ベクトルVTの回転の2自由度は、1自由度に制限され、例えばθの角度のみ調整可能であってもよい。これにより、ユーザがUI120を介して手動でCPR軸ACに対してCPR方向ベクトルVTを回転させる場合に、操作が容易になる。CPR処理部163は、UI120を介して手動で2自由度又は1自由度を有するCPR方向ベクトルVTの方向(回転角度、向き)を指示してもよいし、演算によりCPR方向ベクトルVTの方向を決定してもよい。CPR処理部163は、CPR軸ACを回転中心の軸として、CPR方向ベクトルVTを回転させてCPR方向ベクトルVTの方向を変更可能である。
【0037】
なお、φは、例えば90°であるが、他の角度であってもよい。φ=90°である場合には、θが変更されると、CPR方向ベクトルは平面HM0上で回転する。φ≠90°である場合には、CPR軸ACに対してCPR方向ベクトルVTが傾斜しており、φの角度が固定されたままθが変更されると、CPR方向ベクトルVTは円錐面上を回転する。
【0038】
CPR軸ACは、パスPHの両端点を通る直線であってよい。また、CPR軸ACは、所定の基準方向ベクトルSVに沿った直線であってよい。基準方向ベクトルは、例えば、(0,0,1)、(0,1,0)、又は(0,0,1)等で規定される方向(向き)のベクトルであってよい。(0,0,1)と(0,1,0)と(0,0,1)とは、それぞれ単位ベクトルである。また、CPR軸ACは、パスPH上の所定の注目点における接線としての直線であってもよい。パス上の注目点は、例えばUI120を介して指定されてよいし、演算により自動で指定されてもよい。
【0039】
図5は、基準方向ベクトルSVの一例を示す図である。
【0040】
基準方向ベクトルSVは、例えば、ボリュームデータの座標系(X,Y,Z)に対して、3つの座標軸のそれぞれに沿う(1,0,0)、(0,1,0)、又は(0,0,1)の単位ベクトルで示されてよい。また、基準方向ベクトルSVは、CPR軸ACに沿うベクトルと、3つの座標軸に沿う(0,0,1)、(0,1,0)、及び(0,0,1)のうちのいずれかの単位ベクトルと、の外積で得られるベクトルで示されてもよい。言い換えると、基準方向ベクトルSVは、CPR軸ACに対して垂直な任意の方向のベクトルのいずれかであってもよい。また、基準方向ベクトルSVは、パスPHからみた縦隔方向であってもよい。
【0041】
図6は、任意の臓器ZKに含まれる血管をパスPHとしたCPR面の一例を示す模式図である。
【0042】
図6では、パス取得部162は、UI120を介してユーザが観察を希望する血管を指定することで、この血管のパスPHを取得している。CPR処理部163は、血管の中心線をパスPHとし、パスPHと推奨方向ベクトルRVとに基づいてCPR面SCを決定している。図6では、パスPHの曲がり具合に沿ってCPR面SCが曲がっていることが分かる。画像生成部164は、決定されたCPR面SC上のボクセルの情報(例えばボクセル値)を基に描画したCPR画像を生成する。
【0043】
図7は、血管をパスPHとしたCPR面の一例を示す画像例を示す図である。
図7では、臓器(例えば心臓)にパスPH(例えば血管)が3次元空間上の様々な方向に曲がっている。領域αでは、CPR面SCにおいてパスPH上の同じ点が複数回出現されているので、CPR画像GCではパスPH上の同じ点が複数回描画されることになる。図7のCPR面SCは、例えば、基準方向ベクトルSVに基づいて決定されたCPR面(基準CPR面)である。
【0044】
次に、投影パスPHPの重複度合いの評価例について説明する。前述のように、投影パスPHPに重複があるとCPR画像に二重描画が生じるからである。
【0045】
CPR処理部163は、各CPR方向ベクトルVTの方向に垂直な平面に所定のパスPHを投影して、投影パスPHPを生成する。投影パスPHP上の点からCPR方向ベクトルVTの方向の線上にあるボクセルがCPR画像に描画されるので、投影パスPHPで重複が生じると、重複した点からCPR方向ベクトルVTの方向の線上のボクセルがCPR画像上で二重描画されることとなる。よって、投影パスPHPの重複度合いは、投影パスPHP内の各点が複数回描画される頻度の高さを示す。CPR処理部163は、投影パスPHPの重複度合いを評価し、評価結果に基づいて推奨方向ベクトルRVを決定する。この場合、CPR処理部163は、投影パスPHPの重複度合いを評価する評価関数に基づいて、推奨方向ベクトルRVを決定してよい。評価関数は、例えば、投影パスPHPの投影された面上で面積を用いた評価関数や、投影パスPHP上の各点間の距離を用いた評価関数が考えられる。
【0046】
CPR処理部163は、推奨方向ベクトルRVとして、仮定された(UI120によって指定可能な)複数のCPR方向ベクトルVTのうち、投影パスPHPの重複度合いが所定の閾値TH1よりも小さいCPR方向ベクトルVT、つまりCPR画像において二重描画の少ないCPR方向ベクトルVTを選択してよい。閾値TH1は、例えばCPR画像において二重描画がされる範囲が観察対象の管状組織の径より小さくなるような値である。また、閾値TH1は、例えばCPR画像において二重描画がされる範囲がパスPHの最小半径より小さくなるような値である。一例として、CPR処理部163は、仮定された複数のCPR方向ベクトルVTのうち、重複度合いが最小である(評価値が最大である)と評価されたCPR方向ベクトルVTを、推奨方向ベクトルRVとして決定してよい。また、CPR処理部163は、仮定された複数のCPR方向ベクトルVTの評価を全て行い、得られた全ての重複度合いの平均値よりも重複度合いが小さい(全ての評価値の平均値よりも評価値が大きい)CPR方向ベクトルVTを、推奨方向ベクトルRVとして決定してよい。これにより、医用画像処理装置100は、二重描画が極力抑制されたCPR面SCを決定可能であり、CPR画像の描画精度を向上できる。
【0047】
また、CPR処理部163は、基準方向ベクトルSV(例えば(1,0,0)の単位ベクトル)に垂直な投影面SP(基準投影面SPSともいう)に対して、基準方向ベクトルSVに沿ってパスPHを投影することで得られる投影パスPHP(基準投影パスPHSともいう)が、基準投影面SPS上で重複する重複度合い(基準重複度合いともいう)を評価する。CPR処理部163は、推奨方向ベクトルRVとして、仮定された複数のCPR方向ベクトルVTのうち、投影パスPHPが投影面SP上で重複する重複度合いが、評価された基準重複度合いよりも小さい推奨方向ベクトルRVを決定してもよい。これにより、医用画像処理装置100は、座標軸に沿う画一的な基準方向ベクトルSVの場合よりも二重描画が少ないCPR面SCを決定可能であり、CPR画像の描画精度を向上できる。なお、基準重複度合いは、予め導出されてメモリ150に保持されており、CPR処理部163が必要時にメモリ150から取得するようにしてもよい。
【0048】
CPR方向ベクトルVTの評価例つまり推奨方向ベクトルRVの決定例について、以下の第1評価例~第3評価例を例示する。
【0049】
(第1評価例)
第1評価例では、CPR処理部163は、投影面SPに投影された投影パスPHPの太さを太くして、拡張投影パスPHEを生成する。投影パスPHPは、CPR方向ベクトルVTに沿う方向を視線方向として、仮想二次元平面としての投影面SPにパスPHを投影して得られるパスである。第1評価例では、CPR処理部163は、投影面SPにおける拡張投影パスPHEが存在する領域であるパス領域RPの面積に基づいて、重複度合いを算出する。例えば、拡張投影パスPHE内で同一の点が複数回描画された重複領域TRの面積が大きい程、拡張投影パスPHEの面積が小さくなる。この場合、重複度合いが大きくなる。例えば、拡張投影パスPHE内で重複領域TRの面積が小さい程、拡張投影パスPHEの面積が大きくなる。この場合、重複度合いが小さくなる。また、投影パスPHPが投影パスPHP内で交差する点を有していない場合でも、投影パスPHP内の複数の点の距離が所定距離以下である場合、つまり投影パスPHPが交差せずに接近している場合でも、拡張投影パスPHE内に重複領域TRが発生することがある。この場合には、重複度合いが大きくなる。
【0050】
図8Aは、拡張投影パスPHEが重複領域TRを有しない場合の一例を示す図である。図8Bは、投影パスPHPが交差を有し、拡張投影パスPHEが重複領域TRを有する場合の一例を示す図である。図8Cは、投影パスPHPが交差を有さずに接近しており、拡張投影パスPHEが重複領域TRを有する場合の一例を示す図である。
【0051】
CPR処理部163は、投影面SPにおいて、投影パスPHPに沿って半径rの円を動かした場合に、この円が通る領域の面積をSとしてよい。つまり、この面積Sは、パス領域RPの面積に相当する。また、CPR処理部163は、投影パスPHPと同じ長さの直線の線分に沿って半径rの円を動かした場合に、つまり重複領域TRが無い状態で、この円が通る領域の面積をS_0としてよい。つまり、この面積S_0は、重複領域TRが無いパス領域RPの面積に相当する。また、投影パスPHPに沿う半径rの円の集合は、拡張投影パスPHEに相当する。拡張投影パスPHEの長さが同じなら、拡張投影パスPHE内での各点の重なりが大きい程、面積Sは小さくなる。したがって、CPR処理部163は、例えば、「S_0-S」の値や(S_0-S)/S_0の値を重複度合いとして用いてよい。つまり、CPR処理部163は、上記の2つの面積の差分や上記の2つの面積の比率に基づいて、重複度合いを評価し、この評価結果に基づいて推奨方向ベクトルRVを決定してよい。
【0052】
(第2評価例)
第2評価例では、CPR処理部163は、投影面SPに投影された投影パスPHP上の各点について、投影パスPHP上での各点間の距離と投影面SP上での各点間の直線距離とに基づいて、CPR方向ベクトルVTを評価する。例えば、CPR処理部163は、投影パスPHPを辿ると相互にある程度離れてる(例えば閾値TH2以上の距離である)2点が、投影面SP上でのこの2点の直線距離が近い(例えば閾値TH3未満の距離である)場合、投影パスPHPの重複度合いが大きいと判定する。一方、CPR処理部163は、投影パスPHP上での距離を辿ると相互にある程度離れてる2点が、投影面SP上でのこの2点の直線距離でも離れている(例えば閾値TH3以上の距離である)場合、投影パスPHPの重複度合いが小さいと判定する。
【0053】
CPR処理部163は、例えば以下の(式1)で示される評価関数F1を用いて、投影パスPHP(式中では単に「P」ともいう)上の点pについて、評価関数F1を計算して、評価値F1(p)(評価値E1ともいう)を得る。つまり、投影パスPHP上で点pと点qとを投影パスPHPの全体又は一部において順次変更しながら、点p毎に評価値F(p)を算出する。
【0054】
【数1】
【0055】
なお、点qは、点pと同様に、投影パスPHPに含まれる点である。||p-q||は、点pと点qとのユークリッド距離つまり平面上(投影面SP)での直線距離である。distance(p,q)は、投影パスPHPに沿った、投影パスPHP上の点pと点qとの距離である。tは、投影パスPHP上である程度離れていることの基準を示す閾値TH2であり、例えば1mm又は2mmである。つまり、tは、distance(p,q)の下限値を示す。なお、例えば、(式1)において、更に、distance(p,q)の上限値を示す閾値TH25を設けて、distance(p,q)の範囲を更に制限してもよい。
【0056】
つまり、評価関数F1(F(p))は、投影パスPHP上の点pと点p以外の点qとの直線距離について、最短の直線距離を評価値E1として返す。CPR処理部163は、評価関数F1は、投影パスPHP上の点p毎に、最短の直線距離(pq間の最短直線距離ともいう)を評価値E1として導出する。よって、評価値E1が大きい程、投影パスPHPの重複度合いが小さく、CPR方向ベクトルVTの評価が高く、推奨方向ベクトルRVとして決定され易くなる。評価値E1が小さい程、投影パスPHPの重複度合いが大きく、CPR方向ベクトルVTの評価が低く、推奨方向ベクトルRVとして決定され難くなる。
【0057】
また、CPR処理部163は、例えば以下の(式2)を用いて、評価関数F2を計算する。
【0058】
【数2】
【0059】
なお、tは、距離に関する閾値であり、評価関数F1で得られた評価値E1としてのpq間の最短直線距離と比較され、pq間の最短直線距離に応じた値を評価関数F2により得られる値(評価値E2)に影響を与えるかどうかを定める指標である。例えば、0<t<tを満たす。(式2)では、tを用いることで、各点pについて、tよりもpq間の最短直線距離が小さい場合には、tとpq間の最短直線距離との差分を蓄積しし、tよりもpq間の最短直線距離が大きい場合には、tとpq間の最短直線距離との差分を蓄積しない(0を蓄積する)。そして、CPR処理部163は、蓄積された差分を加算することで、評価関数F2の評価値E1を得る。また、tが可変とされる場合には、例えば、投影面SP上で点pからどの程度近くに最短直線距離となる点qが存在する場合に、上記の差分を蓄積するかを調整できる。
【0060】
評価値E2が大きい程、重複度合いが小さく、CPR方向ベクトルVTの評価が高く、推奨方向ベクトルRVとして決定され易くなる。評価値E2が小さい程、重複度合いが大きく、CPR方向ベクトルVTの評価が低く、推奨方向ベクトルRVとして決定され難くなる。
【0061】
なお、評価関数F2は、(式2)に限られない。例えば、CPR処理部163は、(式2)のような積分の式の代わりに、投影パスPHP上の点を所定の間隔でサンプリングし、離散的に計算することで重複度合いを算出してもよい。
【0062】
図9A及び図9Bは、投影パスPHPの一例を示す図である。
【0063】
例えば、評価関数F1(F(p))の算出時つまり各点pでのpq間の最短直線距離の算出時に、少なくとも1回、評価関数F1(F(p))=0となる点pと点qとの集合が、重複領域TRとなる。したがって、CPR処理部163は、評価関数F1又は評価関数F1及びF2を用いて、投影パスPHPにおいて重複が発生している位置を識別できる。なお、CPR処理部163は、点pについての評価値E1(pq間の最短直線距離)が0でなくても0に近い(所定閾値以下の)値であれば、この位置で投影パスPHPにおいて重複が発生していると判定してもよい。
【0064】
図9Aでは、評価関数F1に基づいて重複していると判定された点p及び点qの組み合わせが存在しておらず、重複領域TRが存在しないことを例示している。図9Bでは、評価関数F1に基づいて重複していると判定された点p及び点qの組み合わせが存在しており、重複領域TRが含まれていることを示している。
【0065】
このような第2評価例によれば、点p及び点qを用いて評価関数F1,F2を計算することで、投影パスPHPの重複度合いを容易に算出可能である。なお、第1評価例の面積を用いた重複度合いの導出と比較すると、第2評価例の評価関数を用いた重複度合いの導出の方が、プロセッサ140が高速に演算できる。
【0066】
なお、第2評価例では、評価関数F1及び評価関数F2は、投影パスPHP(例えば血管)の太さに応じて変化するパラメータを追加してもよい。これにより、例えば、投影パスPHPが太い血管である程、重複合いが大きく、投影パスPHPが細い血管である程、重複度合いが小さくなるようにされてもよい。
【0067】
次に、医用画像処理装置100の動作例について説明する。
図10は、医用画像処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ポート110は、被検体(例えば患者)のボリュームデータを取得する(S11)。領域処理部161は、例えばUI120を介して指定された関心領域(例えば血管や腸などの管状組織)を抽出する。パス取得部162は、抽出された管状組織を観察対象のパスPHとして取得する(S12)。CPR処理部163は、CPR軸ACを設定し、UI120によって回転できる(回転させ得る)CPR方向ベクトルの範囲(例えば、CPR軸ACに対してφ=90°、θ=0°~360°として)を設定する(S13)。CPR処理部163は、例えばCPR軸ACに垂直な(つまりφ=90°として)CPR方向ベクトルVTiを360°分を作成(仮定)し、作成された各CPR方向ベクトルVTiを配列VAに格納する(S14)。配列VAは、メモリ150に保持される。CPR処理部163は、配列VAに格納された各CPR方向ベクトルVTiについて、例えば評価関数F1,F2を用いて、各CPR方向ベクトルVTiに対応する各投影パスPHPでの各重複量Di(重複度合いの一例)を算出し、配列DAに格納する(S15)。配列DAは、メモリ150に保持される。
【0069】
CPR処理部163は、配列DAに含まれる各重複量Diのうち、最小の重複量Dminに対応するCPR方向ベクトルVTminとしての推奨方向ベクトルRVを算出する(S16)。CPR処理部163は、パスPHと推奨方向ベクトルRVとを用いてCPR面SCを決定する(S17)。画像生成部164は、CPR面上のボリュームデータ(ボクセル)によって描画してCPR画像GCを生成する。表示制御部165は、CPR画像GCをディスプレイ130に表示させる(S17)。また、表示制御部165は、推奨方向ベクトルRVを表現する情報(例えば推奨方向ベクトルRVの方向(角度)を示す情報)を表示させる(S18)。CPR処理部163は、UI120に推奨方向ベクトルRVを設定し、以降、UI120を介してCPR方向ベクトルを推奨方向ベクトルRVから回転させる操作を受け付ける(S19)。
【0070】
このように、医用画像処理装置100は、ユーザが任意にCPR方向ベクトルを選択するのではなく、投影パスPHP内での重複を加味して推奨方向ベクトルを自動的に決定できる。よって、客観的にユーザにとって観察し易いCPR画像を得ることができる。また、医用画像処理装置100は、推奨方向ベクトルRVに基づいてがCPR画像を生成することで、ユーザがUI120を介してCPR方向ベクトルの回転させる前に、一見して見易いCPR画像を生成できる。そして、ユーザは、一見して見易いCPR画像を確認した後、CPR方向ベクトルを回転させてパスPHの表現が異なるCPR画像を順次確認でき、パスPH等の観察対象の全体を把握できる。
【0071】
図11は、CPR画像の表示例を示す図である。
図11では、CPR画像GC11,GC12は、冠動脈のRCA(Right Coronary Artery)を示す画像である。CPR画像GC11内の二重描画領域DRを示す情報は、パスPH内での二重描画の発生、つまり基準投影パスPHSでの重複の発生をユーザへ警告するための警告情報の一例である。
【0072】
CPR画像GC11は、所定の基準方向ベクトルSV(θ=0,φ=90°)を用いてCPR面SC(基準CPR面SSC)を決定し、この基準CPR面SSCを可視化した画像である。この場合、CPR処理部163は、基準方向ベクトルSVに垂直な基準投影面SPSに対して基準方向ベクトルSVに沿ってパスPHを投影することで、基準投影パスPHSを得てよい。そして、CPR処理部163は、基準投影パスPHSの重複度合い(基準重複度合い)を算出し、メモリ150に保持しておく。
【0073】
図11では、CPR画像GC11が表示された表示面がX座標とY座標との二次元平面であるとすると、X軸の中心の座標x0とこの中心x0からx軸負側に距離L1の位置(-xL1)とで囲まれた範囲α1、が折り返されて、X方向の中心座標x0とこの中心座標x0からx軸正側に距離L1の位置(+xL1)とで囲まれた範囲α2、が出現している。つまり、二重描画領域DRは、範囲α1と範囲α2とを含む。
【0074】
表示制御部165は、二重描画領域DRを示す情報を表示させる。図11では、二重描画領域DRを示す情報として、範囲α1と範囲α2との境界線TL1と、二重描画領域DRの境界線TL1と反対側の外縁を示す外縁線TL2と、X軸上での境界線TL1の位置を示すマークMK1と、X軸上での外縁線TL2の位置を示すマークMK2と、が表示されている。なお、二重描画領域DRを示す情報はこれに限られない。なお、境界線TL1と外縁線TL2との表示が省略され、マークMK1,MK2のみが表示されるようにしてもよい。二重描画領域DRを示す情報が表示されることで、ユーザが二重描画領域DRの位置を把握し易くなる。
【0075】
また、CPR画像GC12は、推奨方向ベクトルRV(θ=119°、φ=90°)を用いてCPR面SCを決定し、このCPR面SCを可視化した画像である。図11では、CPR画像GC12において二重描画が発生していない。よって、CPR画像GC12は、CPR画像GC11と比較すると、ユーザがCPR面SCの様子を把握し易い画像であると言える。
【0076】
なお、図11では、処理部160は、基準方向ベクトルに対応するCPR画像GC11において、二重描画領域DRを示す情報を表示させているが、推奨方向ベクトルに対応するCPR画像GC12において二重描画領域DRが存在する場合には、同様に、二重描画領域DRを示す情報を表示させてよい。二重描画領域DRを示す情報の内容は、上述の内容と同様でよい。
【0077】
なお、推奨方向ベクトルRVが決定された後であっても、処理部160は、UI120を介してCPR方向ベクトルVTを回転させてCPR画像GCを回転させてもよい。
【0078】
図12は、CPR画像内での二重描画領域DRの表示例を示す図である。
図12では、CPR画像GC13は、冠動脈のRCA(Right Coronary Artery)を示す画像である。
【0079】
また、CPR画像GC13は、推奨方向ベクトルRV(θ=-146°、φ=90°)を用いてCPR面SCを決定し、このCPR面SCを可視化した画像である。CPR画像GC13では、基準方向ベクトルに対応して得られたCPR画像と比較して、二重描画領域DRの大きさが低減されているが、残存している状態である。CPR画像GC13では、図11のCPR画像GC11と同様に、二重描画領域DRを示す情報が警告情報の一例として表示されている。警告情報は、パスPH内での二重描画の発生、つまり投影パスPHPでの重複の発生をユーザへ警告するための情報である。
【0080】
また、図12では、CPR処理部163は、パスPHの周辺では境界線TL1と外縁線TL2とを非表示とすることで、ユーザにとって、パスPHの近傍の組織を見易くしつつ、二重描画領域DRの位置を容易に把握できる。
【0081】
(複数のCPR画像の同時表示)
次に、相互に向きが異なる推奨方向ベクトルRVを決定し、複数の推奨方向ベクトルRVに対応する複数のCPR画像を生成及び表示することについて説明する。
【0082】
CPR処理部163は、複数のCPR面SCを決定するべく、同一のパスPHに対して相互に異なる方向の複数(例えば2つ)のCPR方向ベクトルVTを仮定する。CPR処理部163は、例えば、θ=θ1,φ=90°のCPR方向ベクトルVT1と、θ=θ1+90°,φ=90°のCPR方向ベクトルVT2と、を仮定する。そして、θ1の角度を順次変更することで、複数のCPR方向ベクトルVT1を仮定し、複数のCPR方向ベクトルVT2を同時に仮定する。この場合、同時に仮定されるCPR方向ベクトルVT1とCPR方向ベクトルVT2とは、垂直である。CPR処理部163は、CPR方向ベクトルVT1とCPR方向ベクトルVT2とを90°異なる状態でθ1を同じ角度ずつ回転させることで、CPR方向ベクトルVT1とCPR方向ベクトルVT2との角度の関係を維持した状態で、角度θを変更していくことで2つのCPR方向ベクトルVT1,VT2を回転させてよい。
【0083】
図13は、パスPHと複数のCPR方向ベクトルVT1,VT2と複数のCPR面SC1,SC2の関係を説明するための図である。
【0084】
CPR処理部163は、仮定されたCPR方向ベクトルVT1に垂直な投影面SP1を仮定する。仮定されたCPR方向ベクトルVT1は複数存在するので、CPR方向ベクトルVT1毎に投影面SP1が存在し、つまり投影面SP1が複数存在する。CPR処理部163は、仮定された投影面SP1毎に、3次元のパスPHを投影することで投影パスPHP1を生成する。よって、投影パスPHP1は二次元平面上のパスである。この投影パスPHP1はCPR方向ベクトルVT1によって形状が異なる。CPR処理部163は、投影パスPHP1が交差ないし二重線となるような重複の度合い(重複度合い)に基づいて、投影パスPHP1の重複度合いが比較的小さくなるCPR方向ベクトルVT1を、推奨方向ベクトルRV1として決定する。図13では、図13のように仮定されたCPR方向ベクトルVT1が推奨方向ベクトルRV1であったことを例示している。
【0085】
CPR処理部163は、仮定されたCPR方向ベクトルVT2に垂直な投影面SP2を仮定する。仮定されたCPR方向ベクトルVT2は複数存在するので、CPR方向ベクトルVT2毎に投影面SP2が存在し、つまり投影面SP2が複数存在する。また、仮定された複数のCPR方向ベクトルVT2は、仮定された複数のCPR方向ベクトルVT1にそれぞれ対応する。CPR処理部163は、仮定された投影面SP2毎に、3次元のパスPHを投影することで投影パスPHP2を生成する。よって、投影パスPHP2は二次元平面上のパスである。この投影パスPHP2はCPR方向ベクトルVT2によって形状が異なる。CPR処理部163は、投影パスPHP2が交差ないし二重線となるような重複の度合い(重複度合い)に基づいて、投影パスPHP2の重複度合いが比較的小さくなるCPR方向ベクトルVT2を、推奨方向ベクトルRV2として決定する。図13では、図13のように仮定されたCPR方向ベクトルVT2が推奨方向ベクトルRV2であったことを例示している。
【0086】
処理部160は、前述のように評価関数等を用いて、CPR方向ベクトルVT1に基づいて推奨方向ベクトルRV1及びCPR面SC1を決定し、CPR画像GC1を生成して表示させる。処理部160は、前述のように評価関数等を用いて、CPR方向ベクトルVT2に基づいて推奨方向ベクトルRV2及びCPR面SC2を決定し、CPR画像GC2を生成して表示させる。この際、投影パスPHP1の重複度合いと対応する投影パスPHP2の重複度合いとを統合した統合重複度合いIOに基づいて、推奨方向ベクトルRV1と推奨方向ベクトルRV2とを決定してよい。
【0087】
なお、複数のCPR方向ベクトルVT(例えばVT1,VT2)の成す角度(例えばθの角度)は、90°でなくてもよい。この場合でも、CPR処理部163は、CPR方向ベクトルVT1とCPR方向ベクトルVT2とを90°以外の角度(例えばθの角度)で異なる状態で同じ角度ずつ回転させることで、CPR方向ベクトルVT1とCPR方向ベクトルVT2との角度の関係を維持した状態で、角度θを変更していくことで、2つのCPR方向ベクトルVT1,VT2を回転させてよい。
【0088】
ユーザは、互いに例えば垂直なCPR面SC1のCPR画像GC1とCPR面SC2のCPR画像GC2とを同時に観察することがある。この2つの平面的な表示により三次元空間におけるパスPHの様子を想起し易いためである。この場合に、CPR画像GC1とCPR画像GC2においていずれにも二重描画領域DRが小さい又はないことが望ましい。
【0089】
CPR処理部163は、仮定された2つのCPR方向ベクトルVT1,VT2のそれぞれについて、例えば第1評価例又は第2評価例のように投影パスPHPの占める面積又は評価関数F1,F2に基づいて、2つの推奨方向ベクトルRV1,RV2のそれぞれを算出してよい。
【0090】
例えば、CPR処理部163は、仮定されたCPR方向ベクトルVT1に対応する投影面SP1に投影された投影パスPHP1の面積AR1と、仮定されたCPR方向ベクトルVT2に対応する投影面SP2に投影された投影パスPHP2の面積AR2と、に基づいて、推奨方向ベクトルRV1及び推奨方向ベクトルRV2を生成してよい。この場合、CPR処理部163は、例えば、面積AR1と面積AR2とを単純に合計し(統合の一例)、合計面積を得てよい。合計面積が小さい程、重複度合い(統合重複度合いIOの一例)が小さく、よって仮定されたCPR方向ベクトルCT1,CT2が推奨方向ベクトルRV1,RV2として決定され易くてよい。一方、合計面積が大きい程、重複度合い(統合重複度合いIOの一例)が大きく、よって仮定されたCPR方向ベクトルCT1,CT2が推奨方向ベクトルRV1,RV2として決定され難くてよい。なお、ここでは複数の面積を単純に合計することで面積を統合することを例示したが、これに限られない。例えば、処理部160は、複数の面積を乗算したり、平均したり、又は相乗平均したりすることで、複数の面積を統合してもよい。
【0091】
例えば、CPR処理部163は、投影面SP1に投影された投影パスPHP1上の各点P及び各点Qを用いて、上記の評価関数F1,F2を用いて、評価関数F1の評価値E11(評価値E1の一例)や評価関数F2の評価値E21(評価値E2の一例)を算出してよい。CPR処理部163は、投影面SP2に投影された投影パスPHP2上の各点P及び各点Qを用いて、上記の評価関数F1,F2を用いて、評価関数F1の評価値E12(評価値E1の一例)や評価関数F2の評価値E22(評価値E2の一例)を算出してよい。この場合、CPR処理部163は、例えば、評価値E21と評価値E22とを単純に合計し(統合の一例)、合計評価値(統合重複度合いIOの一例)を得てよい。合計評価値が大きい程、2つの投影パスPHP1,PHP2での重複を加味した統合重複度合いIOが小さく、よって仮定されたCPR方向ベクトルCT1,CT2が推奨方向ベクトルRV1,RV2として決定され易くてよい。一方、合計評価値が小さい程、統合重複度合いIOが大きく、よって仮定されたCPR方向ベクトルCT1,CT2が推奨方向ベクトルRV1,RV2として決定され難くてよい。なお、ここでは複数の評価値を単純に合計することで評価値を統合することを例示したが、これに限られない。例えば、処理部160は、複数の評価値を乗算したり、平均したり、又は相乗平均したりすることで、複数の評価値を統合してもよい。
【0092】
例えば、CPR処理部163は、統合重複度合いIO(例えば合計面積や合計評価値)が所定の閾値TH11以下である場合、閾値TH11以下の統合重複度合いIOが得られた際の投影パスPHP1の重複度合いが得られた際のCPR方向ベクトルVT1を、推奨方向ベクトルRV1に決定してよい。例えば、CPR処理部163は、閾値TH11以下である場合、閾値TH11以下の統合重複度合いIOが得られた際の投影パスPHP2の重複度合いが得られた際のCPR方向ベクトルVT2を、推奨方向ベクトルRV2に決定してよい。
【0093】
図14Aは、2つの基準方向ベクトルに基づく2つのCPR画像の表示例を示す図である。図14Aでは、CPR画像GC21,GC22は、冠動脈のRCAを示す画像である。
【0094】
CPR画像GC21は、一の基準方向ベクトルSV1(例えば、θ=0,φ=90°つまり(1,0,0)で示される単位ベクトル)を用いてCPR面SC1(基準CPR面SSC1)を決定し、この基準CPR面SSC1を可視化した画像である。CPR画像GC22は、他の基準方向ベクトル(例えば、θ=90,φ=90°つまり(0,1,0)で示される単位ベクトル)を用いてCPR面SC2(基準CPR面SSC2)を決定し、この基準CPR面SSC2を可視化した画像である。よって、CPR画像GC21の基準CPR面SSC1とCPR画像GC22の基準CPR面SSC2とは垂直である。また、CPR画像GC21には重複領域TR21が存在し、CPR画像GC22には重複領域が存在しない。
【0095】
図14Bは、2つの推奨方向ベクトルに基づく2つのCPR画像の表示例を示す図である。図14Bでは、CPR画像GC31,GC32は、冠動脈のRCAを示す画像である。
【0096】
CPR画像GC31は、推奨方向ベクトルRV1(例えば、θ=124°,φ=90°で示されるベクトル)を用いてCPR面SC1を決定し、このCPR面SC1を可視化した画像である。CPR画像GC32は、推奨方向ベクトルRV2(例えば、θ=-146°,φ=90°で示されるベクトル)を用いてCPR面SC2を決定し、このCPR面SC2を可視化した画像である。よって、CPR画像GC31のCPR面SC1とCPR画像GC32のCPR面SC2とは垂直である。また、CPR画像GC21には重複領域が存在せず、CPR画像GC22には重複領域TR22が存在する。しかし、重複領域TR22は、重複領域TR21よりも小さい。つまり、2つの推奨方向ベクトルRV1,RV2を用いた2つのCPR面SC1,SC2が描画された2つのCPR画像GC31,GC32では、2つの基準方向ベクトルを用いた2つの基準CPR面SSC1,SSC2が描画された2つのCPR画像GC21,GC22よりも、2つのCPR画像の重複領域TRの合計の大きさが小さくなっている。
【0097】
なお、上述の説明では、統合重複度合いIOと閾値TH11とを比較して、この比較結果に基づいて推奨方向ベクトルRV1,RV2を決定することを例示したが、これに限られない。CPR処理部163は、複数(例えば2つ)の異なる基準方向ベクトルSVを用いて、基準統合重複度合いSIOと統合重複度合いIOとを比較し、この比較結果に基づいて推奨方向ベクトルRV1,RV2を決定してもよい。ここでの統合重複度合いIOは、上述と同様に、仮定されたCPR方向ベクトルVT1,VT2に基づく統合重複度合いIOでよい。基準統合重複度合いSIOは、複数の基準方向ベクトルSVのそれぞれが複数の基準投影面SPSのそれぞれに投影された基準投影パスPHSの重複度合いを統合した重複度合いでよい。
【0098】
例えば、CPR処理部163は、基準方向ベクトルSV1に垂直な投影面SP1(基準投影面SPS1)に対して基準方向ベクトルSV1に沿ってパスPHを投影することで、投影パスPHP1(基準投影パスPHS1)を得てよい。CPR処理部163は、基準方向ベクトルSV2に垂直な投影面SP2(基準投影面SPS2)に対して基準方向ベクトルSV2に沿ってパスPHを投影することで、投影パスPHP2(基準投影パスPHS2)を得てよい。そして、CPR処理部163は、基準投影パスPHS1の重複度合い(第1基準重複度合い)と基準投影パスPHS2の重複度合い(第2基準重複度合い)とを算出し、第1基準重複度合いと第2基準重複度合いを統合した基準統合重複度合いSIOを算出し、メモリ150に保持しておいてよい。基準統合重複度合いSIOは、統合重複度合いIOの場合と同様に、基準となる合計面積や合計評価値であってよい。
【0099】
例えば、CPR処理部163は、統合重複度合いIOが基準統合重複度合いSIOよりも小さい場合、基準統合重複度合いSIOよりも小さい統合重複度合いIOが得られた際の投影パスPHP1の重複度合いが得られた際のCPR方向ベクトルVT1を、推奨方向ベクトルRV1に決定してよい。例えば、CPR処理部163は、統合重複度合いIOが基準統合重複度合いSIOよりも小さい場合、基準統合重複度合いSIOよりも小さい統合重複度合いIOが得られた際の投影パスPHP2の重複度合いが得られた際のCPR方向ベクトルVT2を、推奨方向ベクトルRV2に決定してよい。
【0100】
なお、推奨方向ベクトルRV1,RV2が決定された後であっても、処理部160は、UI120を介してCPR方向ベクトルを回転させてCPR画像を回転させてもよい。この場合、処理部160は、UI120を介して、推奨方向ベクトルRV1,RV2との成す角度を同じ角度で維持して、推奨方向ベクトルRV1,RV2を回転させてよい。
【0101】
次に、本実施形態のバリエーションについて説明する。
【0102】
本実施形態では、CPR画像GCは、S-CPR(Straight-CPR又はStretch-CPR)画像であってもよい。この場合、画像生成部164は、CPR面SC上のパスPHを平面に直線的に引き延ばした状態の画像を生成する。S-CPR画像を用いることで、ユーザが、例えば管状組織内のつまりや管状組織の太さが変化している箇所を把握し易くなる。
【0103】
本実施形態では、CPR面SCの厚さを考慮しないCPR面SCを生成することを主に例示したが、これに限られない。CPR処理部163は、CPR面SCの厚さを考慮した厚み付きCPR面を生成してもよい。よって、画像生成部164は、CPR面に垂直な奥行き方向に厚みを持たせた範囲のボリュームデータを用いてCPR画像を生成してよい。この場合、ユーザは、厚み付きCPR面に対して垂直な方向に沿って移動する対象を確認しやすくなる。厚み方向において移動する観察対象の部位が、厚み付きCPR画像に移り込むためである。厚み付きCPR画像は、例えば、所定のボリュームレンダリング手法(例えばMIP、例えば平均値法)によって描画されてよい。また、厚み付きCPR画像では、厚みが厚い程、CPR画像に二重描画が生じやすい。また、投影パスPHPにおいては、厚みが厚い程、投影パスPHPの太さが太い、閾値TH3が大きいとして表現でき、これによって同一の投影パスPHPに対して重複度合いが大きく評価されやすい。
【0104】
これに対し、本実施形態の医用画像処理装置100は、厚み付きCPR画像での二重描画の発生を極力低減しつつ、パスPHの様子を観察し易くできる。また、例えば第2評価例の評価関数F1又はF2において、重複が発生したとする投影パスPHPの各点間の距離と比較される(式1)の閾値tや(式2)の閾値tが調整可能であってもよい。この調整は、処理部160により実施されてもよい。この場合、医用画像処理装置100は、投影パスPHP内での重複の判定し易さを調整できる。
【0105】
本実施形態では、CPR処理部163は、パスPHから作成されるCPR画像の全体を二重描画の度合いの評価対象とすること、つまり投影パスPHPの全体を重複度合いの評価対象とすることを主に例示したが、これに限られない。CPR処理部163は、パスPHの一部を二重描画の度合いの評価対象としてもよく、つまりパスPHから作成されるCPR画像の一部を二重描画の度合いの評価対象としてもよく、つまり投影パスPHPの部分重複度合いを算出して評価してもよい。
【0106】
図15は、パス部分PHpや投影パス部分PHPpを説明するための図である。パスPHの全体とは、例えば、図3のパスPHにおける位置p1から位置p2までの範囲である。パスPHの一部とは、例えば、図3及び図15のパスPHにおける位置p1から位置p3までの範囲や、パスPHにおける位置p2から位置p3までの範囲である。
【0107】
パスPH上の場所によってはCPR画像での二重描画が診断に影響を与える度合いが異なる場合や、パスPH上の場所によっては便宜的に表示していても診断に用いない場合が考えられる。この場合、CPR処理部163は、パスPHの一部に対応する投影パスPHPを複数の投影パス部分PHPpに分割してよい。CPR処理部163は、例えばUI120を介して、複数の投影パス部分PHPpのうちの重複度合い評価対象の投影パス部分PHPp1を指定してよい。図15では、一例として、投影パス部分PHPp1の範囲は、投影パスPHPにおける、パスPH上の位置p1に対応する位置p11と、パスPH上の位置p3に対応する位置p13と、の間の範囲である。部分重複度合いは、指定された投影パス部分PHPp1が投影面SP上で重複する度合であってよい。なお、投影パス部分PHPp1は、投影パスPHPにおいて複数指定されてもよい。なお、投影パス部分PHPpの重複度合いの評価方法は、上述したような投影パスPHP全体の評価(例えば面積を用いた評価、評価関数を用いた評価)と同様でよい。
【0108】
また、CPR処理部163は、パスPH自体を複数のパス部分PHpに分割して、重複度合い評価対象のパス部分PHp1を指定して、パス部分PHp1に対応する投影パス部分PHPp1を指定してもよい。この場合、CPR処理部163は、例えばUI120を介して、複数のパス部分PHpのうちの重複度合い評価対象のパス部分PHp1を指定してよい。図15では、一例として、パス部分PHp1の範囲は、パスPHにおける位置p11と位置p3との間の範囲である。CPR処理部163は、指定されたパス部分PHp1を投影面SPに投影することで、パス部分PHp1に対応する投影パス部分PHPp1を指定してもよい。
【0109】
例えば、CPR処理部163は、投影パスPHPに沿って動く半径rの円の移動可能範囲を、投影パス部分PHPp1に限定してよい。また、CPR処理部163は、評価関数F1,F2における点p及び点qの取りうる値の範囲を、投影パス部分PHPp1の範囲に限定してよい。
【0110】
例えば、分割して得られた投影パス部分PHPpに応じて重複度合いの評価が異なることが予想される場合、CPR処理部163は、所定の投影パス部分PHPpを重複度合いの評価対象から除外し、この投影パス部分PHPpに重複が発生することを許容してもよい。例えば、冠動脈のLCX(Left circumflex artery)の根本のように解剖学的に旋回することが知られている投影パス部分PHPpは、予め重複度合いの評価対象から除外してもよい。つまり、CPR処理部163は、投影パスPHPにおける冠動脈のLCX(Left circumflex artery)の根本以外の部分を、重複度合いの評価対象の投影パス部分PHPp1として指定してよい。この場合、医用画像処理装置100は、重複を抑制することが困難な投影パス部分PHPpに対して過大なリソースを使用することを抑制できる。なお、冠動脈のLCXの根本部分が重複度合いの評価対象から除外されてよいのは、冠動脈のLCX(Left circumflex artery)がLAD(left anterior descending artery)と根本部分が共通しているのでLADを観察すれば十分だからである。また、例えば、冠動脈を評価する場合は、末梢部分にはステント留置などの手術の対象とならない部位が存在するので、末梢部分を重複度合いの評価対象から除外しても良い。
【0111】
本実施形態では、評価関数F1及び評価関数F2の少なくとも一方は、同一の点が複数回描画される回数を重複数としてパラメータとして含んでよい。例えば、重複数が大きい程、重複度合いが大きいとしてもよい。一方、重複数が小さい程、重複度合いが小さいとしてもよい。
【0112】
本実施形態では、処理部160は、任意のタイミングで推奨方向ベクトルRVを決定してよい。例えば、医用画像処理装置100の起動時やCPR画像を表示するアプリケーションの起動時に、初期値(初期設定)として、推奨方向ベクトルRVを決定してよい。この場合、初期の状態から、好適なCPR面SCが決定され、CPR画像が表示され得る。また、例えば、UI120が推奨方向ベクトルRVを決定するタイミングを指定するUIであるタイミング指定UI120A(例えば最適化ボタン)を有していてよい。CPR処理部163は、タイミング指定UI120Aを介して推奨方向ベクトルRVを決定するタイミングの指定を受けた際に、上述した推奨方向ベクトルRVの決定を行ってよい。
【0113】
これにより、医用画像処理装置100は、初期設定とは異なるユーザ所望のタイミングで、推奨方向ベクトルRVを決定し、推奨方向ベクトルRVに基づいてCPR画像を生成できる。よって、ユーザがUI120を介してCPR方向ベクトルの回転させている最中でも、一見して見易いCPR画像にリセットされるようにCPR画像を生成できる。そして、ユーザは、一見して見易いCPR画像を確認した後、CPR方向ベクトルを回転させてパスPHの表現が異なるCPR画像を順次確認でき、パスPH等の観察対象の全体を把握できる。
【0114】
また、相互に異なる複数のCPR方向ベクトルVTを用いて複数のCPR画像を生成する場合、CPR処理部163は、3つ以上のCPR方向ベクトルVTを決定し、3つ以上のCPR画像を生成し、同時に表示させてもよい。この場合、例えば、上記のθが60°ずつ異なるようにして3つのCPR方向ベクトルVT11,VT12,VT13を決定してもよい。
【0115】
このように、本実施形態の医用画像処理装置100は、容易に好適なCPR方向ベクトルVTつまり推奨方向ベクトルRVを決定でき、ユーザが見易いCPR画像を表示できる。よって、医用画像処理装置100は、3次元空間でのCPR方向ベクトルVTの指定に不慣れなユーザであっても、CPR方向ベクトルVTを適切に決定できる。また、医用画像処理装置100は、演算により推奨方向ベクトルRVを決定するので、ユーザがUI120を介して手動でユーザが見易いCPR画像を作成したときと比べて、再現性が高い推奨方向ベクトルRVを安定して得ることができる。よって、医用画像処理装置100は、ユーザによってCPR方向ベクトルVTの自動決定時の方向が大きく異なることを抑制できる。
【0116】
また、医用画像処理装置100は、任意のタイミングで、例えば初期設定の際に、又はUI120(例えばタイミング指定UI120A)を介して推奨方向ベクトルRVの設定が指示された際に、推奨方向ベクトルRVを決定できる。また、医用画像処理装置100は、推奨方向ベクトルRVの決定後であっても、UI120を介して推奨方向ベクトルRVを回転可能とすることで、CPR画像を回転させながら観察対象の管状組織の様子を詳細に観察可能である。UI120による推奨方向ベクトルRVの回転では、例えば2自由度を有してよく、上述のθ及びφの角度を調整可能でよい。これにより、推奨方向ベクトルRVが自動決定されても、ユーザが注目したいパスPH上の箇所を様々な方向から確認可能である。
【0117】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0118】
また、医用画像処理装置100は、少なくともプロセッサ140及びメモリ150を備えてよい。ポート110、UI120、及びディスプレイ130は、医用画像処理装置100に対して外付けであってもよい。
【0119】
また、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へ送信されることを例示した。この代わりに、ボリュームデータが一旦蓄積されるように、ネットワーク上のサーバ(例えば画像データサーバ(PACS)(不図示))等へ送信され、保管されてもよい。この場合、必要時に医用画像処理装置100のポート110が、ボリュームデータを、有線回線又は無線回線を介してサーバ等から取得してもよいし、任意の記憶媒体(不図示)を介して取得してもよい。
【0120】
また、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へポート110を経由して送信されることを例示した。これは、実質的にCT装置200と医用画像処理装置100とを併せて一製品として成立している場合も含まれるものとする。また、医用画像処理装置100がCT装置200のコンソールとして扱われている場合も含む。
【0121】
また、CT装置200により画像を撮像し、被検体内部の情報を含むボリュームデータを生成することを例示したが、他の装置により画像を撮像し、ボリュームデータを生成してもよい。他の装置は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、血管造影装置(Angiography装置)、又はその他のモダリティ装置を含む。また、PET装置は、他のモダリティ装置と組み合わせて用いられてもよい。
【0122】
また、医用画像処理装置100における動作が規定された医用画像処理方法として表現可能である。また、コンピュータに医用画像処理方法の各ステップを実行させるためのプログラムとして表現可能である。
【0123】
(上記実施形態の概要)
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を例示しているが、これに限定されるものではない。
【0124】
[項目1]
プロセッサ(プロセッサ140)とユーザインタフェース(UI120)とを備える医用画像処理装置(医用画像処理装置100)であって、
前記ユーザインタフェースは、第1の方向ベクトル(CPR方向ベクトルVT,VT1)を回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
被検体のボリュームデータ(ボリュームデータVD)を取得し、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパス(パスPH)を取得し、
前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面(投影面SP)に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パス(投影パスPHP,PHP1)が前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の閾値(閾値TH1)以下である第1の推奨方向ベクトル(推奨方向ベクトルRV,RV1)を決定し、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面(CPR面SC,SC1)を決定し、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像(CPR画像GC,GC12,GC31)を生成する、
医用画像処理装置。
【0125】
これにより、医用画像処理装置は、第1の投影パスの重複度合いが少ない推奨方向ベクトルを決定できる。よって、医用画像処理装置は、様々な方向にCPR方向ベクトルを指定可能である場合でも、与えられたパスに対して好適なCPR方向ベクトルを推奨することによって、CPR画像上でボリュームデータ内の同一の点が複数回描画されること(二重描画)を抑制できる。よって、ユーザがCPR面上の様子を把握し易くなる。また、これによって、一つのCPR方向ベクトルが推奨されるのでユーザに関わらず同一のCPR画像が作成可能となり、診療の客観性再現性が増す。
【0126】
[項目2]
プロセッサとユーザインタフェースとを備える医用画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースは、第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
被検体のボリュームデータを取得し、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得し、
前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、仮定された複数の第1の方向ベクトルのうち、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の基準方向ベクトル(基準方向ベクトルSV,SV1)に垂直な第1の基準投影面(基準投影面SPS,SPS1)に対して前記第1の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の基準投影パス(基準投影パスPHS,PHS1)が前記第1の基準投影面上で重複する度合いである第1基準重複度合いよりも小さい、第1の推奨方向ベクトルを決定し、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、
前記第1の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成する、
医用画像処理装置。
【0127】
これにより、医用画像処理装置は、重複度合いが少ない推奨方向ベクトルを決定できる。よって、医用画像処理装置は、様々な方向にCPR方向ベクトルを指定可能である場合でも、与えられたパスに対して好適なCPR方向ベクトルを推奨することによって、CPR画像上でボリュームデータ内の同一の点が複数回描画されること(二重描画)を抑制できる。よって、ユーザがCPR面上の様子を把握し易くなる。また、これによって、一つのCPR方向ベクトルが推奨されるのでユーザに関わらず同一のCPR画像が作成可能となり、診療の客観性再現性が増す。
【0128】
[項目3]
前記ユーザインタフェースは、第2の方向ベクトル(CPR方向ベクトルVT2)を回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記第1の方向ベクトルに対して所定の角度を維持して第2の方向ベクトルを回転させ、
前記第1の方向ベクトル及び前記第2の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の重複度合いと、仮定された複数の第2の方向ベクトルのうち、前記第2の方向ベクトルに垂直な第2の投影面(投影面SP2)に対して前記第2の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の投影パス(投影パスPHP2)が前記第2の投影面上で重複する第2の重複度合いと、を統合した統合重複度合い(統合重複度合いIO)が、所定の第2の閾値(閾値TH11)以下である場合、前記第2の閾値以下の前記統合重複度合いが得られた前記第1の重複度合いが得られた前記第1の方向ベクトルを前記第1の推奨方向ベクトルに決定し、前記第2の閾値以下の前記統合重複度合いが得られた前記第2の重複度合いが得られた前記第2の方向ベクトルを第2の推奨方向ベクトル(推奨方向ベクトルRV2)に決定し、
前記パスと前記第2の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第2の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第2の曲面(CPR面SC2)を決定し、
前記第2の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第2の曲面を可視化した第2のCPR画像(CPR画像GC32)を生成し、
前記第1のCPR画像と前記第2のCPR画像とを同時に表示させる、
項目1に記載の医用画像処理装置。
【0129】
これにより、医用画像処理装置は、2つの異なるCPR方向ベクトルに対応する2つの異なるCPR画像を表示する場合でも、第1の投影パスの第1の重複度合い及び第2の投影パスの第2の重複度合いを加味した統合重複度合いが極力少ない第1の推奨方向ベクトル及び第2の推奨方向ベクトルを決定できる。よって、医用画像処理装置は、様々な方向に第1のCPR方向ベクトル及び第1のCPR方向ベクトルを指定可能である場合でも、与えられたパスに対して好適なCPR方向ベクトルを推奨することによって、CPR画像上でボリュームデータ内の同一の点が複数回描画されること(二重描画)を抑制できる。よって、ユーザがCPR面上の様子を把握し易くなる。また、これによって、2つのCPR方向ベクトルが推奨されるのでユーザに関わらず同一のCPR画像の組が作成可能となり、診療の客観性再現性が増す。
【0130】
[項目4]
前記ユーザインタフェースは、第2の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記第1の方向ベクトルに対して所定の角度を維持して第2の方向ベクトルを回転させ、
前記第1の方向ベクトル及び前記第2の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の重複度合いと、仮定された複数の第2の方向ベクトルのうち、前記第2の方向ベクトルに垂直な第2の投影面に対して前記第2の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の投影パスが前記第2の投影面上で重複する第2の重複度合いと、を統合した統合重複度合いが、前記第1の基準重複度合いと、所定の第2の基準方向ベクトル(基準方向ベクトルSV2)に垂直な第2の基準投影面(基準投影面SPS2)に対して前記第2の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第2の基準投影パス(基準投影パスPHS2)が前記第2の基準投影面上で重複する度合いである第2の基準重複度合いと、を統合した基準統合重複度合い(基準統合重複度合いSIO)よりも小さい場合、前記基準統合重複度合いよりも小さい前記統合重複度合いが得られた前記第1の重複度合いが得られた前記第1の方向ベクトルを前記第1の推奨方向ベクトルに決定し、前記基準統合重複度合いよりも小さい前記統合重複度合いが得られた前記第2の重複度合いが得られた前記第2の方向ベクトルを第2の推奨方向ベクトルに決定し、
前記パスと前記第2の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第2の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第2の曲面を決定し、
前記第2の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第2の曲面を可視化した第2のCPR画像を生成し、
前記第1のCPR画像と前記第2のCPR画像とを同時に表示させる、
項目2に記載の医用画像処理装置。
【0131】
これにより、医用画像処理装置は、2つの異なるCPR方向ベクトルに対応する2つの異なるCPR画像を表示する場合でも、画一的な基準方向ベクトルが選択された場合の2つの基準重複度合いを加味した基準統合重複度合いよりも、第1の投影パスの第1の重複度合い及び第2の投影パスの第2の重複度合いを加味した統合重複度合いが極力少ない、第1の推奨方向ベクトル及び第2の推奨方向ベクトルを決定できる。よって、医用画像処理装置は、様々な方向に第1のCPR方向ベクトル及び第2のCPR方向ベクトルを指定可能である場合でも、与えられたパスに対して好適なCPR方向ベクトルを推奨することによって、CPR画像上でボリュームデータ内の同一の点が複数回描画されること(二重描画)を抑制できる。よって、ユーザがCPR面上の様子を把握し易くなる。また、これによって、2つのCPR方向ベクトルが推奨されるのでユーザに関わらず同一のCPR画像の組が作成可能となり、診療の客観性再現性が増す。
【0132】
[項目5]
前記第1の重複度合いは、前記第1の投影面上で前記第1の投影パスが交差又は所定距離以内に接近する度合いである、
項目1から4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0133】
これにより、医用画像処理装置は、CPR画像上で二重描画がされるとみなせる状態にある場合に、第1の重複度合いの少ない第1の推奨方向ベクトルを決定できる。
【0134】
[項目6]
前記ユーザインタフェースは、前記第1の推奨方向ベクトルの決定のタイミングを指示する操作を受け付け、
前記プロセッサは、
前記ユーザインタフェースにより前記方第1の推奨向ベクトルの決定のタイミンングを指示する操作を受け付けた際、前記第1の推奨方向ベクトルを決定する、
項目1から5のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0135】
これにより、医用画像処理装置は、第1の方向ベクトルを回転させる場合に、ユーザ所望のタイミングで第1の推奨方向ベクトルを決定できる。また、ユーザが適切なCPR方向ベクトルを発見できなかった場合に第1の推奨方向ベクトルを決定できる。
【0136】
[項目7]
前記プロセッサは、前記推奨方向ベクトルを前記第1の方向ベクトルの初期値として決定する、
項目1から6のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0137】
これにより、医用画像処理装置は、第1の方向ベクトルを回転させる場合に、ユーザ所望のタイミングで第1の推奨方向ベクトルを決定できる。よって、第1の方向ベクトルの回転操作に不慣れなユーザであっても、好適な第1の方向ベクトルである第1の推奨方向ベクトル(例えば関心領域の代表的な状態を観察し易い第1のCPR画像が得られる第1の推奨方向ベクトル)を起点として、様々な方向にCPR画像を回転できる。第1の推奨方向ベクトルから第1の方向ベクトルを回転させることで、ユーザは、関心領域の全体を観察し易くなる。また、これによって、CPR方向ベクトルが推奨されるのでユーザに関わらず同一のCPR画像が作成可能となり、診療の客観性再現性が増す。
【0138】
[項目8]
前記プロセッサは、
前記第1のCPR画像において、前記投影面上で前記投影パスが交差、重複又は接近していると判定された領域であり、前記ボリュームデータ内の同一の点が複数回描画される領域である二重描画領域を表示デバイス(ディスプレイ130)に表示させる、
項目1から7のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0139】
これにより、医用画像処理装置は、第1のCPR画像における二重描画領域の位置、大きさ又は範囲等を確認し易くできる。
【0140】
[項目9]
前記プロセッサは、
前記パスを複数のパス部分(パス部分PHp)に分割し、
前記複数のパス部分のうちの第1のパス部分(パス部分PHp1)を指定し、
前記第1の重複度合いは、前記第1のパス部分を投影することで得られる第1の投影パス部分(投影パス部分PHPp1)が前記第1の投影面上で重複する度合いである、
項目1から8のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0141】
これにより、医用画像処理装置は、第1の重複度合いを導出する投影パスの部分を制限することで、所定の投影パス部分(ここでは第1の投影パス部分)の重複の状態を重視した第1の重複度合いを得ることができる。
【0142】
[項目10]
被検体のボリュームデータを取得するステップと、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得するステップと、
第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付けるユーザインタフェースを介して前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の閾値以下である第1の推奨方向ベクトルを決定するステップと、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定し、
前記第1の曲面上の前記ボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成するステップと、
を有する医用画像処理方法。
【0143】
これにより、医用画像処理方法は、項目1と同様の効果が得られる。
【0144】
[項目11]
被検体のボリュームデータを取得するステップと、
前記ボリュームデータにおける3次元空間上のパスを取得するステップと、
第1の方向ベクトルを回転させる回転操作を受け付けるユーザインタフェースを介して前記第1の方向ベクトルを回転させる場合に、前記第1の方向ベクトルに垂直な第1の投影面に対して前記第1の方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の投影パスが前記第1の投影面上で重複する第1の重複度合いが、所定の第1の基準方向ベクトルに垂直な第1の基準投影面に対して前記第1の基準方向ベクトルに沿って前記パスを投影することで得られる第1の基準投影パスが前記第1の基準投影面上で重複する度合いよりも小さい、第1の推奨方向ベクトルを決定するステップと、
前記パスと前記第1の推奨方向ベクトルとに基づいて、前記パス上の各点を通過し前記第1の推奨方向ベクトルと平行な直線の集合によって定義される第1の曲面を決定するステップと、
前記第1の曲面上のボリュームデータに基づいて、前記第1の曲面を可視化した第1のCPR画像を生成するステップと、
を有する医用画像処理方法。
【0145】
これにより、医用画像処理方法は、項目2と同様の効果が得られる。
【0146】
[項目12]
項目10に記載の医用画像処理方法をコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
【0147】
これにより、医用画像処理プログラムは、項目1と同様の効果が得られる。
【0148】
[項目13]
項目11に記載の医用画像処理方法をコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
【0149】
これにより、医用画像処理プログラムは、項目2と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示は、CPR画像上での二重描画の発生を抑制でき、CPR面上の様子を把握し易くできる医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0151】
100 医用画像処理装置
110 ポート
120 ユーザインタフェース(UI)
130 ディスプレイ
140 プロセッサ
150 メモリ
160 処理部
161 領域処理部
162 パス取得部
163 CPR処理部
164 画像生成部
165 表示制御部
200 CT装置
GC CPR画像
PH パス
PHp パス部分
PHE 拡張投影パス
PHP,PHP1,PHP2 投影パス
PHPp,PHPp1 投影パス部分
RV,RV1,RV2 推奨方向ベクトル
SC,SC1,SC2 CPR面
SP,SP1,SP2 投影面
VT,VT1,VT2 CPR方向ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17