(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151650
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】充電器案内方法、及び、充電器案内システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241018BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20241018BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241018BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20241018BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241018BHJP
【FI】
G01C21/26 C
H02J7/00 P
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/64
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065167
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 武司
【テーマコード(参考)】
2F129
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC16
2F129CC28
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2F129DD15
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2F129DD51
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2F129EE02
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2F129EE79
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2F129EE90
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF60
2F129HH12
5G503AA01
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD05
5H125AA01
5H125AC12
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5H125BC05
5H125CA18
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE61
5H125EE64
(57)【要約】
【課題】バッテリの特性や充電器の出力等に応じて、充電効率が良い最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供する。
【解決手段】バッテリ11の充電率(SOC)に基づいて、充電可能電力P
maxを演算し、バッテリ11の温度(Γ
bat)に基づいて、充電可能速度S
maxを演算する。また、充電可能電力P
maxと、充電器の出力P
outと、に基づいて充電量P
cを演算し、充電可能速度S
maxと、充電器の出力P
outと、に基づいて充電時間F
cを演算し、充電量P
c及び充電時間T
cに基づいて充電料金F
cを演算する。そして、充電量P
c、充電時間T
c、または、充電料金F
cに基づいて、充電器を評価し、評価が高い充電器ほど優先的に案内する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内方法であって、
前記バッテリの充電率に基づいて、前記バッテリの充電可能電力を演算し、
前記バッテリの温度に基づいて、前記バッテリの充電可能速度を演算し、
前記充電可能電力と、前記充電器の出力と、に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときの充電量を演算し、
前記充電可能速度と、前記充電器の出力と、に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときに要する時間である充電時間を演算し、
前記充電量及び前記充電時間に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときに要する料金である充電料金を演算し、
前記充電量、前記充電時間、または、前記充電料金に基づいて、前記充電器を評価し、
前記評価が高い前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項2】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
前記充電料金に基づいて前記充電器を評価し、
前記充電料金が安い前記充電器を優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項3】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
前記充電量に基づいて前記充電器を評価し、
前記充電量が多い前記充電器を優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項4】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
前記充電時間に基づいて前記充電器を評価し、
前記充電時間が短い前記充電器を優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項5】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
前記充電料金に基づいて前記充電器を評価することにより、前記充電料金が安い前記充電器を優先的に案内する料金優先モードと、
前記充電量に基づいて前記充電器を評価することにより、前記充電量が多い前記充電器を優先的に案内する充電量優先モードと、
前記充電時間に基づいて前記充電器を評価することにより、前記充電時間が短い前記充電器を優先的に案内する充電時間優先モードと、
を有し、
ユーザによる選択に応じて、前記料金優先モード、前記充電量優先モード、または、前記充電時間優先モードのうちいずれか1つのモードによって前記充電器を案内する、
充電器案内方法。
【請求項6】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
前記バッテリの温度が予め定める上限値以上であるときには、前記充電可能速度は、前記バッテリの温度が高いほど、遅くなるように演算され、
前記バッテリの温度が予め定める下限値以下であるときときには、前記充電可能速度は、前記バッテリの温度が低いほど、遅くなるように演算される、
充電器案内方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の充電器案内方法であって、
前記バッテリの温度と、前記充電器が設置された環境の気温と、に基づいて前記充電可能速度を演算する、
充電器案内方法。
【請求項8】
請求項7に記載の充電器案内方法であって、
前記充電可能速度は、前記気温が高いほど、遅くなるように演算される、
充電器案内方法。
【請求項9】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
予め設定された目的地に到達するまでの走行距離に対し、前記充電器に立ち寄るために追加となる走行距離である追加走行距離を演算し、
前記追加走行距離の走行に要する消費電力である追加消費電力を演算し、
前記充電量から前記追加消費電力を減算することにより、実質的な前記充電量である実質充電量を演算し、
前記実質充電量及び前記充電時間に基づいて、前記充電料金を演算する、
充電器案内方法。
【請求項10】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
予め設定された目的地に到達するまでの走行距離に対し、前記充電器に立ち寄るために追加となる走行距離である追加走行距離を演算し、
前記追加走行距離の走行に要する消費電力である追加消費電力を演算し、
前記充電量から前記追加消費電力を減算することにより、実質的な前記充電量である実質充電量を演算し、
実質的な前記充電時間として、前記充電器に立ち寄って前記充電時間の充電を行うときに要する時間である実質充電時間を演算し、
前記実質充電量と前記実質充電時間に基づいて、実質的な前記充電料金である実質充電料金を演算し、
前記実質充電料金に基づいて前記充電器を評価し、
前記実質充電料金が安い前記充電器を優先的に案内する、
充電器案内方法。
【請求項11】
請求項10に記載の充電器案内方法であって、
前記充電量及び前記充電時間に基づく前記充電料金に、前記実質充電量及び前記実質充電時間に予め定める係数を乗算することにより、前記充電料金を前記実質充電料金に換算し、かつ、
前記係数は、前記車両のユーザごとに設定される、
充電器案内方法。
【請求項12】
請求項1に記載の充電器案内方法であって、
少なくとも前記車両が前記充電器に到着するまでに、温調装置によって、前記バッテリを加熱または冷却し、
現在の前記バッテリの温度、前記充電器への到着時間、及び、前記温調装置の性能に基づいて、前記車両が前記充電器に到着するときの前記バッテリの温度である到着時バッテリ温度を推定し、
前記到着時バッテリ温度に基づいて、前記充電可能速度を演算する、
充電器案内方法。
【請求項13】
車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内システムであって、
前記バッテリの充電率に基づいて、前記バッテリの充電可能電力を演算する充電可能電力演算部と、
前記バッテリの温度に基づいて、前記バッテリの充電可能速度を演算する充電可能速度演算部と、
前記充電可能電力と、前記充電器の出力と、に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときの充電量を演算する充電量演算部と、
前記充電可能速度と、前記充電器の出力と、に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときの充電時間を演算する充電時間演算部と、
前記充電量及び前記充電時間に基づいて、前記充電器を用いて前記バッテリを充電するときに要する料金である充電料金を演算する充電料金演算部と、
前記充電量、前記充電時間、または、前記充電料金に基づいて、前記充電器を評価する充電器評価部と、
を備え、
前記評価が高い前記充電器ほど優先的に案内する、
充電器案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載バッテリを充電するための充電器がある場所を案内する充電器案内方法、及び、充電器案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、走行可能範囲にある充電スポットを表示するときに、利用し難い非推奨充電スポットが除かれるように走行可能範囲を実際よりも縮小することによって、利用しやすい推奨充電スポットでの充電を促す情報提供装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラグインハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両が普及したことにより、電動車両のバッテリを充電するための充電器が設置された充電スポットも拡充されている。但し、充電器の出力やその他の特性は、統一されておらず、充電器ごとに異なっている。このため、どの充電器で充電しても同じように充電できるわけではなく、充電するバッテリの特性や、使用する充電器の出力等によっては、期待したほどに充電できないことがある。すなわち、バッテリの特性や使用する充電器の出力等によって、充電効率が異なる。そして、電動車両のユーザが、充電するバッテリの特性に応じた最適な充電器を探索するのは容易でない。
【0005】
本発明は、バッテリの特性や充電器の出力等に応じて、充電効率が良い最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、車両に搭載されたバッテリを充電するための充電器を案内する充電器案内方法である。この充電器案内方法では、バッテリの充電率に基づいて、バッテリの充電可能電力を演算し、バッテリの温度に基づいて、バッテリの充電可能速度を演算する。また、充電可能電力と、充電器の出力と、に基づいて、その充電器を用いてバッテリを充電するときの充電量を演算し、充電可能速度と、充電器の出力と、に基づいて、充電器を用いてバッテリを充電するときに要する時間である充電時間を演算し、充電量及び充電時間に基づいて、充電器を用いてバッテリを充電するときに要する料金である充電料金を演算する。そして、充電量、充電時間、または、充電料金に基づいて、充電器を評価し、評価が高い充電器ほど優先的に案内する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリの特性や充電器の出力等に応じて、充電効率が良い最適な充電器を案内することができる充電器案内方法、及び、充電器案内システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、充電器案内システムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、充電可能電力の演算方法を示す説明図である。
【
図4】
図4は、優先的に案内する充電器の決定方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第3変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第4変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、現在のバッテリ温度と到着時バッテリ温の切り替え方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[実施形態]
図1は、充電器案内システム100の構成を示す説明図である。
図1に示すように、充電器案内システム100は、電動車両10の運転者等であるユーザに対し、電動車両10が到達し得る充電器を案内するシステムである。
【0011】
電動車両10は、電力によって駆動し得る車両であり、バッテリ11、温調装置12、カーナビゲーション装置13、及び、制御装置14を備える。
【0012】
バッテリ11は、電動車両10に駆動するための電力を供給する。バッテリ11は、例えばリチウムイオンバッテリ等であり、充電可能である。特に、本実施形態では、バッテリ11は、充電スポット等に設置された外部の充電器によって充電可能に構成される。このため、電動車両10は、いわゆるプラグインハイブリッド自動車または電気自動車等である。
【0013】
温調装置12は、バッテリ11の温度(以下、バッテリ温度Γbatという)を調節する装置である。温調装置12は、必要に応じてバッテリ11を加熱または冷却することにより、バッテリ温度Γbatが下限値ΓL以上上限値ΓH以下の範囲に収まるように、バッテリ11の温度を調節する。バッテリ温度Γbatの下限値ΓL及び上限値ΓHは、バッテリ11の特性に応じて、例えば実験またはシミュレーション等に基づいて、予め定められる。
【0014】
温調装置12は、例えば、ヒータやHVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)装置等によって構成される。本実施形態では、温調装置12は、ヒータ15とHVAC装置16を含む。
【0015】
ヒータ15は、バッテリ11を加熱するために設けられている。ヒータ15は、例えば、PCT(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。
【0016】
HVAC装置16は、車室内の空気と外気等とで熱交換をさせることにより、車室を暖房または冷房する。本実施形態では、HVAC装置16は、必要に応じて、熱交換媒体をバッテリ11に流通させることにより、バッテリ11と、車室の空気または外気等と、で熱交換をさせる。これにより、HVAC装置16は、バッテリ11を加熱または冷却する。すなわち、本実施形態では、HVAC装置16は、バッテリ11の加熱装置または冷却装置として機能する。
【0017】
なお、温調装置12は、ラジエータ等を用いてバッテリ11を冷却する冷却装置等、その他の冷却装置を含むことができる。
【0018】
カーナビゲーション装置13は、電動車両10のユーザに対し、目的地までの経路等を案内する。本実施形態では、カーナビゲーション装置13は、充電器案内システム100のユーザインタフェースとして機能する。したがって、カーナビゲーション装置13は、目的地までの経路等の他に、バッテリ11を充電する充電器をユーザに案内する。
【0019】
カーナビゲーション装置13は、操作部17、表示部18、及び、通信部19を備える。
【0020】
操作部17は、ユーザからの操作入力を受け付ける。ユーザは、経路の案内を受けるために、操作部17を用いて目的地等の設定を行うことができる。また、バッテリ11の充電が必要であるときに、ユーザは、操作部17を用いて、充電器案内システム100に対し、充電器の検索、及び、充電器への経路の案内等(以下、充電器の案内という)を要求することができる。また、ユーザは、操作部17を用いて、充電器案内システム100に対し、充電器の評価方法(評価モード)を設定することができる。これにより、ユーザは、充電器案内システム100から優先的に案内される充電器を、具体的な状況や嗜好等に応じて適宜に変更することができる。
【0021】
表示部18は、電動車両10の周辺の地図や文字その他の図形や記号等を画面に表示することにより、目的地までの経路等を案内する。本実施形態では、特に、表示部18は、充電器案内システム100の表示装置として機能し、充電器を案内する画面(以下、充電器案内画面という)を表示する。この充電器案内画面(図示しない)によって、ユーザに充電器が案内される。
【0022】
通信部19は、ネットワーク回線を通じて、電動車両10の外部に設けられた機器等と通信する通信インタフェースである。本実施形態では、通信部19は、サーバ20と通信する。サーバ20は、例えばクラウドサーバであり、経路等の案内に必要なデータその他情報を収集及び蓄積している。このため、カーナビゲーション装置13は、通信部19によってサーバ20と通信することにより、経路等の案内に必要なデータその他情報を、適宜に取得することができる。
【0023】
また、充電器案内システム100は、通信部19を用いてサーバ20と通信することにより、各地に設けられた充電器の特性等に関する情報(以下、充電器情報という)や充電器が設置された環境に関する情報(以下、環境情報という)等を適宜に取得することができる。
【0024】
充電器情報は、例えば、充電器のID(Identifier)、種別、出力Pout(最大出力あるいは定格出力)、温度、充電ポートの数、充電ポートの状態、及び、使用されている充電ポートへの接続時間等を含む。充電器の種別は、急速充電器または普通充電器の区分である。充電器の出力OPは、例えば3kW,6kW,20kW,40kW,50kW,90kW,または120kW等であり、充電器ごとに異なる。充電ポートの状態とは、例えば、充電ポートが使用されているか否か(使用可能な状態か否か)や、温度の上昇等による出力制限の有無等である。本実施形態では、充電器案内システム100は、充電器情報として、充電器を特定するID等の他に、充電器の特性として、少なくとも、充電器の出力Pout[kW]を取得する。
【0025】
環境情報は、充電器が設置された場所の天候や気温、湿度等である。本実施形態では、充電器案内システム100は、充電器の環境情報として、充電器が設置された場所の現在または将来の外気温(以下、気温Γenvという)を取得する。
【0026】
サーバ20は、各地にある充電器またはこれに接続した他の電動車両Vと、直接的または間接的に通信し、その充電器に関する情報(充電器情報)を取得する。本実施形態では、例えば、電動車両10の近隣に、充電器C1が設置された充電スポットP1と、充電器C2が設置された充電スポットP2があるものとする。充電器C1は、充電器C1は、充電ポートが1つであるシングルポートの充電器(急速充電器)であり、充電器C2は、充電ポートが2つであるマルチポートの充電器(急速充電器)である。マルチポートの充電器では、充電ポートへの具体的な接続数等によって、出力Poutが変化する場合がある。サーバ20は、インターネット21等から、充電器が設置された場所の気温Γenvを適宜に取得する。
【0027】
なお、本実施形態では、カーナビゲーション装置13が、通信部19を含んでいるが、これに限らない。カーナビゲーション装置13は、スマートフォンその他の通信機器を介して、サーバ20と通信をすることができる。
【0028】
制御装置14は、1または複数のコンピュータ(コントローラ)によって構成され、バッテリ11及びカーナビゲーション装置13を用いて、充電器案内システム100を構築するようにプログラムされている。すなわち、制御装置14は、充電器案内装置として機能する。
【0029】
制御装置14は、バッテリ11の充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度(SOH:State Of Health)、及び、温度(バッテリ温度Γbat)等を必要に応じて適宜に取得することができる。制御装置14は、バッテリ11の状態に係るこれらの情報に基づいて充電器を案内する。但し、簡単のため、本実施形態では、制御装置14は、SOCとバッテリ温度Γbatに基づいて、充電器を案内する。また、SOCに対する受入可能電力AP等、バッテリ11に固有の特性は既知であり、制御装置14は必要に応じて、バッテリ11の特性を考慮(利用)することができる。
【0030】
制御装置14は、カーナビゲーション装置13を介して、充電器の案内についての要求(以下、充電器案内要求という)を受けることができる。本実施形態では、操作部17を用いた入力操作によって充電器案内要求を受けたときに、制御装置14は、充電器を案内する。但し、例えばSOCが低下した場合には、充電器案内要求を受けていないときでも、制御装置14は自動的に充電器を案内することができる。
【0031】
制御装置14は、カーナビゲーション装置13が有する地図情報やデータベース等を用いて、充電器の設置場所(以下、充電スポットという)や各充電スポットにある充電器を適宜に検索することができる。
【0032】
制御装置14は、カーナビゲーション装置13を介して、ユーザに充電器を案内する。本実施形態では、制御装置14は、表示部18に充電器案内画面を表示させることによって、充電器をユーザに案内する。なお、制御装置14は、カーナビゲーション装置13を介し、充電器案内画面の表示とともに、または、充電器案内画面の表示に代えて、音声によって充電器を案内することもできる。
【0033】
また、制御装置14は、温調装置12を用いてバッテリ11の温度を管理するバッテリ温度管理装置として機能する。例えば、制御装置14は、充電器の出力Poutに応じて温調装置12によってバッテリ11を加熱または冷却することにより、充電を開始するまでに、その充電器によってバッテリ11を効率良く充電できるように、バッテリ温度Γbatを調整することができる。
【0034】
図2は、制御装置14の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、到達可能充電器抽出部25、電力受入条件演算部26、電力供給条件演算部27、充電器評価部28、及び、表示制御部29を備える。
【0035】
到達可能充電器抽出部25は、バッテリ11のSOC(充電率)に基づいて、電動車両10が到達可能な充電器を抽出する。具体的には、到達可能充電器抽出部25は、SOCに基づいて、現在地からバッテリ11の残電力を用いて走行したときに、SOCが所定基準値以下となるまでに電動車両10が到達可能な範囲(以下、到達可能範囲という)を設定する。そして、到達可能充電器抽出部25は、カーナビゲーション装置13を用いて到達可能範囲内にある充電器を検索することにより、各地にある複数の充電器の中から、電動車両10が到達可能な充電器(以下、到達可能充電器という)を抽出する。実際的には、到達可能充電器が1つしかないことがあるが、本実施形態では、充電器は十分に多く設置されており、複数の到達可能充電器は抽出されるものとする。前述の充電器C1及び充電器C2は到達可能充電器の例である。なお、到達可能充電器は、既に他の電動車両Vによって使用されており、電動車両10がバッテリ11の充電に利用することができない場合があるが、本実施形態では、簡単のため、到達可能充電器は利用可能な充電器であるものとする。
【0036】
電力受入条件演算部26は、バッテリ11を充電するときに、バッテリ11が受け入れることができる電力についての条件を演算する。すなわち、電力受入条件演算部26は、電力を受け入れる側であるバッテリ11の状態に応じた充電に関する条件を演算する。本実施形態では、電力受入条件演算部26は、充電可能電力演算部31と、充電可能速度演算部32と、を含む。
【0037】
充電可能電力演算部31は、バッテリ11の状態に基づいて、予め定める所定時間、充電をするときにバッテリ11が受け入れることができる最大の電力量(以下、充電可能電力Pmaxという)を演算する。急速充電器の標準的な利用時間は例えば30分であるため、本実施形態では、充電可能電力演算部31は、バッテリ11を30分間充電するときの充電可能電力Pmax[kWh]を演算する。すなわち、上記の所定時間は30分である。また、本実施形態では、充電可能電力演算部31は、バッテリ11のSOCに基づいて、充電可能電力Pmaxを演算する。なお、充電可能電力Pmaxは、充電に使用する充電器の出力Poutに依存する。このため、充電可能電力演算部31は、出力Poutごとに充電可能電力Pmaxを演算する。すなわち、充電可能電力演算部31は、バッテリ11のSOCに基づいて、1または複数の充電器の出力Poutに対する充電可能電力Pmaxを特定する。充電可能電力Pmaxの演算方法については、詳細を後述する。
【0038】
充電可能速度演算部32は、バッテリ11の状態に基づいて、電析等の不具合を生じさせずに、バッテリ11が受け入れることができる単位時間当たりの最大電力(以下、充電可能速度Smaxという)を演算する。充電可能速度Smaxは、バッテリ11の構造等に応じた固有の特性であって、通常、バッテリ温度Γbatに応じて変動する。このため、充電可能速度演算部32は、少なくともバッテリ温度Γbatに基づいて、充電可能速度Smaxを演算する。
【0039】
本実施形態では、バッテリ温度Γbatが予め定める上限値ΓH以上であるときには、充電可能速度演算部32は、バッテリ温度Γbatが高いほど、充電可能速度Smaxが遅くなるように演算する。すなわち、バッテリ温度Γbatが上限値ΓH以上であって、バッテリ11が高温の状態であると判定されるときには、充電可能速度Smaxはバッテリ温度Γbatに応じて遅くなるように見積もられる。これは、バッテリ11に電析等の不具合を生じさせないためである。上限値ΓHは、バッテリ11の具体的な構造等に応じて、実験またはシミュレーション等に基づき、予め定められる。
【0040】
また、充電可能速度演算部32は、バッテリ温度Γbatが予め定める下限値ΓL以下であるときには、充電可能速度演算部32は、バッテリ温度Γbatが低いほど、充電可能速度Smaxが遅くなるように演算する。すなわち、バッテリ温度Γbatが下限値ΓL以下であって、バッテリ11が低温の状態であると判定されるときには、充電可能速度Smaxはバッテリ温度Γbatに応じて遅くなるように見積もられる。これは、バッテリ11に電析等の不具合を生じさせないためである。下限値ΓLは、バッテリ11の具体的な構造等に応じて、実験またはシミュレーション等に基づき、予め定められる。
【0041】
なお、充電可能速度演算部32は、バッテリ温度Γbatが下限値ΓLより大きく、上限値ΓHよりも小さい範囲内であるときには、バッテリ温度Γbatが高いほど、充電可能速度Smaxが遅くなるように演算する。すなわち、バッテリ温度Γbatが通常の推奨される温度帯(耐久性や充電量、充電速度等の観点で問題を生じ難い温度帯)であるときには、充電可能速度Smaxはバッテリ温度Γbatに応じて遅くなるように見積もられる。但し、バッテリ温度Γbatが上限値ΓH以上である場合、バッテリ温度Γbatが上限値ΓHよりも小さい場合と比較して、バッテリ温度Γbatの上昇に対する充電可能速度Smaxの減少は大きい。
【0042】
さらに、本実施形態では、充電可能速度演算部32は、バッテリ温度Γbatに加え、充電器が設置された場所の気温Γenvに基づいて、充電可能速度Smaxを演算する。すなわち、本実施形態では、充電可能速度演算部32は、抽出された到達可能充電器ごとに、充電可能速度Smaxを演算する。具体的には、充電可能速度演算部32は、気温Γenvが高いほど、充電可能速度Smaxが遅くなるように演算する。換言すれば、充電可能速度Smaxは、充電器が設置された場所の気温Γenvが高いほど遅くなるように見積もられる。
【0043】
電力供給条件演算部27は、抽出された到達可能充電器ごとに、バッテリ11を充電するときに、バッテリ11に供給する電力についての条件を演算する。すなわち、電力供給条件演算部27は、電力を供給する側である充電器の特性等に応じた充電に関する条件を演算する。本実施形態では、電力供給条件演算部27は、充電量演算部33、充電時間演算部34、及び、充電料金演算部35を含む。
【0044】
充電量演算部33は、特定の充電器(到達可能充電器)を用いてバッテリ11を充電するときの最大の充電量(以下、充電量Pcという)を演算する。具体的には、充電量演算部33は、充電可能電力Pmaxと充電器の出力Poutに基づいて、その充電器でバッテリ11を充電するときの充電量Pc[kWh]を演算する。本実施形態では、特定の出力Poutに対応する充電可能電力Pmaxを特定し、これを充電量Pcとする。すなわち、本実施形態では、簡単のため、充電器は急速充電器であり、充電量演算部33は、所定時間(30分間)の急速充電をするときの充電量Pcを演算するものとする。
【0045】
充電時間演算部34は、特定の充電器(到達可能充電器)を用いてバッテリ11を充電するときに要する時間(以下、充電時間Tcという)を演算する。本実施形態では、充電時間演算部34は、充電可能速度Smaxと充電器の出力Poutに基づいて、その充電器でバッテリ11を充電するときの充電時間Tcを演算する。具体的には、充電時間演算部34は、充電可能速度Smaxと充電器の出力Poutのうち小さい方の値で、充電量Pcを除算することにより、充電時間Tcを演算する。すなわち、本実施形態では、充電時間Tcは、原則として、特定の充電器を用いるときの最大の充電量Pcを得るための時間を表す。なお、充電器の使用時間が予め限られており、演算した充電時間Tcがその上限時間を超えるときには、充電時間演算部34は、充電時間Tcを上限時間とする。例えば、急速充電器の1回の使用時間が30分であるときに、充電時間Tcが30分を超えるときには、充電時間Tcは30分とする。また、30分未満で最大の充電量Pcが得られるときには、充電時間Tcは充電開始から最大の充電量Pcが得られるまでの最小の時間である。
【0046】
充電料金演算部35は、特定の充電器(到達可能充電器)を用いてバッテリ11を充電するときに要する料金(以下、充電料金Fcという)を演算する。具体的には、充電料金演算部35は、充電量Pc及び充電時間Tcに基づいて、特定の充電器(到達可能充電器)を用いてバッテリ11を充電するときの充電料金Fc[yen/kWh]を演算する。本実施形態では、急速充電の料金は、ユーザと電力の供給者と契約によって、充電時間Tcによって決定される。そして、料金契約の具体的内容は例えば充電器案内システム100への設定登録等によって既知であるものとする。したがって、本実施形態では、充電料金演算部35は、料金契約にしたがって、充電時間Tcに応じた料金の総額ΣFcを演算する。そして、充電料金演算部35は、この総額ΣFcを充電量Pcで除算することにより、単位充電量あたりの料金(充電量単価)である充電料金Fcを演算する。
【0047】
充電器評価部28は、充電量Pc、充電時間Tc、充電料金Fc、または、充電器までの距離に基づいて、特定の充電器(到達可能充電器)を評価する。本実施形態では、充電器評価部28は、料金優先モード、充電量優先モード、充電時間優先モード、及び、距離優先モードの4種類の評価モードのいずれかにしたがって、充電効率を評価する。これらの評価モードは、例えば、充電器案内システム100に対するユーザの設定入力によって任意に切り替えられる。また、料金優先モード、充電量優先モード、及び、充電時間優先モードは、充電器(到達可能充電器)の充電効率によって、充電器を評価する評価モードである。充電器評価部28は、充電器の評価を、表示制御部29に入力する。
【0048】
料金優先モードは、充電料金Fcに基づいて充電器を評価する評価モードである。具体的には、料金優先モードでは、充電器評価部28は、充電量Pcを得るための充電料金Fcが安い充電器ほど、充電効率が高い充電器であると評価する。
【0049】
充電量優先モードは、充電量Pcに基づいて充電効率を評価する評価モードである。具体的には、充電量優先モードでは、充電器評価部28は、充電量Pcが多い充電器ほど、充電効率が高い充電器であると評価する。
【0050】
充電時間優先モードは、充電時間Tcに基づいて充電効率を評価する評価モードである。具体的には、充電時間優先モードでは、充電器評価部28は、充電時間Tcが短い充電器ほど、充電効率が高い充電器であると評価する。
【0051】
距離優先モードは、ユーザによって、料金優先モード、充電量優先モード、及び、充電時間優先モードのいずれの評価モードも設定されなかったときに選択される標準の評価モードであり、充電器までの距離によって充電効率を評価する評価モードである。具体的には、距離優先モードでは、充電器評価部28は、充電器までの距離が短いほど、その充電器を高く評価する。
【0052】
表示制御部29は、複数の到達可能充電器を、充電器評価部28による評価にしたがって優先順位をつけて案内する充電器案内画面を、カーナビゲーション装置13の表示部18に表示させる。これにより、充電器案内システム100は、複数の到達可能な充電器のうち、充電器評価部28による評価が高い充電器ほど優先的に案内する。
【0053】
具体的には、表示制御部29は、相対的に評価が高い充電器に係る情報を低い他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面を、表示部18に表示させることにより、評価が高い充電器を優先的に案内する。
【0054】
充電器案内画面において、充電器に係る情報の強調とは、表示を枠で囲み、他の情報とは異なる表示サイズにし、他の情報と異なる字体やマーク等を使用し、他の情報の表示色とは異なる表示色を使用し、または、情報の表示位置や配列において視認性が高い位置にすること等によって、特定の充電器に係る情報を目立たせ、ユーザが認識しやすい状態にすることをいう。また、充電器に係る情報の強調には、他の充電器に係る情報の視認性を低下させる等により、消極的に、特定の充電器に係る情報を認識しやすい状態にすることを含む。
【0055】
図3は、充電可能電力P
maxの演算方法を示す説明図である。
図3(A)は、SOCに対する受入可能電力AP[kW]に係るバッテリ11の特性を示す。
図3(B)は、充電器の出力P
outと、充電可能電力P
maxの関係を示す。
図3(B)では、ある特定のSOCからバッテリ11を充電する場合を例示している。
【0056】
図3(A)に示すように、電動車両10のバッテリ11は、SOCに応じて受入可能電力APが変化する。具体的には、バッテリ11を充電し、ある程度SOCが増加すると、受入可能電力APが減少する。このため、
図3(B)に示すように、充電器の出力P
outが小さいとき(出力P
outが不足気味のとき)には、充電器の出力P
outが大きいほど、充電可能電力P
maxが大きくなる。一方、充電器の出力P
outが大きいとき(出力P
outが過剰気味のとき)には、充電可能電力P
maxは、最大値に到達し、飽和する。
【0057】
したがって、充電可能電力演算部31は、SOCと、バッテリ11の受入可能電力APと、に基づいて、充電器の出力P
outに応じた充電可能電力P
max(
図3(B)のグラフ)を求める。なお、充電量演算部33は、この充電器の出力P
outに応じた充電可能電力P
max(
図3(B)のグラフ)を参照することにより、具体的な充電器の出力P
outに応じた充電可能電力P
maxを演算することができる。
【0058】
図4は、優先的に案内する充電器の決定方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS10では、到達可能充電器抽出部25が、バッテリ11のSOCに基づいて、到達可能充電器を抽出(検索)する。ステップS11では、電力受入条件演算部26において、充電可能電力演算部31及び充電可能速度演算部32が、それぞれ充電可能電力P
max及び充電可能速度S
maxが演算する。ステップS12では、電力供給条件演算部27において、充電量演算部33、充電時間演算部34、及び、充電料金演算部35が、それぞれ、充電可能電力P
max及び充電可能速度S
maxに基づき、充電量P
c、充電時間T
c、及び、充電料金F
cを演算する。
【0059】
ステップS13~S19では、充電器評価部28が、ユーザによって設定された評価モードにしたがって、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fc等に基づいて、到達可能充電器を評価する。
【0060】
具体的には、ステップS13では、充電器評価部28は、充電器の評価モードが料金優先モードであるか否かを確認する。ステップS13において、充電器の評価モードが料金優先モードである場合、ステップS14に進む。そして、ステップS14では、充電器評価部28は充電料金Fcが安い充電器ほど高く評価する。このため、表示制御部29は、充電料金Fcが安い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面を表示部18に表示させる。これにより、ユーザに対して、充電料金Fcが安い充電器が優先的に案内される。
【0061】
ステップS13において、充電器の評価モードが料金優先モードでない場合、ステップS15に進む。ステップS15では、充電器評価部28は、充電器の評価モードが充電量優先モードであるか否かを確認する。ステップS15において、充電器の評価モードが充電量優先モードである場合、ステップS16に進む。そして、ステップS16では、充電器評価部28は、充電量Pcが大きい充電器ほど高く評価する。このため、表示制御部29は、充電量Pcが大きい充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面を表示部18に表示させる。これにより、ユーザに対して、充電量Pcが大きい充電器が優先的に案内される。
【0062】
ステップS15において、充電器の評価モードが充電量優先モードでない場合、ステップS17に進む。ステップS17では、充電器評価部28が、充電器の評価モードが充電時間優先モードであるか否かを確認する。ステップS17において、充電器の評価モードが充電時間優先モードである場合、ステップS18に進む。そして、ステップS18では、充電器評価部28は、充電時間Tcが短い充電器ほど高く評価する。このため、表示制御部29は、充電時間Tcが短い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面を表示部18に表示させる。これにより、ユーザに対して、充電時間Tcが短い充電器が優先的に案内される。
【0063】
ステップS17において、充電器の評価モードが充電時間優先モードでない場合、充電器評価部28は、充電器の評価モードが距離優先モードであると判定し、ステップS19に進む。ステップS19では、充電器評価部28は、電動車両10に近い充電器ほど高く評価する。このため、表示制御部29は、電動車両10に近い充電器に係る情報を、他の充電器に係る情報よりも強調した充電器案内画面を表示部18に表示させる。これにより、ユーザに対して、電動車両10に近い充電器が優先的に案内される。
【0064】
上記のように、充電器案内システム100は、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fcに基づいて充電器を評価し、評価が高い充電器を優先的に案内する。これより、充電器案内システム100は、バッテリ11の特性及び充電器の出力Poutを考慮し、かつ、充電器を検索するときの具体的な状況やユーザの嗜好等に応じて、バッテリ11を充電するために最適な充電器を優先的に案内することができる。その結果、充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。
【0065】
また、充電器案内システム100による充電器の案内は、充電器の設置者にも、充電器を設定するためのコストに見合った利益をもたらす。
【0066】
一般に、出力Poutが大きい充電器ほど設置コストは高くなるが、出力Poutが高い充電器ほど、通常は、充電量Pcが大きく、充電時間Tcが短く、充電料金Fcが安くなる。このため、充電器案内システム100による優先案内にしたがってユーザがバッテリ11を充電する充電器を選択する場合、出力Poutが大きく、設置コストが高い充電器の稼働率が向上する。その結果、出力Poutが大きく、設置コストが高い充電器の設置者は、例えば従来のように距離が近い充電器が案内される場合と比較して、設置コストを回収し、利益を上げやすい。
【0067】
また、出力Poutがそれほど大きくない既存の充電器であっても、充電しようとするバッテリ11の特性によっては、単に出力Poutが大きい充電器、例えばバッテリ11の特性に対して出力過剰な充電器よりも、バッテリ11の充電に適した充電器となる。すなわち、充電器案内システム100によれば、出力Poutがそれほど大きくない既存の充電器であっても、その出力Poutによって最適に充電することができるバッテリ11を搭載した電動車両10が、優先的に案内される。このため、例えば従来のように距離が近い充電器が案内される場合と比較して、出力Poutが大きくない既存の充電器の稼働率も向上する。その結果、既存の充電器の設置者も利益を上げやすい。
【0068】
[第1変形例]
図5は、第1変形例に係る制御装置14の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、第1変形例の充電器案内システム100における制御装置14は、上記実施形態における制御装置14に対し、電力供給条件演算部27に、追加走行距離演算部41と、追加消費電力演算部42と、を加えたものである。
【0069】
追加走行距離演算部41は、電動車両10が走行を予定する経路(以下、走行予定経路という)と、到達可能充電器までの距離(道のり)と、に基づいて、追加走行距離Laを演算する。追加走行距離Laは、予め設定された目的地に到達するまでの走行距離に対し、到達可能充電器に立ち寄ってバッテリ11を充電するために追加となる走行距離である。
【0070】
追加消費電力演算部42は、追加走行距離Laに基づいて、追加消費電力EXPを演算(推定)する。追加消費電力EXPは、追加走行距離Laの走行に要する消費電力である。追加消費電力演算部42は、例えば、追加走行距離Laに、電動車両10が単位距離の走行に消費する平均的な電力(以下、平均消費電力という)を乗じることにより、追加消費電力EXPを演算することができる。なお、平均消費電力は、例えば、バッテリ11のSOCをモニタすることによって取得可能であるため、ここでは既知であるものとする。
【0071】
追加消費電力演算部42は、演算した追加消費電力EXPを充電量演算部33に入力する。このため、本第1変形例では、充電量演算部33は、充電量Pcを補正することにより、実質充電量Pc-actを演算する。実質充電量Pc-actは、追加消費電力EXPが余分に消費されることを考慮した実質的な充電量である。充電量演算部33は、例えば充電量Pcから追加消費電力EXPを減算することにより、実質充電量Pc-actを演算する。
【0072】
また、本第1変形例では、充電料金演算部35は、上記の実質充電量Pc-actと充電時間Tcに基づいて、実質充電料金Fc-actを演算する。実質充電料金Fc-actは、充電器に立ち寄るときに追加消費電力EXPとして余分に失う電力量を考慮した実質的な充電量単価である。充電料金演算部35は、充電時間Tcに応じた料金の総額ΣFcを実質充電量Pc-actによって除算することにより、実質充電料金Fc-actを演算する。
【0073】
そして、本第1変形例では、充電器評価部28は、実質充電量Pc-act、充電時間Tc、実質充電料金Fc-act、または、充電器までの距離に基づいて、特定の充電器(到達可能充電器)を評価する。充電量Pc及び充電料金Fcの代わりに実質充電量Pc-act及び実質充電料金Fc-actを用いることを除けば、充電器評価部28による充電器の具体的な評価方法は上記実施形態と同様である。
【0074】
上記のように、第1変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、充電量Pc及び充電料金Fcの代わりに実質充電量Pc-act及び実質充電料金Fc-actを用いて、充電器を評価する。このため、充電器に立ち寄るために余分に必要となる電力を考慮して、より正確に充電器が評価される。したがって、第1変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、特に期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。
【0075】
[第2変形例]
図6は、第2変形例に係る制御装置14の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、第2変形例の充電器案内システム100における制御装置14は、上記実施形態における制御装置14に対し、電力供給条件演算部27に、追加走行距離演算部41と、追加走行時間演算部43と、を加えたものである。
【0076】
追加走行距離演算部41は、第1変形例と同様であり、走行予定経路と、到達可能充電器までの距離(道のり)と、に基づいて、追加走行距離Laを演算する。
【0077】
追加走行時間演算部43は、追加走行距離Laに基づいて、追加走行時間EXTを演算(推定)する。追加走行時間EXTは、追加走行距離Laの走行に要する時間である。追加走行時間演算部43は、例えば、追加走行距離Laを、電動車両10の平均車速で除算することにより、追加走行時間EXTを演算することができる。なお、電動車両10の平均車速は、電動車両10の車速をモニタすることにより取得可能であるため、個々では既知であるものとする。
【0078】
追加走行時間演算部43は、演算した追加走行時間EXTを充電時間演算部34に入力する。このため、本第2変形例では、充電時間演算部34は、充電時間Tcを補正することにより、実質充電時間Tc-actを演算する。実質充電時間Tc-actは、特定の充電器に立ち寄って充電時間Tcの充電を行うときに要する時間である。充電時間演算部34は、例えば、充電時間Tcに追加走行時間EXTを加算することにより、実質充電時間Tc-actを演算する。
【0079】
なお、本第2変形例では、充電料金演算部35は、充電量Pcと実質充電時間Tc-actではなく、前述の実施形態と同様に、充電量Pcと充電時間Tcを用いて、充電料金Fcを演算する。これは、追加走行時間EXT分の充電料金は生じないからである。
【0080】
そして、本第2変形例では、充電器評価部28は、充電量Pc、実質充電時間Tc-act、充電料金Fc、または、充電器までの距離に基づいて、特定の充電器(到達可能充電器)を評価する。充電時間Tcの代わりに実質充電時間Tc-actを用いることを除けば、充電器評価部28による充電器の具体的な評価方法は上記実施形態と同様である。
【0081】
上記のように、第2変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、充電時間Tcの代わりに実質充電時間Tc-actを用いて、充電器を評価する。このため、充電器に立ち寄るために余分に必要となる時間を考慮して、より正確に充電器が評価される。したがって、第1変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、特に期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。
【0082】
なお、上記第2変形例では、充電料金演算部35は、前述の実施形態と同様に、充電量Pcと充電時間Tcを用いて、充電料金Fcを演算しているが、これに限らない。充電料金演算部35は、実質充電時間Tc-actを用いて、追加走行時間EXTを費用に換算して考慮した実質的な充電料金(以下、実質充電料金Fc-act′という)を演算してもよい。この場合、充電料金演算部35は、例えば、充電量Pc及び充電時間Tcに基づく充電料金Fcに、所定の換算係数α′(図示しない)を乗算することにより、実質充電料金Fc-act′(図示しない)を演算することができる。そして、充電器評価部28が、充電器の評価に、この実質充電料金Fc-act′を用いれば、料金優先モードにおいても、追加走行時間EXTを考慮した最適な料金効率の充電器を優先的に案内することができる。
【0083】
また、換算係数α′は、実験またはシミュレーション等に応じて予め定めることができる。但し、換算係数α′は、ユーザごとに設定または調節できることが好ましい。追加走行時間EXTに相応するコストは、ユーザごとに異なるからである。
【0084】
[第3変形例]
図7は、第3変形例に係る制御装置14の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、第3変形例の充電器案内システム100における制御装置14は、上記実施形態における制御装置14に対し、電力供給条件演算部27に、追加走行距離演算部41、追加消費電力演算部42、及び、追加走行時間演算部43を加えたものである。
【0085】
追加走行距離演算部41、追加消費電力演算部42、及び、追加走行時間演算部43は、前述の第1変形例または第2変形例と同様に構成される。このため、追加消費電力演算部42は、充電量演算部33に追加消費電力EXPを入力する。そして、充電量演算部33は、追加消費電力EXPを用いて、実質充電料金Fc-act′を演算する。また、追加走行時間演算部43は、充電時間演算部34に追加走行時間EXTを入力する。そして、充電時間演算部34は、追加走行時間EXTを用いて、実質充電時間Tc-actを演算する。
【0086】
また、本第3変形例では、充電料金演算部35は、実質充電量Pc-act及び実質充電時間Tc-actに基づいて、実質充電料金Fc-act″を演算する。実質充電料金Fc-act″は、充電器に立ち寄るために、追加消費電力EXPが余分に消費されること、及び、追加走行時間EXTが余分にかかること、を考慮した実質的な充電量単価である。充電料金演算部35は、例えば、充電量Pc及び充電時間Tcに基づく充電料金Fcに、所定の換算係数α″(図示しない)を乗算することにより、実質充電料金Fc-act″を演算することができる。
【0087】
そして、本第3変形例では、充電器評価部28は、実質充電量Pc-act、実質充電時間Tc-act、実質充電料金Fc-act″、または、充電器までの距離に基づいて、特定の充電器(到達可能充電器)を評価する。充電量Pc、充電時間Tc、及び、充電料金Fcの代わりに、実質充電量Pc-act、実質充電時間Tc-act、及び、実質充電料金Fc-act″を用いることを除けば、充電器評価部28による充電器の具体的な評価方法は上記実施形態と同様である。
【0088】
上記のように、第3変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、充電量Pc、充電時間Tc、及び、充電料金Fcの代わりに、実質充電量Pc-act、実質充電時間Tc-act、及び、実質充電料金Fc-act″を用いて、充電器を評価する。このため、充電器に立ち寄るために余分に必要となる電力及び時間を考慮して、より正確に充電器が評価される。したがって、第3変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、特に期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。
【0089】
なお、本第3変形例においても、充電料金演算部35は、前述の実施形態と同様に、充電量Pc及び充電時間Tcに基づく充電料金Fcを演算してもよい。また、充電料金演算部35は、前述の第1変形例と同様に、実質充電量Pc-act及び充電時間Tcに基づく実質充電料金Fc-actを演算してもよい。あるいは、充電料金演算部35は、前述の第2変形例と同様に、充電量Pc及び実質充電時間Tc-actに基づく実質充電料金Fc-act′を演算してもよい。
【0090】
また、換算係数α″は、実験またはシミュレーション等に応じて予め定めることができる。但し、換算係数α″は、ユーザごとに設定または調節できることが好ましい。追加消費電力EXP及び追加走行時間EXT(特に追加走行時間EXT)に相応するコストは、ユーザごとに異なるからである。
【0091】
[第4変形例]
図8は、第4変形例に係る制御装置14の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、第4変形例の充電器案内システム100における制御装置14は、上記実施形態における制御装置14に対し、電力受入条件演算部26に、到着時温度推定部51を加えたものである。
【0092】
到着時温度推定部51は、現在のバッテリ温度Γbat、到達可能充電器への到着時間、及び、温調装置12の性能に基づいて、電動車両10が到達可能充電器に到着するときのバッテリ11の温度である到着時バッテリ温度Γbat′を推定(演算)する。到達可能充電器への到着時間は、通常、カーナビゲーション装置13から取得可能であるため、ここでは既知であるものとする。また、温調装置12が単位時間あたりにバッテリ温度Γbatを上昇または下降させ得る温度は既知である。このため、到着時温度推定部51は、例えば、到達可能充電器への到着時間と温調装置12の性能に応じたバッテリ温度Γbatの変化量を、現在のバッテリ温度Γbatに加算することにより、到着時バッテリ温度Γbat′を演算する。
【0093】
到着時温度推定部51は、到着時バッテリ温度Γbat′を充電可能速度演算部32に入力する。このため、本第4変形例では、充電可能速度演算部32は、温調装置12の作動状況に応じて、現在のバッテリ温度Γbat、または、到着時バッテリ温度Γbat′を用いて、充電可能速度Smaxを演算する。具体的には、本第4実施例では、充電可能速度演算部32は、例えば次のように、充電可能速度Smaxの演算に用いるバッテリ11の温度を、現在のバッテリ温度Γbatと、到着時バッテリ温度Γbat′と、で切り替える。到着時バッテリ温度Γbat′を用いた充電可能速度Smaxの演算方法は、現在のバッテリ温度Γbatを用いる前述の実施形態の演算方法と同様である。
【0094】
図9は、現在のバッテリ温度Γ
batと到着時バッテリ温度Γ
bat′の切り替え方法を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップS21では、制御装置14は、現在のバッテリ温度Γ
batを下限値Γ
Lと比較する。ステップS21において、現在のバッテリ温度Γ
batが下限値Γ
L以下であると判定した場合、ステップS22に進み、制御装置14は、温調装置12によって、バッテリ11を加熱し、昇温させる昇温制御を実行する。この場合、ステップS23に進み、到着時温度推定部51は、到着時バッテリ温度Γ
bat′を推定する。そして、ステップS24において、充電可能速度演算部32は、現在のバッテリ温度Γ
batの代わりに、到着時バッテリ温度Γ
bat′を用いて、充電可能速度S
maxを演算する。
【0095】
ステップS21において、現在のバッテリ温度Γbatが下限値ΓLよりも高い場合、ステップS25に進み、制御装置14は、現在のバッテリ温度Γbatを上限値ΓHと比較する。ステップS25において、現在のバッテリ温度Γbatが上限値ΓH以上であるときには、ステップS26に進み、制御装置14は、温調装置12によって、バッテリ11を冷却し、降温させる冷却制御を実行する。この場合、ステップS23に進み、到着時温度推定部51は、到着時バッテリ温度Γbat′を推定する。そして、ステップS24において、充電可能速度演算部32は、現在のバッテリ温度Γbatの代わりに、到着時バッテリ温度Γbat′を用いて、充電可能速度Smaxを演算する。
【0096】
ステップS25において、現在のバッテリ温度Γbatが上限値ΓHよりも低いときには、制御装置14は、温調装置12による昇温制御及び冷却制御のいずれも実行しない。この場合、ステップS27に進み、充電可能速度演算部32は、現在のバッテリ温度Γbatを用いて、充電可能速度Smaxを演算する。
【0097】
上記のように、第4変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、温調装置12によってバッテリ温度Γbatを制御する必要があるときに到着時バッテリ温度Γbat′を推定し、この到着時バッテリ温度Γbat′を用いて充電可能速度Smaxを演算する。このため、第4変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、充電器に到着するまでにバッテリ温度Γbatが変化する場合でも、正確に、充電量Pc、充電時間Tc、及び、充電料金Fcを見積もることができる。その結果、第4変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、バッテリ11を充電するために最適な充電器を正しく評価し、これを優先的に案内することができる。
【0098】
なお、上記第4変形例では、温調装置12によってバッテリ温度Γbatを制御する必要があるときに到着時バッテリ温度Γbat′を推定しているが、温調装置12によってバッテリ温度Γbatを制御しないときにも、到着時バッテリ温度Γbat′を推定し、到着時バッテリ温度Γbat′を用いて充電可能速度Smaxを演算してもよい。この場合も、バッテリ温度Γbatが変化に応じて、正確に、充電量Pc、充電時間Tc、及び、充電料金Fcを見積もり、最適な充電器を正しく評価し、これを優先的に案内することができる。
【0099】
また、上記第4変形例は、第1~第3変形例の構成と組み合わせて実装することができる。
【0100】
この他、上記実施形態及び第1~第4変形例では、充電量Pc(実質充電量Pc-act)、充電時間Tc(実質充電時間Tc-act)、充電料金(実質充電料金Fc-act′,Fc-act″)、または、充電器までの距離に基づき、設定された評価モードに応じて個別に充電器を評価しているが、これに限らない。充電器評価部28は、充電量Pc(実質充電量Pc-act)、充電時間Tc(実質充電時間Tc-act)、充電料金(実質充電料金Fc-act′,Fc-act″)、または、充電器までの距離に基づく各評価の重み付け和等により、これらのパラメータのうち2以上のパラメータを複合的に評価する評価値を演算してもよい。
【0101】
以上のように、上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法は、車両(10)に搭載されたバッテリ11を充電するための充電器を案内する充電器案内方法である。この充電器案内方法では、バッテリ11の充電率(SOC)に基づいて、バッテリ11の充電可能電力Pmaxを演算し、バッテリ11の温度(Γbat)に基づいて、バッテリ11の充電可能速度Smaxを演算する。また、充電可能電力Pmaxと、充電器の出力Poutと、に基づいて、その充電器を用いてバッテリ11を充電するときの充電量Pcを演算し、充電可能速度Smaxと、充電器の出力Poutと、に基づいて、その充電器を用いてバッテリ11を充電するときに要する時間である充電時間Tcを演算し、充電量Pc及び充電時間Tcに基づいて、その充電器を用いてバッテリ11を充電するときに要する料金である充電料金Fcを演算する。そして、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fcに基づいて、充電器を評価し、評価が高い充電器ほど優先的に案内する。
【0102】
このように、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fcに基づいて、充電器を評価し、評価が高い充電器ほど優先的に案内することにより、バッテリ11の特性及び充電器の出力Poutを考慮し、かつ、充電器を検索するときの具体的な状況やユーザの嗜好等に応じて、バッテリ11を充電するために最適な充電器を優先的に案内することができる。その結果、充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。また、電動車両10のユーザが充電器案内システム100の優先的な案内にしたがって充電器を選択すれば、充電器の稼働率が向上するので、充電器の設置者にも利益がある。
【0103】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、特に、充電料金Fcに基づいて充電器を評価し、充電料金Fcが安い充電器を優先的に案内する。
【0104】
電動車両10のユーザは、当然に、充電料金Fcに応じて、できる限り短い充電時間Tcで多くの充電量Pcを得ることを期待する。このため、上記のように、充電料金Fcが安い充電器を優先的に案内すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。すなわち、充電料金Fcが安い充電器を優先的に案内することで、特に、ユーザの期待に沿った最適な充電器を案内しやすい。
【0105】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、充電量Pcに基づいて充電器を評価し、充電量Pcが多い充電器を優先的に案内する。
【0106】
電動車両10のユーザは、充電料金Fcや充電時間Tcの効率が多少よくないとしても、できるだけ多くの充電量Pcが得らえることを期待する場合がある。このような場合、上記のように、充電量Pcが多い充電器を優先的に案内すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。すなわち、充電量Pcが多い充電器を優先的に案内することで、多くの充電量Pcが得られることを期待するユーザに対し、特に、ユーザの期待に沿った最適な充電器を案内しやすい。
【0107】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、充電時間Tcに基づいて充電器を評価し、充電時間Tcが短い充電器を優先的に案内する。
【0108】
電動車両10のユーザは、短い充電時間Tcで充電を完了することを期待する場合がある。このような場合、上記のように、充電時間Tcが短い充電器を優先的に案内すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。すなわち、充電時間Tcが短い充電器を優先的に案内することで、短時間で充電することを期待するユーザに対し、特に、ユーザの期待に沿った最適な充電器を案内しやすい。
【0109】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、充電料金Fcに基づいて充電器を評価することにより、充電料金Fcが安い充電器を優先的に案内する料金優先モードと、充電量Pcに基づいて充電器を評価することにより、充電量Pcが多い充電器を優先的に案内する充電量優先モードと、充電時間Tcに基づいて充電器を評価することにより、充電時間Tcが短い充電器を優先的に案内する充電時間優先モードと、を有し、ユーザによる選択に応じて、料金優先モード、充電量優先モード、または、充電時間優先モードのうちいずれか1つのモードによって充電器を案内する。
【0110】
このように、料金優先モード、充電量優先モード、または、充電時間優先モードのいずれかの評価モードで充電器を評価し、その評価に応じた充電器を案内すれば、様々なユーザに対し、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる最適な充電器を案内しやすい。
【0111】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、バッテリ11の温度(Γbat)が予め定める上限値ΓH以上であるときには、充電可能速度Smaxは、バッテリ11の温度(Γbat)が高いほど、遅くなるように演算され、バッテリ11の温度(Γbat)が予め定める下限値ΓL以下であるときときには、充電可能速度Smaxは、バッテリ11の温度(Γbat)が低いほど、遅くなるように演算される。
【0112】
このように、バッテリ温度Γbatが特に高い場合または特に低い場合に、演算する充電可能速度Smaxが遅くなるようにすれば、バッテリ11を保護するために課すべき充電可能速度Smaxの条件を満たしつつ、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0113】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、バッテリ11の温度(Γbat)と、充電器が設置された環境の気温Γenvと、に基づいて充電可能速度Smaxを演算する。
【0114】
充電可能速度Smaxは、現在のバッテリ温度Γbatだけでなく、実際に充電をする環境(充電器が設置された場所)の温度(Γenv)によっても影響を受ける。このため、上記のように、バッテリ温度Γbatだけでなく、充電器が設置された環境の気温Γenvに応じて充電可能速度Smaxを演算すれば、特に適切な充電可能速度Smaxを演算することができる。その結果、バッテリ11を保護するために課すべき充電可能速度Smaxの条件を満たしつつ、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0115】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内方法では、充電可能速度Smaxは、気温Γenvが高いほど、遅くなるように演算される。
【0116】
充電器が設置された環境の温度(気温Γenv)を考慮する場合、上記のように、気温Γenvが高いほど、充電可能速度Smaxが遅くなるように演算すれば、バッテリ11を保護するために課すべき充電可能速度Smaxの条件を満たしつつ、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0117】
上記第1変形例に係る充電器案内方法では、予め設定された目的地に到達するまでの走行距離に対し、充電器に立ち寄るために追加となる走行距離である追加走行距離Laを演算し、追加走行距離Laの走行に要する消費電力である追加消費電力EXPを演算し、充電量Pcから追加消費電力EXPを減算することにより、実質的な充電量である実質充電量Pc-actを演算する。そして、実質充電量Pc-act及び充電時間Tcに基づいて、充電料金(実質充電料金Fc-act)を演算する。
【0118】
このように、実質充電料金Fc-actに基づく評価に応じて充電器を案内すれば、追加消費電力EXPを考慮して、特に、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0119】
上記第3変形例に係る充電器案内方法では、予め設定された目的地に到達するまでの走行距離に対し、充電器に立ち寄るために追加となる走行距離である追加走行距離Laを演算し、追加走行距離Laの走行に要する消費電力である追加消費電力EXPを演算し、充電量Pcから追加消費電力EXPを減算することにより、実質的な充電量である実質充電量Pc-actを演算し、実質的な充電時間として、充電器に立ち寄って充電時間Tcの充電を行うときに要する時間である実質充電時間Tc-actを演算し、実質充電量Pc-actと実質充電時間Tc-actに基づいて、実質的な充電料金である実質充電料金Fc-act″を演算する。そして、実質充電料金Fc-act″に基づいて充電器を評価し、実質充電料金Fc-act″が安い充電器を優先的に案内する。
【0120】
このように、実質充電料金Fc-act″に基づく評価に応じて充電器を案内すれば、追加消費電力EXP及び追加走行時間EXTを考慮して、特に、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0121】
上記第3変形例に係る充電器案内方法では、充電量Pc及び充電時間Tcに基づく充電料金Fcに、実質充電量Pc-act及び実質充電時間Tc-actに予め定める係数(α″)を乗算することにより、充電料金Fcを実質充電料金Fc-act″に換算し、かつ、係数(α″)は、車両(10)のユーザごとに設定される。
【0122】
追加消費電力EXP及び追加走行時間EXT(特に追加走行時間EXT)に相応するコストはユーザによって様々である。このため、上記のように、充電量Pc及び充電時間Tcに基づく充電料金Fcを実質充電料金Fc-act″に換算し、かつ、その際の換算係数α″をユーザに応じた可変設定とすれば、特に、ユーザの期待に応える最適な充電器を優先的に案内しやすい。
【0123】
上記第4変形例に係る充電器案内方法では、少なくとも車両(10)が充電器に到着するまでに、温調装置12によって、バッテリ11を加熱または冷却し、現在のバッテリ11の温度(Γbat)、充電器への到着時間、及び、温調装置12の性能に基づいて、車両(10)が充電器に到着するときのバッテリ11の温度である到着時バッテリ温度Γbat′を推定する。そして、到着時バッテリ温度Γbat′に基づいて、充電可能速度Smaxを演算する。
【0124】
このように、温調装置12によってバッテリ温度Γbatを制御する必要があるときに到着時バッテリ温度Γbat′を推定し、この到着時バッテリ温度Γbat′を用いて充電可能速度Smaxを演算すれば、充電器に到着するまでにバッテリ温度Γbatが変化する場合でも、正確に、充電量Pc、充電時間Tc、及び、充電料金Fcを見積もることができる。その結果、第4変形例の制御装置14を有する充電器案内システム100は、バッテリ11を充電するために最適な充電器を正しく評価し、これを優先的に案内することができる。
【0125】
上記実施形態及び各変形例等に係る充電器案内システムは、車両(10)に搭載されたバッテリ11を充電するための充電器を案内する充電器案内システム100である。この充電器案内システム100は、バッテリ11の充電率(SOC)に基づいて、バッテリ11の充電可能電力Pmaxを演算する充電可能電力演算部31と、バッテリ11の温度(Γbat)に基づいて、バッテリ11の充電可能速度Smaxを演算する充電可能速度演算部32と、を含む。また、充電可能電力Pmaxと、充電器の出力Poutと、に基づいて、その充電器を用いてバッテリ11を充電するときの充電量Pcを演算する充電量演算部33と、充電可能速度Smaxと、充電器の出力Poutと、に基づいて、その充電器を用いてバッテリ11を充電するときの充電時間Tcを演算する充電時間演算部34と、充電量Pc及び充電時間Tcに基づいて、充電器を用いてバッテリ11を充電するときに要する料金である充電料金Fcを演算する充電料金演算部35と、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fcに基づいて、充電器を評価する充電器評価部28と、を含む。そして、充電器案内システム100は、この評価が高い充電器ほど優先的に案内する。
【0126】
このように、充電量Pc、充電時間Tc、または、充電料金Fcに基づいて、充電器を評価し、評価が高い充電器ほど優先的に案内することにより、バッテリ11の特性及び充電器の出力Poutを考慮し、かつ、充電器を検索するときの具体的な状況やユーザの嗜好等に応じて、バッテリ11を充電するために最適な充電器を優先的に案内することができる。その結果、充電器案内システム100が優先的に案内する充電器を用いてバッテリ11を充電すれば、ユーザは、概ね期待どおりの充電効率でバッテリ11を充電することができる。また、電動車両10のユーザが充電器案内システム100の優先的な案内にしたがって充電器を選択すれば、充電器の稼働率が向上するので、充電器の設置者にも利益がある。
【0127】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0128】
例えば、上記実施形態及び各変形例では、電動車両10がカーナビゲーション装置13を含んでいるが、これに限らない。電動車両10と通信可能なスマートフォン等の外部機器がカーナビゲーション装置13として機能する場合、電動車両10はカーナビゲーション装置13を含んでいなくてもよく、電動車両10はそのスマートフォン等をカーナビゲーション装置13として用いることができる。
【符号の説明】
【0129】
10:電動車両,11:バッテリ,12:温調装置,13:カーナビゲーション装置,14:制御装置,15:ヒータ,16:HVAC装置,17:操作部,18:表示部,19:通信部,20:サーバ,21:インターネット,25:到達可能充電器抽出部,26:電力受入条件演算部,27:電力供給条件演算部,28:充電器評価部,29:表示制御部,31:充電可能電力演算部,32:充電可能速度演算部,33:充電量演算部,34:充電時間演算部,35:充電料金演算部,41:追加走行距離演算部,42:追加消費電力演算部,43:追加走行時間演算部,51:到着時温度推定部,100:充電器案内システム