(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151658
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】食料移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/32 20060101AFI20241018BHJP
B65G 21/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65G33/32
B65G21/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065180
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩人
【テーマコード(参考)】
3F025
3F040
【Fターム(参考)】
3F025BA01
3F025BB06
3F025BB07
3F025BC04
3F040AA08
3F040AA10
3F040BA01
3F040EA04
(57)【要約】
【課題】メンテナンスが容易な食料移送装置を実現すること。
【解決手段】食料を貯留する貯留部の一側に、この貯留部内の食料を上方へ移送して排出する上方移送部を立設し、貯留部には、貯留された食料を前記上方移送部側へ向けて横移送する第1移送部材を設け、上方移送部には、第1移送部材によって横移送された食料を引き継いで上方へ移送する第2移送部材を設けた食料移送装置において、第1移送部材と第2移送部材を駆動する駆動源を、貯留部の近傍に設け、この駆動源から第2移送部材へ至る伝動経路に伝動継手を設け、この伝動継手を囲うカバーと、上方移送部における第2移送部材の周囲を囲う壁体とをそれぞれ開閉自在に設け、この壁体の開閉とカバーの開閉とを連動させる連動手段を設ける。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生肉等の食料を貯留する貯留部(3B)の一側に、この貯留部(3B)内の食料を上方へ移送して排出する上方移送部(3C)を立設し、前記貯留部(3B)には、貯留された食料を前記上方移送部(3C)側へ向けて横移送する第1移送部材(3D)を設け、前記上方移送部(3C)には、前記第1移送部材(3D)によって横移送された食料を引き継いで上方へ移送する第2移送部材(3E)を設けた食料移送装置において、前記第1移送部材(3D)と第2移送部材(3E)を駆動する駆動源(21)を、前記貯留部(3B)の近傍に設け、この駆動源(21)から第2移送部材(3E)へ至る伝動経路に伝動継手(23)を設け、前記上方移送部(3C)における第2移送部材(3E)の周囲を囲う壁体(13)と前記伝動継手(23)を囲うカバー(26)とをそれぞれ開閉自在に設け、前記壁体(13)とカバー(26)を連動して開閉させる連動手段(29)を設けたことを特徴とする食料移送装置。
【請求項2】
前記壁体(13)を、固定側の第1壁体(13R)と移動側の第2壁体(13L)とに分割し、前記カバー(26)を、固定側の第1カバー(26R)と移動側の第2カバー(26L)とに分割し、前記第2壁体(13L)と前記第2カバー(26L)とが同側方へ移動して開閉する構成とした請求項1に記載の食料移送装置。
【請求項3】
前記伝動継手(23)において、前記第2カバー(26L)によって囲われる範囲を、前記第1カバー(26R)によって囲われる範囲よりも大きく設定した請求項2に記載の食料移送装置。
【請求項4】
前記第2壁体(13L)と第2カバー(26L)のそれぞれを、その各一側に配置した第1縦軸(P1)および第2縦軸(P2)を介して揺動開閉自在に軸支し、前記第2壁体(13L)と第2カバー(26L)を連動手段(29)で連結した請求項3に記載の食料移送装置。
【請求項5】
前記連動手段(29)を前記上方移送部(3C)の底面に略沿わせて配置した請求項4に記載の食料移送装置。
【請求項6】
前記貯留部(3B)と駆動源(21)を機枠(3A)に搭載し、前記駆動源(21)で駆動される長尺の伝動軸(22)を、前記機枠(3A)の後端よりも後方へ延在させ、前記上方移送部(3C)の下側部に前記第2移送部材(3E)を連動する伝動ケース(24)を設け、前記機枠(3A)の後端と伝動ケース(24)との間に形成される空間(S)に前記伝動継手(23)を配置し、前記伝動軸(22)の後端部から前記伝動継手(23)を介して伝動ケース(24)に入力する構成とした請求項5に記載の食料移送装置。
【請求項7】
前記壁体(13)の開閉状態を検出する検出手段(30)を設け、この検出手段(30)が前記カバー(26)の開閉状態を検出する検出手段を兼用する構成とした請求項6に記載の食料移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生肉等の食料を移送する食料移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば生肉等の食料を加工する工場では、加工対象の食料を前工程の装置から後工程の装置へ引き継ぎながら、一連の装置による加工処理が行われる。
このとき、前工程の装置の排出口の高さと、後工程の装置の供給口の高さとが異なる場合、加工中の食料の引き継ぎに支障を来す。
【0003】
そこで、加工対象の食料を前工程の装置から受け取り、上方移送してから後工程の装置へ供給する食料移送装置を設け、食料の引き継ぎを円滑化している。
この食料移送装置は、食料を貯留する貯留部の一側に揚上移送部を立設し、貯留部の底部には、貯留された食料を揚上移送部側へ向けて送る横移送螺旋を設け、揚上移送部には、横移送螺旋によって送られてきた食料を引き継いで上方へ送る揚上移送螺旋を設けたものである。
【0004】
また、横移送螺旋と揚上移送螺旋を連動して駆動する電動モーターを設け、この電動モーターから揚上移送螺旋に至る伝動経路に伝動継手を設けている。
この伝動継手は、メンテナンスのために貯留部から揚上移送部を離脱させるときに、伝動経路を分離するために設けられるものである。
【0005】
また、この低位置で駆動回転する伝動継手は、作業者の安全性を高めるために固定のカバーで覆われている。
また、このような食料移送装置は、衛生上の観点から適時に内部の洗浄作業を行う必要がある。
このため、特許文献1に示すように、揚上移送部において揚上移送螺旋の周囲を囲う壁体を、開放可能な構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の食料移送装置において、伝動継手を覆うカバーは、低位置で駆動回転する伝動継手への作業者の接触を防ぐために、この伝動継手の上面と左右両側面のみを覆うものとしていた。
このため、このカバーの下面は開放されており、工場の床面に落下していた細かい食料片や食料粉が、洗浄作業時の圧力水と共に床面から跳ね上がってカバー内に入り込み、グリスアップされた伝動継手に付着してしまう。
【0008】
一方、このカバーを筒状に構成して伝動継手の下面まで覆うことが考えられるが、このようにした場合、
図20に示すように、伝動継手Cの接続および離脱作業時に、カバーKを分割して取り外し、作業後に再び装着するように構成しなければならない。
このため、カバーKの再装着時において、カバーKの分割面や、このカバーKの端部と機枠Mとの間に、少なくとも僅かな隙間が生じ、洗浄時の圧力水による食料片等の侵入を十分に防ぐことができなくなる。
【0009】
これによって、
図20に示すように、カバーK内に侵入した食料片等が、グリスと共に伝動継手C部分に付着ないし堆積して不衛生なものとなり、食料加工工場における衛生管理上の問題を生じるおそれがあった。
本発明は、衛生管理上の問題が生じにくい食料移送装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、生肉等の食料を貯留する貯留部(3B)の一側に、この貯留部(3B)内の食料を上方へ移送して排出する上方移送部(3C)を立設し、前記貯留部(3B)には、貯留された食料を前記上方移送部(3C)側へ向けて横移送する第1移送部材(3D)を設け、前記上方移送部(3C)には、前記第1移送部材(3D)によって横移送された食料を引き継いで上方へ移送する第2移送部材(3E)を設けた食料移送装置において、前記第1移送部材(3D)と第2移送部材(3E)を駆動する駆動源(21)を、前記貯留部(3B)の近傍に設け、この駆動源(21)から第2移送部材(3E)へ至る伝動経路に伝動継手(23)を設け、前記上方移送部(3C)における第2移送部材(3E)の周囲を囲う壁体(13)と前記伝動継手(23)を囲うカバー(26)とをそれぞれ開閉自在に設け、前記壁体(13)とカバー(26)を連動して開閉させる連動手段(29)を設けたことを特徴とする食料移送装置とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記壁体(13)を、固定側の第1壁体(13R)と移動側の第2壁体(13L)とに分割し、前記カバー(26)を、固定側の第1カバー(26R)と移動側の第2カバー(26L)とに分割し、前記第2壁体(13L)と前記第2カバー(26L)とが同側方へ移動して開閉する構成とした請求項1に記載の食料移送装置とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記伝動継手(23)において、前記第2カバー(26L)によって囲われる範囲を、前記第1カバー(26R)によって囲われる範囲よりも大きく設定した請求項2に記載の食料移送装置とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記第2壁体(13L)と第2カバー(26L)のそれぞれを、その各一側に配置した第1縦軸(P1)および第2縦軸(P2)を介して揺動開閉自在に軸支し、前記第2壁体(13L)と第2カバー(26L)を連動手段(29)で連結した請求項3に記載の食料移送装置とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記連動手段(29)を前記上方移送部(3C)の底面に略沿わせて配置した請求項4に記載の食料移送装置とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記貯留部(3B)と駆動源(21)を機枠(3A)に搭載し、前記駆動源(21)で駆動される長尺の伝動軸(22)を、前記機枠(3A)の後端よりも後方へ延在させ、前記上方移送部(3C)の下側部に前記第2移送部材(3E)を連動する伝動ケース(24)を設け、前記機枠(3A)の後端と伝動ケース(24)との間に形成される空間(S)に前記伝動継手(23)を配置し、前記伝動軸(22)の後端部から前記伝動継手(23)を介して伝動ケース(24)に入力する構成とした請求項5に記載の食料移送装置とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記壁体(13)の開閉状態を検出する検出手段(30)を設け、この検出手段(30)が前記カバー(26)の開閉状態を検出する検出手段を兼用する構成とした請求項6に記載の食料移送装置とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上方移送部のメンテナンス時に、伝動継手部分のメンテナンスも容易に行うことができるものとなり、衛生管理上の問題が生じにくい食料移送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】食肉加工工場内設備の一例を模式的に示す説明図である。
【
図2】作業状態におけるバーチカルコンベア(食料移送装置)の左側面図である。
【
図3】作業状態におけるバーチカルコンベアの右側面図である。
【
図4】作業状態におけるバーチカルコンベアの正面図である。
【
図5】作業状態におけるバーチカルコンベアの背面図である。
【
図6】作業状態におけるバーチカルコンベアの平面図である。
【
図7】作業状態におけるバーチカルコンベアの底面図である。
【
図8】要部を破断して示すバーチカルコンベアの説明用左側面図である。
【
図9】一部を省略して示すバーチカルコンベアの説明用斜視図である。
【
図10】貯留槽(貯留部)を断面して示す説明用左側面図である。
【
図11】ロック装置の説明図であって、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
【
図12】メンテナンス状態におけるバーチカルコンベアの左側面図である。
【
図13】メンテナンス状態におけるバーチカルコンベアの正面図である。
【
図14】メンテナンス状態におけるバーチカルコンベアの背面図である。
【
図15】メンテナンス状態におけるバーチカルコンベアの底面図である。
【
図16】作業状態における要部の説明図であって、(a)は説明用平面図、(b)は(a)から一部の部材を省略して示す説明用平面図である。
【
図18】メンテナンス状態における要部の作動状態説明図であって、(a)は説明用平面図、(b)は(a)から一部の部材を省略して示す説明用平面図である。
【
図20】従来技術において伝動継手のカバーを分割して取り外した状態の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態においては、食肉加工工場にて使用されるバーチカルコンベア(垂直移送装置)を食料移送装置の一実施例として、以下に詳述する。
なお、このバーチカルコンベアによる移送方向を基準として、その移送方向上流側を「前側」、移送方向下流側を「後側」と定義し、下流側に向いた状態での左手側を「左側」、右手側を「右側」と定義して説明する。
【0020】
(工場内設備)
図1に示すように、食肉加工工場1内には、フレーカーミキサーグラインダー2と、バーチカルコンベア(本発明の「食料移送装置」)3と、チョッパー4と、トレーコンベア5が直列状態に配置される。
【0021】
フレーカーミキサーグラインダー2は、冷凍された生の塊状肉(小肉片を寄せ集めて冷凍し大きな塊状にしたもの)をプッシャー2Aに装填し、このプッシャー2Aによって、塊状肉を駆動回転するローター2B側に押し込み、このローター2Bの外周に取り付けられた多数の刃で小肉片に切削するものである。
切削された小肉片は、下方で回転するパドル2Cで攪拌され、シリンダー2D内へ続く螺旋2Eによって圧送され、シリンダー2Dの先端に備えたプレート2Fの多数の貫通孔から押し出されて粗挽き肉(請求項の「食料」に含まれるもの)となる。
【0022】
バーチカルコンベア3は、機枠3Aに、上面が開放されたバケット状の容器である貯留槽(請求項の「貯留部」)3Bと、この貯留槽3Bの後側に配置される円筒状の上方移送部3Cを取り付けて構成する。
貯留槽3Bの内底部には、底部移送螺旋(請求項の「第1移送部材」)3Dを前後方向の横軸心(略水平な方向の軸心)まわりに駆動回転自在に備える。
また、上方移送部3C内には、揚上移送螺旋(請求項の「第2移送部材」)3Eを上下方向の縦軸心(略鉛直な方向の軸心)まわりに駆動回転自在に備える。
【0023】
フレーカーミキサーグラインダー2のプレート2Fの多数の貫通孔から押し出された粗挽き肉は、バーチカルコンベア3の貯留槽3Bに供給され、底部移送螺旋3Dの回転によって後側へ移送され、揚上移送螺旋3Eの下端部へ引き継がれる。
揚上移送螺旋3Eの下端部に引き継がれた粗挽き肉は、この揚上移送螺旋3Eの回転によって上方へ移送され、上方移送部3Cの上端部に備えた排出シュート3Fから排出される。
なお、このバーチカルコンベア3の具体構成については後述する。
【0024】
チョッパー4は、バーチカルコンベア3の排出シュート3Fから排出された粗挽き肉を、上面に形成された供給口から受け、シリンダー4A内へ続く螺旋4Bによって圧送し、シリンダー4Aの先端に備えたプレート4Cの多数の貫通孔から押し出して挽き肉とする。
このチョッパー4のプレート4Cの貫通孔の内径は、フレーカーミキサーグラインダー2のプレート2Fの貫通孔の内径よりも小さく形成されている。
粗挽き肉がこのチョッパー4のプレート4Cの貫通孔から押し出されることで、二度挽き(仕上げ挽き)されて商品となる。
【0025】
なお、トレーコンベア5は、チョッパー4のプレート4Cの貫通孔から押し出された挽き肉を盛り付けるトレー5Aを、順次搬送するものである。
このトレーコンベア5での搬送中に、挽き肉が盛り付けられたトレー5Aにラップがかけられ、重量等を表示したラベルが貼付されて出荷される。
【0026】
(バーチカルコンベア)
しかして、
図2~
図10に示すように、バーチカルコンベア3は、平面視で略矩形に枠組みされた機枠3Aを基体として構成する。
この機枠3Aの前後左右の4箇所に、ロック機構付きのキャスター6を転向自在に取り付け、この機枠3Aの上部に、平面視で矩形の貯留槽3Bを搭載して締結固定する。
そして、この貯留槽3Bの後側に、上方移送部3Cを立設する。
なお、このバーチカルコンベア3における粗挽き肉と接触する部分は、ステンレス鋼材で形成される。
【0027】
(貯留槽)
図6、
図9に示すように、貯留槽3Bの底部には、底部移送螺旋3Dを駆動回転自在に前後方向に配置し、この底部移送螺旋3Dの左右両側に、この底部移送螺旋3Dに向けて下がり傾斜する傾斜面を形成する。
また、この貯留槽3Bの上面は、後部に装着した安全カバー3BCを除く範囲を開放する。
【0028】
なお、この安全カバー3BCは、貯留槽3Bの内部を視認可能な目抜き板状に形成し、その一側端部を、貯留槽3Bの上縁部にヒンジを介して取り付け、開閉自在とする。
また、貯留槽3Bの後壁7の下部に貫通穴7Hを形成し、この貫通穴7Hから底部移送螺旋3Dを前方へ挿入して、貯留槽3Bの底部に設置するように構成する。
この状態において、底部移送螺旋3Dの後端部は、後壁7の貫通穴7Hから後方へ延在する。
【0029】
(上方移送部)
図8、
図9に示すように、上方移送部3Cには、上下方向(略鉛直方向)に延在する揚上移送螺旋3Eの周囲を囲う円筒状の壁体13を立設する。
そして、この揚上移送螺旋3Eの上下両端部を、壁体13の上側に設けた軸受部8と下側に設けた軸受部9によって回転自在に軸受して支持する。
【0030】
この揚上移送螺旋3Eは、丸パイプ状の螺旋軸筒10に対して薄板状の螺旋板11を巻着して形成する。
なお、この螺旋軸筒10は、上側の螺旋軸筒10Uの下端部と下側の螺旋軸筒10Dの上端部とを、接続部12で分離可能に接続して構成する。
これによって、揚上移送螺旋3Eを上方移送部3Cに着脱する作業が容易となる。
【0031】
また、上述した揚上移送螺旋3Eの周囲を囲う円筒状の壁体13を、半割れ状の右側壁体(請求項の「第1壁体」)13Rと左側壁体(請求項の「第2壁体」)13Lとに分割形成する。
そして、
図3、
図5に示すように、右側壁体13Rの上下方向長さを、左側壁体13Lの上下方向長さよりも短く形成し、この右側壁体13Rの下端にフランジ部13RFを形成する。
【0032】
また、左側壁体13Lの下端にフランジ部13LFを形成する。
一方、貯留槽3Bの後壁7と機枠3Aに亘って引継ぎ筒14を固定し、この引継ぎ筒14の左側部分に形成した上下方向の半円筒部14Aの上端にフランジ部14AFを形成する。
そして、このフランジ部14AFの上面に、右側壁体13Rの下端に形成したフランジ部13RFを接合した状態で固定する。
【0033】
なお、引継ぎ筒14の右側部分には、半円筒部14Aの下部側面に形成した開口部14AHと連通する前後方向の筒部14Sを一体成形する。
この前後方向の筒部14Sの前端部を、貯留槽3Bの後壁7に形成した貫通穴7Hの周壁に接合させて固定する。
これによって、後壁7の貫通穴7Hから後方へ延在する底部移送螺旋3Dの後端部が、前後方向の筒部14S内に配置され、この筒部14Sの後端部に設けた軸受14SGによって回転自在に支持される。
【0034】
そして、
図5、
図14に示すように、引継ぎ筒14における半円筒部14Aの下端にフランジ部14BFを形成し、このフランジ部14BFの下面を円盤状の支持板体15の上面に接合させて固定する。
なお、右側壁体13Rの外周に溶接固定した円弧状の補強帯板16Hの外周縁に、上下方向に長尺に形成した補強板16を溶接固定し、この補強板16の下部と、貯留槽3Bにおける後壁7の上端部とを、連結部材17で連結する。
【0035】
これによって、右側壁体13Rが上下方向の姿勢を維持するよう強固に支持される。
なお、この補強板16に、バーチカルコンベア3を駆動制御するコントロールボックス18を、ステー18Sを介して支持する。
そして、左側壁体13Lは、右側壁体13Rの後端縁に対して上下方向5箇所に設けた縦軸(請求項の「第1縦軸」)P1を中心として水平回動自在に支持する。
【0036】
これによって、左側壁体13Lを閉鎖方向へ水平回動させると、
図16、
図17に示すように、この左側壁体13Lの下端に一体形成したフランジ部13LFの下面が、支持板体15の上面に接合される。
そして、この左側壁体13Lの自由端縁に形成した上下方向のフランジ面13LSの内側面と、右側壁体13Rの前端縁に形成した上下方向のフランジ面13RSの内側面とが当接し、左側壁体13Lが閉鎖した状態(壁体13が閉鎖した状態)となる。
この状態をロック装置19で保持することによって、壁体13内が略密閉された状態に維持される。
【0037】
(ロック装置)
図11に示すように、ロック装置19は、ホルダー19Aと、ロックハンドル19Bと、ロックアーム19Cと、中間リンク19Dを備える。
ロックハンドル19Bの基部を、中間リンク19Dの一端部に軸19GAで揺動自在に軸支し、この中間リンク19Dの他端部を、ホルダー19Aの一側に形成した貫通孔に軸19Eで揺動自在に軸支する。
【0038】
また、ロックアーム19Cの基部を、ホルダー19Aの他側に形成した貫通孔に軸19Fで揺動自在に軸支する。
そして、ロックハンドル19Bの基部とロックアーム19Cの基部を、軸19GBで回動自在に連結する。
【0039】
ロックアーム19Cの先端部には長楕円に近似した形状の空間部19Hを形成し、この空間部19Hに押圧部材19Jの螺子部19Kを挿通する。
この螺子部19Kの上部と下部に螺合したナット19L,19Lを、ロックアーム19Cの先端部を両側から挟む位置に配置する。
このナット19L,19Lの調節によって、ロックアーム19Cの先端部に対する押圧部材19Jの先端部の突出位置を調節可能とする。
【0040】
そして、ホルダー19Aを、補強板16に支持した状態でフランジ部13RSの外側近傍に配置したステー20に重ね、締結固定する。
これにより、ロックハンドル19Bは左右方向へ揺動操作するものとなる。
【0041】
以上の構成により、左側壁体13Lが完全に閉鎖し、この左側壁体13Lの自由端縁部のフランジ面13LSの内側面と、右側壁体13Rの前端縁のフランジ面13RSの内側面とが当接した状態で、ロックハンドル19Bの自由端部を右側へ押し込む。
このとき、ロックハンドル19Bの基部が、ホルダー19Aにおける軸19Eを支持した部位の外縁に当接した状態で、このロックハンドル19Bが揺動する。
これによって、軸19GBを介してロックアーム19Cの基部が押され、押圧部材19Jが揺動して、その先端が左側壁体13Lのフランジ面13LSの外側面に当接し、このフランジ面13LSを右側壁体13Rのフランジ面13RS側へ押し付ける。
【0042】
この状態で、軸19Eと軸19GBとを結ぶ直線に対して、軸19GAが、ホルダー19Aに形成した凹部19Mから出て死点超えする。
すなわち、中間リンク19Dによって軸19GAを突っ張った状態となる。
これによって、壁体13が閉鎖状態に保持される。
この壁体13を開放する際には、ロックハンドル19Bを左側へ引き操作すると、フランジ面13RSに対するフランジ面13LSの押し付けが解除され、左側壁体13Lが手動で開放可能な状態となる。
【0043】
(伝動)
図7、
図8、
図9に示すように、機枠3Aの左側上部に電動モーター21を搭載して固定し、この電動モーター21の右側近傍の位置に、伝動軸22を前後の軸受22F,22Rによって回転自在に支持する。
そして、電動モーター21の出力軸に固定した出力スプロケット21Aと、伝動軸22の中間部に固定した入力スプロケット22Aにわたって、伝動チェーン(図示省略)を巻き掛ける。
【0044】
また、伝動軸22における前側の軸受22Fから前方へ突出した部位に、出力スプロケット22Bを固定する。
一方、底部移送螺旋3Dの前端部を、伝動継手3DA(
図6参照)を介して、軸受3DBに支持する。
この軸受3DBは、機枠3Aに固定したステー3DSの前側面に取り付ける。
【0045】
このステー3DSと貯留槽3Bの前壁との間の空間に、伝動継手3DAを介して底部移送螺旋3Dへ伝動する入力スプロケット3DPを配置する。
そして、出力スプロケット22Bと入力スプロケット3DPにわたって伝動チェーン(図示省略)を巻き掛ける。
【0046】
一方、
図8に示すように、伝動軸22における後側の軸受22Rから後側へ突出した部位に、伝動継手23を形成する一方の出力片23Fを固定する。
また、上方移送部3C内の空間の底面を形成する支持板15の下面に、伝動ケース24を固定し、この伝動ケース24から前側へ突出した入力軸24Aの端部に、伝動継手23を形成する他方の入力片24Bを固定する。
【0047】
これら出力片23Fと入力片24Bの夫々には、対向する爪部を形成し、この爪部が回転方向において係合することで、動力伝達がなされるように構成する。
なお、伝動ケース24には、入力軸24Aの基部と、上方へ突出する出力軸24Cの基部とを連動するベベルギヤ伝動機構(図示省略)を内蔵する。
なお、この伝動ケース24と機枠3Aの後端との間に形成される空間Sに、伝動継手23が配置される。
【0048】
また、下側の螺旋軸筒10Dの下端部を、出力軸24Cの上部に相対回転不能に嵌合させる。
これによって螺旋軸筒10の下端部が軸受支持される。
すなわち、この伝動ケース24が、下側の軸受部9となる。
一方、螺旋軸筒10の上端部は、上側の軸受部8に軸受8A,8Aで支持された回転軸8Bの下端部に、伝動継手25を介して接続する。
【0049】
(コントロールボックス)
前述のコントロールボックス18の前面には、起動スイッチ18Aと、停止スイッチ18Bと、緊急停止スイッチ18Cと、速度選択スイッチ18Dを配置する。
起動スイッチ18Aは、電動モーター21へ電力を供給してこの電動モーター21を駆動させるものである。
停止スイッチ18Bは、電動モーター21への電力供給を所定時間維持した後に自動的に遮断することで、この電動モーター21を時間遅れを持たせてから停止させるものである。
【0050】
緊急停止スイッチ18Cは、電動モーター21への電力供給を即座に遮断してこの電動モーター21を急停止させるものである。
速度選択スイッチ18Dは、電動モーター21へ供給される電力量を段階的に変更し、この電動モーター21の出力回転速度を変更するものである。
なお、電動モーター21へ供給する電力は、食肉加工工場1内の設備電源から得る。
【0051】
(伝動継手のカバーと連動開閉機構)
図7、
図15~
図19に示すように、前述の伝動継手23を囲うカバー26を設ける。
このカバー26は、伝動継手23における右側部分を覆う断面コ字形状の右側カバー(請求項の「第1カバー」)26Rと、伝動継手23における左側部分を覆う断面コ字形状の左側カバー(請求項の「第2カバー」)26Lとから形成する。
【0052】
右側カバー26Rは、機枠3Aにおける固定部に取り付ける。
一方、左側カバー26Lは、その後部左側の部位を、伝動ケース24に固定したステー27とヒンジ28を介して、縦軸P2(請求項の「第2縦軸」)まわりに揺動自在に取り付ける。
【0053】
また、左側カバー26Lにおける右側開放部の上下幅を、右側カバー26Rにおける左側開放部の上下幅よりも大きく形成する。
そして、左側カバー26Lの上壁における右側開放部側の端縁を右上がりに屈折させて上側傾斜壁26LUを形成し、左側カバー26Lの下壁における右側開放部側の端縁を右下がりに屈折させて下側傾斜壁26LDを形成する。
【0054】
これによって、
図16、
図17に示すように、左側カバー26Lを縦軸P2まわりに右側へ揺動させると、この左側カバー26Lの上壁が右側カバー26Rの上壁の上面に重合する。
これと同時に、左側カバー26Lの下壁が右側カバー26Rの下壁の下面に重合する。
以上によって、左側カバー26Lと右側カバー26Rが嵌り合い、隙間の無い角筒状となり、伝動継手23の周囲が囲われる。
【0055】
しかして、前述の左側壁体13Rの下端に形成したフランジ部13LFと、左側カバー26Lとを連動リンク(請求項の「連動手段」)29で連結する。
この連動リンク29は、上方移送部3Cの底面に略沿うように配置される。
すなわち、前述の支持板体15の下面左側部に、2つのホルダー29A,29Aを前後方向に間隔をおいて固定する。
【0056】
このホルダー29A,29Aには、前後方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に摺動棒29Bを前後摺動自在に挿通して保持する。
そして、この摺動棒29Bの前端部に立設した軸29Cと、左側カバー26Lの上壁の後部左側上面に立設した軸29Dとを、前側リンクアーム29Fで回動自在に連結する。
【0057】
一方、フランジ部13LFの後端部上面に固定したステー29Uを、このフランジ部13LFの外周縁および支持板体15の外周縁を迂回させ、支持板体15の下側にまで至らせる。
そして、このステー29Uの下部から軸29Hを垂下させ、この軸29Hと摺動棒29Bの後端部に立設した軸29Gとを、後側リンクアーム29Rで回動自在に連結する。
【0058】
以上の構成により、
図16~
図19に示すように、上方移送部3C内のメンテナンスを行うために左側壁体13Lを開放操作すると、軸29Hの後方移動によって後側リンクアーム29Rが後方へ引かれる。
これによって、軸29Gが後方へ引かれ、摺動棒29Bが後方へ摺動する。
【0059】
この摺動棒29Bの後方摺動によって、軸29Cを介して前側リンクアーム29Fが後方へ引かれ、軸29Dを介して左側カバー26Lが縦軸P2を中心として左側へ揺動開放する。
これによって、伝動継手23における左側部分を主体とした大半部分が露出し、カバー26内に侵入してグリスと共に伝動継手23部分に付着ないし堆積していた肉屑等を、容易に除去できるようになり、食肉加工工場1における衛生管理上の問題を生じにくくなる。
【0060】
(安全センサー)
図2、
図9、
図13、
図14に示すように、上方移送部3Cにおける壁体13の開閉状態を検出する検出装置(請求項の「検出手段」)30を設ける。
この検出装置30は、左側壁体13Lにおける上下方向のフランジ面13LSに固定した永久磁石30Aと、右側壁体13Rにおける上下方向のフランジ面13RSに固定した磁力センサー30Bから構成する。
【0061】
左側壁体13Lを閉鎖し、左側壁体13Lにおけるフランジ面13LSと右側壁体13Rにおけるフランジ面13RSとが接合した状態で、永久磁石30Aが磁力センサー30Bに近接し、磁力センサー30Bが永久磁石30Aの存在を検出する。
前述のように、左側壁体13Lの開閉と伝動継手23の左側カバー26Lの開閉とが連動するため、この検出装置30が伝動継手23を囲うカバー26の開閉状態を検出する検出手段として兼用できる。
【0062】
なお、この検出装置30によって壁体13およびカバー23の閉鎖状態が検出されていない状態では、起動スイッチ18Aを操作しても電動モーター21へ電力は供給されず、伝動継手23および螺旋軸筒10は回転しない。
これによって、メンテナンス作業の安全性が向上する。
【符号の説明】
【0063】
3 バーチカルコンベア(移送装置)
3B 貯留槽(貯留部)
3C 上方移送部
3D 底部移送螺旋(第1移送部材)
3E 揚上移送螺旋(第2移送部材)
13R 右側壁体(第1壁体)
13L 左側壁体(第2壁体)
21 電動モーター(駆動源)
22 伝動軸
23 伝動継手
26 カバー
26R 右側カバー(第1カバー)
26L 左側カバー(第2カバー)
29 連動リンク(連動手段)
30 検出装置(検出手段)
P1 縦軸(第1縦軸)
P2 縦軸(第2縦軸)
S 空間