(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151664
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】段ボールユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/34 20060101AFI20241018BHJP
A47C 19/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D19/34 A
A47C19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065195
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】519041943
【氏名又は名称】クボタロジスティクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305033011
【氏名又は名称】株式会社高木包装
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】成本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 智史
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊夫
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA02
3E063BA10
3E063CA04
3E063CA05
3E063CA06
3E063CA08
3E063CA16
3E063EE01
(57)【要約】
【課題】強度的に強い段ボールユニットを提供すること。
【解決手段】段ボールからなる複数の桁と、前記複数の桁間を連結する柱と、上記複数の桁の上に位置する上板と、を含み、上記柱は、金属パイプと、上記金属パイプを収納できる筒とを有する、段ボールユニットを用いる。さらに、上記複数の桁の端部に位置する側板を有する上記段ボールユニットを用いる。上記筒は、端部に、開閉できる蓋がある上記段ボールユニットを用いる。上記桁は、中心シートと上記中心シートより硬い側シートとからなる上記段ボールユニットを用いる。上記桁の下面は、耐水性シートが位置する上記段ボールユニットを用いる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールからなる複数の桁と、
前記複数の桁間を連結する柱と、
前記複数の桁の上に位置する上板と、
を含み、
前記柱は、金属パイプと、前記金属パイプを収納できる筒とを有する、
段ボールユニット。
【請求項2】
さらに、前記複数の桁の端部間に位置する側板を有する請求項1の段ボールユニット。
【請求項3】
前記筒は、端部に、接着材を用いずに、開閉できる蓋がある請求項1の段ボールユニット。
【請求項4】
前記桁は、中心シートと、前記中心シートより硬い側シートとからなる請求項1の段ボールユニット。
【請求項5】
前記中心シートは、段ボールであり、前記側シートは、強化段ボールである請求項4の段ボールユニット。
【請求項6】
前記桁の下面は、耐水性シートが位置する請求項1の段ボールユニット。
【請求項7】
前記桁には、前記柱が位置する凹部がある請求項1の段ボールユニット。
【請求項8】
前記複数の桁の内、端部に位置する前記桁の一方の前記側シートは凹部があり、他方の前記側シートは、凹部がない請求項4記載の段ボールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールユニットに関する。特に、段ボールパレット、段ボールベッド、段ボール机などの段ボールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールユニットとして、段ボールを使用したパレットがあった(特許文献1)。樹脂製パレットと比較して環境にやさしい。木製パレットと比較して、人にやさしい。つまり、木製パレットでは、木の表面のささくれやコーナ部分により、人を傷つける場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、段ボールユニットは、強度的に弱かった。
よって、本発明の課題は、強度的に強い段ボールユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、
段ボールからなる複数の桁と、
上記複数の桁間を連結する柱と、
上記複数の桁の上に位置する上板と、
を含み、
上記柱は、金属パイプと、上記金属パイプを収納できる筒とを有する、
段ボールユニットを用いる。
さらに、上記複数の桁の端部に位置する側板を有する上記段ボールユニットを用いる。
上記筒は、端部に、開閉できる蓋がある上記段ボールユニットを用いる。
上記桁は、中心シートと上記中心シートより硬い側シートとからなる上記段ボールユニットを用いる。
上記桁の下面は、耐水性シートが位置する上記段ボールユニットを用いる。
上記桁には、上記柱が位置する凹部がある段ボールユニットを用いる。
上記複数の桁の内、端部に位置する上記桁の一方の上記側シートは凹部があり、他方の上記側シートは、凹部がない上記段ボールユニットを用いる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の段ボールユニットは、強度的に強い段ボールユニットである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】実施の形態1の段ボールパレットの桁の中心シートの分解図
【
図6】実施の形態1の段ボールパレットの柱の端部を開いた状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(定義)
<段ボールユニット>
段ボールユニットは、段ボールを使用したユニットである。段ボールをメインで使用した各種ユニットである。ユニットは、複数の部材(例えば、上板、下板、桁など)を組み合わせたものである。実施の形態1、2、3のパレット100、ベッド101、机102も、段ボールユニットである。ユニットとしては、パレット、机、ベッド、家具、本棚、室内の犬小屋、ステージ、搬送箱、机上のデイスプレイ、パソコン置き台などである。
パレットは、上に商品を載せ、フォークリフトで運搬されるものである。ステージは、その上に人が載ることができる台である。搬送箱は、物を運ぶための箱である。段ボールユニットは、これらに限られない。
【0009】
<段ボール>
段ボールとは、紙を多層構造で強靭にし、包装・梱包資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品である。「ダンボール」という表記もされる。
図1に段ボールの断面を示す。段ボールは、平らな紙(ライナー18)と波状の紙(中芯19、メディアムとも言う)が接着剤で貼合されて1つの構造体となっているものである。
図1では、1段であるが、ライナー18と中芯19と交互に積層され多段になったものもある。ライナー18や中芯19の数によって、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボールと分類される。
【0010】
紙は、古紙から、再生された再生紙が使用される。また、再生紙とパルプ原紙(新品)とを混合して段ボールが作製される。
この明細書では、段ボールと記載あれば、強化段ボールでなく、通常の上記段ボールを示す。段ボールは、通常(一般)の段ボールであり、上記のいずれの段ボールでもよい。
【0011】
<強化段ボール>
強化段ボールは、古紙を再利用して作られる通常の段ボールと違い、パルプ原紙を主成分として使うことで強度を高めている段ボールのことである。パルプ原紙が、ほとんどを占める。強化段ボールはパルプ原紙を少なくとも50重量%含有率より多く含む段ボールである。通常、パルプ原紙は、90重量%以上である。一方、通常の段ボールは、古紙50重量%以上であり、パルプ原紙は、50重量%より少ない。
強化段ボールは、段ボールの数倍程度以上の強度を有する。少なくとも2倍以上の強度を有する。
実施の形態では、JIS P3902段ボール用ライナーに対して、ライナー18として、坪量が440g/m2を用いた。少なくとも280/m2以上ならよい。
【0012】
因みに、段ボールの強化中芯と、強化段ボールは異なるものである。強化中芯は、中芯19をパルプ原紙で作製し、ライナー18を再生紙で作製される段ボールである。
【0013】
<耐水性段ボール>
耐水性段ボールとは撥水性段ボールや防水性段ボールをいう。
撥水性段ボールとは、ライナー18の表面に撥水加工を施した段ボールのことである。通常の段ボールは水分が付着すると強度が低下してしまい、荷物を保護するという本来の役割を果たせなくなる。そのため、段ボールの表面に撥水処理をする。この撥水処理された段ボールが撥水性段ボールである。
【0014】
防水性段ボールとは、撥水性段ボールの防水性能を高めた段ボールを指す。
ライナー18の耐水加工はもちろんのこと、中芯19や接着剤にも耐水性のあるものを使用しておりほぼ完全に近い防水性を有しているのが特徴である。
【0015】
(実施の形態1)
図2に実施の形態の段ボールのパレット100を示す。実施の形態の段ボールのパレット100は、上板15と、桁16と、柱14と、第2側板12と、第1側板11とを有する。
図3、4に段ボールパレット100の分解図を示す。
パレット100には差し込み口21があり、フォークリフトの先端のバーが挿入できる。
【0016】
桁16は、複数あり、上板15を支える。長方形の形状で、複数の段ボールが積層され作製されている。
両側面の側シート16bと、側シート16b間に複数枚の中心シート16aがある。側シート16bは、中心シート16aより硬く、中心シート16aを保護し、桁16の強度を確保する。例えば、側シート16bは、強化段ボールで、中心シート16aは、段ボールである。
【0017】
桁16には、凹部16cがある。凹部16cには、柱14がはめ込まれる。
側シート16bと中心シート16aとの両方に、凹部16cが形成されているのが好ましい。少なくとも一方に凹部16cが形成されている。
複数の桁16の内、端部の桁16の一方の側シート16bは凹部16cがあり、他方の側シート16bは、凹部16cがない。凹部16cがない側シート16bは、
図3の奥側の側シート16bである。柱14の端部で開口がない方の側である。柱14の端部を支えるだけで、凹部16cが不要である。一方、手前側の側シート16bには、凹部16cがある。これは、
図6で説明するが、柱14の端部に開口24があり、芯材14bが出し入れできるように設けられている。
【0018】
図5で中心シート16aの詳細を説明する。
図5は、桁16の中心シート16aの分解図である。中心シート16aは、複数枚の同じ形状のシートを積層したものである。シートとしては、段ボールである。側シート16bは、中心シート16aより硬い。側シート16bは、固く、上板15を支える。中心シート16aは、側シート16b間のスペーサ的であり、上板15をしっかり支えるため、側シート16b間の間隔を開けている。中心シート16aには、凹部16cが形成されている。凹部16cには、柱14がはめ込まれる。凹部16cは、凹部形状であるが、開口(貫通穴)でもよい。柱14を開口へ入れ込む。5枚の中心シート16aを積層しているが、1枚以上ならよい、または、複数段の段ボール1枚でもよい。
図1は1段であり、複数段の段ボールなら、積層したものと同様に厚み、強度がありよい。
【0019】
第1側板11と第2側板12とは、複数の桁16の端部にわたって接着剤などで貼り付けられる。第1側板11と第2側板12としては、強化ダンボールが強度的に好ましい。柱14と桁16で強度が確保できるので、第1側板11と第2側板12は、必須ではない。意匠的によくするため、例えば、ペンキを塗るとか、シールを貼るとか、側シート16bの端部を折り曲げて、接着で固定してもよい。
【0020】
耐水性シート13は、上で説明した耐水性の段ボールを使用できる。複数の桁16の底面に貼り付けられる。パレット100は野外で使用されるので、水にぬれることもあり、耐水性シート13があることが好ましい。以下の実施の形態2、3や主に室内で利用される段ボールユニットの場合には、耐水性シート13は無くともよい。
なお、それぞれの部材間の固定には接着材が使用される。例えば、段ボール用の接着剤を使用できる。他のところでも同様に接着材で複数の部材間が固定される。
【0021】
柱14は、棒状であり、複数の桁16の凹部16cへはめ込まれる。柱14は、複数本あるのが好ましい。柱14は、長方形の形状の筒以外に、円柱形状でもよい。この場合、凹部16cの形状は、長方形と半円とが合体されて形状になる
柱14を
図6で説明する。
図6は、柱14の端部を開いた状態の斜視図である。柱14は、芯材14bとカバー14aとからなる。
芯材14bは、金属パイプ(中空の筒)である。例として、断面が3cm×3cmの正方形のものを用いることができる。金属パイプなので強度があり、重量をあるレベルで抑えることができる。樹脂の中実の棒状体の場合、重く、強度も弱い。金属パイプは、厚み1.6mmの鉄鋼を使用できる。鉄鋼は、鉄を主成分とする金属材料であり、銑鉄・鋳鉄などと、鋼鉄である。厚みは、1.6mmでなくともよい。0.5mm以上、2mm以下程度が好ましい。断面も、1cm×1cm以上、5cm×5cm以下程度、同等の面積の長方形でもよい。
【0022】
カバー14aは、紙などの筒で、紙としては、各種紙が使用できるが、他の材質と合わせて段ボールが好ましい。段ボールから箱形状(筒状)で長方形状に組み立てられる。少なくとも1方の端部は、開閉できるようにしている。
図6のように、端部が四角形の開口24である場合、扉24aが対向する2辺にあり、他の辺に蓋24bがある。このような構造により、接着材などを使用することなく、開口23を開け閉めできる。扉24aは無くともよい。
芯材14bは、カバー14aに開口24から挿入されるが、接着剤などは使用されず固定されない。芯材14bは、取り出しやすく配置される。
蓋24bを開けて、芯材14bを出し入れすることができる。パレット100を廃棄する場合、芯材14bを取り出せる。芯材14b以外は、紙類を使用すれば、環境にやさしい。
【0023】
上板15は、正方形、または、長方形のシート状である。強化段ボールが好ましく、複数段の段ボール、積層された段ボールでもよい。
上記の構造により、パレット100は、強度が強い。
(試験)
上記構成で、パレットを作製し、以下試験を行った。
<条件>
全体形状は、
図2~5で説明したものであり、寸法は、日本のパレットの標準サイズ、JIS規格JIS Z 0601より小さめの960mm×960mm×120mmである。
心材14bは、3cm×3cm角、厚み1.6mmの鉄鋼パイプを使用した。
側シート16b、第1側板11、第2側板12、上板15は、強化段ボールを使用した。
強化段ボールとして、A440×強化180×3×A440のAAフルートを用いた。表のライナー×中芯×裏ライナーで示している。表裏ライナーのA440は、A級、Kライナー(古紙なし、パルプ使用)で1m
2あたり440gの紙である。中芯の強化180は、1m
2あたり180gの紙で、薬剤などでさらに強化されている紙である。
(試験1)JIS Z0602「平パレット試験方法」におけるパレットの曲げ試験方法では、5トンを超える荷重を加えても、圧縮ひずみしなかった。少なくとも、使用可能な状態を保つことができた。芯材14bの金属パイプが功を奏したと思われる。
(試験2)段ボール用のJIS Z0212「包装貨物及び容器-圧縮試験」に準じて、耐圧荷重の試験を行った。少なくとも18トンをかけても、破壊されず、使用可能な状態であった。
【0024】
(実施の形態2)
図7に実施の形態2のベッド101の斜視図を示す。説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
ベッド101は、上板15と、柱14と、桁16と、第1側板11、第2側板12を含む。上板15、柱14、桁16、第1側板11、第2側板12は、実施の形態1と構造は同様である。寸法などが異なる。
【0025】
柱14が長く、上板15が長方形で細長く、桁16の数が多い。
ベッド101は、実施の形態1と同様、強度が強い。人がその上で寝ることが十分できる。
【0026】
(実施の形態3)
図8に実施の形態3の机102の斜視図を示す。説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
机102は、上板15と、柱14と、桁16と、第1側板11、第2側板12を含む。上板15、柱14、桁16、第1側板11、第2側板12は、実施の形態1と構造は同様である。寸法などが異なる。
【0027】
柱14が短く、上板15が正方形状で、桁16の数が少なく2つである。
また、桁16の内側に開口があり、開口に柱14がある。この内側の柱14は必須でなくあれば、机102の強度がより強くなる。
机102は、実施の形態1と同様、強度が強い。人がその上で作業することが十分できる。
また、同様の構造で、全体を小さくすると、椅子、踏み台などにもなる。この場合、第1側板11は、第2側板12と同様の形状としてもよい。桁16の形状を長方形でなく、凸形状にすれば、背もたれを有する椅子にもできる。桁16を長細い形状にすれば、洋服収納にもなる。柱14を利用して、ハンガーをかけることができる。
【0028】
(全体として)
段ボールユニットは、パレット、ベッド、机として説明したが、他のものへも応用できる。舞台、ステージ、本棚、家具などに利用できる。特に、災害時、一時的な使用時に利用できる。
実施の形態1~3は、組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の段ボールユニットは、パレット、ベッド、机、舞台、ステージ、本棚、家具踏み台など物の運搬、物の置き場、各種台、家具などに利用できる。
【符号の説明】
【0030】
11 第1側板
12 第2側板
13 耐水性シート
14 柱
14a カバー
14b 芯材
15 上板
16 桁
16a 中心シート
16b 側シート
16c 凹部
18 ライナー
19 中芯
21 差し込み口
24 開口
24a 扉
24b 蓋
100 パレット
101 ベッド
102 机