(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151668
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】データ検索装置、データ検索方法、データ検索システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/532 20190101AFI20241018BHJP
【FI】
G06F16/532
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065205
(22)【出願日】2023-04-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多 伸作
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA02
5B175HA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像領域に係る検索として、より利便性の高い検索のためのデータ検索装置、データ検索システム及びデータ検索方法を提供する。
【解決手段】データ検索システムにおいて、クライアント部1011は、サーバ部1001に対して検索履歴の要求を送信する。サーバ部1001は、要求に応じて検索履歴保存部1002に含まれる検索履歴をクライアント部1011に送信する。クライアント部1011の検索履歴表示部1012は、検索履歴に含まれているROI領域情報によって規定される検索領域を表す領域情報を表示画面に表示する。検索部1013は、ユーザが表示画面に表示されている領域情報のうち1つを指示すると、領域情報に対応する検索履歴と同じ検索条件で検索を行うようサーバ部1001に要求する。サーバ部1001は、検索要求に応じて検索結果を画像プール1004及びデータベース部1003から取得し、クライアント部1011に送信する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に係る履歴を取得する取得手段と、
前記履歴に基づいて画像領域を表す表示情報を表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段が表示した表示情報のうちユーザ操作に応じて指定された表示情報に対応する履歴に基づく検索条件に従う検索を要求する要求手段と
を備えることを特徴とするデータ検索装置。
【請求項2】
前記取得手段は、画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に基づく画像検索の履歴を取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項3】
前記取得手段は、
前記画像領域を規定する情報、該画像領域に基づく画像検索のための検索条件、を含む履歴を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ検索装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示情報の表示形態を、対応する画像領域に基づく画像検索の日時に基づいて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項5】
前記表示制御手段によって表示された表示画面上で、指定した画像領域に対応する画像の撮影の注文指示が可能であることを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項6】
前記取得手段は、画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に対応する前記注文指示の履歴を取得することを特徴とする請求項5に記載のデータ検索装置。
【請求項7】
前記取得手段は、
前記画像領域を規定する情報、前記撮影の撮影条件、を含む履歴を取得する
ことを特徴とする請求項6に記載のデータ検索装置。
【請求項8】
前記取得手段は、画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域の履歴を取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項9】
前記取得手段は、
前記画像領域を規定する情報を含む履歴を取得する
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ検索装置。
【請求項10】
前記取得手段は、前記表示制御手段による地図の表示の更新が発生すると、新たに表示する地図の地理的範囲に属する画像領域に係る履歴を取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記履歴に含まれる前記画像領域を表す表示情報を地図上に重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、前記履歴に含まれる前記画像領域を表す表示情報の表示形態を制御することを特徴とする請求項11に記載のデータ検索装置。
【請求項13】
前記要求手段は、前記表示制御手段により表示された表示情報のうちユーザ操作に応じて指定された表示情報に対応する履歴に基づく検索条件と同一の検索条件に従う検索を要求することを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項14】
さらに、
画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域の履歴に基づいて、物件の情報が登録されているテーブルに新たな物件の情報が登録されたか否かを判断し、新たな物件の情報が登録されている場合にはその旨を通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ検索装置。
【請求項15】
画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に係る履歴を取得する取得手段と、
前記履歴に基づいて画像領域を表す表示情報を表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段が表示した表示情報のうちユーザ操作に応じて指定された表示情報に対応する履歴に基づく検索条件に従う検索を要求する要求手段と
を備えることを特徴とするデータ検索システム。
【請求項16】
データ検索装置が行うデータ検索方法であって、
前記データ検索装置の取得手段が、画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に係る履歴を取得する取得工程と、
前記データ検索装置の表示制御手段が、前記履歴に基づいて画像領域を表す表示情報を表示する表示制御工程と、
前記データ検索装置の要求手段が、前記表示制御工程で表示した表示情報のうちユーザ操作に応じて指定された表示情報に対応する履歴に基づく検索条件に従う検索を要求する要求工程と
を備えることを特徴とするデータ検索方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のデータ検索装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ検索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示の技術によれば、ウェブの検索エンジンでは、過去の検索で入力したキーワードを用いて再検索する際に検索履歴を活用することで、ユーザによるキーワード入力の手間を省き、検索の利便性を向上させている。
【0003】
非特許文献2に開示の技術によれば、世界地図からユーザの関心領域(Region Of Interest: ROI)を選択することで、選択された関心領域内が写り込んでいる衛星画像を検索することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”Google” [令和4年7月5日検索]、インターネット<URL: https://www.google.com/>
【非特許文献2】”Maxer - Archive Search & Discovery” [令和4年7月5日検索]、インターネット<URL: https://discover.maxar.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に開示のシステムは、キーワードによる検索履歴を用いてキーワード検索の利便性を向上させることはできるが、キーワード以外を用いた検索には適用することができない。
【0006】
また、非特許文献2に開示のシステムでは、平面上座標上の任意の位置に関連付けられた衛星画像を検索する仕組みが実現されている。しかし、サーバから返された検索結果はブラウザのプロセスが管理するメモリ内で保持されるが、ブラウザによる再読み込みを行うと該検索結果は揮発してしまう。そのため、ユーザは、過去に検索したときと同一の条件で再検索することができない。つまり、ユーザが過去に検索したときと同一の条件で衛星画像を検索する場合は、過去に検索したときと同一のROI、付随する検索条件、をその都度指定しなければならない。
【0007】
本発明では、画像領域に係る検索として、より利便性の高い検索のための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態に係るデータ検索装置は、画像に対するユーザ操作に応じて指定された画像領域に係る履歴を取得する取得手段と、前記履歴に基づいて画像領域を表す表示情報を表示する表示制御手段と、前記表示制御手段が表示した表示情報のうちユーザ操作に応じて指定された表示情報に対応する履歴に基づく検索条件に従う検索を要求する要求手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、画像領域に係る検索として、より利便性の高い検索のための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】衛星画像アーカイブシステムの構成例を示す図。
【
図3】衛星画像マスターテーブルT1の構成例を示す図。
【
図4】情報処理装置1が衛星画像マスターテーブルT1に衛星画像のメタデータを登録するために行う処理のフローチャート。
【
図5】ステップS403における処理の詳細を示すフローチャート。
【
図6】端末4のユーザが所望する衛星画像を検索するために操作するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の構成例を示す図。
【
図9】検索領域603に対応する地理的範囲が撮影されている衛星画像を検索ボックス608にて指定された検索条件に従って検索すると共に、該検索の履歴を検索履歴テーブルT2に登録するために情報処理装置1が行う処理のフローチャート。
【
図10】検索履歴テーブルT2を用いて、過去の検索と同一の条件による衛星画像の再検索を実現するための衛星画像アーカイブシステムの機能構成例を示すブロック図。
【
図11】検索履歴表示部1012による領域情報の表示例を示す図。
【
図12】「領域情報1103に対応する検索領域のメタデータ」の表示例を示す図。
【
図13】GUI1101において端末4のユーザがポインタ1104を用いて領域情報1103を指示したことに応じて情報処理装置1が行った再検索の結果の、端末4の表示画面上における表示例を示す図。
【
図14】端末4の表示画面上に領域情報を表示するために該端末4が行う処理のフローチャート。
【
図15】端末4の表示画面に表示される衛星画像タスキングサービスのためのGUI1501の表示例を示す図。
【
図16】タスキング履歴テーブルT3の構成例を示す図。
【
図17】衛星画像タスキングサービスの処理の一例を示すフローチャート。
【
図18】衛星画像アーカイブシステムにおいて、タスキング履歴を用いて、タスキングにより撮影された衛星画像の検索を実現するための機能構成例を示すブロック図。
【
図19】タスキング履歴表示部1812による領域情報の表示例を示す図。
【
図20】端末4の表示画面に表示された物件検索アプリケーションのGUIの表示例を示す図。
【
図22】ユーザがボタン2103をタップした後、広域の地
図2102上で物件を探す領域を指示具で指定したことで描画された検索領域2201の表示例を示す図。
【
図23】
図22のGUI2101にて検索領域として検索領域2201を指定して情報処理装置1に検索要求を送信した場合に該情報処理装置1から送信された物件検索の結果の端末4のタッチパネル画面における表示例を示す図。
【
図24】物件アイコン2301に対応する物件の詳細(メタデータ)の一部もしくは全部を含む一覧2402をポップアップにより表示する一例を示す図。
【
図26】物件検索履歴テーブルT5の構成例を示す図。
【
図27】端末4のタッチパネル画面に表示される、過去にユーザが地図上に指示具を用いて描いた検索領域を表す表示情報の表示例を示す図。
【
図28】情報処理装置1が、物件検索履歴テーブルT5を用いて、物件情報テーブルT4に新たな物件のメタデータが登録されているかを判断し、登録されている/更新されている場合には、その旨を端末4に通知するために行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
本実施形態に係るデータ検索システムとしての衛星画像アーカイブシステムの構成例について、
図1を用いて説明する。衛星画像アーカイブシステムとは、宇宙空間を飛翔する人工衛星により地球上の対象地域(地表面)が撮影された衛星画像を保存および検索可能なシステムである。地表面が撮影された衛星画像は、実際に撮影された地表面の位置(緯度、経度など)と関連付けられて保存され、ユーザが所望する地域の衛星画像を検索することを可能にする。
【0013】
情報処理装置1は、サーバ、PC(パーソナルコンピュータ)、仮想マシン、インターネット上のクラウドサービス、などの装置である。本実施形態では、重量が100kg以下の超小型の人工衛星3が数十機から数百機体制でコンステレーションを組んで地球上を周回する軌道上に存在しており、情報処理装置1は、人工衛星3により地表面が撮影された衛星画像の緯度経度の検出およびプレビュー用のサムネイルの生成を行った上で、それぞれの処理の結果をデータベースに登録し、端末4のユーザインターフェースからユーザが希望する衛星画像の地理的範囲、撮影日時の期間、などの検索条件を受け付け、該検索条件に基づく衛星画像を該データベースから検索(画像検索)する。
【0014】
アンテナ2は、人工衛星3で地表面を撮影した衛星画像や人工衛星3自身の状態を表すデータであるハウスキーピングデータを受信する受信装置であり、受信したデータを情報処理装置1へ転送する。また、アンテナ2は、人工衛星3に対して地表面を撮影する指示を送信する機能を有していてもよい。アンテナ2は、世界中の多数の拠点に分散して配備してもよい。こうすることで、人工衛星3から衛星画像およびハウスキーピングデータを受信する機会を増やすことができ、より多くの衛星画像を撮影することができるようになる。そして、世界中の各拠点のアンテナ2が受信した衛星画像やハウスキーピングデータを、ネットワークNを介して任意の拠点に存在する情報処理装置1に集約してもよい。
【0015】
人工衛星3で地表面を撮影した衛星画像は、光学センサだけではなく合成開口レーダーのようなマイクロ波センサなどで撮影した衛星画像であってもよい。また、人工衛星3は地表面の静止画像を定期的もしくは不定期的に撮影しても良いし(この場合は地表面の静止画像が衛星画像となる)、地表面の動画像を撮影するようにしても良い(この場合は地表面の動画像における各フレームの画像が衛星画像となる)。
【0016】
なお、本実施形態では、宇宙空間または大気中を飛行する飛翔体の一例として人工衛星3を用いるケースについて説明するが、他の飛翔体であっても良く、たとえば、ドローン、航空機、ヘリコプター、であっても良い。
【0017】
情報処理装置1は、衛星画像を端末4(ユーザ)に提供する際には、該衛星画像に、該衛星画像の中心および該衛星画像の四隅のそれぞれに対応する緯度経度を付与する。
【0018】
端末4は、ユーザが操作するデータ検索装置であり、PC、スマートフォン、タブレット端末装置、ウェブブラウザやデスクトップアプリケーションのようなユーザインターフェースを備える装置、などの装置である。
【0019】
ユーザは端末4を用いて衛星画像の検索条件を指定し、該検索条件に基づく衛星画像の検索要求を情報処理装置1に対して送信する。衛星画像の検索条件には、地理的領域、撮影日の期間、人工衛星3のハウスキーピングデータ、ユーザにより指定された任意のキーワード、などがある。
【0020】
衛星画像アーカイブシステムは、情報処理装置1と端末4とが、LANやインターネットなどの有線および/または無線のネットワークNを介して互いにデータ通信が可能なように構成されている。
【0021】
次に、情報処理装置1の構成例について、
図2のブロック図を用いて説明する。なお、
図2に示した構成は、情報処理装置1が行う処理として説明する各種の処理を実現可能な構成の一例に過ぎず、適宜変更/変形が可能である。
【0022】
制御部11は、1個または複数個のCPU、MPU、GPU、FPGA等の演算処理装置を有し、主記憶部12に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて各種の処理を実行する。これにより制御部11は、情報処理装置1全体の動作制御を行うと共に、情報処理装置1が行う処理として説明する各種の処理を実行もしくは制御する。なお、CPUはセントラルプロセッシングユニット(中央演算処理装置)の略称であり、MPUはマイクロプロセッシングユニットの略称であり、GPUはグラフィカルプロセッシングユニットの略称であり、FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。なお、制御部11はタイマ機能などの機能により、現在日時を計時することが可能である。
【0023】
主記憶部12は、SRAM、DRAM等の一時記憶部であり、補助記憶部14からロードされたコンピュータプログラムやデータを格納するためのエリア、通信部13を介して外部から受信したデータを格納するためのエリア、を有する。さらに主記憶部12は、制御部11が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。このように、主記憶部12は、各種のエリアを適宜、提供することができる。なお、SRAMはスタティックランダムアクセスメモリの略称であり、DRAMはダイナミックランダムアクセスメモリの略称である。
【0024】
通信部13は、無線通信回路または有線通信回路のうち少なくとも一方を有し、外部との間のデータ通信を行う。
【0025】
補助記憶部14は、ハードディスク、SSD(ソリッドステートドライブ)、フラッシュメモリ(登録商標)などのような不揮発性記憶装置である。補助記憶部14には、OS(オペレーティングシステム)、情報処理装置1が行う処理として説明する各種の処理を制御部11に実行もしくは制御させるためのコンピュータプログラムやデータ、などが保存されている。
【0026】
このようなコンピュータプログラムやデータには、プログラムP、データベース部141、検索履歴保存部142、画像プール143、緯度経度検出器144、サムネイル生成器145、が含まれている。
【0027】
なお、緯度経度検出器144およびサムネイル生成器145は、一種のコンピュータプログラムとデータなどの集合体である。なお、緯度経度検出器144およびサムネイル生成器145は、制御部11がプログラムPを実行することで実現する機能であってもよい。
【0028】
データベース部141には、人工衛星3から受信した衛星画像のメタデータを格納したテーブルが含まれている。データベース部141に含まれているテーブルの構成例については後述する。
【0029】
検索履歴保存部142には、衛星画像アーカイブシステムにおいて衛星画像を検索した際の検索履歴を保存するテーブルが含まれている。
【0030】
画像プール143は、人工衛星3から受信した衛星画像のデータベースである。画像プール143には、人工衛星3が撮影した映像など、画像以外のマルチメディアデータが格納されていてもよい。
【0031】
緯度経度検出器144は、緯度経度が既知の教師データとなる衛星画像と、人工衛星3から受信した衛星画像と、を特徴量などの指標に基づいて照合することにより、人工衛星3から受信した衛星画像の中心および四隅のそれぞれに対応する緯度経度を求める。
【0032】
サムネイル生成器145は、人工衛星3から受信した衛星画像を縮小した縮小画像を、プレビュー画面に表示するためのサムネイルとして生成する。サムネイルをユーザインターフェースに表示することで、原画像を取り扱うよりも装置間の通信量を削減することができ、描画処理の負荷を軽減することができる。
【0033】
次に、上記のデータベース部141に含まれているメタデータのテーブル(衛星画像マスターテーブルT1)の構成例について、
図3を用いて説明する。衛星画像マスターテーブルT1には、衛星画像ごとに、該衛星画像のメタデータとして、画像ID、画像ファイル名、撮影日時、画像中心緯度経度、画像四隅緯度経度、センサ名、オフナディア角、雲量、国/地域名、住所、を含むメタデータが登録されている。
【0034】
画像IDは、衛星画像に固有の識別子である。識別子には、衛星画像マスターテーブルT1にレコード(衛星画像のメタデータ)が生成されるたびに連番を生成して割り当ててもよいし、UUID(Universally Unique IDentifier)のような世界中で一意となる番号を割り当ててもよい。
【0035】
画像ファイル名は、衛星画像のファイル名である。
【0036】
撮影日時は、衛星画像の撮影日時(人工衛星3が地表面を撮影した日時)であり、協定世界時で保存される。
【0037】
画像中心緯度経度は、衛星画像の中心に対応する緯度経度であり、該衛星画像の中心について緯度経度検出器144が求めた緯度経度を点(ポイント型)を表す空間データ型で表現したものである。
【0038】
画像四隅緯度経度は、衛星画像の四隅に対応する緯度経度であり、該衛星画像の四隅について緯度経度検出器144が求めた緯度経度を、多角形(ポリゴン型)を表す空間データ型で表現したものである。空間データ型を用いると、衛星画像マスターテーブルT1の画像中心緯度経度や画像四隅緯度経度に対して空間検索を行うことができる。
【0039】
センサ名は、衛星画像を撮影した人工衛星3に搭載されているセンサの名前であり、ここでは、UHC(Ultra High sensitivity Camera)を用いて撮影したことを示している。
【0040】
オフナディア角は、衛星画像を撮影したときのオフナディア角である。
【0041】
雲量は、衛星画像中の雲が占める割合である。この雲量によって衛星画像の価値が評価されることがある。例えば、雲量が小さい衛星画像の方が、撮影目標となる地物を捉える可能性が高いため、雲量が大きい衛星画像よりも価値が高いと評価されることがある。
【0042】
国/地域名は、衛星画像の画像中心緯度経度(もしくはその近傍)に位置する国/地域の名称である。国/地域名は、画像中心緯度経度を用いて逆ジオコーディングにより求めてもよい。また、画像四隅緯度経度に位置する国/地域名を、衛星画像マスターテーブルT1に登録して利用してもよい。
【0043】
住所は、衛星画像の画像中心緯度経度(もしくはその近傍)に位置する住所を示す。住所は、画像中心緯度経度を用いて逆ジオコーディングにより求めてもよい。また、画像四隅緯度経度に位置する住所を、衛星画像マスターテーブルT1に登録して利用してもよい。
【0044】
情報処理装置1が衛星画像マスターテーブルT1に衛星画像のメタデータを登録するために行う処理について、
図4のフローチャートに従って説明する。
図4のフローチャートに従った処理は、人工衛星3が撮影したそれぞれの衛星画像(画像プール143に含まれるそれぞれの衛星画像)について行われる。
【0045】
ステップS401では、制御部11は、画像プール143に含まれている衛星画像のうち、未だメタデータを衛星画像マスターテーブルT1に登録していない衛星画像を選択衛星画像として選択し、該選択衛星画像を主記憶部12のワークエリアに読み出す。
【0046】
ステップS402では、制御部11は、選択衛星画像が有効な画像であるか否かを判断する。たとえば、制御部11は、選択衛星画像が白飛びしていたり、黒つぶれしていたりする場合、または、選択衛星画像中に雲が占める割合が多い場合などに、選択衛星画像を有効な画像ではないと判定するようにしても良い。また、制御部11は、選択衛星画像の画像フォーマットが正常かどうかに基づき、選択衛星画像の有効性を判定してもよい。たとえば、制御部11は、通信エラーなどによって選択衛星画像の画像フォーマットが崩れているかどうかに基づき、選択衛星画像の有効性を判定しても良い。たとえば、制御部11は、CRC(巡回冗長符号)に基づく誤り検出結果に基づき、選択衛星画像の有効性を判定してもよい。
【0047】
このような判断の結果、選択衛星画像が有効な画像ではない場合には、処理はステップS404に進み、選択衛星画像が有効な画像である場合には、処理はステップS403に進む。
【0048】
ステップS404では、制御部11は、選択衛星画像を、主記憶部12や補助記憶部14における適当なメモリ領域(たとえば画像プール143における隔離データベース)に登録(隔離)する。
【0049】
ステップS403では、制御部11は緯度経度検出器144として動作し、選択衛星画像の中心および四隅のそれぞれに対応する緯度経度を取得する。ステップS403における処理の詳細については後述する。
【0050】
ステップS405では、制御部11は、選択衛星画像の中心と四隅のそれぞれに対応する緯度経度に基づき、該選択衛星画像に写り込んでいる地理的位置における国/地域名および住所を取得する。たとえば、制御部11は、逆ジオコーディングにより緯度経度から国/地域名および住所を取得してもよい。
【0051】
ステップS406では、制御部11はサムネイル生成器145として動作し、選択衛星画像のサムネイルを生成する。
【0052】
ステップS407では、制御部11は、ステップS403~S406で取得した情報(緯度経度、国/地域名、住所、サムネイル)を含むメタデータを、選択衛星画像に対応するメタデータとして、衛星画像マスターテーブルT1に登録する。このメタデータには、ステップS403~S406で取得した情報に加え、選択衛星画像に対して発行される画像ID、画像ファイル名、撮影日時、センサ名、オフナディア角、雲量、なども含まれうる。なお、選択衛星画像のメタデータには、該選択衛星画像を撮影したときの人工衛星3のハウスキーピングデータを含めてもよい。人工衛星3のハウスキーピングデータには、例えば、人工衛星3の姿勢を表すデータや衛星コンポーネントの温度データなどが含まれる。
【0053】
次に、上記のステップS403における処理の詳細について、
図5のフローチャートに従って説明する。
【0054】
ステップS501では、制御部11は、選択衛星画像と共に人工衛星3から受信したハウスキーピングデータから、人工衛星3による撮影目標の緯度経度を取得する。
【0055】
ステップS502では、制御部11は、補助記憶部14に予め保存されている教師画像群から、人工衛星3による撮影目標の緯度経度に近い緯度経度で撮影された教師画像(撮影目標の周辺を撮影した教師画像)を取得する。
【0056】
ここで、教師画像とは、たとえば、予め撮影された衛星画像であり、すべての画素に対する緯度経度が既知であるものなどがある。ここでは、撮影目標の緯度経度に近い緯度経度を有する多数の衛星画像が補助記憶部14(たとえば画像プール143)から取得されてもよい。
【0057】
なお、「撮影目標の緯度経度に近い緯度経度を有する衛星画像」の定義は特定の定義に限らない。たとえば、撮影目標の緯度経度との差分(緯度、経度のそれぞれの差分)が閾値未満となる緯度経度の画素を含む衛星画像を補助記憶部14から取得しても良い。または、撮影目標の緯度経度との差分が閾値未満となる緯度経度の画素の割合が閾値以上となる衛星画像を補助記憶部14から取得しても良い。
【0058】
ステップS503では、制御部11は、ステップS502で取得したそれぞれの教師画像の特徴量と、選択衛星画像の特徴量と、の照合を行う。たとえば、制御部11は、ステップS502で取得したそれぞれの教師画像について、該教師画像の特徴量と、選択衛星画像の特徴量と、の照合の度合いを示す評価値を求める。
【0059】
ステップS504では、制御部11は、選択衛星画像の特徴量と教師画像の特徴量との照合が成功したか否かを判断する。この判断は、選択衛星画像の中心および四隅のそれぞれに対応する緯度経度の特定が成功したかどう否かを判断することに相当する。たとえば、それぞれの教師画像について求めた評価値がいずれか1つでも閾値以上であれば、照合は成功したと判断し、それぞれの教師画像について求めた評価値のいずれも閾値未満であれば、照合は失敗したと判断する。
【0060】
このような判断の結果、照合は成功したと判断した場合には、処理はステップS505に進み、照合は失敗したと判断した場合には、処理はステップS506に進む。
【0061】
ステップS505では、制御部11は、ステップS503で最も高い評価値を求めた教師画像を対象教師画像とし、該対象教師画像の中心に対応する緯度経度、該対象教師画像の四隅に対応する緯度経度、をそれぞれ、選択衛星画像の中心に対応する緯度経度、選択衛星画像の四隅に対応する緯度経度、として特定(取得)する。
【0062】
ステップS506では、制御部11は、選択衛星画像を、主記憶部12や補助記憶部14における適当なメモリ領域(たとえば画像プール143における隔離データベース)に登録(隔離)する。
【0063】
次に、端末4のユーザが所望する衛星画像を検索するために操作するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の構成例について、
図6を用いて説明する。
図6に示すGUI600は端末4の表示画面に表示される。以降の説明において、GUIに対するユーザ操作は、端末4が有するキーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェースをユーザが操作することで入力することができる。また、GUIの表示制御やGUIに対するユーザ操作に応じて行われる処理は端末4が有するCPUなどのプロセッサによって行われる。
【0064】
ポインタ602はユーザ操作に応じて移動する。
図6では、GUI600に表示されている広域の地
図601の一部にポインタ602を移動させた後、ユーザ操作(たとえばドラッグアンドドロップ操作)によって矩形の画像領域である検索領域(ROI)603が設定されている。検索領域603を設定することで、該検索領域603に対応する地理的範囲が撮影されている衛星画像を検索することができる。
【0065】
また、ポインタ602を操作することで、広域の地
図601を、東方向、西方向、南方向または北方向に移動させて検索する地理的範囲を移動させてもよい。また、幾何補正済みの衛星画像のサムネイルを画像プール143から読み出して、広域の地
図601に重ね合わせて表示してもよい。
【0066】
コントロールボックス604は、広域の地
図601をズームイン/ズームアウトしたり、広域の地
図601上から衛星画像を検索するための検索領域の設定を開始したりするための入力のための操作部である。
【0067】
ユーザ操作に応じてズームインボタン605を指示するたびに、GUI600に表示される地図をズームインすることでき、ユーザ操作に応じてズームアウトボタン606を指示するたびに、GUI600に表示される地図をズームアウトすることができる。
【0068】
ユーザ操作に応じて矩形選択ボタン607を指示すると、ポインタ602による検索領域603の指定が可能になる。ポインタ602による検索領域603の指定が可能になると、ユーザ操作に応じてポインタ602の移動、クリック、ドラッグアンドドロップ操作などが可能になり、検索領域603を指定することができる。
【0069】
なお、検索領域603が指定されると、端末4は検索領域603に基づく衛星画像の検索要求を情報処理装置1に対して送信するようにしても良い。
【0070】
また、地図の表示方法は特定の表示方法に限らず、たとえば、
図6のような二次元地図の代わりにもしくは加えて地球儀を表示しても良いし、三次元の立体的な地図を表示しても良い。
【0071】
また、
図6では検索領域として矩形の領域(検索領域603)を採用しているが、検索領域の形状は特定の形状に限らず、たとえば、点、線、多角形、円、楕円、ユーザ操作に応じて手書きにて描画された任意形状の図形、ユーザ操作に応じて選択された任意形状の図形、であっても良い。
【0072】
また、検索領域のサイズとして上限サイズを規定しても良い。これは検索スピードの向上に役立ち、データベースの検索負荷の低減に役立つであろう。
【0073】
また、指定する検索領域の数は特定の数に限らず、
図6のように1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0074】
検索ボックス608は、広域の地
図601から衛星画像を検索する際に、ユーザ操作に応じて指定される検索条件を受け付けるための操作部である。
【0075】
ユーザ操作に応じてセンサ名指定部609を指示すると、「人工衛星3に搭載され、地表の撮影に使用されたセンサ」の一覧がドロップダウンリストとして表示され、ユーザは該ドロップダウンリストから所望のセンサをユーザ操作に応じて指定することができ、該指定されたセンサにより撮影された衛星画像が検索対象となる。
【0076】
開始日付指定部610には、検索対象となる衛星画像の撮影日時の開始日をユーザ操作に応じて入力することができる。
【0077】
終了日付指定部611には、検索対象となる衛星画像の撮影日時の終了日をユーザ操作に応じて入力することができる。
【0078】
つまり、開始日付指定部610に入力された開始日から終了日付指定部611に入力された終了日までの撮影期間内に撮影された衛星画像が検索対象となる。
【0079】
オフナディア角指定部612は、検索対象となる衛星画像を撮影したときのオフナディア角(人工衛星3により地表が撮影されたときのオフナディア角)の範囲をユーザ操作に応じて指定するためのスライダコントロール部である。
図6の例では、オフナディア角指定部612では「90」の値が指定されており、オフナディア角が90°以下の条件で撮影された衛星画像が検索対象となる。
【0080】
雲量指定部613は、衛星画像に含まれる雲の占有率の範囲をユーザ操作に応じて指定するためのスライダコントロール部である。
図6の例では、雲量指定部613では、「70」の値が設定されており、雲量が70%以下の衛星画像が検索対象となる。雲量は、
図4の衛星画像の登録手順の一部で、機械学習などの方法により自動的に計算し、登録されてもよい。また、これら以外の衛星画像のメタデータを検索条件に用いてもよい。
【0081】
そしてユーザ操作に応じて検索指示を入力すると、端末4は、検索領域603に基づく衛星画像の検索要求を情報処理装置1に対して送信する。なお、検索ボックス608にて検索条件が指定された場合には、端末4は、「検索領域603に基づく衛星画像のうち該検索条件を満たす衛星画像」の検索要求を情報処理装置1に対して送信する。
【0082】
「検索領域603に基づく衛星画像のうち該検索条件を満たす衛星画像」の検索要求を受けた情報処理装置1は、該検索要求に応じて画像プール143から検索した衛星画像を含む検索結果を端末4に対して送信する。端末4は、情報処理装置1から送信された検索結果に含まれる衛星画像を含む画面を、端末4の表示画面に表示する。たとえば
図7に示す如く、情報処理装置1から送信された、検索領域603に対する検索結果に含まれる衛星画像を含むサイドパネル701が、GUI600に重ねて表示される。たとえば、サイドパネル701は、GUI600の左端から右方向へスライドしながら表示されてもよい。
【0083】
検索ヒット数表示部702には、上記の検索要求に応じた検索でヒットした衛星画像の数が表示される。
【0084】
サムネイル表示部703には、上記の検索要求に応じた検索でヒットした衛星画像のサムネイルが表示される。衛星画像のサムネイルは端末4が該衛星画像から生成しても良いし、サムネイル生成器145が生成して情報処理装置1が送信したサムネイルであっても良い。サムネイルは、描画処理の負荷の低減および通信量の削減を実施することができる画像であり、ユーザによって画像の特徴および外観が認識できるように衛星画像の圧縮率を調整してもよい。
【0085】
また、情報処理装置1が検索結果に衛星画像のメタデータを含めて送信した場合、端末4は、ユーザ操作に応じてポインタ602をサムネイル表示部703に重ねてそこでクリック操作が行われると、該サムネイル表示部703に表示されているサムネイルに対応する衛星画像のメタデータの一部もしくは全部を表示しても良い。また、端末4は、別のページに遷移することで、衛星画像に関する詳細なメタデータを表示してもよい。
【0086】
メタデータ表示部704には、サムネイル表示部703に表示されているサムネイルに対応する衛星画像のメタデータの一部もしくは全部が表示される。
図7では、メタデータ表示部704には、撮影日時(世界協定時)、国/地域名、住所が表示されている。これらは、
図4のフローチャートの手順にてデータベース部141に登録されたメタデータであってもよい。また、これら以外の他のメタデータを表示しても良い。
【0087】
ページ切替部705は、表示対象となるページを切り替えるための操作部である。サイドパネル701には、所定数(
図7では3件)の検索結果を含むページを単位に表示され、ユーザ操作に応じてページ切替部701を指示することで、他のページをサイドパネル701に表示させることができる。
【0088】
図7においては、検索ヒット数表示部702に122件の衛星画像がヒットしたと表示されている。しかし、実際に検索にヒットしたすべての衛星画像のサムネイルをサイドパネル701に表示しようとすると、情報処理装置1への負荷や通信量が一時的に増大し、さらにサイドパネル701にサムネイルを描画する処理にも負荷がかかることがある。ページ切替部705は、そのような事象を防ぐために実装されている。
【0089】
タブ706は、サイドパネル701を閉じるための操作部で、ユーザ操作に応じてポインタ602をタブ706に重ねてそこでクリック操作を行うと、サイドパネル701は、表示画面から消えて閉じられる。サイドパネル701が閉じられる際は、左側にスライドしながら閉じられてもよい。また、サイドパネル701を閉じた後に、タブ706をGUI600の左端に表示させておいてもよい。この場合、GUI600の左端に表示されたタブ706をユーザ操作に応じてクリックすることで、再びサイドパネル701が開かれて、
図7のように検索結果が表示される状態に戻るようにしてもよい。サイドパネル701が開かれる際は、表示画面の左側から右方向へスライドしながら開かれてもよい。
【0090】
情報処理装置1は、上記のような検索を行うと、該検索の履歴を作成して検索履歴保存部142に保存(登録)する。検索履歴保存部142に保存された検索の履歴のテーブル(検索履歴テーブルT2)の構成例を
図8に示す。
【0091】
図8の例では、検索履歴テーブルT2には、検索履歴(検索のメタデータ)として、履歴ID、検索日時、ROI領域情報、国/地域名、住所、センサ名、検索開始日、検索終了日、オフナディア角、雲量、コメント、を含むメタデータが登録されている。
【0092】
検索履歴は、あるユーザは別のユーザの検索履歴にはアクセスできないようにしなければならない。なぜなら、あるユーザが不正に別のユーザの検索履歴にアクセスできてしまうと重大なセキュリティおよびプライバシーの侵害に繋がるからである。そこで、検索履歴テーブルT2は、ユーザごとに作成され、ユーザごとに検索履歴が管理されるようにしてもよい。
【0093】
ここで、情報処理装置1は、多数の衛星画像の検索要求を受け付けることが想定される。そのため検索履歴は、放置しておくと無尽蔵に増加してしまう。そして、ユーザが過去に検索したことは時間が経過するとともに忘れ去られることが多い。そのため、古い検索履歴は新しい検索履歴よりも利用価値が低くなりがちである。そこで、検索履歴テーブルT2は待ち行列構造として、最大レコード数を定義し、最大レコード数を超えて検索履歴が生成されようとすると、最も古い検索履歴から順に削除されるように検索履歴を管理してもよい。なお、これは一例であり、その他のルールに従って検索履歴が削除されるように管理してもよい。
【0094】
履歴IDは、それぞれの検索に固有の識別子である。識別子には、検索履歴テーブルT2にレコード(検索履歴)が生成されるたびに連番を生成して割り当ててもよいし、UUID(Universally Unique IDentifier)のような世界中で一意となる番号を割り当ててもよい。
【0095】
検索日時は、検索履歴が生成された日時である。
【0096】
ROI領域情報は、検索領域を規定する情報であり、空間データ型の情報として登録される。
図8では、検索領域の各頂点の座標がROI領域情報として登録されている。なお、ROI領域情報は、例えば、ポイント型、ラインストリング型、ポリゴン型、マルチポイント型、マルチラインストリング型、マルチポリゴン型などの空間データ型として定義されてもよい。
【0097】
国/地域名は、検索領域の中心に対応する緯度経度に位置する国/地域名である。
【0098】
住所は、検索領域の中心に対応する緯度経度に位置する住所である。
【0099】
国/地域名および住所は、検索領域の中心の緯度経度を用いて逆ジオコーディングして求めてもよい。検索領域が多角形や手書きされた領域の場合は、領域の重心の緯度経度を用いて逆ジオコーディングして、国/地域名および住所を求めてもよい。
【0100】
センサ名は、検索条件としてユーザにより指定されたセンサ名である。
【0101】
検索開始日は、検索のためにユーザ操作に応じて
図6の開始日付指定部610に入力された、検索対象となる衛星画像の撮影日時の開始日である。
【0102】
検索終了日は、検索のためにユーザ操作に応じて
図6の終了日付指定部611に入力された、検索対象となる衛星画像の撮影日時の終了日である。
【0103】
オフナディア角は、検索のためにユーザ操作に応じて
図6のオフナディア角指定部612を操作することで指定されたオフナディア角である。
【0104】
雲量は、検索のためにユーザ操作に応じて
図6の雲量指定部613を操作することで指定された雲量である。
【0105】
コメントは、ユーザ操作に応じて入力された、検索履歴に対するコメントである。
【0106】
検索領域603に対応する地理的範囲が撮影されている衛星画像を検索ボックス608にて指定された上記の検索条件に従って検索すると共に、該検索の履歴を検索履歴テーブルT2に登録するために情報処理装置1が行う処理について、
図9のフローチャートに従って説明する。
【0107】
ステップS901では、制御部11は、端末4から送信された検索要求を取得する。
図6のGUI600がブラウザであれば、端末4から情報処理装置1への問い合わせは、AJAX (Asynchronous JavaScript and XML)のような非同期通信が行われてもよい。
【0108】
ステップS902では、制御部11は、ステップS901で取得した検索要求に基づいて、検索領域603の中心に対応する緯度経度に対応する国/地域名、住所を取得する。たとえば、検索要求に「検索領域603の中心に対応する緯度経度」が含まれている場合には、該緯度経度に対応する国/地域名、住所を、逆ジオコーディングにより取得する。なお、検索領域が多角形や手書きされた領域の場合は、領域の重心の緯度経度を用いて逆ジオコーディングして、国/地域名および住所を求めてもよい。
【0109】
ステップS903では、制御部11は、検索IDを発行して検索履歴テーブルT2に登録すると共に、該検索IDに対応付けて、検索日時(今回の検索を行った日時)、ROI領域情報(検索領域603のROI領域情報)、国/地域名(ステップS902で取得した国/地域名)、住所(ステップS902で取得した住所)、センサ名(検索要求に含まれる、センサ名指定部609で選択されたセンサ名)、検索開始日(検索要求に含まれる、開始日付指定部610に入力された開始日)、検索終了日(検索要求に含まれる、終了日付指定部611に入力された終了日)、オフナディア角(検索要求に含まれる、オフナディア角指定部612で入力されたオフナディア角)、雲量(検索要求に含まれる、雲量指定部613で指定された雲量)、コメント(検索要求に含まれる、ユーザ操作に応じて入力されたコメント)、を検索履歴テーブルT2に登録する。検索日時は、検索履歴レコードが生成されたタイミングの日時であっても良い。
【0110】
ステップS904では、制御部11は、検索履歴テーブルT2に登録されているレコードの数が閾値(検索履歴テーブルT2に格納可能なレコード数の最大値)に到達したか否かを判断する。この判断の結果、検索履歴テーブルT2に登録されているレコードの数が閾値に到達した場合には、処理はステップS905に進み、検索履歴テーブルT2に登録されているレコードの数が閾値に到達していない場合には、処理はステップS906に進む。なお、検索履歴テーブルT2に格納可能なレコード数の最大値は、たとえば、システム管理者またはユーザにより指定される。
【0111】
ステップS905では、制御部11は、検索履歴テーブルT2から検索日時が最も古いレコードを削除する。
【0112】
ステップS906では、制御部11は、画像プール143に含まれている衛星画像群から、「検索領域603の緯度経度に近い緯度経度で撮影された衛星画像のうち検索条件を満たす衛星画像」を検索する。
【0113】
なお、「検索領域603の緯度経度に近い緯度経度で撮影された衛星画像」の定義は特定の定義に限らない。たとえば、検索領域603の中心の緯度経度との差分(緯度、経度のそれぞれの差分)が閾値未満となる緯度経度を中心の緯度経度とする衛星画像を画像プール143から取得しても良い。またたとえば、検索領域603の四隅に対応する緯度経度で囲まれる地理的な領域(地図上の領域)と重複する面積の割合が閾値以上となる衛星画像を画像プール143から取得しても良い。
【0114】
また、検索条件を満たす衛星画像とは、衛星画像マスターテーブルT1に登録されているメタデータのうち検索条件を満たすメタデータに対応する衛星画像である。
【0115】
そして制御部11は、上記の検索で取得した(ヒットした)衛星画像および該衛星画像のメタデータを含む検索結果を通信部13を介して端末4に対して送信する。
【0116】
次に、検索履歴テーブルT2を用いて、過去の検索と同一の条件による衛星画像の再検索を実現するための衛星画像アーカイブシステムの機能構成例について、
図10のブロック図を用いて説明する。
図10に示した各機能部はコンピュータプログラムやデータで実装しても良いし、ハードウェアで実装しても良い。
【0117】
この再検索の機能では、検索履歴テーブルT2に保存されているROI領域情報で規定される領域を表示画面上に表示し、該領域をユーザ操作に応じて指示すると、該領域に対応付けられた検索条件で衛星画像の再検索を行うことができる。
【0118】
サーバ部1001は、情報処理装置1が有するサーバ機能を実現するための機能部である。サーバ部1001は、端末4からの要求に応じた適切な応答を該端末4に対して送信する。
【0119】
検索履歴保存部1002は、上記の検索履歴保存部142と同様の機能部である。
【0120】
データベース部1003は、上記のデータベース部141と同様の機能部である。
【0121】
画像プール1004は、上記の画像プール143と同様の機能部である。
【0122】
クライアント部1011は、端末4が有するクライアント機能を実現するための機能部である。
【0123】
クライアント部1011は、サーバ部1001に対して検索履歴の要求を送信する。サーバ部1001は、該要求に応じて「検索履歴保存部1002に含まれている検索履歴」をクライアント部1011に対して送信するので、検索履歴表示部1012は該検索履歴を受信し、該検索履歴に含まれているROI領域情報によって規定される検索領域を表す領域情報(矩形や円形などの任意の形状の枠など)を表示画面に表示させる。たとえば、クライアント部1011がウェブブラウザであれば、該領域情報はハイパーリンクまたはフォームを有してもよい。そして端末4のユーザが表示画面に表示されている1以上の領域情報のうち1つを指示すると、検索部1013は、該指示された領域情報に対応する検索履歴と同じ検索条件で衛星画像の検索(再検索)を行うよう情報処理装置1に要求するための検索要求を、該情報処理装置1に対して送信する。情報処理装置1は、該検索要求を受けると、該検索要求に応じて検索結果(衛星画像および対応するメタデータ)を画像プール1004およびデータベース部1003から取得してクライアント部1011に対して送信する。
【0124】
検索履歴表示部1012による領域情報の表示例を
図11に示す。この表示は、ログインしたユーザに応じたものが、ログイン時に自動的に表示されるようにしてもよいし、ユーザが履歴表示を選択したことに応じて表示してもよい。検索履歴表示部1012により端末4の表示画面上に表示されるGUI1101には、
図6のGUI600と同様に広域の地
図1102が表示されている。
図11では広域の地
図1102としてメルカトル図法の地図が用いられているが、別の図法による地図でもよいし、3次元で表現された地図や地球儀のような球体状の地図でもよい。
【0125】
領域情報1103は、検索履歴保存部1002に含まれている検索履歴に含まれているROI領域情報によって規定される検索領域、つまり、過去にユーザが検索した検索領域である。
図11では、複数の領域情報1103が表示されている。それぞれの領域情報は、対応するROI領域情報で表される地図上の位置に表示される。
【0126】
そして端末4のユーザがポインタ1104を操作していずれかの領域情報を指示すると(たとえばクリック操作を行うと)、指示された領域情報に対応する検索履歴と同じ検索条件で衛星画像の検索(再検索)を行うよう情報処理装置1に要求するための検索要求が生成され、該検索要求が該情報処理装置1に対して送信される。
【0127】
また、ユーザは、ポインタ1104を操作することで、広域の地
図1102を東方向、西方向、南方向または北方向に移動させたり、GUI1101に表示されている任意のオブジェクトを選択/指示したりすることができる。
【0128】
また、端末4のユーザが領域情報1103を指示すると、ポップアップ1105が表示される。ポップアップ1105には、領域情報1103に対して可能な操作の一覧が表示されている。
【0129】
以下、ポップアップ1105について説明する。なお、各領域情報1103は、複数の表示レイヤー(表示層)に割り当てられて表示されており、前面側の表示層に配置された領域情報1103が背面側の表示層に配置されたものよりも優先的に表示(描画)される。
【0130】
メニュー項目11051を指示すると、領域情報1103の表示層を最前面の層に移動させることができる。
【0131】
メニュー項目11052を指示すると、領域情報1103の表示層を1つ前面の層に移動させることができる。
【0132】
メニュー項目11053を指示すると、領域情報1103の表示層を最背面の層に移動させることができる。
【0133】
メニュー項目11054を指示すると、領域情報1103の表示層を1つ背面の層に移動させることができる。
【0134】
メニュー項目11055を指示すると、メニュー項目11051~11054に対する操作に応じて一時的に表示層を移動させた領域情報1103の表示層を元の表示層に戻すことができる。
【0135】
メニュー項目11056を指示すると、領域情報1103に対応する検索領域のメタデータを、端末4の表示画面上に表示させることができる。このメタデータは、ユーザにより指定された検索条件を含む検索履歴およびそれらに付随するデータである。
【0136】
メニュー項目11057を指示すると、領域情報1103を表示画面上から削除し、かつ対応する検索履歴(レコード)を検索履歴テーブルT2から恒久的に削除するよう情報処理装置1に対して指示することができる。
【0137】
GUI1101に戻り、コントロールボックス1106は、上記のコントロールボックス604と同様の機能を有し、広域の地
図1102をズームイン/ズームアウトするための入力のための操作部である。たとえば、ポインティングデバイスとしてマウスを利用する場合は、マウスホイールを前後に回転させるなどの操作でズームインおよびズームアウトできるようにしてもよい。
【0138】
図11のGUI1101において、端末4のユーザがポインタ1104を領域情報1103の枠もしくは領域情報1103内に移動させてそこでクリック操作を行うと、領域情報1103に対応する検索履歴と同じ検索条件で衛星画像の検索(再検索)を情報処理装置1に行わせることができる。
【0139】
このように、直感的なユーザインターフェースにより、過去の検索した際に利用した検索条件と同一の検索条件で衛星画像の再検索の指示を可能にする。これにより、端末4のユーザは、過去の検索した際に利用した検索条件を覚えておく必要がない上に、特定の地域が撮影された衛星画像を定点観測することができるようになる。この機能は、例えば衛星画像により特定の地域の地物の変化を検出する際に役立つであろう。
【0140】
なお、GUI1101に表示される領域情報の表示形態は特定の表示形態に限らない。たとえば、領域情報の色や不透明度(Opacity)を、検索履歴テーブルT2において該領域情報に対応する検索日時に応じた色や不透明度としても良い。例えば、検索日時がより最近の領域情報の不透明度を高くしていくことで、領域情報の検索日時の時系列を視覚的に表現することができる。また、たとえば、領域情報の枠の太さや色、領域情報の内部領域の色や不透明度を、ポインタ1104を用いて領域情報を指示したときに変更するようにしても良い。これは、領域情報が指示されたことをユーザに認識させるために役立つであろう。また、同様の理由でポインタ1104を用いて領域情報が指示された場合に該領域情報を最前面に表示させてもよく、指示が解除されたらもとの層に戻してもよい。
【0141】
また、表示画面に表示させる領域情報の層を、対応する検索履歴の検索日時に基づいて指定できるようにしてもよい。例えば、より最近の検索日時の領域情報をより前面の層に表示することで、最近検索した領域情報にアクセスしやすくなる。加えて、領域情報の表示層により検索日時の時系列を表現することができる。これは一例であり、同様に、表示画面に表示させる領域情報の層を前面側にするか否か、あるいは表示するか否かの条件をユーザが指定できるように構成することが好ましい。この条件設定は、検索履歴テーブルT2に保持されたパラメータすべてについて、単体あるいは組み合わせて対象とすることができる。
また、GUI1101に表示する領域情報の数を制限してもよい。例えば、ユーザにより指定された期間に属する検索日時に対応する領域情報を表示対象とし、該期間に属さない検索日時に対応する領域情報については表示対象としない、ようにしても良い。これにより、ユーザにとって重要性の高い情報のみが表示されるようになる。さらに、制御部11による検索処理の負荷、領域情報の表示処理の負荷、情報処理装置1と端末4との間の通信量、を低減させることができるようになるであろう。
【0142】
また、ユーザ操作に応じて領域情報の表示/非表示を切り替えるようにしても良い。例えば、表示されている領域情報をポップアップ非表示にすることができてもよい。また、GUI1101上の操作により、非表示になっている領域情報を表示できるようにしてもよい。
【0143】
また、多数の領域情報が互いに近接した位置に表示されるようなケースも考えられ、このような場合、ポインタ1104を用いて背面に配置された領域情報を指示することが困難となるケースが考え得る。このようなケースに鑑み、メニュー項目11051~11054を用いて、一時的に前面に配置された領域情報を背面に移動させ、背面に配置されている領域情報を前面に移動させることで所望の領域情報の指示の利便性を向上させるようにしてもよい。領域情報の表示層が時系列を表現する等の場合は、一時的に前面または背面に移動した領域情報の表示層をメニュー項目11055に対する操作によりリセットして、元に戻すことができるようにしてもよい。
【0144】
また、GUI1101に広域の地
図1102が表示されたときや、ユーザが地図を移動またはズームインやズームアウトさせたときなど、GUI1101における地図の表示の更新が発生すると、新たに表示された広域の地
図1102上に領域情報を表示する必要がある。そこで、GUI1101における地図の表示の更新が発生すると、端末4は、新たにGUI1101に表示する地図の地理的範囲に属するROI領域情報を含む検索履歴の取得要求を、情報処理装置1に対して送信する。情報処理装置1は、該取得要求に応じて、新たにGUI1101に表示する地図の地理的範囲に属するROI領域情報を含む検索履歴を検索履歴テーブルT2から取得し、該取得した検索履歴を端末4に対して送信する。端末4は、新たにGUI1101に表示した地図上に、情報処理装置1から受信した検索履歴に含まれているROI領域情報に対応する領域情報を重ねて表示する。
【0145】
なお、地図の表示の更新の度に取得要求が発生すると、情報処理装置1の処理負荷が大きくなる場合があるので、ユーザによる明示的な操作によって取得要求を送信するようにしてもよい。
【0146】
また、地図のズームレベルが低い場合は、地図上に広範な領域が描画されるため、表示される領域情報の数が非常に多くなる。そのため、地図の表示の更新が発生するたびに取得要求が発生すると、多くの検索履歴がヒットしてしまい、制御部11による処理の負荷が大きくなり、さらに通信量が増大してシステムに悪影響を与えることがある。そのため、ズームレベルが低い場合は、取得要求を送信しないようにし、ズームインをしてズームレベルが一定水準よりも高くなった場合、つまり地図に詳細な地域が表示されるようになったら、取得要求を送信するようにしても良い。
【0147】
メニュー項目11056を指示した場合にポップアップで表示される、「領域情報1103に対応する検索領域のメタデータ」の表示例を
図12に示す。ユーザ操作に応じてメニュー項目11056を指示すると、端末4は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれるデータ(メタデータ)の一覧を含むポップアップ1201を表示画面に表示させる。領域情報1103の属性がひと目で視覚的に理解できるように、領域情報1103内に一部の代表的なメタデータを簡易的に表示してもよい。
【0148】
項目12011は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれている検索日時である
項目12012は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれているROI領域情報である。
【0149】
項目12013は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれている検索開始日と検索終了日との間の期間を示す。
【0150】
項目12014は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれている国/地域名を示す。この国/地域名は、領域情報1103の中心に対応する緯度経度から逆ジオコーディングを実行して求めてもよい。
【0151】
項目12015は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれている住所を示す。この住所は、領域情報1103の中心の緯度経度から逆ジオコーディングを実行して求めてもよい。
【0152】
項目12016は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれているオフナディア角の範囲を度単位で示す。
【0153】
項目12017は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれている雲量の範囲をパーセント単位で示す。
【0154】
項目12018は、領域情報1103に対応する検索履歴に含まれているコメントを示す。コメントを追加することで、検索履歴だけでは不足しているデータを表現することができる。例えば、検索領域を検索した理由や動機などをコメントとして付加しておくことで、検索したときの目的などを後に把握できるようになる。このコメントは追加、削除、修正が可能であってもよい。また、コメントのようなテキスト形式のデータ以外にも画像や映像などのマルチメディアデータも追加、削除、修正が可能であってもよい。なお、新たにメタデータの項目を追加する際には検索履歴テーブルT2を拡張する必要がある。
【0155】
なお、GUI1101に領域情報を表示するにあたって、ユーザが、履歴ID、検索日時の範囲、撮影日時の範囲、オフナディア角の範囲、雲量の範囲などの検索条件を指定して情報処理装置1に検索要求を送信し、情報処理装置1が該検索条件に合致する検索履歴を検索履歴テーブルT2から取得して端末4に対して送信するようにしても良く、これにより、ユーザにより指定された検索条件に合致する検索履歴に対応する領域情報やメタデータを表示対象とし、ユーザにより指定された検索条件に合致しない検索履歴に対応する領域情報やメタデータは表示対象としない、とすることができる。
【0156】
なお、GUI1101に領域情報を表示するにあたって、ユーザが、国/地域名、住所、コメントのような文字列を検索条件として指定して情報処理装置1に検索要求を送信し、情報処理装置1が該検索条件に合致する検索履歴を検索履歴テーブルT2から取得して端末4に対して送信するようにしても良く、これにより、ユーザにより指定された検索条件に合致する検索履歴に対応する領域情報やメタデータを表示対象とし、ユーザにより指定された検索条件に合致しない検索履歴に対応する領域情報やメタデータは表示対象としない、とすることができる。
【0157】
GUI1101において端末4のユーザがポインタ1104を用いて領域情報1103を指示したことに応じて情報処理装置1が行った再検索の結果の、端末4の表示画面上における表示例について、
図13を用いて説明する。再検索の結果は
図7と同様にサイドパネル701に表示される。GUI1101がウェブブラウザである場合は、領域情報1103は、ハイパーリンクまたはフォームとして実装してもよい。
【0158】
端末4の表示画面上に領域情報を表示するために該端末4が行う処理について、
図14のフローチャートに従って説明する。
図14のフローチャートに従った処理は、広域の地
図1102の移動、ズームイン、ズームアウトなどによる広域の地
図1102の表示の更新がきっかけとなり開始される。
【0159】
ステップS1401では、検索履歴表示部1012は、現在GUI1101に表示されている地図の四隅のそれぞれに対応する緯度経度を取得する。
【0160】
ステップS1402では、検索履歴表示部1012は、ステップS1401で取得した緯度経度を四隅の緯度経度とする地理的領域に属するROI領域情報を含む検索履歴の検索要求を、情報処理装置1に対して送信する。
【0161】
情報処理装置1は、このような検索要求を端末4から受信すると、「ステップS1401で取得した緯度経度を四隅の緯度経度とする地理的領域に属するROI領域情報を含む検索履歴」を検索履歴テーブルT2から取得する。そして情報処理装置1は、該取得した検索履歴を端末4に対して送信する。このとき、対象となる地理的領域に属するROI領域情報を含む検索履歴として、ROI領域情報が完全に包含されるものと一部が含まれるものの両方を該当する検索履歴として送信してよい。
【0162】
ステップS1403では、検索履歴表示部1012は、情報処理装置1から送信された検索履歴を受信する。情報処理装置1から受信した検索履歴には、ROI領域情報のような空間データが含まれるため、GeoJSONやKMLのような空間データを扱うことができるデータ形式としてもよい。
【0163】
ステップS1404では、検索履歴表示部1012は、ステップS1403で受信した検索履歴について、該検索履歴に含まれているROI領域情報に対応する領域情報の色や不透明度を設定する。例えば、検索履歴表示部1012は、検索日時がより新しい検索領域に含まれるROI領域情報に対応する領域情報の不透明度をより高くして、検索履歴の時系列を視覚的に表現してもよい。また、対象となる地理的領域に完全に包含されるROI領域情報であるか否かによって設定してもよく、その場合、完全に包含されるROI領域情報の不透明度を高くするなど、視認性を高くすることが好ましい。
【0164】
ステップS1405では、端末4は、ステップS1403で受信した検索履歴について、該検索履歴と同一の検索条件で衛星画像の再検索を情報処理装置1に行わせるための検索部を、該検索履歴に対応する領域情報に付与する検索部として生成する。GUI1101がウェブブラウザであれば、検索部はHTMLによるハイパーリンクまたはフォームとしてもよい。
【0165】
ユーザ操作に応じて領域情報が指定されると、検索部1013は、該領域情報に付与されている検索部を用いて、該領域情報に対応する検索履歴と同一の検索条件で衛星画像の再検索を情報処理装置1に行わせる。
【0166】
ステップS1406では、検索履歴表示部1012は、ステップS1403で受信した検索履歴について、該検索履歴に含まれるROI領域情報に対応する領域情報を、該領域情報についてステップS1404で設定した色や不透明度でもって、GUI1101に表示されている地図において該ROI領域情報に対応する位置に表示させる。
【0167】
例えば、検索日時が新しい領域情報を前面の層から背面の層へ順に配置していくことで、検索履歴の時系列を視覚的に表現してもよい。また、領域情報が配置されたあとに、ユーザ操作に応じて領域情報の表示方法を切り替えることができてもよい。例えば、ユーザ操作により古い検索日時に対応する領域情報を前面の層から背面の層へ順に配置するように切り替えることができてもよい。
【0168】
[第2の実施形態]
本実施形態を含む以下の各実施形態では、第1の実施形態との差分について説明し、以下で特に触れない限りは、第1の実施形態と同様であるものとする。本実施形態では、衛星画像タスキングサービスを運用する衛星画像アーカイブシステムについて説明する。衛星画像タスキングサービスとは、衛星画像を希望するユーザが、人工衛星の運用事業者に対して衛星画像の撮影依頼を出すことができるサービスである。ここでも第1の実施形態で説明した、平面座標上に関連付けられたデータの検索履歴の利用方法と同等の仕組みを用いることで、衛星画像タスキングサービスの利便性が大きく向上することを示す。本実施形態には、
図1に示した、第1の実施形態に係る衛星画像アーカイブシステムを適用する。
【0169】
本実施形態においては、情報処理装置1は、第1の実施形態で説明した情報処理装置1の機能に加えて、運用中の人工衛星3に対してユーザが撮影指示を出すことができるタスキングの機能を有する。端末4はタスキングにおいて、ユーザが撮影条件を指定して人工衛星3に指示を出すための端末となる。
【0170】
ユーザは端末4を操作して、人工衛星3による衛星画像の撮影条件を指定し、該撮影条件に従った衛星画像の撮影指示を情報処理装置1に対して送信する。衛星画像の撮影条件には、撮影希望日時、撮影希望ROI、撮影に使用するセンサなどがある。人工衛星3は地球周回軌道を飛行しているため、ユーザが希望する日時に必ずしも撮影できるとは限らない。また、人工衛星3に搭載されているセンサは、それぞれ特徴をもっており、撮影の用途に応じて選択する必要がある。そこで、人工衛星3が飛行する地球周回軌道と人工衛星3に搭載されているセンサから撮影計画を作成する必要がある。100基以上など数多くの人工衛星を運用していれば、ユーザの希望する日時に希望する地域を撮影できる可能性が高くなる。端末4から送信された撮影指示を受信した情報処理装置1は、撮影計画を作成し、撮影に最も適した人工衛星3がアンテナ2の上空を通過するときに、アンテナ2を介して人工衛星3に対して無線による撮影指示を出す。撮影指示を受け付けた人工衛星3は、情報処理装置1から受けた撮影指示に基づいて撮影後、再びアンテナ2の上空を通過するときに、該撮影した衛星画像およびハウスキーピングデータをアンテナ2を介して情報処理装置1に対してダウンリンクする。これにより、情報処理装置1には、ユーザ操作に応じて指定された撮影条件に従って撮影された衛星画像およびハウスキーピングデータが登録されることになる。情報処理装置1に登録された衛星画像は、第1の実施形態に係る衛星画像アーカイブシステムの如く、端末4から検索可能となる。
【0171】
端末4の表示画面に表示される衛星画像タスキングサービスのためのGUI1501の表示例について、
図15を用いて説明する。ユーザは、
図15に例示するGUI1501を操作してタスキングの注文を行い、情報処理装置1およびアンテナ2を介して人工衛星2に撮影指示を出す。
【0172】
図15に示す如く、GUI1501には広域の地
図1502が表示される。また、GUI1501は、人工衛星3による衛星画像の撮影の撮影条件を設定してタスキングの注文を可能にするための操作部を有する。
【0173】
ユーザはポインタ1503を操作してGUI1501に対する各種の操作(広域の地
図1502のズームイン/ズームアウト、広域の地
図1502の移動、人工衛星3に撮影を希望するROIの指定など)を行うことができる。
図15ではユーザがポインタ1503を操作して、人工衛星3に撮影を希望するROIとして領域1504が指定されている。なお、人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域の形状は矩形に限らず、点、線、円、楕円、多角形であっても良いし、ユーザがポインタ1503を用いて手書きした線や領域であっても良い。
【0174】
コントロールボックス1505は、広域の地
図1502をズームイン/ズームアウトしたり、広域の地
図1502上から人工衛星3に撮影を希望するROIの設定を開始したりするための入力のための操作部である。
【0175】
ユーザ操作に応じてズームインボタン1506を指示するたびに、GUI1501に表示される地図をズームインすることでき、ユーザ操作に応じてズームアウトボタン1507を指示するたびに、GUI1501に表示される地図をズームアウトすることができる。
【0176】
ユーザ操作に応じて矩形選択ボタン1508を指示すると、ポインタ1503による領域1504の指定が可能になる。ポインタ1503による領域1504の指定が可能になると、ユーザ操作に応じてポインタ1503の移動、クリック、ドラッグアンドドロップ操作などが可能になり、領域1504を指定することができる。
【0177】
コントロールボックス1509は、人工衛星3による撮影の希望日を世界協定時で指定するための操作部である。
【0178】
コントロールボックス1510は、人工衛星3による撮影の希望時刻を世界協定時で指定するための操作部である。
【0179】
キャンセルボタン1511は、ユーザがGUI1501を用いて指定した撮影条件(ROI、撮影の希望日、撮影の希望時刻など)をクリアし、既定の状態に戻すための操作部である。
【0180】
ユーザがポインタ1503を用いて注文のプレビューボタン1512を押すと、端末4は、表示画面に撮影条件の最終確認画面を表示する。ユーザが最終確認画面にてタスキングの注文を確定させるための操作を行うと、GUI1501で指定した撮影条件を含むタスキング履歴は、検索履歴保存部142に含まれるタスキング履歴テーブルT3に登録される。
【0181】
タスキングの注文にあたり、一度のタスキングの注文で、複数の撮影条件を指定し、複数の撮影指示を送信できるようにしてもよい。そして、ユーザは、人工衛星3により撮影された衛星画像が衛星画像アーカイブシステムに登録されるのを待つことになる。
【0182】
ファイルアップロードボタン1513は、KML(Keyhole Markup Language)やGeoJSONなど空間データを表現できる形式のファイルをアップロードするための操作部で、ユーザが撮影を希望するROIやその他の撮影条件を含むタスキングの内容をファイルとして情報処理装置1にアップロードするための操作部である。ファイルをアップロードすることで、ユーザがポインタ1503を操作することなく、希望する撮影条件を正確に指定することができる。もちろん、ファイルをアップロードして指定した撮影条件を用いて、タスキングの注文をしてもよい。KMLやGeoJSONのような一般的によく用いられているファイル形式を用いることで、別の地理情報システムソフトウェアなどで生成されたファイルをアップロードすることが可能になる。なお、このKMLやGeoJSONなどのファイルは、第1の実施形態に係る衛星画像アーカイブシステムからダウンロード可能に構成することが好ましい。そうすることで、他のユーザの検索履歴テーブルT2に基づいたタスキング注文が可能となる。
【0183】
コントロールボックス1509およびコントロールボックス1510はそれぞれ、撮影の希望日の範囲、撮影の希望時刻の範囲、を指定することができるように構成しても良い。また例えば、週毎、月毎、年毎など任意の撮影日程を指定することで、同一のROIに対して定期的な撮影指示を出すことができるようにしてもよい。定期的な撮影指示を出すことにより、同一のROIを定点観測することができるため、同一の地域において、天災などによる地物の変化を検出する場合に役立つであろう。
【0184】
また、ユーザがポインタ1503を操作して注文のプレビューボタン1512を指示したことに応じて表示されるタスキングの内容の最終確認画面にて、ユーザがタスキングの注文を確定させると、その後、情報処理装置1が電子メールやショートメッセージサービスなどで、注文内容をユーザ(端末4)に通知するようにしてもよい。これで、ユーザは注文内容が正確に登録されているか否かを確認することができる。また、人工衛星3によりROIの撮影が完了し、衛星画像が衛星画像アーカイブシステムに登録されたときにも、情報処理装置1が電子メールやショートメッセージサービスなどでユーザ(端末4)に通知してもよい。また、注文確定後に情報処理装置1から人工衛星3への撮影指示が送信されていなければ、ユーザにより撮影指示のキャンセルを可能としてもよい。一度のタスキングの注文において複数の撮影指示を出せるようにしてもよい。また、ユーザがタスキングを注文する際には、その都度課金してもよく、例えば月毎の撮影回数の上限を決めたサブスクリプション契約にしてもよい。
【0185】
タスキング履歴テーブルT3には、ROIのような空間データ型によるデータが格納されているため、登録されたタスキング履歴を、KML(Keyhole Markup Language)やGeoJSONのような空間データを表現できるファイル形式で、GUI1501を操作することでダウンロードできるようにしてもよい。ダウンロードされたファイル(タスキング履歴)は、例えば別の地理情報システムソフトウェアに入力されて活用することが考えられる。また、第1の実施形態に係る衛星画像アーカイブシステムで用いられるKMLやGeoJSONとの区別なく使用されるように構成してもよい。
【0186】
タスキング履歴テーブルT3の構成例について、
図16を用いて説明する。タスキング履歴テーブルT3には、ユーザから衛星画像の撮影に係るタスキングの注文を受注したときに、タスキング履歴のレコードが登録される。タスキング履歴テーブルT3は、検索履歴テーブルT2の使用方法と同じ考え方で設計されている。つまり、タスキング履歴テーブルT3に登録されたタスキング履歴に含まれているROIの情報に基づいて、該ROIを表す表示情報を表示し、ユーザが該表示情報を指示すると、該表示情報に対応する衛星画像(タスキングにより撮影された衛星画像)を検索できるようになっている。
【0187】
タスキング履歴テーブルT3には、タスキングID、注文日時、撮影希望日時、撮影希望ROI領域情報、国/地域名、住所、人工衛星名、センサ名、タスキング状態、を含むセットがタスキング履歴として登録されている。
【0188】
タスキングIDは、ユーザが端末4を操作して設定した「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」の撮影条件を含むタスキング履歴ごとに固有の識別子である。この識別子には、タスキングの注文が生成される都度、連番を生成して割り当ててもよいし、UUID(Universally Unique IDentifier)のような世界中で一意となる番号を割り当ててもよい。
【0189】
注文日時は、タスキングを受注した日時である。
【0190】
撮影希望日時は、ユーザが上記のコントロールボックス1509およびコントロールボックス1510を操作して指定した撮影希望日および撮影希望時刻を世界協定時で示した情報である。
【0191】
撮影希望ROI領域情報は、「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」を規定する情報であり、
図16では、領域の各頂点のそれぞれの座標が撮影希望ROI領域情報として登録されている。なお、撮影希望ROI領域情報は、例えば、ポイント型、ラインストリング型、ポリゴン型、マルチポイント型、マルチラインストリング型、マルチポリゴン型などの空間データ型として定義されてもよい。
【0192】
国/地域名は、「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」の中心に対応する緯度経度に位置する国/地域名である。
【0193】
住所は、「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」の中心に対応する緯度経度に位置する住所である。
【0194】
国/地域名および住所は、「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」の中心の緯度経度を用いて逆ジオコーディングして求めてもよい。「人工衛星3に撮影を希望するROIとしてユーザが指定する領域」が多角形や手書きされた領域の場合は、領域の重心の緯度経度を用いて逆ジオコーディングして、国/地域名および住所を求めてもよい。
【0195】
人工衛星名は、作成された撮影計画で、撮影に使われることが決定した人工衛星3の名前である。
【0196】
センサ名は、作成された撮影計画で、撮影に使われることが決定したセンサの名前である。このセンサは、撮影に使われることが決定した人工衛星3に搭載されているセンサである。
【0197】
タスキング状態は、受注したタスキングの現在の状態を示す。タスキングの状態には、例えば「タスキング準備中」、「タスキング中」、「タスキング完了」などの状態がある。ユーザは、この列を参照することで、現在のタスキングの状態を知ることできる。
【0198】
「タスキング準備中」の状態は、タスキングの注文を受注して、情報処理装置1が人工衛星3に対して撮影条件に基づく撮影指令の送信を待機している状態である。
【0199】
「タスキング中」の状態は、情報処理装置1がアンテナ2を介して、人工衛星3に対して撮影条件に基づく撮影指令の送信した状態である。このとき、人工衛星3がアンテナ2から撮影指令を受信して、地球周回軌道を飛行しながらユーザが希望する日時およびROIにおける撮影機会を伺っている状態である。この状態になるとタスキングの注文を取り消すことができなくなる。
【0200】
「タスキング完了」の状態は、人工衛星3により撮影された衛星画像をダウンリンクし、衛星画像アーカイブシステムへ登録が完了された状態を表す。この状態になると、ユーザはタスキングによって撮影された衛星画像を衛星画像アーカイブシステムで閲覧することができる。タスキング状態には文字列ではなく数値を割り当ててもよく、ビットフラグを用いてタスキング状態を管理してもよい。
【0201】
なお、衛星画像マスターテーブルT1にタスキングIDを導入し、タスキング履歴テーブルT3のタスキングIDと関連付けてもよい。つまり、人工衛星3がタスキングによる地表の撮影後、人工衛星3からダウンリンクされた衛星画像のメタデータを
図4のフローチャートに従った処理にて登録するときに、該メタデータに該タスキングに対応するタスキングIDを含めて登録する。このようにすることで、衛星画像マスターテーブルT1とタスキング履歴テーブルT3がタスキングIDで関連付けられる。結果として、登録された衛星画像がどのタスキングで撮影されたのかを関連付けることができ、衛星画像を管理しやすくなる。また、タスキング状態が「タスキング準備中」あるいは「タスキング中」などの撮影前や撮影画像のダウンリンク前の状態のものについては、制御部11が撮影計画を策定した時点などで実際の撮影予定日時やダウンリンク予定日時を登録しておき、ユーザが衛星画像タスキングサービスを介してタスキング履歴テーブルT3に登録された予定日時を確認可能に構成することが好ましい。
【0202】
次に、衛星画像タスキングサービスの処理の一例について、
図17のフローチャートに従って説明する。
【0203】
ステップS1701では、制御部11は、端末4から送信された、タスキングの注文を受信する。
【0204】
ステップS1702では、制御部11は、運用中の複数の人工衛星の軌道を計算し、ユーザの希望する撮影日時やROIなどの撮影条件に基づいて、撮影に最適な人工衛星を選択し、撮影計画を作成する。
【0205】
ステップS1703では、制御部11は、ステップS1701で受信した注文の履歴をタスキング履歴としてタスキング履歴テーブルT3に登録する。このとき制御部11は、ステップS1702で選択した選択人工衛星がアンテナ2の上空を通過するまで、該選択人工衛星への撮影指示の送信を待機する状態となる。
【0206】
ステップS1704では、制御部11は、選択人工衛星がアンテナ2の上空を通過するタイミングで、アンテナ2を経由して選択人工衛星に対して、撮影計画を含む撮影条件に基づく撮影指示を送信する。
【0207】
ステップS1705では、制御部11は、タスキング履歴テーブルT3において現在実行中のタスキングのタスキング状態の値を「タスキング中」に更新する。既に選択人工衛星に撮影指示が送信されているため、これ以降、ユーザはタスキングをキャンセルすることができなくなる。
【0208】
ステップS1706では、アンテナ2を介して撮影指示を受信した選択人工衛星は、該撮影指示に基づきROIを撮影する。
【0209】
ステップS1707では、選択人工衛星はROIを撮影すると、アンテナ2の上空を通過するタイミングで、アンテナ2に対してROIの撮影画像(衛星画像)およびハウスキーピングデータをダウンリンクする。
【0210】
ステップS1708では、制御部11は、アンテナ2を介して選択人工衛星から取得した(選択人工衛星からダウンリンクした)衛星画像に対してノイズ除去、輝点除去、ヒストグラム平坦化、幾何補正などの画像処理を行う。どの画像処理を行うかをユーザが適宜指定できるようにしてもよい。
【0211】
ステップS1709では、制御部11は、ステップS1708で画像処理を行った画像処理済みの衛星画像を衛星画像アーカイブシステムに登録する。画像処理済みの衛星画像を衛星画像アーカイブシステムに登録する処理では、たとえば、画像処理済みの衛星画像を画像プール143に登録し、
図4のフローチャートに従って該画像処理済みの衛星画像のメタデータをデータベース部141に登録する。その際、ステップS402で、ダウンリンクされた衛星画像の品質を確認する処理を実行し、衛星画像が一定水準の品質を満たさないと判断された場合は、ステップS1702に戻り、撮影希望日時を更新して、再び同一の条件でタスキングを試みてもよい。ここで、一定の水準を満たさない衛星画像とは、例えば、撮影時の人工衛星の姿勢誤差が大きいなどの理由で、ユーザが所望するROIが写っていない衛星画像、ダウンリンク時の通信障害などにより不完全となった衛星画像、雲が占める割合が大きい衛星画像などである。
【0212】
ステップS1710では、制御部11は、タスキング履歴テーブルT3において現在実行中のタスキングのタスキング状態の値を「タスキング完了」に更新する。
【0213】
次に、衛星画像アーカイブシステムにおいて、タスキング履歴を用いて、タスキングにより撮影された衛星画像の検索を実現するための機能構成例について、
図18のブロック図を用いて説明する。
図18に示した各機能部はコンピュータプログラムやデータで実装しても良いし、ハードウェアで実装しても良い。
【0214】
図18に示した機能構成例は、タスキング履歴テーブルT3に登録されているタスキング履歴に含まれている撮影希望ROI領域情報が規定するROIをGUI上に表示し、ユーザがいずれかのROIを指示すると、第1の実施形態と同様に、該ROIに基づく衛星画像の検索が開始される。
【0215】
サーバ部1801は、情報処理装置1が有するサーバ機能を実現するための機能部である。サーバ部1801は、端末4からの要求に応じた適切な応答を該端末4に対して送信する。
【0216】
タスキング履歴保存部1802には、タスキング履歴テーブルT3が登録される。
【0217】
データベース部1803は、上記のデータベース部141と同様の機能部であり、タスキングにより撮影された衛星画像のメタデータも登録される。
【0218】
画像プール1804は、上記の画像プール143と同様の機能部であり、タスキングにより撮影された衛星画像も登録される。
【0219】
クライアント部1811は、端末4が有するクライアント機能を実現するための機能部である。
【0220】
クライアント部1811は、サーバ部1801に対してタスキング履歴の要求を送信する。サーバ部1801は、該要求に応じて「タスキング履歴保存部1802に含まれているタスキング履歴」をクライアント部1811に対して送信するので、タスキング履歴表示部1812は該タスキング履歴を受信し、該タスキング履歴に含まれている撮影希望ROI領域情報によって規定される領域を表す領域情報(矩形や円形などの任意の形状の枠など)を表示画面に表示させる。たとえば、クライアント部1811がウェブブラウザであれば、該領域情報はHTMLによるハイパーリンクまたはフォームを含んでも良い。そして端末4のユーザが表示画面に表示されている1以上の領域情報のうち1つを指示すると、検索部1813は、該指示された領域情報に対応するタスキング履歴(もしくはその一部)を検索条件として衛星画像の検索(再検索)を行うよう情報処理装置1に要求するための検索要求を、該情報処理装置1に対して送信する。情報処理装置1は、該検索要求を受けると、該検索要求に応じて検索結果(衛星画像および対応するメタデータ)を画像プール1804およびデータベース部1803から取得してクライアント部1811に対して送信する。
【0221】
タスキング履歴表示部1812による領域情報の表示例を
図19に示す。
図19に示した表示例は、指示した領域情報に対応するタスキングで撮影された衛星画像の検索結果の表示の一例でもあり、タスキング履歴のポップアップ表示の一例でもある。
【0222】
タスキング履歴表示部1812により端末4の表示画面上に表示されるGUI1901には、
図6のGUI600と同様に広域の地
図1902が表示されている。
図19では広域の地
図1902としてメルカトル図法の地図が用いられているが、別の図法による地図でもよいし、3次元で表現された地図や地球儀のような球体状の地図でもよい。
【0223】
領域情報1903は、タスキング履歴に含まれている撮影希望ROI領域情報によって規定される領域、つまり、過去にユーザが注文したタスキングの対象領域である。
図19では、複数の領域情報が表示されている。
【0224】
そして端末4のユーザがポインタ1904を操作していずれかの領域情報を指示すると(たとえばクリック操作を行うと)、該指示された領域情報に対応するタスキング履歴と同じ検索条件で衛星画像の検索(再検索)を行うよう情報処理装置1に要求するための検索要求が生成され、該検索要求が該情報処理装置1に対して送信される。
【0225】
検索要求には、例えばタスキングIDが含まれる。検索要求を受け取った情報処理装置1の制御部11は、衛星画像マスターテーブルT1(上記の如く、メタデータごとに該メタデータに対応する衛星画像のタスキングのタスキングIDが関連付けられている)から、検索要求であるタスキングIDに対応するメタデータを取得し、該メタデータに対応する衛星画像を画像プール143から取得し、該メタデータと、該衛星画像と、を検索結果として端末4に送信する。
【0226】
端末4は、情報処理装置1から送信された検索結果に含まれる衛星画像を含む画面(
図19に例示するGUI1901)を、端末4の表示画面に表示する。たとえば
図19に示す如く、情報処理装置1から送信された、領域情報1903に対する検索結果に含まれる衛星画像を含む(サイドパネル701と同様の)サイドパネル1905が、GUI1901に重ねて表示される。サイドパネル1905は、GUI1901の左端から右方向へスライドしながら表示される。
【0227】
また、端末4のユーザが領域情報1903を指示すると、ポップアップ1906が表示される。ポップアップ1906には、領域情報1903に対応するタスキング履歴が表示されている。
【0228】
メニュー項目19061は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれているタスキングIDである。
【0229】
メニュー項目19062は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれている注文日時である。
【0230】
メニュー項目19063は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれている撮影希望日時である。
【0231】
メニュー項目19064は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれている国/地域名である。
【0232】
メニュー項目19065は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれている住所である。
【0233】
メニュー項目19066は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれている人工衛星名である。
【0234】
メニュー項目19067は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれているセンサ名である。
【0235】
メニュー項目19068は、領域情報1903に対応するタスキング履歴に含まれているタスキング状態を示す。
【0236】
また、GUI1901に表示する領域情報の数を制限してもよい。例えば、ユーザにより指定された期間に属する撮影日時に対応する領域情報を表示対象とし、該期間に属さない撮影日時に対応する領域情報については表示対象としない、ようにしても良い。また例えば、ユーザによって指定されたタスキングIDに対応する領域情報を表示対象とし、ユーザによって指定されていないタスキングIDに対応する領域情報については表示対象としない、というようにしても良い。
【0237】
また例えば、領域情報1903は、領域情報1103と同等の特性をもっていてもよい。
【0238】
[第3の実施形態]
本実施形態では、不動産業における物件検索アプリケーションの形態について説明し、これが第1の実施形態である衛星画像アーカイブシステムと同等の仕組みによって成り立つことを説明する。そして、これまでの実施形態で説明してきた平面座標上に関連付けられたデータの検索履歴を活用したデータ検索装置は、不動産の物件検索にも応用可能であることを示す。
【0239】
端末4の表示画面に表示された物件検索アプリケーションのGUIの表示例について、
図20を用いて説明する。以下では、端末4がタッチパネル画面を有する装置(スマートフォン、タブレット端末装置、タッチパネル画面を有するパーソナルコンピュータなど)であるケースについて説明するが、これに限らず、画面に対する操作をキーボードやマウスなどの他のユーザインターフェースを用いて実施可能な装置であれば、他の種類の装置であっても良い。
【0240】
GUI2001は、物件情報を検索するための方法を選択するための画面を提供しており、検索方法選択ボタン2002(「駅から探す」)、検索方法選択ボタン2003(「エリアから探す」)、検索方法選択ボタン2004(「指で描いて探す」)を含む。
【0241】
ユーザが検索方法選択ボタン2002を指示すると、路線図などから鉄道の駅名を指定することでその近辺の物件を検索する方法を指定することができる。
【0242】
ユーザが検索方法選択ボタン2003を指示すると、都道府県名や市町村区名などを指定することで物件を検索する方法を指定することができる。
【0243】
ユーザが検索方法選択ボタン2004を指示すると、ユーザがタッチパネル画面上を指などの指示具を用いてなぞって領域を指定することで物件を検索する方法を指定することができる。この方法は、希望する物件のある地域を指示具で指定できるというタッチパネル画面の特性を生かして、物件の地域についてこだわった検索ができる方法であり、さらに第1の実施形態のように、検索履歴を活用して物件検索の利便性を向上させることができる。以降、検索方法選択ボタン2004の「指で描いて探す」で実現する物件検索機能について説明する。
【0244】
ユーザが検索方法選択ボタン2004を指示すると、端末4は
図21に例示するGUI2101をタッチパネル画面に表示させる。GUI2101には、ユーザが関心を持っている地域の広域の地
図2102が表示されている。ユーザが指示具をタッチパネル画面上でスライドさせることで、GUI2101に表示される広域の地
図2102を東方向、西方向、南方向、北方向に移動させることができる。また、広域の地
図2102上でユーザが自身の指によるピンチイン/ピンチアウトのようなピンチ操作を行うことで、タッチパネル画面に表示させる地図をズームイン/ズームアウトさせることができる。また、ユーザがダブルタップ後、タッチパネル画面から指を離さず指を上下にスライドさせることで、タッチパネル画面に表示させる地図をズームイン/ズームアウトさせることができる。ダブルタップ操作によりズームインすることもできる。
【0245】
ユーザがボタン2103を指示(タップ)すると、広域の地
図2102において物件を探す領域(検索領域)を指示具を用いて指定するためのモードに移行する。
図22は、ユーザがボタン2103をタップした後、広域の地
図2102上で物件を探す領域を指示具で指定したことで描画された検索領域2201の表示例を示す。ユーザがタッチパネル画面上で指示具を用いて閉領域を描くと、端末4は該閉領域を透過色で塗りつぶし、ユーザにより検索領域が指定されたことが認識できるようになってもよい。なお、検索領域が指定されると、端末4は検索領域に基づく物件の検索要求を情報処理装置1に対して送信するようにしても良い。物件の検索条件には、指示具を用いて指定された検索領域以外にも家賃の価格帯や物件の面積のような様々な条件を付加できるようにしてもよい。
【0246】
情報処理装置1の制御部11は、端末4から検索要求を受信すると、該検索要求に応じて物件検索を行うと共に、該検索要求に含まれている、検索領域を規定する情報や検索条件などの物件検索履歴を、検索履歴保存部142に含まれている物件検索履歴テーブルT5に登録する。そして制御部11は、物件検索の結果を端末4に対して送信し、端末4は、該物件検索の結果を受信し、該受信した物件検索の結果を地図に重ねて表示させる。
【0247】
図22のGUI2101にて検索領域として検索領域2201を指定して情報処理装置1に検索要求を送信した場合に該情報処理装置1から送信された物件検索の結果の端末4のタッチパネル画面における表示例を
図23に示す。
【0248】
物件アイコン2301は、物件検索によりヒットした物件を表すアイコンであり、該物件が存在する地理的な位置に対応する地図上の位置に表示される。ユーザが物件アイコン2301を指示(タップ)すると、端末4は
図24に示す如く、該物件アイコン2301に対応する物件の詳細(メタデータ)の一部もしくは全部を含む一覧2402をポップアップにより表示するようにしても良い。なお、一覧2402は、タッチパネル画面における画面遷移を伴って表示させても良い。
図24において選択済み物件アイコン2401は、上記の物件アイコン2301がユーザ操作に応じて選択状態にあることを示すためのアイコンである。
【0249】
物件の詳細(メタデータ)は、データベース部141に物件情報テーブルに登録されている。物件情報テーブルT4の構成例を
図25に示す。
【0250】
物件情報テーブルT4には、データベース管理者により物件に係る情報が登録される。物件情報テーブルT4には、物件ごとに、物件ID、登録日時、緯度経度、住所、物件名、家賃、間取り図を含むメタデータ(レコード)が登録されている。データベース管理者は、物件情報テーブルT4に対して物件に係る情報を登録、削除、修正などを実行することができる。
【0251】
物件IDは、物件ごとに固有の識別子である。物件IDはメタデータのレコードが生成されるたびに連番を生成して割り当ててもよいし、UUID(Universally Unique IDentifier)のような世界中で一意となる番号を割り当ててもよい。
【0252】
登録日時は、データベース管理者により物件のメタデータが登録された日時を示す。データベース管理者によりメタデータが修正されたときに登録日時を更新してもよい。
【0253】
緯度経度は、物件が存在する地理的位置の緯度経度であり、そのデータ型は点を表す空間データ型でもよい。住所は、物件の住所である。物件名は、物件の名称である。家賃は、物件の家賃である。
【0254】
間取り図は、物件の間取り図の画像ファイル名である。間取り図の画像ファイルは、画像プール143に保存してもよい。他にも詳細な物件に係る情報を登録できるように物件情報テーブルT4を拡張してもよい。
【0255】
上記の物件検索履歴テーブルT5の構成例について、
図26を用いて説明する。
【0256】
履歴IDは、物件検索履歴のレコードを識別する識別子である。履歴IDは、レコードが生成されるたびに連番を生成して割り当ててもよいし、UUID(Universally Unique IDentifier)のような世界中で一意となる番号を割り当ててもよい。
【0257】
検索日時は、制御部11が端末4から物件の検索要求を受信したときの日時である。
【0258】
ROI領域情報は、検索領域を規定する情報であり、空間データ型の情報として登録される。
図26では、検索領域の各頂点の座標がROI領域情報として登録されている。なお、ROI領域情報は、例えば、ポイント型、ラインストリング型、ポリゴン型、マルチポイント型、マルチラインストリング型、マルチポリゴン型などの空間データ型として定義されてもよい。検索領域の形状は五角形に限らず、ユーザにより描かれた多角形や任意の形状の図形、円、楕円などでもよい。
【0259】
住所は、検索領域の中心に対応する緯度経度に位置する住所である。この住所は、検索領域の中心の緯度経度から逆ジオコーディングして求めてもよい。
【0260】
なお、家賃の価格帯や部屋数などの検索条件をユーザに指定させる場合には、物件検索履歴テーブルT5にはこれらの検索条件も登録するようにしても良い。
【0261】
ユーザが物件検索アプリケーションを操作することで端末4から送信された検索要求に応じて情報処理装置1が行う処理について、
図9のフローチャートに従って説明する。
【0262】
ステップS901では、制御部11は、端末4から送信された検索要求を取得する。
【0263】
ステップS902では、制御部11は、ステップS901で取得した検索要求に基づいて、検索領域の中心に対応する緯度経度に対応する住所を取得する。
【0264】
ステップS903では、制御部11は、履歴IDを発行して物件検索履歴テーブルT5に登録すると共に、該履歴IDに対応付けて、検索日時(今回の検索を行った日時)、ROI領域情報(検索要求に含まれる検索領域のROI領域情報)、住所(ステップS902で取得した住所)、を物件検索履歴テーブルT5に登録する。
【0265】
ステップS904では、制御部11は、物件検索履歴テーブルT5に登録されているレコード(物件検索履歴)の数が閾値に到達したか否かを判断する。この判断の結果、物件検索履歴テーブルT5に登録されているレコードの数が閾値に到達した場合には、処理はステップS905に進み、物件検索履歴テーブルT5に登録されているレコードの数が閾値に到達していない場合には、処理はステップS906に進む。
【0266】
ステップS905では、制御部11は、物件検索履歴テーブルT5から検索日時が最も古いレコードを削除する。
【0267】
ステップS906では、制御部11は、物件情報テーブルT4に含まれているメタデータ群から、「検索領域の緯度経度に近い緯度経度の物件のうち検索条件を満たす物件のメタデータ」を検索する。
【0268】
なお、「検索領域の緯度経度に近い緯度経度の物件のうち検索条件を満たす物件のメタデータ」の定義は特定の定義に限らない。たとえば、検索領域の中心の緯度経度との差分(緯度、経度のそれぞれの差分)が閾値未満となる緯度経度を中心の緯度経度とする物件のメタデータを物件情報テーブルT4から取得しても良い。
【0269】
そして制御部11は、上記の検索で取得した(ヒットした)メタデータを含む検索結果を通信部13を介して端末4に対して送信する。
【0270】
端末4のタッチパネル画面に表示される、過去にユーザが地図上に指示具を用いて描いた検索領域を表す表示情報の表示例を
図27に示す。表示情報2701は、過去にユーザが地図上に指示具を用いて描いた検索領域を表す表示情報である。表示情報2701は、上記の物件検索履歴テーブルT5に登録されているROI領域情報によって規定される領域を示す領域情報である。
【0271】
ユーザが自身の指2703で表示情報2701を指示(タップ)すると、端末4は、物件検索履歴テーブルT5(ダウンロード済み)に登録されている該表示情報2701に対応する物件の情報を検索条件とする物件の検索要求を情報処理装置1に対して送信する。物件アイコン2702は、該検索要求に基づいて情報処理装置1が行った物件検索によりヒットした物件を表すアイコンであり、該物件について物件情報テーブルT4から取得した緯度経度に対応する地図上の位置に表示される。端末4が情報処理装置1に物件情報を問い合わせるときは、情報処理装置1は
図9に基づく処理手順を実行してもよい。
【0272】
なお、表示情報2701に対して、検索条件を変更しながら逐次検索できるようにしてもよい。また、物件アイコン2702に指示具でタップ等の操作をすることにより、ポップアップや画面遷移により物件の詳細情報を表示するようにしてもよい。
【0273】
また、表示情報2701の色や不透明度(Opacity)を、物件検索履歴テーブルT5に登録されている該表示情報2701に対応する検索日時に基づいて決定しても良い。例えば、検索日時がより最近の表示情報2701ほど不透明度を高くしていくことで、表示情報2701の検索日時の時系列を視覚的に表現することができる。これは、表示情報1103の取り扱いと同等の考え方に基づく。
【0274】
また、表示情報2701が指示(タップ)されて選択されたときに、表示情報2701の枠の色や太さ、表示情報2701の領域内部の色を変えてもよい。また、表示情報2701が指示(タップ)されて選択されると該表示情報2701を最前面に表示させてもよく、選択が解除されたらもとの層に戻してもよい。これは、表示情報1103の取り扱いと同等の考え方に基づく。
【0275】
また、表示情報2701の表示層を、対応する検索日時に基づいて指定できるようにしてもよい。例えば、表示情報2701に対応する検索日時が最近のものほど前面の層に表示することで、最近検索した表示情報2701にアクセスしやすくなる。加えて、表示情報2701の表示層により検索日時の時系列を表現することができる。これは、表示情報1103の取り扱いと同等の考え方に基づく。
【0276】
また、地図上に表示される表示情報2701の数を制限してもよい。例えば、ユーザにより指定された検索日時の期間の表示情報2701のみを表示するようにし、検索処理や描画処理の負荷や通信量を低減させるようにしてもよい。これは、表示情報1103の取り扱いと同等の考え方に基づく。
【0277】
次に、情報処理装置1が、物件検索履歴テーブルT5を用いて、物件情報テーブルT4に新たな物件のメタデータが登録されているか(つまり物件情報テーブルT4が新たに更新されているか)を判断し、登録されている/更新されている場合には、その旨を端末4に通知するために行う処理について、
図28のフローチャートに従って説明する。
【0278】
ユーザが希望する条件における物件情報が更新されたことを検知してユーザに通知することができれば、ユーザはいち早く物件を押さえるための行動を起こすことができ、実際に物件を押さえることができる可能性が高くなるであろう。
【0279】
ステップS2801では、制御部11は、物件検索履歴テーブルT5から幾つかの物件検索履歴を取得する。このとき、取得対象の物件検索履歴は、ユーザが直近に関心を持ったものが望ましいため、直近のレコードから取得し、取得するレコード数はユーザが指定できるようにしてもよい。または、ユーザが指定した履歴IDに対応する物件検索履歴を取得するようにしても良い。
【0280】
ステップS2802では、制御部11は物件情報テーブルT4から、ステップS2801で取得した物件検索履歴に含まれるROI領域情報に含まれる緯度経度、ステップS2801で取得した物件検索履歴に含まれる住所と同じ住所、ステップS2801で取得した物件検索履歴に含まれている検索日時よりも新しい登録日時、が登録されたレコード(対象レコード)を検索する。
【0281】
ステップS2803では、制御部11は、物件情報テーブルT4から対象レコードが見つかったか否かを判断する。この判断の結果、物件情報テーブルT4から対象レコードが見つかった場合には、処理はステップS2804に進み、物件情報テーブルT4から対象レコードが見つからなかった場合には、
図28のフローチャートに従った処理は終了する。物件情報テーブルT4から対象レコードが見つかった場合、ユーザが指定した条件に合致する物件情報が物件情報テーブルT4に新たに登録されたことを意味する。
【0282】
ステップS2804では、制御部11は、新規の物件のメタデータが物件情報テーブルT4に新たに登録されていることを示すメッセージ、対象レコードに登録されているメタデータ(一部もしくは全部)、を通知情報として端末4に対して送信する。
【0283】
通知情報は、ポップアップによる通知や電子メール、ショートメッセージサービスなどを用いて端末4のユーザに通知してもよい。ユーザが所有する端末4に通知する際には、通知欄に該当の物件情報へのハイパーリンクを貼っておいてもよい。
【0284】
情報処理装置1が
図28のフローチャートに従った処理を定期的もしくは不定期的に実行することで、ユーザが希望する条件に適合する最新の物件情報を定点観測することができる。
【0285】
また、
図28のフローチャートに従った処理は、物件情報テーブルT4に対してレコードの追加または修正が実行されたときのトリガー関数として実行されてもよい。物件検索の最終的な目的は、物件を押さえることである。そのためには他の人よりも早く物件情報を得る必要がある。
図28のフローチャートに従った処理が実行されることにより、ユーザはいち早く物件情報を得ることができるようになり、物件を押さえることができる可能性を高くすることができるであろう。
【0286】
なお、上記の各装置は1台の装置で構成しても良いし、複数台の装置で構成しても良い。また、一方の装置の機能を他方の装置が実現しても良い。つまり、どの装置がどの機能を実施するのかについては、システム全体として上記の処理が実現可能であれば、特定のケースに限らない。
【0287】
以上説明した各実施形態によれば、平面座標上の任意の位置に関連付けられたデータを検索したときの検索履歴を有効活用した利便性の高いデータ検索技術を提供することができる。該データ検索技術では、一度検索した平面上の領域を定期的に検索し、特定の領域を定点観測するような場合に特に効果を発揮する。例えば、地図上に関連付けられる衛星画像を定点観測することにより、新規に撮影された衛星画像から地球環境の変化や災害などによる地表の変動を検出することができる。また、ユーザが関心のある地域の不動産の物件を定点観測することにより、希望する条件の物件情報をいち早く入手できる可能性が高くなる。このように時々刻々と変化する平面座標上に関連付けられたデータを定点観測する際に検索履歴を有効に活用することができる。
【0288】
なお、上記の検索や注文のいずれにおいても、登録済みのROI領域情報の形状やサイズをユーザ操作に応じて変更(調整)可能なように構成しても良い。たとえば、GUI1101などに表示されたROI領域情報を示す矩形などの形状をポインタ1104などによって幾何的に変形させることで、ROI領域情報の形状やサイズを変更可能に構成しても良い。
【0289】
また、上記の各実施形態で使用した数値、処理タイミング、処理順、処理の主体、データ(情報)の構成/取得方法/送信先/送信元/格納場所、GUIの構成やその操作方法などは、具体的な説明を行うために一例として挙げたもので、このような一例に限定することを意図したものではない。
【0290】
また、以上説明した各実施形態の一部若しくは全部を適宜組み合わせて使用しても構わない。また、以上説明した各実施形態の一部若しくは全部を選択的に使用しても構わない。
【0291】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0292】
1:情報処理装置 2:アンテナ 3:人工衛星 4:端末 N:ネットワーク