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特開2024-151669情報処理装置、照合方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151669
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、照合方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241018BHJP
   G06K 19/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
G06K19/08 060
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065207
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 紀男
(72)【発明者】
【氏名】平岡 健
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096HA08
5L096JA09
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】個体情報が除去された物品についても個体情報を特定することを可能にする。
【解決手段】情報処理装置(1)は、対象物品の表面における所定の領域を撮影した画像から識別情報を生成する識別情報生成部(102)と、生成された識別情報と、所定の物品の表面において任意に決定された、上記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された識別情報(111)とを照合することにより、対象物品の個体情報を特定する照合部(107)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成部と、
前記識別情報生成部が生成した前記識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報と直接的または間接的に対応付けられた、前記対象物品の個体情報を特定する照合部と、を備え、
予め記録された前記識別情報は、所定の物品の表面またはその付帯物の表面において任意に決定された、前記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である、情報処理装置。
【請求項2】
予め記録された前記識別情報は、当該識別情報の識別番号と対応付けて記録されており、
前記個体情報は、前記識別番号と対応付けて記録されており、
前記照合部は、予め記録された前記識別情報のうち、前記識別情報生成部が生成した前記識別情報に一致する識別情報に対応付けて記録されている前記識別番号を特定し、特定した当該識別番号と対応付けて記録されている前記個体情報を特定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の領域は、前記対象物品を包装する包装体の印刷面上の領域、または、前記対象物品に付されたラベルの印刷面上の領域である、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
予め記録された前記識別情報は、複数の物品について、当該物品または当該物品の付帯物の表面における前記所定の領域を撮影した画像から生成された、各物品を一意に識別する識別情報であり、
前記照合部は、前記識別情報生成部が生成した前記識別情報が、予め記録された前記識別情報に一致した場合に、前記対象物品は一致した識別情報と直接的または間接的に対応付けられた前記個体情報に示される物品であると判定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
予め記録された前記識別情報は、真正品または当該真正品に付帯させる付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成された、真正品を一意に識別する識別情報であり、
前記照合部は、前記識別情報生成部が生成した前記識別情報が、予め記録された前記識別情報に一致した場合に、前記対象物品は真正品であると判定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象物品を撮影する撮影装置の撮影画面に、前記所定の領域の位置および範囲を示す補助情報を表示させる撮影補助部を備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記識別情報生成部は、物品または当該物品に付帯させる付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成し、
前記識別情報生成部が生成した前記識別情報と、前記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する情報統合部と、を備える請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
1または複数の情報処理装置が実行する照合方法であって、
照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップと、
前記識別情報生成ステップで生成された前記識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報と直接的または間接的に対応付けられた、前記対象物品の個体情報を特定する照合ステップと、を含み、
予め記録された前記識別情報は、所定の物品またはその付帯物の表面において任意に決定された、前記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である、照合方法。
【請求項9】
物品または当該物品に付帯する付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、
生成された前記識別情報と、前記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する処理と、
照合の対象となる対象物品または当該対象物品の付帯物の表面において前記撮影領域に対応する領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、
生成された前記識別情報と、記録された前記識別情報とを照合することにより、前記対象物品の個体情報を特定する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別情報を用いて照合を行う装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の偽造や不正流通を防止するための様々な手法が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、真贋判定を容易かつ確実に行えるようにすると共に、偽造防止効果を向上させるための表示体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-209497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示体は、少なくとも二つ以上の情報が記録されている凹凸構造パターンまたは印刷パターンを有するという特殊なものである。このため、その外観から、当該表示体が真贋判定用の機能を担うものであり、当該表示体に商品の個体情報が記録されているであろうことが容易に認識できる。そして、表示体が真贋判定用の機能を担うものであると認識された場合、表示体を商品から剥がす等により個体情報が除去されて、偽造や不正流通の防止という機能が失われてしまうおそれがある。このように、個体情報の担体が認識されてしまうと、個体情報が除去されて偽造や不正流通の防止という目的が達成されないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することを可能にする情報処理装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成部と、前記識別情報生成部が生成した前記識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報と直接的または間接的に対応付けられた、前記対象物品の個体情報を特定する照合部と、を備え、予め記録された前記識別情報は、所定の物品の表面またはその付帯物の表面において任意に決定された、前記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る照合方法は、1または複数の情報処理装置が実行する照合方法であって、照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップと、前記識別情報生成ステップで生成された前記識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報と直接的または間接的に対応付けられた、前記対象物品の個体情報を特定する照合ステップと、を含み、予め記録された前記識別情報は、所定の物品またはその付帯物の表面において任意に決定された、前記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るプログラムは、物品または当該物品に付帯する付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された前記識別情報と、前記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する処理と、照合の対象となる対象物品または当該対象物品の付帯物の表面において前記撮影領域に対応する領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された前記識別情報と、記録された前記識別情報とを照合することにより、前記対象物品の個体情報を特定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、個体情報が付されていない対象物品や、個体情報が除去された対象物品についても、当該対象物品の個体情報を特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る物品識別システムの概要を説明する図である。
図3】物品識別システムにより付帯物の画像から識別情報を生成した例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るデータ記録方法の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る照合方法の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る照合方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔情報処理装置1の構成〕
図1に基づいて本実施形態に係る情報処理装置1の構成を説明する。図1は、情報処理装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、物品の識別情報の生成および記録と、記録したデータを用いた物品の照合とを行う装置である。
【0012】
図示のように、情報処理装置1は、情報処理装置1の各部を統括して制御する制御部10と、情報処理装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、情報処理装置1は、情報処理装置1が他の装置と通信するための通信部12、情報処理装置1に対する入力を受け付ける入力部13、および情報処理装置1が各種データを出力するための出力部14を備えている。
【0013】
また、制御部10には、画像取得部101、識別情報生成部102、個体情報取得部103、情報統合部104、補助情報記録部105、撮影補助部106、および照合部107が含まれている。そして、記憶部11には、識別情報111、個体情報112、統合データ113、および補助情報114が記憶されている。
【0014】
(識別情報の生成および記録に関する構成の説明)
識別情報の生成および記録を行う際に、画像取得部101は、識別情報を記録する物品の表面において任意に決定された撮影領域、または当該物品に付帯させる付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像を取得する。なお、画像の撮影は、典型的には物品を流通させる前に行われる。画像の取得方法は特に限定されず、例えば、画像取得部101は、入力部13を介して入力される画像を取得してもよいし、通信部12を介して撮影装置等から画像を取得してもよい。また、上記付帯物は物品に付帯させて流通させるものであればよく、例えば、ラベルやタグ等のように、物品に取り付けられ、または貼り付けられるものであってもよい。また、上記付帯物は、物品のパッケージ、物品を包装する包装紙、包装フィルム、あるいは包装容器等の包装体であってもよい。
【0015】
識別情報生成部102は、画像取得部101が取得する画像から当該画像に写る物品を一意に識別する識別情報を生成する。具体的には、識別情報生成部102は、識別情報の記録時において、識別情報を記録する物品または当該物品に付帯させる付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する。なお、上記撮影領域は、上記物品または上記付帯物の全体を含む領域であってもよいし、一部のみを含む領域であってもよい。識別情報生成部102が生成する識別情報は、識別情報111として記憶部11に記憶される。
【0016】
個別に製造された物品や天然物はもちろんのこと、量産された物品であって、一見すると差異がないようなものであっても個々の物品に外観上の差異は存在する。例えば、同一のデザインを印刷した複数の物品であっても、それらの外観には微細な差異が存在する。このため、識別情報生成部102は、物品の表面における所定の領域を撮影した画像から当該画像に写る物品を一意に識別する識別情報を生成することができる。
【0017】
また、識別情報生成部102は、生成した識別情報の各々に対し、個別の識別番号を付与し、当該識別情報と識別番号とを対応付けて記録する。つまり、識別情報111においては、各物品について、その識別情報と識別番号とが対応付けられている。
【0018】
識別番号は、識別情報間で重複しないものであれば、任意に設定することができる。例えば、識別情報生成部102は、量産されたn個の物品からn個の識別情報を生成した場合、各識別情報に対して1、2、3、・・・、nの各数字を識別番号として付与してもよい。このような簡素な情報で各識別情報を分類することができるため、情報処理装置1は、量産された物品の管理に好適である。
【0019】
高解像度の撮影装置で撮影した画像には、肉眼では識別できない程度の微細な差異が現れるため、識別情報を生成する際の物品の撮影には高解像度の撮影装置を用いることが好ましい。これにより、識別情報生成部102は、複製が極めて困難な、肉眼では識別できない程度の微細な特徴を識別情報化することができる。このようにして生成される識別情報は、デジタル指紋と呼ぶこともできる。なお、識別情報生成部102は、画像の色情報を用いて識別情報を生成してもよいし、色情報は用いずに識別情報を生成してもよい。後者の場合、白黒画像を撮影し、記録しておけばよいから、記録する画像のデータ量を抑えることができる。特に、情報処理装置1は、色情報を用いる必要がない点で優れている。
【0020】
上述のように、撮影領域を物体表面上における何れの位置および範囲とするかは任意であり、適宜決定することができる。撮影領域において、特殊な印刷加工等が施されている必要はない。また、撮影領域のサイズは、少なくとも物品を一意に識別可能な識別情報を生成できる程度のサイズとすればよい。
【0021】
識別情報の生成方法は、物品の画像からその物品を一意に識別できる識別情報を生成できるような方法であればよく、特に限定されない。例えば、識別情報生成部102は、画像から複数の特徴点を検出し、検出した各特徴点と、それらの位置関係を示す情報を識別情報として生成してもよい。
【0022】
個体情報取得部103は、識別情報の生成の対象となる物品の個体情報を取得する。取得された個体情報は個体情報112として記憶部11に記憶される。個体情報は、照合時に特定される情報であり、当該物品に関する情報であれば任意の情報を個体情報とすることができる。個体情報の取得方法は特に限定されない。例えば、個体情報取得部103は、入力部13を介して入力される個体情報を取得してもよいし、通信部12を介して個体情報を取得してもよい。
【0023】
例えば、物品が工業製品である場合、その製品番号等の個体識別情報を個体情報としてもよい。この他にも、例えば、物品の製造地(例えば、製造工場の識別情報や、地名、国名等)を個体情報としてもよいし、出荷先が決まっている場合には出荷先を個体情報としてもよい。これらの個体情報は、不正流通における流通経路の特定等に利用することができる。
【0024】
また、例えば、当該物品に関する情報にアクセスするためのアクセス情報(例えば物品に関する情報が掲載されたウェブサイトのURL:Uniform Resource Locator)を個体情報としてもよい。また、上記ウェブサイトは、照合者を誘導したいウェブサイトとしてもよく、この場合、個体情報を利用した販売促進等も可能になる。
【0025】
情報統合部104は、識別情報生成部102が生成する識別情報111に含まれる識別番号と、個体情報取得部103が取得する個体情報112とを対応付けて統合データを生成する。生成された統合データは統合データ113として記憶部11に記憶される。統合データ113と識別情報111とにより、識別情報111に含まれる各識別情報は、統合データ113に含まれる各個体情報と間接的に対応付けられる。なお、情報統合部104は、識別情報と個体情報とを直接的に対応付けて記録してもよい。
【0026】
補助情報記録部105は、識別情報の記録時に任意に決定された撮影領域の位置および範囲を示す補助情報114として、当該撮影により生成された画像を記録する。これにより、後述する照合時の撮影において、当該画像により撮影すべき領域を撮影者に認識させることができるから、照合時の撮影を容易化することができる。
【0027】
なお、複数の物品のそれぞれを撮影し、各物品の識別情報を生成する場合、各画像に写る所定の領域の位置および範囲は共通とすることが好ましい。この場合、補助情報記録部105は、撮影された画像のうち少なくとも1つを補助情報として記録すればよい。また、補助情報114は、識別情報の記録時に撮影された所定の領域の位置および範囲を示すものであればよく、上述の例に限られない。例えば、識別情報の記録時に撮影された画像から撮影領域の外縁部分を抽出したものを補助情報114としてもよい。
【0028】
また、物品の付帯物の画像から当該物品の識別情報を生成する場合、補助情報記録部105は、当該付帯物における撮影領域を示す情報を補助情報114として記録してもよい。
【0029】
以上のように、情報処理装置1は、所定の物品またはその付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該所定の物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成部102と、識別情報生成部102が生成した識別情報と、上記所定の物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する情報統合部104と、を備える。
【0030】
また、上記所定の物品の識別情報は、当該識別情報の識別番号と対応付けて識別情報111として記録されており、当該所定の物品の個体情報は、上記識別番号と対応付けて統合データ113として記録されている。
【0031】
詳細は後述するが、識別情報111と統合データ113とを用いて照合を行う場合、照合の対象物品における上記撮影領域に対応する領域を撮影し、それにより得られた画像から識別情報を生成する。そして、予め記録された識別情報111に含まれる各識別情報のうち生成された識別情報に一致する識別情報に対応付けて記録されている識別番号を特定し、統合データ113において、上記特定した識別番号と対応付けて記録されている個体情報を特定する。
【0032】
よって、情報処理装置1によれば、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することが可能になる。また、物品や付帯物に個体情報を付さないようにする場合、物品や付帯物のデザイン性を向上させることも可能になる。また、上記撮影領域の部分をコピーした偽造品が製造されたとしても、偽造品の撮影領域の外観は真正品の同領域と完全には同じにならず、偽造品の識別情報は真正品とは異なるものとなるから真贋の識別が可能である。
【0033】
上記物品は典型的には大量生産されて流通される工業製品である。例えば、工業製品である物品を包装する包装体の印刷面上の領域、または、工業製品である物品に付されたラベルの印刷面上の領域を上記撮影領域として識別情報を生成してもよい。包装体の印刷面またはラベルの印刷面を撮影領域とする場合、例えば、物品を包装体で梱包した際に、または物品にラベルを装着した際に、上述の所定の領域を容易に撮影することができる。なお、どのような物体であっても識別情報を生成することは基本的に可能である。例えば、手工業により生産された一点ものの物品について識別情報を生成することも可能である。
【0034】
(識別情報111を用いた照合に関する構成の説明)
識別情報111を用いた照合を行う際に、画像取得部101は、照合の対象となる対象物品の表面における所定の領域を撮影した画像を取得する。なお、上記対象物品は、識別情報111が記録された物品との照合対象となる物品である。例えば、流通前の1または複数の物品の識別情報111を記録している場合、流通後の当該物品(当該物品である可能性があるものを含む)を対象物品としてもよい。なお、上述のように、画像の取得方法は特に限定されない。また、上記所定の領域は、識別情報の記録時に撮影された撮影領域と同じ位置および範囲の領域である。
【0035】
また、上述のように、識別情報111の記録時においては、物品に付帯する付帯物を撮影した画像から識別情報111を生成してもよい。このような識別情報111が記録されている場合、画像取得部101は、対象物品に付帯する付帯物を撮影した画像を取得すればよい。なお、この付帯物は、識別情報の記録時に撮影された付帯物と同じものである。例えば、識別情報の記録時に物品のタグにおける所定の領域が撮影された場合、識別情報111を用いた照合を行う際にも画像取得部101は対象物品のタグにおける上記所定の領域に対応する領域を撮影した画像を取得する。
【0036】
識別情報111を用いた照合を行う際に、識別情報生成部102は、画像取得部101が取得する画像から対象物品を一意に識別する識別情報を生成する。具体的には、識別情報生成部102は、対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から識別情報を生成する。
【0037】
撮影補助部106は、識別情報111を用いた照合を行う際に、照合の対象物品を撮影する撮影装置の撮影画面に、撮影すべき所定の領域(識別情報の生成および記録を行う際に撮影された撮影領域に対応する領域)の位置および範囲を示す補助情報114を表示させる。これにより、所定の領域の撮影を容易化することができる。補助情報114は、補助情報記録部105が記録した画像であってもよい。
【0038】
また、撮影補助部106は、所定の領域の位置および範囲をテキストで示したものを補助情報114として表示させてもよい。また、付帯物の全体を撮影した画像から当該物品の識別情報を生成して識別情報111として記録しておく場合、当該付帯物が何であるかを示す情報を補助情報114として表示させてもよい。
【0039】
照合部107は、識別情報生成部102が生成する識別情報と、予め記録された識別情報111とを照合することにより、識別情報111と直接的または間接的に対応付けられた、対象物品の個体情報を特定する。本実施形態において、照合部107は、識別情報111に含まれる各識別情報と、対象物品について生成された識別情報とを照合して一致するものを検出し、検出した識別情報に対応付けられた識別番号を特定する。そして、照合部107は、統合データ113から特定した上記識別番号に対応付けられた個体情報を特定する。個体情報の特定後に照合部107が実行する処理は任意であり、例えば照合部107は、特定した個体情報を出力部15や端末装置2等に出力させてもよい。また、照合部107は、対象物品の真贋判定を行ってもよい。
【0040】
以上のように、情報処理装置1は、照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成部102と、識別情報生成部102が生成した識別情報と、予め記録された識別情報111とを照合することにより、識別情報111と直接的または間接的に対応付けられた、対象物品の個体情報を特定する照合部107と、を備える。そして、識別情報111は、所定の物品の表面またはその付帯物の表面において任意に決定された、上記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である。
【0041】
よって、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することが可能になるという効果が得られる。また、上記の構成によれば、物品の不正な流通を防ぐことが可能になり、これにより、物品の流通によって生じる利益が確実に正当な生産者等に還元されるようにすることができる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」等の達成にも貢献するものである。
【0042】
なお、対象物品またはその付帯物を撮影する際の上記所定の領域は、対象物品を包装する包装体の印刷面上の領域、または、対象物品に付されたラベルの印刷面上の領域であってもよい。この場合、識別情報111の記録時において、物品を包装する包装体の印刷面上の領域、または、物品に付されたラベルの印刷面上の領域を撮影領域として識別情報が生成される。
【0043】
〔システム概要〕
本実施形態に係る物品識別システム1000の概要を図2に基づいて説明する。図2は、物品識別システム1000の概要を説明する図である。物品識別システム1000は、物品の識別を行うシステムであり、物品識別システム1000には上述した情報処理装置1が含まれていると共に、端末装置2が含まれている。
【0044】
端末装置2は、対象物品の照合の際に用いられる装置であり、画像を表示する機能、画像を撮影する機能、および通信機能を備えている。情報処理装置1は例えばサーバーであってもよく、端末装置2は例えばスマートフォンであってもよい。
【0045】
(出荷前)
物品識別システム1000においては、物品を流通させる前に、予め各物品の識別情報を情報処理装置1により生成しておく。例えば、図2の例では、物品A1~An(nは自然数)を製造し、それら物品A1~Anのそれぞれについて、その出荷前に情報処理装置1によって識別情報を生成している。
【0046】
より詳細には、図示の例では、物品A1の表面における破線で示す撮影領域a1を撮影して画像B1を生成している。なお、撮影領域a1は、物品A1の表面において任意に決定された領域である。
【0047】
そして、情報処理装置1(より正確には識別情報生成部102)は、画像B1から、物品A1を一意に識別する識別情報C1を生成している。また、情報処理装置1は、同様にして、物品A2~Anの撮影領域a2~anを撮影した画像B2~Bnから、それらの物品の識別情報C2~Cnを生成する。生成された識別情報C1~Cnは、それぞれ異なる識別番号が対応付けられ、識別情報111として記録される。なお、撮影領域a1~anは、物品A1~Anにおける同じ位置および範囲を占める領域である。
【0048】
図2の例では、物品A1の表面に印字されている「ABC」の文字列のうち「AB」の部分が右下端に収まる撮影領域a1が撮影されている。撮影領域a1~anの表示内容は何れも差異がないように見えるが、情報処理装置1は、撮影領域a1~anを撮影した画像B1~Bnから物品A1~Anを一意に識別する識別情報C1~Cnを生成することが可能である。ここで、補助情報記録部105は、画像B1~Bnの何れかを補助情報114として記録しておいてもよい。
【0049】
また、情報処理装置1(より正確には個体情報取得部103)は、物品A1~Anの個体情報を取得し、個体情報112として記録する。そして、情報処理装置1(より正確には情報統合部104)は、識別情報111に含まれる識別番号と個体情報112とを対応付けて統合データを生成し、統合データ113として記録する。なお、統合データは、上述のように複数の物品について一括で生成してもよいし、個々の物品の識別情報を生成する毎に生成してもよい。
【0050】
上述のように、個体情報112は、例えば、物品A1~Anの製品番号等の人が認識可能な個体識別情報であってもよい。また、例えば、個体識別情報と物品A1~Anに関する各種物品情報(例えば、製造地や製造年月日、原材料等を示す情報)とが対応付けられた物品管理リストが存在する場合、その物品管理リストと物品の個体識別情報を活用して個体情報として利用してもよい。また、物品管理リストに対して、識別情報111に示される各物品の識別番号を追加して統合データ113とすることも可能である。
【0051】
なお、識別情報111、個体情報112、および統合データ113に加えて、画像B1~Bnについても記録しておくようにしてもよい。ただし、多数の物品について各種データを記録しておくことは、記憶容量等の点から難しいことも想定される。このため、記録するデータ量に予め閾値を設定しておき、記録されたデータのデータ量がその閾値を超えたときに、不要なデータを自動で削除するようにしてもよい。また、例えば、データ量が閾値を超えていない場合であっても、各データに予め設定した保管期限を経過したときに当該データを削除するようにしてもよい。
【0052】
(出荷後)
統合データ113の記録後、物品A1~Anは出荷され、流通網に乗せられる。図2の例では、物品A1~Anの出荷後に、不正流通品または真贋不明品である物品Axが発見されたことを想定している。なお、不正流通品とは、物品A1~Anの製造者が意図していない流通経路で流通していた物品である。例えば、物品A1~Anを特定の販売店のみに販売させる取り決めとなっている場合に、それ以外の経路(例えばオンラインのオークションサイト等)で物品A1~Anが販売されると、その物品は不正流通品となる。また、真贋不明品とは、物品A1~Anと外観が類似しているが、偽造品である疑いがある物品である。
【0053】
従来は、不正流通品である物品Axが発見された場合であっても、その物品Axがどのような経路で販売されたか等は特定することが難しかった。この点、物品識別システム1000によれば、物品Axが物品A1~Anの何れに該当するかを識別することができ、これにより物品Axの販売経路を特定すること等も可能になる。また、物品識別システム1000によれば、物品Axが真正品であるか偽造品であるかを判定することも可能である。
【0054】
具体的には、まず、物品Axの表面における所定の領域を端末装置2で撮影する。このとき、撮影補助部106は、端末装置2の表示部に補助情報114(具体的には補助情報記録部105が補助情報114として記録した画像B1~Bnの何れか)を表示させてもよい。これにより、端末装置2のユーザは、表示された補助情報114と、撮影画面に映る物品Axの像とがちょうど重なるようにして撮影することで、画像B1~Bnの撮影時と同じ所定の領域を撮影することができる。このとき、撮影補助部106は、補助情報114を半透明の背景画像として撮影画面に表示させてもよい。
【0055】
なお、端末装置2が備える撮影装置は、当該撮影装置で撮影された画像から識別情報を生成できる程度の解像度のものであればよく、識別精度を高めるという観点からはできるだけ高解像度、高精細な画像を撮影できるものとすることが好ましい。この観点から、端末装置2がマクロレンズによる撮影機能を備えたものである場合、当該機能で撮影することが好ましい。
【0056】
端末装置2により撮影された物品Axの画像Bxは、情報処理装置1の画像取得部101により取得される。なお、情報処理装置1と連動した上述のような各種処理を端末装置2に行わせるためには、当該処理を端末装置2に実行させるためのアプリケーションプログラム(以下、アプリと略称する)を端末装置2に導入しておけばよい。また、このようなアプリは、物品識別システム1000を利用するカスタマーごとに、当該カスタマー専用に個別化されたものとしてもよい。この場合、各カスタマーは、自身に個別化されたアプリを使用するだけで、自身の関与する物品についての照合を行うことができるようにし、カスタマーID(Identification)の入力等を省略して照合処理を簡略化することができる。
【0057】
次に、識別情報生成部102は、画像B1~Bnから物品A1~Anの識別情報C1~Cnを生成したときと同様にして、画像Bxから物品Axの識別情報Cxを生成する。そして、照合部107は、生成された識別情報Cxと、予め記録された識別情報111に示される識別情報C1~Cnとを照合する。
【0058】
同じ物品の同じ領域を撮影した画像から生成される識別情報はその特徴が一致するから、照合部107は、この照合により物品Axに対応する識別番号を特定することができる。そして、照合部107は、特定した上記識別番号を用いることにより、統合データ113から物品Axが物品A1~Anの何れであるかを判定することができる。
【0059】
例えば、照合部107は、生成した識別情報Cxが、物品A1の識別情報C1に一致した場合、識別情報111において識別情報C1に対応付けられている識別番号(例えば「1」)を特定し、統合データ113においてその識別番号に対応付けられている個体情報を特定する。そして、照合部107は、特定した個体情報を端末装置2に表示させることも可能である。この場合、端末装置2のユーザは、個体情報が表示されたときに物品Axが真正品であると判断することができる。
【0060】
そして、例えば物品A1の出荷先が卸売業者Xであった場合、当該卸売業者Xを、物品A1を不正流通させた可能性のある業者として特定することができる。出荷先等の情報は個体情報として記録しておいてもよいし、個体情報をキーとして特定するようにしてもよい。物品識別システム1000では、個体情報には製品番号等の公開に支障のない情報のみを含めておき、公開したくない情報はカスタマーが製品番号等と対応付けて、例えば、カスタマーが所有するサーバーに記録しておく、という使い方が可能になっている。なお、個体情報は、物品本体あるいはそのラベルや包装体等に予め付しておいてもよい。この場合、予め付した個体情報が除去された場合に、上述の処理により個体情報を特定すればよい。
【0061】
また、物品Axが物品A1~Anの何れでもないと判定されること(言い換えれば識別情報111に含まれる各識別情報との照合において一致するものがないこと)もあり得る。この場合、正規に製造された物品がA1~Anのみであれば、物品Axは偽造品であると判定することができる。
【0062】
なお、照合部107は、識別情報の照合において、識別情報が完全一致するか否かを判定する必要はない。例えば、照合部107は、識別情報の一致度を算出し、算出した一致度が閾値以上である場合に識別情報が一致したと判定してもよい。
【0063】
また、情報処理装置1が実行する処理は、複数の情報処理装置(コンピュータと言い換えることもできる)に分担で実行させてもよい。例えば、出荷前における識別情報111と統合データ113の生成および記録と、出荷後における識別情報の生成および照合とをそれぞれ別の情報処理装置に実行させてもよい。これは、以下説明する図3の処理においても同様である。
【0064】
〔付帯物の画像から識別情報を生成する例〕
付帯物の画像から識別情報を生成する例を図3に基づいて説明する。図3は、物品識別システム1000により付帯物の画像から識別情報を生成した例を示す図である。図3の例における付帯物は具体的には、シールになっており物品に貼り付け可能なラベルD1~Dn(nは自然数)である。なおシールとは、フィルム上の基材の一方の面が粘着性または接着性を有しているラベルを意味する。
【0065】
(出荷前)
物品識別システム1000では、まず、ラベルD1~Dnの画像を撮影し、画像E1~Enを生成する。情報処理装置1において、画像取得部101がこれらの画像E1~Enを取得し、識別情報生成部102が画像E1~Enから識別情報F1~Fnを生成し、生成された識別情報F1~Fnは、それぞれに異なる識別番号が対応付けられ、識別情報111として記録される。なお、画像E1~Enは、ラベルD1~Dnの表面における所定の領域を撮影したものであればよく、ラベルD1~Dnの全体を撮影したものであってもよいし、一部を撮影したものであってもよい。図3には、ラベルD1~Dnの全体を撮影した例を示している。
【0066】
また、個体情報取得部103は、ラベルD1~Dnを貼り付ける対象となる物品G1~Gnの個体情報を取得し、個体情報112として記録する。続いて、情報統合部104は、識別情報111に含まれる識別番号と個体情報112とを対応付けて統合データを生成し、統合データ113として記録する。そして、真正品である物品G1~GnのそれぞれにラベルD1~Dnを貼り付けて出荷する。
【0067】
なお、製品番号等の個体識別情報と物品G1~Gnに関する各種物品情報(例えば、製造地や製造年月日、原材料等を示す情報)とが対応付けられた物品管理リストが存在する場合、その物品管理リストを個体情報として利用してもよい。
【0068】
ラベルD1~Dnには、特許文献1に記載されているような特殊な印刷加工等を施す必要はないから、ラベルD1~Dnが個体識別あるいは真贋判定の機能を担っていることは認識し難い。
【0069】
(出荷後)
以上のようにして物品G1~Gnを出荷した後、真贋不明品である対象物品Gxが発見されたとする。対象物品GxにはラベルD1~Dnと同様の外観のラベルDxが貼り付けられており、外観上は対象物品Gxが真正品であるか偽造品であるかを判断することは難しい。
【0070】
このような場合、端末装置2を用いてラベルDxを撮影すればよい。このとき、撮影補助部106は、端末装置2の表示部に補助情報114を表示させてもよい。補助情報114は、画像E1~Enの何れかであってもよいし、「太陽マークのラベルを撮影して下さい」等のテキストであってもよい。なお、撮影者に予め撮影すべき対象を知らせておいてもよく、この場合、補助情報114の表示は省略される。
【0071】
情報処理装置1では、画像取得部101が、上記のようにして撮影された画像Exを取得し、識別情報生成部102が、画像Exから識別情報Fxを生成し、照合部107が、生成された識別情報と、予め記録された識別情報111に示される識別情報F1~Fnとを照合する。そして、照合部107は、識別情報F1~Fnの中に識別情報Fxと一致するものがあれば対象物品Gxは真正品であると判定し、一致するものがなければ対象物品Gxは偽造品であると判定する。そして、照合部107は、この判定結果を端末装置2に出力させる。
【0072】
また、識別情報111にはラベルD1~Dnの画像E1~Enから生成された物品G1~Gnの識別情報F1~Fnとその識別番号とが対応付けて記録されていると共に、統合データ113には物品G1~Gnの個体情報と上記識別番号とが対応付けて記録されているから、照合部107は、識別情報の照合により特定した識別番号から、物品Gxの個体情報を特定することができる。そして、照合部107は、特定した個体情報を端末装置2に表示させることも可能である。この場合、端末装置2のユーザは、個体情報が表示されたときに物品Gxが真正品であると判断することができる。
【0073】
図2および図3に基づいて説明したように、物品識別システム1000では、1または複数の情報処理装置が、物品または当該物品に付帯させる付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された識別情報と、当該物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する処理と、照合の対象となる対象物品または当該対象物品の付帯物の表面において上記撮影領域に対応する領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、対象物品の個体情報を特定する処理と、を実行する。当該構成によれば、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することが可能になる。
【0074】
〔データ記録方法(付帯物の製造方法)〕
本実施形態に係るデータ記録方法について図4に基づいて説明する。図4はデータ記録方法の一例を示すフローチャートである。以下では、データ記録方法を情報処理装置1が実行する例を説明するが、図4の処理は複数の情報処理装置が分担で実行する構成としてもよい。これは、図5、6においても同様である。なお、以下では、図2の例と同様に、複数の物品のそれぞれについてその識別情報111と統合データ113を記録する例を説明する。
【0075】
S1では、画像取得部101が、識別情報を記録する対象となる各物品の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像を取得する。なお、画像取得部101は、物品に付帯させる付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像を取得してもよい。ここで、補助情報記録部105は、S1で取得された画像のうち1つを、識別情報の生成の対象とした撮影領域の位置および範囲を示す補助情報114として記録してもよい。なお、補助情報114を記録するタイミングは任意である。
【0076】
また、S1より前に、物品の表面における撮影領域を決定するステップを実行してもよい。例えば、画像取得部101は、物品の表面の領域の中から撮影領域をランダムに決定し、決定した撮影領域を撮影装置に通知して、当該撮影領域の撮影を行わせてもよい。
【0077】
S2(識別情報生成ステップ)では、識別情報生成部102が、S1で取得された画像から物品を一意に識別する識別情報を生成すると共に、生成した識別情報に識別番号を付与する。そして、識別情報生成部102は、生成した識別情報に識別番号を対応付けて、識別情報111として記憶部11に記憶させる。この処理は、S1で取得された画像のそれぞれについて行われ、各識別情報にはそれぞれ異なる識別番号が付与される。
【0078】
S3では、個体情報取得部103が、上述の物品に関する情報である個体情報を取得し、個体情報112として記録する。そして、S4(記録ステップ)では、情報統合部104が、S2で生成された識別情報111に含まれる識別番号と、S3で取得された個体情報112とを対応付けて統合データ113として記録する。これにより、識別番号を介して、識別情報と個体情報とが間接的に対応付けられる。なお、識別情報と個体情報とを直接的に対応付けて記録してもよい。
【0079】
統合データは、1つの識別情報を生成する毎に生成してもよい。この場合、S1では1つの物品または付帯物の画像が取得され、S2では当該画像から識別情報が生成されると共に、その識別情報に識別番号が付与される。また、S3では当該物品の個体情報が取得され、S4では上記識別情報に対応付けられた識別番号と上記個体情報とを対応付けた統合データが記録される。そして、これらの処理が対象となる物品または付帯物のそれぞれについて繰り返される。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るデータ記録方法は、1または複数の情報処理装置が実行するデータ記録方法であって、物品またはその付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップ(S2)と、識別情報生成ステップで生成された識別情報と、上記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する記録ステップ(S4)と、を含む。よって、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することが可能になるという効果が得られる。
【0081】
なお、上記データ記録方法は、物品の製造工程における一工程として実行されてもよい。つまり、上記識別情報生成ステップと、上記記録ステップと、を含む物品の製造方法も本発明の範疇に含まれる。
【0082】
同様に、上記データ記録方法は、付帯物の製造工程における一工程として実行されてもよい。すなわち、本実施形態に係る付帯物の製造方法は、物品に付帯させる付帯物の製造方法であって、付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該付帯物を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップと、識別情報生成ステップで生成された識別情報と、上記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する記録ステップと、を含む。
【0083】
上記の構成によれば、付帯物を識別するための情報を別途付与したり、付帯物に対して特殊な印刷加工を施したりする必要がないから、付帯物が個体識別あるいは真贋判定の機能を担っていることを認識し難くすることができる。また、生成した識別情報の識別番号と個体情報とを対応付けて統合データ113として記録する場合、高度な個体情報を保持することができると共に、この統合データ113を用いて物品の個体情報を特定することが可能になる。
【0084】
このように、本実施形態に係る付帯物の製造方法によれば、物品の個体情報を特定することを可能にする付帯物を生成することができるという効果が得られる。なお、付帯物を付帯させる物品自体あるいはその包装体にも個体情報を印字する等して付しておいてもよく、この場合、物品自体あるいはその包装体の個体情報が除去された場合であっても、付帯物から個体情報を特定することができる。
【0085】
〔照合方法の例1:個体識別〕
本実施形態に係る照合方法について図5に基づいて説明する。図5は照合方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、照合結果に基づいて照合の対象物品の個体識別を行う例を説明する。以下の処理は、例えば、情報処理装置1が、図2に示した端末装置2から個体識別を行うように要求する要求信号を受信したことをトリガとして開始される。
【0086】
S11では、撮影補助部106が、照合の対象物品またはその付帯物の撮影を行う撮影装置に補助情報114を表示させる。例えば、端末装置2により撮影が行われる場合、撮影補助部106は、補助情報114を端末装置2に送信し、これを撮影の背景画像として表示させる。
【0087】
S12では、画像取得部101が、対象物品の表面における所定の領域を撮影した画像を取得する。例えば、上記のように端末装置2により撮影が行われる場合、画像取得部101は、端末装置2から上記画像を取得してもよい。なお、所定の領域は、識別情報111を生成するときの撮影領域に対応する領域である。また、物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成した識別情報を識別情報111として記録している場合、S12では対象物品の付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像が取得される。
【0088】
S13(識別情報生成ステップ)では、識別情報生成部102が、照合の対象となる対象物品の表面における所定の領域を撮影した画像から対象物品を一意に識別する識別情報を生成する。なお、S12で対象物品の付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像が取得された場合、識別情報生成部102は当該画像から識別情報を生成する。
【0089】
S14では、照合部107が、S13で生成された識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報に対応付けられた、対象物品の個体情報を特定する。具体的には、S14では、複数の物品について、当該物品または当該物品の付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成された、各物品を一意に識別する識別情報と、当該識別情報の識別番号とが対応付けられた識別情報111と、当該識別番号と当該物品の個体情報とを対応付けて記録した統合データ113とを用いる。これにより、照合部107は、S13で生成された識別情報が、予め記録された識別情報111に示される識別情報の何れに一致するかを判定し、その判定結果に基づいて識別番号を特定し、特定した識別番号を用いて、統合データ113から対象物品の個体情報を特定することができる。
【0090】
S15では、照合部107は、S14で特定された個体情報を出力させる。なお、結果の出力先および出力の態様は特に限定されず、例えば、照合部107は、特定された個体情報を端末装置2に表示出力させてもよい。S15の処理が終了することにより、図5の照合方法は終了する。
【0091】
以上のように、識別情報111には、複数の物品について、当該物品または当該物品の付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成された、各物品を一意に識別する識別情報が含まれていてもよい。この場合、照合部107は、識別情報生成部102が生成した識別情報が、識別情報111に含まれる識別情報の何れかに一致した場合に、対象物品は、一致した識別情報と直接的または間接的に対応付けられた個体情報に示される物品であると判定してもよい。
【0092】
上記の構成によれば、個体情報が付されていない対象物品や、個体情報が除去された対象物品についても、当該対象物品の個体情報を特定することができる。これにより、例えば、対象物品の流通経路をトレースすること等も可能になる。
【0093】
〔照合方法の例2:真贋判定〕
本実施形態に係る照合方法の他の例を図6に基づいて説明する。図6は照合方法の他の例を示すフローチャートである。なお、以下では、照合結果に基づいて照合の対象物品の真贋判定を行う例を説明する。以下の処理は、例えば、情報処理装置1が、図2に示した端末装置2から真贋判定を行うように要求する要求信号を受信したことをトリガとして開始される。なお、S21~S23の処理は図5のS11~S13の処理とそれぞれ同様であるから以下ではS24以降の処理について説明する。
【0094】
S24(照合ステップ)では、照合部107が、S23(識別情報生成ステップ)で生成された識別情報と、予め記録された識別情報111とを照合する。真贋判定を行う場合、真正品または当該真正品に付帯させる付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成された、真正品を一意に識別する識別情報111を用いる。
【0095】
S25では、照合部107は、識別情報111に示される識別情報の中に、S23で生成された識別情報と一致するものがあるか否かを判定する。ここで一致するものがある(S25でYES)と判定された場合にはS26に進み、一致するものはない(S25でNO)と判定された場合にはS27に進む。
【0096】
S26(照合ステップ)では、照合部107は、対象物品は真正品であると判定し、統合データ113から当該対象物品の個体情報を特定してS28に進む。具体的には、照合部107は、識別情報111から、S25で一致すると判定された識別情報に対応付けられた識別番号を特定し、統合データ113から、特定した当該識別番号に対応付けられた個体情報を特定する。一方、S27では、照合部107は、対象物品は偽造品であると判定してS28に進む。
【0097】
S28では、照合部107は、S26またはS27の判定結果を出力させ、これにより図6の照合方法は終了する。例えば、S26からS28に遷移した場合、照合部107は、S26で特定した個体情報を判定結果として出力させてもよい。なお、判定結果の出力先および出力の態様は特に限定されず、例えば、照合部107は、真贋判定の結果を端末装置2に表示出力させてもよい。
【0098】
以上のように、識別情報111は、真正品または当該真正品に付帯させる付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から生成された、真正品を一意に識別する識別情報を含むものであってもよい。この場合、照合部107は、対象物品の真贋判定を行ってもよい。具体的には、照合部107は、識別情報生成部102が生成した識別情報が、識別情報111に示される識別情報に一致した場合に、対象物品は真正品であると判定してもよい。この構成によれば、対象物品の真贋を判定することができる。
【0099】
〔照合方法についてのまとめ〕
図5および図6に基づいて説明したように、本実施形態に係る照合方法は、1または複数の情報処理装置が実行する照合方法であって、照合の対象となる対象物品または当該対象物品に付帯する付帯物の表面における所定の領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップ(S13/S23)と、識別情報生成ステップで生成された識別情報と、予め記録された識別情報とを照合することにより、予め記録された当該識別情報に直接的または間接的に対応付けられた、対象物品の個体情報を特定する照合ステップ(S14/S24、S26)と、を含む。そして、予め記録された識別情報は、所定の物品またはその付帯物の表面において任意に決定された、上記所定の領域に対応する撮影領域を撮影した画像から生成された、当該所定の物品を一意に識別する識別情報である。よって、個体情報が付されていない物品や、個体情報が除去された物品についても、当該物品の個体情報を特定することが可能になるという効果が得られる。
【0100】
また、物品識別システム1000を利用するカスタマーは、個体情報と、例えば製造者が持つ情報(製造日・製品管理番号・製造工場等の情報)とを対応付けて記録しておくことにより、物品識別システム1000にこれらの情報を提供することなく、特定された個体情報をキーとしてこれらの情報を読み出すことも可能である。また、例えば、ウェブサイトのURL等の、所定の情報にアクセスするためのアクセス情報を個体情報としてもよい。この場合、例えば、景品が当たるキャンペーンサイトのURLを個体情報とし、真正品の購入者のみが当該サイトにアクセスできるようにすることも可能である。
【0101】
〔他の適用例〕
情報処理装置1は、物品を流通させた後にその物品の識別情報を更新あるいは追加するという用途で使用することもできる。例えば、物品が新品で販売された後、中古販売される場合、情報処理装置1は、中古販売される際に識別情報を更新あるいは追加してもよい。また、情報処理装置1は、個体情報を更新あるいは追加することも可能である。
【0102】
識別情報を更新または追加する場合、例えば中古販売する業者が、情報処理装置1により対象物品が真正品であることを確認した上で、物品の表面に任意に撮影領域を設定し、その撮影領域を撮影した画像を情報処理装置1に入力すればよい。これにより、当該物品の識別情報として、中古販売時の物品の表面の外観に応じた最新の識別情報が生成され、記録される。なお、この識別情報には、新たに設定された撮影領域の位置および範囲を示す情報(例えば撮影された画像)についても対応付けて記録しておくことが好ましい。これにより、中古販売された物品の真贋判定や流通経路の特定などを行うことが可能になる。また、このような撮影領域の変更は、識別情報の偽造をさらに困難にすることができるという効果ももたらす。
【0103】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1の機能は、情報処理装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、情報処理装置1の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0104】
この場合、情報処理装置1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0105】
例えば、当該プログラムは、物品または当該物品に付帯する付帯物の表面において任意に決定された撮影領域を撮影した画像から当該物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された上記識別情報と、上記物品に関する情報である個体情報とを直接的または間接的に対応付けて記録する処理と、照合の対象となる対象物品または当該対象物品の付帯物の表面において上記撮影領域に対応する領域を撮影した画像から当該対象物品を一意に識別する識別情報を生成する処理と、生成された上記識別情報と、記録された前記識別情報とを照合することにより、対象物品の個体情報を特定する処理と、の少なくとも何れかをコンピュータに実行させるものであってもよい。
【0106】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、情報処理装置1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0107】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0108】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバー等)で動作するものであってもよい。
【0109】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1 情報処理装置
102 識別情報生成部
103 個体情報取得部
104 情報統合部
107 照合部
111 識別情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6