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特開2024-151670情報処理装置、車両、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151670
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241018BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065209
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石山 直樹
【テーマコード(参考)】
4C038
5H181
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PQ03
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行する。
【解決手段】情報処理装置(3)は、走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部(303)と、該判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部(305)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記車両または前記対象者が座っている座席の振動を示す振動情報に基づいて疲労度を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、所定期間における、前記車両または前記対象者が座っている座席の振動を示す前記振動情報に基づき、当該所定期間の疲労度を判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記外力によって疲労した前記対象者の疲労部位を推定する部位推定部を備える、請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の処理は、前記対象者が座っている座席に設けられている、疲労度を軽減させるための複数の疲労軽減装置のうち、前記疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置を動作させる処理である、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理実行部は、前記対象者の生体情報の解析結果に基づいて前記所定の処理を実行するタイミングを決定する、請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理実行部は、前記車両が停車したときに、停車前の走行についての前記判定部による判定の結果に応じて、前記対象者の疲労度を軽減するための所定の処理を実行する、請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
走行時に乗車している対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部と、を備える車両。
【請求項9】
1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、
走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定ステップと、
前記判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行ステップと、を含む制御方法。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記判定部および前記処理実行部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に乗車している者の疲労度を判定する情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に乗車している者の疲労度を判定する技術が従来から知られている。例えば、下記の特許文献1には、ドライバによる制御動作に起因する操作情報を取得し、取得した操作情報に基づいてドライバの疲労度を判定する車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-73070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に乗車している乗車者は、運転者であっても、非運転者であっても、車両に乗車しているだけで疲労してしまう。このような疲労が生じる原因として、路面の凹凸等に起因する車両の振動や慣性力、遠心力等の様々な外力が乗車者に加わり、このような外力に抗するために意識的または無意識に筋肉の緊張状態が変化することが考えられる。
【0005】
上述のような従来技術には、疲労度の判定において、走行している車両に乗車しているだけで乗車者が疲労することを考慮していないという点で改善の余地がある。本発明の一態様は、走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行することを可能にする情報処理装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部と、前記判定部による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る車両は、走行時に乗車している対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部と、前記判定部による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定ステップと、前記判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る車両の概要を説明する図である。
図3】本発明の実施形態1に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態2に係る制御システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
(車両1の概要)
本発明の一実施形態に係る車両1の概要を図2に基づいて説明する。図2は、車両1の概要を説明する図である。車両1は、走行時に乗車している対象者(疲労度を判定する対象となる者)に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定し、その判定の結果に応じた所定の処理を実行する機能を備えた車両である。車両1の内部には座席2が配置されている。なお、図2には座席2を1つのみ示しているが、車両1には複数の座席2が配置されていてもよい。
【0012】
座席2には、疲労軽減装置21が設けられている。疲労軽減装置21は、座席2に座っている対象者の疲労度を軽減させるための装置である。図2の例では、疲労軽減装置21が設けられている位置を破線の円で示しており、図示のように疲労軽減装置21は、座席2に座る対象者の首および肩、背中、腰の位置に設けられていると共に、臀部から大腿部の位置にも設けられている。
【0013】
疲労軽減装置21は、対象者の疲労度を軽減させ得るものであればよい。例えば、疲労軽減装置21は、対象者の身体の一部をマッサージするマッサージ機であってもよいし、対象者の身体の一部を温める温熱治療器や、対象者の身体の一部に低周波信号を供給する低周波治療器等であってもよい。以下では、疲労軽減装置21が、もみ玉をモータで駆動して対象者の身体の一部をマッサージするマッサージ機である例を説明する。
【0014】
また、座席2には、加速度センサ22が設けられている。加速度センサ22は、加速度を検出するセンサである。車両1において、加速度センサ22の出力値は、座席2の振動を示す振動情報として利用される。例えば、加速度センサ22を3軸の加速度センサとした場合、加速度の鉛直方向成分の時系列データを鉛直方向の振動情報として利用することができ、水平方向成分の時系列データを水平方向の振動情報として利用することができる。なお、加速度センサ22は、車両1の車体に設けてもよく、この場合、加速度センサ22により車両1の振動を示す振動情報が生成される。
【0015】
また、座席2には、圧力センサ23および圧電センサ24が設けられている。これらのセンサについては後記「疲労部位の推定方法について」および「生体情報の解析について」の各項目で説明する。
【0016】
また、車両1は情報処理装置3を備えている。情報処理装置3は、例えば、車両1のECU(Electronic Control Unit)であってもよい。詳細は後述するが、情報処理装置3は、車両1の走行時に対象者に加わる外力に起因する疲労度を判定する判定部と、その判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部とを備えている。
【0017】
図2の例では、情報処理装置3の判定部は、加速度センサ22により生成された振動情報に基づいて疲労度を判定する。そして、情報処理装置3の処理実行部は、判定された疲労度に応じて疲労軽減装置21を動作させる処理を実行する。上記の振動情報には、車両1に乗車していることによって対象者に加わる外力が反映される。このため、情報処理装置3によれば、車両1に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた動作を疲労軽減装置21に行わせ、対象者の疲労度を効果的に軽減させることができる。
【0018】
以上のように、車両1は、走行時に乗車している対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部と、当該判定部による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部と、を備えている。よって、走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行することができる。また、非運転者についても疲労度を判定し、その疲労度に応じた処理を実行することができる。さらに、「背景技術」の項目に記載した特許文献1の技術では、ドライバの疲労が運転操作に現れなければ疲労度が上がらないため、対処が遅れるおそれがあるが、車両1によればより早い段階で所定の処理を実行し、対象者の疲労に対処することが可能である。
【0019】
(情報処理装置3の構成)
情報処理装置3の構成を図1に基づいて説明する。図1は、情報処理装置3の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、情報処理装置3は、情報処理装置3の各部を統括して制御する制御部30と、情報処理装置3が使用する各種データを記憶する記憶部31と、を備えている。さらに、情報処理装置3は、情報処理装置3に対する各種データの入力を受け付けるための入力IF(InterFace)部32と、情報処理装置3がデータを出力するための出力IF部33と、情報処理装置3が他の装置と通信するための通信部34と、を備えている。
【0020】
また、制御部30には、データ取得部301、部位推定部302、判定部303、生体情報解析部304、および処理実行部305が含まれている。なお、生体情報解析部304については、後記「生体情報の解析について」の項目で説明する。
【0021】
データ取得部301は、疲労部位の推定や疲労度の判定、生体情報の解析等の情報処理装置3が行う各処理において必要なデータを取得する。例えば、データ取得部301は、疲労度の判定に用いるデータとして、上述の振動情報を取得してもよい。データの取得方法は特に限定されない。例えば、データ取得部301は、入力IF部32を介して接続された他の装置(センサであってもよい)からデータを取得してもよいし、通信部34を介した通信によりデータを取得してもよい。
【0022】
部位推定部302は、走行している車両に乗車していることによって対象者に加わる外力によって疲労した、当該対象者の疲労部位を推定する。疲労部位の推定方法の詳細は、後記「疲労部位の推定方法について」の項目で説明する。
【0023】
判定部303は、走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する。疲労度の判定方法の詳細は、後記「疲労度の判定方法について」の項目で説明する。
【0024】
処理実行部305は、判定部303による判定の結果に応じた所定の処理を実行する。所定の処理は予め定めておけばよい。例えば、図2の例のように、疲労軽減装置21を動作させる処理を所定の処理としてもよい。処理実行部305による処理の詳細は後記「疲労度の判定結果に応じた処理について」の項目で説明する。
【0025】
以上のように、情報処理装置3は、走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定部303と、判定部303による判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行部305と、を備えている。よって、走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行することができる。
【0026】
(疲労部位の推定方法について)
上述のように、部位推定部302は、走行している車両に乗車していることによって対象者に加わる外力によって疲労した、当該対象者の疲労部位を推定する。情報処理装置3は、部位推定部302を備えているから、対象者の身体の何れの部位が疲労部位であるかを推定することができる。そして、これにより、対象を疲労部位に絞った効率的かつ効果的な処理を行うことが可能になる。
【0027】
疲労部位の推定方法は特に限定されない。例えば、部位推定部302は、データ取得部301が取得する振動情報から車両1または対象者が座っている座席2の振動の振動周波数を算出し、当該振動周波数と、身体の各部における振動共振周波数とを照合することにより、疲労部位を推定してもよい。この場合、振動共振周波数が、車両1または座席2の振動周波数に一致する部位が疲労部位となる。
【0028】
なお、部位推定部302は、座席2ではなく車両1に配置した加速度センサの計測値に基づく振動情報から疲労部位を推定する場合、車両1の振動が座席2に伝わる間にその振動周波数が変化することを考慮して疲労部位を推定してもよい。また、部位推定部302は、座席2から対象者の身体に伝わる間に、その振動周波数が変化することを考慮して疲労部位を推定してもよい。振動周波数の変化の態様は予め調べて定式化しておけばよい。これにより、疲労部位のより正確な推定が可能になる。
【0029】
また、部位推定部302は、対象者の身体の各部位における疲労状態に影響を与える各種情報を考慮して疲労部位を推定してもよい。これにより、疲労部位のより正確な推定が可能になる。例えば、部位推定部302は、座席2のリクライニング角度、対象者の身体の何れの部位が座席2の座面に接触しているか、対象者の体格または骨格、および、対象者の着座姿勢、の少なくとも何れかを考慮して疲労部位を推定してもよい。これらの情報と疲労部位との関係を予めモデル化しておくことにより、部位推定部302は当該モデルを用いて疲労部位を推定することができる。なお、座席2のリクライニング角度は、座席2にセンサを設けることで計測可能であり、座面への接触部位は座面にセンサを設けることで計測可能である。また、対象者の体格、骨格、および着座姿勢は、例えば、車両1に設けた撮影装置で対象者を撮影し、撮影された画像を解析することで特定可能である。
【0030】
また、例えば、部位推定部302は、上記の撮影装置で撮影した画像を解析することにより、対象者の着座姿勢を特定し、特定した着座姿勢やその変化から疲労部位を推定することもできる。例えば、部位推定部302は、対象者が座席2に浅く座ったり、深く座ったりを繰り返している場合に疲労部位が腰部であると推定し、対象者が首を傾げる動作を繰り返している場合に疲労部位が首であると推定してもよい。
【0031】
また、着座姿勢は、座席2に面状の圧力センサを配置し、その出力値から推定することもできる。例えば、図2の例では、座席2の座面に圧力センサ23を配置している。このように圧力センサ23を配置することにより、対象者の座圧分布を示す出力値が得られる。このような出力値と、疲労部位との関係を予めモデル化しておくことにより、圧力センサ23の出力値から疲労部位を推定することが可能になる。
【0032】
また、例えば、部位推定部302は、機械学習により構築した疲労部位の推定モデルを用いて疲労部位を推定してもよい。このような推定モデルは、疲労部位に関連のある各種データを説明変数とし、疲労部位を示す情報を目的変数として、これらの関係を機械学習することにより構築することができる。疲労部位に関連のある各種データとしては、上述した振動情報等を適用することができる。
【0033】
(疲労度の判定方法について)
上述のように、判定部303は、走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する。この判定は、上記の外力が反映されたデータを用いて行えばよく、当該データから疲労度を判定する方法は予め定めておけばよい。
【0034】
例えば、判定部303は、車両1または座席2の振動を示す振動情報に基づいて疲労度を判定してもよい。車両1や座席2の振動には、車両1に乗車していることによって対象者に加わる外力が反映されるから、この構成によれば、対象者の疲労度を適切に判定することができる。
【0035】
また、判定部303は、所定期間における、車両1または座席2の振動を示す振動情報に基づき、当該所定期間の疲労度を判定してもよい。これにより、所定期間を通じて蓄積された疲労度を判定することができる。
【0036】
振動情報に基づいて疲労度を判定する場合、判定部303は、データ取得部301が取得する時系列の振動情報から、車両1または座席2の振動の時系列の振動周波数を算出してもよい。そして、判定部303は、当該振動周波数が対象者を疲労させる所定の周波数帯となる期間の長さに応じた疲労度を算出してもよい。この所定の周波数帯は、例えば、対象者の身体の共振周波数帯であってもよい。
【0037】
具体例を挙げれば、判定部303は、車両1または座席2の振動周波数が身体の共振周波数帯に含まれる時間の累積値が、所定の単位時間に達する毎に、疲労度を段階的に高くしてもよい。例えば、対象者が車両1に100分間乗車し、この100分間のうち20分間の車両1または座席2の振動周波数が、対象者の身体の共振周波数帯に含まれていたとする。この例において、判定部303は、例えば10分ごとに疲労度を1段階上げるようにしてもよく、この場合、100分間の乗車で対象者の疲労度は0から2段階上がって2になる。
【0038】
また、部位推定部302が疲労部位を推定している場合、判定部303は、疲労部位ごとに疲労度を判定する。この場合、判定部303は、振動周波数が疲労部位ごとの共振周波数帯となる期間の長さに応じて、当該疲労部位の疲労度を算出すればよい。
【0039】
また、疲労度の推定においては、振動情報以外の疲労度に関連する各種情報を考慮してもよい。例えば、判定部303は、座席2のリクライニング角度、対象者の身体の何れの部位が座席2の座面に接触しているか、対象者の体格または骨格、および、対象者の着座姿勢、の少なくとも何れかを考慮して疲労度を判定してもよい。これらの情報と疲労度との関係を予めモデル化しておくことにより、判定部303は当該モデルを用いて疲労度を判定することができる。
【0040】
なお、振動情報は、車両1または座席2の所定の方向の振動を示すものとすることが好ましい。これは、振動の方向によって身体に与える影響が異なるためである。例えば、共振周波数に基づいた上記のような疲労度の判定を行う場合、鉛直方向の振動を示す振動情報を用いることが好ましい。
【0041】
また、判定部303は、複数の振動情報を用いて疲労度を判定してもよい。これにより、疲労度の判定結果の安定性や判定精度の向上が期待できる。例えば、判定部303は、加速度センサ22が出力する加速度の鉛直方向成分を1つ目の振動情報として用いると共に、車両1または座席2に設けたジャイロセンサが出力する角速度を2つ目の振動情報として用いてもよい。この場合、判定部303は、加速度の鉛直方向成分の振動周波数を算出すると共に、角速度の時系列データからも鉛直方向の振動周波数を算出する。そして、判定部303は、これらの振動周波数で特徴が一致する部分を抽出し、当該部分を用いて疲労度を判定してもよい。また、判定部303は、上記2つの振動周波数を示す信号を合成し、合成により得られた信号を用いて疲労度を判定してもよい。
【0042】
また、判定部303は、水平方向の振動を示す振動情報を用いて疲労度を判定してもよいし、対象者に対して鉛直軸周りの方向に働く外力に基づいて疲労度を判定してもよい。これらの場合、水平方向の振動または鉛直軸周りの方向に働く外力と、疲労度との関係を予めモデル化しておけばよい。なお、水平方向の振動は加速度センサ22が計測する加速度の水平方向成分を周波数解析することで数値化可能であり、鉛直軸周りの方向に働く外力はジャイロセンサの計測値等により表すことが可能である。
【0043】
また、判定部303は、後述する生体情報またはその解析結果や、座圧分布から推定される疲労度についても加味して対象者の総合的な疲労度を判定してもよい。これにより、車両1に乗車していることによって対象者に加わる外力を考慮した、高精度な疲労度の判定が実現される。
【0044】
また、例えば、判定部303は、機械学習により構築した疲労度の判定モデルを用いて疲労度を判定してもよい。このような判定モデルは、疲労度に関連のある各種データを説明変数とし、疲労度を示す情報を目的変数として、これらの関係を機械学習することにより構築することができる。疲労度に関連のある各種データとしては、上述した振動情報等を適用することができる。
【0045】
(生体情報の解析について)
生体情報解析部304は、対象者の生体情報を解析し、解析結果を出力する。この解析結果は、対象者の状態を示すものであり、処理実行部305が所定の処理を実行するタイミングの決定に用いられる。解析の対象となる生体情報はデータ取得部301により取得される。例えば、図2に示すように、座席2の座面に圧電センサ24を配置し、この圧電センサ24により座席2に座る対象者の心弾動信号を計測してもよい。この場合、データ取得部301は、圧電センサ24が計測した心弾動信号を生体情報として取得する。
【0046】
生体情報が心弾動信号である場合、生体情報解析部304は、その心弾動信号からRRI(R-R Interval:心拍間隔)を算出し、算出したRRIからHRV(Heart Rate Variability:心拍変動)を算出して、算出したHRVの値を解析結果として出力してもよい。なお、RRIを算出するにあたり、生体情報解析部304は、心弾動信号に対してノイズ除去などの前処理を行ってもよい。また、この前処理において、生体情報解析部304は、加速度センサ22の検出値を利用してもよく、これにより心弾動信号から車両1の走行による振動ノイズ等を除去して、HRVの値を精度よく算出することが可能になる。
【0047】
HRVは、自律調節活動を表す指標であり、HRVの値は、例えば対象者がストレスを感じているか、リラックスしているか、疲労しているか、居眠りしているか、等を判断する目安になる。よって、生体情報解析部304がHRVの値を出力し、処理実行部305がHRVの値に応じて所定の処理を実行するタイミングを決定することにより、対象者の状態に応じた適切なタイミングで処理を実行することが可能になる。
【0048】
HRVの値と、処理の実行タイミングとの関係は予め定めておけばよい。例えば、処理実行部305は、HRVの値が、対象者が疲労していることを示す所定の数値範囲内の値になったタイミングで処理を実行してもよい。
【0049】
なお、生体情報は、対象者の状態が反映される情報であればよく、心弾動信号に限られない。例えば、データ取得部301は、容量結合センサによって計測した対象者の生体電位を生体情報として取得してもよく、この場合、生体情報解析部304は、生体電位を解析して対象者の状態を判定すればよい。また、データ取得部301は、例えば、電波式の生体情報センサにより計測した計測値を生体情報として取得してもよく、この場合、生体情報解析部304は、当該計測値を解析して対象者の状態を判定すればよい。電波式の生体情報センサの具体例としては、例えば、RF(Radio Frequency)センサが挙げられる。また、データ取得部301は、例えば対象者が身に着けているウェアラブルデバイスなどから生体情報を取得してもよい。
【0050】
また、データ取得部301は、複数種類の生体情報を取得してもよく、この場合、生体情報解析部304は、各生体情報を総合的に考慮して対象者の状態を判定してもよい。また、対象者の状態の判定には、生体情報以外の情報も加味してもよい。例えば、座っている人の疲労度は座圧分布に反映されることが知られているから、生体情報解析部304は、圧力センサ23が出力する、対象者の座圧分布を示す出力値についても加味して対象者の状態を判定してもよい。また、人の疲労度はその外観にも反映されるから、生体情報解析部304は、対象者を撮影した画像の解析結果についても加味して対象者の状態を判定してもよい。
【0051】
以上のように、処理実行部305は、対象者の生体情報の解析結果に基づいて所定の処理を実行するタイミングを決定してもよい。これにより、対象者の生体情報に応じた適切なタイミングで処理を実行することが可能になる。また、処理実行部305は、対象者の生体情報の解析結果に基づいて所定の処理を継続する継続時間を決定してもよいし、対象者の生体情報の解析結果に基づいて所定の処理を終了するタイミングを決定してもよい。
【0052】
(疲労度の判定結果に応じた処理について)
上述のように、処理実行部305は、疲労度の判定結果に応じた所定の処理を実行する。どのような判定結果となったときにどのような処理を実行するかは予め定めておいてもよい。典型的には、処理実行部305は、疲労度の判定結果が、対象者が疲労していることを示すものとなったときに、疲労度を軽減させるための所定の処理を実行する。例えば、上記所定の処理は、対象者が座っている座席2に設けられている、疲労度を軽減させるための疲労軽減装置21を動作させる処理であってもよい。
【0053】
また、部位推定部302により対象者の疲労部位が推定されていた場合、上記所定の処理は、複数の疲労軽減装置21のうち、疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21を動作させる処理であってもよい。これにより、疲労部位の疲労を軽減させることができる。また、この構成によれば、疲労していない部位や、疲労度が比較的低い部位の疲労軽減装置21は動作させずに済ますことができるから、車両1内の限られた電力を無駄にすることなく有効に活用することができる。つまり、この構成は車内のバッテリーマネジメントにも寄与する。
【0054】
また、処理実行部305は、各疲労部位の疲労度に応じて、当該疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21の動作態様および動作時間の少なくとも何れかを決定してもよい。上記動作態様には、動作強度(揉みの強さ)や動作パターン(例えば、揉みの速度や動作制御信号の波形)が含まれる。例えば、疲労度が高い疲労部位における疲労軽減装置21の動作時間を長く、またその動作強度を大きくすること等も可能である。
【0055】
また、処理実行部305は、各疲労部位の疲労度に応じて、疲労軽減装置21を動作させる動作順を決定してもよい。例えば、処理実行部305は、疲労度が高い疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21から順に動作させるようにしてもよい。なお、処理実行部305は、複数の疲労軽減装置21(各疲労部位に対応する位置のもの)を同時に動作させてもよい。
【0056】
ここで、座席1に座る対象者の体格によって、その対象者の身体の各部位と、疲労軽減装置21との位置関係は異なるものとなり得る。例えば、図2の例において、ヘッドレストの根元付近に位置する疲労軽減装置21は、対象者の座高によって、その対象者の首の位置になることも、首より高い位置または低い位置になることもある。
【0057】
このため、処理実行部305は、対象者の体格に応じて、動作させる疲労軽減装置21を調整してもよい。また、疲労軽減装置21の位置を移動させることができる場合、処理実行部305は、対象者の体格に応じて疲労軽減装置21の位置を移動させた上で、疲労軽減装置21を動作させてもよい。対象者の体格は、例えば車両1に撮影装置を設け、当該撮影装置にて撮影された画像を解析することにより特定することができる。この場合、データ取得部301は、上記画像を対象者の体格を示す体格情報として取得すればよい。
【0058】
なお、処理実行部305が実行する所定の処理は対象者の疲労状態に関連した処理であればよく、上述の例に限られない。例えば、上記所定の処理は、判定部303の判定結果を通知する処理であってもよい。この場合、処理実行部305は、判定部303の判定結果に応じて、例えば、通知内容、通知対象、および通知態様の少なくとも何れかを異ならせてもよい。これにより、疲労度に応じた適切な通知を行うことができる。
【0059】
例えば、処理実行部305は、対象者の疲労度が所定の閾値以上であった場合に、対象者に休憩を促すメッセージを車両1のスピーカ等に音声出力させてもよい。一方、処理実行部305は、対象者の疲労度が所定の閾値未満であった場合には、車両1内の表示パネル等に、疲労度が低いことを示す画像やメッセージ等を表示させてもよい。また、例えば、対象者が高齢者や患者等の疲労度の管理が必要な者であった場合、処理実行部305は、疲労度が所定の閾値以上であった場合には医師等の所定の通知先に通知を送信するようにしてもよい。
【0060】
また、処理実行部305は、対象者が運転者であるか否かによって通知内容および通知態様の少なくとも何れかを異ならせてもよい。例えば、処理実行部305は、対象者が運転者ではない場合には、車両1内に設置された表示装置にその対象者の疲労度が高い疲労部位の疲労解消に効果的なストレッチを勧める画像を表示する等の態様で行い、対象者が運転者である場合には、休憩を勧めるメッセージを音声出力するようにしてもよい。なお、対象者が運転者であっても、自動運転中や停車中等の運転を行っていない状態である場合には、非運転者と同様の扱いとしてもよい。
【0061】
また、上記所定の処理は、対象者に送風する処理であってもよい。この場合、処理実行部305は、車両1に搭載された空調装置を制御すればよい。例えば、処理実行部305は、運転中の対象者について判定された疲労度が閾値以上であるときに、空調装置を制御して当該対象者の顔付近に冷風を送風してもよい。これにより、疲労による眠気を覚まし、休憩できる場所まで安全に運転させることができる。また、この場合、処理実行部305は、疲労度に応じて設定温度等の送風条件の設定を行ってもよく、これにより、疲労感が強い対象者に低温の冷風を吹き付けて覚醒させることも可能になる。
【0062】
(制御方法の流れ)
本実施形態に係る制御方法の流れを図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、車両1の走行開始直後に上記制御方法を実行する例を説明する。また、以下の処理は、複数の情報処理装置(プロセッサと言い換えることもできる)に分担で実行させることもできる。つまり、以下では1つの情報処理装置3により上記制御方法を実行する例を説明するが、以下の各処理は複数の情報処理装置に分担させる形で実行されてもよい。
【0063】
S1では、データ取得部301が振動情報を取得する。例えば、データ取得部301は、車両1の走行開始から所定時間が経過するまでの期間に加速度センサ22が計測した加速度の時系列データを振動情報として取得してもよい。また、疲労部位の推定および疲労度の判定において、振動情報以外の情報(例えば、座圧分布を示す情報)等を使用する場合には、データ取得部301はそれらの情報も取得する。なお、S1では、走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する疲労度の判定に必要なデータ、すなわち走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力が反映されたデータを取得すればよく、このデータは振動情報に限られない。
【0064】
S2では、部位推定部302が、対象者の疲労部位を推定する。例えば、部位推定部302は、S1で取得された振動情報から車両1または座席2の振動の振動周波数を算出し、当該振動周波数と、身体の各部における振動共振周波数帯とを照合することにより、疲労部位を推定してもよい。
【0065】
S3(判定ステップ)では、判定部303が、S1で取得された振動情報を用いて対象者の疲労度を判定する。上述のように、車両1や座席2の振動を示す振動情報には、走行している車両1に乗車していることによって対象者に加わる外力が反映されるから、S3では、走行している車両1に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する疲労度が判定される。
【0066】
また、判定部303は、例えば記憶部31等に各疲労部位の疲労度を記録する。記録された疲労度は、判定部303が新たに取得された振動情報に基づいて疲労度を判定する毎に更新される。例えば、15分おきに当該15分間の振動情報を取得する場合、疲労度の判定は15分おきに直近15分間の振動情報を用いて行われ、記録された疲労度は15分おきに更新される。なお、疲労度を記録する代わりに、身体の各部位について、当該部位が疲労部位であると推定された時間の累積値を記録してもよい。この場合、判定部303は、記録された累積値から疲労度を判定すればよい。累積値と疲労度との関係は予め定めておけばよい。なお、疲労度や累積値の記録先は任意であり、例えば、当該記録先はサーバ等の外部の装置としてもよい。
【0067】
S4では、生体情報解析部304が、対象者の生体情報を解析し、対象者の状態を示す解析結果を出力する。なお、生体情報はデータ取得部301に取得させればよい。例えば、データ取得部301は生体情報として圧電センサ24で計測された心弾動信号を取得してもよい。この場合、生体情報解析部304は取得された心弾動信号からHRVの値を算出し、出力してもよい。
【0068】
S5では、処理実行部305が、S5の解析結果に基づき、所定の処理を実行するか否かを判定する。「疲労度の判定結果に応じた処理について」の項目で説明したように、上記所定の処理は、例えば、疲労軽減装置21を動作させて対象者の疲労度を軽減させる処理であってもよい。S5でYESと判定された場合にはS6に進み、S5でNOと判定された場合にはS4に戻る。
【0069】
S6(処理実行ステップ)では、処理実行部305が、S3の判定結果に応じた所定の処理の実行を開始する。例えば、処理実行部305は、疲労度が閾値以上の疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21の動作を開始させてもよい。なお、S3において判定結果を記憶部31に記録していた場合、処理実行部305は、S3の判定結果を記憶部31から読み出せばよい。また、判定結果がサーバ等の外部の装置に記録された場合には、処理実行部305は、S3の判定結果を外部の装置から取得すればよい。
【0070】
なお、疲労軽減装置21がマッサージ器である場合のように、対象者の疲労部位が座席2の座面に接触している状態で疲労軽減効果が生じる場合、処理実行部305は、車両1内に設置された撮影装置により撮影した画像の解析、あるいは、座面に設けたセンサ等により、対象者の疲労部位が座席2の座面に接触していることを確認した上で、当該疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21を動作させてもよい。
【0071】
S6において、処理実行部305は、車両1内に設置された撮影装置により撮影した画像から対象者の体格を推定し、その推定結果に基づいて、対象者の疲労部位に対応する位置の疲労軽減装置21を特定し、その疲労軽減装置21を動作させてもよい。また、例えば、処理実行部305は、対象者が運転中であるか否かを判定し、運転中ではないと判定されたことを条件として所定の処理の実行を開始してもよい。
【0072】
S7では、生体情報解析部304が、対象者の生体情報を解析する。解析対象の生体情報は、所定の処理が開始された後で取得された、所定の処理の影響を受けた対象者の生体情報である。
【0073】
S8では、処理実行部305は、S7の解析結果に基づき、S6で開始した処理を終了するか否かを判定する。S8において処理を終了する条件は予め定めておけばよい。例えば、処理実行部305は、S7の解析結果が、対象者が疲労していない状態であること、あるいは対象者の疲労度が低い状態であることを示す結果となることを条件として介入処理を終了してもよい。S8でYESと判定された場合には図示の処理は終了する。S8の処理は、同処理でYESと判定されるまで所定時間毎に繰り返される。なお、S8でYESと判定された場合にS1の処理に戻るようにしてもよい。
【0074】
ここで、疲労度に応じた疲労軽減装置21の動作時間を予め定めておいてもよい。この場合、S7およびS8の処理は省略され、処理実行部305は、各疲労部位に対応する疲労軽減装置21について、その動作時間が予め定めた時間となった時点で動作を停止させる。
【0075】
以上のように、1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、走行している車両に対象者が乗車していることによって当該対象者に加わる外力に起因する、当該対象者の疲労度を判定する判定ステップ(S3)と、当該判定の結果に応じた所定の処理を実行する処理実行ステップ(S6)と、を含む。よって、走行している車両に乗車していることによって生じる外力に起因する疲労度に応じた処理を実行することができる。
【0076】
また、所定の処理は、車両1の停車時に実行するようにしてもよい。つまり、処理実行部305は、車両1が停車したときに、停車前の走行についての判定部303による判定の結果に応じて、対象者の疲労度を軽減するための所定の処理を実行してもよい。これにより、停車中の時間を有効に活用し、対象者の疲労度を軽減させることができる。この構成は、特に、所定の処理が、対象者が運転しているときに実施できない、あるいは実施することが好ましくない処理(運転操作や運転に対する集中力に影響し得る処理と言い換えることもできる)である場合に有効である。
【0077】
車両1の停車時に所定の処理を実行する場合、図3のS1~S3の処理は走行中に行っておき、車両1の停車時にS4以降の処理を行うようにしてもよい。例えば、所定時間運転する毎に所定時間以上の休憩をとることが対象者に義務付けられている場合、所定時間の運転中にS1~S3の処理を繰り返し実行することにより、運転中に蓄積された疲労度を判定すればよい。その後、休憩時にS4以降の処理を実行することにより、運転中に蓄積された疲労度を軽減または解消させることができるから、休憩後には良好な状態で運転を再開させることができる。また、停車時にS1~S8の処理を実行してもよい。この場合、S1では所定時間の運転中に計測された振動情報を取得し、S3では当該所定時間の運転で蓄積された疲労度が判定される。
【0078】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について図4に基づいて以下に説明する。図4は、本実施形態に係る制御システム5Aの概要を示す図である。図示のように、制御システム5Aには、車両1Aと、情報処理装置3Aおよび4Aが含まれている。また、図示は省略しているが、車両1Aには、図2に示した車両1と同様に座席2が設けられている。情報処理装置3Aは例えばECUであり、情報処理装置4Aは例えばクラウドサーバである。
【0079】
情報処理装置3Aは、座席2に設けられた加速度センサ22により計測された加速度データを取得し、これを振動情報として情報処理装置4Aに送信する。また、情報処理装置3Aは、車両1Aに設けられた撮影装置で撮影された画像、圧力センサ23で計測されたデータ、および圧電センサ24で計測された心弾動信号等についても情報処理装置4Aに送信してもよい。
【0080】
情報処理装置4Aは、実施形態1の情報処理装置3と同様の構成(図1参照)を備えており、情報処理装置3Aから受信した振動情報等を用いて疲労度の判定やその判定結果に応じた処理の決定等を行う。つまり、情報処理装置4Aは、判定部303および処理実行部305を備えている。ただし、情報処理装置4Aが備える処理実行部305は、疲労軽減装置21を直接制御することができないから、情報処理装置3Aに対して所定の処理の実行を指示することにより、情報処理装置3Aに疲労軽減装置21を制御させる点で、情報処理装置3が備える処理実行部305と相違している。
【0081】
また、情報処理装置4Aは、情報処理装置3と同様に、部位推定部302や生体情報解析部304を備えていてもよく、これらの処理部により疲労部位の推定や、生体情報の解析を行ってもよい。
【0082】
このように、制御システム5Aによれば情報処理装置3と同様の機能を実現することができる。また、3つ以上の情報処理装置により制御システムを構成することもできる。そして、各情報処理装置に分担させる機能は任意である。例えば、疲労度を判定する処理と、所定の処理の内容を決定する処理とをそれぞれ異なる情報処理装置に分担で行わせてもよい。
【0083】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置3、3A、4Aの機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部30に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(制御プログラム)により実現することができる。
【0084】
この場合、情報処理装置3、3A、4Aは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0085】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、情報処理装置3、3A、または4Aが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して情報処理装置3、3A、または4Aに供給されてもよい。
【0086】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1 車両
2 座席
3、4A 情報処理装置
302 部位推定部
303 判定部
305 処理実行部

図1
図2
図3
図4