(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151699
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】練習用ゴルフクラブ及びそれに用いる部材並びに練習用ゴルフクラブ製造方法
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20241018BHJP
A63B 53/14 20150101ALI20241018BHJP
A63B 60/32 20150101ALI20241018BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241018BHJP
【FI】
A63B69/36 501C
A63B53/14 E
A63B60/32
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065259
(22)【出願日】2023-04-12
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523133395
【氏名又は名称】株式会社ルーツゴルフ
(74)【代理人】
【識別番号】100195431
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 史樹
(72)【発明者】
【氏名】大同 一輝
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA06
2C002AA09
2C002GG00
2C002GG02
2C002PP03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シャローイングを容易に習得することができる練習用ゴルフクラブ及びその部材を提供する。
【解決手段】ボールを打つ部分であるヘッド部210と、前記ヘッド部210に接続され前記ヘッド部210に向かって細くなる円筒状のシャフト部220と、を備えるクラブ本体部材200と、
前記シャフト部220に対して、前記シャフト部220のシャフト端部221に接続して固定されるヒンジアシスト部材300と、
前記シャフト部220の基端側及び前記ヒンジアシスト部材300に取り付けられるグリップ部材400と、を含み、
前記ヒンジアシスト部材300は、前記シャフト端部221に接続する接続部310と、
前記シャフト部220のシャフト軸からロフト角と同一方向に屈曲する屈曲部320と、を有する練習用ゴルフクラブ100を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
練習用のゴルフクラブであって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるクラブ本体部材と、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部のシャフト端部に接続して固定されるヒンジアシスト部材と、
前記シャフト部の基端側及び前記ヒンジアシスト部材に取り付けられるグリップ部材と、を含み、
前記ヒンジアシスト部材は、前記シャフト端部に接続する接続部と、
前記シャフト部のシャフト軸からロフト角と同一方向に屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブ。
【請求項2】
前記接続部と前記シャフト端部との接続が、前記接続部を前記シャフト端部の穴に挿入して固定するものである、又は前記シャフト端部を前記接続部に挿入して固定するものである請求項1記載の練習用ゴルフクラブ。
【請求項3】
前記屈曲部が前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する角度が10度以上20度以下である請求項1記載の練習用ゴルフクラブ。
【請求項4】
練習用のゴルフクラブであって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるクラブ本体部材と、
前記シャフト部の基端側に取り付けられるグリップ部材と、を含み、
前記シャフト部は、シャフト軸からロフト角と同一方向に屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブ。
【請求項5】
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるゴルフクラブのクラブ本体部に取り付け、使用者のヒンジを手助けするための部材であって、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部の基端側に接続する接続部と、
前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブのヒンジアシスト部材。
【請求項6】
練習用ゴルフクラブの製造方法であって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるゴルフクラブのグリップ側の前記シャフト部の端部をカットするカット工程と、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部の基端側に接続する接続部と、前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する屈曲部と、を有するヒンジアシスト部材を、カットされた前記シャフト部のシャフト端部に接続する接続工程と、
前記ヒンジアシスト部材及び前記シャフト端部にグリップ部材を取り付ける取付工程と、を含む練習用ゴルフクラブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練習用ゴルフクラブ及びそれに用いる部材並びに練習用ゴルフクラブ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフ練習具として、特許文献1には、グリップの表面に指形の凹凸を設けて、使用者が凹凸に合わせてグリップを把持することにより、正しい握り方を習得することができるゴルフグリップ練習具が開示されている。
【0003】
このゴルフグリップ練習具は、グリップの方向をクラブフェースの方向に合わせて調整できる識別マークを有しており、シャフト上の正面マークを基準に識別マークの位置を調整してシャフトに装着することにより、スクエヤーグリップ、ストロンググリップ、ウィークグリップでの練習が可能とされている。
【0004】
また、最近のゴルフスイングにおいては、ダウンスイングにおいてヘッドを低い位置から浅い角度でボールに向かわせるシャローイングや、グリップの位置がボールよりも目標方向側にある状態でインパクトするハンドファーストが広く提案されているが、上記従来のゴルフ練習具は、シャローイングやハンドファーストを習得するのに必ずしも適したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
緩やかな入射角でボールを打つことをシャローイング(シャロースイング)と呼ばれており、そこにはヒンジ(右打ちの場合、右手手首を甲側に曲げる背屈の動き)が必要となる。
【0007】
一般的に、シャローイングでボールを打つためには、ヒンジ(右打ちの場合、右手手首を甲側に曲げる背屈の動き)又はヒンジコック(「コック」は手首の左右の動き)が必要となる。
【0008】
シャローイングのスイングとは、具体的には(1)切り返しでクラブヘッドが背中側に倒れ、(2)インサイドのスイング軌道で、(3)クラブヘッドを低い位置からボールに当てる、スイングのことをいう。
【0009】
現在のゴルフクラブは低い位置に重心があるため、より低い位置から払ってボールを打つ方法(シャローイング)のほうが、ボールが効率よく飛ぶ。
【0010】
また、シャローイングでボールを打つ場合、そのスイングの特徴からアウトサイドに絶対に入らなくなるため、しっかりとインサイドからボールを捕らえることができ、インパクトゾーンが長くなる。
【0011】
長いインパクトゾーンの中でボールにインパクトするとボールに正しい縦回転がしっかりかかるので、力強いスピンの効いた弾道が生まれる。
【0012】
インパクトゾーンを長くすることで、ショットを安定させることができるという利点がある。
【0013】
また、シャローイングでボールを打つ場合、ハンドファーストになるという利点もある。
【0014】
しかしながら、シャローイングのスイングを習得するのは、体の右半身のすべてが右に傾いてしまったり、手首と肘がすべて伸びてしまったりすることがあり、簡単ではないという問題がある。
【0015】
また、シャローイングを意識しすぎてオンプレーンスイングにならない場合がある。
【0016】
「オンプレーン」とは、アドレス(ボールを打つための構える姿勢)の状態からクラブヘッドの辺りを基準にして、肩に一本、シャフトに沿って一本引き、その線と線の間にスイング軌道が収まることをいう。
【0017】
本発明の主な目的は、シャローイングを容易に習得することができる練習用ゴルフクラブ及びその部材を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、シャローイング及びオンプレーンスイングを容易に習得することができる練習用ゴルフクラブ及び部材を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、シャローイングを容易に習得することができる練習用ゴルフクラブを容易に製造することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の局面に係る練習用ゴルフクラブは、練習用のゴルフクラブであって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるクラブ本体部材と、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部のシャフト端部に接続して固定されるヒンジアシスト部材と、
前記シャフト部の基端側及び前記ヒンジアシスト部材に取り付けられるグリップ部材と、を含み、
前記ヒンジアシスト部材は、前記シャフト端部に接続する接続部と、
前記シャフト部のシャフト軸からロフト角と同一方向に屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブである。
【0021】
グリップがシャフト軸からロフト角と同一方向(z軸負方向側)に曲がっていることにより、使用者はゴルフクラブをねかしてトップポジションから下ろし易くなり、シャローイングを習得し易くなる。
【0022】
また、グリップがシャフト軸からロフト角と同一方向(z軸負方向側)に曲がっていることにより、使用者はシャローイングかつオンプレーンスイングを習得し易くなる。
【0023】
また、このような練習用ゴルフクラブを使用することにより、オンプレーンスイングとなるため、使用者はアウトサイドインのスイング軌道を容易に修正することができる。
【0024】
また、グリップがシャフト軸からロフト角と同一方向(z軸負方向側)に曲がっていることにより、手元が先行してクラブヘッドが後からついてくる動き(ハンドファースト)となるため、使用者はいわゆる手打ちを容易に修正することができる。
【0025】
また、このような練習用ゴルフクラブを使用することにより、使用者は、シャローイングでボールを打つことができ、インパクトで身体が伸びあがってしまう問題も解決することができる。
【0026】
また、グリップがシャフト軸からロフト角と同一方向(z軸負方向側)に曲がっていることにより、使用者はシャフトクロスを修正することもできる。
【0027】
また、このような練習用ゴルフクラブを使用することにより、使用者はヒンジコックの使い方やクラブヘッドの動かし方等が上手になり、自然とアプローチも上手になる。
【0028】
本発明の第2の局面に係る練習用ゴルフクラブは、第1の局面に係る練習用ゴルフクラブであって、前記接続部と前記シャフト端部との接続が、前記接続部を前記シャフト端部の穴に挿入して固定するものである、又は前記シャフト端部を前記接続部に挿入して固定するものである練習用ゴルフクラブである。
【0029】
ヒンジアシスト部材をシャフト部に挿入して接続するもの、又は、シャフト部の端部をヒンジアシスト部材の接続部に挿入して接続するものであることにより、接続部分の強度を保つことができる。
【0030】
なお、ヒンジアシスト部材をシャフト部に挿入して接続するものが好ましい。
【0031】
本発明の第3の局面に係る練習用ゴルフクラブは、第1の局面に係る練習用ゴルフクラブであって、前記屈曲部が前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する角度が10度以上20度以下である練習用ゴルフクラブである。
【0032】
使用者は、屈曲部もグリップの上から握るため、角度があり過ぎると練習用ゴルフクラブの使用感が悪くなってしまう。
【0033】
そのため、シャフト軸に対して屈曲する角度は15度前後が好ましい。
【0034】
本発明の第4の局面に係る練習用ゴルフクラブは、練習用のゴルフクラブであって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるクラブ本体部材と、
前記シャフト部の基端側に取り付けられるグリップ部材と、を含み、
前記シャフト部は、シャフト軸からロフト角と同一方向に屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブである。
【0035】
シャフト部とヒンジアシスト部材が一体となった構成であっても、第1の局面に係る練習用ゴルフクラブと同様の効果を奏する。
【0036】
本発明の第5の局面に係る練習用ゴルフクラブ用のヒンジアシスト部材は、ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるゴルフクラブのクラブ本体部に取り付け、使用者のヒンジを手助けするための部材であって、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部の基端側に接続する接続部と、
前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する屈曲部と、を有する練習用ゴルフクラブのヒンジアシスト部材である。
【0037】
使用者が普段使用しているゴルフクラブのシャフト部分の端部(ヘッド部と反対側の端部)をカットして、ヒンジアシスト部材を取り付け、グリップを取り付けることにより、練習用ゴルフクラブを作ることができる。
【0038】
本発明の第6の局面に係る練習用ゴルフクラブの製造方法は、練習用ゴルフクラブの製造方法であって、
ボールを打つ部分であるヘッド部と、前記ヘッド部に接続され前記ヘッド部に向かって細くなる円筒状のシャフト部と、を備えるゴルフクラブのグリップ側の前記シャフト部の端部をカットするカット工程と、
前記シャフト部に対して、前記シャフト部の基端側に接続する接続部と、前記シャフト部のシャフト軸に対して屈曲する屈曲部と、を有するヒンジアシスト部材を、カットされた前記シャフト部のシャフト端部に接続する接続工程と、
前記ヒンジアシスト部材及び前記シャフト端部にグリップ部材を取り付ける取付工程と、を含む練習用ゴルフクラブの製造方法である。
【0039】
使用者が普段使用しているゴルフクラブのシャフト部分の端部(ヘッド部と反対側の端部)をカットして、ヒンジアシスト部材を取り付け、グリップを取り付けることにより、練習用ゴルフクラブを作ることができる。
【0040】
ヒンジアシスト部材の屈曲部は、シャフト軸からロフト角と同一方向にθ度屈曲してシャフト部に接続固定する必要がある。
【0041】
このような練習用ゴルフクラブであれば、基端側が曲がっているため、使用者はヒンジし易いという利点がある。
【0042】
つまり、ゴルフクラブを背中側に倒しやすく、ハンドファーストでボールを打ちやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明に係る一実施形態における練習用ゴルフクラブの平面図。
【
図2】同実施形態に係る練習用ゴルフクラブの背面図。
【
図3】同実施形態に係る練習用ゴルフクラブの側面図。
【
図4】同実施形態に係るヒンジアシスト部材が挿入されたシャフト(シャフト部材)の部分側面図。
【
図5】同実施形態に係るヒンジアシスト部材の側面図。
【
図6】同実施形態に係るヒンジアシスト部材の斜視図。
【
図7】同実施形態に係るヒンジアシスト部材が装着されたシャフト(シャフト部材)にグリップ部材が取り付けられたシャフトの側面図。
【
図8】同実施形態に係る練習用ゴルフクラブの製造方法のフローチャート。
【
図9】同実施形態に係る練習用ゴルフクラブの使用状態を表す図。
【
図10】同実施形態に係る練習用ゴルフクラブの使用状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0045】
図1乃至
図3に示すように、本実施形態に係る練習用ゴルフクラブ100は、
ヘッド部210とシャフト部220とから構成されるクラブ本体部材200と、
基端側(y軸正方向側)をカットしたシャフト部220に対して、シャフト部220の基端側に挿入して接続されるヒンジアシスト部材300と、
シャフト部220の基端側及びヒンジアシスト部材300に取り付けられるグリップ部材400と、を含む。
【0046】
クラブ本体部材200は、シャフト部220の先端側(y軸負方向側)に配置され、ボールを打つ部分であるヘッド部210と、
金属やカーボン等の樹脂から構成され、略円筒状に延伸するシャフト部220と、を含む。
【0047】
練習用ゴルフクラブ100は、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターいずれであってもよい。
【0048】
本実施形態に係る練習用ゴルフクラブ100(クラブ本体部材200)は、アイアンが利用されている。
【0049】
練習用ゴルフクラブ100がアイアンの場合、ヘッド部210の形状は、フラットバック、キャビティバック、ポケットキャビティ、中空構造、いずれであってもよい。
【0050】
ヘッド部210は、シャフト部220の先端側(y軸負方向側)に接続される。
【0051】
具体的には、ヘッド部210の接続部分に対して、シャフト部220の先端を挿入して接続固定される。
【0052】
ヘッド部210は、ボールを打つ部分であるフェース部211と、シャフト部220に接続するホーゼル部212と、
ホーゼル部212の上部(y軸正方向側)に配置されるフェルール部213と、を備える。
【0053】
本実施形態に係るフェース部211には、フェース、リーディングエッジ、トップライン、トゥ、ヒール、ソール、キャビティが含まれる。
【0054】
ホーゼル部212は、シャフト部220と接続される部分であり、シャフト部220をホーゼル部212に挿入して接続固定される。
【0055】
フェルール部213は、ホーゼル部212の上部(y軸正方向側)に配置される。
【0056】
フェルール部213は、貫通孔を有しており、貫通孔にシャフト部220が挿入される。
【0057】
ヘッド部210には、主に、ステンレス、チタン、軟鉄等が用いられ、ドライバーの種類によって変化する。
【0058】
また、ヘッド部210には、鉄にニッケル、コバルト、モリブデンを含めたマレージング鋼や、クロムモリブデン鋼が用いられてもよい。
【0059】
シャフト部220は、グリップ部材400の中と、グリップ部材400とヘッド部210との間に配置されており、中心が空洞であり、ヘッド部210に向かって細くなる略円筒状である。
【0060】
シャフト部220の基端側(y軸正方向側)は、グリップ部材400で覆われている。
【0061】
本実施形態におけるシャフト部220は、金属が使用されている。例えば、シャフト部220には、鉄にコバルト15%、ニッケル11%、クロム2%、モリブデン1%を配合した合金が使用されてもよい。
【0062】
なお、シャフト部220は、スチールや炭素繊維強化プラスチックであってもよい。また、炭素繊維にボロン(ホウ素)繊維やアラミド繊維を複合させてもよい。また、スチールと炭素繊維強化プラスチックを複合させてもよい。
【0063】
また、炭素繊維は、PAN(ポリアクリルニトリル)系が好ましいが、ピッチ系であってもよい。
【0064】
また、シャフト部220には、チタン合金が用いられてもよい。
【0065】
本実施形態では、シャフト部220の基端側(y軸正方向側)をカットして、ヒンジアシスト部材300を挿入する。
【0066】
図4に示すように、具体的には、本実施形態では、シャフト部220の基端(y軸正方向側端部)から61mmカットし、そのカットして短くなったシャフト部220のシャフト端部221にヒンジアシスト部材300を挿入する。
【0067】
具体的には、ヒンジアシスト部材300は、シャフト端部221側からシャフト部220の断面中央部に設けられている穴に挿入する。
【0068】
図5及び
図6に示すように、ヒンジアシスト部材300は、シャフト部220に挿入する(接続する)接続部310と、
シャフト部220のカットした部分に置き換わる屈曲部320と、を備える。
【0069】
ヒンジアシスト部材300の材質は金属であり、本実施形態ではアルミニウムであるが、違う金属でもよく、また金属以外の材質であってもよい。
【0070】
本実施形態における接続部310は、シャフト部220のシャフト端部221からシャフト部220の穴に挿入され接続固定される。
【0071】
本実施形態では、接続部310全体がシャフト部220の穴に挿入され接続固定されているが、接続部310の一部がシャフト部220の穴に挿入され接続固定されるような構成であってもよい。
【0072】
本実施形態における接続部310は、断面が直径14mmの円形状であり、長手方向の長さが30.25mmである。
【0073】
接続部310の断面の形状及び大きさは、シャフト端部221の穴の形状及び大きさに合わせるのが好ましい。
【0074】
シャフト部220の穴に挿入する接続部310の場合、シャフト部220の穴に挿入できればよく、接続部310の長さは限定されない。
【0075】
なお、本実施形態では、接続部310をシャフト部220に挿入して接続固定するものであるが、シャフト部220のシャフト端部221を接続部310に挿入するような構成であってもよい。
【0076】
屈曲部320は、シャフト部220のカットした部分に置き換わる部分である。
【0077】
本実施形態における屈曲部320は、断面が直径14mmの円形状であり、長手方向の長さが59.76mmである。
【0078】
屈曲部320の長手方向の長さは、ヒンジアシスト部材300とシャフト部220とを接続することを考慮し(屈曲部320を考慮し)、シャフト部220のカットした長さの分より若干短い程度が好ましい。
【0079】
屈曲部320は、接続部310の軸(シャフト軸)に対してθ度で屈曲している。
【0080】
なお、本実施形態では屈曲部320においてθは15である。なお、0<θ<90であればよいが、好ましくは0<θ<45であり、より好ましくは5≦θ≦20である。
【0081】
図7に示すように、ヒンジアシスト部材300は、z軸負方向側に屈曲するようにシャフト部220に接続固定される。
【0082】
ヒンジアシスト部材300は、屈曲部320がシャフト部220の軸(シャフト軸)からロフト角と同一方向に角度θ屈曲するように接続固定される。
【0083】
なお、「ロフト角」とは、シャフトの中心線(シャフト軸)とフェース面がつくる角度のことをいう。
【0084】
図7は、ヒンジアシスト部材300をシャフト部220に接続した状態の上にグリップ部材400を取り付けた状態を表す。
【0085】
グリップ部材400は、使用者がゴルフクラブをしっかり握れるように、ゴム又はエラストマーが使用されている。
【0086】
グリップ部材400は、シャフト部220及び屈曲部320に嵌め込み固定される。
【0087】
グリップ部材400は、ゴム又はエラストマー等の変形しやすく滑りにくい材質が用いられているため、シャフト部220及び屈曲部320の形状に合わせた形状となる。
【0088】
グリップ部材400の基端側(y軸正方向側)は、反対側(y軸負方向側)に比べて肉厚になっており、
図7に示すような形状となっている。
【0089】
したがって、ヒンジアシスト部材300の円形状の断面がシャフト部220の円形状の断面より小さくても、使用者は本実施形態に係る練習用ゴルフクラブ110をグリップに違和感なく使用することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、シャフト部220とヒンジアシスト部材300は別部材であったが、シャフト部220とヒンジアシスト部材300が同一の部材であってもよい。
【0091】
つまり、本実施形態では、シャフト部220の基端側(y軸正方向側)の端部をカットし、そのカットした部分にヒンジアシスト部材300を接続しているが、シャフト部220の基端側の端部が屈曲部320である構成であってもよい。
【0092】
このような構成であっても、本実施形態と同様の効果を奏する。
【0093】
練習用ゴルフクラブ100のグリップ(グリップ部材300)の握り方は、ロングサムが好ましい。なお、ショートサムであってもよい。
【0094】
「ロングサム」とは、右利きの場合、クラブを握った時の左手親指がクラブに沿って長く伸びている状態のことをいう。
【0095】
「ショートサム」とは、ロングサムとは対照的に、右利きの場合、グリップした時の左手親指が縮まった状態のことをいう。
【0096】
<練習用ゴルフクラブ100の製造方法>
図8は、練習用ゴルフクラブ100の製造方法のフローチャートである。
まず、一般的に使用されているゴルフクラブのグリップ(グリップ部材400)が外される(ステップS11、グリップ取外し工程)。
【0097】
次に、シャフト部220の基端側(y軸正方向側)がカットされる(ステップS12、カット工程)。
【0098】
本実施形態では、シャフト部220を基端側から61mmカットする。
【0099】
次に、カットしたシャフト部220のシャフト端部221の穴にヒンジアシスト部材300の接続部310を挿入して接続固定する(接続工程)。
【0100】
ヒンジアシスト部材300の屈曲部320は、シャフト軸からロフト角と同一方向にθ度屈曲してシャフト部220に接続固定される(ステップS13、接続工程)。
【0101】
ヒンジアシスト部材300及びシャフト端部221にグリップ部材400が取り付けられ接着される(ステップS14、グリップ取付工程)。
【0102】
<練習用ゴルフクラブ100の使用方法>
図9に示すように、右利きの使用者及び練習用ゴルフクラブであれば、左手の小指、薬指及び中指の3本、又は、小指及び薬指の2本で、屈曲部320部分に配置されるグリップを握り、右手は通常通りグリップを握る。
【0103】
そして、グリップが曲がっている位置(接続部310と屈曲部320との間の位置)を支点としてコックする(シャットに上げる)ことにより、簡単にヒンジコックができる。
【0104】
また、
図10のように、屈曲部320があることにより、練習用ゴルフクラブをねかし易くなり、シャローイングし易くなる。
【0105】
本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、ボールを打ちながらシャローイング及びオンプレーンスイングの習得を容易にすることができる。
【0106】
また、本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、アウトサイドインのスイング軌道を容易に修正することができる。
【0107】
また、本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、いわゆる手打ちを容易に修正することができる。
【0108】
また、本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、インパクトで身体が伸びあがってしまう問題も解決することができる。
【0109】
また、本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、シャフトクロスを修正することもできる。
【0110】
また、本発明に係る練習用ゴルフクラブ100を使用することにより、ヒンジコックの使い方やクラブヘッドの動かし方等が上手になり、自然とアプローチも上手になる。
【0111】
また、普段、使用者が使用しているゴルフクラブを練習用ゴルフクラブ100とすることができるため、使用者は飽きずに練習用ゴルフクラブ100を使用し続けることができる。
【0112】
本発明に係る練習用ゴルフクラブ100であれば、スライス、フック、ダフり、トップの問題を解決することができる。
【0113】
また、本来、廃棄されるはずだったゴルフクラブを、練習用ゴルフクラブ100に利用することができるため、廃棄を抑止すること、つまりゴミを減らすことができるという利点もある。
【0114】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
【符号の説明】
【0115】
100…練習用ゴルフクラブ
200…クラブ本体部
210…ヘッド部
211…フェース部
212…ホーゼル部
213…フェルール部
220…シャフト部
221…シャフト端部
300…ヒンジアシスト部材
310…接続部
320…屈曲部
400…グリップ部材