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特開2024-151706クラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブの調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151706
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】クラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブの調整方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/06 20150101AFI20241018BHJP
   A63B 53/02 20150101ALI20241018BHJP
   A63B 60/02 20150101ALI20241018BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20241018BHJP
【FI】
A63B53/06 C
A63B53/02
A63B53/06 E
A63B60/02
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065270
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】517096730
【氏名又は名称】株式会社エム・ケイ・トレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】菅野 實
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002AA07
2C002KK03
2C002KK05
2C002LL01
2C002MM04
(57)【要約】
【課題】ゴルファーに合ったシャフトを自由に選択でき、そのシャフトに合ったクラブヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】
クラブヘッド本体部3と、クラブヘッド本体部3に形成されるめねじ部5bを有する3以上の調整錘取り付け部5と、おねじ部6bを有し重さが異なる複数種類の調整錘6と、を備え、調整錘を調整錘取り付け部に取り付けることによってヘッド本体部に重量を付加し、最も重い種類の錘を最大数取付けた場合の重量の付加分が21g以上32g以下であるアイアンタイプ用のクラブヘッドである。。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラブヘッド本体部と、
クラブヘッド本体部に形成されるメネジ部を有する3以上の調整錘取り付け部と、
おねじ部を有し重さが異なる複数種類の調整錘と、を備え、
調整錘を調整錘取り付け部に取り付けることによってヘッド本体部に重量を付加し、
最も重い種類の錘を最大数取付けた場合の重量の付加分が21g以上32g以下であるアイアンタイプ用のクラブヘッド。
【請求項2】
調整錘は最も軽いものから最も重いものまで一定の重量差によって備えられている請求項1に記載のクラブヘッド。
【請求項3】
3つの調整錘取り付け部がバックフェースに設けられ、
調整錘は重さにより2gと4gと6gと8gの4種類であり、
それぞれの種類の調整錘は3個ずつ備えられる請求項2に記載のクラブヘッド。
【請求項4】
1つの調整錘取り付け部がトウ部に設けられている請求項3に記載のクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかのクラブヘッドと、シャフトと、シャフトとクラブヘッドを接続するスリーブを有するアイアンタイプのゴルフクラブであり、
スリーブの一端部にはシャフトの下端部が挿入されるシャフト挿入孔が設けられ、
スリーブのシャフト挿入孔と反対側の端部にはクラブヘッドのホーゼル孔に挿入されるヘッド接続部が形成されており、
クラブヘッドのホーゼル孔の内壁面にはめねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部にはホーゼル孔のめねじに係合するおねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部のおねじとホーゼル孔のめねじは、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじであるアイアンタイプのゴルフクラブ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかのクラブヘッドと、長さ又は素材の異なる複数の種類のシャフトと、シャフトとクラブヘッドを接続するスリーブを使用するアイアンタイプのゴルフクラブの調整方法であり、
スリーブの一端部にはシャフトの下端部が挿入されるシャフト挿入孔が設けられ、
スリーブのシャフト挿入孔と反対側の端部にはクラブヘッドのホーゼル孔に挿入されるヘッド接続部が形成されており、
クラブヘッドのホーゼル孔の内壁面にはめねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部にはホーゼル孔のめねじに係合するおねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部のおねじとホーゼル孔のめねじは、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじであり、
複数の種類のシャフトから1本のシャフトを選択し、
選択されたシャフトの下端をスリーブのシャフト挿入孔に挿入して接着により接続し、
スリーブのヘッド接続部のおねじをホーゼル孔のめねじに係合し、
選択されたシャフトとヘッド本体部に対応して調整錘を選択し、
選択された調整錘をヘッド本体部の調整錘取り付け部に取り付けることによってシャフトに合ったクラブヘッドの重量を調整するゴルフクラブの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブの多くは、ゴルファーの体格や技量の違いを考慮することなく同じものが量産されている。この場合は、身長が高いゴルファーも低いゴルファーも同じゴルフクラブを使用することになる。
【0003】
クラブヘッドについては、ゴルファーの要求に対応して重心位置、重心高さ、重量、バランスを変えることによって打撃加重、打撃速度、打撃入角度を調整できるようにすることが提案されている。特許文献1には、ドライバータイプのゴルフクラブにおいて、クラブヘッドのソールには傾斜状部分を形成し、またインサート部は収容凹部が形成されており収容凹部におもり及びを嵌め込み取外し可能に固定し、複数の異種のおもりを組替えることによってヘッドの水平面及び垂直面内における重心の位置、重心の高さ、重量、バランスを調整可能とすることが記載されている。特許文献2や特許文献3には、重量調整部材によりクラブヘッドの重心を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-24149号公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3123825号
【特許文献3】特開2006-81862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の量産品のゴルフクラブは、需要者であるゴルファーの体格の違いなどが考慮されていない。標準的なゴルファーの体格や技量を想定して作られているので、そのようなゴルファーの場合は、良好に使用することが期待できる。しかし、ゴルフクラブは、ゴルファーの体格や技量により最適なものが異なる。特に、シャフトの長さは重要であり、ゴルファーの体格、つまり身長や腕の長さ、力の強さなどに合わせて、適切なものが選択されるべきである。
【0006】
高レベルのプロゴルファーの場合は、各自に合わせた特注のゴルフクラブが作られる場合がある。しかし、特注品である以上は、作成に手間と時間がかかり、高価にならざると得ないし、また、一般のアマチュアのゴルファーにとって入手性も良くない。
【0007】
特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載のゴルフクラブは、錘の付加によって、ヘッドの重心の調整を行うことができる。これらの発明において、シャフトやヘッドの本体も含めゴルフクラブはほぼ完成状態であり、その微妙なバランスの調整として実施されるものである。このような調整は、ゴルファーのクラブスイングの軌道、打撃フォームの違いによって必要となる微調整としては有効と思われる。そして、クラブヘッドに対するバランス調整はすでに行われている。この場合は、クラブヘッドに付加される重量は小さな範囲のものであり、最大でも2gあるいは3g程度までである。
【0008】
この発明は、ゴルファーに合ったシャフトを自由に選択でき、そのシャフトに合ったクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、この発明のクラブヘッドは、ヘッド本体部と、ヘッド本体部に形成されるめねじ部を有する3以上の調整錘取り付け部と、おねじ部を有し重さが異なる複数種類の調整錘と、を備え、調整錘を調整錘取り付け部に取り付けることによってヘッド本体部に重量を付加し、最も重い種類の錘を最大数取付けた場合の重量の付加分が21g以上32g以下であるアイアンタイプ用のクラブヘッドである。調整錘は最も軽いものから最も重いものまで一定の重量差によって備えられていることが好ましい。3つの調整錘取り付け部がバックフェースに設けられ、調整錘は重さにより2gと4gと6gと8gの4種類であり、それぞれの種類の調整錘は3個ずつ備えられることが好ましい。
【0010】
また、この発明のゴルフクラブは上述のクラブヘッドと、シャフトと、シャフトとクラブヘッドを接続するスリーブを有するアイアンタイプのゴルフクラブであり、
スリーブの一端部にはシャフトの下端部が挿入されるシャフト挿入孔が設けられ、
スリーブのシャフト挿入孔と反対側の端部にはクラブヘッドのホーゼル孔に挿入されるヘッド接続部が形成されており、
クラブヘッドのホーゼル孔の内壁面にはめねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部にはホーゼル孔のめねじに係合するおねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部のおねじとホーゼル孔のめねじは、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじである。
【0011】
さらに、この発明のゴルフクラブの調整方法は、上述のクラブヘッドと、長さ又は素材の異なる複数の種類のシャフトと、シャフトとクラブヘッドを接続するスリーブを使用するアイアンタイプのゴルフクラブの調整方法であり、
スリーブの一端部にはシャフトの下端部が挿入されるシャフト挿入孔が設けられ、
スリーブのシャフト挿入孔と反対側の端部にはクラブヘッドのホーゼル孔に挿入されるヘッド接続部が形成されており、
クラブヘッドのホーゼル孔の内壁面にはめねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部にはホーゼル孔のめねじに係合するおねじが形成され、
スリーブのヘッド接続部のおねじとホーゼル孔のめねじは、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじであり、
複数の種類のシャフトから選択された1本のシャフトを選択し、
選択されたシャフトの下端をスリーブのシャフト挿入孔に挿入して接着により接続し、
スリーブのヘッド接続部のおねじをホーゼル孔のめねじに係合し、
選択されたシャフトとヘッド本体部に対応して調整錘を選択し、
選択された調整錘をヘッド本体部の調整錘取り付け部に取り付けることによってシャフトに合ったクラブヘッドの重量を調整する。
【発明の効果】
【0012】
この発明により、ゴルファーの体格や特徴に合ったシャフトを自由に選択でき、そのシャフトに適合したクラブヘッドを提供できる。したがって、それぞれのゴルファーに適したゴルフクラブを容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ゴルフクラブの主要な構成を示す分解図である。
図2】クラブヘッドを示す正面部である。
図3】同右側面部である。
図4】調整錘を示す正面部である。
図5】同底面部である。
図6】スリーブを示す正面部である。
図7】シャフトとクラブヘッドの接続部分を示す断面部である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1はゴルフクラブの主要な構成を示す分解図であり、アイアンタイプの例である。ゴルフクラブ1は、シャフト2と、クラブヘッド3と、シャフト2とクラブヘッド3を連結するスリーブ4を有する。シャフト2とクラブヘッド3とスリーブ4はそれぞれ分離した部材として製造され、これらを組み合わせることによってゴルフクラブ1が組み立てられる。図1は、これらの部材が分離した状態を示している。
【0015】
図1においてクラブヘッド3は、打球面であるフェースとは反対側のバックフェースを手前側に表している。クラブヘッド3には調整錘取り付け部5が設けられており、この調整錘取り付け部5には調整錘6が取り付けられるようになっている。
【0016】
図2はクラブヘッドを示す正面部、図3は同右側面図である。この発明は主にアイアンタイプのゴルフクラブに適用するのに適しており、ここでもアイアンタイプ用のクラブヘッドを示している。本図においても、バックフェースが手前側に表れている。また、本図では、右利き用のクラブヘッドである。
【0017】
クラブヘッド本体部7はクラブヘッドの大部分を構成する部材である。その重さは、後述するシャフトのうち、最も長いものに対応して設定される。すなわち、調整錘6を全く取り付けない状態または最も軽い調整錘6を全て調整錘取り付け部5に取り付けた状態で、最も長いシャフトに適した重さになるように、あるいはそれよりも若干軽くなる程度に設定することが好ましい。
【0018】
クラブヘッド本体部7にはホーゼル部8が形成されており、その中にはホーゼル孔9が設けられ、スリーブ4を介してシャフト2と接続できるようになっている。ホーゼル孔9にはめねじ部10が形成されている。このめねじ部10は、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじであることが好ましい。本例は右利き用なので、逆ねじ、すなわち左ねじとなっている。
【0019】
クラブヘッド本体部7には3つ以上の調整錘取り付け部5が設けられている。調整錘取り付け部5は円柱状の窪み部5aを有し、さら窪み部5aの底の中心部には、窪み部5aと同心にめねじ部5bが形成されている。ここで、窪み部5aは直径が8.5mm以上9.5mm以下であることが好ましく、深さは4.5mm以上5.5mm以下であることが好ましい。また、めねじ部5bの形状は後述の調整錘6のおねじ部6bが螺着できるものであり、ねじ径が6.5mm以上7.5mm以下であることが好ましく、深さは3.5mm以上4.5mm以下であることが好ましい。このような寸法をとることにより、体積の大きい調整錘6を収納することができ、大きな重量を付加することが可能となる。本例では、窪み部5aは直径が9mm、深さは5mmであり、めねじ部5bはねじ径が7mmで、深さは4mmである。
【0020】
この調整錘取り付け部5はバックフェースに3つ設けることが好ましい。本例では、クラブヘッド本体部7の上部分には窪み部11が設けられて薄くなっており、下部分は厚く形成されている。そして、下部分の厚い箇所に3つの調整錘取り付け部5が設けられている。
【0021】
調整錘取り付け部5は4個あるいは5個設けても良い。ソール面やヒール部、あるいは先端のトウ部に設けても良く、これらの部分とバックフェース部の双方に設けても良い。本例では、トウ部にも同じ形状の調整錘取り付け部5を1個設け、バックフェース部の3個と合わせて合計4個としている。
【0022】
調整錘について説明する。図4は調整錘を示す正面部、図5は同底面部である。調整錘6はボルト状の部材であり、頭部6aとおねじ部6bを有する。頭部6aは調整錘取り付け部5の窪み5aに収まる円柱状の形状である。また、おねじ部6bは、調整錘取り付け部5のめねじ部5bに係合するようになっている。頭部6aの頂部中心にはレンチの先端が挿入できるレンチ挿入穴6cが設けられており、ここでは星形レンチに対応した星形の穴になっている。また、頭部上面には、錘の種類を示す識別表示を設けることが好ましい。例えば、「4」というように重さをグラム単位の数字で記載したり、あるいは種類毎に異なる色を付してもよい。
【0023】
調整錘6は、重さの異なる複数の種類が備えられる。また、それぞれの種類につき、調整錘取り付け部5の数と同じ個数を備えることが好ましい。この調整錘6を選択しながら調整錘取り付け部5に取り付けることによって、同じクラブヘッド本体部7であっても異なるシャフトに適合させることができる。シャフトが長くもの、あるいは剛性の低いものが選択されると、クラブヘッドはより重くする必要がある。その必要な付加重量分に対応する調整錘6を取り付けることによって、シャフトに適合したクラブヘッドを簡単に実現できる。
【0024】
調整錘6のうちで最も重いものは、最も短く、最も剛性の高いシャフトに対応して設定される。その場合の重量付加分を調整錘取り付け部5の個数で割った重量を基準に、調整錘6のうちで最も重いものの重さを設定する。例えば、最大の重量付加分が32gであれば、調整錘取り付け部5が4である場合、最大重さの調整錘6は8gとなる。
また、最も長く、最も剛性の低いシャフトに対しても全ての調整錘取り付け部5に最も軽い調整錘6を付けるように設定することもできる。例えば、調整錘取り付け部5が4個あって最も軽い調整錘6が2gの場合は、最も重い調整錘6を8gとすることによって最大付加重量を24gとすることができる。
【0025】
調整錘6の種類が多ければ、それだけ広範囲のシャフトに適合させることができる。しかし、種類が多過ぎると、調整錘の作成にかかるコストが大きくなり、また多数の調整錘を保管・管理する負担が増大する。
【0026】
最も重い種類の錘を最大数取付けた場合の重量の付加分が21g以上32g以下とすることによって、大多数のゴルファーに適合するシャフトを選択できるようになる。また、調整錘を一定の重さの差によって種類分けすることが好ましい。特に1g置きまたは2g置きにすることが特に好ましい。重さの違いは素材の比重の違いにより実現することが好ましい。例えば、最も軽いものはアルミニウム合金を使用し、最も重いものはタングステンを使用する。これによりどの種類の調整錘も概ね同じ形状にすることができる。
【0027】
第1の例として、2g、4g、6g、8gの調整錘をセットにする。これによって、0g(付加重量なし)から32gまでの付加重量を2g置きに選択することができ、2インチ以上の範囲の長さのシャフトに対してそれぞれに適合した重量を精密に調整することができる。
また、最も長いシャフトに対しても全ての調整錘取り付け部5に2gの調整錘を取付けてこれを基準状態とする場合は、最大の付加重量は24gであり、1,5インチ以上の範囲の長さのシャフトに適合させることができる。この場合でも、身長が150cm代から190cmまでの範囲のゴルファーに適合でき、女性から大柄な男性までほとんどのゴルファーに適したゴルフクラブを提供できる。
【0028】
第2の例として、2g、4g、6g、7gの調整錘をセットにする。これを調整錘取り付け部5が3個のクラブヘッド本体に使用する場合、最大の付加重量は21gとなる。7gの調整錘を含めることによって、6gから21gまでの間は1g置きの精度で調整ができるようになる。
【0029】
スリーブ4について説明する。図6はスリーブを示す正面部である。スリーブ4の中間部分は外径が一定の円柱状部12である。図6において上側に表れる第1端部側13には、円柱状部に続いて鍔状部14が形成されており、第1端部13から円柱状部12にかけて外径が大きくなるようなテーパになっている。鍔状部14の下端部で外径は最大になり、ホーゼル部8の上端部の外径とほぼ同じであり、円柱状部12よりも外側に張り出した形状である。この第1端部側には、シャフト4を挿入するためのシャフト挿入孔15が形成されている。このシャフト挿入孔15の内径は、シャフトの下端部の外径とほぼ同じである。
【0030】
また、図6において下側に表れる第2端部側16には、おねじ部17が形成されている。このおねじ部17はホーゼル孔のめねじ部10と同様に、右利き用クラブの場合は逆ねじであり、左利き用クラブの場合は正ねじであることが好ましい。本例は右利き用なので、逆ねじ、すなわち左ねじとなっている。
【0031】
ゴルフクラブの調整について説明する。ゴルファーに合ったシャフトとクラブヘッドを組み合わせて、それぞれのゴルファーに適したゴルフクラブを提供する。
【0032】
シャフト2は特製の異なる複数のものを揃えて置く。特に長さは重要である。アイアンタイプの場合、36インチ以上38インチ以下の長さのシャフトを揃えることによって、多くのゴルファーに適応できる。その間の長さのもの含めて複数のシャフトを揃える。また、弾性(剛性)の異なるシャフト2を備えてもよい。
【0033】
クラブヘッド本体部7は、それぞれのクラブについて原則として1種類でよい。例えば、7番アイアン用であれば、それに対応したクラブヘッド本体部を用意すればよい。ここで、そのクラブヘッド本体部7の重さは上述のシャフト2の中で最も長いものや剛性の低いものに適用するように設定されている。
【0034】
調整錘6は、選択できるシャフト2の中で最も短いものや最も剛性が高いものに適用できるように揃える。最も重い種類の錘を最大数取付けた場合の重量の付加分を21g以上32g以下とする。従って、調整錘取り付け部が3個または4個であれば、最も重い調整錘は7g又は8gであることが好ましい。
【0035】
さらに、最大の重さ以下の重さについても細かく設定できるように3~5種類の重さの調整錘を揃えることが好ましい。そして、重さが一定の差で変わるように選択することが、クラブヘッドの重さ調整を容易にするために好ましい。例えば、2g、4g、6g、8gの4種類の調整錘を揃えれば、調整錘取り付け部が3個の場合でも0~24gの範囲の付加重量を2g置きに設定することができる。
【0036】
以上、複数のシャフト2と、クラブヘッド本体部7と、複数の調整錘6と、さらにスリーブ5を用意することによって、ゴルフクラブ提供用キットが構成できる。
【0037】
ゴルフクラブを購入しようとするゴルファーに対して、身長や腕の長さ、力の強さや技量などを考慮して、揃えられたシャフト群の中から適切なシャフト2を選択する。そして、そのシャフト2とクラブヘッド本体部7をスリーブ4を介して連結する。シャフト2の下端部をシャフト挿入孔15に挿入し、接着剤により接着する。これによって、シャフト2とスリーブ3は一体的に接続される。
【0038】
さらに、スリーブ4の第2端部16をクラブヘッド本体部7のホーゼル孔9に挿入する。ホーゼル孔9の最奥部まで挿入したら、スリーブ4のおねじ部17をホーゼル孔9のめねじ部10に挿入する。こうして、スリーブ4とクラブヘッド本体部7はねじ止めによって簡単に連結できる。ここで、右利き用の場合、スリーブ4のおねじ17とホーゼル孔9のめねじ部10は、逆ねじ、すなわち左ねじになっているので、正ねじとは逆方向の回転で連結する。右利き用のゴルフクラブの場合、打球のときにクラブヘッドは上から見てシャフトに対して時計回りに回転しようとする力が働く。通常の右ネジであれば、この力はクラブヘッド3とスリーブ4のねじ止めを緩めるように作用する。しかし、本例のように逆ねじにすることによって、打球時の力はねじ止めをさらに強めるように作用する。なお、左利き用の場合は、クラブヘッド3の形状もシャフト4との連結の状態も左右対称となるので、打球時にはクラブヘッド3は反時計回りに回転しようとする。そこで、左利き用のクラブの場合は、正ねじ、すなわち右ねじにする。
【0039】
調整錘取り付け部5に調整錘6を取付ける。より短いシャフトやより剛性の高い(硬い)シャフトに対しては、より大きな重さを付加するように取り付ける。調整錘6はねじ止めにより簡単に行うことができる。本発明では、調整錘6の取り付けによる最大の付加重量を大きく設定しているので、広範囲の種類のシャフト2に対して、適切な重さを調整することができる。付加される重量は、主に選択されたシャフト2の長さや弾性に基いて設定されるが、さらに利用者であるゴルファーの力や技量、好みなども考慮して調整することができる。
【0040】
また、同じ付加重量であっても、調整錘6の種類の選択や取り付ける位置によって微妙なバランスを選択することもできる。例えば6gを付加する場合には2gの調整錘6を3個使用し、3つの調整錘取り付け部5に全て取り付けることによってクラブヘッド全体に平均的に重量を付加することができ、また、1個の6gの調整錘6を使用し、3つの調整錘取り付け部5のいずれかを選択して好みのバランスに調整することもできる。
【0041】
調整錘6はねじ止めにより装着するので、着脱は自在である。ゴルファーに試し打ちしてもらいながら、最適な調整を容易に行うことができる。また、ゴルファーの体力の変化や技量の向上などに合せて、後日、再調整することも容易にできる。
【0042】
シャフト2とクラブヘッドはスリーブ4を介して着脱可能となっているため、シャフト2とクラブヘッド本体部7の組み合わせを変えることによっても様々なゴルフクラブを自由に提供できる。また、シャフト2とクラブヘッド3のいずれかを破損した場合や技術の向上等により合わなくなった場合も、一方のみを新たなものに交換することができ、ゴルフクラブ全体を買い替える必要がなく、無駄が生じない。
【符号の説明】
【0043】
1.ゴルフクラブ
2.シャフト
3.クラブヘッド
4.スリーブ
5.調整錘取り付け部
6.調整錘
7.クラブヘッド本体部
8.ホーゼル部
9.ホーゼル孔
10.めねじ部
11.窪み部
12.円柱部
13.第1端部
14.鍔状部
15.シャフト挿入孔
16.第2端部
17.おねじ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7