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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151711
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20241018BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F22B35/00 Z
F24C1/00 320B
F22B1/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065289
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】矢野 寛
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA05
3L021BA08
3L021DA08
3L021DA38
3L021FA11
(57)【要約】
【課題】蒸気発生装置が短時間で十分な量の蒸気を発生させることができるようにする。
【解決手段】蒸気発生装置30は、内部に供給される水から蒸気を発生させる蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内にて上下に多段状に設けられて蒸気発生容器31内の水を加熱する複数の電気式のヒータ41~43と、蒸気発生容器31内に水を供給する給水部60とを備え、複数のヒータ41~43は互いに独立して通電制御されるものであり、給水部60の水の供給状態に応じて複数のヒータ41~43の各々の通電を制御した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に供給される水から蒸気を発生させる蒸気発生容器と、
前記蒸気発生容器内にて上下に多段状に設けられて前記蒸気発生容器内の水を加熱する複数の電気式のヒータと、
前記蒸気発生容器内に水を供給する給水部とを備えた蒸気発生装置であって、
前記複数のヒータは互いに独立して通電制御されるものであり、
前記給水部の水の供給状態に応じて前記複数のヒータの各々の通電を制御したこと特徴とする蒸気発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気発生装置において、
前記給水部は前記蒸気発生容器の下部から水を供給する下部給水部と、前記蒸気発生容器内の最上段に配置されるヒータに水を吹き付ける上部給水部とを備えたことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気発生装置において、
前記最上段に配置されるヒータを通電させるとともに、前記上部給水部により前記最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるように制御したことを特徴する蒸気発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蒸気発生装置において、
前記蒸気発生容器内にて各々のヒータが浸漬される位置の水の温度を検知する複数の温度センサと、
前記蒸気発生容器内にて各々のヒータが浸漬される複数の水位を検知する水位検知手段を備え、
前記上部給水部により前記最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるとともに、
前記下部給水部から前記蒸気発生容器内に水を供給開始するようにし、
前記水位検知手段により浸漬されたことが検知されているヒータに通電させて前記蒸気発生容器に貯まる水を加熱するようにしつつ、前記水位検知手段により浸漬されたことが検知されているヒータに対応する温度センサによる検出温度が所定の保温温度以下とならない条件下で前記下部給水部から水を供給するように制御したことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項5】
請求項2に記載の蒸気発生装置において、
前記蒸気発生容器内で蒸気を発生させるようにしていないときに、前記最上段のヒータを通電させることなく前記上部給水部から水を吹き付けるように制御したことを特徴とする蒸気発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の加熱調理器に用いられる蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱風または過熱水蒸気により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を循環させる循環ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。この加熱調理器においては、調理庫内の空気はヒータと循環ファンとの作動によって熱風となって循環するとともに、循環する熱風には蒸気発生装置の作動による蒸気を蒸気加熱ヒータによって加熱して生成された過熱水蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は過熱蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
この加熱調理器に用いられる蒸気発生装置は、水溜部を有する蒸気発生部と、水溜部に供給する水が入った給水タンクと、水溜部に貯まった水を加熱して蒸気を発生させる水加熱ヒータと、蒸気発生部の水溜部に溜まった水に浮かべられたフロートとを備えている。水加熱ヒータはシーズヒータを渦巻状に巻いたものであり、蒸気発生部の水溜部の水は水加熱ヒータに通電させることによって加熱されて蒸気となり、蒸気はさらに蒸気加熱ヒータによって加熱されて過熱蒸気となって調理庫に送出される。
【0004】
特許文献2には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータと対流ファンと蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備えている。この加熱調理器においては、調理庫内の空気はヒータと対流ファンとの作動によって熱風となって対流するとともに、対流する熱風には蒸気発生装置の作動によって蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0005】
この加熱調理器に用いられる蒸気発生装置は、内部に所定量の水を貯える蒸気発生容器と、蒸気発生容器内の水を加熱する導電性部材よりなる加熱体と、蒸気発生容器の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイルと、蒸気発生容器内で発生した蒸気を調理庫に送出する蒸気送出筒とを備えている。蒸気発生容器内の加熱体は誘導加熱コイルに高周波電流を供給したときに発生する磁界の影響により渦電流が流れて発熱し、蒸気発生容器内の水は発熱する加熱体によって加熱されて蒸気となって調理庫内に送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-032120号公報
【特許文献2】特開2010-121803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で用いられている蒸気発生装置は、蒸気発生部の水溜部内に水加熱ヒータを設けるようにして、水溜部内の水を水加熱ヒータにより加熱するようにしている。この種の電気式のヒータは熱流束が高くなく、大型の調理庫内に十分な蒸気を供給するようにしたときには、ヒータの発熱部分を水に浸漬させるために水溜部を含めた蒸気発生部が大きくなり、蒸気発生装置が大型化することになる。さらに、水溜部の水量が多くなるため、水溜部の水を蒸気とするまでに要する時間も長くなる。特許文献2で用いられている蒸気発生装置は、蒸気発生容器内に導電性部材よりなる加熱体を設け、誘導加熱によって蒸気発生容器内の加熱体を発熱させて水を加熱している。誘導加熱によって発熱させる加熱体は熱流束が高く、大型の調理庫内に十分な蒸気を供給するようにしたときでも、蒸気発生容器が大型化するのを防ぐことができるが、誘導加熱コイルに高周波電流を供給する高周波電流の電源等の製造コストが高くなる問題がある。本発明は、製造コストが高くならないようにしつつ、短時間で十分な量の蒸気を発生させることができる蒸気発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、内部に供給される水から蒸気を発生させる蒸気発生容器と、蒸気発生容器内にて上下に多段状に設けられて蒸気発生容器内の水を加熱する複数の電気式のヒータと、蒸気発生容器内に水を供給する給水部とを備えた蒸気発生装置であって、複数のヒータは互いに独立して通電制御されるものであり、給水部の水の供給状態に応じて複数のヒータの各々の通電を制御したこと特徴とする蒸気発生装置を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した蒸気発生装置においては、複数のヒータは互いに独立して通電制御されるものであり、給水部の水の供給状態に応じて複数のヒータの各々の通電を制御したものである。給水部から供給される水の供給状態、すなわち、蒸気発生容器内の水の量が少ないときには、蒸気発生容器内で水に浸漬されているヒータのみに通電させるように制御することで、蒸気発生容器内の水量が少ないときから水を加熱することができ、蒸気発生容器内の水量が増えるのに応じて通電させるヒータを増やすことができ、蒸気発生容器内に全てのヒータが浸漬し終えてから通電開始させるよりも、蒸気発生容器内の水を早く沸騰可能な温度または短時間で沸騰可能な温度まで上昇させることができる。
【0010】
上記のように構成した蒸気発生装置においては、給水部は蒸気発生容器の下部から水を供給する下部給水部と、蒸気発生容器内の最上段に配置されるヒータに水を吹き付ける上部給水部とを備えるようにしてもよい。下部給水部から蒸気発生容器内に水を供給することで、蒸気発生容器内の上部の湯の温度を低下させにくくすることができる。上部給水部から蒸気発生容器内にて通電させている最上段のヒータに水を吹き付けることで、蒸気発生容器内の上部で最上段のヒータから直接的に蒸気を発生させたり、最上段のヒータに通電させてない状態で上部給水部から蒸気発生容器内に水を吹き付けることで、蒸気発生容器内の上部で蒸気の発生を抑制することができる。このように、蒸気発生容器内で多様な方法で蒸気を発生させたり、蒸気の発生を抑制することができる。
【0011】
上記のように構成した蒸気発生装置においては、最上段に配置されるヒータを通電させるとともに、上部給水部により最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるように制御してもよい。このようにしたときには、上部給水部により最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させることにより、蒸気発生容器内に水を貯えるようにし、蒸気発生容器内で貯えられた水から蒸気を発生させるよりも短時間に蒸気を発生させることができ、短時間で蒸気を供給することができるようになる。
【0012】
この場合に、蒸気発生容器内にて各々のヒータが浸漬される位置の水の温度を検知する複数の温度センサと、蒸気発生容器内にて各々のヒータが浸漬される複数の水位を検知する水位検知手段を備え、上部給水部により最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるとともに、下部給水部から蒸気発生容器内に水を供給開始するようにし、水位検知手段により浸漬されたことが検知されているヒータに通電させて蒸気発生容器に貯まる水を加熱するようにしつつ、水位検知手段により浸漬されたことが検知されているヒータに対応する温度センサによる検出温度が所定の保温温度以下とならない条件下で下部給水部から水を供給するように制御するのが好ましい。上部給水部により最上段に配置されるヒータに水を吹き付けるようにして蒸気を発生させながら、下部給水部から蒸気発生容器内に水を供給するようにしているので、最上段のヒータから蒸気を発生させつつ蒸気発生容器内に水を貯えることができる。このとき、水位検知手段により浸漬されたことが検知されているヒータに対応する温度センサによる検出温度が所定の保温温度以下とならない条件下で下部給水部から水を供給するように制御しているので、蒸気発生容器内に水を保温温度に保ちながら供給するようにしているので、蒸気発生容器内の温度が低下しないようにして、蒸気発生容器の上部で発生させる蒸気に影響を与えないようにすることができる。
【0013】
給水部は蒸気発生容器の下部から水を供給する下部給水部と、蒸気発生容器内の最上段に配置されるヒータに水を吹き付ける上部給水部とを備えるようにした蒸気発生装置においては、蒸気発生容器内で蒸気を発生させるようにしていないときに、最上段のヒータを通電させることなく上部給水部から水を吹き付けるように制御するのが好ましい。蒸気発生容器で蒸気を発生させるようにしていないときでも、蒸気発生容器内から意図せずに蒸気が発生するおそれがあるが、最上段のヒータを通電させることなく上部給水部から水を吹き付けるように制御することで、蒸気発生容器内に意図せずに発生した蒸気の温度を下げて、蒸気発生容器から蒸気を発生させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の蒸気発生装置を用いた加熱調理器の概略図である。
図2】蒸気発生装置の概略図である。
図3】制御装置のブロック図である。
図4】蒸気発生装置で通常の蒸気発生運転を実行しているときの概略図である。
図5】蒸気発生装置で急速蒸気発生運転を実行開始したときの概略図である。
図6】蒸気発生装置で急速蒸気発生運転を実行開始後に最下段のヒータまで給水したときの概略図である。
図7】蒸気発生装置で急速蒸気発生運転を実行開始後に下から2段目のヒータまで給水したときの概略図である。
図8】蒸気発生装置で急速蒸気発生運転を実行開始後に蒸気発生容器内が満水となるまで給水したときの概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の蒸気発生装置の一実施形態を用いた加熱調理器を添付図面を参照して説明する。本発明の蒸気発生装置が用いられる加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部を機械室12とし、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20を備えている。調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部(図示省略)が設けられており、開口部には扉(図示省略)が開閉自在に設けられている。
【0016】
図1に示したように、調理庫20は、食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23は熱風生成室22に配設された対流ファン25の吸込口側を覆うファンカバーの機能を有している。仕切板23には多数の吸込口(図示省略)が形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口を通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられている。仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路(図示省略)が形成されており、熱風生成室22の空気は通風路を通って食材収容室21に送られる。
【0017】
図1に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ24と対流ファン25が設けられている。ヒータ24は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン25は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ24の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン25は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。調理庫20の左側壁には温度センサ26が設けられており、温度センサ26は調理庫20内の温度を検出する。
【0018】
対流ファン25を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口を通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路を通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ24とともに対流ファン25を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン25の外側に配置されるヒータ24に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路を通って食材収容室21に戻される。
【0019】
図1に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられており、蒸気発生装置30は機械室12の後部に設けた排水タンク13の上側に立設している。図2に示したように、蒸気発生装置30は、内部に供給される水から蒸気を発生させる蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内にて上下に多段状に設けられた電気式の3つ(複数)のヒータ41~43と、蒸気発生容器31にて上下に多段状に設けられた3つの温度センサ44~46と、蒸気発生容器31内の水位を検知する水位検知手段50と、蒸気発生容器31内に水を供給する給水部60と、蒸気発生容器31内から水を排出する排水弁33とを備えている。
【0020】
蒸気発生容器31は、内部に水を貯水可能な上下方向に延びる縦長の筒形状をしている。蒸気発生容器31の上端部には蒸気を送出する開口部31aが形成されており、開口部31aには蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20内に送出する蒸気送出部32が設けられている。蒸気送出部32が蒸気発生容器31と同様に筒形状をしており、蒸気送出部32の先端部は調理庫20の蒸気の導入口に接続されている。蒸気発生容器31の下部には径が細く形成された縮径部31bが設けられており、縮径部31bの下端部には水を排水する排水口31cが形成されている。縮径部31bには排水弁33が介装されており、蒸気発生容器31内の水は排水弁33を開放することによって排水口31cから排水される。
【0021】
蒸気発生容器31内には第1~第3のヒータ41~43が設けられており、第1~第3のヒータ41~43は蒸気発生容器31内で上下に多段状に配置されている。第1~第3のヒータ41~43は各々の通電が独立して制御可能となっている。第1~第3のヒータ41~43は、蒸気発生容器31内に貯えられた水を加熱するものであり、蒸気発生容器31内で水中に浸漬された状態で蒸気発生容器31内の水を加熱して蒸気を発生させるのに用いられる。また、最上段の第1のヒータ41は、蒸気発生容器31内で水中に浸漬された状態で蒸気発生容器31内の水を加熱して蒸気を発生させるのに用いられるだけでなく、蒸気発生容器31内で水中に浸漬されていない状態で吹き付けられた水から蒸気を発生させるのにも用いられている。最下段の第3のヒータ43は、蒸気発生容器31内で水中に浸漬された状態で蒸気発生容器31内の水(湯)の液面から蒸気を発生させない程度に水を加熱して保温するのにも用いられる。
【0022】
蒸気発生容器31内には上下に多段状に設けた第1~第3のヒータ41~43に対応して3つの第1~第3の温度センサ44~46を備えている。最上段の第1の温度センサ44は、最上段の第1のヒータ41が浸漬される位置に配置されており、蒸気発生容器31内にて最上段の第1のヒータ41が浸漬される位置の水(湯)の温度を検出可能としている。上側から2段目(下側から2段目)の第2の温度センサ45は、上側から2段目(下側から2段目)の第2のヒータ42が浸漬される位置に配置されており、蒸気発生容器31内にて上側から2段目(下側から2段目)の第2のヒータ42が浸漬される位置の水(湯)の温度を検出可能としている。最下段の第3の温度センサ46は、最下段の第3のヒータ43が浸漬される位置に配置されており、蒸気発生容器31内にて最下段の第3のヒータ43が浸漬される位置の水(湯)の温度を検出可能としている。
【0023】
蒸気発生装置30は、蒸気発生容器31内の水位を検知する水位検知手段50を備えており、水位検知手段50は、上下に多段状に設けた第1~第3のヒータ41~43が浸漬される位置の下限の水位を検出する3つの第1~第3の水位センサ51~53と、蒸気発生容器31内にて満水位置の水位を検出する第4の水位センサ54とが上下に多段状に設けられている。
【0024】
この実施形態では、第1~第3の水位センサ51~53により蒸気発生容器31内にて第1~第3のヒータ41~43の各々が浸漬される高さ位置の水位を検出するようにしているが、第1~第3の温度センサ44~46により蒸気発生容器31内にて第1~第3のヒータ41~43の各々が浸漬される高さ位置の水位を検知することもできる。最下段の第3の温度センサ46の検出温度が水中(または湯中)にあるときに対応した温度となると、最下段の第3のヒータ43が浸漬する高さ位置の水位となったことが検知される。上から2段目と最下段の第2及び第3の温度センサ45,46の検出温度が水中(または湯中)にあるときに対応した温度となると、上から2段目の第2のヒータ42が浸漬する高さ位置の水位となったことが検知される。第1~第3の温度センサ44~46の検出温度が水中(または湯中)にあるときに対応した温度となると、最上段の第1のヒータ41が浸漬する高さ位置の水位となったことが検知される。
【0025】
蒸気発生装置30は蒸気発生容器31内に水を供給する給水部60を備えており、給水部60は蒸気発生容器31の下部から水を供給する下部給水部61と、蒸気発生容器31内の最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付ける上部給水部65とを備えている。下部給水部61は、蒸気発生容器31に隣接する位置に立設して蒸気発生容器31の下部に連通される給水筒体部62と、水道等の給水源から導出されて給水筒体部62の上端開口から水を供給する第1の給水管63と、第1の給水管63に介装された第1の給水弁64とを備えている。給水源の水は第1の給水弁64を開放することによって第1の給水管63から給水筒体部62内に供給され、給水筒体部62に供給された水は給水筒体部62の下部から蒸気発生容器31内の下部に流入する。給水筒体部62は蒸気発生容器31と同様に大気開放されているので、給水筒体部62の水位は蒸気発生容器31の水位と同じ水位となる。
【0026】
上部給水部65は、水道等の給水源から導出されて蒸気発生容器31の上部に水を供給する第2の給水管66と、第2の給水管66に介装された第2の給水弁67と、第2の給水管66の導出端部に設けたノズル68とを備えている。ノズル68は、蒸気発生容器31の上部にて水を最上段に配置される第1のヒータ41に霧状(シャワー状)に吹き付けるものであり、最上段の第1のヒータ41の上側に配置されている。給水源の水は第2の給水弁67を開放することによって第2の給水管66を通ってノズル68から最上段の第1のヒータ41に吹き付けられる。上部給水部65は、蒸気発生容器31に最上段の第1のヒータ41よりも低い水位となっているときに、蒸気発生容器31内で通電させて加熱した最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして短時間で蒸気を発生させるのに用いることができる。さらに、上部給水部65は、蒸気発生容器31内で通電させていないときに最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして、蒸気発生容器31内で意図せずに発生した蒸気の温度を下げて、蒸気発生容器31内から蒸気を発生させないようにすることができる。
【0027】
図3に示したように、加熱調理器10は制御装置70を備えており、制御装置70は、ヒータ24、対流ファン25、温度センサ26、蒸気発生装置30に接続され、特に、蒸気発生装置30では、排水弁33,第1~第3のヒータ41~43、第1~第3の温度センサ44~46、水位検知手段50としての第1~第4の水位センサ51~54、第1の給水弁64、第2の給水弁67に接続さている。制御装置70は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0028】
制御装置70は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するときの3つのモードが設定されており、3つのモードは、ホットエアモードとスチームモードとコンビモードとから構成されている。ホットエアモードは、ヒータ24と対流ファン25を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するモードである。スチームモードは、対流ファン25と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するモードである。コンビモードは、ヒータ24と対流ファン25と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するモードである。ROMには、食材の調理に応じてこれらのモードの少なくとも1つを用いた調理プログラムが設定されている。ROMには調理プログラムで実行される各モードを実行時の調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムで実行される各モードの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0029】
調理プログラムでホットエアモードを実行したときには、ヒータ24と対流ファン25との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。調理プログラムでスチームモードを実行したときには、対流ファン25と蒸気発生装置30との作動により、調理庫20内の空気は蒸気を含んだ熱風となって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。調理プログラムでコンビモードを実行したときには、ヒータ24と対流ファン25との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0030】
調理プログラムにてスチームモードまたはコンビモードを実行して、蒸気発生装置30から調理庫20内に蒸気を供給するときの蒸気発生運転について説明する。調理庫20内を予め設定した調理温度まで加熱する予熱処理を実行するときのように、蒸気発生容器31内の水(湯)を蒸気を発生可能な温度まで加熱するための十分な時間があるときには、通常の蒸気発生運転を実行する。通常の蒸気発生運転では、第1の給水弁64を開放させることで下部給水部61から蒸気発生容器31内に水を供給し、第1~第3の水位センサ51~53により浸漬されたことが検知された第1~第3のヒータ41~43に通電させて蒸気発生容器31内の水(湯)を加熱する。第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内に水が満水であることが検知されると、第1の給水弁64が閉止されて蒸気発生容器31内の給水が終了する。蒸気発生容器31内の水(湯)は第1~第3のヒータ41~43により加熱されて温度が上昇し、スチームモードまたはコンビモードが開始される前であれば、蒸気発生容器31内から蒸気を短時間で発生できる保温温度(この実施形態では一例として95℃としている)となるように、第1~第3の温度センサ44~46の各々の検出温度に基づいて第1~第3のヒータ41~43の通電が制御される。
【0031】
図4に示したように、スチームモードまたはコンビモードを実行開始するタイミングになると、第1~第3のヒータ41~43が常時通電させるように制御される。蒸気発生容器31内の水(湯)は第1~第3のヒータ41~43により加熱されて水面(湯面)から蒸気が発生し、発生した蒸気は蒸気送出部32から調理庫20に送出される。蒸気発生容器31内の水(湯)は蒸気の発生によって減少し、第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の水が満水状態であることが検知されなくなると第1の給水弁64が開放され、蒸気発生容器31内に水(湯)が満水の状態が維持される。蒸気発生容器31内で蒸気を発生させているときには、第1の給水弁64を開放させることで下部給水部61から蒸気発生容器31内の下部に水が供給されるので、蒸気発生容器31内の上部の水(湯)の温度が低下しにくく、蒸気発生容器31内の上部で発生する蒸気が供給される水による影響を受けにくい。
【0032】
上述したように、通常の蒸気発生運転を実行したときには、蒸気発生容器31内に貯えた水(湯)を第1~第3のヒータ41~43により加熱して蒸気を発生させることで、蒸気発生容器31から多量の蒸気を発生させることができるものの、蒸気発生容器31内の水(湯)を蒸気を発生可能な温度まで短時間で加熱することができない。調理庫20内を予め設定した調理温度まで加熱する予熱処理を実行するときのように、蒸気発生容器31の水を蒸気を発生可能な温度まで加熱する時間が十分にあれば、スチームモードまたはコンビモードを実行するまでに蒸気発生容器31内の水(湯)を蒸気を発生可能な温度まで加熱することができる。しかし、調理プログラムにてスチームモードまたはコンビモードの開始時から蒸気を早急に必要とするときに、蒸気発生容器31内の水(湯)を蒸気を発生可能な温度まで加熱することができず、蒸気発生容器31内から早急に蒸気を発生させることができない。
【0033】
これに対し、予め蒸気発生容器31内で水(湯)を蒸気を発生可能な温度まで加熱することができずに、スチームモードまたはコンビモードの開始時から蒸気を早急に必要とするときには、図5に示したように、急速蒸気発生運転を実行して、最上段の第1のヒータ41に通電させるように制御しつつ、第2の給水弁67を開放してノズル68から通電させている最上段の第1のヒータ41に水を吹き付ける。ノズル68から最上段の第1のヒータ41に吹き付けられた水は直ぐに蒸発して蒸気となり、最上段の第1のヒータ41によって加熱されて発生した蒸気は蒸気送出部32から調理庫20内に送出される。このように、蒸気発生容器31内に貯えた水から蒸気を発生させることなく、通電させている最上段の第1のヒータ41にノズル68から水を吹き付けるようにして蒸気を発生させているので、蒸気発生容器31から短時間で蒸気を発生させることができる。なお、第2の給水弁67を間欠的(断続的)に開放するように制御することで、最上段の第1のヒータ41の温度が低下するのを防ぐことができる。
【0034】
また、通電させている最上段の第1のヒータ41にノズル68から水を吹き付けるようにして蒸気を発生させているときに、蒸気発生容器31内に下部給水部61から給水処理を開始する。蒸気発生容器31内には、ノズル68から最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けたときに蒸発しなかった水が蒸気発生容器31の下部に少しずつ貯まるだけでなく、第1の給水弁64を開放させることで下部給水部61から蒸気発生容器31内に水が供給される。図6に示したように、最下段の第3の水位センサ53により最下段の第3のヒータ43が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように最下段の第3のヒータ43に通電させるように制御しつつ、最下段の第3の温度センサ46により保温温度以下とならない条件下で下部給水部61から蒸気発生容器31内に水を供給するように制御する。保温温度は、蒸気発生容器31内の湯が沸騰しない程度で直ぐに蒸気を発生させることができる温度が設定されている。この実施形態では、保温温度は、95℃に設定されているが、これに限られるものでなく80℃~97℃の範囲で設定したものであってもよい。
【0035】
蒸気発生容器31の下部に貯まった水は最下段の第3のヒータ43により加熱されて湯となり、最下段の第3の温度センサ46により保温温度より2℃高い温度として設定された上限温度となると、第1の給水弁64を開放することによって下部給水部61から蒸気発生容器31の下部に水を供給し、最下段の第3の温度センサ46により保温温度より2℃低い温度として設定された下限温度となると、第1の給水弁64を閉止することによって下部給水部61から蒸気発生容器31の下部への水の供給を停止するように制御される。
【0036】
蒸気発生容器31内の水位は、蒸気発生容器31内の水(湯)が保温温度以下とならない条件下で下部給水部61から供給される水によって徐々に上昇し、図7に示したように、下から2段目の第2の水位センサ52により下から2段目の第2のヒータ42が浸漬される水位を検出されると、最下段の第3のヒータ43に加えて下から2段目の第2のヒータ42に通電させるように制御する。蒸気発生容器31に貯まった水は最下段と下から2段目の第2及び第3のヒータ42,43により加熱され、下から2段目の第2の温度センサ45(または最下段の温度センサ46)により保温温度の上限温度(この実施形態では一例として97℃としている)となると、第1の給水弁64を開放することによって下部給水部61から蒸気発生容器31の下部に水を供給し、下から2段目の第2の温度センサ45(または最下段の温度センサ46)により保温温度の下限温度(この実施形態では一例として95℃としている)となると、第1の給水弁64を閉止することによって下部給水部61から蒸気発生容器31の下部への水の供給を停止する。
【0037】
蒸気発生容器31内の水位は、蒸気発生容器31内の水(湯)が保温温度以下とならない条件下で下部給水部61から供給される水によってさらに上昇し、第1の水位センサ51により最上段の第1のヒータ41が浸漬される水位を検出されると、第2の給水弁67を閉止させてノズル68から水を吹き付けないようにする。蒸気発生容器31内に貯えられた水(湯)は第1~第3のヒータ41~43によって加熱されて蒸気が発生するようになる。さらに、図8に示したように、第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内に水が満水であることが検知されると、第1の給水弁64が閉止されて蒸気発生容器31内の給水が終了する。蒸気発生容器31内の水位は蒸気の発生によって徐々に減少し、第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の水が満水状態であることが検知されなくなると第1の給水弁64が開放され、蒸気発生容器31内に水(湯)が満水の状態が維持される。
【0038】
このように、蒸気発生容器31から蒸気が発生可能となるまでは、通電させて加熱させた最上段の第1のヒータ41に上部給水部65のノズル68から吹き付けられる水から蒸気を発生さることで直ぐに蒸気を供給することができる。最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けて蒸気を発生させている間に、蒸気発生容器31内に下部給水部61から供給される水を加熱して蒸気を発生可能な状態としている。このように、蒸気発生容器31内に貯えられる水(湯)から蒸気を発生させることができるようになる前から最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けて蒸気を発生させることができ、最上段の第1のヒータ41に水を吹き付けて蒸気を発生させている間に蒸気発生容器31内に水(湯)を貯えるようにするとともに蒸気を供給可能または短時間で供給可能な温度まで加熱することができ、蒸気発生容器31内に水を供給開始するタイミングから継続して蒸気を発生させることができる。
【0039】
また、ホットエアモードを実行するときには、調理庫20内に蒸気を供給する必要がないものの、ホットエアモードの実行後にスチームモードまたはコンビモードを実行する予定があるときには、ホットエアモードの実行中に蒸気発生容器31内で水(湯)を短時間で蒸気を発生可能な温度に保温する必要がある。しかし、ホットエアモードの実行中は、調理庫20内に蒸気が流入するのが好ましくないので、蒸気発生容器31で蒸気を発生させないように水(湯)を貯えて短時間で蒸気を発生可能な温度で保温する。蒸気発生容器31内に給水するときには、始めに最上段の第1のヒータ41を通電させることなく上部給水部65から水を吹き付けるようにする。蒸気発生容器31内に僅かに発生した蒸気はノズル68から吹き付けられた水によって温度が下げられ、蒸気発生容器31から蒸気を発生させないようにすることができる。
【0040】
上部給水部65のノズル68から水を吹き付けるようにした後で、第1の給水弁64を開放させることで下部給水部61から蒸気発生容器31内に水を供給する。最下段の第3の水位センサ53により最下段の第3のヒータ43が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度(この実施形態では一例として90℃としている)となるように最下段の第3のヒータ43に通電させる。最下段の第3のヒータ43は、最下段の第3の温度センサ46の検出温度に基づいて通電制御されており、最下段の第3の温度センサ46の検出温度が保温温度より2℃低い温度として設定された下限温度となると通電させ、最下段の温度センサ53の検出温度が保温温度より2℃高い温度として設定された上限温度となると通電を停止させるように制御される。
【0041】
蒸気発生容器31内の水位は、下部給水部61から供給される水によってさらに上昇し、下から2段目の第2の水位センサ52により下から2段目の第2のヒータ42が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように最下段の第3のヒータ43に加えて下から2段目の第2のヒータ42に通電させる。下から2段目の第2のヒータ42は、下から2段目の第2の温度センサ45の検出温度に基づいて通電制御されており、下から2段目の第2の温度センサ45の検出温度が保温温度の下限温度となると通電させ、下から2段目の第2の温度センサ45の検出温度が保温温度の上限温度となると通電を停止させるように制御される。
【0042】
蒸気発生容器31内の水位は、下部給水部61から供給される水によってさらに上昇し、最上段の第1の水位センサ51により最上段の第1のヒータ41が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように最下段と下から2段目の第2及び第3のヒータ42,43に加えて最上段の第1のヒータ41に通電させる。最上段の第1のヒータ41は、最上段の第1の温度センサ44の検出温度に基づいて通電制御されており、最上段の第1の温度センサ44の検出温度が保温温度の下限温度となると通電させ、最上段の第1の温度センサ44の検出温度が保温温度の上限温度となると通電を停止させるように制御される。
【0043】
蒸気発生容器31内の水位は、下部給水部61から供給される水によってさらに上昇し、第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の満水位置の水位を検出すると、第1の給水弁64を閉止させて下部給水部61からの給水を終了する。第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の満水位置の水位を検出すると、蒸気発生容器31内に対する給水を終了し、最下段の第3のヒータ43のみを用いて蒸気発生容器31内の水(湯)を保温する。すなわち、蒸気発生容器31内の給水を終了したときには、最下段の第3のヒータ43は最下段の第3の温度センサ46の検出温度に基づいて通電制御されており、最下段の第3の温度センサ46の検出温度が保温温度の下限温度となると通電させ、最下段の温度センサ46の検出温度が保温温度の上限温度となると通電を停止させるように制御される。蒸気発生容器31内の水(湯)は最下段の第3のヒータ43のみを用いて保温されているので、蒸気発生容器31内の上部は湯が沸き立たない程度で下部の温度よりも高く維持される。
【0044】
また、蒸気発生容器31内の水(湯)を最下段の第3のヒータ43を用いて保温しているときに、蒸気発生容器31内の水位は水が少しずつ蒸発することによって減少することがある。第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の満水位置の水位を検出しなくなったときには、第2の給水弁67を開放することで上部給水部65のノズル68から蒸気発生容器3の上部に水を吹き付けている。蒸気発生容器31内に僅かに発生した蒸気はノズル68から吹き付けられた水によって温度が下げられ、蒸気発生容器31から蒸気を発生させないようにすることができる。
【0045】
この蒸気発生装置30は、内部に供給される水から蒸気を発生させる蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内にて上下に多段状に設けられて蒸気発生容器31内の水を加熱する電気式の第1~第3のヒータ41~43と、蒸気発生容器31内に水を供給する給水部60とを備えている。第1~第3のヒータ41~43は互いに独立して通電制御されるものであり、給水部60の水の供給状態に応じて第1~第3のヒータ41~43の各々の通電を制御している。通常の蒸気発生運転や急速蒸気発生運転を実行するときに、給水部60から供給される水の供給状態、すなわち、蒸気発生容器31内の水の量が少ないときには、蒸気発生容器31内で水に浸漬されているヒータ(例えば最下段の第3のヒータ43)のみに通電させるように制御することで、蒸気発生容器31内の水量が少ないときから水を加熱することができ、蒸気発生容器31内の水量が増えるのに応じて通電させるヒータを増やすことができ、蒸気発生容器31内に全てのヒータ41~43が水に浸漬されてから通電開始させるよりも、蒸気発生容器31内の水を早く沸騰可能な温度または短時間で沸騰可能な温度まで上昇させることができる。
【0046】
この蒸気発生装置30においては、給水部60は蒸気発生容器31の下部から水を供給する下部給水部61と、蒸気発生容器31内の最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付ける上部給水部65とを備えている。下部給水部61から蒸気発生容器31内の下部に水を供給することで、蒸気発生容器31内の上部の水面から蒸気を発生させているときに、蒸気発生容器31内の上部の湯の温度を低下させにくくすることができる。また、蒸気発生容器31内にて最上段の第1のヒータ41に上部給水部65から水を吹き付けることで、蒸気発生容器31内の上部で最上段の第1のヒータ41から直接的に蒸気を発生させたり、最上段の第1のヒータ41に通電させていない状態で上部給水部65から蒸気発生容器31内に水を吹き付けることで、蒸気発生容器31内の上部で蒸気の発生を抑制することができる。このように、蒸気発生容器31内で多様な方法で蒸気を発生させたり、蒸気の発生を抑制することができる。
【0047】
この蒸気発生装置30においては、急速蒸気発生運転を実行したときに、最上段に配置される第1のヒータ41を通電させるとともに、上部給水部65により最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるように制御している。通常の蒸気発生運転のように、蒸気発生容器31内に貯えた水(湯)を加熱して蒸気を発生させるときよりも短時間で蒸気を発生させることができ、スチームモードまたはコンビモードの実行開始時に蒸気発生容器31内に貯えた水(湯)を蒸気を発生可能な温度に保温できていないときであっても、スチームモードまたはコンビモードを実行開始時に調理庫20内に蒸気を素早く供給することができる。
【0048】
また、急速蒸気発生運転を実行しているときには、上部給水部65により最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるとともに、下部給水部61から蒸気発生容器31内の下部に水を供給開始するようにしている。急速蒸気発生運転の実行時に、下部からの給水処理として下部給水部61から蒸気発生容器31内の下部に水を供給するときには、水位検知手段50としての第1~第3の水位センサ51~53により浸漬されたことが検知されているヒータに通電させて蒸気発生容器31に貯まる水を加熱するようにしつつ、水位検知手段50としての第1~第3の水位センサ51~53により浸漬されたことが検知されているヒータ41~43に対応する温度センサ44~46による検出温度が所定の保温温度(保温温度の下限温度)以下とならない条件下で下部給水部61から水を供給するように制御している。
【0049】
上部給水部65により最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして蒸気を発生させるようにしたときの下部からの給水処理では、下部給水部61の第1の給水弁64を開放させることで、第1の給水管63から給水筒体部62を通って蒸気発生容器31内に水が供給される。最下段の第3の水位センサ53により最下段の第3のヒータ43が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように最下段の第3のヒータ43に通電させるように制御しつつ、最下段の第3の温度センサ46により保温温度(保温温度の下限温度)以下とならない条件下で、下部給水部61の第1の給水弁64を開放させることにより蒸気発生容器31内に水を供給するように制御している。
【0050】
同様に、下から2段目の第2の水位センサ52により下から2段目の第2のヒータ42が浸漬される水位を検出されると、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように下から2段目と最下段の第2及び第3のヒータ42,43に通電させるように制御しつつ、下から2段目の第2の温度センサ45により保温温度(保温温度の下限温度)以下とならない条件下で、下部給水部61の第1の給水弁64を開放させることにより蒸気発生容器31内に水を供給するように制御している。また、最上段の第1の水位センサ51により最上段の第1のヒータ41が浸漬される水位を検出されると、第2の給水弁67を閉止させて上部給水部65から最上段の第1のヒータ41へ水を吹き付けるのを停止させるとともに、蒸気発生容器31内の湯が所定の保温温度となるように第1~第3のヒータ41~43に通電させるように制御しつつ、最上段の第1の温度センサ44により保温温度(保温温度の下限温度)以下とならない条件下で、下部給水部61の第1の給水弁64を開放させることにより蒸気発生容器31内に水を供給するように制御している。
【0051】
このように、蒸気発生容器31内の水を所定の保温温度以下とならない条件下で、下部給水部61の第1の給水弁64を開放させることにより蒸気発生容器31内に水を供給するように制御しているので、蒸気発生容器31内に貯えられた水(湯)から短時間で蒸気を供給可能な状態とすることができ、最上段に配置される第1のヒータ41に吹き付けた水から蒸気の発生を停止させた後で、短時間で蒸気発生容器31内に貯えられた水(湯)の液面から蒸気を発生させることができる。このように、蒸気発生容器31内に水(湯)を貯えるようにしているときには、上部給水部65により最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付けるようにして蒸気を発生させ、蒸気発生容器31内に水(湯)が貯えられた後では、蒸気発生容器31内に貯えられた水(湯)から蒸気を発生させることができるので、蒸気発生運転開始時の早期から連続して蒸気を供給することができる。また、第1~第3の水位検知センサ51~53により浸漬されたことが検知される第1~第3のヒータ41~43に対応する第1~第3の温度センサ44~46による検出温度が所定の保温温度以下とならない条件下で下部給水部61から水を供給するように制御しているので、蒸気発生容器31内の温度が低下しないようにすることができ、最上段の第1のヒータ41で蒸気を発生させるのに影響を与えないようにすることができる。
【0052】
この蒸気発生装置30においては、給水部60は蒸気発生容器31の下部から水を供給する下部給水部61と、蒸気発生容器31内の最上段に配置される第1のヒータ41に水を吹き付ける上部給水部65とを備えるようにしたものであり、ホットエアモードの実行時には蒸気発生容器31内から調理庫20内に意図せずに蒸気が流入するのは好ましくない。ホットエアモード終了後にスチームモードまたはコンビモードを実行するために、ホットエアモードの実行時に蒸気発生容器31の水(湯)から短時間で蒸気を発生可能な状態で保温するときのように、蒸気発生容器31内で蒸気を発生させるようにしていないときに、最上段に配置される第1のヒータ41を通電させることなく上部給水部65から蒸気発生容器31内に水を吹き付けるように制御している。具体的には、ホットエアモード実行時に、蒸気発生容器31内に水を供給開始するときに、最上段に配置される第1のヒータ41を通電させることなく上部給水部65から蒸気発生容器31内に水を吹き付けるように制御している。蒸気発生容器31内の温度は上部給水部65から吹き付けられる水によって低下し、蒸気発生容器31内に残る熱によって蒸気が発生させないようにすることができる。
【0053】
また、ホットエアモード実行時に、蒸気発生容器31内の水(湯)を保温温度(この実施形態では90℃)となるように加熱制御しているときに、第4の水位センサ54により蒸気発生容器31内の水(湯)が満水であることを検知していないときに、最上段に配置される第1のヒータ41を通電させることなく上部給水部65から蒸気発生容器31内に水を吹き付けるように制御している。蒸気発生容器31内の上部の温度は上部給水部65から吹き付けられる水により温度が低下し、蒸気発生容器31内の上部に残る熱によって蒸気が発生させないようにすることができる。
【0054】
上記のように構成した蒸気発生装置30においては、蒸気発生容器31内に3つの電気式のヒータ41~43を上下に多段状に設けるようにしているが、これに限られるものでなく、蒸気発生容器31内に2つの電気式ヒータまたは4つ以上の電気式ヒータを上下に多段状に設けるようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
30…蒸気発生装置、31…蒸気発生容器、41~43…ヒータ、44~46…温度センサ、50…水位検知手段、51~54…水位センサ、60…給水部、61…下部給水部、65…上部給水部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8