(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151715
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20241018BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065300
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】門田 宏哉
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA07
5B146DJ15
5B146EC09
(57)【要約】
【課題】互いに接続される構成部品モデル間の構成部品情報の整合性を好適に判別する。
【解決手段】情報処理装置は、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔及び第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔及び第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定する接続孔組合せ特定部と、第1の構成部品モデルと第2の構成部品モデルを被接続構成部品組合せとして特定し、被接続構成部品組合せが一致する1つ以上の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する接続孔グループ特定部と、接続孔組合せ及び接続孔グループの情報に基づき、接続孔情報から第1の構成部品モデル及び第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が第1の構成部品モデルと第2の構成部品モデルの間の整合を判別する整合性判別部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続孔の特徴を示す接続孔情報が付された前記接続孔が形成された複数の構成部品モデルを組み立てた組立3次元モデルの前記構成部品モデルの整合性を判別する情報処理装置であって、
前記組立3次元モデルを組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定する接続孔組合せ特定部と、
前記第1および第2の接続孔組合せを構成する前記第1の接続孔および前記第3の接続孔が形成された前記第1の構成部品モデルと前記第2の接続孔および前記第4の接続孔が形成された前記第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、前記被接続構成部品組合せが一致する前記第1の接続孔組合せおよび前記第2の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する接続孔グループ特定部と、
前記第1の接続孔組合せ、前記第2の接続孔組合せおよび前記接続孔グループの情報に基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する整合性判別部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記接続孔組合せ特定部は、前記第1の接続孔の中心軸と前記第2の接続孔の中心軸とが同一直線上にある場合に、前記第1の接続孔と前記第2の接続孔とを接続孔組合せとして特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記整合性判別部は、前記接続孔組合せ特定部が前記接続孔組合せを特定できない接続孔があった場合にエラーを出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記接続孔グループ特定部は、前記接続孔組合せに対して、前記第1の接続孔が形成された前記第1の構成部品モデルと前記第2の接続孔が形成された前記第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、前記第1の接続孔の種類と前記第2の接続孔の種類とを接続孔組合せ種類として特定し、前記被接続構成部品組合せおよび前記接続孔組合せ種類の両方が一致する1つ以上の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記整合性判別部は、それぞれの前記接続孔グループにおいて、被接続構成部品組合せを構成する互いの構成部品同士で、それぞれの接続孔間の寸法が同一であるか否かを判別する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記構成部品モデルは、前記構成部品モデル同士の接続に用いる接続部材を有し、
前記接続孔組合せ特定部は、互いに接続される前記接続部材の組合せを接続部材組合せとして特定し、前記接続部材組合せに基づいて前記接続孔組合せを特定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記接続孔組合せ特定部は、互いに接続される前記接続部材の組合せを接続部材組合せとして特定し、前記接続部材組合せに基づいて前記接続孔組合せを特定し、
前記接続孔グループ特定部は、前記接続部材組合せを構成する接続部材の種類を接続部材組合せ種類として特定し、前記被接続構成部品、前記接続孔組合せ種類、および接続部材組合せ種類の全てが一致する1つ以上の接続孔組合せを前記接続孔グループとして特定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記接続孔組合せ特定部は、前記接続部材に設けた中心軸が同一直線上に存在し、かつ、互いの前記中心軸の一部が重なるか否かによって前記接続孔組合せを特定する、
請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定し、
前記第1の接続孔組合せに基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定し、
前記第1の接続孔組合せに基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の構成部品に設けられた接続孔同士を接続することにより組み立てられる組立品がある。この組立品を製造するための3次元モデルの各構成部品モデルにおける接続孔の形状、位置等を示す接続孔の設計情報をチェックする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、接続孔の周辺の領域内に、ナット等の他の要素が存在する場合に、接続孔を貫通する仮想のボルトが他の要素と接続されるか否かによって、各構成部品モデルにおける接続孔の設計情報とその周辺の構成部材モデルとの整合性を判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接続孔を設計する際には、接続孔の形状、位置を決定するだけでなく、接続される互いの構成部品モデル上での各接続孔間の寸法を示す構成部品情報が設定される。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、各接続孔を1つずつ単体で接続孔の設計情報とその周辺の構成部材モデルとの整合性を判別するだけなので、接続される互いの構成部品モデルの構成部品情報同士の整合性を判別することはできない。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、接続される互いの構成部品モデルの構成部品情報同士の整合性を好適に判別することができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る情報処理装置は、接続孔の特徴を示す接続孔情報が付された接続孔が形成された複数の構成部品モデルを組み立てた組立3次元モデルの構成部品モデルの整合性を判別する情報処理装置であって、組立3次元モデルを組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定する接続孔組合せ特定部と、第1および第2の接続孔組合せを構成する第1の接続孔および第3の接続孔が形成された第1の構成部品モデルと第2の接続孔および前記第4の接続孔が形成された第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、被接続構成部品組合せが一致する第1の接続孔組合せおよび第2の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する接続孔グループ特定部と、第1の接続孔組合せ、第2の接続孔組合せおよび接続孔グループの情報に基づいて、接続孔情報から第1の構成部品モデルおよび第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が第1の構成部品モデルと第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する整合性判別部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、互いに接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せ、互いに接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定し、第1および第3の接続孔が形成された第1の構成部品モデルと第2および第4の接続孔が形成された第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、被接続構成部品組合せが一致する第1および第2の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する。さらに、第1の接続孔組合せ、第2の接続孔組合せおよび接続孔グループの情報に基づいて、接続孔情報から第1の構成部品モデルおよび第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が第1の構成部品モデルと第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する。従って、互いに接続される構成部品モデル間の構成部品情報の整合性を好適に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る組立3次元モデルの一例を示す斜視図
【
図2】実施の形態1に係る情報処理装置のブロック図
【
図3】実施の形態1に係る構成部品モデルの一例を示す平面図
【
図4】実施の形態1に係る他の構成部品モデルの一例を示す平面図
【
図5】実施の形態1に係るさらに他の構成部品モデルの一例を示す平面図
【
図6】実施の形態1に係る接続孔グループが記憶される形式の一例を示す図
【
図7】実施の形態1に係る整合性判別処理のフローチャート
【
図8】実施の形態2に係る組立3次元モデルの一例を示す斜視図
【
図9】実施の形態2に係る組立3次元モデルの一例を示す平面図
【
図10】実施の形態2に係る接続孔グループが記憶される形式の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る情報処理装置および情報処理方法について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一または等々の部分には同一の符号を付す。
【0011】
また、理解を容易にするために、直交座標系XYZを設定する。各図に示す直交座標系XYZでは、実施の形態1および2に係る組立3次元モデルの各構成部品モデルの厚さ方向をZ軸方向、各構成部品モデルの主面の長手方向をX軸方向、各構成部品モデルの主面の短手方向をY軸方向とする。以下、適宜、この座標系を引用して実施の形態1および2を説明する。
【0012】
[実施の形態1]
実施の形態1に係る情報処理装置は、例えば
図1に示すような組立3次元モデルP1を構成する各構成部品モデル100,200,300の後述する構成部品情報同士の整合性判別を行う。組立3次元モデルP1は、構成部品モデル100,200,300同様の形状の3つの構成部品の接続孔同士をボルト、ナット等で接続して組み立てられる組立品の設計用の3次元データである。情報処理装置は、組立3次元モデルP1を構成する各構成部品モデル100,200,300それぞれにおけるボルト孔、或いは位置決め用の孔等である接続孔の大きさ、各構成部品モデル上での互いの接続孔間の距離、互いの接続孔間の距離の寸法公差、接続孔の孔径の寸法公差等の構成部品情報の整合性を判別する。
【0013】
図2に示すように、情報処理装置1は、構成部品情報の整合性を判別する制御部10、各種プログラム、データ等を記憶する記憶部20、構成部品情報の整合性を判別する対象である組立3次元モデルP1のデータが入力される入力部30、構成部品情報の整合性の判別結果を出力する出力部40を備える。
【0014】
記憶部20は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成され、組立3次元モデルP1のデータを記憶するモデル記憶部21、接続孔組合せを記憶する接続孔組合せ記憶部22、接続孔グループデータGを記憶する接続孔グループ記憶部23を含む。ROMは、制御部10が実行するプログラム、プログラムを実行する上で予め必要なデータ等を記憶する。RAMは、プログラム実行中に作成される、或いは、変更されるデータを記憶する。
【0015】
モデル記憶部21は、入力部30から入力された組立3次元モデルP1のデータを記憶する。
【0016】
接続孔組合せ記憶部22は、後述する接続孔組合せ特定部11が特定した後述する互いに接続される接続孔の組合せである接続孔組合せを記憶する。
【0017】
接続孔グループ記憶部23は、後述する接続孔グループ特定部12が特定した接続孔グループデータGを記憶する。
図6に例示するように、接続孔グループデータGは、接続孔組合せ毎に、識別用の番号を振って、その接続孔が形成されている構成部品の組合せ、接続孔の直径および接続孔グループ名をまとめたものである。例えば、
図6において、番号1のデータは、接続孔組合せが、接続孔115と接続孔215、被接続構成部品組合せが、構成部品100と構成部品200、接続孔組合せ種類がいずれの接続孔も直径6mm、属する接続孔グループがG1である。
【0018】
入力部30には、組立3次元モデルP1のデータが入力され、モデル記憶部21に送信される。
【0019】
出力部40は、整合性判別部13が組立3次元モデルP1の構成部品情報の整合性の判定を行った結果を表示部50に出力してユーザに結果を報知する。
【0020】
表示部50は、例えば、液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)、LED(Light Emittig Diode)等で構成されている。表示部50には、入力された組立3次元モデルP1が表示される。また、表示部50には、組立3次元モデルP1の構成部品情報の整合性の判定を行った結果が表示される。
【0021】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部20に記憶されたプログラムを実行することにより、互いに接続される接続孔を抽出して1つの組合せにする接続孔組合せ特定部11、接続孔組合せから後述する接続孔グループを特定する接続孔グループ特定部12、構成部品情報の整合性を判別する整合性判別部13の機能を実現する。
【0022】
接続孔組合せ特定部11は、組立3次元モデルP1を構成する構成部品モデル100,200,300のそれぞれにおいて、直径6mm以下の円柱面の3次元モデル要素を接続孔として抽出する。これは、情報処理装置1は、構成部品モデル100,200,300を互いに接続する接続孔についての情報を構成部品情報の整合性判別の対象としており、後述するが、3次元モデルとしてのデータの無い他の部材との接続のために形成されている直径10mmの接続孔111-114を除外するためである。また、接続孔組合せ特定部11は、抽出した接続孔から接続孔組合せを特定する。接続孔組合せは、構成部品モデル100,200,300を組立3次元モデルP1に組み立てる際に、互いに接続される、2以上の構成部品に設けられた接続孔を、1つの組としたものである。具体的には、接続孔組合せ特定部11は、接続孔の円柱面の仮想の中心軸が同軸上にある接続孔同士を1つの接続孔組合せとして特定する。例えば、
図1に示すように、仮想の直線L1上にその中心軸を有する接続孔115と接続孔215とを接続孔組合せとする。なお、構成部品モデル100,200,300,…は、以下、構成部品100,200,300,…と記載する。
【0023】
接続孔グループ特定部12は、接続孔組合せ特定部11が特定した接続孔組合せを、1つ以上の接続孔グループに分類して特定する。接続孔グループは、接続孔組合せに含まれる接続孔を、その特徴毎又は特徴の組みあわせ毎に1つのグループにまとめたものである。なお、主な特徴は、構成部品の組み合わせである。グループ分けの第1の特徴を「構成部品」、第2の特徴を「穴径」とした場合のグループ分けの結果の例を
図6に示す。
図6の例では、番号1-3として示すように、構成部品100と構成部品200とを接続する接続孔組合せを接続孔グループG1とする。グループG1内の接続孔の径は6mmで共通であるので、グループG1は細分化されない。また、構成部品100と構成部品300とを接続する接続孔組合せを1つの接続孔グループとする。この接続孔グループをさらに複数の接続孔グループG2,G3に分ける。
【0024】
整合性判別部13は、各接続孔グループが、当該接続孔グループに属する接続孔についての構成部品情報が、構成部品間で整合しているか否かを判別する。例えば、組立3次元モデルP1では、
図3-
図5に示す構成部品100,200,300それぞれに付されている接続孔間の寸法のうち、互いの構成部品同士が接続される箇所において、接続される接続孔間の寸法のアノテーション、および接続孔の形状、位置が互いの構成部品間で整合、ここでは、一致しているか否かを判別する。例えば、
図3に示す構成部品100の接続孔115-117間に付された寸法D2,D3と、接続孔115-117に接続される、
図4に示す構成部品200の接続孔215-217間に付された寸法D22とD23とが整合しているか否か、即ち、一致しているか否かを判別する。なお、整合性判別部13は、接続孔組合せ特定部11が接続孔組合せを特定できない接続孔があった場合にエラーを出力する。なお、どのような場合に「整合している」と判断するかについては、予め定めておく。例えば、寸法の表現形式が一致し、且つ、中心と公差の数値、単位がそれぞれ一致している場合に、整合していると判別できる。
【0025】
上記構成を有する情報処理装置1によって構成部品情報の整合性を判別される組立3次元モデルP1は、
図1に例示するように、構成部品100,200,300の3つを組み立てたものである。なお、組立3次元モデルP1には、構成部品100,200,300を互いに接続するための接続部材は含まれない。
【0026】
図3に示すように、主面が角丸正方形の構成部品100には、接続孔111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123が形成されている。接続孔111,112,113,114は、構成部品200,300と組み立てられるためではなく、構成部品100-300以外の部品または製品等との接続のために設けられた、直径10mmの孔である。接続孔115,116,117は、構成部品200との接続のための直径6mmの孔である。接続孔118,119,120,121,122,123は、構成部品300との接続のための孔である。接続孔118,119,120,121は、直径6mmの孔であり、接続孔122,123は、直径3mmの孔である。また、構成部品100の各接続孔には、接続孔情報として寸法D1-D12が設定されている。なお、各寸法の単位はいずれもmmである。
【0027】
図4に示すように、主面が角丸長方形の構成部品200には、接続孔215,216,217が形成されている。接続孔215,216,217は、直径6mmの孔である。接続孔215,216,217は、それぞれ、接続孔115,116,117と接続され、締結部材を挿通されて締結される。また、構成部品200の各接続孔には、接続孔情報として寸法D21-D24が設定されている。
【0028】
図5に示すように、主面が角丸L字状の構成部品300には、接続孔318,319,320,321,322,323が形成されている。接続孔318,319,320,321,322,323は、それぞれ、接続孔118,119,120,121,122,123に接続される。接続孔318,319,320,321は、直径6mmの孔であり、接続孔322,323は、直径4mmの孔である。また、構成部品300の各接続孔には、接続孔情報として寸法D36-D38,D40-43が設定されている。
【0029】
続いて、
図7のフローチャートを用いて、情報処理装置1の整合性判別処理を、上記組立3次元モデルP1の構成部品100,200,300の構成部品情報の整合性を判別する処理を例に説明する。
【0030】
まず、接続孔組合せ特定部11は、構成部品100,200,300の構成要素に付与されている形状情報、位置情報、寸法情報等の属性情報に基づいて、構成部品100,200,300において、直径6mm以下の円柱面を接続孔として抽出する。接続孔組合せ特定部11は、構成部品100から直径6mm以下の円柱面である接続孔115,116,117,118,119,120,121,122,123を抽出する。また、構成部品200から直径6mm以下の円柱面である接続孔215,216,217を抽出し、構成部品300から直径6mm以下の円柱面である接続孔318,319,320,321,322,323を抽出する(ステップS11)。
【0031】
次に、接続孔組合せ特定部11は、
図1、
図3、
図4に示すように、構成部品100と構成部品200とが接続される場合、互いの接続孔の中心軸が直線L1上にある、構成部品100の接続孔115と構成部品200の接続孔215とを、1つの接続孔組合せとする。接続孔組合せを構成する接続孔には、実際の製品製造時に、構成部品接続用のボルト、位置決め用の部材等が挿通される。同様に、構成部品100の接続孔116と構成部品200の接続孔216と、構成部品100の接続孔117と構成部品200の接続孔217とを、接続孔組合せとして特定する。また、接続孔組合せ特定部11は、構成部品100の接続孔118と構成部品300の接続孔318と、構成部品100の接続孔119と構成部品300の接続孔319と、構成部品100の接続孔120と構成部品300の接続孔320と、構成部品100の接続孔121と構成部品300の接続孔321とを、接続孔組合せとして特定する。さらに、構成部品100の接続孔122と構成部品300の接続孔322と、構成部品100の接続孔123と構成部品300の接続孔323とを、接続孔組合せとして特定する(ステップS12)。
【0032】
接続孔グループ特定部12は、予め設定されている1または複数の特徴に基づいて、接続孔組合せを1又は複数のグループに分類する。ここでは、
図1、
図3、
図4を参照して、構成部品と穴径を特徴、即ち、キーとして、接続孔組合せを1又は複数のグループに分類するとする。この場合、接続孔グループ特定部12は、構成部品100と構成部品200とを接続する接続孔組合せである、接続孔115と接続孔215、接続孔116と接続孔216、接続孔117と接続孔217を、1つの接続孔グループG1とする。接続孔グループG1の構成部品情報の整合性が取れていることにより、構成部品100と構成部品200とが組み立て可能になるからである。また、同様に、
図1、
図3、
図5を参照して、構成部品100と構成部品300とを接続する接続孔組合せを1つの接続孔グループとする。さらに、構成部品100と構成部品300とを接続する接続孔の孔径の違いによって、接続孔グループG2,G3に分ける。孔径の違いにより、例えば公差が異なってくるためである。接続孔グループ特定の結果、
図6に例示するような接続孔グループデータGが生成され、接続孔グループ記憶部23に記憶される(ステップS13)。
【0033】
整合性判別部13は、まず、接続孔グループG1に関して構成部品情報の整合性の判別を行う。接続孔グループG1は、構成部品100と構成部品200とを接続する接続孔グループである。
図6に示すように、構成部品100の接続孔で接続孔グループG1に属する接続孔は、接続孔115-117である。接続孔115-117に付加された接続孔情報である寸法線は、
図3に示すように、寸法D1-D12である。このうち、寸法D1,D4,D5,D7については、接続孔間に付された寸法線では無いので、整合性判別の対象から除外する。これは、接続孔間の寸法以外の寸法線は、互いの構成部品間で比較できない場合も多く、また、組立3次元モデルP1を組み立てる際に整合性を求めても組立3次元モデルの組み立てには影響しない場合が多いからである。従って、寸法D2,D3,D6,D8-D12が整合性判別の対象となる。
【0034】
図3の寸法D2は、構成部品100において、
図6に示す番号1の接続孔と番号2の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品200において、これに対応する寸法は、
図4に示すように、寸法D22である。寸法D2と寸法D22は、ともに30mmと表記されて一致しているので、整合性判別部13は、番号1の接続孔と番号2の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していると判別する。なお、ここでは、理解を容易にするため、公差については、検討していない。寸法の表現形式、中心値と公差の数値全てが一致する場合に整合していると判別してもよい。
【0035】
同様に、
図3の寸法D3は、構成部品100において、
図6に示す番号1の接続孔と番号3の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品200において、これに対応する寸法は、
図4に示すように、寸法D23である。寸法D3と寸法D23は、ともに90mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号1の接続孔と番号3の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していると判別する。
【0036】
構成部品200において、寸法D21と寸法D24とが残っているが、上記した寸法D1,D4,D5,D7同様に接続孔間の寸法ではないので、判別の対象とはしない。以上で、接続孔グループG1に対する処理、構成部品100と構成部品200との構成部品情報の整合性の判別は終了する。
【0037】
次に、接続孔グループG2,G3に対する処理、構成部品100と構成部品300との構成部品情報の整合性の判別を行う。構成部品100の整合性判別の対象となっている寸法は、寸法D6,D8-D12が残っている。構成部品300に付されている寸法のうち、寸法D35,D37については、寸法D1,D4,D5,D7同様の理由で整合性判別の対象から除外する。構成部品300には、寸法D36,D38,D40,D41,D42,D43が残っている。
【0038】
図3の寸法D6は、構成部品100において、
図6に示す番号6の接続孔と番号8の接続孔との間のY軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、寸法D36である。寸法D6と寸法D36は、ともに2.5mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号6の接続孔と番号8の接続孔との間のY軸方向の距離が整合していると判別する。
【0039】
図3の寸法D8は、構成部品100において、
図6に示す番号6の接続孔と番号8の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、寸法D38である。寸法D8と寸法D38は、ともに20mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号6の接続孔と番号8の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していると判別する。
【0040】
図3の寸法D9は、構成部品100において、
図6に示す番号4の接続孔と番号6の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、直接対応するものは無いが、寸法D41から寸法D43を差し引くことで求めることができるようにも思える。寸法D9と寸法D41から寸法D43を差し引いた値とは、ともに20mmであるが、設計意図の観点および普通公差の観点から、整合性判別部13は、番号4の接続孔と番号6の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していないと判別する。
【0041】
まず、設計意図の観点について説明する。寸法のアノテーションは、接続孔の位置を報知するだけで無く、設計者の設計意図を報知する役目も持つ。構成部品100,200,300の加工時に、作業者は、どの箇所の接続孔とどの箇所の接続孔とに寸法線が付されているかによって、設計意図を読み取って加工基準を設定する場合が多い。構成部品100の寸法D9と、構成部品300の寸法D41および寸法D43の組合せと、では、それぞれ異なった加工基準の設定がされ、その結果、構成部品100,300間で接続孔の加工後のズレが大きくなってしまう恐れがある。また、作業者が図面を読図する場合に、構成部品100,300間で寸法の入れ方が同じであれば、設計者の設計意図としてそれらが互いに共通する一つのグループの接続孔として読図しやすいのに対して、寸法の入れ方が異なると読図しにくい面もある。
【0042】
続いて、普通公差の観点について説明する。普通公差を適用する場合、寸法の入れ方が異なると、要求される公差、許容差も変わる場合が少なくない。構成部品100の寸法D9は、接続孔118,120間のX軸方向の寸法であり、寸法値は20である。例えば、本実施の形態において、JIS B 0405の普通公差テーブルで公差等級が中級に指定されているとする。寸法値20に対する許容差は±0.2mmとなり、接続孔120のX軸方向の位置に対して、接続孔118のX軸方向の位置は、±0.2mmが許容されることになる。一方、構成部品300の寸法D41およびD43の組合せでは、同様の公差テーブルを用いて、寸法D41の寸法値110に対する許容差が±0.3mm、寸法D43の寸法値90に対する許容差も±0.3mmとなる。従って、寸法D41,D43の組合せによる接続孔320X軸方向の位置に対する接続孔318のX軸方向の位置は、±0.6mmが許容されることになり、寸法D9の許容差と異なる。つまり、寸法の入れ方が異なると、接続孔の位置の許容差も異なるので、整合性判別部13は、番号4の接続孔と番号6の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していないと判別する。
【0043】
図3の寸法D10は、構成部品100において、
図6に示す番号8の接続孔と番号9の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、寸法D40である。寸法D10と寸法D40は、ともに110mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号8の接続孔と番号9の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していると判別する。
【0044】
図3の寸法D11は、構成部品100において、
図6に示す番号6の接続孔と番号7の接続孔との間のX軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、寸法D41である。寸法D11と寸法D41は、ともに110mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号6の接続孔と番号7の接続孔との間のX軸方向の距離が整合していると判別する。
【0045】
図3の寸法D12は、構成部品100において、
図6に示す番号5の接続孔と番号7の接続孔との間のY軸方向の距離を表す寸法である。構成部品300において、これに対応する寸法は、
図5に示すように、寸法D42である。寸法D12と寸法D42は、ともに50mmと表記されているので、整合性判別部13は、番号5の接続孔と番号7の接続孔との間のY軸方向の距離が整合していると判別する(ステップS14)。
【0046】
整合性判別部13は、上記の構成部品情報の整合性の判別結果を、出力部40を介して表示部50に表示してユーザに判別結果を報知する(ステップS15)。
【0047】
以上、情報処理装置1は、互いの接続孔が接続される構成部品の接続孔同士を接続孔組合せとして特定し、接続孔組合せを構成する構成部品同士を被接続構成部品組合せとして特定し、被接続構成部品組合せが一致する接続孔組合せを接続孔グループとして特定した。さらに、接続孔組合せおよび接続孔グループに基づいて、接続孔情報から互いの構成部品にそれぞれ生成される構成部品情報が互いの構成部品との間で整合しているか否かを判別した。これにより、構成部品情報である、各構成部材が互いに接続される場所における各構成部品上の接続孔間の距離を示すアノテーション、および接続孔の形状、位置が、対応する構成部品間で整合しているか否かを判別した。従って、組立3次元モデルP1の組み立てのために必要な各構成部品が有する構成部品情報の整合性を必要十分に判別することができる。図面作成者、図面照査者等の検図によって行っていたアノテーションのチェックを、情報処理装置1によって自動的に行うことができ、検図の効率化、チェック漏れの防止等の効果がある。
【0048】
なお、寸法のアノテーションが完全一致する場合に整合すると判別する例を示したが、例えば、寸法のアノテーションは完全一致しないが上述の寸法D9と寸法D41から寸法43を差し引いた値とが一致する場合、或いは、2つの寸法が予め設定されている関係を満たす場合等であっても、整合していると判断するようにしてもよい。
【0049】
また、接続孔と接続孔との間の間隔が整合しているか否かを判別する例を示したが、整合性判定の対象は任意である。例えば、重ねられる接続孔の孔径が一致するか否かを整合しているか否かを整合性判別の対象としてもよい。この場合、例えば、接続孔組合せを構成する複数の接続孔の直径が一致しないが予め設定された条件を満たす場合に整合していると判別してもよい。
図6の例では、接続孔グループG3に属す複数の接続孔は、直径が一致しないが、予め設定された直径が3と4の組み合わせという条件を満たす場合に、整合していると判別してもよい。
【0050】
2つの構成部品の接続孔の組み合わせを対象としたが、相互に重ねられる3つ以上の構成部品の、1本のボルトが貫通する3つ以上の接続孔に関する寸法の整合性を判別してもよい。
【0051】
また、孔径などを特徴とするグループ分けを行うか否かは任意である。
【0052】
[実施の形態2]
実施の形態1では、整合性判別の対象となる組立3次元モデルP1は、各構成部品100,200,300間を接続する接続部材を含んでいない3次元モデルであったが、実施の形態2では、
図8に例示するように、組立3次元モデルP2に接続部材モデル800,900を含んでいる。組立3次元モデルP2は、
図9に一点鎖線で示すように、直線L2上に軸を持つ接続孔が4つあり、接続孔の組合せを特定するために接続部材モデル800,900の情報を用いる点が実施の形態1と異なる。なお、接続部材モデル800,900,…は、以下、接続部材800,900,…と記載する。
【0053】
情報処理装置1の構成は、実施の形態2においても実施の形態1と同様である。組立3次元モデルP2は、構成部品500,600,700の3つを、接続部材800,900を用いて組み立てたものである。なお、接続部材800はM6ボルトであり、接続部材900はM6ナットであり、組立3次元モデルP2にそれぞれ8つずつ使用されている。
【0054】
構成部品500は、板状の基部501と、基部501の+Z方向端部に立設された台形状の立設部502と、基部501の-Z方向端部に立設された長方形状の立設部503とを有する。立設部502は、構成部品700と接続するための4つの接続孔521,522,523,524を備え、立設部503は、構成部品600と接続するための4つの接続孔531,532,533,534を備える。また、理由は後述するが、構成部品500は、便宜上、ナットである接続部材921,922,923,924,931,932,933,934を備える。接続部材が属する構成部品は、ボルトならボルト頭部が接する構成部品に、ナットならナットが接する構成部品に属するものとする。
【0055】
主面が角丸長方形の構成部品600は、構成部品500の立設部503の接続孔531,532,533,534とそれぞれ接続するための4つの接続孔611,612,613,614を有する。また、構成部品600は、便宜上、ボルトである接続部材831,832,833,834を備える。
【0056】
主面が角丸台形の構成部品700は、構成部品500の立設部502の接続孔521,522,523,524とそれぞれ接続するための4つの接続孔711,712,713,714を有する。また、構成部品700は、便宜上、ボルトである接続部材821,822,823,824を備える。
【0057】
組立3次元モデルP2が組み立てられた状態において、各接続孔には、それぞれ接続部材800が挿通され、接続部材900が接続部材800に螺合されている。
【0058】
図8および
図9に示すように、それぞれ他の構成部品と接続される一部の接続孔は、XY平面視で、重なる位置に配置されている。このため、実施の形態1で行った直線L1上に軸を有する接続孔の組合せを抽出する方法では、接続孔の組合せを特定できない。実施の形態2では、情報処理装置1は、このような場合に、接続部材をもとに接続孔組合せを特定することで、XY座標が重なる、それぞれ他の構成部品に接続される接続孔の接続孔組合せを特定する。
【0059】
接続孔組合せ特定部11は、まず、組立3次元モデルP2の構成部品500,600,700の中から接続部材800,900を抽出する。
【0060】
次に、接続孔組合せ特定部11は、抽出した接続部材から接続部材組合せを特定する。接続部材組合せとは、例えば、ボルトとナットとで1つの接合箇所を接続する場合に、その接続箇所に使用される接続部材のことをいう。接続孔組合せ特定部11は、ボルトを表す所定の名称をもつ接続部材に対して、ナットを表す所定の名称をもつ接続部材のうち、そのボルトの判定用の軸と同軸上にナットの判定用の軸をもち、かつ互いの軸の一部が重なるものを1つの接続部材組合せとして特定する。ボルトを表す所定の名称とは、例えば、M6ボルトであり、ナットを表す所定の名称とは、例えば、M6ナットである。ボルトの判定用の軸とは、ボルトのねじ部における仮想の軸であり、ナットの判定用の軸とは、ナットのめねじ部分における仮想の軸である。以降、ボルトの判定用の軸、ナットの判定用の軸は、ボルトの軸、ナットの軸、或いは接続部材の軸と記載する。
【0061】
図9に示す、接続部材831を例に接続部材組合せを行う。M6ボルトである接続部材831は、同軸のM6ナットと接続されるが、接続部材831の軸は、いずれもM6ナットである接続部材931および接続部材921と同一の直線L2上にある。接続部材931の軸は、接続部材831の軸と一部が重なるのに対して、接続部材921の軸とは、重なる部分が無い。従って、接続孔組合せ特定部11は、接続部材831と接続部材931とを1つの接続部材組合せとして特定する。
【0062】
続いて、接続孔組合せ特定部11は、特定された接続部材組合せから接続孔組合せを特定する。接続孔組合せ特定部11は、接続部材組合せの接続部材の軸と、接続孔の軸とが同一直線上にあり、かつ、接続部材と接続孔との互いの軸の少なくとも一部が重なるものを、接続孔組合せとして特定する。接続孔組合せ特定部11は、接続部材831と接続部材931と同軸である接続孔として、
図9に一点鎖線で示す仮想の軸線L2を軸とする接続孔521,531,611,711を抽出する。このうち、接続部材831と接続部材931との軸と接続孔531,611の軸の少なくとも一部が重なっている。従って、接続孔組合せ特定部11は、接続部材831と接続部材931との接続部材組合せをもとに、接続孔531と接続孔611とを1つの接続孔組合せとして特定する。また、互いに接続される接続部材831と接続部材931とはそれぞれM6ボルトとM6ナットであるので、これを接続部材組合せ種類とする。
【0063】
以下、同様に、他の接続部材についても接続部材組合せを行った後、接続孔組合せを行う。続いて、接続孔グループ特定部12は、実施の形態1同様の手順で、接続孔グループの特定を行い、
図10に例示するような接続孔グループデータGを生成する。その後、実施の形態1同様の手順で、整合性判別部13は、構成部品情報についての整合性の判別を行う。
【0064】
以上、実施の形態2において、情報処理装置1は、接続部材の軸の重なりを判別することによって、接続孔組合せを特定した。仮想の中心軸が同一直線上にある接続孔が2つを超える場合であっても、情報処理装置1は、接続孔組合せを好適に行うことができ、構成部品情報の整合性判別を行うことができる。
【0065】
[変形例]
上記実施の形態2では、ボルト締めによって各構成部品を組み立てていたが、ネジ締めによって各構成部品を組み立てるものであってもよく、他の接続部材によって各構成部品を組み立てるものであってもよい。或いは、ナットを使用せず、例えば、タップが切られた貫通していない穴を有する構成部材を使用するものであってもよく、リベット、スプリングピン等を使用してもよい。
【0066】
また、上記各実施の形態では、直径6mm以下の孔を対象に接続孔を抽出していたが、各構成部品を互いに接続させるために使用される接続孔の大きさに応じて抽出の対象とする接続孔のサイズを調整するとよい。
【0067】
上記各実施の形態では、円柱面を接続孔として抽出していたが、締結部材、構成部品モデル等の形状、仕様等にあわせて、円錐面、楕円柱面等の他の形状を接続孔として抽出してもよい。また、面、稜線、頂点等の単一の形状要素ではなく、例えば、2つの円筒面と2つの平面との組み合わせである長孔、4つの平面の組み合わせである角孔等の複数の形状要素の組み合わせを接続孔としてもよい。また、要素の形状のみを注視するのではなく、要素の色、名前、属性、アノテーション等の要素に関連する情報を付加してもよい。例えば、面の色が赤色であるものを接続孔として抽出する、ネジ孔を示すアノテーションとして「M6×」で始まる寸法が指示されている面を接続孔として抽出してもよい。また、上記各種条件をOR、AND等で組み合わせた判定条件としてもよい。或いは、条件合致による抽出ではなく、ユーザによる選択操作によって、接続孔として使用する、又は、使用しない3次元モデルの要素を指定してもよい。
【0068】
上記実施の形態では、一方の構成部品上の接続孔が他方或いは他の構成部品上の接続孔と互いの中心軸が一直線上にあるか否かを接続孔組合せの条件にしていたが、例えば、一方の構成部品上の接続孔の中心軸が他方或いは他の構成部品上の接続孔の内部を貫通することを条件としてもよい。この条件は、例えば、接続孔の一方が丸孔で、他方或いは他の接続孔が長孔である場合に有効である。
【0069】
上記実施の形態では、直接2つの接続孔の寸法を示す寸法線が無い場合には、複数の寸法線をもとに、接続孔間の寸法の整合性を判別していたが、2つの接続孔間を寸法線が直接指し示しているか否かで整合性を判別してもよい。
【0070】
上記実施の形態1では、整合性判別部13は、構成部品情報として寸法線がどの接続孔間に付されているかを判別していたが、例えば、寸法公差が設けられている場合には、その寸法公差が構成部品間で整合しているか否かを構成部品情報として判別してもよい。或いは、一方の構成部品に幾何公差が設けられている場合に、他方または他の構成部品に対応する幾何公差が設けられているか否かを判別してもよく、様々な種類の構成部品情報の整合性を判別してもよい。また、接続孔情報も、
図3-
図5に示すような2点間の寸法線ではなく、3点間の寸法線であってもよく、各接続孔の中心の座標値であってもよく、或いは、その他のものであってもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、接続孔グル-プ特定部12は、接続孔によって接続される構成部品の組合せの違いによって接続孔グループを分類し、さらに接続孔の孔径の違いによって接続孔グループを分類していたが、他の項目によって接続孔グループを分類してもよい。例えば、接続孔の形状が異なる場合には、接続孔の形状の違いによって接続孔グループを分類してもよく、接続部材の種類が異なる場合には、接続部材の種類でさらに接続孔グループを分類してもよく、分類に係る項目を接続孔グループデータに追加するとよい。
【0072】
上記各実施の形態では、出力部40は、整合性判別の結果を表示部50に出力していたが、例えば、組立3次元モデルP1,P2または各構成部品の接続孔、寸法等にそれぞれ判別結果を付して表示してもよく、或いは、表示部50に判別結果を表示しつつ組立3次元モデルP1,P2に判別結果を付してもよい。
【0073】
また、情報処理装置1は、専用の装置によらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、情報処理装置1における各機能を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合には、アプリケーションのみを記録媒体に格納してもよい。
【0074】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【0075】
(付記)
本開示は、以下の形態で実現可能である。
【0076】
(付記1)
接続孔の特徴を示す接続孔情報が付された前記接続孔が形成された複数の構成部品モデルを組み立てた組立3次元モデルの前記構成部品モデルの整合性を判別する情報処理装置であって、
前記組立3次元モデルを組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定する接続孔組合せ特定部と、
前記第1および第2の接続孔組合せを構成する前記第1の接続孔および前記第3の接続孔が形成された前記第1の構成部品モデルと前記第2の接続孔および前記第4の接続孔が形成された前記第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、前記被接続構成部品組合せが一致する前記第1の接続孔組合せおよび前記第2の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する接続孔グループ特定部と、
前記第1の接続孔組合せ、前記第2の接続孔組合せおよび前記接続孔グループの情報に基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する整合性判別部と、
を備える情報処理装置。
(付記2)
前記接続孔組合せ特定部は、前記第1の接続孔の中心軸と前記第2の接続孔の中心軸とが同一直線上にある場合に、前記第1の接続孔と前記第2の接続孔とを接続孔組合せとして特定する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記整合性判別部は、前記接続孔組合せ特定部が前記接続孔組合せを特定できない接続孔があった場合にエラーを出力する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記接続孔グループ特定部は、前記接続孔組合せに対して、前記第1の接続孔が形成された前記第1の構成部品モデルと前記第2の接続孔が形成された前記第2の構成部品モデルとを被接続構成部品組合せとして特定し、前記第1の接続孔の種類と前記第2の接続孔の種類とを接続孔組合せ種類として特定し、前記被接続構成部品組合せおよび前記接続孔組合せ種類の両方が一致する1つ以上の接続孔組合せを接続孔グループとして特定する、
付記1~3の何れかに記載の情報処理装置。
(付記5)
前記整合性判別部は、それぞれの前記接続孔グループにおいて、被接続構成部品組合せを構成する互いの構成部品同士で、それぞれの接続孔間の寸法が同一であるか否かを判別する、
付記1~4の何れかに記載の情報処理装置。
(付記6)
前記構成部品モデルは、前記構成部品モデル同士の接続に用いる接続部材を有し、
前記接続孔組合せ特定部は、互いに接続される前記接続部材の組合せを接続部材組合せとして特定し、前記接続部材組合せに基づいて前記接続孔組合せを特定する、
付記4に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記接続孔組合せ特定部は、互いに接続される前記接続部材の組合せを接続部材組合せとして特定し、前記接続部材組合せに基づいて前記接続孔組合せを特定し、
前記接続孔グループ特定部は、前記接続部材組合せを構成する接続部材の種類を接続部材組合せ種類として特定し、前記被接続構成部品、前記接続孔組合せ種類、および接続部材組合せ種類の全てが一致する1つ以上の接続孔組合せを前記接続孔グループとして特定する、
付記6に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記接続孔組合せ特定部は、前記接続部材に設けた中心軸が同一直線上に存在し、かつ、互いの前記中心軸の一部が重なるか否かによって前記接続孔組合せを特定する、
付記6または7に記載の情報処理装置。
(付記9)
組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定し、
前記第1の接続孔組合せに基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する、
情報処理方法。
(付記10)
コンピュータに、
組み立てた際に、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第1の接続孔および第2の構成部品モデルの第2の接続孔を第1の接続孔組合せとして特定し、互いの接続孔が接続される第1の構成部品モデルの第3の接続孔および第2の構成部品モデルの第4の接続孔を第2の接続孔組合せとして特定し、
前記第1の接続孔組合せに基づいて、前記接続孔情報から前記第1の構成部品モデルおよび前記第2の構成部品モデルにそれぞれ生成される構成部品情報が前記第1の構成部品モデルと前記第2の構成部品モデルとの間で整合しているか否かを判別する、
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 情報処理装置、10 制御部、11 接続孔組合せ特定部、12 接続孔グループ特定部、13 判別部、20 記憶部、21 モデル記憶部、22 接続孔組み合わせ記憶部、23 接続孔グループ記憶部、30 入力部、40 出力部、50 表示部、100,200,300,500,600,700 構成部品モデル、111-123,215-217,318-323,521-524,531-534,611-614,711-714 501 基部、502,503 立設部、接続孔、800,821-824,831-834,900,921,931 接続部材モデル、D1-12,D21-D24,D35-38,D40-43 寸法、G 接続孔グループデータ、G1,G2,G3 接続孔グループ、P1,P2 組立3次元モデル