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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151724
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A47J27/00 109G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065317
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋生
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA80
4B055CC28
4B055CD02
4B055DB14
4B055GA04
4B055GB03
4B055GB39
4B055GC40
4B055GD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造コストを抑えつつ、容器の密閉性について検出可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】容器4と本体1と蓋体と加熱部5と減圧装置と減圧経路と大気経路と経路切替弁と制御装置50と容器温度検出部と上部空間温度検出部と設定部とを備える。容器は内容物を収容し、容器温度検出部は容器の温度を検出し、上部空間温度検出部は、容器の上部空間の温度である上部空間温度を検出する。設定部は、内容物の調理温度および調理時間を含む調理条件を設定するためのものである。制御装置は、減圧装置によって容器内が減圧された状態で、加熱部によって内容物を加熱する減圧調理工程において、容器の温度と上部空間温度と調理条件とに基づいて、容器内と外部との間の空気の漏れが発生しているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を加熱調理する加熱調理器であって、
前記内容物を収容する容器と、
前記容器を収納する本体と、
前記容器を覆う蓋体と、
前記容器を加熱する加熱部と、
前記容器内を減圧する減圧装置と、
前記減圧装置が設けられて、前記容器内と前記加熱調理器の外部とを連通させる減圧経路と、
前記容器内と前記外部とを連通させる大気経路と、
前記減圧装置と前記容器との間に設けられ、前記減圧経路と前記大気経路のいずれかの経路を前記容器に連通させる経路切替弁と、
前記加熱部、前記減圧装置、および前記経路切替弁を制御する制御装置と、
前記容器の温度を検出する容器温度検出部と、
前記容器の上部空間の温度である上部空間温度を検出する上部空間温度検出部と、
前記内容物の調理温度および調理時間を含む調理条件を設定するための設定部と、
を備え、
前記制御装置は、
前記減圧装置によって前記容器内が減圧された状態で、前記加熱部によって前記内容物を加熱する減圧調理工程において、前記容器温度検出部によって検出された前記容器の温度と、前記上部空間温度検出部によって検出された前記上部空間温度と、前記設定部を介して設定された前記調理条件とに基づいて、前記容器内と前記外部との間の空気の漏れが発生しているか否かを判定する、加熱調理器。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記減圧調理工程において、前記減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた判定時間後の前記上部空間温度が、前記設定部を介して設定された前記調理条件に含まれる前記調理温度である設定調理温度に対し、予め定められた第1温度以上低い場合には、前記漏れが発生していると判定する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記減圧調理工程において、前記減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた第1動作時間後の前記上部空間温度が、前記加熱部の加熱動作と、前記加熱動作の停止との各タイミングに同期して予め定められた第2温度以上増減しない場合に、前記漏れが発生していると判定する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記減圧調理工程において、前記減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた判定時間後の前記上部空間温度が、前記設定部を介して設定された前記調理条件が含む前記調理温度である設定調理温度に対し、予め定められた第1温度以上低い場合であって、且つ、前記減圧装置が動作を開始した時点から前記第1動作時間後の前記上部空間温度が、前記加熱部の加熱動作と、前記加熱動作の停止との各タイミングに同期して予め定められた第2温度以上増減しない場合に、前記漏れが発生していると判定する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記漏れが発生していると判定した場合には、前記設定部を介して設定された前記調理条件を変更し、変更後の前記調理条件に基づいて加熱調理を行うよう前記加熱部、前記減圧装置、および前記経路切替弁を制御する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記調理条件を変更する場合には、前記減圧装置を停止させ、且つ、前記大気経路と前記容器内とを連通させるよう前記経路切替弁を制御すると共に、前記減圧調理工程における前記調理条件を、前記容器内の気圧が大気圧である場合での前記内容物の調理工程である常圧調理工程の前記調理条件に変更する、請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記減圧調理工程での前記調理条件を前記常圧調理工程での前記調理条件に変更する場合には、変更後の前記調理条件に基づく前記常圧調理工程で前記内容物に加えられる熱量が、前記容器内の減圧状態が正常である場合での前記減圧調理工程で前記内容物に加えられる熱量と等しくなるよう、前記調理条件を変更する、請求項6に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食材を加熱調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内の気圧を大気圧未満とした状態で、容器内に収容されている内容物を加熱調理する加熱調理器が知られている。例えば、特許文献1には、減圧ポンプによって容器内を減圧し、容器を加熱する加熱調理器が開示されている。加熱調理器が容器内の気圧を大気圧未満にした状態で内容物を加熱することにより、内容物は100[℃]未満の低温で沸騰する。
【0003】
ここで、低温度帯での沸騰状態の維持のためには、容器内の気圧が飽和水蒸気圧未満に維持される必要がある。特許文献1では、容器内の気圧を飽和水蒸気圧未満に調節し、調節後の気圧の維持のために、容器内の圧力を検出する圧力センサによる検出結果に基づく制御が行われている。また、当該圧力センサの検出結果によって、容器の密閉不良が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6419009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧力センサは高価である場合が多く、圧力センサを用いることに代えて、容器の密閉性についての検出を可能にする技術が求められている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、製造コストを抑えつつ、容器の密閉性について検出可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る加熱調理器は、内容物を加熱調理する加熱調理器であって、前記内容物を収容する容器と、前記容器を収納する本体と、前記容器を覆う蓋体と、前記容器を加熱する加熱部と、前記容器内を減圧する減圧装置と、前記減圧装置が設けられて、前記容器内と前記加熱調理器の外部とを連通させる減圧経路と、前記容器内と前記外部とを連通させる大気経路と、前記減圧装置と前記容器との間に設けられ、前記減圧経路と前記大気経路のいずれかの経路を前記容器に連通する経路切替弁と、前記加熱部、前記減圧装置、および前記経路切替弁を制御する制御装置と、前記容器の温度を検出する容器温度検出部と、前記容器の上部空間の温度である上部空間温度を検出する上部空間温度検出部と、前記内容物の調理温度および調理時間を含む調理条件を設定するための設定部と、を備え、前記制御装置は、前記減圧装置によって前記容器内が減圧された状態で、前記加熱部によって前記内容物を加熱する減圧調理工程において、前記容器温度検出部によって検出された前記容器の温度と、前記上部空間温度検出部によって検出された前記上部空間温度と、前記設定部を介して設定された前記調理条件とに基づいて、前記容器内と前記外部との間の空気の漏れが発生しているか否かを判定するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る加熱調理器によれば、製造コストを低減しながら、容器の密閉不良を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の構成例を示す模式断面図である。
図2】実施の形態1に係る加熱調理器の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る加熱調理器の内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を例示するグラフである。
図4】実施の形態1における制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】実施の形態1における制御装置のハードウェア構成の第1の例を示すブロック図である。
図6】実施の形態1における制御装置のハードウェア構成の第2の例を示すブロック図である。
図7】実施の形態1に係る加熱調理器の減圧調理工程での容器内の気圧および温度の時間変化の第1の例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る加熱調理器の減圧調理工程での容器内の気圧および温度の時間変化の第2の例を示す図である。
図9】実施の形態1に係る加熱調理器の減圧調理工程での容器内の気圧および温度の時間変化の第3の例を示す図である。
図10】実施の形態1に係る加熱調理器による減圧調理工程の処理の流れを例示するフローチャートである。
図11】実施の形態1に係る加熱調理器による減圧調理工程における減圧処理の流れを例示するフローチャートである。
図12】実施の形態1に係る加熱調理器による減圧調理工程における温度維持処理の流れを例示するフローチャートである。
図13】実施の形態1に係る加熱調理器による減圧調理工程における圧力維持処理の流れを例示するフローチャートである。
図14】実施の形態2に係る加熱調理器による減圧調理工程の処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の説明に用いられる図面では、同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、および配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。また、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る加熱調理器100について説明する。図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100の構成例を示す模式断面図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1に開閉自在に係止された外蓋2とを備える。また、加熱調理器100は、後述する加熱部5、三方向電磁弁31、および減圧ポンプ32等、加熱調理器100の構成要素を制御する制御装置50を本体1内に備える。
【0012】
本体1の内側には、容器収納部3が内装固着されている。容器収納部3には、有底筒状で上面が開口した鍋状の容器4が着脱自在に収納されている。容器4内には、被加熱物である食材等の内容物が収容される。容器収納部3の外壁には、加熱部5が設けられている。加熱部5は、例えば、容器収納部3にスパイラル状に旋回された電磁誘導加熱用の加熱コイルであり、高周波電流が供給されることにより発生する磁界で容器4を誘導加熱する。加熱部5の加熱動作は、後述する制御装置50によって制御される。なお、加熱部5は、加熱コイルに限らず、ヒータ等でもよい。
【0013】
容器収納部3の底面の中央部には貫通孔が形成され、貫通孔内に鍋底温度センサ6が配置されている。鍋底温度センサ6は、圧縮バネ7によって下方から支持され、容器4の底部に接触するように配置される。鍋底温度センサ6は、容器4の温度を検出する。鍋底温度センサ6は、容器温度検出部の例である。
【0014】
容器4には取っ手部8が設けられている。取っ手部8は、容器収納部3に設けられた保持部上に係止される。これにより、容器4が本体1内に保持される。容器4の上面開口の周囲には、外方に向かって延びるフランジ部4aが形成されている。
【0015】
外蓋2には、容器4の上面開口を覆う蓋体である内蓋9が連結されている。内蓋9の周縁には、シール材である蓋パッキン10が設けられている。蓋パッキン10は、外蓋2を閉じた際に、容器4のフランジ部4aおよび内壁と内蓋9との密閉性が得られるようになっている。
【0016】
内蓋9には蒸気孔11が形成されている。蒸気孔11には蒸気排出弁12が配置されている。蒸気排出弁12は、容器4内の圧力によって自動的に開閉し、容器4内を密閉または非密閉とする。通常時、すなわち、容器4内の気圧が大気圧と等しいときには、蒸気排出弁12は、自重により蒸気孔11を閉塞している。一方、容器4内が密閉された状態で、容器4内に蒸気が発生し、容器4内の気圧が大気圧を超えると、蒸気排出弁12は容器4内の蒸気の圧力によって上方へ圧し上がられて開状態となり、蒸気は容器4外へ流出する。なお、蒸気排出弁12は、容器4内の気圧が大気圧以下の場合には、不図示のパッキンを介して容器4内を密閉する。
【0017】
蒸気排出弁12の下流には、カートリッジ13が配置されている。カートリッジ13には、カートリッジ13内と、加熱調理器100の外部とを連通させる蒸気排出口14が形成されている。容器4内から蒸気孔11を介してカートリッジ13内に流入した蒸気は、蒸気排出口14から外部に流出する。なお、カートリッジ13には、カートリッジ13と内蓋9および外蓋2を構成する部材との間を密閉するカートリッジパッキン15が設けられている。
【0018】
内蓋9にはセンサ孔16が形成されている。外蓋2には、蓋温度センサ17が設けられている。蓋温度センサ17は、センサ孔16を介して容器4内の上部空間温度を検出する。上部空間温度は、容器4内の内容物が占める領域以外の空間のうち、内蓋9近傍の空間の温度である。すなわち上部空間温度は、容器4内において内容物の上側に生じる空間の温度である。蓋温度センサ17は、上部空間温度検出部の例である。なお、外蓋2には、センサ孔16を介して容器4内の空気が漏れ出ないよう、センサ孔16の周囲の内蓋9から外蓋2にかけた領域に蓋温度センサパッキン18が設けられている。
【0019】
内蓋9には、第1内蓋通気孔19aおよび第2内蓋通気孔19bが設けられている。外蓋2には、外部と外蓋2内とを連通させる、第1外蓋通気孔20aおよび第2外蓋通気孔20bが設けられている。また、外蓋2には、連通管21a~連通管21f、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、および電磁弁34が設けられている。
【0020】
連通管21a~連通管21fの各々は、中空状に形成されている。なお、連通管21a~連通管21fは、例えば、シリコンなどの弾性部材によって構成されている。連通管21aは、第1内蓋通気孔19aと三方向電磁弁31とを接続し、連通管21bは、三方向電磁弁31と減圧ポンプ32とを接続し、連通管21cは、減圧ポンプ32とカートリッジ13とを接続する。連通管21dは、三方向電磁弁31と第1外蓋通気孔20aとを接続する。連通管21eは、第2内蓋通気孔19bと電磁弁34とを接続する。連通管21fは、電磁弁34と第2外蓋通気孔20bとを接続する。
【0021】
三方向電磁弁31は、開閉動作が制御装置50によって制御され、これにより、空気の流通経路が規定される。具体的には、三方向電磁弁31は、制御装置50に制御によって、連通管21aと連通管21bとを接続する第1開状態、連通管21bと連通管21dとを接続する第2開状態、および、空気の流通を遮断する閉状態等のいずれかの状態に切り替えられる。連通管21aと連通管21bとが接続されることにより、容器4内と、減圧ポンプ32内とが連通し、連通管21bと連通管21dとが接続されることにより、減圧ポンプ32内と、加熱調理器100の外部とが連通する。三方向電磁弁31は経路切替弁の例である。
【0022】
減圧ポンプ32は、容器4内を減圧する減圧装置の例である。減圧ポンプ32は、吸引側から空気を吸引し、排出側から排気を行う。減圧ポンプ32の吸引側には、連通管21bが接続されている。減圧ポンプ32の排出側には、連通管21cが接続されている。減圧ポンプ32の駆動は、制御装置50によって制御される。
【0023】
減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21aと連通管21bとが接続された場合に、第1内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31および連通管21bを介し、容器4内の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出する。これにより、容器4内の空気が吸引されて外部に排出されるため、容器4内が減圧される。なお、第1内蓋通気孔19aから、連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21c、およびカートリッジ13内を経由する、蒸気排出口14までの空気の流路は、減圧経路の例である。
【0024】
減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21bと連通管21dとが接続された場合に、第1外蓋通気孔20a、連通管21d、三方向電磁弁31および連通管21bを介して、加熱調理器100の外部の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cと、カートリッジ13の蒸気排出口14とを介して外部に排出する。
【0025】
なお、減圧ポンプ32が蒸気を吸引すると、減圧ポンプ32から結露水が流出する場合がある。このとき、減圧ポンプ32の下流において、連通管21cに接続されたカートリッジ13が結露水を貯める露受けとして機能する。なお、露受けは、カートリッジ13とは別個に設けられてもよい。
【0026】
電磁弁34は、開状態において、容器4内と、加熱調理器100の外部との間で空気を流通させ、閉状態において、容器4内と、加熱調理器100の外部との間の空気の流通を遮断する。電磁弁34は、制御装置50による制御により開閉する。電磁弁34は経路切替弁の例である。
【0027】
容器4内が減圧された状態で電磁弁34が開状態になると、第2外蓋通気孔20bと連通管21fと電磁弁34と連通管21eとを介して外気が容器4内に流入し、容器4内の圧力が常圧に戻る。以下では、第2外蓋通気孔20bから、連通管21f、電磁弁34、および連通管21eを経由する、第2内蓋通気孔19bまでの空気の流路を大気経路と記載する場合もある。
【0028】
なお、連通管21aと第1内蓋通気孔19aとの接続部分には、連通管21aを第1内蓋通気孔19aと密閉接続するための経路パッキン22aが設けられている。また、連通管21eと第2内蓋通気孔19bとの接続部分には、連通管21eを第2内蓋通気孔19bと密閉接続するための経路パッキン22bが設けられている。
【0029】
ここで、第1外蓋通気孔20aおよび第2外蓋通気孔20bは、外気を吸引するための通気孔であるが、外蓋2の側面または底面に設けられることが好ましい。その理由は、外部から水分または異物等が減圧ポンプ32へ侵入することを防止するためである。そして、減圧ポンプ32への水分または異物等の侵入による減圧ポンプ32の故障を防止するためである。更に、第1外蓋通気孔20a、第2外蓋通気孔20b、連通管21d、および連通管21fの少なくともいずれかには、外部の埃を吸引しないよう、フィルターまたはメッシュ構造等が設けられてもよい。
【0030】
加熱調理器100は、外蓋2に設けられた操作表示部35を有する。操作表示部35は設定部の例であり、且つ、報知部の例である。なお、操作表示部35は、外蓋2に代えて本体1に設けられてもよい。操作表示部35は、ユーザからの指示を受け付ける、例えばタッチパネルなどの不図示の入力装置を含み、調理メニューの入力を受け付ける。また、操作表示部35は、加熱調理器100の動作状態などに関する情報を表示する、例えば液晶ディスプレイなどの不図示の表示装置を含む。操作表示部35は、容器4が非密閉状態であることを示すエラーを、音声によって報知する、例えばスピーカなどの音声出力装置を含んでもよい。なお、当該エラーは、操作表示部35の表示装置によって表示されてもよい。
【0031】
制御装置50は、鍋底温度センサ6および蓋温度センサ17の検出結果と、操作表示部35の入力装置に入力された指示とに基づいて、加熱部5、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34、および、操作表示部35の表示装置等を制御する。なお、制御装置50は、本体1内に代えて、外蓋2内に設けられてもよい。
【0032】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置50には、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34、鍋底温度センサ6、蓋温度センサ17、操作表示部35およびインバータ部36が電気的に接続されている。インバータ部36は、加熱部5に高周波電流を供給する。
【0033】
ここで、実施の形態1に係る加熱調理器100は、減圧調理を行う。減圧調理とは、減圧ポンプ32によって、容器4内の気圧を低下させた状態での調理を指す。容器4内が減圧されることにより、容器4内の内容物は100[℃]未満で沸騰する。以下、このことについて図3を参照して詳細に説明する。
【0034】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を例示するグラフである。当該グラフの各温度での飽和水蒸気圧は、内容物が当該温度で沸騰する際の圧力である。図3に示すように、容器4内の内容物の沸点は、容器4内の圧力によって変動する。例えば、容器4内の内容物は、容器4内の気圧が約0.2[atm]である場合に、約60[℃]で沸騰する。
【0035】
実施の形態1に係る加熱調理器100は、図3に例示される内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係に基づき、減圧調理を行う。すなわち、加熱調理器100は、容器4内の気圧を大気圧未満にし、100[℃]未満の温度帯で内容物の沸騰を継続させる。これにより、容器4内の煮汁の対流が促進され、且つ、沸騰によって発生した水蒸気によって、煮汁に浸かっていない食材が蒸される。従って、容器4内の内容物の加熱ムラの軽減が図られる。よって、容器4内の内容物が均一に加熱され、食材の仕上がりが安定し、食材の味の向上が図られる。
【0036】
ここで、減圧調理が適切に行われるためには、減圧調理工程中に、容器4内に大気が流入しないことが必要となる。以下では、容器4内が外部と遮断されて、容器4内に大気が流入しない状態を密閉状態と記載する場合もある。しかし、加熱調理器100では、蓋パッキン10と容器4および内蓋9との密閉性、蓋温度センサパッキン18とセンサ孔16の周囲との密閉性、経路パッキン22aと第1内蓋通気孔19aとの密閉性、経路パッキン22bと第2内蓋通気孔19bとの密閉性、連通管21aと三方向電磁弁31の連結部との密閉性、連通管21eと電磁弁34の連結部との密閉性、および、蒸気排出弁12の密閉性のうちのいずれかが悪い場合には、容器4内の減圧時にリーク、すなわち空気の漏れが発生する。これらの部品における密閉性が悪く、容器4内の減圧が十分でない場合、減圧調理が適切に行われず、良好な食味を実現することができなくなる。以下、密閉性が悪く、リークが発生している状態をリーク状態と記載する場合もある。
【0037】
実施の形態1に係る加熱調理器100はリークの発生の有無を判定する。以下では、リークの発生の有無の判定をリーク判定と記載する場合もある。ここで、従来では、容器内の圧力を検出する圧力センサが加熱調理器に搭載され、当該圧力センサの検出結果に基づいてリーク判定が行われていた。しかし、圧力センサは高価である場合が少なくはなく、これにより、加熱調理器の製造コストが増加していた。また、圧力センサの性能によっては、リーク判定が高精度に行えない場合がある。
【0038】
実施の形態1に係る制御装置50は、圧力センサに代え、鍋底温度センサ6と蓋温度センサ17の検出結果を用いることによって、高精度且つ安価にリーク判定を行う。以下、制御装置50の詳細な構成について図4を参照して説明する。
【0039】
図4は、実施の形態1における制御装置50の構成例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、制御装置50は、取得部51と判定部52と記憶部53と機器制御部54とタイマ群55を備える。タイマ群55には、第1タイマ55aと第2タイマ55bと第3タイマ55cと第4タイマ55dと第5タイマ55eとが含まれる。第1タイマ55a~第5タイマ55eは、後述するように調理工程における各種時間をカウントする。
【0040】
取得部51は、鍋底温度センサ6によって検出された容器4の温度と、蓋温度センサ17によって検出された容器4内の上部空間温度とを取得する。取得部51は、鍋底温度センサ6と蓋温度センサ17から、定期的に検出結果を取得する。
【0041】
判定部52は、鍋底温度センサ6と蓋温度センサ17による検出結果に基づいて、加熱調理器100がリーク状態にあるか否かを判定する。判定部52による処理の詳細については後述する。
【0042】
記憶部53は、操作表示部35に入力される調理メニューに応じた調理条件を示す情報を記憶する。調理条件には、設定調理温度、減圧ポンプ32の駆動パターン、および設定調理時間等が含まれる。なお、設定調理時間は、容器4の上部空間温度が設定調理温度に到達してから、加熱調理器100が調理を終了するまでの時間である。調理メニューごとに予め定められた調理条件が記憶部53に記憶されており、本実施の形態では操作表示部35に対する調理メニューの入力をもって、調理メニューに対応する調理条件が記憶部53から読み出されて設定される。なお、操作表示部35に対し、設定調理温度等の調理条件が入力されてもよい。
【0043】
記憶部53は、後述する第1動作時間、第2動作時間、休止時間、およびリーク判定時間等を記憶する。
【0044】
機器制御部54は、判定部52による判定結果に基づき、加熱部5、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34、インバータ部36、および操作表示部35の表示装置等を制御する。
【0045】
第1タイマ55a~第5タイマ55eの各々は各種時間を計測する。第1タイマ55aおよび第2タイマ55bの各々は、減圧調理工程において、減圧ポンプ32が駆動されてからの経過時間を計測する。第3タイマ55cおよび第4タイマ55dの各々は、減圧調理工程において、容器4内の上部空間温度が予め定められた設定調理温度に到達してからの経過時間を計測する。第5タイマ55eは、減圧ポンプ32が再度の減圧を行う際、減圧ポンプ32が駆動してからの経過時間を計測する。以下では、第1タイマ55aによって計測される時間を第1計測時間と記載し、第2タイマ55bによって計測される時間を第2計測時間と記載する場合もある。また、第3タイマ55cによって計測される時間を第3計測時間と記載し、第4タイマ44dによって計測される時間を第4計測時間と記載し、第5タイマ55eによって計測される時間を第5計測時間と記載する場合もある。
【0046】
なお、減圧調理工程では、減圧ポンプ32が第1動作時間だけ動作し、更に、容器4内の上部空間温度が設定調理温度になった後、減圧ポンプ32は休止時間だけ停止する。そして、休止時間の経過後、減圧ポンプ32は、動作を再開し、第2動作時間だけ、動作を継続する。この第1動作時間と第2動作時間と休止時間の各々は、例えば実験等によって予め定められている。例えば、第1動作時間は、容器4の温度が設定調理温度である場合に、容器4内の上部空間の気圧を、予め定められた気圧まで減圧するために必要な減圧ポンプ32の動作時間から得られる時間である。また、第2動作時間は、容器4の上部空間温度が設定調理温度である場合に、容器4内の上部空間の気圧を、予め定められた気圧にするために必要な減圧ポンプ32の動作時間から得られる時間である。なお、第2動作時間の間、減圧ポンプ32が動作する場合には、容器4内は既に減圧状態である。このことから、第2動作時間は、第1動作時間より短い時間として定められている。
【0047】
判定部52は、第1計測時間が第1動作時間に達したか否かを判定し、第1計測時間が第1動作時間に達した場合に、機器制御部54は減圧ポンプ32を停止させる。判定部52は、第2計測時間がリーク判定時間に達したと判定した場合に、鍋底温度センサ6と蓋温度センサ17の検出結果に基づいてリーク判定を行う。リーク判定時間tcは、減圧調理工程において減圧ポンプ32が最初に動作を開始してから、加熱調理器100がリーク状態にあるか否かを判定可能になるまでに要する時間であって、予め実験等によって定められている。リーク判定時間は判定時間の例である。
【0048】
判定部52は、第3計測時間が設定調理時間に達したか否かを判定し、第3計測時間が設定調理時間に達した場合に、機器制御部54は、加熱部5に加熱を停止させるなど、調理終了のための各種制御を行う。判定部52は、第4計測時間が休止時間に達したか否かを判定し、第4計測時間が休止時間に達した場合に、機器制御部54は、減圧ポンプ32に動作を再開させる。判定部52は、第5計測時間が第2動作時間に達したか否かを判定し、第5計測時間が第2動作時間に達した場合に、機器制御部54は減圧ポンプ32を停止させる。
【0049】
図5は、実施の形態1における制御装置50のハードウェア構成の第1の例を示すブロック図である。実施の形態1の制御装置50は、互いに第1バス40によって接続された処理回路41と第1入出力インターフェース回路42とによって構成可能である。処理回路41は、例えば、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。タイマ群55と記憶部53と判定部52の各機能は、処理回路41によって実現可能である。取得部51と機器制御部54の各機能は、処理回路41と第1入出力インターフェース回路42とによって実現可能である。
【0050】
図6は、実施の形態1における制御装置50のハードウェア構成の第2の例を示すブロック図である。制御装置50は、互いに第2バス44によって接続された、プロセッサ45とメモリ46と第2入出力インターフェース回路47とによって構成可能である。プロセッサ45は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等である。メモリ46は、例えば、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等である。記憶部53による機能はメモリ46によって実現可能である。判定部52による機能は、プロセッサ45がメモリ46に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することによって実現可能である。タイマ群55の機能は、プロセッサ45、または、プロセッサ45およびメモリ46の組み合わせによって実現可能である。なお、制御装置50は、図5に示す構成要素に加え、RTC(Real Time Clock)を有してもよく、タイマ群55の機能を当該RTCによって実現してもよい。取得部51と機器制御部54の各機能は、プロセッサ45とメモリ46と第2入出力インターフェース回路47とによって実現可能である。
【0051】
以下、加熱調理器100の動作について説明する。まず、図1図2を参照し、実施の形態1に係る加熱調理器100の基本動作について説明する。まず、ユーザによって、任意のメニューを調理するのに必要な米、肉、魚、野菜、水および調味料等の材料が容器4内に投入される。その後、容器4が容器収納部3に載置され、外蓋2が閉じられる。これにより、内蓋9の蓋パッキン10が容器4のフランジ部4aに圧接され、容器4内が密閉される。
【0052】
次に、ユーザによる操作表示部35に対する操作によって調理メニューが選択され、図示しない開始スイッチに操作が行われると、調理が開始される。このとき、機器制御部54は、選択された調理メニューでの調理条件を記憶部53から読み出し、読み出した調理条件に基づいて、加熱部5、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、および電磁弁34を制御する。なお、調理条件は、記憶部53に記憶される以外に、ユーザによって操作表示部35に直接設定されてもよい。
【0053】
調理工程において加熱部5には、インバータ部36から高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。発生した高周波磁界によって容器4の底面には渦電流が生じ、渦電流と、渦電流に対する容器4の抵抗とによって、容器4にジュール熱が生じ、内容物が加熱される。
【0054】
なお、加熱調理器100による調理には、減圧調理の他、常圧調理が含まれる。常圧調理は、容器4内を減圧しない状態での調理を指す。加熱調理器100は、選択された調理
メニューの調理条件に基づいて、減圧調理工程または常圧調理工程に移る。
【0055】
減圧調理工程において制御装置50は、電磁弁34を閉状態にし、且つ、三方向電磁弁31を第1開状態にし、減圧ポンプ32に動作を開始させる。そして、制御装置50は、第1動作時間の間、減圧ポンプ32に動作を行わせる。三方向電磁弁31が第1開状態、且つ、電磁弁34が閉状態にある場合における第1動作時間に亘る減圧ポンプ32の動作によって、容器4内の気圧が設定調理圧力に達する。設定調理圧力とは、容器4内の上部空間の気温が設定調理温度である場合の飽和水蒸気圧である。
【0056】
実施の形態1では、第1動作時間の経過後、判定部52は、蓋温度センサ17が検出した気温に基づいて、容器4内の気圧を導出する。そして、判定部52は、容器4内の気圧が、設定調理温度の飽和水蒸気圧である設定調理圧力に達したか否かを判定する。
【0057】
設定調理時間が経過すると、調理は終了し、インバータ部36および減圧ポンプ32の駆動が停止され、加熱および減圧が停止する。また、三方向電磁弁31が第1開状態から第2開状態に切り替えられる。そして、操作表示部35によって、調理終了が報知される。
【0058】
以下、図7図9を参照して、減圧調理が実行される場合における容器4内の気圧と温度の時間変化について説明する。図7は、実施の形態1に係る加熱調理器100の減圧調理工程での容器4内の気圧および温度の時間変化の第1の例を示す図である。図8は、実施の形態1に係る加熱調理器100の減圧調理工程での容器4内の気圧および温度の時間変化の第2の例を示す図である。図9は、実施の形態1に係る加熱調理器100の減圧調理工程での容器4内の気圧および温度の時間変化の第3の例を示す図である。なお、図7では、加熱調理器100が密閉状態にあるものとし、図8図9では、加熱調理器100がリーク状態にあるものとする。また、図8に示す場合での容器4内と外部との間の空気の漏れ度合いよりも、図9に示す場合での容器4内と外部との間の空気の漏れ度合いが大きいとする。
【0059】
図7図9では、加熱部5の動作タイミングと、減圧ポンプ32の動作タイミングと、電磁弁34の動作タイミングと、蒸気排出弁12の状態の時間変化と共に、容器4の温度[℃]の時間変化と、容器4内の上部空間の温度の時間変化[℃]と、容器4内の圧力[atm]の時間変化とが示される。なお、図7図9では、容器4の温度の時間変化を実線の曲線で示し、容器4内の上部空間温度の時間変化を破線の曲線で示している。図7図9に示されるように、減圧調理工程には、上部空間温度を設定調理温度Tまで昇温させる昇温工程と、上部空間温度を設定調理温度Tに維持する温度維持工程とが含まれる。なお、温度維持工程では、上部空間温度は、設定調理温度と等しい温度である必要はなく、設定調理温度から予め定められた範囲内の温度であればよい。
【0060】
図7図9では、時間t0において、インバータ部36によって、加熱部5に電力が供給される。そして、時間t1において容器4の温度が設定調理温度Tに達し、減圧ポンプ32が動作を開始し、且つ、電磁弁34が閉状態になり、減圧調理が開始される。なお、時間t1から第1動作時間tp1が経過するまでの間は、三方向電磁弁31は第1開状態になっている。
【0061】
時間t1以降、容器4内の気圧は低下していく。時間t1において第1タイマ55aと第2タイマ55bによる時間の計測が開始される。時間t2において第1計測時間が第1動作時間tp1に達すると、減圧ポンプ32が動作を停止する。
【0062】
図7では、時間t2の後の時間t3において容器4内の上部空間温度が設定調理温度Tに達する。そして、時間t3において第3タイマ55cおよび第4タイマ55dは時間の計測を開始する。図7では、時間t3以降、設定調理時間tsが経過するまで、加熱部5は、機器制御部54によって、上部空間温度が設定調理温度Tから予め定められた範囲内に収まるよう制御される。すなわち、図7では、加熱調理器100による調理工程は、時間t3において温度維持工程に入る。ここで、図8図9では、時間t3において容器4内の上部空間温度は、設定調理温度Tに達していない。
【0063】
図7図9において時間t4で第2計測時間がリーク判定時間tcに達する。判定部52は、蓋温度センサ17による上部空間温度に基づいてリーク判定を行う。図7に示すようにリークがない場合には、時間t4における上部空間温度は容器4の温度と等しいが、図8図9に示すように、加熱調理器100がリーク状態にある場合には、時間t4における上部空間温度は容器4の温度より低い。
【0064】
判定部52は、時間t4での上部空間温度が設定調理温度T未満である場合には、加熱調理器100がリーク状態にあると判定する。なお、判定部52は、容器4の温度が設定調理温度Tから予め定められた範囲にある状態で、上部空間温度に基づいてリーク判定を行う。すなわち、容器4の温度が設定下限温度T-ΔT以上、且つ、設定上限温度T+ΔT以下である場合に上部空間温度に基づいてリーク判定を行う。なお、設定下限温度とは、設定調理温度Tから予め定められた範囲の温度帯における下限の温度であり、設定上限温度とは、設定調理温度Tから予め定められた範囲の温度帯における上限の温度である。判定部52は、時間t4での上部空間温度が設定調理温度T未満であって、且つ、上部空間温度と設定調理温度Tとの間の温度差が予め定められた第1温度以上である場合に、リークが発生していると判定してもよい。なお、第1温度の絶対値は、設定調理温度Tと設定下限温度との差分であるΔTの絶対値よりも大きい。
【0065】
ここで、リークがない場合、すなわち、容器4の密閉性が高い場合には、容器4内の上部空間温度は、図7に示すように、温度維持工程において設定調理温度Tを中心に脈動する。この容器4の上部空間温度の脈動は、温度維持制御によるものである。すなわち、加熱部5のONとOFFに同期して容器4の温度は、設定下限温度T-ΔT以上、且つ、設定上限温度T+ΔT以下の範囲で脈動し、これに伴って、上部空間温度は、設定調理温度Tを中心に、設定下限温度T-ΔT以上、且つ、設定上限温度T+ΔT以下の範囲で脈動する。また、容器4内の圧力は、容器4の上部空間温度の脈動によって、容器4内の圧力も設定調理圧力Pを中心に脈動する。
【0066】
一方、リークが発生している場合、図8図9に示すように、減圧ポンプ32による減圧が行われても、容器4内に外気が流入するため、上部空間温度は上昇せず、リークが無い場合と比較して、時間t3以降も低い温度に維持される。また、加熱部5のONとOFFによって容器4の温度が脈動しても、上部空間温度は脈動しないか、脈動の振幅が小さい。また、図8図9に示すように、リークがある場合では、時間t4における容器4内の圧力は、図7に示す時間t4での圧力よりも高い。更に、空気の漏れ度合いが大きいほど減圧時の最低圧力が高くなっている。また、減圧ポンプ32の停止後の圧力上昇率が大きくなっている。
【0067】
判定部52によるリーク判定には、リーク判定時間tc経過後における上部空間温度の脈動、すなわち、加熱部5のON、OFFに同期した上部空間温度の上下の有無が用いられてもよい。また、容器4内の上部空間温度が設定調理温度T以上か否かの判定と共に、容器4の上部空間温度の脈動の有無の判定が用いられてもよい。これにより、リーク判定の精度が向上する。
【0068】
図7図9の時間t5において第4計測時間が休止時間trに達し、減圧ポンプ32は動作を再開する。時間t5から第2動作時間tp2が経過するまでは三方向電磁弁31は第1開状態である。時間t5において第5タイマ55eは時間の計測を開始する。時間t6において第5計測時間が第2動作時間tp2に達したため、減圧ポンプ32は停止し、三方向電磁弁31は第2開状態になる。そして、時間t7において第3計測時間が設定調理時間tsに達したため、加熱部5は加熱を停止し、電磁弁34は開状態になる。これにより、大気経路が連通し、容器4内の気圧が大気圧に戻る。
【0069】
図10は、実施の形態1に係る加熱調理器100による減圧調理工程の処理の流れを例示するフローチャートである。図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100による減圧調理工程における減圧処理の流れを例示するフローチャートである。図12は、実施の形態1に係る加熱調理器100による減圧調理工程における温度維持処理の流れを例示するフローチャートである。図13は、実施の形態1に係る加熱調理器100による減圧調理工程における圧力維持処理の流れを例示するフローチャートである。
【0070】
図10のステップS1において、操作表示部35は、ユーザからの調理メニューの選択操作を受け付ける。ステップS2において、操作表示部35は、ユーザの開始スイッチの押下による調理開始指示を受け付ける。ステップS3において機器制御部54は、電磁弁34を閉状態に制御し、且つ、三方向電磁弁31を第1開状態に制御する。そして、機器制御部54は、加熱部5が加熱を行うようインバータ部36を制御し、減圧調理工程での昇温工程を開始する。
【0071】
ステップS4において、判定部52は、鍋底温度センサ6による検出結果に基づき、容器4の温度が設定調理温度以上であるか否かを判定する。容器4の温度が設定調理温度未満である場合(ステップS4:NO)、加熱調理器100は処理をステップS4に留める。容器4の温度が設定調理温度以上である場合(ステップS4:YES)、加熱調理器100は処理をステップS5に移す。ステップS5において制御装置50は、減圧制御、すなわち、減圧ポンプ32への制御を開始する。また、ステップS5において第1タイマ55aと第2タイマ55bは計時を開始する。
【0072】
図11に示す処理は、ステップS5で起動するサブルーチンプログラムによる処理である。ステップS21~ステップS23の処理は、ステップS6以降の処理と並行して実行される。ステップS21において減圧ポンプ32は動作を開始する。ステップS22において、判定部52は、第1計測時間が第1動作時間に達したか否かを判定する。第1計測時間が第1動作時間に達しない間(ステップS22:NO)、加熱調理器100は処理をステップS22に留める。第1計測時間が第1動作時間に達した場合には(ステップS22:YES)、ステップS23において減圧ポンプ32は動作を停止する。
【0073】
図10のステップS6において判定部52は、上部空間温度が設定調理温度以上であるか否かを判定する。上部空間温度が設定調理温度以上である場合には(ステップS6:YES)、ステップS7において制御装置50は、温度維持制御と圧力維持制御とを開始する。すなわち、制御装置50は、上部空間温度を、設定下限温度以上且つ設定上限温度以下に維持するための加熱部5の制御を開始すると共に、容器4内の圧力を大気圧未満に維持するための減圧ポンプ32の制御を開始する。また、第3タイマ55cは計時を開始する。
【0074】
図12に示す処理は、図10のステップS7で起動するサブルーチンプログラムによる処理である。図12に示す処理は、第3計測時間が設定調理時間に達するまで繰り返される。ステップS31において判定部52は、容器4の温度が設定上限温度以上であるか否かを判断する。容器4の温度が設定上限温度未満である場合には(ステップS31:NO)、加熱調理器100は処理をステップS31に留める。容器4の温度が設定上限温度以上である場合には(ステップS31:YES)、加熱調理器100は処理をステップS32に移す。ステップS32において機器制御部54は、インバータ部36を制御し、加熱部5に加熱を停止させる。これにより、容器4の温度が低下する。
【0075】
ステップS33において判定部52は、容器4の温度が設定下限温度以下であるか否かを判定する。容器4の温度が設定下限温度より高い場合には(ステップS33:NO)、加熱調理器100は処理をステップS33に留める。容器4の温度が設定下限温度以下である場合には(ステップS33:YES)、加熱調理器100は処理をステップS34に移す。ステップS34において機器制御部54は、インバータ部36を制御し、加熱部5に加熱を行わせる、これにより、容器4の温度が上昇する。以上のように温度維持制御を行うことにより、容器4の温度を設定調理温度から予め定められた範囲内に維持することができる。
【0076】
図13に示す処理は、図10のステップS7で起動するサブルーチンプログラムによる処理である。図13に示す処理は、第3計測時間が設定調理時間に達するまで繰り返される。なお、図13の処理に先立ち、ステップS23において減圧ポンプ23は動作を停止しているものとする。ステップS41において第4タイマ55dは時間の計測を開始する。ステップS42において判定部52は、第4計測時間が休止時間に達したか否かを判定する。第4計測時間が休止時間に達しない間(ステップS42:NO)、加熱調理器100は処理をステップS42に留める。第4計測時間が休止時間に達した場合には(ステップS42:YES)、ステップS43において減圧ポンプ32は動作を再開する。また、第5タイマ55eは時間の計測を開始する。なお、このとき、第4タイマ55dによって得られた第4計測時間はリセットされる。
【0077】
ステップS44において判定部52は、第5計測時間が第2動作時間に達したか否かを判定する。第5計測時間が第2動作時間に達しない間(ステップS44:NO)、加熱調理器100は処理をステップS44に留める。第5計測時間が第2動作時間に達した場合には(ステップS44:YES)、ステップS45において減圧ポンプ32は停止する。このとき、第5タイマ55eによって得られた第5計測時間はリセットされる。以上のように圧力維持処理によって、容器4内の気圧が大気圧未満に維持される。
【0078】
図10のステップS6において、容器4内の上部空間温度が設定調理温度未満である場合には(ステップS6:NO)、加熱調理器100は処理をステップS8に移す。すなわち、図10に示す例では、容器4内の上部空間温度が設定調理温度に達しない場合には、温度維持制御および圧力維持制御が行われない。また、第3タイマ55cによる計時処理も行われない。
【0079】
ステップS8において判定部52は、第2計測時間がリーク判定時間に達したか否かを判定する。第2計測時間がリーク判定時間に達していないと判定された場合には、加熱調理器100は処理をステップS6に移す。第2計測時間がリーク判定時間tcに達した場合には(ステップS8:YES)、ステップS9において判定部52はリークが発生しているか否かを判定する。
【0080】
リークが発生していない場合には(ステップS9:NO)、ステップS10において判定部52は、設定調理時間が経過したか否かを判定する。すなわち、判定部52は、第3計測時間が設定調理時間に達したか否かを判定する。設定調理時間が経過していない場合には(ステップS10:NO)、加熱調理器100は処理をステップS10に留める。設定調理時間が経過した場合には(ステップS10:YES)、加熱調理器100は処理をステップS12に移す。
【0081】
リークが発生している場合には(ステップS9:YES)、ステップS11において操作表示部35は、加熱調理器100がリーク状態にあるとのエラー、減圧不良が生じているとのエラー、または、減圧不良により調理を停止するとのエラーなどを報知する。
【0082】
ステップS12において機器制御部54は、インバータ部36を制御して加熱部5による加熱を停止させ、電磁弁34を開状態に制御する。そして、加熱調理器100は減圧調理工程を終了する。
【0083】
なお、ステップS6において判定部52は、容器4の上部空空間温度が設定調理温度以上か否かを判定しているが、判定部52は、上部空間温度が、設定調理温度よりも低い温度であって、予め定められた温度以上か否かを判定してもよい。また、ステップS9において判定部52は、リーク判定として、容器4の上部空空間温度が設定調理温度以上か否かを判定することに代え、上部空間温度が、設定調理温度よりも低い温度であって、予め定められた温度以上か否かを判定してもよい。このように、上部空間温度を設定調理温度よりも低い温度と比較することにより、容器4の密閉性が多少悪い状態においても、減圧調理を実行することができる。
【0084】
以上のように、実施の形態1では、容器4内の上部空間温度などに基づいてリーク判定が行われる。そして、リークが発生している場合には、ユーザに対してエラーが報知される。そのため、調理途中でユーザは容器4の密閉性を確認できるので、ユーザが予期しない状態での調理を未然に抑制することができる。
【0085】
以下、実施の形態1に係る加熱調理器100による効果について述べる。実施の形態1に係る加熱調理器100は内容物を加熱調理する。加熱調理器100は、容器4と本体1と蓋体と加熱部5と減圧装置と減圧経路と待機経路と経路切替弁と制御装置50と容器温度検出部と上部空間温度検出部と設定部とを備える。容器4は内容物を収容する。本体1は容器4を収納する。蓋体は容器4を覆う。加熱部5は容器4を加熱する。減圧装置は容器4内を減圧する。減圧経路は、減圧装置が設けられ、且つ、容器4内と加熱調理器100の外部とを連通させる。大気経路は、容器4内と外部とを連通させる。経路切替弁は、減圧装置と容器4との間に設けられ、減圧経路と大気経路のいずれかの経路を容器4に連通させる。制御装置50は、加熱部5、減圧装置、および経路切替弁を制御する。容器温度検出部は容器4の温度を検出する。上部空間温度検出部は、容器4の上部空間の温度である上部空間温度を検出する。設定部は、内容物の調理温度および調理時間を含む調理条件を設定するためのものである。制御装置50は、減圧装置によって容器4内が減圧された状態で、加熱部5によって内容物を加熱する減圧調理工程において、容器温度検出部によって検出された容器4の温度と、上部空間温度検出部によって検出された上部空間温度と、設定部を介して設定された調理条件とに基づいて、リークの発生の有無を判定する。
【0086】
上記構成によれば、加熱調理器100は、圧力センサを備えなくても、容器4の密閉不良を検出することができ、製造コストを低減することができる。なお、従来のように、圧力センサが設置される場合には、容器4に連通する減圧経路にシール箇所を設ける必要がある。シール箇所が多いほど、密閉不良が発生するリスクが高くなる。実施の形態1では、加熱調理器100が圧力センサを備えない構成であることにより、シール箇所の数を減少させ、結果として密閉不良の発生のリスクを低減することができる。
【0087】
実施の形態1における制御装置50は、減圧調理工程において、減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた判定時間後の上部空間温度が、設定部を介して設定された調理条件が含む設定調理温度に対し、予め定められた第1温度以上低い場合には、リークが発生していると判定する。これにより、圧力センサを備えなくても、容器4の密閉不良を検出することが可能になるため、製造コストを低減することができる。
【0088】
実施の形態1における制御装置50は、減圧調理工程において、減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた第1動作時間後の上部空間温度が、加熱部5の加熱動作と、加熱動作の停止との各タイミングに同期して予め定められた第2温度以上増減しない場合に、リークが発生していると判定する。これにより、圧力センサを備えなくても、容器4の密閉不良を検出することが可能になるため、製造コストを低減することができる。
【0089】
実施の形態1における制御装置50は、減圧調理工程において、減圧装置が動作を開始した時点から予め定められた判定時間後の上部空間温度が、設定部を介して設定された調理条件が含む設定調理温度に対し、予め定められた第1温度以上低い場合であって、且つ、減圧装置が動作を開始した時点から第1動作時間後の上部空間温度が、加熱部5の加熱動作と、加熱動作の停止との各タイミングに同期して予め定められた第2温度以上増減しない場合に、リークが発生していると判定する。これにより、精度良くリークの発生の有無を判定することができる。
【0090】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る加熱調理器100について説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1における構成要素と同様の構成要素に対し、同一の符号を付すものとする。また、実施の形態2において、実施の形態1における構成と同様の構成、および、実施の形態1における機能と同様の機能等については、特段の事情がない限り説明を省略する。
【0091】
図14は、実施の形態2に係る加熱調理器100による減圧調理工程の処理の流れを例示するフローチャートである。実施の形態2では、リークが発生した後の処理が実施の形態1とは異なる。加熱調理器100の構成は、実施の形態1で説明した通りである。
【0092】
ステップS51~ステップS60までの処理は、上述のステップS1~ステップS10の処理と同様である。また、ステップS62の処理は、ステップS12の処理と同様である。ステップS59においてリークが発生している判定された場合(ステップS59:YES)、ステップS61において機器制御部54は、大気経路が連通するよう電磁弁34を開状態に切り替え、圧力維持制御を停止する。これにより、容器4内に外部の空気が流入し、容器4内の圧力が大気圧に戻る。また、機器制御部54は、設定調理温度と設定調理時間の調理条件を変更して調理を継続する。これにより、減圧調理を常圧調理に変更した代替調理が行われる。調理条件の変更方法については後述する。
【0093】
また、機器制御部54は、ステップS61において、リークが発生していること、または、減圧不良が生じたことと、調理工程を減圧調理から常圧調理に変更したこととを示す情報を報知するよう操作表示部35を制御してもよい。
【0094】
ステップS61において、調理条件の変更が行われる。容器4内の気圧が大気圧の状態となり、調理制御が減圧調理制御から常圧調理制御に切り替わる。なお、減圧調理の条件で設定された設定調理温度および設定調理時間のまま、常圧調理制御に切り替わると、食材の加熱が不十分となる場合がある。例えば、減圧調理において設定調理温度が60[℃]で、設定調理時間が40[分]の場合、容器4内は減圧低温沸騰が維持された状態で調理されるが、容器4内が大気圧になると、沸騰しなくなり食材への熱伝達効率が低下する。特に、食材の水分に浸っていない部分への水蒸気による熱伝達が低下するため、食材に加わる熱量が減少する。そこで、制御装置50は、常圧調理制御に切り替える場合に、設定調理温度を高くする、もしくは設定調理時間を長くする、またはその両方を行うことにより、減圧調理制御において食材に加える熱量と同等もしくは同等以上の加熱を行うように設定する。このように、調理条件を変更することにより、非沸騰の常圧調理でもしっかりと食材を加熱することができる。
【0095】
なお、ステップS61において制御装置50は、容器4内の圧力が大気圧となるよう、電磁弁34を開状態に制御することに代え、電磁弁34を開状態には切り替えず、また圧力維持制御を継続した状態で調理条件を変更してもよい。この場合、容器4内の圧力が、設定された調理条件での減圧調理には不十分な減圧状態であっても、大気圧以下に維持できる場合、制御装置50は、容器4の密閉性の度合いに応じて減圧調理の調理条件に変更してもよい。
【0096】
例えば、判定部52のリーク判定において、容器4内の上部空間温度と設定調理温度との温度差、および、容器4の上部空間温度の脈動幅により、リーク判定後の調理条件を変更してもよい。なお、脈動幅とは、図7で示した脈動の振幅を指す。具体的には、当該温度差が大きく、脈動幅が小さいほど、設定調理温度を高くする。当該温度差が例えば10[℃]などと大きく、脈動がない場合には、調理設定温度を約20[℃]高くしてもよい。また、当該温度差が例えば5[℃]などと中程度であって、脈動幅が例えば2[℃]などと中程度の場合、調理設定温度を10[℃]高くしてもよい。あるいは、当該温度差が約2[℃]などと小さく、脈動幅が例えば5[℃]などと大きい場合、調理設定温度の変更値を約5[℃]高くしてもよい。このように、調理条件を変更することにより、容器4の密閉性に応じて減圧調理を継続することができる。
【0097】
以上のように、実施の形態2では、減圧調理工程の温度維持工程において、容器4内の上部空間温度に基づいてリーク判定が行われる。そして、リークが発生しても、温度維持工程において、調理条件を変更して調理を完遂することができる。
【0098】
以下、実施の形態2に係る加熱調理器100による効果について述べる。実施の形態2における制御装置50は、リークが発生している場合には、設定部を介して設定された調理条件を変更し、変更後の調理条件に基づいて加熱調理を行うよう、加熱部5、減圧装置、および経路切替弁を制御する。これにより、リークの発生が検出された場合でも、加熱調理が継続される。従って、ユーザは設定部を介した再設定を行う必要がなく、利便性の向上が図られる。
【0099】
実施の形態2における制御装置50は、調理条件を変更する場合には、減圧装置を停止させ、且つ、大気経路と容器4内とを連通させるよう経路切替弁を制御すると共に、減圧調理工程における調理条件を、容器4内の気圧が大気圧である場合での内容物の調理工程である常圧調理工程の調理条件に変更する。これにより、加熱調理器100は、減圧調理を常圧調理に変更し、調理を完遂することができる。
【0100】
実施の形態2における制御装置50は、減圧調理工程での調理条件を常圧調理工程での調理条件に変更する場合には、変更後の調理条件に基づく常圧調理工程で内容物に加えられる熱量が、容器4内の減圧状態が正常である場合での減圧調理工程で内容物に加えられる熱量と等しくなるよう調理条件を変更する。これにより、調理条件を変更しても、リークがない場合での減圧調理と同等の仕上がりとすることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 本体、2 外蓋、3 容器収納部、4 容器、4a フランジ部、5 加熱部、6 鍋底温度センサ、7 圧縮バネ、8 取っ手部、9 内蓋、10 蓋パッキン、11 蒸気孔、12 蒸気排出弁、13 カートリッジ、14 蒸気排出口、15 カートリッジパッキン、16 センサ孔、17 蓋温度センサ、18 蓋温度センサパッキン、19a 第1内蓋通気孔、19b 第2内蓋通気孔、20a 第1外蓋通気孔、20b 第2外蓋通気孔、21a、21b、21c、21d、21e、21f 連通管、22a、22b 経路パッキン、31 三方向電磁弁、32 減圧ポンプ、34 電磁弁、35 操作表示部、36 インバータ部、40 第1バス、41 処理回路、42 第1入出力インターフェース回路、44 第2バス、44d 第4タイマ、45 プロセッサ、46 メモリ、47 第2入出力インターフェース回路、50 制御装置、51 取得部、52 判定部、53 記憶部、54 機器制御部、55 タイマ群、55a 第1タイマ、55b 第2タイマ、55c 第3タイマ、55d 第4タイマ、55e 第5タイマ、100 加熱調理器、P 設定調理圧力、T 設定調理温度、T-ΔT 設定下限温度、T+ΔT 設定上限温度、tc リーク判定時間、tp1 第1動作時間、tp2 第2動作時間、tr 休止時間、ts 設定調理時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14