(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151736
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】サンプル含有液作成デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20241018BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01N1/04 V
G01N1/04 H
G01N1/04 G
G01N33/48 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065372
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】519367935
【氏名又は名称】ピコテクバイオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳則
(72)【発明者】
【氏名】山中 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 伸一
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA22
2G045CB04
2G045HA06
2G052AA28
2G052AB16
2G052AD12
2G052BA19
2G052CA02
2G052CA16
2G052DA12
2G052DA13
2G052DA22
2G052FB02
2G052FB08
2G052JA04
2G052JA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サンプルを含むサンプル含有液を衛生的に作成できるようにする。
【解決手段】サンプル採取器具は、持ち手部、及び前記持ち手部の先端から延伸するように設けられた採取部を有し、前記採取部は、前記持ち手部の前記先端よりも細い細軸を有し、前記採取部の前記細軸の周囲に前記サンプルを付着させて採取する。前記サンプル含有液作成デバイスは、デバイス本体と前記デバイス本体に対して着脱可能なキャップとを備え、前記デバイス本体は、前記サンプルと前記液とを混和するための混和空間と、前記サンプル採取器具の前記採取部の前記細軸よりも大きく開口して前記混和空間に通じ、前記採取部を外部から前記混和空間内へ先端から挿し込むための挿し込み口と、前記挿し込み口と別の位置に設けられ、前記混和空間から前記サンプル含有液を取り出すための取出し口と、を備え、前記キャップは前記取出し口を封止するように前記デバイス本体に対して装着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル採取器具で採取したサンプルを液と混和させてサンプル含有液を作成するためのサンプル含有液作成デバイスであって、
前記サンプル採取器具は、持ち手部、及び前記持ち手部の先端から延伸するように設けられた採取部を有し、前記採取部は、前記持ち手部の前記先端よりも細い細軸を有し、前記採取部の前記細軸の周囲に前記サンプルを付着させて採取するものであり、
前記サンプル含有液作成デバイスは、デバイス本体と前記デバイス本体に対して着脱可能なキャップとを備え、
前記デバイス本体は、
前記サンプルと前記液とを混和するための混和空間と、
前記サンプル採取器具の前記採取部の前記細軸よりも大きく開口して前記混和空間に通じ、前記採取部を外部から前記混和空間内へ先端から挿し込むための挿し込み口と、
前記挿し込み口と別の位置に設けられ、前記混和空間から前記サンプル含有液を取り出すための取出し口と、を備え、
前記キャップは前記取出し口を封止するように前記デバイス本体に対して装着されている、サンプル含有液作成デバイス。
【請求項2】
前記キャップは容器型であり、前記取出し口を下方に向けて前記デバイス本体から取り外すことにより、前記混和空間内で作成した前記サンプル含有液を前記キャップに入れた状態で前記混和空間から取り出すことができるように構成されている、請求項1に記載のサンプル含有液作成デバイス。
【請求項3】
前記サンプル採取器具の前記採取部が前記挿し込み口から前記混和空間内に挿入されて前記持ち手部の先端部が前記挿し込み口の手前で前記デバイス本体と接することで前記挿し込み口が封止される構造を有する、請求項1に記載のサンプル含有液作成デバイス。
【請求項4】
前記サンプル採取器具の前記採取部は、前記細軸を中心に放射状に伸びる複数の毛が設けられて前記サンプルを保持するためのブラシ部を構成しており、
前記挿し込み口は前記ブラシ部の外径よりも小さい内径を有し、前記採取部が前記挿し込み口を通過する際に、前記採取部の前記ブラシ部の中心部に付着したサンプルのみを前記採取部に残存させるように構成されている、請求項1に記載のサンプル含有液作成デバイス。
【請求項5】
前記デバイス本体は、前記挿し込み口を挟んで前記混和空間とは反対側の位置に、前記挿し込み口の内径よりも大きく前記採取部の前記ブラシ部の外径よりも小さい外径を有する第2の挿し込み口を備え、前記採取部が前記第2の挿し込み口を通過する際に、前記採取部の前記ブラシ部の外周部に付着したサンプルが前記第2の挿し込み口の縁で剥ぎ取られるように構成されている、請求項4に記載のサンプル含有液作成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便の表面を拭った採取物やプラークなどをサンプルとして含有するサンプル含有液を作成するためのサンプル含有液作成デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
歯間ブラシのようなブラシ状の採取部を有する試料採取器具を使用してプラーク、排泄物といったサンプルを採取し、PCR等の検査や分析を行なう場合がある。検査や分析に供するサンプルの定量性を高めるために、試料採取器具の採取部の外径よりも内径の小さい穴に採取部を通して採取部に付着した余分なサンプルを剥ぎ取ることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サンプルの検査や分析は、サンプルを液と混和した状態で行なわれることが多い。そのため、試料採取器具の採取部を液に浸けて混ぜる必要があるが、その際に作業者の手がサンプルに触れたりサンプルが飛散したりする恐れがある。そのため、サンプルと液とを混和する作業は慎重に行なわれる必要がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サンプルを含むサンプル含有液を衛生的に作成できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るサンプル含有液作成デバイスは、サンプル採取器具で採取したサンプルを液と混和させてサンプル含有液を作成するためのサンプル含有液作成デバイスである。前記サンプル採取器具は、持ち手部、及び前記持ち手部の先端から延伸するように設けられた採取部を有し、前記採取部は、前記持ち手部の前記先端よりも細い細軸を有し、前記採取部の前記細軸の周囲に前記サンプルを付着させて採取するものである。前記サンプル含有液作成デバイスは、デバイス本体と前記デバイス本体に対して着脱可能なキャップとを備え、前記デバイス本体は、前記サンプルと前記液とを混和するための混和空間と、前記サンプル採取器具の前記採取部の前記細軸よりも大きく開口して前記混和空間に通じ、前記採取部を外部から前記混和空間内へ先端から挿し込むための挿し込み口と、前記挿し込み口と別の位置に設けられ、前記混和空間から前記サンプル含有液を取り出すための取出し口と、を備え、前記キャップは前記取出し口を封止するように前記デバイス本体に対して装着されている。
【0007】
本発明に係るサンプル含有液作成デバイスにおいて、前記キャップは容器型であってもよく、前記取出し口を下方に向けて前記デバイス本体から取り外すことにより、前記混和空間内で作成した前記サンプル含有液を前記キャップに入れた状態で前記混和空間から取り出すことができるように構成されていてもよい。このような構成にすれば、サンプル含有液の取出しが容易である。
【0008】
また、本発明に係るサンプル含有液作成デバイスにおいて、前記サンプル採取器具の前記採取部が前記挿し込み口から前記混和空間内に挿入されて前記持ち手部の先端部が前記挿し込み口の手前で前記デバイス本体と接することで前記挿し込み口が封止されるように構成されていてもよい。このような構成により、前記挿し込み口に前記サンプル採取器具の前記採取部を挿し込んだ状態で当該デバイスを傾けたり振ったりしても前記混和空間内の液が前記挿し込み口から漏れなくなり、サンプルと液とを前記混和空間内で衛生的かつ容易に混和することができる。
【0009】
また、本発明に係るサンプル含有液作成デバイスにおいて、前記サンプル採取器具の前記採取部は、前記細軸を中心に放射状に伸びる複数の毛が設けられて前記サンプルを保持するためのブラシ部を構成しており、前記挿し込み口は前記ブラシ部の外径よりも小さい内径を有し、前記採取部が前記挿し込み口を通過する際に、前記採取部の前記ブラシ部の中心部に付着したサンプルのみを前記採取部に残存させるように構成されていてもよい。このような構成にすれば、前記混和空間に挿入された前記採取部に保持されるサンプルの量が均一化されるので、前記混和空間内で作成されるサンプル含有液に含まれるサンプルの定量性が向上する。
【0010】
上記の場合において、前記デバイス本体は、前記挿し込み口を挟んで前記混和空間とは反対側の位置に、前記挿し込み口の内径よりも大きく前記採取部の前記ブラシ部の外径よりも小さい外径を有する第2の挿し込み口を備え、前記採取部が前記第2の挿し込み口を通過する際に、前記採取部の前記ブラシ部の外周部に付着したサンプルが前記第2の挿し込み口の縁で剥ぎ取られるように構成されていてもよい。そうすれば、前記採取部を前記混和空間へ挿入する際に、前記挿し込み口の手前の前記第2の挿し込み口の縁で前記採取部の前記ブラシ部の外周部に過剰に付着したサンプルを剥ぎ取ることができる。これにより、前記採取部の前記ブラシ部の外周に大量のサンプルが過剰に付着していた場合にも、そのような大量の過剰なサンプルを前記挿し込み口の手前で前記採取部から予め除去することができるので、前記採取部を前記挿し込み口に通過させる際に余分なサンプルが除去しきれないで前記採取部に残ることが防止され、前記混和空間内で作成されるサンプル含有液に含まれるサンプルの定量性をより確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサンプル含有液作成デバイスによれば、サンプル採取器具の採取部を挿し込み口から混和空間内へ挿し込んで混和空間内でサンプルと液との混和を行なうことができるので、衛生的にサンプル含有液の作成が可能である。さらに、挿し込み口とは別の位置に、前記混和空間からサンプル含有液を取り出すための取出し口がデバイス本体に設けられ、前記取出し口を封止するようにデバイス本体に対してキャップが装着されているので、前記混和空間内で作成した前記サンプル含有液を前記キャップの取り外しだけで容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】サンプル含有液作成デバイスの一実施例の外観図である。
【
図2】同実施例において器具挿入口からサンプル採取器具を挿入する前の状態を示す断面図である。
【
図3】同実施例において器具挿入口からサンプル採取器具を挿入した状態を示す断面図である。
【
図4】同実施例においてサンプルと液とを混和させている状態の一例を示す断面図である。
【
図5】同実施例においてサンプルを混和空間から取り出した状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るサンプル含有液作成デバイスの一実施例について説明する。
【0014】
図1に示されているように、サンプル含有液作成デバイス1は、デバイス本体2と、キャップ4と、を備えている。
【0015】
デバイス本体2は、両端が開口した円筒形状の部材である。一端側(図において左側)の開口は器具挿入口8であり、他端側(図において右側)の開口は取出し口14である。デバイス本体2の内部にはサンプルと液とを混和するための混和空間6が設けられている。
【0016】
キャップ4は、内部に液を収容することができる空間18を有する容器型の部材であり、開口16にデバイス本体2の他端を収容するようにしてデバイス本体2の他端に着脱可能に装着される。デバイス本体2の他端にキャップ4が装着されることにより、取出し口14が封止される。なお、この実施例では、キャップ4がデバイス本体2に対してネジの螺合によって脱着されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、デバイス本体2の他端にキャップ4を被せるだけの構造であってもよい。
【0017】
取出し口14は混和空間6内で作成されたサンプル含有液を取り出すための開口であり、混和空間6に直接的に通じている。一方で、器具挿入口8の奥には器具挿入口8よりも内径の小さい挿し込み口10と挿し込み口12(第2の挿し込み口)が設けられており、器具挿入口8は挿し込み口10及び12を介して混和空間6に通じている。
【0018】
図2に示されているように、デバイス本体2の器具挿入口8は、サンプル採取器具100を混和空間6へ向けて挿入するための開口である。サンプル採取器具100は、持ち手部102及び採取部104を有する部材である。採取部104は、持ち手部102の先端部から延伸するように設けられた持ち手部102の先端部よりも細い細軸104と、細軸104の外周面から周方向へ放射状に設けられた複数の毛108と、を備えたブラシ状の部分である。サンプル採取器具100としては、例えば一般的な歯間ブラシが挙げられる。細軸104は例えば金属製であり、毛108は例えば樹脂製である。
【0019】
デバイス本体2の器具挿入口8は、サンプル採取器具100の持ち手部102が挿入可能なように大きく開口している。一方で、挿し込み口10及び12は器具挿入口8に比べて内径が小さくなっている。挿し込み口10及び12の内径は、試料採取器具100の採取部104の細軸106の外径よりも大きいものの、採取部104のブラシ部分の外径(毛108の先端から反対側の毛108の先端までを直径とする)よりも小さくなっている。例えば、挿し込み口10の内径は細軸106の外径の1.5倍程度であり、挿し込み口12の内径は細軸106の外径の3倍程度である。
【0020】
図3に示されているように、サンプル含有液作成デバイス1は、サンプルと混和させる液(水、緩衝液、酵素水など用途に応じて選択される)を混和空間6内に入れてキャップ4をデバイス本体2に装着した状態で、サンプル採取器具100を器具挿入口8から挿入して採取部104を混和空間6内へ挿し込んで使用する。採取部104を混和空間6内へ挿し込む際、採取部104が採取部104のブラシ部分の外径よりも小さいの内径の挿し込み口12を通過した後でさらに挿し込み口10を通過する。採取部104が挿し込み口12を通過する際、採取部104のブラシ部分の外周部に付着したサンプルが挿し込み口12で剥ぎ取られる。さらに、採取部104が挿し込み口10を通過する際、採取部104の中心付近に付着したサンプル以外のサンプルが挿し込み口10の縁で剥ぎ取られる。その結果、混和空間6内へ挿し込まれる採取部104には、中心付近の一定量のサンプルのみが保持され、混和空間6で液と混和されるサンプルの定量化が図られる。
【0021】
サンプル採取器具100の採取部104の外周部に大量のサンプルが付着していた場合に、挿し込み口12がないと挿し込み口10の縁で余分なサンプルを採取部104から除去しきれないといった事態も生じ得るが、挿し込み口10の手前に挿し込み口12が設けられていることで、混和空間6に挿入される採取部104に残存するサンプル量の均一性が保持される。
【0022】
器具挿入口8側から見たデバイス本体2の内周面は、挿し込み口10に向けて内径が徐々に小さくなっている。このため、採取部104を混和空間6内へ挿し込んだ状態では、サンプル採取器具100の持ち手部102の外周(図では先端部外周)がデバイス本体2の内周面と当接し、挿し込み口10を封止した状態となる。
【0023】
上記のように、一定量のサンプルを保持した採取部104を混和空間6内へ挿し込んだ後、
図4に示されているように、サンプル含有液作成デバイス1を転倒させて採取部104を液に浸漬させ、さらにはサンプル含有液作成デバイス1を振とうさせるなどすることで、混和空間6内において採取部104に付着していたサンプルが液と混和され、サンプル含有液が作成される。
【0024】
混和空間6内でサンプル含有液を作成した後、
図5に示されているように、キャップ4が下端にくるようにサンプル含有液作成デバイス1を再び転倒させ、キャップ4をデバイス本体2から取り外すことで、サンプル含有液をキャップ4に収容した状態で混和空間6から取り出すことができる。
【0025】
以上において説明したサンプル含有液作成デバイス1は、歯間ブラシにより採取したプラークだけでなく、血液、土壌、果実、糞尿、配管内部の汚染物質などをサンプルとして扱うことができる。上記実施例ではサンプル採取器具100の採取部104がブラシ状であるが、必ずしもブラシ状の採取部を有するサンプル採取器具を使用する必要はなく、毛のない棒状の採取部を有するサンプル採取器具に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 サンプル含有液作成デバイス
2 デバイス本体
4 キャップ
6 混和空間
8 器具挿入口
10 挿し込み口
12 第2の挿し込み口
14 取出し口
16 キャップの開口
18 キャップの内部空間
100 サンプル採取器具
102 持ち手部
104 採取部
106 細軸
108 毛