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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151746
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 59/042 20060101AFI20241018BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01B59/042 A
A01D34/64 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065389
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】船水 洸
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
【テーマコード(参考)】
2B041
2B083
【Fターム(参考)】
2B041AA06
2B041AB05
2B041AC09
2B041CA03
2B041CA17
2B041CC02
2B041CC09
2B083AA01
2B083BA06
2B083BA12
2B083BA16
2B083CA09
2B083CA30
2B083DA02
2B083GA01
2B083HA03
2B083HA07
2B083HA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】平行リンク機構の動作規制部の構成を簡素にしながら、規制部による規制状態を確実におこなうことが可能な作業機を提供する。
【解決手段】作業部11を、作業部11の格納位置である第1位置から作業部11の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームを設けた平行リンク機構21を備える。一対のアーム24、25のうち一方の第1アーム24の中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設けたストッパ26と、一対のアームのうち他方の第2アーム25の中間部にストッパ26の他端側が当接可能に設けた受部271と、を備える。ストッパ26は展開位置において受部271に当接することでストッパ26の一端側と受部271とが互いに近接する方向への移動を規制する作業機A。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業部を、作業部の格納位置である第1位置から作業部の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームを設けた平行リンク機構を、備え、
前記一対のアームのうち一方のアームの中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設けたストッパと、
前記一対のアームのうち他方のアームの中間部に前記ストッパの他端側が当接可能に設けた受部と、を備え、
前記ストッパは前記展開位置において前記受部に当接することで前記ストッパの一端側と前記受部とが互いに近接する方向への移動を規制する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項2】
作業部を、作業部の格納位置である第1位置から作業部の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームを設けた平行リンク機構を、備え、
前記一対のアームのうち一方のアームの中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設けたストッパと、
前記一対のアームのうち他方のアームの中間部に前記ストッパの他端側が当接可能に設けた受部と、を備え、
前記ストッパは前記収納位置にすることで、前記ストッパと前記受部との当接を回避して前記ストッパの一端側と前記受部とが互いに近接する方向への移動の規制を解除する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項3】
前記ストッパと前記受部との当接面積は、前記ストッパの最小断面積より小さい、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記ストッパが前記受部に当接した状態において、前記ストッパの長尺方向と前記受部との当接面は傾斜させて設ける、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業部を、平行リンクによりオフセット移動可能なオフセット作業機が、特許文献1で知られている。
このオフセット作業機は、平行リンクを構成する2つのアームにそれぞれ互いに突出部を互いの位置をずらして設けることによって、平行リンクの回動を規制するストッパとして用いるものである。ストッパとしての突出部により、平行リンクの回動を規制の部材を簡素に構成する、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-44884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、平行リンクを回動駆動させる場合に、シリンダを適用して作動させる、とされる。
しかし、シリンダを駆動させる流体回路に圧力喪失等の不具合の発生や、機械構造上発生し得るシリンダの内部リーク等によってシリンダが意図せずに伸縮する状況においては、シリンダの両端位置が定まらずに平行リンクは自由に回動する状況が発生し得るため、作業部が揺動自在となるおそれがある。
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、平行リンク機構の動作規制部の構成を簡素にしながら、規制部による規制状態を確実におこなうことが可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、
作業部を、作業部の格納位置である第1位置から作業部の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームを設けた平行リンク機構を、備え、
前記一対のアームのうち一方のアームの中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設けたストッパと、
前記一対のアームのうち他方のアームの中間部に前記ストッパの他端側が当接可能に設けた受部と、を備え、
前記ストッパは前記展開位置において前記受部に当接することで前記ストッパの一端側と前記受部とが互いに近接する方向への移動を規制する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0006】
この発明は、
作業部を、作業部の格納位置である第1位置から作業部の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームを設けた平行リンク機構を、備え、
前記一対のアームのうち一方のアームの中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設けたストッパと、
前記一対のアームのうち他方のアームの中間部に前記ストッパの他端側が当接可能に設けた受部と、を備え、
前記ストッパは前記収納位置にすることで、前記ストッパと前記受部との当接を回避して前記ストッパの一端側と前記受部とが互いに近接する方向への移動の規制を解除する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記ストッパと前記受部との当接面積は、前記ストッパの最小断面積より小さい、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記ストッパが前記受部に当接した状態において、前記ストッパの長尺方向と前記受部との当接面は傾斜させて設ける、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、平行リンク機構の動作規制部の構成を簡素にしながら、規制部による規制状態を確実におこなうことが可能な作業機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施例に係る作業機の平面図であって、作業部が格納位置であって、作業部の格納位置である第1位置にある。
図2】この発明の実施例に係る作業機の側面図であって、作業部が格納位置であって、作業部の格納位置である第1位置にある。
図3】この発明の実施例に係る作業機の側平面図であり、作業部が展開位置であって、作業部の展開位置である第2位置にある。
図4】この発明の実施例に係る作業機の要部拡大平面図であって、作業部が格納位置であって、作業部の格納位置である第1位置にある。
図5】この発明の実施例に係る作業機の図4のC-C断面図であって要部側面図であり、作業部が格納位置であって、作業部の格納位置である第1位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係る作業機の実施例の機械構造について、図に基づき、説明する。
Aは作業機である。11は、作業機Aに設ける作業部である。
以下、機体概要について説明する。
実施例に示す作業機Aは、走行機体(トラクタ 図示せず)の後方の3点リンク機構に作業機Aの装着部B1を装着して使用する。装着部B1は図示しない正面視において門形状のフレームであり、この後方に作業部11を配置する。作業部11は作業機Aが有する作業部11は、走行機体に対して左右に移動可能に設けられていて、走行機体の左右のいずれか一方の側方に突出させて、自由に移動させて作業が可能に設けている。実施例における作業部11は、走行機体の進行方向に対する幅方向の右側方に突出するものとして説明するが、突出する方向に限定はなく、例えば左側方であってもよい。
【0012】
41はドライブシャフト、42は変速部、43は伝動ケースである。作業機Aは走行機体から動力を受領する。具体的には走行機体のPTO軸からドライブシャフト41で、駆動力を取り出し、変速部42、伝動ケース43を介して、この動力を作業部11に伝達することで、作業部11に配した刈刃111が回転駆動して地表の草を刈る。
この発明の実施例での作業部11は草刈りをする作業部11として説明するが、作業部11の作業内容に限定はない。例えば、耕耘装置、溝形成装置、畦形成装置、地表管理装置等の作業部11を有していてもよい。
【0013】
21は、平行リンク機構である。
平行リンク機構21は作業部11を、走行機体の側方に突出させるためのオフセット機構として、用いる。平行リンク機構21によって、作業部11をオフセットさせる際に、作業部11は進行方向に対して向きを左右に変更することなく、所望する位置に移動させて作業が可能である。
平行リンク機構21は、第1アーム24と第2アーム25を設ける。第1アーム24と第2アーム25は、作業部11を、図1に図示する作業部11の格納位置である第1位置から、図3に図示する作業部11の展開位置である第2位置まで移動可能にする、互いに間隔を置いて配置した一対のアームである。
【0014】
平行リンク機構21は、基部22と、第1アーム24および第2アーム25と、連結部23と、を備える。
基部22は、装着部B1の左右のいずれか一端側に設ける。第1アーム24および第2アーム25は、基部22に左右に間隔を置いて配置しそれぞれ回動自在に設ける一対のアームである。連結部23は、第1アーム24および第2アーム25の他端を連結するとともに第1アーム24および第2アーム25を平行に維持し、作業部11とを連結する。
平行リンク機構21は、さらに、第1アーム24の中間部に一端側を回動自在に連結して後方側を自由端に配したストッパ26と、第2アーム25の中間部にストッパ26の他端側(自由端側)が当接可能に設けた受部271と、を備えている。
【0015】
基部22、連結部23について説明する。
基部22は、装着部B1の左右のいずれか一端側である右端部の下部に設ける。連結部23は、作業部11の左右のいずれか一端側である左端部に設ける。基部22および連結部23は側面視において、互いに対向させたコ字状に設けている。
図示は省略するが、基部22の上部は進行方向に対する左右に向けて配した支点軸によって装着部B1に連結していて、基部22は装着部B1に対して上下に回動可能にすることもできる。この場合、基部22より後方に位置する作業部11が装着部B1に対して上下に移動可能となるため、作業部11は地面の起伏に沿って上下動することができる。
【0016】
作業部11と連結する連結部23の後部は、作業部11を回動自在にさせる前後方向の前後軸233を設け、作業部11はシリンダ27等を用いて前後軸233を支点に上下方向に回動可能にしてもよい。この場合、地面の傾斜に沿って作業部11を傾斜させることができるので、より地面へ沿った作業が可能となる。
【0017】
第1アーム24、第2アーム25について説明する。
基部22および連結部23をかけ渡すように、長尺部材である第1アーム24および第2アーム25を配置する。
この発明の実施例では、第1アーム24および第2アーム25は、断面矩形の長尺材を用いる。第1アーム24および第2アーム25は、基部22および連結部23の左右方向に間隔を置いて互いに平行に配置し、それぞれの端部を基部22については回動軸221,222、連結部23については回動軸231,232によって基部22および連結部23に対してそれぞれ回動自在に取り付ける。
【0018】
平行リンク機構21について説明する。
基部22、連結部23、第1アーム24、第2アーム25で平行リンク機構21を形成することで、図1図3に図示するように、連結部23およびこれに連結する作業部11は、平面視、装着部B1に対して、進行方向左右方向に移動可能となる。
すなわち、作業部11は図1に図示する走行機体の後方に位置した状態である格納位置から、図3に図示する走行機体の左右いずれか一方側に突出させる位置である展開位置まで自由に移動させることができる。
なお、格納位置を第1位置、展開位置を第2位置と呼称する場合がある。
【0019】
平行リンク機構21にはシリンダ27を備える。シリンダ27は、基部22の左右中央部であって、第1アーム24と、第2アーム25の間にシリンダ27の基端部を連結する。シリンダ27は、先端を第2アーム25の中間部であって第1アームと対向する面に設けた取付部272に連結する。シリンダ27の先端側であるロッドを伸縮動作させることで、第2アーム25は基部22に対して、平面視における左右方向に回動させることができる。
すなわち、シリンダ27の伸縮動作によって、連結部23およびこれに連結する作業部11は、装着部B1に対して、進行方向に対する左右の所望する位置に配置させることが可能となる。実施例では、シリンダ27を短縮動作させると作業部11が走行機体に対して側方に向かって移動し作業部11の展開動作をおこなう。シリンダ27を伸長動作させると作業部11が走行機体の後方に向かって移動し、作業部11の格納動作をおこなう。
【0020】
ストッパ26、受部271について説明する。
ストッパ26は、一対のアームである第1アーム24と第2アーム25のうち一方のアームの中間部に一端側を展開位置と収納位置との間で回動自在に設ける。ストッパ26の収納位置とは、第1アーム24の長手方向とほぼ平行になるようにストッパ26の他端側を連結部側に向けて配置した位置を言い、ストッパ26の展開位置とは、第1アーム24の長手方向とは左右方向に傾斜角度をつけるようにストッパ26の他端側を第2アーム25側に向けて配置した位置を言う。
ストッパ26はストッパ26の展開位置において、他端側が受部271に当接することでストッパ26の一端側と受部271とが互いに近接する方向への移動を規制する。
ストッパ26は収納位置にすることで、ストッパ26と受部271との当接を回避してストッパ26の一端側と受部271とが互いに近接する方向への移動の規制を解除する。
ストッパ26と受部271との当接面積は、ストッパ26の最小断面積より小さい。
ストッパ26が受部271に当接した状態において、ストッパ26の長尺方向と受部271との当接面264は傾斜させて設ける。
【0021】
第1アーム24の中間部で、第2リンクと対向する側にストッパ26を設ける。ストッパ26は第2アーム25より短い長尺の部材であり、一端側を第1アーム24の中間部に回動自在に設け、他端側を後方に向けた自由端にして配置する。実施例ではストッパ26は、断面丸形状のパイプを使用しているが、断面形状に限定はない。この発明の実施例の説明において、ストッパ26の一端側の回動支点は、ストッパ支点261と呼称することがある。
【0022】
ストッパ26は、第1アーム24の長手方向に沿ってほぼ平行に配置した収納位置と、第1アーム24の中間部から、一端側を支点に回動させて、平面視、第1アーム24の長手方向に対して傾斜させた展開位置との間で回動自在に設けている。
ストッパ26が収納位置のとき、平行リンク機構21が自由に回動可能な規制解除状態を形成し、ストッパ26が展開位置のとき、ストッパ26の自由端側が後述の受部271に当接することによって、平行リンク機構21の回動動作が規制される規制状態を形成する。
【0023】
受部271は、一対のアームである第1アーム24と第2アーム25のうち他方のアームの中間部にストッパ26の他端側が当接可能に設ける。
第2アーム25の中間部で第1リンクと対向する側に受部271を設ける。受部271はストッパ26支点より後方側の第2アーム25中間部に設け、ストッパ26の自由端部が当接する当接面264を有している。
この発明の実施例での受部271はシリンダ27の取付部272の後方部である連結部23側に設けている。受部271の当接面264がストッパ26他端に接すると、第2アーム25の回動が阻止される。すなわち、平行リンク機構21の回動動作が規制される規制状態を形成する。
【0024】
規制状態について詳細に説明する。
平行リンクを動作させることで、作業部11は展開動作または格納動作をおこなうことができる。展開動作のとき、受部271はストッパ支点261に向かって近接するように、相対的な位置を変化させる。これに対して格納動作のとき、受部271はストッパ支点261から遠ざかるように相対的な位置を変化させる。ストッパ26を展開位置に配置して、ストッパ26と受部271との当接によって、平行リンク機構21の展開動作を阻止する規制状態を形成する。すなわち、ストッパ26はつっかえ棒のような役割を担うことが可能な構成である。この構成によって、ストッパ26が第1アーム24および第2アーム25との間にかけ渡した状態となるため、第1アーム24および第2アーム25が、基部22や連結部23に対して回動不可能な状態になる。したがって、作業部11が格納位置である第1位置から、展開位置である第2位置への移動が阻止される。
【0025】
ストッパ26を展開位置にさせた規制状態では、受部271にストッパ26の移動阻止部材262を配置することで、ストッパ26が意図せず収納位置側に移動することを阻止できる。この発明の実施例では、移動阻止部材262はピン状部材からなり、受部271にストッパ26の長尺方向と直交する方向に挿入することで、ストッパ26の移動を阻止している。
【0026】
規制状態でのストッパ26は第1アーム24および第2アーム25に対して、平面視で25度以下の傾斜角度が望ましく、実施例では17度を採用している。さらに、規制状態でのストッパ26は、シリンダ27に対して平面視20度以下が望ましく、実施例では10度を採用している。このようにすることで、規制状態の平行リンク機構21が展開動作をしようとして、当接面264を介してストッパ26に力がかかった際に、ストッパ26の長尺方向に向かう分力を大きくすることができる。また、シリンダ27の伸縮方向により近い角度でシリンダ27の伸縮方向への力を受けることができる。
【0027】
すなわち、各部材とストッパ26の配置角度を可能な限り小さくすることで、平行リンク機構21の動作およびシリンダ27の伸縮で発生する力をストッパ26で受けた際に、ストッパ26の長尺方向とは直交する方向に向かう分力を小さくできる。したがって、ストッパ26自体を曲げに対する強度を大きくする必要がなくなるのである。曲げ強度を大きく確保する必要もないので部材サイズを小さくでき、その結果、収納位置でのストッパ26は平行リンク機構21内にコンパクトに収めることができるので、平行リンク機構21の動作中に他の部材と干渉等の不具合を無くすることができる。
【0028】
規制解除状態について説明する。
ストッパ26が収納位置のとき、ストッパ26は受部271との当接はなく、平行リンク機構21は自由に回動が可能な規制解除状態を形成する。収納位置でのストッパ26は、平行リンク機構21の動作中、受部271をはじめ、第1アーム24、第2アーム25、基部22、連結部23に接することがないので、平行リンク機構21の動作を阻害することがない。平行リンク機構21の第1アーム24および第2アーム25が、基部22や連結部23に対して回動可能な状態になることで、作業部11が進行方向に対する左右に移動できる。
【0029】
ストッパ26を収納位置にさせた規制解除状態では、第1アーム24に設けた板状部材263に移動阻止部材262を差し込むことで、ストッパ26の展開位置側への移動を阻止している。
【0030】
規制状態におけるストッパ26と当接面264の位置関係について説明する。
規制状態におけるストッパ26と当接面264の位置関係について詳述する。規制状態におけるストッパ26の長尺方向と当接面264は、平面視における直交状態からわずかに傾斜させている。具体的には、ストッパ26が展開位置から収納位置に向かうにしたがって、当接面264がストッパ26先端から遠ざかるように当接面264を傾斜させている。このようにすることで、ストッパ26先端部の端面すべてが当接面264に接触しない。
【0031】
すなわち、ストッパ26の長尺方向と直交する方向で断面した場合に形成する断面積の全部が当接面264に接触していない状態となる。言い換えれば、受部271との接触面積は、ストッパ26の最小断面積より小さく設けているともいえる。実施例においては円形の断面の一部の点が当接面264に接触している状態である。
【0032】
当接面264の傾斜、小接触面積の効果について説明する。
規制状態であって、ストッパ26に平行リンク機構21およびシリンダ27から力を受けて当接面264と接触状態のときを考える。このとき、規制解除をするためにはストッパ26を収納位置側に回動させる必要がある。ストッパ26長尺方向と当接面264が傾斜しているので、収納位置に回動する際に、ストッパ26端面が当接面264と接触し続けることを回避できる。
すなわち、ストッパ26の収納位置への回動を容易にさせるのである。そして、当接面264との小さい接触面積によって、ストッパ26端面が当接面264と接触状態であっても、ストッパ26が当接面264からずらし易くなり、ストッパ26の収納位置への回動を容易にさせる。
【0033】
当接面264との接触面は、当接面264の傾斜方向に向かって大きくならないことが望ましい。つまり、実施例でのストッパ26は長尺の丸材を使用したことによって、第1アーム24側の1点の点接触となった状態であるが、長尺の角材を用いて第1アーム24側の1辺が接触した線接触であってもよい。また、点接触または線接触によらず、当接面264との接触面積をストッパ26の最小断面積より小さく設けていれば、ストッパ26と当接面264が接触状態でストッパ26を収納位置に回動させる場合において、最小断面積全部が接触するよりも容易に回動させることが可能である。
【0034】
上記のように、作業部11が格納位置においてストッパ26が受部271の接触面に当接することで、作業部11が走行機体の側方に突出することを防ぐことができる。また、ストッパ26が接触面との当接によって力を受けている場合でも、容易に外すことができる。また、作業部11が格納位置において、シリンダ27の内部やこれに接続する流体回路に不具合が生じてシリンダ27の保持力が喪失しても、作業部11の格納状態を維持できる。つまり、シリンダ27関係に不具合が生じても、走行機体に装着した作業機Aが作業部11の格納状態を確実に維持できるので、走行機体はより安全に走行が可能となる。
【0035】
実施例での平行リンク機構21は、シリンダ27のストロークによって第1アーム24および第2アーム25の回動範囲が決定され、作業部11のオフセット量を決定しているが、オフセット量の決定する方式は実施例に限定されない。
例えば、基部22および連結部23に第1アーム24および第2アーム25に対して回動範囲を規制する規制部材を配置してもよいし、第1アーム24および第2アーム25自体に第1アーム24および第2アーム25の回動範囲を決定する部材があってもよい。
上記の場合、平行リンク機構21を構成するシリンダ27のストロークとは関係なく、ストロークの範囲内で回動範囲を規制することができる。そしてこの状態で、本願のストッパ26および受部271を第1アーム24および第2アーム25に配置して、作業部11のオフセット方向への移動を阻止することも可能である。
【0036】
また、シリンダ27は、実施例においては図示しない流体圧発生源から圧力を受領し、動作しているものとして説明しているが、この例によらず、電動シリンダと呼ばれる、シリンダ装置にタンクおよび流体圧発生源を内蔵し電気動力によってポンプを駆動する方式のシリンダでもよい。
【0037】
実施例の作業機Aは、走行機体との装着を解除して保管状態とする場合に作業部11にスタンドを装着して、作業機A単体で移動可能に設けている。このとき作業機Aは前方側である装着部B1を地面側に近づけるようにして傾斜させている。
この様にすることで、走行機体の3点リンク装置に、オートヒッチと呼ばれる連結装置を介して装着部B1を接続する際に、容易に着脱が可能となる。保管状態とする場合に作業部11にスタンドを装着して、作業機A単体で移動可能に設けている。このとき作業機Aは前方側である装着部B1を地面側に近づけるようにして傾斜させている。
【0038】
この発明の実施例の保管状態の場合、自重によって装着部B1が下方に移動しようとする。すなわち、装着部B1の自重が平行リンク機構21を回動させようと作用して、装着部B1が作業部11に対して、平行リンク機構21を介して回動軸231,232を支点に進行方向右側に移動しようとし、ストッパ支点261と受部271が互いに近づくように移動する。
言い換えれば、作業部11が装着部B1に対して相対的に展開位置側に移動しようとする。このとき、シリンダ27およびこれに接続する回路内には大きな圧力が発生する。
この状態で、シリンダ27の回路を図示しない流体圧発生源である走行機体に接続しようとしても、回路内の圧力によって走行機体側との接続が困難となることがある。この現象に対して、本願発明の構成にすることで、上記移動を阻止するべくシリンダ27およびこの回路を複雑な構成(各種弁の配置等)にすることがなく、作業部11と装着部B1が互いに相対的な移動を阻止できる。
【0039】
この発明の実施例の作業機Aは、上記のスタンドを装着して各種メンテナンスをする場合がある。このメンテナンス作業のうち、平行リンク機構21を動作させるシリンダ27を取り外すと、装着部B1が作業部11に対して移動してしまう場合があるが、ストッパ26を第1アーム24と第2アーム25にかけ渡すように配置しているので、平行リンク機構21の動作を阻止しできる。つまり、ストッパ支点261と受部271が互いに近づくように移動することを防止できる。これによって、メンテナンス作業を効率的、かつ、より安全におこなうことができる。
【0040】
平行リンク機構21の移動を阻止するために、これらを構成する第1アーム24、第2アーム25、基部22、連結部23の、少なくともいずれか2つの部材に、互いに重合する貫通孔を設け、この貫通孔にピンを差し込んで移動を規制することも考えられる。しかし、平行リンク機構21が移動しようとして、貫通孔とピンとの間にせん断的な力が発生した場合に、このピンを抜くことが容易ではないことがある。本願発明では、このような状況で規制解除をする場合であっても、接触面積を小にできる構成のため、規制解除に係る部材を取り除く際の摩擦を低下させ、容易に規制を解除することができる。
【符号の説明】
【0041】
11 作業部
21 平行リンク機構
24 第1アーム
25 第2アーム
26 ストッパ
27 シリンダ
271 受部
A 作業機

図1
図2
図3
図4
図5