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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151749
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電力変換装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241018BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065393
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊文
(72)【発明者】
【氏名】澤田 明宏
(72)【発明者】
【氏名】松本 真
(72)【発明者】
【氏名】棚谷 公彦
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA24
5H770BA02
5H770CA06
5H770HA02Y
5H770JA11W
5H770JA14W
5H770PA28
5H770QA02
5H770QA06
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA33
5H770QA36
(57)【要約】
【課題】平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための放電回路の信頼性を確保しながら、低コストで放電回路の機能を実現することが可能な電力変換装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、少なくとも収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18との間及び収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置され一体に形成された注型樹脂21を備え、平滑コンデンサ18及び抵抗体20の放熱と防振を注型樹脂21で行う。これにより、抵抗体20の放熱と防振の構造のための専用の組立工程が不要であり、コスト低減が図られる。また、ネジ締結等の方法で抵抗体20の一面のみを筐体11へ押し付ける従来方法に比べて、放電回路19の放熱と防振の信頼性の確保が容易である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーデバイスを有するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールの入力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための抵抗体を有する放電回路と、
前記パワーモジュール及び前記平滑コンデンサに接続された配線板と、
前記パワーモジュール、前記平滑コンデンサ、前記放電回路、及び前記配線板を収容する筐体と、
前記筐体の内部に充填された注型樹脂と、を備え、
前記筐体は、前記平滑コンデンサ及び前記抵抗体を収容する収容部を有し、
前記注型樹脂は、少なくとも前記収容部の内壁と前記平滑コンデンサとの間及び前記収容部の前記内壁と前記抵抗体との間に配置され、一体に形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記収容部は開口部を有し、
前記配線板は、前記開口部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に固定され、
前記注型樹脂は、前記配線板との間に間隙をあけて配置されたことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記放電回路は、前記配線板に配置されたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記パワーデバイスを駆動する駆動回路及び前記駆動回路を制御する制御回路を有する回路基板をさらに備え、
前記回路基板は、前記収容部の前記開口部の一部を覆うように前記筐体に固定され、
前記放電回路は、前記回路基板に配置され、
前記注型樹脂は、前記回路基板との間に間隙をあけて配置されたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記配線板は、前記注型樹脂に対向する箇所に、1つ以上の貫通穴を有することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記平滑コンデンサは、複数個のコンデンサを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記収容部は開口部を有し、
前記注型樹脂は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記平滑コンデンサから前記抵抗体に向かう方向と前記開口部の深さ方向とに垂直な方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記収容部は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記収容部の前記深さ方向に位置する底部から前記開口部に向かって延びる仕切り壁を有し、
前記仕切り壁の開口部側端部に、前記平滑コンデンサから前記抵抗体に向かう方向に延びる溝が設けられ、
前記薄肉領域は前記溝に配置されたことを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記収容部は開口部を有し、
前記注型樹脂は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記開口部の深さ方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記収容部は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記収容部の前記深さ方向に位置する底部から前記開口部に向かって延びる仕切り壁を有し、
前記薄肉領域は前記仕切り壁の前記開口部側に配置されたことを特徴とする請求項9記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記薄肉領域の前記樹脂厚は、前記平滑コンデンサの最大厚みよりも小さいことを特徴とする請求項9記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記注型樹脂は、熱伝導率が0.2W/m・K以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記配線板はプリント基板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項14】
パワーデバイスを有するパワーモジュールと、平滑コンデンサと、抵抗体を有する放電回路と、前記パワーモジュール及び前記平滑コンデンサに接続された配線板と、収容部を有する筐体と、硬化前の注型樹脂とを用意する工程、
前記平滑コンデンサ及び前記抵抗体を前記収容部の内部に配置した状態で、前記配線板を前記収容部の開口部を覆うように前記筐体に固定する工程、及び
前記筐体に固定された前記配線板に設けられた1つ以上の貫通穴から前記注型樹脂を前記収容部に注入し、前記注型樹脂を少なくとも前記収容部の内壁と前記平滑コンデンサとの間及び前記収容部の前記内壁と前記抵抗体との間に配置し一体に形成する工程、
を含むことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等に設けられ、電力の相変換及び出力調整等を行う電力変換装置は、パワー半導体が複数組み合わされたパワーモジュール、パワーモジュールからの出力電流を検出する電流検出回路、パワー半導体を駆動するための駆動回路、駆動回路に指令を出す制御回路、平滑コンデンサ、及び放電回路等を備えている。
【0003】
放電回路は抵抗体を有し、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を抵抗体で熱として消費することで放電の機能を実現している。このような放電回路の機能は電力変換装置の主たる機能ではなく、車両の停止時及び衝突時等の短時間の動作に限られる補助的な機能である。このため、放電回路には、簡易で低コストであり、且つ車両の衝突等の異常発生時に確実に動作する高い信頼性をもつことが要求される。
【0004】
放電回路の信頼性を確保するためには、抵抗体で発生する熱を適切に放熱する構造が必要である。抵抗体の放熱が不十分であると放電時に抵抗体が焼損し、放電回路の機能を喪失する恐れがある。また、抵抗体は電力定格が大きく比較的寸法の大きい部品であるため、防振の構造が必要である。
【0005】
従来の電力変換装置では、抵抗体を筐体にネジ締結することで、放熱と防振の機能を実現していた。また、ネジ締結以外の手法として、特許文献1では、コンデンサ素子に配線を介して接続された放電抵抗をコンデンサ素子と共にケース内に配置し、ケースに熱伝導性のポッティング材を充填している。この先行例では、放電抵抗は、ケースの側壁及び底壁と接するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-58214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ネジ締結の手法では、ネジを締め付けるために専用の組み立て工程が必要であり、電力変換装置の製造コストが上昇する。また、放熱性能が抵抗体の一面と筐体との密着度に依存するため、放熱性能の信頼性を確保することが難しい。抵抗体と筐体との密着度を高めるためにネジの締め付けトルクを上げると、ネジ山の破壊等の問題が発生する。
【0008】
特許文献1は、放電抵抗のケースへの固定方法を開示していないが、放電抵抗がポッティング材によってケースに固定される場合、ポッティング材を注入する際に放電抵抗が移動し、コンデンサ素子と放電抵抗を接続している配線が断線する恐れがある。また、放電抵抗がその他の手法で固定される場合、そのための専用の工程が必要となり製造コストが上昇する。さらに、放電抵抗とケースとの間にポッティング材が配置されておらず、放熱性能が放電抵抗の側面とケースとの密着度に依存するため、放熱性能の信頼性を確保することが難しい。また、車両の衝突時等の振動がケースから直接放電抵抗に伝わるため、放電抵抗に接続された配線が破損する恐れがある。
【0009】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための放電回路の信頼性を確保しながら、低コストで放電回路の機能を実現することが可能な電力変換装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示される電力変換装置は、パワーデバイスを有するパワーモジュールと、パワーモジュールの入力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための抵抗体を有する放電回路と、パワーモジュール及び平滑コンデンサに接続された配線板と、パワーモジュール、平滑コンデンサ、放電回路、及び配線板を収容する筐体と、筐体の内部に充填された注型樹脂と、を備え、筐体は、平滑コンデンサ及び抵抗体を収容する収容部を有し、注型樹脂は、少なくとも収容部の内壁と平滑コンデンサとの間及び収容部の内壁と抵抗体との間に配置され、一体に形成されている。
【0011】
また、本願に開示される電力変換装置の製造方法は、パワーデバイスを有するパワーモジュールと、平滑コンデンサと、抵抗体を有する放電回路と、パワーモジュール及び平滑コンデンサに接続された配線板と、収容部を有する筐体と、硬化前の注型樹脂とを用意する工程と、平滑コンデンサ及び抵抗体を収容部の内部に配置した状態で、配線板を収容部の開口部を覆うように筐体に固定する工程と、筐体に固定された配線板に設けられた1つ以上の貫通穴から注型樹脂を収容部に注入し、注型樹脂を少なくとも収容部の内壁と平滑コンデンサとの間及び収容部の内壁と抵抗体との間に配置し一体に形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示される電力変換装置によれば、収容部に配置され一体に形成された注型樹脂で平滑コンデンサ及び抵抗体の放熱と防振を行うようにしたので、抵抗体の放熱と防振の構造のための専用の組立工程が不要であり、コスト低減が図られる。また、注型樹脂で抵抗体の放熱と防振を行っているため、ネジ締結等の方法で抵抗体の一面のみを筐体へ押し付ける従来方法に比べて、放電回路の放熱と防振の信頼性の確保が容易である。
【0013】
また、本願に開示される電力変換装置の製造方法によれば、配線板を筐体に固定する工程の後に、配線板に設けられた貫通穴から注型樹脂を収容部に注入する工程を行うようにしたので、筐体に設けられた配線板固定のための箇所に硬化前の注型樹脂が付着する等の悪影響がなく、作業性が向上しコスト低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る電力変換装置の構成を模式的に示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る電力変換装置の製造工程の流れを示す図である。
図4】実施の形態2に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図である。
図5】実施の形態2に係る電力変換装置の構成を模式的に示す断面図である。
図6】実施の形態3に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図である。
図7】実施の形態3に係る電力変換装置の構成を模式的に示す断面図である。
図8】実施の形態4に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図である。
図9】実施の形態4に係る電力変換装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る電力変換装置について、図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態1に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図、図2は、図1中、A-Aで示す部分の断面図である。各図において、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
実施の形態1に係る電力変換装置1は、例えば電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両駆動用の電力変換装置としてバッテリとモータの間に設けられ、電力の相変換及び出力調整等を行うものである。
【0016】
図1に示すように、電力変換装置1は、筐体11、パワーモジュール12、回路基板13、電流検出回路16、配線板17、平滑コンデンサ18、放電回路19、及び注型樹脂21等を備えている。
筐体11は、電力変換装置1の外殻を構成し、パワーモジュール12、回路基板13、電流検出回路16、配線板17、平滑コンデンサ18、及び放電回路19等を収容する。筐体11は、平滑コンデンサ18及び抵抗体20を収容する収容部11aを有する。
【0017】
パワーモジュール12は、パワーMOSFET、IGBT等のパワーデバイス(図示省略)を有する。回路基板13は、パワーデバイスを駆動する駆動回路14、及び駆動回路14を制御する制御回路15を有する。電流検出回路16は、ホール素子、MR素子等を有し、パワーモジュール12からの出力電流を検出する。
【0018】
配線板17は、プリント基板であり、パワーモジュール12及び平滑コンデンサ18に接続される。平滑コンデンサ18は、パワーモジュール12の入力電圧を平滑化する。放電回路19は、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷を放電するための抵抗体20を有する。注型樹脂21は、筐体11の内部に充填されている。
【0019】
なお、図1において、収容部11a、平滑コンデンサ18、抵抗体20、及び注型樹脂21は、配線板17の下にあるため上面視では見えないが、便宜上点線で示している。また、図1では、収容部11a及び配線板17は上面視で長方形であるが、それらの形状は特に限定されるものではない。配線板17は、電力変換装置1の内部構成に対応して複雑な形状となることが多いため、形状自由度が高い材料で構成されることが望ましく、プリント基板が好適である。
【0020】
上記のように構成された電力変換装置1の電流経路及び動作について、図1を用いて説明する。バッテリ等の電源(図示省略)から平滑コンデンサ18に入力された電力変換装置入力電流P1は、平滑コンデンサ18によって平滑化されパワーモジュール入力電流P2となる。パワーモジュール入力電流P2は、回路基板13とパワーモジュール12とによって所望の電力変換装置出力電流P3となり、電流検出回路16を通ってモータ(図示省略)に供給される。
【0021】
制御回路15は、電流検出回路16から得られる出力電流情報S4及び外部信号(図示省略)等の情報を収集し、現在のモータ運転状態と所望のモータ運転状態との差分を演算する。この演算結果に基づき、制御回路15は、所望のモータ運転状態を実現するために駆動回路14への指令信号S1を生成する。
【0022】
駆動回路14は、制御回路15からの指令信号S1に基づいてパワーモジュール12への指令信号S2を生成する。駆動回路14は、指令信号S2によってパワーモジュール12の導通状態と非導通状態とを切り替え、所望のモータ運転状態になるように電力変換装置出力電流P3を制御する。
【0023】
放電回路19は、車両の停止時及び衝突時に、制御回路15からの指令信号S3に基づいて、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷を平滑コンデンサ放電電流P4として抵抗体20で消費する。本実施の形態1では、放電回路19は配線板17に配置され、制御回路15からの指令信号S3は信号ケーブル24を介して放電回路19に入力される。
【0024】
また、配線板17とパワーモジュール12の間の接続は、パワーモジュール入力電流P2に関わるため、ケーブル、バスバー等を用いること無く直接的に接続されることが望ましい。配線板17をプリント基板で構成することにより、パワーモジュール12との直接的な接続が容易である。
【0025】
なお、システムの簡略化を目的として、制御回路15から放電回路19への指令信号S3を設けず、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷を常時、抵抗体20で消費するようにしてもよい。また、複数の抵抗体20を設け、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷の消費速度をモータの運転状態によって切り替えるようにしてもよい。
【0026】
電力変換装置1は、パワーモジュール12の導通状態と非導通状態を切り替えるタイミングで発生するリップル電流を平滑化するために、比較的大きな静電容量の平滑コンデンサ18を備えている。放電回路19は平滑コンデンサ18と電気的に接続され、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷を抵抗体20で熱として消費することで放電する。抵抗体20は、電力定格が大きく比較的寸法が大きい部品であり、放電回路19の信頼性を確保するためには、抵抗体20の放熱と防振の構造が必要である。
【0027】
電力変換装置1における抵抗体20の放熱と防振の構造について説明する。
図2に示すように、平滑コンデンサ18の端子181と抵抗体20の端子201はそれぞれ配線板17に接続され、配線板17の一方の主面に平滑コンデンサ18と抵抗体20が固定される。収容部11aは開口部11cを有しており、配線板17は、平滑コンデンサ18及び抵抗体20を収容部11aの内部に配置した状態で、開口部11cの少なくとも一部を覆うように筐体11に固定される。本実施の形態1では、図1に示すように、配線板17は収容部11aの開口部11c全体を覆っている。
【0028】
配線板17は、例えばネジ、リベット等の固定部材22a、22b(総称して固定部材22)によって筐体11に固定される。本実施の形態1では、固定部材22を2箇所に配置しているが、1箇所であってもよいし3箇所以上であってもよい。なお、配線板17の筐体11への固定方法は特に限定されるものではなく、接着剤等を用いてもよい。
【0029】
収容部11aの内部には、注型樹脂21が充填されている。注型樹脂21としては、例えばエポキシ系樹脂等が用いられる。注型樹脂21は、未硬化時に適宜な流動性を有する液状であり、注入後に加熱炉等で加熱することにより硬化するもの、主剤と硬化剤とを混合して用いるもの等がある。注型樹脂21は熱伝導率が高い樹脂である必要があり、具体的には熱伝導率が0.2W/m・K以上であることが望ましい。
【0030】
注型樹脂21は、少なくとも収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18との間及び収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置され、一体に形成されている。言い換えると、収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18との間に配置された注型樹脂21と、収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置された注型樹脂21は、少なくとも一部で繋がっている。また、注型樹脂21は、配線板17との間に間隙をあけて配置される。
【0031】
注型樹脂21は、電力変換装置1の動作時に平滑コンデンサ18及び抵抗体20から発生する熱を筐体11に伝達して放熱し、平滑コンデンサ18及び抵抗体20が各々の保証温度以上にならないように保護している。また、注型樹脂21は、車両の衝突等によって電力変換装置1に振動が印加された場合に、平滑コンデンサ18及び抵抗体20が過度に振動して配線板17との接続部等が破損しないように保護している。すなわち、注型樹脂21は、平滑コンデンサ18及び抵抗体20の放熱と防振を担っている。
【0032】
これらの機能には、筐体11と平滑コンデンサ18との間及び筐体11と抵抗体20との間に配置された注型樹脂21が主に寄与している。また、図2に示すように、注型樹脂21は、平滑コンデンサ18の端子181が突出している側面を除く全ての側面と、抵抗体20の端子201が突出している側面を除く全ての側面に密着している。このように、平滑コンデンサ18及び抵抗体20の側面を囲むように注型樹脂21を密着させることで、放熱と防振の信頼性を確保することができ、高い信頼性が得られる。
【0033】
配線板17は、注型樹脂21に対向する箇所に、1つ以上の貫通穴23a、23b(総称して貫通穴23)を有する。本実施の形態1では、配線板17は、筐体11と平滑コンデンサ18との間に対応する箇所に貫通穴23aが配置され、筐体11と抵抗体20との間に対応する箇所に貫通穴23bが配置されている。
【0034】
注型樹脂21の注入量が過剰になると、設計した所定の範囲から注型樹脂21が流出して電力変換装置1の動作に悪影響を及ぼすことがある。このため、注型樹脂21は、配線板17と接触しない注入量に設定される。配線板17が複数の貫通穴23を有することにより、1つの貫通穴23から注型樹脂21を注入し、別の貫通穴23から注入量を確認することができる。また、3つ以上の貫通穴23を有することにより、複数の貫通穴23から注型樹脂21を同時に注入することができる。
【0035】
電力変換装置1の製造工程の流れについて、図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1において、パワーデバイスを有するパワーモジュール12、平滑コンデンサ18、抵抗体20を有する放電回路19、パワーモジュール12及び平滑コンデンサ18に接続された配線板17、収容部11aを有する筐体11、及び硬化前の注型樹脂21を用意する。本実施の形態1では、放電回路19は配線板17に配置され、平滑コンデンサ18と抵抗体20は配線板17の一方の主面に固定されている。
【0036】
次に、ステップS2において、平滑コンデンサ18及び抵抗体20を収容部11aの内部に配置した状態で、配線板17を収容部11aの開口部11cを覆うように筐体11に固定する。この時、平滑コンデンサ18と抵抗体20はいずれも収容部11aの内壁11bに接触しておらず、それらの間には隙間がある。
【0037】
続いて、ステップS3において、筐体11に固定された配線板17に設けられた1つ以上の貫通穴23から注型樹脂21を収容部11aに注入し、注型樹脂21を少なくとも収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18との間及び収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置し一体に形成する。注型樹脂21は一体に形成されるため、複数回の注型工程を行う必要はなく一度で完了する。
【0038】
このように、配線板17が貫通穴23を有していることにより、ステップS2で配線板17を筐体11に固定した後に、ステップS3の注型工程を行うことができる。配線板17を筐体11に固定する前に、開口部11cから注型樹脂21を収容部11aに注入した場合、硬化前の注型樹脂21の飛散により、固定部材22のために設けられた筐体11の構造(例えばネジ穴)が損なわれることがある。
【0039】
実施の形態1に係る電力変換装置1によれば、収容部11aに配置され一体に形成された注型樹脂21で平滑コンデンサ18及び抵抗体20の放熱と防振を行うようにしたので、抵抗体20の放熱と防振の構造のための専用の組立工程が不要である。すなわち、平滑コンデンサ18及び抵抗体20の放熱と防振の構造を、同じ工程で同時に製造することができるため、それぞれの放熱と防振の構造を別工程で製造する場合に比べて部品点数及び組立工数が削減され、コスト低減が図られる。
【0040】
また、注型樹脂21で抵抗体20の放熱と防振を行っているため、ネジ締結等の方法で抵抗体20の一面のみを筐体11へ押し付ける従来方法に比べて、放電回路19の放熱と防振の信頼性の確保が容易である。さらに、平滑コンデンサ18及び抵抗体20の側面を囲むように注型樹脂21を密着させることで、高い信頼性が得られる。
【0041】
また、実施の形態1に係る電力変換装置1の製造方法によれば、配線板17を筐体11に固定する工程の後に、配線板17に設けられた貫通穴23から注型樹脂21を収容部11aに注入する工程を行うようにしたので、筐体11に設けられた配線板固定のための箇所に硬化前の注型樹脂21が付着する等の悪影響がなく、作業性が向上しコスト低減が図られる。
【0042】
また、配線板17が複数の貫通穴23を有することにより、注型工程において注型樹脂21の注入量を確認したり複数の貫通穴23から注型樹脂21を同時に注入したりすることが可能となり、作業精度の向上及び作業時間の短縮が図られ、作業性がさらに向上する。
以上のことから、実施の形態1によれば、平滑コンデンサ18に蓄えられた電荷を放電するための放電回路19の信頼性を確保しながら、低コストで放電回路19の機能を実現することが可能な電力変換装置1及びその製造方法を提供することができる。
【0043】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図、図5は、図4中、B-Bで示す部分の断面図である。本実施の形態2に係る電力変換装置1Aでは、平滑コンデンサは複数個のコンデンサを含んでいる。なお、電力変換装置1Aのその他の構成は、上記実施の形態1に係る電力変換装置1と同様であるため、ここでは相違点のみを説明する。
【0044】
図4に示すように、電源(図示省略)から分岐した電力変換装置入力電流P1が平滑コンデンサ18a、18bそれぞれに入力され、平滑コンデンサ18a、18bによって平滑化され、パワーモジュール入力電流P2として合流する。放電回路19は、平滑コンデンサ18a、18bに電気的に接続されている。車両の停止時及び衝突時には、放電回路19は制御回路15からの指令信号S3に基づき、平滑コンデンサ18a、18bに蓄えられた電荷を、平滑コンデンサ放電電流P4として抵抗体20で消費する。
【0045】
注型樹脂21は、少なくとも収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18a、18bとの間及び収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置される。本実施の形態2ではさらに、平滑コンデンサ18aと平滑コンデンサ18bとの間、平滑コンデンサ18bと抵抗体20との間にも配置され、一体に形成される。上記実施の形態1と同様に、平滑コンデンサ18a、18b及び抵抗体20の側面を囲むように注型樹脂21を密着させることで、放熱と防振の信頼性を確保することができ、高い信頼性が得られる。
【0046】
このように、複数の平滑コンデンサ18a、18bを有する場合でも、注型樹脂21は一体に形成されているため、電力変換装置1Aの組立時に複数回の注型工程を行う必要はなく、一度の注型工程で注型樹脂21を配置することができる。つまり、平滑コンデンサ18を複数個に分割する場合でも、組立工程の増大を招くことは無い。
【0047】
実施の形態2に係る電力変換装置1Aによれば、上記実施の形態1に係る電力変換装置1と同様の効果に加え、比較的大きい部品である平滑コンデンサ18を複数個に分割することで、筐体11内でのレイアウトの自由度が向上する。
【0048】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図、図7は、図6中、C-Cで示す部分の断面図である。実施の形態3に係る電力変換装置1Bでは、放電回路19は回路基板13に配置されている。なお、電力変換装置1Bのその他の構成は、上記実施の形態2に係る電力変換装置1Aと同様であるため、ここでは相違点のみを説明する
【0049】
上記実施の形態1及び2では、放電回路19は配線板17に配置されており、回路基板13に配置された制御回路15から放電回路19への指令信号S3は信号ケーブル24を介して入力される(図1及び図4参照)。一般に信号ケーブルは電力ケーブルに比べて銅線径が細い傾向があり、車両の衝突時等の振動による断線のリスクが電力ケーブルよりも高い。このため、放電回路19の動作の信頼性を向上させるためには、回路基板13と配線板17は電力ケーブルで接続されることが好ましい。
【0050】
本実施の形態3では、放電回路19が回路基板13に配置されることにより、回路基板13の内部のみで放電回路19への指令信号S3の入力が完結するため、制御回路15から放電回路19に指令信号S3を入力するための信号ケーブル24が不要となる。回路基板13と配線板17は、平滑コンデンサ18a、18bから放電回路19に平滑コンデンサ放電電流P4を入力するための電力ケーブル25によって接続される。
【0051】
回路基板13は、収容部11aの開口部11cの一部を覆うように筐体11に固定され、注型樹脂21は、回路基板13との間に間隙をあけて配置される。配線板17は、1つの貫通穴23を有し、1箇所に配置された固定部材22によって筐体11に固定される。なお、固定部材22と貫通穴23は、配線板17の複数箇所に配置されていてもよい。
【0052】
電力変換装置1Bの製造工程の流れについて、図3のフローチャートを流用して説明する。ステップS1において、パワーデバイスを有するパワーモジュール12、回路基板13、平滑コンデンサ18、抵抗体20を有する放電回路19、パワーモジュール12及び平滑コンデンサ18に接続された配線板17、収容部11aを有する筐体11、及び硬化前の注型樹脂21を用意する。本実施の形態3では、放電回路19は回路基板13に配置され、平滑コンデンサ18と抵抗体20は、それぞれ配線板17と回路基板13の一方の主面に固定されている。
【0053】
次に、ステップS2において、平滑コンデンサ18及び抵抗体20を収容部11aの内部に配置した状態で、配線板17と回路基板13とを、収容部11aの開口部11cを覆うように筐体11に固定する。なお、回路基板13の筐体11への固定には、ネジ、リベット、接着剤等を用いることができる。
【0054】
続いて、ステップS3において、筐体11に固定された配線板17に設けられた貫通穴23から注型樹脂21を収容部11aに注入し、注型樹脂21を少なくとも収容部11aの内壁11bと平滑コンデンサ18a、18bとの間及び収容部11aの内壁11bと抵抗体20との間に配置し一体に形成する。
【0055】
実施の形態3に係る電力変換装置1Bによれば、上記実施の形態1及び2に係る電力変換装置1、1Aと同様の効果に加え、放電回路19を回路基板13に配置することにより、平滑コンデンサ18a、18bに蓄えられた電荷を平滑コンデンサ放電電流P4として抵抗体20で消費する放電機能の信頼性が向上する。
【0056】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係る電力変換装置の構成を模式的に示す平面図、図9は、図8中、D-Dで示す部分の断面図である。実施の形態4に係る電力変換装置1Cでは、平滑コンデンサ18a、18b及び抵抗体20の放熱と防振への寄与が小さい部分に注型樹脂21を配置しないことで、注型樹脂21の体積を削減している。具体的には、放熱と防振に寄与しない、あるいは寄与が小さい注型樹脂21の部分に、薄肉領域21aを設けている。
【0057】
注型樹脂21は、平滑コンデンサ18bと抵抗体20との間に、平滑コンデンサ18bから抵抗体20に向かう方向と開口部11cの深さ方向とに垂直な方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域21aを有することができる。その場合、収容部11aは、平滑コンデンサ18bと抵抗体20との間に、収容部11aの深さ方向に位置する底部11dから開口部11cに向かって延びる仕切り壁11eを有し、仕切り壁11eの開口部側端部に、平滑コンデンサ18bから抵抗体20に向かう方向に延びる溝11fが設けられ、薄肉領域21aは溝11fに配置される。
【0058】
また、注型樹脂21は、平滑コンデンサ18bと抵抗体20との間に、開口部11cの深さ方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域21aを有していてもよい。その場合、収容部11aは、平滑コンデンサ18bと抵抗体20との間に、収容部11aの深さ方向に位置する底部11dから開口部11cに向かって延びる仕切り壁11eを有し、薄肉領域21aは仕切り壁11eの開口部11c側に配置される。
【0059】
電力変換装置1Cにおける注型樹脂21の薄肉領域21aについて、図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9において、平滑コンデンサ18bから抵抗体20に向かう方向をX方向、開口部11cの深さ方向をZ方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。図8に示すように、薄肉領域21aのY方向における樹脂厚T1は、他の領域のY方向の樹脂厚T2よりも小さい。また、図9に示すように、薄肉領域21aのZ方向における樹脂厚T3は、他の領域のZ方向の樹脂厚T4よりも小さい。具体的には、薄肉領域21aのY方向及びZ方向の樹脂厚T1、T3は、それぞれ平滑コンデンサ18a、18bの最大厚みよりも小さい。
【0060】
このように、電力変換装置1Cでは、注型樹脂21は、Y方向及びZ方向の樹脂厚が他の領域のY方向及びZ方向の樹脂厚よりもそれぞれ小さい薄肉領域21aを有している。仕切り壁11eのZ方向の寸法は、仕切り壁11eの開口部側端部に設けられた溝11fの部分を除いて、注型樹脂21の他の領域の樹脂厚T4よりも大きく設けられる。
【0061】
なお、薄肉領域21aは、Y方向及びZ方向のいずれか一方の樹脂厚が小さい領域であってもよい。Z方向における樹脂厚T3が他の領域のZ方向の樹脂厚T4よりも小さい薄肉領域21aを設ける場合、仕切り壁11eのZ方向の寸法をT4とT3の差と等しくし、仕切り壁11eの開口部11c側に薄肉領域21aを配置すればよい。この場合、仕切り壁11eの開口部側端部に溝11fを設ける必要はない。
【0062】
電力変換装置1Cのその他の構成及び製造方法は、上記実施の形態3に係る電力変換装置1Bと同様であるため、ここでは説明を省略する。また、電力変換装置1Cには分割された平滑コンデンサ18a、18bを用いているが、実施の形態1と同様に一つの平滑コンデンサ18を用いてもよい。
【0063】
実施の形態4に係る電力変換装置1Cによれば、上記実施の形態1から3に係る電力変換装置1、1A、1Bと同様の効果に加え、注型樹脂21の不必要な部分を削減し体積を適正化しているので、注型樹脂21の材料コストを抑制することができ、さらなるコスト低減が図られる。また、平滑コンデンサ18a、18bと抵抗体20とを互いに離れた場所に配置することができるため、レイアウトの自由度が向上する。
【0064】
以上の実施の形態では、単一のモータを駆動する電力変換装置について説明を行ったが、複数のモータを駆動する電力変換装置についても本願は適用することができる。その場合、駆動するモータのそれぞれに対してパワーモジュール等の各構成要素を複数設けてもよいし一部を共有してもよい。また、適用対象は陸上を走行する車両の駆動に用いる電力変換装置に限定されず、水上を走行する船舶等の駆動に用いる電力変換装置にも適用することができる。
【0065】
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0066】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0067】
(付記1)
パワーデバイスを有するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールの入力電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電するための抵抗体を有する放電回路と、
前記パワーモジュール及び前記平滑コンデンサに接続された配線板と、
前記パワーモジュール、前記平滑コンデンサ、前記放電回路、及び前記配線板を収容する筐体と、
前記筐体の内部に充填された注型樹脂と、を備え、
前記筐体は、前記平滑コンデンサ及び前記抵抗体を収容する収容部を有し、
前記注型樹脂は、少なくとも前記収容部の内壁と前記平滑コンデンサとの間及び前記収容部の前記内壁と前記抵抗体との間に配置され、一体に形成されていることを特徴とする電力変換装置。
(付記2)
前記収容部は開口部を有し、
前記配線板は、前記開口部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に固定され、
前記注型樹脂は、前記配線板との間に間隙をあけて配置されたことを特徴とする付記1記載の電力変換装置。
(付記3)
前記放電回路は、前記配線板に配置されたことを特徴とする付記2記載の電力変換装置。
(付記4)
前記パワーデバイスを駆動する駆動回路及び前記駆動回路を制御する制御回路を有する回路基板をさらに備え、
前記回路基板は、前記収容部の前記開口部の一部を覆うように前記筐体に固定され、
前記放電回路は、前記回路基板に配置され、
前記注型樹脂は、前記回路基板との間に間隙をあけて配置されたことを特徴とする付記2記載の電力変換装置。
(付記5)
前記配線板は、前記注型樹脂に対向する箇所に、1つ以上の貫通穴を有することを特徴とする付記2から付記4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記6)
前記平滑コンデンサは、複数個のコンデンサを含むことを特徴とする付記1から付記5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記7)
前記収容部は開口部を有し、
前記注型樹脂は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記平滑コンデンサから前記抵抗体に向かう方向と前記開口部の深さ方向とに垂直な方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域を有することを特徴とする付記1から付記6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記8)
前記収容部は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記収容部の前記深さ方向に位置する底部から前記開口部に向かって延びる仕切り壁を有し、
前記仕切り壁の開口部側端部に、前記平滑コンデンサから前記抵抗体に向かう方向に延びる溝が設けられ、
前記薄肉領域は前記溝に配置されたことを特徴とする付記7記載の電力変換装置。
(付記9)
前記収容部は開口部を有し、
前記注型樹脂は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記開口部の深さ方向における樹脂厚が他の領域の前記樹脂厚よりも小さい薄肉領域を有することを特徴とする付記1から付記8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記10)
前記収容部は、前記平滑コンデンサと前記抵抗体との間に、前記収容部の前記深さ方向に位置する底部から前記開口部に向かって延びる仕切り壁を有し、
前記薄肉領域は前記仕切り壁の前記開口部側に配置されたことを特徴とする付記9記載の電力変換装置。
(付記11)
前記薄肉領域の前記樹脂厚は、前記平滑コンデンサの最大厚みよりも小さいことを特徴とする付記7または付記9記載の電力変換装置。
(付記12)
前記注型樹脂は、熱伝導率が0.2W/m・K以上であることを特徴とする付記1から付記11のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記13)
前記配線板はプリント基板であることを特徴とする付記1から付記12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
(付記14)
パワーデバイスを有するパワーモジュールと、平滑コンデンサと、抵抗体を有する放電回路と、前記パワーモジュール及び前記平滑コンデンサに接続された配線板と、収容部を有する筐体と、硬化前の注型樹脂とを用意する工程、
前記平滑コンデンサ及び前記抵抗体を前記収容部の内部に配置した状態で、前記配線板を前記収容部の開口部を覆うように前記筐体に固定する工程、及び
前記筐体に固定された前記配線板に設けられた1つ以上の貫通穴から前記注型樹脂を前記収容部に注入し、前記注型樹脂を少なくとも前記収容部の内壁と前記平滑コンデンサとの間及び前記収容部の前記内壁と前記抵抗体との間に配置し一体に形成する工程、
を含むことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本願は、電力変換装置及びその製造方法、特に車両、船舶等に搭載される電力変換装置及びその製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B、1C 電力変換装置、11 筐体、11a 収容部、11b 内壁、11c 開口部、11d 底部、11e 仕切り壁、11f 溝、12 パワーモジュール、13 回路基板、14 駆動回路、15 制御回路、16 電流検出回路、17 配線板、18、18a、18b 平滑コンデンサ、19 放電回路、20 抵抗体、21 注型樹脂、21a 薄肉領域、22、22a、22b 固定部材、23、23a、23b 貫通穴、24 信号ケーブル、25 電力ケーブル、181、201 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9