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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151752
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241018BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065396
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】木下 智貴
(72)【発明者】
【氏名】金子 武司
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2H270KA55
2H270MF13
2H270QA13
2H270QA14
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB53
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を実現する。
【解決手段】1又は複数のプロセッサを有し、1又は複数のプロセッサは、搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、原稿のプレビュー表示中に、搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する、画像処理システムを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、
前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する、
画像処理システム。
【請求項2】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記検出をトリガーとして、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記記憶媒体への前記イメージデータの保存に成功した場合、前記検出をトリガーとして新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記1又は複数のプロセッサは、
搬送中の新たな原稿から読み取ったイメージデータを前記表示デバイスにプレビュー表示する、
請求項2又は3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記記憶媒体への前記イメージデータの保存が失敗した場合、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示しない、
請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記取り込み口に取り付けられている新たな原稿の取り外しをユーザに求める通知を前記表示デバイスに提示する、
請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記1又は複数のプロセッサは、
プレビュー表示されていたイメージデータが前記記憶媒体に保存されていない旨を前記表示デバイスに提示する、
請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記取り込み口への新たな原稿の取り付けによりイメージデータの前記記憶媒体への保存が実行される旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記1又は複数のプロセッサは、
イメージデータの前記記憶媒体への保存を指示するボタンを前記表示デバイスに表示する、
請求項8に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記取り込み口への新たな原稿の取り付けにより新たな原稿の搬送が開始する旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、
請求項8に記載の画像処理システム。
【請求項11】
コンピュータに、
搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、
前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する機能
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送中の原稿からイメージデータを読み取る装置には、保存前のイメージデータをプレビュー表示する動作モードを備えるものがある。この種の動作モードの場合、イメージデータの保存はユーザのボタン操作まで保留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-050475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、複数の原稿のイメージデータを連続的に読み取りたいことがある。なお、ここでの「複数の原稿」は、読み取り単位が複数であることを意味している。読み取り単位は、1枚の場合もあれば、複数枚の場合もある。
読み取ったイメージデータがプレビュー表示される場合に、複数の原稿のイメージを連続的に読み取るときも、ユーザに求められる操作は1つの原稿を読み取る場合と同じである。すなわち、プレビュー表示されているイメージデータの保存にはユーザのボタン操作が必要となる。ユーザのボタン操作がなければ、プレビュー中のイメージデータの保存は実行されず、次の原稿のイメージデータの読み取りも開始されない。
【0005】
本発明は、プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する、画像処理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記検出をトリガーとして、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記記憶媒体への前記イメージデータの保存に成功した場合、前記検出をトリガーとして新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、搬送中の新たな原稿から読み取ったイメージデータを前記表示デバイスにプレビュー表示する、請求項2又は3に記載の画像処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記記憶媒体への前記イメージデータの保存が失敗した場合、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示しない、請求項3に記載の画像処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口に取り付けられている新たな原稿の取り外しをユーザに求める通知を前記表示デバイスに提示する、請求項5に記載の画像処理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、プレビュー表示されていたイメージデータが前記記憶媒体に保存されていない旨を前記表示デバイスに提示する、請求項5に記載の画像処理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口への新たな原稿の取り付けによりイメージデータの前記記憶媒体への保存が実行される旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項9に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、イメージデータの前記記憶媒体への保存を指示するボタンを前記表示デバイスに表示する、請求項8に記載の画像処理システムである。
請求項10に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口への新たな原稿の取り付けにより新たな原稿の搬送が開始する旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、請求項8に記載の画像処理システムである。
請求項11に記載の発明は、コンピュータに、搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する機能を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を実現できる。
請求項2記載の発明によれば、新たな原稿の取り付けをトリガーとして新たな原稿の搬送を開始できる。
請求項3記載の発明によれば、先に読み取ったイメージデータの記憶媒体への記録の成功を条件として新たな原稿の搬送を開始できる。
請求項4記載の発明によれば、ユーザが追加の操作を行わなくても新たな原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスに表示できる。
請求項5記載の発明によれば、先に読み取ったイメージデータの記憶媒体への記録が失敗することに起因する新たな原稿の搬送のやり直しを回避できる。
請求項6記載の発明によれば、先に読み取った原稿の再読み込みに必要な操作をユーザに知らせることができる。
請求項7記載の発明によれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存の失敗をユーザに知らせることができる。
請求項8記載の発明によれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存のためのボタン操作が不要であることをユーザに知らせることができる。
請求項9記載の発明によれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存をボタン操作により実行したいユーザにも対応できる。
請求項10記載の発明によれば、原稿の搬送を指示するボタン操作を行わなくても新たな原稿の搬送が開始されることをユーザに通知できる。
請求項11記載の発明によれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で想定する画像処理システムの機能構成例を説明する図である。
図2】実施の形態1で想定する画像処理システムで実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。
図3】実施の形態1で使用するプレビュー表示の一例を説明する図である。
図4】異常終了画面の一例を説明する図である。
図5】実施の形態2で使用するプレビュー表示の一例を説明する図である。
図6】実施の形態2で想定する画像処理システムで実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態3で想定する画像処理システムで実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。
図8】プレビュー表示の他の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<システム構成>
図1は、実施の形態1で想定する画像処理システム1の機能構成例を説明する図である。
実施の形態1で想定する画像処理システム1は、プリント機能、スキャナ機能、コピー機能を有している。なお、コピー機能は、スキャナ機能を用いて入力した画像を、プリント機能を用いて用紙に印刷する機能である。
【0010】
実施の形態1で想定する画像処理システム1は、システム全体を制御する制御装置10と、処理対象である画像や操作画面を記憶する主記憶装置14と、操作画面の表示やユーザ操作の受け付けに使用する操作パネル15と、原稿のイメージを光学的に読み取る画像入力装置16と、処理対象とする画像データに対して予め定めた処理を加える画像処理ユニット17と、記録媒体である用紙に画像を形成する画像出力装置18と、外部装置との通信に用いられる通信装置19とを有している。なお、制御装置10と各部を接続するバス等の信号線20を通じて接続されている。
【0011】
制御装置10は、プログラムを実行するプロセッサ11と、BIOS(Basic Input / Output System)やファームウェアなどのプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)12と、プログラムの作業エリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)13とにより構成される。制御装置10は、いわゆるコンピュータとして動作する。
主記憶装置14は、例えばハードディスク装置や半導体メモリで構成される。ここでのハードディスク装置や半導体メモリは、記憶媒体の一例である。
【0012】
操作パネル15は、例えばタッチパネルと、ボタンやスイッチ等の物理キーで構成される。
タッチパネルは、例えば表示デバイスと静電容量式のフィルムセンサで構成される。静電容量式のフィルムセンサは、表示デバイスの視認を妨げない透過性の高い素材で構成され、表示デバイスの表示面に取り付けられる。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。
【0013】
画像入力装置16は、いわゆるスキャナである。本実施の形態で想定する画像入力装置16には、原稿台に取り付けられた原稿を搬送する搬送ローラその他の搬送機構と、照明光源と、搬送中の原稿からイメージデータを読み取るイメージセンサが設けられている。
照明光源は、線状の照明光を搬送中の原稿に照射する光源である。本実施の形態の場合、照明光が照射される位置を読み取り位置という。本実施の形態における読み取り位置は固定である。
イメージセンサには、例えばCCD(=Charge Coupled Devices)やCIS(=Contact Image Sensor)を使用する。本実施の形態における画像入力装置16は、読み取った原稿のイメージデータの出力形式として、例えばフルカラー形式、グレースケール形式、白黒形式のいずれにも対応する。
【0014】
本実施の形態における画像入力装置16による原稿の読み取りは1枚単位で実行される。すなわち、画像入力装置16は、1枚の原稿からイメージデータが読み取られるたびに、イメージデータの表示や保存を実行する。
画像処理ユニット17は、例えばレベル補正その他の前処理、画質の向上に関する処理を実行する。画質に関する処理には、例えば濃度、シャープネス、コントラスト、地色除去がある。
【0015】
画像出力装置18は、例えば電子写真方式又はインクジェット方式により、ロール紙やカット紙の表面に画像を印刷する装置である。本実施の形態の場合、A0サイズ、A1サイズ、A2サイズ、A3サイズ、A4サイズのカット紙、予め定めた幅と直径に巻き取ったロール紙を想定する。なお、手差し給紙される用紙の幅と長さは予め定められている。もっとも、用紙のサイズはこれに限らない。
通信装置19は、例えばイーサネット(登録商標)を通じ、ネットワークに接続されたサーバ、コンピュータ、ストレージ装置その他の外部装置と通信する。
【0016】
<処理動作>
図2は、実施の形態1で想定する画像処理システム1で実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。なお、図中に示す記号のSはステップを意味する。
図2に示す処理動作は、プロセッサ11(図1参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。因みに、図2に示す処理動作は、操作パネル15(図1参照)に表示された操作画面を通じ、スキャン機能の実行が指示されることで開始される。
【0017】
なお、スキャン機能により読み取られた原稿のイメージデータは主記憶装置14(図1参照)だけでなく、ネットワークに接続されているサーバ、コンピュータ、ストレージ装置その他の外部装置への保存も可能である。
また、プロセッサ11は、操作パネル15の操作画面を通じ、画質の調整に関する設定、読み取り方式に関する設定、プレビュー表示の設定等を受け付ける。
【0018】
これらの設定の受け付け後、プロセッサ11は、画像入力装置16(図1参照)に設けられている取り込み口(不図示)への原稿の取り付けを待機する(ステップ1)。換言すると、プロセッサ11は、画像入力装置16に設けられている搬送機構の取り込み口への原稿の挿入を待機する。本実施の形態の場合、原稿は1枚であり、ユーザが手作業で取り込み口に原稿を取り付ける。なお、原稿の取り付けは、取り込み口の奥に設けられているセンサにより検知される。
【0019】
次に、プロセッサ11は、取り込み口への原稿の取り付けを検知する(ステップ2)。
原稿の取り付けが検知されると、プロセッサ11は、原稿の搬送を開始する(ステップ3)。すなわち、原稿のスキャンが開始される。
原稿の搬送には、不図示の搬送ローラが使用される。なお、搬送の開始は、「スタート」ボタンの操作をトリガーとしてもよいし、センサによる原稿の取り付けの検知をトリガーとしてもよい。「スタート」ボタンは、物理キーとして用意してもよいし、操作画面上にソフトキーとして用意してもよい。
【0020】
次に、プロセッサ11は、原稿の搬送の完了を検知する(ステップ4)。原稿の搬送の完了は、例えば原稿の終端が読み取り位置を通過することにより検知される。もっとも、原稿が排出口から排出されることを原稿の搬送の完了としてもよい。
続いて、プロセッサ11は、プレビュー表示の設定ありか否かを判定する(ステップ5)。プレビュー表示の設定がない場合、ステップ5で否定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、イメージデータを保存し(ステップ6)、ステップ1に戻る。
【0021】
一方、プレビュー表示の設定がある場合、ステップ5で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、イメージデータをプレビュー表示する(ステップ7)。プレビュー表示は、操作パネル15に表示される。
図3は、実施の形態1で使用するプレビュー表示の一例を説明する図である。本実施の形態の場合、図3に示す操作画面は、操作パネル15に表示される。
操作画面には、プレビュー表示欄151と、メッセージ欄152と、各種の操作ボタン153、154、155、156、157が配置されている。
プレビュー表示欄151には、原稿から読み取ったイメージが表示される。
【0022】
図3の場合、メッセージ欄152は、案内文152Aと、「取消」ボタン152Bと、「保存」ボタン152Cで構成されている。
案内文152Aには、プレビュー表示中に可能な操作をユーザに知らせる内容が記載される。図3の場合、案内文152Aには、「次の原稿の取り付けにより、表示されているイメージデータの保存と次のスキャンが自動的に実行されます」と記載されている。
この案内文152Aには、次の原稿(すなわち新たな原稿)の取り込み口への取り付けが2つの役割を持つことが示されている。すなわち、次の原稿の取り込み口への取り付けが、「保存」ボタン152Cの操作の役割と、「スタート」ボタン等の操作の役割を果たすことが示されている。
【0023】
この案内文152Aの表示により、画像処理システム1の操作に不慣れなユーザにも、次の原稿を取り込み口に取り付ければ、イメージデータの保存とスキャンの開始を指示する操作が不要であることを知らせることが可能になる。
もっとも、図3に示すメッセージ欄152には、「保存」ボタン152Cも配置されている。このため、ユーザは、「保存」ボタン152Cの操作により、プレビュー表示中のイメージデータの保存をプロセッサ11(図1参照)に指示することも可能である。すなわち、図3に示す操作画面では、ユーザは、「保存」ボタン152Cの操作によりイメージデータの保存を指示することも、次の原稿の取り込み口への取り付けによりイメージデータの保存を指示することも可能である。
【0024】
この他、メッセージ欄152には、「取消」ボタン152Bも配置されている。「取消」ボタン152Bは、原稿のイメージデータの読み取りをやり直す場合や読み取り自体を中止する場合に備えて用意されている。
なお、電源ボタン153は、節電モードへの切り替えや節電モードからの復帰に使用される他、電源オフにも使用される。
ホームボタン154は、ホーム画面を開くために使用される。
「中止」ボタン155は、スキャン機能を中止するために使用される。
「拡大」ボタン156は、プレビュー表示欄151に表示されているイメージの拡大に使用される。
「縮小」ボタン157は、プレビュー表示欄151に表示されているイメージの縮小に使用される。
【0025】
図2の説明に戻る。
プロセッサ11は、操作画面を通じて受け付けたボタン操作に応じ、以下の処理動作を実行する。
例えばプロセッサ11が「取消」ボタン152B(図3参照)の操作を検知した場合(ステップ8)、プロセッサ11は、プレビュー表示されているイメージデータを削除し(ステップ9)、ステップ1に戻る。
例えばプロセッサ11が「保存」ボタン152C(図3参照)の操作を検知した場合(ステップ10)、プロセッサ11は、プレビュー表示されているイメージデータを主記憶装置14(図1参照)等に保存する(ステップ11)。続いて、プロセッサ11は、イメージデータの保存が正常に終了したか否かを判定する(ステップ12)。
【0026】
イメージデータの保存が正常に終了した場合、ステップ12で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、ステップ1に戻る。
一方、イメージデータの保存が正常に終了しなかった場合、ステップ12で否定結果が得られる。イメージデータの保存が正常に終了しない原因には、例えばイメージデータの保存中に主記憶装置14(図1参照)の容量が一杯になった場合、イメージデータのデータサイズが制限値を超えた場合、イメージデータの保存先に指定された外部装置と通信できない場合がある。
ステップ12で否定結果が得られた場合、プロセッサ11は、異常終了の画面(以下「異常終了画面」という。)を表示する(ステップ13)。
【0027】
図4は、異常終了画面の一例を説明する図である。図4には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図4に示す操作画面には、電源ボタン153と、ホームボタン154と、エラーメッセージ欄158と、「確認」ボタン159とが配置されている。
図4の場合、エラーメッセージ欄158には、「イメージデータの保存に失敗しました。」、「[確認]を押してください。」、「いま読み込んだ原稿のイメージデータはメモリから削除されます。」の3つの文が記載されている。
このエラーメッセージ欄158の表示により、ユーザは、原稿のイメージデータの再読み込みが必要になったことを知ることになる。
【0028】
図2の説明に戻る。
ユーザが「確認」ボタン159(図4参照)を操作すると、プロセッサ11は、イメージデータを削除する(ステップ14)。
続いて、プロセッサ11は、原稿が取り付けられた状態か否かを判定する(ステップ15)。換言すると、プロセッサ11は、搬送経路上に原稿が残存しているか否かを判定する。
原稿が搬送経路上に残存していない場合、ステップ15で否定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、ステップ1に戻る。
一方、原稿が搬送経路上に残存している場合、ステップ15で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、原稿の引き抜きを求めるメッセージを表示する(ステップ16)。この後、原稿の引き抜きを検知すると(ステップ17)、プロセッサ11は、ステップ1に戻る。
【0029】
最後に、ユーザが「保存」ボタン152C(図3参照)を操作せずに次の原稿を取り込み口に取り付けた場合について説明する。
プロセッサ11は、取り込み口への次の原稿の取り付けを検知した場合(ステップ18)、プレビュー表示されているイメージデータを主記憶装置14(図1参照)等に保存する(ステップ19)。すなわち、プロセッサ11は、次の原稿(すなわち新たな原稿)の取り付けの検出をトリガーとしてイメージデータを主記憶装置14(図1参照)等に保存する。
【0030】
続いて、プロセッサ11は、イメージデータの保存が正常に終了したか否かを判定する(ステップ20)。
イメージデータの保存が正常に終了した場合、ステップ20で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、ステップ3に戻る。すなわち、ユーザによる「スタート」ボタンの操作が無くても、プロセッサ11は、新たに取り付けられた次の原稿の搬送を開始する。
【0031】
その後、プロセッサ11は、原稿の搬送の完了を検知すると(ステップ4)、プレビュー表示の設定に基づいて新たな原稿から読み取ったイメージデータをプレビュー表示する(ステップ5、7)。
すなわち、1つ前の原稿の読み取り時の設定でプレビュー表示が設定されていた場合、プロセッサ11は、新たに読み取ったイメージデータについてもプレビュー表示する。
なお、イメージデータの保存が正常に終了しなかった場合、ステップ20で否定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、前述したステップ13に遷移する。
【0032】
<実施の形態2>
本実施の形態では、「保存」ボタン152C(図3参照)を操作画面に有しない、又は、設定により「保存」ボタン152Cの表示が無効化されている場合を説明する。
図5は、実施の形態2で使用するプレビュー表示の一例を説明する図である。図5には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図5に示すメッセージ欄152には、案内文152Aと「取消」ボタン152Bが配置され、「保存」ボタン152Cは配置されていない。
なお、案内文152Aの文面は、図3と同じである。
【0033】
本実施の形態の場合、連続して原稿のイメージデータを読み込みたいユーザは、プレビュー画像の表示中に、次の原稿を取り込み口に取り付けることでのみ、次の原稿のイメージデータを読み取ることが可能になる。
図6は、実施の形態2で想定する画像処理システム1で実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。図6には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
図6に示すフローチャートは、図2のステップ10-12が削除されている点を除き、図2に示すフローチャートと同じである。
【0034】
<実施の形態3>
本実施の形態では、取り込み口への次の原稿の取り付けをトリガーとして、先の原稿のイメージデータの保存と次の原稿の搬送が開始される場合について説明する。
図7は、実施の形態3で想定する画像処理システム1で実行されるスキャン機能の処理動作を説明するフローチャートである。図7には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0035】
図7に示すフローチャートの場合、プロセッサ11は、プレビュー表示中に、取り込み口への次の原稿の取り付けを検知すると(ステップ18)、イメージデータを保存する(ステップ19)とともに、次の原稿の搬送を開始する(ステップ3)。
すなわち、次の原稿の搬送は、イメージデータの保存の正常終了を待つことなく開始される。
【0036】
ただし、先のイメージデータの保存が正常に終了するとは限らない。
そこで、プロセッサ11は、原稿の搬送の開始後に、先に読み取ったイメージデータの保存が正常に終了したか否かを判定する(ステップ21)。
ここでの「先に読み取ったイメージデータ」は、直前までプレビュー表示されていたイメージデータである。
なお、「保存」ボタン152C(図3参照)の操作によってイメージデータの保存が実行された場合には、ステップ12でイメージデータの保存が正常に終了したことが確認されていないと、次の原稿の搬送が開始されることがない。
【0037】
従って、ステップ21における判定の対象は、事実上、取り込み口に次の原稿が取り付けられた場合におけるイメージデータの保存が正常に終了したか否かが判定の対象となる。
イメージデータの保存が正常に終了した場合、ステップ21で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、ステップ4に進む。なお、ステップ21による判定は、ステップ4の実行後でも構わない。
一方、イメージデータの保存が正常に終了しなかった場合、ステップ21で否定結果が得られる。この場合、プロセッサ11は、原稿の搬送を中止し(ステップ22)、ステップ13に遷移する。
【0038】
<他の実施の形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0039】
(2)前述の実施の形態では、スキャン機能に関連する操作画面上に案内文152Aが表示される場合について説明したが、操作画面に案内文152Aを表示しないことも可能である。
図8は、プレビュー表示の他の表示例を説明する図である。図8には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図8に示すプレビュー表示は、用意された操作画面に案内文152Aがそもそも設けられない場合の他、設定により案内文152Aの表示が無効化されている場合に出現する。
【0040】
(3)前述の実施の形態では、読み取り単位としての原稿が1枚ずつ取り込み口に手動で取り付けられる場合を前提としているが、複数枚の原稿が読み取り単位として取り込み口に手動で取り付けられてもよい。例えば画像入力装置16(図1参照)にADF(=Automatic Document Feeder)が装着されており、このADFにA4サイズの原稿10枚が取り付けられてもよい。この場合、画像入力装置16は、原稿台に取り付けられた10枚の原稿を1枚ずつ順番に引き出して読み取り位置に搬送し、10枚全ての原稿のイメージデータが読み取られると、イメージデータをプレビュー表示する。また、イメージデータの保存も10枚のイメージデータを単位として実行される。
【0041】
(4)前述の実施の形態では、画像入力装置16によって原稿の片面のイメージを読み取る場合を想定しているが、一方向に原稿が搬送される間に、原稿の表面のイメージと裏面のイメージを同時に読み取ってもよい。
【0042】
(5)前述の実施の形態では、画像処理システム1(図1参照)に画像出力装置18(図1参照)が含まれる場合を想定しているが、画像出力装置18を含まないシステム構成も可能である。すなわち、画像処理システム1は、いわゆるスキャナでもよい。
【0043】
(6)前述の実施の形態では、図2等で説明したスキャン機能に関する処理動作を、画像処理システム1(図1参照)と同じ筐体内に設けられたプロセッサ11(図1参照)が実行する場合について説明したが、ネットワークを通じて接続された外部装置のプロセッサで実行してもよい。
【0044】
(7)前述した実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(=Central Processing Unit))の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU(=Graphical Processing Unit)、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(=Field Programmable Gate Array)、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順番は、前述した各実施の形態に記載した順番のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【0045】
<付記>
(((1)))
1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する、画像処理システム。
(((2)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記検出をトリガーとして、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、(((1)))に記載の画像処理システム。
(((3)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記記憶媒体への前記イメージデータの保存に成功した場合、前記検出をトリガーとして新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示する、(((1)))に記載の画像処理システム。
(((4)))
前記1又は複数のプロセッサは、搬送中の新たな原稿から読み取ったイメージデータを前記表示デバイスにプレビュー表示する、(((2)))又は(((3)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((5)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記記憶媒体への前記イメージデータの保存が失敗した場合、新たな原稿の搬送を前記搬送機構に指示しない、(((3)))に記載の画像処理システム。
(((6)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口に取り付けられている新たな原稿の取り外しをユーザに求める通知を前記表示デバイスに提示する、(((5)))に記載の画像処理システム。
(((7)))
前記1又は複数のプロセッサは、プレビュー表示されていたイメージデータが前記記憶媒体に保存されていない旨を前記表示デバイスに提示する、(((5)))に記載の画像処理システム。
(((8)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口への新たな原稿の取り付けによりイメージデータの前記記憶媒体への保存が実行される旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((9)))
前記1又は複数のプロセッサは、イメージデータの前記記憶媒体への保存を指示するボタンを前記表示デバイスに表示する、(((8)))に記載の画像処理システム。
(((10)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記取り込み口への新たな原稿の取り付けにより新たな原稿の搬送が開始する旨を、イメージデータがプレビュー表示されている前記表示デバイスに表示する、(((8)))に記載の画像処理システム。
(((11)))
コンピュータに、搬送機構による搬送中の原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスにプレビュー表示する動作モードにおいて、前記原稿のプレビュー表示中に、前記搬送機構の取り込み口への新たな原稿の取り付けを検出した場合、当該検出をトリガーとしてプレビュー表示中のイメージデータを記憶媒体に保存する機能を実現させるためのプログラム。
【0046】
(((1)))に係る画像処理システムによれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を実現できる。
(((2)))に係る画像処理システムによれば、新たな原稿の取り付けをトリガーとして新たな原稿の搬送を開始できる。
(((3)))に係る画像処理システムによれば、先に読み取ったイメージデータの記憶媒体への記録の成功を条件として新たな原稿の搬送を開始できる。
(((4)))に係る画像処理システムによれば、ユーザが追加の操作を行わなくても新たな原稿から読み取ったイメージデータを表示デバイスに表示できる。
(((5)))に係る画像処理システムによれば、先に読み取ったイメージデータの記憶媒体への記録が失敗することに起因する新たな原稿の搬送のやり直しを回避できる。
(((6)))に係る画像処理システムによれば、先に読み取った原稿の再読み込みに必要な操作をユーザに知らせることができる。
(((7)))に係る画像処理システムによれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存の失敗をユーザに知らせることができる。
(((8)))に係る画像処理システムによれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存のためのボタン操作が不要であることをユーザに知らせることができる。
(((9)))に係る画像処理システムによれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存をボタン操作により実行したいユーザにも対応できる。
(((10)))に係る画像処理システムによれば、原稿の搬送を指示するボタン操作を行わなくても新たな原稿の搬送が開始されることをユーザに通知できる。
(((11)))に係るプログラムによれば、プレビュー表示されているイメージデータの保存に際してユーザによるボタン操作が必要になる場合に比して、複数の原稿を連続的に読み取る際にユーザに求められる操作数の低減を実現できる。
【符号の説明】
【0047】
1…画像処理システム、10…制御装置、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…主記憶装置、15…操作パネル、16…画像入力装置、17…画像処理ユニット、18…画像出力装置、19…通信装置、20…信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8