(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151756
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】動物用罠及び罠用装置
(51)【国際特許分類】
A01M 23/34 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A01M23/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065401
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】523133580
【氏名又は名称】島田 寿朗
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】島田 寿朗
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA32
2B121BA51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】罠が複数の部品に分離せず、再利用が不可能となる可能性を低減する動物用罠及び罠用装置を提供する。
【解決手段】罠用装置1は、軸と共に回転し、待機状態においてワイヤー2の輪状部の締め付けを受けるワイヤー受けと、軸とそれぞれ共に回転する踏み板の両端をそれぞれ回動可能に保持する側辺と、踏み板は待機状態において、ワイヤー2の輪状部の締め付け力が、踏み板の先端部を互いに設置面上方に付勢し、踏み板に対して、待機状態から踏み板が設置面下方に踏まれると、ワイヤーの受けが解除される相対角度に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された第1及び第2の回転軸と、
前記第1及び第2の回転軸の両端に設けられ、前記回転軸と共に回転するよう構成され、待機状態においてワイヤーの輪状部の締め付けを受けるワイヤー受けと、
前記第1及び第2の回転軸とそれぞれ共に回転する第1及び第2の踏み板と、
前記第1及び第2の回転軸の両端をそれぞれ回動可能に保持する側辺とを有し、
前記待機状態において、前記ワイヤーの輪状部の締め付け力によって、前記第1及び第2の踏み板の先端部は互いに設置面上方に付勢され、
前記側辺は、前記待機状態において前記第1及び第2の踏み板の付勢を保持する突起を有し、
前記ワイヤー受け並びに前記第1及び第2の踏み板は、前記待機状態から前記第1及び/又は第2の踏み板が前記設置面下方に踏まれると、前記ワイヤーが前記ワイヤー受けから解除される相対角度に構成される罠用装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の踏み板は、待機状態において前記設置面下方に一方が踏まれると、他方が同方向に動くよう互いの先端部が係合する形状を有する請求項1に記載の罠用装置。
【請求項3】
前記第1の回転軸と前記第1の踏み板、及び前記第2の回転軸と前記第2の踏み板は一体に成形される請求項1に記載の罠用装置。
【請求項4】
前記側辺は、前記第1及び第2の回転軸をそれぞれ保持する孔部を有し、当該孔部は、待機状態において前記第1及び第2の回転軸に対して設置面と平行方向であって前記第1及び第2回転軸の内側方向にクリアランスが設けられた形状を有する請求項1に記載の罠用装置。
【請求項5】
前記側辺は、前記ワイヤー受けの可動範囲において前記ワイヤーの輪状部の接触を回避する形状を有する請求項1に記載の罠用装置。
【請求項6】
前記ワイヤー受けは、前記ワイヤーを受けるための溝が、前記待機状態において前記第1及び第2の回転軸中心から前記設置面上方にオフセットされる請求項1に記載の罠用装置。
【請求項7】
平行に配置された第1及び第2の回転軸と、
前記第1及び第2の回転軸の両端に設けられ、前記回転軸と共に回転するよう構成され、待機状態においてワイヤーの輪状部の締め付けを受けるワイヤー受けと、
前記第1及び第2の回転軸とそれぞれ共に回転する第1及び第2の踏み板と、
前記第1及び第2の回転軸の両端をそれぞれ回動可能に保持する側辺とを有し、
支点としての前記回転軸と前記ワイヤー受けの作用点との距離が、前記回転軸と前記第1及び第2の踏み板の力点との距離より小さい罠用装置。
【請求項8】
支点としての前記回転軸、前記ワイヤー受けの作用点及び前記第1及び第2の踏み板の力点は略同一線上に配置される請求項7に記載の罠用装置。
【請求項9】
請求項1~8に記載の罠用装置と、ワイヤーとを備える動物用罠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用罠及び罠用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、はね部に架けられたワイヤーを使用した動物用罠において、はね部の動きを確保する罠用装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された罠用装置は、基部と、はね部を備え、接続部材は、はね部に取り付けられる。接続部材は、面接触で摺動して回転できる状態で基部に取り付けられる基部取付部と、はね部の外側でワイヤーを保持するワイヤー保持部を備える。このような構成により、部品の取り付け方、土などの挟まり、雨や雪の影響などで動きが鈍くなることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した罠用装置によると、部品の取り付け方、土などの挟まり、雨や雪の影響などで動きが鈍くなることを防止するものの、当該動物用罠として罠用装置を設置するための筒が必要であり、罠用装置を構成する部品が複数であるため、いずれかの部品が設置地点で紛失された場合に再利用できないという問題があった。
【0006】
また、上記したパイプ式のくくり罠の他、跳ね上げ式、ジャンプ式等のくくり罠があるが、従来のいずれの方式の動物用罠も構成部品が複数であるため、同様の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、罠が複数の部品に分離せず、再利用が不可能となる可能性を低減する動物用罠及び罠用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の動物用罠を提供する。
【0009】
[1]対向して配置された第1及び第2の回転軸と、
前記第1及び第2の回転軸の両端に設けられ、前記回転軸と共に回転するよう構成され、待機状態においてワイヤーの輪状部の締め付けを受けるワイヤー受けと、
前記第1及び第2の回転軸とそれぞれ共に回転する第1及び第2の踏み板と、
前記第1及び第2の回転軸の両端をそれぞれ回動可能に保持する側辺とを有し、
前記待機状態において、前記ワイヤーの輪状部の締め付け力によって、前記第1及び第2の踏み板の先端部は互いに設置面上方に付勢され、
前記側辺は、前記待機状態において前記第1及び第2の踏み板の付勢を保持する突起を有し、
前記ワイヤー受け並びに前記第1及び第2の踏み板は、前記待機状態から前記第1及び/又は第2の踏み板が前記設置面下方に踏まれると、前記ワイヤーが前記ワイヤー受けから解除される相対角度に構成される罠用装置。
[2]前記第1及び第2の踏み板は、待機状態において前記設置面下方に一方が踏まれると、他方が同方向に動くよう互いの先端部が係合する形状を有する前記[1]に記載の罠用装置。
[3]前記第1の回転軸と前記第1の踏み板、及び前記第2の回転軸と前記第2の踏み板は一体に成形される前記[1]に記載の罠用装置。
[4]前記側辺は、前記第1及び第2の回転軸をそれぞれ保持する孔部を有し、当該孔部は、待機状態において前記第1及び第2の回転軸に対して設置面と平行方向であって前記第1及び第2回転軸の内側方向にクリアランスが設けられた形状を有する前記[1]に記載の罠用装置。
[5]前記側辺は、前記ワイヤー受けの可動範囲において前記ワイヤーの輪状部の接触を回避する形状を有する前記[1]に記載の罠用装置。
[6]前記ワイヤー受けは、前記ワイヤーを受けるための溝が、前記待機状態において前記第1及び第2の回転軸中心から前記設置面上方にオフセットされる前記[1]に記載の罠用装置。
[7]平行に配置された第1及び第2の回転軸と、
前記第1及び第2の回転軸の両端に設けられ、前記回転軸と共に回転するよう構成され、待機状態においてワイヤーの輪状部の締め付けを受けるワイヤー受けと、
前記第1及び第2の回転軸とそれぞれ共に回転する第1及び第2の踏み板と、
前記第1及び第2の回転軸の両端をそれぞれ回動可能に保持する側辺とを有し、
支点としての前記回転軸と前記ワイヤー受けの作用点との距離が、前記回転軸と前記第1及び第2の踏み板の力点との距離より小さい罠用装置。
[8]支点としての前記回転軸、前記ワイヤー受けの作用点及び前記第1及び第2の踏み板の力点は略同一線上に配置される前記[7]に記載の罠用装置。
[9]前記[1]~[8]に記載の罠用装置と、ワイヤーとを備える動物用罠。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、7、8、9に係る発明によれば、罠が複数の部品に分離せず、再利用が不可能となる可能性を低減することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1及び第2の踏み板は、待機状態において設置面下方に一方が踏まれると、他方が同方向に動くようにすることができる。
請求項3に係る発明によれば、回転軸並びに第1及び第2の踏み板を一体に成形することができる。
請求項4に係る発明によれば、側辺を、回転軸を保持する孔部を有し、当該孔部は、待機状態において回転軸に対して設置面と平行方向であって回転軸の内側方向にクリアランスが設けられた形状とすることができる。
請求項5に係る発明によれば、側辺を、ワイヤー受けの可動範囲においてワイヤーの輪状部の接触を回避するようにすることができる。
請求項6に係る発明によれば、ワイヤー受けを、ワイヤーを受けるための溝が、待機状態において回転軸中心から設置面上方にオフセットした形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る動物用罠の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、罠用装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)~(e)は、踏み板の構成を示す六面図である。
【
図4】
図4(a)~(e)は、踏み板の構成を示す六面図である。
【
図5】
図5(a)~(e)は、側辺の構成を示す六面図である。
【
図6】
図6(a)~(e)は、ワイヤー受けの構成を示す六面図である。
【
図7】
図7(a)~(e)は、側辺とワイヤー受けとの関係を示す図である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、踏み板の待機時の状態を説明するための拡大図である。
【
図9】
図9(a)~(e)は、動物用罠の作動動作を説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
(動物用罠の構成)
図1は、実施の形態に係る動物用罠の構成例を示す斜視図である。
【0013】
動物用罠1000は、罠用装置1と、ワイヤー2とを有する。
【0014】
罠用装置1は、ワイヤー2の締め付けの力を受けて待機し、動物に踏まれることで発動するものであり、詳細については
図2~
図8を用いて説明する。ワイヤー2は、バネ20と、バネ20を両端から受けるバネ受け21a及び21bと、バネ受け21a及び21bの間隔を固定することでバネ20に付勢する付勢部22と、一端が大きさ可変の輪状部25に構成されて罠用装置1にセットされるとともに他端が固定部24に接続されるワイヤー23と、動物用罠1000の設置場所近辺の木や岩等にワイヤー23を固定する固定部24とを有する。また、ワイヤー2の付勢方式は、押しバネ、ねじりバネ方式のものを用いることができる。なお、固定部24は、実際は「より戻し」(図示せず)を介して固定される。
【0015】
【0016】
罠用装置1は、動物等に踏まれるそれぞれ第1の踏み板、第2の踏み板としての踏み板10a、10bと、踏み板10a、10bを後述する軸100a、100bを中心に回転可能に保持する側辺11a、11bと、ワイヤー23の輪状部25を受けるワイヤー受け12a1、12a2、12b1、12b2とを有する。側辺11a、11bは、踏み板10a、10bの設置面上方への付勢を受け止める突起110a、110bとを有する。なお、罠用装置1は、素材としてポリ乳酸、セルロースアセテート等の生分解性プラスティックを用いることが好ましいが、ABS、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂素材を用いてもよいし、ワイヤーの締め付けの力に耐えられ、動物に踏まれることによって損傷しない素材であれば金属、木材等を用いてもよく、材質は問わない。また、複数種類の材質を採用してもよい。
【0017】
また、上記した各部は後述する
図3~6に説明するようにそれぞれのパーツとして分けて成形されるが、各パーツの成形は、例えば、樹脂を用いる場合は3Dプリンターによって行うことができる。また、各パーツの接合はその製作精度に応じて嵌め込みのみでも対応可能であるが、接着剤を用いてもよいし、ネジ留めで行なってもよい。一方、部品の素材として生分解性プラスティックを用いる場合は、接着剤やネジについても生分解性のものを用いることが望ましい。なお、可能な場合は、3Dプリンターを用いて各パーツを完成した状態に一体に製作してもよく、この場合接合が不要となる。
【0018】
また、樹脂を用いた成形として金型を用いた成形を行ってもよい。金型を用いた成形の場合、各部をそれぞれのパーツとして分けて成形してもよいが、ワイヤ受け12a1~12b2のうち3つを踏み板10a、10bと一体化させた状態で成形し、側辺11a、11bへの組み込みの後、残りの1つを接着、ねじ止め等により接合することができる。なるべく接合の数を減らすことで強度、精度が向上し、製造コストを抑制することができる。
【0019】
図3(a)~(e)は、踏み板10aの構成を示す六面図である。
【0020】
踏み板10aは、回転中心となる第1の回転軸としての軸100aと、ワイヤー受け12a
1、12a
2が取り付けられる軸孔101aと、動物により踏まれる面である踏み面102aと、待機状態において踏み板10bの先端部と互いに係合して発動時に同方向に動く先端部である凸側係合端103aと、待機状態において設置面と対向する裏面104aとを有する。
図3(c)において縦160mm、横65mm、
図3(b)において軸100aが直径9.9mm、板厚が4mmである。
【0021】
図4(a)~(e)は、踏み板10bの構成を示す六面図である。
【0022】
踏み板10bは、回転中心となる第2の回転軸としての軸100bと、ワイヤー受け12b
1、12b
2が取り付けられる軸孔101bと、動物により踏まれる面である踏み面102bと、待機状態において踏み板10aの先端部と互いに係合して発動時に同方向に動く先端部である凹側係合端103bと、待機状態において設置面と対向する裏面104bとを有する。
図4(c)において縦160mm、横65mm、
図4(d)において軸100bが直径9.9mm、板厚が4mmである。
【0023】
図5(a)~(e)は、側辺11a、11bの構成を示す六面図である。なお、側辺11a、11bは同一形状を有し、踏み板10a、10bを挟んで対称に配置されるため、代表して側辺11aについて説明する。
【0024】
側辺11aは、踏み板10a、10bの回転を制限する突起110bと、軸100aの軸受となる孔部111aと、肩部112aとを有する。
図5(c)において縦6mm、横130mm、奥行16.3mmである。また、
図5(f)において孔111aが軸100a、100bを回転可能にかつ横方向に移動可能に保持する形状であり、横15mm、縦10mmであり、肩部112aは角Rが7.5mmである。
【0025】
図6(a)~(e)は、ワイヤー受け12a
1、12a
2、12b
1、12b
2の構成を示す六面図である。なお、ワイヤー受け12a
2及び12b
1は、ワイヤー受け12a
1を
図6(d)において左右反転、
図6(f)において上下反転させた形状を有し、ワイヤー受け12b
2は、ワイヤー受け12a
1と同一形状を有するため、代表してワイヤー受け12a
1について説明する。また、
図6各図は、
図3~
図5の各図に対して4倍の縮尺で描いている。
【0026】
ワイヤー受け12a
1は、ワイヤー2の輪状部25が装着されて締め付けを受ける溝120a
1及び突起121a
1と、本体部122a
1と、踏み板10aの軸孔101aに取り付けられる軸突起123a
1とを有する。
図6(f)において溝120a
1は、縦方向4.5mmの幅を有する。また、
図6(f)において縦9.9mm、横13.1mm、奥行9mmである。また、
図6(f)において、本体部122a
1の径は9.9mmである。
【0027】
図7(a)~(e)は、側辺11aとワイヤー受け12a
1との関係を示す図である。なお、ワイヤー受け12b
2は、ワイヤー受け12a
1と同一に説明され、ワイヤー受け12a
2及び12b
1は、回転方向を逆にして説明されるため、説明を省略する。
【0028】
側辺11aは、踏み板10aの軸100aを回転可能に指示する孔部111aを有し、孔部111aは、待機状態において、当該軸100aの直径に対して設置面と平行方向であって軸100aと軸100bとの内側方向にd4のクリアランスを有する。また、側辺11aは、ワイヤー受け12a1が回転する際にその稼働範囲においてワイヤー23の干渉を防ぐために円弧形状の肩部112aを有する。また、発動状態において、ワイヤー受け12a1が時計反対周りに回転するとともに、軸100aがd4のクリアランス分だけ水平方向に移動する。
【0029】
ワイヤー受け12a1は、ワイヤー2の輪状部25を受ける溝120a1の間隔をd1、設置面垂直方向の上端から溝120a1の距離をd2、下端から溝120a1の距離をd3としたとき、d2<d3である。なお、一例としてd2=2.3mm、d3=3.1mmである。これにより、ワイヤーを受ける溝120a1が軸100aの回転中心から設置面上方にオフセットされるため、踏み板10a、10bが踏まれた際にワイヤー2の輪が締まる力を軸100aの回転する力に変換し、上述したクリアランスの軸100aの移動と相まって、ワイヤー2のワイヤー受け12a1から解除される勢いを妨げない。
【0030】
図8(a)及び(b)は、踏み板10a、10bの待機時の状態を説明するための拡大図である。
図8(a)は上方から、
図8(b)は下方からの図である。
【0031】
踏み板10a、10bは、待機状態において、設置面上方に付勢されているが、当該勢いを水平からの傾斜角θ
1で突起110a、110bによって受け止められている。θ
1は、0.5~2°に設定可能であり、好ましくは1.3°に設定される。角度を大きくするにしたがって暴発防止の確度を向上できるが、踏み板10a、10bが踏まれることによる作動開始に必要な力が大きくなる。一方、小さくするにしたがって作動開始に必要な力が小さくなるが、暴発防止の確度が低下する。なお、踏み板10a、10bの踏み面102a、102bとワイヤー受け12a
1、12a
2、12b
1、12b
2の溝の方向は相対的に平行としているが、
図7に示した溝120a
1のオフセット量と併せて、相対角度を設けるようにしてもよい。
【0032】
(動物用罠の動作)
次に、本実施の形態の作用を、(1)設置動作、(2)作動動作に分けて説明する。
【0033】
(1)設置動作
まず、動物用罠1000の利用者は、ワイヤー2の固定部24を設置場所近辺の樹木等に固定する。罠にかかった動物が暴れた場合であっても耐えられる強度で固定されることが望ましい。
【0034】
次に、利用者は、罠用装置1の踏み板10aの凸側係合端103aと、踏み板10bの凹側係合端103bとを係合させつつ、踏み板10aと踏み板10bを設置面上方に付勢させて突起110a及び110bに当てた状態とする。この状態を維持しつつ、ワイヤー受け12a1、12a2、12b1、12b2にワイヤー2の輪をかけて、バネ受け21a及び21b間の距離が縮まるようにバネ20に付勢して付勢部22の位置を固定して待機状態とする。
【0035】
利用者は、待機状態となった動物用罠1000を所望の位置に設置し、動物が罠にかかるのを待つ。より具体的には、利用者は、設置位置を掘り、動物用罠1000を設置して土や草木を上部に置き、動物に設置が気づかれないようにすることが望ましい。
【0036】
(2)作動動作
図9(a)~(e)は、動物用罠1000の作動動作を説明するための概略斜視図である。
【0037】
まず、
図9(a)に示すように、待機状態にある動物用罠1000を動物の足30が踏むと、踏み板10a及び/又は10bに設置面下方に力がかかる。
【0038】
次に、
図9(b)に示すように、踏み板10a及び/又は10bにかかった設置面下方への力により踏み板10a及び10bが水平より下まで移動すると、ワイヤー受け12a
1、12a
2、12b
1、12b
2にかかっていたワイヤー2の力により、踏み板10a及び10bがより設置面下方へと回転する。
【0039】
次に、
図9(c)に示すように、踏み板10a及び10bの設置面下方への回転により、罠用装置1が設置面上方へ勢いをつけて移動するとともに、ワイヤー2がワイヤー受け12a
1、12a
2、12b
1、12b
2から解放される。
【0040】
次に、
図9(d)に示すように、罠用装置1の上方への移動とともにワイヤー2も上方へ移動し、ワイヤー受け12a
1、12a
2、12b
1、12b
2からの解放に伴いワイヤー2の輪状部25が締まり始める。
【0041】
次に、
図9(e)に示すように、ワイヤー2が動物の足30の高い位置に締め込まれて固定される。
【0042】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、罠用装置1を複数の部品に分離しない構成としたため、部品が紛失される可能性が低く、再利用が不可能となる可能性を低減することができる。
【0043】
また、従来の罠用装置と異なり踏み板10a、10bと軸100a、100bを一体化させた構造にしたため、罠用装置1を薄型に構成でき、設置の際に地面を掘る作業時間の減少につながるとともに、罠として動物に気づかれづらくなる。また、設置時間が減少することで、周辺に人間の気配(臭い、掘り返し跡、足跡等)を残しづらくなり、動物が罠にかかる確率を副次的に向上することができる。
【0044】
また、従来の罠用装置に比べ小型・軽量に製作することができるため、複数の罠用装置の持ち運びが容易になる(なお、狩猟免許では設置してよい罠の数の上限は30個であるが、従来品は重く、上限数を運搬することは困難である。)。
【0045】
また、全パーツ同一素材において製造することで、廃棄方法が容易となる。生分解性プラスティックを用いることで、紛失時も経年分解され、環境に与える影響を抑制することができる。
【0046】
また、踏み板10a、10bの回転により、罠用装置1自体が設置面から跳ね上がる動きとともにワイヤー2が解除されるようにしたため、動物の足の上部を捉えることができ、捕獲が失敗する確率を減少することができる。
【0047】
また、踏み板10a、10b上の動物が踏む位置を力点、軸100a、100bを支点、ワイヤ受け12a1、12a2、12b1、12b2の溝120a1、120a2、120b1、120b2を作用点とすると、力点と支点との距離が作用点と支点との距離に比べて大きくなるよう設計したため、ワイヤ受け12a1、12a2、12b1、12b2をコンパクトに構成できる。また、力点、支点、作用点を略同一線上に配置したため、罠用装置1を薄型化することができる。
【0048】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0049】
例えば、踏み板10a、10bは、断面がテーパー形状を有していてもよい。
【0050】
【0051】
踏み板10a´及び10b´は、踏み面102a及びその裏面104a並びに踏み面102b及びその裏面104bが断面においてテーパー形状を有し、待機状態において踏み面102a及び102bが水平状態となるよう形成してもよい。このテーパー形状により足30が踏み面102a及び/又は102bを踏んだ際に足30が軸100a又は100b(支点)方向へ流れることを防止し、より確実に罠用装置1を作動させることができる。なお、テーパー形状をさらに増すことで待機状態において係合部分に向かって窪んだ形状にしてもよい。これによりさらに罠用装置1の作動失敗の確率を低減することができる。
【0052】
また、踏み板10a、10bは、表面に滑り止めの凹凸を設けてもよい。滑り止めの形状は任意の形状を採用することができ、例えば、縞模様、クロス滑り止め、オーバル滑り止め等のパターンを用いることができる。滑り止め形状により、動物が罠用装置1を踏んだ際に足を滑らせて踏む力が踏み板10a、10bの支点近くに流れることを防ぐことができる。
【0053】
また、
図5の肩部112aは、罠動作時のワイヤーの滑りを良くするため、側面視(
図5(b)、(d))において、さらにRをもたせた形状1120aを有してもよい。
【0054】
また、上記実施の形態で説明した準備の順序の入れ替え、削除、追加、及び作動の際の順序の入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 :罠用装置
2 :ワイヤー
10a、10b:踏み板
11a、11b:側辺
12a1、12a2、12b1、12b2:ワイヤー受け
20 :バネ
21a :バネ受け
22 :付勢部
23 :ワイヤー
24 :固定部
25 :輪状部
30 :足
100a、100b:軸
101a、101b:軸孔
102a、102b:踏み面
103a :凸側係合端
103b :凹側係合端
104a、104b:裏面
110a、110b:突起
111a :孔部
112a :肩部
120a1 :溝
121a1 :突起
122a1 :本体部
123a1 :軸突起
1000 :動物用罠