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  • 特開-間接加熱型燻煙剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151759
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】間接加熱型燻煙剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/20 20060101AFI20241018BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20241018BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20241018BHJP
   A01N 31/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01N25/20 101
A01P3/00
A01N59/16 A
A01N31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065408
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】亀山 周平
(72)【発明者】
【氏名】川出 茉実
(72)【発明者】
【氏名】石森 奈奈
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB18
4H011DG03
(57)【要約】
【課題】被処理空間に清潔感を付与する。
【解決手段】(A)成分:薬剤と、(B)成分:有機発泡剤と、(C)成分:特定の香料成分と、を含む間接加熱型燻煙剤組成物であって、前記(C)成分の含有量は、前記間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対して0.05~5質量%であり、前記(C1)成分の含有量は、前記(C)成分を総質量に対して3~20質量%であり、前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量は、前記(C)成分の総質量に対して25~80質量%であり、{(C1)成分+(C2)成分}/(C3)成分で表され、前記(C3)成分の含有量に対する、前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量の質量比は、1~5.5であることよりなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:薬剤と、(B)成分:有機発泡剤と、(C)成分:香料成分と、を含む間接加熱型燻煙剤組成物であって、
前記(C)成分は、下記(C1)成分と下記(C2)成分と下記(C3)成分とを含み、
前記(C)成分の含有量は、前記間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対して0.05~5質量%であり、
前記(C1)成分の含有量は、前記(C)成分を総質量に対して3~20質量%であり、
前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量は、前記(C)成分の総質量に対して25~80質量%であり、
{(C1)成分+(C2)成分}/(C3)成分で表され、前記(C3)成分の含有量に対する、前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量の質量比は、1~5.5である、間接加熱型燻煙剤組成物。
(C1)成分:α-イオノン、β-イオノン及びメチルイオノンから選ばれる1種以上。
(C2)成分:シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン及びブルゲオナールから選ばれる1種以上。
(C3)成分:ハバノライド、イソ・イー・スーパー、ヘルベトリド、エギザルトリド、ムセノン、アンブロキサン及びチンベロールから選ばれる1種以上。
【請求項2】
(B)成分/(C)成分で表され、前記(C)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比は、10~1600である、請求項1に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接加熱型燻煙剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
燻煙処理は、薬剤を含んだ煙が密閉した空間内に充満することで、手の届きにくいところまで簡便に処理することができる。燻煙剤組成物は一般に、アゾジカルボンアミド(ADCA)等の有機発泡剤(以下、「発煙剤」ともいう)と、殺虫剤又は防カビ剤等の薬剤と、を含み、外部から加熱を受けて有機発泡剤が発煙することで、その煙と共に薬剤が空間(被処理空間)に揮散し、虫、細菌やカビ等の有害生物を防除する。
【0003】
燻煙剤組成物による燻煙処理では、有機発泡剤又は薬剤の臭気(例えば、焦げ臭)が残存するという問題があった。
このような燻煙剤組成物由来の臭気(基剤臭)の問題に対して、特定の香料成分を含む燻煙剤組成物が提案されている(特許文献1、2)。特許文献1、2の発明によれば、燻煙剤組成物に由来する臭気の抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-210713号公報
【特許文献2】特開2017-066062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燻煙剤組成物には、燻煙処理が施された被処理空間に対して、被処理空間の持つ臭気(いわゆる生活臭等)を抑制し、清潔感を与えることが求められている。従来の発明は、焦げ臭等の基剤臭の抑制に優れるものの、生活臭を抑制できず、清潔感を付与するには至らない。
そこで、本発明は、被処理空間に清潔感を付与できる間接加熱型燻煙剤組成物と目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
燻煙剤組成物は、その製造工程において、乾燥のために加熱される。このため、燻煙剤組成物由来の臭気のマスキングには、加熱しても残留するアロマティック・ハーバル調やフルーティ調の香料成分を主体とする香料が採用されていた。しかし、これらの香料成分は、トイレやキッチン等の生活臭と、基剤臭との双方を抑制するには至らない。まして、これらの香料成分は、清潔感を想起する香気を被処理空間に付与できない。
一般的に清潔感を印象させる香料成分としては、シトラス調の香料が挙げられる。しかし、シトラス調の香料は、燻煙剤組成物の製造時に、乾燥工程の加温により消失してしまう。
加えて、単に香気を強めても、生活臭と混ざって不快な臭気となったり、強い香気自体が不快を与えかねない。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の知見に鑑み、特定の香料成分を組み合わせることで、生活臭と基剤臭とを抑制し、清潔感を想起する香気を付与できることを見出した。
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:薬剤と、(B)成分:有機発泡剤と、(C)成分:香料成分と、を含む間接加熱型燻煙剤組成物であって、
前記(C)成分は、下記(C1)成分と下記(C2)成分と下記(C3)成分とを含み、
前記(C)成分の含有量は、前記間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対して0.05~5質量%であり、
前記(C1)成分の含有量は、前記(C)成分を総質量に対して3~20質量%であり、
前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量は、前記(C)成分の総質量に対して25~80質量%であり、
{(C1)成分+(C2)成分}/(C3)成分で表され、前記(C3)成分の含有量に対する、前記(C1)成分と前記(C2)成分との合計量の質量比は、1~5.5である、間接加熱型燻煙剤組成物。
(C1)成分:α-イオノン、β-イオノン及びメチルイオノンから選ばれる1種以上。
(C2)成分:シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン及びブルゲオナールから選ばれる1種以上。
(C3)成分:ハバノライド、イソ・イー・スーパー、ヘルベトリド、エギザルトリド、ムセノン、アンブロキサン及びチンベロールから選ばれる1種以上。
<2>
(B)成分/(C)成分で表され、前記(C)成分の含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比は、10~1600である、<1>に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物によれば、被処理空間に清潔感を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】間接加熱型燻煙装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(間接加熱型燻煙剤組成物)
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物(以下、単に「燻煙剤組成物」ということがある)は、下記(A)~(C)成分を含有する。
本明細書において、「居住空間」とは、人が生活する空間であり、特にここでは屋内のことを指す。例えば、玄関やリビング、寝室、書斎、キッチン、トイレ、押入れ等が挙げられる。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、薬剤である。(A)成分は、除菌、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ、消臭、殺虫等の効果を発揮する微生物制御剤として配合される。
(A)成分としては、例えば、無機系薬剤、有機系薬剤等が挙げられる。これらの中でも、効果の持続性に優れる点から、無機系薬剤が好ましい。
(A)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0011】
無機系薬剤としては、例えば、有効成分に除菌、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ又は消臭等の作用を有する銀化合物が挙げられる。銀含有化合物には、銀単体、酸化銀、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀、スルホン酸銀塩、無機銀塩等の銀を含有する無機系薬剤が挙げられる。また、銀化合物をゼオライト、シリカゲル、低分子ガラス、リン酸カルシウム、ケイ酸塩、酸化チタン等の物質(以下、「担体」ともいう)に担持させた担持体を用いてもよい。担持体としては、例えば銀単体、酸化銀、無機銀塩、有機銀塩等の銀化合物を担持したリン酸カルシウム系薬剤、ゼオライト系薬剤、シリカゲル系薬剤、酸化チタン系薬剤、ケイ酸塩系薬剤等が挙げられる。
これらの中でも、銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩、又はこれらを担体に担持させた担持体が好ましい。特に銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩等の銀化合物を担持したリン酸カルシウム系薬剤、ゼオライト系薬剤が好ましい。
無機系薬剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0012】
有機系薬剤としては、例えば、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(IPMP)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト(IPBC)、o-フェニルフェノール(OPP)、安息香酸ナトリウム、グルタルアルデヒド、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩等が挙げられる。
有機系薬剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0013】
(A)成分の含有量は、(A)成分の種類を勘案して決定される。
(A)成分が銀化合物を含む無機系薬剤である場合、(A)成分の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、銀換算で0.001~0.5質量%が好ましく、0.05~0.1質量%がより好ましい。
(A)成分が有機系薬剤である場合、(A)成分の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、1~30質量%が好ましく、2~20質量%が好ましい。
(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、(A)成分の作用を高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、相対的に他の成分の含有量を高めて、揮散率をより高められる。
【0014】
<(B)成分>
(B)成分は、有機発泡剤である。(B)成分は、加熱により熱分解して多量の熱を発生し、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて「発泡ガス」ということがある)を発生させることで、燻煙剤組成物中に配合された成分を煙化し、揮散する。
(B)成分としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、分解温度、発泡ガスの発生量等の観点から、ADCAが好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0015】
(B)成分の含有量は、(B)成分の種類や他の成分を勘案して決定することができる。(B)成分の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対し、50~90質量%が好ましく、55~85質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、効率よく煙化して、(A)成分を被処理空間に、より効率的に揮散できる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、基剤臭をより抑制できる。
【0016】
<(C)成分>
(C)成分は、下記(C1)~(C3)成分を含む香料成分である。燻煙剤組成物は(C1)~(C3)成分の組み合わせを含むことで、基剤臭、被処理空間である居住空間の生活臭を抑制し(臭気抑制作用)、かつ被処理空間に清潔感を想起する香気を付与できる(賦香作用)。
【0017】
(C)成分の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、0.05~5質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましく、0.1~0.3質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、香気の清潔感を高めて賦香作用を高め、基剤臭及び生活臭に対する臭気抑制効果を高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、香気の清潔感を高めて賦香作用を高められる。
【0018】
(C)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比であり、(B)成分/(C)成分で表される質量比(B/C比)は、10~1600が好ましく、50~800がより好ましい。B/C比が上記下限値以上であると、基剤臭に対する臭気抑制効果をより高め、(A)成分の作用をより高められる。B/C比が上記上限値以下であると、(C)成分の香気を適度に和らげて、香気の清潔感をより高められる。
【0019】
≪(C1)成分≫
(C1)成分は、α-イオノン、β-イオノン及びメチルイオノンから選ばれる1種以上である。臭気抑制作用の向上、賦香作用の向上の観点から、(C1)成分としては、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、β-メチルイオノン、γ-メチルイオノンが好ましく、α-イオノン、β-イオノン、γ-メチルイオノンがより好ましい。
【0020】
(C)成分の総質量に対する(C1)成分の含有量(C1/C量)は、3~20質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(C1)成分の含有量が上記下限値以上であると、臭気抑制作用を高められる。(C1)成分の含有量が上記上限値以下であると、香気の清潔感を高めて、賦香作用を高められる。
【0021】
≪(C2)成分≫
(C2)成分は、シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピン及びブルゲオナールから選ばれる1種以上である。臭気抑制作用の向上、賦香作用の向上の観点から、(C2)成分としては、シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオン、ヘリオトロピンが好ましく、シクラメンアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘディオンがより好ましい。
【0022】
(C2)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。(C2)成分の含有量が上記下限値以上であると、香気の清潔感をより高めて、賦香作用をより高められる。(C2)成分の含有量が上記上限値以下であると、臭気抑制作用をより高められる。
【0023】
(C1)成分と(C2)成分との含有量(C1C2量)は、(C)成分の総質量に対して、25~80質量%が好ましく、25~60質量%がより好ましく、30~50質量%がさらに好ましい。C1C2量が上記下限値以上であると、生活臭の臭気抑制作用をより高め、賦香作用をより高められる。C1C2量が上記上限値以下であると、基剤臭に対する臭気抑制作用をより高められる。
【0024】
≪(C3)成分≫
(C3)成分:ハバノライド、イソ・イー・スーパー、ヘルベトリド、エギザルトリド、ムセノン、アンブロキサン及びチンベロールから選ばれる1種以上である。臭気抑制作用の向上、賦香作用の向上の観点から、(C3)成分としては、ハバノライド、イソ・イー・スーパー、ヘルベトリド、ムセノンが好ましい。
【0025】
(C3)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対して、10~40質量%が好ましく、20~35質量%がより好ましい。(C3)成分の含有量が上記下限値以上であると、臭気抑制作用を高められる。(C3)成分の含有量が上記上限値以下であると、香気の清潔感をより高めて、賦香作用をより高められる。
【0026】
(C3)成分の含有量に対するC1C2量の質量比であり、C1C2量/(C3)成分で表される質量比(C1C2/C3比)は、1~5.5が好ましく、1~5がより好ましく、1.2~2.8がさらに好ましい。C1C2/C3比が上記下限値以上であると、香気の清潔感を高めて賦香作用を高め、生活臭に対する臭気抑制作用を高められる。
【0027】
(C1)成分と(C2)成分と(C3)成分との合計量(C1C2C3量)は、(C)成分の総質量に対して、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%がさらに好ましく、100質量%でもよい。C1C2C3量が上記下限値以上であると、賦香作用をより高め、生活臭及び基剤臭に対する臭気抑制作用をより高められる。
【0028】
≪任意香料成分≫
(C)成分は、(C1)成分、(C2)成分及び(C3)成分以外の香料成分(任意香料成分)を含んでもよい。
任意香料成分は、本発明の効果を損なわない香料成分であれば、特に限定されない。
任意香料成分として使用できる香料成分のリストは、様々な文献に記載されている。例えば、以下の文献に記載された香料等が挙げられる。
「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand
II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、
「合成香料化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of Natural
Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、
「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)、「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens AromaChemical Information Service(1996)、
「Floweroils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等。
【0029】
<任意成分>
燻煙剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分のいずれにも該当しない成分(任意成分)を含んでもよい。
任意成分としては、例えば、界面活性剤、結合剤、発熱助剤、ケイ素含有無機化合物(但し、(A)成分を除く)、賦形剤、安定剤、効力増強剤、酸化防止剤、賦香剤、溶剤等が挙げられる。
これらの任意成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0030】
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのエチレンキシド付加物、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)との共重合型ノニオン界面活性剤(EOPOノニオン)が好ましい。
多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物としてはソルビタン脂肪酸エステル類、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類がより好ましい。多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物としては、例えば、モノオレイン酸エステル、モノラウリン酸エステル、モノカプリル酸グリセリル等が挙げられる。
EOPOノニオンとしては、下記(1)で表されるPO(プロピレンオキシド)ブロックがEO(エチレンオキシド)ブロックで挟まれたEO-PO-EO型非イオン界面活性剤、下記(2)式で表されるEOブロックがPOブロックで挟まれたPO-EO-PO型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
-O-(EO)-(PO)-(EO)-R ・・・(1)
-O-(PO)-(EO)-(PO)-R ・・・(2)
【0031】
(1)式及び(2)式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基を表し、いずれも水素原子が好ましい。
【0032】
(1)式中、aはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、6~80の数がより好ましい。bはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~250の数が好ましく、40~150の数がより好ましい。cはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、6~80の数がより好ましい。また、a+b+cは、20~500の数であることが好ましい。市販品としては、例えば「PluronicPE9200(BASFジャパン(株)製)」「PluronicPE9400(BASFジャパン(株)製)」「PluronicPE6400(BASFジャパン(株)製)」等が挙げられる。
【0033】
(2)式中、dはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~50の数がより好ましい。eはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~250の数が好ましく、10~100の数がより好ましい。fはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~50の数がより好ましい。d+e+fは、20~500の数であることが好ましい。市販品としては、例えば「PluronicRPE1740(BASFジャパン(株)製)「PluronicRPE2035(BASFジャパン(株)製)」「PluronicRPE3110(BASFジャパン(株)製」等が挙げられる。
【0034】
EOPOノニオンとしては、殺カビ効果及び防カビ効果の持続性に優れる点で、(2)式で表されるPO-EO-PO型ノニオンがより好ましい。
界面活性剤の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、5~25質量%が好ましく、7~20質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が上記下限値以上であると、(A)成分の作用をより高められる。界面活性剤の含有量が上記上限値以下であると、界面活性剤由来の臭気をより良好に抑制できる。
【0035】
結合剤としては、例えば、セルロース系化合物、デンプン系化合物、天然物系化合物、合成高分子系化合物等が挙げられる。
セルロース系化合物としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとそのカルシウム塩及びナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。
デンプン系化合物としては、例えば、デンプン、α化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム塩等が挙げられる。
天然物系化合物としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント、ゼラチン等が挙げられる。
合成高分子系化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
結合剤の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、例えば、3~8質量%が好ましい。
【0036】
発熱助剤としては、例えば、酸化亜鉛、リン酸カルシウム、メラミン等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドキシアニソール、没食子酸プロピル(プロピル-3,4,5-トリヒドロキシベンゾエート)、エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
発熱助剤の含有量は、燻煙剤組成物の総質量に対して、例えば、0.5~3質量%が好ましい。
【0037】
ケイ素含有無機化合物としては、水不溶性の化合物が好ましい。
ケイ素含有無機化合物の吸油量は、40~320mL/100gが好ましく、55~280mL/100gがより好ましく、95~180mL/100gがさらに好ましい。
ケイ素含有無機化合物の嵩密度は、0.09~0.39g/cmが好ましく、0.14~0.38g/cmがより好ましく、0.26~0.34g/cmがさらに好ましい。
【0038】
賦形剤としては、例えば、糖、糖アルコール等が挙げられる。糖としては、例えば、ショ糖、ブドウ糖等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
【0039】
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキシド(5-[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシメチル]-6-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール)、S-421(ジ(2,3,3,3-テトラクロロプロピル)エーテル)等が挙げられる。
【0040】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール等が挙げられる。
【0041】
溶剤としては、例えば、水、1価アルコール等が挙げられる。1価アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0042】
なお、(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、任意成分との合計量は、燻煙剤組成物の総質量(100質量%)を超えない。
【0043】
(製造方法)
燻煙剤組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、必要に応じて任意成分と、を混合して得られる。
燻煙剤組成物は、例えば、粉状、粒状、錠剤等の固形製剤として製造される。
燻煙剤組成物の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。例えば、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等の公知の造粒物の製造方法が用いられる。
【0044】
押出し造粒法による製造方法の一例を説明する。燻煙剤組成物の各成分をニーダー等により混合する。この際、必要に応じて適量の水を加えて混合する。得られた混合物を任意の開孔径を有するダイスを用い、前押出しあるいは横押出し造粒機で造粒して、粒状の燻煙剤組成物を得る。得られた造粒物をさらにカッター等で任意の大きさに切断してもよいし、水分除去のための乾燥処理を施してもよい。
【0045】
乾燥方法としては、例えば、従来公知の乾燥機を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されないが、香料等の揮発を抑制する点から、50~80℃が好ましい。乾燥温度が上記下限値以上であると、燻煙剤組成物中の水分含量を抑制できる。
乾燥温度が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物中の成分の分解を抑制できる。
乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。
乾燥した後の燻煙剤組成物の水分含量は、特に限定されないが、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%でもよい。燻煙剤組成物の水分含量が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物の揮散率が良好となる。
水分含量は、例えば、乾燥後の燻煙剤組成物をすりつぶし、105℃、20分間の条件にて、水分計で測定できる。水分計としては、例えば、株式会社島津製作所製の水分計「MOC-120H」が挙げられる。
【0046】
(使用方法)
燻煙剤組成物の使用方法は、いわゆる間接加熱方式により燻煙剤組成物を加熱し、(A)成分を揮散する方法が挙げられる。間接加熱方式による燻煙剤組成物の加熱温度は、200~700℃が好ましく、250~450℃がより好ましい。
間接加熱方式としては、(B)成分が熱分解し得る温度まで燻煙剤組成物に熱エネルギーを供給できるものであればよく、間接加熱方式の燻煙方法に通常用いられる公知の加熱方法を採用できる。例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法、金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを混合(例えば、鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合)し、その酸化反応により生じる熱を利用する方法、電熱線のような電気的な力(例えば、ホットプレート等)によって発生した熱を利用する方法等が挙げられる。これらの中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質(以下、「発熱剤」ともいう)を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましい。
発熱剤としては、例えば、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、発熱剤としては、実用性の点から、酸化カルシウムが好ましい。
【0047】
<間接加熱型燻煙装置>
本発明の燻煙剤組成物は、間接加熱型燻煙装置に充填し、公知の燻煙方法にて使用できる。
間接加熱型燻煙装置は、燻煙剤組成物を収容した全量噴射型容器を備える燻煙装置の一実施形態である。
【0048】
間接加熱型燻煙装置について、一例を挙げて説明する。
図1の間接加熱型燻煙装置10は、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とを備える。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30に燻煙剤組成物が充填されて燻煙剤部32が形成されている。燻煙剤容器30は、加熱部20の上方に位置する。
【0049】
蓋部18は、貫通孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。蓋部18の材質は、例えば、金属、セラミック等が挙げられる。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
【0050】
燻煙剤容器30は、燻煙剤組成物が充填される容器であり、かつ加熱部20で生じた熱エネルギーを燻煙剤部32に伝える伝熱部として機能する。燻煙剤容器30は、例えば、金属製の容器等が挙げられる。
【0051】
加熱部20は、特に限定されず、燻煙剤部32の煙化に必要な熱量を考慮して適宜決定できる。加熱部20としては、発熱剤を充填して形成したものが好ましく、酸化カルシウムを充填して形成したものが特に好ましい。また、加熱部20は、鉄粉と酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよく、金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよい。
【0052】
底部16は、加熱部20の機構に応じて適宜決定すればよい。例えば、加熱部20が発熱剤(酸化カルシウム等)により構成されている場合、底部16には不織布や金属製のメッシュ等である。底部16を不織布や金属製のメッシュとすることで、底部16から水を加熱部20内に浸入させて反応熱を発生させ、燻煙剤組成物を加熱できる。
【0053】
間接加熱型燻煙装置10を用いた燻煙方法について説明する。
まず、間接加熱型燻煙装置10を対象空間内に設置する。次いで、加熱部20の機構に応じて加熱部20を発熱させる。例えば、酸化カルシウムを充填した加熱部20が設けられている場合、底部16を水中に浸漬する。これにより、底部16から浸入した水が加熱部20で酸化カルシウムと反応し、200~450℃程度の熱が発生する。
そして、底部16から浸入した水が加熱部20で酸化カルシウムと反応して発生した熱が、燻煙剤容器30の側壁や底壁を介して燻煙剤部32に伝わり、燻煙剤部32の温度が上昇する。燻煙剤部32の温度が高まると、(B)成分が熱分解してガスが発生する。発生したガスと共に、(A)成分及び(C)成分が蓋部18の貫通孔を勢いよく通過して、被処理空間に揮散する。こうして、間接加熱型燻煙装置10を用いることで簡便に燻煙処理を施すことができる。
【0054】
被処理空間としては、特に限定されず、いわゆる居住空間が挙げられる。特に、トイレ、風呂、キッチン等、生活臭が滞留しやすい空間が好適である。
【0055】
燻煙剤組成物の使用量は、燻煙処理を行う空間の容積に応じて適宜設定すればよく、1mあたり0.1~3.0gが好ましく、0.4~2.5gがより好ましい。燻煙剤組成物の使用量が上記下限値以上であると、本発明の燻煙剤組成物の作用をより高められる。燻煙剤組成物の使用量が上記上限値以下であると、コストを抑制でき、有効成分の揮散率をより高められる。
燻煙処理時間(燻煙開始後、被処理空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、15~120分間が好ましく、30~90分間がより好ましい。燻煙処理時間が上記下限値以上であると、本発明の燻煙剤組成物の作用をより高められる。燻煙処理時間が上記上限値以下であると、燻煙処理の効率をより高められる。
【0056】
本実施形態の燻煙剤組成物の使用量は、燻煙処理を行う空間の容積に応じて適宜設定すればよく、1mあたり0.1~3.0gが好ましく、0.4~2.5gがより好ましい。燻煙剤組成物の使用量が上記下限値以上であると、本発明の燻煙剤組成物の作用をより高められる。燻煙剤組成物の使用量が上記上限値以下であると、コストを抑制でき、有効成分の揮散率をより高められる。
燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、15~120分が好ましく、30~90分がより好ましい。燻煙処理時間が上記下限値以上であると、本発明の燻煙剤組成物の作用をより高められる。燻煙処理時間が上記上限値以下であると、燻煙処理の効率をより高められる。
【0057】
本発明の燻煙剤組成物によれば、(A)成分お酔い(B)成分を含むため、被処理空間に対して、除菌、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ、消臭、殺虫等の効果を簡便に得られる。
本発明の燻煙剤組成物は、特定の組成の(C)成分を特定量含むため、基剤臭及び生活臭に対する臭気抑制効果と、清潔感を想起する賦香効果とを得られる。
このため、本発明の燻煙剤組成物は、生活臭の滞留する居住空間(特にトイレ、風呂等)に対して、生活臭を低減し、かつ清潔感を賦香する用途に好適である。
【実施例0058】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0059】
(使用原料)
<(A)成分:薬剤>
・A-1:銀担持ゼオライト系無機薬剤、商品名「ゼオミックAJ10N」、体積平均粒子径2.5μm、真比重2g/cm(20℃)、嵩比重0.4g/cm(20℃)、銀含量2.5質量%、株式会社シナネンゼオミック製。
・A-2:3―メチル-4-イソプロピルフェノール、大阪化成株式会社製。
【0060】
<(B)成分:有機発泡剤>
・B-1:アゾジカルボンアミド(ADCA)、商品名「ダイブローAC.2040(C)」、大日精化工業株式会社製。
【0061】
<(C)成分:香料成分>
表1に記載の香料成分を用い、表2~3の組成に従い、各香料成分を混合して、C-1~C-8を得た。
【0062】
<(C’)成分:(C)成分の比較品>
表1に記載の香料成分を用い、表2~3の組成に従い、各香料成分を混合して、C’-1~C’-6を得た。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
<任意成分>
・酸化亜鉛:日本薬局方 酸化亜鉛、平均粒径0.6μm、真比重5.6g/cm(20℃)、堺化学工業株式会社製。
・POPブロックポリマー:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、商品名「Pluronic RPE1740」、BASFジャパン製。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):商品名「メトローズ60SH-50」、信越化学工業株式会社製。
【0067】
・発熱剤:酸化カルシウム、商品名「CAg」、ロータリーキルン炉焼成品(葛生産)、嵩比重0.80g/cm(20℃)、残留炭酸ガス0.9%、粒径3~5mm、吉澤石灰工業株式会社製。
【0068】
(評価方法)
<除菌効果>
滅菌済みのプラスチック試験片(FRP板、50mm×50mm)に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO12732)の分散液(生菌数を1.25×10~6.25×10cfu/mLに調製)0.4mLを接種し、室温乾燥させて試験片(試験菌付き試験片)を作製した。
次いで、幅1.6m、奥行き1.6m、高さ2.0mの密閉可能な評価室の天井に、試験菌付き試験片を設置した。次に、評価室の床中央部に23mLの水を入れた給水用プラスチック容器を設置し、間接加熱型燻煙装置を入れて燻煙を開始し、評価室を密閉した。発煙を開始してから30分後に排気後、試験菌付き試験片を回収し、下記のようにして除菌効果について評価を行った。
回収した試験菌付き試験片からSCDLP液体培地(日水製薬(株)製)10mLにて試験菌を洗い出し、その0.1mLを標準寒天培地(日水製薬(株)製)に塗沫し、37℃で24~48時間培養した。別途、燻煙処理していない試験菌付き試験片から菌を回収し同様に培養した。培養後、発現したコロニーを計数し、下式によりΔlogを求め、培養後の菌数を常用対数に変換した。そして、下記評価基準に従い、除菌効果を評価した。
Δlog=log(空間処理を施さない試験菌付き試験片の培養後菌数)-log(空間処理を施した試験菌付き試験片の培養後菌数)
【0069】
≪評価基準≫
◎:Δlogが4以上。
〇:Δlogが2以上4未満。
×:Δlogが2未満。
【0070】
<臭気抑制作用(生活臭)>
生活臭のモデルとして悪臭成分(トリメチルアミン)50μLをシャーレ(株式会社アテクト製)にいれ、これを密閉可能な評価室内(幅1.6m、奥行き1.6m、高さ2.0m)に10分間静置した。その直後、各例の間接加熱型燻煙装置により、評価室内を30分間燻煙した。
その後、換気扇を運転させ、換気30分後における評価室内の香りを嗅ぎ、悪臭成分に由来する臭気について、下記評価点に基づいて専門パネラー5名により官能評価を実施した。5名の評価結果の平均点を下記評価基準に従って、臭気抑制作用(生活臭)を評価した。
【0071】
≪評価点≫
4点:悪臭成分由来のニオイを全く感じない。
3点:悪臭成分のニオイをあまり感じない。
2点:悪臭成分由来のニオイをわずかに感じる。
1点:悪臭成分由来のニオイを感じる。
0点:悪臭成分由来のニオイを強く感じる。
【0072】
≪評価基準≫
◎◎(平均点3.5以上):臭気抑制作用が極めて優れている。
◎(平均点2.5~3.5未満):臭気抑制作用が優れている。
○(平均点1.5~2.5未満):臭気抑制作用を有する。
△(平均点1.0~1.5未満):臭気抑制作用が小さい。
×(平均点1.0未満):臭気抑制作用が認められない。
【0073】
<臭気抑制作用(基剤臭)>
各例の間接加熱型燻煙装置で、幅1.6m、奥行き1.6m、高さ2.0mの密閉可能な評価室内で30分間燻煙した。その後、換気扇を運転させ、換気30分後における評価室内の香りを嗅ぎ、焦げ臭について、下記評価点に基づいて専門パネラー5名により官能評価を実施した。5名の評価結果の平均点を下記評価基準に従って、臭気抑制作用(基剤臭)を評価した。
【0074】
≪評価点≫
4点:全く焦げ臭を感知しない。
3点:ほとんど焦げ臭を感知できない。
2点:わずかに焦げ臭を感じるが問題ないレベル。
1点:焦げ臭を感知できる。
0点:焦げ臭を楽に感知できる。
【0075】
≪評価基準≫
◎◎(平均点3.5以上):臭気抑制作用が極めて優れている。
◎(平均点2.5~3.5未満):臭気抑制作用が優れている。
○(平均点1.5~2.5未満):臭気抑制作用を有する。
△(平均点1.0~1.5未満):臭気抑制作用が小さい。
×(平均点1.0未満):臭気抑制作用が認められない。
【0076】
<賦香作用(清潔感)>
各例の間接加熱型燻煙装置で、幅1.6m、奥行き1.6m、高さ2.0mの密閉可能な評価室内で30分間燻煙した。その後、換気扇を運転させ換気30分後の評価室内において、(C)成分に由来する香気を嗅ぎ、下記評価点に基づいて専門パネラー5名により官能評価を実施した。5名の評価結果の平均点を下記評価基準に従って、賦香作用(清潔感)を評価した。
【0077】
≪評価点≫
4点:清潔感を強く感じさせる香りである。
3点:清潔感を感じさせる香りである。
2点:清潔感をやや感じさせる香りである。
1点:清潔感をわずかに感じさせる香りである。
0点:清潔感を感じさせる香りではない。
【0078】
≪評価基準≫
◎◎(平均点3.5以上):極めて強い清潔感を想起できる。
◎(平均点2.5~3.5未満):強い清潔感を想起できる。
○(平均点1.5~2.5未満):清潔感を想起できる。
△(平均点1.0~1.5未満):わずかに清潔感を想起できる。
×(平均点1.0未満):ほとんど清潔感を想起できない。
【0079】
<賦香作用(強度)>
各例の間接加熱型燻煙装置で、幅1.6m、奥行き1.6m、高さ2.0mの密閉可能な評価室内で30分間燻煙した。その後、換気扇を運転させ、換気30分後の評価室内において、(C)成分に由来する香気を嗅ぎ、下記評価点に基づいて専門パネラー5名により官能評価を実施した。5名の評価結果の平均点を下記評価基準に従って、賦香作用(強度)を評価した。
【0080】
≪評価点≫
0点:無臭。
1点:やっと検知できる程度の香り。
2点:何の香りかわかる程度の香り。
3点:楽に感知できる香り。
4点:強い香り。
5点:強烈な香り。
【0081】
≪評価基準≫
平均点1.0未満:×。
平均点1.~1.5未満:〇。
平均点1.5~2.5未満:◎◎。
平均点2.5~3.5未満:◎。
平均点3.6~4.5未満:△。
平均点4.5以上:×。
【0082】
(実施例1~13、比較例1~7)
室温(20℃)条件下において、表4~6に示す組成に従い、各成分をニーダー(S5-2G型、株式会社モリヤマ製)に投入し、組成物100質量部に対して、10質量部の水を加え、これらを混合して混合物を得た。得られた混合物をダイス(開孔:直径3mm)を有する前押し出し造粒機(EXK-1、株式会社不二パウダル製)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(FL300、株式会社不二パウダル製)により長さ2~5mmに切断した。切断した造粒物を70℃に設定した乾燥機(RT-120HL、アルプ株式会社製)により2時間乾燥し、各例の顆粒状の燻煙剤を得た。
【0083】
得られた燻煙剤組成物を用い、以下の手順で、図1の間接加熱型燻煙装置10と同様の間接加熱型燻煙装置を作成した。
ライオン株式会社製「ルックプラスおふろの防カビくん煙剤」に使用されているブリキ缶(直径52mm×高さ67mm)の加熱部に、発熱剤56g充填し、各例の燻煙剤組成物5.0gを燻煙剤容器に充填して、各例の間接加熱型燻煙装置とした。
得られた間接加熱型燻煙装置を用い、除菌効果、臭気抑制作用、賦香作用を評価し、その結果を表中に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
表4~6に示すように、実施例1~13は、除菌効果が「◎」、臭気抑制作用及び賦香作用のいずれも「〇」、「◎」又は「◎◎」であった。
C1C2/C3比が0.8である比較例1、C1C2量が21~24質量%である比較例3及び5、C1/C量が25質量%である比較例6は賦香作用(清潔感)が「△」であった。
C1/C量が2質量%である比較例2は、臭気抑制作用(生活臭)が「×」であった。
(C)成分の含有量が19質量%である比較例4、C1C2/C3比が5.9である比較例6は、賦香作用が「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、被処理空間に対して、清潔感を想起する香気を付与できることを確認できた。
【符号の説明】
【0087】
10 間接加熱型燻煙装置
12 筐体
14 本体
16 底部
18 蓋部
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
図1