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特開2024-151765情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151765
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 70/00 20180101AFI20241018BHJP
【FI】
G16H70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065425
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福井 匠
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】LIFE等の予め定められた対象者に関する複数の入力項目に関するスタッフ等のデータ入力の負担を軽減する。
【解決手段】情報処理装置10は、状態像マップを記憶する記憶部120と、撮影データを取得する第1取得部111と、撮影データにより対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する評価判定部113と、対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得する第2取得部112と、評価判定部113が評価した評価項目の評価レベルを含む評価データと、第2取得部112が取得した入力項目の入力データに基づいて、対象者の状態レベルを判定する状態判定部114と、状態判定部が判定した状態レベルと、状態像マップに基づいて、対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定する設定部115と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された状態像マップであって、状態レベルに対して看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部と、
対象者が居る観察領域を撮影して得られた撮影データを取得する第1取得部と、
前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する評価判定部と、
1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得する第2取得部と、
前記評価判定部が判定した前記評価項目の評価レベルを含む評価データと、前記第2取得部が取得した前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する状態判定部と、
前記状態判定部が判定した前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定する設定部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第2取得部は、前記対象者に関する複数の前記入力データが記録された入力データリストを取得し、
前記状態判定部は、前記評価データとともに、前記入力データリストに記録された複数の入力項目の入力データのうち、特定の入力項目に関する入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記入力データリストに記録された複数の入力項目のうち、前記特定の入力項目以外の入力項目に関して、未入力の入力項目に対して入力データを設定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価判定部は、前記特定の入力項目に関する入力データが未入力の場合には、予め設定されている他の入力項目に切り替え、
前記他の入力項目に関する入力データと、前記評価データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
さらに、前記設定部が設定した入力データが記録された入力データリストを出力する出力部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置が生成した入力データリストの一覧表示画面を表示する表示装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項7】
予め設定された状態像マップであって、状態レベルに対する看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部を備える、情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
対象者が居る観察領域を撮影して得られた撮影データを取得するステップ(a)と、
前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定するステップ(b)と、
1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得するステップ(c)と、
前記ステップ(b)で判定された前記評価項目の評価レベルを含む評価データと、前記ステップ(c)で取得された前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定するステップ(d)と、
前記ステップ(d)で判定された前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定するステップ(e)と、を含む処理を実行する情報処理方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)では、前記対象者に関する複数の前記入力データが記録された入力データリストを取得し、
前記ステップ(d)では、前記評価データとともに、前記入力データリストに記録された複数の入力項目の入力データのうち、特定の入力項目に関する入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の情報処理方法を、コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省によって、平成28年度より通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)、令和2年5月より高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)が運用されている。厚生労働省は、さらに、令和3年4月1日より、これらを一体化した「科学的介護情報システム」(LIFE(Long-term care Information system For Evidence)、以下、LIFEまたはライフと称する)を運用している。LIFEは、科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進を目的としている(非特許文献1)。このLIFEシステムは、自立支援・重度化防止の効果が裏付けられた「科学的介護」の実現のため、エビデンスを蓄積し、当該エビデンスを分析するために用いられる。
【0003】
このLIFEを活用するためには、厚生労働省のLIFEシステムへデータ(LIFEデータと称する)の入力が求められる。
【0004】
しかしながら、LIFEデータの項目数は、1000項目以上と非常に多い。また、LIFEデータの項目で用いられているBI(Barthel index)等の指標は、介護の手間を評価している面もあり、看介護スタッフによる個人差があり、入力データのばらつきが生じる虞がある。また、LIFEは、3か月毎に入居者(対象者)の再評価とデータ提出を義務づけている。このため、LIFE項目の入力のために、看介護スタッフなどは、多くの時間を割かなくてはならない。
【0005】
このような問題に関連して、LIFEデータの入力を支援するためのシステム(アプリケーション)などの開発が行われている。
【0006】
例えば、特許文献1では、複数の被介護者の介護サービスに関する情報を一画面で一元的に管理することが可能な介護記録プログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-135734号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「科学的介護」[online],厚生労働省,[令和4年1月5日検索],インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の介護記録プログラムは、被介護者への介護サービスに関する情報を一画面で一元的に管理するものであり、それぞれの項目の設定に関しては、依然として看介護のスタッフ等による入力が求められる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、看介護のスタッフによる入力負担を軽減するとともに、入力内容のばらつきを低減できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0012】
(1)予め設定された状態像マップであって、状態レベルに対して看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部と、
対象者が居る観察領域を撮影して得られた撮影データを取得する第1取得部と、
前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する評価判定部と、
1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得する第2取得部と、
前記評価判定部が判定した前記評価項目の評価レベルを含む評価データと、前記第2取得部が取得した前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する状態判定部と、
前記状態判定部が判定した前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定する設定部と、を備える情報処理装置。
【0013】
(2)前記第2取得部は、前記対象者に関する複数の前記入力データが記録された入力データリストを取得し、
前記状態判定部は、前記評価データとともに、前記入力データリストに記録された複数の入力項目の入力データのうち、特定の入力項目に関する入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、上記(1)に記載の情報処理装置。
【0014】
(3)前記設定部は、前記入力データリストに記録された複数の入力項目のうち、前記特定の入力項目以外の入力項目に関して、未入力の入力項目に対して入力データを設定する、上記(2)に記載の情報処理装置。
【0015】
(4)前記評価判定部は、前記特定の入力項目に関する入力データが未入力の場合には、予め設定されている他の入力項目に切り替え、
前記他の入力項目に関する入力データと、前記評価データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、上記(2)に記載の情報処理装置。
【0016】
(5)さらに、前記設定部が設定した入力データが記録された入力データリストを出力する出力部を備える、上記(1)に記載の情報処理装置。
【0017】
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置が生成した入力データリストの一覧表示画面を表示する表示装置と、
を備える情報処理システム。
【0018】
(7)予め設定された状態像マップであって、状態レベルに対する看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部を備える、情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
対象者が居る観察領域を撮影して得られた撮影データを取得するステップ(a)と、
前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定するステップ(b)と、
1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得するステップ(c)と、
前記ステップ(b)で判定された前記評価項目の評価レベルを含む評価データと、前記ステップ(c)で取得された前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定するステップ(d)と、
前記ステップ(d)で判定された前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定するステップ(e)と、を含む処理を実行する情報処理方法。
【0019】
(8)前記ステップ(c)では、前記対象者に関する複数の前記入力データが記録された入力データリストを取得し、
前記ステップ(d)では、前記評価データとともに、前記入力データリストに記録された複数の入力項目の入力データのうち、特定の入力項目に関する入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する、上記(7)に記載の情報処理方法。
【0020】
(9)上記(7)または上記(8)に記載の情報処理方法を、コンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る情報処理装置は、状態レベルに対して入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部と、撮影データを取得する第1取得部と、前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する評価判定部と、1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得する第2取得部と、前記評価判定部が評価した前記評価項目の評価レベルを含む評価データと、前記第2取得部が取得した前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する状態判定部と、前記状態判定部が判定した前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、入力データを設定する設定部と、を備える。これにより、LIFE等の予め定められた対象者に関する複数の入力項目に関するスタッフ等のデータ入力の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る情報処理装置を示す模式図である。
図2】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】検知部の構成を示すブロック図である。
図4】制御部の機能を示す機能ブロック図である。
図5A】入力データリストの例である。
図5B】各項目の入力値の選択肢と内容との関係を示すテーブルである。
図6】撮影データによる評価項目の評価処理を示すフローチャートである。
図7】撮影データに基づいて行う、人・物体検出処理、および関節点等検出処理を示す模式図である。
図8】評価項目と評価レベルの内容との関係を示すテーブルである。
図9】入力データと評価データより推奨の入力データを設定する処理を示すフローチャートである。
図10】入力データリストから抽出した特定項目の入力データの例である。
図11A】第1の実施形態におけるステップS24の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図11B】変形例におけるステップS24の処理による入力と出力との関係を示す変換テーブルである。
図12】状態像マップの例を示す図である。
図13】推奨の入力データが設定された入力データリストの例である。
図14】第2の変形例におけるステップS24の処理による入力と出力との関係を示す変換テーブルである。
図15A】第3の変形例におけるステップS24の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図15B】第3の変形例におけるステップS24の処理による入力と出力との関係を示す変換テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
図1は、情報処理システム1を示す模式図である。情報処理システム1は、情報処理装置10、検知部20、および端末装置30を含み、各装置は、ネットワーク50を介して相互に通信接続する。情報処理装置10は、サーバー、またはPCである。また、情報処理装置10をサーバーとして構成する場合においては、看介護施設内に設けられたオンプレミスサーバーであってもよく、あるいは商用のクラウドサービスを利用したクラウドサーバーであってもよい。端末装置30は、PC(パーソナルコンピューター)であり看介護施設の看介護スタッフ(以下、単にスタッフとも表記する)、管理者、等のユーザーにより操作される。また、情報処理装置10は、複数の施設の装置(検知部20、端末装置30)と接続されてもよい。以下においては、情報処理装置10は、1つの看介護施設(施設A)の装置と接続されているものとして説明する。
【0025】
(情報処理装置10)
図2は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、制御部110、記憶部120、および通信部130を有する。制御部110は、CPU、RAM、ROM、等で構成され、プログラムに従って情報処理装置10の各部の制御および演算処理を行う。制御部110は、単独で、または通信部130と協働することで、第1取得部111、第2取得部112、評価判定部113、状態判定部114、設定部115、および出力部116として機能する。記憶部120には、入居者リスト、スタッフリスト、入力データリスト、評価データリスト、変換テーブル、状態像マップ、学習済みモデル等が記憶されている。通信部130は、ネットワーク50を介して、検知部20等の他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0026】
「入居者リスト」、および「スタッフリスト」は、施設に入居している対象者71、およびスタッフに関する、個人ID(氏名、番号)、部屋番号、スタッフ名、所属ユニット等が含まれる。所属ユニット(担当グループともいう)とは、施設内の同じフロア等、共通するエリアにいる複数の対象者71が所属する入居者ユニット、およびこれらの入居者ユニットを担当する複数のスタッフが所属するグループである。
【0027】
入力データリストは、予め定められた複数の入力項目の入力データで構成されるものである。入力データリストとしては、例えば厚生労働省のLIFEデータ、要介護度等(介護認定審査会)の認定に用いる評価項目、および、看介護施設独自に設定した評価項目がある。また、これらの入力項目は、定期的に入力が求められるものである。例えば、LIFEデータであれば3ヶ月毎に入力データの更新、および提出が求められる。
【0028】
入力データリストのデータは手入力された入力データ(以下、スタッフ入力データともいう)と、後述する情報処理装置により設定された推奨の入力データ(以下、自動入力データともいう)が含まれる。スタッフ入力データは、スタッフ、管理者、その他の施設の従業員(以下、スタッフ等という)により、端末装置30等を通じて入力される。入力データリストの例については後述する(図5A等)。
【0029】
評価データリストは、各対象者に対するの身体機能に関する評価項目の評価レベルが記録された評価データで構成される。この評価項目の評価は、カメラ23からの撮影データに基づいて情報処理装置10が自動的に行う。評価項目は、1つ以上であり、本実施形態においては、移動と移乗に関する2つの評価項目1、2が用いられる。評価項目および評価の例については、後述する(図6図8)。
【0030】
変換テーブルは、評価データと入力データを入力とし、状態レベルを出力するものである。状態像マップは、状態レベルに対する看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する推奨の入力データが関連付けられたものである。変換テーブルおよび状態像マップについては後述する(図11B図13)。
【0031】
(検知部20)
図3は、検知部20の構成を示すブロック図である。再び図1を参照する。検知部20は、看介護施設の対象者71が居る部屋内を観察領域とし、対象者71の観察領域内(部屋内)での動き(行動)をモニターできるように設けられている。部屋は、例えば、複数の対象者71(被介護者)がそれぞれ入居する看介護施設の一部屋である。また、情報処理装置10は、図1に示すように複数の部屋それぞれに設けられた検知部20と接続している。また、検知部20それぞれの装置IDと、モニター対象となる対象者71の対象者IDとは、紐付けられて記憶部120に記憶されている。
【0032】
図3に示すように検知部20は、制御部21、通信部22、カメラ23等を含む。制御部21、通信部22は、上述の制御部110、通信部130と同様の構成を有する。なお、制御部21には、大容量のメモリが含まれてもよい。
【0033】
カメラ23は、例えば部屋の天井または壁の上部に配置され、観察領域(撮影領域)として真下にある対象者71の部屋内を俯瞰撮影する。カメラ23は、観察領域内における対象者71の動きを検出するセンサーの一例である。部屋には、物体としてのベッド81、車椅子82、等が存在する。カメラ23は、人である対象者71とともに周辺の物体を撮影し撮影データ(動画)を出力する。カメラ23は近赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、あるいは、これらを併用してもよい。また、カメラ23は広角カメラであり得る。
【0034】
図4は、情報処理装置10の制御部110の機能を示す機能ブロック図である。上述のように、制御部110は、第1取得部111、第2取得部112、評価判定部113、状態判定部114、および設定部115として機能する。
【0035】
第1取得部111は、検知部20のカメラ23から撮影データを取得する。第2取得部112は、スタッフ等によって入力された入力データを取得する。評価判定部113は、第1取得部が取得した対象者を撮影した撮影データを解析することで、対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する。状態判定部114は、評価判定部が判定した評価レベルと、入力データリストのうち特定項目の入力データにより状態レベルを決定する。設定部115は、状態像マップを用いて状態レベルから、複数の入力項目に関する推奨の入力データ(自動入力データ)を設定する。出力部116は、設定部115が設定した自動入力データを出力する。例えば、LIFEで入力が求められる調査項目に対応する複数の入力項目で構成される入力データリストの一部に自動入力データを割り当てた上で、端末装置30に出力する。出力には、データとして送信する場合と、出力部116が入力データリストから生成した一覧表示画面を、表示装置として機能する端末装置30のディスプレイに表示する場合が含まれる。
【0036】
評価判定部113の処理については、図6から図8を参照して、後述する。状態判定部114の状態レベルの決定処理については、図10図12を参照して、後述する。設定部115による自動入力データの設定については、図9図13、および図14を参照して、後述する。
【0037】
(入力データリスト)
図5Aは、入力データリストの例であり、記憶部120に記憶される。図5Aに示す入力データリストの各入力データは、スタッフ等により評価され、入力されたものである。図5Aに示す例では、入力データリストの一部を、対象者毎に一覧表示している。横棒(「-」)で示す項目は、未入力の項目であり、後述する処理により自動入力データが設定され得るものである。図5Aでは、未入力の項目以外、すなわち、対象者c001~c010の項目1、および項目13、ならびに、対象者c009の項目1~項目15が入力された状態を示している。
【0038】
入力データリストの項目1~項目5は、LIFE項目の基本動作に関する項目であり、それぞれ寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、および立位保持である。入力項目6~15は、LIFE項目の日常生活動作(ADL)に関する項目であり、それぞれ、食事、椅子とベッド間の移乗、整容、トイレ動作、入浴、平地歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、および排尿コントロールである。
【0039】
図5Bは、各項目の状態像を示すリストであり、項目1~15それぞれの、数値と状態像(実施レベル)を示している。例えば、図5Bを参照すると、図5Aに示す施設Aの対象者個人ID「c001」の項目1(寝返り)に関して入力データ「3」であり、これは、寝返りの状態像が「自立」であることがわかる。
【0040】
(身体機能の評価)
評価判定部113は、カメラ23から得られた時系列の撮影データにより対象者の動きを解析し、対象者の身体機能を評価する。以下、図6図8を参照し、評価判定部113の評価処理について説明する。図6は、評価処理を示すフローチャートである。図7は、撮影データに基づいて行う、人・物体検出処理、および関節点等検出処理を示す模式図である。図8は、評価処理により評価される評価項目1、2の評価レベルを示すテーブルである。
【0041】
評価判定部113は、公知の方法を用いて、カメラ23の撮影データから、対象者を評価する。例えば、評価判定部113は、学習済みの機械学習モデルを用いて、撮影データから身体機能の評価項目1(移動)、および評価項目2(移乗)に関する評価を行う。学習済みモデルは、撮影データの入力と、評価レベル(正解ラベル)との組み合せの教師データを用いて予め学習される。評価判定部113は、撮影データのデータに統計的な処理を行い、処理後のデータに基づいてルールベースで評価レベルを推定してもよい。
【0042】
(ステップS11)
第1取得部111は、カメラ23からの撮影データを取得する。
【0043】
(ステップS12)
図7を参照する。評価判定部113は、撮影データの画像解析処理として、以下の人・物体検出処理、関節点等検出処理、および行動シーン分析処理を行うことで、対象者71に関する評価項目1に関する評価レベルを判定する。
【0044】
(人・物体検出処理)
評価判定部113は、撮影データから、以下に説明する人・物体検出処理により、人、および人以外の物体それぞれに対応する人矩形710と物体矩形810、820を検出する。人矩形710は、撮影データにおける対象者71を含む矩形(破線の枠)内の領域であり、物体矩形810、820は、人物以外の特定の物体(例えば、ベッド、車椅子、座椅子、等)を含む矩形(破線の枠)内の領域である。
【0045】
人・物体検出処理では、撮影データ上で人を含む物体(オブジェクト)が存在する領域を物体存在領域として検出し、検出した物体存在領域に含まれる物体の所定のカテゴリー毎の信頼度スコアを算出する。信頼度スコアは、対象物体に関する尤度である。人・物体検出処理は、DNN(Deep Neural Network)を用いた公知の技術により信頼度スコアを算出し得る。
【0046】
所定のカテゴリーは、例えば、人物、椅子、車椅子、歩行器、手すり、家具、および寝具とし得る。人・物体検出処理においては、人物のカテゴリーの信頼度スコアが最も高い物体存在領域を人矩形710として検出する。すなわち、人・物体検出処理では、物体(移動体)としての対象者71を検出する。同様に、所定の物体のカテゴリーの信頼度スコアが最も高い物体存在領域を、当該信頼度スコアが最も高いカテゴリーの物体矩形820(例えば、車椅子の物体領域)等として検出する。
【0047】
あるいは、別の例における人矩形710の検出方法としては、検出対象の撮影データと、固定のカメラ23によって予め抽出された、撮影領域の背景画像との差分を抽出する背景差分法が使用され得る。また、検出対象の撮影データと、過去の撮影データの平均との差分を抽出するフレーム間(時間)差分法等が使用され得る。
【0048】
このような人・物体検出処理により、人以外の物体の物体矩形810等に基づいて算出した、撮影データ上の座標(物体位置座標)を出力し、記憶部120に、各フレームに対応付けて、時系列の物体情報として記憶される。物体位置座標(物体座標)は、物体矩形の中心位置、または、互いに対角となる2か所以上の頂点位置を用いてもよい。
【0049】
(関節点等検出処理)
評価判定部113は、関節点等検出処理では、人矩形710から対象者71の頭部矩形720、および複数の特徴点730(いずれも図7参照)を検出する。より具体的には、評価判定部113は、関節点等検出処理では、人矩形710から対象者71の頭部を含む領域を頭部矩形720として検出(推定)する。また、関節点等検出処理では、人矩形710から対象者71の人の体に関する関節を含む特徴点730を検出(推定)する。図7においては、複数の特徴点730それぞれの位置が白抜きの丸により示されている。なお、特徴点730間を結ぶ黒い太線は骨を示している。特徴点730には、例えば、頭、首、肩、肘、手、腰、腿、膝、および足が含まれる。特徴点730には、上記以外の特徴点730が含まれてもよく、上記のいずれかが含まれなくてもよい。関節点等検出処理では、人矩形710から特徴点730を検出するための辞書が反映されたDNNにより、人矩形710から対象者71の特徴点730を推定し得る。例えば、評価判定部113は、関節点等検出処理では、DNNを用いた公知の技術により特徴点730を推定し得る。関節点等検出処理では、特徴点730を、撮影データ上のそれぞれの座標として出力し得る。人矩形710、頭部矩形720、および特徴点730の座標(関節点座標、頭部座標)は、撮影データのフレーム毎に互いに関連付けて、時系列の人情報として、記憶部120に記憶される。
【0050】
(行動シーン分析処理)
評価判定部113は、行動シーン分析処理を行う。分類する行動シーンには、(1)対象者71自身の足で歩行する歩行系、(2)対象者71が車椅子に座りながら移動する車椅子系、(3)対象者71がスタッフにより介助される介助系、および(4)対象者71がベッドに寝ているベッド系が含まれる。また、(1)歩行系では、さらに(1a)杖あり歩行系、(1b)歩行器あり歩行系、(1c)その他の自立歩行系で細分化してもよい。
【0051】
評価判定部113は、学習済みモデルを用いて、行動シーンの分類を行う。この学習済みモデルは、人情報(関節点座標、頭部座標)、物体情報(車椅子、ベッド等の物体位置座標)の時系列情報と、行動シーンの正解ラベルを用いて、教師あり学習により学習したものであり、例えば、記憶部120に記憶されている。この学習は、RNN(Recurrent Neural Network)の手法、または隠れマルコフモデル(HMM:Hidden Markov Model)の手法により行う。
【0052】
(評価項目1の評価レベル判定)
評価判定部113は、移動時における対象者71およびスタッフの人情報(関節点座標、頭部座標)から対象者71の自立歩行の頻度を判定する。自立歩行の頻度が多ければ対象者71自身で歩行していると判定し(評価レベル1(図8参照、以下同じ))、少なければ介助による移動と判定する(評価レベル5)。また、対象者71の移動経路の居室の手すり等との位置関係または、対象者71の移動時の歩行器もしくは車椅子との位置関係から、伝い歩き、歩行器等を用いた歩行、車椅子による移動を判定する(評価レベル2~4)。
【0053】
(評価項目2の評価レベル評価判定)
評価判定部113は、対象者71が車椅子を用いていなければ(居室内に車椅子が検出されない)、自立(評価レベル1)と判定する。また、対象者71が車椅子を用いている場合において、評価判定部113は、対象者71およびスタッフの人情報(関節点座標、頭部座標)から自立歩行の頻度を判定し、多ければ対象者71自身で車椅子に移乗したことを判定する(評価レベル1)。また、自立歩行頻度が少ない場合、対象者71が移乗した際のスタッフの人情報から、スタッフが近くにいるが直接的に介助していない見守りの頻度が多いことを判定する(評価レベル2)。また、スタッフが対象者71の移乗に手助けをしている場合には、介助と判定する(評価レベル3)。
【0054】
(ステップS13)
制御部110は、ステップS12で判定された評価レベルを、対象者IDに紐付けて、記憶部120に評価データリストとして記憶する。なお、図6の処理(S11~S13)は、対象者71それぞれに対して行われる。また、この図6の処理は、管理者の実行指示により行われてもよく、所定のタイミング(後述のS21)に同期させて、この所定のタイミングよりも少し前に行うようにしてもよい。
【0055】
(推奨の入力データの設定処理)
図9は、推奨の入力データの設定処理を示すフローチャートである。
【0056】
(ステップS21)
情報処理装置10の制御部110は、所定タイミングであるかを判定する。例えば、LIFEデータのように定期的な入力が求められる入力項目であれば、その期間に対応したタイミングである。または、所定のタイミングとして、端末装置30等を通じた看介護施設の管理者による実行指示がされたタイミングであってもよい。制御部110は、所定のタイミングであれば処理をステップS22に進める。
【0057】
(ステップS22)
情報処理装置10の制御部110は、記憶部120に記憶されている評価データリストから対象者の評価データを取得する。この評価データは、図6の処理により、評価判定部113が、第1取得部111が取得した撮影データを解析することで判定した評価レベルが記録されている。
【0058】
(ステップS23)
第2取得部112は、記憶部120に記録されている入力データリストから、同じ対象者に関する特定の項目の入力データを抽出し、取得する。特定の項目は予め設定されたものである。以下においては、特定の項目は、項目1、項目13の2つであるとして説明する。このときに取得するデータは、例えば、LIFEデータであれば、前回の提出タイミング以降に更新された入力データのみ、または同じ入力項目に関し最新データのみを抽出するようにしてもよい。また、第2取得部112は、ユーザー等の選択に応じて、選択された特定の対象者71のみに関する入力データリストから抽出し、取得してもよい。図10は、入力データリストから抽出した特定項目の入力データの例である。図10は、図5Aに示した入力データリストから、特定の項目として項目1(寝返り)、項目13(更衣)を抽出したものである。なお、図10では、見易さのため、数値ではなく、自立、全介助等の状態像で表記している(以下の図11B図13図14等も同様)。数値と状態像との対応関係は、図5Bに示したとおりである。なお、第2取得部112は、入力データリストから抽出せずに、スタッフ等により、直接、特定の項目の入力データを取得してもよい。
【0059】
(ステップS24)
状態判定部114は、入力データと評価データから状態レベルを決定する。図11Aは、ステップS24の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0060】
(ステップS401~S404)
状態判定部114は、ステップS23で取得された特定の入力項目のうちの入力項目1(寝返り)の入力データに応じて、ステップS402~S405のいずれかに処理を進める。状態判定部114は、入力項目1が全介助であれば、状態レベル1と判定する(S402)。状態判定部114は、入力項目1が一部介助であれば、状態レベル2と判定する(S403)。状態判定部114は、入力項目1が見守りであれば、状態レベル3と判定する(S404)。
【0061】
(ステップS405、S406)
次に、状態判定部114は、ステップS23で取得された特定の入力項目のうちの入力項目13(更衣)の入力データに応じて、ステップS406、S421~S422のいずれかに処理を進める。状態判定部114は、入力項目13が全介助であれば、状態レベル3と判定する(S406)。
【0062】
(ステップS421、S423)
状態判定部114は、ステップS22で取得された評価項目1の評価データに応じて、ステップS423またはS426に処理を進める。状態判定部114は、評価項目1が歩行器、伝い歩き、または独歩であれば、状態レベル7と判定する(S423)。
【0063】
(ステップS422、S424、S425)
状態判定部114は、ステップS22で取得された評価項目1の評価データに応じて、ステップS424またはS425に処理を進める。状態判定部114は、評価項目1が独歩であれば、状態レベル9と判定し(S425)、独歩以外であれば状態レベル8と判定する(S424)。
【0064】
(ステップS426~S429)
状態判定部114は、ステップS22で取得された評価項目2の評価データに応じて、ステップS427~S428のいずれかに処理を進める。状態判定部114は、評価項目2が介助であれば、状態レベル4と判定する(S427)。状態判定部114は、評価項目2が見守りであれば、状態レベル5と判定する(S428)。状態判定部114は、評価項目2が自立であれば、状態レベル6と判定する(S429)。以上により、図11Aの処理を終了し、図9のメインフローに戻る。
【0065】
(変形例)
図11Aの処理に変えて、ステップS24において、状態判定部114は、図11Bの入力と出力示す変換テーブルにより状態レベルを判定するようにしてもよい。この変換テーブルは、予め設定され、記憶部120に記憶されたものである。図11Bに示す変換テーブルを用いて、状態判定部114は、ステップS22、S23で入力された入力項目1、14、評価項目1、2のデータに応じて、出力としての状態レベル1~9を判定する。撮影画像による状態像の認識は、対象者71が単独で動作するものに関しては比較的、高精度で認識できる。一報で、複数の人が映り込む状態、すなわち、対象者71以外のスタッフが撮影画像に映り込む状況が多い介在する介助(一部介助、全介助)に関しては、認識精度が下がる。これは、俯瞰するカメラ23で撮影する際に、スタッフが対象者71に覆い被さる状態や、対象者71がベッド上での(布団の下で)寝返り等の状態では、対象者71は、隠れてしまい全体像を観察できない。このような状況下であることから、介護度が高い対象者71に関しては認識の精度が低い。そのため、本実施形態においては、情報処理装置10は、介護度の高い対象者71に関する状態レベル(例えば状態レベル1~3)については、特定の入力項目の状態像を参考にして、状態レベルを判定する。
【0066】
(ステップS25)
設定部115は、ステップS24で判定された状態レベルから、状態像マップを用いて、各入力項目の推奨の入力データを設定する。図12は、予め設定され、記憶部120に記憶されている状態像マップの例を示す図である。設定部115は、状態像マップを参照し、状態レベルに応じた各項目の入力データを取得し、これを推奨の入力データとして設定する。この際に、設定部115は、スタッフ入力データが入力済みである場合には、これを上書きせずに、未入力の項目に関して推奨の入力データを設定する。
【0067】
図13は、推奨の入力データが設定された入力データリストの例である。例えば、設定部115は、対象者1(ID:c001)が状態レベル9と判定された場合には、図13に示すような推奨の入力データを設定する(破線枠の範囲)。また同様に設定部115は、対象者2(ID:c002)が状態レベル6と判定された場合には、図13に示すような推奨の入力データを設定する(破線枠の範囲)。破線で囲んだ領域内の入力データは、設定部115により設定された推奨の自動入力データである。なお、破線領域外の項目1、項目13は、スタッフにより評価され、入力されたスタッフ入力データである。
【0068】
(ステップS26)
出力部116は、入力データリストを出力する。例えば、施設のスタッフ等の表示要求等に応じて、制御部110は、その施設の対象者71に関する入力データリストを端末装置30に送信する。このときに、入力データリストの各入力データについて、最終更新者、およびその更新日時を記録しておき、自動入力データと、それ以外のスタッフ入力データとを区別できるようにしてもよい。例えば、入力データリストが、ステップS25の処理により自動入力された場合には、最終更新者は、情報処理装置10である旨が記録される。
【0069】
スタッフ等は、端末装置30に表示された施設の各対象者71に対する入力データリストを確認できる。また、このときに表示される一覧表示画面は、例えば、図13に示した様な態様で表示される。また、この入力データリストの一覧表示画面では、色分け等により、自動入力データを他の入力データと区別できるように表示してもよい。
【0070】
(ステップS27)
情報処理装置10は、スタッフ等により変更を受け付けた場合には、処理をステップS28に進め、受け付けなかった場合は処理を終了する(エンド)。例えば、図13のような入力データリストの一覧表示画面を閲覧したスタッフ等は、未入力項目や、自動入力データの内容の変更や、未入力の入力項目に対して入力を行いたい場合には、表示画面を通じて入力データの変更または入力を行う。
【0071】
(ステップS28)
情報処理装置10は、受け付けた入力データに応じて、入力データリストを更新する。新規のデータ入力や変更が行われた場合には、入力データに変更を行ったスタッフIDを紐付けて記録し、後に確認できるようにしてもよい。
【0072】
このように本実施形態に係る情報処理装置は、予め設定された状態像マップであって、状態レベルに対する看介護施設に入居する対象者に関する予め定められた複数の入力項目に関する推奨の入力データが関連付けられた状態像マップを記憶する記憶部と、対象者が居る観察領域を撮影して得られた撮影データを取得する第1取得部と、前記撮影データにより前記対象者の身体機能に関する1つ以上の評価項目の評価レベルを判定する評価判定部と、1つ以上の前記入力項目であって、前記対象者の状態像に関し、人により評価され、入力された入力データを取得する第2取得部と、前記評価判定部が判定した前記評価項目の評価レベルと、前記第2取得部が取得した前記入力項目の入力データに基づいて、前記対象者の前記状態レベルを判定する状態判定部と、前記状態判定部が判定した前記状態レベルと、前記状態像マップに基づいて、前記対象者の複数の入力項目に関して、推奨の入力データを設定する設定部と、を備える。これにより、LIFE等の予め定められた対象者に関する複数の入力項目に関するスタッフ等のデータ入力の負担を軽減できる。
【0073】
(他の変形例)
以下、図14図15Bを参照し、第2、第3の変形例について説明する。
【0074】
図11A図11Bに示した例では、第2取得部112が取得する特定の入力項目は、項目1および項目13の2つの入力項目の組み合わせであったが、これに限られず、特定の入力項目は、他の入力項目の組み合わせでもよく、1つの入力項目でもよい。特定の入力項目としては、以下に示すように、1つ、または2つの介護度の高い対象者71に関する状態像の分別ができる入力項目を使用できる。
【0075】
(第2の変形例)
図14は、第2の変形例におけるステップS24の処理による入力と出力との関係を示す変換テーブルである。特定の入力項目としては、項目1および項目13の第1の組み合わせに替えて、項目6および項目13の第2の組み合わせを適用できる。状態判定部114は、スタッフ等に入力された特定の入力項目の項目6および項目13の入力データと、評価判定部113が判定した評価データ(評価項目1、2)により状態レベルを判定する。
【0076】
なお、第1の組み合わせ、および第2の組み合わせの選択は、ユーザーにより選択されてもよく、または、情報処理装置10側で自動に選択するようにしてもよい。スタッフ等のユーザーは端末装置30等を介して、いずれかの組み合わせを選択できる。または、情報処理装置10は、デフォルトでは第1の組み合わせを適用し、入力データリストにおいて、特定の入力項目が未入力の場合には、第2の組み合わせに切り替えるようにしてもよい。例えば、対象者1に関して、入力項目1が未入力で、入力項目6、13にスタッフ入力データが記録されていた場合には、第1の組み合わせから、第2の組み合わせに切り替えて、図9等の処理を行う。また、第2の組み合わせは、項目6、項目13の組み合わせに限られず、他の組み合わせであってもよい。また、第2の組み合わせ(第2の特定項目)は、2つの入力項目に限られず、1つの入力項目であってもよい(後述の第3の変形例)。
【0077】
(第3の変形例)
図15A図15Bは、第3の変形例におけるステップS24の処理で用いられるフローチャート、および変換テーブルである。図15Bに示す変換テーブルは、図15Aの処理にそのまま対応する。図15Bの変換テーブルにおいては、左側の項目から順に判定される(前述の図11B図14も同じ)。また、第3の変形例においては、用いる入力項目は1つである。
【0078】
(ステップS501~S504)
状態判定部114は、ステップS22で取得された評価項目1の評価データに応じて、状態レベルを判定する。具体的には、状態判定部114は、評価項目1が歩行器、伝い歩き、独歩のいずれかであれば、それぞれ状態レベル7、8、9と判定する。また、状態判定部114は、評価項目1が、車椅子または介助であれば処理をステップS511に進める。
【0079】
(ステップS511~S513)
状態判定部114は、ステップS22で取得された評価項目2の評価データに応じて、状態レベルを判定する。具体的には、状態判定部114は、評価項目2が自立、見守りのいずれかであれば、それぞれ状態レベル5、6と判定する。また、状態判定部114は、評価項目2が、介助であれば処理をステップS521に進める。
【0080】
(ステップS521~S525)
状態判定部114は、ステップS23で取得された入力項目1の入力データに応じて、状態レベルを判定する。具体的には、状態判定部114は、入力項目1が全介助、一部介助、見守り、および自立であれば、それぞれ状態レベル1、2、3、4と判定する。
第3の変形例におけるステップS24の処理による入力と出力との関係を示すテーブルである。特定の入力項目としては、項目1および項目13の第1の組み合わせに替えて、項目6および項目13の第2の組み合わせを適用できる。状態判定部114は、スタッフ等に入力された特定の入力項目の項目6および項目13の入力データと、評価判定部113が判定した評価データ(評価項目1、2)により状態レベルを判定する。以上で、図15Aの処理を終了し(リターン)、制御部110は、図9のステップS25以降の処理を実行する。
【0081】
このような各変形例においても図1図11Aに示した第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0082】
以上に説明した情報処理装置10の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般的な情報処理装置10が備える構成を排除するものではない。
【0083】
上述した実施形態に係る情報処理装置10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
110 制御部
111 第1取得部
112 第2取得部
113 評価判定部
114 状態判定部
115 設定部
116 出力部
120 記憶部
130 通信部
20 検知部
21 制御部
22 通信部
23 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B