(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151786
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】線状センサユニットおよび線状センサユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20241018BHJP
G01H 11/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01L1/16 B
G01H11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065490
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
(72)【発明者】
【氏名】出上 真潮
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064BA02
2G064BD02
2G064BD18
(57)【要約】
【課題】本発明は、製造が容易な線状センサユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の線状センサユニット1は、内部導体21および外部導体23を有する線状センサ2と、内部導体21および外部導体23が接続された出力側端子部材3とを備えた線状センサユニット1であって、出力側端子部材3は、内部導体21が接続された第1接続部314および外部導体23が接続された第2接続部315よりも線状センサ2の延在方向と交わる交差方向における一端側の第1折曲線3aで延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げられ、第1接続部314および第2接続部315よりも交差方向における他端側の第2折曲線3bで延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げられたフィルム状のものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続された端子部材とを備えた線状センサユニットであって、
前記端子部材は、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げられ、該第1接続部および該第2接続部よりも該交差方向における他端側の第2位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げられたフィルム状のものであることを特徴とする線状センサユニット。
【請求項2】
前記端子部材は、前記第2位置よりも前記他端側の位置で前記延在方向に沿ってさらに折り曲げられたものであることを特徴とする請求項1記載の線状センサユニット。
【請求項3】
前記端子部材に接続された信号線を備え、
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンと該導体接続パターンよりも前記延在方向一方側に位置する一方側シールドパターンと該導体接続パターンよりも該延在方向他方側に位置する他方側シールドパターンそれぞれが、前記第1位置と前記第2位置の間のベース部位と、該第1位置で折り曲げられることで該ベース部位に対面した一端側折曲部位とに設けられたものであり、
前記線状センサは、前記一方側シールドパターンに接続されたセンサシールド被覆を有するものであり、
前記信号線は、前記他方側シールドパターンに接続された信号シールド被覆を有するものであり、
前記一端側折曲部位は、前記一方側シールドパターンと前記他方側シールドパターンとを連結した連結パターンが設けられたものであることを特徴とする請求項1または2記載の線状センサユニット。
【請求項4】
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンを有し、前記第1位置よりも一端側の特定位置で前記延在方向に沿ってさらに前記一方の折り方で折り曲げられたものであり、
前記導体接続パターンは、前記第1位置、前記特定位置および前記第2位置を跨いで延在したものであり、
前記端子部材が前記第1位置、前記第2位置および前記特定位置で折り曲げられることで、前記特定位置を跨ぐ部分にある前記導体接続パターンは、前記第2位置にある該導体接続パターンの外側を覆っていることを特徴とする請求項1記載の線状センサユニット。
【請求項5】
前記端子部材は、前記特定位置よりもさらに一端側で平面状に延在した第1平面部分と前記第2位置よりもさらに他端側で平面状に延在した第2平面部分とを有し、該第1平面部分が該第2平面部分に固定されたものであることを特徴とする請求項4記載の線状センサユニット。
【請求項6】
前記線状センサは、前記第1位置と前記第2位置の間に設けられた第3接続部に接続されたセンサシールド被覆を有するものであり、
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンと前記第3接続部から連続したシールドパターンとを有し、前記第2位置よりも他端側の第3位置、該第3位置よりも他端側の第4位置および該第4位置よりも他端側の第5位置で該延在方向に沿って前記他方の折り方で折り曲げられることで前記第1位置と前記第2位置の間のベース部位および該ベース部位よりも一端側部分を内側にして折り重なったものであり、
前記導体接続パターンは、前記第1位置および前記第2位置を跨いで延在したものであり、
前記シールドパターンは、前記第2位置、前記第3位置、前記第4位置および前記第5位置を跨いで延在したものであり、
前記端子部材が前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置、前記第4位置および前記第5位置で折り曲げられることで前記第3位置よりも他端側にある前記シールドパターンが、前記導体接続パターンの外側を覆っていることを特徴とする請求項1記載の線状センサユニット。
【請求項7】
前記端子部材は、前記第5位置よりもさらに他端側で平面状に延在した第3平面部分と前記第3位置と前記第4位置の間で平面状に延在した第4平面部分とを有し、該第3平面部分が該第4平面部分に固定されたものであることを特徴とする請求項6記載の線状センサユニット。
【請求項8】
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続されたフィルム状の端子部材とを備えた線状センサユニットであって、
前記端子部材は、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置と、該第1接続部および該第2接続部よりも該交差方向における他端側の第2位置で、該第1位置よりも一端側部分と該第2位置よりも他端側部分が該延在方向から見て該線状センサを中心として同一の回転方向に向かって折り畳まれたものであることを特徴とする線状センサユニット。
【請求項9】
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続されたフィルム状の端子部材とを備えた線状センサユニットの製造方法であって、
前記端子部材の、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げる第1折曲工程と、
前記端子部材の、前記第1接続部および前記第2接続部よりも前記交差方向における他端側の第2位置で前記延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げる第2折曲工程とを備えたことを特徴とする線状センサユニットの製造方法。
【請求項10】
前記第2位置よりも前記他端側の位置でさらに前記端子部材を折り曲げる第3折曲工程を備えたことを特徴とする請求項9記載の線状センサユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続された端子部材とを備えた線状センサユニットおよび線状センサユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部導体と、その内部導体の外周面に接触して設けられた圧電体と、その圧電体の外周面に接触して設けられた外部導体とをセンサ線として用いた線状センサが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この線状センサは、外部から荷重が加わることで圧電体が変形し、内部導体と外部導体との間に電圧が誘起されるという特性を有している。この特性を利用して、圧力を検知するための圧力センサや振動を検知するための振動センサとして線状センサを利用することが検討されている。また、圧電体を用いたセンサ線の代わりに、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等をセンサ線として用いて線状センサを構成することも検討されている。
【0003】
また、線状センサの端部にシールドパターンを有する端子部材を配置した線状センサユニットが知られている(例えば、特許文献2等参照)。この特許文献2に記載された端子部材は、センサ線を挟み込んだフィルム状のものである。その端子部材は、折り曲げ前は長方形状をしており、内側面となる面に接着剤を塗布して数回折り曲げられたものである。端子部材は、その長手方向の一端部分に、線状センサの内部導体および外部導体それぞれが電気的に接続されている。そして、線状センサが接続された一端部分を覆うように、その一端部分よりも他端側の複数の位置で端子部材を折り曲げることで線状センサ端部の周囲を端子部材が覆っている。この端子部材によって、線状センサの端部を物理的に保護するとともに線状センサの端部から外部ノイズが侵入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2019/117037
【特許文献2】特開2021―124511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フィルム状の端子部材の折り曲げ回数が増えると、端子部材が折り曲げにくくなる上に、折り曲げた端子部材が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力が強くなるため、折り曲げ作業が煩雑になるといった問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、製造が容易な線状センサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の線状センサユニットは、
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続された端子部材とを備えた線状センサユニットであって、
前記端子部材は、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げられ、該第1接続部と該第2接続部よりも該交差方向における他端側の第2位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げられたフィルム状のものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の線状センサユニットによれば、特許文献2に記載されたセンサユニットのように全て山折りまたは全て谷折りする場合と比較して折り曲げやすく、前記端子部材が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力も減るので、この線状センサユニットを製造しやすくなる。そして、前記第1位置で前記延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げ、前記第2位置では他方の折り方で折り曲げることで、前記第1接続部の両面と前記第2接続部の両面を前記端子部材で覆うことができる。
【0009】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記端子部材は、前記第2位置よりも前記他端側の位置で前記延在方向に沿ってさらに折り曲げられたものであってもよい。
【0010】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記端子部材に接続された信号線を備え、
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンと該導体接続パターンよりも前記延在方向一方側に位置する一方側シールドパターンと該導体接続パターンよりも該延在方向他方側に位置する他方側シールドパターンそれぞれが、前記第1位置と前記第2位置の間のベース部位と、該第1位置で折り曲げられることで該ベース部位に対面した一端側折曲部位とに設けられたものであり、
前記線状センサは、前記一方側シールドパターンに接続されたセンサシールド被覆を有するものであり、
前記信号線は、前記他方側シールドパターンに接続された信号シールド被覆を有するものであり、
前記一端側折曲部位は、前記一方側シールドパターンと前記他方側シールドパターンとを連結した連結パターンが設けられたものであってもよい。
【0011】
こうすることで、前記センサシールド被覆が接続された部分と前記信号シールド被覆が接続された部分との間における抵抗値を小さくすることができるのでシールド効果が低下することを抑制できる。
【0012】
ここで、前記信号線は、前記線状センサの信号を外部に伝達する信号ケーブルであってもよく、前記線状センサと同様にセンサ機能を有する線状センサであってもよい。
【0013】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンを有し、前記第1位置よりも一端側の特定位置で前記延在方向に沿ってさらに前記一方の折り方で折り曲げられたものであり、
前記導体接続パターンは、前記第1位置、前記特定位置および前記第2位置を跨いで延在したものであり、
前記端子部材が前記第1位置、前記第2位置および前記特定位置で折り曲げられることで、前記特定位置を跨ぐ部分にある前記導体接続パターンは、前記第2位置にある該導体接続パターンの外側を覆っていてもよい。
【0014】
これにより、外部ノイズが、前記第1接続部と前記第2接続部に入り込みにくくなる。
【0015】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記端子部材は、前記特定位置よりもさらに一端側で平面状に延在した第1平面部分と前記第2位置よりもさらに他端側で平面状に延在した第2平面部分とを有し、該第1平面部分が該第2平面部分に固定されたものであってもよい。
【0016】
前記第1平面部分を前記第2平面部分に接着することができるので、前記特定位置よりもさらに一端側の部分が剥がれにくい。
【0017】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記線状センサは、前記第1位置と前記第2位置の間に設けられた第3接続部に接続されたセンサシールド被覆を有するものであり、
前記端子部材は、前記第2接続部から連続した導体接続パターンと前記第3接続部から連続したシールドパターンとを有し、前記第2位置よりも他端側の第3位置、該第3位置よりも他端側の第4位置および該第4位置よりも他端側の第5位置で該延在方向に沿って前記他方の折り方で折り曲げられることで前記第1位置と前記第2位置の間のベース部位および該ベース部位よりも一端側部分を内側にして折り重なったものであり、
前記導体接続パターンは、前記第1位置および前記第2位置を跨いで延在したものであり、
前記シールドパターンは、前記第2位置、前記第3位置、前記第4位置および前記第5位置を跨いで延在したものであり、
前記端子部材が前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置、前記第4位置および前記第5位置で折り曲げられることで前記第3位置よりも他端側にある前記シールドパターンが、前記導体接続パターンの外側を覆っていてもよい。
【0018】
これにより、外部ノイズが、前記導体接続パターンに入り込みにくくなる。
【0019】
また、本発明の線状センサユニットにおいて、
前記端子部材は、前記第5位置よりもさらに他端側で平面状に延在した第3平面部分と前記第3位置と前記第4位置の間で平面状に延在した第4平面部分とを有し、該第3平面部分が該第4平面部分に固定されたものであってもよい。
【0020】
前記第3平面部分を前記第4平面部分に接着することができるので、前記第5位置よりもさらに他端側の部分が剥がれにくい。
【0021】
上記目的を解決する本発明の線状センサユニットは、
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続されたフィルム状の端子部材とを備えた線状センサユニットであって、
前記端子部材は、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置と、該第1接続部および該第2接続部よりも該交差方向における他端側の第2位置で、該第1位置よりも一端側部分と該第2位置よりも他端側部分が該延在方向から見て該線状センサを中心として同一の回転方向に向かって折り畳まれたものであることを特徴とする。
【0022】
この線状センサユニットによれば、特許文献2に記載されたセンサユニットのように全て山折りまたは全て谷折りする場合と比較して折り曲げやすく、前記端子部材が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力も減るので、この線状センサユニットを製造しやすくなる。
【0023】
本発明の線状センサユニットの製造方法は、
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続されたフィルム状の端子部材とを備えた線状センサユニットの製造方法であって、
前記端子部材の、前記内部導体が接続された第1接続部および前記外部導体が接続された第2接続部よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げる第1折曲工程と、
前記端子部材の、前記第1接続部および前記第2接続部よりも前記交差方向における他端側の第2位置で前記延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げる第2折曲工程とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の線状センサユニットの製造方法によれば、特許文献2に記載されたセンサユニットの製造方法のように全て山折りまたは全て谷折りする場合と比較して折り曲げやすく、前記端子部材が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力も減るので、製造しやすくなる。
【0025】
また、本発明の線状センサユニットの製造方法において、
前記第2位置よりも前記他端側の位置でさらに前記端子部材を折り曲げる第3折曲工程を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製造が容易な線状センサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。
【
図4】
図3のE-E線で切断したE-E断面図である。
【
図5】
図2のA-A線で切断したA-A断面図である。
【
図6】
図2のB-B線で切断したB-B断面図である。
【
図7】線状センサの出力側端部と信号ケーブルの先端部に出力側端子部材を取り付ける作業を示すフローチャートである。
【
図8】終端側端子部材を展開した様子を示す平面図である。
【
図9】
図8のF-F線で切断したF-F断面図である。
【
図10】
図2のC-C線で切断したC-C断面図である。
【
図11】
図2のD-D線で切断したD-D断面図である。
【
図12】線状センサの終端側端部に出力側端子部材を取り付ける作業を示すフローチャートである。
【
図13】第1変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【
図14】第2変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【
図15】第3変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【
図16】第2実施形態の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【
図17】第2実施形態の出力側端子部材のA-A断面図である。
【
図18】第2実施形態の終端側端子部材を展開した様子を示す
図8と同様の平面図である。
【
図19】第2実施形態の出力側端子部材のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。先ず、本実施形態の線状センサユニットに用いられる線状センサについて説明する。この線状センサは、主に被検出体の振動を検出するものであるが、圧力を検出することにも利用できる。
【0029】
図1は、本実施形態の線状センサの構造を示す断面図である。
【0030】
図1に示すように、線状センサ2は、センサ線20と、内側シース24と、センサセンサシールド被覆25と、外側シース26とを備えている。センサ線20は、内部導体21と圧電体22と外部導体23とから構成されている。内部導体21は、線状センサ2の中心に配置されており、7本の導体線211で構成されている。圧電体22は、内部導体21の外周に設けられている。外部導体23は、圧電体22の外周に設けられている。
【0031】
7本の導体線211は、いずれも直径が50μmのものであって、このうち4本はステンレス製の導体線211Sであり、残りの3本は銅製の導体線211Cである。
図1では、ステンレス製の導体線211Sが左下がりのハッチングで、銅製の導体線211Cが右下がりのハッチングでそれぞれ示されている。
図1に示す内部導体21では、中心に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sが用いられており、外周に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sと銅製の導体線211Cが交互に用いられている。銅製の導体線211Cは、ステンレス製の導体線211Sに比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、ステンレス製の導体線211Sは、銅製の導体線211Cに比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)および剛性は高くなる。
【0032】
7本の導体線211は、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置された状態になっている。これらの7本の導体線211は、一本に撚り合わされた状態のものである。すなわち、内部導体21は、7本の導体線211をその断面において最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。なお、この場合の内部導体21の太さは最大150μmとなる。このように複数本の導体線211を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、線状センサ2に柔軟性を与えることができる。
【0033】
なお、導体線211の直径は50μmに限られず、8μm以上130μm以下であってもよく、8μm以上100μm以下にすることが好ましい。導体線211は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度および剛性が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度および剛性が高められる。また、導体線211の太さが20μm以上であれば、低コストで製造することができ、且つ製造も容易である。また、異なる太さの導体線211を撚り合わせて内部導体21を構成してもよい。
【0034】
また、
図1に示す内部導体21は、7本の導体線211を撚り合わせたものであるが、この数については7本でなくてもよい。複数の導体線211を撚り合わせることにより、線状センサ2の柔軟性を高めることができる。また例えば、複数本を撚り合わせた束を複数用意し、これらをさらに撚り合わせる、といったように複数段階に分けて撚り合わせものであってもよい。例えば、7本の細い導体線211を撚り合わせた束を7本用意し、その束をさらに撚り合わせた構成にしてもよい。複数段階に分けて撚り合わせることで、線状センサ2の柔軟性がより高まるので、線状センサ2に加わった振動等に応じて線状センサ2が変形しやすくなる。その結果、線状センサ2における検出感度を高めることができる。なお、複数段階に分けて撚り合わせる場合のように、撚り合わせの工程が複数回ある場合には、撚り合わせる方向を異ならせてもよい。一方、複数の導体線211を撚り合わせずに、直線状に束にしたものを用いてもよい。また、例えば、撚り合わせない複数の導体線211の束と、撚り合わせた複数の導体線211を撚り合わせる、といったように、これらの構成を組み合わせてもよい。これらの場合であっても、圧電材料を塗布することで、複数の導体線211が互いに接着されて束ねられ、一本の圧電性繊維を製造することができる。
【0035】
以上説明したセンサ線20では、内部導体21を構成する導体線211として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心の導体線211を、銅製の導体線211Cに代えてもよく、あるいは、7本の導体線211の全てを銅製の導体線211Cにしてもよい。反対に、機械的強度および剛性をさらに高める場合には、7本の導体線211の全てをステンレス製の導体線211Sにしてもよい。また、ステンレス製の導体線211Sに代えて、タングステン製の導体線や、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅製の導体線211Cに代えて、チタン製の導体線や、チタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。さらには、カーボンナノチューブを含む導体線であってもよいし、ピッチ系炭素繊維を含む導体線であってもよい。あるいは、弾性変形しやすいバネ鋼材からなる導体線を用いてもよい。
【0036】
圧電体22は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電材料を内部導体21に塗布することによって形成されたものである。ポリフッ化ビニリデンは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体22には分極処理が施されており、振動等によって圧電体22に変形が生じたときに内部導体21と外部導体23の間に電圧が誘起される。
【0037】
図1に示す圧電体22を構成する圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、圧電材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。なお、塗布する構成に限らず、例えば、帯状のPVDFフィルムを内部導体21に螺旋状に巻き付けた構成であってもよい。
【0038】
圧電体22の厚みは、導体線211の直径以上であることが好ましい。
図1に示す圧電体22の厚さは、最も薄い箇所で75μmであるが、10μm以上150μm以下であることが好ましい。なお、圧電体22の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体22の厚さの限界値は、塗布する圧電材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、圧電体22の厚さが厚すぎると線状センサ2が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
【0039】
図1に示す内部導体21では、複数の導体線211を撚り合わせているため、導体線211同士の境目に窪みがある。この窪みの部分では、より多くの圧電材料を担持することができ、圧電材料の体積が大きく(厚く)なるため、検出感度が他の部分よりも良好になる。内部導体21には、こうした窪みによって圧電材料が他の部分よりも厚い部分が6箇所、周方向に均等間隔で存在するため、どの方向に曲げられても高感度な圧電性繊維として機能する要因になる。
【0040】
なお、
図1に示す隣り合う導体線211は互いにほぼ接しているが、わずかな隙間から毛細管現象によって圧電材料が浸透し、隣り合う導体線211同士の隙間が圧電材料によって埋められた状態になっている。ただし、圧電材料の粘度や塗布方法によっては、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しない場合もある。この場合でも、内部導体21の外周に面した部分に圧電材料が担持された状態となっていればよい。なお、上述した帯状のPVDFフィルムを圧電体22として用いた構成では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透していない線状センサ2になる。この線状センサ2では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しているものと比較して線状センサ2の柔軟性が高まるので、線状センサ2における検出感度が高まる。
【0041】
図1に示す外部導体23は、圧電体22の外周に、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成されている。外部導体23を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。外部導体23の厚さは、導体線211の直径以下であることが好ましく、また、圧電体22の厚さ以下であることも好ましい。
図1に示す外部導体23の厚さは、30μmであるが、5μm以上80μm以下であることが好ましい。また、外部導体23に導電性材料を用いずに導線を用いてもよい。
【0042】
内側シース24は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるために外部導体23の外周を覆っている。この内側シース24は、厚さが30μmに形成されている。内側シース24は、外側シース26に比べて柔らかい材料で構成されている。この内側シース24は、ポリアミド合成樹脂を塗布することで形成されているが、ポリ塩化ビニル樹脂を塗布することで形成してもよい。
【0043】
センサシールド被覆25は、ニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたシールドである。なお、センサシールド被覆25は、内部導体21と圧電体22と外部導体23を内側に有する内側シース24に、蒸着によって銅やアルミニウム等を蒸着させることで形成してもよい。また、センサシールド被覆25は、スパッタ、EBD(電子線ビーム蒸着)、CVD(気相成長法)、塗布、浸漬、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて内側シース24に付着させてもよく、金属箔を巻き付けることで形成してもよい。
【0044】
外側シース26は、内側シース24に比べて耐摩耗性が高い材料で構成されている。この外側シース26は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を塗布することで形成されている。ただし、4フッ化・6フッ化プロピレン樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、または4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA)を塗布することで形成してもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。加えて、外側シース26は、内側シース24よりも厚くてもよい。さらに、内側シース24は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外側シース26は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
【0045】
図1に示す線状センサ2の直径は0.5mmである。ただし、線状センサ2の直径はさらに太くてもよく細くてもよく、0.1~3.0mmであることが好ましい。なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、上限、下限を含むものとする。
【0046】
【0047】
図2に示すように、本実施形態の線状センサユニット1は、線状センサ2と出力側端子部材3と終端側端子部材4と信号ケーブル39とを備えている。これら出力側端子部材3および終端側端子部材4は、それぞれ端子部材の一例に相当する。
【0048】
出力側端子部材3には、線状センサ2の出力側端部と信号ケーブル39の先端部が固定されている。出力側端子部材3は、線状センサ2の出力側端部と信号ケーブル39の先端部を物理的に保護し、かつ外部からのノイズ(以下、外部ノイズと称する)が線状センサ2で得られた信号に入り込むことを防止しつつその信号を信号ケーブル39に伝達するためのものである。出力側端子部材3は、線状センサ2の端部を挟み込んで合計4回折り曲げられたフィルム状のものである。出力側端子部材3には、その側面を覆う絶縁性の出力側封止材30が設けられている。出力側封止材30は、エポキシ樹脂系の接着剤を固化させたものである。なお、出力側封止材30は、エポキシ樹脂系以外の接着剤であってもよい。出力側封止材30により、出力側端子部材3の側面から液体や水蒸気が出力側端子部材3内部に侵入してしまうことを防止できる。なお、出力側封止材30の代わりに、出力側端子部材3の側面を覆うキャップを用いてもよい。要するに、出力側端子部材3の側面を水密または気密に覆う絶縁性のものを配置すればよい。
【0049】
終端側端子部材4は、線状センサ2の終端側端部に固定されている。この終端側端子部材4は、線状センサ2の終端側端部を物理的に保護し、かつ外部ノイズが線状センサ2で得られた信号に入り込むことを防止するためのものである。終端側端子部材4は、線状センサ2の端部を挟み込んで合計4回折り曲げられたフィルム状のものである。終端側端子部材4には、その側面を覆う絶縁性の終端側封止材40が設けられている。終端側封止材40は、エポキシ樹脂系の接着剤を固化させたものである。なお、終端側封止材40は、エポキシ樹脂系以外の接着剤であってもよい。終端側封止材40により、終端側端子部材4の側面から液体や水蒸気が終端側封止材40内部に侵入してしまうことを防止できる。なお、終端側封止材40の代わりに、終端側端子部材4の側面を水密または気密に覆う絶縁性のキャップなどを配置してもよい。
【0050】
信号ケーブル39は、線状センサ2で得られた信号を不図示の測定装置等に伝達するためのものであり、
図2に示された先端部とは反対側の後端部には、たとえばUSBコネクタなどの不図示のコネクタが取り付けられている。このコネクタを測定装置等に接続することで、線状センサ2で得られた信号が測定装置等に伝達される。
【0051】
図3は、出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。この
図3は、線状センサ2の出力側端部に出力側端子部材3を取り付ける過程の最終段階において出力側端子部材3を折り曲げる直前の状態を示す平面図とも言える。なお、
図2に示した出力側封止材30は、出力側端子部材3を折り曲げてから塗布して固化させるため
図3には示されていない。
【0052】
図3に示すように、出力側端子部材3は、ベースフィルム32(
図4参照)の片面にパターン用導体層31(
図4参照)が設けられたフレキシブル基板で構成されている。出力側端子部材3は、折り曲げ前は長方形状をしている。出力側端子部材3には、折り曲げ前における短手方向に延在する姿勢で線状センサ2の端部が接続されている。以下、この出力側端子部材3の説明において、線状センサ2の端部が延在する方向を延在方向と称し、その延在方向と交わる方向を交差方向と称する場合がある。出力側端子部材3は、交差方向の一端側から順に、第1部位3P1、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5に区分けされている。これらのうち第1部位3P1は一端側折曲部位の一例に相当し、第2部位3P2はベース部位の一例に相当し、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5は他端側折曲部位の一例に相当する。第1部位3P1、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5は、
図3に示された状態においてはこの順に連続して並んでいる。第1部位3P1と第2部位3P2の境界には延在方向に沿って第1折曲線3aが描かれている。第2部位3P2と第3部位3P3の境界には延在方向に沿って第2折曲線3bが描かれている。従って、第2部位3P2は、第1折曲線3aと第2折曲線3bの間の部位ともいえる。第3部位3P3と第4部位3P4の境界には延在方向に沿って第3折曲線3cが描かれている。第4部位3P4と第5部位3P5の境界には延在方向に沿って第4折曲線3dが描かれている。すなわち、第1接続部314および第2接続部315に近い順に、第2折曲線3b、第3折曲線3c、第4折曲線3dが描かれている。また、第1折曲線3aと第2折曲線3bは、第2接続部315から等距離になる位置に描かれている。
図3では各折曲線は太い破線で示されている。なお、第1部位3P1と第3部位3P3の、折り曲げ前における交差方向の長さはほぼ同一であり、これらの長さは第2部位3P2より少しだけ長い。一方、第3部位3P3、第4部位3P4、第5部位3P5は、折り曲げたときの厚み分を考慮してこの順で折り曲げ前における交差方向の長さが長くなっている。また、第1折曲線3aは長破線で描かれており、第2折曲線3b、第3折曲線3cおよび第4折曲線3dは短破線で描かれている。長破線は、この
図3における紙面手前側の面である線状センサ2の端部が接続されている面を上面(おもて面)として山折りすることを意味している。そして、短破線は、同面を上面として谷折りすることを意味している。以下、「山折り」および「谷折り」とは、線状センサ2の端部が接続されている面を上面とした場合の折り方を意味するものとする。
【0053】
出力側端子部材3には、パターン用導体層31(
図4参照)によって形成された、第1接続部314と、第2接続部315と、第3接続部316と、第2ケーブル接続部3151と、第3ケーブル接続部3161と、第1ベタパターン318と、第2ベタパターン319とが設けられている。この第2ベタパターン319は、シールドパターンの一例に相当する。第2接続部315および第2ケーブル接続部3151は、第1ベタパターン318の上面にあるカバーレイ33(
図4参照)を剥がすことで形成されている。従って、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151は、第1ベタパターン318と連続している。この第1ベタパターン318は、導体接続パターンの一例に相当する。また、第3接続部316および第3ケーブル接続部3161は、第2ベタパターン319の上面にあるカバーレイ33を剥がすことで形成されている。従って、第3接続部316および第3ケーブル接続部3161は第2ベタパターン319と連続している。一方、第1接続部314と第1ベタパターン318と第2ベタパターン319は、互いに面方向に隙間を空けて配置されている。
図2に示した出力側端子部材3を折り曲げた状態でも、第1接続部314と第1ベタパターン318と第2ベタパターン319は、厚み方向にベースフィルム32(
図4参照)またはカバーレイ33が対面して配置され、厚み方向にも互いに隙間を空けて配置されるため互いに接触することはない。第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161は、第2部位3P2に配置されている。
【0054】
線状センサ2の出力側端部では、外側シース26、センサシールド被覆25、内側シース24、外部導体23、圧電体22が順に階段状に剥離されている。これにより、線状センサ2の出力側端部では、内部導体21、圧電体22、外部導体23、内側シース24、センサシールド被覆25それぞれが、延在方向に1~3mm程度づつ露出している。なお、内部導体21と外部導体23が短絡してしまわないように、圧電体22の露出長は、内部導体21または外部導体23の露出長よりも長い方が好ましい。同様に、外部導体23とセンサシールド被覆25が短絡してしまわないように、内側シース24の露出長は、外部導体23またはセンサシールド被覆25の露出長よりも長い方が好ましい。なお、圧電体22、内側シース24、および外側シース26は、剥離する代わりにレーザで焼くことで消失させてもよい。
【0055】
信号ケーブル39は、信号線391と、ケーブル内側シース392と、シグナルグランド線393と、ケーブル中間シース394と、信号シールド被覆395と、ケーブル外側シース396とから構成されている。信号線391は、信号ケーブル39の中心に配置された銅製の導体線である。ケーブル内側シース392は、信号線391の外周を覆う、ポリアミド合成樹脂などの絶縁体である。シグナルグランド線393は、ケーブル内側シース392の外周を覆う高分子導電性材料で構成された導電体である。ケーブル中間シース394は、シグナルグランド線393の外周を覆うポリアミド合成樹脂などの絶縁体である。信号シールド被覆395は、ケーブル中間シース394の外周を覆うニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたものである。ケーブル外側シース396は、信号シールド被覆395の外周を覆うPTFEなどの絶縁体である。なお、信号ケーブル39を構成する部材の材質はこれらに限られず、導電体と絶縁体とが中心から順に形成されていれば、任意の材質のものを用いることができる。
【0056】
信号線391の一端側端部では、ケーブル外側シース396、信号シールド被覆395、ケーブル中間シース394、シグナルグランド線393、ケーブル内側シース392が順に階段状に剥離されている。これにより、信号線391の一端側端部では、信号線391、ケーブル内側シース392、シグナルグランド線393、ケーブル中間シース394、信号シールド被覆395それぞれが、延在方向に1~3mm程度づつ露出している。
【0057】
出力側端子部材3の、第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161は、出力側端子部材3を折り曲げる前の状態では出力側端子部材3の上面に露出している。第1接続部314には、線状センサ2の出力側端部で露出した内部導体21と信号ケーブル39の先端側端部で露出した信号線391がハンダによってそれぞれ電気的に接続されるとともに固定されている。
図3では、ハンダは黒色の四角で示されている。内部導体21で得られた検出信号は、第1接続部314および信号線391を通して不図示の測定装置等に伝達される。第2接続部315には、線状センサ2の出力側端部で露出した外部導体23がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。第2ケーブル接続部3151には、信号ケーブル39の先端側端部で露出したシグナルグランド線393が電気的に接続されるとともに固定されている。外部導体23は、第2接続部315、第1ベタパターン318、第2ケーブル接続部3151およびシグナルグランド線393を通して測定装置等のシグナルグランドに接続される。第3接続部316には、線状センサ2の出力側端部で露出したセンサシールド被覆25がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。第3ケーブル接続部3161には、信号ケーブル39の先端側端部で露出した信号シールド被覆395が電気的に接続されるとともに固定されている。センサシールド被覆25は、第3接続部316、第2ベタパターン319、第3ケーブル接続部3161および信号シールド被覆395を通して測定装置等のアースに接続される。
【0058】
第1ベタパターン318は、第1折曲線3aと第2折曲線3bを跨いで第1部位3P1と第2部位3P2と第3部位3P3に延在している。第1ベタパターン318のうち、第1部位3P1にある部分は、出力側端子部材3が第1折曲線3aで折り曲げられて第1部位3P1と第2部位3P2とが厚み方向に重なったときには、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151を覆う大きさに形成されている。また、第1ベタパターン318のうち、第3部位3P3にある部分は、出力側端子部材3が第2折曲線3bで折り曲げられて第2部位3P2と第3部位3P3とが厚み方向に重なったときには、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151を覆う大きさに形成されている。
【0059】
第2ベタパターン319は、第1折曲線3a、第2折曲線3b、第3折曲線3cおよび第4折曲線3dを跨いで、第1部位3P1、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5に延在している。第1部位3P1、第2部位3P2および第3部位3P3では、第2ベタパターン319は、後述する連結パターン319cを除いて、第1ベタパターン318を挟んで線状センサ2の延在方向一方側に位置する一方側シールドパターン319aと、延在方向他方側に位置する他方側シールドパターン319bとに分かれている。第3接続部316は、第2部位3P2における一方側シールドパターン319aに形成されている。そして、第3ケーブル接続部3161は、第2部位3P2における他方側シールドパターン319bに形成されている。第2ベタパターン319のうち、第1部位3P1にある部分には、一方側シールドパターン319aと他方側シールドパターン319bとを連結する連結パターン319cが形成されている。また、第2ベタパターン319のうち、第4部位3P4および第5部位3P5にある部分は、出力側端子部材3が全ての折り曲げ線で折り曲げられた
図2に示す状態で、第1部位3P1、第2部位3P2および第3部位3P3にあるパターン用導体層31の外側を覆う大きさに形成されている。
【0060】
図4は、
図3のE-E線で切断したE-E断面図である。なお、この
図4では各部の厚みを誇張して示している。また、第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161は、露出面に金メッキが施されることでハンダとの接続性が高められるとともに嵩上げされているが、金メッキは図示省略している。また、この
図4以降の図においても、金メッキは図示省略している。
【0061】
図4に示すように、出力側端子部材3は、パターン用導体層31とベースフィルム32と絶縁被膜であるカバーレイ33とを有するフィルム状のものである。パターン用導体層31は、ベースフィルム32の上面に蒸着によって銅を付着させることで形成されている。ただし、パターン用導体層31は、スパッタ、EBD、CVD、塗布、浸漬、無電解メッキ等の他の方法を用いてベースフィルム32の上面に付着させてもよく、ベースフィルム32の上面に導電性の箔を接着することで形成してもよい。さらに、パターン用導体層31に銅以外の導電体を用いてもよい。パターン用導体層31の厚みは0.02~0.5mmである。本実施形態の出力側端子部材3は、パターン用導体層31がベースフィルム32の片面に形成されており、ベースフィルム32の、パターン用導体層31が形成されている面とは反対側の面は、導体層が形成されていない。
【0062】
第1接続部314と第1ベタパターン318と第2ベタパターン319は、パターン用導体層31をフォトレジスト加工することで離間して絶縁されている。上述したように、第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161は、カバーレイ33を剥がすことでパターン用導体層31が上面に露出している部分である。従って、第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161は、同一面に形成されている。ただし、これらは高さの異なる面に配置してもよい。なお、
図3~6では、パターン用導体層31によって形成された部位は、左斜め下に向かって傾斜したハッチングで示されている。
【0063】
ベースフィルム32は、厚みが0.1~0.5mmのポリイミド製のフィルムである。ベースフィルム32は、絶縁性のものであればポリエステルなどの他の材質の樹脂フィルムであってもよい。また、基材となるフィルムを別に設け、その基材に蒸着などによって絶縁材料を付着させることで形成されたものであってもよい。
【0064】
図5は、
図2のA-A線で切断したA-A断面図である。また、
図6は、
図2のB-B線で切断したB-B断面図である。
図5および
図6は、出力側端子部材3を各折曲線で折り曲げて線状センサ2と信号ケーブル39を出力側端子部材3で挟み込んだ状態を示している。これらの
図5および
図6では各部の厚みや隙間を誇張して示している。また、
図6では出力側封止材30を図示省略している。
【0065】
図5に示すように、出力側端子部材3は、第1部位3P1と第2部位3P2の境界では山折りに折り曲げられ、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5の境界それぞれでは谷折りに折り曲げられている。換言すれば、出力側端子部材3は、第1部位3P1と第2部位3P2の境界、第2部位3P2と第3部位3P3の境界、第3部位3P3と第4部位3P4の境界、第4部位3P4と第5部位3P5の境界において、第1部位3P1、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5それぞれが線状センサ2の延在方向から見て線状センサ2を中心として同一の回転方向(
図5では反時計回り)に向かって折り畳まれている。また、それらの部位どうしが接触している面には不図示の接着剤が塗布されている。
図6に示すように、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151は、第1部位3P1と第3部位3P3にある第1ベタパターン318によって外側を覆われている。加えて、線状センサ2の出力側端部で露出した内部導体21および外部導体23並びに信号ケーブル39の先端側端部で露出した信号線391およびシグナルグランド線393も、第1部位3P1と第3部位3P3にある第1ベタパターン318によって外側を覆われている。さらに、その第1ベタパターン318は、第4部位3P4と第5部位3P5にある第2ベタパターン319によって外側が覆われている。第2ベタパターン319に外部ノイズが入り込んでも、その外部ノイズは信号ケーブル39を介して測定装置等のアースに流れるので、第1ベタパターン318に外部ノイズが直接入り込むことは阻止される。加えて、第2ベタパターン319の内側に第1部位3P1と第3部位3P3にある第1ベタパターン318が配置されているので、さらにその内側にある第1接続部314、露出した内部導体21および露出した信号線391に外部ノイズの影響が及んでしまうことを確実に防止できる。
【0066】
なお、
図3に示すように、出力側端子部材3の両端面(
図3では左右両端)に第2ベタパターン319が配置されているため、この端面から、第1ベタパターン318、線状センサ2出力側端部の露出部分および信号ケーブル39先端側端部の露出部分にノイズが直接入り込むことも防止されている。
【0067】
図7は、線状センサの出力側端部と信号ケーブルの先端部に出力側端子部材を取り付ける作業を示すフローチャートである。
【0068】
まず、線状センサ2と出力側端子部材3と信号ケーブル39を用意する(ステップS11)。そして、線状センサ2の出力側端部において、内部導体21、圧電体22、外部導体23、内側シース24、センサシールド被覆25を段階的に露出させる(ステップS12)。また、信号ケーブル39の先端側端部において、信号線391、ケーブル内側シース392、シグナルグランド線393、ケーブル中間シース394、信号シールド被覆395を段階的に露出させる(ステップS13)。そして、内部導体21、外部導体23、センサシールド被覆25を、第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316にそれぞれハンダ付けする(ステップS14)。また、信号線391、シグナルグランド線393、信号シールド被覆395を、第1接続部314、第2ケーブル接続部3151、第3ケーブル接続部3161にそれぞれハンダ付けする(ステップS15)。次いで、第1部位3P1または第2部位3P2の、
図3における紙面奥側の面(線状センサ2の端部が接続されている面とは反対側の面)に接着剤を塗布する(ステップS16)。このステップS16は、第1塗布工程の一例に相当する。続いて、第1折曲線3aに沿って山折りする(ステップS17)。これによって、第1部位3P1が第2部位3P2に対面して貼り付けられる。このステップS17は、第1折曲工程の一例に相当する。また、この第1折曲線3aが描かれ、山折りされた位置が第1位置の一例に相当する。その後、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5の、
図3における紙面手前側の面(線状センサ2の端部が接続されている面)に接着剤を塗布する(ステップS18)。このステップS18は、第2塗布工程の一例に相当する。続いて、第2折曲線3bに沿って谷折りする(ステップS19)。これによって、第3部位3P3が第2部位3P2に対面して貼り付けれる。このステップS19は、第2折曲工程の一例に相当する。また、この第2折曲線3bが描かれ、谷折りされた位置が第2位置の一例に相当する。そして、第3折曲線3c、第4折曲線3dの順にそれらの線に沿って谷折りする(ステップS20)。これによって、第4部位3P4が第1部位3P1に、第5部位3P5が第3部位3P3にそれぞれ対面して貼り付けられる。このステップS20は、第3折曲工程の一例に相当する。そして最後に、出力側封止材30を塗布する(ステップS21)ことで作業が完了する。
【0069】
次に、本実施形態の終端側端子部材4について説明する。
【0070】
図8は、終端側端子部材を展開した様子を示す平面図である。この
図8は、線状センサ2の終端側端部に終端側端子部材4を取り付ける過程の最終段階において終端側端子部材4を折り曲げる直前の状態を示す平面図とも言える。なお、
図2に示した終端側封止材40は、終端側端子部材4を折り曲げてから塗布して固化させるため
図8には示されていない。
【0071】
図8に示すように、終端側端子部材4は、終端ベースフィルム42(
図9参照)の片面に終端パターン用導体層41(
図9参照)が設けられたフレキシブル基板で構成されている。終端側端子部材4は、折り曲げ前は長方形状をしている。終端側端子部材4には、折り曲げ前における短手方向に延在する姿勢で線状センサ2の出力側とは反対側の端部が接続されている。以下、この終端側端子部材4の説明において、線状センサ2の接続された端部が延在する方向を延在方向と称し、その延在方向と交わる方向を交差方向と称する場合がある。終端側端子部材4は、交差方向の一端側から順に、終端第1部位4P1、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5に区分けされている。これらのうち終端第1部位4P1は一端側折曲部位の一例に相当し、終端第2部位4P2はベース部位の一例に相当し、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5は他端側折曲部位の一例に相当する。終端第1部位4P1、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5は、
図8に示された状態においてはこの順に連続して並んでいる。終端第1部位4P1と終端第2部位4P2の境界には延在方向に沿って終端第1折曲線4aが描かれている。終端第2部位4P2と終端第3部位4P3の境界には延在方向に沿って終端第2折曲線4bが描かれている。従って、終端第2部位4P2は、終端第1折曲線4aと終端第2折曲線4bの間の部位ともいえる。終端第3部位4P3と終端第4部位4P4の境界には延在方向に沿って終端第3折曲線4cが描かれている。終端第4部位4P4と終端第5部位4P5の境界には延在方向に沿って終端第4折曲線4dが描かれている。すなわち、終端第1接続部411および終端第2接続部412に近い順に、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4c、終端第4折曲線4dが描かれている。また、終端第1折曲線4aと終端第2折曲線4bは、終端第2接続部412から等距離になる位置に描かれている。
図8では各折曲線は太い破線で示されている。なお、終端第1部位4P1と終端第3部位4P3の、折り曲げ前における交差方向の長さはほぼ同一であり、これらの長さは終端第2部位4P2より少しだけ長い。一方、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4、終端第5部位4P5は、折り曲げたときの厚み分を考慮してこの順で折り曲げ前における交差方向の長さが長くなっている。また、終端第1折曲線4aは長破線で描かれており、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4cおよび終端第4折曲線4dは短破線で描かれている。長破線および短破線並びに山折りおよび谷折りの意味は、先に説明した出力側端子部材3と同様である。
【0072】
終端側端子部材4には、終端パターン用導体層41(
図9参照)によって形成された、終端第1接続部411と、終端第2接続部412と、終端第3接続部413と、終端第1ベタパターン414と、終端第2ベタパターン415とが設けられている。この終端第2ベタパターン415は、シールドパターンの一例に相当する。終端第2接続部412は、終端第1ベタパターン414の上面にある終端カバーレイ43(
図9参照)を剥がすことで形成されている。従って、終端第2接続部412は、終端第1ベタパターン414と連続している。この終端第1ベタパターン414は、導体接続パターンの一例に相当する。また、終端第3接続部413は、終端第2ベタパターン415の上面にある終端カバーレイ43を剥がすことで形成されている。従って、終端第3接続部413は、終端第2ベタパターン415と連続している。一方、終端第1接続部411と終端第1ベタパターン414と終端第2ベタパターン415は、互いに面方向に隙間を空けて配置されている。
図2に示した終端側端子部材4を折り曲げた状態でも、終端第1接続部411と終端第1ベタパターン414と終端第2ベタパターン415は、厚み方向に終端ベースフィルム42(
図9参照)または終端カバーレイ43が対面して配置され、厚み方向にも互いに隙間を空けて配置されるため互いに接触することはない。終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413は、終端第2部位4P2に配置されている。
【0073】
線状センサ2の終端側端部では、外側シース26、センサシールド被覆25、内側シース24、外部導体23、圧電体22が順に階段状に剥離されている。これにより、線状センサ2の終端側端部では、内部導体21、圧電体22、外部導体23、内側シース24、センサシールド被覆25それぞれが、延在方向に1~3mm程度づつ露出している。
【0074】
終端側端子部材4の、終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413は、終端側端子部材4を折り曲げる前の状態では終端側端子部材4の上面に露出している。終端第1接続部411には、線状センサ2の終端側端部で露出した内部導体21がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。
図8では、ハンダは黒色の四角で示されている。終端第2接続部412には、線状センサ2の終端側端部で露出した外部導体23がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。終端第3接続部413には、線状センサ2の終端側端部で露出したセンサシールド被覆25がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。
【0075】
終端第1ベタパターン414は、終端第1折曲線4aと終端第2折曲線4bを跨いで終端第1部位4P1と終端第2部位4P2と終端第3部位4P3に延在している。終端第1ベタパターン414のうち、終端第1部位4P1にある部分は、終端側端子部材4が終端第1折曲線4aで折り曲げられて終端第1部位4P1と終端第2部位4P2とが厚み方向に重なったときには、終端第1接続部411および終端第2接続部412を覆う大きさに形成されている。また、終端第1ベタパターン414のうち、終端第3部位4P3にある部分は、終端側端子部材4が終端第2折曲線4bで折り曲げられて終端第2部位4P2と終端第3部位4P3とが厚み方向に重なったときには、終端第1接続部411および終端第2接続部412を覆う大きさに形成されている。
【0076】
終端第2ベタパターン415は、終端第1折曲線4a、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4cおよび終端第4折曲線4dを跨いで、終端第1部位4P1、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5に延在している。終端第1部位4P1、終端第2部位4P2および終端第3部位4P3では、終端第2ベタパターン415は、後述する終端連結パターン415cを除いて、終端第1ベタパターン414を挟んで線状センサ2の延在方向一方側に位置する終端一方側シールドパターン415aと、延在方向他方側に位置する終端他方側シールドパターン415bとに分かれている。終端第3接続部413は、終端第2部位4P2における終端一方側シールドパターン415aに形成されている。終端第2ベタパターン415のうち、終端第1部位4P1にある部分には、終端一方側シールドパターン415aと終端他方側シールドパターン415bとを連結する終端連結パターン415cが形成されている。また、終端第2ベタパターン415のうち、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5にある部分は、終端側端子部材4が全ての折り曲げ線で折り曲げられた
図2に示す状態で、終端第1部位4P1、終端第2部位4P2および終端第3部位4P3にある終端パターン用導体層41の外側を覆う大きさに形成されている。
【0077】
図9は、
図8のF-F線で切断したF-F断面図である。なお、この
図9では各部の厚みを誇張して示している。また、終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413は、露出面に金メッキが施されることでハンダとの接続性が高められるとともに嵩上げされている。
【0078】
図9に示すように、終端側端子部材4は、終端パターン用導体層41と終端ベースフィルム42と絶縁被膜である終端カバーレイ43とを有するフィルム状のものである。終端パターン用導体層41は、終端ベースフィルム42の上面に蒸着によって銅を付着させることで形成された、パターン用導体層31と同様の層である。
【0079】
終端第1接続部411と終端第1ベタパターン414と終端第2ベタパターン415は、終端パターン用導体層41をフォトレジスト加工することで離間して絶縁されている。また、終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413は、終端カバーレイ43を剥がすことで終端パターン用導体層41が上面に露出している部分である。従って、終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413は、同一面に形成されている。なお、
図8~11では、終端パターン用導体層41によって形成された部位は、左斜め下に向かって傾斜したハッチングで示されている。終端ベースフィルム42は、ベースフィルム32と同様のフィルムである。
【0080】
図10は、
図2のC-C線で切断したC-C断面図である。また、
図11は、
図2のD-D線で切断したD-D断面図である。
図10および
図11は、終端側端子部材4を各折曲線で折り曲げて線状センサ2を終端側端子部材4で挟み込んだ状態を示している。これらの
図10および
図11では各部の厚みや隙間を誇張して示している。また、
図11では終端側封止材40を図示省略している。
【0081】
図10に示すように、終端側端子部材4は、終端第1部位4P1と終端第2部位4P2の境界では山折りに折り曲げられ、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5の境界それぞれでは谷折りに折り曲げられている。換言すれば、終端側端子部材4は、終端第1部位4P1と終端第2部位4P2の境界、終端第2部位4P2と終端第3部位4P3の境界、終端第3部位4P3と終端第4部位4P4の境界、終端第4部位4P4と終端第5部位4P5の境界において、終端第1部位4P1、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5それぞれが線状センサ2の延在方向から見て線状センサ2を中心として同一の回転方向(
図10では反時計回り)に向かって折り畳まれている。また、それらの部位どうしが接触している面には不図示の接着剤が塗布されている。
図11に示すように、終端第1接続部411および終端第2接続部412は、終端第1部位4P1と終端第3部位4P3にある終端第1ベタパターン414によって外側を覆われている。加えて、線状センサ2の終端側端部で露出した内部導体21および外部導体23も、終端第1部位4P1と終端第3部位4P3にある終端第1ベタパターン414によって外側を覆われている。さらに、その終端第1ベタパターン414は、終端第4部位4P4と終端第5部位4P5にある終端第2ベタパターン415によって外側が覆われている。終端第2ベタパターン415に外部ノイズが入り込んでも、その外部ノイズはセンサシールド被覆25と出力側端子部材3(
図2参照)と信号ケーブル39(
図2参照)を介して測定装置等のアースに流れるので、終端第1ベタパターン414に外部ノイズが直接入り込むことは阻止される。加えて、終端第2ベタパターン415の内側に終端第1部位4P1と終端第3部位4P3にある終端第1ベタパターン414が配置されているので、さらにその内側にある終端第1接続部411および露出した内部導体21に外部ノイズの影響が及んでしまうことを確実に防止できる。
【0082】
なお、
図8に示すように、終端側端子部材4の両端面(
図8では左右両端)に終端第2ベタパターン415が配置されているため、この端面から、終端第1ベタパターン414、線状センサ2終端側端部の露出部分にノイズが直接入り込むことも防止されている。
【0083】
図12は、線状センサの終端側端部に出力側端子部材を取り付ける作業を示すフローチャートである。
【0084】
まず、線状センサ2と終端側端子部材4を用意する(ステップS31)。そして、線状センサ2の終端側端部において、内部導体21、圧電体22、外部導体23、内側シース24、センサシールド被覆25を段階的に露出させる(ステップS32)。そして、内部導体21、外部導体23、センサシールド被覆25を、終端第1接続部411、終端第2接続部412、終端第3接続部413にそれぞれハンダ付けする(ステップS33)。次いで、終端第1部位4P1または終端第2部位4P2の、
図8における紙面奥側の面(線状センサ2の端部が接続されている面とは反対側の面)に接着剤を塗布する(ステップS34)。このステップS34は、第1塗布工程の一例に相当する。続いて、終端第1折曲線4aに沿って山折りする(ステップS35)。これによって、終端第1部位4P1が終端第2部位4P2に対面して貼り付けられる。このステップS35は、第1折曲工程の一例に相当する。また、この終端第1折曲線4aが描かれ、山折りされた位置が第1位置の一例に相当する。その後、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5の、
図8における紙面手前側の面(線状センサ2の端部が接続されている面)に接着剤を塗布する(ステップS36)。このステップS36は、第2塗布工程の一例に相当する。続いて、終端第2折曲線4bに沿って谷折りする(ステップS37)。これによって、終端第3部位4P3が終端第2部位4P2に対面して貼り付けられる。このステップS37は、第2折曲工程の一例に相当する。また、この終端第2折曲線4bが描かれ、谷折りされた位置が第2位置の一例に相当する。そして、終端第3折曲線4c、終端第4折曲線4dの順にそれらの線に沿って谷折りする(ステップS38)。これによって、終端第4部位4P4が終端第1部位4P1に、終端第5部位4P5が終端第3部位4P3にそれぞれ対面して貼り付けられる。このステップS38は、第3折曲工程の一例に相当する。そして最後に、終端側封止材40を塗布する(ステップS39)ことで作業が完了する。
【0085】
以上説明した実施形態の線状センサユニット1によれば、第1折曲線3aが描かれた位置と第2折曲線3bが描かれた位置とで異なる折り方で折り曲げているので、両方の折曲線で山折りまたは谷折りする場合と比較して折り曲げやすく、出力側端子部材3が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力も減る。同様に、終端第1折曲線4aが描かれた位置と終端第2折曲線4bが描かれた位置とで異なる折り方で折り曲げているので、折り曲げやすく、終端側端子部材4が折り曲げ前の形状に復帰しようとする力も減る。これらにより線状センサユニット1を製造しやすくなる。なお、効果は半減するものの、出力側端子部材3と終端側端子部材4のうちの一方を本実施形態の様に折り曲げ、他方は全ての折曲線で山折りまたは谷折りしてもよい。また、第1折曲線3aが描かれた位置と第2折曲線3bが描かれた位置においてそれぞれ異なる折り方で折り曲げることで、第1折曲線3aと第2折曲線3bの間にある第1接続部314、第2接続部315、第3接続部316、第2ケーブル接続部3151および第3ケーブル接続部3161の上下両面を出力側端子部材3で覆うことができる。これにより、これらの接続部並びに接続された線状センサ2の出力側端部の露出した部分および信号ケーブル39の露出した部分を物理的に保護できる。さらに、それらを覆っている第4部位3P4および第5部位3P5に第1ベタパターン318が形成されているので、外部ノイズからも保護できる。同様に、終端第1折曲線4aが描かれた位置と終端第2折曲線4bが描かれた位置とで異なる折り方で折り曲げているので、終端第1折曲線4aと終端第2折曲線4bの間にある終端第1接続部411、終端第2接続部412および終端第3接続部413の上下両面を終端側端子部材4で覆うことができる。これにより、これらの終端側接続部並びに接続された線状センサ2の終端側端部の露出した部分を物理的に保護できる。さらに、それらを覆っている終端第4部位4P4および終端第5部位4P5に終端第1ベタパターン414が形成されているので、外部ノイズからも保護できる。
【0086】
また、第1部位3P1に一方側シールドパターン319aと他方側シールドパターン319bをつなぐ連結パターン319cが設けられているので、センサシールド被覆25が接続された第3接続部316と信号シールド被覆395が接続された第3ケーブル接続部3161との間における第2ベタパターン319の抵抗値を小さくすることができるのでシールド効果が低下することを抑制できる。
【0087】
以上説明した線状センサユニット1から、以下の発明概念を抽出することができる。
【0088】
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続された端子部材とを備えた線状センサユニットであって、
前記端子部材は、前記外部導体が接続された接続部分よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げられ、該接続部分よりも該交差方向における他端側の複数の位置で該延在方向に沿って折り曲げられたフィルム状のものであり、該複数の位置のうち該接続部分に最も近い第2位置では山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げられたものであることを特徴とする線状センサユニット。
【0089】
また、以上説明した線状センサユニット1の製造方法から、以下の発明概念を抽出することができる。
【0090】
内部導体および外部導体を有する線状センサと、該内部導体および該外部導体が接続されたフィルム状の端子部材とを備えた線状センサユニットの製造方法であって、
前記端子部材の、前記外部導体が接続された接続部分よりも前記線状センサの延在方向と交わる交差方向における一端側の第1位置で該延在方向に沿って山折りまたは谷折りのうちの一方の折り方で折り曲げる第1折曲工程と、
前記端子部材の、前記接続部分よりも前記交差方向における他端側の複数の位置で前記延在方向に沿って折り曲げる第2折曲工程とを備え、
前記第2折曲工程は、前記複数の位置のうち前記接続部分に最も近い第2位置では山折りまたは谷折りのうちの他方の折り方で折り曲げる工程であることを特徴とする線状センサユニットの製造方法。
【0091】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付すことがあり、重複する説明は省略することがある。
【0092】
図13は、第1変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【0093】
図13に示すように、この第1変形例の線状センサユニット1(
図2参照)は、出力側端子部材3の折り方が
図3に示した出力側端子部材3と異なる。出力側端子部材3は、第1折曲線3aに沿って谷折りに折り曲げられ、第2折曲線3b、第3折曲線3cおよび第4折曲線3dに沿って山折りに折り曲げられたものである。すなわち、ステップS17、ステップS19およびステップS20における折り曲げ方向が先の実施形態の出力側端子部材3とは逆方向になる。これに伴い、ステップS16で接着剤を塗布する面が
図13における紙面手前側の面になり、ステップS18で接着剤を塗布する面が
図13における紙面奥側の面になる。図示は省略するが、この第1変形例の終端側端子部材4は、第1変形例の出力側端子部材3と同様に、終端第1折曲線4aでは谷折りに折り曲げられ、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4cおよび終端第4折曲線4dでは山折りに折り曲げられたものである。また、ステップS34およびステップS36における接着剤の塗布面も先の実施形態とは逆になる。
【0094】
この第1変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。なお、出力側端子部材3と終端側端子部材4の一方が第1変形例のように折り曲げられたものであり、他方が先の実施形態または他の変形例のように折り曲げられたものであってもよい。
【0095】
図14は、第2変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【0096】
図14に示すように、この第2変形例の線状センサユニット1(
図2参照)は、出力側端子部材3の折り方が
図3に示した出力側端子部材3と異なる。出力側端子部材3は、先の実施形態と異なり、第3折曲線3cおよび第4折曲線3dに沿って山折りに折り曲げられたものである。なお、第1折曲線3aで山折りに折り曲げられ、第2折曲線3bで谷折りで折り曲げられている点は、先の実施形態と同様である。すなわち、ステップS20における折り曲げ方向方向が先の実施形態の出力側端子部材3とは逆方向になる。これに伴い、ステップS18で接着剤を塗布する面が、第4部位3P4と第5部位3P5では先の実施形態とは逆の、
図14における紙面奥側の面になる。図示は省略するが、この第2変形例の終端側端子部材4は、第2変形例の出力側端子部材3と同様に、終端第1折曲線4aでは山折りに折り曲げられ、終端第2折曲線4bでは谷折りに折り曲げられ、終端第3折曲線4cおよび終端第4折曲線4dでは、山折りに折り曲げられたものである。また、ステップS36における接着剤の塗布面は、終端第4部位4P4と終端第5部位4P5では先の実施形態とは逆の面になる。
【0097】
この第2変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。なお、出力側端子部材3と終端側端子部材4の一方が第2変形例のように折り曲げられたものであり、他方が先の実施形態または他の変形例のように折り曲げられたものであってもよい。
【0098】
図15は、第3変形例の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。
【0099】
図15に示すように、この第3変形例の線状センサユニット1(
図2参照)は、出力側端子部材3の折り方が
図3に示した出力側端子部材3と異なる。出力側端子部材3は、先の実施形態と異なり、第1折曲線3aで谷折りに折り曲げられ、第2折曲線3bで山折りで折り曲げられている。なお、第3折曲線3cおよび第4折曲線3dで谷折りに折り曲げられている点は、先の実施形態と同様である。すなわち、ステップS17における折り曲げ方向が先の実施形態の出力側端子部材3とは逆方向になり、ステップS19における折り曲げ方向も先の実施形態の出力側端子部材3とは逆方向になる。これに伴い、ステップS16で接着剤を塗布する面が先の実施形態とは逆の、
図15における紙面手前側の面になり、ステップS18で接着剤を塗布する面が、第2部位3P2では先の実施形態とは逆の、
図15における紙面奥側の面になる。図示は省略するが、この第3変形例の終端側端子部材4は、第3変形例の出力側端子部材3と同様に、終端第1折曲線4aでは谷折りに折り曲げられ、終端第2折曲線4bでは山折りに折り曲げられ、終端第3折曲線4cおよび終端第4折曲線4dでは、谷折りに折り曲げられたものである。ステップS34における接着剤の塗布面も先の実施形態とは逆になり、ステップS36における接着剤の塗布面は終端第3部位4P3では先の実施形態と逆になる。
【0100】
この第3変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。なお、出力側端子部材3と終端側端子部材4の一方が第3変形例のように折り曲げられたものであり、他方が先の実施形態または他の変形例のように折り曲げられたものであってもよい。
【0101】
図16は、第2実施形態の出力側端子部材を展開した様子を示す
図3と同様の平面図である。この
図16は、線状センサ2の出力側端部に出力側端子部材3を取り付ける過程の最終段階において出力側端子部材3を折り曲げる直前の状態を示す平面図とも言える。
【0102】
図16に示すように、第2実施形態の出力側端子部材3は、第1部位3P1よりも交差方向の一端側に突出部位3PPが設けられている点と、第5部位3P5よりも他端側に第6部位3P6が設けられている点と、連結パターン319c(
図3参照)が存在しない点と、折り方とが先の
図3に示した実施形態と異なる。これに伴い、出力側端子部材3を展開した状態で、第1ベタパターン318は先の実施形態よりも交差方向の長さが長い矩形をしており、第2ベタパターン319は交差方向の長さが長い凹形をしている。なお、これら以外は先の実施形態と同様の構造をしており、平面図およびE-E断面図は先の実施形態の
図2および
図4と同一であるため図示省略する。
【0103】
突出部位3PPの延在方向の長さは、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4、第5部位3P5および第6部位3P6よりも短く、第1ベタパターン318よりもほんの少し長くなっている。また、突出部位3PPの交差方向の長さは、第3部位3P3の交差方向の長さの概略70%である。突出部位3PPの交差方向の長さは、第3部位3P3の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにすることが好ましい。第1部位3P1と突出部位3PPの間には、突出部折曲線3eが描かれている。第1ベタパターン318は、第1折曲線3aと第2折曲線3bと突出部折曲線3eを跨いで第1部位3P1と第2部位3P2と第3部位3P3と突出部位3PPに延在している。第1ベタパターン318のうち、突出部位3PPにある部分は、第1部位3P1にある第1ベタパターン318よりも少し小さい。
【0104】
第6部位3P6の延在方向の長さは、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4および第5部位3P5と同じである。また、第6部位3P6の交差方向の長さは、第4部位3P4の交差方向の長さの概略70%である。第6部位3P6の交差方向の長さは、第4部位3P4の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにすることが好ましい。第5部位3P5と第6部位3P6の間には、第5折曲線3fが描かれている。第2ベタパターン319は、第1折曲線3a、第2折曲線3b、第3折曲線3c、第4折曲線3dおよび第5折曲線3fを跨いで、第1部位3P1、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4、第5部位3P5および第6部位3P6に延在している。第1部位3P1、第2部位3P2および第3部位3P3では、第2ベタパターン319は、第1ベタパターン318を挟んで線状センサ2の延在方向一方側に位置する一方側シールドパターン319aと、延在方向他方側に位置する他方側シールドパターン319bとに分かれている。この第2実施形態の出力側端子部材3は、第1折曲線3aおよび突出部折曲線3eに沿って谷折りに折り曲げられ、第2折曲線3b、第3折曲線3c、第4折曲線3dおよび第5折曲線3fに沿って山折りに折り曲げられることで線状センサ2の端部および信号ケーブル39の端部を内側に挟み込んでいる。突出部折曲線3eが描かれ、谷折りされた位置が特定位置の一例に相当する。また、第3折曲線3cが描かれ、山折りされた位置が第3位置の一例に相当し、第4折曲線3dが描かれ、山折りされた位置が第4位置の一例に相当し、第5折曲線3fが描かれ、山折りされた位置が第5位置の一例に相当する。織り順は、第1折曲線3a、第2折曲線3b、突出部折曲線3e、第3折曲線3c、第4折曲線3d、第5折曲線3fの順である。なお、第1折曲線3aの折り曲げと第2折曲線3bの折り曲げはどちらが先であってもよく、突出部折曲線3eの折り曲げと第3折曲線3cの折り曲げはどちらが先であってもよい。
【0105】
図17は、第2実施形態の出力側端子部材のA-A断面図である。
図17では各部の厚みや隙間を誇張して示している。
【0106】
図17に示すように、出力側端子部材3は、突出部位3PP、第1部位3P1および第2部位3P2の境界では谷折りに折り曲げられ、第2部位3P2、第3部位3P3、第4部位3P4、第5部位3P5および第6部位3P6の境界それぞれでは山折りに折り曲げられている。換言すれば、出力側端子部材3は、突出部位3PPと第1部位3P1の境界、第1部位3P1と第2部位3P2の境界、第2部位3P2と第3部位3P3の境界、第3部位3P3と第4部位3P4の境界、第4部位3P4と第5部位3P5の境界、第5部位3P5と第6部位3P6の境界において、突出部位3PP、第1部位3P1、第3部位3P3、第4部位3P4、第5部位3P5および第6部位3P6それぞれが線状センサ2の延在方向から見て線状センサ2を中心として同一の回転方向(
図17では反時計回り)に向かって折り畳まれている。また、それらの部位どうしが接触している面には不図示の接着剤が塗布されて接着されている。
【0107】
次に、第2実施形態の終端側端子部材4について説明する。
【0108】
図18は、第2実施形態の終端側端子部材を展開した様子を示す
図8と同様の平面図である。この
図18は、線状センサ2の終端側端部に終端側端子部材4を取り付ける過程の最終段階において終端側端子部材4を折り曲げる直前の状態を示す平面図とも言える。
【0109】
図18に示すように、第2実施形態の終端側端子部材4は、終端第1部位4P1よりも交差方向の一端側に終端突出部位4PPが設けられている点と、終端第5部位4P5よりも他端側に終端第6部位4P6が設けられている点と、終端連結パターン415c(
図8参照)が存在しない点と、折り方とが先の
図8に示した実施形態と異なる。これに伴い、終端側端子部材4を展開した状態で、終端第1ベタパターン414は先の実施形態よりも交差方向の長さが長い矩形をしており、終端第2ベタパターン415は交差方向の長さが長い凹形をしている。なお、これら以外は先の実施形態と同様の構造をしており、平面図およびF-F断面図は先の実施形態の
図2および
図9と同一であるため図示省略する。
【0110】
終端突出部位4PPの延在方向の長さは、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4、終端第5部位4P5および終端第6部位4P6よりも短く、終端第1ベタパターン414よりもほんの少し長くなっている。また、終端突出部位4PPの交差方向の長さは、終端第3部位4P3の交差方向の長さの概略70%である。終端突出部位4PPの交差方向の長さは、終端第3部位4P3の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにすることが好ましい。終端第1部位4P1と終端突出部位4PPの間には、終端突出部折曲線4eが描かれている。終端第1ベタパターン414は、終端第1折曲線4aと終端第2折曲線4bと終端突出部折曲線4eを跨いで終端第1部位4P1と終端第2部位4P2と終端第3部位4P3と終端突出部位4PPに延在している。終端第1ベタパターン414のうち、終端突出部位4PPにある部分は、終端第1部位4P1にある終端第1ベタパターン414よりも少し小さい。
【0111】
終端第6部位4P6の延在方向の長さは、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4および終端第5部位4P5と同じである。また、終端第6部位4P6の交差方向の長さは、終端第4部位4P4の交差方向の長さの概略70%である。終端第6部位4P6の交差方向の長さは、終端第4部位4P4の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにすることが好ましい。終端第5部位4P5と終端第6部位4P6の間には、終端第5折曲線4fが描かれている。終端第2ベタパターン415は、終端第1折曲線4a、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4c、終端第4折曲線4dおよび終端第5折曲線4fを跨いで、終端第1部位4P1、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4、終端第5部位4P5および終端第6部位4P6に延在している。終端第1部位4P1、終端第2部位4P2および終端第3部位4P3では、終端第2ベタパターン415は、終端第1ベタパターン414を挟んで線状センサ2の延在方向一方側に位置する終端一方側シールドパターン415aと、延在方向他方側に位置する終端他方側シールドパターン415bとに分かれている。この第2実施形態の終端側端子部材4は、終端第1折曲線4aおよび終端突出部折曲線4eに沿って谷折りに折り曲げられ、終端第2折曲線4b、終端第3折曲線4c、終端第4折曲線4dおよび終端第5折曲線4fに沿って山折りに折り曲げられることで線状センサ2の端部を内側に挟み込んでいる。終端突出部折曲線4eが描かれ、谷折りされた位置が特定位置の一例に相当する。また、終端第3折曲線4cが描かれ、山折りされた位置が第3位置の一例に相当し、終端第4折曲線4dが描かれ、山折りされた位置が第4位置の一例に相当し、終端第5折曲線4fが描かれ、山折りされた位置が第5位置の一例に相当する。織り順は、終端第1折曲線4a、終端第2折曲線4b、終端突出部折曲線4e、終端第3折曲線4c、終端第4折曲線4d、終端第5折曲線4fの順である。なお、終端第1折曲線4aの折り曲げと終端第2折曲線4bの折り曲げはどちらが先であってもよく、終端突出部折曲線4eの折り曲げと終端第3折曲線4cの折り曲げはどちらが先であってもよい。
【0112】
図19は、第2実施形態の出力側端子部材のC-C断面図である。
図19では各部の厚みや隙間を誇張して示している。
【0113】
図19に示すように、終端側端子部材4は、終端突出部位4PP、終端第1部位4P1および終端第2部位4P2の境界では谷折りに折り曲げられ、終端第2部位4P2、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4、終端第5部位4P5および終端第6部位4P6の境界それぞれでは山折りに折り曲げられている。換言すれば、終端側端子部材4は、終端突出部位4PPと終端第1部位4P1の境界、終端第1部位4P1と終端第2部位4P2の境界、終端第2部位4P2と終端第3部位4P3の境界、終端第3部位4P3と終端第4部位4P4の境界、終端第4部位4P4と終端第5部位4P5の境界、終端第5部位4P5と終端第6部位4P6の境界において、終端突出部位4PP、終端第1部位4P1、終端第3部位4P3、終端第4部位4P4、終端第5部位4P5および終端第6部位4P6それぞれが線状センサ2の延在方向から見て線状センサ2を中心として同一の回転方向(
図19では反時計回り)に向かって折り畳まれている。また、それらの部位どうしが接触している面には不図示の接着剤が塗布されて接着されている。
【0114】
以上説明した第2実施形態の線状センサユニット1も、先の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態の出力側端子部材3および終端側端子部材4は、以下に説明する効果も奏する。
【0115】
出力側端子部材3の、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151は、第1部位3P1と第3部位3P3にある第1ベタパターン318によって外側を覆われている。しかしながら、第1部位3P1と第2部位3P2と第3部位3P3にある第1ベタパターン318だけでは、線状センサ2の延在方向から出力側端子部材3を見ると、第2折曲線3b付近(第2部位3P2と第3部位3P3の境界付近)に第1ベタパターン318で覆われていない部分ができてしまう虞がある。第1部位3P1と突出部位3PPの境界部分、すなわち突出部折曲線3eを跨ぐ部分にある第1ベタパターン318が第2折曲線3b付近の外側を覆うことで、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151は、第1部位3P1と第3部位3P3と突出部位3PPにある第1ベタパターン318によって外側を完全に覆われる。これにより、外部ノイズが、第1接続部314、第2接続部315および第2ケーブル接続部3151により入り込みにくくなる。
【0116】
同様に、終端側端子部材4の、終端第1部位4P1と終端突出部位4PPの境界部分、すなわち終端突出部折曲線4eを跨ぐ部分にある終端第1ベタパターン414が終端第2折曲線4b付近の外側を覆うことで、終端第1接続部411、終端第2接続部412および第2ケーブル接続部3151は、終端第1部位4P1と終端第3部位4P3と終端突出部位4PPにある終端第1ベタパターン414によって外側を完全に覆われる。これにより、外部ノイズが、終端第1接続部411、終端第2接続部412および第2ケーブル接続部3151により入り込みにくくなる。
【0117】
また、出力側端子部材3の、突出部位3PPの交差方向の長さが短く、第2折曲線3bで折り曲げられた部分の外側またはその近傍までしか届かないと、出力側端子部材3の弾性により突出部位3PPがその折り曲げられた部分で剥がれやすくなってしまう。これに対し、第2実施形態の突出部位3PPの交差方向の長さを第3部位3P3の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにしているので、第2折曲線3bの外側から概略50%以上80%以下の範囲に突出部位3PPの交差方向の端縁が位置している。これにより、
図17に示すように、突出部折曲線3eよりもさらに交差方向の一端側に突出部位3PPによって平面状に延在した第1平面部分F1が形成されている。また、第2折曲線3bよりもさらに他端側に第3部位3P3によって平面状に延在した第2平面部分F2が形成されている。そして、第1平面部分F1が第2平面部分F2に接着されることで、突出部位3PPと第3部位3P3とが平面形状をした部分で、相当程度の面積で固定されるので剥がれにくい。
【0118】
同様に、終端側端子部材4の、終端突出部位4PPの交差方向の長さを終端第3部位4P3の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにしているので、終端第2折曲線4bの外側から概略50%以上80%以下の範囲に終端突出部位4PPの交差方向の端縁が位置している。これにより、
図19に示すように、終端突出部折曲線4eよりもさらに交差方向の一端側に終端突出部位4PPによって平面状に延在した終端第1平面部分EF1が形成されている。この終端第1平面部分EF1は、第1平面部分の一例に相当する。また、終端第2折曲線4bよりもさらに他端側に終端第3部位4P3によって平面状に延在した終端第2平面部分EF2が形成されている。この終端第2平面部分EF2は、第2平面部分の一例に相当する。そして、終端第1平面部分EF1が終端第2平面部分EF2に接着されることで、終端突出部位4PPと終端第3部位4P3とが平面形状をした部分で、相当程度の面積で固定されるので剥がれにくい。
【0119】
また、出力側端子部材3の、第1ベタパターン318は、第4部位3P4と第5部位3P5にある第2ベタパターン319によって外側が覆われている。しかしながら、第4部位3P4と第5部位3P5にある第2ベタパターン319は、線状センサ2の延在方向から出力側端子部材3を見ると、
図17に示すようにU字状になるため、第3折曲線3c付近(第3部位3P3と第4部位3P4の境界付近)に第2ベタパターン319で覆われていない部分ができてしまう虞がある。第5部位3P5と第6部位3P6の境界部分、すなわち第5折曲線3fを跨ぐ部分にある第2ベタパターン319が第3折曲線3c付近の外側を覆うことで、第1ベタパターン318は、第4部位3P4と第5部位3P5と第6部位3P6にある第2ベタパターン319によって外側(外周面全面)が覆われる。これにより、外部ノイズが、第1ベタパターン318により入り込みにくくなる。
【0120】
同様に、終端側端子部材4の、終端第5部位4P5と終端第6部位4P6の境界部分、すなわち終端第5折曲線4fを跨ぐ部分にある終端第2ベタパターン415が終端第3折曲線4c付近の外側を覆うことで、終端第1ベタパターン414は、終端第4部位4P4と終端第5部位4P5と終端第6部位4P6にある終端第2ベタパターン415によって外側(外周面全面)が覆われる。これにより、外部ノイズが、終端第1ベタパターン414により入り込みにくくなる。
【0121】
また、出力側端子部材3の、第6部位3P6の交差方向の長さが短く、第3折曲線3cで折り曲げられた部分の外側またはその近傍までしか届かないと、出力側端子部材3の弾性により第6部位3P6がその折り曲げ部分で剥がれやすくなってしまう。これに対し、第2実施形態の第6部位3P6の交差方向の長さを第4部位3P4の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにしているので、第3折曲線3cの外側から概略50%以上80%以下の範囲に第6部位3P6の端縁が位置している。これにより、
図17に示すように、第5折曲線3fよりもさらに他端側に第6部位3P6によって平面状に延在した第3平面部分F3が形成されている。また、第3折曲線3cと第4折曲線3dの間に第4部位3P4によって平面状に延在した第4平面部分F4が形成されている。そして、第3平面部分F3が第4平面部分F4に接着されることで、第6部位3P6と第4部位3P4とが平面形状をした部分で、相当程度の面積で固定されるので剥がれにくい。
【0122】
同様に、終端側端子部材4の、終端第6部位4P6の交差方向の長さを終端第4部位4P4の交差方向の長さの50%以上80%以下の長さにしているので、終端第3折曲線4cの外側から概略50%以上80%以下の範囲に終端第6部位4P6の端縁が位置している。これにより、
図19に示すように、終端第5折曲線4fよりもさらに他端側に終端第6部位4P6によって平面状に延在した終端第3平面部分EF3が形成されている。この終端第3平面部分EF3は、第3平面部分の一例に相当する。また、終端第3折曲線4cと終端第4折曲線4dの間に終端第4部位4P4によって平面状に延在した終端第4平面部分EF4が形成されている。この終端第4平面部分EF4は、第4平面部分の一例に相当する。そして、終端第3平面部分EF3が終端第4平面部分EF4に接着されることで、終端第6部位4P6と終端第4部位4P4とが平面形状をした部分で、相当程度の面積で固定されるので剥がれにくい。 本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、圧電体22を用いた線状センサ2について説明したが、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等を用いた線状センサ2に変更してもよい。また、先の実施形態では、出力側端子部材3および終端側端子部材4を合計4回づつ折り曲げて作製する例で説明したが、折り曲げる回数は5回以上であってもよい。同様に、第2実施形態では、終端側端子部材4および終端側端子部材4を合計6回づつ折り曲げて作製する例で説明したが、折り曲げる回数は7回以上であってもよい。また、信号ケーブル39に代えて、線状センサ2を出力側端子部材3に接続して線状センサ2どうしを接続してもよい。またさらに、第5部位3P5および終端第5部位4P5は省略してもよく、第4部位3P4および終端第4部位4P4も省略してもよい。これらを省略した場合、外部ノイズが入り込みやすくなるので、銅箔、導電性フィルムまたはメッキフィルムなどによって、出力側端子部材3および終端側端子部材4を覆うことが好ましい。なお、第5部位3P5および終端第5部位4P5を省略した場合、先の実施形態では出力側端子部材3および終端側端子部材4の折り曲げ回数は合計3回づつになる。また、第2実施形態では終端第6部位4P6および終端第6部位4P6も省略されるので折り曲げ回数は合計4回づつになる。第4部位3P4および終端第4部位4P4も省略した場合、出力側端子部材3および終端側端子部材4の折り曲げ回数は合計2回づつになる。また、第2実施形態では折り曲げ回数は合計3回づつになる。
【0123】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 線状センサユニット
2 線状センサ
3 出力側端子部材
3a 第1折曲線
3b 第2折曲線
4 終端側端子部材
4a 終端第1折曲線
4b 終端第2折曲線
21 内部導体
23 外部導体
314 第1接続部
315 第2接続部
411 終端第1接続部
412 終端第2接続部