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特開2024-151799半導体装置の試験装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151799
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体装置の試験装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20241018BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241018BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
G01R31/26 A
G01R31/26 B
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065517
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】吉村 卓哉
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AA10
2G003AG04
2G003AH05
2G003AH07
2G132AB12
2G132AF02
2G132AL31
4M106AA01
4M106BA01
4M106BA14
4M106DD22
4M106DJ01
(57)【要約】
【課題】電気的特性の試験の信頼性を向上させる半導体装置の試験装置を提供する。
【解決手段】試験装置は、ステージ1、プローブ保持部2、複数のプローブ3、風防壁5およびガス供給部7を備える。ステージ1は、半導体装置20が形成された半導体ウエハ21を保持可能である。プローブ保持部2は、ステージ1の上方に設けられている。複数のプローブ3の各々は、半導体装置20に接触可能な先端部3Aを含む。複数のプローブ3は、プローブ保持部2に保持されている。風防壁5は、複数のプローブ3の周囲を取り囲んでいる。ガス供給部7は、風防壁5の外側に設けられている。ガス供給部7は、ステージ1に向かう方向にガスを供給する。複数のプローブ3の各々は、先端部3Aよりも基端側に位置する内包部3Bを含む。内包部3Bは、風防壁5によって囲われた風防空間9に内包されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置が形成された半導体ウエハを保持可能なステージと、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部と、
各々が前記半導体装置に接触可能な先端部を含み、前記プローブ保持部に保持された複数のプローブと、
前記複数のプローブの周囲を取り囲む風防壁と、
前記風防壁の外側に設けられ、前記ステージに向かう方向にガスを供給するガス供給部と、を備え、
前記複数のプローブの各々は、前記先端部よりも基端側に位置する内包部を含み、
前記内包部は、前記風防壁によって囲われた風防空間に内包されている、半導体装置の試験装置。
【請求項2】
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートをさらに備え、
前記風防空間は、前記プローブ保持部と前記プレートと前記風防壁とによって囲われている、請求項1に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項3】
前記風防壁の外側に設けられ前記複数のプローブをさらに取り囲む囲繞部、をさらに備え、
前記ガス供給部は、
前記プローブ保持部に設けられ、平面視において、前記風防壁と前記囲繞部との間に位置するガス注入口と、
前記風防壁と前記囲繞部との間に設けられ、前記ステージに向かう方向に延伸するガス流路と、を含む、請求項1に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項4】
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、請求項1に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項5】
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続され、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する試験部を、さらに備える、請求項1に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項6】
前記風防壁の下端は、前記プレートよりも下方に位置し、かつ、前記複数のプローブの各々の前記先端部よりも上方に位置する、請求項2に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項7】
前記風防空間に封入された充填材をさらに備え、
前記充填材は、スポンジまたはゴムである、請求項1に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項8】
半導体装置が形成された半導体ウエハを保持可能なステージと、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部と、
各々が前記半導体装置に接触可能な先端部を含み、前記プローブ保持部に保持された複数のプローブと、
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートと、
前記プレートおよび前記複数のプローブの周囲を取り囲む囲繞部と、
前記プレートと前記囲繞部との間に設けられたガス配管を含み、前記ガス配管を介して前記ステージに向かう方向にガスを供給するガス供給部と、を備える、半導体装置の試験装置。
【請求項9】
前記ガス供給部は、前記ガス配管に接続されたガス注入口とガス噴出口とを含み、
前記ガス配管は、前記プローブ保持部から前記ステージに向かって延伸しており、
前記ガス注入口は、前記プローブ保持部に設けられ、平面視において、前記プレートと前記囲繞部との間に位置しており、
前記ガス噴出口の前記ステージからの高さは、前記プレートの前記ステージからの高さと同じである、請求項8に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項10】
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、請求項8に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項11】
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続され、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する試験部を、さらに備える、請求項8に記載の半導体装置の試験装置。
【請求項12】
半導体装置が形成された半導体ウエハをステージに保持する工程と、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部に保持された複数のプローブの各々の先端部を前記半導体装置に接触させる工程と、
前記複数のプローブの周囲を取り囲む風防壁の外側に設けられたガス供給部から、前記ステージに向かう方向にガスを供給する工程と、を備え、
前記複数のプローブの各々は、前記先端部よりも基端側に位置する内包部を含み、
前記内包部は、前記風防壁によって囲われた風防空間に内包されている、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートをさらに備え、
前記風防空間は、前記プローブ保持部と前記プレートと前記風防壁とによって囲われている、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ガスを供給する前記工程は、
前記複数のプローブをさらに取り囲むように前記風防壁の外側に設けられた囲繞部と前記半導体ウエハとの間の加圧空間に、前記ガスを注入して、前記加圧空間を加圧することを含み、
前記ガスは、ガス注入口からガス流路を介して、前記加圧空間に注入され、
前記ガス注入口は、前記プローブ保持部に設けられ、かつ、平面視において、前記風防壁と前記囲繞部との間に位置しており、
前記ガス流路は、前記風防壁と前記囲繞部との間に設けられ、前記ステージに向かう方向に延伸している、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続された試験部から、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する工程を、さらに備える、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記半導体装置に対する前記電圧の印加を停止する工程と、
前記ガスの供給を停止する工程と、
前記複数のプローブの各々の前記先端部を前記半導体装置から離す工程と、をさらに備える、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の試験装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の試験装置は、半導体装置の電気的特性を検査する。検査の際、半導体装置には高電圧が印加される。ウエハ状態の半導体装置に対してその電気的特性の検査が行われる場合、ウエハの表面付近で放電が発生する可能性がある。その放電は、検査対象の半導体装置およびそれに隣接する半導体装置を破壊する。
【0003】
特許文献1に記載されたプローバは、プローブを取り囲むように配置された囲繞空間を備える。そのプローバは、囲繞空間に導入されるガスによって、ウエハの表面付近で発生する放電を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-160591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の性能の向上に伴い、その検査工程には、高電圧の印加および大電流の通電が要求されている。このような要求に応えるため、プローブの多ピン化および細線プローブの使用が提案されている。しかし、細線プローブは外部から与えられる応力によって変形しやすい。放電抑制のために注入されるガスが細線プローブに当たることによって、細線プローブは変形する。プローブに変形が生じた場合、プローブと検査対象の半導体装置との接触が不確実となり、電気的特性の試験の信頼性が低下する。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するため、プローブの変形およびウエハの表面付近における放電の発生を軽減し、電気的特性の試験の信頼性を向上させる半導体装置の試験装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る半導体装置の試験装置は、ステージ、プローブ保持部、複数のプローブ、風防壁およびガス供給部を備える。ステージは、半導体装置が形成された半導体ウエハを保持可能である。プローブ保持部は、ステージの上方に設けられている。複数のプローブの各々は、半導体装置に接触可能な先端部を含む。複数のプローブは、プローブ保持部に保持されている。風防壁は、複数のプローブの周囲を取り囲んでいる。ガス供給部は、風防壁の外側に設けられている。ガス供給部は、ステージに向かう方向にガスを供給する。複数のプローブの各々は、先端部よりも基端側に位置する内包部を含む。内包部は、風防壁によって囲われた風防空間に内包されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、プローブの変形およびウエハの表面付近における放電の発生を軽減し、電気的特性の試験の信頼性を向上させる半導体装置の試験装置が提供される。
【0009】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における半導体装置の試験装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2における半導体装置の試験装置の構成を示す図である。
図4】実施の形態3における半導体装置の試験装置の構成を示す図である。
図5】実施の形態4における半導体装置の試験装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における半導体装置20の試験装置101の構成を示す図である。試験装置101は、ステージ1、プローブ保持部2、複数のプローブ3、コンタクトプレート4、風防壁5、囲繞部6、ガス供給部7および試験部8を含む。図1において、試験部8以外の構成は断面図によって示されている。
【0012】
試験装置101は、半導体装置20の電気的特性を試験する。実施の形態1の試験装置101は、ウエハ状態の半導体装置20を試験する。半導体ウエハ21には、少なくとも1つの半導体装置20が形成されている。
【0013】
試験対象の半導体装置20は、活性領域20Aおよび終端領域20Bを含む。活性領域20Aは半導体素子(図示せず)を含む。終端領域20Bは、平面視において、活性領域20Aを囲うように配置されている。活性領域20Aに形成される半導体素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ショットキーバリアダイオード等である。または、その半導体素子は、IGBTおよび還流ダイオードが1つの半導体チップ内に形成されたRC-IGBT(Reverse-Conducting IGBT)であってもよい。実施の形態1における半導体装置20は、半導体ウエハ21の上面と下面との間に電流が流れる縦型の半導体装置である。半導体装置20は、例えば、パワー半導体装置である。半導体装置20は、例えば、Si等の半導体によって形成されている。その半導体は、SiC、GaN、Ga、ダイヤモンド等のいわゆるワイドバンドギャップ半導体であってもよい。
【0014】
ステージ1は、半導体ウエハ21を保持可能に構成されている。例えば、ステージ1は、半導体ウエハ21の下面を吸着する吸着機構(図示せず)を含む。試験の際、半導体ウエハ21は吸着機構によってステージ1の表面に固定される。その際、半導体ウエハ21の下面は、ステージ1の表面と接触している。ステージ1の表面は、試験部8に電気的に接続されている。つまり、試験対象の半導体装置20の下面は、ステージ1を介して試験部8に電気的に接続される。
【0015】
プローブ保持部2は、ステージ1の上方に設けられている。プローブ保持部2は、例えば、プローブカードである。
【0016】
複数のプローブ3は、プローブ保持部2に保持されている。プローブ3は、導電性を有する。プローブ3は、プローブ保持部2を介して、試験部8に電気的に接続されている。プローブ3は、試験の際、半導体装置20に接触して電気的な入出力を行う。具体的には、プローブ3は、半導体装置20に電圧を印加して電流を流す。試験装置101においては、複数のプローブ3が設けられているため、半導体装置20に大電流を流すことが可能である。また、実施の形態1におけるプローブ3は細線構造を有する。プローブ3は、例えば、ワイヤープローブなどの細線プローブである。
【0017】
各プローブ3は、先端部3Aおよび内包部3Bを含む。先端部3Aは、試験の際、半導体装置20の活性領域20A内の所定の位置に接触するように設けられている。例えば、先端部3Aは、試験の際、半導体装置20の上面に設けられた電極(図示せず)に接触する。内包部3Bは、プローブ3の先端部3Aよりも基端側に位置する。ここでは、基端側とは、先端とは反対側つまりプローブ保持部2の方向に対応する。内包部3Bは、風防空間9に内包されている。風防空間9は、少なくとも風防壁5によって囲われた空間である。実施の形態1においては、その風防空間9は、プローブ保持部2とコンタクトプレート4と風防壁5とによって囲われた空間である。風防空間9は、後述するガス供給部7のガス流路7Aから風防壁5によって隔離されている。
【0018】
コンタクトプレート4は、プローブ3の先端部3Aとプローブ保持部2との間に設けられている。コンタクトプレート4は、試験の際、平面視において半導体装置20の活性領域20Aと重なるように設けられている。コンタクトプレート4は、複数の貫通孔(図示せず)を含む。それら複数の貫通孔には、複数のプローブ3がそれぞれ通されている。プローブ3の先端部3Aは貫通孔から露出している。プローブ3の先端部3Aは、貫通孔から風防空間9の外側に、つまりステージ1側に向かって突出している。プローブ3は、貫通孔に固定されていない。そのため、プローブ3の垂直方向に負荷が加えられた場合、プローブ3はその貫通孔を介して自由に上下する。コンタクトプレート4は、例えば樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。コンタクトプレート4は、プローブ3が半導体装置20の活性領域20A内の所定の位置にコンタクトすることを担保している。
【0019】
風防壁5は、複数のプローブ3の周囲を取り囲むように設けられている。実施の形態1における風防壁5は、平面視において、矩形を有する。風防壁5は、複数のプローブ3の四方を取り囲んでいる。風防壁5は、断面視において、プローブ保持部2とコンタクトプレート4との間に設けられている。実施の形態1においては、風防壁5の上端とプローブ保持部2とは互いに接触しており、風防壁5はプローブ保持部2に保持されている。風防壁5の下端とコンタクトプレート4とは互いに接触しており、風防壁5はコンタクトプレート4を保持している。風防壁5は、プローブ保持部2とコンタクトプレート4との間を塞いでいる。
【0020】
囲繞部6は、風防壁5の外側に設けられ複数のプローブ3の周囲をさらに取り囲んでいる。実施の形態1における囲繞部6は、平面視において、矩形を有する。囲繞部6は、風防壁5およびコンタクトプレート4の四方を取り囲んでいる。風防壁5と囲繞部6との間には、隙間が設けられている。囲繞部6は、断面視において、プローブ保持部2からステージ1に向かって延伸している。
【0021】
ガス供給部7は、その風防壁5の外側に設けられている。実施の形態1におけるガス供給部7は、風防壁5に沿って設けられている。ガス供給部7は、ステージ1に向かう方向にガスを供給する。
【0022】
ガス供給部7は、ガス流路7Aおよびガス注入口7Bを含む。ガス流路7Aは、風防壁5と囲繞部6との間に設けられ、ステージ1に向かう方向に延伸している。実施の形態1におけるガス流路7Aは、風防壁5と囲繞部6との間の隙間に対応する。ガス注入口7Bは、プローブ保持部2の上面に設けられている。ガス注入口7Bは、平面視において、風防壁5と囲繞部6との間、または、コンタクトプレート4と囲繞部6との間に位置している。試験の際、ガス供給部7は、ガス注入口7Bからガス流路7Aを介して、囲繞部6と半導体ウエハ21との間の加圧空間10にガスを注入し、その加圧空間10を加圧する。それにより、電圧印加時の放電の可能性が低下する。注入されるガスは、例えば、乾燥空気である。
【0023】
試験部8は、プローブ保持部2を介して複数のプローブ3と電気的に接続されている。また、試験部8は、ステージ1の表面と電気的に接続されている。試験部8は、プローブ3およびステージ1の表面を介して半導体装置20に電圧を印加して、その半導体装置20の電気的特性を試験する。
【0024】
図2は、実施の形態1における半導体装置20の製造方法を示すフローチャートである。この半導体装置20の製造方法は、試験装置101による電気的特性の試験を行って半導体装置20を製造する方法である。
【0025】
ステップS1において、半導体装置20が形成された半導体ウエハ21が準備される。
【0026】
ステップS2において、半導体ウエハ21がステージ1に載置される。ここでは、半導体ウエハ21は、吸着機構によってステージ1の表面に保持される。
【0027】
ステップS3において、各プローブ3の先端部3Aが試験対象の半導体装置20の活性領域20Aに接触する。
【0028】
ステップS4において、プローブ3の先端部3Aが活性領域20Aに接触している状態で、ガス供給部7はステージ1に向かう方向にガスを供給する。具体的には、ガス供給部7は、加圧空間10にガスを注入して、その加圧空間10を加圧する。ガスは、ガス注入口7Bからガス流路7Aを介して、加圧空間10に注入される。
【0029】
ステップS5において、加圧空間10が加圧された状態で、試験部8は複数のプローブ3を介して半導体装置20に電圧を印加する。つまり、試験部8は、半導体装置20に電流を流して、半導体装置20の電気的特性の試験を行う。この際、半導体装置20の用途によっては、例えば、数千ボルト以上の電圧が印加され、数百アンペア以上の電流が流れる。加圧空間10が加圧された状態で電圧が印加されるため、半導体ウエハ21の表面付近における放電の発生が抑制される。
【0030】
ステップS6において、試験部8は、半導体装置20に対する電圧の印加を停止し、電流を止める。
【0031】
ステップS7において、ガス供給部7は、加圧空間10へのガスの注入を停止する。加圧空間10の圧力は常圧に戻る。
【0032】
ステップS8において、各プローブ3の先端部3Aが半導体装置20から離脱する。
【0033】
以上のステップS1からS8が、半導体装置20の製造方法である。プローブ3の内包部3Bは、プローブ保持部2とコンタクトプレート4と風防壁5とによって囲われた風防空間9に内包されている。その風防空間9は、風防壁5によってガス流路7Aから隔離されている。ガス注入口7Bから注入されるガスは、風防壁5に遮られ風防空間9に流れ込まない。そのため、プローブ3の内包部3Bは、そのガスの圧力によって変形することがない。ガスは、放電抑制のために加圧が必要な電圧印加時のみに、注入されることが好ましい。
【0034】
以上をまとめると、実施の形態1における半導体装置20の試験装置101は、ステージ1、プローブ保持部2、複数のプローブ3、風防壁5およびガス供給部7を備える。ステージ1は、半導体装置20が形成された半導体ウエハ21を保持可能である。プローブ保持部2は、ステージ1の上方に設けられている。複数のプローブ3の各々は、半導体装置20に接触可能な先端部3Aを含む。複数のプローブ3は、プローブ保持部2に保持されている。風防壁5は、複数のプローブ3の周囲を取り囲んでいる。ガス供給部7は、風防壁5の外側に設けられている。ガス供給部7は、ステージ1に向かう方向にガスを注入する。複数のプローブ3の各々は、先端部3Aよりも基端側に位置する内包部3Bを含む。内包部3Bは、風防壁5によって囲われた風防空間9に内包されている。
【0035】
このような試験装置101においては、プローブ3の先端部3A以外の部分が風防空間9に内包されている。ガス供給部7によって注入されるガスは、風防壁5に遮られプローブ3の内包部3Bに直接当たらない。よって、プローブ3がそのガスの注入に起因して変形することが抑制または防止される。
【0036】
ワイヤープローブのような細線プローブがプローブ3に適用される場合、特に上記の効果が得られる。細線プローブは外部から与えられる応力によって変形しやすい。しかし、細線プローブの内包部3Bが風防空間9に内包されることにより、細線プローブの変形が抑制される。細線プローブの適用が可能となるため、大電流測定が可能となるとともに、そのプローブ3の接触による半導体装置20のダメージが軽減される。
【0037】
半導体装置20への電圧の印加時には、囲繞部6と半導体ウエハ21との間の加圧空間10が加圧される。そのため、半導体ウエハ21の表面付近の放電の発生が軽減する。
【0038】
プローブ3の先端部3Aは、風防空間9の外側に突出している。プローブ3は、コンタクトプレート4に固定されておらず、上下方向に自由に動くことが可能である。そのため、プローブ3の先端部3Aは半導体装置20に確実に接触する。
【0039】
このように、試験装置101は、プローブ3の変形および半導体ウエハ21の表面付近における放電の発生を軽減し、電気的特性の試験の信頼性を向上させる。
【0040】
試験対象の半導体装置20は、ウエハ状態であってもよいし、チップ状態であってもよい。ウエハ状態の半導体装置20は、半導体ウエハ21に形成された複数の半導体装置のうち個片化される前の1つの半導体装置に対応する。チップ状態の半導体装置20は、半導体ウエハ21から個片化された後の1つの半導体装置に対応する。
【0041】
<実施の形態2>
実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0042】
図3は、実施の形態2における半導体装置20の試験装置102の構成を示す図である。図3において、試験部8以外の構成は断面図によって示されている。
【0043】
風防壁5は、実施の形態1と同様に、断面視において、プローブ保持部2とコンタクトプレート4との間に設けられている。風防壁5は、プローブ保持部2とコンタクトプレート4との間を塞いでいる。実施の形態2においては、その風防壁5の下端5Aは、コンタクトプレート4よりも下方に位置している。言い換えると、風防壁5は、コンタクトプレート4よりも下方に突出する延長部を含む。また、その風防壁5の下端5Aは、複数のプローブ3の各々の先端部3Aよりも上方に位置する。
【0044】
実施の形態2における半導体装置20の製造方法は、実施の形態1と同様である。ステップS3からS7において、各プローブ3の先端部3Aは試験対象の半導体装置20に接触しているが、風防壁5の下端5Aは半導体ウエハ21に接触していない。
【0045】
このような構成においては、プローブ3の内包部3Bだけでなく先端部3Aの少なくとも一部が風防壁5によって囲われる。ガス供給部7によって注入されるガスは、プローブ3の先端部3Aに直接当たりにくい。試験装置102は、加圧空間10に注入されるガスによってプローブ3の先端部3Aが変形することを抑制しまたは防ぐ。
【0046】
<実施の形態3>
実施の形態3において、実施の形態1または2と同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0047】
図4は、実施の形態3における半導体装置20の試験装置103の構成を示す図である。図4において、試験部8以外の構成は断面図によって示されている。
【0048】
試験装置103は、充填材11を備える。充填材11は、プローブ保持部2、コンタクトプレート4および風防壁5によって囲われた風防空間9に封入されている。充填材11は、絶縁性および弾性を有する材料で形成されている。充填材11は、例えばスポンジまたはゴムである。各プローブ3は、その充填材11によって覆われている。言い換えると、各プローブ3は充填材11に内包されている。充填材11は、防風壁5およびコンタクトプレート4と一体であってもよい。すなわち、風防空間9を形成する風防壁5およびコンタクトプレート4は、充填材11と同じ材料で形成された1つの部材であってもよい。
【0049】
実施の形態3における半導体装置20の製造方法は、実施の形態1と同様である。ステップS3からS7において、各プローブ3の先端部3Aは試験対象の半導体装置20に接触しており、例えば充填材11と同じ材料で形成された弾性を有するコンタクトプレート4の下端(換言すれば一体である充填材11の下端)も半導体装置20の活性領域20Aに接触している。ただし、コンタクトプレート4の下端(換言すれば一体である充填材11の下端)は、半導体装置20の終端領域20Bには接触していない。
【0050】
このような構成においては、プローブ3が、充填材11に内包されている。ガス供給部7によって注入されるガスはプローブ3に当たらない。試験装置103は、加圧空間10に注入されるガスによってプローブ3が変形することをより効果的に抑制しまたは防ぐ。
【0051】
<実施の形態4>
実施の形態4において、実施の形態1から3のいずれかと同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0052】
図5は、実施の形態4における半導体装置20の試験装置104の構成を示す図である。試験装置104は、ステージ1、プローブ保持部2、複数のプローブ3、コンタクトプレート4、支柱12、囲繞部16、ガス供給部17および試験部8を含む。図5において、試験部8以外の構成は断面図によって示されている。ステージ1、プローブ保持部2、複数のプローブ3、コンタクトプレート4および試験部8の構成は、実施の形態1におけるそれらと同じである。
【0053】
試験装置104には、風防壁5は設けられておらず、支柱12が設けられている。支柱12は、プローブ保持部2とコンタクトプレート4との間に設けられている。支柱12の上端とプローブ保持部2とは互いに接触しており、支柱12の下端とコンタクトプレート4とは互いに接触している。コンタクトプレート4は、支柱12を介してプローブ保持部2に保持されている。
【0054】
囲繞部16は、コンタクトプレート4および複数のプローブ3の周囲を取り囲んでいる。実施の形態4における囲繞部16は、平面視において、矩形を有する。囲繞部16は、コンタクトプレート4および複数のプローブ3の四方を取り囲んでいる。
【0055】
ガス供給部17は、ガス配管17A、ガス注入口17Bおよびガス噴出口17Cを含む。ガス配管17Aは、プローブ保持部2からステージ1に向かって延伸している。ガス配管17Aは、複数のプローブ3と囲繞部16との間に設けられ、かつ、コンタクトプレート4と囲繞部16との間に設けられている。ガス供給部17は、ガス配管17Aを介してステージ1に向かう方向にガスを供給する。
【0056】
ガス注入口17Bは、ガス配管17Aに接続されている。ガス注入口17Bは、プローブ保持部2の上面に設けられている。また、そのガス注入口17Bは、平面視において、コンタクトプレート4と囲繞部16との間に位置している。
【0057】
ガス噴出口17Cは、ガス配管17Aに接続されている。ガス噴出口17Cは、ガス配管17Aのステージ1側に端部に設けられている。ガス噴出口17Cのステージ1からの高さは、コンタクトプレート4のステージ1からの高さと同じであることが好ましい。
【0058】
実施の形態4における半導体装置20の製造方法は、実施の形態1と同様である。ステップS3からS7において、各プローブ3の先端部3Aは試験対象の半導体装置20に接触しているが、ガス噴出口17Cは半導体ウエハ21に接触していない。
【0059】
ステップS4において、ガス供給部17は、加圧空間10にガスを注入して、その加圧空間10を加圧する。ガスは、ガス注入口17Bからガス配管17Aに供給され、ガス噴出口17Cから加圧空間10に注入される。
【0060】
ステップS5において、加圧空間10が加圧された状態で、試験部8は複数のプローブ3を介して半導体装置20に電圧を印加する。加圧空間10が加圧された状態で電圧が印加されるため、半導体ウエハ21の表面付近における放電の発生が抑制される。
【0061】
このような試験装置104においては、ガス供給部17によって注入されるガスは、プローブ3に直接当たらない。よって、プローブ3がそのガスの注入に起因して変形することがない。半導体装置20への電圧の印加時には、囲繞部16と半導体ウエハ21との間の加圧空間10が加圧される。そのため、半導体ウエハ21の表面付近の放電の発生が軽減する。実施の形態4における試験装置104は、プローブ3の変形および半導体ウエハ21の表面付近における放電の発生を軽減し、電気的特性の試験の信頼性を向上させる。
【0062】
本開示は、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0064】
(付記1)
半導体装置が形成された半導体ウエハを保持可能なステージと、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部と、
各々が前記半導体装置に接触可能な先端部を含み、前記プローブ保持部に保持された複数のプローブと、
前記複数のプローブの周囲を取り囲む風防壁と、
前記風防壁の外側に設けられ、前記ステージに向かう方向にガスを供給するガス供給部と、を備え、
前記複数のプローブの各々は、前記先端部よりも基端側に位置する内包部を含み、
前記内包部は、前記風防壁によって囲われた風防空間に内包されている、半導体装置の試験装置。
【0065】
(付記2)
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートをさらに備え、
前記風防空間は、前記プローブ保持部と前記プレートと前記風防壁とによって囲われている、付記1に記載の半導体装置の試験装置。
【0066】
(付記3)
前記風防壁の外側に設けられ前記複数のプローブをさらに取り囲む囲繞部、をさらに備え、
前記ガス供給部は、
前記プローブ保持部に設けられ、平面視において、前記風防壁と前記囲繞部との間に位置するガス注入口と、
前記風防壁と前記囲繞部との間に設けられ、前記ステージに向かう方向に延伸するガス流路と、を含む、付記1または付記2に記載の半導体装置の試験装置。
【0067】
(付記4)
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、付記1から付記3のいずれか1項に記載の半導体装置の試験装置。
【0068】
(付記5)
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続され、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する試験部を、さらに備える、付記1から付記4のいずれか1項に記載の半導体装置の試験装置。
【0069】
(付記6)
前記風防壁の下端は、前記プレートよりも下方に位置し、かつ、前記複数のプローブの各々の前記先端部よりも上方に位置する、付記2に記載の半導体装置の試験装置。
【0070】
(付記7)
前記風防空間に封入された充填材をさらに備え、
前記充填材は、スポンジまたはゴムである、付記1から付記6のいずれか1項に記載の半導体装置の試験装置。
【0071】
(付記8)
半導体装置が形成された半導体ウエハを保持可能なステージと、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部と、
各々が前記半導体装置に接触可能な先端部を含み、前記プローブ保持部に保持された複数のプローブと、
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートと、
前記プレートおよび前記複数のプローブの周囲を取り囲む囲繞部と、
前記プレートと前記囲繞部との間に設けられたガス配管を含み、前記ガス配管を介して前記ステージに向かう方向にガスを供給するガス供給部と、を備える、半導体装置の試験装置。
【0072】
(付記9)
前記ガス供給部は、前記ガス配管に接続されたガス注入口とガス噴出口とを含み、
前記ガス配管は、前記プローブ保持部から前記ステージに向かって延伸しており、
前記ガス注入口は、前記プローブ保持部に設けられ、平面視において、前記プレートと前記囲繞部との間に位置しており、
前記ガス噴出口の前記ステージからの高さは、前記プレートの前記ステージからの高さと同じである、付記8に記載の半導体装置の試験装置。
【0073】
(付記10)
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、付記8または付記9に記載の半導体装置の試験装置。
【0074】
(付記11)
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続され、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する試験部を、さらに備える、付記8から付記10のいずれか1項に記載の半導体装置の試験装置。
【0075】
(付記12)
半導体装置が形成された半導体ウエハをステージに保持する工程と、
前記ステージの上方に設けられたプローブ保持部に保持された複数のプローブの各々の先端部を前記半導体装置に接触させる工程と、
前記複数のプローブの周囲を取り囲む風防壁の外側に設けられたガス供給部から、前記ステージに向かう方向にガスを供給する工程と、を備え、
前記複数のプローブの各々は、前記先端部よりも基端側に位置する内包部を含み、
前記内包部は、前記風防壁によって囲われた風防空間に内包されている、半導体装置の製造方法。
【0076】
(付記13)
複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔の各々から前記先端部が突出するように前記複数のプローブが前記複数の貫通孔に通されたプレートをさらに備え、
前記風防空間は、前記プローブ保持部と前記プレートと前記風防壁とによって囲われている、付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0077】
(付記14)
前記ガスを供給する前記工程は、
前記複数のプローブをさらに取り囲むように前記風防壁の外側に設けられた囲繞部と前記半導体ウエハとの間の加圧空間に、前記ガスを注入して、前記加圧空間を加圧することを含み、
前記ガスは、ガス注入口からガス流路を介して、前記加圧空間に注入され、
前記ガス注入口は、前記プローブ保持部に設けられ、かつ、平面視において、前記風防壁と前記囲繞部との間に位置しており、
前記ガス流路は、前記風防壁と前記囲繞部との間に設けられ、前記ステージに向かう方向に延伸している、付記12または付記13に記載の半導体装置の製造方法。
【0078】
(付記15)
前記複数のプローブは、複数の細線プローブである、付記12から付記14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記16)
前記プローブ保持部を介して前記複数のプローブと電気的に接続された試験部から、前記複数のプローブを介して前記半導体装置に電圧を印加し、前記半導体装置の電気的特性を試験する工程を、さらに備える、付記12から付記15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記17)
前記半導体装置に対する前記電圧の印加を停止する工程と、
前記ガスの供給を停止する工程と、
前記複数のプローブの各々の前記先端部を前記半導体装置から離す工程と、をさらに備える、付記16に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0081】
1 ステージ、2 プローブ保持部、3 プローブ、3A 先端部、3B 内包部、4 コンタクトプレート、5 風防壁、5A 下端、6 囲繞部、7 ガス供給部、7A ガス流路、7B ガス注入口、8 試験部、9 風防空間、10 加圧空間、11 充填材、12 支柱、16 囲繞部、17 ガス供給部、17A ガス配管、17B ガス注入口、17C ガス噴出口、20 半導体装置、20A 活性領域、20B 終端領域、21 半導体ウエハ、101~104 試験装置。
図1
図2
図3
図4
図5