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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151826
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】回路装置及び発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H03B5/32 Z
H01L27/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065552
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】松崎 賞
(72)【発明者】
【氏名】樋口 哲平
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 裕一
(72)【発明者】
【氏名】臼田 俊也
【テーマコード(参考)】
5F038
5J079
【Fターム(参考)】
5F038BG02
5F038DT02
5F038EZ20
5J079AA04
5J079BA53
5J079FA04
5J079FA15
5J079FA16
5J079FA21
5J079FB09
5J079GA05
5J079GA09
5J079JA01
5J079JA06
(57)【要約】
【課題】検査装置が振動子のCI値の検査を簡易に行うことを可能にする回路装置を提供すること。
【解決手段】振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、前記バッファー回路は、前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する、回路装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する、回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
第1モードでは前記第1スイッチがオフとなるとともに前記可変の電流が第1の電流量に設定され、第2モードでは前記第1スイッチがオンとなるとともに前記可変の電流が前記第1の電流量よりも小さい第2の電流量に設定される、回路装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記バッファー回路は、前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第2オプショントランジスターと、前記第2オプショントランジスターと直列に設けられた第2スイッチと、を有する、回路装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2オプショントランジスターのW/L比は、前記PMOSトランジスターのW/L比よりも大きい、回路装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記振動子と接続される可変容量回路を備え、
前記第2モードにおける前記可変容量回路の容量値は、前記第1モードにおける前記可変容量回路の容量値よりも大きい、回路装置。
【請求項6】
振動子と、
前記振動子に接続された回路装置と、
前記振動子及び前記回路装置を収容する容器と、を備え、
前記回路装置は、
前記振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する、発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水晶振動子と積分回路との間にAGC増幅回路を備えた水晶発振回路を用いて、AGC増幅回路への直流入力電圧を水晶振動子のCIとして測定する測定方法が記載されている。特許文献1に記載の水晶振動子のCIの測定方法によれば、広帯域の発振周波数や広範囲のCI値を有する様々な水晶振動子のCIを測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-339755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の測定方法を適用するためには、水晶発振回路に、AGC増幅回路への直流入力電圧を測定するための内部回路や、直流入力電圧を出力するための外部端子を設ける必要があり、CI値の検査を簡易に行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る回路装置の一態様は、
振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する。
【0006】
本発明に係る発振器の一態様は、
振動子と、
前記振動子に接続された回路装置と、
前記振動子及び前記回路装置を収容する容器と、を備え、
前記回路装置は、
前記振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の発振器の斜視図。
図2】本実施形態の発振器の断面図。
図3】本実施形態の発振器の他の断面図。
図4】本実施形態の発振器の底面図。
図5】第1実施形態の発振器の機能ブロック図。
図6】第1実施形態における発振回路及び定電流回路の構成例を示す図。
図7】通常動作モードにおける各種の発振信号の波形の一例を示す図。
図8】検査モードにおける各種の発振信号の波形の一例を示す図。
図9】振動子のCI値と発振信号のデューティーとの関係の一例を示す図。
図10】発振器に検査装置が接続された検査システムの構成を示す図。
図11】検査装置によるCI値の検査方法の手順の一例を示すフローチャート図。
図12】検査装置がCI値の検査を行うときの各端子及び各信号の電圧波形の一例を示す図。
図13】第2実施形態の発振器の機能ブロック図。
図14】第2実施形態における発振回路及び定電流回路の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.第1実施形態
1-1.発振器の構成
図1図4は、本実施形態の発振器1の構造の一例を示す図である。図1は、発振器1の斜視図であり、図2は、図1のA-A断面図の一例である。図3は、図1のA-A断面図の他の一例であり、図4は、発振器1の底面図である。
【0010】
図1図3に示すように、発振器1は、回路装置2、振動子3、パッケージ4、リッド5及び複数の外部端子6を含む。本実施形態では、振動子3は、基板材料として水晶を用いた水晶振動子であり、例えば、ATカット水晶振動子や音叉型水晶振動子等である。振動子3は、SAW共振子であってもよい。SAWはSurface Acoustic Waveの略である。また、振動子3の基板材料としては、水晶の他、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料等を用いることができる。振動子3の励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよい。また、本実施形態では、回路装置2は1チップの集積回路で実現されている。ただし、回路装置2は、少なくとも一部がディスクリート部品で構成されていてもよい。
【0011】
図2に示す発振器1は、シングルシール構造の発振器であり、パッケージ4は、回路装置2と振動子3とを同一空間内に収容する容器である。具体的には、パッケージ4には、凹部が設けられており、リッド5で凹部を覆うことによって収容室7となる。また、図3に示す発振器1は、H型構造の発振器であり、パッケージ4は、回路装置2と振動子3とを別空間内に収容する容器である。具体的には、パッケージ4には、対向する面に2つの凹部が設けられており、リッド5で一方の凹部を覆うことによって収容室7aとなり、封止部材8で他方の凹部を覆うことによって収容室7bとなる。収容室7aには振動子3が収容され、収容室7bには回路装置2が収容されている。
【0012】
振動子3は、その表面及び裏面にそれぞれ金属の励振電極3a,3bを有しており、励振電極3a,3bを含む振動子3の形状や質量に応じた所望の周波数で発振する。パッケージ4の内部又は凹部の表面には、回路装置2の2つの端子、具体的には、後述する図5のT1端子及びT2端子と、振動子3の2つの励振電極3a,3bとをそれぞれ電気的に接続するための不図示の配線が設けられている。また、パッケージ4の内部又は凹部の表面には、回路装置2の各端子とパッケージ4の底面に設けられた各外部端子6とを電気的
に接続するための不図示の配線が設けられている。
【0013】
図4に示すように、本実施形態の発振器1は、底面であるパッケージ4の裏面に、電源電圧Vddが供給される電源端子であるVDD端子、グラウンド電圧Vssが供給されるグラウンド端子であるVSS端子、出力端子であるOUT端子及び出力イネーブル端子であるOE端子の4個の外部端子6が設けられている。すなわち、本実施形態では、パッケージ4は、VDD端子、VSS端子、OUT端子及びOE端子の4個の外部端子6を有する。
【0014】
図5は、本実施形態の発振器1の機能ブロック図である。図5に示すように、本実施形態の発振器1は、回路装置2と振動子3とを含む。回路装置2は、外部接続端子として、T1端子、T2端子、T3端子、T4端子、T5端子及びT6端子を有している。T1端子は振動子3の一端と電気的に接続され、T2端子は振動子3の他端と電気的に接続されている。T3端子、T4端子、T5端子及びT6端子は、図4に示した発振器1の複数の外部端子6であるOE端子、OUT端子、VDD端子及びVSS端子とそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
本実施形態では、回路装置2は、発振回路10、出力バッファー20、第1入出力回路30、第2入出力回路40、制御回路50、パワーオンリセット回路60、定電圧回路70及び定電流回路80を備える。なお、回路装置2は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
【0016】
発振回路10は、T1端子及びT2端子と接続され、振動子3を発振させて発振信号を生成する。発振回路10は、T1端子からの信号を増幅してT2端子に出力する増幅回路や負荷容量となる可変容量回路を含む。具体的には、発振回路10は、振動子3から出力される信号がT1端子を介して入力され、増幅回路により当該信号を増幅してT2端子を介して振動子3に供給する。本実施形態では、発振回路10には、テスト信号TESTと2ビットの選択信号SEL[1:0]が入力される。発振回路10は、テスト信号TESTがハイレベルのときは、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号を増幅した発振信号OSCOを出力し、テスト信号TESTがハイレベルのときは発振信号OSCOをハイレベルに固定する。また、発振回路10は、選択信号SEL[1:0]の論理レベルに応じて、発振信号OSCOの立ち上がり時間やデューティーを変化させる。
【0017】
出力バッファー20は、発振回路10から出力される発振信号OSCOが入力されてクロック信号CKを出力する。具体的には、出力バッファー20は、発振信号OSCOをバッファリングし、制御端子に入力される信号がハイレベルのときに出力端子からクロック信号CKを出力する。出力バッファー20は、制御端子に入力される信号がローレベルのときは、出力端子からグラウンド電圧Vssを出力する。
【0018】
定電圧回路70は、VDD端子及びT5端子を介して発振器1の外部から供給される電源電圧Vddと、VSS端子及びT6端子を介して発振器1の外部から供給されるグラウンド電圧Vssとに基づいて、電源電圧Vddよりも低い一定電圧である電圧Voscを生成する。例えば、定電圧回路70は、バンドギャップリファレンス回路の出力電圧に基づいて一定電圧を生成する。電圧Voscは、発振回路10に供給される。
【0019】
定電流回路80は、発振回路10と接続され、電源電圧Vddとグラウンド電圧Vssとに基づいて、発振回路10に一定電流である電流Ioscを流すための回路である。
【0020】
制御回路50は、各回路の動作を制御する。具体的には、制御回路50は、電流Ioscの値や発振回路10の負荷容量値を制御する。また、制御回路50は、テスト信号TE
STや選択信号SEL[1:0]を出力する。また、制御回路50は、回路装置2の動作モードを、通常動作モード、外部通信モード及び検査モードを含む複数のモードのうちの1つに設定する。通常動作モードは、選択信号SEL[1:0]が”11”であり、かつ、テスト信号TESTがハイレベルであり、発振回路10が発振動作を行い、OE端子から入力される制御信号に応じて、OUT端子からクロック信号CKが出力されるか否かが制御される動作モードである。また、外部通信モードは、制御回路50がOE端子とOUT端子を介して不図示の外部装置と通信する動作モードである。検査モードは、選択信号SEL[1:0]が”10”,”01”,”00”のいずれかであり、かつ、テスト信号TESTがハイレベルであり、発振回路10が発振動作を行う動作モードである。また、検査モードでは、通常動作モードと比較して、電流Ioscの値が小さくなり、発振回路10の負荷容量値が大きくなる。なお、前述の通り、テスト信号TESTがローレベルのときは、発振信号OSCOがハイレベルに固定されるので、制御回路50は、回路装置2の動作モードを、発振信号OSCOが供給される回路のテストモードに設定してもよい。本実施形態では、図5に示すように、制御回路50は、シリアルインターフェース回路51及びレジスター52を含む。
【0021】
シリアルインターフェース回路51は、VDD端子への電源電圧Vddの供給が開始してから所定期間内に、OE端子から所定のパターンの制御信号が入力された場合には、当該所定期間の経過後に動作モードを外部通信モードに設定する。また、シリアルインターフェース回路51は、電源電圧Vddの供給が開始してから所定期間内に、OE端子から所定のパターンの制御信号が入力されない場合には、当該所定期間の経過後に動作モードを外部通信モードに設定せずに、通常動作モードに設定する。例えば、シリアルインターフェース回路51は、電源電圧Vddの供給により振動子3が発振を開始して発振が安定したことを検出するまでの期間を当該所定期間としてもよいし、クロック信号CKのパルス数をカウントし、カウント値が所定の値に到達したら当該所定期間が経過したと判断してもよい。また、例えば、シリアルインターフェース回路51は、電源電圧Vddの供給により動作を開始するRC時定数回路の出力信号に基づいて当該所定期間を計測してもよい。
【0022】
外部通信モードでは、シリアルインターフェース回路51は、第1入出力回路30を介してOE端子と電気的に接続され、第2入出力回路40を介してOUT端子と電気的に接続され、OE端子及びOUT端子を介して不図示の外部装置とデータ通信を行うことができる。本実施形態では、外部通信モードにおいて、OE端子及びT3端子がシリアルデータ端子となり、OUT端子及びT4端子がシリアルクロック端子となる。そして、外部装置は、所定の通信規格に従い、OUT端子にシリアルクロック信号を出力し、シリアルクロック信号に同期して、OE端子にシリアルデータ信号を出力し、あるいは、シリアルインターフェース回路51からOE端子に出力される信号を取得する。シリアルインターフェース回路51は、外部通信モードにおいて、例えばI2Cバスの規格に準じて、シリアルクロック信号のエッジ毎に、各種のコマンドとしてのシリアルデータ信号をサンプリングする。I2Cは、Inter-Integrated Circuitの略である。そして、シリアルインターフェース回路51は、サンプリングしたコマンドに基づいて、動作モードの設定や、レジスター52に対するデータの読み出しや書き込み等の処理を行う。なお、本実施形態では、シリアルインターフェース回路51は、例えば、I2Cバス等の2線式バスの通信規格で外部装置と通信を行うが、SPIバス等の3線式バスあるいは4線式バスの通信規格で外部装置と通信を行ってもよい。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略である。
【0023】
例えば、シリアルインターフェース回路51は、レジスター設定コマンドをサンプリングした場合、レジスター設定コマンドで指定されたレジスター52のアドレスに、指定されたデータを書き込む。レジスター52は、複数ビットのデータを保持し、電流Ioscの値や可変容量回路11,12の容量値を制御する信号を出力する。また、レジスター5
2は、テスト信号TESTや選択信号SEL[1:0]を出力する。
【0024】
外部装置は、外部通信モードにおいて、OE端子及びOUT端子を介して、シリアルインターフェース回路51にレジスター設定コマンドを送信することにより、電流Ioscの値や発振回路10の負荷容量値、テスト信号TESTや選択信号SEL[1:0]の論理レベルを設定することができる。外部装置は、テスト信号TESTをハイレベルに設定し、選択信号SEL[1:0]を”10”,”01”,”00”のいずれかに設定した後、通信を終了させると、動作モードが外部通信モードから検査モードに移行する。また、外部装置は、テスト信号TESTをハイレベルに設定し、選択信号SEL[1:0]を”11”に設定した後、通信を終了させると、動作モードが外部通信モードから通常動作モードに移行する。
【0025】
第1入出力回路30は、T3端子とレジスター52との間の信号経路上に設けられている。第1入出力回路30は、T3端子と出力バッファー20との間の信号経路上に設けられている。通常動作モード及び検査モードでは、第1入出力回路30を介して、T3端子と出力バッファー20の制御端子とが電気的に接続され、T3端子とレジスター52とが電気的に切断される。また、外部通信モードでは、第1入出力回路30及びシリアルインターフェース回路51を介してT3端子とレジスター52とが電気的に接続され、T3端子と出力バッファー20の制御端子とが電気的に切断される。
【0026】
第2入出力回路40は、出力バッファー20とT4端子との間の信号経路上に設けられている。また、第2入出力回路40は、T4端子とレジスター52との間の信号経路上に設けられている。通常動作モード及び検査モードでは、第2入出力回路40を介して、出力バッファー20の出力端子とT4端子とが電気的に接続され、T4端子とレジスター52とが電気的に切断される。また、外部通信モードでは、第2入出力回路40及びシリアルインターフェース回路51を介してT4端子とレジスター52とが電気的に接続され、出力バッファー20の出力端子とT4端子とが電気的に切断される。
【0027】
パワーオンリセット回路60は、VDD端子への電源電圧Vddの供給が開始すると、所定期間ハイレベルとなるリセット信号RSTを出力する。リセット信号RSTによってレジスター52がリセットされ、電流Ioscや発振回路10の負荷容量が所定の値に初期化され、テスト信号TESTがハイレベルに初期化され、選択信号SEL[1:0]が”11”に初期化される。その後、所定期間が経過すると、回路装置2の動作モードが通常動作モードに初期化される。すなわち、回路装置2は、電源投入時に設定されるレジスター52の初期値により、通常動作モードに設定される。
【0028】
1-2.発振回路及び定電流回路の構成
図6は、第1実施形態における発振回路10及び定電流回路80の構成例を示す図である。図6に示すように、発振回路10は、可変容量回路11,12、増幅回路13、振幅制御回路14、バッファー回路15及び2入力NAND回路16を含む。
【0029】
可変容量回路11の一端はT1端子と接続され、可変容量回路12の一端はT2端子と接続されている。可変容量回路11,12の各他端にはグラウンド電圧Vssが供給される。可変容量回路11,12は、負荷容量として機能する。なお、図5に示したレジスター52の設定により、可変容量回路11,12の容量値は可変である。すなわち、発振回路10の負荷容量は可変である。
【0030】
増幅回路13は、容量素子131,132,133、抵抗134,135、PMOSトランジスター136及びNMOSトランジスター137を含む。容量素子131,132,133の各一端は、T1端子と接続されている。容量素子131の他端は、抵抗135
の一端及びPMOSトランジスター136のゲート端子と接続されている。容量素子133の他端は、NMOSトランジスター137のゲート端子と接続されている。抵抗134の一端は、T2端子と接続されている。抵抗134の他端は、抵抗135の他端、PMOSトランジスター136のドレイン端子及びNMOSトランジスター137のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター136のソース端子には電圧Voscが供給され、NMOSトランジスター137のソース端子にはグラウンド電圧Vssが供給される。このように構成されている増幅回路13は、PMOSトランジスター136とNMOSトランジスター137とで構成される論理反転回路により、振動子3からT1端子を介して入力される信号を増幅してT2端子を介して振動子3に出力する。
【0031】
振幅制御回路14は、抵抗141、容量素子142,143、PMOSトランジスター144,145及びNMOSトランジスター146を含む。抵抗141の一端は、容量素子132の他端及びPMOSトランジスター144のゲート端子と接続されている。抵抗141の他端は、PMOSトランジスター144のドレイン端子、PMOSトランジスター145のゲート端子及び容量素子143の一端と接続されている。容量素子143の他端は、PMOSトランジスター145のドレイン端子並びにNMOSトランジスター146のドレイン端子及びゲート端子と接続されている。容量素子142の一端は、抵抗141の他端、PMOSトランジスター144のドレイン端子、PMOSトランジスター145のゲート端子及び容量素子143の一端と接続されている。容量素子142の他端及びPMOSトランジスター144,145の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。NMOSトランジスター146のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。
【0032】
バッファー回路15は、PMOSトランジスター151,153,154,155,156及びNMOSトランジスター152を含む。PMOSトランジスター151,153,154の各ゲート端子は、容量素子131の他端、抵抗135の一端及びPMOSトランジスター136のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター151,155,156の各ドレイン端子は、NMOSトランジスター152のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター151,153,154の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。PMOSトランジスター153のドレイン端子とPMOSトランジスター155のソース端子とが接続され、PMOSトランジスター154のドレイン端子とPMOSトランジスター156のソース端子とが接続されている。このように、PMOSトランジスター153は、PMOSトランジスター151と並列に設けられており、PMOSトランジスター155は、PMOSトランジスター153と直列に設けられている。同様に、PMOSトランジスター154は、PMOSトランジスター151と並列に設けられており、PMOSトランジスター156は、PMOSトランジスター154と直列に設けられている。
【0033】
PMOSトランジスター155のゲート端子には2ビットの選択信号SELの下位ビットの信号SEL[0]が入力され、PMOSトランジスター156のゲート端子には2ビットの選択信号SELの上位ビットの信号SEL[1]が入力される。NMOSトランジスター152のゲート端子は、容量素子133の他端、NMOSトランジスター137のゲート端子、容量素子143の他端、PMOSトランジスター145のドレイン端子並びにNMOSトランジスター146のゲート端子及びドレイン端子と接続されている。NMOSトランジスター152のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。
【0034】
選択信号SEL[1:0]が”11”のときは、PMOSトランジスター155,156がともにオフとなり、PMOSトランジスター151とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”10”のときは、PMOSトランジスター155がオンとなり、かつ、PMOSトランジスター156
がオフとなり、PMOSトランジスター151,153とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”01”のときは、PMOSトランジスター155がオフとなり、かつ、PMOSトランジスター156がオンとなり、PMOSトランジスター151,154とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”00”のときは、PMOSトランジスター155,156がともにオンとなり、PMOSトランジスター151,153,154とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成される。
【0035】
これらの論理反転回路は、いずれも、発振信号GP,GNの論理レベルを反転し、電圧Vosc付近の電圧をハイレベル、グラウンド電圧Vss付近の電圧をローレベルとする発振信号BUFOを出力する。すなわち、バッファー回路15は、増幅回路13から発振信号GP,GNが入力され、発振信号GP,GNの論理レベルを反転して増幅した発振信号BUFOを出力する。
【0036】
選択信号SEL[1:0]が”11”のときは、電源と発振信号BUFOの出力ノードとの間にPMOSトランジスター151が接続される。これに対して、選択信号SEL[1:0]が”10”又は”01”のときは、電源と発振信号BUFOの出力ノードとの間に、PMOSトランジスター151に対してPMOSトランジスター153又はPMOSトランジスター154が並列に接続されるので、選択信号SEL[1:0]が”11”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFOの立ち上がりが急峻になる。また、選択信号SEL[1:0]が”00のときは、電源と発振信号BUFOの出力ノードとの間に、PMOSトランジスター151に対してPMOSトランジスター153,154が並列に接続されるので、選択信号SEL[1:0]が”11”,”10”,
”01”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFOの立ち上がりがさらに急峻になる。
【0037】
なお、本実施形態では、PMOSトランジスター154のW/L比は、PMOSトランジスター153のW/L比よりも大きい。そのため、選択信号SEL[1:0]が”01”のときは、選択信号SEL[1:0]が”10”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFOの立ち上がりが急峻になる。なお、WはPMOSトランジスターのゲート幅であり、LはPMOSトランジスターのゲート長である。
【0038】
また、本実施形態では、PMOSトランジスター154のW/L比は、PMOSトランジスター151のW/L比よりも大きい。したがって、選択信号SEL[1:0]が”00”のときは、選択信号SEL[1:0]が”11”のときと比較して、高電位側の駆動能力が2倍よりも大きく、発振信号BUFOの立ち上がりが非常に急峻になる。
【0039】
2入力NAND回路16は、PMOSトランジスター161,162及びNMOSトランジスター163,164を含む。PMOSトランジスター161のゲート端子は、PMOSトランジスター151,155,156の各ドレイン端子、NMOSトランジスター152のドレイン端子及びNMOSトランジスター163のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター161のドレイン端子は、PMOSトランジスター162のドレイン端子及びNMOSトランジスター163のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター161,162の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。NMOSトランジスター163のソース端子とNMOSトランジスター164のドレイン端子とが接続され、NMOSトランジスター164のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。PMOSトランジスター162のゲート端子及びNMOSトランジスター164のゲート端子には、テスト信号TESTが入力される。このように構成されている2入力NAND回路16は、PMOSトランジスター151のドレイン端子とNMOSト
ランジスター152のドレイン端子との接続ノードの信号である発振信号BUFOとテスト信号TESTとが入力され、PMOSトランジスター162のドレイン端子とNMOSトランジスター163のドレイン端子との接続ノードから発振信号OSCOを出力する。2入力NAND回路16は、テスト信号TESTがハイレベルのときは、発振信号BUFOの論理レベルを反転した発振信号OSCOを出力し、テスト信号TESTがローレベルのときは、ハイレベルの発振信号OSCOを出力する。
【0040】
定電流回路80は、電流源81、PMOSトランジスター82,83及びNMOSトランジスター84,85を含む。電流源81の一端は、PMOSトランジスター82,83の各ゲート端子及びPMOSトランジスター82のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター82,83の各ソース端子には電源電圧Vddが供給され、電流源81の他端及びNMOSトランジスター84,85のソース端子にはグラウンド電圧Vssが供給される。PMOSトランジスター83のドレインは、NMOSトランジスター84,85の各ゲート端子及びNMOSトランジスター84のドレイン端子と接続されている。NMOSトランジスター85のドレイン端子は、PMOSトランジスター144のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター82,83によって構成されるカレントミラー回路の機能とNMOSトランジスター84,85によって構成されるカレントミラー回路の機能とにより、電流源81に流れる基準電流Irefに応じた電流Ioscが、PMOSトランジスター145のドレイン端子からNMOSトランジスター85を介してグラウンドへと流れる。なお、図5に示したレジスター52の設定により、電流源81に流れる基準電流Iref及びPMOSトランジスター83、NMOSトランジスター84,85のトランジスターサイズは可変である。また、基準電流Iref、及びPMOSトランジスター83、NMOSトランジスター84,85のトランジスターサイズの調整に応じて、電流Ioscも可変である。
【0041】
次に、発振回路10の動作について詳細に説明する。発振器1のVDD端子に電源電圧Vddが供給されると、回路装置2の動作モードが通常動作モードに設定され、発振回路10により振動子3が発振を開始する。振動子3からT1端子を介して入力される発振信号は、容量素子131,133によってDC成分がカットされ、発振信号GP,GNとなる。発振信号GPはPMOSトランジスター136のゲート端子に入力され、発振信号GNはNMOSトランジスター137のゲート端子に入力される。発振信号GP,GNは、PMOSトランジスター136及びNMOSトランジスター137によって構成される論理反転回路によって増幅される。この増幅された発振信号は、T2端子を介して振動子3に出力されるとともに、帰還抵抗である抵抗135によってフィードバックされる。そして、PMOSトランジスター136のゲート端子に入力される発振信号とフィードバックされた信号との位相差が、可変容量回路11,12及び抵抗134によって補正され、振動子3が発振を継続する。
【0042】
その一方で、T1端子から入力される発振信号は、容量素子132によってDC成分がカットされて発振信号GAとなり、PMOSトランジスター144のゲート端子に入力される。また、発振信号GAは、抵抗141を介してPMOSトランジスター145のゲート端子に入力される。その結果、発振信号GAの振幅レベルに応じて、発振信号GB,GNの振幅レベルが調整され、T2端子及びT1端子にフィードバックがかかる。
【0043】
具体的には、発振信号GAの振幅がある程度大きくなると、PMOSトランジスター145のゲート端子に入力される発振信号GBの電位が上がり、PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が下がる。PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が下がると、NMOSトランジスター137のゲート端子に入力される発振信号GNの振幅レベルが下がり、NMOSトランジスター137のドレイン端子の電位が上がり、抵抗134を介してT2端子に出力される発振信号の振幅レベルが上がる。
【0044】
T2端子に出力される発振信号の振幅レベルが上がると、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号の振幅レベルが上がり、発振信号GP,GAの振幅レベルも上がる。PMOSトランジスター144のゲート端子に入力される発振信号GAの振幅レベルが上がると、PMOSトランジスター144のオン抵抗が上がり、当該オン抵抗と電流Ioscの値とに応じた電圧降下が大きくなる。その結果、PMOSトランジスター144のドレイン端子の電位が下がり、PMOSトランジスター145のゲート端子に入力される発振信号GBの電位が下がる。発振信号GBの電位が下がると、PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が上がる。PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が上がると、NMOSトランジスター137のゲート端子に入力される発振信号GNの振幅レベルが上がり、NMOSトランジスター137のドレイン端子の電位が下がり、抵抗134を介してT2端子に出力される発振信号の振幅レベルが下がる。
【0045】
T2端子に出力される発振信号の振幅レベルが下がると、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号の振幅レベルが下がり、発振信号GP,GAの振幅レベルも下がる。PMOSトランジスター144のゲート端子に入力される発振信号GAの振幅レベルが下がると、PMOSトランジスター144のオン抵抗が下がり、当該オン抵抗と電流Ioscの値とに応じた電圧降下が小さくなる。その結果、PMOSトランジスター144のドレイン端子の電位が上がり、PMOSトランジスター145のゲート端子に入力される発振信号GBの電位が上がる。このように、振幅制御回路14により、発振信号GA,GB,GP,GNの振幅レベルが一定になるように制御されながら、振動子3の発振が継続する。
【0046】
発振信号GP,GNは、PMOSトランジスター151及びNMOSトランジスター152にそれぞれ入力される。通常動作モードでは、選択信号SEL[1:0]が”11”であるので、バッファー回路15において、PMOSトランジスター155,156がともにオフとなり、PMOSトランジスター151とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成される。この論理反転回路から出力される発振信号BUFOは、デューティーが50%となるように、PMOSトランジスター151やNMOSトランジスター152のサイズ、電流Ioscなどが調整されている。そして、通常動作モードでは、テスト信号TESTがハイレベルであるので、発振信号BUFOの論理レベルが反転された発振信号OSCOが出力される。すなわち、発振回路10は、通常動作モードでは、デューティーが50%の発振信号OSCOを出力する。図7に、通常動作モードにおける発振信号GP,GN,GB,BUFO,OSCOの波形の一例を示す。
【0047】
検査モードにおける発振回路10の基本的な動作は通常動作モードと同じである。したがって、通常動作モードと検査モードにいずれにおいても、振幅制御回路14は、T2端子に出力される発振信号の振幅レベルに応じて、PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位を制御することで、発振信号GA,GB,GP,GNの振幅レベルが一定になるように制御する。この発振信号GA,GB,GP,GNの振幅レベルは、電流Ioscの値に応じて変化する。そして、発振信号GNはバッファー回路15のNMOSトランジスター152のゲート端子に入力されるので、振幅制御回路14は、可変の電流Ioscに応じて、バッファー回路15のNMOSトランジスター152のゲート電圧を制御する。
【0048】
ただし、検査モードでは、通常動作モードと比較して、電流Ioscが小さくなるように、レジスター52の設定値が変更される。例えば、電流Ioscは設定可能な最小値となってもよい。すなわち、通常動作モードでは電流Ioscが第1の電流量に設定され、検査モードでは電流Ioscが第1の電流量よりも小さい第2の電流量に設定される。検査モードでは、通常動作モードと比較して、電流Ioscが小さくなるので、PMOSト
ランジスター144のドレイン端子の電位が上がり、PMOSトランジスター145のゲート端子に入力される発振信号GBの振幅レベルが上がる。発振信号GBの電位が上がると、PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が下がる。PMOSトランジスター145のドレイン端子の電位が下がると、NMOSトランジスター152のゲート端子に入力される発振信号GNの振幅レベルが下がる。
【0049】
また、検査モードでは、通常動作モードと比較して、発振回路10の負荷容量として機能する可変容量回路11,12の各容量値が大きくなるように、レジスター52の設定値が変更される。例えば、可変容量回路11,12の各容量値は設定可能な最大値となってもよい。すなわち、検査モードにおける発振回路10の負荷容量は、通常動作モードにおける発振回路10の負荷容量よりも大きい。そのため、振動子3の発振振幅が小さくなり、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号の振幅が小さくなるので、発振信号GPの振幅も小さくなる。
【0050】
このように、検査モードでは、通常動作モードと比較して、発振信号GBの振幅レベルが上がり、発振信号GNの振幅レベルが下がり、発振信号GPの振幅が小さくなることにより、発振信号BUFOのローレベルの期間が短くなるとともにハイレベルの期間が長くなる。検査モードでは、さらに、選択信号SEL[1:0]が”10”,”01”,”00”のいずれかに設定され、通常動作モードと比較して、発振信号BUFOの立ち上がりが急峻になる。その結果、発振信号OSCOのハイレベルの期間が短くなるとともに、ローレベルの期間が長くなり、発振信号OSCOのデューティーが50%よりも小さくなる。図8に、検査モードにおける発振信号GP,GN,GB,BUFO,OSCOの波形の一例を実線で示す。図8では、図7に示した通常動作モードにおける発振信号GP,GN,GB,BUFO,OSCOの波形も破線で示されている。
【0051】
なお、本実施形態では、PMOSトランジスター153は第1オプショントランジスターの一例であり、PMOSトランジスター155は第1スイッチの一例である。また、PMOSトランジスター154は第2オプショントランジスターの一例であり、PMOSトランジスター156は第2スイッチの一例である。また、通常動作モードは第1モードの一例であり、検査モードは第2モードの一例である。
【0052】
1-3.CI値の検査方法
振動子3を収容する空間の真空度の低下や振動子3の経時変化により振動子3のCI値が上昇すると、振動子3の発振振幅が小さくなり、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号の振幅も小さくなる。そうすると、発振回路10の前述の動作により、発振信号GBの振幅レベルが上がり、発振信号GNの振幅レベルが下がり、発振信号GPの振幅が小さくなることにより、発振信号BUFOのローレベルの期間が短くなるとともにハイレベルの期間が長くなる。その結果、発振信号OSCOのデューティーが小さくなる。前述の通り、検査モードでは、選択信号SEL[1:0]が”10”,”01”,”00”のいずれかに設定されることにより、通常動作モードと比較して、高電位側の駆動能力が大きくなる。そのため、振動子3のCI値の変化量に対する発振信号OSCOのデューティーの変化量が大きくなる。CIは、Crystal Impedanceの略である。以下では、振動子3のCI値の変化量に対する発振信号OSCOのデューティーの変化量を「デューティー感度」と称し、振動子3のCI値の変化量に対する発振信号OSCOのデューティーの変化量が大きいことを「デューティー感度が高い」と称する。
【0053】
図9は、振動子3のCI値と発振信号OSCOのデューティーとの関係の一例を示す図である。図9に示すように、デューティー感度は、選択信号SEL[1:0]が”11”のときが最も低く、選択信号SEL[1:0]が”00”のときが最も高い。例えば、選択信号SEL[1:0]が”11”に設定されている通常動作モードでは、CI値が基準
値の50kΩから75kΩに上昇したときの発振信号OSCOのデューティーの変化量は1%程度である。これに対して、検査モードにおいて、選択信号SEL[1:0]が”00”に設定されている場合、CI値が基準値の50kΩから75kΩに上昇したときの発振信号OSCOのデューティーの変化量は9%程度である。
【0054】
前述の通り、発振器1のOUT端子から、発振信号OSCOがバッファリングされたクロック信号CKが出力可能である。したがって、外部装置である検査装置は、検査モードにおいて、振動子3のCI値が基準値のときにOUT端子から出力されるクロック信号CKのデューティーを基準デューティーとして、クロック信号CKのデューティーと基準デューティーとの差分を測定することにより、振動子3のCI値を検査することができる。
【0055】
図10は、発振器1に検査装置100が接続された検査システムの構成を示す図である。図10に示すように、検査装置100は、発振器1のVDD端子、VSS端子、OE端子及びOUT端子と接続されている。発振器1のグラウンドと検査装置100のグラウンドは共通である。
【0056】
図11は、図10の検査システムにおいて、検査装置100によるCI値の検査方法の手順の一例を示すフローチャート図である。また、図12は、図11のフローチャートによってCI値の検査を行うときの各端子及び各信号の電圧波形の一例を示す図である。
【0057】
図11の例では、まず、工程S1において、検査装置100は、発振器1のVDD端子に電源電圧Vddを供給する。工程S1により、図12に示すように、VDD端子がグラウンド電圧Vssから所望の電圧まで上昇する。これにより、所定期間ハイレベルとなるリセット信号RSTが発生し、レジスター52の各ビットが初期化される。その結果、電流Ioscや発振回路10の負荷容量が所定の値に初期化され、テスト信号TESTがハイレベルに初期化され、選択信号SEL[1:0]が”11”に初期化される。
【0058】
次に、工程S2において、検査装置100は、発振器1のOE端子に制御信号を供給し、発振器1を外部通信モードに設定する。すなわち、図12に示すように、検査装置100は、VDD端子に電源電圧Vddを供給してから所定期間内に、発振器1のOE端子に予め決められた所定のパターンの信号を供給し、発振器1を外部通信モードに設定する。
【0059】
次に、工程S3において、検査装置100は、発振器1のOUT端子及びOE端子に制御信号を供給し、レジスター52にCI値の検査用の設定値を書き込むためのコマンドを送信する。すなわち、図12に示すように、検査装置100は、OE端子の論理レベルをハイレベルに固定し、かつ、OUT端子の論理レベルをハイレベルからローレベルに変化させることにより、スタートコンディションを成立させて通信を開始する。そして、検査装置100は、OE端子からシリアルクロック信号を入力し、OUT端子からシリアルデータ信号を入力して、レジスター52の各ビットに所望の値を書き込むためのコマンドを送信する。
【0060】
次に、工程S4において、検査装置100は、OE端子及びOUT端子を用いた通信を終了し、発振器1を検査モードに設定する。すなわち、図12に示すように、検査装置100は、OE端子の論理レベルをハイレベルに固定し、かつ、OUT端子の論理レベルをローレベルからハイレベルに変化させることにより、ストップコンディションを成立させて通信を終了する。これにより、シリアルインターフェース回路51が、レジスター52に所望の設定値を書き込み、外部通信モードが終了し、発振器1が検査モードに設定される。図12の例では、選択信号SEL[1:0]の各ビットがローレベルに設定されている。
【0061】
最後に、工程S5において、検査装置100は、OUT端子から出力されるクロック信号CKのデューティーを測定し、CI値を検査する。例えば、検査装置100は、測定したクロック信号CKのデューティーと基準デューティーとの差分を算出し、当該差分が閾値以下の場合は合格と判定し、当該差分が閾値よりも大きい場合は不合格と判定してもよい。
【0062】
1-4.作用効果
以上に説明したように、第1実施形態の発振器1では、回路装置2において、振動子3のCI値が変化すると、振動子3から入力される信号の振幅が変化し、その結果、振幅制御回路14の制御によりNMOSトランジスター152のゲート電圧が変化し、バッファー回路15から出力される発振信号BUFOのデューティーが変化する。また、PMOSトランジスター155をオンさせることにより、PMOSトランジスター151とPMOSトランジスター153とが並列に接続されて高電位側の駆動能力が上がり、バッファー回路15から出力される発振信号BUFOのデューティー感度が高くなる。また、PMOSトランジスター155,156をともにオンさせることにより、PMOSトランジスター151とPMOSトランジスター153,154とが並列に接続されて高電位側の駆動能力がさらに上がり、発振信号BUFOのデューティー感度がさらに高くなる。また、検査モードにおいて、電流Ioscが小さくなり、可変容量回路11,12の容量値が大きくなることにより、発振信号BUFOのデューティー感度がさらに高くなる。したがって、第1実施形態の発振器1によれば、検査装置100は、検査モードにおいて、PMOSトランジスター155,156の少なくとも一方をオンさせた状態で、発振信号BUFOに基づくクロック信号CKのデューティーを測定し、基準値からのデューティーの変化量に基づいて、振動子3のCI値を高精度に検査することができる。
【0063】
また、第1実施形態の発振器1では、通常動作モードにおいてPMOSトランジスター155,156をともにオフした状態と、検査モードにおいてPMOSトランジスター155,156の少なくとも一方をオンした状態で、クロック信号CKを外部に出力するOUT端子を兼用することができるので、検査専用の外部端子を必要としない。さらに、検査装置100が、検査モードにおいてOUT端子から出力されるクロック信号CKをモニターしてデューティーを測定することができるので、回路装置2の内部にデューティー測定回路を設ける必要もない。したがって、第1実施形態の発振器1によれば、検査装置100が振動子3のCI値の検査を簡易に行うことができる。
【0064】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0065】
第2実施形態の発振器1の構造は、図1図4と同様であるため、その図示及び説明を省略する。図13は、第2実施形態の発振器1の機能ブロック図である。図13に示すように、第2実施形態の発振器1では、発振回路10には、レジスター52から出力されるテスト信号TEST1,TEST2と2ビットの選択信号SEL[1:0]が入力される。発振回路10は、テスト信号TEST1がハイレベルのときは、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号を増幅した発振信号OSCOを出力し、テスト信号TEST1がローレベルのときは発振信号OSCOをハイレベルに固定する。また、発振回路10は、テスト信号TEST2がハイレベルのときは、振動子3からT1端子を介して入力される発振信号を増幅した発振信号OSCO2を出力し、テスト信号TEST2がローレベルのときは発振信号OSCO2をハイレベルに固定する。発振回路10は、選択信号SEL[1:0]の論理レベルに応じて、発振信号OSCO2の立ち上がり時間やデューティーを変化させる。
【0066】
また、第2実施形態の発振器1は、出力バッファー21を備え、制御回路50内にあるレジスター52の出力信号が第1入出力回路30に入力されている。出力バッファー21は、発振回路10から出力される発振信号OSCO2が入力されてクロック信号CK2を出力する。制御回路50は、クロック信号CK2の出力時は、レジスター52の出力信号により、第1入出力回路30を介して、出力バッファー20の制御端子の入力信号をハイレベルに固定し、OE端子からクロック信号CK2が出力されるように制御する。
【0067】
また、第2実施形態の発振器1では、検査モードにおいて、第1入出力回路30を介して、出力バッファー21の出力端子とT3端子とが電気的に接続され、第2入出力回路40を介して、出力バッファー20の出力端子とT4端子とが電気的に接続される。また、検査モードにおいて、出力バッファー20の制御端子の入力信号がハイレベルに固定される。すなわち、検査モードでは、発振器1のOUT端子からクロック信号CKが出力されるとともに、発振器1のOE端子からクロック信号CK2が出力される。
【0068】
図14は、第2実施形態における発振回路10及び定電流回路80の構成例を示す図である。図14に示すように、発振回路10は、可変容量回路11,12、増幅回路13、振幅制御回路14、バッファー回路15、2入力NAND回路16、バッファー回路17及び2入力NAND回路18を含む。
【0069】
バッファー回路15は、PMOSトランジスター151及びNMOSトランジスター152を含む。PMOSトランジスター151のゲート端子は、容量素子131の他端、抵抗135の一端及びPMOSトランジスター136のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター151のドレイン端子は、NMOSトランジスター152のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター151のソース端子には、電圧Voscが供給される。NMOSトランジスター152のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。すなわち、PMOSトランジスター151とNMOSトランジスター152とによる論理反転回路が構成されており、この論理反転回路は、発振信号GP,GNの論理レベルを反転し、電圧Vosc付近の電圧をハイレベル、グラウンド電圧Vss付近の電圧をローレベルとする発振信号BUFOを出力する。すなわち、バッファー回路15は、増幅回路13から発振信号GP,GNが入力され、発振信号GP,GNの論理レベルを反転して増幅した発振信号BUFOを出力する。
【0070】
2入力NAND回路16は、PMOSトランジスター161,162及びNMOSトランジスター163,164を含む。PMOSトランジスター161のゲート端子は、PMOSトランジスター151,155,156の各ドレイン端子、NMOSトランジスター152のドレイン端子及びNMOSトランジスター163のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター161のドレイン端子は、PMOSトランジスター162のドレイン端子及びNMOSトランジスター163のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター161,162の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。NMOSトランジスター163のソース端子とNMOSトランジスター164のドレイン端子とが接続され、NMOSトランジスター164のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。PMOSトランジスター162のゲート端子及びNMOSトランジスター164のゲート端子には、テスト信号TEST1が入力される。このように構成されている2入力NAND回路16は、PMOSトランジスター151のドレイン端子とNMOSトランジスター152のドレイン端子との接続ノードの信号である発振信号BUFOとテスト信号TEST1とが入力され、PMOSトランジスター162のドレイン端子とNMOSトランジスター163のドレイン端子との接続ノードから発振信号OSCOを出力する。2入力NAND回路16は、テスト信号TEST1がハイレベルのときは、発振信号BUFOの論理レベルを反転した発振信号OSCOを出力し、テスト信号TEST1がロ
ーレベルのときは、ハイレベルの発振信号OSCOを出力する。
【0071】
バッファー回路17は、PMOSトランジスター171,173,174,175,176及びNMOSトランジスター172を含む。PMOSトランジスター171,173,174の各ゲート端子は、容量素子131の他端、抵抗135の一端及びPMOSトランジスター136のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター171,175,176の各ドレイン端子は、NMOSトランジスター172のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター171,173,174の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。PMOSトランジスター173のドレイン端子とPMOSトランジスター175のソース端子とが接続され、PMOSトランジスター174のドレイン端子とPMOSトランジスター176のソース端子とが接続されている。このように、PMOSトランジスター173は、PMOSトランジスター171と並列に設けられており、PMOSトランジスター175は、PMOSトランジスター173と直列に設けられている。同様に、PMOSトランジスター174は、PMOSトランジスター171と並列に設けられており、PMOSトランジスター176は、PMOSトランジスター174と直列に設けられている。
【0072】
PMOSトランジスター175のゲート端子には2ビットの選択信号SELの下位ビットの信号SEL[0]が入力され、PMOSトランジスター176のゲート端子には2ビットの選択信号SELの上位ビットの信号SEL[1]が入力される。NMOSトランジスター172のゲート端子は、容量素子133の他端、NMOSトランジスター137のゲート端子、容量素子143の他端、PMOSトランジスター145のドレイン端子並びにNMOSトランジスター146のゲート端子及びドレイン端子と接続されている。NMOSトランジスター172のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。
【0073】
選択信号SEL[1:0]が”11”のときは、PMOSトランジスター175,176がともにオフとなり、PMOSトランジスター171とNMOSトランジスター172とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”10”のときは、PMOSトランジスター175がオンとなり、かつ、PMOSトランジスター176がオフとなり、PMOSトランジスター171,173とNMOSトランジスター172とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”01”のときは、PMOSトランジスター175がオフとなり、かつ、PMOSトランジスター176がオンとなり、PMOSトランジスター171,174とNMOSトランジスター172とによる論理反転回路が構成される。また、選択信号SEL[1:0]が”00”のときは、PMOSトランジスター175,176がともにオンとなり、PMOSトランジスター171,173,174とNMOSトランジスター172とによる論理反転回路が構成される。
【0074】
これらの論理反転回路は、いずれも、発振信号GP,GNの論理レベルを反転し、電圧Vosc付近の電圧をハイレベル、グラウンド電圧Vss付近の電圧をローレベルとする発振信号BUFO2を出力する。すなわち、バッファー回路17は、増幅回路13から発振信号GP,GNが入力され、発振信号GP,GNの論理レベルを反転して増幅した発振信号BUFO2を出力する。
【0075】
選択信号SEL[1:0]が”11”のときは、電源と発振信号BUFO2の出力ノードとの間にPMOSトランジスター171が接続される。これに対して、選択信号SEL[1:0]が”10”又は”01”のときは、電源と発振信号BUFO2の出力ノードとの間に、PMOSトランジスター171に対してPMOSトランジスター173又はPMOSトランジスター174が並列に接続されるので、選択信号SEL[1:0]が”11”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFO2の立ち上がりが
急峻になる。また、選択信号SEL[1:0]が”00のときは、電源と発振信号BUFO2の出力ノードとの間に、PMOSトランジスター171に対してPMOSトランジスター173,174が並列に接続されるので、選択信号SEL[1:0]が”11”,”10”, ”01”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFO2の立ち上がりがさらに急峻になる。
【0076】
なお、本実施形態では、PMOSトランジスター174のW/L比は、PMOSトランジスター173のW/L比よりも大きい。そのため、選択信号SEL[1:0]が”01”のときは、選択信号SEL[1:0]が”10”のときと比較して、高電位側の駆動能力が大きく、発振信号BUFO2の立ち上がりが急峻になる。なお、WはPMOSトランジスターのゲート幅であり、LはPMOSトランジスターのゲート長である。
【0077】
また、本実施形態では、PMOSトランジスター174のW/L比は、PMOSトランジスター171のW/L比よりも大きい。したがって、選択信号SEL[1:0]が”00”のときは、選択信号SEL[1:0]が”11”のときと比較して、高電位側の駆動能力が2倍よりも大きく、発振信号BUFO2の立ち上がりが非常に急峻になる。
【0078】
2入力NAND回路18は、PMOSトランジスター181,182及びNMOSトランジスター183,184を含む。PMOSトランジスター181のゲート端子は、PMOSトランジスター171,175,176の各ドレイン端子、NMOSトランジスター172のドレイン端子及びNMOSトランジスター183のゲート端子と接続されている。PMOSトランジスター181のドレイン端子は、PMOSトランジスター182のドレイン端子及びNMOSトランジスター183のドレイン端子と接続されている。PMOSトランジスター181,182の各ソース端子には、電圧Voscが供給される。NMOSトランジスター183のソース端子とNMOSトランジスター184のドレイン端子とが接続され、NMOSトランジスター184のソース端子には、グラウンド電圧Vssが供給される。PMOSトランジスター182のゲート端子及びNMOSトランジスター184のゲート端子には、テスト信号TEST2が入力される。このように構成されている2入力NAND回路18は、PMOSトランジスター171のドレイン端子とNMOSトランジスター172のドレイン端子との接続ノードの信号である発振信号BUFO2とテスト信号TEST2とが入力され、PMOSトランジスター182のドレイン端子とNMOSトランジスター183のドレイン端子との接続ノードから発振信号OSCO2を出力する。2入力NAND回路18は、テスト信号TEST2がハイレベルのときは、発振信号BUFO2の論理レベルを反転した発振信号OSCO2を出力し、テスト信号TEST2がローレベルのときは、ハイレベルの発振信号OSCO2を出力する。
【0079】
第2実施形態の発振回路10のその他の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、第2実施形態における定電流回路80の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、第2実施形態の発振器1のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、第2実施形態では、PMOSトランジスター173は第1オプショントランジスターの一例であり、PMOSトランジスター175は第1スイッチの一例である。また、PMOSトランジスター174は第2オプショントランジスターの一例であり、PMOSトランジスター176は第2スイッチの一例である。また、通常動作モードは第1モードの一例であり、検査モードは第2モードの一例である。
【0080】
第2実施形態の発振器1でも、第1実施形態と同様、検査モードでは、通常動作モードと比較して、電流Ioscが小さくなるように、レジスター52の設定値が変更される。すなわち、通常動作モードでは電流Ioscが第1の電流量に設定され、検査モードでは電流Ioscが第1の電流量よりも小さい第2の電流量に設定される。また、検査モード
では、通常動作モードと比較して、発振回路10の負荷容量として機能する可変容量回路11,12の各容量値が大きくなるように、レジスター52の設定値が変更される。すなわち、検査モードにおける発振回路10の負荷容量は、通常動作モードにおける発振回路10の負荷容量よりも大きい。検査モードでは、さらに、選択信号SEL[1:0]が”10”,”01”,”00”のいずれかに設定され、通常動作モードと比較して、発振信号BUFO2の立ち上がりが急峻になる。その結果、発振信号OSCO2のハイレベルの期間が短くなるとともに、ローレベルの期間が長くなり、発振信号OSCO2のデューティーが50%よりも小さくなる。また、選択信号SEL[1:0]が”10”,”01”,”00”のいずれかに設定されることにより、通常動作モードと比較して、高電位側の駆動能力が大きくなることにより、デューティー感度が高くなる。
【0081】
前述の通り、検査モードでは、発振器1のOE端子から、発振信号OSCO2がバッファリングされたクロック信号CK2が出力される。したがって、検査装置100は、検査モードにおいて、振動子3のCI値が基準値のときにOE端子から出力されるクロック信号CK2のデューティーを基準デューティーとして、クロック信号CK2のデューティーと基準デューティーとの差分を測定することにより、振動子3のCI値を検査することができる。さらに、検査モードでは、OE端子からクロック信号CK2が出力されるので、検査装置100は、OUT端子から通常動作時のクロック信号CKをモニターしながら、OE端子から出力されるクロック信号CK2のデューティーを測定し、振動子3のCI値を検査することができる。
【0082】
例えば、PMOSトランジスター173,175の駆動能力を、第1実施形態におけるPMOSトランジスター153,155の駆動能力よりもさらに高くしてもよい。これにより、デューティー感度がさらに高くなるので、振動子3のCI値の上昇により、発振信号OSCO2のデューティーが0%になるとOE端子からのクロック信号CK2の出力が停止する。したがって、検査装置100は、クロック信号CK2の出力が停止するか否かで振動子3のCI値を検査することができる。なお、OE端子からのクロック信号CK2の出力が停止した場合、CI値の上昇以外の何らかの原因で振動子3の発振が停止したことも考えられる。これに対して、検査装置100は、OUT端子からクロック信号CKが出力されるか否かによって、OE端子からのクロック信号CK2の出力が停止した原因が、CI値の上昇なのか否かを判断することができる。
【0083】
3.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0084】
例えば、上記の実施形態の発振器1は、SPXO等のシンプルな発振器であるが、TCXO等の温度補償機能を有する発振器であってもよいし、VCXO等の周波数制御機能を有する発振器であってもよい。SPXOはSimple Packaged Crystal Oscillatorの略である。TCXOはTemperature Compensated Crystal Oscillatorの略である。VCXOはVoltage Controlled Crystal Oscillatorの略である。また、発振器1は、VC-TCXO等の温度補償機能及び周波数制御機能を有する発振器であってもよいし、OCXO等の温度制御機能を有する発振器などであってもよい。VC-TCXOはVoltage Controlled Temperature Compensated Crystal Oscillatorの略である。また、OCXOは、Oven Controlled Crystal Oscillatorの略である。
【0085】
また、上記の実施形態では、T3端子に、出力バッファー20の出力を制御する信号が入力されるが、これ以外の制御信号が入力されてもよい。例えば、T3端子には、発振器1をスタンバイモードに設定するための制御信号が入力されてもよいし、発振器1がVCXO等の周波数制御機能を有する発振器であれば、クロック信号CKの周波数を制御する
ための信号が入力されてもよい。
【0086】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0087】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0088】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0089】
回路装置の一態様は、
振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する。
【0090】
この回路装置では、振動子のCI値が変化すると、振動子から入力される信号の振幅が変化し、その結果、振幅制御回路の制御によりNMOSトランジスターのゲート電圧が変化し、バッファー回路から出力される発振信号のデューティーが変化する。また、第1スイッチをオンさせることにより、PMOSトランジスターと第1オプショントランジスターとが並列に接続されて高電位側の駆動能力が上がり、バッファー回路から出力される発振信号のデューティー感度が高くなる。したがって、この回路装置によれば、検査装置は、第1スイッチをオンさせた状態で、バッファー回路から出力される発振信号のデューティーを測定し、基準値からのデューティーの変化量に基づいて、振動子のCI値を検査することができる。
【0091】
また、この回路装置では、第1スイッチをオフした状態とオンした状態で発振信号を外部に出力する外部端子を兼用することができるので、検査専用の外部端子を必要としない。さらに、検査装置が外部端子から出力される発振信号をモニターしてデューティーを測定することができるので、回路装置の内部にデューティー測定回路を設ける必要もない。したがって、この回路装置によれば、検査装置が振動子のCI値の検査を簡易に行うことができる。
【0092】
前記回路装置の一態様において、
第1モードでは前記第1スイッチがオフとなるとともに前記可変の電流が第1の電流量に設定され、第2モードでは前記第1スイッチがオンとなるとともに前記可変の電流が前記第1の電流量よりも小さい第2の電流量に設定されてもよい。
【0093】
この回路装置では、第2モードにおいて、第1スイッチがオンすることにより、第1モードよりも発振信号のデューティー感度が高くなり、可変の電流が小さくなることにより、デューティー感度がさらに高くなる。したがって、この回路装置によれば、検査装置による振動子のCI値の検査精度を向上させることができる。
【0094】
前記回路装置の一態様において、
前記バッファー回路は、前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第2オプショントランジスターと、前記第2オプショントランジスターと直列に設けられた第2スイッチと、を有してもよい。
【0095】
この回路装置では、第1スイッチと第2スイッチとをともにオンさせることにより、PMOSトランジスターと第1オプショントランジスターと第2オプショントランジスターとが並列に接続されて高電位側の駆動能力が上がり、バッファー回路から出力される発振信号のデューティー感度が高くなる。したがって、この回路装置によれば、検査装置による振動子のCI値の検査精度を向上させることができる。
【0096】
前記回路装置の一態様において、
前記第2オプショントランジスターのW/L比は、前記PMOSトランジスターのW/L比よりも大きくてもよい。
【0097】
この回路装置では、第2スイッチをオンさせることにより、第2スイッチがオフの状態と比較して高電位側の駆動能力が2倍よりも大きくなり、バッファー回路から出力される発振信号のデューティー感度が高くなる。したがって、この回路装置によれば、検査装置による振動子のCI値の検査精度を向上させることができる。
【0098】
前記回路装置の一態様は、
前記振動子と接続される可変容量回路を備え、
前記第2モードにおける前記可変容量回路の容量値は、前記第1モードにおける前記可変容量回路の容量値よりも大きくてもよい。
【0099】
この回路装置では、第2モードにおいて、振動子と接続される可変容量回路の容量値が第1モードよりも大きくなることにより、発振信号のデューティー感度が高くなる。したがって、この回路装置によれば、検査装置による振動子のCI値の検査精度を向上させることができる。
【0100】
発振器の一態様は、
振動子と、
前記振動子に接続された回路装置と、
前記振動子及び前記回路装置を収容する容器と、を備え、
前記回路装置は、
前記振動子から入力される信号を増幅して前記振動子に出力する増幅回路と、
前記増幅回路からの信号が入力され、PMOSトランジスター及びNMOSトランジスターを有するバッファー回路と、
可変の電流に対応して、前記バッファー回路の前記NMOSトランジスターのゲート電圧を制御する振幅制御回路と、を備え、
前記バッファー回路は、
前記PMOSトランジスターと並列に設けられた第1オプショントランジスターと、
前記第1オプショントランジスターと直列に設けられた第1スイッチと、を有する。
【0101】
この発振器では、回路装置において、振動子のCI値が変化すると、振動子から入力される信号の振幅が変化し、その結果、振幅制御回路の制御によりNMOSトランジスターのゲート電圧が変化し、バッファー回路から出力される発振信号のデューティーが変化する。また、第1スイッチをオンさせることにより、PMOSトランジスターと第1オプショントランジスターとが並列に接続されて高電位側の駆動能力が上がり、バッファー回路
から出力される発振信号のデューティー感度が高くなる。したがって、この発振器によれば、検査装置は、第1スイッチをオンさせた状態で、バッファー回路から出力される発振信号のデューティーを測定し、基準値からのデューティーの変化量に基づいて、振動子のCI値を検査することができる。
【0102】
また、この発振器では、第1スイッチをオフした状態とオンした状態で発振信号を外部に出力する外部端子を兼用することができるので、検査専用の外部端子を必要としない。さらに、検査装置が外部端子から出力される発振信号をモニターしてデューティーを測定することができるので、回路装置の内部にデューティー測定回路を設ける必要もない。したがって、この発振器によれば、検査装置が振動子のCI値の検査を簡易に行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1…発振器、2…回路装置、3…振動子、3a…励振電極、3b…励振電極、4…パッケージ、5…リッド、6…外部端子、7,7a,7b…収容室、8…封止部材、10…発振回路、11,12…可変容量回路、13…増幅回路、14…振幅制御回路、15…バッファー回路、16…2入力NAND回路、17…バッファー回路、18…2入力NAND回路、20…出力バッファー、21…出力バッファー、30…第1入出力回路、40…第2入出力回路、50…制御回路、51…シリアルインターフェース回路、52…レジスター、60…パワーオンリセット回路、70…定電圧回路、80…定電流回路、81…電流源、82,83…PMOSトランジスター、84,85…NMOSトランジスター、100…検査装置、131,132,133…容量素子、134,135…抵抗、136…PMOSトランジスター、137…NMOSトランジスター、141…抵抗、142,143…容量素子、144,145…PMOSトランジスター、146…NMOSトランジスター、151…PMOSトランジスター、152…NMOSトランジスター、153,154,155,156…PMOSトランジスター、161,162…PMOSトランジスター、163,164…NMOSトランジスター、171…PMOSトランジスター、172…NMOSトランジスター、173,174,175,176…PMOSトランジスター、181,182…PMOSトランジスター、183,184…NMOSトランジスター
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9
図10
図11
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