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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151835
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電気音響変換装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H04R9/04 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065573
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】段 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】香川 晋弥
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BA06
5D012BC02
5D012CA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内側のボイスコイルに接続される信号線が外側のボイスコイルの振動への影響を抑制した状態で配線される電気音響変換装置を提供する。
【解決手段】電気音響変換装置100は、振動板と、振動板に取り付けられる内ボイスコイル121と、内ボイスコイル121の外側において内ボイスコイル121を囲むように配置される外ボビン124に取り付けられる外ボイスコイル122と、磁気回路と、振動板および磁気回路を保持するフレーム150と、を備える。外ボビン124は、内ボイスコイル121の信号線である一対の内信号線161が貫通状態で配線される孔状、または切り欠き状の配線部125を備える。フレーム150は、内ボイスコイル121から延出される信号線である一対の内信号線161および外ボイスコイル122から延出される信号線である一対の外信号線162が貫通状態でそれぞれ配線される挿通部151を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、
前記振動板に取り付けられる内ボイスコイルと、
前記内ボイスコイルの外側において前記内ボイスコイルを囲むように配置される外ボビンに取り付けられる外ボイスコイルと、
磁気回路と、
前記振動板、および前記磁気回路を保持するフレームと、を備え、
前記外ボビンは、前記内ボイスコイルの信号線である一対の内信号線が貫通状態で配線される孔状、または切り欠き状の配線部を備える
電気音響変換装置。
【請求項2】
前記配線部を埋め、前記配線部を通過する前記内信号線の一部を前記外ボビンに固定する充填部を備える
請求項1に記載の電気音響変換装置。
【請求項3】
前記内信号線は、前記内ボイスコイルを構成するマグネットワイヤよりも柔軟性の高い錦糸線である
請求項1または2に記載の電気音響変換装置。
【請求項4】
前記外ボビンの外側において、前記外ボイスコイルの信号線である一対の外信号線、および一対の前記内信号線は、同一方向に向かって前記フレームの外に至るまで配線される請求項1または2に記載の電気音響変換装置。
【請求項5】
前記外信号線の一方と前記内信号線の一方とが接続される第一端子と、
前記外信号線の他方と前記内信号線の他方とが接続される第二端子と、
を備える
請求項4に記載の電気音響変換装置。
【請求項6】
前記内信号線には、前記外ボイスコイルの信号線である一対の外信号線に入力される音響信号の帯域よりも高音域の音響信号が増幅装置から入力される
請求項1または2に記載の電気音響変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカやマイクなどの電気音響変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピーカなどの電気音響変換装置の周波数帯域を高音域に広げるために、振動部の小口径化などに関する技術が提案されている。一方、振動部の小口径化は、電気と音響との変換能率とは背反である。そこで、特許文献1には、一つの振動板に同軸に配置された二つのボイスコイルを取り付け、高い能率を確保しつつ周波数帯域を高音域に広げることが可能な技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-13295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、内外二つのボイスコイルが振動板に取り付けられた電気音響変換装置では、内側に配置されたボイスコイルに接続される信号線は、外側のボイスコイルの振動に影響を与えることなく配線することが望まれる。
【0005】
本開示の目的は、振動板に二つのボイスコイルが取り付けられる電気音響変換装置であって、内側のボイスコイルに接続される信号線が外側のボイスコイルの振動への影響を抑制した状態で配線される電気音響変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電気音響変換装置の1つは、振動板と、前記振動板に取り付けられる内ボイスコイルと、前記内ボイスコイルの外側において前記内ボイスコイルを囲むように配置される外ボビンに取り付けられる外ボイスコイルと、磁気回路と、前記振動板、および前記磁気回路を保持するフレームと、を備え、前記外ボビンは、前記内ボイスコイルの信号線である一対の内信号線が貫通状態で配線される孔状、または切り欠き状の配線部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電気音響変換装置において、内ボイスコイルに接続される内信号線が外ボビンに設けられた配線部に刺し通された状態で配線されるため、外ボイスコイルの振動に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る電気音響変換装置の外観を振動板側から示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る電気音響変換装置の振動板を省略して示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る電気音響変換装置の内ボイスコイルと外ボイスコイルを示す斜視図である。
図4図1中に示すI-I線の位置で切断した実施の形態1に係る電気音響変換装置を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る外ボビンの内信号線が刺し通される部分を示す斜視図である。
図6】実施の形態2に係る電気音響変換装置の外観を振動板側から示す斜視図である。
図7】実施の形態2に係る電気音響変換装置の振動板を省略して示す斜視図である。
図8図6中に示すII-II線の位置で切断した実施の形態2に係る電気音響変換装置を示す断面図である。
図9】信号線と電極との接続例1を示す図である。
図10】信号線と電極との接続例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る電気音響変換装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を説明するために一例を挙示するものであり、本開示を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0010】
また、図面は、本開示を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0011】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本開示に関する任意の構成要素として説明している。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電気音響変換装置100の外観を振動板110側から示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係る電気音響変換装置100の振動板110を省略して示す斜視図である。図3は、実施の形態1に係る電気音響変換装置100の内ボイスコイル121と外ボイスコイル122とを示す斜視図である。図4は、図1中に示すI-I線の位置で切断した電気音響変換装置100を示す断面図である。
【0013】
これらの図に示すように、電気音響変換装置100は、振動板110と、内ボイスコイル121と、外ボイスコイル122と、磁気回路130と、フレーム150と、を備えている。
【0014】
振動板110は、内ボイスコイル121、および外ボイスコイル122が結合される部材であり、中立位置を基準に前後方向(図中Z軸方向)に変位することによる空気の振動と内ボイスコイル121、および外ボイスコイル122に発生する音響信号とを変換する部材である。振動板110の形状は、特に限定されるものではないが、本実施の形態1の場合、振動板110の形状は、全体視円形である。振動板110は、内ボイスコイル121が結合される円形環状の内結合部111と、外ボイスコイル122が結合される円形環状の外結合部112と、を備えている。
【0015】
内結合部111、および外結合部112は、断面が台形状であり、外側(図中Z+側)に向かって膨出している。内ボイスコイル121、および外ボイスコイル122はそれぞれ、台形の上底に対応する平面な頂上面部に取り付けられている。内結合部111の内側は、外側に向かって膨出するドーム形状の内膜部114で封止されている。内結合部111と外結合部112との間は、断面が円弧状であり、外側に膨出する環膜部115で連結されている。外結合部112とフレーム150との間は、断面が円弧状であり、外側に膨出するエッジ116で連結されている。
【0016】
なお、振動板110の形状は、円錐形、楕円錐形、角錐形、楕円板、矩形平板などでもかまわない。振動板110を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、紙、樹脂などを挙示することができる。
【0017】
内ボイスコイル121は、一端部が内磁気ギャップ141(図2図4参照)内に配置され、他端部が振動板110の内結合部111に取り付けられる部品であり、振動板110とともに振動することにより内磁気ギャップ141内に定常的に存在する磁束との相互作用し、空気の振動と音響信号とを変換する部品である。
【0018】
内ボイスコイル121の巻軸(中心軸)は、振動板110の振動(振幅)の方向(図中Z軸方向)に配置され、内磁気ギャップ141内の磁束の方向と直交している。
【0019】
本実施の形態1の場合、内ボイスコイル121は、金属性の一本の線材が巻軸方向(図中Z軸方向)に複数回巻回されることにより構成される全体視円筒形のコイルである。また、内ボイスコイル121は、径方向に複数層(本実施の形態1の場合2層)のコイルが電気的に直列に接続されて配置されており、巻き始めと巻き終わりとはいずれも振動板110側に位置している。また、内ボイスコイル121からは、コイルを構成する線材の両端部にそれぞれ接続される一対の内信号線161が延在している。内信号線161の詳細については後述する。
【0020】
本実施の形態1の場合、内ボイスコイル121は、内ボビン123を備えている。内ボビン123は、コイルを形成する線材が巻き付けられる基礎となる筒状の部材であり、アルミニウムや樹脂等の材料から構成される。なお、内ボイスコイル121は、内ボビンを備えていなくてもかまわない。
【0021】
外ボイスコイル122は、内ボイスコイル121の外側において内ボイスコイル121を囲むように振動板110に取り付けられる部品である。外ボイスコイル122は、外磁気ギャップ142(図2図4参照)内に定常的に存在する磁束との相互作用により巻軸方向(図中Z軸方向)の振動と音響信号とを変換する。
【0022】
本実施の形態1の場合、外ボイスコイル122の巻軸(中心軸)は、内ボイスコイル121の巻軸と同軸上に配置されている。外ボイスコイル122は、内ボイスコイル121と同様、金属性の一本の線材が巻軸方向(図中Z軸方向)に複数回巻回されることにより構成される全体視円筒形のコイルである。また、外ボイスコイル122は、径方向に複数層(本実施の形態1の場合2層)のコイルが電気的に直列に接続されて配置されており、巻き始めと巻き終わりとはいずれも振動板110側に位置している。また、外ボイスコイル122からは、外信号線162が延在している。
【0023】
外ボイスコイル122は、外ボビン124を備えている。外ボビン124は、外ボイスコイル122を形成する線材が巻き付けられる基礎となる筒状の部材であり、アルミニウムや樹脂等の材料から構成される。外ボビン124は、内ボイスコイル121から延出される信号線である一対の内信号線161が貫通状態でそれぞれ配線される孔状、または切り欠き状の一対の配線部125(図2図3図5参照)を備える。
【0024】
本実施の形態1の場合、配線部125は、振動板110側の端縁部から振動板110と反対側に向かって広がる切り欠きである。配線部125を切り欠きにすることで、外ボビン124を越えて内信号線161を配線する際の作業が容易になる。図5に示すように、
配線部125には、配線部125を埋め、配線部125を通過する内信号線161の一部を外ボビン124に固定する充填部126が設けられている。充填部126の材質などは限定されるものではない。本実施の形態1の場合、充填部126は、外ボビン124と振動板110とを連結する際に用いられる接着剤により形成される。
【0025】
なお、内ボイスコイル121と外ボイスコイル122の線材を巻き回す方向は同一方向でも異なる方向でも構わない。巻き回す方向はそれぞれに発生する音響信号の位相により決定される。
【0026】
磁気回路130は、着磁された永久磁石である磁石131と、磁石131が放出する磁力線の経路を制御し、少なくとも内磁気ギャップ141を形成するヨーク132と、を備えている。磁気回路130には、内磁型と外磁型が存在し、それぞれの型により磁石131の形状、ヨーク132の形状が異なる。本実施の形態1の場合、磁気回路130は外磁型であり、磁石131は、円環形状をなしている。ヨーク132は、磁石131の音の放出側に配置される円環状のトッププレート134と、トッププレート134と共に磁石131を挟む位置に配置される円環状のベースプレート133と、ベースプレート133の内周部からトッププレート134に至るまで突出するセンターポール135と、ベースプレート133の外周縁部から振動板110方向に起立状に設けられる環状の壁部136と、を備えている。トッププレート134とセンターポール135とは同心上に配置され、トッププレート134とセンターポール135との隙間が内磁気ギャップ141を形成する。トッププレート134と壁部136との隙間が外磁気ギャップ142を形成する。
【0027】
磁石131は、高い磁気エネルギーを有する例えばネオジム系磁石などを使用するのが好ましい。これにより、磁石131の厚みを薄くでき、電気音響変換装置100全体の厚みを薄くすることができる。さらに、軽量化も実現させることができる。
【0028】
フレーム150は、エッジ116を介して振動板110を保持し、磁気回路130を保持する部材である。フレーム150の形状は、限定されるものではなく、本実施の形態1の場合、円筒形状である。フレーム150を構成する材料は、特に限定されるものではないが、本実施の形態1の場合、フレーム150は、絶縁性を有する樹脂成形品である。フレーム150は、内ボイスコイル121から延出される信号線である一対の内信号線161、および外ボイスコイル122から延出される信号線である一対の外信号線162が貫通状態でそれぞれ配線される挿通部151が設けられる。挿通部151は、孔状、または切り欠き状(本実施の形態1の場合、切り欠き状)である。フレーム150が備える挿通部151の数は限定されるものではないが、本実施の形態1の場合、フレーム150は、4箇所に挿通部151を備えており、内信号線161、および外信号線162のそれぞれが配線されている。
【0029】
内信号線161、および外信号線162を含む信号線は、音響信号をボイスコイルに入力する、またはボイスコイルから音響信号を出力する電線である。信号線の種類は、限定されるものではなく、ボイスコイルを形成する線材(いわゆるマグネットワイヤ)でもよく、錦糸線(フレキシブルワイヤ)でもかまわない。本実施の形態1の場合、内信号線161、外信号線162は、内ボイスコイル121を構成するマグネットワイヤよりも柔軟性の高い錦糸線が採用されている。
【0030】
内信号線161は、内ボビン123から配線部125に向かってトッププレート134と平行、またはほぼ平行に配線される。また、外ボビン124の外側においては、内信号線161は、外信号線162と同一方向(図中Y-方向)に向かってフレーム150の外に至るまで配線されている。内信号線161と外信号線162とはほぼ同一平面上に配置されている。
【0031】
実施の形態1にかかる電気音響変換装置100によれば、内ボイスコイル121に対応した内膜部114の面積が小さく、重量が軽いため高い周波数の振動に有利に働き、電気音響変換装置100の周波数帯域を高音域に広げることができる。また、外ボイスコイル122に対応した環膜部115の面積が大きいため音圧レベルの向上に有利に働く。したがって、振動板110の全体を小口径化した場合でも内ボイスコイル121、および外ボイスコイル122により音響信号と空気の振動との変換能率を高めることができる。
【0032】
また、内ボイスコイル121と接続される内信号線161は、内ボビン123と外ボビン124との間に架橋状に配線されるため、電気音響変換装置100の駆動時に内信号線161が撓んで振動板110と接触することを抑制できる。
【0033】
(実施の形態2)
電気音響変換装置100の実施の形態2について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0034】
実施の形態2に係る電気音響変換装置100は、図6図7に示すような全体視矩形である。振動板110は、矩形板状である。内ボイスコイル121、および外ボイスコイル122は矩形環状である。内ボビン123、および外ボビン124も矩形環状である。実施の形態2に係る電気音響変換装置100も、前記実施の形態と同様に、外ボイスコイル122が巻き付けられる外ボビン124には、内ボイスコイル121の内信号線161が刺し通される配線部125が設けられている。また、配線部125には、刺し通された内信号線161の一部を外ボビン124に固定する充填部126が設けられている(図6図7図8において不図示)。
【0035】
実施の形態2に係る磁気回路130も、外磁型であり、磁石131は、矩形環形状をなしている。ヨーク132は、磁石131の音の放出側に配置される矩形環状のトッププレート134と、トッププレート134と共に磁石131を挟む位置に配置される矩形板状のベースプレート133と、ベースプレート133の中心部からトッププレート134に至るまで突出する角柱状のセンターポール135と、ベースプレート133の外周縁部から振動板110方向に起立状に設けられる矩形環状の壁部136と、を備えている。トッププレート134とセンターポール135とは同心上に配置され、トッププレート134とセンターポール135との隙間が内磁気ギャップ141を形成する。トッププレート134と壁部136との隙間が外磁気ギャップ142を形成する。
【0036】
実施の形態に2に係るフレーム150は、矩形の箱状であり、振動板110、内ボイスコイル121、外ボイスコイル122、および磁気回路130を収容している。フレーム150の外周面には、フレーム150の外側にまで延出された信号線の先端が固定される端子170が設けられている。端子170は、音響信号を入力するまたは音響信号を出力するための電線が取り付けられる部材である。実施の形態2の場合、電気音響変換装置100は、一対の内信号線161、および一対の外信号線162のそれぞれに個別に接続される4個の端子170を備えている。このようにすることで、内ボイスコイル121と外ボイスコイル122との間で異なる音響信号を入出力することができる。例えば、内信号線161には、外ボイスコイル122の信号線である一対の外信号線162に入力される音響信号の帯域よりも高音域の音響信号が増幅装置から入力されるようにしてもかまわない。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書におい
て記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0038】
例えば、電気音響変換装置100は、図9に示すように、外信号線162の一方と内信号線161の一方とが接続される第一端子171と、外信号線162の他方と内信号線161の他方とが接続される第二端子172と、を備えてもかまわない。これによれば、内ボイスコイル121と外ボイスコイル122とを並列に接続することができる。
【0039】
また、電気音響変換装置100は、図10に示すように、外信号線162の一方が接続される第三端子173と、内信号線161の一方が接続される第四端子174と、外信号線162の他方と内信号線161の他方とが接続される第五端子175と、を備えてもかまわない。これによれば、内ボイスコイル121と外ボイスコイル122とを直列に接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、マイクやスピーカなどの電気音響変換装置に利用可能であり、特に高音域における音響と音響信号との間で変換を行う電気音響変換装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 電気音響変換装置
110 振動板
111 内結合部
112 外結合部
114 内膜部
115 環膜部
116 エッジ
121 内ボイスコイル
122 外ボイスコイル
123 内ボビン
124 外ボビン
125 配線部
126 充填部
130 磁気回路
131 磁石
132 ヨーク
133 ベースプレート
134 トッププレート
135 センターポール
136 壁部
141 内磁気ギャップ
142 外磁気ギャップ
150 フレーム
151 挿通部
161 内信号線
162 外信号線
170 端子
171 第一端子
172 第二端子
173 第三端子
174 第四端子
175 第五端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10