IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バッテリシステム、及び制御装置 図1
  • 特開-バッテリシステム、及び制御装置 図2
  • 特開-バッテリシステム、及び制御装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151855
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】バッテリシステム、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/60 20190101AFI20241018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60L50/60
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
B60L58/10
B60L1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065601
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】夏木 亮
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA07
5G503DA15
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB09
5H125BC05
5H125BC25
5H125CD04
(57)【要約】
【課題】部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減する。
【解決手段】バッテリシステムは、モータを駆動する本体装置と、モバイルキー装置とを備えるバッテリシステムであって、前記本体装置は、前記モータを駆動する電力を供給するバッテリユニットであって、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能なバッテリユニットと、前記モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、前記供給電圧より高い制御電圧に昇圧する昇圧部と、前記昇圧部が昇圧した前記制御電圧に基づいて、前記バッテリユニットを制御する電力制御部であって、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続された場合に、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除して、前記バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、前記制御電圧を用いて、前記バッテリユニットに出力する電力制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する本体装置と、前記本体装置を起動するための電力を前記本体装置に供給するモバイルキー装置とを備えるバッテリシステムであって、
前記本体装置は、
前記モータを駆動する電力を供給するバッテリユニットであって、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能なバッテリユニットと、
前記モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、前記供給電圧より高い制御電圧に昇圧する昇圧部と、
前記昇圧部が昇圧した前記制御電圧に基づいて、前記バッテリユニットを制御する電力制御部であって、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続された場合に、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除して、前記バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、前記制御電圧を用いて、前記バッテリユニットに出力する電力制御部と
を備えることを特徴とするバッテリシステム。
【請求項2】
前記モバイルキー装置は、前記本体装置を起動するための電力を供給及び充電するバッテリを備え、
前記本体装置は、前記バッテリユニットが出力する出力電力から前記バッテリを充電する充電電力を生成する充電電力生成部を備え、
前記電力制御部は、前記起動信号により、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除した後に、前記充電電力生成部が生成した前記充電電力を、前記モバイルキー装置に供給して、前記バッテリを充電させる
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続され、前記本体装置を起動する起動スイッチによって、前記本体装置が起動された場合に、前記起動信号を、前記バッテリユニットに出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記本体装置が、前記モータにより車輪を駆動して走行可能な車両である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記電力制御部は、前記昇圧部を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
モータを駆動する本体装置と、前記本体装置を起動するための電力を前記本体装置に供給するモバイルキー装置とを備えるバッテリシステムの制御装置であって、
前記モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、前記供給電圧より高い制御電圧に昇圧する昇圧部が昇圧した前記制御電圧に基づいて、前記モータを駆動する電力を供給するバッテリユニットを制御する電力制御部を備え、
前記バッテリユニットは、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能であり、
前記電力制御部は、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続された場合に、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除して、前記バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、前記制御電圧を用いて、前記バッテリユニットに出力する
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシステム、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EV(Electric Vehicle)車両では、車両のモータを駆動するためのリチウムイオンバッテリなどにより構成されるバッテリユニットと、バッテリユニットを起動するための鉛蓄電池などのバッテリとの2つのバッテリを用いるバッテリシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO2019/049335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来のバッテリシステムでは、リチウムイオンバッテリなどのバッテリユニットを起動するために、鉛蓄電池などの2つ目のバッテリを搭載する必要があり、2種類のバッテリを搭載するため、部品搭載のレイアウトが複雑になり、システム全対の重量が増大する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減することができるバッテリシステム、及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、モータを駆動する本体装置と、前記本体装置を起動するための電力を前記本体装置に供給するモバイルキー装置とを備えるバッテリシステムであって、前記本体装置は、前記モータを駆動する電力を供給するバッテリユニットであって、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能なバッテリユニットと、前記モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、前記供給電圧より高い制御電圧に昇圧する昇圧部と、前記昇圧部が昇圧した前記制御電圧に基づいて、前記バッテリユニットを制御する電力制御部であって、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続された場合に、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除して、前記バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、前記制御電圧を用いて、前記バッテリユニットに出力する電力制御部とを備えることを特徴とするバッテリシステムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリシステムにおいて、前記モバイルキー装置は、前記本体装置を起動するための電力を供給及び充電するバッテリを備え、前記本体装置は、前記バッテリユニットが出力する出力電力から前記バッテリを充電する充電電力を生成する充電電力生成部を備え、前記電力制御部は、前記起動信号により、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除した後に、前記充電電力生成部が生成した前記充電電力を、前記モバイルキー装置に供給して、前記バッテリを充電させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリシステムにおいて、前記電力制御部は、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続され、前記本体装置を起動する起動スイッチによって、前記本体装置が起動された場合に、前記起動信号を、前記バッテリユニットに出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリシステムにおいて、前記本体装置が、前記モータにより車輪を駆動して走行可能な車両であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のバッテリシステムにおいて、前記電力制御部は、前記昇圧部を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、モータを駆動する本体装置と、前記本体装置を起動するための電力を前記本体装置に供給するモバイルキー装置とを備えるバッテリシステムの制御装置であって、前記モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、前記供給電圧より高い制御電圧に昇圧する昇圧部が昇圧した前記制御電圧に基づいて、前記モータを駆動する電力を供給するバッテリユニットを制御する電力制御部を備え、前記バッテリユニットは、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能であり、前記電力制御部は、前記モバイルキー装置が前記本体装置に接続された場合に、前記バッテリユニットの前記遮断状態を解除して、前記バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、前記制御電圧を用いて、前記バッテリユニットに出力することを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、昇圧部が、モバイルキー装置から供給された電力の供給電圧を、供給電圧より高い制御電圧に昇圧し、電力制御部が、モバイルキー装置が本体装置に接続された場合に、バッテリユニットの遮断状態を解除して、バッテリユニットを、電力を出力する状態に起動する起動信号を、制御電圧を用いて、バッテリユニットに出力する。これにより、バッテリシステムは、例えば、鉛蓄電池などの2つ目のバッテリを搭載する必要がなくなるため、部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態によるバッテリシステムの一例を示す概略ブロック図である。
図2】本実施形態におけるモバイルキー装置の概要を示すブロック図である。
図3】本実施形態によるバッテリシステムの動作の一例を示すフリーチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態によるバッテリシステム及び制御装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるバッテリシステム1の一例を示す概略ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、バッテリシステム1は、EV(Electric Vehicle)車両10と、モバイルキー装置20とを備える。
【0016】
EV車両10は、モータ13により車輪を駆動して走行可能な車両(電気自動車)である。EV車両10は、モータ13を駆動する本体装置の一例である。
EV車両10は、バッテリユニット11と、電力変換部12と、モータ13と、充電電力生成部14と、電力制御部15と、昇圧部16と、コンタクトCT1とを備えている。
【0017】
バッテリユニット11は、駆動バッテリ(不図示)を有し、モータ13を駆動するための電力を供給する。バッテリユニット11は、駆動バッテリとして、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池からなるバッテリセルを複数段接続して構成される。バッテリユニット11の出力電圧は、モータ13を駆動する電圧であり、後述する昇圧部16が生成する制御電圧よりも高圧である。バッテリユニット11は、電力の出力状態と、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能である。
【0018】
モータ13は、車軸を駆動して走行させるための動力機構である。モータ13としては、永久磁石型同期モータ、巻線界磁型同期モータ、誘導モータ、等が使用できる。モータ13は、バッテリユニット11から出力される電力により駆動される。
【0019】
電力変換部12は、例えば、インバータであり、バッテリユニット11から供給される電力から、モータ13を駆動する駆動信号に変換する。電力変換部12は、バッテリユニット11から供給される直流電力をモータ13の回転機構に応じた交流電力に変換してモータ13を回転させる。
【0020】
充電電力生成部14は、バッテリユニット11が出力する出力電力からモバイルキー装置20(図2のバッテリ21)を充電する充電電力を生成する。すなわち、充電電力生成部14は、バッテリユニット11から出力される直流電源を降圧して、モバイルキー装置20のバッテリ21を充電するための充電電力を生成する。
【0021】
昇圧部16は、モバイルキー装置20から供給された電力の供給電圧を、供給電圧より高い制御電圧に昇圧する。制御電圧は、例えば、電力制御部15などを動作させるための電圧であり、上述したバッテリユニット11から出力される電力より低い電圧である。昇圧部16は、昇圧した制御電圧を電力制御部15に供給する。
【0022】
また、後述するように、バッテリユニット11を起動させ、モータ13を駆動させる場合には、EV車両10のコンタクトCT1とモバイルキー装置20のコンタクトCT2とが接続される。昇圧部16は、モバイルキー装置20からの、例えば、5Vの直流電源を、例えば、12Vの直流の制御電圧に変換して、電力制御部15に供給する。
【0023】
電力制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含み、バッテリシステム1を統括的に制御する。電力制御部15は、昇圧部16が昇圧した制御電圧に基づいて、例えば、バッテリユニット11を制御する。
【0024】
電力制御部15は、モバイルキー装置20がEV車両10に接続された場合に、バッテリユニット11の起動信号を、制御電圧を用いて、バッテリユニット11に出力する。ここで、起動信号は、バッテリユニット11の遮断状態を解除して、バッテリユニット11を、電力を出力する状態に起動する信号である。
【0025】
また、電力制御部15は、起動信号により、バッテリユニット11の遮断状態を解除した後に、充電電力生成部14が生成した充電電力を、モバイルキー装置20に供給して、バッテリ21を充電させる
また、電力制御部15は、例えば、電力変換部12のインバータの制御信号を出力して、モータ13の駆動する制御を行う。
【0026】
なお、本実施形態では、電力制御部15は、昇圧部16を含んでいる。
また、本実施形態において、制御装置30は、電力制御部15を備える。
【0027】
コンタクトCT1は、EV車両10とモバイルキー装置20とを接続するためのコンタクトである。コンタクトCT1は、昇圧部16及び充電電力生成部14と接続されている。コンタクトCT1は、例えば、モバイルキー装置20を設置して保持するホルダーなどに備えられていてもよく、例えば、モバイルキー装置20を当該ホルダーに置くことで、EV車両10が、使用可能になるものとする。
【0028】
起動スイッチSW1は、例えば、EV車両10を起動するイグニッションスイッチである。起動スイッチSW1は、例えば、オン状態にされることで、EV車両10の起動を開始する。
【0029】
モバイルキー装置20は、EV車両10を起動するための電力をEV車両10に供給する装置である。ここで、図2を参照して、モバイルキー装置20の構成について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態におけるモバイルキー装置20の概要を示すブロック図である。
図2に示すように、モバイルキー装置20は、バッテリ21と、充放電制御部22とを備えている。また、モバイルキー装置20には、コンタクトCT2が設けられる。
【0031】
バッテリ21は、例えば、リチウムイオンバッテリ、等の二次電池から構成される。バッテリ21は、EV車両10を起動するための電力を供給、及び充電する。
充放電制御部22は、バッテリ21の充放電を制御する。バッテリ21の出力電圧は、例えば、5Vである。
【0032】
コンタクトCT2は、モバイルキー装置20とEV車両10とを接続するためのコンタクトである。コンタクトCT2は、充放電制御部22と接続されている。
【0033】
なお、モバイルキー装置20は、例えば、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースにより、EV車両10と接続されてもよい。すなわち、コンタクトCT1及びコンタクトCT2は、USB仕様のコンタクトであってもよい。
【0034】
また、モバイルキー装置20は、コンタクトCT1及びコンタクトCT2により着脱可能に構成されており、EV車両10を使用していないときには、利用者が携帯して保持される。また、モバイルキー装置20は、EV車両10を使用する場合に、コンタクトCT1及びコンタクトCT2によりEV車両10に接続されて使用される。例えば、モバイルキー装置20は、EV車両10を使用しているときに、EV車両10の車内の充電ポッド(不図示)などのフォルダに保持される。
【0035】
次に、図面を参照して、本実施形態によるバッテリシステム1の動作について説明する。
本実施形態によるバッテリシステム1は、EV車両10を起動していないときには、EV車両10のコンタクトCT1とモバイルキー装置20のコンタクトCT2とが外されている。コンタクトCT1とコンタクトCT2とが外されている状態では、バッテリユニット11は、電力の出力を停止した遮断状態となっている。このため、EV車両10は、モータ13を駆動できない。
【0036】
また、図1に示すように、コンタクトCT1とコンタクトCT2とを接続させると、モバイルキー装置20のバッテリ21に基づく出力電源は、コンタクトCT2及びコンタクトCT1を通じて、昇圧部16に供給可能になる。この状態において、起動スイッチSW1が、オン状態にされると、EV車両10が起動されて、モータ13を駆動可能な状態になる。ここで、図3を参照して、バッテリシステム1によるEV車両10の起動処理について説明する。
【0037】
図3は、本実施形態によるバッテリシステム1の動作の一例を示すフリーチャートである。ここでは、図1に示すように、モバイルキー装置20が、コンタクトCT1とコンタクトCT2とにより、EV車両10に接続されたものとして説明する。
【0038】
図3に示すように、バッテリシステム1の電力制御部15は、まず、モバイルキー装置20がEV車両10に接続された状態で、起動されたか否かを判定する(ステップS101)。電力制御部15は、モバイルキー装置20が、コンタクトCT1とコンタクトCT2とにより、EV車両10に接続された状態で、起動スイッチSW1がオン状態にされたか否かを判定する。電力制御部15は、モバイルキー装置20が接続された状態で、起動された場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、電力制御部15は、モバイルキー装置20が接続された状態で、起動されていない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0039】
なお、モバイルキー装置20がEV車両10に接続されて、モバイルキー装置20のバッテリ21から電力制御部15に電力が供給されると、昇圧部16が、バッテリ21から供給された電力の供給電圧を昇圧して、制御電圧を生成する。
【0040】
ステップS102において、電力制御部15が、起動信号をバッテリユニット11に送信する。すなわち、電力制御部15は、モバイルキー装置20がEV車両10に接続され、EV車両10を起動する起動スイッチSW1によって、EV車両10が起動された場合に、起動信号を、バッテリユニット11に出力する。
【0041】
次に、バッテリユニット11が、遮断状態を解除して、各部に電力を供給する(ステップS103)。すなわち、バッテリユニット11は、電力制御部15からの起動信号を受信すると、遮断状態を解除する。バッテリユニット11の遮断状態が解除されると、電力制御部15、等の各部は、バッテリユニット11から供給される電力により動作を行う。
【0042】
次に、充電電力生成部14が、モバイルキー装置20に充電電力を供給する(ステップS104)。バッテリユニット11の遮断状態が解除されると、電力制御部15は、充電電力生成部14が生成した充電電力を、モバイルキー装置20に供給して、バッテリ21を充電させる。充電電力生成部14は、バッテリユニット11からの電力に基づいてバッテリ21の充電電圧を生成し、コンタクトCT1及びコンタクトCT2を通じて、モバイルキー装置20の充放電制御部22に供給する。これにより、モバイルキー装置20のバッテリ21が充電される。ステップS104の処理後に、電力制御部15は、起動処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によるバッテリシステム1は、モータ13を駆動するEV車両10(本体装置)と、EV車両10を起動するための電力をEV車両10に供給するモバイルキー装置20とを備えるバッテリシステムであって、EV車両10は、バッテリユニット11と、昇圧部16と、電力制御部15とを備える。バッテリユニット11は、モータ13を駆動する電力を供給するバッテリユニット11であって、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能である。昇圧部16は、モバイルキー装置20から供給された電力の供給電圧を、供給電圧より高い制御電圧に昇圧する。電力制御部15は、昇圧部16が昇圧した制御電圧に基づいて、バッテリユニット11を制御する。電力制御部15は、モバイルキー装置20がEV車両10に接続された場合に、バッテリユニット11の遮断状態を解除して、バッテリユニット11を、電力を出力する状態に起動する起動信号を、制御電圧を用いて、バッテリユニット11に出力する。
【0044】
これにより、本実施形態によるバッテリシステム1は、昇圧部16が、モバイルキー装置20から供給された電力の供給電圧を、供給電圧より高い制御電圧に昇圧する。また、電力制御部15が、モバイルキー装置20がEV車両10(本体装置)に接続された場合に、バッテリユニット11の遮断状態を解除して、バッテリユニット11を、電力を出力する状態に起動する起動信号を、制御電圧を用いて、バッテリユニットに出力する。これにより、本実施形態によるバッテリシステム1は、例えば、鉛蓄電池などの2つ目のバッテリを搭載する必要がなくなるため、部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減することができる。
【0045】
また、本実施形態では、モバイルキー装置20は、EV車両10を起動するための電力を供給及び充電するバッテリ21を備える。EV車両10は、バッテリユニット11が出力する出力電力からバッテリ21を充電する充電電力を生成する充電電力生成部14を備える。電力制御部15は、起動信号により、バッテリユニット11の遮断状態を解除した後に、充電電力生成部14が生成した充電電力を、モバイルキー装置20に供給して、バッテリ21を充電させる。
【0046】
これにより、本実施形態によるバッテリシステム1では、EV車両10からモバイルキー装置20のバッテリ21を充電することができ、EV車両10の使用と同時に、モバイルキー装置20のバッテリ21を充電することができるため、EV車両10の外部で、モバイルキー装置20のバッテリ21を充電する必要がない。よって、本実施形態によるバッテリシステム1は、利便性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、電力制御部15は、モバイルキー装置20がEV車両10に接続され、EV車両10を起動する起動スイッチSW1によって、EV車両10が起動された場合に、起動信号を、バッテリユニット11に出力する。
【0048】
これにより、本実施形態によるバッテリシステム1は、起動スイッチSW1によって、バッテリユニット11の遮断状態を解除し、EV車両10を適切に起動することができる。
【0049】
また、本実施形態では、本体装置が、モータ13により車輪を駆動して走行可能な車両である。
これにより、本実施形態によるバッテリシステム1は、モータ13により車輪を駆動して走行可能な車両において、例えば、鉛蓄電池などの2つ目のバッテリを搭載する必要がなくなるため、部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態では、電力制御部15は、昇圧部16を含む。
これにより、本実施形態によるバッテリシステム1は、電力制御部15と昇圧部16とを共有化できるため、さらに部品搭載を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態による制御装置30は、モータ13を駆動するEV車両10と、EV車両10を起動するための電力をEV車両10に供給するモバイルキー装置20とを備えるバッテリシステム1の制御装置であって、電力制御部15を備える。電力制御部15は、モータ13を駆動する電力を供給するバッテリユニット11を制御する。バッテリユニット11は、電力の出力を停止した遮断状態に変更可能である。また、電力制御部15は、モバイルキー装置20がEV車両10に接続された場合に、バッテリユニット11の遮断状態を解除して、バッテリユニット11を、電力を出力する状態に起動する起動信号を、制御電圧を用いて、バッテリユニット11に出力する。
【0052】
これにより、本実施形態による制御装置30は、上述したバッテリシステム1と同様の効果を奏し、部品搭載のレイアウトを簡略化し、システム全体の重量を低減することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、本体装置の一例として、EV車両10である例を説明したが、これに限定されるものではなく、モータ13を駆動する装置であれば、他の装置を本体装置として適用してもよい。
【0054】
また、上記の実施形態において、EV車両10のコンタクトCT1とモバイルキー装置20のコンタクトCT2とを電気的に接続することで、モバイルキー装置20のバッテリ21の電力をEV車両10に伝送しているが、EV車両10のコンタクトCT1とモバイルキー装置20のコンタクトCT2との間を、無線で電力伝送するようにしてもよい。無線による電力伝送としては、例えば、電磁誘導方式や磁界共振方式のものを用いることができる。このようにすると、EV車両10とモバイルキー装置20とを近接させることで、EV車両10とモバイルキー装置20との間で、電力伝送が可能となる。
【0055】
また、上記の実施形態において、起動スイッチSW1は、例えば、コンタクトCT1と、昇圧部16との間に配置され、EV車両10の起動時に、モバイルキー装置20とEV車両(昇圧部16)とを接続し、モバイルキー装置20から供給された電力の供給電圧を昇圧部16に供給するようにしてもよい。
【0056】
また、上記の実施形態において、EV車両10が、電気自動車である例を説明したが、これに限定されるものではなく、電気二輪車など、他の車両であってもよい。すなわち、EV車両10には、四輪車の他に、二輪車も含まれる。
【0057】
また、上述のバッテリシステム1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した電力制御部15の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態において、バッテリシステム1の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。また、上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。
【0059】
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 バッテリシステム
10 EV車両
11 バッテリユニット
12 電力変換部
13 モータ
14 充電電力生成部
15 電力制御部
16 昇圧部
20 モバイルキー装置
21 バッテリ
22 充放電制御部
30 制御装置
SW1 起動スイッチ
図1
図2
図3