(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151862
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H04N1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065612
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グエン ホン・タイ
(72)【発明者】
【氏名】グェン マン・フン
(72)【発明者】
【氏名】レ ヴァン・ナム
(72)【発明者】
【氏名】ファン ティ・ホア
(72)【発明者】
【氏名】グエン ハック・テュエン
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC30
5C062AC34
5C062AF02
(57)【要約】
【課題】送信ジョブの送信先を容易に設定する。
【解決手段】画像処理装置は、原稿を読み取り、読み取った原稿ごとに原稿の画像データを生成する画像読取部と、外部機器と通信可能に接続される通信部と、原稿の読み取りで得られた画像データを外部機器に送信する送信ジョブを制御する制御部と、を備え、送信ジョブを実行するとき、制御部は、画像データから送信情報を抽出する抽出処理を画像データごとに行い、送信情報を抽出元の画像データに割り当てる割当処理を行い、割当処理で画像データに割り当てた送信情報に含まれるアドレスを割り当て先の画像データの送信先に設定する送信先設定処理を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取り、読み取った前記原稿ごとに前記原稿の画像データを生成する画像読取部と、
外部機器と通信可能に接続される通信部と、
前記原稿の読み取りで得られた前記画像データを前記外部機器に送信する送信ジョブを制御する制御部と、を備え、
前記送信ジョブを実行するとき、前記制御部は、
前記画像データから送信情報を抽出する抽出処理を前記画像データごとに行い、
前記送信情報を抽出元の前記画像データに割り当てる割当処理を行い、
前記割当処理で前記画像データに割り当てた前記送信情報に含まれるアドレスを割り当て先の前記画像データの送信先に設定する送信先設定処理を行う、画像処理装置。
【請求項2】
前記送信情報には、複数のアドレスを含む一斉送信情報があり、
前記一斉送信情報を割り当てた前記画像データを対象にして前記送信先設定処理を行うとき、前記制御部は、前記一斉送信情報に含まれる複数のアドレスを前記画像データの送信先に設定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
操作を受け付ける操作部を備え、
前記抽出処理に失敗した前記画像データが存在するとき、前記制御部は、第1処理、第2処理および第3処理のいずれかを選択する操作の受け付けを前記操作部に行わせ、
前記第1処理が選択されたとき、前記制御部は、前記抽出処理に成功した前記画像データのみの前記外部機器への送信を前記通信部に行わせ、
前記第2処理が選択されたとき、前記制御部は、前記画像読取部による読み取りを続行させ、続行させた読み取りで得られた前記画像データを前記外部機器への送信対象として追加し、
前記第3処理が選択されたとき、前記制御部は、前記送信ジョブをキャンセルする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
操作を受け付ける操作部と、
画像を印刷する印刷部と、を備え、
実行するジョブが送信情報印刷ジョブのとき、前記制御部は、
付加すべきアドレスを選択する付加アドレス選択操作の受け付けを前記操作部に行わせ、
前記付加アドレス選択操作で選択されたアドレスを含む情報を前記送信情報として生成し、
前記送信情報が付加されていない前記原稿への前記送信情報の印刷を前記印刷部に行わせる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
操作を受け付ける操作部を備え、
前記操作部は、対象とするアドレスを指定する対象アドレス指定操作を受け付け、
前記制御部は、前記対象アドレス指定操作で指定されたアドレスを対象アドレスとして認識し、
前記対象アドレスが指定された状態での前記送信ジョブでは、前記制御部は、
前記対象アドレスを含む前記送信情報を割り当てた前記画像データを前記外部機器への送信対象とし、
前記対象アドレスを含まない前記送信情報を割り当てた前記画像データは前記外部機器への送信対象としない、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
操作を受け付ける操作部を備え、
前記送信ジョブを実行するとき、前記制御部は、前記送信情報を消去するか否かを選択する操作の受け付けを前記操作部に行わせ、
前記送信情報を消去する旨を前記操作部が受け付けたとき、前記制御部は、前記画像データから前記送信情報を消去した編集済み画像データを生成し、前記編集済み画像データの前記外部機器への送信を前記通信部に行わせ、
前記送信情報を消去しない旨を前記操作部が受け付けたとき、前記制御部は、前記送信情報を含む前記画像データの前記外部機器への送信を前記通信部に行わせる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記送信情報は、アドレスをコード化したコード画像である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像データの所定位置に存在する情報を前記送信情報として抽出する、請求項1に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データを送受信し、受信した画像データ内のコード画像に埋め込まれた情報を認識する画像処理装置が知られている。このような画像処理装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の画像処理装置は、コード画像を含む回覧画像の送受信を行う。回覧画像を受信した画像処理装置は、コード画像に埋め込まれた情報に基づき、回覧画像の対応(確認および承認など)を今回行うユーザーを認識する。また、画像処理装置は、予め記憶された回覧順を示す情報に基づき、回覧画像の次の送信先を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理装置で原稿を読み取り、原稿の画像データを外部機器に送信する送信ジョブでは、送信ジョブの送信先を設定する必要がある。送信先の設定を間違えると、意図しない外部機器に画像データが送信されるなどの不都合が生じる。したがって、送信先の設定は間違わずに行わなければならない。すなわち、送信先アドレスを入力したり検索したりする作業を慎重に行わなければならない。しかし、ユーザーにとっては、送信先アドレスを入力したり検索したりする作業は煩わしい。
【0006】
たとえば、第1画像データは第1端末(たとえば、PC)に送信し、第2画像データは第2端末に送信する、といった作業が行われる。この例では、第1画像データの送信時には、第1端末が送信先となるよう設定しなければならない。そして、第2画像データの送信時には、送信先の設定を再度行い、第2端末を送信先にしなければならない。これにより、ユーザーにとっては煩わしい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、送信ジョブの送信先を容易に設定することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一局面による画像処理装置は、原稿を読み取り、読み取った原稿ごとに原稿の画像データを生成する画像読取部と、外部機器と通信可能に接続される通信部と、原稿の読み取りで得られた画像データを外部機器に送信する送信ジョブを制御する制御部と、を備える。送信ジョブを実行するとき、制御部は、画像データから送信情報を抽出する抽出処理を画像データごとに行い、送信情報を抽出元の画像データに割り当てる割当処理を行い、割当処理で画像データに割り当てた送信情報に含まれるアドレスを割り当て先の画像データの送信先に設定する送信先設定処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成では、送信ジョブの送信先を容易に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】一実施形態による複合機のブロック図である。
【
図3】一実施形態による複合機で実行される送信情報印刷ジョブについて説明するための図である。
【
図4】一実施形態による複合機の制御部が送信ジョブの送信先を設定するときに行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態による複合機の画像読取部が読み取る送信情報について説明するための図である。
【
図6】一実施形態による複合機で実行される送信ジョブについて説明するための図である。
【
図7】一実施形態による複合機で実行される送信ジョブ(一斉送信)について説明するための図である。
【
図8】一実施形態による複合機で生成される有効画像データと無効画像データについて説明するための図である。
【
図9】一実施形態による複合機の操作パネルが表示するエラー画面の図である。
【
図10】一実施形態による複合機の制御部が送信情報印刷ジョブを実行するときに行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】一実施形態による複合機の操作パネルが表示するオプション画面の図である。
【
図12】一実施形態による複合機の操作パネルが表示するアドレス選択画面の図である。
【
図13】一実施形態による複合機の操作パネルが表示する設定画面の図である。
【
図14】一実施形態による複合機の操作パネルが表示するアドレス指定画面の図である。
【
図15】
図14に示す設定内容で行われる送信ジョブについて説明するための図である。
【
図16】一実施形態による複合機の操作パネルが表示するアドレス指定画面の図である。
【
図17】
図16に示す設定内容で行われる送信ジョブについて説明するための図である。
【
図18】一実施形態による複合機の操作パネルが表示する設定画面の図である。
【
図19】一実施形態による複合機の制御部が行う編集処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図19を参照し、本発明の一実施形態による画像処理装置について、印刷機能および送信機能など複数種の機能を有する複合機100を例にとって説明する。
【0012】
図1に示すように、複合機100(「画像処理装置」に相当)は、印刷部1を備える。印刷部1は、複合機100の本体を構成する。印刷部1は、シートSに画像を印刷する。たとえば、印刷部1の印刷方式は、電子写真方式である。ただし、これに限定されない。印刷部1の印刷方式は、インクジェット方式であってもよい。
【0013】
印刷部1は、シート搬送路に沿ってシートSを搬送する。
図1では、シート搬送路を破線で示す。また、印刷部1は、画像を形成する。そして、印刷部1は、搬送中のシートSに画像を印刷する。
【0014】
具体的には、印刷部1は、給紙ローラー11を備える。給紙ローラー11は、シートカセットCAに収容されたシートSに当接し、その状態で回転する。これにより、給紙ローラー11は、シートカセットCAからシート搬送路にシートSを給紙する。
【0015】
印刷部1は、画像形成部12を備える。画像形成部12は、感光体ドラム12aおよび転写ローラー12bを含む。感光体ドラム12aは、その周面上にトナー像を担持する。転写ローラー12bは、感光体ドラム12aに圧接し、感光体ドラム12aとの間で転写ニップを形成する。転写ローラー12bは、感光体ドラム12aと共に回転する。画像形成部12は、転写ニップに進入したシートSを搬送しつつ、シートSにトナー像を転写する。
【0016】
画像形成部12は、図示しないが、帯電装置、露光装置および現像装置をさらに含む。帯電装置は、感光体ドラム12aの周面を帯電させる。露光装置は、感光体ドラム12aの周面上に静電潜像を形成する。現像装置は、感光体ドラム12aの周面上の静電潜像をトナー像に現像する。
【0017】
印刷部1は、定着部13を備える。定着部13は、加熱ローラー13aおよび加圧ローラー13bを含む。加熱ローラー13aは、ヒーター(図示せず)を内蔵する。加圧ローラー13bは、加熱ローラー13aに圧接し、加熱ローラー13aとの間で定着ニップを形成する。加圧ローラー13bは、加熱ローラー13aと共に回転する。定着部13は、定着ニップに進入したシートSを搬送しつつ、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させる。定着ニップを抜けたシートSは排出トレイETに排出される。
【0018】
また、複合機100は、画像読取部2を備える。画像読取部2は、複合機100の本体上部に配置される。原稿Dの読み取りを伴うジョブでは、画像読取部2に原稿Dがセットされる。画像読取部2は、画像読取部2にセットされた原稿Dを読み取り、読み取った原稿Dごとに原稿Dの画像データを生成する。
【0019】
複数枚の原稿Dを1枚ずつ連続して読み取った場合、画像読取部2は、複数枚の原稿Dにそれぞれ対応する複数の画像データを生成する。なお、複数枚の原稿Dの各読取画像を1ページにまとめた集約画像データを生成することもできる。ただし、以下の説明では、原稿Dごとに1ページ分の画像データが生成されるとする。
【0020】
画像読取部2は、コンタクトガラスG1およびG2を備える。コンタクトガラスG1およびG2は、画像読取部2の筐体RHに設置される。筐体RHは、上面に開口を有する。コンタクトガラスG1およびG2は、筐体RHの上面の開口に取り付けられる。
【0021】
画像読取部2は、原稿搬送装置DPを備える。原稿搬送装置DPは、筐体RHに取り付けられる。原稿搬送装置DPは、複合機100の正面から見て、後側部分を支点とし、前側部分を上下に振るように回動する。原稿搬送装置DPは、筐体RHの上面に対して開閉する。
【0022】
原稿搬送装置DPは、原稿DがセットされるセットトレイSTを有する。原稿搬送装置DPは、セットトレイSTにセットされた原稿DをコンタクトガラスG1上に搬送する。なお、複数枚の原稿DがセットトレイSTにセットされる場合がある。この場合、原稿搬送装置DPは、複数枚の原稿Dを1枚ずつ連続して搬送する。そして、画像読取部2は、複数枚の原稿Dを1枚ずつ連続して読み取る。
【0023】
搬送読取モードでは、ユーザーによってセットトレイSTに原稿Dがセットされる。そして、原稿搬送装置DPによってコンタクトガラスG1上に自動搬送される原稿D(言い換えると、コンタクトガラスG1上を通過する原稿D)の読み取りが行われる。一方で、載置読取モードでは、ユーザーによってコンタクトガラスG2上に原稿Dがセットされ、コンタクトガラスG2上の原稿Dの読み取りが行われる。
【0024】
画像読取部2は、光源21、イメージセンサー22、ミラー23およびレンズ24を備える。光源21、イメージセンサー22、ミラー23およびレンズ24は、筐体RHの内部に設置される。画像読取部2は、光源21からコンタクトガラスG1またはG2に向けて光を照射し、イメージセンサー22で光電変換するスキャン動作を行う。
【0025】
光源21は、複数のLED素子を有する。複数のLED素子は、主走査方向(
図1の紙面に垂直な方向)にライン状に配列される。イメージセンサー22は、主走査方向に並ぶ複数の光電変換素子を有する。ミラー23は、レンズ24に向けて光を反射する。レンズ24は、ミラー23で反射された光を集光し、イメージセンサー22に導く。
【0026】
光源21よびミラー23は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能なキャリッジ25に設置される。キャリッジ25が副走査方向に移動することにより、画像読取部2による読取ラインが副走査方向に移動する。
【0027】
また、
図2に示すように、複合機100は、制御部10を備える。制御部10は、CPUおよびASICなどの処理回路を含む。制御部10は、ROMおよびRAMなどのメモリーを含む。
【0028】
制御部10は、印刷部1によるシートSへの画像の印刷を制御する。言い換えると、制御部10は、印刷ジョブを制御する。また、制御部10は、画像読取部2による原稿Dの読み取りを制御する。なお、印刷ジョブには、画像読取部2による原稿Dの読み取りで得られた原稿Dの画像データに基づく画像をシートSに印刷するコピージョブがある。
【0029】
複合機100は、操作パネル3を備える。操作パネル3は「操作部」に相当する。操作パネル3には、タッチスクリーンが設けられる。操作パネル3は、ソフトウェアボタンおよびメッセージなどをタッチスクリーンに表示する。操作パネル3には、複数のハードウェアボタンも設けられる。操作パネル3は、ユーザーから操作を受け付ける。言い換えると、操作パネル3は、ユーザーから情報の入力を受ける。ユーザーは、操作パネル3を介して、複合機100で実行するジョブに関する設定および指示などを行える。
【0030】
制御部10は、操作パネル3の表示動作を制御する。制御部10は、操作パネル3に対して行われた操作を検知する。制御部10は、操作パネル3がユーザーから受け付けた設定および指示などに基づき、複合機100で実行するジョブを制御する。
【0031】
また、複合機100は、記憶部4を備える、記憶部4は、不揮発性の記憶デバイスを含む。記憶部4は、データを記憶する。制御部10は、記憶部4へのデータの書き込みおよび記憶部4からのデータの読み出しを行う。
【0032】
複合機100は、通信部5を備える。通信部5は、複合機100をLANなどのネットワークNTに接続するための通信インターフェースである。通信部5は、通信用回路、通信用メモリーおよび通信用コネクターなどを含む。通信部5は、ネットワークNTを介して、パーソナルコンピューター6(以下の説明では、PC6と称する)と通信可能に接続される。PC6は「外部機器」に相当する。通信部5は、PC6との間でデータを送受信する。PC6は、複合機100のユーザーにより使用される。すなわち、PC6は、ユーザー端末である。スマートフォンおよびタブレットコンピューターなどもユーザー端末になり得る。
【0033】
たとえば、複合機100のユーザーは複数存在する。このため、複数のPC6が複合機100に通信可能に接続される。なお、複合機100には、画像処理装置およびサーバーなど、PC6とは別の外部機器が通信可能に接続されてもよい。
【0034】
制御部10は、通信部5を用いて、PC6との間でデータを送受信する。制御部10は、原稿Dの読み取りで得られた原稿Dの画像データをPC6に送信する送信ジョブを制御する。たとえば、送信ジョブでは、原稿Dの読み取りで得られた原稿Dの画像データがPDFデータに変換され、複合機100からPC6に送信される。
【0035】
<送信先の自動設定>
複合機100で送信ジョブを実行することにより、ユーザーは、複合機100で読み取った原稿Dの画像データをPC6に送信し、保存できる。これにより、ユーザーは、複合機100で読み取った原稿Dの画像データに基づく画像をPC6に表示できる。
【0036】
複合機100で送信ジョブを実行するには、送信先を設定する必要がある。このため、操作パネル3は、送信ジョブの送信先アドレスの入力をユーザーから受け付ける。制御部10は、ユーザーにより入力されたアドレスを送信ジョブの送信先に設定する。
【0037】
たとえば、ユーザーは、操作パネル3のソフトウエアキーボードおよびハードウェアキーボードを用いて、送信先アドレスを入力する。あるいは、ユーザーは、操作パネル3にアドレス帳を表示し、アドレス帳から送信先アドレスを検索する。しかし、ユーザーからすると、送信先アドレスをキーボードで入力したりアドレス帳から検索したりすることは煩わしい。
【0038】
さらに、複数枚の原稿Dの各画像データをそれぞれ別のPC6に送信する場合には、画像データごとに送信先を設定しなければならず、送信先の設定作業が大変である。
【0039】
そこで、複合機100は、送信先自動設定機能を有する。送信先自動設定機能を利用することにより、送信ジョブの送信先が自動で設定される。ただし、送信先自動設定機能を利用するには、送信ジョブでその画像データをPC6に送信する予定の原稿Dに送信情報7を付加しておく必要がある。以下の説明では、送信情報7が付加されていない原稿D(すなわち、送信先自動設定機能を利用できない原稿D)に符号Doを付して元原稿Doと称し、送信情報7が付加されている原稿D(すなわち、送信先自動設定機能を利用できる原稿D)に符号Daを付して送信情報付き原稿Daと称する。元原稿Doを
図3上図に示し、送信情報付き原稿Daを
図3下図に示す。
【0040】
なお、複合機100は、送信情報印刷機能を有する。送信情報印刷機能を利用することにより、複合機100で送信情報印刷ジョブを実行できる。送信情報印刷ジョブを実行することにより、
図3に示すように、元原稿Doに送信情報7を付加できる。すなわち、送信情報付き原稿Daを作成できる。送信情報印刷ジョブでは、元原稿Doに送信情報7が印刷される。送信情報印刷ジョブで得られる印刷物が送信情報付き原稿Daとなる。送信情報印刷機能については、後に詳細に説明する。
【0041】
送信情報7は、アドレスを含む情報である。送信情報7に含まれるアドレスとしては、電子メールアドレスおよびIPアドレスなどがある。なお、送信情報7には、互いに異なる複数のアドレスが含まれてもよい。送信情報7は、アドレスをコード化することにより得られる。すなわち、送信情報7は、コード画像である。送信情報7は、バーコードのような一次元コードでもよいし、QRコード(登録商標)のような二次元コードでもよい。
【0042】
そして、実行ジョブが送信ジョブであり、かつ、送信先自動設定機能が有効のとき、制御部10は、
図4に示すフローに沿って処理を行う。
【0043】
図4に示すフローのスタート時点では、画像読取部2に送信情報付き原稿Daがセットされているとする。たとえば、画像読取部2にセットされている送信情報付き原稿Daは複数枚である。この状態で、送信ジョブの実行指示を操作パネル3が受け付けたとき、
図4に示すフローがスタートする。
【0044】
ステップS1において、制御部10は、複数枚の送信情報付き原稿Daの読み取りを画像読取部2に行わせる。そして、複数枚の送信情報付き原稿Daのそれぞれの画像データを取得する。
【0045】
ステップS2において、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7を抽出する抽出処理を画像データごとに行う。すなわち、制御部10は、複数枚の送信情報付き原稿Daのそれぞれの画像データから送信情報7を抽出する。送信情報付き原稿Daの読取枚数が複数枚であるため、複数の送信情報7が抽出される。
【0046】
送信情報印刷ジョブでは、送信情報7が所定位置に付加された送信情報付き原稿Daが作成される。このため、抽出処理を行うとき、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データのうち所定位置(具体的には、送信情報付き原稿Daの所定位置に対応する位置)に存在する情報を送信情報7として抽出する。これにより、送信情報7とは無関係の情報が送信情報7として抽出されることを抑制できる。
【0047】
なお、送信情報7がQRコード(登録商標)である場合、制御部10は、コード画像内の位置検出用パターンの検出処理を行う。送信情報付き原稿Daの画像データのうち所定位置で位置検出用パターンを検出できたとき、制御部10は、画像データの所定位置に送信情報7が存在すると判断する。
【0048】
送信情報7が画像データの所定位置に存在すると、制御部10による抽出処理が成功する。抽出処理が成功した場合、制御部10は、送信情報7としてのコード画像をデコードし、そのコード画像に埋め込まれた情報を認識する(
図5参照)。すなわち、制御部10は、送信情報7に含まれるアドレスを認識する。
【0049】
ステップS3において、制御部10は、送信情報7を抽出元の画像データに割り当てる割当処理を行う。たとえば、
図6に示すように、第1~第3の送信情報付き原稿Daにそれぞれ対応する第1~第3の画像データD1~D3が生成され、第1~第3の画像データD1~D3のそれぞれから第1~第3の送信情報7(71~73)が抽出されたとする。この場合、第1の送信情報71が第1の画像データD1に割り当てられ、第2の送信情報72が第2の画像データD2に割り当てられ、第3の送信情報73が第3の画像データD3に割り当てられる。
図6では、第1の送信情報71に含まれるアドレスを「xxx」で表記し、第2の送信情報72に含まれるアドレスを「yyy」で表記し、第3の送信情報73に含まれるアドレスを「zzz」で表記する。
【0050】
ステップS4において、制御部10は、複数の送信情報付き原稿Daのそれぞれの画像データごとに送信先設定処理を行う。具体的には、制御部10は、割当処理で画像データに割り当てた送信情報7に含まれるアドレスを割り当て先の画像データの送信先に設定する。
【0051】
ステップS5において、制御部10は、通信部5を制御し、複数の送信情報付き原稿Daのそれぞれの画像データを対応する送信先(ステップS4で設定した送信先)に送信する。
図6に示す例では、送信情報71のアドレスが割り当てられたPC61に画像データD1が送信され、送信情報72のアドレスが割り当てられたPC62に画像データD2が送信され、送信情報73のアドレスが割り当てられたPC63に画像データD3が送信される。
【0052】
本実施形態では、複合機100での送信ジョブの実行に先立って、元原稿Doに送信情報7を付加した送信情報付き原稿Daを作成しておけば、送信ジョブを実行するときにユーザー自身で送信先を設定しなくても、自動的に送信先が設定される。すなわち、送信ジョブの送信先を容易に設定できる。ユーザーからすると、送信ジョブの実行に際し、送信先アドレスをキーボードで入力したりアドレス帳から検索したりする作業が不要となるので、利便性が良い。また、当該作業が不要となるので、速やかに送信ジョブを完了させることができる。
【0053】
たとえば、複合機100に送信先自動設定機能が搭載されていない場合、
図6に示す例では、送信先を設定して送信ジョブの実行を指示する、という一連の操作を3回行わなければならない。一方で、複合機100に送信先自動設定機能が搭載されている場合には、送信ジョブの実行を指示する操作を1回行えばよい。
【0054】
なお、送信情報7は、アドレスをコード化したコート画像である。これにより、第3者にアドレスが漏洩することを抑制できる。
【0055】
<画像データの一斉送信>
送信情報7には、複数のアドレスを含む一斉送信情報70(
図7参照)がある。すなわち、送信情報付き原稿Daに一斉送信情報70が付加される場合がある。
【0056】
制御部10は、送信情報付き原稿Daの読み取りで得られた画像データから抽出した送信情報7に対するデコードの結果、送信情報7が一斉送信情報70であるか否かを認識する。送信情報付き原稿Daの画像データから抽出した送信情報7が一斉送信情報70であったとき、制御部10は、一斉送信情報70を抽出元の画像データに割り当てる。これにより、一斉送信が行われる。
【0057】
具体的には、
図7に示すように、一斉送信情報70を割り当てた画像データを対象にして送信先設定処理を行うとき、制御部10は、一斉送信情報70に含まれる複数のアドレスを対象の画像データの送信先に設定する。そして、制御部10は、通信部5を制御し、対象の画像データを複数の送信先に一斉送信する。
【0058】
図7には、「xxx」で表記した第1アドレス、「yyy」で表記した第2アドレス、および、「zzz」で表記した第3アドレスの3つが一斉送信情報70に含まれている例を示す。
図7に示す例では、第1アドレスが割り当てられたPC61、第2アドレスが割り当てられたPC62、および、第3アドレスが割り当てられたPC63に対し、送信情報付き原稿Daの画像データD1が一斉送信される。
【0059】
この構成では、送信ジョブの実行に際し、ユーザー自身で複数の送信先を設定しなくても、一斉送信を行うことができる。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0060】
<抽出処理の失敗>
たとえば、送信情報付き原稿Daの折れ曲がった部分が送信情報7と重なり合う場合がある。また、送信情報付き原稿Daの送信情報7が汚れたり、送信情報7の印字がかすれたりする場合がある。これらの場合、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7を抽出できない。すなわち、制御部10による抽出処理が失敗する。以下の説明では、抽出処理に成功した画像データを有効画像データと称し、抽出処理に失敗した画像データを無効画像データと称する場合がある。
【0061】
送信情報付き原稿Daの折れ曲がった部分が送信情報7と重なり合った場合には、
図8において符号D3を付した画像データが生成される。すなわち、画像データD3は、無効画像データである。画像データD1およびD2は、有効画像データである。
【0062】
複数枚の送信情報付き原稿Daのうち、たとえば、或る画像データに対する抽出処理に失敗しても、他の画像データに対する抽出処理に成功していれば、抽出処理に成功した画像データをPC6への送信対象として送信ジョブを続行できる。すなわち、いずれかの画像データが無効画像データであっても、送信ジョブを敢えてキャンセルする必要はない。
【0063】
そこで、無効画像データが存在するとき、制御部10は、第1処理、第2処理および第3処理のいずれかを選択する操作の受け付けを操作パネル3に行わせる。そして、制御部10は、第1処理、第2処理および第3処理のうち、ユーザーにより選択された処理を行う。
【0064】
操作パネル3は、
図9に示すようなエラー画面31を表示し、送信情報付き原稿Daの読み取りに失敗した旨を報知する。そして、操作パネル3は、第1処理、第2処理および第3処理のいずれかを選択する操作をユーザーから受け付ける。エラー画面31には、第1処理に対応する第1ボタン311、第2処理に対応する第2ボタン312、および、第3処理に対応する第3ボタン313が表示される。図示しないが、第1ボタン311、第2ボタン312および第3ボタン313にそれぞれ、対応する処理の内容を示す情報が付されてもよい。操作パネル3は、第1ボタン311に対する操作を第1処理の選択操作として受け付け、第2ボタン312に対する操作を第2処理の選択操作として受け付け、第3ボタン313に対する操作を第3処理の選択操作として受け付ける。
【0065】
第1処理が選択されたとき、制御部10は、有効画像データのみのPC6への送信を通信部5に行わせる。
図8に示す例では、画像データD1およびD2のPC6への送信が行われ、画像データD3の送信は行われない。なお、第1処理が選択された場合には、無効画像データに対応するプレビュー画像を操作パネル3に表示してもよい。
【0066】
第2処理が選択されたとき、制御部10は、画像読取部2による送信情報付き原稿Daの読み取りを続行させ、続行させた読み取りで得られた画像データをPC6への送信対象として追加する。たとえば、ユーザーは、第2処理を選択することにより、残りの送信情報付き原稿Da(すなわち、未だ読み取っていない送信情報付き原稿Da)の読み取りを完遂することもできるし、無効画像データに対応する送信情報付き原稿Dの読み取りをやり直すこともできる。なお、第2処理が選択された場合にも、無効画像データに対応するプレビュー画像を操作パネル3に表示してもよい。
【0067】
第3処理が選択されたとき、制御部10は、送信ジョブをキャンセルする。この場合には、有効画像データおよび無効画像データにかかわらず、全ての画像データの送信がキャンセルされる。
【0068】
この構成では、いずれかの送信情報付き原稿Daの画像データの送信が行えない状態になったとき、以降の処理をユーザーが選択できる。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0069】
<送信情報の付加>
以下、
図10に示すフローチャートを参照し、実行するジョブが送信情報印刷ジョブであるときに制御部10が行う処理の流れについて説明する。
【0070】
図10に示すフローのスタート時点では、シートカセットCAに元原稿Doがセットされているとする。また、送信情報印刷機能が有効であるとする。
【0071】
たとえば、操作パネル3は、
図11に示すようなオプション画面32を表示する。オプション画面32には、複数のオプションボタン320が表示される。複数のオプションボタン320のうち1つが送信情報印刷機能に対応する。そして、送信情報印刷機能に対応するオプションボタン320が操作されたとき、制御部10は、送信情報印刷機能を有効に設定する。
【0072】
ステップS11において、制御部10は、付加するアドレスを選択する付加アドレス選択操作の受け付けを操作パネル3に行わせる。たとえば、送信情報印刷機能が有効に設定されたとき、操作パネル3は、付加アドレス選択操作をユーザーから受け付ける。このとき、操作パネル3は、
図12に示すようなアドレス選択画面33を表示する。
【0073】
アドレス選択画面33には、登録アドレスのリストLが表示される。登録アドレスは、ユーザーにより予め登録されたアドレスであり、記憶部4に記憶される。
図12に示す例では、「xxx」で表記したアドレス、「yyy」で表記したアドレス、および、「zzz」で表記したアドレスの3つがリストアップされている。
【0074】
操作パネル3は、たとえば、アドレスの表示領域に対するタッチ操作をアドレス選択操作として受け付ける。制御部10は、アドレス選択操作が行われた表示領域のアドレスが選択されたと判断する。
【0075】
ステップS12において、制御部10は、送信情報7を生成する情報生成処理を行う。制御部10は、付加アドレス選択操作で選択されたアドレス(ここでは、選択アドレスと称する)を含む情報を送信情報7として生成する。なお、制御部10は、送信情報7として、選択アドレスをコード化したコード画像を生成する。
【0076】
ステップS13において、制御部10は、情報生成処理で生成した送信情報7の元原稿Doへの印刷を印刷部1に行わせる。これにより、送信情報付き原稿Daが作成される。
【0077】
この構成では、送信情報付き原稿Daを容易に作成できる。ユーザーからすると、元原稿Doをセットし、送信先アドレスを選択するだけでよいので、利便性が良い。
【0078】
<選択的な送信>
ユーザーによっては、複数枚の送信情報付き原稿Daのうち特定の送信情報付き原稿Daの画像データだけをPC6に送信したい場合がある。しかし、複数枚の送信情報付き原稿Daの中から特定の送信情報付き原稿Daを見つける作業は煩わしい。また、場合によっては、当該作業は時間がかかる。
【0079】
そこで、複合機100は、選択送信機能を有する。選択送信機能を利用した場合には、複数枚の送信情報付き原稿Daのうち特定の送信情報付き原稿Daの画像データだけを選択的にPC6に送信できる。
【0080】
たとえば、オプション画面32(
図11参照)には、送信機能に対応するオプションボタン320が表示される。送信機能に対応するオプションボタン320が操作されたとき、制御部10は、
図13上図に示すような設定画面34を操作パネル3に表示させる。設定画面34には、複数のボタン340が表示される。複数のボタン340のうち1つが送信先自動設定機能に対応する。なお、複数のボタン340のうち別の1つが操作されたとき、制御部10は、通常の送信ジョブを実行する。
【0081】
送信先自動設定機能に対応するボタン340が操作されたとき、制御部10は、
図13下図に示すような設定画面35を操作パネル3に表示させる。設定画面35には、複数のボタン350が表示される。複数のボタン350のうち1つが選択送信機能に対応する。選択送信機能に対応するボタン350が操作されたとき、制御部10は、選択送信機能を有効に設定する。なお、複数のボタン350のうち別の1つが操作されたとき、制御部10は、送信ジョブで読み取られた全ての送信情報付き原稿Daの画像データのPC6への送信を通信部5に行わせる。
【0082】
選択送信機能に対応するボタン350が操作されたとき、制御部10は、
図14に示すようなアドレス指定画面36を操作パネル3に表示させる。アドレス指定画面36には、登録アドレスがリストアップされて表示される。操作パネル3は、リストから、対象とするアドレスを指定するアドレス指定操作を受け付ける。たとえば、アドレス指定画面36では、アドレス指定操作で指定したアドレスにチェックマークが付される。
【0083】
制御部10は、アドレス指定操作で指定されたアドレスを対象アドレスと認識する。選択送信機能が有効の場合には、対象アドレスを含む送信情報7が付された送信情報付き原稿Daの画像データだけが選択的にPC6に送信される。
【0084】
具体的には、対象アドレスが指定された送信ジョブでは、制御部10は、画像読取部2が読み取った複数枚の送信情報付き原稿Daの画像データのうち、対象アドレスを含む送信情報7を割り当てた画像データをPC6への送信対象とする。一方で、制御部10は、画像読取部2が読み取った複数枚の送信情報付き原稿Daの画像データのうち、対象アドレスを含まない送信情報7を割り当てた画像データはPC6への送信対象としない。
【0085】
図14に示す例では、アドレス「xxx」およびアドレス「yyy」は対象アドレスではなく、アドレス「zzz」は対象アドレスである。このため、
図15に示すように、アドレス「xxx」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD1、および、アドレス「yyy」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD2はPC6に送信されない。アドレス「zzz」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD3はPC6に送信される。
【0086】
一方で、
図16に示す例では、アドレス「xxx」は対象アドレスではなく、アドレス「yyy」およびアドレス「zzz」は対象アドレスである。このため、
図17に示すように、アドレス「xxx」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD1はPC6に送信されない。アドレス「yyy」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD2およびアドレス「zzz」を含む送信情報7が割り当てられた画像データD3はPC6に送信される。
【0087】
この構成では、複数枚の送信情報付き原稿Daのうち特定の送信情報付き原稿Daの画像データだけをPC6に送信したい場合、複数枚の送信情報付き原稿Daの中から特定の送信情報付き原稿Daを見つける作業を行わなくてもよい。これにより、ユーザーの利便性が向上する。
【0088】
<送信情報の消去>
送信情報付き原稿Daの画像データには、送信情報7が含まれる。すなわち、元原稿Doの画像データと送信情報付き原稿Daの画像データとは、完全に同じではない。このため、ユーザーによっては、送信情報付き原稿Daの画像データをPC6に送信するとき、画像データから送信情報7を消去したい場合がある。
【0089】
そこで、複合機100は、画像編集機能を有する。画像編集機能を利用すると、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7を消去して当該画像データをPC6に送信できる。
【0090】
送信ジョブを実行するとき、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7を消去するか否かを選択する操作の受け付けを操作パネル3に行わせる。たとえば、操作パネル3は、送信先自動設定機能の設定に関する画面として、
図18に示すような設定画面37を操作パネル3に表示させる。設定画面37には、複数のボタン370が表示される。複数のボタン370のうち1つが画像編集機能に対応する。画像編集機能に対応するボタン370が操作されたとき、制御部10は、送信情報7を消去する旨を受け付けたと判断し、画像編集機能を有効に設定する。一方で、複数のボタン370のうち別の1つが操作されたとき、制御部10は、送信情報7を消去しない旨を受け付けたと判断し、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7を消去する処理を行わず、送信情報7を含む画像データのPC6への送信を通信部5に行わせる。
【0091】
画像編集機能が有効の送信ジョブでは、制御部10は、画像読取部2による送信情報付き原稿Daの読み取りで得られた画像データに対し、
図19に示すような編集処理を行う。制御部10は、編集処理として、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7(すなわち、コード画像)を消去する処理を行う。
【0092】
具体的には、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データから送信情報7(すなわち、コード画像)を構成する範囲を特定する範囲特定処理を行う。送信情報7がQRコード(登録商標)である場合、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データから位置検出用パターンを検出することにより、画像データのうち送信情報7を構成する範囲を特定する。制御部10は、範囲特定処理で特定した範囲(すなわち、送信情報7を構成する範囲)を消去対象として認識する。
【0093】
また、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データに基づき、送信情報付き原稿Daの背景色を認識する。制御部10は、消去対象の周囲(消去対象を囲む部分)の色を背景色と認識する。そして、制御部10は、送信情報付き原稿Daの画像データのうち消去対象の色を背景色に変換した編集済み画像データを生成する。
【0094】
その後、画像編集機能が有効の送信ジョブでは、制御部10は、編集済み画像データのPC6への送信を通信部5に行わせる。画像編集機能が無効の送信ジョブでは、制御部10による編集処理は行われない。
【0095】
この構成では、送信情報付き原稿Daの画像データをPC6が受信したとき、その時点では既に送信情報7が消去されているので、PC6で送信情報7を消去する作業を行う必要がない。これにより。ユーザーの利便性が向上する。
【0096】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 印刷部
2 画像読取部
3 操作パネル(操作部)
5 通信部
6 パーソナルコンピューター(外部機器)
7 送信情報
10 制御部
70 一斉送信情報
100 複合機(画像処理装置)
D 原稿