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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151870
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】音声伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20241018BHJP
   H04R 15/00 20060101ALI20241018BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R15/00
H04R25/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065625
(22)【出願日】2023-04-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】521335845
【氏名又は名称】FILLTUNE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003546
【氏名又は名称】弁理士法人伊藤IP特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯部 純一
(72)【発明者】
【氏名】福永 康二
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AB13
(57)【要約】
【課題】ユーザを侵襲することなくユーザに対して明瞭な音声を届けることができ、且つ実用的に使用可能な音声伝達装置を提供する。
【解決手段】本開示の音声伝達装置1は、トランスデューサ2と、人の頭部の骨に振動を伝達する伝達板3と、トランスデューサ2を収容するハウジング4と、ハウジング4の側面を覆うように配置されるリング部材7と、を備える。そして、トランスデューサ2は、超磁歪素子21と、超磁歪素子21の両端に配置された永久磁石22a、22bと、コイル23と、を含んで構成され、一方の端部に配置された永久磁石22aが伝達板3に接続される。そして、ハウジング4は、トランスデューサ2を収容する収容部41と、他方の端部に配置された永久磁石22bに接続されるカウンターマス42と、を含んで構成される。また、リング部材7は、ダンパー部材6を介してハウジング4の側面を保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電気信号を機械振動に変換するトランスデューサと、
前記機械振動を伝達する伝達板であって、使用時に人の頭部に接触するように固定されることで前記機械振動を人の頭部の骨に伝達する伝達板と、
前記トランスデューサを収容するハウジングと、
前記ハウジングの側面を覆うように配置されるリング部材と、
を備える、音声伝達装置であって、
前記トランスデューサは、
磁界に応じて長手方向に伸縮する振動子である超磁歪素子と、該超磁歪素子の長手方向の両端に配置された永久磁石と、該超磁歪素子の径方向を取り囲むように配置され前記電気信号に応じた電流が流されるコイルと、を含んで構成され、前記永久磁石のうち、前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石が、前記伝達板に接続され、
前記ハウジングは、
前記トランスデューサを収容する収容部と、所定の質量を有するカウンターマスであって、前記永久磁石のうち前記超磁歪素子の他方の端部に配置された永久磁石、及び前記収容部に接続されるカウンターマスと、を含んで構成され、
前記リング部材は、
所定のウェアラブル物品に支持されることで前記音声伝達装置を固定するものであって、ダンパー部材を介して前記ハウジングの側面を保持する、
音声伝達装置。
【請求項2】
前記リング部材は、
直径と外周が交差する2つの点において各点から外側に突出する突起部を有し、該突起部が前記ウェアラブル物品に軸支され、且つ、該リング部材の外周面と前記ウェアラブル物品との間に隙間が生じるように、前記ウェアラブル物品に支持される、
請求項1に記載の音声伝達装置。
【請求項3】
前記ダンパー部材のショア硬度値の範囲が、30Aから50Aである、
請求項2に記載の音声伝達装置。
【請求項4】
前記カウンターマスは、略半球状に構成され、その中心軸と、前記トランスデューサの中心軸と、が略一致するように配置される、
請求項1に記載の音声伝達装置。
【請求項5】
前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石は、該永久磁石と前記伝達板との間に配置されたプッシュロッドを介して該伝達板に接続され、
前記プッシュロッドが、皿ばねによる付勢力を受けて前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石を押圧することで、前記超磁歪素子に予荷重が加えられる、
請求項1に記載の音声伝達装置。
【請求項6】
前記プッシュロッドは、
前記伝達板側の先端に所定の鋭角部を有し、且つ該鋭角部が前記伝達板に突刺される、
請求項5に記載の音声伝達装置。
【請求項7】
外部の音を検出可能に構成され、その検出した音を前記電気信号に変換して出力するマイクロホンを、更に備える、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の音声伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超磁歪素子を用いた骨伝導式の音声伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピーカからの音を気導音として聴覚に伝える気導補聴器や、音の電気信号を振動子の振動に変換して人の頭蓋骨を振動させることで音を伝える骨伝導補聴器が開発されている。気導補聴器では、スピーカからの気導音が人の鼓膜を振動させることで、その振動が蝸牛などの聴覚器官を通し聴覚神経を伝達して音として認識される。一方、骨伝導補聴器では、音の電気信号から変換された振動子による振動が頭蓋骨を伝わって蝸牛に直接伝達され音として認識される。そして、このように音の電気信号を振動に変換する骨伝導トランスデューサは、聴覚補助の用途にとどまらずオーディオ用途にも活用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マグネットとヨークとコイルと振動板とを備えた骨伝導トランスデューサが開示されている。この特許文献1に記載の技術では、コイルに結合された振動板を介して振動を頭蓋骨に伝達することで、マグネットと人体との間の空間によって不要な気導音が生じてしまう事態を抑制している。その結果、良好な音響特性や品質が実現され得る。
【0004】
一方で、上記の如く開発されている従来の補聴器を用いても、難聴を十分に補うことができない場合があることが知られている。例えば、主として内耳障害により生じる感音性難聴のうち高度の感音性難聴は、従来の補聴器では障害を十分に補うことができないことが知られている。そこで、特許文献2には、人間の可聴周波数帯域の音を全帯域に亘ってカバーできる完全体内埋込型の感音性難聴用補助機器が開示されている。この感音性難聴用補助機器は、患者の蝸牛内に埋め込む人工感覚上皮であって、患者の蝸牛内の基底膜に沿って設けられた圧電膜の微小電極によって、ラセン神経節細胞に電気刺激が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4580025号公報
【特許文献2】特許第6029056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人の聴覚系における神経伝達では、蝸牛内の有毛細胞の働きによって生じた電気信号がラセン神経節細胞を介して脳に伝達される。詳しくは、気導音を受けた人の鼓膜の振動が、または人の頭蓋骨を介して伝えられた振動が、蝸牛に届けられると、その振動を受けた外有毛細胞が収縮運動を行う。そうすると、内有毛細胞が、このような収縮運動を伴った外有毛細胞の振動を電気信号に変換する。
【0007】
ここで、外有毛細胞は、振動を受けて収縮運動を行うため、内有毛細胞と比べて変性し易く、加齢とともに脱落していく傾向がある。そして、外有毛細胞が減少してしまうと、蝸牛に届けられた振動の増幅や抑制といった調整が困難となり、例えば、高音が聴こえ難くなったり、子音が聴こえ難くなったりして、音を明瞭に聞き取ることが困難になる。
【0008】
そして、従来から知られている補聴器は、蝸牛に振動を届けることを補うものであるため、仮に蝸牛内の外有毛細胞が死滅してしまっていると、該外有毛細胞の機能を補うことはできない。例えば、特許文献1に記載の骨伝導トランスデューサは、良好な音響特性や品質を実現し得る技術であるものの、あくまで蝸牛に振動を届ける技術にとどまるため、外有毛細胞の機能を補うことはできない。このように、外有毛細胞の機能不全に伴う加齢性難聴は、従来の補聴器ではその障害を十分に補うことができなかった。
【0009】
一方、特許文献2に記載の技術によれば、人工感覚上皮によって、ラセン神経節細胞に直接電気刺激を与えることができる。しかしながら、この人工感覚上皮は、患者の蝸牛内に埋め込まれるもの、つまり患者の侵襲を伴うものであって、患者の負担が大きくなる。また、この人工感覚上皮の作用を得られるのは外科手術を受けた患者のみであって、患者への介入によって作用する聴覚補助具と比較して汎用性が低い。そして、音声情報を表す振動を減衰させることなく且つ高い周波数解像度でラセン神経節細胞に直接届けることができる介入型の音声伝達装置は、未だ明らかにされていない。
【0010】
本開示の目的は、ユーザを侵襲することなくユーザに対して明瞭な音声を届けることができ、且つ実用的に使用可能な音声伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の音声伝達装置は、所定の電気信号を機械振動に変換するトランスデューサと、前記機械振動を伝達する伝達板であって、使用時に人の頭部に接触するように固定されることで前記機械振動を人の頭部の骨に伝達する伝達板と、前記トランスデューサを収容するハウジングと、前記ハウジングの側面を覆うように配置されるリング部材と、を備える。そして、前記トランスデューサは、磁界に応じて長手方向に伸縮する振動子である超磁歪素子と、該超磁歪素子の長手方向の両端に配置された永久磁石と、該超磁歪素子の径方向を取り囲むように配置され前記電気信号に応じた電流が流されるコイルと、を含んで構成され、前記永久磁石のうち、前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石が、前記伝達板に接続される。そして、前記ハウジングは、前記トランスデューサを収容する収容部と、所定の質量を有するカウンターマスであって、前記永久磁石のうち前記超磁歪素子の他方の端部に配置された永久磁石、及び前記収容部に接続されるカウンターマスと、を含んで構成される。そして、前記リング部材は、所定のウェアラブル物品に支持されることで前記音声伝達装置を固定するものであって、ダンパー部材を介して前記ハウジングの側面を保持する。
【0012】
上記の音声伝達装置は、超磁歪素子を用いた骨伝導式の音声伝達装置であって、トランスデューサのコイルに電気信号に応じた電流が流されると、該コイルによる磁界が生じ、それによって超磁歪素子が長手方向に伸縮することになる。なお、超磁歪素子の長手方向の両端には永久磁石(例えば、ネオジム磁石)が配置されていて、該永久磁石により超磁歪素子に定常磁場が印加される。ここで、上記の永久磁石のうち、超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石には伝達板に接続されている。そのため、超磁歪素子の伸縮(機械振動)が伝達板に伝えられ、この機械振動を受けて伝達板が振動することになる。そうすると、使用時に人の頭部に接触するように固定される伝達板によって、上記の機械振動を人の頭部の骨に伝達することができる。つまり、トランスデューサによって電気信号から変換された機械振動を、伝達板を介して骨伝導により人の聴覚に届けることができる。なお、上記の電気信号は、例えば、音情報に基づく電気信号であって、この場合、音声伝達装置は、外部の音を検出可能に構成され、その検出した音を前記電気信号に変換して出力するマイクロホンを、更に備えてもよい。これによれば、本開示の音声伝達装置を聴覚補助具として利用することができる。また、本開示の音声伝達装置を所定のオーディオ装置に接続し、該オーディオ装置から出力される電気信号を変換して人の聴覚を刺激してもよい。
【0013】
ここで、本開示の超磁歪素子は、テルビウム又はガリウム等の合金からなる磁歪材料によって構成された素子であって、その伸縮力が非常に大きく且つその応答速度が非常に速い。そのため、これを振動子として用いた音声伝達装置では、従来の骨伝導式の聴覚補助装置と比較して、電気信号から変換された機械振動を、減衰させることなく人の蝸牛の奥深くまで届けることができるようにも思われる。しかしながら、本開示人は、上記のような超磁歪素子を振動子として用いるのみでは、該超磁歪素子の伸縮による機械振動を人の蝸牛の奥深くまで届けられないことを新たに見出した。そこで、本開示の音声伝達装置では、トランスデューサを収容するハウジングを構成するカウンターマスが、上記の永久磁石のうち超磁歪素子の他方の端部に配置された永久磁石に接続される。つまり、長手方向に伸縮する超磁歪素子において、伝達板に接続された一方の端部とは反対側の他方の端部に所定の質量が付加されることになる。そうすると、このカウンターマスによって、超磁歪素子の変位が、トランスデューサにおける伝達板に接続された側に誘導されることになる。これにより、超磁歪素子の非常に大きな伸縮力と応答速度とを伝達板の方に誘導することが可能になり、該伝達板を介して、このような機械振動を人の聴覚に届けることができる。ここで、従来の骨伝導式の聴覚補助装置では、その機械振動が人の頭部の皮膚や脂肪で減衰されてしまう傾向があるが、本開示の音声伝達装置では、超磁歪素子の非常に大きな伸縮力によって、その機械振動を減衰させることなく人の蝸牛の奥深くまで届けることができる。これによれば、仮に蝸牛内の外有毛細胞が死滅してしまっていたとしても、超磁歪素子による非常に大きな伸縮力と応答速度とによって、高周波数の振動を内有毛細胞やラセン神経節細胞に直接届けることができる。つまり、ユーザに明瞭な音声を届けることが可能となる。そして、本開示の音声伝達装置は、ユーザに対して開頭手術を必要とするような侵襲を伴う聴覚補助装置とは異なり、ユーザへの介入のみによって作用するものであるため、ユーザを限定せずに共有できる公共性が高い。
【0014】
そして、上記の音声伝達装置では、所定のウェアラブル物品に支持されるリング部材が、ダンパー部材を介してハウジングの側面を保持する。これにより、超磁歪素子の振動の伝達特性を維持しながら、外部への音漏れを抑制することができる。ここで、前記リング部材は、直径と外周が交差する2つの点において各点から外側に突出する突起部を有し、該突起部が前記ウェアラブル物品に軸支され、且つ、該リング部材の外周面と前記ウェアラブル物品との間に隙間が生じるように、前記ウェアラブル物品に支持されてもよい。これによれば、振動の外部への伝達を可及的に抑制することができる。そして、この場合、前記ダンパー部材のショア硬度値の範囲が、30Aから50Aであってもよい。
【0015】
そして、上記の音声伝達装置において、前記カウンターマスは、略半球状に構成され、その中心軸と、前記トランスデューサの中心軸と、が略一致するように配置されてもよい。これによれば、超磁歪素子の非常に大きな応力をカウンターマスによって好適に受け止められることができ、以て、超磁歪素子の変位をトランスデューサにおける伝達板に接続された側に好適に誘導することができる。更に、カウンターマスの上記形状と上記配置は、該カウンターマスを可及的に小型軽量とすることに貢献する。また、上記によれば、ハウジングが振動してしまう事態を抑制することができる。
【0016】
更に、上記の音声伝達装置において、前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石は、該永久磁石と前記伝達板との間に配置されたプッシュロッドを介して該伝達板に接続され、前記プッシュロッドが、皿ばねによる付勢力を受けて前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石を押圧することで、前記超磁歪素子に予荷重が加えられてもよい。これによれば、超磁歪素子に予荷重を加えるための構造を可及的に小さくすることができ、以て、装置の小型化を実現し得る。そして、この場合、前記プッシュロッドは、前記伝達板側の先端に所定の鋭角部を有し、且つ該鋭角部が前記伝達板に突刺されてもよい。これにより、超磁歪素子の振動の伝達特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ユーザを侵襲することなくユーザに対して明瞭な音声を届けることができ、且つ実用的に使用可能な音声伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における音声伝達装置の概略構成を示す図である。
図2】実施形態の音声伝達装置が適用されるヘッドホン型の聴覚補助具を示す第1の図である。
図3】カウンターマスによる超磁歪素子の変位の誘導について、説明するための図である。
図4】リング部材とハウジングとの間に介挿されるダンパー部材の配置を説明するための図である。
図5】ダンパー部材の効果を説明するための図である。
図6】聴覚補助具のケーシングに対する音声伝達装置の支持態様を説明するための図である。
図7】実施形態の音声伝達装置が適用されるヘッドホン型の聴覚補助具を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0020】
本実施形態における音声伝達装置の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における音声伝達装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る音声伝達装置1は、超磁歪素子を用いた骨伝導式の音声伝達装置である。この音声伝達装置1は、所定の電気信号を機械振動に変換するトランスデューサ2と、この機械振動を伝達する伝達板3と、トランスデューサ2を収容するハウジング4と、ハウジング4の側面を覆うように配置されるリング部材7と、を備える。ここで、上記の電気信号は、音情報に基づく電気信号である。
【0021】
トランスデューサ2は、超磁歪素子21と、超磁歪素子21の長手方向の両端に配置された永久磁石22a、22bと、電気信号に応じた電流が流されるコイル23と、を含んで構成される。そして、このようなトランスデューサ2は、図1に示すように、ハウジング4内に形成された挿入孔(収容部41の中心軸上の挿入孔)に収容される。なお、ハウジング4は、トランスデューサ2を収容する収容部41と、所定の質量を有するカウンターマス42と、を含んで構成される。
【0022】
超磁歪素子21は、所定の磁歪材料によって円柱状に形成された素子であって、図1に示すように、その長手方向がハウジング4の中心軸に沿うように延在している。そして、この超磁歪素子21の長手方向の両端には永久磁石22a、22bが配置され、この超磁歪素子21の径方向を取り囲むようにコイル23配置される。ここで、永久磁石22a、22bは、例えば、ネオジム磁石であって、該永久磁石22a、22bにより超磁歪素子21に定常磁場が印加される。
【0023】
そして、コイル23に電気信号に応じた電流が流されると、該コイル23による磁界が生じ、それによって超磁歪素子21が長手方向に伸縮することになる。ここで、本開示では、超磁歪素子21が、テルビウム又はガリウム等の合金からなる磁歪材料によって構成される。これにより、従来の磁歪素子と比較して、非常に大きな伸縮力と非常に速い応答速度とが実現される。
【0024】
そして、超磁歪素子21の一方の端部に配置された永久磁石22aには、伝達板3が接続される。そのため、超磁歪素子21の伸縮(機械振動)が伝達板3に伝えられ、この機械振動を受けて伝達板3が振動することになる。そうすると、伝達板3を介して、トランスデューサ2によって電気信号から変換された機械振動を人の頭部の骨に伝達することができる。これについて、図2に基づいて、以下に説明する。
【0025】
図2は、本実施形態の音声伝達装置1が適用されるヘッドホン型の聴覚補助具を示す第1の図である。図2に示す聴覚補助具10では、音声伝達装置1がケーシング11内に収められる。このケーシング11は、ヘッドバンドが一体化されたものであって、聴覚補助具10は、ヘッドバンドによってオーバーヘッドタイプに形成される。そして、聴覚補助具10には、外部の音を検出可能に構成されたマイクロホンと、該マイクロホンやトランスデューサ2の電源として機能するバッテリ12と、が配置される。このような聴覚補助具10では、マイクロホンによって、外部の音が電気信号に変換されて出力される。そして、マイクロホンから出力された電気信号が、音声伝達装置1のトランスデューサ2によって機械振動に変換され、伝達板3に伝達される。なお、図2では、マイクロホンやトランスデューサ2の電源としてバッテリ12を備える構成を例示しているが、これに限定する意図はなく、所定の電源にワイヤーで接続されてもよい。
【0026】
ここで、図2に示すように、伝達板3は、使用時に人の頭部に接触するように固定されることで、トランスデューサ2からの機械振動を人の頭部の骨に伝達可能に構成されている。詳しくは、マイクロホンから出力された電気信号に基づいて超磁歪素子21が伸縮(機械振動)すると、その機械振動が、超磁歪素子21の一方の端部に配置された永久磁石22aからプッシュロッド5を介して伝達板3に伝達され、該伝達板3がトランスデューサ2からの機械振動を人の頭部の骨に伝達する。つまり、トランスデューサ2によって電気信号から変換された機械振動を、伝達板3を介して骨伝導により人の聴覚に届けることができる。
【0027】
そして、図1に戻って、本実施形態に係る音声伝達装置1では、プッシュロッド5が、皿ばね52による付勢力を受けて超磁歪素子21の一方の端部に配置された永久磁石22aを押圧することで、超磁歪素子21に予荷重が加えられる。ここで、超磁歪素子21に予荷重を加えるために、例えば、コイルばねによる付勢力を利用することも考えられる。しかしながら、コイルばねは、皿ばねと比較して、配置するために大きなスペースを必要とする。そのため、音声伝達装置が大型化してしまう虞がある。これに対して、本実施形態では、プッシュロッド5が、フランジボルトの如くフランジ状の座面を有し、この座面と、該座面が着座するハウジング4の収容部41における深座ぐり部と、の間に皿ばね52が配置されることで、プッシュロッド5のフランジ部が皿ばね52によって付勢される。また、プッシュロッド5のフランジ部の頂面が、超磁歪素子21の一方の端部に配置された永久磁石22aに当接していることで、上記の皿ばね52による付勢力が該永久磁石22aに作用する、つまり、プッシュロッド5が、皿ばね52による付勢力を受けて超磁歪素子21の一方の端部に配置された永久磁石22aを押圧することになる。このような構成によれば、超磁歪素子21に予荷重を加えるための構造を可及的に小さくすることができ、以て、装置の小型化を実現し得る。そして、このようにして超磁歪素子21に予荷重が加えられる結果、超磁歪素子21の伸縮量を増大させることができる。
【0028】
更に、プッシュロッド5は、伝達板3側の先端に所定の鋭角部を有し、且つ該鋭角部が伝達板3に突刺されてもよい。ここで、プッシュロッド5は、伝達板3の側に雄ねじが形成されていて、伝達板3とねじ締結されることでこれらが一体化される。このとき、超磁歪素子21の伸縮(機械振動)が、ロスなく伝達板3に伝えられることが重要となる。そこで、本実施形態では、プッシュロッド5の先端の鋭角部が伝達板3に突刺されることで、伝達板3に対するプッシュロッド5の接地面が増やされる。これにより、超磁歪素子21の振動の伝達特性を向上させることができる。なお、プッシュロッド5の先端の鋭角部は、例えば、0.3mmの深さで伝達板3に突刺され得る。
【0029】
また、ハウジング4の収容部41において、プッシュロッド5が摺動する部分にはブッシュ51が圧入される。このブッシュ51は、例えば、所定の樹脂材料で形成された無潤滑ブッシュであって、これにより、プッシュロッド5の円滑な摺動が実現され得る。
【0030】
ここで、骨伝導式の従来補聴器では、その機械振動が人の頭部の皮膚や脂肪で減衰されてしまう傾向がある。そうすると、従来補聴器を使用するユーザは、高音が聴こえ難かったり、子音が聴こえ難かったりして、音を明瞭に聞き取ることができない場合がある。一方で、上述した超磁歪素子21を振動子として用いた本開示の音声伝達装置1では、その機械振動を減衰させることなく人の蝸牛の奥深くまで届けることができるようにも思われる。しかしながら、本開示人は、上述した超磁歪素子21を振動子として用いるのみでは、該超磁歪素子21の伸縮による機械振動を人の蝸牛の奥深くまで届けられないことを新たに見出した。そこで、本開示の音声伝達装置1では、トランスデューサ2を収容するハウジング4を構成するカウンターマス42が、超磁歪素子21の他方の端部に配置された永久磁石22bに接続される。つまり、長手方向に伸縮する超磁歪素子21において、伝達板3に接続された一方の端部とは反対側の他方の端部に所定の質量が付加されることになる。
【0031】
そして、このようにして超磁歪素子21の他方の端部がカウンターマス42に接続されることで該他方の端部に所定の質量が付加されると、このカウンターマス42の質量によって、超磁歪素子21の変位が、トランスデューサ2における伝達板3に接続された側に誘導されることになる。つまり、図3に示すように、トランスデューサ2における超磁歪素子の伸縮による変位が、伝達板3に接続された側の端部に集中することになる。なお、図3は、カウンターマス42による超磁歪素子の変位の誘導について、説明するための図である。
【0032】
以上によれば、超磁歪素子の非常に大きな応力と応答速度とを伝達板3の方に誘導することが可能になり、該伝達板3を介して、超磁歪素子21のこのような機械振動を人の聴覚に届けることができる。つまり、本開示の音声伝達装置1では、超磁歪素子21の非常に大きな伸縮力によって、その機械振動を減衰させることなく人の蝸牛の奥深くまで届けることができる。これによれば、仮に蝸牛内の外有毛細胞が死滅してしまっていたとしても、超磁歪素子21による非常に大きな伸縮力と応答速度とによって、高周波数の振動を内有毛細胞やラセン神経節細胞に直接届けることができる。そうすると、本開示の音声伝達装置1を使用するユーザは、高音や子音を明瞭に聞き取ることが可能となる。つまり、ユーザに明瞭な音声を届けることができる。
【0033】
そして、本開示の音声伝達装置1は、ユーザに対して開頭手術を必要とするような侵襲を伴う聴覚補助装置とは異なり、ユーザへの介入のみによって作用するものであるため、ユーザを限定せずに共有できる公共性が高い。
【0034】
なお、本実施形態の音声伝達装置1では、トランスデューサ2における超磁歪素子21が移動可能な物体の質量の最大値を最大質量としたとき、カウンターマス42は、その質量が最大質量に対して所定の比率以上となるように構成されてもよい。そうすると、超磁歪素子21の伸縮による変位を、トランスデューサ2における伝達板3に接続された側に好適に誘導することができる。
【0035】
更に、上記の図1から図3に示したように、本実施形態の音声伝達装置1では、カウンターマス42は、略半球状に構成され、その中心軸と、トランスデューサ2の中心軸と、が略一致するように配置されてもよい。
【0036】
上述したように、カウンターマス42の質量によって、超磁歪素子の変位が、トランスデューサ2における伝達板3に接続された側に誘導されることになるが、このカウンターマス42が略半球状に構成されることで、上記の変位をより好適に伝達板3の側に誘導できることを、本開示人は更に見出した。詳しくは、カウンターマス42の中心軸と、トランスデューサ2の中心軸と、が略一致するように配置されることで、超磁歪素子の長手方向に略半球状のカウンターマス42の質量が集中することになる。これにより、超磁歪素子の応力が働く方向に、カウンターマス42の質量に基づく該応力を受け止める力を集中させることができ、以て、超磁歪素子の非常に大きな応力をカウンターマス42によって好適に受け止められることができる。そうすると、超磁歪素子の変位をトランスデューサ2における伝達板3に接続された側により好適に誘導することができる。更に、超磁歪素子の非常に大きな応力を受け止めるためには質量の大きな物体が必要となる傾向にあるところ、カウンターマス42の上記形状と上記配置は、該カウンターマス42を可及的に小型軽量とすることに貢献する。
【0037】
ここで、仮に、超磁歪素子21の機械振動に起因してハウジング4が振動してしまうと、トランスデューサ2によって生成される機械振動の振動波形に多くのノイズが含まれてしまい、ユーザに明瞭な音を届けることができない。また、ノイズを除去する技術として、従来からDSP(デジタルサウンドプロセッサ―)を用いてノイズ除去の処理を行うことが知られているが、このような処理では、入力された元の音情報を表す波形が加工されてしまう。そのため、マイクロホンが検出した外部の音を正確にユーザに届けることが困難となり得る。
【0038】
一方で、カウンターマス42が略半球状に構成されることによれば、超磁歪素子21の非常に大きな応力をカウンターマス42によって好適に受け止められることができ、ハウジング4が振動してしまう事態も好適に抑制することができる。そうすると、トランスデューサ2からプッシュロッド5を介して伝達板3に伝達される振動波形にノイズが含まれてしまう事態を根本的に抑制することができるため、以て、マイクロホンが検出した外部の音を正確にユーザに届けることが可能となる。
【0039】
更に、本実施形態の音声伝達装置1では、ハウジング4の側面を覆うように配置されるリング部材7が、上記の図2に示した聴覚補助具10(本開示のウェアラブル物品)に支持されることで、音声伝達装置1が固定されることになる。
【0040】
そして、上記の図1に示すように、リング部材7は、ダンパー部材6を介してハウジング4の側面を保持する。ここで、図4は、リング部材7とハウジング4との間に介挿されるダンパー部材6の配置を説明するための図である。
【0041】
図4に示すように、ダンパー部材6もリング部材7と同様にリング状に形成され、リング部材7の内周面に勘合されるようにして配置される。そして、ダンパー部材6が、例えば、熱可塑性エラストマーによって形成されることで、超磁歪素子21の伸縮によるトランスデューサ2の振動が外部(例えば、上記の図2に示した聴覚補助具10のケーシング11)に伝達されないように、該振動を減衰させることができる。これにより、超磁歪素子21の振動の伝達特性を維持しながら、外部への音漏れを抑制することができる。
【0042】
詳しくは、ダンパー部材6のショア硬度値を30Aから50Aの範囲とすることで、上記が実現され得る。これについて、図5に基づいて説明する。
【0043】
図5は、ダンパー部材6の効果を説明するための図である。図5には、伝達板3に対するトランスデューサ2の振動の出力特性について、ダンパー部材6のショア硬度別の比較を例示している。なお、図5では、ダンパー部材6のショア硬度値が、15A、30A、および50Aの場合の比較が示される。
【0044】
図5に示すように、ダンパー部材6のショア硬度値が15Aの場合と30Aの場合とを比較すると、ダンパー部材6のショア硬度値が15Aの場合は、30Aの場合よりも、伝達板3に対するトランスデューサ2の振動の出力が著しく低下している。これは、ダンパー部材6の減衰特性が強すぎるために、伝達板3に伝達されるべき振動が該ダンパー部材6によって大きく減衰されているためである。つまり、ダンパー部材6のショア硬度値が15Aの場合は、トランスデューサ2の振動が外部(例えば、上記の図2に示した聴覚補助具10のケーシング11)に伝達され難くなることにより、外部への音漏れを効果的に抑制することができるものの、伝達板3に対する超磁歪素子21の振動の伝達特性の維持が困難になり得る。
【0045】
一方、ダンパー部材6のショア硬度値が30Aの場合と50Aの場合とを比較すると、ダンパー部材6のショア硬度値が50Aの場合は、30Aの場合よりも、伝達板3に対するトランスデューサ2の振動の出力が上昇しているものの、その差は僅かである。つまり、本実施形態に係る音声伝達装置1においては、伝達板3に対するトランスデューサ2の振動の出力特性について、ダンパー部材6のショア硬度値が30Aである場合がその変曲点となっている。このことから、ダンパー部材6のショア硬度値が30A以上であれば、伝達板3に対する超磁歪素子21の振動の伝達特性が維持され得ることが判る。
【0046】
また、本開示人は、ダンパー部材6のショア硬度値が50Aを超えると、ダンパー部材6が硬すぎることにより、トランスデューサ2の振動が外部(例えば、上記の図2に示した聴覚補助具10のケーシング11)に伝達され易くなることを新たに見出した。これによれば、ダンパー部材6のショア硬度値が50Aを超えると、外部への振動伝達が増加してしまい、外部への音漏れを抑制することが困難になる。以上のことから、ダンパー部材6のショア硬度値が30Aから50Aの範囲とされることで、超磁歪素子21の振動の伝達特性を維持しながら、外部への音漏れが抑制されることが判る。
【0047】
また、本実施形態の音声伝達装置1では、リング部材7は、その直径と外周が交差する2つの点において各点から外側に突出する突起部7aを有し、該突起部7aが上記の図2に示した聴覚補助具10(本開示のウェアラブル物品)に軸支され、且つ、該リング部材7の外周面と該聴覚補助具10との間に隙間が生じるように、聴覚補助具10に支持されてもよい。
【0048】
ここで、図6は、聴覚補助具10のケーシング11に対する音声伝達装置1の支持態様を説明するための図である。図6(a)に示すように、音声伝達装置1は、2分割されたケーシング11に挟み込まれるように配置される。このとき、図6(a)および図6(b)に示すように、リング部材7の2つの突起部7aが、ケーシング11に形成された支持溝11aに軸支される。また、音声伝達装置1は、突起部7aが支持溝11aに軸支された状態においてリング部材7の外周面と聴覚補助具10のケーシング11との間に隙間が生じるように、聴覚補助具10に支持される。そうすると、音声伝達装置1とケーシング11とが上記の軸支部分以外は接触しないことになり、トランスデューサ2の振動の外部(聴覚補助具10のケーシング11)への伝達を可及的に抑制することができる。そして、上記の支持構造によれば、図6(c)に示すように、音声伝達装置1が聴覚補助具10のケーシング11に挟み込まれた状態においても、該音声伝達装置1が、上記の軸支部を中心軸として回転可能に構成される。そのため、人の頭部に対する音声伝達装置1の伝達板3の接触角度が、該頭部の形状に沿う角度に自動で調節されることになる。
【0049】
なお、本実施形態の音声伝達装置1は、バックバンドタイプの聴覚補助具に適用されてもよい。図7は、本実施形態の音声伝達装置1が適用されるヘッドホン型の聴覚補助具を示す第2の図である。図7に示す聴覚補助具10では、上記の図2に示した聴覚補助具10と同様に、音声伝達装置1がケーシング11内に収められる。なお、このケーシング11は、ヘッドバンドが一体化されたものであって、聴覚補助具10は、ヘッドバンドによってバックバンドタイプに形成される。そして、聴覚補助具10には、外部の音を検出可能に構成されたマイクロホンと、該マイクロホンやトランスデューサ2の電源として機能するバッテリ12と、が配置される。また、図7に示す聴覚補助具10では、操作基板13が配置され得る。
【0050】
以上に述べた音声伝達装置1によれば、ユーザを侵襲することなくユーザに対して明瞭な音声を届けることができ、且つ実用的に使用することができる。
【0051】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0052】
上記の実施形態では、音声伝達装置1を聴覚補助具に用いる例について説明したが、本開示の音声伝達装置の使用形態をこれに限定する意図はない。本開示の音声伝達装置は、例えば、オーディオ用途に活用されてもよい。この場合、本開示の音声伝達装置を所定のオーディオ装置に接続し、該オーディオ装置から出力される電気信号をトランスデューサによって機械振動に変換することで、人の聴覚を刺激してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・・・・・音声伝達装置
2・・・・・・・・トランスデューサ
21・・・・・・・超磁歪素子
22a、22b・・永久磁石
23・・・・・・・コイル
3・・・・・・・・伝達板
4・・・・・・・・ハウジング
41・・・・・・・収容部
42・・・・・・・カウンターマス
5・・・・・・・・プッシュロッド
51・・・・・・・ブッシュ
52・・・・・・・皿ばね
6・・・・・・・・ダンパー部材
7・・・・・・・・リング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電気信号を機械振動に変換するトランスデューサと、
前記機械振動を伝達する伝達板であって、使用時に人の頭部に接触するように固定されることで前記機械振動を人の頭部の骨に伝達する伝達板と、
前記トランスデューサを収容するハウジングと、
前記ハウジングの側面を覆うように配置されるリング部材と、
を備える、音声伝達装置であって、
前記トランスデューサは、
磁界に応じて長手方向に伸縮する振動子である超磁歪素子と、該超磁歪素子の長手方向の両端に配置された永久磁石と、該超磁歪素子の径方向を取り囲むように配置され前記電気信号に応じた電流が流されるコイルと、を含んで構成され、前記永久磁石のうち、前記超磁歪素子の一方の端部に配置された永久磁石が、前記伝達板に接続され、
前記ハウジングは、
前記トランスデューサを収容する収容部と、所定の質量を有するカウンターマスであって、前記永久磁石のうち前記超磁歪素子の他方の端部に配置された永久磁石、及び前記収容部に接続されるカウンターマスと、を含んで構成され、
前記リング部材は、
所定のウェアラブル物品に支持されることで前記音声伝達装置を固定するものであって、熱可塑性エラストマーによって形成されたダンパー部材を介して前記ハウジングの側面を保持し、
直径と外周が交差する2つの点において各点から外側に突出する突起部を有し、該突起部がその軸を中心軸として前記ウェアラブル物品に回転可能に軸支され、且つ、該リング部材の外周面と前記ウェアラブル物品との間に隙間が生じるように、前記ウェアラブル物品に支持される、
音声伝達装置。
【請求項2】
前記ダンパー部材のショア硬度値の範囲が、30Aから50Aである、
請求項1に記載の音声伝達装置。