(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151877
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20241018BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065644
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 史彬
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011JA03
2E011KA06
2E011KB02
2E011KC01
2E011KD23
2E011KH01
2E239CA02
2E239CA22
2E239CA32
2E239CA54
2E239CA63
(57)【要約】
【課題】遮炎性能を有する建具において、面材関連部品の配置位置を容易に設定することができる建具を提供すること。
【解決手段】改装サッシ1は、新設枠20と、新設枠20の内部に配置された可動窓6と、新設枠20を構成する新設上枠21、新設下枠22、新設縦枠23,24の長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられる上加熱発泡材41、下加熱発泡材42、縦加熱発泡材43,44と、新設縦枠23,24における縦加熱発泡材43,44に対する見込み方向一方側に取り付けられた開閉連結部材7と、新設縦枠23,24に取り付けられた縦加熱発泡材43,44を保持する縦固定金具431,441と、を備え、縦固定金具431,441は、新設縦枠23,24における縦加熱発泡材43,44の長手方向一端側に固定された縦金具固定部432,442と、縦加熱発泡材43,44を保持する縦金具保持部434,444と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体の内部に配置された面材と、
枠材の長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられる複数の加熱発泡材と、
前記枠材における前記加熱発泡材に対する見込み方向一方側に取り付けられた面材関連部品と、
前記面材関連部品と同じ前記枠材に取り付けられた前記加熱発泡材を固定する加熱発泡材固定具と、を備え、
前記加熱発泡材固定具は、前記枠材における前記加熱発泡材の長手方向一端側に固定された固定部と、前記加熱発泡材を保持する保持部と、を備える建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具において、
前記面材関連部品が取り付けられた前記枠材は、前記面材関連部品が取り付けられる面材関連部品取付面部と、面方向が前記面材関連部品取付面部に対して交差し、前記加熱発泡材が取り付けられる加熱発泡材取付面部と、を備え、
前記固定部は、前記加熱発泡材取付面部に固定されている建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具において、
前記加熱発泡材固定具は、前記面材関連部品取付面部に接触することにより前記加熱発泡材取付面部上における前記加熱発泡材固定具の回転を防止する回転防止部を備える建具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の建具において、
前記面材関連部品が取り付けられた前記枠材は、前記加熱発泡材取付面部を有する筒部を備え、
前記固定部は、前記筒部の外部から内部に貫通するねじにより固定されている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠に加熱発泡材が設けられた建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の建具では、下枠の段部見付壁に加熱膨張材が配置され、当該段部見付壁に直交する段部見込壁にビス止めされた保持金具により、加熱膨張材が保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、下框の長手方向一端側から見たときに、保持金具の固定位置が加熱発泡材に対して見込み方向一方側に配置されるローラ載置部材に重なる構造であるため、ローラ載置部材の配置位置を保持金具の固定位置に干渉しないように設定する配慮が必要であった。
【0005】
本発明の目的は、遮炎性能を有する建具において、面材関連部品の配置位置を容易に設定することができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、複数の枠材を有する枠体と、前記枠体の内部に配置された面材と、前記複数の枠材の長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられる複数の加熱発泡材と、少なくとも1つの前記枠材における前記加熱発泡材に対する見込み方向一方側に取り付けられた面材関連部品と、前記面材関連部品と同じ前記枠材に取り付けられた前記加熱発泡材を固定する加熱発泡材固定具と、を備え、前記加熱発泡材固定具は、前記枠材における前記加熱発泡材の長手方向一端側に固定された固定部と、前記加熱発泡材を保持する保持部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遮炎性能を有する建具において、面材関連部品の配置位置を容易に設定することができる建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における改装サッシを示す縦断面図である。
【
図2】実施形態における改装サッシを示す横断面図である。
【
図3】実施形態における改装サッシの詳細な構成を示す縦断面図である。
【
図4】実施形態における改装サッシの詳細な構成を示す横断面図である。
【
図5】実施形態における左の縦加熱発泡材の固定構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
〔改装サッシの構成〕
以下、本発明の実施形態の建具としての改装サッシについて、図面を参照して説明する。
図1は、改装サッシを示す縦断面図である。
図2は、改装サッシを示す横断面図である。
図1および
図2に示すように、改装サッシ1は、コンクリート製の躯体2の開口部に設置されている。躯体2を有する建物は、居住用のマンションや戸建て住宅、非居住用の学校などの教育施設、庁舎などの公共施設、病院などの医療福祉施設、店舗などの商業施設も含むものである。
改装サッシ1は、躯体2に取り付けられた既設枠10と、既設枠10の内周側に設置された新設サッシ4と、を備える。
ここで、改装サッシ1の左右方向をX軸方向、改装サッシ1の上下方向をY軸方向、改装サッシ1の見込み方向をZ軸方向とする。そして、X軸方向において、改装サッシ1を室内から見て左側の方向をX1方向、右側の方向をX2方向とし、Y軸方向において、上方向をY1方向、下方向をY2方向とし、Z軸方向において室外から室内に向かう方向をZ1方向、室内から室外に向かう方向をZ2方向とする。また、各断面図において、図面を見やすくするために、改装サッシ1の各構成におけるハッチングは省略する場合がある。
【0010】
既設枠10は、躯体2に取り付けられていた既設サッシから既設障子を取り外し、躯体2に残存したものである。
既設枠10は、既設上枠11、既設下枠12および左右の既設縦枠13,14を枠組みして構成されている。既設上枠11、既設下枠12および各既設縦枠13,14は、それぞれアルミまたはスチールにより形成されている。既設上枠11は、当該既設上枠11に取り付けられた固定具15が躯体2に固定された連結筋2Aに溶接されることにより、モルタル3を介して躯体2に固定されている。既設下枠12および各既設縦枠13,14は、躯体2の開口にモルタル3を介してそれぞれ固定されている。既設上枠11および既設下枠12の両端に、各既設縦枠13,14がそれぞれねじ止めされている。
躯体2の開口に設けられたモルタル3により、建物の建物開口部3Aが形成されている。
【0011】
新設サッシ4は、枠体としての新設枠20内に網入りガラス6AおよびLow-Eガラス6Bを有する面材としての可動窓6が配置され、防火性能を有するすべり出し窓として構成されている。なお、新設サッシ4としては、すべり出し窓の他に、引き違い窓、FIX窓、開き窓、内倒し窓、外倒し窓、段窓、連窓など、防火性能の認定を受けた様々な窓種の新設サッシを利用できる。
【0012】
新設枠20は、それぞれ枠材としての新設上枠21、新設下枠22および左右の新設縦枠23,24を枠組みして構成されている。新設上枠21、新設下枠22および各新設縦枠23,24は、それぞれアルミにより形成されている。
新設枠20は、スチール材などの鋼材で構成された連結部材30により既設枠10に連結されている。
連結部材30は、既設上枠11と新設上枠21とを連結する上連結部材31、既設下枠12と新設下枠22とを連結する下連結部材32、左の既設縦枠13と左の新設縦枠23とを連結する左の縦連結部材33、および、右の既設縦枠14と右の新設縦枠24とを連結する右の縦連結部材34を備える。
【0013】
新設上枠21のZ1方向側の面における下側の部位には、Z1方向に板状に延びる新設上枠対向面部211が設けられている。
新設下枠22のZ1方向側の面における下側の部位には、Z1方向に板状に延びる新設下枠対向面部221が設けられている。新設下枠22の下面には、水切り材25が設けられている。
各新設縦枠23,24のZ1方向側の面における新設枠20の中央側の部位には、Z1方向に板状にそれぞれ延びる新設縦枠対向面部231,241がそれぞれ設けられている。
新設上枠21、水切り材25および各新設縦枠23,24と、建物開口部3Aの内周面との間には、これらの隙間を塞ぐシール材3Bが設けられている。
【0014】
各新設縦枠23,24には、面材関連部品としての左右の開閉連結部材7がそれぞれ取り付けられている。各開閉連結部材7は、ステイまたはフリクションステイと呼ばれる部材であり、可動窓6が室外側にすべり出し式に開閉できるように、かつ、可動窓6の上下左右端と新設枠20の内周面との間に隙間が形成されるように、各新設縦枠23,24と可動窓6とを連結する。
新設枠20における可動窓6の上下左右端との隙間から室外に露出する面には、加熱発泡材40が固定されている。加熱発泡材40は、例えば火災時に膨張して火炎を遮蔽する。加熱発泡材40は、新設上枠21に固定された上加熱発泡材41、新設下枠22に固定された下加熱発泡材42および各新設縦枠23,24にそれぞれ固定された左右の縦加熱発泡材43,44を備える。
【0015】
既設枠10の全周には、既設枠10と新設枠20との連結部分を塞ぐ塞ぎ部50が設けられている。塞ぎ部50は、アルミ材または スチール材などで構成され、既設上枠11と新設上枠21との連結部分を塞ぐ上塞ぎ部51と、既設下枠12と新設下枠22との連結部分を塞ぐ下塞ぎ部52と、左右の既設縦枠13,14と左右の新設縦枠23,24とのそれぞれの連結部分を塞ぐ左右の縦塞ぎ部53,54と、を備える。
【0016】
新設枠20の室内側には、連結部材30および塞ぎ部50を隠すために、カバー部材70が取り付けられている。カバー部材70は、上カバー部材71、下カバー部材72および左右の縦カバー部材73,74を備える。なお、カバー部材70は、既設枠10に取り付けられても良い。
既設枠10の室内側には、モルタル3の表面を覆う化粧材75が設けられている。化粧材75は、上化粧材76、下化粧材77および左右の縦化粧材78,79を備える。
【0017】
上カバー部材71は、新設上枠21の新設上枠対向面部211にねじ止めされた見込み面部711と、見込み面部711から上方に延出された見付け面部712と、見付け面部712の先端から室外側に折り返された受け面部713とを備える。
下カバー部材72は、新設下枠22の新設下枠対向面部221にねじ止めされた見込み面部721と、見込み面部721から下方に延出された見付け面部722と、見付け面部722の先端から室外側に折り返された受け面部723とを備える。
各縦カバー部材73,74は、各新設縦枠23,24の新設縦枠対向面部231,241にねじ止めされた見込み面部731,741と、見込み面部731,741から新設枠20の左右方向外側に延出された見付け面部732,742と、見付け面部732,742の先端から室外側に折り返された受け面部733,743とをそれぞれ備える。
各受け面部713,723,733,743は、それぞれ上化粧材76、下化粧材77および各縦化粧材78,79との隙間に充填されるバックアップ材70Aおよびシール材70Bを支持するために設けられている。
【0018】
次に、改装サッシ1の詳細について、図面を参照して説明する。
図3は、改装サッシの詳細な構成を示す縦断面図である。
図4は、改装サッシの詳細な構成を示す横断面図である。
図5は、左の縦加熱発泡材の固定構造を示す図である。
【0019】
図3に示すように、新設上枠21は、略四角筒状の新設上枠本体210を備える。
新設上枠本体210のZ1方向側の部位を構成する室内側面部210Aには、上述した新設上枠対向面部211がX軸方向(新設上枠本体210の長手方向)に沿うように設けられている。
新設上枠本体210のY2方向側の部位を構成する下面部210BにおけるZ1方向側の部位には、下方に板状に延びる上加熱発泡材取付面部212がX軸方向全体にわたって設けられている。上加熱発泡材取付面部212の下端側の部位には、AT材取付部212Aが設けられている。AT材取付部212Aには、AT材212Bが取り付けられている。AT材212Bは、X軸方向の長さがAT材取付部212Aと同じ長さに形成され、AT材取付部212Aに対してZ2方向側に位置するように取り付けられている。
【0020】
上加熱発泡材41は、新設上枠21の上加熱発泡材取付面部212のZ2方向側の面におけるAT材取付部212Aよりも上方の位置に、両面テープおよび上固定金具411により固定されている。上加熱発泡材41は、X軸方向の長さが上加熱発泡材取付面部212よりも短い形状に形成され、当該上加熱発泡材41および上加熱発泡材取付面部212のX軸方向中心がほぼ重なるように固定されている。
上固定金具411は、新設上枠21の下面部210Bにねじ41Aにより固定された板状の上金具固定部412と、上金具固定部412のZ1方向側端部から下方に延長されて上加熱発泡材41を上加熱発泡材取付面部212に押し付ける保持部413とを備える。
【0021】
新設下枠22は、筒状の新設下枠本体220を備える。新設下枠本体220は、下面部222と、下面部222のZ2方向側の端部から上方に延長された室外側面部223と、室外側面部223の上端からZ1方向側に向けて斜め上方に延長された傾斜部224と、傾斜部224の上端からZ1方向およびZ2方向に延長された中間水平面部225と、中間水平面部225のZ1方向側の端部から上方に延長された下加熱発泡材取付面部226と、下加熱発泡材取付面部226の上端からZ1方向に延長された上面部227と、上面部227のZ1方向側の端部から下方に延長された室内側面部228と、室内側面部228の下端と下面部222のZ1方向側の端部とを接続する接続部229とを備える。
下加熱発泡材取付面部226の上端側の部位には、AT材取付部226Aが設けられている。AT材取付部226Aには、AT材226Bが取り付けられている。AT材226Bは、X軸方向の長さがAT材取付部226Aと同じ長さに形成され、AT材取付部226Aに対してZ2方向側に位置するように取り付けられている。
室内側面部228には、上述した新設下枠対向面部221がX軸方向全体にわたって設けられている。
【0022】
下加熱発泡材42は、新設下枠22の下加熱発泡材取付面部226のZ2方向側の面におけるAT材取付部226Aよりも下方の位置に、両面テープおよび下加熱発泡材42を貫通する複数のねじ42Aにより固定されている。下加熱発泡材42は、X軸方向の長さが下加熱発泡材取付面部226よりも短い形状に形成され、当該下加熱発泡材42および下加熱発泡材取付面部226のX軸方向中心がほぼ重なるように固定されている。
【0023】
図4に示すように、各新設縦枠23,24は、YZ平面(鉛直面)に対して平行な新設縦枠本体230,240と、新設縦枠本体230,240のZ1方向側の端部から新設枠20の左右方向中央に延長された室内側見付け面部232,242と、新設縦枠本体230,240における室内側見付け面部232,242よりもZ2方向側の部位から新設枠20の左右方向中央に延長された縦加熱発泡材取付面部233,243と、室内側見付け面部232,242と縦加熱発泡材取付面部233,243の延出方向端部同志を接続する接続部234,244とをそれぞれ備える。
新設縦枠本体230,240のZ1方向側の端部と、室内側見付け面部232,242と、縦加熱発泡材取付面部233,243と、接続部234,244とにより、ホロー部(中空部)235A,245Aを有する筒部235,245が形成されている。
新設縦枠本体230,240における筒部235,245を構成しない部位は、左右の開閉連結部材7が取り付けられる面材関連部品取付面部236,246を構成している。面材関連部品取付面部236,246は、面方向が縦加熱発泡材取付面部233,243に対して直交している。なお、面材関連部品取付面部236,246と縦加熱発泡材取付面部233,243とのなす角度は、鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。
各室内側見付け面部232,242における新設枠20の左右方向中央側の部位には、Z1方向に延長された上述の新設縦枠対向面部231,241がX軸方向に沿うようにそれぞれ設けられている。
各縦加熱発泡材取付面部233,243における新設枠20の左右方向中央側の部位には、AT材取付部233A,243Aがそれぞれ設けられている。各AT材取付部233A,243Aには、AT材233B,243Bがそれぞれ取り付けられている。各AT材233B,243Bは、X軸方向の長さが各AT材取付部233A,243Aと同じ長さに形成され、各AT材取付部233A,243Aに対してZ2方向側に位置するようにそれぞれ取り付けられている。
【0024】
各縦加熱発泡材43,44は、各新設縦枠23,24の縦加熱発泡材取付面部233,243のZ2方向側の面におけるAT材取付部233A,243Aよりも新設枠20の左右方向外側の位置に、両面テープおよび加熱発泡材固定具としての縦固定金具431,441によりそれぞれ固定されている。
ここで、
図4および
図5を参照して、各縦加熱発泡材43,44の詳細な固定構造について説明する。なお、
図5は左の縦加熱発泡材44の固定構造を示しているが、左右の縦加熱発泡材43,44の固定構造は同じである。
【0025】
図5に示すように、縦加熱発泡材44は、Y軸方向の長さが各縦加熱発泡材取付面部243よりも短い形状に形成され、当該縦加熱発泡材44および縦加熱発泡材取付面部243の下端がほぼ重なるようにそれぞれ固定されている。図示はしないが、縦加熱発泡材43は、縦加熱発泡材44と同様に構成されている。
図4および
図5に示すように、各縦固定金具431,441は、各新設縦枠23,24の縦加熱発泡材取付面部233,243における上端側の部位にねじ43A,44Aにより固定された板状の縦金具固定部432,442と、縦金具固定部432,442の下端からZ2方向に向けて斜め下方に延長された接続部433,443と、接続部433,443の下端から下方に延長されて各縦加熱発泡材43,44の上端部を各縦加熱発泡材取付面部233,243に押し付けて保持する縦金具保持部434,444とそれぞれを備える。
各縦固定金具431,441は、その幅寸法(X軸方向の寸法)がAT材取付部233A,243Aと面材関連部品取付面部236,246との間の寸法よりも若干短くなるように形成されている。このような構成により、縦固定金具441の縦加熱発泡材取付面部243への取り付け中に、
図5に示すように、縦固定金具441の幅方向一方側の端面441AがAT材取付部243Aに接触するか、幅方向他方側の端面441Bが面材関連部品取付面部246に接触して、縦固定金具441の回転が防止される。また、縦固定金具431の縦加熱発泡材取付面部233への取り付け中に、縦固定金具431の幅方向一方側の端面がAT材取付部233Aに接触するか、幅方向他方側の端面が面材関連部品取付面部236に接触して、縦固定金具431の回転が防止される。つまり、縦固定金具431の幅方向両側の端面と、縦固定金具441の幅方向両側の端面441A,441Bは、各縦固定金具431,441の回転を防止する回転防止部として機能する。
【0026】
〔実施形態の効果〕
縦加熱発泡材43,44を取り付けるための縦固定金具431,441の縦金具固定部432,442は、新設枠20の新設縦枠23,24における縦加熱発泡材43,44の上端側(長手方向一端側)に固定されている。
このため、新設縦枠23,24における縦加熱発泡材43,44に対してZ2方向側(見込み方向一方側)に開閉連結部材7が取り付けられる場合でも、Y1方向側(新設縦枠23,24の長手方向一端側)から見たときに、縦金具固定部432,442が開閉連結部材7に重なること抑制することができる。したがって、開閉連結部材7の配置位置を縦固定金具431,441の固定位置に干渉しないように設定する配慮が不要になり、遮炎性能を有する改装サッシ1において、開閉連結部材7の配置位置を容易に設定可能な改装サッシ1を提供することができる。
【0027】
縦加熱発泡材43,44は、面材関連部品取付面部236,246に対して直交する縦加熱発泡材取付面部233,243に配置されている。
このように、縦加熱発泡材43,44を面材関連部品取付面部236,246とは異なる面に配置する構成にすることにより、開閉連結部材7の配置位置およびサイズの自由度をより高めることができる。また、開閉連結部材7の配置位置およびサイズの自由度があるため、縦固定金具431,441により縦加熱発泡材43,44が取り付けられる新設縦枠23,24を、可動窓6および開閉連結部材7を有するすべり出し窓以外の引き違い窓やFIX窓にも用いることができる。
【0028】
縦固定金具431は、幅方向一方側の端面がAT材取付部233Aに接触するか、幅方向他方側の端面が面材関連部品取付面部236に接触して、回転が防止されるように構成されている。また、縦固定金具441は、幅方向一方側の端面441AがAT材取付部243Aに接触するか、幅方向他方側の端面441Bが面材関連部品取付面部246に接触して、回転が防止されるように構成されている。
このため、縦固定金具431,441の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0029】
縦金具固定部432,442は、縦加熱発泡材取付面部233,243を有する筒部235,245の外部から内部に貫通するねじ43A,44Aにより固定されている。
このため、作業者がねじ43A,44Aの雄ねじ部に接触することを防止できる。
【0030】
[変形例]
【0031】
上加熱発泡材41を固定する構成として、上固定金具411の代わりに、縦固定金具431と同様の構成を有する加熱発泡材固定具を適用して、上加熱発泡材取付面部212における上加熱発泡材41の左端側または右端側に縦金具固定部432と同様の固定部を固定して、縦金具保持部434と同様の保持部で上加熱発泡材41を保持するようにしても良い。下加熱発泡材42を固定する構成としても、ねじ42Aの代わりに、縦固定金具431と同様の構成を有する加熱発泡材固定具を適用して、下加熱発泡材取付面部226における下加熱発泡材42の左端側または右端側に縦金具固定部432と同様の固定部を固定して、縦金具保持部434と同様の保持部で下加熱発泡材42を保持するようにしても良い。
上述のように、上加熱発泡材41または下加熱発泡材42を固定する構成として、縦固定金具431と同様の構成を有する加熱発泡材固定具を適用する場合、縦加熱発泡材43および縦加熱発泡材44のうち少なくとも一方は、上固定金具411またはねじ42Aと同様の構成により固定されても良い。
縦固定金具431,441は、縦加熱発泡材43,44の下端側に取り付けられても良い。
【0032】
縦加熱発泡材43,44および縦固定金具431,441を、面材関連部品取付面部236,246における開閉連結部材7に対する見込み方向一方側に設けても良い。
このような構成にしても、Y1方向側から見たときに、縦金具固定部432,442が開閉連結部材7に重なること抑制することができ、上記実施形態と同様に、開閉連結部材7の配置位置を縦固定金具431,441の固定位置に干渉しないように設定する配慮が不要になる。
【0033】
回転防止部として、縦固定金具441の幅方向両側の端面441A,441Bを例示したが、当該端面441A,441Bに突起を回転防止部として設けても良い。また、縦固定金具431に、同様の突起を回転防止部として設けても良い。
縦固定金具441の幅寸法を上記実施形態の幅寸法よりも短くして、縦加熱発泡材取付面部243への取り付け中に、幅方向一方側の端面441AがAT材取付部243Aに接触せず、かつ、他方側の端面441Bが面材関連部品取付面部246に接触しないようにしても良い。また、縦固定金具431を同様に構成しても良い。
【0034】
縦加熱発泡材取付面部233,243が筒部235,245の一部を構成する場合を例示したが、筒部235,245の一部を構成しないようにしても良い。
【0035】
本発明の加熱発泡材および加熱発泡材固定具が設けられる枠として新設枠20を例示したが、躯体2に直接取り付けられた枠であっても良い。
面材関連部品として、開閉連結部材7を例示したが、枠体の上枠材または左右の縦枠材に設けられ、面材が当接する引寄せ片であっても良いし、枠体の上枠材または左右の縦枠材に設けられ、枠体から面材が外れることを防止する外れ止め金具であっても良いし、枠体の下枠材に設けられ、面材の下框に当接するガイドローラであっても良いし、特許文献1に記載のローラ載置部材のように、枠体の下枠材に設けられ、面材の下框に設けられたガイドローラを受けるガイドローラ受けであっても良い。
【0036】
[本発明のまとめ]
本発明の建具は、枠体と、前記枠体の内部に配置された面材と、枠材の長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられる複数の加熱発泡材と、前記枠材における前記加熱発泡材に対する見込み方向一方側に取り付けられた面材関連部品と、前記面材関連部品と同じ前記枠材に取り付けられた前記加熱発泡材を固定する加熱発泡材固定具と、を備え、前記加熱発泡材固定具は、前記枠材における前記加熱発泡材の長手方向一端側に固定された固定部と、前記加熱発泡材を保持する保持部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、加熱発泡材固定具の固定部が枠材における加熱発泡材の長手方向一端側に固定されているため、当該枠材における加熱発泡材に対して見込み方向一方側に面材関連部品が取り付けられる場合でも、当該枠材の長手方向一端側から見たときに、固定部が面材関連部品に重なること抑制することができ、面材関連部品の配置位置を加熱発泡材固定具の固定位置に干渉しないように設定する配慮が不要になる。
したがって、遮炎性能を有する建具において、面材関連部品の配置位置を容易に設定可能な建具を提供することができる。
【0037】
本発明の建具において、前記面材関連部品が取り付けられた前記枠材は、前記面材関連部品が取り付けられる面材関連部品取付面部と、面方向が前記面材関連部品取付面部に対して交差し、前記加熱発泡材が取り付けられる加熱発泡材取付面部と、を備え、前記固定部は、前記加熱発泡材取付面部に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、面材関連部品配置面に対して交差する加熱発泡材配置面に加熱発泡材が配置されているため、面材関連部品の配置位置およびサイズの自由度をより高めることができる。
【0038】
本発明の建具において、前記加熱発泡材固定具は、前記面材関連部品取付面部に接触することにより前記加熱発泡材取付面部上における前記加熱発泡材固定具の回転を防止する回転防止部を備えることが好ましい。
本発明によれば、加熱発泡材固定具の取り付け中に当該加熱発泡材固定具の回転を防止することができ、加熱発泡材固定具の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0039】
本発明の建具において、前記面材関連部品が取り付けられた前記枠材は、前記加熱発泡材取付面部を有する筒部を備え、前記固定部は、前記筒部の外部から内部に貫通するねじにより固定されていることが好ましい。
本発明によれば、筒部の外部から内部に貫通するねじにより固定部が固定されているため、作業者がねじの雄ねじ部に接触することを防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1…改装サッシ(建具)、6…可動窓(面材)、7…開閉連結部材(面材関連部品)、20…新設枠(枠体)、21…新設上枠(枠材)、22…新設下枠(枠材)、23,24…新設縦枠(枠材)、40…加熱発泡材、41…上加熱発泡材、42…下加熱発泡材、43,44…縦加熱発泡材、233,243…縦加熱発泡材取付面部、235,245…筒部、236,246…面材関連部品取付面部、431,441…縦固定金具(加熱発泡材固定具)、441A,441B…端面(回転防止部)、432,442…縦金具固定部(固定部)、434,444…縦金具保持部(保持部)。