IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 品川リフラクトリーズ株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151903
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ブリケット及びそれを含む耐火物
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/043 20060101AFI20241018BHJP
   B22D 41/02 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C04B35/043
B22D41/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065707
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川リフラクトリーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安藤 将太
(72)【発明者】
【氏名】島田 岳
(57)【要約】
【課題】 膨張化黒鉛を含みつつ、嵩高さを低減し、成形作業性をさらに向上させることができる黒鉛原料を提供すること。
【解決手段】 ブリケットは、耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを主原料として含み、膨張化黒鉛は、平均粒径が50~500μm、ゆるみ嵩密度が0.01~0.50g/cmである。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを主原料として含み、
前記膨張化黒鉛は、平均粒径が50~500μm、ゆるみ嵩密度が0.01~0.50g/cmであることを特徴とするブリケット。
【請求項2】
請求項1に記載のブリケットにおいて、
前記膨張化黒鉛の含有量が前記膨張化黒鉛と前記耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し0.0質量部を超え40.0質量部以下であることを特徴とするブリケット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブリケットを主原料として含むことを特徴とする耐火物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膨張化黒鉛を含むブリケット及びブリケットを含む耐火物に関する。
【背景技術】
【0002】
黒鉛含有耐火物は、耐食性と耐スポーリング性に優れ、各種工業窯炉に使用される。特に、黒鉛原料として膨張化黒鉛を使用することにより耐スポーリング性が改善されることが知られている。しかし、膨張化黒鉛は嵩高いため成形作業性を悪化させる。そこで、例えば、特許文献1は、炭素質物質0.5~40重量%よりなる炭素含有れんがにおいて、炭素質物質として圧縮後粉砕した膨張黒鉛(膨張化黒鉛)を含有することを特徴とする圧縮、粉砕した膨張黒鉛含有れんがを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-081256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の膨張黒鉛は、成形作業性を改善するために圧縮しているが、それでもなお嵩高く、成形作業性が十分ではない。
【0005】
本開示は上記実状を鑑みてなされたものであり、膨張化黒鉛を含みつつ、嵩高さを低減し、成形作業性をさらに向上させることができる黒鉛原料と、耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性にさらに優れる耐火物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様は、
耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを主原料として含み、
前記膨張化黒鉛は、平均粒径が50~500μm、ゆるみ嵩密度が0.01~0.50g/cmであることを特徴とするブリケットに関する。
【0007】
これにより、膨張化黒鉛を含みつつ、嵩高さを低減し、成形作業性をさらに向上させることができる黒鉛原料を、ブリケットとして提供することができる。
【0008】
本開示の一の態様では、
前記膨張化黒鉛の含有量が前記膨張化黒鉛と前記耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し0.0質量部を超え40.0質量部以下であることが好ましい。
【0009】
これにより、嵩高さをより低減し、成形作業性をさらに向上させることができる。
【0010】
本開示の他の態様は、
本開示の一の態様のブリケットを主原料として含むことを特徴とする耐火物に関する。
【0011】
これにより、耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性にさらに優れる耐火物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0013】
本実施形態のブリケットは、耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを主原料として含み、膨張化黒鉛は、平均粒径が50~500μm、ゆるみ嵩密度が0.01~0.50g/cmである。これにより、ブリケットは膨張化黒鉛を含みつつ、嵩高さを低減し、成形作業性をさらに向上させることができる。
【0014】
<耐火原料>
本実施形態の耐火原料は、定型耐火物に使用される一般的な耐火原料であれば特に制限はなく、例えば、マグネシア原料、スピネル原料、アルミナ原料、炭化けい素原料等が挙げられる。
【0015】
マグネシア原料は、一般にマグネシア・カーボン質耐火物に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、電融マグネシア、海水マグネシア、天然マグネシア、焼結マグネシア等が挙げられる。マグネシア原料の純度はMgO:98質量%以上が好ましい。この場合、マグネシア・カーボン質耐火物の耐食性が向上するとともに、マグネシア・カーボン反応を抑制することもできる。
【0016】
スピネル原料は、一般に黒鉛含有耐火物に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、電融スピネル、焼結スピネル等が挙げられる。スピネルの組成としては、化学量論組成:MgAl(Al:71.7質量%、MgO:28.3質量%)、化学量論組成よりAlを多く含むアルミナリッチスピネル、MgOを多く含むマグネシアリッチスピネル等、種々の組成があるが、本実施形態のスピネル原料はいずれのものでもよい。
【0017】
アルミナ原料は、一般に黒鉛含有耐火物に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、天然アルミナ等が挙げられる。Alの純度は95質量%以上が好ましい。この場合、耐食性が向上する。
【0018】
炭化けい素原料は、一般に黒鉛含有耐火物に使用されるものであれば特に制限はない。SiCの純度は95質量%以上が好ましい。この場合、耐食性が向上するとともに、黒鉛の酸化を抑制することができる。
【0019】
<膨張化黒鉛>
本実施形態の膨張化黒鉛は次のようにして得られる。まず、鱗状黒鉛等、結晶性の高い天然黒鉛の層間に、硫酸や硝酸等を添加、浸入させて黒鉛層間化合物を形成する。次に、黒鉛層間化合物を800℃~1000℃に急激に加熱(膨張化処理)して膨張化黒鉛を形成する。次に、ロール等を用いて膨張化黒鉛を10MPa以上の圧力で圧延して黒鉛シートを形成する。圧延の圧力を調整することで黒鉛シートの厚さや膨張化黒鉛の嵩密度を調整してもよい。最後に、黒鉛シートを1mm以下の大きさに粉砕する。粉砕方法は一般に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、ピンミル等を備える粉砕機を使用してもよい。この場合、ピンの間隔や回転数を調整することで膨張化黒鉛の粒径等を調整することができる。
【0020】
本実施形態の膨張化黒鉛の、レーザー法によって測定される平均粒径は50~500μmであり、100~400μmが好ましく、150~350μmがより好ましい。本実施形態の膨張化黒鉛のゆるみ嵩密度は0.01~0.50g/cmであり、0.01~0.30g/cmが好ましく、0.05~0.20g/cmがより好ましい。膨張化黒鉛の平均粒径とゆるみ嵩密度をこの範囲にすることにより、黒鉛原料の嵩高さを抑え、成形作業性をより向上させることができる。また、本実施形態の膨張化黒鉛の固定炭素分、外観形状はそれぞれ96%以上、アコーディオン形状が好ましい。
【0021】
なお、本明細書において、ゆるみ嵩密度とは、容積、質量が既知の鉄製箱型容器に測定対象物を静かに入れ、両者の合計質量から鉄製箱型容器の質量を差し引いた測定対象物の質量を、鉄製箱型容器の容積で除した値をいう。
【0022】
本実施形態のブリケットにおける膨張化黒鉛の含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し0.0質量部を超え40.0質量部以下が好ましく、1.0~30.0質量部がより好ましい。また、本実施形態のブリケットのゆるみ嵩密度は、0.5~2.0g/cmが好ましく、1.5~1.9g/cmがより好ましい。これにより、嵩高さを抑え、成形作業性をより向上させることができる。
【0023】
<バインダー>
バインダーは、一般に黒鉛含有耐火物に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、熱硬化性(レゾール型)又は熱可塑性(ノボラック型)フェノール樹脂、エチレングリコール等が挙げられる。バインダーの形態は、一般に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、液体、粉末等が挙げられる。常温で粘性が低いバインダーや一定温度に加温して粘性を低下させたバインダーは、少量の添加で均質に分散させることができるため、特に好ましい。また、バインダーは、一般に不焼成れんがに使用されるものであれば樹脂でなくてもよく、例えば、糖蜜等の多糖類溶液、珪酸塩等の無機化合物が挙げられる。本実施形態のブリケットにおけるバインダーの含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し1.0~5.0質量部が好ましく、2.0~4.5質量部がより好ましい。
【0024】
<ブリケットの製造方法>
本実施形態のブリケットの製造方法は、耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを含む混合物を混練する工程と、混合物をブリケットマシンで成形する工程を含む。ブリケットマシンは、原料をダブルロール式の成型機(ブリケットモールド)に流し込み、造粒物(ブリケット)を成形するもので、公知のものを使用することができる。ブリケットサイズやブリケットモールドは特に限定されず、適宜選択が可能である。ブリケットの固さは、後述するように、耐火物を製造するために型枠に入れ、加圧、成形する際に、形状が崩れる程度であることが好ましい。そのため、ブリケットマシンのダブルロール間の線圧は70~1000kN/mが好ましく、90~400kN/mがより好ましい。これにより、耐火物中の黒鉛の含有量を増加させ、耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性を向上させることができる。
【0025】
<耐火物>
本実施形態の耐火物は本実施形態のブリケットを主原料として含み、耐火原料、黒鉛原料、バインダー及び/又は少量添加物を副原料として含んでもよい。これにより、耐火物は耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性をさらに向上させることができる。本実施形態の耐火物の製造方法は、本実施形態のブリケットを主原料として型枠に入れ、加圧、成形し、成形体を得る工程と、成形体に乾燥や焼成等の熱処理を行う工程を含む。
【0026】
<黒鉛原料>
黒鉛原料としては、例えば、鱗状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、無煙炭、人造黒鉛等、市販の固体状黒鉛が挙げられる。これらの黒鉛原料は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
<少量添加物>
本実施形態の耐火物は、一般に黒鉛含有耐火物に使用されるものであれば少量添加物を含んでもよく、例えば、酸化防止剤、カーボンブラック、粉末ピッチ等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、Al、Si、BC、SiC、Al-Mg合金等が挙げられる。
【実施例0028】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。
【0029】
1.ブリケットに関する実施例
1.1 ブリケットの製造
膨張化処理後、圧延してシート化、粉砕し、膨張化黒鉛を得た。膨張化黒鉛の平均粒径をレーザー法で測定したところ、250μmであった。また、膨張化黒鉛のゆるみ嵩密度、固定炭素分、外観形状はそれぞれ0.15g/cm、98%、アコーディオン形状であった。
【0030】
耐火原料と、膨張化黒鉛と、バインダーとを含む混合物を混練し、混合物をブリケットマシンで成形し、ブリケットA~Uを得た。ブリケットA~Uの配合と、成形圧力を表1に示す。
【表1】
【0031】
耐火原料として、マグネシア原料、スピネル原料、アルミナ原料及び/又は炭化けい素原料を用いた。バインダーとして、フェノール樹脂を用いた。ブリケットA~Lは、膨張化黒鉛とマグネシア原料の含有量をそれぞれ5.0~40.0質量部、60.0~95.0質量部で変化させた。ブリケットM~Uは、耐火原料として、マグネシア原料、スピネル原料、アルミナ原料、炭化けい素原料の中から1種以上を選択した。バインダーの含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し、ブリケットA~Lは2.0~4.0質量部で変化させ、ブリケットM~Uは3.0質量部で固定した。ブリケットマシンの成形圧力は98~980kN/mで変化させた。
【0032】
1.2 測定、評価方法
ブリケットA~Uについて、以下の測定、評価を行った。
【0033】
<ゆるみ嵩密度>
ゆるみ嵩密度は、容積、質量が既知の鉄製箱型容器に測定対象物を静かに入れ、両者の合計質量から鉄製箱型容器の質量を差し引いた測定対象物の質量を、鉄製箱型容器の容積で除した値とし、本実施例では10回測定した平均値とした。容器内に空隙が存在し、また、ブリケットの成形圧力が弱い場合、形状が崩れるものも存在するが、それらも含めて測定を行った。
【0034】
<成形作業性>
成形作業性は、ゆるみ嵩密度で評価した。所定質量のブリケットを成形金型に投入したとき、金型に収まる量が多いほど成形作業性が良好であり、金型からあふれる量が多いほど成形作業性が劣るといえる。したがって、ブリケットのゆるみ嵩密度が高いほど成形作業性に優れ、1.50g/cm以上を優:◎、0.85g/cm以上1.50g/cm未満を良:○、0.85g/cm未満を不可:×と評価した。
【0035】
1.3 測定、評価結果
測定、評価結果を表1に示す。
【0036】
表1から、ブリケットA~Uはゆるみ嵩密度が全て0.85g/cm以上であり、成形作業性が良好であった。また、ブリケットマシンの成形圧力が高いほど、成形作業性がさらに優れるブリケットが得られた。
【0037】
膨張化黒鉛の含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し0.0質量部を超え40.0質量部以下が好ましく、1.0~30.0質量部がより好ましかった。また、ブリケットのゆるみ嵩密度は、0.5~2.0g/cmが好ましく、1.5~1.9g/cmがより好ましかった。これにより、黒鉛原料の嵩高さを抑え、成形作業性をより向上させることができた。バインダーの含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し1.0~5.0質量部が好ましく、2.0~4.5質量部がより好ましかった。
【0038】
2.耐火物に関する実施例
2.1 耐火物の製造
耐火物の原料を長さ900mm×幅180mm×高さ150mmの直方体形状の成形型枠に入れ、147MPaの圧力で成形し、250℃で24時間乾燥し、耐火物を得た。必要に応じて所定の形状に加工し、耐火物の試験片を得た。耐火物の原料として、実施例1~21ではそれぞれ上記「1.ブリケットに関する実施例」で得られたブリケットA~Uを使用し、比較例1~8では実施例1~21で使用されたブリケットA~Uと同じ配合の原料を混練しただけの坏土を使用した。実施例に使用されたブリケットと、それらの原料の配合と、比較例の原料の配合を表2、3に示す。
【表2】
【表3】
【0039】
耐火原料として、表2ではマグネシア原料を使用し、表3ではマグネシア原料、スピネル原料、アルミナ原料及び炭化けい素原料から選ばれる1種以上を使用した。
【0040】
2.2 測定、評価方法
試験片について、以下の測定、評価を行った。
【0041】
<気孔率>
気孔率はJIS R2205(耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法)に従って測定した。
【0042】
<耐食性(溶損指数)>
耐食性は高周波内張り法で評価した。即ち、試験温度は1700℃とし、侵食剤にはCaO/SiO(質量比)が2.8の合成スラグを使用した。侵食剤は1回に400g投入し、1時間毎に入れ替え、計6時間試験を継続した。試験後の試験片を稼働面に垂直な方向に切断して溶損面積を測定し、比較例4の溶損面積を100としたときの溶損指数を算出した。原料の配合が同じ比較例に対し、溶損指数が小さいほど耐食性は向上しており、10.0以上小さい場合を優(◎)、0.0を超え10.0未満小さい場合を良(○)と評価した。
【0043】
<耐スポーリング性(弾性率低下率)>
耐スポーリング性は急熱急冷試験による弾性率低下率で評価した。即ち、耐火物を所定の形状:40×40×160mmの直方体に加工し、還元雰囲気中1000℃で焼成し、試験片を得た。試験片を1680℃の溶銑に60秒間浸漬した後、15秒間冷水に浸漬する操作を2回繰り返した(急熱急冷試験)。急熱急冷試験の前と後の試験片の弾性率を測定し、以下の式より弾性率低下率を算出した。弾性率は試験片長手方向(160mm長さ方向)の超音波伝播速度より求めた。
弾性率低下率=(試験前の弾性率-試験後の弾性率)/試験前の弾性率×100
【0044】
弾性率低下率が小さいほど耐スポーリング性は良好であり、10.0%未満を優(◎)、10.0%以上30.0%未満を良(○)、30.0%以上60.0%未満を可(△)と評価した。
【0045】
<耐スポーリング性の維持>
原料の配合が同じ比較例に対し、弾性率低下率の値が近いほど耐スポーリング性は維持されており、両者の差が3.0%未満の場合を優(◎)、3.0%以上7.0%未満の場合を良(○)、7.0%以上16.0%未満の場合を可(△)と評価した。
【0046】
2.3 測定、評価結果
測定、評価結果を表2、3に示す。
【0047】
表2、3から、原料の配合が同じ実施例と比較例(例えば、実施例1、2と比較例1)を比較すると、ブリケットを使用した実施例は気孔率が低下し、耐食性が向上した。これは、坏土をそのまま成形するより、ブリケットを成形する方が緻密な成形体が得られたため、即ち、成形作業性が向上したためと考えられる。
【0048】
また、ブリケットにおける膨張化黒鉛の含有量は、膨張化黒鉛と耐火原料の合計含有量100.0質量部に対し0.0質量部を超え40.0質量部以下が好ましく、1.0~30.0質量部がより好ましかった。これにより、黒鉛原料の嵩高さを抑え、成形作業性をより向上させることができたと考えられる。
【0049】
実施例7~10、比較例4を参照すると、実施例9、10は耐スポーリング性の維持が可(△)であったが、問題なく使用できる程度であった。これは、実施例9、10で使用したブリケットの成形圧力が490kN/m、980kN/mと高いことから、ブリケットが固くなり、耐火物を製造するために加圧、成形する際に、形状が十分に崩れず、比較例4ほど原料が均等に締め固まった状態にならなかったためと考えられる。したがって、ブリケットマシンのダブルロール間の線圧は70~1000kN/mが好ましく、90~400kN/mがより好ましいと考えられる。
【0050】
表3から、マグネシア・カーボン質耐火物に限らず、膨張化黒鉛を含有する種々の耐火物について、耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性をさらに向上させることができた。
【0051】
以上より、嵩高さを低減し、成形作業性をさらに向上させることができるブリケットが得られた。また、それらのブリケットを使用することにより、耐スポーリング性を維持しつつ、耐食性にさらに向上させることができる耐火物が得られた。
【0052】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、本実施形態の構成も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。