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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151924
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】材料試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/34 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01N3/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065749
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 賢太
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB05
2G061BA15
2G061DA01
2G061DA10
2G061EA01
2G061EB05
(57)【要約】
【課題】シリンダ装置の支持角度を簡単に変更できる材料試験機を提供する。
【解決手段】油圧式のシリンダ装置のピストンロッドの先端に取り付けたロードセルを試験対象に押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機であって、前記シリンダ装置はサーボバルブを備え、かつ、前記シリンダ装置は支持軸を介して揺動可能に支持され、前記サーボバルブの各ポートに接続される油路を備え、前記油路につながる入口ポート、及び、出口ポートが前記支持軸の揺動中心に形成され、前記入口ポートに回転継手を介して油圧源に接続される第1油圧ホースが接続され、前記出口ポートに回転継手を介して作動油タンクに接続される第2油圧ホースが接続される、材料試験機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式のシリンダ装置のピストンロッドの先端に取り付けたロードセルを試験対象に押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機であって、
前記シリンダ装置はサーボバルブを備え、
かつ、前記シリンダ装置は支持軸を介して揺動可能に支持され、
前記サーボバルブの各ポートに接続される油路を備え、前記油路につながる入口ポート、及び、出口ポートが前記支持軸の揺動中心に形成され、前記入口ポートに回転継手を介して油圧源に接続される第1油圧ホースが接続され、前記出口ポートに回転継手を介して作動油タンクに接続される第2油圧ホースが接続される、
材料試験機。
【請求項2】
前記サーボバルブの各ポートに接続される油路が前記シリンダ装置の内部に形成される、
請求項1に記載の材料試験機。
【請求項3】
前記油路は、
前記入口ポートと前記サーボバルブの第1ポートを連通する第1油路と、前記サーボバルブの第2ポートと前記シリンダ装置の第1作動油室を連通する第2油路と、前記シリンダ装置の第2作動油室と前記サーボバルブの第3ポートを連通する第3油路と、前記サーボバルブの第4ポートと前記出口ポートを連通する第4油路と、を備える、
請求項1又は2に記載の材料試験機。
【請求項4】
前記シリンダ装置のシリンダが、前シリンダと中央シリンダと後シリンダとの三つに分割され、前記第1油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成され、前記第2油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成され、前記第3油路が前記中央シリンダと前記前シリンダの内部に形成され、前記第4油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成される、
請求項3に記載の材料試験機。
【請求項5】
前記ピストンロッドは前記中央シリンダ内部に重なる位置に受圧部を備える、
請求項4に記載の材料試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、油圧源からの作動油で駆動されるシリンダ装置のピストンロッド先端に支持したロードセルを試験対象に押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機を開示する。この種の材料試験機では、シリンダ装置が支持軸を介して支持具に揺動可能に支持され、シリンダ装置の支持角度を変更できるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-108007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、シリンダ装置の支持角度を変更する場合、シリンダ装置に油圧ホースの自重等が掛かり、支持角度を変更する作業が困難となり、任意の角度にセットして負荷試験を行う場合、角度によっては配管が妨げとなってシリンダ装置の取り回しが難しくなる場合がある。加えてシリンダ装置の支持角度を繰り返し変更するとき、シリンダ装置と油圧ホースの接続部に緩み等が生じて作動油漏れにつながる恐れがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、シリンダ装置の支持角度を簡単に変更できる材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、油圧式のシリンダ装置のピストンロッドの先端に取り付けたロードセルを試験対象に押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機であって、前記シリンダ装置はサーボバルブを備え、かつ、前記シリンダ装置は支持軸を介して揺動可能に支持され、前記サーボバルブの各ポートに接続される油路を備え、前記油路につながる入口ポート、及び、出口ポートが前記支持軸の揺動中心に形成され、前記入口ポートに回転継手を介して油圧源に接続される第1油圧ホースが接続され、前記出口ポートに回転継手を介して作動油タンクに接続される第2油圧ホースが接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様では、第1及び第2油圧ホースは回転継手を介して支持軸の揺動中心に接続されるため、シリンダ装置の支持角度を変化させる場合、油圧ホースの自重等が掛からず、支持角度を簡単に変更でき、支持角度を繰り返し変更させる場合でも、シリンダ装置と油圧ホースの接続部の緩みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】材料試験機の側面図である。
図2】シリンダ装置の平面断面図である。
図3】シリンダ装置の側面図である。
図4】シリンダ装置の油圧回路図である。
図5】ピストンロッドが押されるときの作動油の流れを示す図である。
図6】ピストンロッドが引かれるときの作動油の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
[1―1.材料試験機の構成]
図1は、材料試験機101の側面図である。
材料試験機101は、シリンダ装置1を備える。
シリンダ装置1のピストンロッド9の先端には、ロードセル9aが取り付けられ、ピストンロッド9の推力により、ロードセル9aを試験対象TPに押し当てることで、試験対象TPの材料疲労試験が行われる。
【0010】
シリンダ装置1は、一対の支持具107の間に揺動可能に支持され、例えば、実線で示す位置から破線で示す位置等のように変位可能である。シリンダ装置1の角度を変更することで、試験対象TPに対して様々な角度から押動力を与え、疲労試験等を行うことができる。ピストンロッド9は方向Fの往復運動できる。支持具107は下部に台座109を備え、試験台G上に固定される。
【0011】
図2は、シリンダ装置1の平面断面図、図3は、同側面図である。
シリンダ装置1は、図2に示すように、シリンダ10と、シリンダ10内を摺動するピストンロッド9と、ピストンロッド9の先端に取り付けられたロードセル9aと、ピストンロッドカバー21と、コネクタ部19とを備える。
【0012】
シリンダ10は、前シリンダ3と、中央シリンダ5と、後シリンダ7との三つに分割されている。ピストンロッド9は、中央シリンダ5内部に重なる位置に、受圧部(ピストン)11を備える。ピストンロッド9は、受圧部11から後部にかけて、内部に棒状に形成された一次コイルである鉄心15と、鉄心15を覆うように二次コイルであるDTFカバー17とを備え、これらで変位センサー(いわゆるDTF(Distance to Fault)測定器)13が構成されている。DTFカバー17は、シリンダ装置1が後端に備えるコネクタ部19内部に支持されており、後シリンダ7とコネクタ部19とを連結するピストンカバ-21で覆われている。
【0013】
シリンダ10と、ピストンロッド9との間の空間は、ピストンロッド9に一体に形成された受圧部11によって仕切られ、受圧部11の後方に、第1作動油室23が形成され、受圧部11の前方に、第2作動油室25が形成される。
【0014】
後シリンダ7には、ピストンロッド9の軸Lに直交する方向に延びる一対のトラニオン軸(支持軸)31a、31bが一体に形成される。
【0015】
トラニオン軸31a、31bは、図1に示すように、一対の支持具107の孔107aに回転可能に嵌合される。支持具107は、シリンダ10の幅方向両側に配置され、側面視で上下方向に延びる板状に形成される。支持具107は、不図示のクランプ部を備え、クランプ部を介してトラニオン軸31を固定できる。シリンダ10の支持角度を変更する場合、クランプ部を緩めて、シリンダ10を所望の角度に揺動させた後に、クランプ部を締めてトラニオン軸31を固定できる。
【0016】
一方のトラニオン軸31aには、図2に示すように、作動油が供給される入口となる入口ポート33が形成され、他方のトラニオン軸31bには、作動油が排出される出口となる出口ポート35が形成される。
【0017】
材料試験機101は、制御装置201を備える。
制御装置201は、ロードセルケーブル111を介して、ピストンロッド9の先端のロードセル9aと接続される。
制御装置201は、DTFケーブル113を介して、変位センサー13と接続される。DTFケーブルの一端は、コネクタ部19に接続される。ロードセル9a、及び、変位センサー13から入力された情報は制御装置201で処理される。
【0018】
[1―2.作動油の油路の構成]
図4は、シリンダ装置1の油圧回路図である。
油圧源151には、作動油の油路を介して、電磁切換え弁153、サーボバルブ27、チェッキバルブ28、及び、シリンダ装置1が接続される。サーボバルブ27は、中央シリンダ5の側部に取り付けられる(図3参照。)。
【0019】
電磁切換え弁153は、2つの切換え位置A、Bを備える。また、サーボバルブ27は3つの切換え位置C、D、Eを備えると共に、4つのポート(第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、及び、第4ポートP4)を備える。
【0020】
図4を参照し、電磁切換え弁153が右の切換え位置Bに切換えられ、サーボバルブ27が左の切換え位置Cに切換えられると、油圧源151からの作動油が、第1ポートP1から第2ポートP2に流れて、シリンダ装置1の第1作動油室(一方の室)23に入り、ピストンロッド9が左方、すなわち矢印FRの方向に移動する。サーボバルブ27が左の切換え位置Cにあるときは、ピストンロッド9が押されるときである。
第2作動油室(他方の室)25の作動油は、第3ポートP3から第4ポートP4に流れて、作動油タンク155に戻る。
【0021】
電磁切換え弁153が同じく右の切換え位置Bに切換えられ、サーボバルブ27が右の切換え位置Eに切換えられると、油圧源151からの作動油が、第1ポートP1から第3ポートP3に流れて、シリンダ装置1の第2作動油室25に入り、ピストンロッド9が右方、すなわち矢印FRと逆の方向に移動する。第1作動油室23の作動油は、第2ポートP2から第4ポートP4に流れて、作動油タンク155に戻る。サーボバルブ27が中央位置Dに切換えられると、切換える直前の状態が維持される。サーボバルブ27が右の切換え位置Eにあるときは、ピストンロッド9が引かれるときである。
【0022】
図5はピストンロッド9が押されるときの作動油の流れ、図6はピストンロッド9が引かれるときの作動油の流れを示す。
図5に示すように、作動油が、矢印Din方向に沿って、作動油供給ホース105A内を流れるとき、ピストンロッド9は矢印FRの方向に押動される。このとき作動油は、矢印D1方向に沿って第1油路O1を流れ、第1ポートP1に至り、サーボバルブ27内に入る。次いで、第2ポートP2から、矢印D2-1方向に沿って第2油路O2を流れ、孔M1から第1作動油室23に流れ込み、ピストンロッド9が押される。このとき、第2作動油室25の孔M21から作動油は流れだし、矢印D3-2方向に沿って第3油路O3を流れ、第3ポートP3に至り、サーボバルブ27内に入る。次いで、第4ポートP4から、矢印D4方向に沿って第4油路O4を流れ、出口ポート33に流れ、矢印Dout方向に沿って作動油排出ホース105B内を流れる。
【0023】
ピストンロッド9が引かれるとき、作動油は、図6に示すように、矢印Din方向沿って、作動油供給ホース105A内を流れる。次いで、矢印D1方向に沿って第1油路O1を流れ、第1ポートP1に至り、サーボバルブ27内に入る。次いで、第3ポートP3から、矢印D3-1方向に沿って第3油路O3を流れ、孔M2から第2作動油室25に流れ込み、ピストンロッド9が引かれる。このとき、第1作動油室23の孔M11から作動油は流れだし、矢印D2-2方向に沿って第2油路O2を流れ、第4ポートP4に至り、サーボバルブ27内に入る。次いで、第4ポートP4から、矢印D4方向に沿って第4油路O4を流れ、出口ポート33に流れ、矢印Dout方向に沿って作動油排出ホース105B内を流れる。
【0024】
ここで、第1ポートP1-第4ポートP4は、図3に示すように、サーボバルブ27のマニホールド29に形成される。
【0025】
第1ポートP1は、図2に示すように、中央シリンダ5と、後シリンダ7の内部に連続して形成される第1油路O1を介して、一方のトラニオン軸31aに設けられた入口ポート33に連通する。第1油路O1は、シリンダ装置1内部の油路のうち、一方のトラニオン軸31aに設けられた入口ポート33から、サーボバルブ27に至るまでの油路部分である。入口ポート33には、スイベルジョイント(回転継手)103を介して、作動油供給ホース105A(第1油圧ホース)が接続される。
【0026】
第2ポートP2は、中央シリンダ5と、後シリンダ7の内部に連続して形成される第2油路O2を介して、第1作動油室(一方の室)23に連通する。第2油路O2は、シリンダ装置1内部の油路のうち、サーボバルブ27から、第1作動油室(一方の室)23に至るまでの油路部分である。
第3ポートP3は、中央シリンダ5と、前シリンダ3の内部に連続して形成される第3油路O3を介して、第2作動油室(他方の室)25に連通する。第3油路O3は、シリンダ装置1内部の油路のうち、第2作動油室(他方の室)25から、サーボバルブ27に至るまでの油路部分である。
【0027】
第4ポートP4は、中央シリンダ5と、後シリンダ7の内部に連続して形成される第4油路O4を介して、他方のトラニオン軸31bに設けられた出口ポート35に連通する。第4油路O4は、シリンダ装置1内部の油路のうち、サーボバルブ27から、他方のトラニオン軸31bに設けられた出口ポート35に至るまでの油路部分である。出口ポート35には、スイベルジョイント(回転継手)103を介して、作動油戻しホース105B(第2油圧ホース)が接続される。
【0028】
[1―3.作動油の油路の切換え]
図1に示すように、ピストンロッド9の先端に取り付けたロードセル9aを試験対象TPに押し当てて、材料疲労試験を行う場合、図4に示すように、電磁切換え弁153を切換え位置Bに切換え、サーボバルブ27を切換え位置Cに切換える。
【0029】
油圧源151からの作動油は、作動油供給ホース105A(第1油圧ホース)から、シリンダ10内に形成された第1油路O1を経て、サーボバルブ27の第1ポートP1に至り、第2ポートP2からシリンダ10内に形成された第2油路O2を経て、第1作動油室(一方の室)23に流入し、これにより、ピストンロッド9の推力を得る。第2作動油室(他方の室)25の作動油は、シリンダ10内に形成された第3油路O3を経て、サーボバルブ27の第3ポートP3に至り、ここから第4ポートP4に流れて、シリンダ10内に形成された第4油路O4から、作動油戻しホース105B(第2油圧ホース)を経て、作動油タンク155に戻る。
【0030】
ピストンロッド9の推力を除荷する場合、図4に示すように、電磁切換え弁153の切換え位置Bをそのままにして、サーボバルブ27を切換え位置Eに切換える。
【0031】
油圧源151からの作動油は、第1油路O1を経て、サーボバルブ27の第1ポートP1に至り、第3ポートP3から第3油路O3を経て、第2作動油室(他方の室)25に流入して、ピストンロッド9の推力が除荷される。第1作動油室(一方の室)23の作動油は、第2油路O2を経て、サーボバルブ27の第2ポートP2に至り、ここから第4ポートP4に流れて、作動油タンク155に戻る。
【0032】
[1―4.シリンダ装置1の傾動]
シリンダ装置1は、図1に示すように、トラニオン軸31を介して、一対の支持具107の間に揺動可能に支持され、傾動可能である。例えば、実線で示す位置から破線で示す位置等のように変位可能である。
シリンダ装置1の支持角度を変更する場合、支持具107に配置された不図示のクランプ部を緩め、シリンダ装置1を例えば破線で示す位置(所望の角度)に揺動し、その後、クランプ部を締めてトラニオン軸31を把持固定する。
【0033】
本実施の形態では、第1油路O1-第4油路O4が、シリンダ装置1の内部に形成されるため、余分な油圧ホースが不要となる。ただし、第1油路O1-第4油路O4は、シリンダ装置1の内部に形成せずに、別途設けた不図示の油圧ホースなどにより、各油路を形成することは可能である。
【0034】
本実施の形態では、油圧源151に一端が接続された作動油供給ホース105Aの他端が、スイベルジョイント103を介して、一方のトラニオン軸31aに設けられた入口ポート33に接続され、また、作動油タンク155に一端が接続された作動油戻しホース105Bの他端が、スイベルジョイント103を介して、他方のトラニオン軸31bに設けられた出口ポート35に接続される。入口ポート33及び出口ポート35は、それぞれトラニオン軸31の回転中心に接続されており、シリンダ装置1の支持角度が変更される際に、スイベルジョイント103が回転し、作動油供給ホース105A、及び、作動油戻しホース105Bは動かない。
【0035】
この構成では、シリンダ装置1の支持角度を変更する際に、トラニオン軸31を支点として揺動し、作動油供給ホース105A、及び、作動油戻しホース105Bは動かないため、シリンダ装置1の角度の変更作業時に、各ホースの重さが加わることがなく、支持角度の変更作業性が向上する。
【0036】
また、作動油供給ホース105A、及び、作動油戻しホース105Bが、シリンダ装置1と一体に動くことがないため、他の部材との干渉問題や、材料試験機101のレイアウト上の制限がなくなり、かつ、それぞれのホース105A、105Bの接続部に緩みが生じなくなり、油漏れを抑制できる。
【0037】
[2.効果]
以上より、本実施形態に係る材料試験機101は、油圧式のシリンダ装置1のピストンロッド9の先端に取り付けたロードセル9aを試験対象TPに押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機101であって、シリンダ装置1はサーボバルブ27を備え、かつ、シリンダ装置1はトラニオン軸31(支持軸)を介して揺動可能に支持され、サーボバルブ27の第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、及び、第4ポートP4に接続される油路を備え、油路につながる入口ポート33、及び、出口ポート35がトラニオン軸31の揺動中心に形成され、入口ポート33にスイベルジョイント103(回転継手)を介して油圧源151に接続される作動油供給ホース105A(第1油圧ホース)が接続され、出口ポート35にスイベルジョイント103を介して作動油タンク155に接続される作動油戻りホース105B(第2油圧ホース)が接続される。
この構成によれば、作動油供給ホース105A及び作動油戻りホース105Bは継手を介してトラニオン軸31の回転中心に接続されるため、シリンダ装置1の支持角度を変化させる場合、作動油供給ホース105A及び作動油戻りホース105Bの自重等が掛からず、支持角度を簡単に変更でき、支持角度を繰り返し変更させる場合でも、シリンダ装置1と作動油供給ホース105A及び作動油戻りホース105Bの接続部、すなわちスイベルジョイント103の緩みを抑制できる。
【0038】
また、サーボバルブ27の第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、及び、第4ポートP4に接続される油路がシリンダ装置1の内部に形成されていてもよい。
この構成によれば、シリンダ装置1の外面のレイアウトが簡易になる。
【0039】
また、油路は、入口ポート33とサーボバルブ27の第1ポートP1を連通する第1油路O1と、サーボバルブ27の第2ポートP2とシリンダ装置1の第1作動油室23を連通する第2油路O2と、シリンダ装置1の第2作動油室25とサーボバルブ27の第3ポートP3を連通する第3油路O3と、サーボバルブ27の第4ポートP4と出口ポート35を連通する第4油路O4と、を備えてもよい。
この構成によれば、シリンダ装置1の支持角度が変更される際に、作動油供給ホース105A、及び、作動油戻りホース105Bがシリンダ装置1と一体になって動かず、シリンダ装置1、及び、スイベルジョイント103への負荷が軽減される。
【0040】
また、シリンダ装置1のシリンダ10が、前シリンダ3と中央シリンダ5と後シリンダ7との三つに分割され、第1油路O1が中央シリンダ5と後シリンダ7の内部に形成され、第2油路O2が中央シリンダ5と後シリンダ7の内部に形成され、第3油路O3が中央シリンダ5と前シリンダ3の内部に形成され、第4油路O4が中央シリンダ5と後シリンダ7の内部に形成されてもよい。
この構成によれば、シリンダ装置1の外面のレイアウトが簡易になる。
【0041】
ピストンロッド9は中央シリンダ5内部に重なる位置にピストン11(受圧部)を備える。
この構成によれば、シリンダ装置1の軸方向について小型化できる。
【0042】
[3.他の実施形態]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、シリンダ装置1を支持する部材として、試験台Gに固定される支持具107の構成を説明したが、シリンダ装置1が揺動可能であれば、試験台Gに固定される支持具107に限定されない。例えば、支柱、及び、クロスヘッドを備える材料試験機でもよく、さらに、支持具107、及び、支持具107に支持されたシリンダ装置1が、前後方向及び上下方向のうち少なくとも1つの方向に摺動可能な材料試験機でもよい。
【0043】
上述した例示的な実施形態、及び他の実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0044】
(第1項)
一態様に係わる材料試験機は、油圧式のシリンダ装置のピストンロッドの先端に取り付けたロードセルを試験対象に押し当てて材料疲労試験を行う材料試験機であって、前記シリンダ装置はサーボバルブを備え、かつ、前記シリンダ装置は支持軸を介して揺動可能に支持され、前記サーボバルブの各ポートに接続される油路を備え、前記油路につながる入口ポート、及び、出口ポートが前記支持軸の揺動中心に形成され、前記入口ポートに回転継手を介して油圧源に接続される第1油圧ホースが接続され、前記出口ポートに回転継手を介して作動油タンクに接続される第2油圧ホースが接続される。
【0045】
第1項に記載の材料試験機によれば、第1及び第2油圧ホースは回転継手を介して支持軸の揺動中心に接続されるため、シリンダ装置の支持角度を変化させる場合、油圧ホースの自重等が掛からず、支持角度を簡単に変更でき、支持角度を繰り返し変更させる場合でも、シリンダ装置と油圧ホースの接続部の緩みを抑制できる。
【0046】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記サーボバルブの各ポートに接続される油路が前記シリンダ装置の内部に形成される。
【0047】
第2項に記載の材料試験機によれば、シリンダ装置の外面のレイアウトが簡易になる。
【0048】
(第3項)
第1項、又は、第2項に記載の材料試験機において、前記油路は、前記入口ポートと前記サーボバルブの第1ポートを連通する第1油路と、前記サーボバルブの第2ポートと前記シリンダ装置の第1作動油室を連通する第2油路と、前記シリンダ装置の第2作動油室と前記サーボバルブの第3ポートを連通する第3油路と、前記サーボバルブの第4ポートと前記出口ポートを連通する第4油路と、を備える。
【0049】
第3項に記載の材料試験機によれば、シリンダ装置の支持角度が変更される際に、第1及び第2油圧ホースがシリンダ装置と一体になって動かず、シリンダ装置、及び、回転継手への負荷が軽減される。
【0050】
(第4項)
第3項に記載の材料試験機において、前記シリンダ装置のシリンダが、前シリンダと中央シリンダと後シリンダとの三つに分割され、前記第1油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成され、前記第2油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成され、前記第3油路が前記中央シリンダと前記前シリンダの内部に形成され、前記第4油路が前記中央シリンダと前記後シリンダの内部に形成される。
【0051】
第4項に記載の材料試験機によれば、シリンダ装置の外面のレイアウトが簡易になる。
【0052】
(第5項)
第4項に記載の材料試験機において、前記ピストンロッドは前記中央シリンダ内部に重なる位置に受圧部を備える。
【0053】
第5項に記載の材料試験機によれば、シリンダ装置の軸方向について小型化できる。
【符号の説明】
【0054】
1 シリンダ装置
3 前シリンダ
5 中央シリンダ
7 後シリンダ
9 ピストンロッド
9a ロードセル
10 シリンダ
11 ピストン(受圧部)
23 第1作動油室
25 第2作動油室
27 サーボバルブ
29 マニホールド
31 トラニオン軸(支持軸)
33 入口ポート
35 出口ポート
101 材料試験機
103 継手
105A 作動油供給ホース(第1油圧ホース)
105B 作動油戻しホース(第2油圧ホース)
107 支持具
F 方向
O1 第1油路
O2 第2油路
O3 第3油路
O4 第4油路
P1 第1ポート
P2 第2ポート
P3 第3ポート
P4 第4ポート
TP 試験対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6