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特開2024-151928樹脂パターンの製造方法及び樹脂パターンの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151928
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】樹脂パターンの製造方法及び樹脂パターンの製造装置
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20241018BHJP
   B41F 17/10 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
B41F17/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065757
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 崇之
(72)【発明者】
【氏名】野田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】町屋 千春
【テーマコード(参考)】
2H113
【Fターム(参考)】
2H113AA04
2H113AA05
2H113BA03
2H113BB08
2H113BC12
2H113FA32
(57)【要約】
【課題】樹脂パターンを形状の崩れを抑えつつ連続して製造できる樹脂パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂パターンの製造方法は、凹部を有するパターンを形成した版に樹脂組成物を充填する工程と、支持体と粘着剤層とを有する粘着テープを用い、前記粘着テープの粘着剤層の面に前記樹脂組成物を転写する工程と、前記粘着テープの粘着剤の面に設けられた前記樹脂組成物を転写用基材に転写する工程と、を含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有するパターンを形成した版に樹脂組成物を充填する工程と、
支持体と粘着剤層とを有する粘着テープを用い、前記粘着テープの粘着剤層の面に前記樹脂組成物を転写する工程と、
前記粘着テープの粘着剤の面に設けられた前記樹脂組成物を転写用基材に転写する工程と、
を含む、樹脂パターンの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物を乾燥する工程を含む請求項1記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項3】
前記粘着剤層に含まれる粘着剤が、シリコーン系粘着剤である請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項4】
前記転写用基材は、少なくとも一方の面に剥離剤層が形成されており、
前記樹脂組成物は、前記転写用基材の前記剥離剤層側の面に転写される請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項5】
前記粘着テープの前記粘着剤層の厚さは、25μm~75μmである請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項6】
前記粘着テープの前記粘着剤層のヘキサデカンとの接触角が、40°以上である請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項7】
前記版は、グラビアロールであり、
前記樹脂組成物を充填する工程は、
前記樹脂組成物を貯留する貯留部にグラビアロールの一部を浸し、前記凹部に前記樹脂組成物を充填する工程と、
前記グラビアロールの凹部以外に付着した前記樹脂組成物をドクターブレードにより除去する工程と、
を含む請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項8】
前記樹脂組成物は、金属粒子を含む請求項1に記載の樹脂パターンの製造方法。
【請求項9】
樹脂組成物を貯留する貯留部と、
前記貯留部内の前記樹脂組成物が充填される凹部のパターンを有し、前記凹部に充填した前記樹脂組成物を粘着テープの粘着剤層の面に転写するグラビアロールと、
前記粘着剤層の面に転写した前記樹脂組成物を転写用基材に転写する転写部と、
前記粘着テープと、前記樹脂組成物が転写された前記転写用基材とを剥離するように前記粘着テープを搬送するガイド部と、
前記粘着テープを乾燥する第1乾燥部と、
前記樹脂組成物が転写された前記転写用基材を乾燥する第2乾燥部と、
を有する樹脂パターンの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂パターンの製造方法及び樹脂パターンの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液状、ペースト状のインクを用いて、所望のパターン形状を有する樹脂パターンを製造する方法は、例えば、フィルム上に形成された電子回路、情報表示装置としての各種ディスプレイパネル、太陽電池パネル、電極等の製造において広く使用されている。
【0003】
樹脂パターンを製造する方法には、一般に、基板上に塗布した樹脂組成物の層に対して所望のパターンを有するマスクを用いる方法及びスクリーン印刷を用いる方法等があるが、オフセット印刷を用いる方法がある。
【0004】
オフセット印刷を用いた樹脂パターンの製造方法として、例えば、凹版に充填したインキをブランケットに受理させた後、インキをブランケットから被印刷基材の印刷面に形成した樹脂層に転写させ、パターンが印刷された印刷物を製造するグラビアオフセット印刷方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-069402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなオフセット印刷を用いた樹脂パターンの製造方法では、ブランケットから被印刷基材の印刷面にインキを転写した後もブランケットにインキが残っている場合がある。インキが残っているブランケットにインクを供給して被印刷基材の印刷面に再度転写させると、ブランケットに残っていたインキも被印刷基材に転写されてしまい、安定して所望の形状の樹脂パターンを連続して製造できない、という問題があった。
【0007】
本発明の一態様は、樹脂パターンを形状の崩れを抑えつつ連続して製造できる樹脂パターンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂パターンの製造方法の一態様は、
凹部を有するパターンを形成した版に樹脂組成物を充填する工程と、
支持体と粘着剤層とを有する粘着テープを用い、前記粘着テープの粘着剤層の面に前記樹脂組成物を転写する工程と、
粘着テープの粘着剤の面に設けられた前記樹脂組成物を転写用基材に転写する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る樹脂パターンの製造方法の一態様は、樹脂パターンを形状の崩れを抑えつつ連続して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る樹脂パターンの製造方法の一例を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る樹脂パターンの製造装置の一例を示す説明図である。
図3】原盤の一例を示す図である。
図4】インク2を用いてPETフィルム上に転写した樹脂パターンを示す図である。
図5】PETフィルム上に転写した樹脂パターンの他の一例を示す図である。
図6】PETフィルム上に転写した樹脂パターンの他の一例を示す図である。
図7】PETフィルム上に転写した樹脂パターンの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0012】
[第1の実施形態]
<樹脂パターンの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る樹脂パターンの製造方法について説明する。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、充填工程、第1の転写工程及び第2の転写工程を含み、剥離工程等の他の工程を含んでもよい。
【0013】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法では、図1(a)に示すように、版である原盤10の主面(転写面)10aに樹脂組成物12を供給し、主面10aにパターン形成した凹部11に樹脂組成物12を充填する(充填工程)。
【0014】
凹部11は、原盤10の主面10aにパターン形成された凹みであり、主面10aに格子状に配置されるようにパターン形成されてよい。凹部11の配置は、特に限定されず、適宜任意に配置してよい。凹部11の、大きさ、数、形状、隣接する凹部11同士の間隔等は、適宜任意に設定してよい。
【0015】
樹脂組成物12は、樹脂を含み、顔料や染料等の色材を含んでもよい。樹脂組成物12は、例えば、インキ、接着剤等であってもよい。
【0016】
樹脂は、特に限定されず、熱硬化性樹脂等、適宜任意の合成樹脂等を用いてよい。
【0017】
また、樹脂組成物12は、所定量(例えば、30wt%~50wt%)の固形分を揮発性溶剤等の溶剤に含んだ組成物であってもよい。
【0018】
樹脂組成物12の粘度は、凹部11に充填された際にその状態を保持できる粘度を有していればよく、例えば、500mPaS~5000mPaSであってもよい。
【0019】
樹脂組成物12は、金属粒子と樹脂とを含む混合物でもよく、例えば、金属粒子を樹脂中に分散した状態で含む異方性導電膜(ACF)等であってもよい。
【0020】
金属粒子は、金属を含む粒子であってもよいし、金属からなる粒子であってもよい。金属粒子の平均粒子径及び形状等は、特に限定されず、適宜任意の大きさ及び形状等であってよい。
【0021】
樹脂組成物12は、ドクターブレード20を用いて、原盤10の主面10aに供給して凹部11に充填してよい。なお、樹脂組成物12の供給方法は、ドクターブレード20に限定されず、一般に使用される樹脂の充填方法を用いてよい。
【0022】
原盤10の凹部11に充填されず、主面10aに残る樹脂組成物12は、ドクターブレード等の一般に使用される除去部材を用いて除去してよい。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、原盤10の主面10aを、粘着テープであるSi粘着フィルム30の、主面10aと対向する一方の主面(転写面)30aと貼り合わせて、凹部11に充填した樹脂組成物12をSi粘着フィルム30の転写面30aに転写する(第1転写工程)。
【0024】
凹部11に充填した樹脂組成物12をSi粘着フィルム30の転写面30aに転写する際、圧延部材であるローラ40を用いて、Si粘着フィルム30を原盤10の主面10a側に押圧してよい。これにより、凹部11に充填した樹脂組成物12は、Si粘着フィルム30の転写面30aにより確実に転写され易くなる。
【0025】
Si粘着フィルム30は、フィルム状(シート状)に成形されたSi粘着テープを用いてよい。Si粘着フィルム30は、矩形状に形成された板状部材であってもよい。Si粘着フィルム30は、支持体31と粘着剤層32とを有してよく、粘着剤層32側の面を転写面30aとする。樹脂組成物12は、Si粘着フィルム30の転写面30aに転写される。
【0026】
支持体31は、特に限定されず、粘着テープに一般に用いられる基材を用いてよい。
【0027】
粘着剤層32は、特に限定されず、粘着テープに一般に用いられる粘着剤を用いて形成してよい。
【0028】
粘着剤層32の厚さは、粘着剤層32への樹脂組成物12の転写率が安定する点から、10μm~100μmであることが好ましく、25μm~75μmであることがより好ましく、30μm~50μmであることがさらに好ましい。
【0029】
粘着剤層32は、その表面に転写される樹脂組成物12を剥離し易くする点から、撥水性が高いことが好ましい。撥水性の指標として、ヘキサデカン又は水との接触角の大きさを用いることができる。例えば、粘着剤層32のヘキサデカンとの接触角は、40°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましく、50°以上であることがさらに好ましい。粘着剤層32の水との接触角は、125°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましく、140°以上であることがさらに好ましい。
【0030】
粘着剤層32は、粘着剤を含む層であり、粘着剤からなる層であってよい。
【0031】
粘着剤層32に含まれる粘着剤としては、溶剤を吸収しつつ粘着力を維持するバランスを図る点から、シリコーン系粘着剤が好ましく使用できる。
【0032】
粘着剤層32の粘着力は、適宜設定可能であるが、低めであることが好ましい。粘着剤層32の粘着力として、粘着剤層32の剥離力が0.10N/20mm未満であることが好ましく、0.06N/20mm以下であることがより好ましく、0.04N/20mm以下であることがさらに好ましい。粘着剤層32の剥離力が0.10N/20mm未満であれば、粘着剤層32の粘着力は低めに抑えられるため、後述するように、樹脂組成物12をSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写する際に転写し易くなる。
【0033】
次に、図1(c)に示すように、Si粘着フィルム30を原盤10から剥離する(第1剥離工程)。
【0034】
Si粘着フィルム30を原盤10から剥離する剥離方法は、特に限定されず、Si粘着フィルム30を原盤10から分離できればよい。
【0035】
次に、図1(d)に示すように、Si粘着フィルム30の転写面30aを転写用基材であるPETフィルム50の主面(転写面)50aに貼り合わせて、Si粘着フィルム30の転写面30aに貼り付けられた樹脂組成物12をPETフィルム50の転写面50aに転写する(第2転写工程)。
【0036】
Si粘着フィルム30の転写面30aは、粘着剤層32を有する面であるため、PETフィルム50が粘着性を有していなくても、PETフィルム50の転写面50aに貼り合わせられる。
【0037】
Si粘着フィルム30の転写面30aに貼り付けられた樹脂組成物12をPETフィルム50の転写面50aに転写する際、圧延部材であるローラ60を用いて、PETフィルム50をSi粘着フィルム30の転写面30a側に押圧してよい。これにより、転写面30aに貼り付けられた樹脂組成物12は、PETフィルム50の転写面50aに転写され易くなる。
【0038】
PETフィルム50は、フィルム状(シート状)に成形されたPETを用いてよい。PETフィルム50は、Si粘着フィルム30と同様、矩形状に形成された板状部材であってもよい。
【0039】
PETフィルム50の大きさは、平面視において、Si粘着フィルム30に転写された樹脂組成物12の樹脂パターンを覆う大きさであれば特に限定されない。PETフィルム50の厚さは、特に限定されず、適宜任意の厚さとしてよい。
【0040】
なお、転写用基材を形成する材料としては、PETに代えて、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、金属を蒸着したオレフィン樹脂等を用いてもよい。
【0041】
PETフィルム50は、少なくとも転写面50aに剥離処理を施し、転写面50aの上に剥離剤層を有してもよく、樹脂組成物12は、PETフィルム50の剥離剤層側の面に転写されてよい。
【0042】
剥離剤層は、剥離剤を含む層であり、剥離剤からなる層であってよい。
【0043】
剥離剤層に含まれる剥離剤としては、剥離剤として一般に使用される剥離剤等を用いてよい。
【0044】
次に、図1(e)に示すように、樹脂組成物12が転写されたPETフィルム50を、Si粘着フィルム30から剥離する(第2剥離工程)。
【0045】
PETフィルム50をSi粘着フィルム30から剥離する剥離方法は、特に限定されず、PETフィルム50をSi粘着フィルム30から分離できればよく、Si粘着フィルム30を原盤10から分離する方法と同様に行ってよい。
【0046】
PETフィルム50は、粘着性を略有しないが、上述の通り、粘着剤層32の粘着力が低めであれば、樹脂組成物12をSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写する際、樹脂組成物12はSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写され易い傾向にある。また、PETフィルム50は、転写面50aに剥離剤層を有していれば、樹脂組成物12はSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写し易くなるため、好ましい。
【0047】
次に、図1(f)に示すように、PETフィルム50の上に転写された樹脂組成物12を乾燥する(乾燥工程)。
【0048】
樹脂組成物12の乾燥条件は、特に限定されず、樹脂組成物12の数、大きさ等に応じて適宜設定してよい。
【0049】
これにより、PETフィルム50の上に、樹脂組成物12からなる樹脂パターンが製造される。
【0050】
また、樹脂組成物12が除去されたSi粘着フィルム30も乾燥してよい。これにより、Si粘着フィルム30に残留する樹脂組成物12は除去されるか簡易に除去できるため、Si粘着フィルム30は再利用できる。Si粘着フィルム30の乾燥条件は、特に限定されず、樹脂組成物12の乾燥条件と同様としてもよい。
【0051】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、充填工程、第1転写工程及び第2転写工程を含み、充填工程で、原盤10の凹部11に充填した樹脂組成物12を第1転写工程でSi粘着フィルム30の転写面30aに転写した後、第2転写工程でPETフィルム50の転写面50aの上に転写する。Si粘着フィルム30の粘着力は低めにして、樹脂組成物12のSi粘着フィルム30への密着性を抑えることで、樹脂組成物12が転写されたSi粘着フィルム30の転写面30aとPETフィルム50の転写面40aとを貼り合わせると、Si粘着フィルム30上の樹脂組成物12は、PETフィルム50上に転写され易い傾向にある。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、原盤10にパターン塗布した樹脂組成物12をSi粘着フィルム30を介してPETフィルム50上に転写することで、樹脂組成物12の形状の崩れを抑えつつ、樹脂組成物12のパターンをPETフィルム50上に転写できる。また、Si粘着フィルム30の転写面30aの樹脂組成物12をPETフィルム50上に転写した後は、樹脂組成物12は再利用できる。
【0052】
よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物12からなる樹脂パターンをその形状の崩れを抑えつつ、PETフィルム50上に連続して製造できる。したがって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を用いれば、歩留まりに優れた樹脂パターンを安定して連続で製造できる。
【0053】
なお、樹脂パターンの製造方法として、例えば、樹脂組成物12からなる樹脂パターンを個別に接続材料として基板に貼りつけて使用するため、PET基板の主面に剥離剤層を形成する等の剥離処理を施した後、剥離処理が施されたPET基板の主面上に樹脂組成物12をパターン塗布する方法が用いられる。この方法では、剥離処理が施されたPET基板の主面上にパターン塗布した樹脂組成物12からなる樹脂が濡れ広がって、平滑化することで、樹脂パターンの形状が崩れ易い。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物12からなる樹脂パターンをSi粘着フィルム30に転写した後、PETフィルム50上に転写することで、樹脂パターンをその形状の崩れを抑えつつPETフィルム50上に製造できる。
【0054】
また、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂パターンをSi粘着フィルム30に転写した後、PETフィルム50上に転写することで、PETフィルム50上に樹脂パターンを製造できるため、よりサイズが小さい樹脂パターンを容易に製造できる。
【0055】
樹脂パターンの製造方法として、一般に、例えば、マスクの加工に用いる刃、又はマスクを用いて製造する方法がある。これらの方法は、マスクの加工に用いる刃やマスクの加工精度の点から、所定の大きさ(例えば、100μm)以上のサイズでしか十分に適応できない場合がある。そのため、よりサイズが小さい樹脂パターンを製造することは困難である。μ-LEDチップを実装する際、μ-LEDのチップサイズは、例えば、100μm以下であり、電極のサイズも50μm以下と非常に小さなサイズである。そのため、マスクの加工に用いる刃及びマスク等を用いて樹脂パターンを製造する方法では、基板の必要な部分にのみ供給する接続材料として用いる樹脂パターンの製造は困難である。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、原盤10の凹部11に充填した樹脂組成物12をSi粘着フィルム30に転写した後、PETフィルム50上に再度転写し樹脂の加工等を行う必要がない。このため、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、より樹脂パターンのサイズ(例えば、100μm以下)が小さくても、樹脂パターンをその形状の崩れを抑えつつPETフィルム50上に製造できる。
【0056】
特に、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、サイズが100μm以下の小さな樹脂パターンを製造できるため、LEDを使用したフラットパネルディスプレイ、自発光式ディスプレイ等において使用されるμ-LED等の実装に用いる接合部材として好適に用いることができる。μ-LEDチップの実装に用いる接合材料として、例えば、異方性導電膜(ACF)が使用されることが多い。μ-LEDチップを実装する際、SMT実装となり、μ-LEDチップのチップ部及び電極部にのみ接合材料を供給する必要がある。μ-LEDは、例えば、チップサイズが100μm以下であり、電極サイズが50μm以下であり、必要部分にのみ接合材料としてACFを供給する必要がある。しかし、ACFは、一般に、100μm以下のサイズに加工し難く、レーザーにより加工する場合には、熱ダメージ等を受け易い。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、ACFからなる樹脂パターンを100μm以下の大きさで製造できるため、μ-LED等の接合部材として有効に用いることができる。
【0057】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、乾燥工程を含み、樹脂組成物12からなる樹脂パターンをSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写した後、Si粘着フィルム30を乾燥できる。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂パターンの剥離後のSi粘着フィルム30を乾燥することで、Si粘着フィルム30の転写面30aに樹脂パターンに含まれていた溶剤等の成分を除去できるため、Si粘着フィルム30を樹脂パターンの転写前の状態に戻すことができる。樹脂組成物12が溶剤を多く含む場合、樹脂組成物12をSi粘着フィルム30の転写面30aに転写すると、樹脂組成物12に含まれる溶剤がSi粘着フィルム30に吸収される場合がある。溶剤を含む樹脂組成物として、例えば、ACFのように、揮発性の溶剤を主成分とし、固形分の含有量が50wt%以下である溶剤がリッチな樹脂組成物がある。
【0058】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30が樹脂組成物12に含まれる溶剤を吸収しても、樹脂パターンをSi粘着フィルム30からPETフィルム50に転写した後に加熱等により乾燥することで、Si粘着フィルム30に吸収された溶剤を除去できる。これにより、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30を樹脂組成物12の転写前の状態に戻することができるので、Si粘着フィルムを繰り返し使用することができる。よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物12が、ACFのような溶剤がリッチな樹脂組成物であっても適用できる。
【0059】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30の粘着剤層21に含まれる粘着剤としてシリコーン系粘着剤を用いることができる。シリコーン系粘着剤はシリコーンゴム等のゴム組成物に比べて粘着性を持たせつつ弾性率を低くすることができるため、樹脂組成物12からなる樹脂パターンの転写時の圧力を緩和し、形状の崩れを抑えることができる。よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30の粘着剤層21に含まれる粘着剤としてシリコーン系粘着剤を用いることで、大きさが、例えば100μm以下の樹脂パターンを、その形状の崩れを抑えつつPETフィルム50上により確実に製造できる。
【0060】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、PETフィルム50は、その転写面50aに剥離剤層を形成し、樹脂組成物12をPETフィルム50の転写面50aに転写できる。これにより、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、転写面50aに転写した樹脂組成物12の樹脂パターンを容易に剥離することができるため、樹脂パターンを、その形状の崩れを抑えつつPETフィルム50から回収することができる。
【0061】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30の粘着剤層21の厚さを、25μm~75μmとすることができる。これにより、樹脂組成物12からなる樹脂パターンの転写時の圧力を確実に緩和し、形状の崩れをより確実に抑えることができる。よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30の粘着剤層21に含まれる粘着剤層21の厚さを、25μm~75μmとすることで、樹脂パターンの大きさが、例えば100μm以下であっても、樹脂パターンの形状の崩れを確実に抑えつつPETフィルム50上により確実に製造できる。
【0062】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着フィルム30の粘着剤層21のヘキサデカンとの接触角を40°以上とすることができる。このとき、粘着剤層21の表面は、高い撥水性を有することができるため、Si粘着フィルム30の粘着剤層21に転写された樹脂組成物12の剥離を容易に行うことができる。
【0063】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物12として、金属粒子等を含む樹脂組成物の樹脂パターンの転写に用いることができる。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物12として、ACF等に対して有効に用いることができる。
【0064】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る樹脂パターンの製造方法について説明するに当たり、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法に用いられる樹脂パターンの製造装置について説明する。
【0065】
(樹脂パターンの製造装置)
図2に示すように、樹脂パターンの製造装置100は、貯留部110、グラビアロール120、ドクターブレード130、圧胴(ニップロール)140、転写部150、ガイド部であるガイドローラ160、乾燥部170及び搬送ローラ180を有する。樹脂パターンの製造装置100は、貯留部110内の樹脂組成物101をグラビアロール120でロール状のSi粘着テープ102に転写した後、ロール状のPETフィルム103に転写し、樹脂組成物101からなる樹脂パターンを製造する。
【0066】
貯留部110は、塗布液として用いられる樹脂組成物101を収容する容器であり、グラビアロール120の下方に配置されている。貯留部110は、樹脂組成物101を貯留する液パン等であってよい。なお、貯留部110には、グラビアロール120に供給された樹脂組成物101、及び貯留部110から排出された樹脂組成物101等が戻されてもよい。
【0067】
グラビアロール120は、グラビアロール120の版面(外周面)120aの一部分が、貯留部110内に貯留された樹脂組成物101内に浸かるように配置された、円柱状部材である。グラビアロール120は、その一部を貯留部110内に溜められた樹脂組成物101に浸すことにより、グラビアロール120の版面120aに樹脂組成物101を供給して付着させる。グラビアロール120は、所定方向(図2では、反時計回り)に回転し、貯留部110内において、版面120aに樹脂組成物101が付着する。グラビアロール120の一部の版面120aが貯留部110に保持された樹脂組成物101内に浸漬された状態で、グラビアロール120が回転することにより、グラビアロール120の版面120aに樹脂組成物101が付着した状態で供給されていく。
【0068】
グラビアロール120は、貯留部110内の樹脂組成物が充填される凹部121を有する。グラビアロール120は、その一部が貯留部110内に貯留されている樹脂組成物101に浸漬され、凹部121に樹脂組成物101が充填可能となるように、グラビアロール120に配置されている。グラビアロール120は、凹部121に充填した樹脂組成物101をSi粘着テープ102の粘着剤層102Aの面に転写する。
【0069】
Si粘着テープ102は、支持体1021と粘着剤層1022とを有してよく、粘着剤層1022側の面を転写面102aとする。樹脂組成物101は、Si粘着テープ102の転写面102aに転写される。
【0070】
Si粘着テープ102は、図1に示すSi粘着フィルム30をロール状としたこと以外同様であり、Si粘着テープ102の支持体1021及び粘着剤層1022は、Si粘着フィルム30の支持体31及び粘着剤層32と同様の材料を用いて形成できるため、詳細は省略する。
【0071】
ドクターブレード130は、貯留部110の上方に設けられ、グラビアロール120の回転軸に沿って延びる板状部材である。ドクターブレード130は、その先端である刃先がグラビアロール120の版面120aに当接又は圧接するように支持される。ドクターブレード130は、グラビアロール120の版面120aに供給された樹脂組成物101のうち、凹部121以外に付着している余分な樹脂組成物101を掻き取り、グラビアロール120の版面120aから除去する。
【0072】
樹脂組成物101が付着したグラビアロール120が所定方向(図2では、反時計回り)に回転することで、ドクターブレード130で凹部121以外の版面120aに付着している余分な樹脂組成物101がグラビアロール120で掻き取られる。
【0073】
圧胴140は、グラビアロール120の上方に設けられ、グラビアロール120との間にSi粘着テープ102を押圧した状態でSi粘着テープ102を挟み込むように配置される。
【0074】
圧胴140の圧力は、Si粘着テープ102への樹脂組成物101の転写を可能とする点から、例えば、線圧が10N/cm~100N/cmであることが好ましく、20N/cm~60N/cmであることがより好ましい。
【0075】
なお、線圧とは、圧胴140に作用する総荷重を、圧胴140の有効軸長で除した値(圧胴140に作用する総荷重/圧胴140の有効軸長)である。
【0076】
Si粘着テープ102をグラビアロール120及び圧胴140の回転動作によってグラビアロール120と圧胴140との間を移動させながらグラビアロール120の凹部121に充填した樹脂組成物101をSi粘着テープ102の粘着剤層1022側の面に転写する。
【0077】
転写部150は、グラビアロール120及び圧胴140よりもSi粘着テープ102の流れ方向の下流側に設けられ、転写部150は、Si粘着テープ102の転写面102aに転写した樹脂組成物101を転写用基材であるPETフィルム103に転写する。
【0078】
転写部150は、Si粘着テープ102およびPETフィルム103を介して、対向して配置された第1貼合用ロール150A及び第2貼合用ロール150Bを備える。第1貼合用ロール150A及び第2貼合用ロール150Bは、樹脂組成物101が転写されたSi粘着テープ102と第2操出ロール181Bから搬送されるPETフィルム103とを重ねて挟み込むと共に、第1貼合用ロール150A及び第2貼合用ロール150Bの回転動作によってSi粘着テープ102及びPETフィルム103を同方向に移動させながら貼り合わせる。
【0079】
第1貼合用ロール150A及び第2貼合用ロール150Bの少なくとも一方が、Si粘着テープ102及びPETフィルム103を押圧できるように、Si粘着テープ102及びPETフィルム103の方向に移動できるように構成されてよい。これにより、Si粘着テープ102の転写面102aの樹脂パターンは、PETフィルム103の主面(転写面)103aに確実に転写できる。
【0080】
PETフィルム103は、フィルム状に成形され、ロール状に巻かれたPETを用いてよい。PETフィルム103は、図1に示すPETフィルム50をシート状としたこと以外同様であるため、詳細は省略する。
【0081】
ガイドローラ160は、Si粘着テープ102と、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103とが剥離するようにSi粘着テープ102を搬送するローラである。ガイドローラ160は、Si粘着テープ102の転写面102aとは異なる面に接するように設けられ、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103の搬送方向とは異なる方向にSi粘着テープ102を搬送することで、Si粘着テープ102と、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103とを剥離させる。
【0082】
なお、本実施形態では、ガイド部としてローラを用いているが、ガイド部はローラに限定されず、Si粘着テープ102を搬送させながら、Si粘着テープ102と、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103とを剥離できれば、他の構成であってもよい。
【0083】
乾燥部170は、ガイドローラ160よりもSi粘着テープ102及びPETフィルム103の流れ方向の下流側に設けられ、Si粘着テープ102を乾燥する第1乾燥部170Aと、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103を乾燥する第2乾燥部170Bとを有する。
【0084】
第1乾燥部170Aは、乾燥ボックス171Aと、乾燥ボックス171A内に配置された一対の乾燥ヒータ172Aとを有し、乾燥ボックス171A内にPETフィルム103を搬送しながら一対の乾燥ヒータ172Aの熱で樹脂組成物101を乾燥させる。
【0085】
第2乾燥部170Bは、乾燥ボックス171Bと、乾燥ボックス171B内に配置された一対の乾燥ヒータ172Bとを有し、乾燥ボックス171B内にSi粘着テープ102を搬送しながら一対の乾燥ヒータ172Bの熱で乾燥させる。
【0086】
第1乾燥部170A及び第2乾燥部170Bは、例えば、乾燥ボックス171A及び151B内に空気又は熱風をPETフィルム103又はSi粘着テープ102に向かって吐出して乾燥させてもよい。
【0087】
搬送ローラ180は、第1操出ロール181Aと、第1巻取ロール182Aと、第2操出ロール181Bと、第2巻取ロール182Bとを有する。
【0088】
第1操出ロール181Aは、Si粘着テープ102を連続的に繰り出すロールであり、第1巻取ロール182Aは、Si粘着テープ102を連続的に巻き取るロールである。
【0089】
第1操出ロール181A又は第1巻取ロール182Aの回転速度は、Si粘着テープ102の搬送速度に応じて適宜設定されてよく、例えば、Si粘着テープ102の搬送速度が2m/min~10m/minとなるように調整してよい。
【0090】
第2操出ロール181Bは、PETフィルム103を連続的に繰り出すロールであり、第2巻取ロール182Bは、PETフィルム103を連続的に巻き取るロールである。
【0091】
第2操出ロール181B又は第2巻取ロール182Bの回転速度は、PETフィルム103の搬送速度に応じて適宜設定されてよく、第1操出ロール181A又は第1巻取ロール182Aと同様、例えば、PETフィルム103の搬送速度が2m/min~10m/minとなるように調整してよい。
【0092】
樹脂パターンの製造装置100を用いた本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法について説明する。
【0093】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法では、貯留部110内に貯留されている樹脂組成物101を、回転するグラビアロール120の版面120aと凹部121に供給して、凹部121に充填する(充填工程)。
【0094】
グラビアロール120は、その一部が貯留部110内に貯留されている樹脂組成物101に浸漬するように配置する。グラビアロール120は、グラビアロール120の版面120aと、版面120aにパターン形成されている凹部121に樹脂組成物101が触れている状態で回転させる。貯留部110内に貯留されている樹脂組成物101が、回転するグラビアロール120の版面120aに触れることで、版面120aと凹部121に供給され、凹部121に充填される。
【0095】
その後、刃先がグラビアロール120の版面120aに当接するように配置されたドクターブレード130により、グラビアロール120の版面120a上に供給された余分な樹脂組成物101を掻き取る(掻き取り工程)。
【0096】
グラビアロール120の回転に伴い、貯留部110内の樹脂組成物101の液面からあがってきたグラビアロール120の版面120aには、樹脂組成物101が余分に堆積している。グラビアロール120の版面120aに堆積している樹脂組成物101と、凹部121の版面120aよりも大きく堆積している樹脂組成物101は、ドクターブレード130と接触することにより、余分な樹脂組成物101として掻き取られる。
【0097】
グラビアロール120の回転方向のドクターブレード130よりも後ろ側には、凹部121に充填されている樹脂組成物101のみがグラビアロール120に残る。
【0098】
その後、第1操出ロール181A及び第1巻取ロール182Aを駆動させて、シート状のSi粘着テープ102を、グラビアロール120と圧胴140との間に挟み込むように搬送することで、凹部121に充填した樹脂組成物101をSi粘着テープ102の転写面102aに転写させる(第1転写工程)。
【0099】
Si粘着テープ102は、その粘着剤層1022の主面(転写面)102aがグラビアロール120側に向いた状態で搬送し、圧胴140でグラビアロール120側に向かって押圧することで、凹部121に充填されている樹脂組成物101は、転写面102aに転写される。
【0100】
グラビアロール120の回転により、Si粘着テープ102の搬送に合わせて、樹脂組成物101のSi粘着テープ102の転写面102aへの転写が連続して行われる。
【0101】
Si粘着テープ102の搬送速度は、適宜設定されてよく、例えば、2m/min~10m/minとしてよい。
【0102】
転写時の圧胴140の圧力は、線圧が10N/cm~100N/cmとなるように調整することが好ましい。
【0103】
その後、第2操出ロール181B及び、第2巻取ロール182Bを駆動させて、転写面102aに樹脂組成物101がパターン転写されたSi粘着テープ102と、搬送されるシート状のPETフィルム103とを、第1貼合用ロール150Aと第2貼合用ロール150Bとで挟み込んで貼り合わせ、転写面102aの樹脂組成物101を、PETフィルム103の転写面103aに転写する(第2転写工程)。
【0104】
Si粘着テープ102への樹脂組成物1010の転写とSi粘着テープ102からPETフィルムへの樹脂組成物101の転写は、同一条件でもよいし、異なる条件でもよい。
【0105】
Si粘着テープ102の転写面102aと、PETフィルム103の転写面103aとが、対向するように貼り合わせることで、転写面102aの樹脂組成物101は、転写面103aに転写させることができる。
【0106】
その後、Si粘着テープ102とPETフィルム103とを貼り合わせた状態で搬送しながら、ガイドローラ160で、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103の搬送方向とは異なる方向にSi粘着テープ102を搬送することで、Si粘着テープ102と、樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103とを剥離させる(ガイド工程)。
【0107】
Si粘着テープ102とPETフィルム103とが剥離されることで、樹脂組成物101は、PETフィルム103の転写面103aに転写された状態を維持したまま、Si粘着テープ102と剥離される。
【0108】
樹脂組成物101が転写されたPETフィルム103は、第1乾燥部170Aで乾燥され、Si粘着テープ102は、第2乾燥部170Bで乾燥される(乾燥工程)。
【0109】
PETフィルム103は、第1乾燥部170Aにおいて、乾燥ボックス171A内の一対の乾燥ヒータ172Aの間を、一対の乾燥ヒータ172Aによる熱により加熱されながら搬送され、乾燥される。
【0110】
PETフィルム103は、第1乾燥部170Aにおいて、乾燥ボックス171A内の一対の乾燥ヒータ172Aの間を、一対の乾燥ヒータ172Aによる熱により加熱されながら搬送され、乾燥される。PETフィルム103が乾燥ボックス171A内から出てきた段階で乾燥が略完了するように、一対の乾燥ヒータ172Aによる加熱条件は設定されてよい。Si粘着テープ102からPETフィルム103への樹脂組成物101の転写後のSi粘着テープ102の乾燥条件は、樹脂組成物101の主溶剤の種類等に応じて、適宜設定可能であり、例えば、加熱速度は、50℃/5分以上としてよい。
【0111】
これにより、PETフィルム103の上に、樹脂組成物12からなる樹脂パターンが製造される。
【0112】
Si粘着テープ102は、第2乾燥部170Bにおいて、乾燥ボックス171B内の一対の乾燥ヒータ172Bの間を、一対の乾燥ヒータ172Bによる熱により加熱されながら搬送され、乾燥される。Si粘着テープ102が乾燥ボックス171B内から出てきた段階でSi粘着テープ102の転写面102aに残留した樹脂組成物101に含まれていた溶剤等が蒸発して除去され、Si粘着テープ102の乾燥が略完了するように、一対の乾燥ヒータ172Bによる加熱条件は設定されてよい。
【0113】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂パターンの製造装置100を用い、充填工程、第1転写工程及び第2転写工程を行う。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、充填工程で、グラビアロール120の凹部121に充填した樹脂組成物101を第1転写工程でロール状のSi粘着テープ102の転写面102aに転写した後、第2転写工程でPETフィルム103の転写面103a上に転写する。上述の通り、Si粘着テープ102の粘着力は低めにして、樹脂組成物101のSi粘着テープ102への密着性を抑えることで、樹脂組成物101が転写されたSi粘着テープ102の転写面102aとPETフィルム103の転写面103aとを貼り合わせると、Si粘着テープ102上の樹脂組成物101は、PETフィルム103上に転写され易い。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、グラビアロール120の凹部121に充填した樹脂組成物101をSi粘着テープ102を介してPETフィルム103上に連続して転写することで、樹脂組成物101の形状の崩れを抑えつつ、樹脂組成物101のパターンをPETフィルム103上に連続して転写できる。また、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、Si粘着テープ102を連続して繰り出してグラビアロール120から転写した樹脂組成物101をPETフィルム103に転写させた後は巻き取っているため、Si粘着テープ102を樹脂組成物101の転写に繰り返し使用することを抑えることができる。
【0114】
よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂組成物101からなる樹脂パターンをその形状の崩れを抑えつつ、PETフィルム103上に安定して連続で製造できる。したがって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を用いれば、歩留まりに優れた樹脂パターンの量産を図ることができる。
【0115】
樹脂組成物101の転写に、ブランケットを用いる方法があるが、この方法では、ブランケットの表面が繰り返し使用されるため、表面には前回の使用で残った樹脂組成物101が汚染物として残っている場合がある。また、前回の使用で残った樹脂組成物101をドクターブレード130で除去しても、十分に除去できず、汚染物として残る場合がある。汚染されている面を繰り返し転写に用いると、安定した連続転写ができなくなる。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、ロール状のSi粘着テープ102を用いて連続してグラビアロール120から転写した樹脂組成物101をPETフィルム103に転写させ、Si粘着テープ102を樹脂組成物101の転写に繰り返し使用することを抑えることができるため、樹脂組成物101からなる樹脂パターンをその形状の崩れを抑えつつ、PETフィルム103上に安定して連続で製造できる。
【0116】
また、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法でも、樹脂パターンをSi粘着テープ102に転写した後、PETフィルム103上に転写することで、PETフィルム103上に樹脂パターンを製造できるため、上述の第1の実施形態に係る樹脂パターンの製造方法と同様、よりサイズが小さい樹脂パターンを容易に製造できる。
【0117】
特に、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法でも、サイズが小さい(例えば、100μm以下)樹脂パターンを製造できるため、例えば、μ-LED等の実装に用いる実装用部材として使用されるACFからなる樹脂パターンを小さいサイズ(例えば、100μm以下)で製造できる。
【0118】
本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、乾燥工程を含み、樹脂組成物101からなる樹脂パターンをSi粘着テープ102からPETフィルム103に転写した後、Si粘着テープ102を乾燥できる。本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、樹脂パターンの剥離後のSi粘着フィルム30を加熱等により乾燥することで、Si粘着テープ102の転写面102aに樹脂パターンに含まれていた溶剤等の成分が残っていてもこれらを除去でき、Si粘着テープ102を樹脂パターンの転写前の状態に戻すことができる。よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、巻き取ったSi粘着テープ102を繰り返し使用することができ、樹脂組成物101が、ACFのような溶剤がリッチな樹脂組成物であっても、ACFからなる樹脂パターンの製造に用いることができる。
【0119】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【実施例0120】
以下、実施例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態は実施例により限定されるものではない。
【0121】
<インク配合>
樹脂パターンの製造に用いるインク1~5を準備した。インク1~5は、表1に示す材料を用いて、表1に示す、組成、固形分の含有量、粘度となるように作製した。各インクの組成(材料の種類、各材料の配合量)と、固形分の含有量と、粘度を下記表1に示す。なお、表1中の固形分の含有量とは、インクの乾燥後に残る固体として残る成分の含有量である。粘度は、HAAKE RheoStress600(Thermo ELECTRON CORPORATION 社)を用いて、35mmφプレートで30rpmの回転数で測定した。
【0122】
【表1】
【0123】
<インクのPETフィルムへの転写量の測定及び評価>
図1に示す樹脂パターンの製造方法を用いて、Si粘着剤層の厚さが異なるSi粘着フィルムを介してPETフィルムに転写した時の各インクの転写量を測定した。
[インクのSi粘着フィルムへの転写]
まず、図3に示すような凹部(100μm□×深さ20μm)がパターン形成された原盤にインクを充填した。その後、原盤の上面にSi粘着フィルムを貼り付けて、ローラーでSi粘着フィルムを原盤側に下記転写条件で押圧した後、Si粘着フィルムを原盤から剥離した。
(転写条件)
・Si粘着フィルムの搬送速度:1m/min~5m/min
・Si粘着フィルムへのインクの転写圧:線圧35N/cm
[インクのSi粘着フィルムからPETフィルムへの転写]
次に、インクが転写されたSi粘着フィルム上にPETフィルムを貼り合わせ、ローラーでSi粘着フィルムを原盤側に上記と同様の転写条件で押圧した後、PETフィルムをSi粘着フィルムから剥離した。白色干渉顕微鏡を用いて、PETフィルム上のインクの大きさと厚さを測定し、乾燥前のインクの体積を算出した。
[インクの乾燥]
次に、PETフィルム上に転写されたインクを、50℃、5分、乾燥した。乾燥後、上記と同様に、白色干渉顕微鏡を用いて、PETフィルム上のインクを観察し、インクの大きさと厚さを測定し、乾燥後のインクの体積を算出した。
[インクの転写量の測定]
PETフィルム上に転写されたインクの転写量を、下記式(1)に基づいて測定し、下記評価基準に基づいて、評価した。Si粘着剤層の厚さが異なるSi粘着フィルムを介してPETフィルムに転写した時の各インクの転写量を表2に示す。
転写量[%]=乾燥後のインクの体積[cm]/乾燥後のインクの体積[cm] ・・・(1)
(評価条件)
・A:転写量が10%以上であり、樹脂パターンの形状が崩れていない。
・B:転写量が10%未満であるが、形状が崩れていない。
・C:転写量が10%以上であるが、形状が崩れている。
・D:転写量が10%未満であり、樹脂パターンの形状が崩れている。
【0124】
【表2】
【0125】
表2より、インク2~5を用いれば、Si粘着フィルムのSi粘着剤層の厚さが25μm~75μmで、100μm×100μmの矩形状のインクからなる樹脂パターンをPETフィルム上に矩形の形状が崩れることなく転写できることが確認された。よって、転写量が10%以上であれば、樹脂パターンをPETフィルム上に形状が崩れることなく転写できるといえる。
【0126】
<転写圧、転写サイズによるインクのSi粘着フィルムへの転写量への影響>
上記の<インクのSi粘着フィルムへの転写量の測定>において、インク3を用いて、線圧と、インクの転写サイズとを、下記転写条件としたこと以外、上記の<転写圧、インクの転写サイズによるインクのPETフィルムへの転写量への影響>と同様にして行った。線圧と、インクの転写サイズとを変更した時のPETフィルムへのインク2の転写量を表3に示す。なお、線圧は、圧胴(ニップロール)に作用する総荷重を、圧胴の有効軸長で除した値(圧胴に作用する総荷重/圧胴の有効軸長)である
(転写条件)
・線圧:10.0N/cm、35.0N/cm、45.0N/cm、60.0N/cm、109.0N/cm、
・インクの転写サイズ:65μm×65μm、80μm×80μm、105μm×105μm
【0127】
【表3】
【0128】
表3より、線圧が10.0N/cm~60.0N/cmとすれば、インクは、65μm四方~105μm四方のサイズの矩形状のインクからなる樹脂パターンをPETフィルム上に転写できることが確認された。よって、線圧が10.0N/cm以上であれば、樹脂パターンをPETフィルム上に形状が崩れることなく転写できるといえる。
【0129】
<矩形以外の形状の樹脂パターンの製造>
上記の<インクのSi粘着フィルムへの転写量の測定>において、インク2を用いて、形成される樹脂の形状を、L字型(長辺の1辺の長さ:500μm)、円形(直径:約200μm)、長方形(長辺:約600μm、短辺:約100μm)とした。これらの各形状の樹脂パターンの結果を図5図7に示す。図5図7に示すように、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を用いれば、四角形状以外の形状を有する樹脂パターンをPETフィルム上に転写できることが確認された。よって、本実施形態に係る樹脂パターンの製造方法を用いれば、種々の形状を有する樹脂パターンをPETフィルム上に形状が崩れることなく転写できるといえる。
【0130】
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 凹部を有するパターンを形成した版に樹脂組成物を充填する工程と、
支持体と粘着剤層とを有する粘着テープを用い、前記粘着テープの粘着剤層の面に前記樹脂組成物を転写する工程と、
前記粘着テープの粘着剤の面に設けられた前記樹脂組成物を転写用基材に転写する工程と、
を含む、樹脂パターンの製造方法。
<2> 前記樹脂組成物を乾燥する工程を含む<1>に記載の樹脂パターンの製造方法。
<3> 前記粘着剤層に含まれる粘着剤が、シリコーン系粘着剤である<1>又は<2>に記載の樹脂パターンの製造方法。
<4> 前記転写用基材は、少なくとも一方の面に剥離剤層が形成されており、
前記樹脂組成物は、前記転写用基材の前記剥離剤層側の面に転写される<1>~<3>の何れか一つに記載の樹脂パターンの製造方法。
<5> 前記粘着テープの前記粘着剤層の厚さは、25μm~75μmである<1>~<4>の何れか一つに記載の樹脂パターンの製造方法。
<6> 前記粘着テープの前記粘着剤層のヘキサデカンとの接触角が、40°以上である<1>~<5>の何れか一つに記載の樹脂パターンの製造方法。
<7> 前記版は、グラビアロールであり、
前記樹脂組成物を充填する工程は、
前記樹脂組成物を貯留する貯留部にグラビアロールの一部を浸し、前記凹部に前記樹脂組成物を充填する工程と、
前記グラビアロールの凹部以外に付着した前記樹脂組成物をドクターブレードにより除去する工程と、
を含む<1>~<6>の何れか一つに記載の樹脂パターンの製造方法。
<8> 前記樹脂組成物は、金属粒子を含む<1>~<7>の何れか一つに記載の樹脂パターンの製造方法。
<9> 樹脂組成物を貯留する貯留部と、
前記貯留部内の前記樹脂組成物が充填される凹部のパターンを有し、前記凹部に充填した前記樹脂組成物を粘着テープの粘着剤層の面に転写するグラビアロールと、
前記粘着剤層の面に転写した前記樹脂組成物を転写用基材に転写する転写部と、
前記粘着テープと、前記樹脂組成物が転写された前記転写用基材とを剥離するように前記粘着テープを搬送するガイド部と、
前記粘着テープを乾燥する第1乾燥部と、
前記樹脂組成物が転写された前記転写用基材を乾燥する第2乾燥部と、
を有する樹脂パターンの製造装置。
【符号の説明】
【0131】
10 原盤
10a、30a、50a、102a、103a 主面(転写面)
11、121 凹部
12、101 樹脂組成物
20、130 ドクターブレード
30 Si粘着フィルム
32、1022 粘着剤層
50、103 PETフィルム
100 樹脂パターンの製造装置
102 Si粘着テープ
110 貯留部
120 グラビアロール
140 圧胴
150 転写部
150A 第1貼合用ロール
150B 第2貼合用ロール
160 ガイドローラ
170 乾燥部
171A、171B 乾燥ボックス
172A、172B 乾燥ヒータ
180 搬送ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7