(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151929
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20241018BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20241018BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241018BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241018BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/14 160
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065760
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 巨己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英幸
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AB05
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB03
5G064CB08
5G064DA02
5G064DA03
5G066AA03
5G066AE01
5G066AE05
5G066AE09
5G066HB04
5G066HB06
5G066HB09
5G066KA12
5G066KB03
5G066KB07
5G066KC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力供給設備の運用計画の期間を長期化することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】所定の計画期間に、配電線と、配電線に接続された分散型の電力供給設備である対象設備と、負荷と、から構成されているマイクログリッドに接続された、負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理装置2であって、計画期間に負荷へ電力を供給することで生じるコスト又は温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、計画期間の各時刻の対象設備の発電量又は計画期間の対象設備の容量のいずれか及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数として、目的関数を最小化する処理部212と、処理部の処理結果に基づいて、計画期間に含まれる単位期間毎の対象設備の容量を決定する決定部213と、を含む。処理部は、計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として目的関数を最小化する発電量及び買電量を出力する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理装置であって、
前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化する処理部と、
前記処理部の処理結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定する決定部と、
を含み、
前記コストは、
前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、
前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、
前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、
前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記計画期間における温室効果ガス排出量を第2制約条件として受け付ける受付部を更に備え、
前記処理部は、
前記第2制約条件の下で前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記対象設備は、再生可能エネルギー発電設備を含む、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記単位期間は1年であり、
前記発電量及び前記買電量は、1年の所定の代表日における量である、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記処理部が出力した前記代表日の前記発電量の最大値に相当する電力を発電可能とする前記対象設備の容量を、前記単位期間ごとに決定する、
情報処理装置。
【請求項6】
所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化するステップと、
前記最小化するステップの結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定するステップと、
を含み、
前記コストは、
前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、
前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、
前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、
前記最小化するステップにおいて、
前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、
情報処理方法。
【請求項7】
所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化する処理部と、
前記処理部の処理結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定する決定部と、
を実現させ、
前記コストは、
前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、
前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、
前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、
前記処理部は、
前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や台風等の災害発生に備え、停電時に分散型の電力供給設備から一定範囲の地域内の需要家の負荷に電力を供給することが可能な電力供給システム(マイクログリッド)を構築する事例が近年増えている。
【0003】
マイクログリッドを構築する際には分散型の電力供給設備の容量を決定する必要があり、そのための方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明は、電力供給設備の運用計画に係る期間の途中において、電力供給設備を新たに導入したり廃止したりすることが考慮されていない。そのため、例えば電力供給設備の耐用年数を超える期間に亘る運用計画を立案することは困難である。
【0006】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、電力供給設備の運用計画において容量を決定するにあたり、運用計画に係る期間を長期化することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理装置であって、前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化する処理部と、前記処理部の処理結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定する決定部と、を含み、前記コストは、前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、情報処理装置である。
【0008】
また、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理方法であって、情報処理装置が、前記計画期間を受け付けるステップと、前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化するステップと、前記最小化するステップの結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定するステップと、を含み、前記コストは、前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、前記最小化するステップにおいて、前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、情報処理方法である。
【0009】
また、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記計画期間において前記負荷に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、前記計画期間の各時刻の前記対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、前記目的関数を最小化する処理部と、
前記処理部の処理結果に基づいて、前記計画期間に含まれる単位期間ごとの前記対象設備の容量を決定する決定部と、を実現させ、前記コストは、前記計画期間において前記対象設備を導入する第1コストと、前記計画期間において前記対象設備を運用する第2コストと、前記計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、前記処理部は、前記計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として前記目的関数を最小化する前記発電量及び前記買電量を出力する、情報処理プログラムである。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力供給設備の運用計画において容量を決定するにあたり、運用計画に係る期間を長期化することが可能な情報処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】マイクログリッド1を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置2のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】記憶装置203に格納されたデータベースを説明する図である。
【
図4】導入価格シナリオDB203bの一例を示す図である。
【
図5】発電価格シナリオDB203cの一例を示す図である。
【
図6】買電価格シナリオDB203dの一例を示す図である。
【
図7】需要シナリオDB203eの一例を示す図である。
【
図8】排出量シナリオDB203fの一例を示す図である。
【
図9】情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。
【
図10】年度mの代表日における発電量及び買電量の一例である。
【
図11】年度の代表日における電力量の一例である。
【
図12】年度mごとの各種コストの一例を示す図である。
【
図13】温室効果ガスの排出量E
mの一例を示す図である。
【
図14】情報処理装置2が対象設備の容量を出力するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
==実施形態==
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0013】
<<マイクログリッド1>>
マイクログリッド1は、地震や台風等の災害発生に備え、停電時に分散型の電力供給設備から一定範囲の地域内の需要家の負荷に電力を供給することが可能な電力供給システムである。
【0014】
図1は、後述する情報処理装置2を用いて構築することを計画しているマイクログリッド1を説明するための図である。本実施形態では、地域Aにマイクログリッド1を構築することを計画しているとして説明する。
【0015】
マイクログリッド1は、配電線10と、配電線10に接続された分散型の電力供給設備11(対象設備)と、負荷12とから構成されている。
図1には、分散型の電力供給設備11として、発電機11aと、太陽電池11bと、風力発電機11cと、蓄電池11dとが示されている。マイクログリッド1は、配電線10上に設けられた遮断機30を介して電力系統3に接続されている。
【0016】
また、
図1には、需要家の負荷12として、配電線10に接続された負荷12a、12b、12cが示されている。需要家は、配電線10から供給される電力を消費する設備を含む。需要家としては、例えば、病院、工場、学校等の施設が挙げられる。
【0017】
平常時には、遮断機30は接続状態を維持し、発電所(図示せず)で発電された電力が電力系統3を介してマイクログリッド1に接続された負荷12に供給される。
【0018】
一方、地震や台風等の災害が発生し、発電所からの電力系統3を介したマイクログリッド1への電力供給が停止すると(停電時)、遮断機30は切断状態となる。つまり、このとき、マイクログリッド1は電力系統3に対して切断される。
【0019】
マイクログリッド1が電力系統3に対して切断されると、電力供給設備11(発電機11a、太陽電池11b、風力発電機11c及び蓄電池11d)は、所定の起動シーケンスを経て負荷12に電力を供給する。
【0020】
<<情報処理装置2>>
情報処理装置2は、所定の計画期間においてマイクログリッド1に接続された負荷12に電力を供給するための対象設備の容量を決定する装置である。
【0021】
計画期間は、情報処理装置2の利用者(以下、「利用者」)によって任意に定めることが可能な期間である。計画期間は、数十年単位で定めることが可能である。
【0022】
計画期間は、複数の単位期間を含む。本実施形態では、単位期間は1年であって、4月から翌年の3月までの1年度である。
【0023】
対象設備としては、燃料を用いる発電機、蓄電池、再生可能エネルギー発電設備等を含めることができる。
図1に示した電力供給設備11は対象設備の一例であって、これらに限られない。
【0024】
詳細は後述するが、情報処理装置2は、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を、所定の条件の下で最小化するように対象設備の容量を決定する。
【0025】
ここでの「コスト」は、導入コスト(「第1コスト」に相当)と、運用コスト(「第2コスト」に相当)と、買電コスト(「第3コスト」に相当)とを含む。
【0026】
導入コストは、計画期間において対象設備を導入するコストである。詳細は後述するが、導入コストは、対象設備の容量[kW]、対象設備を導入する時期等に応じて決定される。
【0027】
運用コストは、計画期間において対象設備を運用するコストである。詳細は後述するが、運用コストは、対象設備の燃費特性、対象設備が使用する燃料の量、対象設備を導入する時期等に応じて決定される。
【0028】
買電コストは、計画期間において電力小売事業者に支払うためのコストである。詳細は後述するが、買電コストは、電力小売事業者に支払う基本料金及び従量料金の総和である。
【0029】
なお、コストは、対象設備を廃棄する場合等を考慮に入れてもよい。その場合は、負荷12に電力を供給することで生じるコストに、更に対象設備を廃棄するのに想定されるコスト等を加算すればよい。
【0030】
<情報処理装置2のハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態である情報処理装置2のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)200、メモリ201、通信装置202、記憶装置203、入力装置204、出力装置205、及び記録媒体読取装置206を有するコンピュータである。
【0031】
[CPU200]
CPU200は、メモリ201や記憶装置203に記憶されたプログラム(「情報処理プログラム」に相当)を実行することにより、情報処理装置2が有する様々な機能を実現する。
【0032】
[メモリ201]
メモリ201は、例えばRAM(Random-Access Memory)等であり、様々なプログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。
【0033】
[通信装置202]
通信装置202は、ネットワーク5を介して、他のコンピュータと各種プログラムやデータの受け渡しを行う。
【0034】
[記憶装置203]
記憶装置203は、CPU200によって、実行または処理される各種データを格納する非一時的な(例えば不揮発性の)記憶装置である。
【0035】
記憶装置203には、後述する処理部212が実行する処理において用いられる複数のデータベースが格納されている。これらのデータベースの詳細は後述する。
【0036】
[入力装置204]
入力装置204は、ユーザによるコマンドやデータの入力を受け付ける装置であり、キーボード、タッチパネルディスプレイ上でのタッチ位置を検出するタッチセンサなどの入力インタフェースを含む。
【0037】
[出力装置205]
出力装置205は、例えばディスプレイやプリンタなどの装置である。
【0038】
[記録媒体読取装置206]
記録媒体読取装置206は、SDカードやDVD、CDROM等の記録媒体6に記録されたプログラムやデータベース等の様々なデータを読み取り、記憶装置203に格納する。
【0039】
<データベース>
図3は、記憶装置203に格納されたデータベースを説明する図である。記憶装置203には、設備情報DB203aと、導入価格シナリオDB203bと、発電価格シナリオDB203cと、買電価格シナリオDB203dと、需要シナリオDB203eと、排出量シナリオDB203fといったデータベースが格納されている。
【0040】
[設備情報DB203a]
設備情報DB203aは、それぞれの対象設備の情報が記録されたデータベースである。ここでの「対象設備の情報」とは、例えば耐用年数が含まれる。また、燃料を用いる発電設備であれば、使用燃料の種別、燃費特性等が含まれる。
【0041】
また、太陽光発電設備(太陽電池)であれば、日射量と発電量との関係を示す特性等が含まれる。また、風力発電設備(風力発電機)であれば、風速と発電量との関係を示す特性等が含まれる。
【0042】
[導入価格シナリオDB203b]
図4は、導入価格シナリオDB203bの一例を示す図である。導入価格シナリオDB203bは、対象設備に基づいて導入コストを決定するためのデータベースである。
【0043】
図4の導入価格シナリオDB203bには、それぞれの対象設備i(この例では発電機1~3、蓄電池1及び2、太陽電池1及び2、風力発電機1及び2)を、年度mに単位容量だけ新たに導入するのに要するコストc
1imが記録されている。ただし、蓄電池1及び2に関しては、出力導入コスト(蓄電池を制御するパワーコンディショニングシステム(PCS)に関するコストであって、単位は「万円/kW」)と、容量導入コスト(蓄電池本体に関するコストであって、単位は「万円/kWh」)が記録されている。
【0044】
なお、添え字「i」は、複数の対象設備を識別するために用いられる。また、添え字「m」は年度を示し、この例では2022年から2050年のいずれかである。これらは本明細書において同じである。
【0045】
[発電価格シナリオDB203c]
図5は、発電価格シナリオDB203cの一例を示す図である。発電価格シナリオDB203cは、対象設備iの発電量に基づいて運用コストを決定するためのデータベースである。
【0046】
図5の発電価格シナリオDB203cには、対象設備i(この例では、発電機1~3)が、年度mに単位量の燃料を使用するのに要するコストf
2imが記録されている(この例では、燃料コスト1~3)。
【0047】
更に、発電価格シナリオDB203cには、対象設備i(この例では、発電機1~3)の、年度mにおける燃費特性p2imが記録されている(この例では、発電機1~3燃費特性)。燃費特性とは、単位量の燃料を使用して発電することが可能な電力である。
【0048】
[買電価格シナリオDB203d]
図6は、買電価格シナリオDB203dの一例を示す図である。買電価格シナリオDB203dは、小売事業者からの買電量に基づいて買電コストを決定するためのデータベースである。買電コストは、小売事業者に支払う基本料金と、従量料金とを含む。
【0049】
図6の買電価格シナリオDB203dには、小売事業者j(この例では、小売事業者1及び2)に、年度mに単位電力あたり支払う基本料金c
3jm
1が記録されている(
図6(a))。添え字「j」は、小売事業者を識別するために用いられる。これは、本明細書において同じである。
【0050】
なお、ここでの「電力」は、前年度m-1において小売事業者jから購入した電力の最大値である。つまり、年度mの基本料金は、前年度m-1の発電量の最大値に基づいて決定されるとする。
【0051】
また、買電価格シナリオDB203dには、小売事業者jから、年度mの代表日の時刻nに単位電力量を購入するために要する従量料金c
3jmn
2が記録されている(
図6(b))。
【0052】
添え字「n」は、代表日における時刻を識別するために用いられる。本実施形態では、時刻は1暦日の0:00から始まり、30分の間隔で離散化されている。これは、本明細書において同じである。
【0053】
なお、この例では、1年度において夏季とその他季節において、従量料金の設定が異なるとしている。
【0054】
[需要シナリオDB203e]
図7は、需要シナリオDB203eの一例を示す図である。需要シナリオDB203eは、単位期間のそれぞれの各時刻nに電力需要の予測が紐づけられたデータベースである。
【0055】
需要シナリオDB203eには、年度mの時刻nにおいて予想される電力需要Dmnが記録されている。
【0056】
[排出量シナリオDB203f]
図8は、排出量シナリオDB203fの一例を示す図である。排出量シナリオDB203fは、対象設備による発電量又は小売事業者からの買電量に基づいて温室効果ガス排出量を決定するためのデータベースである。
【0057】
排出量シナリオDB203fの項目「燃料1~3」には、発電機1~3が、年度mに単位量の燃料を使用した場合の二酸化炭素の排出量eFimが記録されている。ここで、添え字「F」は、「単位量の燃料」を使用した場合の排出量であることを示している。
【0058】
また、排出量シナリオDB203fの項目「小売事業者1及び2」には、小売事業者1及び2から、年度mに単位量の電力量を購入して消費した場合の二酸化炭素の排出量eYjmが記録されている。ここで、添え字「Y」は、小売事業者から「単位電力量」を購入して消費した場合の排出量であることを示している
【0059】
なお、同一の対象設備iにおいて、単位量の燃料を使用した場合の二酸化炭素の排出量eFimと、単位電力量を消費した場合の二酸化炭素の排出量eXimとを互いに変換することは可能である。ここで、添え字「X」は、対象設備の発電によって単位電力量を消費した場合の二酸化炭素の排出量であることを示している。
【0060】
例えば、対象設備i(発電機1~3)については、排出量eFimを上述の燃費特性p2imで除することにより、排出量eXimに変換することができる。
【0061】
なお、本実施形態では温室効果ガスは二酸化炭素に限定しているが、他の温室効果ガスを更に考慮してもよい。
【0062】
<情報処理装置2の機能ブロック>
図9は、情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。情報処理装置2は、受付部210と、受付部211と、処理部212と、決定部213とを含む。これらの各機能は、情報処理装置2のハードウェアによって所定のプログラムが実行されることにより実現される。
【0063】
[受付部210]
受付部210は、利用者から計画期間を受け付ける。利用者は、入力装置204を介して、例えば計画期間の初期と終期を入力することができる。
【0064】
[受付部211]
受付部211(「受付部」に相当)は、利用者から計画期間における温室効果ガス排出量を制約条件(「第2制約条件」に相当)として受け付ける。
【0065】
利用者は、入力装置204を介して、例えば各年度mにおける温室効果ガス排出量の上限値Ecmを入力する。このとき、利用者は、計画期間の終期において、例えばマイクログリッドに起因する温室効果ガス排出量が、自然環境による温室効果ガス吸収量に一致するように上限値Ecmを入力することができる。
【0066】
[処理部212]
処理部212は、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストを示す目的関数Cを最小化する。
【0067】
目的関数Cは、形式的には次式で表される。
【数1】
【0068】
数式1の右辺のC1、C2及びC3はそれぞれ、前述した導入コスト、運用コスト及び買電コストである。
【0069】
処理部212は、計画期間の各時刻の対象設備の発電量Ximn及び各時刻の小売事業者(「電力小売事業者」に相当)からの買電量Yjmnを決定変数として、目的関数Cを最小化する。以下、詳細に説明する。
【0070】
先ず、本実施形態では、発電量Ximn及び買電量Yjmnは、1年の所定の代表日における量である。代表日は、1年のうちいずれか1日であってもよいし、異なる季節ごとに選択された複数の日であってもよい。本実施形態では、代表日は1日とする。
【0071】
処理部212は、先ず、導入価格シナリオ情報DBと、発電価格シナリオDB203cと、買電価格シナリオDB203dと、需要シナリオDB203eとを用いて、数式1の目的関数を設定する。目的関数Cについて詳細に説明する。
【0072】
・導入コスト
数式1の右辺第1項の導入コストC1は、前述のように、計画期間において対象設備を導入するコストである。
【0073】
導入コストC
1は、対象設備iに関するものであり、小売事業者jの寄与はない。導入コストC
1は、次式で表わされる。
【数2】
【0074】
数式2の右辺のC
1mは、年度mにおいて対象設備を導入するコストであり、C
1はmについて2022から2050までの総和である。C
1mは次式で表わされる。
【数3】
【0075】
ここで、右辺のc
1imは、対象設備iを年度mに新たに導入(増設)するのに要する単位容量あたりのコストである。右辺のX
imnは、対象設備iの年度mの代表日における時刻nの発電量である。c
1imは、
図4の導入価格シナリオDB203bに記録されている。
【0076】
また、数式3の右辺の中括弧内は、年度mにおける対象設備iの最大発電量(第1項)と年度m-1における対象設備iの最大発電量(第2項)との差である。つまり、右辺の中括弧内は、対象設備iを年度mに新たに導入(増設)すべき容量である。
【0077】
なお、数式3の右辺の中括弧内が負の場合、導入価格シナリオDB203bに関わらず、c1imは0(零)とみなすこととする。つまり、この場合は対象設備iの既存の容量の一部又は全部を廃棄することに相当する。本実施形態では、このような場合にはコストを要しないとみなしている。
【0078】
・運用コスト
数式1の右辺第2項の運用コストC2は、前述のように、計画期間において対象設備を運用するコストである。
【0079】
運用コストC2は、対象設備iのうち、燃料を要する設備に関するものである。そのため、運用コストC2に、再生可能エネルギー発電設備及び小売事業者jの寄与はない。
【0080】
【0081】
数式4の右辺のC
2mは、年度mにおいて対象設備を運用するコストであり、次式で表わされる。
【数5】
【0082】
前述のように、f
2imは、対象設備iが、年度mに単位量の燃料を使用するのに要するコストである。また、p
2imは、対象設備iの、年度mにおける燃費特性である。これらは、
図5の発電価格シナリオDB203cに記録されている。
【0083】
・買電コスト
数式1の右辺第3項の買電コストC3は、前述のように、計画期間において電力小売事業者に支払うためのコストである。
【0084】
買電コストC
2は、小売事業者jに関するものであり、対象設備iの寄与はない。買電コストC
3は、次式で表わされる。
【数6】
【0085】
数式6の右辺のC
3mは、年度mにおいて電力小売事業者に支払うためのコストであり、次式で表わされる。
【数7】
【0086】
数式7の右辺第1項は基本料金に関するコストであり、第2項は従量料金に関するコストである。
【0087】
右辺第1項のc
3jm
1は、小売事業者jに、年度mに単位電力あたり支払う基本料金である。右辺第2項のc
3jmn
2は、小売事業者jから、年度mの代表日の時刻nに単位電力量を購入するために要する従量料金である。これらは、
図6の買電価格シナリオDB203dに記録されている。
【0088】
また、数式7の右辺において、Yjmnは、年度mにおける代表日の時刻nに、小売事業者jから購入した電力である。
【0089】
以上、目的関数Cの具体的な関数形について説明した。次いで、処理部212が目的関数Cを最小化する際に考慮する制約条件について説明する。
【0090】
・電力需要に関する制約条件
処理部212は、計画期間における電力需要を満たすことを制約条件(「第1制約条件」に相当」として、目的関数Cを最小化する決定変数(発電量X
imn及び買電量Y
jmn)を出力する。このときの制約条件は、具体的には次式で表わされる。
【数8】
【0091】
数式8の左辺は、年度mの時刻nにおいて予想される電力需要D
mnであり、
図7の需要シナリオDB203eに記録されている。右辺第1項は対象設備iによる発電量の総和であり、第2項は小売事業者jからの買電量の総和である。
【0092】
・温室効果ガス排出量に関する制約条件
処理部212は、排出量シナリオDB203fを更に用いて、受付部211が受け付けた制約条件の下で目的関数Cを最小化する発電量及び買電量を出力する。
【0093】
このときの制約条件は、次式で表わされる。
【数9】
【0094】
数式9の左辺は、受付部211が受け付けた年度mごとの排出量E
cmである。右辺は、決定変数X
jmn及びY
jmnに基づいて決定される排出量である。右辺は、具体的には次式で表わされる。
【数10】
【0095】
数式10の右辺第1項は年度mにおける対象設備iに起因する二酸化炭素の排出量であり、第2項は年度mにおける小売事業者から購入した電力に起因する二酸化炭素の排出量である。
【0096】
右辺第1項のe
Fimは、対象設備iが年度mに単位量の燃料を使用した場合の二酸化炭素の排出量である。第2項のe
Yjmは、小売事業者jから年度mに単位量の電力量を購入して消費した場合の二酸化炭素の排出量である。これらは、
図9の排出量シナリオDB203fに記録されている。
【0097】
数式10の右辺第1項において、F
imnは、年度mに対象設備iが使用する燃料量である。F
imnと、年度mの対象設備iによる発電量X
imnには、以下の関係がある。
【数11】
【0098】
数11の右辺のp
2imは、年度mにおける対象設備iの燃費特性である。対象設備iの燃費特性p
2imは、
図5の発電価格シナリオDB203cに記録されている。
【0099】
処理部212は、以上説明した制約条件(数式8及び数式9)の下で目的関数C(数式1)を最小化する。そして、処理部212は、目的関数Cを最小化する決定変数を出力する。
【0100】
・最小化結果の一例
以下では、処理部212による目的関数Cの最小化の結果について説明する。なお、対象設備iとしては、本来は
図4の導入価格シナリオDB203bに示された発電機1~3、蓄電池1及び2、太陽電池1及び2、風力発電機1及び2を適用することができる。
【0101】
しかし、本実施形態では説明を単純化するために、これらのうち一部の対象設備iのみを考慮することにする。具体的には、本実施形態で適用される対象設備は、発電機1及び2、太陽電池1及び風力発電機1とする。また、本実施形態では、小売事業者jについては小売事業者1及び2を利用することとする。
【0102】
図10は、処理部212から出力された年度mの代表日における発電量X
imn及び買電量Y
jmnの一例である。この図の横軸は年度mであり、縦軸は電力[kW]である。
【0103】
また、
図10には需要電力D
mnが更に示されている。需要電力D
mnは、数式8の制約条件のために、発電量X
imn及び買電量Y
jmnの添え字i及びjについての総和が一致していることがわかる。
【0104】
更に、
図10において、太陽電池及び風力発電機といった再生可能エネルギー発電設備の割合が将来に向かって増加する傾向を確認できる。これは、数式9に示した温室効果ガス排出量の制約条件に伴う結果である。
【0105】
図11は、処理部212から出力された発電量X
imn及び買電量Y
jmnに基づいて計算された時刻nごとの電力量の一例である。この図の横軸は時刻nであり、縦軸は発電される電力量[kWh]である。
【0106】
また、
図11には需要電力D
mnに基づいて計算された時刻nごとの需要電力量が示されている。需要電力量は、発電量X
imn及び買電量Y
jmnに基づいて計算された時刻nごとの電力量の総和に一致していることがわかる。
【0107】
なお、上述の例では決定変数として計画期間の各時刻の対象設備の発電量Ximnとしたがこれに限られない。発電量Ximnに代えて、計画期間の各年度mにおいて導入される対象設備の容量を決定変数としてもよい。
【0108】
[決定部213]
決定部213は、処理部212の処理結果に基づいて、計画期間に含まれる年度mごとの対象設備iの容量を決定する。
【0109】
決定部213は、処理部212が出力した代表日の発電量の最大値に相当する電力を発電可能とする対象設備の容量Capmiを、年度mごとに決定する。
【0110】
本実施形態では、決定部213は、処理部212が出力した年度mの代表日における発電量の最大値に相当する電力を、年度mにおける対象設備iの容量Cap
miとして決定する(次式)。
【数12】
【0111】
年度mにおける対象設備iの容量Capmiが決まると、年度mにおける導入コストC1m(数式3)、運用コストC2m(数式5)及び買電コストC3m(数式7)が決まる。
【0112】
図12は、対象設備の容量に基づいて決定された年度mごとの各種コストの一例を示す図である。この図において、横軸は年度mであり、縦軸はコスト[万円]である。
【0113】
また、この図において、発電機1及び発電機2についての導入コスト及び運用コストは統合されて示されている。
【0114】
図13は、対象設備の容量に基づいて推定された温室効果ガスの排出量E
mの一例を示す図である。この図において、横軸は年度mであり、縦軸は二酸化炭素の排出量[kg-CO
2]である。
【0115】
この図において、受付部211が受け付けた制約条件である排出量の上限値Ecmが更に示されている(実線)。この例では、上限値Ecmは、将来に向かって単調減少し、計画期間の終期(この例では2050年)には0となるように設定されている。
【0116】
計算された排出量Emは、上限値Ecmを超えずに推移していることがわかる。つまり、計画期間の終期(この例では2050年)において、二酸化炭素の排出量を0となることが期待される。
【0117】
<対象設備の容量を出力するまでの処理>
図14は、情報処理装置2が対象設備の容量を出力するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。対象設備の容量を出力するまでの処理は、ステップS101~S106を含む。
【0118】
先ず、ステップS101において、受付部210は、利用者からマイクログリッドの運用に係る計画期間を受け付ける。
【0119】
本実施形態では、利用者は、入力装置204を介して、計画期間の始期として2022年と、終期として2050年を入力したとする。
【0120】
次いで、ステップS102において、受付部211は、利用者から計画期間における温室効果ガス排出量を制約条件として受け付ける。
【0121】
利用者は、入力装置204を介して、温室効果ガス排出量の制約条件として各年度mにおける上限値E
cmを入力する。
図13に示したE
cm(実線)は、ここで入力された上限値の一例である。
【0122】
ついで、ステップS103において、処理部212は、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストを示す目的関数C(数式1)を、発電量Ximn及び買電量Yjmnを決定変数として最小化する。
【0123】
このとき、処理部212は、ステップS102において受け付けられた温室効果ガス排出量Ecmと、需要シナリオDB203eに記録された電力需要の予測を満たすこととを制約条件(数式8及び数式9)とし、目的関数Cを最小化する。
【0124】
次いで、ステップS104において、処理部212は、目的関数Cを最小化する決定変数(発電量X
imn及び買電量Y
jmn)を出力する。
図10は、処理部212から出力された一の年度mの代表日における発電量X
imn及び買電量Y
jmnの一例である。
【0125】
次いで、ステップS105において、決定部213は、処理部212の処理結果に基づいて、計画期間に含まれる年度mごとの対象設備iの容量を決定する。
【0126】
本実施形態では、決定部213は、処理部212が出力した年度mの代表日における発電量の最大値に相当する電力を、年度mにおける対象設備iの容量Capmiとして決定する。
【0127】
次いで、ステップS106において、決定部213は、ステップS104で決定された容量Capmiを出力する。
【0128】
年度mにおける対象設備iの容量Cap
miが決まると、年度mにおける導入コストC
1m運用コストC
2m及び買電コストC
3mが決まる。
図12は、容量Cap
miに基づいて決定された年度mごとの各種コストの一例である。
【0129】
図13は、対象設備の容量に基づいて推定された温室効果ガスの排出量E
mの一例を示す図である。
【0130】
以上、本実施形態の情報処理装置2によれば、電力供給設備の運用計画において容量を決定するにあたり、運用計画の期間を長期化することが可能となる。
【0131】
==まとめ==
以上説明した実施形態の情報処理装置2は、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷12に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理装置2であって、計画期間を受け付ける受付部210と、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、計画期間の各時刻の対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、目的関数を最小化する処理部212と、処理部212の処理結果に基づいて、計画期間に含まれる単位期間ごとの対象設備の容量を決定する決定部213と、を含み、コストは、計画期間において対象設備を導入する第1コストと、計画期間において対象設備を運用する第2コストと、計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、処理部212は、計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として目的関数を最小化する発電量及び買電量を出力する。
【0132】
このような構成によれば、計画期間の途中において、対象設備を新たに導入したり廃止したりすることが考慮される。そのため、対象設備の運用計画において容量を決定するにあたり、計画期間を長期化することが可能となる。
【0133】
上記情報処理装置2は、計画期間における温室効果ガス排出量を第2制約条件として受け付ける受付部211を更に備え、処理部212は、第2制約条件の下で目的関数を最小化する発電量及び買電量を出力する。このような構成によれば、計画期間に亘って温室効果ガスの排出を徐々に削減できる対象設備の運用計画が可能となる。
【0134】
上記情報処理装置2において、対象設備は、再生可能エネルギー発電設備を含んでもよい。このような構成によれば、計画期間に亘って温室効果ガスの排出を更に削減できる対象設備の運用計画が可能となる。
【0135】
上記情報処理装置2において、単位期間は1年であり、発電量及び買電量は、1年の所定の代表日における量であってもよい。このような構成によれば、単位期間の周期が季節の変動の周期と一致するため、対象設備の運用計画が容易になる。
【0136】
上記情報処理装置2において、決定部213は、処理部212が出力した代表日の発電量の最大値に相当する電力を発電可能とする対象設備の容量を、単位期間ごとに決定してもよい。このような構成によれば、扱うデータの量を削減することができる。
【0137】
実施形態の情報処理方法は、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷12に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理方法であって、情報処理装置2が、計画期間を受け付けるステップと、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、計画期間の各時刻の対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、目的関数を最小化するステップと、最小化するステップの結果に基づいて、計画期間に含まれる単位期間ごとの対象設備の容量を決定するステップと、を含み、コストは、計画期間において対象設備を導入する第1コストと、計画期間において対象設備を運用する第2コストと、計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、最小化するステップにおいて、計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として目的関数を最小化する発電量及び買電量を出力する。
【0138】
このような方法によれば、計画期間の途中において、対象設備を新たに導入したり廃止したりすることが考慮される。そのため、対象設備の運用計画において容量を決定するにあたり、計画期間を長期化することが可能となる。
【0139】
実施形態の情報処理プログラムは、所定の計画期間においてマイクログリッドに接続された負荷12に電力を供給するための対象設備の容量を決定する情報処理プログラムであって、計画期間を受け付ける受付部210と、コンピュータに、計画期間において負荷12に電力を供給することで生じるコストまたは温室効果ガス排出量を示す目的関数とし、計画期間の各時刻の対象設備の発電量または前記計画期間の前記対象設備の前記容量のいずれか、及び各時刻の電力小売事業者からの買電量を決定変数とし、目的関数を最小化する処理部212と、処理部212の処理結果に基づいて、計画期間に含まれる単位期間ごとの対象設備の容量を決定する決定部213と、を実現させ、コストは、計画期間において対象設備を導入する第1コストと、計画期間において対象設備を運用する第2コストと、計画期間において電力小売事業者に支払うための第3コストとを含み、処理部212は、計画期間における電力需要を満たすことを第1制約条件として目的関数を最小化する発電量及び買電量を出力する。
【0140】
このようなプログラムによれば、計画期間の途中において、対象設備を新たに導入したり廃止したりすることが考慮される。そのため、対象設備の運用計画において容量を決定するにあたり、計画期間を長期化することが可能となる。
【0141】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0142】
1 マイクログリッド
10 配電線
11電力供給設備
12 負荷
2 情報処理装置
200 CPU
201 メモリ
202 通信装置
203 記憶装置
204 入力装置
205 出力装置
206 記録媒体読取装置
203a 設備情報DB
203b 導入価格シナリオDB
203c 発電価格シsうナリオDB
203d 買電価格シナリオDB
203e 需要シナリオDB
203f 排出量シナリオDB
210 受付部
211 受付部
212 処理部
213 決定部
3 電力系統
30 遮断機