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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151933
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】作業車のボンネット構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20241018BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B62D25/12 C
B62D25/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065766
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】正円 茂夫
【テーマコード(参考)】
3D004
【Fターム(参考)】
3D004AA03
3D004BA04
3D004CA05
3D004CA13
3D004CA31
3D004DA03
3D004DA04
(57)【要約】
【課題】ダンパーをボンネットに好適に連結することが可能な作業車のボンネット構造を提供する。
【解決手段】上下に揺動してエンジンルームEを開閉可能なボンネット9と、前記ボンネット9の開閉動作を補助するダンパー30と、第一揺動軸45aを介して、前記ダンパー30の一端部を揺動可能に支持する支持部材40と、接着剤60によって前記ボンネット9の内側面に接着され、前記ダンパー30の他端部が第二揺動軸52aを介して揺動可能に連結される連結部材50と、を具備した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に揺動してエンジンルームを開閉可能なボンネットと、
前記ボンネットの開閉動作を補助するダンパーと、
第一揺動軸を介して、前記ダンパーの一端部を揺動可能に支持する支持部材と、
接着剤によって前記ボンネットの内側面に接着され、前記ダンパーの他端部が第二揺動軸を介して揺動可能に連結される連結部材と、
を具備する作業車のボンネット構造。
【請求項2】
前記連結部材は、
前記第二揺動軸の軸線方向に対して垂直な方向に長手方向を向けた板状に形成され、前記ボンネットに接着される接着部と、
前記接着部に固定され、前記第二揺動軸を介して前記ダンパーが揺動可能に連結される連結部と、
を具備する、
請求項1に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項3】
前記接着部は、
前記長手方向に沿って屈曲するR形状に形成されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項4】
前記連結部は、
前記接着部に対する固定部分のうち、前記第二揺動軸を基準として前記ダンパーの一端部から遠い側が、前記ダンパーの一端部に近い側に比べて広くなるように形成されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項5】
前記接着剤は、
前記ボンネット及び前記連結部材を塗装するための塗料によって覆われている、
請求項1に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項6】
前記ダンパーは、
エンジンの上方に配置されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項7】
前記第一揺動軸は、
ラジエータよりも高い位置に配置されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項8】
前記第一揺動軸は、
エアクリーナの中心よりも高い位置に配置されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項9】
前記ダンパーは、
前記ボンネットを閉じた状態において、DPFの上方に配置されている、
請求項2に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項10】
前記支持部材は、
曲面状に形成された前記DPFの側面に沿うように形成されている、
請求項9に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項11】
前記支持部材は、
前記DPFを支持するためのDPF支持部に連結されている、
請求項9に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項12】
前記支持部材は、
エンジンに固定される板状部と、
前記板状部の一側面側に設けられる第一補強部と、
前記板状部の他側面側に設けられる第二補強部と、
を具備する、
請求項1に記載の作業車のボンネット構造。
【請求項13】
前記支持部材は、
エンジンに固定されると共に、前記エンジンを吊り上げるためのフックが係合可能な係合部が形成されている、
請求項1に記載の作業車のボンネット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車のボンネット構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボンネットの開閉動作を補助するダンパーを備えた作業車のボンネット構造の技術は公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、ボンネットの内側に、伸縮可能なダンパー(ガススプリング)が左右一対設けられている。ダンパーの一端はフレームに支持され、ダンパーの他端はボンネットに連結されている。このように構成することで、ダンパーが伸長しようとする力によって、ボンネットの開閉動作を補助することができる。
【0004】
ここで、ダンパーをボンネットに連結する方法としては、連結部材を溶接によりボンネットに固定し、当該連結部材にダンパーを連結する方法が考えられる。しかしながら、ボンネットに連結部材を溶接すると溶接痕が生じるため、ボンネットの外観品質が低下するおそれがある。
【0005】
そこで特許文献1に記載の技術では、ダンパーが連結される連結部材(中途部フレーム枠)をボンネットの左右両端部に亘る枠状に形成し、当該連結部材をボンネットの左右両端部近傍の目立たない位置でボンネットに固着させている。これによって、溶接痕を目立ち難くすることができる。
【0006】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、ダンパーをボンネットに連結するための連結部材が大型化し、またその形状も複雑化している。このため、連結部材と他の部材との干渉が発生し易く、かつ、コストが増大する等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-223991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の一態様は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ダンパーをボンネットに好適に連結することが可能な作業車のボンネット構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
本開示の一態様においては、上下に揺動してエンジンルームを開閉可能なボンネットと、前記ボンネットの開閉動作を補助するダンパーと、第一揺動軸を介して、前記ダンパーの一端部を揺動可能に支持する支持部材と、接着剤によって前記ボンネットの内側面に接着され、前記ダンパーの他端部が第二揺動軸を介して揺動可能に連結される連結部材と、を具備するものである。
【0011】
本開示の一態様においては、前記連結部材は、前記第二揺動軸の軸線方向に対して垂直な方向に長手方向を向けた板状に形成され、前記ボンネットに接着される接着部と、前記接着部に固定され、前記第二揺動軸を介して前記ダンパーが揺動可能に連結される連結部と、を具備するものである。
【0012】
本開示の一態様においては、前記接着部は、前記長手方向に沿って屈曲するR形状に形成されているものである。
【0013】
本開示の一態様においては、前記連結部は、前記接着部に対する固定部分のうち、前記第二揺動軸を基準として前記ダンパーの一端部から遠い側が、前記ダンパーの一端部に近い側に比べて広くなるように形成されているものである。
【0014】
本開示の一態様においては、前記接着剤は、前記ボンネット及び前記連結部材を塗装するための塗料によって覆われているものである。
【0015】
本開示の一態様においては、前記ダンパーは、エンジンの上方に配置されているものである。
【0016】
本開示の一態様においては、前記第一揺動軸は、ラジエータよりも高い位置に配置されているものである。
【0017】
本開示の一態様においては、前記第一揺動軸は、エアクリーナの中心よりも高い位置に配置されているものである。
【0018】
本開示の一態様においては、前記ダンパーは、前記ボンネットを閉じた状態において、DPFの上方に配置されているものである。
【0019】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、曲面状に形成された前記DPFの側面に沿うように形成されているものである。
【0020】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、前記DPFを支持するためのDPF支持部に連結されているものである。
【0021】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、エンジンに固定される板状部と、前記板状部の一側面側に設けられる第一補強部と、前記板状部の他側面側に設けられる第二補強部と、を具備するものである。
【0022】
本開示の一態様においては、前記支持部材は、エンジンに固定されると共に、前記エンジンを吊り上げるためのフックが係合可能な係合部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0023】
本開示の一態様によれば、ダンパーをボンネットに好適に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】トラクタの全体的な構成を示した側面図。
図2】ボンネット内の構成を模式的に示した側面一部断面図。
図3】ダンパー、支持部材及び連結部材を示した側面一部断面図。
図4】ダンパー、支持部材及び連結部材を示した正面一部断面図。
図5】ダンパー及び支持部材を示した分解上方斜視図。
図6】ダンパー、支持部材及び連結部材を示した下方斜視図。
図7】連結部材を示した側面一部断面図。
図8】第二実施形態に係るボンネット内の構成を模式的に示した側面一部断面図。
図9】第二実施形態に係るダンパー、支持部材及び連結部材を示した側面一部断面図。
図10】第二実施形態に係るDPF支持部、ダンパー、支持部材及び連結部材を示した分解上方斜視図。
図11】第二実施形態に係るダンパー及び支持部材を示した上方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0026】
まず、図1を用いて第一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
【0027】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、トランスミッションケース4、油圧昇降装置5、前輪6、後輪7、フェンダ8、ボンネット9、搭乗部10及びロプス11等を具備する。
【0028】
機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の後部には、エンジン3が固定される。エンジン3の後方には、トランスミッションケース4が配置される。また、トランスミッションケース4の後部には、油圧昇降装置5が設けられる。油圧昇降装置5には、各種の作業装置(例えば、ロータリ耕耘装置等)を装着することができる。トランスミッションケース4は、変速装置等の動力伝達機構(不図示)を収容する。
【0029】
また、機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪6に支持される。トランスミッションケース4は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪7に支持される。左右一対の後輪7は、概ね上方からフェンダ8によって覆われる。
【0030】
また、エンジン3は、ボンネット9により覆われたエンジンルームEに配置される。ボンネット9は、後部に設けられた揺動軸9a(図2及び図3参照)を中心として、上下に揺動可能に設けられる。ボンネット9を上方に向けて揺動させることで、エンジンルームEを開放することができる。ボンネット9の後方には、運転者が搭乗する搭乗部10が設けられる。また、搭乗部10の後方には、搭乗部10を保護するロプス11が設けられている。
【0031】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース4に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪6に伝達可能とされると共に、リアアクスル機構を経て後輪7に伝達可能とされる。こうして、エンジン3の動力によって前輪6及び後輪7を回転駆動させ、トラクタ1は走行することができる。
【0032】
以下では、図2から図4を参照して、ボンネット9内(エンジンルームE)の各部材の配置について説明する。
【0033】
ボンネット9内には、エンジン3、エアクリーナ21、マフラー22、バッテリ23、ラジエータ24、ファンシュラウド25、ファン26及び燃料タンク27等が配置される。
【0034】
図2から図4までに示すエンジン3は、エンジンルームEの後部に配置される。エンジン3は、機体フレーム2に支持される。
【0035】
エアクリーナ21は、空気を除塵してエンジン3へと送るためのものである。エアクリーナ21は、エンジンの右上方に配置される。エアクリーナ21は、略円柱状に形成され、軸線方向を前後に向けた状態で配置される。エアクリーナ21には、給気管21aを介して、後述するラジエータ24の前方の空気が導入される。エアクリーナ21によって除塵された空気は、エンジン3へと供給される。
【0036】
マフラー22は、エンジン3からの音を低減すると共に、排気ガスを排出するためのものである。マフラー22は、エンジンの左上方(エアクリーナ21の左方)に配置される。マフラー22は、略円柱状に形成され、軸線方向を前後に向けた状態で配置される。マフラー22には、エンジン3からの排気ガスが導入される。マフラー22に導入された排気ガスは、排気管22aを介して外部へと排出される。
【0037】
図2に示すバッテリ23は、トラクタ1の給電対象(例えば、スターターモータや作業灯等)へ電力を供給するためのものである。バッテリ23は、エンジンルームEの前部に配置される。
【0038】
ラジエータ24は、エンジン3の冷却水を冷却するためのものである。ラジエータ24は、バッテリ23の後方に配置される。またラジエータ24は、エンジン3、エアクリーナ21及びマフラー22の前方に配置される。
【0039】
ファンシュラウド25は、前方から後方へと空気を案内するものである。ファンシュラウド25には、前後に貫通する貫通孔(不図示)が形成される。ファンシュラウド25は、後述するファン26を外周側から囲むように形成される。ファンシュラウド25は、ラジエータ24の後方、かつ、エンジン3の前方に配置される。
【0040】
ファン26は、後方へと空気を送るものである。ファン26は、エンジン3のシャフト3aと連結される。ファン26は、シャフト3aを介して伝達されるエンジン3の動力により駆動する。
【0041】
燃料タンク27は、エンジン3で用いられる燃料を貯留するものである。燃料タンク27は、エンジン3の後方に配置される。
【0042】
以下では、図2から図7までを用いて、ボンネット9に関する構造(ボンネット構造)について説明する。
【0043】
図2から図4までに示すように、本実施形態のトラクタ1には、ボンネット9の開閉を補助するためのダンパー30が設けられている。ダンパー30の一端部は、支持部材40によって支持されている。ダンパー30の他端部は、連結部材50を介してボンネット9に取り付けられている。以下、各部材の構成について説明する。
【0044】
ダンパー30は、ボンネット9の開閉を補助するためのものである。ダンパー30は、長手方向に伸縮可能なシリンダにより構成される。ダンパー30としては、例えばガスが封入されたガスシリンダ、オイルが封入されたオイルシリンダ等を用いることができる。ダンパー30は、封入されたガス等の力によって所定の長さまで伸長するように構成されている。これによって、後述するようにダンパー30をボンネット9に連結した場合に、ボンネット9を上方に向かって付勢することができる。
【0045】
図3から図5までに示す支持部材40はダンパー30の一端部を揺動可能に支持するものである。支持部材40は、主として板状部41、背面部42、第一補強部43、第二補強部44及び連結部45を具備する。
【0046】
板状部41は、適宜の厚みを有する板状に形成された部分である。板状部41は、板面を概ね前後方向に向けた状態で配置される。板状部41は、正面視において長手方向を上下に向けた略矩形状に形成される。板状部41は、上下中途部において屈曲されている。これによって板状部41には、鉛直方向に略平行な第一板状部41a、第一板状部41aの上端部から前上方に延びる第二板状部41b、及び、第二板状部41bの上端部から略鉛直上方に延びる第三板状部41cが形成されている。このように板状部41は、下部(第一板状部41a)に対して上部(第三板状部41c)が前側に位置するように形成されている。
【0047】
背面部42は、支持部材40の背面を形成する部分である。背面部42は、板面を前後方向に向けた状態で配置される。背面部42は、正面視において長手方向を上下に向けた略矩形状に形成される。背面部42は、板状部41の第一板状部41aの背面に固定される。背面部42の上部は、第一板状部41aから上方に突出するように配置される。背面部42には、係合部42aが形成される(図6参照)。
【0048】
図6に示す係合部42aは、背面部42の右上部を前後に貫通するように形成された孔である。係合部42aには、エンジン3を吊り上げるためのフックを係合させることができる。なお、係合部42aは、エンジン3を吊り上げることが可能な構成であればよく、その形状等は限定しない。例えば、エンジン3を吊り上げるためのフックと係合可能な部材(例えば、フック状の部材)を、係合部として背面部42に固定することも可能である。
【0049】
図3から図5までに示す第一補強部43は、支持部材40を補強するための部分である。第一補強部43は、板面を左右方向に向けた状態で配置される。第一補強部43は、板状部41の後側面側に設けられる。具体的には、第一補強部43は、背面部42の前側面、第二板状部41bの後上面、及び、第三板状部41cの背面に、それぞれ溶接等により固定される。第一補強部43は、板状部41の左右略中央に配置される。
【0050】
第二補強部44は、支持部材40を補強するための部分である。第二補強部44は、板面を左右方向に向けた状態で配置される。第二補強部44は、板状部41の前側面側に設けられる。具体的には、第二補強部44は、第一板状部41aの前側面、及び、第二板状部41bの前下面に、それぞれ溶接等により固定される。第一補強部43は、板状部41の左右略中央から、やや右方に偏った位置に配置される。
【0051】
連結部45は、ダンパー30の一端部が揺動可能に連結される部分である。連結部45は、略矩形板状に形成され、板面を左右方向に向けた状態で配置される。連結部45は、板状部41の前側面側に設けられる。具体的には、連結部45は、第三板状部41cの前側面に、溶接等により固定される。連結部45は、板状部41の左右略中央に配置される。連結部45の上部は、板状部41の上端から上方へ突出するように配置される。連結部45には、第一揺動軸45aが設けられる。
【0052】
第一揺動軸45aは、略円柱状に形成される。第一揺動軸45aは、軸線方向を左右に向けた状態で配置される。第一揺動軸45aは、連結部45の上部に固定される。第一揺動軸45aは、連結部45の左側面から、左方に突出するように配置される。第一揺動軸45aには、ダンパー30の一端部(後端部)が挿通される。これによって、ダンパー30は、支持部材40に対して揺動可能に連結される。
【0053】
図2から図4までに示すように、支持部材40はエンジン3に固定される。具体的には、板状部41の下部(第一板状部41a)が、エンジン3の背面の上部に固定される。これによって支持部材40は、エンジン3から上方に突出するように配置される。支持部材40の第一揺動軸45aは、エアクリーナ21の中心(軸線)、及び、マフラー22の中心よりも高い位置に配置される。特に本実施形態では、支持部材40の第一揺動軸45aは、エアクリーナ21の上端、及び、マフラー22の上端よりも高い位置に配置されている。
【0054】
図3図4図6及び図7に示す連結部材50は、ダンパー30の他端部が揺動可能に連結されるものである。連結部材50は、主として接着部51及び連結部52を具備する。
【0055】
図6及び図7に示す接着部51は、ボンネット9に接着される部分である。接着部51は、略矩形板状に形成される。接着部51は、板面がボンネット9の天板の内側面(下面)と対向するように配置される。接着部51は、長手方向を前後方向(後述する第二揺動軸52aの軸線方向(左右方向)に対して垂直な方向)に向けた状態で配置される。接着部51は、長手方向に沿って屈曲するR形状に形成されている。接着部51の曲率半径rは、当該接着部51が対向するボンネット9の内側面の曲率半径と同一となるように形成される。なお、接着部51は、短手方向(左右方向)に沿って屈曲しないように(正面断面視で直線状となるように)形成されている。接着部51は、ボンネット9の天板の内側面に、接着剤60によって接着される。この際、接着部51は、ボンネット9が閉じられた状態(図3等参照)で、支持部材40の第一揺動軸45aより前側に位置するように配置される。
【0056】
連結部52は、ダンパー30の他端部が揺動可能に連結される部分である。連結部52は板状に形成され、板面を左右方向に向けた状態で配置される。連結部52の上端面は、接着部51の下面に沿うように形成されている。連結部52の上端面は、溶接等により接着部51の下面に固定される。連結部52には、ダンパー30を揺動可能に連結するための第二揺動軸52aが挿通される。
【0057】
図5及び図7に示す第二揺動軸52aは、略円柱状に形成される。第二揺動軸52aは、軸線方向を左右に向けた状態で配置される。第二揺動軸52aは、連結部52及びダンパー30の他端部(前端部)を左右に挿通するように配置される。これによって、ダンパー30は、連結部材50に対して揺動可能に連結される。
【0058】
ここで図7に示すように、連結部52は、接着部51に対して固定された上端面(固定部分F)のうち、前側の部分が、後側の部分に比べて広くなるように形成されている。より具体的に説明すると、第二揺動軸52aの中心(より詳細には、側面視(図7参照)において第二揺動軸52aの中心を通り、接着部51に垂直な直線L)を基準とすると、第二揺動軸52aの中心より前側の部分Ffの前後幅が、後側の部分Frの前後幅よりも広くなるように形成されている。言い換えると、固定部分Fのうち、ダンパー30の一端部(第一揺動軸45a(図3等参照))から遠い側の部分Ffが、ダンパー30の一端部に近い側の部分Frに比べて広くなるように形成されている。このように構成することで、ダンパー30から前方に押されるような力が連結部52に加わった際に、当該力を固定部分Fの広い範囲(前側の部分Ff)で受けることができるため、当該固定部分Fの破損等を防止することができる。
【0059】
また図7に示すように、本実施形態では、連結部材50(接着部51)がボンネット9に接着された後でボンネット9及び連結部材50の塗装が行われることによって、連結部材50とボンネット9とを接着するための接着剤60が塗料70によって覆われている。このように、連結部材50とボンネット9との間に介在する接着剤60を塗料70によって覆うことで、接着剤60の劣化を防止することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態のボンネット構造では、ボンネット9内の左右中央付近(エンジン3の上方)に、1本のダンパー30が設けられている。ダンパー30の一端部は、第一揺動軸45aを介して支持部材40に揺動可能に支持される。またダンパー30の他端部は、第二揺動軸52aを介して連結部材50に揺動可能に連結される。これによってダンパー30は、エンジン3の上方において、支持部材40から連結部材50に亘るように配置される。
【0061】
ボンネット9にダンパー30を設けることで、例えば図2に示すようにボンネット9を上方に揺動させてエンジンルームEを開放する際には、ダンパー30が伸長する力によってボンネット9の揺動を補助することができる。これによって作業者は、比較的軽い力でボンネット9を上方に揺動させることができる。また例えばボンネット9を下方に揺動させてエンジンルームEを覆う際には、ボンネット9が自重で下方に急激に揺動するのをダンパー30によって防止することができる。
【0062】
また本実施形態では、ダンパー30をボンネット9に連結するための連結部材50を、接着剤60によってボンネット9に固定している。これによって、ボンネット9に溶接痕等が生じることがなく、ボンネット9の外観品質の向上を図ることができる。また、溶接痕等を目立ち難くするために、ダンパー30をボンネット9に連結するための部材(ステー等)の大きさや形状等を工夫する必要がないため、連結部材50を比較的簡素な構成にすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)のボンネット構造は、
上下に揺動してエンジンルームEを開閉可能なボンネット9と、
前記ボンネット9の開閉動作を補助するダンパー30と、
第一揺動軸45aを介して、前記ダンパー30の一端部を揺動可能に支持する支持部材40と、
接着剤60によって前記ボンネット9の内側面に接着され、前記ダンパー30の他端部が第二揺動軸52aを介して揺動可能に連結される連結部材50と、
を具備するものである。
このように構成することにより、ダンパー30をボンネット9に好適に連結することができる。すなわち、ダンパー30をボンネット9に連結するための連結部材50を、接着剤60によってボンネット9に固定するため、ボンネット9に溶接痕等が生じることがなく、ボンネット9の外観品質の向上を図ることができる。また、溶接痕等を目立ち難くするために、ダンパー30をボンネット9に連結するための部材(ステー等)の大きさや形状等を工夫する必要がないため、連結部材50を比較的簡素な構成にすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0064】
また、前記連結部材50は、
前記第二揺動軸52aの軸線方向に対して垂直な方向に長手方向を向けた板状に形成され、前記ボンネット9に接着される接着部51と、
前記接着部51に固定され、前記第二揺動軸52aを介して前記ダンパー30が揺動可能に連結される連結部52と、
を具備するものである。
このように構成することにより、ダンパー30から力を受ける方向に沿うように接着部51の長手方向を向けることで、接着部51をボンネット9に強固に固定することができる。
【0065】
また、前記接着部51は、
前記長手方向に沿って屈曲するR形状に形成されている。
このように構成することにより、曲面状に形成されたボンネット9の内側面に対して接着部51を沿わせることができ、接着部51をボンネット9に強固に固定することができる。
【0066】
また、前記連結部52は、
前記接着部51に対する固定部分Fのうち、前記第二揺動軸52aを基準として前記ダンパー30の一端部から遠い側(前側の部分Ff)が、前記ダンパー30の一端部に近い側(後側の部分Fr)に比べて広くなるように形成されているものである。
このように構成することにより、連結部52を接着部51に強固に固定することができる。具体的には、ダンパー30から押されるような力が連結部52に加わった場合に、当該力を固定部分Fの広い範囲で受けることができるため、固定部分Fの破損等を防止することができる。
【0067】
また、前記接着剤60は、
前記ボンネット9及び前記連結部材50を塗装するための塗料70によって覆われているものである。
このように構成することにより、接着剤60を塗料70で覆うことで、接着剤60の劣化を防止することができる。
【0068】
また、前記ダンパー30は、
エンジン3の上方に配置されている。
このように構成することにより、ダンパー30を比較的高い位置に配置し、エンジンルームEの省スペース化を図ることができる。またこの場合、連結部材50には、ダンパー30から比較的大きい力が加わり易くなるが、ダンパー30から力を受ける方向に沿うように接着部51の長手方向を向けることで、連結部材50(接着部51)がボンネット9から脱落するのを防止することができる。
【0069】
また、前記第一揺動軸45aは、
ラジエータ24よりも高い位置に配置されているものである。
このように構成することにより、ダンパー30を比較的高い位置に配置し、エンジンルームEの省スペース化を図ることができる。
【0070】
また、前記第一揺動軸45aは、
エアクリーナ21の中心よりも高い位置に配置されているものである。
このように構成することにより、ダンパー30を比較的高い位置に配置し、エンジンルームEの省スペース化を図ることができる。
【0071】
また、前記支持部材40は、
エンジン3に固定される板状部41と、
前記板状部41の一側面側に設けられる第一補強部43と、
前記板状部41の他側面側に設けられる第二補強部44と、
を具備するものである。
このように構成することにより、支持部材40を強固に構成することで、ダンパー30を支持する支持部材40のたわみや変形等を防止することができる。
【0072】
また、前記支持部材40は、
エンジン3に固定されると共に、前記エンジン3を吊り上げるためのフックが係合可能な係合部42aが形成されているものである。
このように構成することにより、支持部材40を、エンジン3を吊り上げるための部材(吊り具)としても用いることができるため、別途吊り具を設ける必要がなくなり、エンジンルームEの省スペース化や、コストの低減を図ることができる。
【0073】
以下では、図8から図11までを用いて第二実施形態に係るトラクタ1について説明する。
【0074】
第二実施形態に係るトラクタ1は、DPF28を備える点で、第一実施形態に係るトラクタ1と異なっている。また第二実施形態に係るトラクタ1は、DPF28を備えたことに伴って、エンジンルームE内の各部材のレイアウトや構造が一部異なっている。以下、第一実施形態との相違点について、具体的に説明する。なお、第一実施形態と概ね同様の構成については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0075】
図8及び図9に示すDPF(Diesel Particulate Filter)28は、エンジン3から排出される排気ガス中のPMを捕集するためのものである。DPF28は、エンジン3の上方に配置される。DPF28は、配管を介してエンジン3と接続される。DPF28は、略円柱状に形成され、軸線方向を左右に向けた状態でエンジン3の上方に配置される。DPF28は、DPF支持部29によって支持される。
【0076】
図8から図10までに示すDPF支持部29は、DPF28を支持するためのものである。DPF支持部29は、主として左右一対の立設部29a及び載置部29bを具備する。
【0077】
立設部29aは、機体フレーム2に連結される部分である。立設部29aは、長手方向を上下に向けてエンジン3の左右にそれぞれ配置される。立設部29aの下部は、機体フレーム2に固定される。立設部29aの上部は、エンジン3よりも上方まで延びるように形成される。
【0078】
載置部29bは、DPF28が載置される部分である。載置部29bは、板面を上下に向けた略平板状に形成される。載置部29bは、左右の立設部29aの上部にそれぞれ固定される。これによって載置部29bは、左右の立設部29aを接続するように配置される。
【0079】
このようにしてDPF支持部29は、エンジン3を左右に跨ぐように配置される。DPF28は、載置部29bに載置された状態で適宜固定される。なお、DPF支持部29の構成はこれに限るものではなく、形状、配置、固定方法等は任意に変更することが可能である。
【0080】
図8及び図9に示す第二実施形態のエアクリーナ21は、略円柱状に形成され、軸線方向を左右に向けた状態でDPF28の前方に配置される。
【0081】
図9から図11までに示すように、第二実施形態においては、第一実施形態の支持部材40とは構成が異なる支持部材90によって、ダンパー30が支持されている。支持部材90は、主として板状部91、第一補強部92及び連結部93を具備する。
【0082】
板状部91は、適宜の厚みを有する板状に形成された部分である。板状部91は、主として下側板状部91a及び上側板状部91bを具備する。
【0083】
下側板状部91aは、略水平に形成された下部、及び、当該下部の前端部から略鉛直上方に向かって延びる上部を有する側面視略L字状に形成されている。下側板状部91aの下部(底面)は、適宜の固定部材3bを介してエンジン3の後部に固定されている。また下側板状部91aの上部(前面)は、DPF支持部29の載置部29bの後端部に固定されている。
【0084】
上側板状部91bは、板面を概ね前後方向に向けた状態で配置される。上側板状部91bの下部は、下側板状部91aの上部の前側面に固定されている。これによって上側板状部91bは、下側板状部91aから上方に突出するように配置される。上側板状部91bには、第二補強部91cが形成されている。第二補強部91cは、上側板状部91bの右端部を前方に向けて屈曲させることで形成される。このようにして、第二補強部91cは、上側板状部91b(板状部91)の前側面側に設けられる。
【0085】
第一補強部92は、板面を左右方向に向けた状態で配置される。第一補強部92は、板状部91の後側面側に設けられる。具体的には、第一補強部92は、側面視略L字状に形成された板状部91の下部及び上部にそれぞれ溶接等により固定される。
【0086】
連結部93は、ダンパー30の一端部が揺動可能に連結される部分である。連結部93は、略矩形板状に形成され、板面を左右方向に向けた状態で配置される。連結部93は、板状部91の前側面側に設けられる。具体的には、連結部93は、上側板状部91bの前側面に、溶接等により固定される。連結部93は、上側板状部91bの左端部近傍に配置される。連結部93は、上部の前後幅が、下部の前後幅よりも大きくなるように形成されている。これによって、連結部93の上部は前方に膨出するように形成されている。連結部93の上部には、第一揺動軸93aが設けられる。第一揺動軸93aには、ダンパー30の一端部(後端部)が揺動可能に連結される。
【0087】
以上のようにして、第二実施形態における支持部材90は、エンジン3の後部(DPF支持部29の後方)から上方に延びるように配置される。支持部材90の第一揺動軸93aは、エアクリーナ21の中心、及び、マフラー22の中心よりも高い位置に配置される。ボンネット9が閉じられた状態(図9参照)において、支持部材90に連結されたダンパー30は、DPF28の上方を前後に亘るように配置される。
【0088】
支持部材90の連結部93は、側面視(図9参照)において、曲面状に形成されたDPF28の側面に沿うように形成されている。すなわち、連結部93の上部は、DPF28の側面に追従するように前方に膨出するように形成されている。また連結部93の下部は、DPF28との干渉を避けるように形成されている。これによって、DPF28との干渉を避けながらも、連結部93の前後幅を確保し、ダンパー30を強固に支持することができる。なお、連結部93の形状は本実施形態に限るものではない。例えば、連結部93の前側面を、DPF28の側面と略同一の曲率半径を有する曲面状に形成することも可能である。
【0089】
以上の如く、第二実施形態に係る前記ダンパー30は、
前記ボンネット9を閉じた状態において、DPF28の上方に配置されているものである。
このように構成することにより、ダンパー30を比較的高い位置に配置し、エンジンルームEの省スペース化を図ることができる。
【0090】
また、前記支持部材90(連結部93)は、
曲面状に形成された前記DPF28の側面に沿うように形成されているものである。
このように構成することにより、支持部材90をDPF28に沿うように配置することができ、エンジンルームEの省スペース化を図ることができる。
【0091】
また、前記支持部材90は、
前記DPF28を支持するためのDPF支持部29に連結されているものである。
このように構成することにより、支持部材90とDPF支持部29とを連結することで、両部材をそれぞれ強固に固定することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、上述の第一実施形態及び第二実施形態に示したように、本願のボンネット構造は、DPF28の有無に関わらず作業車に適用することが可能である。また本願のボンネット構造は、ボンネット9内(エンジンルームE)の各部材の配置に関わらず、作業車に適用することが可能である。
【0094】
また、支持部材40・90、連結部材50等の具体的な構成(形状等)は特に限定するものではなく、任意に変更することが可能である。例えば、必要に応じて支持部材40・90及び連結部材50に補強部材を追加及び削除することが可能である。また、ボンネット9内(エンジンルームE)の各部材の配置等に応じて構成(形状等)を任意に変更することが可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、連結部材50の接着部51をR形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、十分な接着力で連結部材50をボンネット9に固定できれば、必ずしも接着部51をR形状に形成する必要はない。
【0096】
また、上記実施形態では、支持部材40・90は主にエンジン3に固定されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばエンジン3以外の部材(機体フレーム2等)に固定することや、複数の部材(例えば、エンジン3及びエンジン3以外の部材の両者)に固定することも可能である。
【0097】
また、上記実施形態では、作業車としてトラクタ1を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他の農業車両、建設車両、産業車両等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 トラクタ
9 ボンネット
21 エアクリーナ
24 ラジエータ
28 DPF
29 DPF支持部
30 ダンパー
40 支持部材
41 板状部材
42a 係合部
43 第一補強部材
44 第二補強部材
45a 第一揺動軸
50 連結部材
51 接着部
52 連結部
52a 第二揺動軸
60 接着剤
70 塗料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11