(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151935
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】殺菌除錆用組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 37/16 20060101AFI20241018BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20241018BHJP
C11D 7/36 20060101ALI20241018BHJP
C11D 7/38 20060101ALI20241018BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20241018BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241018BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01N37/16
C11D7/26
C11D7/36
C11D7/38
A01P1/00
A01P3/00
A01N37/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065772
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】川上 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守悟
(72)【発明者】
【氏名】並木 康佑
(72)【発明者】
【氏名】水阪 哲彦
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003DA12
4H003DB01
4H003EA08
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB12
4H003EB15
4H003EB16
4H003EB24
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA28
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA01
4H011BB05
4H011BC06
4H011BC17
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】下水排除基準を満たし、十分な殺菌力と除錆力を有する殺菌除錆用組成物。
【解決手段】
酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩と、除錆用添加剤とを含み、
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含み、
pH値が4.0~10.0である、殺菌除錆用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸及び/又はその塩と、過酢酸及び/又はその塩と、除錆用添加剤とを含み、
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含み、
pH値が4.0~10.0である、殺菌除錆用組成物。
【請求項2】
pH値が5以上である、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項3】
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩を含む、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項4】
前記除錆用添加剤が、多価りん酸及び/又はその塩を含む、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項5】
前記除錆用添加剤が、カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩を含む、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項6】
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、リンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択される、請求項3に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項7】
前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択される、請求項4に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項8】
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択される、請求項5に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項9】
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項10】
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項11】
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項12】
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項13】
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項14】
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、リンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項15】
前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項16】
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項1に記載の殺菌除錆用組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の殺菌除錆用組成物と、水とを含む、殺菌除錆用希釈組成物。
【請求項18】
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項17に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
【請求項19】
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項17に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
【請求項20】
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、請求項17に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の殺菌・洗浄に適する殺菌除錆用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器の殺菌・洗浄には、酸性やアルカリ性の薬品が使用されており、過酸水溶液もその1つである。しかしながら、酸性やアルカリ性の薬品が使用されるために、その廃液が下水排除基準を満たさないまま排水されて、コンクリート製の下水道管が損傷している例が後を絶たない。下水道管の損傷は、下水への排水ができなくなると共に、道路陥没を引き起こす可能性もあり、早急な対応が必要である。このような背景のもと、東京都下水道局は、2019年1月に、透析排水と下水道管についての注意喚起を発表した。東京都下水道局では、排水についての下水排除基準を水素イオン濃度(pH)が5を超え9未満の範囲内に収めることを求めている。
【0003】
医療機器の殺菌・洗浄に用いる殺菌及び洗浄用組成物としては、酸性の過酢酸水溶液(特許文献1)、アルミニウム腐食抑制性の酸性酸化剤含有組成物(特許文献2)、アルカリ性の洗浄用製剤(特許文献3)などが知られている。しかしながら、これらの組成物は、必ずしも排水についての下水排除基準を満たすものとは言えない。また、医療機器の洗浄において、使用済みの医療機器に対する防錆力を有することが必要であるが、これらの組成物は、防錆力が十分であるとはいえない。よって、依然として、配水管を傷めず、十分な殺菌力と除錆力を有する洗浄剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-184868号公報
【特許文献2】WO2010/095231号公報
【特許文献3】特表2016-532634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排水が下水排除基準を満たし、殺菌除錆用組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、排水が下水排除基準を満たし、十分な殺菌力と除錆力を有する、殺菌除錆用組成物を提供することができることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の実施形態を含む。
<1>
酢酸及び/又はその塩と、過酢酸及び/又はその塩と、除錆用添加剤とを含み、
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含み、
pH値が4.0~10.0である、殺菌除錆用組成物。
<2>
pH値が5以上である、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<3>
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩を含む、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<4>
前記除錆用添加剤が、多価りん酸及び/又はその塩を含む、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<5>
前記除錆用添加剤が、カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩を含む、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<6>
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、リンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択される、<3>に記載の殺菌除錆用組成物。
<7>
前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択される、<4>に記載の殺菌除錆用組成物。
<8>
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択される、<5>に記載の殺菌除錆用組成物。
<9>
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<10>
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<11>
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<12>
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<13>
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<14>
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、リンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<15>
前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<16>
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<1>に記載の殺菌除錆用組成物。
<17>
<1>~<16>のいずれかに記載の殺菌除錆用組成物と、水とを含む、殺菌除錆用希釈組成物。
<18>
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<17>に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
<19>
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<17>に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
<20>
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、<17>に記載の殺菌除錆用希釈組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排水が下水排除基準を満たす、殺菌除錆用組成物を提供することができる。本発明の殺菌除錆用組成物は、pH値が下水排除基準を満たすため、使用後の廃液を中和処理する必要なく排水することができ、かつ十分な殺菌力及び除錆力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.殺菌除錆用組成物
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、除錆用添加剤とを含む。
【0010】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、そのpH値が4.0~10.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、例えば、4.0、4.5、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0,8.5、9.0,9.5、10.0などであってよいが、これらの値に限定されない。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、例えば、4.0~10.0、4.0~9.5、4.0~9.0、4.0~8.5、4.0~8.0、4.0~7.5、4.0~7.0、4.0~6.5、4.0~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、4.5~10.0、4.5~9.5、4.5~9.0、4.5~8.5、4.5~8.0、4.5~7.5、4.5~7.0、4.5~6.5、4.5~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.0~10.0、5.0~9.5、5.0~9.0、5.0~8.5、5.0~8.0、5.0~7.5、5.0~7.0、5.0~6.5、5.0~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.1~10.0、5.1~9.5、5.1~9.0、5.1~8.5、5.1~8.0、5.1~7.5、5.1~7.0、5.1~6.5、5.1~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.2~10.0、5.2~9.5、5.2~9.0、5.2~8.5、5.2~8.0、5.2~7.5、5.2~7.0、5.2~6.5、5.2~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.3~10.0、5.3~9.5、5.3~9.0、5.3~8.5、5.3~8.0、5.3~7.5、5.3~7.0、5.3~6.5、5.3~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.4~10.0、5.4~9.5、5.4~9.0、5.4~8.5、5.4~8.0、5.4~7.5、5.4~7.0、5.4~6.5、5.4~6.0であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.5~10.0、5.5~9.5、5.5~9.0、5.5~8.5、5.5~8.0、5.5~7.5、5.5~7.0、5.5~6.5、5.5~6.0であってよい。本発明の好ましい実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5.0以上である。本発明の好ましい実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5以上である。本発明の好ましい実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5以上10以下である。本発明の好ましい別の実施形態において、殺菌除錆用組成物のpH値は、5以上9以下である。
【0011】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、除錆用添加剤とを含み、
前記組成物のpH値が、4.0~10.0であってよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記の殺菌除錆用組成物は、除錆用添加剤として、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含む。
【0013】
本発明の一実施形態において、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩と、除錆用添加剤とを含み、
前記除錆用添加剤が、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含み 、
pH値が4.0~10.0である、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0014】
以下、各成分について説明する。
【0015】
本発明の殺菌除錆用組成物は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上を含むことにより、殺菌除錆用組成物のpH値を4.0~10.0に調整することができる。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、酢酸及び/又はその塩を含み得る。本発明の別の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、過酢酸及び/又はその塩を含み得る。本発明の更に別の実施形態において、殺菌除錆用組成物は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩を含み得る。
【0016】
(1)酢酸及び/又はその塩
本発明の殺菌除錆用組成物において用いられる酢酸及び/又はその塩としては、当技術分野で通常用いられるものを用いることができる。酢酸の塩としては、水溶液とした際にアルカリ性である酢酸塩であれば特に限定されず、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、酢酸ルビジウム、酢酸ストロンチウム、酢酸セシウム、酢酸バリウム、酢酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0017】
本発明の殺菌除錆用組成物中における酢酸及び/又はその塩の濃度は、0.01質量%~70質量%であってよく、好ましくは0.05質量%~60質量%であってよく、より好ましくは1質量%~55質量%であり、さらにより好ましくは5質量%~50質量%であってよい。本発明の一実施形態において、前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。本発明の好ましい一実施形態において、前記酢酸及び/又はその塩が、0.05質量%から60質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。本発明のより好ましい一実施形態において、前記酢酸及び/又はその塩が、1質量%から55質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。本発明のさらにより好ましい一実施形態において、前記酢酸及び/又はその塩が、5質量%から50質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0018】
(2)過酢酸及び/又はその塩
本発明の殺菌除錆用組成物において用いられる過酢酸及び/又はその塩としては、当技術分野で通常用いられるものを用いることができる。
【0019】
本発明の殺菌除錆用組成物中における過酢酸及び/又はその塩の濃度は、0.001~15質量%であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物中における過酢酸の濃度は、例えば、0.001質量%、0.005質量%、0.01質量%、0.1質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、1.0質量%、3.0質量%、4.0質量%、5.0質量%、10質量%、15質量%であってよいが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物中における過酢酸の濃度は、例えば、0.001~15質量%、0.001~10質量%、0.001~5質量%、0.001~3質量%、0.005~15質量%、0.005~10質量%、0.005~5質量%、0.005~3質量%、0.01~15質量%、0.01~10質量%、0.01~5質量%、0.01~3質量%、0.1~15質量%、0.1~10質量%、0.1~5質量%、0.1~3質量%、0.3~15質量%、0.3~10質量%、0.3~5質量%、0.3~3質量%、0.4~15質量%、0.4~10質量%、0.4~5質量%、0.4~3質量%、0.5~15質量%、0.5~10質量%、0.5~5質量%、0.5~3質量%、0.6~15質量%、0.6~10質量%、0.6~5質量%、0.6~3質量%、1.0~15質量%、1.0~10質量%、1.0~5質量%、1.0~3質量%、などであってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物中における過酢酸及び/又はその塩の濃度は、好ましくは0.001~10質量%であってよく、より好ましくは0.005~5質量%であり、さらにより好ましくは0.01~3質量%であってよい。本発明の一実施形態において、前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0020】
(3)過酸化水素
本発明の殺菌除錆用組成物は、過酸化水素をさらに含み得る。本発明の殺菌除錆用組成物において、過酸化水素は、それ自体、殺菌・洗浄能力を有するため、組成物全体の殺菌・洗浄効果を高めるのに寄与するだけでなく、酢酸との平衡反応により十分な量の過酢酸の生成及び維持(水溶液中における安定性)に寄与している。よって、酢酸と過酸化水素との組み合わせにより、さらに本発明の組成物の殺菌・洗浄効果を高めることができる。
【0021】
本発明の殺菌除錆用組成物中における過酸化水素の濃度は、0.001~25質量%であってよく、好ましくは0.005~20質量%、より好ましくは0.01~15質量%、さらにより好ましくは0.02~10質量%であってよい。過酸化水素の濃度が低すぎると酢酸との平衡反応により生成する過酢酸の量が十分でなく、本発明の殺菌・洗浄効果が十分に発揮されない場合がある。一方、過酸化水素の濃度が高すぎても前記効果は高まらず、かえって安全性に問題が生じる場合がある。
【0022】
(4)除錆用添加剤
本発明の殺菌除錆用組成物は、除錆用添加剤を含む。本発明の殺菌除錆用組成物において用いられる除錆用添加剤には、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上が含まれるが、これらに限定されない。本発明の殺菌除錆用組成物において用いられる除錆用添加剤は、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩、及び多価りん酸及び/又はその塩、及びカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩から選択される1以上を含む。
【0023】
(4-1)多価カルボン酸及び/又はその塩
本発明の殺菌除錆用組成物は、多価カルボン酸及び/又はその塩をさらに含む。本発明の殺菌除錆用組成物殺菌除錆用組成物に用いられ得る多価カルボン酸及び/又はその塩は、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩であってよい。本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物は、炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩を含む。本発明の殺菌除錆用組成物に用いられ得る多価カルボン酸には、例えばクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、メチレンコハク酸、フタル酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、2-アミノエチルエチレングリコール4酢酸等が含まれるがこれらに限定されない。好ましい実施形態において、多価カルボン酸は、クエン酸、及びリンゴ酸からなる群より選択される。本発明の殺菌除錆用組成物に用いられる多価カルボン酸の塩は、多価カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩等であってよいが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、多価カルボン酸の塩は、ナトリウム塩である。本発明の一実施形態において、多価カルボン酸の塩は、カリウム塩である。本発明の一実施形態において、前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、並びにリンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択される、殺菌除錆用組成物が提供される。本発明のより好ましい実施形態において、多価カルボン酸の塩は、クエン酸三ナトリウムであってよい。
【0024】
本発明の殺菌除錆用組成物中における多価カルボン酸及び/又はその塩の濃度は、0.1質量%から10質量%の量であってよく、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~2質量%、さらにより好ましくは0.1~0.5質量%であってよい。多価カルボン酸及び/又はその塩の濃度が低すぎると除錆効果が小さくなり、高すぎると殺菌成分の安定性が低くなる場合がある。本発明の一実施形態において、前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0025】
(4-2)多価りん酸及び/又はその塩
本発明の殺菌除錆用組成物は、多価りん酸及び/又はその塩をさらに含む。本発明の殺菌除錆用組成物に用いられ得る多価りん酸及び/又はその塩としては、例えば、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO)及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン(EDTMP)酸及び/又はその塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択される。
【0026】
本発明の殺菌除錆用組成物中における多価りん酸及び/又はその塩の濃度は、0.1質量%から10質量%の量で含まれてよく、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは 0.1~2質量%、さらにより好ましくは0.1~1質量%であってよい。多価りん酸及び/又はその塩の濃度が低すぎると除錆効果が小さくなり、高すぎると殺菌成分の安定性が低くなる場合がある。多価りん酸及び/又はその塩を適切な濃度にすることにより、除錆力と殺菌力のバランスを取ることができる。本発明の一実施形態において、前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0027】
(4-3)カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩
本発明の殺菌除錆用組成物は、カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩をさらに含む。本発明の殺菌除錆用組成物に用いられ得るカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択される。
【0028】
本発明の殺菌除錆用組成物中におけるカルボン酸系キレート剤及び/又はその塩の濃度は、0.1質量%から10質量%の量で含まれてよく、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~2質量%、さらにより好ましくは0.1~1質量%であってよい。カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩の濃度が低すぎると除錆効果が小さくなり、高すぎると殺菌成分の安定性が低くなる場合がある。カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩を適切な濃度にすることにより、除錆力と殺菌力のバランスを取ることができる。本発明の一実施形態において、前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0029】
本発明の一実施形態において、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、クエン酸及び/又はその塩、並びにリンゴ酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0030】
本発明の実施形態において、 前記多価りん酸及び/又はその塩が、ピロリン酸及び/又はその塩、リン酸及び/又はその塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)及び/又はその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPP)及び/又はその塩、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及び/又はその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及び/又はその塩、及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0031】
本発明の実施形態において、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はその塩、ピコリン酸及び/又はその塩、ジピコリン酸及び/又はその塩、ニトリロ三酢酸及び/又はその塩、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’,N”-三酢酸及び/又はその塩、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”’,N”’-六酢酸及び/又はその塩、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-ジアミノ-2-プロパノール-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及び/又はその塩、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン及び/又はその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、及び(S,S)-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸及び/又はその塩からなる群より選択され、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用組成物が提供される。
【0032】
(5)その他の成分
本発明の殺菌除錆用組成物には、さらに必要に応じて、一般的な殺菌及び洗浄用薬剤等に使用される添加剤など、例えば安定剤、界面活性剤、増粘剤、香料、着色剤、加水分解酵素等が適宜配合されていてもよい。本発明の殺菌除錆用組成物中、酢酸及び/又はその塩、過酢酸及び/又はその塩、ならびに除錆用添加剤、ならびに必要に応じて添加する添加剤以外の残分は、主として水である。安定剤としては、例えばリン系安定剤、カルボン酸系安定剤、すず酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の殺菌除錆用組成物は、希釈することなくそのまま用いるか、あるいは任意の濃度に希釈して殺菌除錆用希釈組成物とすることができる。希釈剤としては通常、水が用いられる。希釈剤として用いられる水は、例えば純水、超純水、蒸留水、精製水、注射用水、水道水などが用いられ得る。希釈倍率は、殺菌除錆用希釈組成物として殺菌及び洗浄効果を発揮する濃度にすることができる希釈倍率であればよく、特に限定されないが、好ましくは1~10000倍、より好ましくは1~1000倍である。
【0034】
2.殺菌除錆用希釈組成物
本発明の殺菌除錆用希釈組成物は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上を含み、さらに希釈剤として追加の水を含む。各成分については、上述した通りである。
【0035】
本発明の殺菌除錆用希釈組成物は、上記の殺菌除錆用組成物を水で希釈することにより作製され得る。上述のように、希釈倍率は、殺菌除錆用希釈組成物として除錆効果を発揮する濃度にすることができる希釈倍率であればよく、特に限定されないが、好ましくは1~10000倍、より好ましくは1~1000倍である。
【0036】
本発明の一実施形態において、上記の殺菌除錆用組成物と、水とを含む、殺菌除錆用希釈組成物が提供される。
【0037】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用希釈組成物は、過酢酸及び/又はその塩の濃度が、0.0001~0.1質量%であってよく、好ましくは0.001~0.05質量%、より好ましくは0.002~0.04質量%、さらにより好ましくは0.003~0.03質量%、などであってよい。
【0038】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用希釈組成物は、酢酸及び/又はその塩の濃度が、0.01~10質量%であってよく、好ましくは0.05~6質量%、より好ましくは0.1~5.5質量%、さらにより好ましくは0.2~5質量%であってよい。
【0039】
本発明の一実施形態において、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記炭素数2~16の多価カルボン酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌殺菌除錆用希釈組成物
が提供される。
【0040】
本発明の一実施形態において、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.01質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記多価りん酸及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用希釈組成物
が提供される。
【0041】
本発明の一実施形態において、
前記酢酸及び/又はその塩が、0.1質量%から70質量%の量で含まれ、
前記過酢酸及び/又はその塩が、0.001質量%から15質量%の量で含まれ、
前記カルボン酸系キレート剤及び/又はその塩が、0.1質量%から10質量%の量で含まれる、殺菌除錆用希釈組成物
が提供される。
【0042】
3.殺菌除錆用組成物及び殺菌除錆用希釈組成物の製造方法
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物の製造方法は、少なくとも下記成分:
(i)酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、
(ii)任意成分である過酸化水素と、
(iii)除錆用添加剤と、
を混合する混合工程を含むものであってよい。この製造方法では、中和熱が発生せず、作業性が良い。各成分については上述した通りである。各成分を混合する順序は任意であってよく、本発明の殺菌除錆用組成物では、混合した各成分が平衡状態となっている。
【0043】
上記酢酸塩としては、水溶液とした際にアルカリ性である酢酸塩であればよく、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、酢酸ルビジウム、酢酸ストロンチウム、酢酸セシウム、酢酸バリウム、酢酸アンモニウムを用いることができるがこれらに限定されない。本発明の一実施形態において、酢酸塩は、酢酸ナトリウムであってよい。本発明の別の実施形態において、酢酸塩は、酢酸カリウムであってよい。
【0044】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物の製造方法は、少なくとも下記成分:
(i)酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、
(ii)任意成分である過酸化水素と、
(iii)除錆用添加剤と、
(iv)アルカリと、
を混合する混合工程を含むものであってよい。この製造方法では、中和熱が発生し平行移動速度が増加して反応が加速され得る。各成分については上述した通りである。各成分を混合する順序は任意であってよく、本発明の殺菌除錆用組成物では、混合した各成分が平衡状態となっている。
【0045】
上記アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、アンモニアなどを用いることができるがこれらに限定されない。本発明の一実施形態において、アルカリは、水酸化ナトリウムであってよい。本発明の別の実施形態において、アルカリは、水酸化カリウムであってよい。
【0046】
アルカリを使用する上記の製造方法は、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上、及びアルカリを混合した後、任意に30~50℃で過酸化水素水を混合する工程を含み得る。この製造方法では、中和熱が発生するため、酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上、及びアルカリを混合することにより発生する中和熱を利用して、30~50℃で過酸化水素水を混合することができ、これにより平行移動速度が増加して反応を加速させることができる。
【0047】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用組成物の製造方法は、下記工程(A)及び(B):
工程(A) 少なくとも、(i)酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、(ii)任意成分である過酸化水素と、(iii)除錆用添加剤と、(iv)任意にアルカリと、を混合する工程と;
工程(B) 工程(A)で得られた水溶液(a)を1日以上静置する工程
とを含むものであってよい。工程(A)で得られた水溶液(a)を工程(B)において静置することにより、水溶液が平衡状態に達する。酢酸塩を用いる実施形態において、工程(B)において静置する温度は、好ましくは20~60℃であるが、より好ましくは20~50℃である。また、工程(B)において静置する時間は、好ましくは1日以上であり、例えば2日以上、3日以上、5日以上、10日以上、30日以上などであってよい。アルカリを用いる実施形態においては、上述のように、中和熱の発生により、反応を加速することができる。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態において、殺菌除錆用組成物の製造方法は、下記工程(C)~(E):
工程(C) 少なくとも、(i)酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、(ii)任意成分である過酸化水素と、(iii)除錆用添加剤と、を混合する工程と;
工程(D) 工程(C)で得られた水溶液(c)を1日以上静置して水溶液(d)を得る工程と;
工程(E) 工程(D)で得られた水溶液(d)、(iv)アルカリ、及び水を混合する工程
とを含むものであってよい。工程(C)で得られた水溶液(c)を静置することにより、水溶液が平衡状態に達する。工程(D)において静置する温度は、好ましくは20~60℃であるが、より好ましくは20~50℃である。また、工程(D)において静置する時間は、好ましくは1日以上であり、例えば2日以上、3日以上、5日以上、10日以上、30日以上などであってよい。その後、平衡状態に達した水溶液(d)に(iv)アルカリ、及び水を混合する。
【0049】
本発明の一実施形態において、殺菌除錆用希釈組成物の製造方法は、少なくとも下記成分:
(i)酢酸及び/又はその塩、ならびに過酢酸及び/又はその塩からなる群より選択される1種以上と、
(ii)任意成分である過酸化水素と、
(iii)除錆用添加剤と、
(iv)任意にアルカリと、
を混合する混合工程と、
得られた混合液を希釈する希釈工程
とを含むものであってよい。各成分については上述した通りである。本発明の殺菌除錆用希釈組成物の製造方法において、前記希釈工程は、前記混合工程で得られた混合物と水とを混合することを含み得る。希釈剤として用いられる水としては、例えば純水、超純水、蒸留水、精製水、注射用水、水道水などが用いられ得る。
【0050】
4.殺菌除錆用組成物を用いた殺菌及び洗浄方法
本発明の上記殺菌除錆用組成物又は上記殺菌除錆用希釈組成物は、希釈することなくそのまま用いるか、あるいは任意の濃度に希釈して、例えば、医療用器具、配水管、飲料食品容器、工業排水、空調設備の冷却水、衣類、調理器具、食器、浴室、台所、洗濯槽、風呂釜、家具、ペットの殺菌、洗浄等に用いることができる。
【0051】
本発明の一実施形態において、上記殺菌除錆用組成物又は上記殺菌除錆用希釈組成物を用いる、医療用器具の殺菌及び洗浄方法が提供される。本発明の殺菌及び洗浄方法において、前記医療用器具の殺菌及び洗浄方法が、浸漬法、噴霧法、塗布法、通液法、循環法、封入法のいずれであってもよい。本発明の医療用器具の殺菌及び洗浄方法において、用いる殺菌除錆用組成物又は殺菌除錆用希釈組成物の量や、殺菌及び洗浄する時間は、微生物の種類や量、殺菌除錆用組成物又は殺菌除錆用希釈組成物の濃度などに従って、適宜選択することができる。
【0052】
本発明の殺菌及び洗浄方法において、前記医療用器具としては、透析用器具、内視鏡用器具、外科手術器具、産科・泌尿器科用器具、麻酔装置類、人工呼吸装置類、歯科用器具、注射針などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の殺菌及び洗浄方法は、前記医療用器具は、好ましくは透析用器具である。
【0053】
本発明の殺菌除錆用組成物及び殺菌除錆用希釈組成物は、医療用器具や配水管などの、殺菌及び洗浄の対象物に対して低腐食性であるので、防錆効果が期待でき好適である。また、本発明の殺菌除錆用組成物及び殺菌除錆用希釈組成物は、タンパク質除去効果や防錆効果の他にも、殺菌効果、スケール除去効果、バイオフィルム除去効果も期待でき、さらに低臭気性であるという利点を有する。
【実施例0054】
以下に、本発明の実施例を示す。しかしながら、これらの実施例は、本発明の実施形態を例示するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0055】
<殺菌除錆用組成物中の過酸化水素濃度の測定方法>
本発明において、殺菌除錆用組成物(過酢酸組成物)の過酸化水素濃度は酸化還元滴定により行った。具体的には試料約0.1gを精密に量り、250mLの三角フラスコに入れ、純水100mL、1.8mol/L硫酸を10mL加えて検液とした。この検液にフェロイン試液を数滴加えて、0.1mol/L硫酸セリウム(IV)溶液で滴定し、過酸化水素濃度を算出した。
【0056】
<殺菌除錆用組成物中の酢酸及び過酢酸濃度の測定方法>
本発明において、殺菌除錆用組成物の酢酸濃度及び過酢酸濃度は中和滴定により行った。具体的には殺菌除錆用組成物の試料約0.1gを精密に量り、100mLビーカーに入れ、純水約50mLを加えて検液とした。この検液を0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、第一変曲点での添加量から酢酸濃度を算出し、第一変曲点から第二変曲点までの添加量から過酢酸濃度を算出した。
【0057】
<pH測定>
殺菌除錆用組成物を純水で適宜希釈し、試料液50gを調製した。各試料液のpHをpHメーター(LAQUA、D-71S、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
【0058】
<除錆力試験>
本発明において、除錆力は予め錆を生じさせたステンレス板を試験液に浸漬した際の錆の除去率により評価した。
【0059】
具体的には、4cm角のSUS304試験片を2.6質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に25℃で3日間浸漬して錆を生じさせ、純水で洗浄し乾燥させた。これをφ9cmのポリスチレンシャーレに入れ、続いて試験液15mLを加えて25℃で20時間静置したのち純水で洗浄し乾燥させた。
錆発生前、および試験液での処理前後の試験片を精密型分光光度色彩計TC-1500SX(東京電色社製)で測定し、Hunter(1948)Lab表色系のb値を算出してこれを錆の付着量とし、数式1により試験液での処理による除錆率を算出した。除錆率が10%を超える試験液を除錆力良好と判断した。
【数1】
SUS304 b値:錆発生前のSUS304試験片のb値
試験前b値:次亜塩素酸ナトリウム処理により錆を生成させたSUS304試験片のb値
試験後b値:試験液での処理後のSUS304試験片のb値
【0060】
<実施例1>
200mLのポリプロピレン瓶に純水16.9g、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA-2Na)0.3g、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)0.3g、80%酢酸10.5g、35%過酸化水素水16.9g、酢酸ナトリウム3水和物55.7gをこの順に加え、攪拌したのちに50℃で7時間静置した。さらに25℃で1日静置し、殺菌除錆用組成物を得た。得られた殺菌除錆用組成物中の過酸化水素は5.8質量%、過酢酸は0.45質量%であった。
【0061】
続いて、得られた殺菌除錆用組成物1.0gに純水49.0gを加えて50倍に希釈し、殺菌除錆用希釈組成物を得た。得られた殺菌除錆用希釈組成物のpHは5.1、除錆率は42%であった。
【0062】
<実施例2~7>
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA-2Na)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、およびクエン酸3ナトリウムを表1に記載の濃度となるよう添加する以外は実施例1と同様にして、殺菌除錆用組成物を得た。
【0063】
<比較例1、3、4>
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA-2Na)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、およびクエン酸3ナトリウムを表1に記載の濃度となるよう添加する以外は実施例1と同様にして、組成物を得た。
【0064】
<比較例2>
200mLのポリプロピレン瓶に純水49.5gクエン酸8.0g、35%過酸化水素水17.5g、クエン酸3ナトリウム25.0gをこの順で加える以外は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物の過酸化水素濃度は6.1質量%であった。また過酢酸と同様の方法で殺菌成分である過クエン酸の滴定を試みたが、過クエン酸は検出されなかった。
【0065】
続いて、得られた組成物1.0gに純水49.0gを加えて50倍に希釈し、希釈組成物を得た。得られた希釈組成物のpHは5.4であった。殺菌成分を含有しない組成物であったため、除錆力試験は実施しなかった。
【0066】
【0067】
実施例1~7、比較例1~4で得られた殺菌除錆用組成物について、pH測定、除錆力試験を実施し、pH、除錆率を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0068】
上記の通り、本発明によれば、下水排除基準を満たし、十分な殺菌力と除錆力を有する殺菌除錆用組成物を提供することができることが示された。また、本発明の殺菌除錆用組成物は、酢酸酸や過酢酸が本来有するスケール除去効果を低下させることなく、除錆力を向上させ、十分な殺菌力も兼ね備えることができる、画期的な組成物である。