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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151951
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/422 20220101AFI20241018BHJP
   B01F 25/42 20220101ALI20241018BHJP
   B01F 35/53 20220101ALI20241018BHJP
【FI】
B01F25/422
B01F25/42
B01F35/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065795
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 功
(72)【発明者】
【氏名】グェン ゴク タム
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AC01
4G035AC02
4G037DA30
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】混合性能を向上させた混合器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、第一方向に対向し、且つ第一方向と直交する第二方向に沿って複数種の混合対象物が流通可能な流路を形成する一対の対向面を備え、一対の対向面は、対向する一対の第一対向部位によって構成され、且つ、一対の第一対向部位間を流れる混合対象物に対して二方向に延びる第一仮想軸を旋回中心とする第一旋回方向の速度成分を付与する第一旋回成分付与部と、対向する一対の第二対向部位によって構成され、且つ、一対の第二対向部位間を流れる混合対象物に対して第二方向に延びる第二仮想軸を旋回中心とする第二旋回方向の速度成分を付与する第二旋回成分付与部と、を有し、第二方向において第一旋回成分付与部と第二旋回成分付与部とが隣り合う、ことを特徴とする。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に対向し、且つ前記第一方向と直交する第二方向に沿って流動性を有する複数種の混合対象物が流通可能な流路を互いの間に形成する一対の対向面を備え、
前記一対の対向面は、
互いの対向する部位である一対の第一対向部位によって構成される第一旋回成分付与部であって、前記一対の第一対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第一仮想軸を旋回中心とする一方まわりの第一旋回方向の速度成分を付与する第一旋回成分付与部と、
互いの対向する部位である一対の第二対向部位によって構成される第二旋回成分付与部であって、前記一対の第二対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第二仮想軸を旋回中心とする他方まわりの第二旋回方向の速度成分を付与する第二旋回成分付与部と、を有し、
前記第二方向において前記第一旋回成分付与部と前記第二旋回成分付与部とが隣り合う、混合器。
【請求項2】
前記第一旋回成分付与部及び前記第二旋回成分付与部の少なくとも一方は、前記第二方向に二つ以上並んで列を作る、請求項1に記載の混合器。
【請求項3】
前記一対の第一対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第一凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第一凹部のうちの一方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側に位置する第一傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第一凹部のうちの他方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第二傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第一凹部と前記他方の第一凹部とは、交差した状態で対向し、
前記一対の第二対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第二凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第二凹部のうちの一方の第二凹部であって、前記一方の第一凹部と同じ対向面に配置される一方の第二凹部は、前記第二傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第二凹部のうちの他方の第二凹部であって、前記他方の第一凹部と同じ対向面に配置される他方の第二凹部は、前記第一傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第二凹部と前記他方の第二凹部とは、交差した状態で対向している、請求項1又は2に記載の混合器。
【請求項4】
前記一対の対向面は、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対を有し、
複数の前記第一旋回成分付与部は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に並び、
前記第一旋回成分付与部の数と対応する数の前記第二旋回成分付与部は、前記第三方向に並び、
前記複数の凸部対は、前記第三方向に隣り合う第一旋回成分付与部間、及び、前記第三方向に隣り合う第二旋回成分付与部間のそれぞれに配置されている、請求項1又は2に記載の混合器。
【請求項5】
前記第一方向に重ね合わされる複数のプレートを備え、
前記一対の対向面は、前記第一方向に並ぶように複数対配置され、
これら複数のプレートにおいて、隣り合う二つのプレートの互いの対向する面は、それぞれ前記一対の対向面を含む、請求項1又は2に記載の混合器。
【請求項6】
前記一対の対向面のうちの一方の対向面である一方対向面は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に第三凹部と第三凸部とが交互に並ぶ第一凹凸列と、前記第二方向の前記第一凹凸列と隣り合う位置において前記第三方向に第四凹部と第四凸部とが交互に並ぶ第二凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第一凹凸列の各第三凹部と各第三凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の一方側に位置する第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記第二凹凸列の各第四凹部と各第四凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記一対の対向面のうちの他方の対向面である他方対向面は、前記第一凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第五凹部と第五凸部とが交互に並ぶ第三凹凸列と、前記第二凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第六凹部と第六凸部とが交互に並ぶ第四凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第三凹凸列の各第五凹部と各第五凸部とは、前記第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第五凹部は、対応する前記第三凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第五凸部は、対応する前記第三凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
前記第四凹凸列の各第六凹部と各第六凸部とは、前記第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第六凹部は、対応する前記第四凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第六凸部は、対応する前記第四凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
複数の前記第一対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第三凹部及び前記第五凹部によって構成される凹部対を一つずつ有すると共に、複数の前記第二対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第四凹部及び前記第六凹部によって構成される凹部対を一つずつ有する、請求項1に記載の混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の対向面の間に混合用の流路が形成されている混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のプレートが重ね合わされたプレート群において、プレート間(即ち、積層方向に隣り合う二つのプレートの対向面の間)に形成された流路に流動性を有する複数種の混合対象物を流通させることで該混合対象物が混合される混合器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-034270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような一対の対向面の間に混合用の流路が形成されている混合器において、混合性能の更なる向上が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、混合性能を向上させた混合器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の混合器は、
第一方向に対向し、且つ前記第一方向と直交する第二方向に沿って流動性を有する複数種の混合対象物が流通可能な流路を互いの間に形成する一対の対向面を備え、
前記一対の対向面は、
互いの対向する部位である一対の第一対向部位によって構成される第一旋回成分付与部であって、前記一対の第一対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第一仮想軸を旋回中心とする一方まわりの第一旋回方向の速度成分を付与する第一旋回成分付与部と、
互いの対向する部位である一対の第二対向部位によって構成される第二旋回成分付与部であって、前記一対の第二対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第二仮想軸を旋回中心とする他方まわりの第二旋回方向の速度成分を付与する第二旋回成分付与部と、を有し、
前記第二方向において前記第一旋回成分付与部と前記第二旋回成分付与部とが隣り合う。
【0007】
このように、第二方向において第一旋回成分付与部と第二旋回成分付与部とが隣り合うことで、前記混合対象物が第一旋回成分付与部から第二旋回成分付与部に流れたとき(又は第二旋回成分付与部から第一旋回成分付与部に流れたとき)に、第一旋回成分付与部と第二旋回成分付与部とで混合対象物に付与される旋回方向の速度成分が逆向きになるため、混合対象物の流れにおいて十分な乱流が発生し、これにより、当該混合器において十分な混合性能が得られる。即ち、混合性能を向上させた混合器が得られる。
【0008】
前記混合器では、
前記第一旋回成分付与部及び前記第二旋回成分付与部の少なくとも一方は、前記第二方向に二つ以上並んで列を作ってもよい。
【0009】
かかる構成によれば、第一旋回成分付与部が並ぶ位置において混合対象物に十分な旋回方向の速度成分を付与された状態で該混合対象物が第二旋回成分付与部に流入して逆向きの旋回方向の速度成分が付与されることで、混合対象物の流れにおいてより複雑な乱流が発生し、これにより、混合対象物の混合がより十分に行われる。又は、第一旋回成分付与部から第二旋回成分付与部に流入したときに混合対象物の流れに乱流が生じ、この状態で混合対象物が第二旋回成分付与部の列を流れて十分な旋回方向の速度成分が付与される、即ち、第二方向の十分な距離を混合対象物が螺旋状に流れることで混合対象物の混合がより十分に行われる。
【0010】
また、前記混合器では、
前記一対の第一対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第一凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第一凹部のうちの一方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側に位置する第一傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第一凹部のうちの他方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第二傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第一凹部と前記他方の第一凹部とは、交差した状態で対向し、
前記一対の第二対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第二凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第二凹部のうちの一方の第二凹部であって、前記一方の第一凹部と同じ対向面に配置される一方の第二凹部は、前記第二傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第二凹部のうちの他方の第二凹部であって、前記他方の第一凹部と同じ対向面に配置される他方の第二凹部は、前記第一傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第二凹部と前記他方の第二凹部とは、交差した状態で対向してもよい。
【0011】
このように、第一方向の一方側から見て交差した状態で延びる一対の凹部を一対の対向面に設けるといった簡素な構成によって、第二方向に沿って流れる混合対象物に旋回方向の速度成分を付与することができる。また、第一旋回成分付与部と第二旋回成分付与部との第二方向に対する凹部の傾斜方向を逆にすることで、第二方向に延びる仮想軸まわりの回転方向が逆となる旋回方向の速度成分を混合対象物に付与することができる。
【0012】
また、前記混合器では、
前記一対の対向面は、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対を有し、
複数の前記第一旋回成分付与部は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に並び、
前記第一旋回成分付与部の数と対応する数の前記第二旋回成分付与部は、前記第三方向に並び、
前記複数の凸部対は、前記第三方向に隣り合う第一旋回成分付与部間、及び、前記第三方向に隣り合う第二旋回成分付与部間のそれぞれに配置されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、凸部対によって各旋回成分付与部における第三方向に隣り合う領域からの混合対象物の流れへの影響が抑えられ、これにより、各旋回成分付与部において混合対象物に旋回方向の速度成分が十分に付与され、その結果、混合対象物の混合が好適に行われる。
【0014】
また、前記混合器は、
前記第一方向に重ね合わされる複数のプレートを備え、
前記一対の対向面は、前記第一方向に並ぶように複数対配置され、
これら複数のプレートにおいて、隣り合う二つのプレートの互いの対向する面は、それぞれ前記一対の対向面を含んでもよい。
【0015】
このように複数のプレートを重ね合わせ、プレート間に混合用の流路が形成される構成とすることで、混合対象物を混合処理する処理量を確保しつつ混合器の小型化(詳しくは、重ね合わせ方向の寸法の小型化)を図ることができる。
【0016】
また、前記混合器では、
前記一対の対向面のうちの一方の対向面である一方対向面は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に第三凹部と第三凸部とが交互に並ぶ第一凹凸列と、前記第二方向の前記第一凹凸列と隣り合う位置において前記第三方向に第四凹部と第四凸部とが交互に並ぶ第二凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第一凹凸列の各第三凹部と各第三凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の一方側に位置する第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記第二凹凸列の各第四凹部と各第四凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記一対の対向面のうちの他方の対向面である他方対向面は、前記第一凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第五凹部と第五凸部とが交互に並ぶ第三凹凸列と、前記第二凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第六凹部と第六凸部とが交互に並ぶ第四凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第三凹凸列の各第五凹部と各第五凸部とは、前記第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第五凹部は、対応する前記第三凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第五凸部は、対応する前記第三凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
前記第四凹凸列の各第六凹部と各第六凸部とは、前記第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第六凹部は、対応する前記第四凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第六凸部は、対応する前記第四凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
複数の前記第一対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第三凹部及び前記第五凹部によって構成される凹部対を一つずつ有すると共に、複数の前記第二対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第四凹部及び前記第六凹部によって構成される凹部対を一つずつ有してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、第三方向に並ぶ複数の第一対向部位(第一旋回成分付与部)と、第三方向に並ぶ複数の第二対向部位(第二旋回成分付与部)と、が一対の対向面に配置されているため、混合対象物の混合処理の処理量を十分に確保することができる。
【0018】
しかも、第三方向に隣り合う各第一対向部位間(各第一旋回成分付与部間)、及び各第二対向部位間(各第二旋回成分付与部間)のそれぞれに、互いに当接する一対の凸部(第三凸部と第五凸部との凸部対、第四凸部と第六凸部との凸部対)が配置されていることで、凸部対によって各対向部位(各旋回成分付与部)における第三方向に隣り合う領域からの混合対象物の流れへの影響が抑えられ、これにより、各対向部位(各旋回成分付与部)において混合対象物に旋回方向の速度成分が十分に付与されるため、混合対象物の混合が好適に行われる。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本発明によれば、混合性能を向上させた混合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係る混合器の斜視図である。
図2図2は、前記混合器の分解斜視図である。
図3図3は、前記混合器が備えるプレート群及び一対の挟持部の分解斜視図である。
図4図4は、前記プレート群内の流路を説明するための図である。
図5図5は、前記プレート群を構成する第一プレートであって、第一ガスケットが配置された状態の第一プレートをX軸方向の一方側から見た図である。
図6図6は、前記第一プレートをX軸方向の他方側から見た図である。
図7図7は、前記プレート群を構成する第二プレートであって、第二ガスケットが配置された状態の第二プレートをX軸方向の一方側から見た図である。
図8図8は、前記第二プレートをX軸方向の他方側から見た図である。
図9図9は、前記第一プレートの第一面と前記第二プレートの第二面との間における凸部と凹部との配置を示す模式図である。
図10図10は、前記第二プレートの第一面と前記第一プレートの第二面との間における凸部と凹部との配置を示す模式図である。
図11図11は、図9におけるa1-a1位置~e1-e1位置までの各位置での断面を示すと共に流動物の旋回状態を説明するための図である。
図12図12は、図9におけるa2-a2位置~e2-e2位置までの各位置での断面を示すと共に流動物の旋回状態を説明するための図である。
図13図13は、第一流路における流動物の流通状態を示す模式図である。
図14図14は、第二流路における流動物の流通状態を示す模式図である。
図15図15は、他実施形態に係る旋回成分付与部の構成を示す模式図である。
図16図16は、他実施形態に係る旋回成分付与部の構成を示す模式図である。
図17図17は、他実施形態に係る旋回成分付与部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)本発明の一実施形態に係る混合器は、
第一方向に対向し、且つ前記第一方向と直交する第二方向に沿って流動性を有する複数種の混合対象物が流通可能な流路を互いの間に形成する一対の対向面を備え、
前記一対の対向面は、
互いの対向する部位である一対の第一対向部位によって構成される第一旋回成分付与部であって、前記一対の第一対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第一仮想軸を旋回中心とする一方まわりの第一旋回方向の速度成分を付与する第一旋回成分付与部と、
互いの対向する部位である一対の第二対向部位によって構成される第二旋回成分付与部であって、前記一対の第二対向部位間を流れる前記混合対象物に対して前記第二方向に延びる第二仮想軸を旋回中心とする他方まわりの第二旋回方向の速度成分を付与する第二旋回成分付与部と、を有し、
前記第二方向において前記第一旋回成分付与部と前記第二旋回成分付与部とが隣り合う。
【0022】
(2)上記(1)に記載の混合器において、
前記第一旋回成分付与部及び前記第二旋回成分付与部の少なくとも一方は、前記第二方向に二つ以上並んで列を作ってもよい。
【0023】
(3)上記(1)又は(2)に記載の混合器において、
前記一対の第一対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第一凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第一凹部のうちの一方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側に位置する第一傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第一凹部のうちの他方の第一凹部が、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第二傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第一凹部と前記他方の第一凹部とは、交差した状態で対向し、
前記一対の第二対向部位は、前記第一方向において対向する一対の第二凹部を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記一対の第二凹部のうちの一方の第二凹部であって、前記一方の第一凹部と同じ対向面に配置される一方の第二凹部は、前記第二傾斜方向に沿って延びると共に、前記一対の第二凹部のうちの他方の第二凹部であって、前記他方の第一凹部と同じ対向面に配置される他方の第二凹部は、前記第一傾斜方向に沿って延び、
前記一方の第二凹部と前記他方の第二凹部とは、交差した状態で対向してもよい。
【0024】
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の混合器において、
前記一対の対向面は、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対を有し、
複数の前記第一旋回成分付与部は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に並び、
前記第一旋回成分付与部の数と対応する数の前記第二旋回成分付与部は、前記第三方向に並び、
前記複数の凸部対は、前記第三方向に隣り合う第一旋回成分付与部間、及び、前記第三方向に隣り合う第二旋回成分付与部間のそれぞれに配置されてもよい。
【0025】
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の混合器において、
前記第一方向に重ね合わされる複数のプレートを備え、
前記一対の対向面は、前記第一方向に並ぶように複数対配置され、
これら複数のプレートにおいて、隣り合う二つのプレートの互いの対向する面は、それぞれ前記一対の対向面を含んでもよい。
【0026】
(6)上記(1)に記載の混合器において、
前記一対の対向面のうちの一方の対向面である一方対向面は、前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に第三凹部と第三凸部とが交互に並ぶ第一凹凸列と、前記第二方向の前記第一凹凸列と隣り合う位置において前記第三方向に第四凹部と第四凸部とが交互に並ぶ第二凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第一凹凸列の各第三凹部と各第三凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の一方側に位置する第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記第二凹凸列の各第四凹部と各第四凸部とは、前記第二方向の一方側に進むに伴って前記第三方向の他方側に位置する第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記一対の対向面のうちの他方の対向面である他方対向面は、前記第一凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第五凹部と第五凸部とが交互に並ぶ第三凹凸列と、前記第二凹凸列と対向する位置において前記第三方向に第六凹部と第六凸部とが交互に並ぶ第四凹凸列と、を有し、
前記第一方向の一方側から見たときに、
前記第三凹凸列の各第五凹部と各第五凸部とは、前記第四傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第五凹部は、対応する前記第三凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第五凸部は、対応する前記第三凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
前記第四凹凸列の各第六凹部と各第六凸部とは、前記第三傾斜方向に沿ってそれぞれ延び、
前記各第六凹部は、対応する前記第四凹部とそれぞれ交差した状態で対向し、
前記各第六凸部は、対応する前記第四凸部とそれぞれ交差した状態で当接し、
複数の前記第一対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第三凹部及び前記第五凹部によって構成される凹部対を一つずつ有すると共に、複数の前記第二対向部位のそれぞれは、前記交差した状態で対向する前記第四凹部及び前記第六凹部によって構成される凹部対を一つずつ有してもよい。
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図1図14を参照しつつ説明する。
【0028】
本実施形態に係る混合器1は、図1図4に示すように、所定方向(第一方向)に対向し、且つ所定方向と直交する方向(第二方向:図4における上下方向)に沿って流動性を有する複数種の混合対象物(以下、これら複数種の混合対象物を単に「流動物」とも称する。)A、Bが流通可能な流路R1、R2を互いの間に形成する一対の対向面S1、S4(又はS2、S3)を備える。そして、この一対の対向面S1、S4(又はS2、S3)は、図9図12に示すように、流動物(複数種の混合対象物)A、Bに対して第一仮想軸K1を旋回中心とする一方まわりの第一旋回方向(図11における左まわり方向)の速度成分V1を付与する第一旋回成分付与部7Aと、流動物A、Bに対して第二仮想軸K2を旋回中心とする他方まわりの第二旋回方向(図12における右まわり方向)の速度成分V2を付与する第二旋回成分付与部7Bと、を有し、これら第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7Bとが所定位置において第二方向において隣り合っている。
【0029】
尚、この混合器1が混合する複数種の混合対象物とは、液体や気体等の流体、粉体(粉、粒等の集まったもの)、エマルジョン流体やスラリー流体等の液体同士が混ざったものや流体と粉体とが混ざったもの、液体に気体が混ざったもの(例えば、炭酸水、発泡石鹸水)等であり、流動性を有する。
【0030】
図1図4に戻り、具体的に、混合器1は、所定方向に重ねられる複数のプレート3と、前記所定方向に隣り合う二つのプレート3のプレート間(以下、単に「プレート間」と称する。)に挟み込まれることで該二つのプレート3と共同して該プレート間に所定の流路(第一流路R1、第二流路R2:図4参照)を形成(画定)する複数のガスケット4と、を有するプレート群2を備える。また、混合器1は、プレート群2を解放可能に保持する保持部5を備える。
【0031】
プレート群2では、該プレート群2の外部から供給された流動物A、Bが所定のプレート間(本実施形態の例では、第一流路R1、第二流路R2:図4参照)を流れることによって混合される。このプレート群2は、保持部5から解放された状態(即ち、保持されていない状態)のときにプレート3とガスケット4とに分解可能に構成されている。本実施形態のプレート群2は、プレート3の重ねられる方向(所定方向)が水平方向と一致するように保持部5に保持される。以下では、プレート3の重ねられる方向を直交座標系のX軸方向(第一方向)とし、プレート3の重ねられる方向と直交し且つ該プレート3に沿った水平方向を直交座標系のY軸方向(第三方向)とし、上下方向を直交座標系のZ軸方向(第二方向)とする。
【0032】
また、プレート群2は、内部をX軸方向に延びる複数(本実施形態の例では、四つ)の連通路(流路)Ch1~Ch4を有している(図2及び図4参照)。そして、プレート群2のX軸方向の一方側(図2における左側)の端面において、連通路Ch1~Ch4と対応する部位は、それぞれ開口しており、X軸方向の他方側(図2における右側)の端面において、連通路Ch1~Ch4と対応する部位は、それぞれ閉じている(塞がっている)。
【0033】
より具体的に、プレート群2は、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ所定のプレート間に形成された流路(本実施形態の例では、第一流路R1、第二流路R2)と連通することで該プレート群2の外部から該流路R1、R2に流動物A、Bを流入させる複数(本実施形態の例では、二つ)の連通路(第一連通路Ch1、第二連通路Ch2と、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ所定のプレート間に形成された流路(本実施形態の例では、第一流路R1、第二流路R2)と連通することで該流路R1、R2から該プレート群2の外部に流動物A、Bを流出させる複数(本実施形態の例では、二つ)の連通路(第三連通路Ch3、第四連通路Ch4)と、を有する。
【0034】
本実施形態のプレート群2では、第一連通路Ch1及び第三連通路Ch3は、所定のプレート間に形成されている複数の第二流路R2のそれぞれと連通し、第二連通路Ch2及び第四連通路Ch4は、所定のプレート間に形成されている複数の第一流路R1のそれぞれと連通する。これら第一~第四連通路Ch1~Ch4は、プレート3の対応する位置において該プレート3をX軸方向に貫通する連通孔31A~31HがX軸方向に連なることによって形成されている(図4参照)。
【0035】
以上のような各流路R1、R2、Ch1~Ch4が内部に形成(配置)されているプレート群2を構成する複数のプレート3のそれぞれは、Z軸方向に長尺な板状であり、伝熱性を有する。これら複数のプレート3のそれぞれは、ステンレス鋼、チタン等の金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。尚、プレート3は、樹脂、セラミック等によって構成されていてもよい。この場合、例えば押し出し成型法等によってプレート3が成形される。
【0036】
また、本実施形態において「伝熱性を有する」とは、熱伝導率が0.2W/m・K以上のことを言う。この値は、流動物A、Bを温度調整しつつ混合可能な本実施形態の混合器1において、使用が予定されているプレート3の材質のうちで最も熱伝導率の低い材質(例えば、耐薬液用途で使用可能なフッ素樹脂等)に基づいて設定されたものである。換言すると、本実施形態の混合器1では、隣り合う流路R1、R2を流通する流動物A、B同士が熱交換しつつ各流路R1、R2において流動物A、Bが混合されるように、熱伝導率が所定の値(0.2W/m・K)以上の材質によってプレート3が形成されている。
【0037】
複数のプレート3は、図5図8にも示されるような二種類のプレート(第一プレート3A、第二プレート3B)を含む。これら二種類のプレート3A、3Bは、プレート群2においてX軸方向に交互に配置されている(図3及び図4参照)。
【0038】
これら第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、X軸方向と直交する面方向に広がる。具体的に、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向に長尺な矩形板状であり、X軸方向における一方側の面(第一面)S1、S3と、第一面S1、S3と反対側(即ち、X軸方向の他方側)の面(第二面)S2、S4と、をそれぞれ有する。これら第一プレート3A及び第二プレート3Bの各輪郭形状は、同じである。
【0039】
本実施形態のプレート群2では、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3とが対向し、第二プレート3Bの第二面S4と第一プレート3Aの第一面S1とが対向するように、第一プレート3Aと第二プレート3BとがX軸方向に交互に配置されている(図3及び図4参照)。
【0040】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向の一方側の端部(図5及び図7における上端部)から他方側の端部(図5及び図7における下端部)に向けて順に並ぶ複数の混合領域(本実施形態の例では、第一混合領域(第一領域)Ar1と第二混合領域(第二領域)Ar2との二つの領域)を有する。これら複数の混合領域Ar1、Ar2は、第一プレート3A及び第二プレート3Bにおいて凸部6aと凹部6bとが配置されている領域である。
【0041】
本実施形態の第一プレート3Aと第二プレート3Bとにおいて、第一プレート3Aの第一混合領域Ar1と、第二プレート3Bの第一混合領域Ar1とが、Z軸方向の同じ範囲(即ち、X軸方向から見て互いに重なる領域)であり、第一プレート3Aの第二混合領域Ar2と、第二プレート3Bの第二混合領域Ar2とが、Z軸方向の同じ範囲である。
【0042】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、ガスケット4が配置可能なガスケット配置部30Gを有する(図3参照)。本実施形態の第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向の両端に一対の係合部30Eを有する。
【0043】
ガスケット配置部30Gは、各プレート3A、3Bにおいてガスケット4が配置される部位であり、例えば、ガスケット4がプレート間に挟み込まれるときに該ガスケット4のプレート3A、3Bに対する位置ずれ等を防ぐ。このガスケット配置部30Gは、各プレート3A、3Bに形成された溝や、ガスケット4の各部位の幅方向の両側に形成される凸部6a等によって構成されている。
【0044】
尚、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって各プレート3A、3Bが形成されているため、ガスケット配置部30Gを構成する溝や凸部6a等は、同じプレート3A、3Bにおける第一面S1、S3と第二面S2、S4とにおいて表裏の関係(即ち、X軸方向から見て同じ形で且つ突出方向(又は凹み方向)が逆の関係)を有する。
【0045】
係合部30Eは、プレート群2が保持部5に保持されているときに、保持部5の一部と係合する部位である。本実施形態の係合部30Eは、各プレート3A、3BのZ軸方向の両端に形成された切欠きである。この係合部30Eは、各プレート3A、3BのZ軸方の各端部におけるY軸方向の中央部にそれぞれ形成されている。
【0046】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、プレート間にガスケット4が挟み込まれた状態でX軸方向から見たときの該ガスケット4に囲まれた領域(各流路R1、R2)に、複数の凸部6aと、複数の凹部6bと、を有する。
【0047】
本実施形態の各プレート3A、3Bは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、各プレート3A、3Bの第二面S2、S4の各凸部6aは、第一面S1、S3の対応する位置の凹部6bと表裏の関係であり、第二面S2、S4の各凹部6bは、第一面S1、S3の対応する位置の凸部6aと表裏の関係である。即ち、第一面S1、S3においてX軸方向の第一面S1、S3側に突出する凸部6aの裏面(第二面S2、S4の対応する部位)には、X軸方向の第一面S1側に凹む凹部6bが配置され、第一面S1、S3においてX軸方向の第二面S2、S4側に凹む凹部6bの裏面(第二面S2、S4の対応する部位)には、X軸方向の第二面S2、S4側に突出する凸部6aが配置されている。
【0048】
以下、第一プレート3A及び第二プレート3Bの複数の凸部6a及び複数の凹部6bの具体的な構成について説明する。
【0049】
第一プレート3Aは、図3図6に示すように、複数(本実施形態の例では、四つ)の連通孔31A~31Dを有する。これら複数の連通孔31A~31Dは、それぞれ第一プレート3AをX軸方向(厚さ方向)に貫通する。本実施形態の各連通孔31A~31Dは、第一プレート3Aの四隅に配置されている。また、第一プレート3Aは、各面S1、S2の第一混合領域Ar1と第二混合領域Ar2とに複数の凸部6aと複数の凹部6bとをそれぞれ有する。
【0050】
より具体的に、第一プレート3Aは、Z軸方向の一方側の端部に二つ連通孔(第一連通孔31A、第二連通孔31B)を有し、Z軸方向の他方側の端部に二つの連通孔(第三連通孔31C、第四連通孔31D)を有する。
【0051】
この第一連通孔31Aは、第一連通路Ch1を構成する貫通孔であり、Z軸方向の一方側の端部におけるY軸方向の一方側(図5における左側)の端部に配置されている。また、第二連通孔31Bは、第二連通路Ch2を構成する貫通孔であり、Z軸方向の一方側の端部におけるY軸方向の他方側(図5における右側)の端部に配置されている。また、第三連通孔31Cは、第三連通路Ch3を構成する貫通孔であり、Z軸方向の他方側の端部におけるY軸方向の一方側の端部に配置されている。また、第四連通孔31Dは、第四連通路Ch4を構成する貫通孔であり、Z軸方向の他方側の端部におけるY軸方向の他方側の端部に配置されている。
【0052】
以上の第一~第四連通孔31A~31Dは、それぞれ円形の貫通孔であり、第一及び第二連通孔31A、31Bは、第一混合領域Ar1及び第二混合領域Ar2に対してZ軸方向の一方側に配置され、第三及び第四連通孔31C、31Dは、第一混合領域Ar1及び第二混合領域Ar2に対してZ軸方向の他方側に配置されている。
【0053】
また、第一プレート3Aは、第一面S1の第一混合領域Ar1に、Z軸方向に並ぶ複数の第一傾斜凹凸列60Aを有する。
【0054】
複数の第一傾斜凹凸列60Aのそれぞれは、Y軸方向に第一傾斜凸部61aと第一傾斜凹部61bとが交互に並ぶことによって構成されている。即ち、第一傾斜凹凸列60Aは、複数の第一傾斜凸部61aと複数の第一傾斜凹部61bとを有する。
【0055】
複数の第一傾斜凸部61aのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第一傾斜凸部61aは、X軸方向の第一面S1側から見たときに、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の他方側に位置する第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている(図5参照)。
【0056】
また、複数の第一傾斜凹部61bのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第一傾斜凹部61bは、X軸方向の第一面S1側から見たときに、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている。
【0057】
本実施形態の第一傾斜凸部61aと第一傾斜凹部61bとは、それぞれ第一延伸方向D1に真っすぐに延びており、それぞれ同じ長さである。
【0058】
また、第一プレート3Aは、第一面S1の第二混合領域Ar2に、Z軸方向に並ぶ複数の第二傾斜凹凸列60Bを有する。
【0059】
複数の第二傾斜凹凸列60Bのそれぞれは、Y軸方向に第二傾斜凸部62aと第二傾斜凹部62bとが交互に並ぶことによって構成されている。即ち、第二傾斜凹凸列60Bは、複数の第二傾斜凸部62aと複数の第二傾斜凹部62bとを有する。
【0060】
複数の第二傾斜凸部62aのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第二傾斜凸部62aは、X軸方向の第一面S1側から見たときに、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の一方側に位置する第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0061】
また、複数の第二傾斜凹部62bのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第二傾斜凹部62bは、X軸方向の第一面S1側から見たときに、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0062】
本実施形態の第二傾斜凸部62aと第二傾斜凹部62bとは、それぞれ第二延伸方向D2に真っすぐに延びており、それぞれ同じ長さである。また、第二傾斜凸部62aの長さは、第一傾斜凸部61aの長さと同じであり、第二傾斜凹部62bの長さは、第一傾斜凹部61bの長さと同じである。また、第二延伸方向D2のZ軸方向に対する角度(傾斜角)α2は、第一延伸方向D1のZ軸方向に対する角度(傾斜角)α1と同じであるが、Z軸方向に対して第一延伸方向D1とは逆側に傾斜する。
【0063】
ここで、第一プレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S1の第一混合領域Ar1における第一傾斜凸部61aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、対応する形状の凹部(第三傾斜凹部)63bが形成され、第一面S1の第一混合領域Ar1における第一傾斜凹部61bの裏面(第二面S2の対応する部位)には、対応する形状の凸部(第三傾斜凸部)63aが形成されている(図5及び図6参照)。
【0064】
また、第一面S1の第二混合領域Ar2における第二傾斜凸部62aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、対応する形状の凹部(第四傾斜凹部)64bが形成され、第一面S1の第二混合領域Ar2における第二傾斜凹部62bの裏面(第二面S2の対応する部位)には、対応する形状の凸部(第四傾斜凸部)64aが形成されている(図5及び図6参照)。
【0065】
具体的には、第一プレート3Aは、第二面S2の第一混合領域Ar1に、Z軸方向に並ぶ複数の第三傾斜凹凸列60Cを有する。
【0066】
複数の第三傾斜凹凸列60Cのそれぞれは、Y軸方向に第三傾斜凸部63aと第三傾斜凹部63bとが交互に並ぶことによって構成されている。即ち、第三傾斜凹凸列60Cは、複数の第三傾斜凸部63aと複数の第三傾斜凹部63bとを有する。
【0067】
各第三傾斜凹凸列60Cは、第一面S1の対応する第一傾斜凹凸列60AとZ軸方向の同じ位置に配置され、第三傾斜凹凸列60Cを構成する各第三傾斜凸部63aは、第一面S1の対応する第一傾斜凹部61bと表裏の関係であり、第三傾斜凹凸列60Cを構成する各第三傾斜凹部63bは、第一面S1の対応する第一傾斜凸部61aと表裏の関係である。
【0068】
複数の第三傾斜凸部63aのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第三傾斜凸部63aは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている。
【0069】
また、複数の第三傾斜凹部63bのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第三傾斜凹部63bは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている。
【0070】
また、第一プレート3Aは、第二面S2の第二混合領域Ar2に、Z軸方向に並ぶ複数の第四傾斜凹凸列60Dを有する。
【0071】
複数の第四傾斜凹凸列60Dのそれぞれは、Y軸方向に第四傾斜凸部64aと第四傾斜凹部64bとが交互に並ぶことによって構成されている。即ち、第四傾斜凹凸列60Dは、複数の第四傾斜凸部64aと複数の第四傾斜凹部64bとを有する。
【0072】
各第四傾斜凹凸列60Dは、第一面S1の対応する第二傾斜凹凸列60BとZ軸方向の同じ位置に配置され、第四傾斜凹凸列60Dを構成する各第四傾斜凸部64aは、第一面S1の対応する第二傾斜凹部62bと表裏の関係であり、第四傾斜凹凸列60Dを構成する各第四傾斜凹部64bは、第一面S1の対応する第二傾斜凸部62aと表裏の関係である。
【0073】
複数の第四傾斜凸部64aのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第四傾斜凸部64aは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0074】
また、複数の第四傾斜凹部64bのそれぞれは、Z軸方向に対して傾斜する方向に沿って延びている。詳しくは、各第四傾斜凹部64bは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0075】
第二プレート3Bは、図5図8に示すように、プレート3のY軸方向の中心をZ軸方向に延びる中心線Cを対称軸とした第一プレート3Aと回転対称な形状を有する。即ち、本実施形態の第二プレート3Bは、第一プレート3Aが中心線Cまわりに180°回転したときの形状と同じ形状である。
【0076】
具体的に、第二プレート3Bは、図3図4図7、及び図8に示すように、複数(本実施形態の例では、四つ)の連通孔(第一~第四連通孔31E~31H)を有する。これら複数の連通孔31E~31Hは、それぞれ第二プレート3BをX軸方向(厚さ方向)に貫通する。本実施形態の連通孔31E~31Hは、第一プレート3Aの連通孔31A~31Dと同様に、第二プレート3Bの四隅に配置されている。また、第二プレート3Bは、各面S3、S4の第一混合領域Ar1と第二混合領域Ar2とに複数の凸部6aと複数の凹部6bとをそれぞれ有する。
【0077】
また、第二プレート3Bは、第一面S3の第一混合領域Ar1に、Z軸方向に並ぶ複数の第五傾斜凹凸列60Eを有する。
【0078】
複数の第五傾斜凹凸列60Eのそれぞれは、X軸方向の第一面S3側から見たときに、X軸方向の第二面S2側から見たときの第一プレート3Aの第三傾斜凹凸列60Cと同じ位置で且つ同じ構成を有する。
【0079】
即ち、第五傾斜凹凸列60Eは、Y軸方向に第五傾斜凸部65aと第五傾斜凹部65bとが交互に並ぶことによって構成されている。そして、各第五傾斜凸部65aは、X軸方向の第一面S3側から見たときに第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びており、各第五傾斜凹部65bは、X軸方向の第一面S3側から見たときに第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0080】
また、第二プレート3Bは、第一面S3の第二混合領域Ar2に、Z軸方向に並ぶ複数の第六傾斜凹凸列60Fを有する。
【0081】
複数の第六傾斜凹凸列60Fのそれぞれは、X軸方向の第一面S3側から見たときに、X軸方向の第二面S2側から見たときの第一プレート3Aの第四傾斜凹凸列60Dと同じ位置で且つ同じ構成を有する。
【0082】
即ち、第六傾斜凹凸列60Fは、Y軸方向に第六傾斜凸部66aと第六傾斜凹部66bとが交互に並ぶことによって構成されている。そして、各第六傾斜凸部66aは、X軸方向の第一面S3側から見たときに第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びており、各第六傾斜凹部66bは、X軸方向の第一面S3側から見たときに第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている。
【0083】
また、第二プレート3Bは、第二面S4の第一混合領域Ar1に、Z軸方向に並ぶ複数の第七傾斜凹凸列60Gを有する。
【0084】
複数の第七傾斜凹凸列60Gのそれぞれは、X軸方向の第二面S4側から見たときに、X軸方向の第一面S1側から見たときの第一プレート3Aの第一傾斜凹凸列60Aと同じ位置で且つ同じ構成を有する。
【0085】
即ち、第七傾斜凹凸列60Gは、Y軸方向に第七傾斜凸部67aと第七傾斜凹部67bとが交互に並ぶことによって構成されている。そして、各第七傾斜凸部67aは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びており、各第七傾斜凹部67bは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延びている。
【0086】
また、第二プレート3Bは、第二面S4の第二混合領域Ar2に、Z軸方向に並ぶ複数の第八傾斜凹凸列60Hを有する。
【0087】
複数の第八傾斜凹凸列60Hのそれぞれは、X軸方向の第二面S4側から見たときに、X軸方向の第一面S1側から見たときの第一プレート3Aの第二傾斜凹凸列60Bと同じ位置で且つ同じ構成を有する。
【0088】
即ち、第八傾斜凹凸列60Hは、Y軸方向に第八傾斜凸部68aと第八傾斜凹部68bとが交互に並ぶことによって構成されている。そして、各第八傾斜凸部68aは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びており、各第八傾斜凹部68bは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延びている。
【0089】
続いて、プレート群2を構成する複数のガスケット4について、図3図4図5、及び図7を参照しつつ具体的に説明する。
【0090】
複数のガスケット4のそれぞれは、上述のように、プレート間に挟み込まれることで該プレート間に所定の流路(本実施形態の例では、第一流路R1及び第二流路R2:図4参照)を形成する。詳しくは、複数のガスケット4のそれぞれは、プレート間において、流動物A、Bが流通可能な流路R1、R2を形成(画定)する。これら複数のガスケット4は、複数種のガスケットを含み、本形態の複数のガスケット4は、二種のガスケット4(第一ガスケット4A、第二ガスケット4B)を含む。これら各ガスケット4A、4Bは、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴム、フッ素樹脂等のシール部材である。
【0091】
第一ガスケット4Aと第二ガスケット4Bとは、プレート群2においてX軸方向に交互に位置するように各プレート間に配置されている。
【0092】
詳しくは、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に挟み込まれている。これにより、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に第一流路R1を形成する。
【0093】
具体的に、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1に配置された状態において(図5参照)、流動物A、Bが流通する領域(第一流路R1)の周囲を囲む第一流路形成部41Aと、所定の連通孔(第一連通孔31A、第三連通孔31C)の周囲を囲む複数の第一封止部42Aと、を有する。また、第一ガスケット4Aは、第一流路形成部41Aと各第一封止部42Aとを接続する複数の接続部43Aも有する。
【0094】
第一流路形成部41Aは、X軸方向から見て、第一プレート3Aの第二連通孔31Bと第四連通孔31Dと第一及び第二混合領域Ar1、Ar2とを囲む部位である。
【0095】
また、第二ガスケット4Bは、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に挟み込まれている。これにより、第二ガスケット4Bは、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に第二流路R2を形成する。本実施形態の第二ガスケット4Bは、中心線Cを対称軸とした第一ガスケット4Aと回転対称な形状を有する。即ち、第二ガスケット4Bは、第一ガスケット4Aが中心線Cまわりに180°回転したときの形状と同じ形状である。
【0096】
具体的に、第二ガスケット4Bは、第二プレート3Bの第一面S3に配置された状態において(図7参照)、流動物A、Bが流通する領域(第二流路R2)の周囲を囲む第二流路形成部41Bと、所定の連通孔(第二連通孔31F、第四連通孔31H)の周囲を囲む第二封止部42Bと、を有する。また、第二ガスケット4Bは、第二流路形成部41Bと各第二封止部42Bとを接続する複数の接続部43Bも有する。
【0097】
第二流路形成部41Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一連通孔31Eと第三連通孔31Gと第一及び第二混合領域Ar1、Ar2とを囲む部位である。
【0098】
以上のように構成されるプレート3及びガスケット4において、第一プレート3Aと第二プレート3BとがX軸方向において交互に配置されると共に、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に第一ガスケット4Aがそれぞれ挟み込まれ且つ第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に第二ガスケット4Bがそれぞれ挟み込まれることによって、プレート群2が構成される(図3参照)。
【0099】
このとき、上述のように、プレート群2において、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間(即ち、一対の第一対向面S1、S4間)のそれぞれにおいて、X軸方向から見て第一ガスケット4Aの第一流路形成部41Aの内側(第一流路形成部41Aに囲まれた範囲)に第一流路R1が形成されている(図4参照)。また、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間(即ち、一対の第二対向面S2、S3間)のそれぞれにおいて、X軸方向から見て第二ガスケット4Bの第二流路形成部41Bの内側(第二流路形成部41Bに囲まれた範囲)に第二流路R2が形成されている(図4参照)。
【0100】
そして、一対の第一対向面(一対の対向面)S1、S4のそれぞれは、図9にも示すように、第一混合領域Ar1において、互いの対向する部位である一対の対向部位(第一対向部位)によって構成される少なくとも一つの第一旋回成分付与部7Aを有する。本実施形態の一対の第一対向面S1、S4は、複数の第一旋回成分付与部7Aを有する。また、一対の第一対向面S1、S4のそれぞれは、第二混合領域Ar2において、互いの対向する部位である一対の対向部位(第二対向部位)によって構成される少なくとも一つの第二旋回成分付与部7Bを有する。本実施形態の各一対の第一対向面S1、S4は、複数の第二旋回成分付与部7Bを有する。
【0101】
尚、図9では、構成を理解し易いように、一対の第一対向面S1、S4が有する、第一傾斜凹凸列60A(第一傾斜凸部61a及び第一傾斜凹部61b)、第二傾斜凹凸列60B(第二傾斜凸部62a及び第二傾斜凹部62b)、第七傾斜凹凸列60G(第七傾斜凸部67a及び第七傾斜凹部67b)、及び第八傾斜凹凸列60H(第八傾斜凸部68a及び第八傾斜凹部68b)のみを模式的に示している。また、第一面S1の第一傾斜凹凸列60A(第一傾斜凸部61a及び第一傾斜凹部61b)と第二傾斜凹凸列60B(第二傾斜凸部62a及び第二傾斜凹部62b)とを実線で示し、第二面S4の第七傾斜凹凸列60G(第七傾斜凸部67a及び第七傾斜凹部67b)と第八傾斜凹凸列60H(第八傾斜凸部68a及び第八傾斜凹部68b)とを仮想線(二点鎖線)で示している。
【0102】
一対の第一対向面S1、S4における各第一旋回成分付与部7Aは、一対の対向部位間を流れる流動物A、Bに対してZ軸方向に延びる第一仮想軸K1を旋回中心とする左まわり(一方まわり)の第一旋回方向の速度成分V1をそれぞれ付与する(図11及び図13参照)。尚、本実施形態の第一旋回成分付与部7Aにおける旋回方向とは、プレート間を流動物A、Bが流れる向きに第一仮想軸K1を見たときの方向(旋回方向)であり、具体的には、Z軸方向の他方側を向いて第一仮想軸K1を見たときの旋回方向である。
【0103】
この一対の第一対向面S1、S4における第一旋回成分付与部7Aは、第一混合領域Ar1において、Z軸方向に二つ以上並んで列(第一の成分付与列)L11を作っている。本実施形態の第一の成分付与列L11は、第一傾斜凹凸列60A(又は第七傾斜凹凸列60G)の数と同じ数の第一旋回成分付与部7Aを有する。
【0104】
具体的に、一対の第一対向面S1、S4における各第一旋回成分付与部7Aは、互いに対向する第一傾斜凹部61bと第七傾斜凹部67bとを有する。この第一旋回成分付与部7Aの第一傾斜凹部61bと第七傾斜凹部67bとは、X軸方向から見て交差した状態で対向している。本実施形態の第一旋回成分付与部7Aの第一傾斜凹部61bと第七傾斜凹部67bとは、X軸方向から見たときにそれぞれの中央部で交差した状態で対向している(図9参照)。
【0105】
ここで、第一仮想軸K1は、各第一旋回成分付与部7AにおいてZ軸方向に延びる仮想軸であり、X軸方向から見て第一傾斜凹部61bと第七傾斜凹部67bとの交差している部位のY軸方向の中央を通り、且つ、第一傾斜凹部61bと第七傾斜凹部67bとのX軸方向の中央を通る。また、本実施形態の一対の第一対向面S1、S4では、第一の成分付与列L11毎に第一仮想軸K1が有る。
【0106】
また、一対の第一対向面S1、S4における第一旋回成分付与部7Aは、第一混合領域Ar1において、Y軸方向に二つ以上並んで列(第一の横断列)L12を作っている。即ち、第一面S1の第一傾斜凹凸列60Aにおける各第一傾斜凹部61bと、該第一傾斜凹部61bと対応する第二面S4の第七傾斜凹凸列60Gにおける第七傾斜凹部67bと、がそれぞれ対向することによって、複数の第一旋回成分付与部7AがY軸方向に並ぶ第一の横断列L12を構成(形成)する。
【0107】
また、一対の第一対向面S1、S4は、第一混合領域Ar1において、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対8Aを有する。各凸部対8Aは、一対の第一対向面S1、S4において、Y軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7A間のそれぞれに配置されている。
【0108】
具体的に、一対の第一対向面S1、S4の第一混合領域Ar1の凸部対8Aは、互いに対向する第一傾斜凸部61aと第七傾斜凸部67aとによって構成されている。この凸部対8Aを構成する第一傾斜凸部61aと第七傾斜凸部67aとは、X軸方向から見たときに交差した状態で対向しており、互いの中央部同士を当接させている。
【0109】
本実施形態の一対の第一対向面S1、S4では、第一面S1の第一傾斜凹凸列60Aにおける各第一傾斜凸部61aと、該第一傾斜凸部61aと対応する第二面S4の第七傾斜凹凸列60Gにおける第七傾斜凸部67aと、がそれぞれ対向することによって、第一の横断列L12においてY軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7A間のそれぞれに凸部対8Aが形成される。
【0110】
また、各第二旋回成分付与部7Bは、一対の対向部位間を流れる流動物A、Bに対してZ軸方向に延びる第二仮想軸K2を旋回中心とする右回り(他方まわり)の第二旋回方向の速度成分V2をそれぞれ付与する(図12参照)。尚、本実施形態の第二旋回成分付与部7Bにおける旋回方向とは、プレート間を流動物A、Bが流れる向きに第二仮想軸K2を見たときの方向(旋回方向)であり、具体的には、Z軸方向の他方側を向いて第二仮想軸K2を見たときの旋回方向である。
【0111】
この一対の第一対向面S1、S4における第二旋回成分付与部7Bは、第二混合領域Ar2において、Z軸方向に二つ以上並んで列(第二の成分付与列)L21を作っている。本実施形態の第二の成分付与列L21は、第二傾斜凹凸列60B(又は第八傾斜凹凸列60H)の数と同じ数の第二旋回成分付与部7Bを有する。
【0112】
具体的に、一対の第一対向面S1、S4における各第二旋回成分付与部7Bは、互いに対向する第二傾斜凹部62bと第八傾斜凹部68bとを有する。この第二旋回成分付与部7Bの第二傾斜凹部62bと第八傾斜凹部68bとは、X軸方向から見て交差した状態で対向している。本実施形態の第二旋回成分付与部7Bの第二傾斜凹部62bと第八傾斜凹部68bとは、X軸方向から見たときにそれぞれの中央部で交差した状態で対向している(図9参照)。
【0113】
ここで、第二仮想軸K2は、各第二旋回成分付与部7BにおいてZ軸方向に延びる仮想軸であり、X軸方向から見て第二傾斜凹部62bと第八傾斜凹部68bとの交差している部位のY軸方向の中央を通り、且つ、第二傾斜凹部62bと第八傾斜凹部68bとのX軸方向の中央を通る。また、本実施形態の一対の第一対向面S1、S4では、第二の成分付与列L21毎に第二仮想軸K2が有る。本実施形態の第二仮想軸K2は、対応する第一仮想軸K1と同一直線上に位置している。
【0114】
また、一対の第一対向面S1、S4における第二旋回成分付与部7Bは、第二混合領域Ar2において、Y軸方向に二つ以上並んで列(第二の横断列)L22を作っている。即ち、第一面S1の第二傾斜凹凸列60Bにおける各第二傾斜凹部62bと、該第二傾斜凹部62bと対応する第二面S4の第八傾斜凹凸列60Hにおける第八傾斜凹部68bと、がそれぞれ対向することによって、複数の第二旋回成分付与部7BがY軸方向に並ぶ第二の横断列L22を構成(形成)する。
【0115】
また、一対の第一対向面S1、S4は、第二混合領域Ar2においても、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対8Bを有する。各凸部対8Bは、一対の第一対向面S1、S4において、Y軸方向に隣り合う第二旋回成分付与部7B間のそれぞれに配置されている。
【0116】
具体的に、一対の第一対向面S1、S4における凸部対8Bは、第二混合領域Ar2において互いに対向する第二傾斜凸部62aと第八傾斜凸部68aとによって構成されている。この凸部対8Bを構成する第二傾斜凸部62aと第八傾斜凸部68aとは、X軸方向から見たときに交差した状態で対向しており、互いの中央部同士を当接させている。
【0117】
本実施形態の一対の第一対向面S1、S4では、第一面S1の第二傾斜凹凸列60Bにおける各第二傾斜凸部62aと、該第二傾斜凸部62aと対応する第二面S4の第八傾斜凹凸列60Hにおける第八傾斜凸部68aと、がそれぞれ対向することによって、第二の横断列L22においてY軸方向に隣り合う第二旋回成分付与部7B間のそれぞれに凸部対8Bが形成される。
【0118】
また、一対の第二対向面S2、S3のそれぞれは、図10にも示すように、第一混合領域Ar1において、互いの対向する部位である一対の対向部位(第二対向部位)によって構成される少なくとも一つの第二旋回成分付与部7Bを有する。本実施形態の一対の第二対向面S2、S3は、複数の第二旋回成分付与部7Bを有する。また、一対の第二対向面S2、S3のそれぞれは、第二混合領域Ar2において、互いの対向する部位である一対の対向部位(第一対向部位)によって構成される少なくとも一つの第一旋回成分付与部7Aを有する。本実施形態の各一対の第二対向面S2、S3は、複数の第一旋回成分付与部7Aを有する。
【0119】
尚、図10では、構成を理解し易いように、一対の第二対向面S2、S3が有する、第三傾斜凹凸列60C(第三傾斜凸部63a及び第三傾斜凹部63b)、第四傾斜凹凸列60D(第四傾斜凸部64a及び第四傾斜凹部64b)、第五傾斜凹凸列60E(第五傾斜凸部65a及び第五傾斜凹部65b)、及び第六傾斜凹凸列60F(第六傾斜凸部66a及び第六傾斜凹部66b)のみを模式的に示している。また、第一面S3の第五傾斜凹凸列60E(第五傾斜凸部65a及び第五傾斜凹部65b)と第六傾斜凹凸列60F(第六傾斜凸部66a及び第六傾斜凹部66b)とを実線で示し、第二面S2の第三傾斜凹凸列60C(第三傾斜凸部63a及び第三傾斜凹部63b)と第四傾斜凹凸列60D(第四傾斜凸部64a及び第四傾斜凹部64b)とを仮想線(二点鎖線)で示している。
【0120】
この一対の第二対向面S2、S3における第二旋回成分付与部7Bは、第一混合領域Ar1において、Z軸方向に二つ以上並んで列(第二の成分付与列)L21を作っている。本実施形態の第二の成分付与列L21は、第三傾斜凹凸列60C(又は第五傾斜凹凸列60E)の数と同じ数の第二旋回成分付与部7Bを有する。
【0121】
具体的に、一対の第二対向面S2、S3における各第二旋回成分付与部7Bは、互いに対向する第三傾斜凹部63bと第五傾斜凹部65bとを有する。この第二旋回成分付与部7Bの第三傾斜凹部63bと第五傾斜凹部65bとは、X軸方向から見て交差した状態で対向している。本実施形態の第二旋回成分付与部7Bの第三傾斜凹部63bと第五傾斜凹部65bとは、X軸方向から見たときにそれぞれの中央部で交差した状態で対向している。
【0122】
また、一対の第二対向面S2、S3における第二旋回成分付与部7Bは、第一混合領域Ar1において、Y軸方向に二つ以上並んで列(第二の横断列)L22を作っている。即ち、第二面S2の第三傾斜凹凸列60Cにおける各第三傾斜凹部63bと、該第三傾斜凹部63bと対応する第一面S3の第五傾斜凹凸列60Eにおける第五傾斜凹部65bと、がそれぞれ対向することによって、複数の第二旋回成分付与部7BがY軸方向に並ぶ第二の横断列L22を構成(形成)する。
【0123】
また、一対の第二対向面S2、S3は、第一混合領域Ar1において、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対8Bを有する。各凸部対8Bは、一対の第二対向面S2、S3において、Y軸方向に隣り合う第二旋回成分付与部7B間のそれぞれに配置されている。
【0124】
具体的に、一対の第二対向面S2、S3の第一混合領域Ar1の凸部対8Bは、互いに対向する第三傾斜凸部63aと第五傾斜凸部65aとによって構成されている。この凸部対8Bを構成する第三傾斜凸部63aと第五傾斜凸部65aとは、X軸方向から見たときに交差した状態で対向しており、互いの中央部同士を当接させている。
【0125】
本実施形態の一対の第二対向面S2、S3では、第二面S2の第三傾斜凹凸列60Cにおける各第三傾斜凸部63aと、該第三傾斜凸部63aと対応する第一面S3の第五傾斜凹凸列60Eにおける第五傾斜凸部65aと、がそれぞれ対向することによって、第二の横断列L22においてY軸方向に隣り合う第二旋回成分付与部7B間のそれぞれに凸部対8Bが形成される。
【0126】
また、一対の第二対向面S2、S3における第一旋回成分付与部7Aは、第二混合領域Ar2において、Z軸方向に二つ以上並んで列(第一の成分付与列)L11を作っている。本実施形態の第一の成分付与列L11は、第四傾斜凹凸列60D(又は第六傾斜凹凸列60F)の数と同じ数の第一旋回成分付与部7Aを有する。
【0127】
具体的に、一対の第二対向面S2、S3における各第一旋回成分付与部7Aは、互いに対向する第四傾斜凹部64bと第六傾斜凹部66bとを有する。この第一旋回成分付与部7Aの第四傾斜凹部64bと第六傾斜凹部66bとは、X軸方向から見て交差した状態で対向している。本実施形態の第一旋回成分付与部7Aの第四傾斜凹部64bと第六傾斜凹部66bとは、X軸方向から見たときにそれぞれの中央部で交差した状態で対向している。
【0128】
また、一対の第二対向面S2、S3における第一旋回成分付与部7Aは、第二混合領域Ar2において、Y軸方向に二つ以上並んで列(第一の横断列)L12を作っている。即ち、第二面S2の第四傾斜凹凸列60Dにおける各第四傾斜凹部64bと、該第四傾斜凹部64bと対応する第一面S3の第六傾斜凹凸列60Fにおける第六傾斜凹部66bと、がそれぞれ対向することによって、複数の第一旋回成分付与部7AがY軸方向に並ぶ第一の横断列L12を構成(形成)する。
【0129】
また、一対の第二対向面S2、S3は、第二混合領域Ar2においても、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対8Aを有する。各凸部対8Aは、一対の第二対向面S2、S3において、Y軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7A間のそれぞれに配置されている。
【0130】
具体的に、一対の第二対向面S2、S3における凸部対8Aは、第二混合領域Ar2において互いに対向する第四傾斜凸部64aと第六傾斜凸部66aとによって構成されている。この凸部対8Aを構成する第四傾斜凸部64aと第六傾斜凸部66aとは、X軸方向から見たときに交差した状態で対向しており、互いの中央部同士を当接させている。
【0131】
本実施形態の一対の第二対向面S2、S3では、第二面S2の第四傾斜凹凸列60Dにおける各第四傾斜凸部64aと、該第四傾斜凸部64aと対応する第一面S3の第六傾斜凹凸列60Fにおける第六傾斜凸部66aと、がそれぞれ対向することによって、第一の横断列L12においてY軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7A間のそれぞれに凸部対8Aが形成される。
【0132】
図1及び図2に戻り、保持部5は、X軸方向においてプレート群2の両側に配置される一対の挟持部51、52と、一対の挟持部51、52のX軸方向の間隔を変更可能に該一対の挟持部51、52を支持する支持部53と、一対の挟持部51、52のX軸方向の間隔を変更する間隔調整部55と、を備える。
【0133】
一対の挟持部51、52のそれぞれは、X軸方向と直交する方向に広がる厚板状の部材である。本実施形態の各挟持部51、52は、X軸方向から見てプレート3と対応した大きさの矩形状である。
【0134】
具体的に、一対の挟持部51、52のうちの一方の挟持部51は、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状であり、プレート群2の第一~第四連通路Ch1~Ch4と対応する位置に、X軸方向に貫通する複数(本実施形態の例では、四つ)の貫通孔511を有する。
【0135】
また、一方の挟持部51は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部512を有する。これら複数の係合部512のそれぞれは、間隔調整部55と係合する。本実施形態の各係合部512は、一方の挟持部51のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。
【0136】
また、一対の挟持部51、52のうちの他方の挟持部52は、一方の挟持部51と同様に、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状である。この他方の挟持部52は、一方の挟持部52に対してX軸方向に相対移動可能に支持部53と係合する被ガイド部521を有する。また、他方の挟持部52は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部522を有する。
【0137】
被ガイド部521は、他方の挟持部52のZ軸方向の両端に配置されている。本実施形態の被ガイド部521は、Z軸方向の端縁においてZ軸方向の内側に凹む切欠きであり、この切欠き内に支持部53の一部が嵌まり込むことによって該支持部53と係合する。
【0138】
複数の係合部522のそれぞれは、間隔調整部55と係合する。本実施形態の各係合部522は、他方の挟持部52のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。これら複数の係合部522のそれぞれは、一方の挟持部51の各係合部512とX軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0139】
支持部53は、それぞれがX軸方向に延びる一対のガイドバー531を有する。また、支持部53は、一対のガイドバー531の間隔を維持するサポート部材532も有する。
【0140】
一対のガイドバー531は、一方の挟持部51のZ軸方向の両端部から互いに平行に延びている。これら一対のガイドバー531は、他方の挟持部52の被ガイド部(切欠き)521に嵌まり込むことで該他方の挟持部52を一方の挟持部51に対して平行な状態(姿勢)でX軸方向に接離可能(相対移動)にガイドする。また、一対のガイドバー531のそれぞれは、プレート3A、3BのZ軸方向の両端の係合部30Eとそれぞれ係合することで、各プレート3A、3Bを配置位置にガイドする。
【0141】
サポート部材532は、Z軸方向に延び、一対のガイドバー531の端部(一方の挟持部52に接続されている側と反対側の端部)同士を接続することにより、該端部同士のZ軸方向の間隔を維持する。
【0142】
間隔調整部55は、一対の挟持部51、52の間隔が小さくなる方向に一方の挟持部51と他方の挟持部52とに対して力を加える。本実施形態の間隔調整部55は、複数の締付部材551を有し、各締付部材551は、X軸方向に延びるボルト552と、該ボルト552と螺合するナット553と、を有する。
【0143】
各締付部材551は、一対の挟持部51、52の対応する(X軸方向から見て重なる)係合部512、522に嵌まり込んだ状態でX軸方向の間隔が小さくなる方向に一対の挟持部51、52を締め付ける。この複数の締付部材551による一対の挟持部51、52の締め付けによって、各プレート間に配置されたガスケット4が十分な力で挟み込まれ、これにより、各プレート間に形成された各流路R1、R2が液密な状態となる。
【0144】
以上のように構成される混合器1において、流動物(複数種の混合対象物を含む流動物)Aを混合すると共に流動物(複数種の混合対象物を含む流動物)Bを混合する場合、流動物Bが第一連通路Ch1からプレート群2内に供給されると共に、流動物Aが第二連通路Ch2からプレート群2内に供給される(図2及び図4参照)。そして、流動物Aが各第一流路R1を下方に向けて流れることで該流動物Aが十分に混合され、流動物Bが各第二流路R2を下方に向けて流れることで該流動物Bが十分に混合される。詳しくは、以下の通りである。
【0145】
第二連通路Ch2を通じて各第一流路R1(即ち、一対の第一対向面S1、S4間のそれぞれ)に流入した流動物Aは、一対の第一対向面S1、S4の第一混合領域Ar1に形成されている複数の第一旋回成分付与部7Aのそれぞれによって第一旋回方向の速度成分V1が付与される(図11及び図13参照)。このとき、各第一の成分付与列L11(図9参照)において、複数の第一旋回成分付与部7AがZ軸方向に並んでいるため、第一の成分付与列L11毎に流動物Aに対して第一旋回方向の速度成分V1が十分に付与される。これにより、一対の第一対向面S1、S4間(即ち、第一流路R1)を満たした状態でZ軸方向の他方側に進む流動物Aの流れにおいて、各第一の成分付与列L11と対応する位置にZ軸方向の他方側に向かう旋回流がそれぞれ形成される。一対の第一対向面S1、S4の第一混合領域Ar1では、これら各旋回流において流動物A(詳しくは、該流動物Aに含まれる複数種の混合対象物)が混合される。尚、図11の(a1)~(e1)において、両端が円弧状となっており且つ両端部に〇と×が記載されている棒状のものは、流動物Aの旋回方向を分かり易くするために流動物Aの旋回を模式的に記載したものであり、実際は、プレート3A、3B間(即ち、第一面S1と第二面S4との間)は、流動物Aによって満たされている。
【0146】
そして、一対の第一対向面S1、S4間において第一混合領域Ar1を通過した流動物Aが第二混合領域Ar2に流入すると、該流動物Aは、第二混合領域Ar2に形成されている複数の第二旋回成分付与部7Bのそれぞれによって第二旋回方向の速度成分V2が付与される。
【0147】
このとき、Z軸方向における第一混合領域Ar1の最も第二混合領域Ar2側に配置される各第一旋回成分付与部7A(即ち、最も第二混合領域Ar2側の第一の横断列L12の各第一旋回成分付与部7A)に対し、それぞれ第二旋回成分付与部7BがZ軸方向に隣り合っているため、第一の成分付与列L11に沿って形成された第一旋回方向の速度成分V1を持った各旋回流が、第二混合領域Ar2の対応する第二旋回成分付与部7Bに到達すると、該旋回流に対して第二旋回成分付与部7Bによって第二旋回方向(逆まわりの旋回方向)の速度成分V2が付与され、これにより、各旋回流(流動物Aの流れ)において十分な乱流がそれぞれ発生する。
【0148】
続いて、各第二の成分付与列L21(図9参照)において、複数の第二旋回成分付与部7BがZ軸方向に並んでいるため、第二の成分付与列L21毎に流動物Aに対して第二旋回方向の速度成分V2が十分に付与され、これにより、一対の第一対向面S1、S4間(即ち、第一流路R1)を満たした状態でZ軸方向の他方側に進む流動物Aの流れにおいて、各第二の成分付与列L21と対応する位置にZ軸方向の他方側に向かう旋回流(第一混合領域Ar1の旋回流とは旋回方向が逆向きの旋回流)がそれぞれ形成される。一対の第一対向面S1、S4の第二混合領域Ar2では、これら各旋回流において流動物A(詳しくは、該流動物Aに含まれる複数種の混合対象物)が混合される。尚、図12の(a2)~(e2)において、両端が円弧状となっており且つ両端部に〇と×が記載されている棒状のものは、流動物Aの旋回方向を分かり易くするために流動物Aの旋回を模式的に記載したものであり、実際は、プレート3A、3B間(即ち、第一面S1と第二面S4との間)は、流動物Aによって満たされている。
【0149】
一対の第一対向面S1、S4間において第二混合領域Ar2を通過した流動物Aは、それぞれ第四連通路Ch4に流入する。これにより、各第一流路R1(即ち、一対の第一対向面S1、S4間のそれぞれ)において十分に混合された流動物Aは、第四連通路Ch4を通じてプレート群2の外部に流れ出る。
【0150】
一方、第一連通路Ch1を通じて各第二流路R2(即ち、一対の第二対向面S2、S3間のそれぞれ)に流入した流動物Bは、一対の第二対向面S2、S3の第一混合領域Ar1に形成されている複数の第二旋回成分付与部7Bのそれぞれによって第二旋回方向の速度成分V2が付与される(図14参照)。このとき、各第二の成分付与列L21(図10参照)において、複数の第二旋回成分付与部7BがZ軸方向に並んでいるため、第二の成分付与列L21毎に流動物Bに対して第二旋回方向の速度成分V2が十分に付与される。これにより、一対の第二対向面S2、S3間(即ち、第一流路R1)を満たした状態でZ軸方向の他方側に進む流動物Bの流れにおいて、各第二の成分付与列L21と対応する位置にZ軸方向の他方側に向かう旋回流がそれぞれ形成される。一対の第二対向面S2、S3の第一混合領域Ar1では、これら各旋回流において流動物B(詳しくは、該流動物Bに含まれる複数種の混合対象物)が混合される。
【0151】
そして、一対の第二対向面S2、S3間において第一混合領域Ar1を通過した流動物Bが第二混合領域Ar2に流入すると、該流動物Bは、第二混合領域Ar2に形成されている複数の第一旋回成分付与部7Aのそれぞれによって第一旋回方向の速度成分V1が付与される。
【0152】
このとき、Z軸方向における第一混合領域Ar1の最も第二混合領域Ar2側に配置される各第二旋回成分付与部7B(即ち、最も第二混合領域Ar2側の第二の横断列L22の各第二旋回成分付与部7B)に対し、それぞれ第一旋回成分付与部7AがZ軸方向に隣り合っているため、第二の成分付与列L21に沿って形成された第二旋回方向の速度成分V2を持った各旋回流が、第二混合領域Ar2の対応する第一旋回成分付与部7Aに到達すると、該旋回流に対して第一旋回成分付与部7Aによって第一旋回方向(逆まわりの旋回方向)の速度成分V1が付与され、これにより、各旋回流(流動物Bの流れ)において十分な乱流がそれぞれ発生する。
【0153】
続いて、各第一の成分付与列L11(図10参照)において、複数の第一旋回成分付与部7AがZ軸方向に並んでいるため、第一の成分付与列L11毎に流動物Bに対して第一旋回方向の速度成分V1が十分に付与され、これにより、一対の第二対向面S2、S3間(即ち、第二流路R2)を満たした状態でZ軸方向の他方側に進む流動物Bの流れにおいて、各第一の成分付与列L11と対応する位置にZ軸方向の他方側に向かう旋回流(第一混合領域Ar1の旋回流とは旋回方向が逆向きの旋回流)がそれぞれ形成される。一対の第二対向面S2、S3の第二混合領域Ar2では、これら各旋回流において流動物B(詳しくは、該流動物Bに含まれる複数種の混合対象物)が混合される。
【0154】
一対の第二対向面S2、S3間において第二混合領域Ar2を通過した流動物Bは、それぞれ第三連通路Ch3に流入する。これにより、各第二流路R2(一対の第二対向面S2、S3間のそれぞれ)において十分に混合された流動物Bは、第三連通路Ch3を通じてプレート群2の外部に流れ出る。
【0155】
以上のようにして、混合器1では、各第一流路R1において流動物Aが十分に混合されると共に、各第二流路R2において流動物Bが十分に混合される。
【0156】
尚、本実施形態の混合器1による上述の混合では、流動物Aと流動物Bとがそれぞれ混合されているが、例えば、各第一流路R1(又は各第二流路R2)に複数種の混合対象物を含む流動物Aが供給され、各第二流路R2(又は各第一流路R1)に温度調整用の流動物が供給されるようにしてもよい。このようにすれば、第一流路R1と第二流路R2とを仕切る各プレート3を通じて流動物(複数種の混合対象物)Aと温度調整用の流動物とが熱交換し、これにより、流動物Aの温度を調整(温度制御)しつつ該流動物Aの混合を行うことができる。
【0157】
ここで、温度調整用の流動物とは、複数種の混合対象物を含む流動物A、Bと熱交換することによって流動物A、Bの温度調整を行うためのものであり、流動性を有する。具体的に、温度調整用の流動物は、流動性を有する混合対象物と同様に、液体や気体等の流体、粉体(粉、粒等の集まったもの)、エマルジョン流体やスラリー流体等の液体同士が混ざったものや流体と粉体とが混ざったもの、液体に気体が混ざったもの(例えば、炭酸水、発泡石鹸水)等である。例えば、温度調整用の流動物は、水(冷却水)であってもよい。また、流動物A、Bを加熱する場合には、流動物A、B等より温度の高い流動物(加熱媒体)、例えば、温水(100℃未満の水)や、熱水(100℃以上の水)、蒸気(スチーム)等が用いられ、流動物A、Bを冷却する場合には、流動物A、B等より温度の低い流動物(冷却媒体)、例えば、常温(室温)の水や、低温の水(常温より低い温度の水)等が用いられてもよい。
【0158】
また、本実施形態の混合器1において、各第一流路R1と各第二流路R2とに同じ流動物A(又はB)がそれぞれ供給されてもよい。
【0159】
以上の混合器1は、X軸方向(第一方向)に対向し、且つY軸方向(第二方向)に沿って流動性を有する流動物(複数種の混合対象物)A、Bが流通可能な第一流路R1(又は第二流路R2)を互いの間に形成する一対の第一対向面S1、S4(又は一対の第二対向面S2、S3)を備える。そして、一対の第一対向面S1、S4(又は一対の第二対向面S2、S3)は、互いの対向する部位である一対の対向部位(第一対向部位、第二対向部位)によって構成される第一旋回成分付与部7Aであって、一対の対向部位間を流れる流動物A、Bに対してZ軸方向に延びる第一仮想軸K1を旋回中心とする左(一方)まわりの第一旋回方向の速度成分V1を付与する第一旋回成分付与部7Aと、互いの対向する部位である一対の対向部位(第二対向部位、第一対向部位)によって構成される第二旋回成分付与部7Bであって、一対の対向部位間を流れる流動物A、Bに対してZ軸方向に延びる第二仮想軸K2を旋回中心とする右(他方)まわりの第二旋回方向の速度成分V2を付与する第二旋回成分付与部7Bと、を有し、Z軸方向において第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7Bとが隣り合う。
【0160】
このように、Z軸方向において第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7Bとが隣り合うことで、流動物A、Bが第一旋回成分付与部7Aから第二旋回成分付与部7Bに流れたとき(又は第二旋回成分付与部7Bから第一旋回成分付与部7Aに流れたとき)に、第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7Bとで流動物A、Bに付与される旋回方向の速度成分V1、V2が逆向きになる。このため、流動物A、Bの流れにおいて十分な乱流が発生し、これにより、当該混合器1において十分な混合性能が得られる。即ち、混合性能を向上させた混合器1が得られる。
【0161】
また、本実施形態の混合器1では、第一旋回成分付与部7A及び第二旋回成分付与部7Bの少なくとも一方は、Z軸方向(第二方向)に二つ以上並んで列(第一の成分付与列L11、第二の成分付与列L21)を作っている。
【0162】
かかる構成によれば、第一旋回成分付与部7A(又は第二旋回成分付与部7B)が並ぶ位置、即ち、第一の成分付与列L11(又は第二の成分付与列L21)において流動物A、Bに十分な旋回方向の速度成分V1(又はV2)を付与された状態で該流動物A、Bが第二旋回成分付与部7B(又は第一旋回成分付与部7A)に流入して逆向きの旋回方向の速度成分V2(又はV1)が付与されることで、流動物A、Bの流れにおいてより複雑な乱流が発生し、これにより、流動物A、Bの混合がより十分に行われる。又は、第一旋回成分付与部7A(又は第二旋回成分付与部7B)から第二旋回成分付与部7B(又は第一旋回成分付与部7A)に流入したときに流動物A、Bの流れに乱流が生じ、この状態で流動物A、Bが第二の成分付与列L21(又は第一の成分付与列L11)を流れて十分な旋回方向の速度成分V2(又はV1)が付与される、即ち、Z軸方向の十分な距離を流動物A、Bが螺旋状に流れることで流動物A、Bの混合がより十分に行われる。
【0163】
また、本実施形態の混合器1では、一対の第一対向面S1、S4(詳しくは、所定の対向部位(一対の第一対向部位))は、第一混合領域Ar1においてX軸方向(第一方向)において対向する一対の凹部(一対の第一凹部)61b、67bを有し、X軸方向の一方側から見たときに、一対の凹部61b、67bのうちの一方の凹部(第七傾斜凹部)67bが、Z軸方向(第二方向)の一方側に進むに伴ってY軸方向(第三方向)の一方側に位置する第二延伸方向(第一傾斜方向)D2に沿って延びると共に、一対の凹部61b、67bのうちの他方の凹部(第一傾斜凹部)61bが、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の他方側に位置する第一延伸方向(第二傾斜方向)D1に沿って延び、一方の凹部67bと他方の凹部61bとは、交差した状態で対向する。そして、一対の第一対向面S1、S4(詳しくは、所定の対向部位(一対の第二対向部位)))は、第二混合領域Ar2においてX軸方向(第一方向)において対向する一対の凹部(一対の第二凹部)62b、68bを有し、X軸方向の一方側から見たときに、一対の凹部62b、68bのうちの一方の凹部(第八傾斜凹部)68bであって、第一混合領域Ar1の一方の凹部(第七傾斜凹部)67bと同じ対向面S4に配置される一方の凹部68bは、第一延伸方向(第二傾斜方向)D1に沿って延びると共に、一対の凹部62b、68bのうちの他方の凹部(第二傾斜凹部)62bであって、第一混合領域Ar1の他方の凹部(第一傾斜凹部)61bと同じ対向面S1に配置される他方の凹部62bは、第二延伸方向(第一傾斜方向)D2に沿って延び、一方の凹部68bと他方の凹部62bとは、交差した状態で対向している。
【0164】
また、一対の第二対向面S2、S3(詳しくは、所定の対向部位(一対の第一対向部位))は、第一混合領域Ar1においてX軸方向(第一方向)において対向する一対の凹部(一対の第一凹部)63b、65bを有し、X軸一方向の一方側から見たときに、一対の凹部63b、65bのうちの一方の凹部(第五傾斜凹部)65bが、Z軸方向(第二方向)の一方側に進むに伴ってY軸方向(第三方向)の一方側に位置する第二延伸方向(第一傾斜方向)D2に沿って延びると共に、一対の凹部63b、65bのうちの他方の凹部(第三傾斜凹部)63bが、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の他方側に位置する第一延伸方向(第二傾斜方向)D1に沿って延び、一方の凹部65bと他方の凹部63bとは、交差した状態で対向する。そして、一対の第二対向面S2、S3(詳しくは、所定の対向部位(一対の第二対向部位)))は、第二混合領域(第二領域)Ar2においてX軸方向(第一方向)において対向する一対の凹部(一対の第二凹部)64b、66bを有し、X軸方向の一方側から見たときに、一対の凹部64b、66bのうちの一方の凹部(第六傾斜凹部)66bであって、第一混合領域(第一領域)Ar1の一方の凹部(第五傾斜凹部)65bと同じ対向面S3に配置される一方の凹部66bは、第一延伸方向(第二傾斜方向)D1に沿って延びると共に、一対の凹部64b、66bのうちの他方の凹部(第四傾斜凹部)64bであって、第一混合領域Ar1の他方の凹部(第三傾斜凹部)63bと同じ対向面S2に配置される他方の凹部64bは、第二延伸方向(第一傾斜方向)D2に沿って延び、一方の凹部66bと他方の凹部64bとは、交差した状態で対向している。
【0165】
これらのように、X軸方向の一方側から見て交差した状態で延びる一対の凹部(第一傾斜凹部61b及び第七傾斜凹部67b、第二傾斜凹部62b及び第八傾斜凹部68b、第三傾斜凹部63b及び第五傾斜凹部65b、第四傾斜凹部64b及び第六傾斜凹部66b)を一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、第二面S2及び第一面S3)に設けるといった簡素な構成によって、Z軸方向に沿って流れる流動物(複数種の混合対象物)A、Bに旋回方向の速度成分V1、V2を付与することができる。また、第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7BとのZ軸方向に対する凹部6bの傾斜方向(第一延伸方向D1、第二延伸方向D2)を逆にすることで、Z軸方向に延びる仮想軸K1、K2まわりの回転方向が逆となる旋回方向の速度成分V1、V2を流動物A、Bに付与することができる。
【0166】
また、本実施形態の混合器1では、一対の対向面(一対の第一対向面S1、S4、一対の第二対向面S2、S3)は、互いに接近する向きにそれぞれ突出する複数の凸部対8A、8Bを有し、複数の第一旋回成分付与部7Aは、Y軸方向(第三方向)に並び、第一旋回成分付与部7Aの数と対応する数の第二旋回成分付与部7Bは、それぞれY軸方向に並び、複数の凸部対8A、8Bは、Y軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7A間、及び、Y軸方向に隣り合う第二旋回成分付与部7B間のそれぞれに配置されている。
【0167】
かかる構成によれば、凸部対8A、8Bによって各旋回成分付与部7A、7BにおけるY軸方向に隣り合う領域からの流動物A、Bの流れへの影響が抑えられ、これにより、各旋回成分付与部7A、7Bにおいて流動物A、Bに旋回方向の速度成分V1、V2が十分に付与され、その結果、流動物A、Bの混合が好適に行われる。
【0168】
また、本実施形態の混合器1は、X軸方向(第一方向)に重ね合わされる複数のプレート3A、3Bを備え、一対の対向面(一対の第一対向面S1、S4、一対の第二対向面S2、S3)は、X軸方向に並ぶように複数対配置され、これら複数のプレート3A、3Bにおいて、隣り合う二つのプレート3A、3Bの互いの対向する面は、それぞれ一対の対向面(一対の第一対向面S1、S4、一対の第二対向面S2、S3)を含んでいる。
【0169】
このように複数のプレート3A、3Bを重ね合わせ、プレート間に混合用の流路R1、R2が形成される構成とすることで、流動物A、Bを混合処理する処理量を確保しつつ混合器1の小型化(詳しくは、重ね合わせ方向の寸法の小型化)を図ることができる。
【0170】
また、本実施形態の混合器1では、一対の第一対向面S1、S4のうちの一方の対向面である第二面(一方対向面)S4は、Y軸方向(第三方向)に第七傾斜凹部(第三凹部)67bと第七傾斜凸部(第三凸部)67aとが交互に並ぶ第七傾斜凹凸列(第一凹凸列)60Gと、Z軸方向(第二方向)の第七傾斜凹凸列60Gと隣り合う位置においてY軸方向に第八傾斜凹部(第四凹部)68bと第八傾斜凸部(第四凸部)68aとが交互に並ぶ第八傾斜凹凸列(第二凹凸列)60Hと、を有し、X軸方向(第一方向)の一方側から見たときに、第七傾斜凹凸列60Gの各第七傾斜凹部67bと各第七傾斜凸部67aとは、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の一方側に位置する第二延伸方向(第三傾斜方向)D2に沿ってそれぞれ延び、第八傾斜凹凸列60Hの各第八傾斜凹部68bと各第八傾斜凸部68aとは、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の他方側に位置する第一延伸方向(第四傾斜方向)D1に沿ってそれぞれ延びている。また、一対の第一対向面S1、S4のうちの他方の対向面である第一面(他方対向面)S1は、第七傾斜凹凸列60Gと対向する位置においてY軸方向に第一傾斜凹部(第五凹部)61bと第一傾斜凸部(第五凸部)61aとが交互に並ぶ第一傾斜凹凸列(第三凹凸列)60Aと、第八傾斜凹凸列60Hと対向する位置においてY軸方向に第二傾斜凹部(第六凹部)67bと第二傾斜凸部(第六凸部)67aとが交互に並ぶ第二傾斜凹凸列(第四凹凸列)60Bと、を有し、X軸方向の一方側から見たときに、前記第一傾斜凹凸列60Aの各第一傾斜凹部61bと各第一傾斜凸部61aとは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延び、各第一傾斜凹部61bは、対応する第七傾斜凹部67bとそれぞれ交差した状態で対向し、各第一傾斜凸部61aは、対応する第七傾斜凸部67aとそれぞれ交差した状態で当接し、第二傾斜凹凸列60Bの各第二傾斜凹部62bと各第二傾斜凸部62aとは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延び、各第二傾斜凹部62bは、対応する第八傾斜凹部68bとそれぞれ交差した状態で対向し、各第二傾斜凸部62aは、対応する第八傾斜凸部68aとそれぞれ交差した状態で当接している。そして、一対の第一対向面S1、S4の複数の対向部位(各第一旋回成分付与部7Aと対応する部位)のそれぞれは、交差した状態で対向する第七傾斜凹部(第三凹部)67b及び第一傾斜凹部(第五凹部)61bによって構成される凹部対(第一旋回成分付与部7A)を一つずつ有すると共に、一対の第一対向面S1、S4の複数の対向部位(各第二旋回成分付与部7Bと対応する部位)のそれぞれは、前記交差した状態で対向する第八傾斜凹部(第四凹部)68b及び第二傾斜凹部(第六凹部)62bによって構成される凹部対(第二旋回成分付与部7B)を一つずつ有している。
【0171】
また、一対の第二対向面S2、S3のうちの一方の対向面である第一面(一方対向面)S3は、Y軸方向(第三方向)に第五傾斜凹部(第三凹部)65bと第五傾斜凸部(第三凸部)65aとが交互に並ぶ第五傾斜凹凸列(第一凹凸列)60Eと、Z軸方向(第二方向)の第五傾斜凹凸列60Eと隣り合う位置においてY軸方向に第六傾斜凹部(第四凹部)66bと第六傾斜凸部(第四凸部)66aとが交互に並ぶ第六傾斜凹凸列(第二凹凸列)60Fと、を有し、X軸方向(第一方向)の一方側から見たときに、第五傾斜凹凸列60Eの各第五傾斜凹部65bと各第五傾斜凸部65aとは、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の一方側に位置する第二延伸方向(第三傾斜方向)D2に沿ってそれぞれ延び、第六傾斜凹凸列60Fの各第六傾斜凹部66bと各第六傾斜凸部66aとは、Z軸方向の一方側に進むに伴ってY軸方向の他方側に位置する第一延伸方向(第四傾斜方向)D1に沿ってそれぞれ延びている。また、一対の第二対向面S2、S3のうちの他方の対向面である第二面(他方対向面)S2は、第五傾斜凹凸列60Eと対向する位置においてY軸方向に第三傾斜凹部(第五凹部)63bと第三傾斜凸部(第五凸部)63aとが交互に並ぶ第三傾斜凹凸列(第三凹凸列)60Cと、第六傾斜凹凸列60Fと対向する位置においてY軸方向に第四傾斜凹部(第六凹部)64bと第四傾斜凸部(第六凸部)64aとが交互に並ぶ第四傾斜凹凸列(第四凹凸列)60Dと、を有し、X軸方向の一方側から見たときに、第三傾斜凹凸列60Cの各第三傾斜凹部63bと各第三傾斜凸部63aとは、第一延伸方向D1に沿ってそれぞれ延び、各第三傾斜凹部63bは、対応する第五傾斜凹部65bとそれぞれ交差した状態で対向し、各第三傾斜凸部63aは、対応する第五傾斜凸部65aとそれぞれ交差した状態で当接し、第四傾斜凹凸列60Dの各第四傾斜凹部64bと各第四傾斜凸部64aとは、第二延伸方向D2に沿ってそれぞれ延び、各第四傾斜凹部64bは、対応する第六傾斜凹部66bとそれぞれ交差した状態で対向し、各第四傾斜凸部64aは、対応する第六傾斜凸部66aとそれぞれ交差した状態で当接している。そして、一対の第二対向面S2、S3の複数の対向部位(各第二旋回成分付与部7Bと対応する部位)のそれぞれは、交差した状態で対向する第五傾斜凹部65b及び第三傾斜凹部63bによって構成される凹部対(第二旋回成分付与部7B)を一つずつ有すると共に、一対の第二対向面S2、S3の複数の対向部位(各第一旋回成分付与部7Aと対応する部位)のそれぞれは、交差した状態で対向する第六傾斜凹部66b及び第四傾斜凹部64bによって構成される凹部対(第一旋回成分付与部7A)を一つずつ有している。
【0172】
これらの構成によれば、Y軸方向に並ぶ所定の複数の対向部位(第一旋回成分付与部7A)と、Y軸方向に並ぶ所定の複数の対向部位(第二旋回成分付与部7B)と、が一対の対向面(一対の第一対向面S1、S4、一対の第二対向面S2、S3)に配置されているため、流動物A、Bの混合処理の処理量を十分に確保することができる。
【0173】
しかも、Y軸方向に隣り合う各対向部位間(各第一旋回成分付与部7A間)、及び各対向部位間(各第二旋回成分付与部7B間)のそれぞれに、互いに当接する一対の凸部(第七傾斜凸部67aと第一傾斜凸部61aとの凸部対8A、第六傾斜凸部66aと第四傾斜凸部64aとの凸部対8A、第八傾斜凸部68aと第二傾斜凸部62aとの凸部対8B、第五傾斜凸部65aと第三傾斜凸部63aとの凸部対8B)が配置されていることで、凸部対8A、8Bによって各対向部位(各旋回成分付与部7A、7B)におけるY軸方向に隣り合う領域からの流動物A、Bの流れへの影響が抑えられ、これにより、各対向部位(各旋回成分付与部7A、7B)において流動物A、Bに旋回方向の速度成分V1、V2が十分に付与される。その結果、流動物A、Bの混合が好適に行われる。
【0174】
尚、本発明の混合器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0175】
上記実施形態の混合器1では、流動物(流動性を有する複数種の混合対象物)A、Bを混合可能な流路R1、R2は、複数のプレート3が重ね合わされたプレート群2においてX軸方向に隣り合う二つのプレート3A、3Bの互いに対向する面(第一面S1及び第二面S4、第二面S2及び第一面S3)によって形成(画定)されているが、この構成に限定されない。流動物A、Bを混合可能な流路R1、R2を形成する(画定する)一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)は、例えば、厚みの大きなブロック状の部材等のプレート形状以外の部材間や部材内等に形成されていてもよい。
【0176】
また、上記実施形態の混合器1では、流動物(流動性を有する複数種の混合対象物)A、Bを混合可能な流路R1、R2を形成する一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)は、金属によって構成されているが、樹脂等によって構成されていてもよい。
【0177】
また、上記実施形態の混合器1では、一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)において、第一旋回成分付与部7A及び第二旋回成分付与部7Bは、それぞれ、Y軸方向に複数配置されると共にZ軸方向に複数配置されている、即ち、第一及び第二の成分付与列L11、L21がそれぞれ複数配置されると共に、第一及び第二の横断列L12、L22がそれぞれ複数配置されているが、この構成に限定されない。一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)において、第一又は第二の成分付与列L11、L21が一列のみ配置されていてもよく、第一又は第二の横断列L12、L22が一列のみ配置されていてもよい。即ち、一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)において、Z軸方向に隣り合う第一旋回成分付与部7Aと第二旋回成分付与部7Bとのセット(組)が一つ以上あればよい。
【0178】
また、上記実施形態の混合器1では、一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)において、同じ旋回方向の速度成分V1、V2を流動物A、Bに付与する複数の旋回成分付与部7A、7Bが配置されている混合領域がZ軸方向に二つ並んでいる(即ち、第一混合領域Ar1と第二混合領域Ar2とがZ軸方向に並んでいる)が、この構成に限定されない。例えば、第一旋回成分付与部7Aの配置された第一混合領域Ar1、第二旋回成分付与部7Bの配置された第二混合領域Ar2、第一旋回成分付与部7Aの配置された第一混合領域Ar1、・・・等、混合領域がZ軸方向に三つ以上並んでいてもよい。
【0179】
また、上記実施形態の混合器1では、各旋回成分付与部7A、7Bを構成する一対の凹部6bは、それぞれ各延伸方向D1、D2に真っすぐに延びているが、この構成に限定されない。例えば、図15に示すように、各旋回成分付与部7A1、7B1を構成する一対の凹部6bは、それぞれ湾曲等していてもよい。即ち、各凹部6bは、第一又は第二延伸方向(第二又は第一傾斜方向)D1、D2に沿って延びていればよい。
【0180】
また、各旋回成分付与部7A、7Bを構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの凹部6b同士がなす角度は、上記実施形態の角度に限定されない。図16(a)に示すように、各旋回成分付与部7A2、7B2を構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの凹部6b同士がなす角度が上記実施形態より大きくてもよい。また、図16(b)に示すように、各旋回成分付与部7A3、7B3を構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの凹部6b同士がなす角度が上記実施形態より小さくてもよい。
【0181】
また、上記実施形態の混合器1では、各旋回成分付与部7A、7Bを構成する一対の凹部6bの各凹部6bの延びる方向(第一延伸方向D1、第二延伸方向D2)と仮想軸K1(上記実施形態の例ではZ軸方向)とのなす角α1、α2は、互いに同じ(即ち、α1=α2)であるが(図16(a)及び図16(b)参照)、この構成に限定されない。前記なす角α1、α2は、互いに異なっていてもよい(即ち、α1>α2又はα1<α2であってもよい)。
【0182】
また、上記実施形態の混合器1では、第一旋回成分付与部7Aを構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの二つの凹部6bのなす角度と、第二旋回成分付与部7Bを構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの二つの凹部6bのなす角度とは、同じであるがこの構成に限定されない。図17に示すように、第一旋回成分付与部7A4を構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの二つの凹部6bのなす角度と、第二旋回成分付与部7B4を構成する一対の凹部6bをX軸方向から見たときの二つの凹部6bのなす角度とは、異なっていてもよい。
【0183】
また、一対の対向面(第一面S1及び第二面S4、又は第二面S2及び第一面S3)の同じ混合領域内における複数の第一旋回成分付与部7A(又は複数の第二旋回成分付与部7B)において、X軸方向から見たときの二つの凹部(一対の凹部)6bのなす角度が異なる第一旋回成分付与部7A(又は、第二旋回成分付与部7B)が含まれていてもよい。
【0184】
また、上記実施形態の混合器1では、プレート群2の各プレート間に第一流路R1と第二流路R2との二種類の流路が構成され、流路R1、R2毎に異なる流動物A、Bが流通可能に構成されているが、この構成に限定されない。混合器1は、プレート群2の各プレート間に一種類の流路(例えば、第一流路R1)のみが構成されていてもよい。この場合、プレート群2は、二つの連通路(例えば、第一連通路Ch1と第三連通路Ch3)のみを有し、これら二つの連通路Ch1、Ch3が全ての流路R1と連通する。また、プレート群2の各プレート間に三種類以上の流路が構成されていてもよい。この場合、プレート群2では、流路の種類の数に応じて連通路の数が設定される。
【0185】
また、上記実施形態の混合器1では、プレート群2に含まれるプレート3の種類は、二種類であるが、この構成に限定されない。プレート群2が一種類のプレート3又は三種類以上のプレート3を含む構成であってもよい。プレート群2が一種類のプレート3によって構成される場合、複数のプレート3は、X軸方向において交互に中心線Cまわりや、Z軸方向の中央位置をY軸方向に延びる仮想線まわりに反転させて重ね合わされる。
【0186】
また、上記実施形態の混合器1では、各凸部61a~68aは、第一又は第二延伸方向D1、D2に沿って延びているが、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0187】
1…混合器、2…プレート群、3…プレート、3A…第一プレート、3B…第二プレート、30E…係合部、30G…ガスケット配置部、31A、31E…第一連通孔、31B、31F…第二連通孔、31C、31G…第三連通孔、31D、31H…第四連通孔、4…ガスケット、4A…第一ガスケット、41A…第一流路形成部、42A…第一封止部、43A…接続部、4B…第二ガスケット、41B…第二流路形成部、42B…第二封止部、43B…接続部、5…保持部、51…挟持部、511…貫通孔、512…係合部、52…挟持部、521…被ガイド部、522…係合部、53…支持部、531…ガイドバー、532…サポート部材、55…間隔調整部、551…締付部材、552…ボルト、553…ナット、6a…凸部、6b…凹部、60A…第一傾斜凹凸列(第三凹凸列)、60B…第二傾斜凹凸列(第四凹凸列)、60C…第三傾斜凹凸列(第三凹凸列)、60D…第四傾斜凹凸列(第四凹凸列)、60E…第五傾斜凹凸列(第一凹凸列)、60F…第六傾斜凹凸列(第二凹凸列)、60G…第七傾斜凹凸列(第一凹凸列)、60H…第八傾斜凹凸列(第二凹凸列)、61a…第一傾斜凸部(第五凸部)、61b…第一傾斜凹部(第一凹部、第五凹部)、62a…第二傾斜凸部(第六凸部)、62b…第二傾斜凹部(第二凹部、第六凹部)、63a…第三傾斜凸部(第五凸部)、63b…第三傾斜凹部(第一凹部、第五凹部)、64a…第四傾斜凸部(第六凸部)、64b…第四傾斜凹部(第二凹部、第六凹部)、65a…第五傾斜凸部(第三凸部)、65b…第五傾斜凹部(第一凹部、第三凹部)、66a…第六傾斜凸部(第四凸部)、66b…第六傾斜凹部(第二凹部、第四凹部)、67a…第七傾斜凸部(第三凸部)、67b…第七傾斜凹部(第一凹部、第三凹部)、68a…第八傾斜凸部(第四凸部)、68b…第八傾斜凹部(第二凹部、第四凹部)、7A、7A4…第一旋回成分付与部、7A1、7A2、7A3、7B1、7B2、7B3…旋回成分付与部、7B、7B4…第二旋回成分付与部、8A、8B…凸部対、A、B…流動物(複数種の混合対象物)、Ar1…第一混合領域(第一領域)、Ar2…第二混合領域(第二領域)、C…中心線、Ch1…第一連通路、Ch2…第二連通路、Ch3…第三連通路、Ch4…第四連通路、D1…第一延伸方向(第二傾斜方向、第四傾斜方向)、D2…第二延伸方向(第一傾斜方向、第三傾斜方向)、K1…第一仮想軸、K2…第二仮想軸、L11…第一の成分付与列、L12…第一の横断列、L21…第二の成分付与列、L22…第二の横断列、R1…第一流路(流路)、R2…第二流路(流路)、S1…第一面(対向面、第一対向面、他方対向面)、S2…第二面(対向面、第二対向面、他方対向面)、S3…第一面(対向面、第二対向面、一方対向面)、S4…第二面(対向面、第一対向面、一方対向面)、V1…第一旋回方向の速度成分、V2…第二旋回方向の速度成分
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