(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151962
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20241018BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20241018BHJP
H01S 5/02325 20210101ALI20241018BHJP
H01S 5/02208 20210101ALI20241018BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/02253
H01S5/02325
H01S5/02208
H01S5/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065815
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC01
5F173MC12
5F173MC30
5F173MD07
5F173MD35
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME33
5F173ME44
5F173MF28
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】大型化を防ぎつつ広い範囲を光走査可能な光モジュールを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、第1発光素子から出力された第1レーザ光を平行光に変換する第1コリメート部と、第2発光素子から出力された第2レーザ光を平行光に変換する第2コリメート部と、光を走査する走査部と、第1発光素子、第2発光素子、第1コリメート部、第2コリメート部および走査部を収容する収容部と、を備え、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように構成されており、走査部は、第1レーザ光および前記第2レーザ光を走査し、収容部は、走査部によって走査された第1レーザ光および第2レーザ光を通す窓部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を出力する第1発光素子と、
第2レーザ光を出力する第2発光素子と、
前記第1発光素子から出力された前記第1レーザ光を平行光に変換する第1コリメート部と、
前記第2発光素子から出力された前記第2レーザ光を平行光に変換する第2コリメート部と、
光を走査する走査部と、
前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第1コリメート部、前記第2コリメート部および前記走査部を収容する収容部と、
を備え、
前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように構成されており、
前記走査部は、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を走査し、
前記収容部は、前記走査部によって走査された前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を通す窓部を有する、
光モジュール。
【請求項2】
前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が前記走査部に異なる方向から入射するように、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記走査部に導く導光部を更に備える、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記導光部は、第1反射部および第2反射部を有し、
前記第1反射部は、前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射し、
前記第2反射部は、前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射する、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記導光部は、第1反射部、第2反射部および第3反射部を有し、
前記第1反射部は、前記第1レーザ光を前記第3反射部に向けて反射し、
前記第2反射部は、前記第2レーザ光を前記第3反射部に向けて反射し、
前記第3反射部は、前記第1反射部で反射された前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第2反射部で反射された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射する、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記走査部が搭載されるとともに、主面を有する第1支持体と、
前記主面に設けられるともに、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第1コリメート部、前記第2コリメート部、前記第1反射部および前記第2反射部が搭載される第2支持体と、
前記主面に設けられるともに、前記第3反射部を支持する第3支持体と、
を更に備え、
前記走査部は、前記走査部の走査が停止された状態において、前記走査部における前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が入射される面が前記主面と平行になるように配置されている、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第2発光素子は、前記主面に直交する仮想平面であって、前記走査部における前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が入射される面の中心を通る前記仮想平面に対して前記第1発光素子と対称に配置されており、
前記第2コリメート部は、前記仮想平面に対して前記第1コリメート部と対称に配置されており、
前記第2反射部は、前記仮想平面に対して前記第1反射部と対称に配置されている、
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第1レーザ光の戻り光と、前記第2レーザ光の戻り光とを区別できるように、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記走査部を制御する制御回路を更に備える、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の波長は異なっている、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を合波する合波部を更に備え、
前記導光部は、前記合波部の近い方から順に、前記合波部から出力される合波光の光路に配置される第1反射部および第2反射部を有し、
前記第1反射部は、前記合波部に含まれる前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第2レーザ光を透過し、
前記第2反射部は、前記第1反射部を透過した前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射する、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項10】
第3レーザ光を出力する第3発光素子と、
第4レーザ光を出力する第4発光素子と、
前記第3発光素子から出力された前記第3レーザ光を平行光に変換する第3コリメート部と、
前記第4発光素子から出力された前記第4レーザ光を平行光に変換する第4コリメート部と、
を備え、
前記第3発光素子、前記第4発光素子、前記第3コリメート部および前記第4コリメート部は、前記収容部に収容されており、
前記導光部は、前記第1レーザ光、前記第2レーザ光、前記第3レーザ光および前記第4レーザ光が前記走査部に異なる方向から入射するように、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光、前記第2コリメート部にから出力された前記第2レーザ光、前記第3コリメート部から出力された前記第3レーザ光および前記第4コリメート部から出力された前記第4レーザ光を前記走査部に導き、
前記導光部は、第1反射部、第2反射部、第3反射部、第4反射部、第5反射部および第6反射部を有し、
前記第1反射部は、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光を前記第2反射部に向けて反射するとともに、前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記第2反射部に向けて透過し、
前記第2反射部は、前記第1反射部で反射された前記第1レーザ光を前記第3反射部に向けて反射するとともに、前記第1反射部を透過した前記第2レーザ光を前記第4反射部に向けて反射し、
前記第5反射部は、前記第3コリメート部から出力された前記第3レーザ光を前記第6反射部に向けて反射するとともに、前記第4コリメート部から出力された前記第4レーザ光を前記第6反射部に向けて透過し、
前記第6反射部は、前記第5反射部で反射された前記第3レーザ光を前記第3反射部に向けて反射するとともに、前記第5反射部を透過した前記第4レーザ光を前記第4反射部に向けて反射し、
前記第3反射部は、前記第2反射部によって反射された前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第6反射部によって反射された前記第3レーザ光を前記走査部に向けて反射し、
前記第4反射部は、前記第2反射部によって反射された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第6反射部によって反射された前記第4レーザ光を前記走査部に向けて反射し、
前記窓部は、前記走査部によって走査された前記第1レーザ光、前記第2レーザ光、前記第3レーザ光および前記第4レーザ光を透過する、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記第3レーザ光は前記第1レーザ光と波長が同じレーザ光であり、
前記第4レーザ光は前記第2レーザ光と波長が同じレーザ光である、
請求項10に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射する反射部を備え、
前記第1発光素子および前記第2発光素子からの前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の出力方向に沿って伝播した前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が前記反射部で反射された場合に、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように、前記第1発光素子および前記第2発光素子は配置されている、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記収容部は、湾曲した天部を有するドーム型のカバーを備え、
前記窓部は、前記天部の湾曲形状に沿って前記天部に設けられている、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から特許文献4には、レーザ光を用いた検知装置が開示されている。特許文献5から特許文献8では、レーザ光を用いた描画装置が開示されている。このような検知装置および描画装置は、発光素子から出力されたレーザ光を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)のような走査部で走査しながら出力する光モジュールを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-170965号公報
【特許文献2】国際公開第2018/101226号
【特許文献3】特開2018-72097号公報
【特許文献4】特開2018-91630号公報
【特許文献5】特開2020-194116号公報
【特許文献6】特開2014-5619号公報
【特許文献7】特開2014-86426号公報
【特許文献8】特開2014-18668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収容部内に備えた走査部によってレーザ光を走査して出力する光モジュールにおいて、レーザ光を走査する範囲(以下、走査範囲と称する)を広げるためには、一般的には走査部におけるレーザ光の反射面の振れ角を大きくする手段が考えられる。しかし、この場合、反射面に接続される部分が大きく捩れるため、走査部が破損し易くなる。このような破損を防止しながら上記走査範囲を広げるためには、例えば接続部長さあたりの捩れ量を減らすために接続部を長くとることが考えられる。しかしながら、大きな走査部を採用した場合、光モジュールのサイズも大きくなる。
【0005】
本開示は、大型化を防ぎつつ広い範囲を光走査可能な光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、前記第1発光素子から出力された前記第1レーザ光を平行光に変換する第1コリメート部と、前記第2発光素子から出力された前記第2レーザ光を平行光に変換する第2コリメート部と、光を走査する走査部と、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第1コリメート部、前記第2コリメート部および前記走査部を収容する収容部と、を備え、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように構成されており、前記走査部は、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を走査し、前記収容部は、前記走査部によって走査された前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を通す窓部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、大型化を防ぎつつ広い走査範囲を確保可能な光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光モジュールの模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した光モジュールが備えるモジュール本体の一例の斜視図である。
【
図3】
図3は、カバーが取り外された状態のモジュール本体の斜視図である。
【
図7】
図7は、光モジュールの検知範囲を模式的に示す図面である。
【
図8】
図8は、計算モデルを説明するための図面である。
【
図9】
図9は、走査ミラーへの入射ベクトルとy軸方向との間の角度θyを説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に対する計算結果を示す図面である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るモジュール本体の斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る光モジュールにおける第1レーザ光および第2レーザ光の光路の一例を模式的に示す図面である。
【
図14】
図14は、計算モデルの他の例を説明するための図面である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に対する計算結果を示す図面である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係るモジュール本体の斜視図である。
【
図18】
図18は、合波部から出力された合波光(第1レーザ光および第2レーザ光)の光路を模式的に示す図面である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係るモジュール本体の検知範囲の模式図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に対する計算結果を示す図面である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に関する変形例(変形例1)を説明するための図面である。
【
図22】
図22は、変形例1に対する計算結果を示す図面である。
【
図23】
図23は、第4実施形態に係るモジュール本体の斜視図である。
【
図25】
図25は、第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光の光路の一例を模式的に示す図面である。
【
図26】
図26は、第4実施形態に係るモジュール本体を制御するための制御回路の機能ブロック図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態に係るモジュール本体から出力される第1レーザ、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光によって形成される検知範囲の模式図である。
【
図28】
図28は、第4実施形態に対する計算結果を示す図面である。
【
図29】
図29は、第4実施形態に対する変形例(変形例2)を説明するための図面である。
【
図30】
図30は、変形例2に対する計算結果を示す図面である。
【
図31】
図31は、第5実施形態に係るモジュール本体の斜視図である。
【
図32】
図32は、第6実施形態に係るモジュール本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
[1]一実施形態に係る光モジュールは、第1レーザ光を出力する第1発光素子と、第2レーザ光を出力する第2発光素子と、前記第1発光素子から出力された前記第1レーザ光を平行光に変換する第1コリメート部と、前記第2発光素子から出力された前記第2レーザ光を平行光に変換する第2コリメート部と、光を走査する走査部と、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第1コリメート部、前記第2コリメート部および前記走査部を収容する収容部と、を備え、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように構成されており、前記走査部は、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を走査し、前記収容部は、前記走査部によって走査された前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を通す窓部を有する。
【0011】
上記[1]に記載の光モジュールでは、走査部によって走査された第1レーザ光および第2レーザ光が上記窓部から出力される。第1レーザ光および第2レーザ光は、異なる方向から走査部に入射する。この場合、窓部から出力された第1レーザ光の走査範囲および第2レーザ光の走査範囲はズレることから、光モジュールの走査範囲は光モジュールから出力されるレーザ光が1本の場合より広がっている。光モジュールでは、走査部に異なる方向から2本のレーザ光を入射させることによって広い走査範囲を実現するため、大きな走査部を使用する必要がない。その結果、光モジュールの大型化を防げる。
【0012】
[2]上記[1]に記載の光モジュールは、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が前記走査部に異なる方向から入射するように、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記走査部に導く導光部を更に備えてもよい。この場合、導光部によって、第1レーザ光および第2レーザ光を異なる方向から確実に走査部に入射できる。導光部によって第1レーザ光および第2レーザ光の光路を調整できるので、光モジュールにおける光部品の配置位置の自由度が向上する。
【0013】
[3]上記[2]に記載の光モジュールにおいて、前記導光部は、第1反射部および第2反射部を有し、前記第1反射部は、前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射し、前記第2反射部は、前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射してもよい。
【0014】
[4]上記[2]に記載の光モジュールにおいて、前記導光部は、第1反射部、第2反射部および第3反射部を有し、前記第1反射部は、前記第1レーザ光を前記第3反射部に向けて反射し、前記第2反射部は、前記第2レーザ光を前記第3反射部に向けて反射し、 前記第3反射部は、前記第1反射部で反射された前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第2反射部で反射された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射してもよい。
【0015】
[5]上記[4]に記載の光モジュールは、前記走査部が搭載されるとともに、主面を有する第1支持体と、前記主面に設けられるともに、前記第1発光素子、前記第2発光素子、前記第1コリメート部、前記第2コリメート部、前記第1反射部および前記第2反射部が搭載される第2支持体と、前記主面に設けられるともに、前記第3反射部を支持する第3支持体と、を更に備え、前記走査部は、前記走査部の走査が停止された状態において、前記走査部における前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が入射される面が前記主面と平行になるように配置されていてもよい。
【0016】
[6]上記[5]に記載の光モジュールにおいて、前記第2発光素子は、前記主面に直交する仮想平面であって、前記走査部における前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が入射される面の中心を通る前記仮想平面に対して前記第1発光素子と対称に配置されており、前記第2コリメート部は、前記仮想平面に対して前記第1コリメート部と対称に配置されており、前記第2反射部は、前記仮想平面に対して前記第1反射部と対称に配置されていてもよい。この場合、第1レーザ光および第2レーザ光を異なる方向から走査部に入射し易い。
【0017】
[7]上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の光モジュールは、前記第1レーザ光の戻り光と、前記第2レーザ光の戻り光とを区別できるように、前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記走査部を制御する制御回路を更に備えてもよい。こうすることで光モジュールをLiDAR(Light Detection and Ranging、あるいはLaser Imaging Detection and Ranging)のような検知装置の光源として用いた場合、戻り光が第1レーザ光によるものであるか第2レーザ光によるものであるかを区別して、さらに走査部における反射面の振れ角と紐づけることで、走査範囲内のどこからの戻り光であるかを特定できる。
【0018】
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つに記載の光モジュールにおいて、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の波長は異なっていてもよい。こうすることで光モジュールをLiDARのような検知装置の光源として用いた場合、戻り光が第1レーザ光によるものであるか第2レーザ光によるものであるかを区別し、さらに走査部における反射面の振れ角と紐づけることで、走査範囲内のどこからの戻り光であるかを特定できる。
【0019】
[9]上記[2]に記載の光モジュールは、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を合波する合波部を更に備え、前記導光部は、前記合波部の近い方から順に、前記合波部から出力される合波光の光路に配置される第1反射部および第2反射部を有し、前記第1反射部は、前記合波部に含まれる前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第2レーザ光を透過し、前記第2反射部は、前記第1反射部を透過した前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射してもよい。この構成により、走査範囲を垂直方向に広げることができる。
【0020】
[10]上記[2]に記載の光モジュールは、第3レーザ光を出力する第3発光素子と、 第4レーザ光を出力する第4発光素子と、前記第3発光素子から出力された前記第3レーザ光を平行光に変換する第3コリメート部と、前記第4発光素子から出力された前記第4レーザ光を平行光に変換する第4コリメート部と、を備え、前記第3発光素子、前記第4発光素子、前記第3コリメート部および前記第4コリメート部は、前記収容部に収容されており、前記導光部は、前記第1レーザ光、前記第2レーザ光、前記第3レーザ光および前記第4レーザ光が前記走査部に異なる方向から入射するように、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光、前記第2コリメート部にから出力された前記第2レーザ光、前記第3コリメート部から出力された前記第3レーザ光および前記第4コリメート部から出力された前記第4レーザ光を前記走査部に導き、前記導光部は、第1反射部、第2反射部、第3反射部、第4反射部、第5反射部および第6反射部を有し、前記第1反射部は、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光を前記第2反射部に向けて反射するとともに、前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記第2反射部に向けて透過し、前記第2反射部は、前記第1反射部で反射された前記第1レーザ光を前記第3反射部に向けて反射するとともに、前記第1反射部を透過した前記第2レーザ光を前記第4反射部に向けて反射し、前記第5反射部は、前記第3コリメート部から出力された前記第3レーザ光を前記第6反射部に向けて反射するとともに、前記第4コリメート部から出力された前記第4レーザ光を前記第6反射部に向けて透過し、前記第6反射部は、前記第5反射部で反射された前記第3レーザ光を前記第3反射部に向けて反射するとともに、前記第5反射部を透過した前記第4レーザ光を前記第4反射部に向けて反射し、 前記第3反射部は、前記第2反射部によって反射された前記第1レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第6反射部によって反射された前記第3レーザ光を前記走査部に向けて反射し、前記第4反射部は、前記第2反射部によって反射された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射するとともに、前記第6反射部によって反射された前記第4レーザ光を前記走査部に向けて反射し、前記窓部は、前記走査部によって走査された前記第1レーザ光、前記第2レーザ光、前記第3レーザ光および前記第4レーザ光を透過してもよい。
【0021】
上記構成では、走査部によって走査された第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光が上記窓部から異なる方向に出力される。窓部から出力される第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光それぞれは走査部によって走査されている。したがって、第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光それぞれの走査範囲は異なる。したがって、走査範囲を更に広げることが可能である。
【0022】
[11]上記[10]に記載の光モジュールにおいて、前記第3レーザ光は前記第1レーザ光と波長が同じレーザ光であり、前記第4レーザ光は前記第2レーザ光と波長が同じレーザ光であってもよい。このように第1レーザ光および第3レーザ光の波長が同じ場合、第1発光素子および第3発光素子として同じ特性の発光素子を使用できる。第2レーザ光および第4レーザ光の波長が同じ場合、第2発光素子および第4発光素子として同じ特性の発光素子を使用できる。
【0023】
[12]上記[1]に記載の光モジュールは、前記第1コリメート部から出力された前記第1レーザ光および前記第2コリメート部から出力された前記第2レーザ光を前記走査部に向けて反射する反射部を備え、前記第1発光素子および前記第2発光素子からの前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の出力方向に沿って伝播した前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が前記反射部で反射された場合に、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光が異なる方向から前記走査部に入射するように、前記第1発光素子および前記第2発光素子は配置されていてもよい。この場合、第1発光素子および第2発光素子の配置を調整することで、異なる方向から第1レーザ光および第2レーザ光を走査部に入射できる。そのため、第1コリメート部および第2コリメート部と、反射部との間に第1レーザ光および第2レーザ光の光路を更に調整する部品を省略できる。
【0024】
[13]上記[1]から[12]のいずれか1つに記載の光モジュールにおいて、前記収容部は、湾曲した天部を有するドーム型のカバーを備え、前記窓部は、前記天部の湾曲形状に沿って前記天部に設けられていてもよい。材料の透過率には入射角依存性があり、レーザ光の窓部に対する入射角が変化すると、窓部を透過する光の強度が変化する。光モジュール1が上記[15]に記載の構成を有することによって、入射角の変化を抑え、窓部を透過する光の強度が光出射方向に依存して変化することを抑制できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
図1は、第1実施形態に係る光モジュールの模式図である。第1実施形態に係る光モジュール1は、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を出力するモジュール本体2と、モジュール本体2を制御する制御回路(制御装置)3を有する。
【0027】
光モジュール1は、検知対象範囲内の任意の物体を検知するリモートセンサの光源として使用される。たとえば、光モジュール1は、LiDARの光源である。検知すべき物体の例は、人、自動車、標識などである。光モジュール1は、例えば、自動車、ドローンなどに搭載される。
【0028】
図2は、
図1に示した光モジュール1が備えるモジュール本体2の斜視図である。
図3は、カバー42が取り外された状態のモジュール本体2の斜視図である。
図4は、
図3に示したモジュール本体2の平面図である。
【0029】
モジュール本体2は、第1光出力部10A、第2光出力部10B、MEMS20を備える。第1光出力部10Aは、コリメートされた第1レーザ光L1をMEMS20に向けて出力する。第2光出力部10Bは、コリメートされた第2レーザ光L2をMEMS20に向けて出力する。MEMS20は、第1レーザ光L1を走査するとともに、第2レーザ光L2を走査する。MEMS20で走査された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれが、物体を検知するための検知光として機能する。
【0030】
モジュール本体2は、温度調整器の一例であるペルチェ素子(熱電冷却素子)30を備えてもよい。ペルチェ素子(第1支持体)30はTEC(ThermoElectric Cooler)とも称される。モジュール本体2は、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20を収容する収容部40(
図2参照)を備えてもよい。以下では、断らない限り、モジュール本体2がペルチェ素子30および収容部40を備える形態を説明する。
【0031】
図3および
図4に示したように、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20は、ペルチェ素子30に搭載されている。ペルチェ素子30は、吸熱板(温度調整板)31と、放熱板32と、複数の半導体柱33を有する。複数の半導体柱33は、吸熱板31と放熱板32を連結している。複数の半導体柱33は、互いに離間して配置されている。第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20は、上記吸熱板31に搭載されている。
【0032】
第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bは、吸熱板31に固定された台座(第2支持体)51に搭載されている。MEMS20は、吸熱板31に固定された台座52に固定されている。台座51および台座52は吸熱板31に固定されている。
【0033】
台座51は、吸熱板31の表面(主面)31aに平行な表面51aを有する。台座51の形状の例は、直方体または立方体である。台座52は、MEMS20が搭載されるとともに、表面31aに対して傾斜している傾斜面52aを有する。
【0034】
以下では、
図3に示したように互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する3次元直交座標系を利用してモジュール本体2を説明する場合もある。上記3次元直交座標系における原点は、走査ミラー21が有する反射面21aの中心Oである。z軸は、表面31aに垂直な軸である。
図3以外の他の図では、図面の見やすさの観点から、断らない限り、上記3次元直交座標系を中心Oからズラして図示しているが、前述したように、上記3次元直交座標系の原点は、反射面21aの中心Oである。
【0035】
第1光出力部10A、第2光出力部10B及びMEMS20の一例を具体的に説明する。第1実施形態において、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bは、反射面21aの中心Oを含み且つ表面31aに垂直な仮想平面VP(
図4参照)に対して対称に配置されている。仮想平面VPは、中心Oが原点である3次元直交座標系におけるyz平面に相当する。
【0036】
[第1光出力部]
第1光出力部10Aは、第1発光素子11a、第1コリメート部12aおよび反射部(第1反射部)13aを有する。第1発光素子11a、第1コリメート部12aおよび反射部13aは、第1発光素子11aの光軸に沿って、第1発光素子11a、第1コリメート部12aおよび反射部13aの順に配置されている。第1光出力部10Aは、x軸方向において仮想平面VPと離間している。
【0037】
第1発光素子11aは第1レーザ光L1(
図4参照)を出力する。第1発光素子11aの例は半導体発光素子である。断らない限り、第1発光素子11aはレーザダイオード(LD:Laser Diode)である。第1発光素子11aはLDチップでよい。第1レーザ光L1は赤外光でよい。第1レーザ光L1の波長の範囲は、例えば、800nm以上且つ2500nm以下である。第1レーザ光L1の波長は、830nm、850nm、905nm、940nm、1310nmまたは1550nmでよい。第1発光素子11aから出力される第1レーザ光L1は第1偏光の光である。第1偏光は、TEモードまたはTMモードである。
【0038】
第1発光素子11aは、光軸方向がy軸方向であるように配置されている。第1発光素子11aは、第1素子搭載部53aの表面に搭載されている。第1素子搭載部53aの表面は、表面31aに平行な面である。第1素子搭載部53aの形状の例は、直方体または立方体である。第1素子搭載部53aは、台座51に固定されている。
【0039】
第1発光素子11aは、第1素子搭載部53aに固定されている。第1発光素子11aの光軸の高さは、台座51の厚さおよび第1素子搭載部53aの厚さによって調整されている。第1発光素子11aの光軸の高さは、吸熱板31の表面31aに対する高さでよい。
【0040】
第1コリメート部12aは台座51に搭載されている。第1コリメート部12aは、第1発光素子11aから出力される第1レーザ光L1の光路に配置されている。第1コリメート部12aはレンズでよい。第1コリメート部12aは第1レーザ光L1をコリメート光(平行光)に変換する。
【0041】
反射部13aは、台座51に搭載されている。反射部13aは、第1コリメート部12aから出力された第1レーザ光L1の光路上に配置されている。反射部13aは、第1レーザ光L1を反射面21aの中心Oに向けて反射するように配置されている。この配置形態では、反射部13aが有する反射面は、第1発光素子11aの光軸に対して傾いている。反射部13aは、紫外線硬化樹脂によって台座51に固定されてよい。
【0042】
上記第1光出力部10Aの構成では、第1発光素子11aから出力された第1レーザ光L1は、第1コリメート部12aによってコリメート光に変換される。第1コリメート部12aから出力された第1レーザ光L1は、反射部13aによって反射面21aの中心Oに向けて反射される。
【0043】
[第2光出力部]
第2光出力部10Bは、第2発光素子11b、第2コリメート部12bおよび反射部(第2反射部)13bを有する。第2発光素子11b、第2コリメート部12bおよび反射部13bは、第2発光素子11bの光軸に沿って、第2発光素子11b、第2コリメート部12bおよび反射部13bの順に配置されている。
【0044】
第2発光素子11bは第2レーザ光L2(
図4参照)を出力する。第2発光素子11bの例は半導体発光素子である。断らない限り、第2発光素子11bはLDである。第2発光素子11bはLDチップでよい。第2レーザ光L2は赤外光でよい。第2レーザ光L2の波長の範囲例は、第1レーザ光L1の場合と同じである。第2レーザ光L2の波長は、第1レーザ光L1の波長と同じでよい。
【0045】
第2発光素子11bは、第2素子搭載部53bに搭載されている。第2素子搭載部53bの構成は、第1素子搭載部53aの構成と同じでよい。第2発光素子11bは、第2素子搭載部53bに固定されている。
【0046】
第2発光素子11bは、仮想平面VPに対して第1発光素子11aと対称に配置されている。したがって、第2発光素子11bからの第2レーザ光L2の出力方向は、第1発光素子11aからの第1レーザ光L1の出力方向と平行である。第2発光素子11bの光軸の高さは、台座51の厚さおよび第2素子搭載部53bの厚さによって調整されている。上記第2発光素子11bの光軸の高さは、吸熱板31の表面に対する高さでよい。第2発光素子11bの光軸の高さは、第1発光素子11aの光軸の高さに一致している。
【0047】
第2コリメート部12bは、台座51に搭載されている。第2コリメート部12bは、第2発光素子11bから出力される第2レーザ光L2の光路に配置されている。第2コリメート部12bは、仮想平面VPに対して第1コリメート部12aと対称に配置されている。上記第2コリメート部12bはレンズでよい。第2コリメート部12bは、第2レーザ光L2をコリメート光(平行光)として出力する。
【0048】
反射部13bは、台座51に搭載されている。反射部13bは、第2コリメート部12bから出力された第2レーザ光L2の光路上に配置されている。反射部13bの例はミラーである。反射部13bは、仮想平面VPに対して反射部13aと対称に配置されている。反射部13bは、第2レーザ光L2を走査ミラー21に向けて反射するように配置されている。したがって、反射部13aの反射面は、第1発光素子11aの光軸に対して傾いている。反射部13bは、紫外線硬化樹脂によって台座51に固定されてよい。
【0049】
上記第2光出力部10Bの構成では、第2発光素子11bから出力された第2レーザ光L2は、第2コリメート部12bによってコリメート光に変換される。第2コリメート部12bから出力された第2レーザ光L2は、反射部13bによって走査ミラー21に向けて反射される。
【0050】
[MEMS]
MEMS20は、走査ミラー21と、走査ミラー21を駆動する駆動部22と、枠部23を有する。駆動部22は、枠部23に支持されている。MEMS20はMEMS20チップでよい。この場合、光モジュール1をより小型化できる。反射面21aは、表面31aに対して第1レーザ光L1および第2レーザ光L2と同じ高さに配置されている。MEMS20は、台座52が有する傾斜面52aに固定されている。
【0051】
図5は、走査ミラー21の平面図である。
図5は、走査ミラー21を、反射面21aに垂直な方向からみた図面である。走査ミラー21の形状の一例は、
図5に示したように円形である。しかしながら、走査ミラー21の形状は円形に限定されない。走査ミラー21は、駆動部22によって、
図5に示したα軸の周りに振られる(揺動する)とともに、β軸の周りに振られる(揺動する)。α軸およびβ軸は、直交している。
【0052】
[収容部]
図2から
図4を利用して収容部40を説明する。収容部40は、支持基板41およびカバー42を有する。収容部40は、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20を収容するパッケージである。カバー42は、支持基板41に固定されている。これにより、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20を収容する収容空間が形成されている。上記収容空間は、支持基板41およびカバー42によって気密封止(ハーメチックシール)されてよい。
【0053】
支持基板41は、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20が搭載される板状部材である。支持基板41は、例えばステムである。
図3に示されたように、ペルチェ素子30が支持基板41に固定されることによって、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20が支持基板41に搭載されている。
【0054】
支持基板41の平面視形状(Z軸方向からみた形状)は矩形である。この場合、長辺の長さの例は、10mm以上且つ30mm以下であり、短辺の長さの例は、8mm以上且つ25mm以下である。支持基板41の平面視形状は、正方形でもよいし、四角形以外の多角形、または、円形でもよい。
【0055】
支持基板41には複数の導電部材46が設けられている。導電部材46は、例えば棒状部材である。導電部材46の一例はリードピンである。各導電部材46の第1端部は、収容部40内に突出している。各導電部材46の第2端部は、収容部40の外部に突出している。第2端部は、導電部材46が有する第1端部と反対の端部である。複数の導電部材46は、収容部40内の電子部品(例えば、第1発光素子11a、第2発光素子11b、MEMS20、ペルチェ素子30など)を、制御回路3に電気的に接続するための端子として機能する。第1発光素子11a、第2発光素子11bなどと、複数の導電部材46との配線の図示を省略している。
【0056】
複数の導電部材46は、
図3および
図4に示したように、ペルチェ素子30の周囲に配置されてよい。支持基板41には、複数の導電部材46が支持基板41と絶縁された状態でz軸方向に通されている。
【0057】
図2に示したように、カバー42は、胴部43および天部44を有する。カバー42の例はキャップである。胴部43は中空体である。胴部43は、例えば溶接によって支持基板41に固定されている。天部44は、胴部43において支持基板41と反対に位置する開口を塞いでいる。天部44は、支持基板41と対向している壁部である。胴部43と天部44は一体化している。カバー42が支持基板41に固定された状態において、天部44の表面(収容空間と反対の面)と、支持基板41の裏面(収容空間と反対の面)との間の長さの例は6mm以上且つ12mm以下である。
【0058】
図2に示したように、収容部40は窓部45を有する。窓部45は、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を収容部40の外部に出力するための部分である。窓部45は、天部44に形成された開口44aに嵌められている。
【0059】
上記モジュール本体2には、モジュール本体2が駆動された場合に生じる熱を放熱するためのヒートシンク(放熱部)が取り付けられてよい。モジュール本体2は、第1発光素子11a、第2発光素子11b等の周囲の温度を測定するための温度計測器(たとえばサーミスタ)を少なくとも1つ備えてもよい。このような温度計測器は、収容部40内に配置される。
【0060】
[制御回路]
図6は、制御回路3の機能ブロック図である。制御回路3は、第1駆動回路3a、第2駆動回路3bおよび走査制御回路3cを有する。
【0061】
第1駆動回路3aは、第1発光素子11aを駆動する。第1駆動回路3aは、第1発光素子11aの発光タイミング、第1レーザ光L1の強度、第1レーザ光L1のパルス幅などを制御する。第2駆動回路3bは、第2発光素子11bを駆動する。第2駆動回路3bは、第2発光素子11bの発光タイミング、第2レーザ光L2の強度、第2レーザ光L2のパルス幅などを制御する。第1駆動回路3aおよび第2駆動回路3bは、LDドライバでよい。
【0062】
第1駆動回路3aおよび第2駆動回路3bは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の発光タイミングが異なるように第1発光素子11aおよび第2発光素子11bを駆動してもよい。発光タイミングが異なることの意味を説明する。第1発光素子11aから第1レーザ光L1が出射され、物体から反射して戻ってきた第1戻り光(第1レーザ光)が受光素子に到達するまでの期間を「期間T1」と称す。第2発光素子11bから第2レーザ光L2が出射され、物体から反射して戻ってきた第2戻り光(第2レーザ光)が受光素子に到達するまでの期間を「期間T2」と称す。期間T1と期間T2が重ならないことを、「第1発光素子11aと第2発光素子11bの発光タイミングが異なる」と称す。
【0063】
第1駆動回路3aおよび第2駆動回路3bは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の変調波形が異なるように第1発光素子11aおよび第2発光素子11bを駆動してもよい。たとえば、第1駆動回路3aおよび第2駆動回路3bは、第1レーザ光L1のパルス幅と第2レーザ光L2のパルス幅が異なるように、第1発光素子11aおよび第2発光素子11bを駆動してもよい。第1駆動回路3aおよび第2駆動回路3bは、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の時間的な強度を変調することによって、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の変調波形が異なるように、第1発光素子11aおよび第2発光素子11bを駆動してもよい。
【0064】
走査制御回路3cは、MEMS20を制御する。具体的には、
図5に示したα軸およびβ軸それぞれの周りに走査ミラー21を所定の振れ角幅で振るように(揺動するように)MEMS20を制御する。
【0065】
温度調整回路3dでは、収容部40内の温度(特に、第1発光素子11aおよび第2発光素子11bの周囲温度)が所定範囲になるように、ペルチェ素子30を制御する。収容部40内に前述したサーミスタなどの温度計測器が設置されている形態では、温度調整回路3dは、温度計測器の測定結果に基づいて、ペルチェ素子30を制御すればよい。
【0066】
光モジュール1は、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bを有する。第1光出力部10Aは、第1発光素子11aから出力された第1レーザ光L1を反射部13aによって走査ミラー21に向けて反射している。第2光出力部10Bは、第2発光素子11bから出力された第2レーザ光L2を反射部13bによって走査ミラー21に向けて反射している。
【0067】
モジュール本体2では、反射部13aおよび反射部13bは、第1レーザ光L1の反射面21aへの入射方向と、第2レーザ光L2の反射面21aへの入射方向が異なるように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を反射する。すなわち、反射部13aおよび反射部13bは、異なる方向から反射面21aに入射するように第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を反射面21aに導く導光部として機能する。
【0068】
図3及び
図4に示した形態では、反射部13aおよび反射部13bは、仮想平面VPに対して対称に配置されているとともに、反射部13aおよび反射部13bは、反射面21aの中心Oに向けて第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を反射する。これによって、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、z軸方向からみた場合、異なる方向から反射面21aに入射する。
【0069】
反射面21aに入射した第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射面21aによって反射された後、窓部45から出力される。走査ミラー21は、駆動部22によって、
図5に示したα軸およびβ軸周りに振られている。そのため、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれは2次元的に走査される。
【0070】
図7に示したように、光モジュール1(具体的には、モジュール本体2)から出力された第1レーザ光L1の走査範囲が、第1レーザ光L1に基づく第1検知範囲4aであり、光モジュール1(具体的には、モジュール本体2)から出力された第2レーザ光L2の走査範囲が、第2レーザ光L2に基づく第2検知範囲4bである。
【0071】
図7は、光モジュール1で実現可能な検知範囲を模式的に示す図面である。
図7中のs軸方向は、
図5に示したα軸周りに走査ミラー21が振られることで走査される第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の走査方向である。以下では断らない限り、s軸方向は水平方向である。s軸方向に沿った第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の走査は、x軸方向に沿った走査に対応する。
図7中のt軸方向は、
図5に示したβ軸周りに走査ミラー21が振られることで走査される第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の走査方向である。t軸方向はs軸方向と直交している。なお、
図7に示すように、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2とも、s軸方向の走査範囲はt軸方向の走査範囲よりも大きい。これは、MEMS20のα軸周りの振れ角がβ軸周りの振れ角よりも大きいことに対応する。
【0072】
図7において、破線で示した領域は、走査ミラー21にy軸に沿って一本のレーザ光を入射した場合の検知範囲を示している。したがって、
図7の破線で示す領域は、光モジュールから検知光が1つのレーザ光である場合に対する光モジュールの検知範囲である。
【0073】
モジュール本体2では、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の反射面21aへの入射方向が異なる。そのため、反射面21aによる第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の反射方向も異なる。その結果、
図7に模式的に示したように、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bも異なる。走査ミラー21の振れ角によっては、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bの一部は重なってもよい。したがって、「第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bも異なる」ことは、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bが完全に一致していないことを意味する。
【0074】
第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bはそれぞれ物体を検知可能は範囲であることから、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bによって検知可能な全範囲が光モジュール1の検知範囲4として機能する。
【0075】
図7に模式的に示したように、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bが異なることから、
図7において破線で示した検知範囲より広い検知範囲4が実現されている。
【0076】
モジュール本体2では、z軸方向からみて第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の反射面21aへの入射方向が異なる。そのため、
図7に示したように、第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bは主にs軸方向にズレている。その結果、
図7において破線で示した検知範囲よりs軸方向の幅が広い検知範囲4を実現できる。すなわち、光モジュール1の構成では、MEMS20に入射するレーザ光が1本の場合より、水平方向(
図7におけるs軸方向に相当)に広い走査範囲を実現できる。
【0077】
仮に、1本のレーザ光を用いて広い走査範囲を確保するためには、走査ミラー21の最大振れ角を大きくすることが考えられる。この場合、走査ミラー21をより大きく捩る必要があるため、MEMS20が破損し易い。このような破損を防止するには、大きなMEMS20を利用することが考えられるが、その場合、光モジュールのサイズが大きくなる。
【0078】
これに対して、光モジュール1では、反射面21aに異なる方向から2本のレーザ光(第1レーザ光L1および第2レーザ光L2)を入射することによって広い走査範囲を確保している。したがって、小型のMEMS20を採用してもMEMS20は破損し難い。その結果、光モジュール1では、光モジュール1の大型化を防ぎながら、広い走査範囲を実現できる。
【0079】
第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bが仮想平面VPに対して対称に配置されている形態では、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bのうちの一方の光学系を設計することによって、結果的に、モジュール本体2の設計が可能である。そのため、光モジュール1を製造し易い。
【0080】
モジュール本体2が反射部13aおよび反射部13bを有する形態では、反射部13aおよび反射部13bは、異なる方向から反射面21aに入射するように第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を導く導光部として機能する。モジュール本体2が、異なる方向から反射面21aに入射するように第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を導く導光部を有する形態では、導光部によって第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路を調整できるので、反射面21aに第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を異なる方向から入射し易い。上記導光部を有する形態では、第1発光素子11aおよび第2発光素子11b等の配置位置の自由度が向上することから、収容部40内の収容空間を有効に活用し易い。その結果、光モジュール1(具体的にはモジュール本体2)の大型化を抑制できる。
【0081】
光モジュール1が制御回路3を備える場合、光モジュール1をLiDARのような検知装置の光源として用いた場合、戻り光が第1レーザ光L1によるものであるか第2レーザ光L2によるものであるかを区別し、さらに走査ミラー21の反射面21aの振れ角と紐づけることで、走査範囲内のどこからの戻り光であるかを特定できる。
【0082】
第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の発光タイミングが異なる形態では、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の波長が同じ場合でも、物体から戻ってきた光が、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2のうちのどちらであるかを区別可能である。すなわち、光モジュール1から同じ波長の第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を出力しても、物体が第1検知範囲4a内に存在するか、第2検知範囲4b内に存在するかを区別可能である。したがって、モジュール本体2およびそれを備えた光モジュール1は検知装置に適用できる。
【0083】
第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の変調波形が異なる場合も、物体から戻ってきた光が、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2のうちのどちらであるかを区別可能である。すなわち、光モジュール1から同じ波長の第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を出力しても、物体が第1検知範囲4a内に存在するか、第2検知範囲4b内に存在するかを区別可能である。したがって、モジュール本体2およびそれを備えた光モジュール1は検知装置に適用できる。
【0084】
次に、計算結果を示して、モジュール本体2(およびそれを含む光モジュール1)が広い走査範囲を確保可能な点を説明する。第1実施形態に対する計算をケースAと称す。
【0085】
ケースAでは、
図3に示したモジュール本体2を想定した。ケースAでは、
図8に示したように、台座52の傾斜面52aに走査ミラー21が配置されているモデルを採用した。
【0086】
図8は、計算モデルを説明するための図面である。
図8は、
図4における左から走査ミラー21をみた場合の台座52および走査ミラー21を模式的に示している。
図8では、MEMS20のうち走査ミラー21を図示している。走査ミラー21は揺動するため、
図8では、走査ミラー21と傾斜面52aの間には隙間を設けている。
【0087】
ケースAにおいて設定した3次元直交座標系は、
図3に示した3次元直交座標系と同じである。
図8では、3次元直交座標系を走査ミラー21からずらして図示しているが、前述したように、3次元直交座標系の原点は、反射面21aの中心Oであった。
図8中の破線a1は、z軸に対応し、破線a2は、走査ミラー21において傾斜面52aと対向する面を含む平面を示している。走査ミラー21が停止している状態では、走査ミラー21において傾斜面52aと対向する面は、傾斜面52aと平行である。つまり、φ=θMである。
【0088】
図9は反射面21aへの入射ベクトルiとy軸方向との間の角度θyを説明するための模式図である。
図9に示した入射ベクトルiは、
図4に示した第1レーザ光L1に対応する。角度θyは、y軸のうち正の領域と入射ベクトルiとの間の角度で定義し、
図9に示したように、右回りの角度を正の角度に設定した。
【0089】
図5におけるα軸周りの右回りの回転角をθh、β軸周りの右回りの回転角をθvとする。ただし走査ミラー21が駆動していないときをθh=0、θv=0とする。
【0090】
反射面21aへのレーザ光の入射ベクトルi、反射面21aの反射面21aの法線ベクトルcおよび、反射面21aに入射したレーザ光の反射ベクトルrは式(1)、式(2)および式(3)で表される。以下の説明において、各ベクトルは単位ベクトルである。
入射ベクトルi=(sinθy、cosθy、0)・・・(1)
法線ベクトルc=(sinθh、-cosθh・sinφ,cosθh・cosφ)・・・(2)
反射ベクトルr=i+2(-i・c)c・・・(3)
【0091】
式(2)における角度φは、
図8に示したように、
図8においてz軸に対応する破線a1と法線ベクトルcとの間のなす角度である。角度φは、反射面21aのβ軸周りの振れ角θvと、傾斜面52aの傾斜角θMとの和(φ=θM+θv)である。
【0092】
ケースAでは、以下の条件で計算した。
・反射面21aのα軸周りの振れ角範囲:θh=±20°
・反射面21aのβ軸周りの振れ角範囲:θv=±10°
・台座角度:θM=70°
・第1レーザ光L1に対する入射ベクトルiとy軸との間の角度:θy=30°
・第2レーザ光L2に対する入射ベクトルiとy軸との間の角度:θy=-30°
【0093】
第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれを表す入射ベクトルiに対して反射面21aを上記α軸周りの振れ角およびβ軸周りの振れ角の範囲で2軸に振りながら、反射ベクトルrを計算した。第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれを表す入射ベクトルiに対して計算された反射ベクトルrがモジュール本体2から出力される第1レーザ光L1および第2レーザ光L2に対応する。したがって、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれを表す入射ベクトルiに対して計算された反射ベクトルrの走査範囲が第1検知範囲4aおよび第2検知範囲4bに対応する。
【0094】
図10は、ケースAの結果を示した図面である。
図10では、計算によって得られた反射ベクトルrをxz平面とyz平面からみた場合において、反射ベクトルrとz軸との間の角度をプロットしている。
図10の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
図10の横軸における正方向が、走査ミラー21のα軸周りの振り角における正方向に対応し、
図10の縦軸における正方向が、走査ミラー21のβ軸周りの振り角における正方向に対応する。この点は、後述する計算結果を示す図面において同じである。
【0095】
図10中の実線は、第1レーザ光L1に対する結果であり、破線は第2レーザ光L2に対する結果である。
【0096】
図10では、参考のために、発光素子が1つの場合に対する計算結果を、レーザ光L0の結果として示している。レーザ光L0に対する計算では、レーザ光L0をy軸に沿って反射面21aに入射した。すなわち、θy=0として計算した。
【0097】
第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を反射面21aに入射しながら走査ミラー21を駆動した場合、
図10に示した第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域が光モジュールの最大走査範囲である。一方、
図10においてレーザ光L0の結果は、発光素子の数が1つ、すなわち、反射面21aに入射されるレーザ光の数が1つである光モジュールの走査範囲を示している。
【0098】
図10より、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。特に、x軸方向において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。したがって、2本のレーザ光を異なる方向異なる方向から反射面21aに入射することによって、走査範囲を広げられることが
図10から理解され得る。
【0099】
光モジュール1が有するモジュール本体2の構成は、
図3および
図4に示した構成に限定されない。以下に、モジュール本体の種々の実施形態を説明する。各実施形態で説明するモジュール本体は、モジュール本体2の代わりに光モジュール1を構成する。各実施形態で説明するモジュール本体の作用効果は、モジュール本体2の代わりに各実施形態のモジュール本体を備えた光モジュール1の作用効果に対応する。各実施形態で説明するモジュール本体は、モジュール本体2が有する収容部40を有する。
【0100】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係るモジュール本体2Aの斜視図である。
図11では、カバー42が取り外された状態のモジュール本体2Aを図示している。
図12は、
図11に示したモジュール本体2Aの平面図である。モジュール本体2Aは、MEMS20が表面31aに平行に配置されている点で主にモジュール本体2と相違する。この相違点を中心としてモジュール本体2Aを説明する。
【0101】
モジュール本体2Aは、第1光出力部10A、第2光出力部10BおよびMEMS20を備える。モジュール本体2Aは、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を、ペルチェ素子30の近くに且つ表面31aと平行に配置されたMEMS20に向けて導くための反射部(第3反射部)61を更に備える。
【0102】
第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bは、台座51に搭載されている。第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bの構成および配置関係は、反射部13aおよび反射部13bが、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を反射部61に向けて反射する点以外は、モジュール本体2が備える第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bと同じである。
【0103】
反射部61は、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査ミラー21に向けて反射する。第2実施形態においても、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射面21aの中心Oに異なる方向から入射する。第2実施形態において、反射部13aおよび反射部61並びに反射部13bおよび反射部61は、走査ミラー21に異なる方向から第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が入射するように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査ミラ-21に向けて導く導光部として機能する。反射部61は、支持板(第3支持体)54に取り付けられている。反射部61は、支持板54に接着剤で固定されてよい。
【0104】
MEMS20は、ペルチェ素子30の近くにおいて、表面31aに平行に配置されている。具体的には、MEMS20は、走査ミラー21が停止している場合(
図5に示したα軸およびβ軸それぞれに対する振れ角が0の場合)において、反射面21aが表面31aと平行であるように配置されている。MEMS20は、図示しない支持板を介して表面31aに設置されていてもよい。MEMS20の構成は、モジュール本体2が備えるMEMS20と同じである。
【0105】
図13は、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路を模式的に示す図面である。
図13に示したように、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射部61で反射して反射面21aに入射する。反射面21aに入射した第1レーザ光L1は、反射面21aで反射され、窓部45(
図1参照)から出力される。走査ミラー21が2次元的に駆動されることから、第1レーザ光L1も2次元的に走査されて窓部45から出力される。
【0106】
図13は、反射部61および走査ミラー21を含む光学系をx軸方向からみた図面に対応する。そのため、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路として同じ光路を図示している。しかしながら、z軸方向からみた場合は、
図12に示したように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路は異なっているとともに、異なる方向から反射面21aに入射する。
【0107】
モジュール本体2Aにおいても、上記のように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれは、MEMS20によって2次元的に走査されながら、モジュール本体2Aから出力される。第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射面21aに対して異なる方向から入射する。そのため、第2実施形態に係るモジュール本体2Aでも、走査範囲の拡大が図れている。
【0108】
モジュール本体2Aにおいて、反射部13a、反射部13bおよび反射部61は、異なる方向から第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が反射面21aに入射するように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査ミラー21に向けて導く導光部として機能する。このような導光部をモジュール本体2Aが有する点に関する作用効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0109】
モジュール本体2Aは、モジュール本体2の場合と同じ制御回路3によって制御される。制御回路3による制御方法もモジュール本体2の場合と同じでよい。
【0110】
次に、第2実施形態に対する計算結果を説明する。第2実施形態に対する計算をケースBと称す。ケースBにおいても、走査ミラー21の反射面21aの中心Oを原点とした3次元直交座標系を設定した。x軸、y軸およびz軸の方向は第1実施形態の場合と同じであった。ケースBの説明においても、
図5に示したα軸およびβ軸を使用する。
【0111】
ケースBでは、
図14に示した計算モデルを使用した。
図14に示した計算モデルは、反射部Mで反射したレーザ光を反射面21aに入射する形態に対応する計算モデルである。ケースBにおいて、反射部Mは、
図11および
図12に示した反射部61に対応する。
【0112】
反射部Mへのレーザ光の入射ベクトルj、反射部Mの法線ベクトルnおよび反射部Mに入射したレーザ光の反射ベクトルkは、式(4)、式(5)および式(6)で表される。
入射ベクトルj=(sinθy、cosθy,0)・・・(4)
法線ベクトルn=(0,-cosθz,-sinθz)・・・(5)
反射ベクトルk=j+2(-j・n)n・・・(6)
【0113】
反射面21aへのレーザ光の入射ベクトルi、反射面21aの反射面21aの法線ベクトルcおよび、反射面21aに入射したレーザ光の反射ベクトルrは式(7)、式(8)および式(9)で表される。
入射ベクトルi=反射ベクトルk・・・(7)
法線ベクトルc=(sinθh,-cosθh・sinθv,cosθh・cosθv)・・・(8)
反射ベクトルr=i+2(-i・c)c・・・(9)
式(4)から式(9)において、θy、θz、θhおよびθvは次のとおりである。
θyは、反射部Mに入射するレーザ光に対応する入射ベクトルjとy軸の間の角度であり、
図9に示した入射ベクトルiを入射ベクトルjとした場合の角度である。
θzは、反射部Mの反射面とz軸とのなす角である。
θhは、第2実施形態の場合と同様に、反射面21aのα軸周りの振れ角である。
θvは、第2実施形態の場合と同様に、反射面21aのβ軸周りの振れ角である。
【0114】
ケースBでは、以下の条件で計算を実施した。
・反射面21aのα軸周りの振れ角範囲:θh=±20°
・反射面21aのβ軸周りの振れ角範囲:θv=±10°
・第1レーザ光L1に対する入射ベクトルjとy軸との間の角度:θy=30°
・第2レーザ光L2に対する入射ベクトルjとy軸との間の角度:θy=-30°
・反射部Mの反射面とz軸とのなす角:θz=35°
【0115】
ケースBでは、第1レーザ光L1を反射面21aに入射するとともに、反射面21aを上記α軸周りの振れ角およびβ軸周りの振れ角の範囲で2軸に振りながら、反射ベクトルrを計算した。同様にして、第2レーザ光L2を反射面21aに入射したケースについて、反射ベクトルrを計算した。
【0116】
図15は、第2実施形態に対する計算結果を示した図面である。
図15では、計算によって得られた反射ベクトルrをxz平面とyz平面からみた場合に、反射ベクトルrとz軸との間の角度をプロットしている。
図15の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
【0117】
図15中の実線は、第1レーザ光L1に対する結果であり、一点鎖線は第2レーザ光L2に対する結果である。
図15においても、参考のために、発光素子が1つの場合に対する計算結果を、レーザ光L0の結果として示している。レーザ光L0に対する計算では、レーザ光L0をy軸に沿って反射部61に入射した場合を想定した。すなわち、θy=0として計算を実施した。θy=0とした点以外は、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する計算と同じ条件でレーザ光L0に対する計算を実施した。
【0118】
第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を反射面21aに入射しながら走査ミラー21を駆動した場合、
図15に示した第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域が、モジュール本体2Aを備えた光モジュール1の最大走査範囲である。一方、
図15においてレーザ光L0の結果は、発光素子の数が1つ、すなわち、反射面21aに入射されるレーザ光の数が1つである光モジュールの走査範囲を示している。
【0119】
図15より、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。特に、x軸方向において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。したがって、2本のレーザ光を異なる方向から反射面21aに入射することによって、走査範囲を広げられることが
図15から理解され得る。
【0120】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係るモジュール本体2Bの斜視図である。
図16では、カバー42が取り外された状態のモジュール本体2Bを図示している。
図17は、
図16に示したモジュール本体2Bの平面図である。
【0121】
図16に示したモジュール本体2Bは、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bの代わりに一つの第3光出力部10Cを備える点、反射部61の代わりに反射部62および反射部63を備える点で第2実施形態に係るモジュール本体2Aと主に相違する。
【0122】
第3実施形態においても、反射面21aの中心Oを原点とするx軸、y軸およびz軸によって規定される3次元直交座標系を用いてモジュール本体2Bを説明する。x軸、y軸およびz軸の方向は、第1実施形態および2実施形態の場合と同じである。
【0123】
第3光出力部10Cは、台座51に搭載されている。第3光出力部10Cは、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第1コリメート部12a、第2コリメート部12b、偏光調整部14aおよび合波部15aを有する。
【0124】
第1発光素子11aは、第1レーザ光L1を出力する。第1発光素子11aの例および第1レーザ光L1の例は、第1実施形態における第1発光素子11aの例および第1レーザ光L1の例と同じである。第1発光素子11aは、第1素子搭載部53aに搭載されている。
【0125】
第2発光素子11bは、第2レーザ光L2を出力する。第2発光素子11bの例および第2レーザ光L2の例は、第1実施形態における第2発光素子11bの例および第2レーザ光L2の例と同じである。第2発光素子11bは、第2素子搭載部53bに搭載されている。
【0126】
第3実施形態においても、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、第1偏光である。
【0127】
第1発光素子11aは、x軸方向に沿って第1レーザ光L1を出力するように台座51に配置されている。第2発光素子11bは、第2発光素子11bから出力された第2レーザ光L2が、第1発光素子11aからの第1レーザ光L1の出力方向と交差するように台座51上に配置されている。第3実施形態では、第2発光素子11bからの第2レーザ光L2の出力方向は、y軸方向である。
【0128】
第1コリメート部12aおよび第2コリメート部12bは台座51に搭載されている。第1コリメート部12aは、第1発光素子11aから出力される第1レーザ光L1の光路に配置されている。第2コリメート部12bは、第2発光素子11bから出力される第2レーザ光L2の光路に配置されている。
【0129】
偏光調整部14aは、第1発光素子11aと合波部15aの間に配置されている。
図16および
図17では、偏光調整部14aは、第1発光素子11aと第1コリメート部12aとの間に配置されている形態を例示している。偏光調整部14aは入射された第1レーザ光L1の偏光を第1偏光から第2偏光に変更する。第3実施形態において、偏光調整部14aはλ/2板である。この場合、第2偏光は第1偏光の偏光方向が90°回転された直線偏光である。偏光調整部14aは、台座51に固定される。
【0130】
合波部15aは、台座51に搭載されている。合波部15aは、第1レーザ光L1の光路と第2レーザ光L2の光路の交点に配置されている。合波部15aは、第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を反射する反射部でもある。合波部15aは、第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を反射する偏光合波素子である。たとえば、偏光ビームスプリッタを偏光合波素子として使用できる。合波部15aは、たとえば紫外線硬化樹脂によって台座51に固定される。
【0131】
第3実施形態において、合波部15aは、合波部15aから出力される第1偏光の光と合波部15aによって反射される第2偏光の光が同軸であるように配置されている。以下、合波部15aからの出力光を、合波部15aに入射された2つの光の合波光と称す。
【0132】
合波部15aに入射する第1レーザ光L1は、偏光調整部14aを通過していることから、第2偏光の光である。合波部15aに入射する第2レーザ光L2は、第1偏光の光である。したがって、合波部15aは、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の合波光L12を出力する。
【0133】
合波部15aから出力される合波光L12の光路に、合波部15aの近い方から順に、反射部(第1反射部)62および反射部(第2反射部)63が配置されている。
【0134】
反射部62は、第2レーザ光L2を透過するとともに、第1レーザ光L1を走査ミラー21に向けて反射する。第1レーザ光L1は第2偏光の光であり、第2レーザ光L2は第1偏光の光である。よって、反射部62は、第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を反射する偏光分離素子(たとえば偏光ビームスプリッタ)でよい。反射部62は、たとえば、
図16に示したように、支持板55に支持されている。
【0135】
反射部63は、反射部62を透過した第2レーザ光L2を反射面21aの中心Oに向けて反射する。反射部63は光をその偏光状態に関わらず反射するミラーでよい。反射部63は、たとえば、
図16に示したように、支持板56に支持されている。
【0136】
図16に示したように、反射部62が支持板55によって支持されている形態では、支持板55には、反射部63で反射された第1レーザ光L1を通すように構成されている。たとえば、支持板55には、反射部63で反射された第1レーザ光L1を通すための開口部55aが形成されていてもよい。
【0137】
MEMS20の構成および配置形態は、第2実施形態の場合と同じである。すなわち、MEMS20は、ペルチェ素子30の近くにおいて、表面31aに平行に配置されている。MEMS20は、図示しない支持板を介して表面31aに取り付けられていてもよい。
【0138】
図18は、第3光出力部10Cから出力された合波光(第1レーザ光L1および第2レーザ光L2)の光路を模式的に示す図面である。
図18では、走査ミラー21が駆動されていな状態として走査ミラー21を図示している。
【0139】
図18に示したように、第3光出力部10Cから出力された合波光L12は反射部62に入射する。反射部62に入射した合波光L12のうち第1レーザ光L1は反射部62によって走査ミラー21に向けて反射される一方、第2レーザ光L2は反射部62を透過する。
図18では、反射部62を透過した第2レーザ光L2を破線で示している。反射部62を透過した第2レーザ光L2は反射部63に入射する。反射部63に入射した第2レーザ光L2は反射部63によって走査ミラー21に向けて反射される。
【0140】
反射面21aに入射した第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射面21aで反射され、窓部45から出力される。走査ミラー21が2次元的に駆動されることから、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2も2次元的に走査されて窓部45から出力される。そのため、
図19に示したように、第1レーザ光L1の第1検知範囲4aおよび第2レーザ光L2の第2検知範囲4bは異なる。
図19は、第3実施形態に係るモジュール本体2B(光モジュール1)の検知範囲の模式図である。
図19におけるs軸方向およびt軸方向は、
図7の場合と同じである。
【0141】
反射部62および反射部63のy軸方向の位置は異なる。反射部62および反射部63は、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査ミラー21の同じ位置(第3実施形では、反射面21aの中心O)に向けて反射する。この場合、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の反射面21aへの入射方向は異なる。具体的には、
図18に示したように、x軸方向からみた場合において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の反射面21aへの入射方向が異なる。その結果、
図19に示したように、第3実施形態では、第1検知範囲4aと第2検知範囲4bとは、t軸方向にズレている。よって、第3実施形態では、主にt軸方向の走査範囲を広げることができる。
【0142】
モジュール本体2Bにおいて、反射部62および反射部63は、異なる方向から第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が反射面21aに入射するように、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査ミラー21に向けて導く導光部として機能する。このような導光部をモジュール本体2Bが有する点に関する作用効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0143】
モジュール本体2Bは、モジュール本体2の場合と同じ制御回路3によって制御される。制御回路3による制御方法もモジュール本体2の場合と同じでよい。
【0144】
次に、第3実施形態に対する計算結果を説明する。第3実施形態に対する計算をケースCと称す。ケースCにおいても、反射面21aの中心Oを原点とした3次元直交座標系を設定した。x軸、y軸およびz軸の方向は第1実施形態の場合と同じであった。ケースCの説明においても、
図5に示したα軸およびβ軸を使用する。
【0145】
反射部62および反射部63それぞれと走査ミラー21との関係は、反射部61と走査ミラー21の関係と同じである。そのため、ケースCの計算モデルには、
図14に示した計算モデルを使用した。
【0146】
反射部62で反射された第1レーザ光L1に対する計算において、
図14に示した反射部Mは、反射部62に対応する。反射部63で反射された第2レーザ光L2に対する計算において、
図14に示した反射部Mは、反射部63に対応する。以下、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれに対する計算を区別する場合には、反射部Mを反射部62および反射部63と称す。
【0147】
反射部62および反射部63に対する入射ベクトルj、法線ベクトルnおよび反射ベクトルkには、式(4)から式(6)を使用した。反射面21aに対する入射ベクトルi、法線ベクトルcおよび反射ベクトルrには、式(7)から式(9)を使用した。
【0148】
モジュール本体2Bでは、合波部15aから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、y軸方向に沿って伝播する。したがって、ケースCにおいて、反射部62および反射部63に対するθyをいずれも0に設定した。
【0149】
反射部62からの反射ベクトルkにおけるθz(第1レーザ光L1に対するθz)を20°に設定し、反射部63からの反射ベクトルkにおけるθz(第2レーザ光L2に対するθz)を50°に設定した。
【0150】
ケースCでは反射面21aのα軸周りの振れ角範囲および反射面21aのβ軸周りの振れ角範囲をケースBの場合と同じ条件(すなわち、θh=±20°、θv=±10°)で計算を実施した。
【0151】
図20は、第3実施形態に対するケースCの結果を示す図面である。
図20においても、計算によって得られた反射ベクトルrをxz平面とyz平面からみた場合に、反射ベクトルrとz軸との間の角度をプロットしている。
図20の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
【0152】
図20中の実線は、第1レーザ光L1に対する結果であり、破線は第2レーザ光L2に対する結果である。
【0153】
第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を反射面21aに入射しながら走査ミラー21を駆動した場合、
図20に示した第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域が光モジュール1の最大走査範囲である。一方、モジュール本体2Bの構成では、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する結果が、発光素子の数が1つ、すなわち、反射面21aに入射されるレーザ光の数が1つである光モジュールの走査範囲に対応する。
【0154】
したがって、
図20より、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する走査範囲より広い。特に、y軸方向において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する走査範囲より広い。したがって、モジュール本体2Bの構成により、垂直方向(
図19におけるt軸方向に相当)に走査範囲を広げられることが
図20から理解され得る。
【0155】
(変形例1)
図21は、反射部62、反射部63および走査ミラー21による第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路の変形例を説明するための図面である。
【0156】
変形例1において、反射部62は、第1レーザ光L1を反射するとともに、第2レーザ光L2を透過する偏光分離素子であり、反射部63は、第2レーザ光L2を反射するとともに、第1レーザ光L1を透過する偏光分離素子である。変形例1の反射部62および反射部63の例は、偏光ビームスプリッタである。
【0157】
図21に示したように、反射部62に入射された合波光L12のうち第1レーザ光L1は反射面21aの中心Oに向けて反射される一方、第2レーザ光L2は反射部62を透過して反射部63に入射する。反射部63に入射した第2レーザ光L2は、反射部63によって反射面21aの中心Oに向けて反射される。
図21では、反射部62で反射された後の第1レーザ光L1の光路を破線で示している。
【0158】
変形例1においては、反射部62、反射部63および走査ミラー21は、反射部62で走査ミラー21に向けて反射された第1レーザ光L1が、反射面21aで反射された後に、反射部63を透過するとともに、反射部63で走査ミラー21に向けて反射された第2レーザ光L2が、反射面21aで反射された後に、反射部62を透過するように配置されている。
【0159】
変形例1では、走査ミラー21の駆動を停止している状態において、反射部62によって反射された後、反射部63から出力される第1レーザ光L1の光路と、反射部63によって反射された後、反射部62から出力される第2レーザ光L2の光路とが対称であるように、反射部62、反射部63および走査ミラー21は配置されている。たとえば、走査ミラー21は、y軸方向において、反射部62および反射部63の中央に配置され得る。
【0160】
変形例1では、反射面21aで反射された後に、反射部62および反射部63それぞれを透過した第2レーザ光L2および第1レーザ光L1が、変形例1の光路が適用されたモジュール本体2Bの出力光である。反射部62および反射部63は、走査ミラー21で2次元的に走査された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が通過可能なサイズを有する。
【0161】
変形例1で説明した反射部62、反射部63および走査ミラー21による第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路を採用した場合のケースDを説明する。
【0162】
第1レーザ光L1に対するθzを54°に設定し、第2レーザ光L2に対するθzを36°に設定した点以外は、ケースCと同じ条件でケースDを実施した。
【0163】
図22は、変形例1に対するケースDの結果を示す図面である。
図22における計算結果のプロットの方法は、
図20の場合と同じである。
図22の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
図22では、実線が第2レーザ光L2に対する結果であり、一点鎖線が第1レーザ光L1に対する結果である。
【0164】
図22より、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する走査範囲より広い。特に、y軸方向において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の結果を合わせた領域の走査範囲は、第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)に対する走査範囲より広い。したがって、モジュール本体2Bにおいて、反射部62、反射部63および走査ミラー21によって実現される第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路として
図21に示した光路を採用した場合でも、走査範囲を広げられることが
図22から理解され得る。
【0165】
変形例1では、走査ミラー21の駆動を停止している状態において、反射部62によって反射された後、反射部63から出力される第1レーザ光L1の光路と、反射部63によって反射された後、反射部62から出力される第2レーザ光L2の光路とが対称である。そのため、第1レーザ光L1の走査範囲および第2レーザ光L2の走査範囲は、x軸に対応する軸に対して対称に形成されやすい。したがって、変形例1を採用したモジュール本体2Bにおける全走査範囲(第1レーザ光L1の走査範囲および第2レーザ光L2の走査範囲を合わせた範囲)に生じる歪みを抑制できる。上記歪みは、レーザ光を走査しながら伝播することに伴う歪みである。このような歪みを抑制できることから、歪み解消のために、モジュール本体2Bから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれの光路を更に修正する必要が低減する。そのため、効率的に所望の検知範囲4をレーザ光によって走査できる。
【0166】
(第4実施形態)
図23は、第4実施形態に係るモジュール本体2Cの斜視図である。
図23では、カバー42が取り外された状態のモジュール本体2Cを示している。
図24は、
図23に示したモジュール本体2Cの平面図である。
【0167】
モジュール本体2Cは、第3光出力部10Cの代わりに、第4光出力部10Dおよび第5光出力部10Eを備える点で主に第3実施形態に係るモジュール本体2Bと相違する。第4実施形態においても、反射面21aの中心Oを原点とするx軸、y軸およびz軸によって規定される3次元直交座標系を用いてモジュール本体2Cを説明する。x軸、y軸およびz軸の方向は、第2実施形態および3実施形態の場合と同じである。
【0168】
第4光出力部10Dおよび第5光出力部10Eは、台座51に搭載されている。第4光出力部10Dおよび第5光出力部10Eは、仮想平面VPに対して対称に配置されている。第4実施形態において、仮想平面VPは、yz平面に対応する。
【0169】
[第4光出力部]
第4光出力部10Dは、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第1コリメート部12a、第2コリメート部12b、偏光調整部14a、反射部(第1反射部)16aおよび反射部(第2反射部)17aを有する。
【0170】
第1発光素子11a、第2発光素子11b、第1コリメート部12a、第2コリメート部12bおよび偏光調整部14aの構成および配置形態は、第2発光素子11bが、x軸方向においてy軸から離れている点で第3光出力部10Cの場合と異なる点以外は、第3光出力部10Cと同じである。
【0171】
すなわち、第1発光素子11aは、x軸方向に沿って第1レーザ光L1を出力するように台座51に配置されている。第2発光素子11bは、第2発光素子11bから出力された第2レーザ光L2が、第1発光素子11aからの第1レーザ光L1の出力方向と交差するように配置されている。第4実施形態では、第2発光素子11bからの第2レーザ光L2の出力方向はy軸方向である。第1コリメート部12aは第1レーザ光L1の光路に配置されている。第2コリメート部12bは、第2レーザ光L2の光路に配置されている。
【0172】
偏光調整部14aは、第1発光素子11aと反射部16aの間に配置されている。
図23では、偏光調整部14aは、第1発光素子11aと第1コリメート部12aの間に配置されている形態を例示している。偏光調整部14aは入射される第1レーザ光L1の偏光を第1偏光から第2偏光に変更する。第4実施形態において、偏光調整部14aはλ/2板である。この場合、第2偏光は第1偏光の偏光方向が90°回転された直線偏光である。
【0173】
反射部16aおよび反射部17aは台座51に搭載されている。反射部16aおよび反射部17aは、紫外線硬化樹脂によって台座51に固定されてよい。
【0174】
反射部16aは、第1レーザ光L1の光路と第2レーザ光L2の光路の交点に配置されている。反射部16aは、第2偏光の光を反射するとともに、第1偏光の光を透過する。反射部16aは、たとえば偏光ビームスプリッタである。反射部16aに入射される第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、第2偏光の光および第1偏光の光である。よって、反射部16aは、第1レーザ光L1を反射し、第2レーザ光L2を透過する。反射部16aは、反射部16aで反射された第1レーザ光L1の光路と反射部16aを透過した第2レーザ光L2の光路とが異なるように配置されている。
【0175】
反射部17aは、反射部16aで反射された第1レーザ光L1を反射部62に向けて反射するとともに、反射部16aを透過した第2レーザ光L2を反射部63に向けて反射する。反射部17aは偏光無依存ミラーでよい。
【0176】
[第5光出力部]
第5光出力部10Eは、第3発光素子11c、第4発光素子11d、第3コリメート部12c、第4コリメート部12d、偏光調整部14b、反射部(第5反射部)16bおよび反射部(第6反射部)17bを有する。第4実施形態において、第3発光素子11c、第4発光素子11d、第3コリメート部12c、第4コリメート部12d、偏光調整部14b、反射部16bおよび反射部17bは、仮想平面VPに対して、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第1コリメート部12a、第2コリメート部12b、偏光調整部14a、反射部16aおよび反射部17aと対称に配置されている。
【0177】
第3発光素子11cは、x軸方向に沿って第3レーザ光L3を出力するように台座51に配置されている。第3発光素子11cの例は第1発光素子11aの例と同じである。第3発光素子11cは、第1発光素子11aと仮想平面VPに対して対称に配置されている。したがって、第3レーザ光L3は、第3発光素子11cから、第1発光素子11aに向けて出力される。第3レーザ光L3の例は、第1レーザ光L1の例と同じでよい。第3発光素子11cは、台座51に固定された第3素子搭載部53cに搭載されている。第3素子搭載部53cは、第1素子搭載部53aと同じ構成を有してよい。第4実施形態において、第3レーザ光L3は、第1レーザ光L1と同じレーザ光である。このように第1レーザ光L1および第3レーザ光L3が同じ場合、第1発光素子11aおよび第3発光素子11cとして同じ特性の発光素子を使用できる。
【0178】
第4発光素子11dは、第4発光素子11dから出力された第4レーザ光L4が、第3発光素子11cからの第3レーザ光L3の出力方向と交差するように台座51に配置されている。第4発光素子11dの例は第2発光素子11bと同じである。第4発光素子11dは、第2発光素子11bと仮想平面VPに対して対称に配置されている。したがって、第4発光素子11dからの第4レーザ光L4の出力方向は、y軸方向である。第4レーザ光L4の例は、第2レーザ光L2の例と同じでよい。第4発光素子11dは、台座51に固定された第4素子搭載部53dに搭載されている。第4素子搭載部53dは、第2素子搭載部53bと同じ構成を有してよい。第4実施形態において、第4レーザ光L4は、第2レーザ光L2と同じレーザ光である。このように第2レーザ光L2および第4レーザ光L4が同じ場合、第2発光素子11bおよび第4発光素子11dとして同じ特性の発光素子を使用できる。
【0179】
第3コリメート部12cおよび第4コリメート部12dは台座51に搭載されている。第3コリメート部12cは、第3発光素子11cから出力される第3レーザ光L3の光路に配置されている。第4コリメート部12dは、第4発光素子11dから出力される第4レーザ光L4の光路に配置されている。第3コリメート部12cおよび第4コリメート部12dはレンズでよい。第3コリメート部12cおよび第4コリメート部12dは、第3レーザ光L3および第4レーザ光をコリメート光(平行光)として出力する。
【0180】
偏光調整部14bは、第3発光素子11cと反射部16bの間に配置されている。
図23では、偏光調整部14bは、第3発光素子11cと第3コリメート部12cとの間に配置されている形態を例示している。偏光調整部14bは入射される第3レーザ光L3の偏光を第1偏光から第2偏光に変更する。第4実施形態において、偏光調整部14bはλ/2板である。
【0181】
反射部16bおよび反射部17bは、台座51に搭載されている。反射部16bおよび反射部17bは、紫外線硬化樹脂によって台座51に固定されてよい。
【0182】
反射部16bは、第3レーザ光L3の光路と第4レーザ光L4の光路の交点に配置されている。反射部16bは、第2偏光の光を反射するとともに、第1偏光の光を透過する。反射部16bは、たとえば偏光ビームスプリッタである。反射部16bに入射される第3レーザ光L3および第4レーザ光L4は、それぞれ、第2偏光の光および第1偏光の光である。よって、反射部16bは、第3レーザ光L3を反射し、第4レーザ光L4を透過する。反射部16bは、反射部16bで反射された第3レーザ光L3の光路と反射部16bを透過した第4レーザ光L4の光路とが異なるように配置されている。
【0183】
反射部17bは、反射部16bで反射された第3レーザ光L3を反射部62に向けて反射するとともに、反射部16bを透過した第4レーザ光L4を反射部63に向けて反射する。反射部17bは偏光無依存のミラーでよい。
【0184】
反射部(第3反射部)62および反射部(第4反射部)63は、y軸方向に沿って反射部62および反射部63の順に配置されている。
【0185】
反射部62は、第1レーザ光L1および第3レーザ光L3を反射面21aの中心Oに向けて反射する。
図24に示したように、反射部63に向かう第2レーザ光L2および第4レーザ光L4が反射部62にも入射する場合、反射部62は、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4を透過する機能を有する。第1レーザ光L1は第2偏光の光であり、第2レーザ光L2は第1偏光の光である。よって、反射部63に向かう第2レーザ光L2および第4レーザ光L4が反射部62にも入射する場合、反射部62は、第2偏光の光を反射し、第1偏光の光を透過する偏光分離素子(たとえば偏光ビームスプリッタ)でよい。反射部62は、たとえば、
図23に示したように、支持板55に支持されている。
【0186】
反射部63は、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4を反射面21aの中心Oに向けて反射する。反射部63はミラーでもよい。反射部63は、たとえば、
図23に示したように、支持板56に支持されている。
【0187】
反射部62が支持板55によって支持されている形態では、支持板55には、反射部63で反射された第1レーザ光L1を通すように構成されている。たとえば、支持板55には、反射部63で反射された第1レーザ光L1を通すための開口部55aが形成されていてもよい。
【0188】
反射部16a、反射部16b、反射部17a、反射部17b、反射部62および反射部63は、次の(a)から(d)を満たすように配置されている。
(a)反射部62によって反射された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3は異なる方向から反射面21aに入射する。
(b)反射部63によって反射された第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は異なる方向から反射面21aに入射する。
(c)反射部62によって反射された第1レーザ光L1および反射部63によって反射された第2レーザ光L2も異なる方向から反射面21aに入射する。
(d)反射部62によって反射された第3レーザ光L3および反射部63によって反射された第4レーザ光L4も異なる方向から反射面21aに入射する。
【0189】
したがって、反射部16a、反射部16b、反射部17a、反射部17b、反射部62および反射部63は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4が異なる方向で反射面21aに入射するように、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4を導く導光部として機能している。
【0190】
MEMS20の構成および配置形態は、第2実施形態の場合と同じである。すなわち、MEMS20は、ペルチェ素子30の近くにおいて、表面31aに平行に配置されている。MEMS20は、図示しない台座を介して表面31aに取り付けられていてもよい。
【0191】
図25は、第4光出力部10Dから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2並びに第5光出力部10Eから出力された第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の光路を模式的に示す図面である。
図25では、走査ミラー21が駆動されていない状態の走査ミラー21を図示している。
【0192】
図25は、反射部62、反射部63および走査ミラー21で構成される光学系を、x軸方向からみた場合を示している。よって、反射部62に入射する第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の光路は、
図25では同じである。
図25では、反射部62で反射された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3の光路も同じである。
図25では、反射部63で反射された第2レーザ光L2および第4レーザ光L4の光路も同じである。
【0193】
図25に示したように、第4光出力部10Dから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光および第5光出力部10Eから出力された第3レーザ光L3および第4レーザ光L4は、反射部62に入射する。反射部62に入射した第1レーザ光L1および第3レーザ光L3は反射部62で走査ミラー21に向けて反射される一方、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は反射部62を透過する。
図25では、反射部62によって反射された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3の光路を実線で示している。反射部62を透過した第2レーザ光L2および第4レーザ光L4の光路を破線で示している。反射部62を透過した第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は反射部63に入射する。反射部63に入射した第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は反射部63によって走査ミラー21に向けて反射される。
【0194】
反射面21aに入射した第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4は、反射面21aで反射され、窓部45から出力される。
【0195】
[制御回路]
図26は、モジュール本体2Cを制御するための制御回路3Aの機能ブロック図である。制御回路3Aは、第3発光素子11cを制御するための第3駆動回路3eと、第4発光素子11dを制御するための第4駆動回路3fを更に備える点以外は、制御回路3と同じである。第3駆動回路3eおよび第4駆動回路3fは、LDドライバでよい。
【0196】
第1駆動回路3a、第2駆動回路3b、第3駆動回路3eおよび第4駆動回路3fは、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の発光タイミングが異なるように第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cおよび第4発光素子11dを駆動してもよい。
【0197】
第1駆動回路3a、第2駆動回路3b、第3駆動回路3eおよび第4駆動回路3fは、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の変調波形が異なるように第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cおよび第4発光素子11dを駆動してもよい。たとえば、第1駆動回路3a、第2駆動回路3b、第3駆動回路3eおよび第4駆動回路3fは、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4のパルス幅が互いに異なるように、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cおよび第4発光素子11dを駆動してもよい。第1駆動回路3a、第2駆動回路3b、第3駆動回路3eおよび第4駆動回路3fは、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の時間的な強度を変調することによって、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の変調波形が互いに異なるように、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cおよび第4発光素子11dを駆動してもよい。
【0198】
モジュール本体2Cの構成では、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4(以下、「4本のレーザ光」とも称す)を反射面21aに異なる方向から入射できる。具体的には、たとえば、走査ミラー21を駆動していない状態において反射面21aの中心Oに向け、z軸方向(垂直方向)およびy軸方向に対する角度の異なる4本のレーザ光を反射面21aに入射できる。反射面21aに入射した上記4本のレーザ光は、走査ミラー21に2次元的に走査されながら、モジュール本体2Cから出力される。そのため、
図27に示したように、モジュール本体2Cから出力された第1レーザ光L1が、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の走査範囲が第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dとして機能する。
【0199】
図27は、モジュール本体2C(光モジュール1)の検知範囲の模式図である。
図27におけるs軸方向およびt軸方向は、
図7の場合と同じである。
図27において、実線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第1レーザ光L1によって形成される第1検知範囲4aである。
図27において、実線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第2レーザ光L2によって形成される第2検知範囲4bである。
図27において、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第3レーザ光L3によって形成される第3検知範囲4cである。
図27において、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第4レーザ光L4によって形成される第4検知範囲4dである。
【0200】
上記4本のレーザ光は、反射面21aに異なる角度で入射することから、反射面21aによる第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の反射方向も異なる。その結果、
図27に模式的に示したように、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dも異なる。走査ミラー21の振れ角によっては、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dの一部は重なってもよい。したがって、「第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dが異なる」ことは、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dが完全に一致していないことを意味する。
【0201】
第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dはそれぞれ物体を検知可能な範囲であることから、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dによって検知可能な全範囲が光モジュール1の検知範囲4として機能する。したがって、モジュール本体2Cと制御回路3Aとを含む光モジュール1の構成では、MEMS20に入射するレーザ光が1本の場合より、図におけるs軸方向およびt軸方向の両方において広い走査範囲を確保可能である。
【0202】
モジュール本体2Cにおいて、反射部16a、反射部16b、反射部17a、反射部17b、反射部62および反射部63は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4が異なる方向で反射面21aに入射するように、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4を導く導光部として機能する。このような導光部をモジュール本体2Cが有する点に関する作用効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0203】
第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の発光タイミングが異なる形態では、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の波長が同じ場合でも、物体から戻ってきた光が、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4のうちのどのレーザ光であるかを区別可能である。すなわち、モジュール本体2C(光モジュール1)から同じ波長の第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4を出力しても、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dのうち物体が存在する検知範囲を区別可能である。
【0204】
第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の変調波形が異なる場合も、物体から戻ってきた光が、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4のうちのどのレーザ光であるかを区別可能である。すなわち、すなわち、モジュール本体2C(光モジュール1)から同じ波長の第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4を出力しても、第1検知範囲4a、第2検知範囲4b、第3検知範囲4cおよび第4検知範囲4dのうち物体が存在する検知範囲を区別可能である。
【0205】
次に、第4実施形態に対する計算結果を説明する。第4実施形態に対する計算をケースEと称す。ケースEにおいても、反射面21aの中心Oを原点とした3次元直交座標系を設定した。x軸、y軸およびz軸の方向は第1実施形態の場合と同じであった。ケースEの説明においても、
図5に示したα軸およびβ軸を使用する。
【0206】
反射部62および反射部63それぞれと走査ミラー21との関係は、反射部61と走査ミラー21の関係と同じである。そのため、ケースEの計算モデルには、
図14に示した計算モデルを使用した。
【0207】
反射部62で反射された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3に対する計算において、
図14に示した反射部Mは、反射部62に対応する。反射部63で反射された第2レーザ光L2および第4レーザ光L4に対する計算において、
図14に示した反射部Mは、反射部63に対応する。以下、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4それぞれに対する計算を区別する場合には、反射部Mを反射部62および反射部63と称す。
【0208】
反射部62および反射部63に対する入射ベクトルj、法線ベクトルnおよび反射ベクトルkには、式(4)から式(6)を使用した。反射面21aに対する入射ベクトルi、法線ベクトルcおよび反射ベクトルrには、式(7)から式(9)を使用した。
【0209】
(角度θyの設定値)
第1レーザ光L1に対応する入射ベクトルjとy軸方向との間の角度θyを30°に設定した。
第3レーザ光L3に対応する入射ベクトルjとy軸方向との間の角度θyを-30°に設定した。
第2レーザ光L2に対応する入射ベクトルjとy軸方向との間の角度θyを18°に設定した。
第4レーザ光L4に対応する入射ベクトルjとy軸方向との間の角度θyを-18°に設定した。
【0210】
(角度θzの設定値)
第1レーザ光L1および第3レーザ光L3に対応する反射部Mの反射面とz軸とのなす角θzを36°に設定した。
第2レーザ光L2および第4レーザ光L4に対応する反射部Mの反射面とz軸とのなす角θzを25°に設定した。
【0211】
ケースEでは反射面21aのα軸周りの振れ角範囲および反射面21aのβ軸周りの振れ角範囲をケースBの場合と同じ条件(すなわち、θh=±20°、θv=±10°)で計算を実施した。
【0212】
図28は、第4実施形態に対する計算結果を示した図面である。
図28では、計算によって得られた反射ベクトルrをxz平面とyz平面からみた場合に、反射ベクトルrとz軸との間の角度をプロットしている。
図28の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
【0213】
図28中の実線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第1レーザ光L1に対する結果であり、実線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第2レーザ光L2に対する結果であり、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第3レーザ光L3に対する結果であり、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第4レーザ光L4に対する結果である。
【0214】
図28においても、参考のために、発光素子が1つの場合に対する計算結果を、レーザ光L0の結果として示している。レーザ光L0に対する計算では、レーザ光L0がy軸に沿って反射部62に入射し、反射部62によって走査ミラー21に向けて反射される場合を想定した。レーザ光L0に対する計算では、角度θyを0°に設定するとともに、角度θzを20°に設定した。
【0215】
第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4を反射面21aに入射しながら走査ミラー21を駆動した場合、
図28に示した第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3の結果を合わせた領域で表される角度範囲がモジュール本体2C(光モジュール1)の最大走査範囲である。
【0216】
したがって、
図28に示した結果より、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の結果を合わせた結果を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。したがって、モジュール本体2Cの構成でも、走査範囲を広げられることが
図28から理解され得る。更に、
図28に示した結果では、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の結果を合わせた結果を合わせた領域の走査範囲は、x軸方向およびy軸方向の両方において、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。したがって、モジュール本体2Cの構成では、直交する2方向それぞれに対する走査範囲を広げられることが可能である。
【0217】
(変形例2)
第4実施形態に係るモジュール本体2Cに対しても、第3実施形態に対する変形例1に対応する変形例を適用できる。
図29は、反射部62、反射部63および走査ミラー21による第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の光路の変形例を説明するための図面である。
【0218】
図29は、反射部62、反射部63および走査ミラー21によって構成される光学系をx軸方向からみた場合の図面である。変形例2における光路の説明は、x軸方向からみた場合に基づいている。
図29に示したように、反射部62に入射する第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の光路は、x軸方向からみた場合は同じであるが、
図24に示したように、z軸方向からみた場合は異なっている。
【0219】
変形例2において、反射部62は、第1レーザ光L1および第3レーザ光L3を反射するとともに、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4を透過する偏光分離素子である。反射部63は、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4を反射するとともに、第1レーザ光L1および第3レーザ光L3を透過する偏光分離素子である。変形例2の反射部62および反射部63の例は、偏光ビームスプリッタである。
【0220】
図29に示したように、反射部62に入射された第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4のうち第1レーザ光L1および第3レーザ光L3は走査ミラー21に向けて反射される一方、第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は反射部62を透過して反射部63に入射する。反射部63に入射した第2レーザ光L2および第4レーザ光L4は、反射部63によって走査ミラー21に向けて反射される。
【0221】
変形例2においては、反射部62、反射部63および走査ミラー21は、反射部62で反射面21aの中心Oに向けて反射された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3が、反射面21aで反射された後に、反射部63を透過するとともに、反射部63で反射面21aの中心Oに向けて反射された第2レーザ光L2および第4レーザ光L4が、反射面21aで反射された後に、反射部62を透過するように配置されている。
【0222】
変形例2では、走査ミラー21の駆動を停止している状態において、反射部62によって反射された後、反射部63から出力される第1レーザ光L1(および第3レーザ光L3)の光路と、反射部63によって反射された後、反射部62から出力される第2レーザ光L2(および第4レーザ光L4)の光路とが対称であるように、反射部62、反射部63および走査ミラー21は配置されている。たとえば、走査ミラー21は、y軸方向において、反射部62および反射部63の中央に配置され得る。
【0223】
変形例2では、反射面21aで反射された後に、反射部62および反射部63を透過した第2レーザ光L2および第4レーザ光L4並びに反射部63を透過した第1レーザ光L1および第3レーザ光L3が、変形例2が適用されたモジュール本体2Cからの出力光である。反射部62は、走査ミラー21で2次元的に走査された第2レーザ光L2および第4レーザ光L4が通過可能なサイズを有する。反射部63は、走査ミラー21で2次元的に走査された第1レーザ光L1および第3レーザ光L3が通過可能なサイズを有する。
【0224】
変形例2に対する計算をケースFと称す。ケースFを説明する。
【0225】
反射部62からの反射ベクトルkにおけるθz(変形例2では第1レーザ光L1および第3レーザ光L3に対するθz)を54°に設定し、反射部63からの反射ベクトルkにおけるθz(変形例2では第2レーザ光L2および第3レーザ光L3に対するθz)を36°に設定した点以外、ケースEと同じ条件でケースFを実施した。
【0226】
図30は、変形例2に対する計算結果を示した図面である。
図30では、計算によって得られた反射ベクトルrをxz平面とyz平面からみた場合に、反射ベクトルrとz軸との間の角度をプロットしている。
図30の横軸は、x軸方向に沿った角度であり、縦軸はy軸方向に沿った角度である。
【0227】
図30中の実線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第1レーザ光L1に対する結果であり、実線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第2レーザ光L2に対する結果であり、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されている領域が第3レーザ光L3に対する結果であり、一点鎖線で囲まれる領域であってハッチングが付されていない領域が第4レーザ光L4に対する結果である。
【0228】
図30においても、参考のために、発光素子が1つの場合に対する計算結果を、レーザ光L0の結果として示している。レーザ光L0に対する計算条件は、
図28の場合と同じであった。
【0229】
図30に示した第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の結果を合わせた領域で表される角度範囲が、変形例2を採用したモジュール本体2C(光モジュール1)の最大走査範囲である。したがって、
図30より、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2、第3レーザ光L3および第4レーザ光L4の走査範囲を合わせた領域の走査範囲は、レーザ光L0に対する走査範囲より広い。よって、変形例2を適用したモジュール本体2Cの構成でも、走査範囲を広げられることが
図30から理解され得る。更に、
図30より、変形例2を適用したモジュール本体2Cの構成でも、直交する2方向それぞれに対する走査範囲を広げられることが可能であることが理解される。
【0230】
変形例2では、走査ミラー21の駆動を停止している状態において、x軸方向からみた場合、反射部62によって反射された後、反射部63から出力される第2レーザ光L2および第4レーザ光L4の光路と、反射部63によって反射された後、反射部62から出力される第1レーザ光L1および第3レーザ光L3の光路とが対称である。そのため、上記光路が対称な点に関して、変形例2を採用したモジュール本体2Cは、変形例1を採用したモジュール本体2Bと同じ作用効果を有する。
【0231】
(第5実施形態)
図31は、第5実施形態に係るモジュール本体2Dの斜視図である。
図31では、カバー42を外した状態のモジュール本体2Dを図示している。
【0232】
モジュール本体2Dは、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bの代わりに、第1光出力部10A1および第2光出力部10B1を備える点で、主に第2実施形態に係るモジュール本体2Aと相違する。
【0233】
第1光出力部10A1および第2光出力部10B1は、反射部13aおよび反射部13b(
図11参照)を有しない点で、第1光出力部10Aおよび第2光出力部10Bと相違する。
【0234】
第1光出力部10A1は、第1発光素子11aと第1コリメート部12aを有する一方、前述したように反射部13aを有しない。したがって、第1コリメート部12aから出力された第1レーザ光L1が、第1光出力部10A1からの出力光である。第1光出力部10A1は、第1発光素子11aの光軸が、第1光出力部10Aにおいて反射部13aによって反射された第1レーザ光L1の光路に沿うように配置されている。この場合、第1発光素子11aは、光軸がy軸方向に対して傾いた状態で配置されている。
【0235】
第2光出力部10B1は、第2発光素子11bと第2コリメート部12bを有する一方、前述したように反射部13bを有しない。したがって、第2コリメート部12bから出力された第2レーザ光L2が、第2光出力部10B1からの出力光である。第2光出力部10B1は、第2発光素子11bの光軸が、第2光出力部10Bにおいて反射部13bによって反射された第2レーザ光L2の光路に沿うように配置されている。この場合、第2発光素子11bは、光軸がy軸方向に対して傾いた状態で配置されている。
【0236】
第1光出力部10A1および第2光出力部10B1は、
図31に示したように一つの素子搭載部53に搭載されてよい。素子搭載部53は、第1発光素子11aおよび第2発光素子11bが固定される第1面531と、第1コリメート部12aおよび第2コリメート部12bが固定される第2面532とを有する。第1コリメート部12aおよび第2コリメート部12bの光軸が、第1発光素子11aおよび第2発光素子11bの光軸と実質的に一致するように、第2面532は、第1面531より表面31aに近い位置に設けられている。
【0237】
上記第1光出力部10A1の配置では、第1光出力部10A1が有する第1発光素子11aから出力された第1レーザ光L1は第1コリメート部12aによってコリメート光に変換された後、第1光出力部10Aから第1レーザ光L1が出力された場合と同じ光路を通って反射面21aに入射される。上記第2光出力部10B1の配置では、第2光出力部10B1が有する第2発光素子11bから出力された第2レーザ光L2は第2コリメート部12bによってコリメート光に変換された後、第2光出力部10Bから第2レーザ光L2が出力された場合と同じ光路を通って反射面21aに入射される。
【0238】
すなわち、第1コリメート部12aから出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射部61に入射する。反射部61に入射された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2は、反射部61によって反射され、反射面21aに異なる方向から入射される。
【0239】
モジュール本体2Dでは、第1光出力部10A1および第2光出力部10B1から出力された第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の光路は、第2実施形態の場合と同じである。したがって、モジュール本体2Dおよびそれを備えた光モジュール1は、モジュール本体2Aおよびそれを備えた光モジュール1の場合と同じ作用効果を有する。
【0240】
モジュール本体2Dでは、反射部13aおよび反射部13bを有しない。したがって、モジュール本体2Dおよびそれを含む光モジュールの大型化をより防ぎやすい。
【0241】
(第6実施形態)
図32は、第6実施形態に係るモジュール本体2Eの斜視図である。モジュール本体2Eは、カバー42の代わりにカバー42Aを備える点で、第2実施形態に係るモジュール本体2Aと相違する。
【0242】
カバー42Aは、湾曲したドーム型の天部44Aを有する。天部44Aには、天部44Aの湾曲形状に沿った窓部45Aが形成されている。
図32に示した形態では、窓部45Aは、z軸方向からみてx軸方向に沿っている。
【0243】
材料の透過率には入射角依存性があり、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の窓部45Aに対する入射角が変化すると、窓部45Aを透過する光の強度が変化する。モジュール本体2Eが、天部44Aの湾曲形状に沿った窓部45A入射角の変化を抑え、窓部45Aを透過する光の強度が光出射方向に依存して変化することを抑制できる。
【0244】
走査ミラー21によって走査されることによって、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2それぞれの軌跡は、反射面21a(具体的には中心O)に対して弧を描く。よって、窓部45Aが上記のように湾曲していることで、効率的に第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を出力可能である。第2実施形態のモジュール本体2Aの構成では、
図7に示した計算結果のように、x軸方向の走査範囲が大きい。したがって、窓部45Aが上記のように設けられているカバー42Aを採用することによって走査ミラー21が実現可能な最大の振れ角で、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を走査し易い。
【0245】
カバー42Aは、x軸方向においてより大きな走査範囲を実現可能な、第1実施形態および第5実施形態にも適用可能である。窓部のy軸方向の幅を調整することによって、カバー42Aは、第4実施形態にも適用可能である。
【0246】
第3実施形態のモジュール本体2Bにように、y軸方向に対する走査範囲がより大きい場合には、x軸方向からみた場合に湾曲しているカバーであって、z軸方向からみてy軸方向に沿った窓部を有するカバーを採用すれば良い。
【0247】
以上、本開示による光モジュールの種々の実施形態を説明したが、本開示による光モジュールは、例示した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0248】
光モジュールから2本のレーザ光(第1レーザ光および第2レーザ光)が出力される形態と、4本のレーザ光(第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光)が出力される形態を例示した。しかしながら、光モジュールからは3本のレーザ光が異なる方向に出力されてもよいし、5本以上のレーザ光が異なる方向に出力されてもよい。
【0249】
光モジュールから出力される2本以上のレーザ光の波長は異なってもよい。たとえば、第1レーザ光の波長と第2レーザ光の波長は異なってもよいし、第1レーザ光、第2レーザ光、第3レーザ光および第4レーザ光の波長は異なってもよい。ここで、2本のレーザ光の波長が異なることは、2本のレーザ光の中心波長の差が少なくとも30nm以上であることを意味する。光モジュールから出力される2本以上のレーザ光の波長が異なる場合、戻り光が、どのレーザ光によるものであるか区別し、さらに走査部における反射面の振れ角と紐づけることで、走査範囲内のどこからの戻り光であるかを特定できる。
【0250】
上記のように2本以上のレーザ光の波長が異なる場合、上記実施形態において、偏光の違いを利用した光部品は、波長の違いを利用した光部品でよい。たとえば、第3実施形態の合波部15a、反射部62、反射部63および第4実施形態の反射部16a、反射部16b、反射部62および反射部63には、偏光の違いを利用した実現していた機能を波長の違いを利用して実現可能に構成された波長選択フィルタ、ダイクロイックミラー等を使用できる。
【0251】
上記のように2本以上のレーザ光の波長が異なる場合、光モジュールを検知装置の光源に利用した場合、波長の違いによって、戻り光を区別可能である。
【0252】
光モジュールは、2本以上のレーザ光が異なる方向から走査部に入射されるように構成されていれば限定されない。たとえば、第2実施形態において、第1光出力部と第2光出力部とは仮想平面VPに対称でなくでもよいし、第4実施形態において、第4光出力部と第5光出力部も仮想平面VPに対して対称でなくでもよい。
【0253】
第1レーザ光および第2レーザ光は、パルス光でもよいし、連続光でもよい。第3レーザ光および第4レーザ光もパルス光でもよいし、連続光でもよい。
【0254】
MEMS20は揺動軸が、
図5に示したα軸またはβ軸のどちらか一方のみである1軸MEMSでもよい。
【0255】
光モジュールは、レーザ光によって映像を描画する描画装置の光源として利用することも可能である。走査部は、MEMSに限定されない。
【0256】
カバー42の天部44または天部44Aに光を出射するための窓部45または窓部45Aが設けられている場合を主に説明したが、胴部43に窓部45または窓部45Aが渡っている場合や胴部43のみに窓部45または窓部45Aが設けられてもよい。
【0257】
モジュール本体を制御する制御回路は、光モジュールの外部に配置されていてもよい。すなわち、光モジュールは、制御回路を備えなくてもよい。
【0258】
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0259】
1…光モジュール
2,2A,2B,2C,2D,2E…モジュール本体
3,3A…制御回路
3a…第1駆動回路
3b…第2駆動回路
3c…走査制御回路
3d…温度調整回路
3e…第3駆動回路
3f…第4駆動回路
4a…第1検知範囲
4b…第2検知範囲
4c…第3検知範囲
4d…第4検知範囲
4…検知範囲
10A,10A1…第1光出力部
10B,10B1…第2光出力部
10C…第3光出力部
10D…第4光出力部
10E…第5光出力部
11a…第1発光素子
11b…第2発光素子
11c…第3発光素子
11d…第4発光素子
12a…第1コリメート部
12b…第2コリメート部
12c…第3コリメート部
12d…第4コリメート部
13a…反射部(第1反射部、導光部)
13b…反射部(第2反射部、導光部)
14a…偏光調整部
14b…偏光調整部
15a…合波部
16a…反射部(第1反射部、導光部)
16b…反射部(第5反射部、導光部)
17a…反射部(第2反射部、導光部)
17b…反射部(第6反射部、導光部)
20…MEMS(走査部)
21…走査ミラー
21a…反射面
22…駆動部
23…枠部
30…ペルチェ素子(第1支持体)
31…吸熱板
31a…表面(主面)
32…放熱板
33…半導体柱
40…収容部
41…支持基板
42,42A…カバー
43…胴部
44,44A…天部
44a…開口
45,45A…窓部
46…導電部材
51…台座(第2支持体)
51a…表面
52…台座
52a…傾斜面
53…素子搭載部
531…第1面
532…第2面
53a…第1素子搭載部
53b…第2素子搭載部
53c…第3素子搭載部
53d…第4素子搭載部
54…支持板(第3支持体)
55…支持板
55a…開口部
56…支持板
61…反射部(第3反射部、導光部)
62…反射部(第1反射部(第3実施形態)、第3反射部(第4実施形態)、導光部)
63…反射部(第2反射部(第3実施形態)、第4反射部(第4実施形態)、導光部)
L1…第1レーザ光
L2…第2レーザ光
L3…第3レーザ光
L4…第4レーザ光
L12…合波光
O…中心
VP…仮想平面
θM…傾斜角
M…反射部
c…法線ベクトル
r…反射ベクトル
i…入射ベクトル
j…入射ベクトル
n…法線ベクトル
k…反射ベクトル(入射ベクトル)