特開 2024-151974 ケーブル固定装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024151974

(43)【公開日】2024-10-25

(54)【発明の名称】ケーブル固定装置

(51)【国際特許分類】

   H05K 7/00 20060101AFI20241018BHJP

   F16B 21/04 20060101ALI20241018BHJP

   F16B 5/10 20060101ALI20241018BHJP

【ＦＩ】

H05K7/00 F

F16B21/04 K

F16B5/10 D

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023065833

(22)【出願日】2023-04-13

(71)【出願人】

【識別番号】000105659

【氏名又は名称】ニデックコンポーネンツ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001737

【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】飛内 康宏

(72)【発明者】

【氏名】石田 博英

(72)【発明者】

【氏名】井ノ口 貴敏

【テーマコード（参考）】

3J001

3J037

4E352

【Ｆターム（参考）】

3J001FA19

3J001GB01

3J001GC04

3J001GC12

3J001HA02

3J001HA07

3J001JD00

3J001JD21

3J001KA19

3J037AA01

3J037CA01

4E352BB10

4E352CC33

4E352DD05

4E352DR05

4E352DR26

4E352DR40

4E352EE03

4E352GG10

4E352GG12

(57)【要約】

【課題】 本発明の実施形態は、簡単な構造で確実にケーブルを固定することが可能なケーブル固定装置を提供する。
【解決手段】 ヘッド１１は、固定部１２ｃの表面に接触される第１面１１ａと、挿入部１１ｂとを有している。挿入部１１ｂは、複数の第１突起１１ｃと、複数の第２突起１１ｄとを含んでいる。各第１突起は、第１の幅Ｗ１を有し、各第２突起は、第１の幅より狭い第２の幅Ｗ２を有している。貫通孔１２ｄは、複数の第１突起が挿入される複数の第１切欠き部１２ｅと、複数の第２突起が接触することが可能な複数の第２切欠き部１２ｆと、を含み、第１切欠き部は、ヘッドが前記軸の周り方向に回転されたとき、第２突起が移動することが可能な通路部１２ｇを具備する。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ケーブルに設けられたヘッドと、前記ケーブルと前記ヘッドの一部が挿入される貫通孔を有する機器の固定部と、を具備するケーブル固定装置であって、
前記ヘッドは、前記固定部の表面に接触される第１面と、前記第１面に対して垂直に設けられ、前記ケーブルを保持し、前記固定部の前記貫通孔に挿入される挿入部を有し、
前記挿入部は、周囲に複数の第１突起と、複数の第２突起とを含み、前記複数の第１突起は、前記第１面から前記固定部の厚みだけ離れた位置に互いに所定角度離間して配置され、前記複数の第２突起は、前記複数の第１突起と前記第１面との間で、前記複数の第１突起と対応する位置に配置され、
前記貫通孔は、前記複数の第１突起及び前記複数の第２突起が挿入される複数の第１切欠き部と、隣り合う前記第１切欠き部の間に配置され、前記ヘッドが前記挿入部と前記貫通孔の中心を通る軸の周り方向に回転されたとき、前記複数の第２突起が接触することが可能な複数の第２切欠き部と、
を含み、
前記第１切欠き部は、前記ヘッドが前記軸の周り方向に回転されたとき、前記第２突起が移動することが可能な通路部を具備することを特徴とするケーブル固定装置。

【請求項2】

前記第１突起は、前記軸の周り方向の第１の幅を有し、前記第２突起は、前記軸の周り方向の第２の幅を有し、前記第１突起は、前記軸から先端までの第１の長さを有し、前記第２突起は、前記軸から先端までの第２の長さを有し、
前記第２突起の前記第２の幅が前記第１突起の第１の幅以下で、前記第２突起の前記第２の長さが前記第１突起の前記第１の長さ以下である場合、前記第１切欠き部の前記軸の周り方向の第３の幅は、前記第１突起の前記第１の幅より広く、前記軸から前記第１切欠き部の先端までの第３の長さは、前記第１の長さ以上であり、前記第２切欠き部の前記軸の周り方向の第４の幅は、前記第１突起の前記第１の幅より狭く、前記第２突起の前記第２の幅より広いことを特徴とする請求項１に記載のケーブル固定装置。

【請求項3】

前記第１突起は、前記軸の周り方向の第１の幅を有し、前記第２突起は、前記軸の周り方向の第２の幅を有し、前記第１突起は、前記軸から先端までの第１の長さを有し、前記第２突起は、前記軸から先端までの第２の長さを有し、
前記第２突起の前記第２の幅が前記第１突起の第１の幅以下で、前記第２突起の前記第２の長さが前記第１突起の前記第１の長さより大きい場合、前記第１切欠き部の前記軸の周り方向の第３の幅は、前記第１突起の前記第１の幅より広く、前記軸から先端までの第３の長さは、前記第２突起の前記第２の長さより長く、前記第２切欠き部の前記軸の周り方向の第４の幅は、前記第２突起の前記第２の幅より広く前記第１突起の前記第１の幅より狭いことを特徴とする請求項１に記載のケーブル固定装置。

【請求項4】

前記第１突起は、前記軸の周り方向の第１の幅を有し、前記第２突起は、前記軸の周り方向の第２の幅を有し、前記第１突起は、前記軸から先端までの第１の長さを有し、前記第２突起は、前記軸から先端までの第２の長さを有し、
前記第２突起の前記第２の幅が前記第１突起の第１の幅より大きく、前記第２突起の前記第２の長さが前記第１突起の前記第１の長さより短い場合、前記第１切欠き部の前記軸の周り方向の第３の幅は、前記第２突起の前記第２の幅より広く、前記軸から先端までの第３の長さは、前記第１突起の前記第１の長さより長く、前記第２切欠き部の前記軸の周り方向の第４の幅は、前記第２突起の前記第２の幅より広いことを特徴とする請求項１に記載のケーブル固定装置。

【請求項5】

前記第１切欠き部の前記通路部と前記第２切欠き部との間の境界部と前記軸との間の長さは、前記第２突起の前記第２の長さより短いことを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のケーブル固定装置。

【請求項6】

前記複数の第１突起のうちの１つは、他の第１突起と形状が異なり、前記複数の第２突起は、全て同一形状であることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のケーブル固定装置。

【請求項7】

前記第２突起の数は、前記第１突起の数と同数であることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のケーブル固定装置。

【請求項8】

前記第２突起の数は、前記第２切欠き部の数と等しいことを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のケーブル固定装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明の実施形態は、例えば電子機器に適用されるケーブルの固定装置に関する。

【背景技術】

【0002】

例えば電子機器の筐体にケーブルを固定する簡便な手段として、ケーブルに設けられたブッシュを例えば金属製のＥリングを用いて筐体に締結する方法がある。しかし、Ｅリングを用いる場合、部品点数が増加する。

【0003】

そこで、種々のケーブル固定装置が開発されている。この種のケーブル固定装置は、電子機器の例えば筐体に設けられた貫通孔と、ケーブルに設けられ、貫通孔と同一形状のフランジを有する固定具とを具備している。固定具を筐体に装着する際、固定具のフランジを筐体の貫通孔に挿入し、その後、固定具を例えば９０°回転することにより、固定具が筐体に固定される（例えば特許文献１乃至７参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】実開昭５７－１６３７７７号公報

【特許文献2】実開昭６３－００５６７８号公報

【特許文献3】実開昭５２－０４３６９８号公報

【特許文献4】特開平０２－２９８０９９号公報

【特許文献5】特開２００２－０９４２５８号公報

【特許文献6】特許第３２３３４１５号公報

【特許文献7】特許第５７７６９８８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

従来のケーブル固定装置は、貫通孔の周囲の筐体に傾斜部や突起などの構造物を設け、固定具のフランジと筐体の傾斜部又は突起などの構造物との摩擦力により固定具が筐体から脱落することが防止されている。あるいは、固定具のフランジに設けられた突起と筐体に設けられた凹部とを係合させることにより、固定具が筐体から脱落することが防止されている。

【0006】

しかし、貫通孔の周囲の筐体に別の構造物を設けたり、固定具のフランジに突起を設けたりすることは、筐体や固定具のフランジの構造が複雑化し、これらの製造に多くの工数を必要とする。

【0007】

本発明の実施形態は、簡単な構造で確実にケーブルを固定することが可能なケーブル固定装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本実施形態のケーブル固定装置は、ケーブルに設けられたヘッドと、前記ケーブルと前記ヘッドの一部が挿入される貫通孔を有する機器の固定部と、を具備するケーブル固定装置であって、前記ヘッドは、前記固定部の表面に接触される第１面と、前記第１面に対して垂直に設けられ、前記ケーブルを保持し、前記固定部の前記貫通孔に挿入される挿入部を有し、前記挿入部は、周囲に複数の第１突起と、複数の第２突起とを含み、前記複数の第１突起は、前記第１面から前記固定部の厚みだけ離れた位置に互いに所定角度離間して配置され、前記複数の第２突起は、前記複数の第１突起と前記第１面との間で、前記複数の第１突起と対応する位置に配置され、前記貫通孔は、前記複数の第１突起及び前記複数の第２突起が挿入される複数の第１切欠き部と、隣り合う前記第１切欠き部の間に配置され、前記ヘッドが前記挿入部と前記貫通孔の中心を通る軸の周り方向に回転されたとき、前記複数の第２突起が接触することが可能な複数の第２切欠き部と、を含み、前記第１切欠き部は、前記ヘッドが前記軸の周り方向に回転されたとき、前記第２突起が移動することが可能な通路部を具備する。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】第１実施形態に係るケーブル固定装置を示す平面図。

【図2】図１に示すケーブル固定装置の側面図。

【図3】図１に示すケーブル固定装置を分解して裏側を示す平面図。

【図4】図１に示すケーブルのヘッドを示す側面図。

【図5A】図４に示すＶＡ－ＶＡ線に沿った断面図。

【図5B】図４に示すＶＢ－ＶＢ線に沿った断面図。

【図6】第１実施形態に係るケーブル固定装置の動作を説明するものであり、ケーブル固定装置の裏側を示す平面図。

【図7】図６と異なる動作を示すものであり、ケーブル固定装置の裏側を示す平面図。

【図8A】第１実施形態の第１変形例を示すものであり、図５Ａの一部を取出して示す図。

【図8B】第１実施形態の第１変形例を示すものであり、第１切欠き部及び第２切欠き部を取出して示す図。

【図9A】第１実施形態の第２変形例を示すものであり、図５Ａの一部を取出して示す図。

【図9B】第１実施形態の第２変形例を示すものであり、第１切欠き部及び第２切欠き部を取出して示す図。

【図10】第２実施形態を示す側面図。

【図11】図１０に示すケーブル固定装置の裏側を示す平面図。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には、同一符号を付している。

【0011】

（第１実施形態）
図１乃至図３において、第１実施形態に係るケーブル固定装置１０は、ヘッド１１と、電子機器の筐体１２とを具備している。

【0012】

第１実施形態において、電子機器は、例えばロボットアームに装着されるトルクセンサであるが、これに限定されるものではなく、様々な電子機器に適用することが可能である。筐体１２は、電子機器を収容する例えば容器、又はカバーであるが、これに限らず、例えば電子機器が取り付けられる固定部を有する例えばボード、又はフレームであってもよい。

【0013】

図１乃至図３において、筐体１２は、円形の表面１２ａと、表面１２ａの周囲に設けられ、表面１２ａの中心を通る図示せぬ軸と平行な側面１２ｂとを含んでいる。

【0014】

ヘッド１１は、ケーブル１３の例えば中間部に設けられている。ヘッド１１は、筐体１２の固定部１２ｃに固定される。固定部１２ｃは、円形の表面１２ａの一部に設けられている。図１及び図３において、固定部１２ｃは、円形の表面１２ａの周囲近傍に設けられているが、円形の表面１２ａの中央部に設けられていてもよい。

【0015】

ヘッド１１は、例えば樹脂、又は弾性体、例えばゴム又は軟質ＰＶＣ(Poly Vinyl Chloride)により構成されてもよい。

【0016】

図４、図５Ａ、図５Ｂに示すように、ヘッド１１は、筐体１２の固定部１２ｃの表面に接触される第１面１１ａと、第１面１１ａに対して垂直に設けられた挿入部１１ｂとを含んでいる。ケーブル１３は、ヘッド１１の長手方向の一端から挿入部１１ｂの中心を通って配置されており、ヘッド１１の内部において、ほぼ直角に折曲されている（以下、ケーブル１３又は挿入部１１ｂの中心を通る線を軸と言う）。挿入部１１ｂは、周囲に複数の第１突起１１ｃと、複数の第２突起１１ｄと、を含んでいる。複数の第２突起１１ｄは、ヘッド１１の第１面１１ａと複数の第１突起１１ｃとの間に配置されている。複数の第２突起１１ｄの厚みＴ１は、筐体１２の表面１２ａに対して垂直方向の厚みと同等、又は同等より僅かに薄い。

【0017】

図４、図５Ａに示すように、複数の第１突起１１ｃは、挿入部１１ｂの周囲に所定角度離間して配置されている。具体的には、複数の第１突起１１ｃは、互いに９０°離れて例えば４つ設けられている。しかし、第１突起１１ｃの数は、４つに限らず、３つ又は５つ以上であってもよい。

【0018】

４つの第１突起１１ｃのうち３つの第１突起１１ｃ（Ｐａ）は、同一の形状であり、残りの１つの第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、Ｐａと異なる形状とされている。具体的には、３つの第１突起１１ｃ（Ｐａ）は、ほぼ直角に交わる３つの辺を含み、残りの１つの第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、円弧状の辺を含んでいる。

【0019】

３つの第１突起１１ｃ（Ｐａ）は、軸の回り方向の幅Ｗ１を有し、残りの１つの第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、Ｗ１より小さい軸の回り方向の幅Ｗ２を有している（Ｗ２＜Ｗ１）。４つの第１突起１１ｃは、軸と直交する方向で、軸から第１突起１１ｃの先端までの長さＬ１を有しており、各第１突起１１ｃの長さＬ１は、等しい。

【0020】

図５Ｂに示すように、複数の第２突起１１ｄは、複数の第１突起１１ｃと第１面１１ａとの間で、複数の第１突起１１ｃと対応する位置に配置されている。複数の第２突起１１ｄは、挿入部１１ｂの周囲に所定角度離間して配置されている。具体的には、複数の第２突起１１ｄは、互いに９０°離れて、例えば４つ設けられている。すなわち、第２突起１１ｄの数は、第１突起１１ｃの数と同数である。しかし、第２突起１１ｄの数は、４つに限らず、第１突起１１ｃの数と同様に３つ又は５つ以上であってもよい。

【0021】

４つの第２突起１１ｄは、同一の形状であり、第１突起１１ｃ（Ｐｂ）と同様に円弧状の辺を含んでいる。具体的には、各第２突起１１ｄは、例えば第１突起１１ｃ（Ｐｂ）と同一の形状である。このため、各第２突起１１ｄは、第１突起１１ｃの長さＬ１と等しい軸と直交する方向で、軸から第２突起１１ｄの先端までの長さＬ２を有している（Ｌ２＝Ｌ１）。

【0022】

図５Ａに示すように、挿入部１１ｂを軸方向から見た場合、第２突起１１ｄのそれぞれは、各第１突起１１ｃにより覆われ、隠れている。しかし、後述するように、第２突起１１ｄは、必ずしも全体が第１突起１１ｃにより覆われている必要はない。

【0023】

複数の第１突起１１ｃのうち１つの第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、例えば第２突起１１ｄとほぼ同一の第２の幅Ｗ２を有している。しかし、これに限らず、第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、第２の幅Ｗ２より狭くてもよい。

【0024】

第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、目印として役割を有しており、例えばヘッド１１の長手方向の他端の近傍に配置されている。しかし、第１突起１１ｃ（Ｐｂ）は、残り３つの第１突起１１ｃのうちのいずれか１つの位置に配置されていてもよい。

【0025】

図３に示すように、筐体１２の固定部１２ｃは、ヘッド１１の挿入部１１ｂが挿入される貫通孔１２ｄを含んでいる。ヘッド１１の挿入部１１ｂは、貫通孔１２ｄに挿入された状態において軸の周り方向に回転可能とされている。すなわち、挿入部１１ｂは、貫通孔１２ｄの中心に対して回転可能とされている。このため、以下、貫通孔１２ｄの中心も軸と呼ぶ。

【0026】

貫通孔１２ｄは、複数の第１切欠き部１２ｅと、複数の第２切欠き部１２ｆとを含んでいる。

【0027】

複数の第１切欠き部１２ｅは、挿入部１１ｂに設けられた複数の第１突起１１ｃが挿入可能とされている。具体的には、第１切欠き部１２ｅの挿入部１１ｂの回転方向に沿った第３の幅Ｗ３は、第１突起１１ｃの第１の幅Ｗ１より大きく（Ｗ３＞Ｗ１）、軸から第１切欠き部１２ｅの先端までの長さＬ３は、第１突起Ｌ１の長さより長い。

【0028】

第１切欠き部１２ｅの数は、第１突起１１ｃの数と同様に４つであり、４つの第１切欠き部１２ｅは、互いに９０°離間して配置されている。しかし、第１切欠き部１２ｅの数は、第１突起１１ｃの数と同様に、４つに限らず、３つ又は５つ以上であってもよい。

【0029】

４つの第１切欠き部１２ｅは、４つの第１突起１１ｃを挿入可能とするため、後述する一部を除き、例えば第１突起１１ｃとほぼ同様の形状に形成されている。具体的には、各第１切欠き部１２ｅは、ヘッド１１の回転方向に沿った第１の辺Ｓａと、回転方向の一方に対応する第２の辺Ｓｂと、回転方向の他方に対応する第３の辺Ｓｃを有している。このうち、第２の辺Ｓｂは、第１の辺Ｓａに対して傾斜されている。換言すると、各第１切欠き部１２ｅは、ヘッド１１の回転方向の一部に傾斜した通路部１２ｇを含んでいる。ヘッド１１が貫通孔１２ｄの内部で回転されたとき、第２突起１１ｄは、通路部１２ｇ内を移動可能とされている。

【0030】

第１切欠き部１２ｅの通路部１２ｇ（第２の辺Ｓｂ）と第２切欠き部１２ｆとの間の境界部１２ｈと、軸との間の長さＬ５は、軸から第２突起１１ｄの先端までの長さＬ２より短い。このため、ヘッド１１が貫通孔１２ｄの内部で回転されたとき、第２突起１１ｄは、境界部１２ｈを通過する際、境界部１２ｈに接触して変形される。

【0031】

また、第３の辺Ｓｃは、第１の辺Ｓａに対してほぼ直交されている。第３の辺Ｓｃは、第２突起１１ｄと接触可能であり、ヘッド１１の回転を規制する。

【0032】

複数の第１切欠き部１２ｅのうち、１つの第１切欠き部１２ｅ（１）は、他の３つの第１切欠き部１２ｅと形状が異なっている。具体的には、第１切欠き部１２ｅ（１）は、第１の辺Ｓａと第３の辺Ｓｃとの間の部分が第１突起１１ｃ（Ｐｂ）に対応して湾曲されている。このため、後述するように、ヘッド１１の挿入部１１ｂを貫通孔１２ｄに装着する際、第１切欠き部１２ｅ（Ｓｄ）と第１突起１１ｃ（Ｓｂ）が位置決め用の目印として機能する。

【0033】

複数の第２切欠き部１２ｆは、複数の前記第１切欠き部１２ｅの隣り合う２つの第１切欠き部１２ｅの間に配置されている。具体的には、第２切欠き部１２ｆの挿入部１１ｂの回転方向に沿った第４の幅Ｗ４は、挿入部１１ｂが、貫通孔１２ｄから抜けることを防止するため、第１突起１１ｃの第１の幅Ｗ１より小さい（Ｗ４＜Ｗ１）。軸から第２切欠き部１２ｆの先端までの長さＬ４は、第２突起Ｌ２の長さより長い（Ｌ４＞Ｌ２）。

【0034】

また、第２切欠き部１２ｆの数は、第２突起１１ｄの数と同様に４つであり、４つの第２切欠き部１２ｆは、互いに９０°離間して配置されている。しかし、第２切欠き部１２ｆの数は、第２突起１１ｄの数と同様に、４つに限らず、３つ又は５つ以上であってもよい。

【0035】

４つの第２切欠き部１２ｆは、４つの第２突起１１ｄと係合可能とするため、例えば第１突起１１ｃ（Ｐｂ）とほぼ同様の形状に形成されている。さらに、各第２切欠き部１２ｆの大きさ（面積）は、挿入部１１ｂが、貫通孔１２ｄから抜けることを防止するため、各第１突起１１ｃの大きさより小さい。

【0036】

しかし、第２切欠き部１２ｆは、後述するように、ケーブル１３の固定状態において、第１突起１１ｃにより全体が覆われる必要は必ずしもない。第２切欠き部１２ｆの全体が第１突起１１ｃにより覆われる方が、ケーブル１３を軸方向に強力に固定することができるが、第２切欠き部１２ｆの一部分が第１突起１１ｃから露出するような形状であっても必要な強度を得ることができる。

【0037】

上記構成において、ケーブル１３が設けられたヘッド１１を筐体１２に取付ける動作について説明する。

【0038】

図６に示すように、先ず、ヘッド１１の挿入部１１ｂ及び挿入部１１ｂから引き出されたケーブル１３が筐体１２の固定部１２ｃに設けられた貫通孔１２ｄ内に挿入される。この際、ヘッド１１の複数の第１突起１１ｃが貫通孔１２ｄの第１切欠き部１２ｅに対応するように、ヘッド１１の挿入部１１ｂが貫通孔１２ｄ内に挿入される。具体的には、例えば目印としての第１突起１１ｃ（Ｐｂ）が第１切欠き部１２ｅ（１）に対応されることにより、ヘッド１１の挿入部１１ｂが貫通孔１２ｄ内に挿入される。仮に、第１突起１１ｃ（Ｐｂ）が第１切欠き部１２ｅ（１）以外の第１切欠き部１２ｅに対応された場合、第１突起１１ｃの形状が第１切欠き部１２ｅ（１）と形状が異なるため、ヘッド１１の挿入部１１ｂを貫通孔１２ｄ内に挿入することができない。

【0039】

ヘッド１１の挿入部１１ｂが貫通孔１２ｄ内に挿入され、ヘッド１１の第１面１１ａが筐体１２の表面に接触した状態において、複数の第１突起１１ｃは、筐体１２の裏面に突出され、複数の第２突起１１ｄは、貫通孔１２ｄ内に位置される。

【0040】

上記状態よりヘッド１１を図示矢印Ａ方向に、例えば４５°回転すると、複数の第２突起１１ｄが第１切欠き部１２ｅの通路部１２ｇに沿って移動される。第２突起１１ｄは、境界部１２ｈに接触されると変形され、変形された状態で境界部１２ｈを通過し、第２切欠き部１２ｆに当接される。このため、ヘッド１１の回転位置が規定される。

【0041】

図７は、複数の第２突起１１ｄが複数の第２切欠き部１２ｆに当接した状態を示している。この状態において、複数の第１突起１１ｃは、筐体１２の裏面において、複数の第２切欠き部１２ｆを覆う位置に移動されている。このため、複数の第１突起１１ｃは、筐体１２の裏面に係合され、ヘッド１１が筐体１２に固定される。

【0042】

また、境界部１２ｈと、軸との間の長さＬ５は、軸から第２突起１１ｄの先端までの長さＬ２より短いため、ヘッド１１が図示矢印Ｂ方向へ、不用意に回転することが防止される。

【0043】

第２突起１１ｄと第２切欠き部１２ｆの当接箇所は、４つであるが、１つであってもよい。しかし、当接箇所が４つの場合の方が、より強くヘッド１１を筐体１２に固定させることが可能である。

【0044】

第１突起１１ｃの数は、２つとすることも可能であるが、第１実施形態のように、３つ以上である方がより安定にヘッド１１を筐体１２に固定させることが可能である。

【0045】

ヘッド１１の第１面１１ａと複数の第１突起１１ｃとの間の距離Ｔ１が筐体１２の厚みと同等、又は筐体１２の厚みより僅かに小さいことにより、複数の第１突起１１ｃと筐体１２の裏面との摩擦力、及びヘッド１１の第１面１１ａと筐体１２の表面との摩擦力とによって、ヘッド１１を筐体１２に強固に固定することができる。

【0046】

図７に示す状態より、ヘッド１１を第１突起１１ｃと筐体１２との摩擦力、及び境界部１２ｈに対する第２突起１１ｄの応力に抗して図示矢印Ｂ方向に回転すると、各第２突起１１ｄは境界部１２ｈを超え、第１切欠き部１２ｅの通路部１２ｇに沿って移動され、各第２突起１１ｄ及び第１突起１１ｃは、図６に示す第１切欠き部１２ｅと対応する位置に移動される。この状態において、ヘッド１１を筐体１２から取り外すことができる。

【0047】

（第１実施形態の効果）
上記第１実施形態によれば、ヘッド１１の挿入部１１ｂは、複数の第１突起１１ｃと複数の第２突起１１ｄとを含み、筐体１２の貫通孔１２ｄは、複数の第１切欠き部１２ｅと複数の第２切欠き部１２ｆとを含み、複数の第２突起１１ｄが複数の第２切欠き部１２ｆに当接することにより、ヘッド１１の回転位置を規定し、第１突起１１ｃと筐体１２との係合位置を規定している。このため、第１突起１１ｃと筐体１２との接触面積を確実に確保することができ、ヘッド１１を筐体１２に対して確実に固定することが可能である。

【0048】

しかも、第１切欠き部１２ｅ及び第２切欠き部１２ｆは、筐体１２に貫通孔１２ｄとして形成され、筐体１２の表面、又は裏面にヘッド１１の回転位置を規定するための他の構造物を必要としない。このため、筐体１２の構造が簡単であり、加工が容易である。

【0049】

また、ヘッド１１は、樹脂、又はシリコーンゴムにより形成することができ、第１突起１１ｃ及び第２突起１１ｄは、ヘッド１１とともに構成されている。このため、ヘッド１１の構造が簡単であり、加工が容易である。

【0050】

さらに、第１切欠き部１２ｅは、ヘッド１１の回転方向に沿った一部に第２突起１１ｄが移動可能な通路部１２ｇを含んでいる。このため、ヘッド１１の回転方向を規制することにより、ヘッド１１を筐体１２に固定した後、ケーブル１３の向きを限定することが可能である。

【0051】

また、境界部１２ｈと、軸との間の長さＬ５は、軸から第２突起１１ｄの先端までの長さＬ２より短い。このため、第２突起１１ｄが第２切欠き部１２ｆにある状態において、第２突起１１ｄは、境界部１２ｈに当接可能である。したがって、ヘッド１１が図示矢印Ｂ方向へ、不用意に回転することを防止できる。
第１突起１１ｃ及び第２突起１１ｄの形状は、上記実施形態に限定されるものではない。

【0052】

（第１変形例）
図８Ａは、第１突起１１ｃ及び第２突起１１ｄの第１変形例を示すものであり、図５Ａの破線Ａで示す部分を拡大して示している。上記実施形態において、第２突起１１ｄは、第１突起１１ｃに覆われていた。これに対して、第１変形例において、第２突起１１ｄの一部（先端）は、第１突起１１ｃから露出されている。

【0053】

具体的には、第１突起１１ｃの軸の回り方向（挿入部１１ｂの周り方向）の幅Ｗ１は、第２突起１１ｄの幅Ｗ２より広く（Ｗ１＞Ｗ２）、第１突起１１ｃの軸と直交する方向の長さＬ１は、第２突起１１ｄの軸と直交する方向の長さＬ２より短い（Ｌ１＜Ｌ２）。このため、第２突起１１ｄの先端は、第１突起１１ｃの先端から露出され、第２突起１１ｄの先端以外の部分は、第１突起１１ｃにより覆われる。

【0054】

図８Ｂは、第１変形例における第１切欠き部１２ｅと第２切欠き部１２ｆを取出して示している。第１切欠き部１２ｅは、第１突起１１ｃと第２突起１１ｄを挿入可能とされている。このため、第１切欠き部１２ｅの軸の周り方向の幅Ｗ３は、第１突起１１ｃの第１の幅Ｗ１より広く（Ｗ３＞Ｗ１）、第２突起１１ｄの軸と直交する方向の長さＬ２より長い長さＬ３を有している（Ｌ３＞Ｌ２）。

【0055】

第２切欠き部１２ｆは、ヘッド１１が矢印Ａ方向に回転され、第２突起１１ｄが当接された状態において、第１突起１１ｃの一側部の裏面が筐体１２の表面に係合される。このため、第２切欠き部１２ｆは、第２突起１１ｄの第２の幅Ｗ２より広く、第１突起１１ｃの第１の幅Ｗ１より狭い第４の幅Ｗ４を有し（Ｗ２＜Ｗ４＜Ｗ１）、第２突起１１ｄの軸と直交する方向の長さＬ２より長い長さＬ４（Ｌ４＞Ｌ２）を有している。また、第１切欠き部１２ｅと第２切欠き部１２ｆとの境界部１２ｈと、軸との間の長さＬ５は、第２突起１１ｄの長さＬ２より短くされている（Ｌ５＜Ｌ２）。

【0056】

（第２変形例）
図９Ａは、第１突起１１ｃ及び第２突起１１ｄの第２変形例を示すものであり、図５Ａの破線Ａで示す部分を拡大して示している。第２変形例において、第２突起１１ｄの両側部は、第１突起１１ｃの両側から露出されている。

【0057】

具体的には、第２突起１１ｄの幅Ｗ２は、第１突起１１ｃの幅Ｗ１より広く（Ｗ２＞Ｗ１）、第２突起１１ｄの軸と直交する方向の長さＬ２は、第１突起１１ｃの軸と直交する方向の長さＬ１より短い（Ｌ２＜Ｌ１）。このため、第２突起１１ｄの両側部は、第１突起１１ｃの両側から露出され、第２突起１１ｄの先端は、第１突起１１ｃにより覆われる。

【0058】

図９Ｂは、第２変形例における第１切欠き部１２ｅと第２切欠き部１２ｆを取出して示している。第１切欠き部１２ｅは、第１突起１１ｃと第２突起１１ｄを挿入可能とするため、第２突起１１ｄの第２の幅Ｗ２より広い第３の幅Ｗ３を有し（Ｗ３＞Ｗ２）、第１突起１１ｃの軸と直交する方向の長さＬ１より長い長さＬ３を有している（Ｌ３＞Ｌ１）。

【0059】

ヘッド１１が矢印Ａ方向に回転され、第２切欠き部１２ｆに第２突起１１ｄが当接した状態において、第１突起１１ｃの先端が筐体１２の表面に係合される。このため、第２切欠き部１２ｆの幅Ｗ４は、第２突起１１ｄの第２の幅Ｗ２より広く（Ｗ４＞Ｗ２）、第２切欠き部１２ｆの軸と直交する方向の長さＬ４は、第２突起１１ｄの軸と直交する方向の長さＬ２より長く、第１突起１１ｃの軸と直交する方向の長さＬ１より短い（Ｌ１＞Ｌ４＞Ｌ２）。また、第１切欠き部１２ｅと第２切欠き部１２ｆとの境界部１２ｈと、軸との間の長さＬ５は、第２突起１１ｄの長さＬ２より短い（Ｌ５＜Ｌ２）。

【0060】

上記第１実施形態、第１変形例、及び第２変形例の何れの形状においても、第２突起１１ｄの少なくとも一部は、第１突起１１ｃにより覆われる。
上記第１変形例及び第２変形例の形状によっても、第１実施形態と同様にケーブル１３を軸方向に固定させることが可能であり、第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

【0061】

（第２実施形態）
図８、図９は、第２実施形態を示している。第１実施形態において、ヘッド２１は、ケーブル１３をほぼ直角に折曲して保持している。これに対して、第２実施形態において、ヘッド２１は、ケーブル１３を直線状に保持している。その他の構成は、上記第１実施形態と同様である。

【0062】

上記第２実施形態によっても第１実施形態と同様の効果を得ることが可能である。

【0063】

第２実施形態についても、第１変形例、第２変形例を適用することが可能である。

【0064】

その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。

【符号の説明】

【0065】

１０…ケーブル固定装置、１１…ヘッド、１１ａ…第１面、１１ｂ…挿入部、１１ｃ…第１突起、１１ｄ…第２突起、１２…筐体、１２ｃ…固定部、１２ｄ…貫通孔、１２ｅ…第１切欠き部、１２ｆ…第２切欠き部、１２ｇ…通路部。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図6】

【図7】

【図8A】

【図8B】

【図9A】

【図9B】

【図10】

【図11】