(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152005
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】毛髪用塗布具及びこれを備えた毛髪用塗布具セット
(51)【国際特許分類】
A45D 19/00 20060101AFI20241018BHJP
A45D 24/22 20060101ALI20241018BHJP
A45D 19/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A45D19/00 B
A45D24/22 B
A45D19/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065883
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓馬
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040AE08
3B040AE09
(57)【要約】
【課題】ヘラ部が外れることを抑制するとともに、操作性及び製造効率に優れる毛髪用塗布具が提供すること。
【解決手段】
基台部2と、該基台部2に設けられた櫛部4及びヘラ部5とを有し、櫛部4は、複数の櫛歯41を有し、基台部2の縦方向Xに沿う両側縁のうちの一方に沿って設けられており、ヘラ部5は、前記両側縁のうちの他方に沿って設けられており、基台部2から離れる方向に延出しており、基台部2、櫛部4及びヘラ部5は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されており、ヘラ部5は、可撓性を有し、ヘラ部5の先端部の厚みは、0.3mm以上1.0mm以下であり、且つ櫛歯41の突出方向中央部の厚みに対して5%以上50%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、該柄部の長手方向一端部に連設された基台部と、該基台部に設けられた櫛部及びヘラ部とを有する毛髪用塗布具であって、
前記櫛部は、複数の櫛歯を有し、前記基台部の長手方向に沿う両側縁のうちの一方に沿って設けられており、
前記ヘラ部は、前記両側縁のうちの他方に沿って設けられており、前記基台部から離れる方向に延出しており、
前記基台部、前記櫛部及び前記ヘラ部は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されており、
前記ヘラ部は、可撓性を有し、
前記ヘラ部の先端部の厚みは、0.3mm以上1.0mm以下であり、且つ前記櫛歯の突出方向中央部の厚みに対して5%以上50%以下である、毛髪用塗布具。
【請求項2】
前記基台部から前記ヘラ部の延出方向先端に向かって、前記ヘラ部の厚みが漸減している、請求項1に記載の毛髪用塗布具。
【請求項3】
前記ヘラ部は、前記基台部側の基端部が凹曲面状になっている、請求項2に記載の毛髪用塗布具。
【請求項4】
前記ヘラ部は、凹凸を有する表面を有している、請求項1~3の何れか一項に記載の毛髪用塗布具。
【請求項5】
前記櫛部が設けられた前記基台部の一方の側縁と、前記ヘラ部が設けられた前記基台部の他方の側縁とのなす角度が10°以上60°以下である、請求項1~4の何れか一項に記載の毛髪用塗布具。
【請求項6】
前記ヘラ部が略長方形形状であり、前記ヘラ部は短手方向の長さに対する長手方向の長さの比が1.2以上2.5以下である、請求項1~5の何れか一項に記載の毛髪用塗布具。
【請求項7】
前記基台部に、前記櫛部よりも櫛歯の長さが短い小櫛部が設けられている、請求項1~6の何れか一項に記載の毛髪用塗布具。
【請求項8】
基台部と、該基台部の周囲に設けられた櫛部及びヘラ部を有しており、
前記櫛部は、複数の櫛歯を有しており、
前記ヘラ部は、前記基台部から離れる方向に延出しており、
前記基台部、前記櫛部及び前記ヘラ部は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されており、
前記ヘラ部は、可撓性を有し、
前記ヘラ部の先端部の厚みが、0.3mm以上1.0mm以下であり、前記櫛歯の長さ方向中央部の厚みに対して5%以上50%以下である、毛髪用塗布具。
【請求項9】
前記基台部から前記ヘラ部の延出方向先端に向かって、前記ヘラ部の厚みが漸減している、請求項8に記載の毛髪用塗布具。
【請求項10】
前記基台部に、前記櫛部よりも櫛歯の長さが短い小櫛部が設けられている、請求項8又は9に記載の毛髪用塗布具。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の毛髪用塗布具と、毛髪処理剤を構成する複数の剤を混合するための混合用トレイとを備えた、毛髪処理剤塗布セットであって、
前記ヘラ部の角部と、前記混合用トレイの内部の底面側に位置する角部が、同じ曲率半径で略円弧状に湾曲している、毛髪用塗布具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用塗布具及びこれを備えた毛髪用塗布具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤、脱色剤、トリートメント剤、パーマ剤、又はマニキュア剤等の毛髪処理剤は、これを毛髪に塗布する際に、直接手で塗布したり、手袋をはめて塗布したり、ブラシやコーム等の塗布具を用いて塗布したりするのが一般的である。
また毛髪処理剤の塗布作業を容易に行えるようにする毛髪処理剤塗布具として、櫛部とともに、ヘラ部又は複数のブラシ毛からなるブラシ部とを備えたものが種々提案されている。例えば、特許文献1、3及び4には、棒状又は薄板状の柄の先端部に、柔軟部材からなるヘラと、該ヘラと反対側に位置する櫛とが設けられた、染毛用具が開示されている。
特許文献2には、四辺からなる周縁を有する板状体を具備し、該四辺のうちの一辺に対応する部分に沿って植毛されたブラシ部を有する、染毛用具が開示されている。斯かる染毛用具には、棒状又は薄板状の柄部分がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3131825号公報
【特許文献2】実登第3211066号公報
【特許文献3】特許第6833761号公報
【特許文献4】特許第6934265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、3及び4に開示のように、ヘラ部と櫛部とを有する毛髪用塗布具は、ヘラ部を用いて、毛髪処理剤を混合する操作、掬い取る操作、又は塗布する操作の各操作を行うため、良好な操作性が求められる。一方、毛髪用塗布具におけるヘラ部と、該ヘラ部以外の部分とが異なる材質で形成されている場合、例えばヘラ部が軟質材料からなり、ヘラ部以外が該軟質材料よりも硬い硬質材料からなる場合、ヘラ部と該ヘラ部以外の部分との接続部分の強度が不十分となり易く、前述した操作時に、ヘラ部が毛髪用塗布具から外れる虞があった。
また、特許文献4に開示のように、植毛によるブラシ部を有する毛髪用塗布具は、その製造時に植毛工程を要するため、製造効率に課題があった。
【0005】
したがって本発明は、ヘラ部が外れることを抑制するとともに、操作性及び製造効率に優れた毛髪用塗布具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柄部と、該柄部の長手方向一端部に連設された基台部と、該基台部に設けられた櫛部及びヘラ部とを有する毛髪用塗布具に関する。
一実施形態において、前記櫛部は、複数の櫛歯を有し、前記基台部の長手方向に沿う両側縁のうちの一方に沿って設けられていることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部は、前記両側縁のうちの他方に沿って設けられており、前記基台部から離れる方向に延出していることが好ましい。
一実施形態において、前記基台部、前記櫛部及び前記ヘラ部は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部は、可撓性を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部の先端部の厚みは、0.3mm以上1.0mm以下であり、且つ前記櫛歯の突出方向中央部の厚みに対して5%以上50%以下であることが好ましい。
【0007】
また本発明は、基台部と、該基台部の周囲に設けられた櫛部及びヘラ部を有している毛髪用塗布具に関する。
一実施形態において、前記櫛部は、複数の櫛歯を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部は、前記基台部から離れる方向に延出していることが好ましい。
一実施形態において、前記櫛部及び前記ヘラ部は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部は、可撓性を有していることが好ましい。
一実施形態において、前記ヘラ部の先端部の厚みが、0.3mm以上1.0mm以下であり、前記櫛歯の長さ方向中央部の厚みに対して5%以上50%以下である好ましい。
【0008】
また本発明は、前記の毛髪用塗布具と、毛髪処理剤を構成する複数の剤を混合するための混合用トレイとを備えた、毛髪処理剤塗布セットに関する。
一実施形態として、前記ヘラ部の角部と、前記混合用トレイの内部の底面側に位置する角部が、同じ曲率半径で略円弧状に湾曲していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪用塗布具によれば、ヘラ部が外れることを抑制するとともに、操作性及び製造効率に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1毛髪用塗布具の好ましい一実施形態を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す毛髪用塗布具をヘラ部側から視た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す毛髪用塗布具を櫛部側から視た斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1毛髪用塗布具の別の実施形態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2毛髪用塗布具の好ましい一実施形態を示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す毛髪用塗布具を櫛部側から視た斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す毛髪用塗布具をヘラ部側から視た斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2毛髪用塗布具の別の実施形態を示す側面図である。
【
図11】
図11(a)及び(b)は、本発明の第2毛髪用塗布具の別の実施形態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る毛髪用塗布具セットが具備する混合用トレイ及び塗布具の好ましい一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、柄部と、該柄部の長手方向一端部に連設された基台部と、該基台部に設けられた櫛部及びヘラ部とを有する毛髪用塗布具、及び基台部と、該基台部の周囲に設けられた櫛部及びヘラ部を有する毛髪用塗布具に関する。前者の毛髪用塗布具を「第1毛髪用塗布具」、後者の毛髪用塗布具を「第2毛髪用塗布具」ともいう。
まず、本発明の第1毛髪用塗布具を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1~5に、本発明の第1毛髪用塗布具の一実施形態が示されている。本実施形態の第1毛髪用塗布具1(以下、単に「塗布具1」ともいう。)は、柄部3と、柄部3の長手方向一端部に連設された基台部2と、基台部2に設けられた櫛部4及びヘラ部5を有している。本実施形態の塗布具1は、柄部3が一方向に長い形状を有し、該柄部3の一端部に連設された基台部2が該柄部3と同方向に延在している。柄部3と基台部2とは、その延在方向に互いに連続している。基台部2の両側のうち一方にはヘラ部5が設けられ、他方には櫛部4が設けられている。
【0013】
本実施形態の塗布具1は、一方向に沿ってヘラ部5、基台部2、及び櫛部4が並んで配されている。当該塗布具1は、ヘラ部5、基台部2、及び櫛部4が並んだ方向である横方向Yと、該横方向Yに直交する縦方向Xとを有している。本実施形態の縦方向Xは、柄部3及び基台部2の延在方向と一致している。換言すると縦方向Xは、塗布具1の軸方向と一致している。以下、塗布具1の縦方向Xにおいて、基台部2の外方端に向かう方向を「前側」、柄部3の外方端に向かう方向を「後側」ともいう。
【0014】
柄部3は、塗布具1を用いて毛髪処理剤を毛髪に塗布するときに、該塗布具1を手で把持するための主たる部位である。塗布具1の縦方向Xにおける櫛部4の後端を通り且つ横方向Yに延びる仮想直線CLを仮定したとき、本実施形態の柄部3は縦方向Xにおいて該仮想直線CLよりも後側に位置する(
図1参照)。当該仮想直線CLは、柄部3の軸方向に直交する。
本実施形態の柄部3は、基台部2と縦方向Xに連続し、該基台部2とともに該縦方向Xに長い偏平な板状体となっている。横方向Yを水平方向に一致させて塗布具1を載置した側面視において、柄部3は、略長方形状であり、該柄部3の両側縁が縦方向Xに延びており、該両側縁が互いに略平行となっている(
図1参照)。
【0015】
柄部3の把持性を向上させる観点から、柄部3は、縦方向Xに沿う両側縁部それぞれに滑り止め部34を有していることが好ましい。本実施形態の滑り止め部34は、塗布具1の縦方向Xに沿って凹部Dと凸部Pとが繰り返された凹凸部分からなる。滑り止め部34は、柄部3と一体的に成形される。本実施形態のように、滑り止め部34は、柄部3だけでなく、基台部2の後端部まで延在していてもよい。
【0016】
本実施形態の柄部3は、縦方向Xにおける基台部2とは反対側の端部(後端部)に、嵌合部36を有している。嵌合部36は、テール部(図示せず)と柄部3との接続を可能にする部分であり、テール部に設けられた挿入部に嵌合部36が挿入且つ嵌合される。これにより、テール部は、塗布具1に取り付けられる。すなわち本実施形態においてテール部は、塗布具1とは別部材である。
テール部は、先細の棒状部分からなり、先端が球面状の曲面を有するように形成されている。テール部は、毛髪を分けて、毛髪処理剤を塗布する対象部位を表面に露出させるために使用される。
テール部を形成する材料には、熱可塑性樹脂を用いることができる。テール部を形成する材料は、後述する基台部2、櫛部4及びヘラ部5を形成する材料(構成樹脂)と異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0017】
本実施形態の柄部3は、側面視における柄部3の中心軸に位置する中心リブ31と、該中心リブ31の後端部に接続する膨出部32とを有している。中心リブ31及び膨出部32は、板状の柄部3の両面から離れる方向に突出した部分であり、柄部3における中心リブ31及び膨出部32以外の他の部分に比して、厚みが大きい部分となっている。これにより、柄部3の剛性を補強することができる。
中心リブ31は、縦方向Xに沿って延びており、柄部3から基台部2に延出している。膨出部32は、半円形状を有し、嵌合部36よりも前側に位置し、嵌合部36と中心リブ31との間に位置している。膨出部32は、中心リブ31の後端部と重なっている。
【0018】
塗布具1の使用時に把持し易くする観点から、柄部3の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
柄部3の縦方向Xの長さは、好ましくは30mm以上100mm以下である。
柄部3の横方向Yの長さ(幅)は、好ましくは15mm以上30mm以下である。
【0019】
基台部2は、横方向Yにおけるヘラ部5と櫛部4との間に位置する部分であり、柄部3と縦方向Xに連続する部分である(
図1、
図2及び
図3参照)。本実施形態の基台部2は、塗布具1の縦方向Xにおいて前記の仮想直線CLよりも前側に位置する(
図1参照)。
側面視において基台部2は、一方向に対向する一対の辺縁部21,22を有し、一方の辺縁部21に櫛部4が設けられ、該一方の辺縁部21の反対側に位置する他方の辺縁部22にヘラ部5が設けられている。これら一対の辺縁部21,22は、基台部2の周縁部において直線状の部分となっている。また一対の辺縁部21,22は、基台部2の縦方向に沿う両側縁をなしている。以下、櫛部4が設けられた方の辺縁部21を「第1辺縁部21」ともいい、ヘラ部5が設けられた方の辺縁部22を「第2辺縁部22」ともいう。
【0020】
第1辺縁部21及び第2辺縁部22は、製造時に用いた金型における基台部2と櫛部4との間の稜線又は基台部2とヘラ部5との間の稜線として現れる場合がある。当該稜線が現れていない場合は、後述する櫛部4における複数の櫛歯41の基端どうしを結ぶ仮想直線又は仮想曲線を第1辺縁部21とし、該第1辺縁部21の横方向Yの反対側において厚みが一定の部分を基台部2とする。この場合、基台部2における第1辺縁部21と対向する辺縁部を第2辺縁部22とする。
【0021】
本実施形態の第1辺縁部21及び第2辺縁部22は、塗布具1の軸方向(縦方向X)に対して傾斜している。より具体的には、縦方向Xの前側に向かって第1辺縁部21及び第2辺縁部22が互いに近づくように傾斜している。これに代えて第1辺縁部21及び第2辺縁部22は、塗布具1の縦方向Xと平行になるように延びていてもよい。
【0022】
第1辺縁部21と第2辺縁部とのなす角度θ1(
図1参照)は、好ましくは10°以上60°以下、より好ましく15°以上45°以下である。角度θ1がこのような範囲であることによって、毛髪処理剤の混合時に柄部3等が混合用トレイとより接触しにくくなり、また該毛髪処理剤の塗布時に柄部3が毛髪とより接触しにくくなる。これにより、塗布具1の塗布性の向上、及び毛髪処理剤をヘラ部5に付着させるときの操作がより容易となる。
前記の角度θ1は、縦方向Xにおいて第1辺縁部21及び第2辺縁部22それぞれを前側に延長させた延長線AL,BLどうし間の角度である。第1辺縁部21が曲線である場合は、側面視における櫛部4の櫛歯41どうし間の間隔のうち、縦方向Xの最も前側に位置する間隔と、最も後側に位置する間隔とを結んだ仮想直線の延長線を、第2辺縁部21の延長線ALとする(
図1参照)。
【0023】
本実施形態の基台部2は、側面視において縦方向Xに長い略三角形の形状を有し、第2辺縁部22の後方部分が、横方向Y内方に湾曲状に切り欠かれた切り欠き部23を有している。
切り欠き部23は、耳周りの毛髪に対し毛髪処理剤を塗布する際、片手での塗布具1の操作を容易にすることができる。より具体的には、耳の周りに切り欠き部23を当てながら操作することで、耳を伏せるように手で押さえることが不要となる。また、柄部3を把持した手の親指の腹を切り欠き部23に位置させることで、柄部3をより安定して把持することもできる。
【0024】
櫛部4は、複数の櫛歯41を有しており、該複数の櫛歯41が基台部2の第1辺縁部21に沿って設けられている(
図1及び
図3参照)。本実施形態の櫛部4は、一方向に延在する複数の櫛歯41を有し、これら複数の櫛歯41が、該櫛歯41の延在方向と直交する方向に間隔を空けて一列に配されている。より具体的には、第1辺縁部21に沿って、すなわち第1辺縁部21が延びる方向に沿って複数の櫛歯41が間隔を空けて配されており、該櫛歯41が第1辺縁部21と直交する方向に延びている。このように基台部2の第1辺縁部21には、複数の櫛歯41が該第1辺縁部21から突出し、第1辺縁部21に沿って並んだ櫛歯列(櫛部4)が形成されている。
【0025】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の各櫛歯41は先端部が円錐状の形状を有しており、先端部に向かうに連れて外径が漸次減少している。これに代えて、櫛歯41は、円柱状の形状を有していてもよい。その場合、櫛歯41の外径は、該櫛歯41の突出方向において同じとなる。また櫛歯41は、横断面の形状が円形、楕円形又は扁平状であってもよい。櫛歯41の横断面は、櫛歯41の突出方向と直交する方向に沿う断面である。
櫛部4は、形状又は外径が異なる2種以上の櫛歯を組み合わせて具備していてもよい。
【0026】
本実施形態の櫛部4において隣り合う櫛歯41どうし間の間隔は等しくなっている。これに代えて、隣り合う櫛歯41どうし間の間隔を規則的に又は不規則に変化させてもよい。
また本実施形態の櫛部4における各櫛歯41は、その突出長さが何れも同じになっている。これに代えて、複数の櫛歯41の突出高さが異なっていてもよい。
【0027】
毛髪処理剤を適用した毛髪をより効果的に梳く観点から、櫛部4の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
櫛歯41の突出長さL6(
図1参照)は、好ましくは15mm以上40mm以下であり、より好ましくは20mm以上30mm以下である。
隣り合う櫛歯41どうし間の間隔は、好ましくは1.0mm以上5.0mm以下であり、より好ましくは1.5mm以上4.0mm以下である。
櫛部4の長さL7(
図1参照)は、好ましくは30mm以上100mm以下であり、より好ましくは50mm以上80mm以下である。櫛部4の長さL7は、縦方向Xにおける櫛部4の前端と後端との間を、第1辺縁部21に沿って測定した長さである。
【0028】
ヘラ部5は、毛髪に毛髪処理剤を塗布する際に、毛髪処理剤を受ける部分であり、当該ヘラ部5を用いて毛髪処理剤を毛髪に展ばして適用する。ヘラ部5は、第2辺縁部22に沿って設けられており、基台部2から離れる方向に延出している(
図1及び
図2参照)。本実施形態のヘラ部5は、側面視において矩形状を有し、四辺をなす周縁部のうち横方向Yの内方側に位置する一辺が第2辺縁部22と隣接している。本実施形態のヘラ部5は、第2辺縁部22から、第2辺縁部22の延びる方向と直交する方向に延出している。
本実施形態のヘラ部5は、該ヘラ部5の延出方向の先端縁e1の両側それぞれに角部57を有している(
図1参照)。側面視においてこれら角部57は、基台部2から離れて位置している。
【0029】
本実施形態のヘラ部5は、側面視において略長方形形状を有している。斯かる構成により、液状の毛髪処理剤をヘラ部5で掬い取り易くすることができる。
上記の効果をより向上させる観点から、ヘラ部5の短手方向の長さL2(
図1参照)に対する該ヘラ部5の長手方向の長さL3(
図1参照)の比(L3/L2)が、好ましくは1.2以上2.5以下、より好ましくは1.5以上2.0以下である。本実施形態においてヘラ部5の長手方向は第2辺縁部22に沿う方向であり、短手方向は第2辺縁部22と直交する方向であり且つヘラ部5の延出方向である。
上記と同様の観点から、ヘラ部5の長手方向の長さL3(
図1参照)は、好ましくは20mm以上60mm以下、より好ましくは30mm以上50mm以下である。
上記と同様の観点から、ヘラ部5の短手方向の長さL2(
図1参照)は、好ましくは10mm以上30mm以下、より好ましくは15mm以上25mm以下である。
【0030】
ヘラ部5は、その主面に凹凸を有する表面を有していることが好ましい。すなわちヘラ部5の主面は凹凸表面を有していることが好ましい。斯かる構成により、ヘラ部5の主面上に毛髪処理剤を掬い上げたときに、毛髪処理剤が滑り落ちることをより抑制することができる。凹凸表面を有するヘラ部5は、金型を用いた射出成形により塗布具1を製造する際、該金型として、ヘラ部に対応する部分の表面にサンドブラスト等の非平滑化処理を施した金型を用いることで得られる。
【0031】
ヘラ部5によって掬い取られた毛髪処理剤が、該ヘラ部5から滑り落ちることをより抑制する観点から、ヘラ部5は、該ヘラ部5の主面から突出する滑り止め凸部51を有していることが好ましい。本実施形態のヘラ部5は、滑り止め凸部51として、ヘラ部5の延出方向の先端縁e1に沿ったリブを複数本有している。滑り止め凸部51は、リブに代えて、ヘラ部5主面の表面全体又は一部に配されたドット状の凸部であってもよい。
滑り止め及びヘラ部5の操作性を両立させる観点から、滑り止め凸部51の突出高さは、好ましくは0.05mm以上0.50mm以下である。
【0032】
毛髪処理剤を塗布する際の操作性の観点から、ヘラ部5は可撓性を有している。より具体的には、ヘラ部5において対向する2つの主面の一方であって、該一方の主面における延出方向の先端部を、ヒトの手で押したときに該ヘラ部5が撓むことができる程度に変形可能である。このようにヘラ部5は、延出方向の先端部がヒトの手で変形可能である。
斯かる可撓性を有することで、ヘラ部5で掬い取った毛髪処理剤を毛髪に塗布する際に、ヘラ部5が、塗布具1の厚み方向Zに反るので、毛髪処理剤を毛髪になでつけやすくなる。
ヘラ部5は、延出方向において少なくとも先端部が可撓性を有している。毛髪処理剤を塗布する際の操作性をより向上させる観点から、ヘラ部5は、延出方向において先端縁e1から延出方向全長L2の50%以上の範囲が可撓性を有していることが好ましい。
塗布具1の操作性の観点から、塗布具1は、ヘラ部5が可撓性を有する一方、基台部2及び櫛部4は可撓性を有しないことが好ましい。すなわち基台部2及び櫛部4はヒトの手で変形不能であることが好ましい。
上記と同様の観点から、柄部3も可撓性を有しないことが好ましい。
【0033】
塗布具1は、基台部2、櫛部4及びヘラ部5は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下の同一の材料から構成されている。換言すると、これら基台部2、櫛部4及びヘラ部5は、同じ構成樹脂からなり、当該構成樹脂の曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である。また基台部2、櫛部4及びヘラ部5は、同じ構成樹脂により一体成形されており、隣接する部分どうしが連続している。
本実施形態の塗布具1は、基台部2、櫛部4及びヘラ部5に加え、さらに柄部3も曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下の同一の材料から構成されている。
基台部2、櫛部4及びヘラ部5の材料の曲げ弾性率は、以下の方法により測定される。
【0034】
〔曲げ弾性率の測定方法〕
基台部2、櫛部4又はヘラ部5それぞれから、100g分の切片を切り出す。100g分の切片は、同一種類の複数の塗布具1から採取してもよい。次いで、混練機に供給して30rpmにて180℃で5分間、溶融混練する。この混練機には、ローラーミキサーR-60を取り付けたラボプラストミル28-125型(いずれも株式会社東洋精機製作所)を用いる。次いで、前記溶融混練したものを、厚みが4.0mmのスペーサーをセットしたプレス機(ラボプレスP2-30T、株式会社東洋精機製作所)に供給し、180℃、200kg/cm2で5分間にわたり熱プレスする。次いで、20℃、5kg/cm2で1分間にわたり冷却プレスして、厚みが4.0mmの測定片を製造する。測定片は、幅10.0mm×長さ80.0mmの大きさで1枚ずつ切り出す。
次いで、テンシロン試験機((株)オリエンテック社製のRTC-1150A)を用いて、JIS K7171(プラスチック-曲げ特性の試験方法)に準拠して曲げ弾性率を測定する。
【0035】
上記の測定方法において基台部2、櫛部4及びヘラ部5から作製された各測定片は、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下となり、且つ各部2,4,5の測定片の曲げ弾性率の差が10MPa以下となる。
【0036】
基台部2、柄部3及びヘラ部5の構成樹脂の曲げ弾性率は、好ましくは80MPa以上300MPa以下、より好ましくは100MPa以上250MPa以下、さらに好ましくは120MPa以上200MPa以下である。斯かる構成により、塗布具1を用いた塗布作業の操作性をより向上させることができる。
【0037】
基台部2、櫛部4及びヘラ部5の材料は、前述の曲げ弾性率を有する各種の合成樹脂を特に制限なく用いることができるが、塗布具1の操作性の観点から、当該材料は、軟質樹脂であることが好ましい。軟質樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、又は熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これら2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。
前述した曲げ弾性率の範囲内とする観点から、基台部2、櫛部4及びヘラ部5の材料として、複数種類の構成樹脂を混合した混合樹脂を用いてもよい。
【0038】
ヘラ部5の先端部の可撓性をより確実に得る観点から、ヘラ部5の先端部の厚みT5(
図4参照)は、0.3mm以上1.0mm以下である。
上記と同様の観点から、ヘラ部5の先端部の厚みT5(
図4参照)は、好ましくは0.35mm以上、より好ましくは0.40mm以上であり、また好ましくは1.20mm以下、より好ましくは0.80mm以下であり、また好ましくは0.35mm以上1.20mm以下、より好ましくは0.40mm以上0.80mm以下である。ヘラ部5の先端部の厚みT5は、ノギスにより測定される。
【0039】
ヘラ部5の先端部の可撓性を維持しつつ、櫛歯41の剛性を維持する観点から、ヘラ部5の先端部の厚みT5(
図4参照)は、櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対して5%以上50%以下である。櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4は、櫛歯41の突出方向において基端から先端までの長さを櫛歯41の全長としたとき、該全長の1/2となる位置の厚みである。櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4は、櫛部4において任意に選択された3本以上の櫛歯41について測定し、それらの平均値を当該厚みT4とする。
ヘラ部5の先端部の可撓性と、櫛歯41の剛性とをより両立させる観点から、ヘラ部5の先端部の厚みT5(
図4参照)は、櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4(
図4参照)に対して好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは10%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また好ましくは5%以上50%以下、より好ましくは7%以上30%以下、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
また櫛部4の剛性をより確実に確保する観点から、櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4(
図4参照)は、好ましくは3.0mm以上5.0mm以下、より好ましくは3.5mm以上4.5mm以下である。
【0040】
前述したように本実施形態の塗布具1は、基台部2、櫛部4及びヘラ部5が、曲げ剛性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料(構成樹脂)から構成されており、これらが一体成形されている。換言すると、基台部2、櫛部4及びヘラ部5が射出成形により一体成形されているので、該射出成形のみで製造することができる。これにより、植毛工程等の他の工程を要さずに、塗布具1を容易且つ短時間で製造できるので、製造効率に優れる。
また、基台部2、櫛部4及びヘラ部5が一体成形されているので、基台部2とヘラ部5とを接続する接続部分が存在しない。これにより、基台部2とヘラ部5との境界部分に荷重が加わったとしても、基台部2からヘラ部5が外れ難くなる。接続部分は、接着剤等を用いた基台部とヘラ部との接合部分、又は基台部に設けられたヘラ部の装着部分である。
さらに本発明者は、曲げ剛性率が100MPa以上300MPa以下である構成樹脂により形成されたヘラ部5の先端部の厚みT5を、0.3mm以上1.0mm以下とし且つ櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対して5%以上50%以下とすることで、優れた操作性が得られることを見出した。より具体的には、ヘラ部5の先端部が良好に撓ることで、毛髪処理剤を展ばす操作が容易に行えるとともに、基台部2及び櫛部4は剛性を有するので、該基台部2及び櫛部4が変形し難い。これにより、毛髪処理剤が付着した毛髪を櫛部4で確実に梳くことができる。すなわち本実施形態の塗布具1は、毛髪処理剤を混合及び塗布する際の操作性に優れる。
このように本実施形態の塗布具1は、ヘラ部5が外れることを抑制するとともに、操作性及び製造効率に優れる。
【0041】
ヘラ部5の柔軟性と基台部2の剛性とをより両立させる観点から、ヘラ部5の先端部の厚みT5(
図4参照)は、基台部2の厚みT2(
図4参照)に対して好ましくは3%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また好ましくは3%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。
基台部2の剛性をより確実に確保する観点から、基台部2の厚みT2(
図4参照)は、好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは4mm以上7mm以下である。基台部2の厚みT2は、基台部2における中心リブ31以外の部分の厚みである。基台部2の厚みが位置によって異なる場合は、基台部2の最小厚みを、基台部2の厚みT2とする。
【0042】
柄部3の剛性をより確実に確保する観点から、柄部3の厚みは、好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは4mm以上7mm以下である。柄部3の厚みは、柄部3における中心リブ31、膨出部32、及び嵌合部36以外の部分の厚みである。柄部3の厚みが位置によって異なる場合は、柄部3の最小厚みを、柄部3の厚みとする。
また、柄部3の剛性をより補強する観点から、中心リブ31又は膨出部32の厚みと、柄部3の厚みとの差は、好ましくは0.5mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.8mm以上1.5mm以下である。
【0043】
ヘラ部5をより柔軟にして、操作性をより向上させる観点から、ヘラ部5は、基台部2からヘラ部5の延出方向先端に向かってヘラ部5の厚みが漸減していることが好ましい(
図4参照)。本実施形態のヘラ部5は、横方向Yに沿う断面視において、ヘラ部5の延出方向Y1の基端部から先端部に向かうに連れ、ヘラ部5における一対の主面どうしが近づいている(
図4参照)。斯かるヘラ部5では、延出方向における基台部2側の基端部の厚みが大きく、該基端部から延出向外方に向かって厚みが漸減する部分53を有しており、当該部分53よりも延出方向外方の先端部側の部分54は、厚みが一定となっている。このようにヘラ部5は、延出方向の基端部から先端部に向かって、厚みが漸減する部分53と厚みが一定の部分54とを有していてもよい。以下、前記厚みが漸減する部分53を「厚み変化部53」、前記厚みが一定の部分54を「厚み非変化部54」ともいう。この厚み非変化部54の厚みは、ヘラ部5の先端部の厚みT5と同じである。
またヘラ部5は、延出方向の基端部から先端部の全長に連続して、厚みが漸減していてもよい。この場合、ヘラ部5は厚み非変化部54を有しておらず、厚み変化部53が基端部から先端部の全長に連続している。
【0044】
本実施形態のヘラ部5は、厚み変化部53が凹曲面状となっている。すなわち、塗布具1の側面視におけるヘラ部5は、基台部2の第2辺縁部22側の基端部が凹曲面状になっている。この場合、横方向Yに沿う断面視において厚み変化部53は、曲線状の輪郭を有している(
図4参照)。厚み変化部53が凹曲面状となっていることによって、毛髪処理剤の混合及び塗布する際に、ヘラ部5の基端部を起点とする屈曲が生じ難くなるとともに、該基端部に毛髪処理剤が残存することを抑制することができる。
本実施形態のヘラ部5は、厚み変化部53における両方の主面が凹曲面状となっている。これに代えて、厚み変化部53は、一方の主面が平坦状であり、他方の主面が凹曲面状であってもよい。
【0045】
上記の効果をより向上させる観点から、ヘラ部5の短手方向における厚み変化部53の長さL5(
図1参照)は、ヘラ部5の短手方向の長さL2(
図1参照)の好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。
またヘラ部5の短手方向における厚み変化部53の長さL5(
図1参照)は、好ましくは5mm以上20mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下である。
厚み変化部53が凹曲面状である場合、上記と同様の観点から、横方向Yの断面視における厚み変化部53の輪郭線の曲率半径は、好ましくは10mm以上100mm以下、より好ましくは20mm以上80mm以下である。前記輪郭線は、厚み変化部におけるヘラ部5の一方の主面がなす輪郭線である。
【0046】
厚み変化部53は、延出方向の基端部から先端部に向かって下方に向かう斜面であってもよい。この場合、横方向Yに沿う断面視において厚み変化部53は、直線状の輪郭を有する。
【0047】
塗布具1の側面視におけるヘラ部5の面積M1に対する、櫛部4の面積M2との面積比(M2/M1)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは1.0以上であり、また好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下であり、また好ましくは0.7以上3.0以下であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。斯かる構成により、ヘラ部5によって毛髪に塗布した毛髪処理剤を、櫛部4によって毛髪全体に広げるときに、ヘラ部5による毛髪処理剤の塗布範囲の毛髪を、櫛部4によって梳きながら効率的に塗り拡げることができる。
ヘラ部5の面積M1は、ヘラ部5の長手方向の長さL3とヘラ部5の短手方向の長さL2とを乗算することで得られる。また櫛部4の面積M2は、櫛部4の前端と後端とを結ぶ線分の長さL7と、櫛歯41の最大突出長さL6とを乗算することで得られる。
【0048】
本実施形態の塗布具1は、前述したように金型を用いた射出成形により容易に製造することができる。この射出成形によって、同一の材料からなる基台部2、櫛部4、ヘラ部5及び柄部3が一体となって成形される。
【0049】
塗布具1によって毛髪に塗布される毛髪処理剤としては、染毛剤、脱色剤、トリートメント剤、パーマ剤、又はマニキュア剤等が挙げられる。毛髪処理剤は、毛髪への塗布のし易さの点から流動性を有するものが好ましい。例えばジェル状、ゲル状、クリーム状、ペースト状等の粘稠なものでも、液状のものでもよい。また毛髪処理剤は、ムース状やエアゾール形態等、泡状であってもよい。
【0050】
毛髪処理剤が脱色剤又は染毛剤である場合、脱色剤又は染毛剤は、一剤式のもの、酸化染料中間体などの染料、アルカリ剤等を配合した第1剤と酸化水素などの酸化剤等を配合した第2剤とからなる二剤式のもの、またこれら二剤に加え、過硫酸塩等の酸化促進剤を配合した粉末状の第3剤とからなる三剤式など、適用時に混合される複数の剤を含んで構成されるものであってもよい。染毛剤は、永久染毛剤、半永久染毛剤を含むものである。
【0051】
本発明の第1毛髪用塗布具は、上述した
図1~5に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る第1毛髪用塗布具の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図1~
図5に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図1~
図5に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0052】
図6に示すように、塗布具1aは、基台部2の先端側の端部に櫛部4よりも櫛歯の長さが短い小櫛部7が設けられていてもよい。小櫛部7は、基台部2、柄部3及びヘラ部5と、同じ材料から一体的に成形することができる。
小櫛部7は、ヘラ部5と同様に可撓性を有することが好ましい。これにより、小櫛部7を用いて毛髪の生え際まで毛髪処理剤を容易に塗布することができる。
塗布する際の操作性をより向上させる観点から、小櫛部7の櫛歯の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
小櫛部7の櫛歯の突出長さL8(
図6参照)は、好ましくは3mm以上15mm以下であり、より好ましくは5mm以上10mm以下である。
小櫛部7の櫛歯の外径は、好ましくは0.5mm以上1.0mm以下であり、より好ましくは0.6mm以上0.9mm以下である。
小櫛部7における隣り合う櫛歯どうし間の間隔は、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.7mm以上1.2mm以下である。
小櫛部7の長さは、好ましくは5mm以上30mm以下であり、より好ましくは8mm以上20mm以下である。小櫛部7の長さは、塗布具1aの側面視における小櫛部7の横方向Y全長である。
【0053】
次に、本発明の第2毛髪用塗布具を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。第2毛髪用塗布具は、矛盾しない限り、前述の第1毛髪用塗布具の構成を適宜適用することができる。以下では、
図1~
図6に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1毛髪用塗布具の構成部分の説明が適宜適用される。
【0054】
図7~9に、本発明の第2毛髪用塗布具の一実施形態が示されている。本実施形態の第2毛髪用塗布具1b(以下、単に「塗布具1b」ともいう。)は、柄部を具備しないものであり、基台部20と、該基台部20の周囲に設けられた櫛部4及びヘラ部5を有している。本実施形態の塗布具1bは、基台部20は、その周囲にヘラ部5、及び櫛部4を有している。
本実施形態の塗布具1bは、ヘラ部5、基台部20、及び櫛部4が並んだ方向である横方向Yと、該横方向Yに直交する縦方向Xとを有している。当該塗布具1bは、横方向Yを水平方向に一致させて塗布具1を載置した側面視において、基台部20が扇形の形状を有している(
図7参照)。この基台部20の三辺からなる周縁部のうち、隣り合う二辺の周縁部が、第1辺縁部21及び第2辺縁部22であり、第1辺縁部21に櫛部4が設けられ、第2辺縁部22にヘラ部5が設けられている。また本実施形態の基台部20は、第1辺縁部21及び第2辺縁部22の間に円弧状の周縁部を有している。
本実施形態の塗布具1bは、扇形の基台部20における第1辺縁部21及び第2辺縁部22により形成される頂部から円弧状の周縁部に引かれる直線の延在方向が縦方向Xと一致し、円弧状の周縁部の延在方向が横方向Yと略一致する。斯かる縦方向Xにおいて、扇形の基台部20の頂部に向かう方向を「前側」、円弧状の周縁部に向かう方向を「後側」ともいう。
【0055】
基台部20は、塗布具1bの厚み方向Zに対向する一対の主面である第1面f1と第2面f2とを有している。第1面f1及び第2面f2は異なる滑り止め突出部26を有している。第1面f1における滑り止め突出部26は、基台部20の第1辺縁部21及び第2辺縁部22に沿った同じ形状の複数のリブ26aが同心状に配されたものである。すなわち第1面f1には、複数の三角形の線状リブ26aが同心状に配されている。第2面f2における滑り止め突出部26は、ドット状の凸部26bが千鳥状に配されたものである。
本実施形態の塗布具1bは、板状の基台部20を片手で挟んで使用される。この際、第1面f1及び第2面f2における滑り止め突出部26によって、片手での把持がより安定化される。
【0056】
本実施形態の塗布具1bは、基台部20が片手で把持されるコンパクトな形態である。基台部20における把持をより安定化する観点から、基台部20の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
基台部20の縦方向Xの全長は、好ましくは30mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上70mm以下である。
基台部20の横方向Yの全長は、好ましくは30mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上70mm以下である。
基台部20の面積は、好ましくは800mm2以上2000mm2以下、より好ましくは1000mm2以上1500mm2以下である。
【0057】
本実施形態の櫛部4は、前述した塗布具1,1aと同様に複数の櫛歯41を有している(
図7及び
図8参照)。塗布具1bのコンパクト化と櫛部4による操作性とをより両立させる観点から、櫛部4の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
櫛歯41の突出長さは、好ましくは15mm以上40mm以下であり、より好ましくは20mm以上30mm以下である。
隣り合う櫛歯41どうし間の間隔は、好ましくは1.0mm以上5.0mm以下であり、より好ましくは1.5mm以上4.0mm以下である。
櫛部4の長さは、好ましくは30mm以上80mm以下であり、より好ましくは40mm以上70mm以下である。櫛部4の長さは、縦方向Xにおける櫛部4の前端と後端との間を、第1辺縁部21に沿って測定した長さである。
【0058】
本実施形態のヘラ部5は、前述した塗布具1,1aと同様に基台部20から離れる方向に延出している(
図7及び
図9参照)。本実施形態のヘラ部5も、可撓性を有するとともに、厚み変化部53と厚み非変化部54とを有している。これにより、ヘラ部5をより撓ませて、毛髪処理剤の混合又は掬い取りを容易に行えるようになされている。
塗布具1bのコンパクト化とヘラ部5による操作性とをより両立させる観点から、ヘラ部5の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
ヘラ部5の長手方向の長さL3a(
図7参照)は、好ましくは30mm以上80mm以下、より好ましくは40mm以上70mm以下である。
ヘラ部5の短手方向の長さL2a(
図7参照)は、好ましくは10mm以上30mm以下、より好ましくは15mm以上25mm以下である。
【0059】
上記と同様の観点から、ヘラ部5の短手方向における厚み変化部53の長さL5a(
図7参照)は、ヘラ部5の短手方向の長さL2a(
図7参照)の好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。
またヘラ部5の短手方向における厚み変化部53の長さL5a(
図7参照)は、好ましくは5mm以上20mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下である。
【0060】
本実施形態の塗布具1bは、前述した塗布具1,1aと同様に、基台部20、櫛部4及びヘラ部5が、曲げ弾性率が100MPa以上300MPa以下である同一の材料から構成されている。すなわち、基台部2、櫛部4及びヘラ部5が射出成形により一体成形されている。
またヘラ部5の先端部の厚みT5aも、該厚みT5aの櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4aに対する割合も、前述した塗布具1,1aと同様の範囲である。
したがって、本実施形態の塗布具1bも、前述した塗布具1,1aと同様に、ヘラ部が外れることを抑制するとともに、操作性及び製造効率に優れる。
【0061】
本実施形態の基台部20は、横方向Yにおける第1辺縁部21及び第2辺縁部22間に円弧状の周縁部を有している(
図7~9参照)。基台部20が、第1辺縁部21及び第2辺縁部22以外の周縁部に丸みを帯びた形状を有することで、親指と人差し指との間で基台部20を把持したときに、肌への当たりが柔らかく、把持をし易くすることができる。
【0062】
本発明の第2毛髪用塗布具は、上述した
図7~9に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る第2毛髪用塗布具の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図7~
図9に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図7~
図9に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0063】
図10に示す塗布具1cは、基台部20に櫛部4よりも櫛歯の長さが短い小櫛部7aが設けられている。より具体的には基台部20の周縁部の一部であって、横方向Yにおける第1辺縁部21及び第2辺縁部22間に位置する部分に、小櫛部7aが設けられている。この小櫛部7aは、上述した塗布具1aの小櫛部7の構成を適宜適用することができる。
柄部を具備しない塗布具1cの操作性をより向上させる観点から、小櫛部7aの櫛歯の突出長さL8a(
図10参照)は、好ましくは3mm以上15mm以下であり、より好ましくは5mm以上10mm以下である。
小櫛部7aの長さは、好ましくは30mm以上80mm以下であり、より好ましくは40mm以上70mm以下である。小櫛部7の長さは、塗布具1cの側面視における小櫛部7の横方向Y全長である。
【0064】
図11(a)及び(b)に示す塗布具1d,1eは、該塗布具の側面視における基台部20の形状が前述した実施形態と異なっている。
図11(a)に示す塗布具1dは、基台部20が六角形の形状を有し、第1辺縁部21及び第2辺縁部22それぞれが、基台部20の六辺からなる周縁部のうちの一辺となっている。
図11(b)に示す塗布具1eは、基台部20が円形状の形状を有し、第1辺縁部21及び第2辺縁部22それぞれが、円形の周縁の一部となっている。
図11(a)及び(b)における塗布具1d,1eは、基台部20の周縁上において、櫛部4及びヘラ部5が離間した位置に配されている。すなわち、第1辺縁部21及び第2辺縁部22が、基台部20の周縁上で離間している。
図11(a)及び(b)に示すように、基台部20の周縁上において櫛部4及びヘラ部5は離間して配されていてもよく、櫛部4及びヘラ部5は隣り合って配されていてもよい。
【0065】
第1毛髪用塗布具及び第2毛髪用塗布具を含む上述した各塗布具は、毛髪処理剤を構成する複数の剤を混合する混合用トレイ8とともに、毛髪用塗布具セットとして流通されてもよい。この毛髪用塗布具セットは、例えば、前述した塗布具が、毛髪処理剤を構成する複数の剤とともに混合用トレイ8に収容されており、該混合用トレイの開口が蓋シートで閉塞された状態で流通される。
混合用トレイ8は、プラスチックフィルム或いはプラスチックシートを用いて真空成形により立体成形した、一方の主面が開口した箱状の樹脂容器である。斯かる混合用トレイ8としては、一方の主面が開口した扁平な六面体形状の樹脂容器が挙げられる。
【0066】
図12には、使用状態における混合用トレイ8と、
図1に示す塗布具1とが示されている。本実施形態の毛髪用塗布具セットが具備する塗布具は、第1毛髪用塗布具であるが、該塗布具が第2毛髪用塗布具であってもよい。
図12に示す混合用トレイ8は、蓋シート(図示せず)で閉塞される開口に対し、該トレイ8の厚み方向Zに離間して対向配置された平坦壁部81を有する。平坦壁部81は、混合用トレイ8の底面をなす部分である。また、混合用トレイ8は、平坦壁部81の周囲に位置し、該トレイ8の厚み方向に延在する周壁部83を有する。混合用トレイ8は、平坦壁部81と周壁部83とによって囲まれた空間が、毛髪処理剤を構成する複数の剤を混合するための空間となっている。また当該空間は、混合用トレイ8の使用前の状態において、塗布具1、及び前記複数の剤を収容する収容部となっている。
【0067】
本実施形態の混合用トレイ8は、
図12に示すように、平坦壁部81を底面として水平面に載置した状態で使用される。斯かる状態において混合用トレイ8の厚み方向Z1は、鉛直方向と一致する。この混合用トレイ8は、平坦壁部81と周壁部83との間に角部85(以下、「トレイ角部85」ともいう。)を有している。トレイ角部85は、平坦壁部81と周壁部83との境界部分であり、該角部85を介して平坦壁部81と周壁部83とが連続している。すなわちトレイ角部85は、混合用トレイ8の内部の底面側に位置する。
【0068】
本実施形態のヘラ部5は、前述したように側面視において矩形状を有し、基台部2と離れた位置に角部57を有している(
図12参照)。
ヘラ部5の角部57は、トレイ角部85と、曲率半径が同じであり、略円弧状に湾曲していることが好ましい。斯かる構成により、ヘラ部5の角部57がトレイ角部85と干渉することがより抑制されるので、毛髪処理剤を構成する複数の剤を混合する操作性をより向上できる。
前記の「曲率半径が同じ」とは、ヘラ部5の角部57とトレイ角部85との曲率半径の差が2mm以下であることを意味する。ヘラ部5が複数の角部57を有する場合、何れか1個の角部57とトレイ角部85との曲率半径が同じであることが好ましく、縦方向X外方側に位置する角部57とトレイ角部85との曲率半径が同じであることがより好ましい。
毛髪処理剤を構成する剤を混合する操作をより容易にする観点から、ヘラ部5の角部57及び混合用トレイの内部底面の角部の曲率半径は、好ましくは5mm以上50mm以下であり、より好ましくは10mm以上40mm以下である。
【0069】
本発明は、上述した各実施形態に制限されず、適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態において第1毛髪用塗布具1は、柄部3に中心リブ31及び膨出部32が設けられたものであったが、柄部3にこれら中心リブ31及び膨出部32が設けられていなくともよい。
また、上述した実施形態において第1毛髪用塗布具1は、柄部3が、テール部と嵌合する嵌合部36を有するものであったが、これに代えて柄部3の後端部にテール部を具備するものであってもよい。
また、上述した実施形態において第1毛髪用塗布具1及び第2毛髪用塗布具1bは、ヘラ部5が厚み変化部53を有するものであったが、ヘラ部5は、延出方向全長にわたって厚みが一定であるものであってもよい。斯かる形態においても、ヘラ部5の先端部の厚み、及び該厚みの櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4aに対する割合は、前述した塗布具1,1aと同様の範囲である。
【実施例0070】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0071】
〔実施例1〕
実施例1では、
図1に示す実施形態と同様の構成を有する塗布具1を製造した。塗布具1の構成樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリウレタンを含む混合樹脂であり、これら構成樹脂の含有比率(質量%)を調整することで、混合樹脂の曲げ弾性率を下記表1に示す数値に調整した。曲げ弾性率は、当該混合樹脂を用いて、前述した〔曲げ弾性率の測定方法〕の方法により作製した測定片の曲げ弾性率である。
次いで、混合樹脂を用いて射出成形を行い、基台部2、櫛部4、ヘラ部5及び柄部3が、一体成形された塗布具を成形した。
得られた塗布具におけるヘラ部5は、長手方向の長さが40mm、短手方向の長さが20mmの矩形状であり、基台部2の厚みが5.0mm、櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4が4.5mm、柄部3の厚みが5.0mmであった。塗布具のヘラ部5の先端部の厚みT5、及び該厚みT5の櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対する割合(%)を、下記表1に示す。表1において前記割合を「T4に対するT5の割合(%)」と示す。
【0072】
〔実施例2~9及び比較例1~21〕
実施例2及び3は、ヘラ部5の先端部の厚みT5、及び該厚みT5の櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対する割合(%)を異ならせた点以外は、実施例1と同様の方法により塗布具を製造した。
実施例4~9は、曲げ弾性率の異なる混合樹脂を用いた点以外は、実施例1~3と同様の方法により塗布具を製造した。
比較例1~21は、混合樹脂の曲げ弾性率、ヘラ部5の先端部の厚みT5、及び該厚みT5の櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対する割合(%)を下記表2及び3に示すように異ならせた点以外は、実施例1~3と同様の方法により塗布具を製造した。
下記表1~3に、混合樹脂の曲げ弾性率、ヘラ部5の先端部の厚みT5、及び該厚みT5の櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対する割合(%)を示す。表1~3において前記割合を「T4に対するT5の割合(%)」と示す。
【0073】
〔塗布具の成形性の評価基準〕
各実施例及び比較例の塗布具に関し、射出成形時のヘラ部の成形性を以下の基準で評価した。斯かる評価は専門パネラー5名が目視で行い、その成形性の評価を協議により決定した。
〇:ヘラ部が金型に沿って良好に成形されており、成形性が高かった。
△:ヘラ部が金型に沿って成形されていた。
×:ヘラ部の一部が欠損したか、又は所望の寸法の成形物が得られなかった。
【0074】
〔塗布具の操作性の評価基準〕
各実施例及び比較例の塗布具に関し、ヘラ部によって毛髪処理剤の掬い取る操作を行い、その操作性を以下の基準で評価した。前記の操作は、専門パネラー5名が行い、その操作性の評価を協議により決定した。
〇:ヘラ部が適度に撓り、ヘラ部上に毛髪処理剤を良好に掬い取ることができた。
△:ヘラ部が撓り、ヘラ部上に毛髪処理剤を掬い取ることができた。
×:ヘラ部が過度に撓るか又は硬く撓らないため、ヘラ部上に毛髪処理剤を掬い取ることが困難であった。
毛髪処理剤は、二剤式のものであって、クリーム状のヘアカラー第1剤及び第2剤(花王株式会社製、ブローネ薫りと艶カラー5番)を各40g用意した。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例1~9で得られた塗布具は、成形性が良好であるとともに、毛髪処理剤をヘラ部5で掬いとる操作の操作性が良好であった。これに対し、比較例1~21の塗布具は、表2及び3に示す結果から明らかなように、少なくとも操作性が低い結果となった。これらの結果から、同一の構成樹脂により基台部2、櫛部4及びヘラ部5を一体成形した塗布具は、構成樹脂の曲げ弾性率を100MPa以上300MPa以下とし、ヘラ部5の先端部の厚みT5を0.3mm以上1.0mm以下とし、さらに該厚みT5が櫛歯41の突出方向中央部の厚みT4に対して5%以上50%以下であることが、塗布具の成形性及び操作性の両立に有効であることが示された。