(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152018
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20241018BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20241018BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20241018BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20241018BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20241018BHJP
F24D 15/00 20220101ALI20241018BHJP
F24D 18/00 20220101ALI20241018BHJP
F26B 9/02 20060101ALI20241018BHJP
D06F 58/10 20060101ALI20241018BHJP
F24D 101/30 20220101ALN20241018BHJP
【FI】
F24H1/00 631Z
F24H1/18 G
F24H15/174
F24H15/269
F24H15/355
F24D15/00 B
F24D18/00
F24H1/18 D
F26B9/02 A
D06F58/10 A
F24D101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065908
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐太
(72)【発明者】
【氏名】北西 博
(72)【発明者】
【氏名】藤川 貴彬
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 翼
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕侑
(72)【発明者】
【氏名】浦川 理乃
(72)【発明者】
【氏名】岩本 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 想子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】勢山 雄広
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 毅
【テーマコード(参考)】
3B168
3L072
3L113
3L122
【Fターム(参考)】
3B168AC12
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA43
3B168BA45
3B168BA55
3B168BA59
3L072AB06
3L072AC01
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC03
3L113AC51
3L113AC78
3L113BA14
3L113CB03
3L113DA10
3L113DA24
3L122AA02
3L122AA28
3L122AA54
3L122AA62
3L122AB22
3L122AB33
3L122BB05
3L122DA02
(57)【要約】
【課題】貯湯タンクに貯められた温水を乾燥運転に用いつつ、乾燥時間を短縮し、洗濯物を十分に乾燥させる。
【解決手段】本開示のコージェネレーションシステム100は、発電ユニット2と、発電ユニット2の排熱を用いて生成された第1温水を貯留する貯湯タンク4と、第1温水よりも高い温度の第2温水を生成可能な補助熱源機6と、第1温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第1乾燥運転と第2温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第2乾燥運転とを実行する浴室乾燥機8と、第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、第1乾燥運転を終了して第2乾燥運転が開始されるように補助熱源機6を制御する制御回路60と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットと、
前記発電ユニットの排熱を用いて生成された第1温水を貯留する貯湯タンクと、
前記第1温水よりも高い温度の第2温水を生成可能な補助熱源機と、
前記第1温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第1乾燥運転と前記第2温水を用いて生成された温風を前記浴室内に供給する第2乾燥運転とを実行する浴室乾燥機と、
前記第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、前記第1乾燥運転を終了して前記第2乾燥運転が開始されるように前記補助熱源機を制御する制御回路と、
を備えた、コージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記コージェネレーションシステムは、前記第1乾燥運転を許可するモードと前記第1乾燥運転を禁止するモードとを選択可能に構成されている、
請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1乾燥運転が許可され、かつ、乾燥運転を実行すべき旨のトリガを認識したとき、前記第1乾燥運転が開始されるように前記貯湯タンクから前記第1温水を取り出すための制御を実行し、前記第1乾燥運転が禁止され、かつ、前記乾燥運転を実行すべき旨の前記トリガを認識したとき、前記第2乾燥運転が開始されるように前記補助熱源機を制御する、
請求項2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記浴室乾燥機は、前記第1温水又は前記第2温水と空気とを熱交換させて前記温風を生成する気液熱交換器を有する、
請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
前記コージェネレーションシステムは、液液熱交換器をさらに備え、
前記浴室乾燥機は、気液熱交換器と、前記気液熱交換器に空気を供給するブロワと、前記気液熱交換器において前記空気と熱交換する空気加熱用温水が循環する循環流路とを有し、
前記第1乾燥運転が行われるとき、前記液液熱交換器において前記循環流路の前記空気加熱用温水が前記第1温水によって加熱されて前記気液熱交換器に供給される、
請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項6】
前記空気加熱用温水が前記補助熱源機によって加熱されるように前記循環流路に前記補助熱源機が配置されており、
前記第2乾燥運転が行われるとき、前記循環流路の前記空気加熱用温水が前記補助熱源機によって加熱されて前記第2温水として前記気液熱交換器に供給される、
請求項5に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項7】
前記発電ユニットが燃料電池ユニットであり、
前記コージェネレーションシステムが燃料電池コージェネレーションシステムである、
請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項8】
発電ユニットの排熱を用いて生成された第1温水を貯湯タンクに貯留するように構成されたコージェネレーションシステムの運転方法であって、
前記第1温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第1乾燥運転を行うことと、
前記第1温水よりも高い温度の第2高温を用いて生成された温風を前記浴室内に供給する第2乾燥運転を行うことと、
前記第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、前記第1乾燥運転を終了して前記第2乾燥運転を開始することと、
を含む、コージェネレーションシステムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コージェネレーションシステム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムは、一般に、エンジン、タービン、燃料電池などの発電ユニットと、発電時に発生した排熱を回収する熱回収ユニットとを備えている。熱回収ユニットによって回収された排熱は、空調、給湯、工場における熱源などに使用される。
【0003】
例えば、燃料電池コージェネレーションシステムにおいては、燃料電池で発生した排熱を用いて温水が生成される。温水は、貯湯タンクに貯められ、蛇口、浴槽などに供給される。特許文献1に記載されているように、温水は、浴室暖房乾燥機の熱源として使用されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、貯湯タンクに貯められた温水の温度は、必ずしも洗濯物の乾燥に適した温度ではない。貯湯タンクに貯められた温水を用いて乾燥運転を行うと、長時間の乾燥時間を要したり、洗濯物を十分に乾燥できなかったりする。
【0006】
本開示は、貯湯タンクに貯められた温水を乾燥運転に用いる場合における上記の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
発電ユニットと、
前記発電ユニットの排熱を用いて生成された第1温水を貯留する貯湯タンクと、
前記第1温水よりも高い温度の第2温水を生成可能な補助熱源機と、
前記第1温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第1乾燥運転と前記第2温水を用いて生成された温風を前記浴室内に供給する第2乾燥運転とを実行する浴室乾燥機と、
前記第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、前記第1乾燥運転を終了して前記第2乾燥運転が開始されるように前記補助熱源機を制御する制御回路と、
を備えた、コージェネレーションシステムを提供する。
【0008】
別の側面において、本開示は、
発電ユニットの排熱を用いて生成された第1温水を貯湯タンクに貯留するように構成されたコージェネレーションシステムの運転方法であって、
前記第1温水を用いて生成された温風を浴室内に供給する第1乾燥運転を行うことと、
前記第1温水よりも高い温度の第2高温を用いて生成された温風を前記浴室内に供給する第2乾燥運転を行うことと、
前記第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、前記第1乾燥運転を終了して前記第2乾燥運転を開始することと、
を含む、コージェネレーションシステムの運転方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、貯湯タンクに貯められた温水を乾燥運転に用いつつ、乾燥時間を短縮できるとともに、洗濯物を十分に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1のコージェネレーションシステムの概略構成図
【
図2】乾燥運転を行うために制御回路で実行される処理のフローチャート
【
図3】実施の形態2のコージェネレーションシステムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見等)
本発明者らが本開示に想到するに至った当時、浴室暖房乾燥機としては、ガス給湯器を用いた温水循環式のものが一般的であった。ガス給湯器を用いた温水循環式の浴室暖房乾燥機の乾燥運転では、80℃程度の温水が温風を生成するための熱交換器を循環する。一方、特許文献1に記載されたシステムによれば、熱交換器に供給される温水の温度は概ね40℃から50℃である。そのため、温風の温度が低くなり、従来の乾燥運転と比べると乾燥に要する時間が長くなる。特許文献1に記載されたシステムをユーザが無意識に使用すると、洗濯物が長時間乾かず、ユーザの不満が募るおそれがある。また、温風の温度が低いため、からっとした乾燥感を得ることが難しい。
【0012】
本開示は、貯湯タンクに貯められた温水を乾燥運転に用いる場合におけるこれらの課題を解決することを目的とする。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1及び
図2を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1のコージェネレーションシステム100の概略構成図である。コージェネレーションシステム100は、発電ユニット2、貯湯タンク4、補助熱源機6、浴室乾燥機8及び制御回路60を備えている。貯湯タンク4に貯められた温水である第1温水の熱が浴室乾燥機8における温風の生成に使用される。これにより、コージェネレーションシステム100のエネルギー利用効率の向上が期待できる。
【0017】
発電ユニット2は、燃料電池20、熱交換器21及びポンプ22を含む燃料電池ユニットでありうる。この場合、コージェネレーションシステム100は、燃料電池コージェネレーションシステムである。燃料電池コージェネレーションシステムは一般家庭用の分散型電源システムとして優れている。したがって、洗濯物の乾燥運転に関する本開示の技術は、燃料電池コージェネレーションシステムに適している。
【0018】
発電ユニット2において、熱交換器21は、低温流路24及び高温流路25を介して貯湯タンク4に接続されている。低温流路24(又は高温流路25)にポンプ22が配置されている。ポンプ22を作動させると、貯湯タンク4の底部から取り出された低温水が熱交換器21で加熱されて第1温水が生成される。第1温水は、貯湯タンク4の上部に戻される。熱交換器21において、燃料電池20の排熱が回収される。
【0019】
燃料電池20は、水素ガス及び酸化剤ガスから電力を生成する電気化学デバイスである。燃料電池20の形式は特に限定されない。燃料電池20は、例えば、固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、リン酸形燃料電池又は溶融炭酸塩形燃料電池である。
【0020】
燃料電池20には固体高分子形燃料電池が適している。固体高分子形燃料電池における電気化学反応は発熱反応である。そのため、燃料電池20として固体高分子形燃料電池を備えたコージェネレーションシステム100に本開示の技術を適用すると、エネルギー利用効率の更なる向上を期待できる。燃料電池20が固体高分子形燃料電池である場合、燃料電池20の冷却水が熱交換器21において冷却される。
【0021】
発電ユニット2は、燃料電池20に代えて、エンジン、タービンなどの発電装置を備えていてもよい。
【0022】
貯湯タンク4は、発電ユニット2の排熱を用いて生成された第1温水を貯留する。貯湯タンク4の上部に取水流路12が接続されている。貯湯タンク4の底部に戻し流路15が接続されている。取水流路12にはポンプ17が設けられている。ポンプ17を作動させると、第1温水は、取水流路12を通じて貯湯タンク4の外部に取り出される。第1温水は、温風(第1温風)を浴室内に供給する第1乾燥運転に使用される。温風の生成に使用されたのち、第1温水は、戻し流路15を通じて貯湯タンク4の底部に戻される。貯湯タンク4に貯められた第1温水の温度は、例えば、50℃から65℃である。
【0023】
第1温水は、温風の生成に使用されることに加え、蛇口、浴槽などの使用箇所に供給される。貯湯タンク4の底部には、第1温水の消費に応じて市水が補給される。第1温水は、温水床暖房に使用されてもよい。
【0024】
補助熱源機6は、貯湯タンク4に貯められた第1温水よりも高い温度の第2温水を生成可能である。第2温水の温度は、例えば、70℃から90℃である。高温の第2温水は、温風(第2温風)を浴室内に供給する第2乾燥運転に使用される。補助熱源機6は、例えば、ガス給湯器である。補助熱源機6は、市水を加熱して蛇口、浴槽などの使用箇所に供給する熱源機を兼ねてもよい。
【0025】
本実施の形態において、取水流路12が補助熱源機6の入口に接続されている。貯湯タンク4から取り出された第1温水が補助熱源機6によって加熱される。これにより、第2温水が生成される。
【0026】
浴室乾燥機8は、第1乾燥運転と第2乾燥運転とを実行するように構成されている。本実施の形態において、浴室乾燥機8は、気液熱交換器32、ブロワ33及び循環流路34を有する。気液熱交換器32は、例えば、フィンアンドチューブ式熱交換器である。気液熱交換器32は、第1温水又は第2温水と空気とを熱交換させて温風を生成する。気液熱交換器32の働きによって、温水から温風を生成することができる。ブロワ33は、気液熱交換器32に空気を供給する機器である。循環流路34は、空気加熱用温水が循環する流路である。循環流路34にはポンプ35が設けられている。ブロワ33及びポンプ35を作動させると、気液熱交換器32において循環流路34を循環する空気加熱用温水が空気と熱交換する。これにより、温風が生成され、浴室に吹き出される。
【0027】
本実施の形態において、コージェネレーションシステム100は、液液熱交換器13をさらに備えている。液液熱交換器13は、接続流路14によって補助熱源機6に接続され、戻し流路15によって貯湯タンク4に接続されている。貯湯タンク4から取り出された第1温水が液液熱交換器13に供給される。あるいは、第1温水が補助熱源機6で加熱されて第2温水が生成され、第2温水が液液熱交換器13に供給される。液液熱交換器13において、第1温水又は第2温水が循環流路34の空気加熱用温水を加熱する。
【0028】
詳細には、第1乾燥運転が行われるとき、液液熱交換器13において循環流路34の空気加熱用温水が第1温水によって加熱されて気液熱交換器32に供給される。第2乾燥運転が行われるとき、液液熱交換器13において循環流路34の空気加熱用温水が第2温水によって加熱されて気液熱交換器32に供給される。このような構成によれば、第1乾燥運転と第2乾燥運転とを実行することが可能である。浴室乾燥機8の気液熱交換器32とは別に液液熱交換器13が設けられているので、貯湯タンク4に貯められた温水を浴室乾燥機8に直接循環させることを回避できる。
【0029】
ただし、液液熱交換器13は省略されてもよい。すなわち、貯湯タンク4に貯められた温水が浴室乾燥機8の気液熱交換器32に直接供給されてもよい。
【0030】
制御回路60は、マイクロコンピュータ、メモリ、入出力インターフェースなどを含む。メモリにはコージェネレーションシステム100を運転するための制御プログラムが格納されている。制御プログラムは、マイクロコンピュータによって読み出されて実行される。これにより、制御回路60は、ポンプ、弁、ブロワなどの機器を制御する。制御回路60には、ユーザによる入力を受け付けるとともに、各種情報を表示するための端末62が接続されている。
【0031】
貯湯タンク4に貯められた第1温水の温度は、必ずしも洗濯物の乾燥に適した温度ではない。本実施の形態によれば、制御回路60は、第1温水を用いた第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、第1乾燥運転を終了して第2温水を用いた第2乾燥運転が開始されるように補助熱源機6を制御する。このような構成によれば、第1温水を用いた第1乾燥運転によってエネルギー利用効率を向上させつつ、乾燥時間を短縮することができる。また、高温の第2温水を用いた第2乾燥運転を行うことによって、洗濯物をからっと仕上げることができる。その結果、ユーザの満足度も高まる。
【0032】
[1-2.動作]
以上のように構成されたコージェネレーションシステム100について、その動作を以下説明する。
【0033】
図2は、乾燥運転を行うために制御回路60で実行される処理のフローチャートである。制御回路60は、乾燥運転を実行すべき旨のトリガを認識することに応じて
図2に示す各処理を実行する。乾燥運転を実行すべき旨のトリガを認識することは、典型的には、ユーザが端末62を操作することに応じて、乾燥運転を実行すべき旨の指令を制御回路60が取得することである。
【0034】
ステップS1において、第1乾燥運転が許可されているか否か判断する。
【0035】
本実施の形態において、コージェネレーションシステム100は、第1乾燥運転を許可するモード(エコモード)と第1乾燥運転を禁止するモード(通常モード)とを選択可能に構成されている。エコモードは、第1乾燥運転を先に実行し、その後、第2乾燥運転を実行する運転モードである。通常モードは、第2乾燥運転のみを実行する運転モードである。エコモードを許可するか否かユーザが端末62を操作して予め選択可能である。ユーザによる選択結果は、制御回路60のメモリに記憶されている。このような構成によれば、ユーザの嗜好に合致した乾燥運転を実行できるので、コージェネレーションシステム100に対するユーザの満足度が高まる。
【0036】
例えば、浴室乾燥機8を製造するメーカと、浴室乾燥機8を除く部分を製造するメーカとが異なる場合、制御回路60が浴室乾燥機8の制御回路とコージェネレーションシステム100の制御回路とに分かれることがある。端末62も浴室乾燥機8の端末とコージェネレーションシステム100の端末との2つの端末に分かれることがある。この場合、浴室乾燥機8の制御回路がコージェネレーションシステム100の制御回路にアクセスして乾燥運転の運転モードを指定できるようにシステム全体を構築することは難しい。しかし、コージェネレーションシステム100の端末で運転モード(エコモード又は通常モード)を選択し、浴室乾燥機8の端末で乾燥運転の開始及び停止を選択できる場合、コージェネレーションシステム100の制御回路と浴室乾燥機8の制御回路との間の複雑な連携が不要になる。発電ユニット2、貯湯タンク4及び補助熱源機6を共通化しつつ、様々なメーカから好みの浴室乾燥機8をユーザが選択することができる。また、ユーザ自身が積極的に運転モードを指定するので、無意識のうちにエコモードで乾燥運転が実行されて洗濯物の乾燥に長時間が費やされる心配がない。結果として、ユーザの満足度が高まる。
【0037】
もちろん、コージェネレーションシステム100の乾燥運転のメニューとして、エコモード及び通常モードが予め準備されていてもよい。制御回路60は、ユーザが端末62で選択した運転モードに従って乾燥運転を実行する。
【0038】
第1乾燥運転が許可されている場合、ステップS2において、貯湯タンク4の蓄熱量が所定量以上であるか否か判断する。貯湯タンク4の蓄熱量は、貯湯タンク4に設けられた複数の温度センサの検出結果に基づいて算出される。「所定量」は、例えば、第1乾燥運転を制限時間まで実行するのに必要な熱量である。
【0039】
蓄熱量が所定量以上である場合、ステップS3において、第1乾燥運転を実行する。すなわち、第1乾燥運転が開始されるように貯湯タンク4から第1温水を取り出すための制御を実行する。貯湯タンク4から第1温水を取り出すための制御は、例えば、ポンプ17を作動させる制御を含む。ポンプ17を作動させると、第1温水が貯湯タンク4から取り出されて液液熱交換器13に供給される。浴室乾燥機8のブロワ33及びポンプ35を作動させると、液液熱交換器13において、第1温水によって循環流路34の空気加熱用温水が加熱される。気液熱交換器32において循環流路34の空気加熱用温水によって空気が加熱される。加熱された空気(第1温風)が浴室内に吹き出される。
【0040】
第1温水を用いた第1乾燥運転を実行することによって、エネルギー利用効率を高めることができる。例えば、燃料電池20が固体高分子形燃料電池である場合、貯湯タンク4の蓄熱量が上限に到達すると、燃料電池20による発電が停止する。停止時間が長くなれば長くなるほど、コージェネレーションシステム100による節電効果は減少する。本開示の技術によれば、貯湯タンク4に貯められた温水の使用機会を増やすことができるので、コージェネレーションシステム100の作動時間を増やすことができる。その結果、温水の使用量が減少しがちな季節における節電効果及びエネルギー利用効率の向上を期待できる。温水の使用量が元々少ないユーザにおいても、節電効果及びエネルギー利用効率の向上を期待できる。
【0041】
第1乾燥運転の開始後、ステップS4において、第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達したか否か判断する。制限時間は特に限定されず、例えば、40分間から80分間である。
【0042】
第1乾燥運転が予め定められた制限時間に到達した場合、第1乾燥運転を終了し、ステップS6において、第2乾燥運転を実行する。すなわち、第2乾燥運転が開始されるように補助熱源機6を制御する。本実施の形態では、第1温水が補助熱源機6で加熱されて第2温水として使用される。したがって、第2乾燥運転を実行するための制御には、貯湯タンク4から第1温水を取り出すためにポンプ17を作動させる制御、及び、補助熱源機6を作動させる制御が含まれる。補助熱源機6を作動させると、高温の第2温水が液液熱交換器13に供給される。浴室乾燥機8のブロワ33及びポンプ35を作動させると、液液熱交換器13において、第2温水によって循環流路34の空気加熱用温水が加熱される。気液熱交換器32において循環流路34の空気加熱用温水によって空気が加熱される。加熱された空気(第2温風)が浴室内に吹き出される。第1乾燥運転によってエネルギー利用効率を高めつつ、第1乾燥運転に続く第2乾燥運転によって洗濯物をからっと仕上げることができる。
【0043】
一方、第1乾燥運転が禁止されている場合には第1乾燥運転を省略し、ステップS6において、第2乾燥運転を実行する。この場合、迅速に洗濯物を乾燥させることができる。
【0044】
ステップS5又はステップS7において、乾燥運転を停止すべき旨のトリガを認識したとき、制御回路60はポンプ17等を停止させる。これにより、乾燥運転が終了する。乾燥運転を停止すべき旨のトリガは、ユーザによって乾燥運転を停止すべき旨の入力がなされたこと、乾燥運転の運転時間を計測するタイマがタイムアップしたことなどである。
【0045】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、制御回路60は、第1乾燥運転の運転時間が予め定められた制限時間に到達した場合、第1乾燥運転を終了して第2乾燥運転を開始する。このような構成によれば、第1温水を用いた第1乾燥運転によってエネルギー利用効率を向上させつつ、乾燥時間を短縮することができる。また、高温の第2乾燥運転を行うことによって、洗濯物をからっと仕上げることができる。その結果、ユーザの満足度も高まる。
【0046】
また、本実施の形態において、コージェネレーションシステム100は、第1乾燥運転を許可するモードと第1乾燥運転を禁止するモードとを選択可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、ユーザの嗜好に合致した乾燥運転を実行できるので、コージェネレーションシステム100に対するユーザの満足度が高まる。
【0047】
また、本実施の形態において、制御回路60は、第1乾燥運転が許可され、かつ、乾燥運転を実行すべき旨のトリガを認識したとき、第1乾燥運転が開始されるように貯湯タンク4から第1温水を取り出すための制御を実行してもよく、第1乾燥運転が禁止され、かつ、乾燥運転を実行すべき旨のトリガを認識したとき、第2乾燥運転が開始されるように補助熱源機6を制御してもよい。このような構成によれば、第1温水を用いた第1乾燥運転を実行することによって、エネルギー利用効率を高めることができる。第1乾燥運転が禁止されている場合には、第2乾燥運転を実行することによって、迅速に洗濯物を乾燥させることができる。
【0048】
また、本実施の形態において、浴室乾燥機8は、第1温水又は第2温水と空気とを熱交換させて温風を生成する気液熱交換器32を有していてもよい。このような構成によれば、温風が生成され、浴室に吹き出される。
【0049】
また、本実施の形態において、コージェネレーションシステム100は、液液熱交換器13をさらに備えていてもよく、浴室乾燥機8は、気液熱交換器32と、気液熱交換器32に空気を供給するブロワ33と、気液熱交換器32において空気と熱交換する空気加熱用温水が循環する循環流路34とを有していてもよく、第1乾燥運転が行われるとき、液液熱交換器13において循環流路34の空気加熱用温水が第1温水によって加熱されて気液熱交換器32に供給されてもよい。このような構成によれば、第1乾燥運転と第2乾燥運転とを実行することが可能である。
【0050】
また、本実施の形態において、発電ユニット2が燃料電池ユニットであってもよく、コージェネレーションシステム100が燃料電池コージェネレーションシステムであってもよい。燃料電池コージェネレーションシステムは一般家庭用の分散型電源システムとして優れている。したがって、洗濯物の乾燥運転に関する本開示の技術は、燃料電池コージェネレーションシステムに適している。
【0051】
(実施の形態2)
以下、
図3を用いて実施の形態2を説明する。
【0052】
[2-1.構成]
図3は、実施の形態2のコージェネレーションシステム200の概略構成図である。コージェネレーションシステム200は、補助熱源機6の配置の点において、実施の形態1のコージェネレーションシステム100と異なる。その他の構成は、実施の形態1のコージェネレーションシステム100と本実施の形態のコージェネレーションシステム200とで共通である。
【0053】
コージェネレーションシステム200においては、空気加熱用温水が補助熱源機6によって加熱されるように循環流路34に補助熱源機6が配置されている。第2乾燥運転が行われるとき、循環流路34の空気加熱用温水が補助熱源機6によって加熱されて第2温水として気液熱交換器32に供給される。第2乾燥運転において、貯湯タンク4に貯められた第1温水は使用されない。
【0054】
補助熱源機6は、貯湯タンク4の蓄熱量が不足している際に市水又は貯湯タンク4に貯められた第1温水を加熱して蛇口、浴室などの使用箇所に供給するための補助熱源機を兼ねていてもよい。
【0055】
[2-2.動作]
以上のように構成されたコージェネレーションシステム200について、その動作を以下説明する。
【0056】
第1乾燥運転において、ポンプ17を作動させると、第1温水が貯湯タンク4から取り出されて液液熱交換器13に供給される。浴室乾燥機8のブロワ33及びポンプ35を作動させると、液液熱交換器13において、第1温水によって循環流路34の空気加熱用温水が加熱される。気液熱交換器32において循環流路34の空気加熱用温水によって空気が加熱される。加熱された空気(第1温風)が浴室内に吹き出される。
【0057】
第1乾燥運転においては、補助熱源機6を作動させないので、空気加熱用温水は補助熱源機6の内部を通過するだけである。
【0058】
第2乾燥運転において、浴室乾燥機8のブロワ33及びポンプ35を作動させるとともに、補助熱源機6を作動させる。補助熱源機6において、循環流路34の空気加熱用温水が加熱されて高温の第2温水として気液熱交換器32に供給される。気液熱交換器32において循環流路34の空気加熱用温水(第2温水)によって空気が加熱される。加熱された空気(第2温風)が浴室内に吹き出される。第2乾燥運転においては、貯湯タンク4から第1温水を取り出すためのポンプ17を作動させない。
【0059】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、空気加熱用温水が補助熱源機6によって加熱されるように循環流路34に補助熱源機6が配置されていてもよく、第2乾燥運転が行われるとき、循環流路34の空気加熱用温水が補助熱源機6によって加熱されて第2温水として気液熱交換器32に供給されてもよい。このような構成によれば、第1温水を貯湯タンク4の外部の流路に循環させる必要がないので、ポンプ17の消費電力を削減できる。また、第2乾燥運転において中温水が生成されることを回避できる。
【0060】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び2を説明した。ただし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1及び2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0061】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0062】
ポンプ17の位置は、
図1に示す位置に限定されない。第1温水の循環流路の少なくとも1箇所にポンプ17が設けられていてもよい。同様に、ポンプ35の位置は、
図3に示す位置に限定されない。循環流路34の少なくとも1箇所にポンプ35が設けられていてもよい。
【0063】
各実施の形態において、各流路は、少なくとも1つの配管によって構成されうる。各流路には、弁、センサなどの必要な機器が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示の技術は、コージェネレーションシステムに有用である。
【符号の説明】
【0065】
2 発電ユニット
4 貯湯タンク
6 補助熱源機
8 浴室乾燥機
12 取水流路
13 液液熱交換器
14 接続流路
15 戻し流路
17 ポンプ
20 燃料電池
21 熱交換器
22 ポンプ
24 低温流路
25 高温流路
32 気液熱交換器
33 ブロワ
34 循環流路
35 ポンプ
60 制御回路
62 端末
100,200 コージェネレーションシステム