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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152021
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】伸縮装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20241018BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E01C11/02 A
E01D19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065917
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 俊成
(72)【発明者】
【氏名】三好 亮
【テーマコード(参考)】
2D051
2D059
【Fターム(参考)】
2D051AC04
2D051FA02
2D051FA08
2D051FA14
2D051FA22
2D051FA29
2D051FA30
2D059AA01
2D059GG45
(57)【要約】
【課題】従来よりも浸水による腐食を防止できる伸縮装置を提供する。
【解決手段】遊間12に隣接する第1床版31に第1アンカー部材17及び第1後打ちコンクリート部29を介して固定され、遊間12に沿う支承線方向に延びた第1縦板部15と、遊間12を挟んで第1床版31に相対する第2床版37に、第2アンカー部材22及び第2後打ちコンクリート部38を介して固定され、遊間12に沿う支承線方向に延びた第2縦板部20とを備え、第2後打ちコンクリート部38に接する第2縦板部20の第2外側面36に、複数の突起部40が設けられて模様が形成されている。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋桁同士の間又は橋桁と橋台との間の遊間に跨いで設けられる伸縮装置において、
前記遊間に隣接する前記橋桁の第1床版又は前記橋台のパラペットに少なくとも第1後打ちコンクリート部を介して固定され、前記遊間に沿った支承線方向に延びた第1縦板部と、
前記遊間を挟んで前記第1床版又は前記パラペットに相対する前記橋桁の第2床版に少なくとも第2後打ちコンクリート部を介して固定され、前記支承線方向に延びた第2縦板部と、を備え、
前記第1後打ちコンクリート部に接する前記第1縦板部の第1外側面と、前記第2後打ちコンクリート部に接する前記第2縦板部の第2外側面とのうち、少なくともいずれか一方に、複数の突起部が設けられて模様が形成されている、伸縮装置。
【請求項2】
前記第1縦板部の上端に設けられ、前記遊間が配置された側に、前記支承線方向に延びる第1横板部と、
前記第2縦板部の上端に設けられ、前記遊間が配置された側に前記支承線方向に延びる第2横板部と、を備え、
前記模様が形成されている前記第1縦板部の第1外側面及び/又は前記第2縦板部の第2外側面と連続した、前記第1横板部の第1上面及び/又は前記第2横板部の第2上面には、前記複数の突起部によって、前記第1縦板部及び/又は前記第2縦板部の前記模様と連続した前記模様が形成されている、請求項1に記載の伸縮装置。
【請求項3】
前記複数の突起部により形成された前記模様は、前記第1上面及び/又は前記第2上面でのスリップを防止するための形態を有しており、
前記第1縦板部の第1外側面及び/又は前記第2縦板部の第2外側面にも、前記第1上面及び/又は前記第2上面においてスリップを防止するための形態の前記模様が形成されている、請求項2に記載の伸縮装置。
【請求項4】
前記第1横板部と前記第2横板部とがスライド自在に重ね合わされた構成である、請求項2に記載の伸縮装置。
【請求項5】
前記複数の突起部を規則的に配置して前記模様を形成した1枚の鋼板を断面逆L字状に折り曲げることで、前記第1縦板部の前記第1外側面と前記第1横板部の前記第1上面、及び/又は前記第2縦板部の前記第2外側面と前記第2横板部の前記第2上面とに前記複数の突起部を規則的に配置した前記模様を形成している、請求項2~4のいずれか1項に記載の伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋軸方向に隣接する橋桁同士の間または橋桁と橋台との間の遊間に設置される橋梁用伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁や高架道路(歩道を含む)等では、環境の温度変化に起因する橋桁の膨張や収縮が生じるため、橋桁同士の間または橋桁と橋台との間に遊間が設けられる。伸縮装置は、その遊間に跨ぐように設けられ、温度変化による橋桁の伸縮や車両の通過による橋桁のたわみ等に伴う遊間の距離の変動を吸収して、車両や人を円滑に通行させることができる。この伸縮装置は、橋桁(橋桁の床版端部)や橋台(橋台のパラペット端部)とコンクリートで一体化されている。
【0003】
従来の伸縮装置として、遊間を挟んで配置された第1継手及び第2継手を、アンカー部材及び後打ちコンクリート部を介して床版に固定した構成が知られている(非特許文献1参照)。第1継手は、橋軸方向に交差する支承線方向に延びた第1縦板部と、第1縦板部の上端からスライドプレート(縞鋼板)の厚み程下がった位置から遊間側方向に延設した第1横板部とよりなる。第1縦板部は、第1床版の箱抜き部に打設される後打ちコンクリート部に平滑な側面が付着しており、アンカー部材及び後打ちコンクリート部により第1床版に固定されている。第1縦板部と後打ちコンクリート部との接する面がそれぞれ平滑となる。
【0004】
第2継手も、第1継手と同様に、支承線方向に延びた第2縦板部と、第2縦板部の上端から遊間側に延設した第2横板部とよりなる。第2横板部は、第1横板部と対峙し、第2横板部の上にスライドプレートが固定される。スライドプレートは第2横板部と第1横板部の間を跨ぐように設置され、第1横板部の上をスライドする。第2縦板部は、第1縦板部に対峙する。第2縦板部は、遊間を挟んで第1床版に相対する第2床版の箱抜き部に打設される後打ちコンクリート部に平滑な側面が付着しており、アンカー部材及び後打ちコンクリート部により第2床版に固定されている。第2縦板部と後打ちコンクリート部との接する面がそれぞれ平滑となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「伸縮装置の設計ガイドライン」 2020年12月 2021年6月改訂版 日本道路ジョイント協会 P13頁-14頁 図-2.2.1.5 構造例 [荷重支持型](重ね合わせ型)の図 [令和4年4月15日検索],インターネット<URL:http://www.joint.ecnet.jp/pdf/tebiki_2021-6.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載の伸縮装置は、縦板部と後打ちコンクリート部との接する面がそれぞれ平滑であるため、車両や人等の通過により、縦板部に繰り返し荷重が載荷されると、縦板部とコンクリートとの付着が離れてしまうというおそれがあった。縦板部とコンクリートとの付着が離れると、そこから侵入した雨水等により、縦板部やアンカー部材が腐食してしまう可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、縦板部と後打ちコンクリート部との付着を向上させて繰返し荷重に対するアンカー部材の負担を軽減して、縦板部やアンカー部材の浸水による腐食を防止することができる伸縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の伸縮装置では、橋桁同士の間又は橋桁と橋台との間の遊間に跨いで設けられる伸縮装置において、遊間に隣接する橋桁の第1床版又は橋台のパラペットに少なくとも第1後打ちコンクリート部を介して固定され、遊間に沿った支承線方向に延びた第1縦板部と、遊間を挟んで第1床版又はパラペットに相対する橋桁の第2床版に少なくとも第2後打ちコンクリート部を介して固定され、支承線方向に延びた第2縦板部と、を備え、第1後打ちコンクリート部に接する第1縦板部の第1外側面と、第2後打ちコンクリート部に接する第2縦板部の第2外側面とのうち、少なくともいずれか一方に、複数の突起部が設けられて模様が形成されている、伸縮装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明の伸縮装置によれば、複数の突起部があることによって、複数の突起部が後打ちコンクリート部へ食い込む状態となり、第1縦板部及び/又は第2縦板部と、第1後打ちコンクリート部及び/又は第2後打ちコンクリート部とが強固に固着して離れ難くなるので、その分、従来よりも浸水による腐食を防止できる。また、第1縦板部及び/又は第2縦板部に設けられた複数の突起部が第1後打ちコンクリート部及び/又は第2後打ちコンクリート部に食い込む状態となるので、車両や人等の通過により、第1縦板部及び/又は第2縦板部に繰り返し荷重が与えられても、複数の突起部からも第1後打ちコンクリート部及び/又は第2後打ちコンクリート部に当該荷重が分散され、その分、第1アンカー部材及び/又は第2アンカー部材への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る伸縮装置を示す斜視図である。
図2図1に示した伸縮装置を箱抜き部に設置した状態を示す斜視図である。
図3図1に示した伸縮装置の断面構成を示す断面図である。
図4図1に示した第2継手の第2外側面及び第2上面を示す展開図である。
図5図1に示した第2継手の複数の突起部を示す要部拡大断面図である。
図6】断面円弧状の突起部を複数設けた他の実施例を示す要部拡大断面図である。
図7】第2実施形態に係る伸縮装置を示す斜視図である。
図8】第3実施形態に係る簡易鋼製歯形の伸縮装置を示す斜視図である。
図9】第4実施形態に係る簡易鋼製縦型の伸縮装置を示す斜視図である。
図10】複数の突起部により形成される模様の他の形態を示す要部平面図である。
図11】複数の突起部により形成される別の模様の形態を示す要部平面図である。
図12】斜橋の概略を示す平面図である。
図13】曲線橋の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)第1実施形態
(1-1)伸縮装置の構成
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態である伸縮装置10を示す。伸縮装置10は、橋梁において橋軸方向に隣接する橋桁同士の遊間12に設置される。なお、伸縮装置10は、橋桁と橋台との間の遊間に設置されるものでもよい。つまり、伸縮装置10は、橋軸方向に隣接する橋桁同士の間又は橋桁と橋台との間の遊間12に跨るように設置される。伸縮装置10は、遊間12に沿って設置され、車両や人の進む方向(橋の長手方向)である橋軸方向に交差する、橋梁の支承線の方向(支承線方向)に配置される。
【0012】
なお、例えば直橋の場合には、支承線が橋軸と直角に交わる。斜橋の場合には、支承線が橋軸と斜めに交わる。直線橋の場合には、橋軸が直線で、曲線橋の場合には、橋軸が曲線となるので、支承線が橋軸と直角に交わる場合、或いは斜めに交わる場合が考えられる。本発明では、斜橋や曲線橋等を含むため、伸縮装置10が設置される方向を支承線方向としている。
【0013】
伸縮装置10は、橋桁の端部の遊間12を挟んで一方側に配置される第1継手13と、遊間12の他方側に配置される第2継手14と、第1継手13及び第2継手14の間の遊間12に配置される止水材39とを有する。なお、伸縮装置10が設置される橋桁の端部の遊間としては、橋軸方向に配置された橋桁同士の遊間、橋桁と橋台との間の遊間がある。例えば図1に示した鋼製の伸縮装置10において、第1継手13と第2継手14とは、遊間12を挟んで橋軸方向で相対するように設けられている。
【0014】
なお、橋軸方向は、橋の長手方向、すなわち車両や人が進む進路方向である。第1継手13は、第1縦板部15と、第1縦板部15の上端から遊間12側に延設された第1横板部16と、第1縦板部15から遊間12側とは逆方向に突出した直線棒状の第1アンカー部材17とを備える。第1縦板部15には、第1アンカー部材17が支承線方向に所定間隔で複数設けられている。なお、第1アンカー部材17は、例えば、断面円形の軸部材や、棒状(丸鋼、角鋼、異形棒鋼、ボルト、スタッド)、板状の部材としてもよい。
【0015】
第1縦板部15と第1横板部16とは、例えば、同じ部材で形成されており、1枚の鋼板を断面逆L字状に折り曲げて形成され、長手方向が支承線方向に配置される構成となっている。なお、第1縦板部15と第1横板部16とは、例えば2枚の鋼板をボルトやビス等の締結部材より断面逆L字状になるように取り付けた構成であってもよい。また、第1縦板部15と第1横板部16とは、溶接で断面逆L字状に固定されてもよい。さらに、L字状に折れ曲がったLアングル状の鋼材(形鋼)を使用してもよい。
【0016】
第2継手14は、第1縦板部15と遊間12を挟み遊間12に沿って対向配置される第2縦板部20と、第2縦板部20の上端から遊間12側に延びている第2横板部21と、遊間12側とは逆側に向けて第2縦板部20から突出する直線棒状の第2アンカー部材22とを備える。第2縦板部20には、第2アンカー部材22が支承線方向に所定間隔で複数設けられている。なお、第2アンカー部材22は、例えば、断面円形の軸部材や、棒状(丸鋼、角鋼、異形棒鋼、ボルト、スタッド)、板状の部材としてもよい。
【0017】
第2横板部21は、第2縦板部20と同じ部材の鋼板で形成されており、断面逆L字状に折り曲げられて形成され、長手方向が支承線方向に配置される構成となっている。なお、第2縦板部20と第2横板部21とは、例えば、2枚の鋼板をボルトやビス等の締結部材より断面逆L字状になるように取り付けた構成であってもよい。また、第2縦板部20と第2横板部21とは、溶接で断面逆L字状に固定されてもよい。さらに、L字状に折れ曲がったLアングル状の鋼材(形鋼)を使用してもよい。
【0018】
第1アンカー部材17は、第1縦板部15から遊間12側とは逆方向に向けて所定長さで突出する直線丸棒形状となっており、第1縦板部15に対して支承線方向に所定間隔離して一列に配列されている。複数の第1アンカー部材17は、第1縦板部15の高さ方向での略中間位置に固定されている。第2アンカー部材22は、第1アンカー部材17と同じ形状で、かつ同じ配列で第2縦板部20に固定されている。
【0019】
第1横板部16は、第1縦板部15の上端から遊間12の方向に折り曲げられている。第2横板部21は、第2縦板部20の上端から遊間12の方向に折り曲げられている。第2横板部21は、当該第2横板部21の表面である第2上面24と逆面である第2下面に摺動するように、第2横板部21の第2上面24が、第1横板部16の表面である第1上面23の上に、スライド自在に重ね合わされる。なお、第1上面23と第2下面との間に隙間があってもよい。第1横板部16の第1上面23と第2横板部21の第2上面24は、道路又は歩道の面となっている。なお、ここでいう道路又は歩道の面は、第1上面23と第2上面24が同一の高さ面ではない段差面を含む。
【0020】
かかる構成に加えて、道路面又は歩道面となる第2横板部21の第2上面24と、当該第2上面24と連続して同一面上となる第2縦板部20の第2外側面36とには、複数の突起部40が規則的に配置されて装飾的な模様(後述する)が連続的に形成されている。
【0021】
伸縮装置10は、図2に示すように、遊間12を挟んだ両側に、第1箱抜き部26と第2箱抜き部27とを有する。第1箱抜き部26には、第1継手13が設置される。この場合、第1継手13に設けた第1アンカー部材17は、第1箱抜き部26に設置された第1埋め込み鉄筋32及び/又は第1補強鉄筋33に溶接される。このように、第1継手13では、第1アンカー部材17が第1埋め込み鉄筋32及び/又は第1補強鉄筋33に溶接されることにより、遊間12に隣接する第1床版31の端部上面に設けられた第1箱抜き部26に、第1継手13に設けた第1縦板部15が固定される。
【0022】
第2箱抜き部27には、第2継手14が設置される。この場合、第2継手14に設けた第2アンカー部材22は、第2箱抜き部27に設置された第2埋め込み鉄筋34及び/又は第2補強鉄筋35に溶接される。このように、第2継手14では、第2アンカー部材22が第2埋め込み鉄筋34及び/又は第2補強鉄筋35に溶接されることにより、第2継手14に設けた第2縦板部20が、遊間12を挟んで第1床版31と相対する第2床版37の端部上面に設けられた第2箱抜き部27に固定される。なお、第1埋め込み鉄筋32、及び第2埋め込み鉄筋34は、例えば、U字状の鉄筋や差し筋アンカーであっても良い。
【0023】
第1箱抜き部26には、第1アンカー部材17を溶接することによって第1継手13を第1床版31に固定した後に、第1床版31と同程度の強度のコンクリートが打設されて第1後打ちコンクリート部29が形成される。第1継手13は、コンクリートの打設によって、第1アンカー部材17が第1後打ちコンクリート部29に埋め込まれた状態で第1後打ちコンクリート部29と一体化することで、第1床版31に固定される。さらに、第1継手13における第1縦板部15は、第1後打ちコンクリート部29に接する第1外側面30を有する。よって、第1継手13は、コンクリートの打設によって、第1外側面30も、第1後打ちコンクリート部29に付着した状態で第1後打ちコンクリート部29と一体化し、当該第1後打ちコンクリート部29を介して第1床版31に固定される。
【0024】
第2箱抜き部27には、第2アンカー部材22を溶接することによって第2継手14を第2床版37に固定した後に、第2床版37と同程度の強度のコンクリートが打設されて第2後打ちコンクリート部38が形成される。第2継手14は、コンクリートの打設によって、第2アンカー部材22が第2後打ちコンクリート部38に埋め込まれた状態で第2後打ちコンクリート部38と一体化することで、第2床版37に固定される。さらに、第2継手14における第2縦板部20は、第2後打ちコンクリート部38に接する第2外側面36を有する。よって、第2継手14は、コンクリートの打設によって、第2外側面36も、第2後打ちコンクリート部38に付着した状態で第2後打ちコンクリート部38と一体化し、当該第2後打ちコンクリート部38を介して第2床版37に固定される。
【0025】
第2縦板部20の第2外側面36には、図3に示すように、第2後打ちコンクリート部38との固着を強固にするために複数の突起部40が設けられている。また、第2縦板部20の第2上面24には、人や車両等の通行体がスリップすることを防止するために複数の突起部40が設けられ、装飾的な模様が施されている。このように、複数の突起部40により形成された装飾的な模様は、第2上面24でのスリップを防止するための形態を有しており、第2縦板部20では、当該第2上面24においてスリップを防止する装飾的な形態の模様が第2外側面36にもそのまま形成され、装飾的な模様によって第2外側面36と第2後打ちコンクリート部38との強固な固着を実現している。
【0026】
なお、同図には、図面の煩雑化を防ぐために、複数の突起部40を簡略して記載している。また、第1床版31と第2床版37との間(橋軸方向の間)が床版遊間(標準遊間:以下、単に遊間と称する)41となっている。第1横板部16の下には、止水材39が設けられている。止水材39は、第1縦板部15の第1外側面30の逆面である第1内側面と、第2縦板部20の第2外側面36の逆面である第2内側面との間に挟まれて設けられている。
【0027】
止水材39は、弾性シール材である。なお、止水材39は、乾式止水材としてもよい。乾式止水材は、例えば連続気泡フォームと止水膜とが一体化されている。この場合、止水膜と本体の不陸調整接着剤吸収保持フォームとを第1内側面及び第2内側面に接着させることにより止水を行う。また、乾式止水材本体は、常に圧縮状態で使用するため、接着界面や、止水膜、本体自体に引張応力が加わることなくスムーズに伸縮装置の伸縮に追従する。
【0028】
第1縦板部15と第1横板部16とは、1枚の鋼板で折り曲げられて形成されている。第2縦板部20と第2横板部21とは、1枚の縞鋼板で折り曲げられて形成されている。例えば、折り曲げる前の状態での縞鋼板は、図4に示すように、第2外側面36と第2上面24との全面に、複数の突起部40が所定の規則に従って形成されて装飾的な縞目模様が形成されている。
【0029】
複数の突起部40は、例えば、細長い楕円形の長手方向の上端が図4において図面上の上下方向に対して右方向に倒れた姿勢の第1楕円形部43と、細長い楕円形の長手方向の上端が図面上の上下方向に対して左方向に倒れた姿勢の第2楕円形部44とを有し、これら第1楕円形部43と第2楕円形部44とが交互に配されたパターンになっている。
【0030】
なお、直線点線45は、第2縦板部20と第2横板部21との境目である折り曲げ部であり、また、円形点線46は、第2縦板部20に設けられる第2アンカー部材22の取付位置を示す。ここで、第1楕円形部43、及び第2楕円形部44を上方から視た輪郭は、正確には楕円形ではなく、楕円形に近い形状を含む。
【0031】
複数の突起部40の断面形状は、図5に示すように、断面台形状になっている。複数の突起部40の高さは、第2縦板部20の板厚よりも小さい寸法になっている。なお、複数の突起部40の断面形状は、台形状に限らず、例えば、図6に示すように、断面円弧状としてもよい。
【0032】
(1-2)作用及び効果
以上の構成において、伸縮装置10では、遊間12を挟んで第1床版31に相対する第2床版37に、第2アンカー部材22及び第2後打ちコンクリート部38を介して第2継手14を固定し、当該第2継手14における第2後打ちコンクリート部38に接する第2縦板部20の第2外側面36に、複数の突起部40を規則的に配置して模様を形成するようにした。これにより、伸縮装置10では、複数の突起部40によって、複数の突起部40が第2後打ちコンクリート部38へ食い込む状態となり、第2縦板部20と第2後打ちコンクリート部38とが強固に固着して、第2縦板部20と第2後打ちコンクリート部38とが離れ難くなるので、その分、従来よりも浸水による腐食を防止できる。
【0033】
また、伸縮装置10では、第2縦板部20に設けられた複数の突起部40が第2後打ちコンクリート部38に食い込む状態となるので、車両や人等の通過により、第2縦板部20に繰り返し荷重が与えられても、複数の突起部40からも第2後打ちコンクリート部38に当該荷重が分散され、その分、第2アンカー部材22への負担を軽減することができる。
【0034】
さらに、伸縮装置10では、第2横板部21の第2上面24に複数の突起部40があることによって、平滑な面ではなくなるので、車両や人等の通過の際のスリップを低減することができる。
【0035】
また、伸縮装置10では、第2横板部21の第2上面24が、第1横板部16の表面である第1上面23の上に、スライド自在に重ね合わされており、複数の突起部40がある第2継手14が上側となり、上側になる第2縦板部20に車両や人等の通過による繰り返し荷重が与えられ易くなるため、上側にある第2継手14側に複数の突起部40を設けるのが好適である。
【0036】
また、複数の突起部40を規則的に配置して模様を形成した1枚の鋼板を断面逆L字状に折り曲げることで、第2縦板部20の第2外側面36と第2横板部21の第2上面24との両方の面に複数の突起部40を規則的に配置した模様を容易に形成できる。なお、重ね合わせた時に上側にする鋼板は、第2横板部21側に限らず、第1横板部16側としてもよい。
【0037】
(2)第2実施形態
図7に示すように、第1横板部16の第1上面23と、第1縦板部15の第1外側面30との全面に、複数の突起部40を形成して装飾的な模様を設けた伸縮装置42にしてもよい。この場合、伸縮装置42では、第1横板部16の第1上面23に形成した複数の突起部40が、第2横板部21の第2上面24と逆面である第2下面に摺動するように、第2横板部21の第2上面24が第1横板部16の第1上面23の上にスライド自在に重ね合わされる。なお、第1上面23と第2下面との間に隙間があってもよい。
【0038】
このような第2実施形態に係る伸縮装置42では、第1床版(図示なし)に第1アンカー部材17、及び第1後打ちコンクリート部(図示なし)を介して第1継手13に設けた第1縦板部15を固定するとともに、当該遊間12を挟んで第1床版(図示なし)に相対する第2床版(図示なし)に、第2アンカー部材22、及び第2後打ちコンクリート部(図示なし)を介して第2継手14に設けた第2縦板部20を固定する。伸縮装置42は、第1床版(図示なし)の端部上面に設けられた第1箱抜き部(図示なし)に配した第1アンカー部材17が第1後打ちコンクリート部(図示なし)に埋設して固定される。第2床版(図示なし)の端部上面に設けられた第2箱抜き部(図示なし)に配した第2アンカー部材22は、第2後打ちコンクリート部(図示なし)に埋設して固定される。
【0039】
そして、第2実施形態の伸縮装置42では、第1後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第1縦板部15の第1外側面30と、第2後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第2縦板部20の第2外側面36との両面に、それぞれ複数の突起部40を規則的に配置して模様を形成するようにした。これにより、第2実施形態の伸縮装置42では、第2外側面36に複数の突起部40があることによって、複数の突起部40が第2後打ちコンクリート部(図示なし)へ食い込む状態となり、第2縦板部20と第2後打ちコンクリート部(図示なし)とが強固に固着して、第2縦板部20と第2後打ちコンクリート部(図示なし)とが離れ難くなるだけでなく、さらに、第1外側面30にも複数の突起部40があることによって、複数の突起部40が第1後打ちコンクリート部(図示なし)へも食い込む状態となり、第1縦板部15と第1後打ちコンクリート部(図示なし)とでも強固に固着して離れ難くなるので、その分、従来よりも浸水による腐食を防止できる。
【0040】
また、第2実施形態に係る伸縮装置42では、第2縦板部20に設けられた複数の突起部40が第2後打ちコンクリート部(図示なし)に食い込む状態となるので、車両や人等の通過により、第2縦板部20に繰り返し荷重が与えられても、複数の突起部40からも第2後打ちコンクリート部(図示なし)に当該荷重が分散され、その分、第2アンカー部材(図示なし)への負担を軽減することができるだけでなく、さらに、第1縦板部15に設けられた複数の突起部40が第1後打ちコンクリート部(図示なし)へも食い込む状態となるので、車両や人等の通過により、第1縦板部15に繰り返し荷重が与えられても、複数の突起部40からも第1後打ちコンクリート部(図示なし)に当該荷重が分散されるので、その分、第1アンカー部材17への負担も軽減することができる。
【0041】
さらに、第2実施形態の伸縮装置42では、第2横板部21の第2上面24に複数の突起部40があることによって、平滑な面ではなくなるので、車両や人等の通過の際のスリップを低減することができるだけでなく、さらに、第1横板部16の第1上面23にも複数の突起部40があることによって、平滑な面ではなくなるので、車両や人等の通過の際のスリップをより低減することができる。
【0042】
(3)第3実施形態
第1実施形態、及び第2実施形態で説明した伸縮装置10,42は、荷重支持型の重ね合わせ型の伸縮装置であるが、この発明ではこれに限らず、例えば、図8に示す簡易鋼製歯形の伸縮装置48としてもよい。図8に示すように、簡易鋼製歯形の伸縮装置48は、鋼製フィンガージョイントの伸縮装置と比べ、比較的シンプルな構造である。この伸縮装置48は、遊間49を挟んで対向配置される第1縦板部50と第2縦板部51とを備え、第2縦板部51のうちの第2後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第2外側面52に複数の突起部40が規則的に形成されて模様が設けられている。また、第1縦板部50のうちの第1後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第1外側面58にも、複数の突起部(図示なし)が規則的に形成されて模様が設けられている。
【0043】
第1縦板部50には、上端に遊間49側に延びた第1横板部53が一体的に形成されている。第2縦板部51には、上端に遊間49側に延びた第2横板部54が一体的に形成されている。第1横板部53と第2横板部54とは、同じ高さ位置で対向しており、対向した端がラック歯状の凸部52aと凹部52bとが支承線方向に沿って交互に配置した凹凸形状となっている。伸縮装置48では、第1横板部53の各凸部52aが第2横板部54の各凹部52bに所定の隙間を設けてそれぞれ嵌り込んで噛み合っている。
【0044】
第3実施形態の第1アンカー部材17は、第1縦板部50から遊間49側とは逆方向に向けて所定長さで突出する直線丸棒形状となっている。第1アンカー部材17は、第1縦板部50に対して、高さ方向での上・下方の2列に配列され、かつ2列の上下を互い違いに配列(千鳥配列)して固定されている。第2アンカー部材22は、第1アンカー部材17と同じ形状で、かつ同じ配列で第2縦板部51に固定されている。第2アンカー部材22は、第1アンカー部材17に対して千鳥配列の上下が逆になっている。つまり第1アンカー部材17が上位置の場合、対向する第2アンカー部材22は下位置となっている。
【0045】
第3実施形態の伸縮装置48は、図2で説明した第1床版(図示なし)に、溶接により第1アンカー部材17を固定した後、第1後打ちコンクリート部(図示なし)を打設する。第2床版(図示なし)も同様に、溶接により第2アンカー部材22を固定した後、第2後打ちコンクリート部(図示なし)を打設する。
【0046】
以上、第3実施形態の伸縮装置48では、第1実施形態から第2実施形態と同様に、複数の突起部40によって、第1縦板部50と第1後打ちコンクリート部(図示なし)とが強固に固着して離れ難くなり、さらに、第2縦板部51と第2後打ちコンクリート部(図示なし)とでも強固に固着して離れ難くなるので、その分、従来よりも浸水による腐食を防止できる。
【0047】
第1実施形態で説明した荷重支持型の重ね合わせ形の伸縮装置10では、上側になる第2縦板部20に車両や人等の通過による繰り返し荷重が与えられ易くなるため、上側にある第2継手14側に複数の突起部40を設けるのが好適である。しかし、図8に示した第3実施形態である簡易鋼製歯形の伸縮装置48の場合は、第1横板部53と第2横板部54とは、同じ高さ位置で対向しているので、第1縦板部50、及び第2縦板部51の両側に複数の突起部40を設けるのが好適である。
【0048】
図8に示した第3実施形態の伸縮装置48では、第1縦板部50の第1外側面58と第2縦板部51の第2外側面52とにそれぞれ複数の突起部40を形成して模様を設けるだけでなく、道路の面となる第1横板部53の第1上面55と第2横板部54の第2上面56とにも、それぞれ同様に複数の突起部40を形成して模様を設けるようにしてもよい。第1横板部53の第1上面55と第2横板部54の第2上面56にも複数の突起部40があることによって、道路の面が平滑な面ではなくなるので、車両や人等の通過の際のスリップを低減することができる。
【0049】
(4)第4実施形態
図9に示す簡易鋼製縦型の伸縮装置59では、遊間57を挟んだ両側に対向配置した第1縦板部60と第2縦板部63を、例えば波板状鋼材としている。第1縦板部60と第2縦板部63は、遊間57を隔てて対向配置されている。第1縦板部60と第2縦板部63は、橋軸方向と交差する支承線方向に沿って波の形状に曲げられた鋼板であり、一定の強度と剛性を備えている。
【0050】
第1縦板部60は、第1後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第1外側面64に複数の突起部40が設けられ模様が形成されている。また、第2縦板部63は、第2後打ちコンクリート部(図示なし)に接する第2外側面65に複数の突起部40が設けられ模様が形成されている。
【0051】
第4実施形態の第1アンカー部材17aは直線棒状形状で、第1アンカー部材17bは先端が下方に折れ曲がったL字状の形状となっており、それぞれ先端を第1縦板部60から遊間57側とは逆方向に向けた姿勢で第1縦板部60に固定されている。図9に示す伸縮装置59には、第1アンカー部材17aが第1縦板部60の波形状が橋軸方向に向けて凸状を示す位置に1本設けられている。また、第1アンカー部材17bは第1縦板部60の波形状が橋軸方向に向けて凹状を示す位置に2本設けられている。第1縦板部60の波形状が橋軸方向に向けて凸状を示す位置に1本設けた第1アンカー部材17aは、第1縦板部60の高さ方向での下方位置において、支承線方向に所定間隔離して固定されている。第1縦板部60の波形状が橋軸方向に向けて凹状を示す位置に2本設けた第1アンカー部材17bは、第1縦板部60の高さ方向での上方位置において、支承線方向に所定間隔離して固定されている。
【0052】
第4実施形態の第2アンカー部材22aは直線棒状形状で、また、第2アンカー部材22bは先端が下方に折れ曲がったL字状の形状となっており、それぞれ先端を第2縦板部63から遊間57側とは逆方向に向けた姿勢で第2縦板部63に固定されている。第2アンカー部材22aは、第2縦板部63の波形状が橋軸方向に向けて凸状を示す位置に1本設けられている。また、第2アンカー部材22bは、第2縦板部63の波形状が橋軸方向に向けて凹状を示す位置に2本設けられている。第2縦板部63の波形状が橋軸方向に向けて凸状を示す位置に1本設けた第2アンカー部材22aは、第2縦板部63の高さ方向での下方位置において、支承線方向に所定間隔離して固定されている。第2縦板部63の波形状が橋軸方向に向けて凹状を示す位置に2本設けた第2アンカー部材22bは、第2縦板部63の高さ方向での上方位置において、支承線方向に所定間隔離して固定されている。なお、図9に示す伸縮装置59では、図面上左端が橋軸方向に向けて凸状を示す位置で半分に分断されている形態のため、ここに固定される第2アンカー部材22bは2本ではなく1本になっている。
【0053】
第4実施形態の伸縮装置59は、図2で説明した第1床版(図示なし)に、溶接により第1アンカー部材17を固定した後、第1後打ちコンクリート部を打設する。第2床版(図示なし)も同様に、溶接により第2アンカー部材22を固定した後、第2後打ちコンクリート部を打設する。
【0054】
以上、第4実施形態の伸縮装置59では、第1実施形態から第3実施形態と同様に、複数の突起部40によって、第1縦板部60と第1後打ちコンクリート部(図示なし)とが強固に固着して離れ難くなり、さらに、第2縦板部63と第2後打ちコンクリート部(図示なし)とでも強固に固着して離れ難くなるので、その分、従来よりも浸水による腐食を防止できる。また、車両や人等の通過により、第1縦板部60や第2縦板部63に繰り返し荷重が与えられても、複数の突起部40があることによって、複数の突起部40から第1後打ちコンクリート部(図示なし)や第2後打ちコンクリート部(図示なし)に当該荷重が分散されるので、その分、第1アンカー部材17や第2アンカー部材22への負担を軽減することができる。
【0055】
(5)他の実施形態
複数の突起部40により形成される模様としては、例えば図4に示した配列の縞目模様に限らず、図10に示すような縞目模様としてもよい。縞目模様を形成する複数の突起部40は、長手方向の上端が図面上の上下方向に対して右方に倒れた姿勢の第1楕円形部68を複数、例えば3個、所定間隔離して連続して配列した第1群69を備える。また、複数の突起部40は、長手方向の上端が図面上の上下方向に対して左方に倒れた姿勢の第2楕円形部70を複数、例えば3個、所定間隔離して連続して配列した第2群71を備える。
【0056】
また、複数の突起部40により形成される他の模様としては、図11に示すような縞模様であってもよい。この縞模様は、長手方向の上端部が図面上の上下方向に対して右方に倒れた姿勢の第1楕円形部74と、長手方向の上端部が図面上の上下方向に対して左方に倒れた姿勢の第2楕円形部75と、輪郭円形の凸状部である円部76とを組み合わせた配列になっている。第1楕円形部74は、図面上の左右方向に所定間隔離して複数配列して列を構成している。第2楕円形部75は、第1楕円形部74との間に入り込むように図面上の左右方向に所定間隔離して複数配列して列を構成している。円部76は、第1楕円形部74と第1楕円形部74との間、及び第2楕円形部75と第2楕円形部75との間に配列されている。
【0057】
また、図4図10,及び図11で説明した実施形態においては、第1縦板部、第2縦板部、第1横板部及び第2横板部に複数の突起部により形成される模様として、縞鋼板に形成されている縞目模様を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第1縦板部、第2縦板部、第1横板部及び第2横板部に複数の突起部により形成される模様は、直線、曲線、図形、数字、記号、文字の形状のうちいずれか1種の形状の突起部を複数配置して形成した模様か、又は、これら形状のうちいずれか2種以上の形状の突起部を複数配置して形成した模様等、種々の模様を適用してもよい。
【0058】
複数の突起部により形成される模様としては、上述した縞鋼板の縞模様の他に、例えば、ストライプ模様、ドット模様、梨地模様、及び、動植物を模した複数の絵柄の模様等であってもよい。ストライプ模様とは、複数のストライプ状の突起部が等間隔又は不等間隔で配置された模様であり、ドット模様とは、複数の円形状、楕円形状、菱形状等の幾何学的な形状の突起部が等間隔又は不等間隔で配置された模様であり、梨地模様とは、鱗状の複数の突起部が等間隔又は不等間隔で配置された模様である。また、動植物を模した絵柄の突起部を配した模様としては、例えば、犬、猫等の動物を模した複数の絵柄の突起部を配置した模様や、桜、紅葉、四葉等の植物を模した複数の絵柄の突起部を配置した模様を適用することができる。
【0059】
以上説明したように本発明は、アンカー部材17,22が、箱抜き部26,27に設置された埋め込み鉄筋32,34及び/又は補強鉄筋33,35に溶接されている。これに対し複数の突起部40は、埋め込み鉄筋32,34及び/又は補強鉄筋33,35に溶接されていない。
【0060】
アンカー部材17,22は、縦板部15,20,50,51,60,63の外側面30,36,58,52,64,65に数本が設置されている(数は多くない)。複数の突起部40は、縦板部15,20,50,51,60,63の外側面30,36,58,52,64,65に多数設けられており、装飾的な模様を形成している。
【0061】
アンカー部材17,22は後打ちコンクリート部29,38に埋まって「一体化」している。縦板部15,20,50,51,60,63は、複数の突起部40がなければ後打ちコンクリート部29,38とは表面に「付着」しているだけであるが、複数の突起部40があれば後打ちコンクリート部29,38との付着面積が増えるだけでなく、後打ちコンクリート部29,38表面に食い込む形になる。
【0062】
複数の突起部40は、後打ちコンクリート部29,38の表面に食い込んでいるので、せん断方向の力に対する抵抗力が期待できる。せん断方向は、車両や人等の通過により、縦板部15,20,50,51,60,63に繰り返し荷重が与えられる方向である。複数の突起部40によって、せん断方向に対する抵抗力を向上し得る。
【0063】
上記第1実施形態から第4実施形態では、車両や人が進む進路方向(橋の長手方向)を橋軸方向としており、橋軸方向が支承線方向と直角に交わる直橋での事例について説明している。よって、直橋の場合には、支承線方向が橋軸直角方向になる。直橋とは別に斜橋、及び曲線橋等が知られている。直線橋は、直橋や斜橋といった橋軸が直線である橋である。斜橋の場合には、図12に示すように、支承線81が橋軸80と斜めに交わる。図13に示すように、曲線橋の場合には、橋軸80が曲線となるので、支承線81が橋軸80と直角に交わる場合、或いは斜めに交わる場合が考えられる。
【0064】
本発明では、伸縮装置10,42,48,59を設置する橋が直橋以外に、斜橋、及び曲線橋等を含むため、支承線81が橋軸80に対して斜方向に交差する斜橋(図12に示す橋)や、支承線81が橋軸80に対して直角に交わる場合、或いは斜めに交わる曲線橋(図13では、一例として、図面上側において支承線81が橋軸80に対して直角に交わり、図面下側において支承線81が橋軸80に対して斜めに交わる橋を示す)等を含むため、伸縮装置10,42,48,59が設置される方向を橋軸方向に交差する支承線方向としている。
【0065】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形がこの発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0066】
また、本発明の伸縮装置は、上述した第1実施形態から第4実施形態や、他の実施形態で説明した個々の実施形態に限定されず、上述した第1実施形態から第4実施形態の各構成や、他の実施形態の構成を適宜組み合わせた伸縮装置であってもよい。
【0067】
また、上記で説明した第1実施形態から第4実施形態は、橋桁同士の間に伸縮装置を設置する構成で説明しているが、本発明ではこれに限らず、例えば橋桁と橋台との間に設置する伸縮装置を含む。橋桁と橋台との間に伸縮装置を設置する場合には、橋桁の床版(端部)に箱抜きが形成され、橋台側では、橋台のパラペット(胸壁)に箱抜き部が形成され、箱抜き部に後打ちコンクリート部を打設して、橋桁の床版と橋台のパラペットとの間に伸縮装置が設置される。この伸縮装置は、橋台のパラペットと橋桁の床版とに支持される一対の構造体からなり、橋桁側の構造体が床版の端部に、橋台側の構造体がパラペットの端部に固定される。
【0068】
パラペットは、橋桁を横から支えている橋台の上部の出っ張り部のことであり、図2で説明した、第1床版31又は第2床版37の代わりになる。
【0069】
伸縮装置10は、遊間12に沿って設置され、車両や人の進む方向(橋の長手方向)である橋軸方向に交差する支承線方向に配置される。
【符号の説明】
【0070】
10,42,48,59 伸縮装置
12,41,57 遊間
15,50,60 第1縦板部
16,53 第1横板部
17,17a,17b 第1アンカー部材
20,51,63 第2縦板部
21,54 第2横板部
22,22a,22b 第2アンカー部材
23,55 第1上面
24,56 第2上面
29 第1後打ちコンクリート部
30,58,64 第1外側面
31 第1床版
36,52,65 第2外側面
37 第2床版
38 第2後打ちコンクリート部
40 複数の突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13