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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152034
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】インペラ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065936
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】村上 直哉
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸洋
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC19
3H130AC27
3H130BA13C
3H130BA66C
3H130CA21
3H130CB05
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DD01Z
3H130EA07C
3H130EB02C
(57)【要約】
【課題】送風効率の向上と低騒音化とを実現し得るインペラ及び電子機器を提供する。
【解決手段】インペラ100は、複数の羽根101と、複数の羽根101の内側に配置された、環状の内周部102と、環状の内周部102と複数の羽根101とを連結する、平板状のベース110とを備え、平板状のベース110は、複数の羽根101に連結する枠111と、枠111から環状の内周部102に向けて延在する複数のスポーク112とを含む。電子機器1は、インペラ100と、モータMと、ハウジング30とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根と、
前記複数の羽根の内側に配置された、環状の内周部と、
前記環状の内周部と前記複数の羽根とを連結する、平板状のベースと
を備え、
前記平板状のベースは、前記複数の羽根に連結する枠と、当該枠から前記環状の内周部に向けて延在する複数のスポークとを含む、インペラ。
【請求項2】
前記複数のスポークのうち、隣り合う2つのスポークの間には開口がある、請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記複数の羽根側における前記開口の一部分が前記複数の羽根に向かって突出している、請求項2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記複数の羽根側における前記スポークの幅は、前記環状の内周部側における前記スポークの幅より大きい、請求項1から3のいずれかに記載のインペラ。
【請求項5】
前記複数のスポークは、前記複数の羽根に対して非回転対称な位置に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のインペラ。
【請求項6】
前記複数のスポークの数と前記複数の羽根の数とは異なる、請求項1から5のいずれかに記載のインペラ。
【請求項7】
環状の外周部を備え、
前記環状の外周部に前記複数の羽根は連結している、請求項1から6のいずれかに記載のインペラ。
【請求項8】
前記複数の羽根は、軸方向を長手方向とした形状を備え、
前記環状の内周部は筒状の形状を備える、請求項1から7のいずれかに記載のインペラ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のインペラと、モータと、ハウジングとを備えた、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インペラ及び電子機器に関し、具体的には、インペラ及びインペラを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インペラを備える電子機器として、例えば特許文献1に記載された電子機器が知られている。この特許文献1に記載された電子機器は、いわゆるシロッコファンやブロワーと称される送風機である。そして、この電子機器に搭載されたインペラは、モータの回転軸の方向に沿って延在する複数の羽根と、円形かつリング状の板状部材である羽根車本体とを備えている。複数の羽根は、羽根車本体の外周側の部分に、羽根車本体の周方向に沿って取り付けられている。モータの回転軸は、羽根車本体の内側に配置されている。また、羽根車本体のうち内周面と複数の羽根が取り付けられている部分との間、すなわち、羽根車本体の径方向における概ね中央の部分には、羽根車本体を回転軸の方向に貫通する複数の孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006-137141号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記特許文献1に記載されたような電子機器(送風機)では、送風効率を向上させたいとの要請や、インペラが回転する際に羽根車本体の上述の孔を通過する風に羽根が当たって生じる騒音を抑制したいとの要請がある。
【0005】
そこで、本発明は、送風効率の向上と低騒音化とを実現し得るインペラ及び電子機器を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインペラは、複数の羽根と、前記複数の羽根の内側に配置された、環状の内周部と、前記環状の内周部と前記複数の羽根とを連結する、平板状のベースとを備え、前記平板状のベースは、前記複数の羽根に連結する枠と、当該枠から前記環状の内周部に向けて延在する複数のスポークとを含む。
【0007】
このようなインペラにおいて、以下の構成の少なくとも1つをさらに備えてもよい。
【0008】
前記複数のスポークのうち、隣り合う2つのスポークの間には開口があってもよい。この場合、前記複数の羽根側における前記開口の一部分が前記複数の羽根に向かって突出していてもよい。
【0009】
前記複数の羽根側における前記スポークの幅は、前記環状の内周部側における前記スポークの幅より大きくてもよい。
【0010】
前記複数のスポークは、前記複数の羽根に対して非回転対称な位置に配置されていてもよい。
【0011】
前記複数のスポークの数と前記複数の羽根の数とは異なっていてもよい。
【0012】
また、上述のインペラが環状の外周部を備えてもよく、前記環状の外周部に前記複数の羽根が連結していてもよい。
【0013】
また、前記複数の羽根は、軸方向を長手方向とした形状を備え、前記環状の内周部は筒状の形状を備えてもよい。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、上述のインペラと、モータと、ハウジングとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態における電子機器の一例を示す斜視図である。
図2図1に示される電子機器のハウジングを軸方向における一方側から見た平面図である。
図3図2に示されるハウジングの軸方向に沿った断面図であり、一部を簡略化して示す図である。
図4】本発明の実施形態におけるインペラを示す斜視図である。
図5図4に示されるインペラを軸方向における一方側から見た平面図である。
図6図4に示されるインペラを軸方向における他方側から見た底面図である。
図7図4に示されるインペラを径方向における一方向から見た正面図である。
図8図4に示されるインペラの、軸方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るインペラ及び電子機器を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、上記添付図面では、理解を容易にするために各部材の寸法が誇張又は縮小して示されていたり、ハッチングが省略されて示されていたりする場合がある。
【0017】
図1は、本実施形態における電子機器の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態における電子機器1はドライヤである。電子機器1は、ハンドル10と、ベース20と、ハウジング30と、ノズル40とを備えている。
【0018】
ハンドル10は、ユーザが電子機器1を使用する際に手で把持する部分であり、所定の長さを有する棒状の部材である。なお、ハンドル10には、図示していないが、電源スイッチや操作スイッチ等の操作部が取り付けられている。ハンドル10は、円形状または楕円形状の断面形状を有し、ハンドル10の長手方向において、中央部分が両端部よりも膨らんだ外形を有している。ハンドル10は、ベース20に対して一体に取り付けられている。ただし、これに限るものではなく、ハンドル10はベース20と着脱自在に取り付けられていてもよく、折り畳み自在に取り付けられていてもよい。
【0019】
ベース20は、ハウジング30およびノズル40の一部を載置する部分となる部材である。ベース20は、湾曲した平面形状を有しており、詳細には平面視において馬蹄形を有している。また、ベース20は、所定の厚さ(ハンドル10の長手方向における長さ)を有する板状の部材であり、金属または樹脂等によって形成されている。ハンドル10の長手方向において、ベース20の一方側の端面20aには、ハウジング30の全体とノズル40の導入部41とが載置されている。導入部41は、ノズル40のハウジング30側の部分である。一方、ハンドル10の長手方向において、ベース20の他方側の端面20bには、ハンドル10が取り付けられている。ベース20の内側には、種々の電子部品が収容されている。この電子部品には、後述するインペラ100やノズル40の内側の空間に設けられたヒータ(図示せず)等に電気的に接続された回路基板が含まれる。
【0020】
ハウジング30は、金属または樹脂等によって形成された円筒形状を有する部材である。ハウジング30は、円筒状のハウジング本体31と、ハウジング本体31と一体に結合された導出部32とを有している。
【0021】
ハンドル10の長手方向において、ハウジング本体31は、ベース20側とは反対側に、ハウジング本体31の外形(例えば、外径)よりも小さい直径の開口部31hを有している。ハウジング本体31の開口部31hを介して、電子機器1の外側の空気がハウジング30の内側へと導入される。このように、開口部31hは、電子機器1の空気の吸引口として機能している。開口部31hは、3本のスポーク31uと一体に形成されており、3本のスポーク31uの間の隙間から気体がハウジング30の内側へと流れる。これら3本のスポーク31uは開口部31hを横切るように延在している。なお、開口部31hには、3本のスポーク31uの間から指等が入らないように網目状のネット状の部材(図示せず)が取り付けられてもよい。また、スポーク31uの本数は3本に限定されず複数であれば、特に構わない。
【0022】
図2は、ハウジング30をハンドル10の長手方向における一方側(開口部31h側)から見た平面図である。なお、図2では、3本のスポーク31uの図示が省略されている。図2に示すように、ハウジング本体31の内側の空間には、インペラ100が設けられている。インペラ100は、本実施形態では、いわゆるシロッコファンである。すなわち、インペラ100の回転に伴い、電子機器1の外側の空気が開口部31hを介してハウジング本体31の内側に流入する。この流入した空気は、ハンドル10の長手方向における一方側から見て、インペラ100が例えば反時計回りに回転することによって、所定レベルの風圧および風量をもつ流体(以下、「風AR」と呼称する)に変換される。
【0023】
導出部32は、ハウジング本体31と後述するノズル40とを繋ぐ部分である。導出部32のうちハウジング本体31の側とは反対側の端面32aには、ノズル40が取り付けられている。風ARは、インペラ100が回転することにより、導出部32の内側を端面32a側に向かって流れる。
【0024】
再び図1を参照すると、導出部32の端面32aには、ノズル40が取り付けられている。導出部32が延在する方向は、ノズル40の長手方向と平行である。風ARは、導出部32を介してノズル40の内側をノズル40の長手方向に沿って流通する。つまり、ノズル40の長手方向は、風ARの流れの方向Xである。
【0025】
ノズル40は、樹脂等で形成される円筒状の部材である。ノズル40は、ハウジング30の導出部32から流入した風ARを、内側の空間に設けられた図示しないヒータによって加熱し、風ARを温風として外部へ排出する。ノズル40は、ハウジング30の導出部32に接続された導入部41と、導入部41と一体に形成されたノズル本体部42とを有している。
【0026】
導入部41は、ハウジング30の導出部32の端面32aと結合される端面41aを有している。導入部41は、筒状で円錐台の形状または筒状で略円錐台の形状を有している。また、導入部41の幅(流れの方向X及びハンドル10の長手方向に垂直な方向における長さ)は、端面41aからノズル本体部42に向かって次第に大きくなっている。導入部41は、ノズル本体部42におけるハウジング30側の端面42aの外形(例えば、外径)と同じ外形(例えば、外径)を有する端面41bを有している。
【0027】
ノズル本体部42は、樹脂等で形成される円筒状または略円筒状の部材である。ノズル本体部42の幅は、流れの方向Xにおけるハウジング30側とは反対側の開口42bに向かって緩やかに小さくなっている。すなわち、本実施形態では、ノズル本体部42の端面42aの直径よりも開口42bの直径の方が僅かに小さい。この開口42bから温風となった風ARが外部に吐出される。したがって、開口42bは、電子機器1の吐出口として機能している。
【0028】
次に、インペラ100及びモータMについて詳細に説明する。
【0029】
図3は、ハンドル10の長手方向に沿ってハウジング30を切断した断面図であり、ハウジング30等の一部を簡略化して示す図である。図3に示すように、インペラ100及びモータMは、ハウジング30の内側に収容されている。インペラ100の内側の空間の中央には、シャフト16が配置されている。このシャフト16は、ハンドル10(図1参照)の長手方向と平行に延在している。以下、シャフト16が延在する方向を「軸方向」と呼称する。ハウジング30の開口部31h(空気の吸引口)は、ハウジング30のうち軸方向における一方側の面に形成されている。以下、軸方向における開口部31h側を、便宜上「上」と呼称する場合があり、軸方向における開口部31h側とは反対側を便宜上「下」と呼称する場合がある。
【0030】
図4は、インペラ100を軸方向における一方側から見た斜視図である。図5は、インペラ100を軸方向における一方側から見た平面図である。図6は、インペラ100を軸方向における他方側から見た底面図である。図7は、インペラ100を軸方向に垂直な径方向における一方向から見た正面図である。図8は、インペラ100の軸方向に沿った断面図である。なお、本実施形態において、インペラ100を径方向から見る場合、径方向におけるどの方向から見ても同様に視認することができる。すなわち、インペラ100の背面図、右側面図、及び左側面は正面図と同様である。
【0031】
図4から図8に示すように、インペラ100は、全体として、軸方向に延在する略円筒状の形状を有している。インペラ100は、複数の羽根101と、内周部102と、ベース110と、外周部103とを含んでいる。内周部102、ベース110、及び外周部103は、同心円状に形成されている。複数の羽根101、内周部102、ベース110、及び外周部103等のインペラ100の各構成は、例えば樹脂等によって一体成型されてもよい。
【0032】
内周部102は、インペラ100の径方向において、内周側にあるインペラ100の一部分である。内周部102は、筒状の形状を備えており、軸方向から見る場合に環状であり、より具体的には円環状である。
【0033】
図8に示すように、本実施形態において、内周部102は、段差状に形成されており、軸方向に沿って延在する筒部102Bと、軸方向における筒部102Bの上側の端部から径方向おける内側に延びる頂部102Aとを含んでいる。筒部102Bは、上から下に向かって、小径部102B1、拡径部102B2、及び大径部102B3を含んでいる。小径部102B1の上側の端部には頂部102Aが接続されている。小径部102B1と頂部102Aとの接続部は、概ね45°の角度で傾斜した部分102Fcとなっている。拡径部102B2は、上側から下側に向かって径が拡大するように形成されている。拡径部102B2の上側の端部に小径部102B1が接続されており、拡径部102B2の下側の端部に大径部102B3が接続されている。
【0034】
図3に示すように、シャフト16は、内周部102の頂部102Aの内周面102a1と筒部102Bの内周面102b1とによって形成される内周部102の内側の空間内に軸方向に沿って挿通され、接続部17を介して頂部102Aに支持されている。なお、この接続部17は、内周部102と一体成型されてもよい。
【0035】
図3に示すように、モータMは、インペラ100の内周部102よりも内側に収容されている。また、モータMは、インペラ100の径方向において、内周部102の筒部102Bと、シャフト16との間に配置されている。モータMは、ロータ21と、軸受ハウジング23と、2つの軸受24,24と、ステータ25とを備えている。軸受ハウジング23は、ハウジング30の下面31dに一体的に形成されている。軸受ハウジング23は円筒状に形成されており、軸受ハウジング23の内側には、2つの軸受24,24が軸方向において互いに離れた状態で支持されている。2つの軸受24,24の内輪よりも内側にシャフト16が配置されている。軸受ハウジング23の外周面には、ステータ25が固定されている。ステータ25は、軸受ハウジング23の外周面に固定されたステータコア26と、ステータコア26に巻き回された複数のコイル27とを含んでいる。ロータ21は、接続部17と、内周部102と、内周部102の筒部102Bの内周面102b1に固定されたマグネット22とを含んでいる。ロータ21及びシャフト16は、ステータ25のコイル27とロータ21のマグネット22との磁気的相互作用により、ステータ25に対して回転する。内周部102は、ロータ21のロータコアとして機能しており、内周部102が回転することにより、ベース110及び複数の羽根101が回転する。このようにして、インペラ100は、モータMによって回転させられる。
【0036】
図6に示すように、軸方向における筒部102Bの他方側の面102Bb(すなわち、内周部102の下面102Bb)には、筒部102Bの内周面102b1の位置から下面102Bbの径方向における概ね中間の位置に亘って、下面102Bbから上側に向かって所定の長さに凹んだ凹部102Bcが複数形成されている。これらの凹部102Bcは、下面102Bbの周方向における全長に亘って概ね等間隔で形成されている。このような凹部102Bcの形成により、内周部102の強度を維持しつつも内周部102の軽量化を図っても構わない。また、凹部102Bcにウエイト(部材)を配置してインペラ100のバランスを確保しても構わない。
【0037】
図4から図6に示すように、ベース110は、平板状かつ円環状に形成され、径方向に延在している。ベース110は、内周部102の筒部102Bの外周面に接続している。より具体的には、ベース110の内周縁110bが、筒部102Bの外周面のうち大径部102B3の外周面102B3aに接続している。ベース110の外周縁110Cには、複数の羽根101が接続されている。すなわち、平板状のベース110は、環状の内周部102と複数の羽根101とを連結している。
【0038】
ベース110には、内周縁110bの位置からベース110の径方向における所定の位置まで切り欠かれた凹部110aが複数形成されている。凹部110aのそれぞれにおいて、凹部110aの外周側(外周縁110C側)の端部110a1は、ベース110の外周縁110Cの内側にある。本実施形態において、これらの凹部110aのそれぞれは、同一の形状及び大きさに形成されており、ベース110の周方向における全長に亘って等間隔に形成されている。なお、複数の凹部110aは、同一の形状及び大きさに形成されていなくてもよく、ベース110の周方向における全長に亘って等間隔に形成されていなくてもよい。
【0039】
凹部110aの外周側(外周縁110C側)の部分は、軸方向から見る場合に複数の羽根101の側に向かって突出するように、形成されている。本実施形態では、凹部110aは、矩形の領域を有する第1部分110a2と、外周側(外周縁110C側)の端部110a1を含む三角形(例えば、二等辺三角形)の領域を有する第2部分110a3とで構成されており、凹部110aは五角形の領域を有する形状に形成されている。より具体的には、径方向において、凹部110aは、第2部分110a3の端部110a1が複数の羽根101の側に向かって突出するように形成されている。この端部110a1は鈍角を成す部分となっている。本実施形態のベース110には、凹部110aと内周部102の外周面102B3aとによって囲まれる開口Hが形成されている。ベース110に形成された開口Hは、ベース110の内周縁110bまで達している。そして、この開口Hには、第1部分110a2によって規定される矩形の第1領域H1と、第2部分110a3によって規定される三角形(例えば、二等辺三角形)の第2領域H2とが含まれている。この第2領域H2は、凹部110aの外周側の端部110a1に向かってインペラ100の外周側(複数の羽根101の側)に突出している。すなわち、軸方向から見る場合に、開口Hの外周側(外周縁110C側)の部分が複数の羽根101の側に向かって突出するように形成されている。このように、本実施形態では、開口Hが外周縁110C側に突出する第2領域H2を含むため、開口Hが外周縁110C側に拡張されている。
【0040】
ベース110の周方向において隣り合う2つの開口Hに着目すると、一方側にある開口Hを形成する凹部110aの第1部分110a2と、他方側にある開口Hを形成する凹部110aの第1部分110a2とは、ベース110の一部であるスポーク112によって区切られている。すなわち、ベース110は、複数のスポーク112を含んでおり、複数のスポーク112のうち周方向において隣り合うスポーク112,112の間には開口Hがある。本実施形態では、ベース110は23本のスポーク112を有している。複数のスポーク112のそれぞれは、ベース110の内周縁110bからインペラ100の外周側に向かって、凹部110aの第1部分110a2と第2部分110a3との接続部110a4の位置まで延びている。
【0041】
ベース110のうち複数のスポーク112を除く部分は、平板状かつリング状に形成された枠111である。この枠111は、ベース110の外周縁110Cと、凹部110aの第2部分110a3と、周方向において隣り合う2つの接続部110a4を結ぶ線BLとによって囲まれる。なお、図5及び図6では、図が不鮮明になることを避けるために、複数の線BLのうちの1つが破線で示されている。この枠111に複数の羽根101が連結されている。また、この枠111から、複数のスポーク112のそれぞれが内周部102に向けて延在している。
【0042】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、複数のスポーク112のそれぞれにおいて、枠111側におけるスポーク112の幅W1は、内周部102側におけるスポーク112の幅W2よりも大きい。なお、ここで言う「幅」とは、ベース110の周方向におけるスポーク112の長さを意味する。このように、本実施形態では、スポーク112がインペラ100の内周側から外周側に行くに従って幅が次第に大きくなるように形成されているため、スポーク112において、複数の羽根101が接続されている枠111に接続する部分の強度が特に強化されている。ただし、枠111側におけるスポーク112の幅W1が内周部102側におけるスポーク112の幅W2以下であっても構わない。
【0043】
図4から図7に示すように、複数の羽根101は、同一の形状及び大きさに形成されており、ベース110の外周縁110Cの全周に亘って所定の間隔(例えば、等間隔)に配置されている。本実施形態では、39本の羽根101がベース110の枠111に連結されている。このように、本実施形態では、複数の羽根101の数(39本)と複数のスポーク112の数(23本)とが異なっており、これにより、複数のスポーク112が複数の羽根101に対して非回転対称な位置に配置されている。複数の羽根101のそれぞれは、軸方向を長手方向とする形状を備えており、特に図7に示すように、ベース110から軸方向における一方側(上側)及び他方側(下側)の双方に延びている。
【0044】
また、図6に示すように、複数の羽根101のそれぞれは、軸方向における下側から見る場合に時計回り側に凸となっており(軸方向における上側から見る場合に反時計回り側に凸となる)、湾曲した円弧状の形状を有している。インペラ100の中心Cから羽根101の内周側の端部101aを通ってインペラ100の径方向に延びる直線RLに着目すると、羽根101の外側(インペラ100の外周側)の端部101bは、直線RL上になく、ベース110の周方向において直線RLからずれた位置にある。本実施形態では、軸方向における下側から見る場合に、羽根101の外側の端部101bは、直線RLから反時計回り側にずれた位置にある。換言すれば、軸方向における上側から見る場合に、端部101bは直線RLから時計回り側にずれた位置にある。一方、インペラ100を逆側に回転させる場合には、半円形状の羽根101が突出する側及び羽根101の端部101bが直線RLからずれる側を、インペラ100が反時計回りに回転する場合とは反対側にしてもよい。
【0045】
ただし、上述のような複数の羽根101の形状や配置は必須ではなく、適宜変更しても構わない。
【0046】
図4図5、及び図7に示すように、インペラ100の外周部103は、インペラ100の径方向において、複数のスポーク112を基準として内周部102の側とは反対側にある。外周部103は、軸方向から見る場合に2重の円環状の形状を有している。外周部103は、複数の羽根101のそれぞれの軸方向における一方側(上側)の端部に接続されている。すなわち、複数の羽根101は、環状の外周部103に連結している。このように複数の羽根101の上側の端部が外周部103によって連結されることで、インペラ100が回転している際に複数の羽根101が風圧等によって変形・破損することが抑制されている。外周部103は、インペラ100の内周側にある円環状の小径部103Aと、インペラ100の外周側にある円環状の大径部103Bとを含んでいる。大径部103Bの直径は、小径部103Aの直径よりも大きい。小径部103Aと大径部103Bとは一体成型されており、小径部103Aと大径部103Bとの間には、軸方向における他方側(下側)に向かって凹んだ凹部103Cが形成されている。凹部103Cは、外周部103の周方向における全長に亘って所定の間隔(例:等間隔)に形成されている。このような凹部103Cが形成されることによって、外周部103の強度を維持しつつも外周部103の軽量化を図っても構わない。また、凹部102Bcにウエイト(部材)を配置してインペラ100のバランスを確保しても構わない。なお、凹部103Cを形成しなくても構わない。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るインペラ100は、複数の羽根101と、複数の羽根101の内側に配置された、環状の内周部102と、環状の内周部102と複数の羽根101を連結する、平板状のベース110とを備えている。インペラ100において、平板状のベース110は、複数の羽根101と連結する枠111と、枠111から環状の内周部102に向けて延在する複数のスポーク112とを含んでいる。
【0048】
このようなインペラ100によれば、枠111から環状の内周部102に向けて延在する複数のスポーク112を備えるため、隣り合う2つのスポーク112の間には、内周部102から平板状のベース110の径方向における所定の位置まで延在する開口Hが形成される。つまり、インペラ100によれば、平板状のベース110に複数の開口Hが形成されている。このようなインペラ100を例えば電子機器1に搭載することによって、電子機器1の開口部31h(空気の吸引口)から吸入された空気を、これらの開口Hを介して、ベース110を基準として軸方向における一方側及び他方側の両側に通過させることができる。したがって、インペラ100及びインペラ100を備える電子機器1によれば、インペラ100の回転によって開口42bから吐出される風ARの量を増やすことができ、電子機器の送風効率を高めることができる。
【0049】
また、上述のように、複数の開口Hのそれぞれは、内周部102(すなわち、ベース110の内周縁110b)から形成されているため、開口Hが内周縁110bに達していない場合に比べて開口Hの面積が大きくなっている。したがって、開口Hを通過する空気の量が増え、電子機器の送風効率をより高めることができる。
【0050】
さらに、本実施形態のインペラ100によれば、開口Hにおける外周縁110C側の領域(第2領域H2)が複数の羽根101の側に向かって突出しているため、開口Hがインペラ100の外周部103側に拡張されている。したがって、開口Hを通過する空気の量がさらに増え、電子機器の送風効率をさらに高めることができる。
【0051】
その一方で、複数の開口Hのそれぞれは、ベース110の枠111を介してベース110の外周縁110Cから離れており、外周縁110Cまで達していない。このように、インペラ100においては、平板状の枠111がベース110の外周縁110Cとの間に介在しているため、開口Hの面積が過度に大きくなることが抑制されている。そして、インペラ100によれば、開口Hの面積が過度に大きくないため、開口Hを通過する空気の量が過多になることが抑制される。したがって、開口Hを通過する空気に羽根101が当たった場合でも、羽根101が空気に干渉することによって生じる騒音が低減される。
【0052】
このように、本実施形態のインペラ100によれば、電子機器の送風効率の向上と低騒音化とを実現することが可能であり、このようなインペラ100を備えた電子機器1によれば、送風効率の向上と低騒音化とを実現することが可能である。
【0053】
なお、開口Hの外側の端部(すなわち、凹部110aの外側の端部110a1)の径方向における位置がベース110の外周縁110Cに近づく程、開口Hの面積が大きくなるため、送風効率の向上が促進される。一方、凹部110aの外側の端部110a1の径方向における位置がベース110の内周縁110bに近づく程、平板状の枠111の面積が大きくなるため、低騒音化が促進される。したがって、送風効率の向上と低騒音化の両方を効果的に促進させる観点に照らして、図5及び図6に示すように、ベース110の内周縁110bから凹部110aの外側の端部110a1までの径方向における距離X1と、ベース110の外周縁110Cから端部110a1までの径方向における距離X2との比X1/X2は、例えば、1以上3以下であってもよい。
【0054】
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、上述の実施形態では、開口Hが五角形に形成されている例を説明したが、開口Hの形状はこれに限られない。例えば、開口Hの形状は台形であってもよく、台形の形状を有する開口Hは、矩形の第1領域H1と複数の羽根101の側に向かって突出する外側の部分とで形成される。また、開口Hの形状は、六角形などの多角形であってもよいし、複数の羽根101の側に向かって突出する半円形であってもよい。多角形又は半円形の形状を有する開口Hは、少なくとも複数の羽根101の側に向かって突出する外側の部分で形成される。
【0056】
また、上述の実施形態では、軸方向から見る場合に外周縁110C側に複数の羽根101の側に向かって突出するように開口Hが形成されている例を説明したが、開口Hは、軸方向から見る場合に外周側が複数の羽根101の側に向かって突出するように形成されていなくても構わない。例えば、開口H全体が矩形の第1領域H1で形成されていても構わない。この場合でも、開口Hがベース110の内周縁110bまで達しているため、開口Hの面積が大きくなり、送風効率を高めることができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、インペラ100が外周部103を備える例を説明したが、外周部103を省略してもよい。この場合、インペラ100の軽量化を図ることが可能である。
【0058】
また、上述の実施形態におけるノズル本体部42は、ハウジング30側の端面42aからハウジング30側とは反対側の開口42bに向かって細る形状を有しているが、これに限定されず、ハウジング30側の端面42aからハウジング30側とは反対側の開口42bに向かって広がった形状を有していても構わない。
【0059】
また、上述の実施形態では、電子機器1がドライヤである例を説明したが、上述したインペラ100のようなインペラを搭載できるのであれば、電子機器1はファンモータなどの気体などを送風する送風装置に適用しても構わない。
【0060】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のインペラ及び電子機器を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…電子機器、30…ハウジング、100…インペラ、101…羽根、102…内周部、103…外周部、110…ベース、111…枠、112…スポーク、H…開口、M…モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8