(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015204
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】消化器疾患の治療
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20240125BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240125BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240125BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240125BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20240125BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20240125BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20240125BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20240125BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20240125BHJP
A61K 33/32 20060101ALI20240125BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20240125BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240125BHJP
A61K 31/131 20060101ALI20240125BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20240125BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240125BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240125BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240125BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240125BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240125BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/14
A61P1/12
A61P1/10
A61K38/12
A61K33/06
A61K33/30
A61K33/32
A61K33/00
A61K31/198
A61K31/131
A61K31/13
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/02
A61K45/00
A61K9/20
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023205346
(22)【出願日】2023-12-05
(62)【分割の表示】P 2021184756の分割
【原出願日】2012-08-17
(31)【優先権主張番号】61/524,699
(32)【優先日】2011-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511039371
【氏名又は名称】アイアンウッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ケスラー
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリカ フレツセン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ソリンガ
(72)【発明者】
【氏名】ブラディミール ボルチェノク
(57)【要約】
【課題】消化器疾患を治療するためのペプチド、組成物、および方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体を活性化するペプチドおよび他の薬剤を使用して、限定されないが、過敏性腸症候群(IBS)、消化管運動障害、機能性消化管障害、胃食道逆流症(GERD)、十二指腸胃逆流、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良、内臓痛、胃不全麻痺、慢性偽性腸閉塞(または偽性結腸閉塞)、便秘に関連する障害および状態、ならびに本明細書に記載される他の状態および障害を含む消化器疾患および状態を治療するための、ペプチド、組成物、および関連する方法を特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化器疾患を治療するためのペプチド、組成物、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化器疾患(GI)は、米国だけで2,000万~6,000万人の人々に影響を及ぼす一般的な腸の慢性疾患である過敏性腸症候群(IBS)を含む(Lehman BrothersのGlobal Healthcareにおける過敏性腸症候群に関する業界最新情報(1999年9月付))。IBSは、胃腸科医によって診断される最も一般的な疾患であり、プライマリーケア医への受診の12%を占める(Camilleri 2001,Gastroenterology 120:652-668)。米国では、直接的な医療費および欠勤による間接的な費用により、IBSの経済的影響は年間に250億ドルであると推定される(Talley 1995,Gastroenterology
109:1736-1741)。IBSに罹患する患者は、欠勤が3倍多く、生活の質の低下を報告している。IBSを治療するために存在する処方の選択肢が少ないため、IBSに苦しむ患者の満たされていない非常に大きな医療上の必要性が存在する。
【0003】
IBSに罹患する患者は、腹痛および排便パターンの障害に苦しんでいる。優勢な排便習慣に基づいて、IBS患者の3つのサブグループが定義されている:便秘型過敏性腸症候群(c-IBS)、下痢型過敏性腸症候群(d-IBS)、または2つの過敏性腸症候群の交互型(a-IBS)。c-IBSに罹患する人々の推定数は、IBS患者の20~50%であり、30%であると言われることが多い。同様の性比を有する他の2つのサブグループとは対照的に、c-IBSは女性により多く見られる(3:1の比率)(Talley et al.1995,Am J Epidemiol 142:76-83)。
【0004】
IBSの定義および診断基準は、「ローマ基準」に形式化されており(Drossman et al.1999,Gut 45:Suppl II:1-81)、臨床診療において広く受け入れられている。最近、IBSの病因における炎症の役割に関する証言が増加している。報告によると、IBS患者のサブセットが、結腸炎症および肥満細胞における小さいながらも有意な増加、誘導性一酸化窒素(NO)およびシンターゼ(iNOS)の増加、ならびに炎症性サイトカインの発現の変化を有することが示されている(Medscape CoverageによるDDW WeekのTalley 2000からの報告)。
【0005】
消化器疾患は便秘も含むことができ、3,400万人もの米国人が慢性便秘(CC)に関連する症状に苦しんでおり、850万人の患者が治療を求めてきた。CCに罹患する患者は、硬い塊状の便、排便時のいきみ、残便感、および1週間に3回未満の排便を経験することが多い。CCの不快感および膨満感は、患者の作業能力および典型的な日常活動に参加する能力を低下させることにより、彼らの生活の質に大きな影響を及ぼす。
【0006】
CC患者の半数は、現在利用可能なCCの治療に満足していない。よって、CCを治療する新しい化合物および方法の必要性が依然として存在する。
【0007】
特許文献1(米国特許第7,304,036号)および特許文献2(米国特許第7,371,727号)は、消化器疾患の治療のために、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体の作動薬として作用するペプチドを開示している。開示される特定のペプチドの1つは、以下のアミノ酸配列からなるリナクロチドである:Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyr。これらの特許は、リナクロチドおよび関連するペプチドを調製するための方法も開示している。
【0008】
リナクロチドは、以下のアミノ酸構造を有する:
【化1】
【0009】
リナクロチドは、経口投与され、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-c)および慢性便秘(CC)の治療のために、現在、臨床試験中であり、(1)内臓痛の軽減、(2)膨満感の軽減、および(3)消化管通過の増加を含むGIの生理機能に大きな影響を有する:これは、排便回数の増加および便の硬さの改善につながる可能性がある。経口投与されたリナクロチドは、管腔側においてGC-Cを活性化することにより局所的に作用する:治療用量レベルでの経口投与後には、検出可能なレベルのリナクロチドは全身に認められない。よって、リナクロチドの臨床試験、ならびにリナクロチドおよび関連するペプチドを用いて行われた前臨床試験の結果から、GC-Cペプチド作動薬が治療に使用され得ることが示唆される。
【0010】
米国特許第7,304,036号および第7,371,727号の内容は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、α-アミン基で、グアニル酸シクラーゼ-C(GC-C)受容体を活性化すること、および/または異なる親和性で該受容体に結合することが可能なケトン誘導体に修飾され得るペプチドを特徴とする。本発明はまた、さらなる硫黄原子とのシステイン結合で修飾され得、かつ、それらのαアミン基でさらに修飾され得るペプチドも特徴とする。他の組織では低レベルのGC-Cが検出されているが、GC-Cは、哺乳動物の腸機能における重要な調節因子である。GC-Cは、内因性ホルモンであるグアニリンおよびウログアニリン、ならびに熱安定性エンテロトキシンファミリー由来の腸内細菌ペプチド(STペプチド)に反応する。作動薬がGC-Cに結合すると、第2のメッセンジャーである環状GMP(c-GMP)の上昇、ならびに塩化物および炭酸水素塩分泌の増加が見られ、腸液分泌の増加がもたらされる。本発明のいくつかの例において、本明細書に記載されるペプチドは、c-GMPレベル上昇の増加をもたらすことができ、消化器疾患を治療するための治療選択肢を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,304,036号明細書
【特許文献2】米国特許第7,371,727号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体を活性化するペプチドおよび組成物を使用して、限定されないが、過敏性腸症候群(IBS)、消化管運動障害、便秘、機能性消化管障害、胃食道逆流症(GERD)、十二指腸胃逆流、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良、内臓痛、胃不全麻痺、慢性偽性腸閉塞(または偽性結腸閉塞)、ならびに本明細書に記載される他の状態および障害を含む消化器疾患および状態を治療するための、ペプチド、組成物、および関連する方法を特徴とする。
【0013】
本発明の一態様は、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩を提供し、ペプチドは、アミノ酸配列Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrを含み、ペプチドのCys1アミノ酸のα-アミンは、酸化反応または酵素反応により脱アミノ化される(「Cys1-α-ケトンペプチド」)。
【0014】
一実施形態において、ペプチドは、
【化2】
のアミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0015】
別の実施形態において、ペプチドは、
【化3】
アミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の説明に記載される。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドは、アミノ酸配列Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrを含み、前記ペプチドのCys
1アミノ酸のα-アミンは、脱アミノ化されている、前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目2)
前記ペプチドは、
【化42】
のアミノ酸構造を含む、項目1に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目3)
前記ペプチドは、
【化43】
のアミノ酸構造を含む、項目1に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目4)
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドは、アミノ酸配列Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrからなり、前記ペプチドのCys
1アミノ酸のα-アミンは、脱アミノ化されている、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目5)
前記ペプチドは、
【化44】
のアミノ酸構造からなる、項目4に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目6)
前記ペプチドは、
【化45】
のアミノ酸構造からなる、項目4に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目7)
前記ペプチドは、グアニル酸シクラーゼC受容体を活性化する、項目1~6のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目8)
前記ペプチドは、30個以下のアミノ酸を含む、項目1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目9)
前記ペプチドは、20個以下のアミノ酸を含む、項目1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目10)
5個未満のアミノ酸が、前記アミノ酸配列の最初のCys残基に先行する、項目1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目11)
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が単離される、項目1~10のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目12)
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が精製される、項目1~11のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(項目13)
項目1~12のいずれか1項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
(項目14)
項目1~12のいずれか1項に記載の2つ以上のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
(項目15)
i.ペプチドが、
【化46】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、
ii.ペプチドが、
【化47】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、
および
iii.ペプチドが、
【化48】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、から選択される1つ以上のペプチドを含む、医薬組成物。
(項目16)
ペプチドは、
【化49】
;
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目17)
ペプチドは、
【化50】
;
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、または1重量%未満を占める、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目18)
ペプチドは、
【化51】
,
のアミノ酸構造からなり、
前記ペプチドは、リナクロチドまたは別のグアニル酸シクラーゼC作動薬の重量と比較して、少なくとも90重量%を占める、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目19)
ペプチドは、
【化52】
;
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドは、リナクロチドまたは別のグアニル酸シクラーゼC作動薬の重量と比較して、少なくとも90重量%を占める、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩から本質的になる医薬組成物。
(項目20)
ペプチドは、
【化53】
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目21)
ペプチドは、
【化54】
;
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、または1重量%未満を占める、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目22)
ペプチドは、
【化55】
,
のアミノ酸構造からなり、
前記ペプチドは、リナクロチドまたは別のグアニル酸シクラーゼC作動薬の重量と比較して、少なくとも90重量%を占める、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目23)
ペプチドは、
【化56】
;
のアミノ酸構造を含み、
前記ペプチドは、リナクロチドまたは別のグアニル酸シクラーゼC作動薬の重量と比較して、少なくとも90重量%を占める、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩から本質的になる医薬組成物。
(項目24)
リナクロチドと、Cys
1-α-ケトンペプチドと、
i.ペプチドが、
【化57】
のアミノ酸構造を含む、ペプチド(「Cys
1-IMD」)またはその薬学的に許容される塩と、
ii.ペプチドが、
【化58】
のアミノ酸構造を含む、加水分解ペプチド(「Asp
7」)またはその薬学的に許容される塩と、
iii.ペプチドが、
【化59】
のアミノ酸構造を含む、アセチル化ペプチド(「Cys
1-N-アセチル」)またはその薬学的に許容される塩と、
iv.ペプチドが、Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro
Ala Cys Thr Gly Cys Tyr のアミノ酸配列を含み、さらなる硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のうちのいずれか1つに付着していてもよい、リナクロチドトリスルフィドペプチドまたはその薬学的に許容される塩と、
v.ペプチドが、
【化60】
のアミノ酸構造を含む、ペプチド(「Des-Tyr
14」)またはその薬学的に許容される塩と、から選択される1つ以上のペプチドを含む、医薬組成物。
(項目25)
前記ペプチドは、Cys
1-IMDペプチドである、項目24に記載の医薬組成物。
(項目26)
前記ペプチドは、加水分解Asp
7ペプチドである、項目24に記載の医薬組成物。
(項目27)
前記ペプチドは、アセチル化Cys
1-N-アセチルペプチドである、項目24に記載の医薬組成物。
(項目28)
前記ペプチドは、リナクロチドトリスルフィドペプチドである、項目24に記載の医薬組成物。
(項目29)
前記ペプチドは、Des-Tyr
14ペプチドである、項目24に記載の医薬組成物。(項目30)
(i)Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+もしくはAl
3+から選択されるカチオン、または(ii)立体障害1級アミンから選択される1つ以上の薬剤をさらに含む、項目13~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目31)
薬学的に許容される担体と、項目1~12のいずれか1項に記載のペプチドと、(i)Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+もしくはAl
3+から選択されるカチオン、または(ii)立体障害1級アミンから選択される1つ以上の薬剤と、を含む、医薬組成物。
(項目32)
前記薬剤は、Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+、またはAl
3+である、項目30または31に記載の医薬組成物。
(項目33)
前記Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+、またはAl
3+は、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、または硫酸アルミニウムとして提供される、項目32に記載の医薬組成物。
(項目34)
前記薬剤は、立体障害1級アミンである、項目30または31に記載の医薬組成物。
(項目35)
前記立体障害1級アミンは、アミノ酸である、項目34に記載の医薬組成物。
(項目36)
前記アミノ酸は、天然型アミノ酸、非天然型アミノ酸、またはアミノ酸誘導体である、項目35に記載の医薬組成物。
(項目37)
前記天然型アミノ酸は、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、スレオニン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはバリンであるか、または前記非天然型アミノ酸は、1-アミノシクロヘキサンカルボン酸、ランタニン(lanthanine)、またはテアニンである、項目36に記載の医薬組成物。
(項目38)
前記立体障害1級アミンは、式
【化61】
(式中、R
1、R
2、およびR
3は、H、C(O)OH、C1-C6アルキル、C1-C6アルキルエーテル、C1-C6アルキルチオエーテル、C1-C6アルキルカルボン酸、C1-C6アルキルカルボキシルアミド、およびアルキルアリールから独立して選択され、いずれの基もハロゲンまたはアミノで単置換または多置換され得るが、但し、R
1、R
2、およびR
3のうちの1つ以下がHである)を有する、項目34に記載の医薬組成物。
(項目39)
前記立体障害1級アミンは、シクロヘキシルアミンまたは2‐メチルブチルアミンである、項目38に記載の医薬組成物。
(項目40)
前記立体障害1級アミンは、高分子アミンである、項目34に記載の医薬組成物。
(項目41)
前記高分子アミンは、キトサンである、項目40に記載の医薬組成物。
(項目42)
前記医薬組成物は、Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+、またはAl
3+をさらに含む、項目34~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目43)
前記Mg
2+、Ca
2+、Zn
2+、Mn
2+、K
+、Na
+、またはAl
3+は、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、または硫酸アルミニウムとして提供される、項目42に記載の医薬組成物。
(項目44)
抗酸化剤をさらに含む、項目13~43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目45)
前記抗酸化剤は、BHA、ビタミンE、または没食子酸プロピルである、項目44に記載の医薬組成物。
(項目46)
薬学的に許容される結合剤または添加剤をさらに含む、項目13~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目47)
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、デンプン、マルトデキストリン、またはセルロースエーテルから選択される、項目46に記載の医薬組成物。
(項目48)
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤は、ポリビニルアルコールである、項目47に記載の医薬組成物。
(項目49)
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤は、セルロースエーテルである、項目47に記載の医薬組成物。
(項目50)
前記セルロースエーテルは、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、項目49に記載の医薬組成物。
(項目51)
薬学的に許容される充填剤をさらに含む、項目13~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目52)
前記薬学的に許容される充填剤は、セルロース、イソマルト、マンニトール、またはリン酸水素カルシウムである、項目51に記載の医薬組成物。
(項目53)
前記セルロースは、微細セルロースおよび微結晶性セルロースから選択される、項目52に記載の医薬組成物。
(項目54)
さらなる治療剤をさらに含む、項目13~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目55)
前記さらなる治療剤は、鎮痛剤、抗うつ剤、運動促進剤もしくは機能調整剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプ阻害剤、酸遮断薬、PDE5阻害剤、酸ポンプ拮抗薬、GABA-B作動薬、胆汁酸封鎖剤、または粘膜保護剤のうちの1つ以上から選択される、項目54に記載の医薬組成物。
(項目56)
項目13~23のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、投薬単位。
(項目57)
前記投薬単位は、カプセルまたは錠剤である、項目56に記載の投薬単位。
(項目58)
前記投薬単位は、カプセルである、項目57に記載の投薬単位。
(項目59)
前記投薬単位の各々は、5μg~1mgのリナクロチドを含む、項目57に記載の投薬単位。
(項目60)
項目24~55のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、投薬単位。
(項目61)
前記投薬単位は、カプセルまたは錠剤である、項目60に記載の投薬単位。
(項目62)
前記投薬単位は、カプセルである、項目61に記載の投薬単位。
(項目63)
前記投薬単位の各々は、5μg~1mgのリナクロチドを含む、項目61に記載の投薬単位。
(項目64)
前記投薬単位の各々は、290μgのリナクロチドを含む、項目63に記載の投薬単位。
(項目65)
前記投薬単位の各々は、145μgのリナクロチドを含む、項目63に記載の投薬単位。
(項目66)
項目13~55のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、消化器疾患を治療するための方法。
(項目67)
前記消化器疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、機能性消化管障害、胃食道逆流症、機能性胸焼け、消化不良、内臓痛、胃不全麻痺、慢性偽性腸閉塞、偽性結腸閉塞、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記消化器疾患は、便秘である、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記便秘は、慢性便秘であるか、特発性便秘であるか、術後イレウスに起因するか、またはアヘン剤の使用によって引き起こされる、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記消化器疾患は、過敏性腸症候群(IBS)である、項目67に記載の方法。
(項目71)
前記過敏性腸症候群は、便秘型過敏性腸症候群(c-IBS)、下痢型過敏性腸症候群(d-IBS)、または2つの過敏性腸症候群の交互型(a-IBS)である、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記消化器疾患は、消化不良である、項目67に記載の方法。
(項目73)
前記消化器疾患は、胃不全麻痺である、項目67に記載の方法。
(項目74)
前記胃不全麻痺は、特発性、糖尿病性、または術後の胃不全麻痺である、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記消化器疾患は、慢性偽性腸閉塞である、項目67に記載の方法。
(項目76)
前記消化器疾患は、クローン病である、項目67に記載の方法。
(項目77)
前記消化器疾患は、潰瘍性大腸炎である、項目67に記載の方法。
(項目78)
前記消化器疾患は、炎症性腸疾患である、項目67に記載の方法。
(項目79)
前記消化器疾患は、内臓痛である、項目67に記載の方法。
(項目80)
有効量の項目13~55のいずれか1項に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、前記患者における腸運動を増加させるための方法。
(項目81)
生物試料または生物を項目1~12のいずれか1項に記載のペプチドと接触させることを含む、前記生物試料または生物におけるグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体の活性を増加させる方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】競合放射性リガンド結合アッセイにおける、T84細胞上の細胞表面GC-C受容体に対する本発明の例示的ペプチドの特異的結合を示す。
【
図2】T84細胞のc-GMPアッセイにおける、本発明の例示的ペプチドの用量反応を示す。
【
図3】RP-HPLCによる例示的ペプチドの分析の例を示しており、「Cys
1-α-ケトン」は、N末端αアミノ基で修飾されたリナクロチドケトン誘導体を指す。
【0018】
図面は、例として提供されるのであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
グアニル酸シクラーゼC(GC-C)は、胃および腸の上皮細胞の頂端面に位置する膜貫通型受容体である。該レセプターは、細胞外リガンド結合ドメイン、単一の膜貫通領域、およびC末端グアニリルシクラーゼドメインを有する。リガンドがGC-Cの細胞外ドメインに結合すると、細胞内触媒ドメインが、GTPからのcGMPの生成を触媒する。In vivoでは、この細胞内cGMPの増加により、腸管腔への塩化物および炭酸水素塩の分泌の増加、管腔pHの上昇、管腔のナトリウム吸収の低下、流体分泌の増加、ならびに腸通過の促進をもたらす事象のカスケードが開始される。cGMPは、上皮から粘膜および管腔内へと双方向に分泌される。本発明のペプチドおよび組成物は、腸内の液体および電解質平衡の調節因子である腸のGC-C受容体に結合する。
【0020】
ある状況において、腸のGC-C受容体に結合して活性化するが、ペプチドの非変異型よりも活性が低いかまたは活性が高い変異型または修飾ペプチドを用いて患者を治療することが望ましい場合がある。活性の低下は、受容体への親和性の低下、または一旦結合してから受容体を活性化させる能力の低下、またはペプチドの安定性の低下から生じ得る。活性の増加は、受容体への親和性の増加、または一旦結合してから受容体を活性化させる能力の増加、またはペプチドの安定性の増加から生じ得る。
【0021】
例示的ペプチドの説明
種々の実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列Cys Cys Glu Tyr
Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrを含み、ペプチドのCys1アミノ酸のα-アミンは、酸化反応または酵素触媒により脱アミノ化される。このペプチドは、例えば、シッフ塩基生成物を形成するCys1アミノ酸のα-アミンの求核攻撃に関与するリナクロチドの酸化的脱アミノ化、その後のシッフ塩基のプロトトロピック互変異性、そして最後に酸中での加水分解により、平衡状態にあるα-Cys1ケトンおよびその水和物を得ることにより生成され得る。この2つのペプチドの混合物は、「Cys1-α-ケトン」または「Cys1-ケトン」と称される。これらのペプチドは互変異性であってもよく、異なる比率の種々の互変異性混合物が有用であり得、本発明の範囲内であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrを含み、ペプチドのCys1アミノ酸のα-アミンが脱アミノ化される。
【0023】
一実施形態において、ペプチドは、
【化4】
のアミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0024】
別の実施形態において、ペプチドは、
【化5】
のアミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0025】
当業者は、
【化6】
のアミノ酸構造を含むペプチドが、
【化7】
のアミノ酸構造を含むそのジェミナルなジオール一水和物形態と平衡状態にあり得ることを理解するであろう。
本明細書で使用される場合、用語「Cys1-α-ケトンペプチド」または構造
【化8】
は、Cys1-α-ケトン構造およびジェミナルなジオール一水和物形態の両方を含むことが意図される。
【0026】
別の実施形態において、ペプチドは、Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrのアミノ酸配列を含み、さらなる硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のうちのいずれか1つに付着していてもよい。
一実施形態において、ペプチドは、リナクロチドの3つのジスルフィドシステイニル結合のうちの1つに単一の硫黄原子を付加することにより形成するリナクロチドトリスルフィド生成物(本明細書において「リナクロチドトリスルフィド生成物」または「リナクロチドトリスルフィドペプチド」と称される)を含む。
【0027】
一実施形態において、ペプチドは、
【化9】
、
【化10】
、
および
【化11】
から選択されるアミノ酸構造を含む。
【0028】
さらなる一実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列 Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrからなり、ペプチドのCys1アミノ酸のα-アミンが脱アミノ化される。
【0029】
一実施形態において、ペプチドは、
【化12】
のアミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩からなる。
【0030】
一実施形態において、ペプチドは、
【化13】
のアミノ酸構造またはその薬学的に許容される塩からなる。
【0031】
別の実施形態において、ペプチドは、Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrのアミノ酸配列からなり、さらなる硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のうちのいずれか1つに付着していてもよい。
【0032】
一実施形態において、ペプチドは、
【化14】
、
【化15】
、
および
【化16】
から選択されるアミノ酸構造からなる。
【0033】
いくつかの実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、グアニル酸シクラーゼC受容体を活性化する。
【0034】
他の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、30個未満のアミノ酸を有する。
【0035】
さらなる実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、20個未満のアミノ酸を有する。
【0036】
他の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、5個未満のアミノ酸がアミノ酸配列の最初のCys残基に先行するペプチドを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が単離される。
【0038】
他の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が精製される。
【0039】
いくつかの実施形態において、ペプチドの薬学的に許容される塩が提供される。ある場合において、薬学的に許容される塩は塩化物塩である。
【0040】
変異または修飾ペプチド
種々の実施形態において、ペプチドは、1つのジスルフィド結合を形成する2つのCysを含むか、ペプチドは、2つのジスルフィド結合を形成する4つのCysを含むか、またはペプチドは、3つのジスルフィド結合を形成する6つのCysを含む。
【0041】
種々の実施形態において、ペプチドは、1つのトリスルフィド結合を形成する2つのCysを含むか、ペプチドは、2つのトリスルフィド結合を形成する4つのCysを含むか、またはペプチドは、3つのトリスルフィド結合を形成する6つのCysを含む。
【0042】
あるペプチドにおいて、通常ジスルフィド結合を形成するCys残基の一方もしくは両方の対の一方または両方のメンバーを、ホモシステイン、ペニシラミン、3-メルカプトプロリン(Kolodziej et al.1996 Int J Pept Protein Res 48:274);β,βジメチルシステイン(Hunt et al.1993 Int J Pept Protein Res 42:249)、またはジアミノプロピオン酸(Smith et al.1978 J Med Chem 21:117)によって置換して、通常のジスルフィド結合の位置で代替の内部架橋を形成することができる。他の実施形態において、ジスルフィド結合は、炭化水素架橋によって置き換えられてもよい(Schafmeister et al.2000 J Am Chem Soc 122:5891、Patgiri et al.2008 Acc
Chem Res 41:1289、Henchey et al.2008 Curr Opin Chem Biol 12:692)。
【0043】
ペプチドの生成
一実施形態において、本発明のペプチドまたは前駆体ペプチドは、限定されないが、細菌(例えば、大腸菌または枯草菌)、昆虫細胞系(例えば、ショウジョウバエSf9細胞系)、酵母細胞系(例えば、出芽酵母、酵母類)、もしくは糸状真菌発現系、または動物細胞発現系(例えば、哺乳類細胞発現系)を含む任意の既知のタンパク質発現系において、組換えによって生成することができる。いくつかの実施形態において、組換えによって生成されたペプチドは、本発明のペプチドを形成するように発現させた後に化学修飾されてもよい。
【0044】
ペプチドまたは変異ペプチドが組換えによって生成される場合、例えば、大腸菌、ペプチドをコードする核酸分子は、細胞からの成熟ペプチドの分泌を可能にするリーダー配列をコードすることもできる。そのため、ペプチドをコードする配列は、例えば、天然に存在する細菌性STペプチドのプレ配列およびプロ配列を含むことができる。分泌された成熟ペプチドは、培養培地から精製することができる。
【0045】
本明細書に記載されるペプチドをコードする配列は、核酸分子を細菌細胞に送達してその中に維持することができるベクターに挿入することができる。DNA分子は、自己複製ベクター(適切なベクターは、例えば、pGEM3ZおよびpcDNA3、ならびにその誘導体を含む)に挿入されてもよい。ベクター核酸は、細菌DNA、またはバクテリオファージλもしくはM13およびその誘導体等のバクテリオファージDNAであってもよい。本明細書に記載される核酸を含有するベクターの構築の後に、細菌等の宿主細胞の形質転換が行われてもよい。好適な細菌宿主として、限定されないが、大腸菌、枯草菌、シュードモナス、およびサルモネラ菌が挙げられる。コード化核酸分子に加えて、遺伝子構築物もまた、プロモーター配列および制御配列等の発現を可能にする要素を含む。発現ベクターは、転写開始を制御する転写調節配列、例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、オペレーター配列、およびリプレッサー配列等を含有してもよい。様々な転写調節配列が当業者に周知である。発現ベクターはまた、翻訳調節配列(例えば、非翻訳5’配列、非翻訳3’配列、または内部リボソーム進入部位)を含むこともできる。ベクターは、自己複製することが可能であるか、またはペプチド生成中に安定性を確保するために宿主DNAに組み込むことができる。
【0046】
本明細書に記載されるペプチドを含むタンパク質コード配列は、精製を容易にするために、ペプチド親和性タグ、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、プロテインA、FLAGタグ、ヘキサ-ヒスチジン、mycタグまたはインフルエンザHAタグ等をコードする核酸に融合することもできる。親和性タグまたはレポーター融合は、翻訳融合が生成されるように、対象となるペプチドの読み枠を、親和性タグをコードする遺伝子の読み枠に結合する。融合遺伝子の発現により、対象となるペプチドおよび親和性タグの両方を含む単一のペプチドの翻訳がもたらされる。親和性タグが用いられるある場合において、プロテアーゼ認識部位をコードするDNA配列が、親和性タグの読み枠と対象となるペプチドの読み枠との間に融合される。
【0047】
バクテリア以外の当業者に周知のタンパク質発現系において、本明細書に記載されるペプチドおよび変異体の未成熟型および成熟型を生成するのに好適な遺伝子構築物および方法を使用して、生物系においてペプチドを生成することもできる。
【0048】
他の実施形態において、通常、翻訳機構によって組み込まれないアミノ酸を含有する上述のペプチドは、tRNA修飾方法による組換えによって生成されてもよい。tRNAを修飾するための方法として、限定されないが、非天然および/または任意のアミノ酸の組み込みを可能にするように、アンチコドン、アミノ酸付着部位、および/またはアクセプターステムを修飾することが当該技術分野で知られている(Biochem.Biophys.Res.Comm.(2008)372:480-485;Chem.Biol.(2009)16:323-36;Nat.Methods(2007)4:239-44;Nat.Rev.Mol.Cell Biol.(2006)7:775-82;Methods(2005)36:227-238;Methods(2005)36:270-278;Annu.Rev.Biochem.(2004)73:147-176;Nuc.Acids Res.(2004)32:6200-6211;Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2003)100:6353-6357;Royal Soc.Chem.(2004)33:422-430).
【0049】
いくつかの実施形態において、ペプチドは化学的に生成されてもよい。ペプチドは、従来のBOCまたはFMOC保護を用いた溶相合成および固相合成を含む多数の異なる方法によって合成することができる。例えば、ペプチドは、連続的なアミノ酸カップリングを用いて、2-クロロトリチルまたはWang樹脂上で合成することができる。以下の保護基を使用することができる:フルオレニルメチルオキシカルボニルまたはtert-ブチルオキシカルボニル(α-アミノ基、N末端);トリチルまたはtert-ブチル(Cysのチオール基);tert-ブチル(存在する場合、グルタミン酸のγ-カルボキシルおよびスレオニンのヒドロキシル基);ならびにトリチル(存在する場合、アスパラギン側鎖のβ-アミド官能基およびチロシンのフェノール基)。カップリングは、三級アミンの存在下でDICおよびHOBtを用いて達成することができ、ペプチドを脱保護し、カクテルK(トリフルオロ酢酸81重量%、フェノール5重量%、チオアニソール5重量%、1,2-エタンジチオール2.5重量%、水3重量%、硫化ジメチル2重量%、ヨウ化アンモニウム1.5重量%)を使用して固相支持体から切断することができる。トリフルオロ酢酸および他の揮発物を除去した後、有機溶媒を用いてペプチドを沈殿させることができる。Cys残基間のジスルフィド結合は、ジメチルスルホキシド(Tam et al.(1991)J.Am.Chem.Soc.113:6657-62)を使用して、または空気酸化ストラテジーを使用して形成することができる。得られたペプチドは、逆相クロマトグラフィーによって精製し、凍結乾燥することができる。いくつかの実施形態において、化学的に合成されたペプチドは、本発明のペプチドを形成するように合成された後に化学修飾されてもよい。
【0050】
これらのペプチドは、塩基またはその薬学的に許容される塩のいずれかの形態で、作製、単離、または使用することができる。塩の例として、限定されないが、ペプチドの酢酸塩、塩化物、硫酸塩、およびリン酸塩が挙げられる。
【0051】
ペプチドおよびGC-C受容体作動薬の組成物
別の態様において、ペプチドを、単独でまたは組み合わせて、任意の薬学的に許容される担体または媒体と組み合わせることができる、医薬組成物が提供される。
【0052】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。医薬組成物は、本明細書に記載される2つ以上のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、
i.ペプチドが、
【化17】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、
ii.ペプチドが、
【化18】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、
または
iii.ペプチドが、
【化19】
のアミノ酸構造を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩、から選択される2つ以上のペプチドを含む。
【0054】
他の実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化20】
のアミノ酸構造を含み、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める。
【0055】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化21】
のアミノ酸構造を含み、医薬組成物は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、または0.5重量%未満のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0056】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化22】
のアミノ酸構造を含み、医薬組成物は、リナクロチドの重量と比較して、約0.01~9重量%(例えば、約0.01~8重量%、約0.01~7重量%、約0.01~6重量%、約0.01~5重量%、約0.01~4重量%、約0.01~3重量%、約0.01~2重量%、約0.01~2重量%、約0.01~1重量%)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0057】
他の実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化23】
のアミノ酸構造を含み、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める。
【0058】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化24】
のアミノ酸構造を含み、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、または0.5重量%未満を占める。
【0059】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化25】
;
のアミノ酸構造を含み、医薬組成物は、リナクロチドの重量と比較して、約0.01~9重量%(例えば、約0.01~8重量%、約0.01~7重量%、約0.01~6重量%、約0.01~5重量%、約0.01~4重量%、約0.01~3重量%、約0.01~2重量%、約0.01~2重量%、約0.01~1重量%)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0060】
他の実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化26】
のアミノ酸構造からなり、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める。
【0061】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化27】
のアミノ酸構造からなり、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、または0.5重量%未満を占める。
【0062】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化28】
のアミノ酸構造からなり、医薬組成物は、リナクロチドの重量と比較して、約0.01~9重量%(例えば、約0.01~8重量%、約0.01~7重量%、約0.01~6重量%、約0.01~5重量%、約0.01~4重量%、約0.01~3重量%、約0.01~2重量%、約0.01~2重量%、約0.01~1重量%)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0063】
他の実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化29】
のアミノ酸構造からなり、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%未満を占める。
【0064】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化30】
のアミノ酸構造からなり、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、リナクロチドの重量と比較して、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、または0.5重量%を占める。
【0065】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、リナクロチドおよびペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含み、ペプチドは、
【化31】
のアミノ酸構造からなり、医薬組成物は、リナクロチドの重量と比較して、約0.01-9重量%(例えば、約0.01~8重量%、約0.01~7重量%、約0.01~6重量%、約0.01~5重量%、約0.01~4重量%、約0.01~3重量%、約0.01~2重量%、約0.01~2重量%、約0.01~1重量%)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、Cys1-α-ケトンペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。別の例示的な実施形態において、Cys1-α-ケトンペプチドは、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。さらなる例示的な実施形態において、Cys1-α-ケトンペプチドは、組成物の約0.5%~約2重量%を占める。
【0067】
さらなる実施形態において、リナクロチドおよびCys1-α-ケトンペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む、消化器疾患を治療する方法を必要とする患者における該疾患を治療する方法が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態において、リナクロチドおよびリナクロチドトリスルフィド生成物を含む医薬組成物が提供される。一実施形態において、リナクロチドトリスルフィド生成物は、リナクロチドの3つのジスルフィドシステイニル結合のうちの1つに対する単一の硫黄原子の付加として形成する。該生成物の3つの可能な構造を以下に示すが、当業者は、硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のうちのいずれか1つに付着し得ることを認識するであろう。
【化32】
【化33】
【化34】
【0069】
別の実施形態において、リナクロチドに対する2つ以上の硫黄原子の付加がある場合があり、付加される硫黄原子当たり32AUその分子量を増加させる。
【0070】
いくつかの他の実施形態において、リナクロチドトリスルフィド生成物は、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の4重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。
【0071】
他の例示的な実施形態において、リナクロチドトリスルフィド生成物は、組成物の約0.01%~15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。さらなる例示的な実施形態において、リナクロチドトリスルフィド生成物は、組成物の約0.5%~約2重量%を占める。
【0072】
さらなる実施形態において、リナクロチドおよびリナクロチドトリスルフィド生成物を含む医薬組成物を投与することを含む、消化器疾患を治療する方法を必要とする患者における該疾患を治療する方法が提供される。
【0073】
他の実施形態において、医薬組成物は、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩から本質的になり、ペプチドは、
【化35】
のアミノ酸構造を含む。
【0074】
他の実施形態において、医薬組成物は、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩から本質的になり、ペプチドは、
【化36】
のアミノ酸構造を含む。
【0075】
用語「本質的になる」およびその変形例は、組成物に言及して使用される場合、該組成物が、唯一の活性ペプチドと、他の所望される薬学的に不活性な添加剤、賦形剤、および/または構成成分(例えば、ポリマー、立体障害1級アミン、カチオン、充填剤、結合剤、担体、賦形剤、希釈剤、崩壊添加剤、滑沢剤、溶媒、分散剤、コーティング添加剤、吸収促進添加剤、制御放出添加剤、固化防止添加剤、抗菌添加剤、保存剤、甘味添加剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑剤、色素等)とを含み、他の活性な薬学的成分(複数可)を含まないことを意味するために本明細書において使用される。
【0076】
いくつかの実施形態において、リナクロチドと、Cys
1-α-ケトンペプチドと、
i.ペプチドが、
【化37】
のアミノ酸構造を含む、ペプチド(「Cys
1-IMD」)またはその薬学的に許容される塩、
ii.ペプチドが、
【化38】
のアミノ酸構造を含む、加水分解ペプチド(「Asp
7」)またはその薬学的に許容される塩、
iii.ペプチドが、
【化39】
のアミノ酸構造を含む、アセチル化ペプチド(「Cys
1-N-アセチル」)またはその薬学的に許容される塩、
iv.ペプチドが、Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro
Ala Cys Thr Gly Cys Tyrのアミノ酸配列を含み、さらなる硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のうちのいずれか1つに付着していてもよい、リナクロチドトリスルフィドペプチドまたはその薬学的に許容される塩、および
v.ペプチドが、
【化40】
のアミノ酸構造を含む、ペプチド(「Des-Tyr
14」)またはその薬学的に許容される塩、から選択される1つ以上のペプチドと、を含む医薬組成物が提供される。
【0077】
いくつかの実施形態において、Cys1-α-ケトンペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、組成物の約1.5重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、Cys1-α-ケトンペプチドは、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。
【0078】
いくつかの実施形態において、Cys1-IMDペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、Cys1-IMDペプチドは、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。
【0079】
いくつかの実施形態において、加水分解ペプチド(「Asp7」)は、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、加水分解ペプチド(「Asp7」)は、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の薬0.05%~約5重量%を占める。
【0080】
いくつかの実施形態において、アセチル化ペプチド(「Cys1-N-Acetyl」)は、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、アセチル化ペプチド(「Cys1-N-Acetyl」)は、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。
【0081】
いくつかの実施形態において、リナクロチドトリスルフィドペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、リナクロチドトリスルフィドペプチドは、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。
【0082】
いくつかの実施形態において、Des-Tyr14ペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を占める。他の例示的な実施形態において、Des-Tyr14ペプチドは、組成物の約0.01%~約15重量%、組成物の約0.05%~約10重量%、組成物の約0.05%~約7重量%、または組成物の約0.05%~約5重量%を占める。
【0083】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、リナクロチド、Cys1-α-ケトンペプチド、および任意の所望の濃度のジスルフィド結合した多量体を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、組成物は、10重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、組成物は、7重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、組成物は、6重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、組成物は、5重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、組成物は、4重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、組成物は、3重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、組成物は、2重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、組成物は、1重量%未満の多量体(複数可)を含む。
【0092】
本明細書に記載されるペプチドは、任意の薬学的に忍容性を示す担体または媒体、例えば、溶媒、分散剤、コーティング剤、吸収促進剤、制御放出剤、および1つ以上の不活性賦形剤(デンプン、ポリオール、顆粒化剤、微結晶性セルロース(例えば、セルフィア、Celphereビーズ(登録商標))、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を含む)等と組み合わせることができる。必要に応じて、開示される組成物の錠剤の剤形が、標準的な水性または非水性技術によってコーティングされてもよい。
【0093】
薬学的に許容される担体および薬学的に許容される不活性担体ならびに上述のさらなる成分として使用するための賦形剤の例として、限定されないが、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、抗菌剤、およびコーティング剤が挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「結合剤」は、本発明の実施において使用され得る任意の薬学的に許容される結合剤を指す。薬学的に許容される結合剤の例として、限定されないが、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびα化デンプン(例えば、Colorcon,Ltd.から販売されているSTARCH 1500(登録商標)およびSTARCH 1500 LM(登録商標)、ならびに他のデンプン)、マルトデキストリン、ゼラチン、天然および合成ゴム(アカシアゴム、粉末化トラガカントゴム、グアーガム等)、セルロースまたはセルロースエーテルおよびその誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース(例えば、FMC Corporation、Marcus Hook,PA,USAから販売されているAVICEL(商標)(例えば、AVICEL-PH-101(商標)、-103(商標)および-105(商標)等))、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビニルピロリドンK30、ポビドン)、セルロースエーテル、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「充填剤」は、本発明の実施において使用され得る任意の薬学的に許容される充填剤を指す。薬学的に許容される充填剤の例として、限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101またはCelphere CP-305)、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン(例えば、Starch 1500)、α化デンプン、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、イソマルト、ラフィノース、マルチトール、メレジトース、スタキオース、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、ミオイノシトール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0096】
特にペプチドをコーティングするために使用され得る薬学的に許容される充填剤の例として、限定されないが、タルク、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101またはCelphere CP-305)、微細セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、イソマルト、二塩基性リン酸カルシウム、ラフィノース、マルチトール、メレジトース、スタキオース、ラクチトール、パラチニット、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「添加剤」は、任意の薬学的に許容される添加剤を指す。薬学的に許容される添加剤として、限定されないが、崩壊剤、分散添加剤、滑沢剤、流動促進剤、抗酸化剤、コーティング添加剤、希釈剤、界面活性剤、香味添加剤、湿潤剤、吸収促進添加剤、制御放出添加剤、固化防止添加剤、抗菌剤(例えば、保存剤)、着色剤、乾燥剤、可塑剤、および色素が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、任意の薬学的に許容される添加剤、充填剤、結合剤、または薬剤である。
【0098】
本発明の組成物はまた、他の治療成分、固化防止剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑剤、色素、流動促進剤、接着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(湿潤剤)、抗酸化剤、膜コーティング剤等も任意選択的に含むことができる。いずれのそのような任意選択的な成分も、製剤の安定性を保証するために、本明細書に記載される化合物と適合性でなければならない。組成物は、必要に応じて、例えば、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノース、マルチトール、メレジトース、スタキオース、ラクチトール、パラチニット、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトール等、およびその水和物、ならびにアミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、およびベタイン、ならびにペプチドおよびタンパク質、例えば卵白を含む他の添加剤を含有してもよい。
【0099】
組成物は、例えば、種々のさらなる溶媒、分散剤、コーティング剤、吸収促進添加剤、制御放出添加剤、および1つ以上の不活性添加剤(例えば、デンプン、ポリオール、顆粒化添加剤、微結晶性セルロース、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊添加剤等を含む)等を含むことができる。必要に応じて、開示される組成物の錠剤の剤形が、標準的な水性または非水性技術によってコーティングされてもよい。組成物はまた、例えば、固化防止添加剤、保存剤、甘味添加剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑剤、色素等も含むことができる。
【0100】
好適な崩壊剤として、例えば、寒天、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、α化デンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0101】
好適な潤沢剤として、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、硫酸ラウリルナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、シロイドシリカゲル(AEROSIL 200、W.R.Grace Co.、Baltimore,MD USA)、合成シリカの凝集エアロゾル(Evonik Degussa Co.、Plano,TX USA)、発熱性二酸化ケイ素(CAB-O-SIL、Cabot Co.、Boston,MA USA)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0102】
好適な流動促進剤として、例えば、ロイシン、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、デンプン、タルク、およびリン酸三カルシウムが挙げられる。
【0103】
好適な固化防止添加剤として、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0104】
例えば、ペプチド組成物のための保存剤として使用され得る好適な抗菌添加剤として、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモ、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0105】
好適な抗酸化剤として、例えば、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、ビタミンE、没食子酸プロピル、アスコルビン酸およびその塩またはエステル、トコフェロールおよびそのエステル、α-リポ酸およびβ-カロチンが挙げられる。
【0106】
好適なコーティング添加剤として、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、医薬品用グレーズ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびそれらの混合物が挙げられる。好適な保護コーティング剤として、Aquacoat(例えば、Aquacoat Ethylcellulose Aquaeous Dispersion、15重量%、FMC Biopolymer、ECD-30)、Eudragit(例えば、Eudragit E PO PE-EL、Roehm Pharma Polymers)、およびOpadry(例えば、Opadry AMB水分散液、20重量%、Colorcon)が挙げられる。
【0107】
特定の実施形態において、ペプチド組成物に好適な添加剤は、スクロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、またはBHAのうちの1つ以上を含む。
【0108】
本発明の組成物はまた、限定されないが、L-ヒスチジン、Pluronic(登録商標)、ポロクサマー(Lutrol(登録商標)およびポロクサマー188等)、アスコルビン酸、グルタチオン、透過促進剤(例えば、脂質、コール酸ナトリウム、アシルカルニチン、サリチル酸塩、胆汁酸塩混合物、脂肪酸ミセル、キレート化剤、脂肪酸、界面活性剤、中鎖グリセリド)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、ダイズトリプシン阻害剤、有機酸)、pH低下剤および生物学的利用能を促進するのに有効な吸収促進剤(米国特許第6086918号および同第5912014号に記載されるものを含むが、これらに限定されない)、咀嚼錠用の材料(ブドウ糖、フルクトース、ラクトース一水和物、ラクトースおよびアスパルテーム、ラクトースおよびセルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶性セルロースおよびグアーガム、結晶ソルビトール等);非経口剤(マンニトールおよびポビドン等);可塑剤(セバシン酸ジブチル、コーティング用可塑剤、ポリビニルアセテートフタラート等);粉末潤滑剤(ベヘン酸グリセリル等);軟ゼラチンカプセル剤(ソルビトール特殊溶液等);コーティング用球体(砂糖球等);球形化剤(ベヘン酸グリセリルおよび微結晶性セルロース等);懸濁/ゲル化剤(カラゲナン、ゲランガム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンガム等);甘味剤(アスパルテーム、アスパルテームおよびラクトース、ブドウ糖、フルクトース、蜂蜜、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、糖蜜、結晶ソルビトール、ソルビトール特殊溶液、スクロース等);湿式造粒剤(炭酸カルシウム、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、デンプン等)、キャラメル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、チェリークリーム香料およびチェリー香料、無水クエン酸、クエン酸、粉砂糖、D&C赤色33号、D&C黄色10号アルミニウムレーキ、エデト酸二ナトリウム、15%エチルアルコール、FD&C黄色6号アルミニウムレーキ、FD&C青色1号アルミニウムレーキ、FD&C青色1号、FD&C青色2号アルミニウムレーキ、FD&C緑色3号、FD&C赤色40号、FD&C黄色6号アルミニウムレーキ、FD&C黄色6号、FD&C黄色10号、パルミトステアリン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセリル、インジゴカルミン、レシチン、マンニトール、メチルおよびプロピルパラベン、グリチルリチン酸モノアンモニウム、天然および人工オレンジ香料、医薬品用グレーズ、ポロクサマー188、ポリデキストロース、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリビドン、α化コーンスターチ、α化デンプン、赤色酸化鉄、サッカリンナトリウム、カルボキシメチルエーテルナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、イチゴ香料、合成黒色酸化鉄、合成赤色酸化鉄、二酸化チタン、および白蝋を含む、他の賦形剤、薬剤、およびそのカテゴリーを含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、明細書に記載されるペプチドと、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K+、Na+、もしくはAl3+、それらの組み合わせ、および/または立体障害1級アミンから選択される1つ以上の薬剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0110】
さらなる実施形態において、薬剤は、Mg2+、Ca2+、もしくはZn2+、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、カチオンは、限定されないが、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、または硫酸アルミニウムとして提供される。さらなる実施形態において、カチオンは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化マンガン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、または塩化アルミニウムとして提供される。他の実施形態において、カチオンは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、または酢酸亜鉛として提供される。
【0111】
別の実施形態において、薬剤は、立体障害1級アミンである。
【0112】
さらなる一実施形態において、立体障害1級アミンは、アミノ酸である。
【0113】
さらなる一実施形態において、アミノ酸は、天然型アミノ酸である。
【0114】
さらなる一実施形態において、天然型アミノ酸は、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、スレオニン、イソロイシン、トリプトファン、グリシン、およびバリンからなる群から選択され、さらに、天然型アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニン、またはメチオニンである。
【0115】
さらなる一実施形態において、天然型アミノ酸は、ロイシンである。別の実施形態において、立体障害1級アミンは、非天然型アミノ酸(例えば、1-アミノシクロヘキサンカルボン酸、ランタニン(lanthanine)、またはテアニン)である。
【0116】
さらなる一実施形態において、立体障害1級アミンは、シクロヘキシルアミン、2-メチルブチルアミン、または高分子アミン(例えば、キトサン)である。
【0117】
別の実施形態において、1つ以上の立体障害1級アミンが組成物中に使用されてもよい。
【0118】
場合によっては、立体障害1級アミンは、式
【化41】
を有し、式中、R
1、R
2、およびR
3は、H、C(O)OH、C1-C6アルキル、C1-C6アルキルエーテル、C1-C6アルキルチオエーテル、C1-C6アルキルカルボン酸、C1-C6アルキルカルボキシルアミド、およびアルキルアリールから独立して選択され、いずれの基もハロゲンまたはアミノで単置換または多置換され得るが、但し、R
1、R
2、およびR
3のうちの2つ以下がHである。
【0119】
別の実施形態において、R1、R2、およびR3のうちの1つ以下がHである。
【0120】
他の実施形態において、薬学的に許容される担体と、ペプチドと、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K+、Na+、もしくはAl3+、またはそれらの混合物から選択されるカチオンと、立体障害1級アミンとを含む医薬組成物が提供される。
【0121】
一実施形態において、カチオンは、Mg2+、Ca2+、もしくはZn2+、またはそれらの混合物である。
【0122】
さらなる一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される結合剤ならびに/または、薬学的に許容される流動促進剤、滑沢剤、もしくは流動促進剤および滑沢剤の両方として作用する添加剤、ならびに/または抗酸化剤をさらに含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、担体に適用される。
【0124】
いくつかの実施形態において、担体は、充填剤である。
【0125】
場合によっては、担体に適用される水溶液中のカチオン:立体障害1級アミン:ペプチドのモル比は、5~100:5~50:1である。場合によっては、カチオン:立体障害1級アミンのモル比は、2:1以上(例えば、5:1~2:1)であってもよい。したがって、場合によっては、担体に適用されるカチオン:立体障害1級アミン:ペプチドのモル比は、100:50:1、100:30:1、80:40:1、80:30:1、80:20:1、60:30:1、60:20:1、50:30:1、50:20:1、40:20:1、20:20:1、10:10:1、10:5:1、または5:10:1である。結合剤、例えば、メチルセルロースが、担体に適用されるGC-C作動薬ペプチド溶液中に存在する場合、それは、0.5%~2.5重量%(例えば、0.7%~1.7%、または0.7%~1%、または1.5%、または0.7%)で存在し得る。
【0126】
さらなる一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される結合剤もしくは添加剤、ならびに/または薬学的に許容される流動促進剤、滑沢剤、もしくは流動促進剤および滑沢剤の両方として作用する添加剤、ならびに/または抗酸化剤をさらに含む。
【0127】
本発明による好適な医薬組成物は、一般に、意図される用途に依存して幅広い最終濃度を与えるように、薬学的に許容される希釈剤または賦形剤、例えば、無菌水溶液等とともに、ある量の活性化合物(複数可)を含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences (18th Edition, Mack Publishing Company, 1995)によって例示されるような調製技術は、一般に、当該技術分野において周知である。
【0128】
本明細書に記載される組成物は、治療される疾患の重症度および種類に依存して、全身的または局所的に、例えば、経口的に(例えば、カプセル剤、散剤、溶剤、懸濁剤、錠剤、舌下剤等を使用)、吸入によって(例えば、エアロゾル、ガス、吸入器、ネブライザー等を用いる)、耳に(例えば、点耳剤を使用)、局部的に(例えば、クリーム剤、ゲル剤、塗布剤、ローション剤、軟膏剤、ペースト剤、経皮パッチ等を使用)、眼に(例えば、点眼薬、点眼ゲル、点眼軟膏を用いる)、経直腸的に(例えば、浣腸または坐剤を使用)、経鼻的に、口腔内に、膣内に(例えば、膣洗浄、子宮内デバイス、膣坐剤、膣リングもしくは錠剤等を使用)、埋め込み型貯留容器等を介して、または非経口的に、投与されてもよい。本明細書において使用される用語「非経口的」は、限定されないが、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内、および頭蓋内への注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。
【0129】
消化器疾患の治療のために、本明細書に記載されるペプチドは、例えば、錠剤、カプセル剤、所定量の有効成分のペレットを収容する小袋、ゲル剤、ペースト剤、シロップ剤、ボーラス剤、舐剤、スラリー剤、散剤、凍結乾燥粉末剤、顆粒剤として、水溶液または非水溶液中の液剤もしくは懸濁剤として、水中油型乳液剤または油中水型乳液剤として、リポソーム製剤を介して(例えば、欧州特許第EP736299号を参照のこと)、あるいはいずれか他の形態で、好ましくは経口的に投与される。経口投与組成物は、結合剤、潤沢剤、不活性希釈剤、潤滑性、界面活性、または分散性の薬剤、香味剤、および保湿剤を含むことができる。錠剤等の経口投与製剤は、任意選択的に、コーティングされているかまたは分割線が入っていてもよく、中の有効成分の持続、遅延、または放出制御を提供するように製剤化され得る。
【0130】
ペプチドは、限定されないが、本明細書に記載される薬剤を含む消化器疾患を治療するために使用される他の薬剤とともに併用投与することができる。
【0131】
別の態様において、好適な医薬組成物は、1つ以上の他の治療剤を含んでもよい。そのような治療剤として、限定されないが、鎮痛剤;プロトンポンプ阻害剤、酸ポンプ拮抗薬、H2受容体拮抗薬を含む抗分泌剤;PDE5阻害剤;GABA-B拮抗薬;胆汁酸封鎖剤;運動促進剤および機能調整剤;抗うつ剤;抗生物質;制吐剤;ならびに粘膜保護材が挙げられる。
【0132】
治療方法
種々の実施形態において、本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、患者の消化器疾患の治療に有用である。
【0133】
いくつかの実施形態において、消化器疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、機能性消化管障害、胃食道逆流症、機能性胸焼け、消化不良、内臓痛、胃不全麻痺、慢性偽性腸閉塞、偽性結腸閉塞、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される。
【0134】
さらなる一実施形態において、消化器疾患は便秘である。便秘は、慢性便秘であるか、特発性便秘であるか、術後イレウスに起因するか、またはアヘン剤の使用によって引き起こされ得る。便秘を定義する臨床的に許容される基準は、排便回数、便の硬さ、および排便の容易さを含む。便秘の一般的な定義の1つは、1週間に3回未満の排便である。他の定義は、異常に硬い便または過度のいきみを必要とする排便を含む(Schiller 2001,Aliment Pharmacol Ther 15:749-763)。便秘は、特発性(機能性便秘または大腸通過遅延型便秘)であり得るか、または神経性、代謝性、もしくは内分泌性の疾患を含む他の原因に続発し得る。これらの疾患は、真性糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄傷害、神経線維腫症、自律神経障害、シャーガス病、ヒルシュスプルング病、および嚢胞性線維症を含む。便秘はまた、手術の結果(術後イレウス)であり得るか、または、鎮痛薬(オピオイド等)、抗圧剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、鎮痙薬、および抗精神病薬等の薬物の使用に起因し得る。
【0135】
他の実施形態において、消化器疾患は過敏性腸症候群(IBS)である。過敏性腸症候群は、便秘型過敏性腸症候群(c-IBS)、下痢型過敏性腸症候群(d-IBS)、または2つの過敏性腸症候群の交互型(a-IBS)であり得る。
【0136】
他の実施形態において、消化器疾患は消化不良である。
【0137】
他の実施形態において、消化器疾患は胃不全麻痺である。胃不全麻痺は、特発性、糖尿病性、または術後の胃不全麻痺から選択することができる。
【0138】
さらに他の実施形態において、消化器疾患は慢性偽性腸閉塞である。
【0139】
他の実施形態において、消化器疾患はクローン病である。
【0140】
いくつかの実施形態において、消化器疾患は潰瘍性大腸炎である。
【0141】
いくつかの実施形態において、消化器疾患は炎症性腸疾患である。
【0142】
別の実施形態において、消化器疾患は内臓痛である。
【0143】
さらなる一実施形態において、本発明は、患者に本明細書に記載されるペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む、患者の胃腸痛または内臓痛を軽減するための方法を特徴とする。本明細書に記載されるペプチド作動薬は、消化器疾患に関連する内臓痛または別の疾患に関連する疼痛の治療、予防、または軽減のために、単独で、または併用療法において使用することができる。
【0144】
別の実施形態において、本発明は、患者に本明細書に記載される精製されたペプチドを含む医薬組成物を投与することを含む、消化管の炎症、例えば、消化器疾患または感染または何らかの他の疾患に関連する炎症を含む炎症を治療するための方法を特徴とする。
【0145】
別の実施形態において、本発明は、腸グアニル酸シクラーゼ(GC-C)受容体の作動薬を、経口的、直腸坐剤により、または非経口的のいずれかで投与することを含む、消化器疾患を治療するための方法を特徴とする。
【0146】
さらに別の実施形態において、本発明は、腸グアニル酸シクラーゼ(GC-C)受容体の作動薬を投与することを含む、消化器疾患を治療するための方法を特徴とする。
【0147】
別の実施形態において、本発明は、生物試料、組織(例えば、腸管粘膜)、もしくは細胞(例えば、GC-A受容体を保持する細胞)、または全生物におけるグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体の活性を増加させる方法を特徴とする。
【0148】
別の態様において、本発明は、試料、組織、または生物を本明細書に記載されるペプチドと接触させることにより、生物試料、組織(例えば、腸管粘膜)、もしくは細胞(例えば、GC-A受容体を保持する細胞)、または全生物における環状グアノシン3’-一リン酸(cGMP)のレベルを増加させる方法を特徴とする。
【0149】
本明細書に記載されるペプチドGC-C受容体作動薬は、他の薬剤と併用投与することができる。例えば、ペプチドは、鎮痛性のペプチドまたは化合物とともに投与することができる。鎮痛性のペプチドまたは化合物は、本明細書に記載されるペプチドに共有結合的に付着していてもよいか、または、併用療法において本明細書に記載されるペプチドと一緒にまたは連続的に投与される別個の薬剤であってもよい。本明細書に記載されるペプチドはまた、抗うつ剤、運動促進剤または機能調整剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプ阻害剤、酸遮断薬(例えば、ヒスタミンH2受容体拮抗薬)、酸ポンプ拮抗薬、PDE5阻害剤、GABA-B作動薬、胆汁酸封鎖剤、および粘膜保護剤を含む、GI疾患を治療するために使用される他の薬剤と併用投与されてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるペプチドとともに使用され得る有用な鎮痛剤は、Caチャネル遮断薬(例えば、ジコノチド)、5HT受容体拮抗薬(例えば、5HT3、5HT4、および5HT1受容体拮抗薬)、5HT4作動薬(例えば、テガセロッド[Zelnorm(登録商標)]、モサプリド、ザコプリド、シサプリド、レンザプリド、プルカロプリド[Resolor(登録商標)]、BIMU 1およびBIMU 8等のベンズイミダゾロン誘導体、ならびにリレキザプリド)、5HT1作動薬(例えば、スマトリプタンおよびブスピロン)、オピオイド受容体作動薬(例えば、ロペラミド、フェドトジン、エンケファリンペンタペプチド、モルヒネ、ジフェニルオキシラート、フラケファミド、トリメブチン、およびフェンタニル)、CCK受容体作動薬(例えば、ロキシグルミドおよびデクスロキシグルミド)、NK1受容体拮抗薬(例えば、アプレピタント、ボホピタント、エズロピタント、R-673(Hoffmann-La Roche Ltd)、SR-48968およびSR-14033(Sanofi Synthelabo)、CP-122,721(Pfizer,Inc.)、GW679769(Glaxo Smith Kline)、ならびにTAK-637(Takeda/Abbot))、NK2受容体拮抗薬(例えば、ネパデュタント、サレデュタント、GW597599(Glaxo Smith Kline)、SR-144190(Sanofi-Synthelabo)、ならびにUK-290795(Pfizer Inc))、NK3受容体拮抗薬(例えば、オサネタント(SR-142801;Sanofi-Synthelabo)、SR-241586およびタルネタント)、ノルエピネフリン-セロトニン再取り込み阻害剤(NSRI)(例えば、ミルナシプラン)、混合型および選択的ドーパミン受容体拮抗薬(例えば、メトクロプラミド、イトプリド、ドンペリドン)、バニロイドおよびカンナビノイド受容体作動薬、シアロルフィンおよびシアロルフィン関連ペプチドが挙げられる。種々のクラスの鎮痛薬が文献に記載されている。
【0151】
いくつかの実施形態において、1つ以上の他の治療剤が、本明細書に記載されるペプチドと組み合わせて使用されてもよい。そのような薬剤は、抗うつ剤、運動促進剤または機能調整剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプ阻害剤、酸遮断薬(例えば、ヒスタミンH2受容体拮抗薬)、酸ポンプ拮抗薬、PDE5阻害剤、GABA-B作動薬、胆汁酸封鎖剤、および粘膜保護剤を含む。
【0152】
抗うつ剤の例として、限定されないが、三環系抗うつ剤、例えば、アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、アモキサピン(Asendin(登録商標))ノルトリプチリン等;選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、およびシトラロプラム(Celexa(登録商標))等;ならびにドキセピン(Sinequan(登録商標))およびトラゾドン(Desyrel(登録商標))等の他の抗うつ剤が挙げられる。
【0153】
運動促進剤および機能調整剤の例として、限定されないが、イトプリド、オクトレオチド、ベタネコール、メトクロプラミド(Reglan(登録商標))、ドンペリドン(Motilium(登録商標))、エリスロマイシン(およびその誘導体)、ならびにシサプリド(Propulsid(登録商標))が挙げられる。制吐剤の例として、限定されないが、プロクロルペラジンが挙げられる。
【0154】
使用され得る抗生物質の例として、ピロリ菌感染症を治療するために使用され得るもの、例えば、アモキシシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール、またはクラリスロマイシン等が挙げられる。エリスロマイシンおよびその誘導体等の他の抗生物質も、本明細書に記載されるペプチドと組み合わせて使用され得る。
【0155】
プロトンポンプ阻害剤の例として、限定されないが、オメプラゾール(Prilosec(登録商標))、エソメプラゾール(Nexium(登録商標))、ランソプラゾール(Prevacid(登録商標))、パントプラゾール(Protonix(登録商標))、およびラベプラゾール(Aciphex(登録商標))が挙げられる。H2受容体遮断薬の例として、限定されないが、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジンが挙げられる。酸ポンプ拮抗薬の例として、限定されないが、レバプラザン、CS-526(J.Pharmacol.Exp.Ther.(2007)323:308-317)、PF-03716556(J.Pharmacol.Exp.Ther.(2009)328(2):671-9)、およびYH1885(Drug Metab.Dispos.(2001)29(1):54-9)が挙げられる。
【0156】
PDE5阻害剤の例として、限定されないが、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィルクエン酸塩、タダラフィル、バルデナフィル、およびウデナフィルが挙げられる。GABA-B作動薬として、限定されないが、バクロフェンおよびXP19986(CAS登録番号847353-30-4)が挙げられる。胆汁酸封鎖剤の例として、限定されないが、GT102-279、コレスチラミン、コレセベラム、コレセベラム塩酸塩、ウルソデオキシコール酸、コレスチポール、コレスチラン、セベラマー、エピクロルヒドリンと架橋したポリジアリルアミン、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、およびN-(シクロアルキル)アルキルアミンが挙げられる。粘膜保護剤の例として、限定されないが、スクラルフェート(Carafate)、テプレノン、ポラプレジンク、セトラキサート、および次サリチル酸ビスマスが挙げられる。
【0157】
併用療法は、それぞれが別々に製剤化されて投与される2つ以上の薬剤、例えば、本明細書に記載されるペプチドおよび別の治療用ペプチドもしくは化合物を投与することによって、または2つ以上の薬剤を単一の製剤として投与することによって、達成することができる。他の組み合わせも併用療法に包含される。例えば、2つの薬剤を一緒に製剤化し、第3の薬剤を含有する別の製剤と併せて投与することができる。併用療法において2つ以上の薬剤が同時に投与されてもよいが、そうである必要はない。例えば、第1の薬剤(または薬剤の組み合わせ)の投与が、第2の薬剤(または薬剤の組み合わせ)の投与に、数分、数時間、数日、または数週間先行することができる。したがって、2つ以上の薬剤は、互いの数分以内に、または互いに1、2、3、6、9、12、15、18、もしくは24時間以内に、または互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内に、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10週間以内に投与されてもよい。場合によっては、より長い間隔さえも可能である。多くの場合、併用療法に使用される2つ以上の薬剤が患者の体内に同時に存在することが望ましいが、そうである必要はない。
【0158】
投与量
成人のヒトの用量範囲は、一般に、本明細書に記載されるペプチドの5μg~100mg/日の経口投与であってもよい。錠剤、カプセル剤、または個別の単位で提供される他の提示形態は、そのような投与量でまたは該投与量の倍量として有効な本明細書に記載される化合物の量、例えば、25μg~2mg、または約100μg~1mgを含有する単位を都合よく含有し得る。患者に処方される化合物の正確な量は、担当医師の責任に委ねられる。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢および性別、治療される具体的な疾患、ならびにその重症度を含む多数の要素に依存する。
【0159】
他の実施形態において、用量は、1日当たり経口で50μg、67.5μg、100μg、133μg、145μg、150μg、200μg、266μg、290μg、300μg、400μg、500μg、または600μgである。
【0160】
種々の実施形態において、投薬単位は、1日の任意の時間に食物とともに、1日の任意の時間に食物なしで、一晩絶食した後に食物とともに(例えば、朝食とともに)、低脂肪の軽食の後に就寝時に、投与される。
【0161】
特定の一実施形態において、投薬単位は、食物摂取(例えば、食事)の前または後に投与される。
【0162】
さらなる一実施形態において、投薬単位は、食物摂取の約15分から1時間前に投与される。
【0163】
種々の実施形態において、投薬単位は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、または1日6回投与される。特定の実施形態において、投薬単位と1日用量は等しい。
【0164】
投薬単位中の2つ以上の有効成分の各々の正確な量は、各構成成分の所望の投与量に依存する。そのため、具体的な投与計画(例えば、投与のための特定の単位数および具体的なタイミングを指定する投与計画)に従って投与されたときに、患者が単一構成成分のみを用いて治療された場合に送達されるのと同じ投与量の各構成成分を送達する投薬単位を作製することが有用であり得る。
【0165】
他の状況において、患者が単一構成成分のみを用いて治療された場合に投与されるであろう投与量よりも少ない投与量の1つ以上の構成成分を送達する投薬単位を作製することが望ましいかもしれない。
【0166】
最後に、患者が単一構成成分のみを用いて治療された場合に投与されるであろう投与量よりも多い投与量の1つ以上の構成成分を送達する投薬単位を作製することが望ましいかもしれない。
【0167】
医薬組成物は、限定されないが、本明細書に記載される賦形剤を含むさらなる成分を含むことができる。特定の実施形態において、投薬単位の1つ以上の治療剤が、持続放出製剤または制御放出製剤中に存在してもよく、さらなる治療剤が、持続放出製剤中に存在しなくてもよい。例えば、本明細書に記載されるペプチドまたは作動薬は、制御放出製剤または持続放出製剤中のいずれかに存在し得るかまたはし得ない別の薬剤と同じ投薬単位で、持続放出製剤または制御放出製剤中に存在してもよい。したがって、特定の実施形態において、本明細書に記載される薬剤のうちの1つ以上の即時放出と、1つ以上の別の薬剤の制御放出とを提供することが望ましいかもしれない。
【0168】
本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者は、上述の例示的な実施形態の形式以外の特定の形式において本発明を具現化することが可能であることを容易に理解するであろう。これは、本発明の主旨から逸脱することなく行われ得る。例示的な実施形態は、例示であるに過ぎず、決して限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【実施例0169】
本明細書に記載されるようなGC-C作動薬ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、固相化学合成および天然の折り畳み(空気酸化)により、American Peptide Company(Sunnyvale,CA)によって調製された。場合によっては、本明細書に記載されるように合成した後にペプチドを修飾した。Cys1-α-ケトンペプチドは、例えば、1.5Lのメタノール/ジメチルホルムアミド(9:1v/v)および28.8gの3,5-ジ-tert-ブチル-1,2-ベンゾキノン(10当量)を20g(13.1mmol)のリナクロチドに加え、室温で1時間撹拌することにより合成した。HPLCによりシッフ塩基の形成をモニタリングした。全てのリナクロチドが消費されてから、17Lの0.1M HClを加え、反応混合物を2日間撹拌した。反応混合物を濾過し、ジクロロメタンで2回抽出し、得られた水溶液を調製スケールの逆相HPLC用C-18カラムに適用してCys1-α-ケトンを精製した。調製用HPLCに使用したHPLCカラムは、移動相A(水中0.05%酢酸)で平衡化した直径2インチのC18カラムであった。100mL/分の流束の移動相Aで未結合材料を洗浄し、60分間にわたって、10%から40%の移動相B(アセトニトリル)の直線勾配でペプチド関連材料を溶出した。Cys1-ケトンを含有する画分をプールし、続いて凍結乾燥により溶媒を除去した。
【0170】
実施例1:GC-C活性の分析のためのT84細胞におけるcGMPの蓄積
ヒト結腸癌細胞株であるT84細胞をATCC(P/N CCL-248)から入手し、T-150フラスコ中で60~70%の培養密度まで培養した。トリプシンを用いて単層を剥離し、96ウェル組織培養プレート(Costar、P/N 3596)に2.0×105細胞/ウェルの細胞密度で播種するために使用し、5%ウシ胎仔血清(FBS)およびL-グルタミンを補充した2mMダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)/栄養混合物F-12(50/50)(Mediatech、それぞれ、P/N 10-092-CV、35-0150CV、および25-005-Cl)を用いて、5%二酸化炭素環境において一晩増殖させた。
【0171】
一晩のインキュベーション後、2.0×105細胞/ウェルで播種した96ウェルプレートを、栄養補助剤を加えていない0.2mLのDMEM(Mediatech、P/N
10-013-CV)で2回洗浄した。いずれのホスホジエステラーゼ活性も阻害するために、DMEM中、0.180mLの1mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX;Sigma P/N I5879)とともに37℃で10分間細胞をインキュベートした。Hamilton Microlab Robot(Model STARlet)を使用して、各被験物質について0.1~10,000nM(最終濃度)の範囲の検量線を準備した。0.02mLの各標準物質を、96ウェルプレート内でDMEM中の1mM IBMX(0.180mL)とともに37℃で30分間インキュベートすることにより、GC-C活性アッセイを行った。インキュベーション後、上清を除去し、氷上で30分間、0.1M冷塩酸(HCl)を用いて細胞を溶解させた。175μL/ウェルの体積の各ライセートを新しい96ウェルプレート(Waters、P/N 186002481)に移し、1,000×gで10分間遠心分離し、あらゆる細胞片を除去した。得られた上清を90μLのアリコートで新しい96ウェルプレートに写し、90μLの1M酢酸アンモニウムでpH7に中和した。タンデム質量分析による検出とともに液体クロマトグラフィーを使用して(LC/MS/MS)、遠心分離および中和したT84細胞ライセートを分析した。表1に概略が示される方法を使用して、各細胞ライセート試料中のグアノシン3’,5’-環状一リン酸(cGMP)の濃度を定量化した。Sigmaから購入した環状GMP(P/N G6129)を使用して、0.1M HClにおける検量線を準備した。各標準物質を等しい体積の酢酸アンモニウムで中和し、1~1,024nM(最終濃度)の範囲のcGMP検量線を作製した。
【0172】
LC/MS条件を使用して各試料の環状GMPの濃度を測定し(下の表1)、標準曲線を計算した。分析物ピーク面積を用いて1/x2で重み付けした線形較正曲線を生成し、それを用いて各試料中のcGMP濃度を推定した。GraphPad Prism Version 5.01(GraphPad Software、San Diego,CA)を使用して、各被験物質について50%有効濃度(EC
50)値を生成した。EC50値の差が統計的に有意であることを判定するために、GraphPadソフトウェアのF検定を用いて各製剤分解物の平均活性曲線をリナクロチド対照と比較した。これらの比較のために、p値を決定し、0.05以上の値がGC-C作動薬の活性における有意な差を示すものとした。
【表1】
【0173】
実施例2:T84細胞中のGC-C受容体に対する例示的ペプチドの相対結合親和性
ヒト結腸上皮細胞(T84)上の細胞表面GC-C受容体上の結合部位について、ペプチドが、既知のGC-C作動薬であるブタ由来の熱安定性エンテロトキシン(pSTa)と競合する競合結合アッセイを用いて、グアニル酸シクラーゼ-C受容体(GC-C)に対するリナクロチドおよびCys1-α-ケトンの相対結合親和性を測定した。pSTa、すなわちMM 416251を125Iで放射標識し、その受容体結合の測定を可能にした。種々の濃度の各ペプチド(0.1~3,000nM)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、2.0×105のT84細胞、および170pM[125I]-pSTa(200,000cpm)を含有する0.20mLの反応混合物に加えることにより競合結合アッセイを行った。37℃で60分間インキュベーションした後、真空濾過により反応混合物をガラス繊維フィルタに適用し、受容体に結合した材料を単離した。次いで、シンチレーション測定により、フィルタ上に捕捉された結合放射性リガンドの濃度を測定した。各ペプチドについて、最も少ない量の競合物質との反応を用いて放射性リガンドの最大特異的結合を測定した。3,000nmの各試験ペプチドを含有する反応物において、[125I]-pSTaの非特異的結合を測定した。そのデータを使用して競合放射性リガンドの結合曲線を構築し、IC50およびKi値によって測定されるリナクロチドおよびCys1-α-ケトンの相対結合親和性を測定した。
【0174】
リナクロチドおよびCys
1-α-ケトンのどちらも、T84細胞上の細胞表面GC-C受容体への[
125I]-pSTaの特異的結合を競合的に阻害した。阻害定数(K
i)によって測定されるそれらの相対結合親和性は次の通りであった:リナクロチドのK
i=3.9±1.6nM、およびCys
1-α-ケトンのK
i=5.2±0.9nM(
図1)。
【0175】
実施例3:例示的ペプチドによって誘導されたT84細胞におけるcGMPの反応
T84細胞におけるグアニル酸シクラーゼ-C受容体(GC-C)作動薬の活性について、リナクロチドおよびCys1-α-ケトンを次の通りに試験した。96ウェルプレートの各ウェルにおいて、0.18mLのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中、1mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)とともに約200,000個のT84細胞/ウェルを最初に37℃で10分間インキュベートした。各ペプチドを0.1~10,000nMの範囲の最終濃度まで希釈し、T84細胞を含有する96ウェルプレートに0.02mLの各希釈液を2通りに加え、ウェル当たりの最終体積を0.2mLとした。ペプチド反応物を37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、上清を除去して廃棄し、氷上で30分間、0.1M冷塩酸(HCl)を用いて細胞を溶解させた。遠心分離により細胞片を除去し、タンデム質量分析とともに液体クロマトグラフィーを使用して、各ライセート中のグアノシン3’,5’-環状一リン酸(cGMP)の濃度を測定した。そのデータを使用して用量反応曲線を構築し、各被験物質について50%有効濃度(EC50)を計算した。
【0176】
リナクロチドおよびCys
1-α-ケトンは、細胞内cGMPの増加によって測定されるように、T84細胞におけるGC-C作動薬の活性を示した(
図2)。リナクロチドおよびCys
1-α-ケトンのEC
50値は、それぞれ、315±105nMおよび352±55nMであった。F検定を用いたCys
1-α-ケトンの用量反応曲線に対するリナクロチドの用量反応曲線の比較により、EC
50値には統計的に差がないことが示された(p=0.8884)。
【0177】
実施例4:例示的ペプチドの含有量および純度の測定
Cys1-α-ケトンペプチド
224mgのAvicelビーズ上に噴霧された1mgのリナクロチドを含有する20gの製剤ビーズを、40℃、75%相対湿度で2か月間インキュベートすることにより、(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2010/0048489号に記載されるような)リナクロチド製剤を圧縮した。ボルテックス混合機中、20mLの0.1N HClとともに室温で1時間緩やかに撹拌することにより、ビーズからペプチド関連材料を抽出した。得られた懸濁液を1,000×gで5分間遠心分離してビーズをペレット化し、抽出されたペプチドを含有する上清を凍結乾燥した。乾燥した試料を2.5mLの0.1N HCl中で再構成し、Cys-a-ケトンを単離し、以下の方法を使用して調製用HPLCにより精製した:YMC Pro(商標)C18カラム(寸法:3.0×150mm、3.5um、120Å:Waters Corp.、Milford,MA)またはその等価物を使用して40℃に維持する。移動相A(MPA)は、98:2の水/0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルからなり、移動相B(MPB)は、5:95の水/0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルからなる。ペプチドの溶出は、12分で82%から78%へのMPAおよび18%から22%へのMPBの勾配、続いて1分で50%のMPAおよび50%のMPBまでの傾斜、50%のMPAおよび50%のMPBでの3分間の維持、続いて82%のMPAおよび18%のMPBでの7分間の洗浄により達成される。流束は、0.6mL/分であり、検出は、220nmのUVにより達成される。
【0178】
画分を手で回収し、Cys1-a-ケトンを含有する画分をプールして凍結乾燥した。乾燥した残渣を1.6mLの水中で再構成して最終濃度を0.5mg/mLとし、-20℃で冷凍保存した。後述の方法を用いた分析HPLCにより精製したCys1-a-ケトンのアリコートを試験し、純度が90.7%であると決定した。
【0179】
本発明のペプチドの含有量および純度は、Chemstation Rev A.09.03ソフトウェアまたはその等価物を用いたAgilent Series 1100
LC Systemを使用して、逆相勾配液体クロマトグラフィーによって決定され得る。YMC Pro(商標)C18カラム(寸法:3.0×150mm、3.5um、120Å:Waters Corp.、Milford,MA)またはその等価物を使用して40℃に維持する。移動相A(MPA)は、0.1%トリフルオロ酢酸を含む水からなり、移動相B(MPB)は、95%アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸を含む5%水からなる。ペプチドの溶出は、0%のMPBで4分、続いて10%のMPBで5分、続いて23%のMPBで34分、続いて34%のMPBで6分、続いて80%のMPBで10分の勾配で達成される。1分で0%のMPBに戻し、続いて100%のMPAに7分間保持することにより、カラムの再平衡化を行う。流束は、0.6mL/分であり、検出は、220nmのUVにより達成される。
【0180】
RP-HPLCによるリナクロチドおよびCys
1-α-ケトン生成物の分析の例を
図3に示す
【0181】
調製した試料中のペプチド濃度を、同様に調製したペプチド外部標準に対して決定することにより、精製したペプチドの含有量を測定した。
他の実施形態
【0182】
本開示において言及した全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許出願が参照によって組み込まれていることが具体的にかつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた特許または刊行物のいずれかにおける用語の意味が、本開示において使用される用語の意味と矛盾する場合、本開示における用語の意味が支配的であることが意図される。さらに、上記の議論は、本発明の例示的な実施形態を開示および説明しているに過ぎない。当業者は、そのような考察ならびに添付の図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に定義されるような本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が行われ得ることを容易に認識するであろう。